説明

中空構造体の補強方法

【課題】中空構造体と内部に配した補強部材に対して発泡樹脂を確実に接着させる。
【解決手段】フロントサイドメンバ10の内部に配置されるリインフォースメント16に取り付けられた第1の熱活性化発泡接着剤18Aが最初に発泡して、リインフォースメント16に取り付けられた可動支持部材22が押圧される。リインフォースメント16が車両内側にずれて配置されている場合、最初に内側の可動支持部材22が内壁11Aを押圧して反力によりリインフォースメント16が車両幅方向外側へ移動され、第2の熱活性化発泡接着剤18Bからフロントサイドメンバ内壁面まので間隔が車両内外側とで同一となり、内外の第2の熱活性化発泡接着剤18Bはフロントサイドメンバ10からの熱を同様受けて発泡する。このため、第1、第2の各発泡接着剤は中空構造体内面全体に接着されて発泡樹脂となり、フロントサイドメンバ10は確実に補強される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空構造体の補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、金属板からなる中空構造体の内部に合成樹脂製の補強部材を配置した後、補強部材に設けた発泡剤を含む樹脂を発泡させて中空部分を発泡した樹脂で充填し、中空構造体、補強部材及び発泡樹脂を一体化することで中空構造体の補強を行う技術が、例えば、特許文献1〜4に開示されている。
【特許文献1】特表2005−522363号公報。
【特許文献2】特開2003―226261号公報。
【特許文献3】特開2001―199362号公報。
【特許文献4】特開2002―410511号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
中空構造体の内部空間の所定位置(例えば、中央)に補強部材を位置決めするために、中空構造体の内壁面と補強部材との間にスペーサを配置する方法がある。
【0004】
しかしながら、中空構造体において寸法のバラツキが大きく、例えば、中空構造体の寸法が大となると、スペーサが構造物内壁面から離れてしまうため、中空構造体の内部空間の所定位置(例えば、中空構造体の幅方向中央部分)に補強部材が配置されない場合がある。
【0005】
発泡剤を含む樹脂を発泡させるには、補強部材を内部に配した中空構造体を、例えば、加熱炉の中に入れて発泡剤を含む樹脂を加熱する。加熱炉からの熱は、中空構造体の壁面、及び内部空間を介して発泡剤を含む樹脂へと伝達されるが、例えば、補強部材が中空構造体の内部空間で一方側に偏って配置されて補強部材と中空構造体との間隔が他方側で大になると、間隔が広がった側においては、中空構造体からの熱が発泡剤を含む樹脂へ伝わり難くなり、発泡剤を含む樹脂が発泡するに必要な温度まで上昇せず、十分に発泡しない、いわゆる発泡不良となる場合が考えられる。
【0006】
そして、発泡不良になり、発泡樹脂が中空構造体の内壁面に届かない部位を生じてしまうと、発泡樹脂が中空構造体の内壁面全体に接着した場合に比較して補強効果が減少する。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、中空構造体の内壁面全体に発泡樹脂を確実に接着させることのできる、中空構造体の補強方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、中空構造体の内部に補強部材が配置され、前記中空構造体の内部空間が発泡樹脂で充填される中空構造体の補強方法であって、前記中空構造体の一方の内壁面側に配置される第1の部分と、前記中空構造体の他方の内壁面側に配置される第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置されると共に、前記第1の部分及び前記第2の部分に連結される中央部分を備え、前記第1の部分には前記一方と他方とを結ぶ方向に移動可能に第1の可動支持部材が装着され、前記第2の部分には前記一方と前記他方とを結ぶ方向に移動可能に第2の可動支持部材が装着され、前記中央部分と前記第1の可動支持部材との間、及び前記中央部分と前記第2の可動支持部材との間に加熱により発泡及び硬化する第1の熱活性発泡接着剤が設けられ、前記第1の部分の前記一方の内壁面側、及び前記第2の部分の前記他方の内壁面側に前記第1の熱活性発泡接着剤よりも発泡する温度が高く設定された第2の熱活性発泡接着剤が設けられた前記補強部材を、前記中空構造体の内部空間に配置する第1の工程と、前記補強部材を備える前記中空構造体を加熱し、前記第1の熱活性発泡接着剤を最初に発泡させ、次いで前記第2の熱活性発泡接着剤を発泡させる第2の工程と、を有する。
【0009】
先ず、第1の工程では、補強部材が中空構造体の内部に配置される。補強部材は、第1の部分が中空構造体の一方の内壁面側に対向するように配置され、第2の部分が中空構造体の他方の内壁面側に対向するように配置される。
【0010】
第2の工程では、補強部材を備える中空構造体が加熱される。中空構造体の内部空間の温度が上昇すると、先ず最初に第1の熱活性発泡接着剤が発泡する。
第1の熱活性化発泡接着剤が発泡して膨張すると、各可動支持部材は第1の熱活性化発泡接着剤に押圧されて中空構造体の内壁面を押圧する。
【0011】
次いで第2の熱活性発泡接着剤が発泡し、発泡した第1の熱活性化発泡接着剤、及び第2の熱活性化発泡接着剤により内部空間が隙間無く充填され、第1の熱活性化発泡接着剤、及び第2の熱活性化発泡接着剤の発泡が完了すると共に硬化することで、中空構造体と補強部材とが互いに接着される。
【0012】
ここで、補強部材の初期位置が中空構造体の内部で、例えば一方側へずれて配置された場合、中空構造体の一方側の壁面と補強部材の第1の部分との間隔に対して、中空構造体の他方側の壁面と補強部材の第2の部分との間隔は相対的に大きくなっている。
【0013】
この様に補強部材がずれた状態で加熱がなされて第1の熱活性化発泡接着剤が発泡膨張すると、先ず最初に、一方側の可動支持部材が一方側の内壁を押圧し、該内壁からの反力が一方側の可動支持部材、第1の熱活性化発泡接着剤を順に介して補強部材の中央部分に伝達され、補強部材が他方側(即ち、ずれている方向とは逆方向側)へ移動して行く。
これにより、当初大きかった中空構造体の他方側の壁面と補強部材との間隔が狭くなり、補強部材の位置が中空構造体の車両幅方向中央側に修正され、第1の部分に設けた第2の熱活性化発泡接着剤からこれに対向する中空構造体の壁面までの間隔と、第2の部分に設けた第2の熱活性化発泡接着剤からこれに対向する中空構造体の壁面までの間隔とが同一にされる。
【0014】
このようにして、補強部材の位置が修正された後、第1の部分に設けられた第2の熱活性化発泡接着剤、及び第2の部分に設けられた第2の熱活性化発泡接着剤が、各々対向している中空構造体の壁面からの熱を受けて加熱され、第2の熱活性化発泡接着剤が発泡し始める。
【0015】
前述した様に、第1の部分に設けた第2の熱活性化発泡接着剤からこれに対向する中空構造体の壁面までの間隔と、第2の部分に設けた第2の熱活性化発泡接着剤からこれに対向する中空構造体の壁面までの間隔とを同一にすることで、第1の部分に設けた第2の熱活性化発泡接着剤と、第2の部分に設けた第2の熱活性化発泡接着剤とを同じ温度に加熱することができ、第1の部分に設けた第2の熱活性化発泡接着剤と、第2の部分に設けた第2の熱活性化発泡接着剤の両方を同時に、かつ確実に発泡させることができる。
【0016】
そして、最終的には、最初に発泡した第1の熱活性化発泡接着剤、及び次に発泡した第2の熱活性化発泡接着剤により内部空間が隙間無く充填され、第1の熱活性化発泡接着剤、及び第2の熱活性化発泡接着剤の発泡が完了すると共に硬化が完了することで、中空構造体と補強部材とが互いに接着される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明の中空構造体の補強方法によれば、中空構造体の内壁面と補強部材とに発泡樹脂を確実に接着させることができ、高い補強効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】リインフォースメントを内部に配したフロントサイドメンバの側面側から見た断面図である。
【図2】リインフォースメントを内部に配したフロントサイドメンバの長手方向直角断面図である。
【図3】熱活性化発泡接着剤が発泡する前の状態を示すフロントサイドメンバの長手方向直角断面図である。
【図4】リインフォースメントが偏って配置された熱活性化発泡接着剤が発泡する前の状態を示すフロントサイドメンバの長手方向直角断面図である。
【図5】第1の熱活性化発泡接着剤が発泡し始めた状態を示すフロントサイドメンバの長手方向直角断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1には、自動車の鋼板からなるフロントサイドメンバ10の側面側から見た断面が示されている。なお、図1において、矢印FR方向は車両前方、矢印RE方向は車両後方、矢印UP方向は車両上方を示している。
図2には、フロントサイドメンバ10の長手方向直角断面(図1のA−A線断面,B−B線断面,C−C線断面)が示されている。なお、図2において、矢印IN方向は車両幅方向内側、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
【0020】
図1に示すように、フロントサイドメンバ10は、車体前方側に配置される側面視で車両前後方向に直線状に形成される前方直線部10Aが、車体後方側に配置される側面視で車両前後方向に直線状に形成される後方直線部10Bよりも高くなるように、長手方向の2個所で屈曲形成されており、車体前方側の屈曲部10Cと車体後方側の屈曲部10Dとの間が、車幅方向から見た側面視で、車体前方側が車体後方側よりも上となる傾斜部(キック部)10Eとされている。
【0021】
図2(図1のD−D線断面図)に示すように、フロントサイドメンバ10の長手方向直角断面形状は、ハット型を呈している。
図1、及び図2に示すように、フロントサイドメンバ10の車幅方向両側の上端部分に形成されたフランジ部11Dの上面には、鋼板からなるフロアパネル12、ダッシュパネル14、及びフロントサイドメンバアッパリインフォースメント15がスポット溶接により接合され、フロントサイドメンバ10は閉断面構造(本発明の中空構造体)とされている。
【0022】
フロントサイドメンバ10の内部には、補強部材としてのリインフォースメント16が配置され、かつ内部空間に隙間を設けることなく発泡樹脂18が充填されている。
本実施形態のリインフォースメント16に用いた材料は、ガラス繊維入りポリアミドであるが、リインフォースメント16は他の合成樹脂や金属で形成することも出来る。
発泡樹脂18は、発泡、硬化剤等を含む合成樹脂系の熱活性化発泡接着剤を加熱して発泡及び硬化させたものである。熱活性化発泡接着剤は、特に、金属面や合成樹脂面に対して良好な接着性を有する合成樹脂を主成分とするものが好ましい。
【0023】
熱活性化発泡接着剤は、例えば、車体の塗装を乾燥させる際の熱等を用いて発泡させることができる。熱活性化発泡接着剤としては、例えば、特開平8−208871号公報、特開平11−158313号公報等に開示されたものを用いることができるが、他のものを用いることもできる。
【0024】
リインフォースメント16は、フロントサイドメンバ10の幅方向中央部に配置されて上下方向に延びる中央縦部16A、中央縦部16Aの下端のやや上方位置側から車幅方向内側へ延びる内側下横部16Bと、内側下横部16Bの車両幅方向内側端から上方へ延びる内側縦部16C、中央縦部16Aの上端のやや下方位置から車幅方向外側へ延びる外側上横部16Dと、外側上横部16Dの車両幅方向外側端から下方へ延びる外側縦部16Eとを含んで構成されている。
【0025】
なお、中央縦部16Aは、上端がフロアパネル12、及びダッシュパネル14に接触しており、下端がフロントサイドメンバ10の底部11Cに接触している。また、内側下横部16B、外側上横部16D、内側縦部16C、及び外側縦部16Eは、各々フロントサイドメンバ10の内面、フロアパネル12、及びダッシュパネル14から離間している。
【0026】
次に、フロントサイドメンバ10の補強方法を説明する。
先ず、フロントサイドメンバ10の内部にリインフォースメント16が配置される。
図3に示すように、フロントサイドメンバ10の内部に配置するリインフォースメント16には、中央縦部16Aの車両幅方向内側面、及び車両幅方向外側面の上下方向中間部分に各々第1の熱活性化発泡接着剤18Aが予め貼り付けられ、内側下横部16Bの下面、及び内側縦部16Cの車両幅方向内側面に第2の熱活性化発泡接着剤18Bが予め貼り付けられ、外側上横部16Dの上面、及び外側縦部16Eの車両幅方向外側面に第2の熱活性化発泡接着剤18Bが予め貼り付けられている。
なお、第1の熱活性化発泡接着剤18Aは、第2の熱活性化発泡接着剤18Bよりも低い温度で発泡するように材料の組成(発泡剤の種類等)が調整されている。
【0027】
図1、及び図3に示すように、リインフォースメント16の内側縦部16C、及び外側縦部16Eには、上下方向中間部分に、夫々貫通孔20が3箇所形成されており、各貫通孔20には可動支持部材22がスライド自在に装着されている。
可動支持部材22は、貫通孔20に挿入される軸部22Aを備え、軸部22Aの両端に各々円板状のフランジ部22Bが形成されている。可動支持部材22は、合成樹脂、金属等で形成することが出来る。
【0028】
内側縦部16Cに装着される可動支持部材22の軸部22Aの長さは、内側縦部16Cの厚さと、内側縦部16Cに貼り付けられた第2の熱活性化発泡接着剤18Bの厚さを足した寸法よりも更に長く形成されている。同様に、外側縦部16Eに装着される可動支持部材22の軸部22Aの長さも、外側縦部16Eの厚さと、外側縦部16Eに貼り付けられた第2の熱活性化発泡接着剤18Bの厚さを足した寸法よりも更に長く形成されている。
【0029】
このように第1の熱活性化発泡接着剤18A、第2の熱活性化発泡接着剤18B、及び可動支持部材22の取り付けられたリインフォースメント16をフロントサイドメンバ10の内部空間に配置した後、フロントサイドメンバ10のフランジ部11Dに、フロアパネル12、ダッシュパネル14、及びフロントサイドメンバアッパリインフォースメント15をスポット溶接し、フロントサイドメンバ10を閉断面構造化する。
その後、このフロントサイドメンバ10を備えた車体を加熱炉等に入れて外部より加熱すると、車体の温度上昇に伴いフロントサイドメンバ内の温度も徐々に上昇し、最初に第1の熱活性化発泡接着剤18Aが発泡し始める。なお、加熱炉は、例えば車体の塗装の乾燥を行う、所謂ED炉を用いることができるが、フロントサイドメンバ10を外側から加熱できれば加熱手段の形態は問わない。
【0030】
第1の熱活性化発泡接着剤18Aが発泡して膨張すると、内側縦部16Cに装着される可動支持部材22は車両幅方向内側へ押圧され、外側縦部16Eに装着される可動支持部材22は車両幅方向外側へ押圧され、各可動支持部材22は同時に押圧される。
【0031】
ところで、リインフォースメント16の初期位置が、例えば図4に示すように、内部空間内で車両幅方向内側へずれて配置されていた場合、第1の熱活性化発泡接着剤18Aが発泡して膨張すると、先ず最初にずれ方向の可動支持部材22、即ち、車両幅方向内側の可動支持部材22が内壁11Aを押圧し、内壁11Aからの反力が可動支持部材22、第1の熱活性化発泡接着剤18Aを順に介してリインフォースメント16の中央縦部16Aに伝達され、リインフォースメント16が車両幅方向外側(即ち、ずれている方向とは逆方向側)へ移動して行く。これにより、当初大きかったフロントサイドメンバ10の外壁11Bとリインフォースメント16の外側縦部16Eとの間隔が図5に示すように狭くなり、リインフォースメント16の位置がフロントサイドメンバ10の車両幅方向中央側に修正され、内側縦部16Cに設けた第2の熱活性化発泡接着剤18Bからこれに対向するフロントサイドメンバ10の内壁11Aまでの間隔と、外側縦部16Eに設けた第2の熱活性化発泡接着剤18Bからこれに対向するフロントサイドメンバ10の外壁11Bまでの間隔とを同一にすることが可能となる。
【0032】
なお、リインフォースメント16の初期位置が車両幅方向内側へずれていた場合、外側の可動支持部材22は外壁11Bとの間隔が広くなっているため、内側の可動支持部材22が内壁11Aに接触した時点で外側の可動支持部材22は外壁11Bに接触しないが、内側の可動支持部材22からの反力でリインフォースメント16が車両外側へ移動すること、及び、外側の可動支持部材22も第1の熱活性化発泡接着剤18Aによって車両幅方向外側へ移動することで、最終的には、外側の可動支持部材22のフランジ部22Bも外壁11Bの内面に接触することになる。
【0033】
このようにリインフォースメント16の位置が修正された後、各々の第2の熱活性化発泡接着剤18Bがフロントサイドメンバ10からの熱を受けて発泡し始める。
【0034】
第2の熱活性化発泡接着剤18Bが発泡する前に、リインフォースメント16の位置をフロントサイドメンバ10の車両幅方向中央に修正し、内壁11Aからこれに対向する第2の熱活性化発泡接着剤18Bまでの間隔、外壁11Bからこれに対向する第2の熱活性化発泡接着剤18Bまでの間隔を同一にすることで、リインフォースメント16からの熱を受けた各第2の熱活性化発泡接着剤18Bは、同時に発泡温度まで加熱されることとなり、各第2の熱活性化発泡接着剤18Bを確実に発泡させると共に、硬化させることができる。
【0035】
最終的には、最初に発泡した第1の熱活性化発泡接着剤18A、及び次に発泡した第2の熱活性化発泡接着剤18Bにより、フロントサイドメンバ内の内部空間が隙間無く充填され(中空構造体内面全体、及びリインフォースメント16の外面全体に第1の熱活性化発泡接着剤18A、及び第2の熱活性化発泡接着剤18Bが接着される)、第1の熱活性化発泡接着剤18A、及び第2の熱活性化発泡接着剤18Bの発泡が完了すると共に硬化が完了することで、フロントサイドメンバ10とリインフォースメント16、フロアパネル12とリインフォースメント16、ダッシュパネル14とリインフォースメント16、フロントサイドメンバアッパリインフォースメント15とリインフォースメント16とが完全に一体化するように互いに接着される。
【0036】
このようにして発泡樹脂18が内部空間に隙間無く配置されて各部材が一体化するように接着されるので、リインフォースメント16、及び発泡樹脂18によりフロントサイドメンバ10等からなる中空構造体を確実に補強することができる。
【0037】
なお、リインフォースメント16の位置が修正されずに偏ったままであると、リインフォースメント16からの距離が遠くなった第2の熱活性化発泡接着剤18Bが、リインフォースメント16からの熱によって温度上昇し難くなり(例えば、第2の熱活性化発泡接着剤18Bの一部分が発泡温度まで達しない)、発泡不足を招く懸念がある。
【0038】
[その他の実施形態]
本実施形態のリインフォースメント16は合成樹脂製であったが、金属等の他の材料で形成されていても良く、断面形状等も図2に示すものに限定されない。
リインフォースメント16に取り付ける可動支持部材22の数、及び形状は上記実施形態のものに限らない。
上記実施形態では、フロントサイドメンバ10、フロアパネル12、ダッシュパネル14、及びフロントサイドメンバアッパリインフォースメント15からなる中空構造体にリインフォースメント16を接着する例を示したが、本発明は、自動車の車体等、上記以外の中空構造体にも適用可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
10 フロントサイドメンバ(中空構造体)
11A 内壁
11B 外壁
12 フロアパネル(中空構造体)
14 ダッシュパネル(中空構造体)
15 フロントサイドメンバアッパリインフォースメント(中空構造体)
16 リインフォースメント(補強部材)
16A 中央縦部
16B 内側下横部
16D 外側上横部
16C 内側縦部
16E 外側縦部
18 発泡樹脂
18A 第1の熱活性化発泡接着剤
18B 第2の熱活性化発泡接着剤
22 可動支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造体の内部に補強部材が配置され、前記中空構造体の内部空間が発泡樹脂で充填される中空構造体の補強方法であって、
前記中空構造体の一方の内壁面側に配置される第1の部分と、前記中空構造体の他方の内壁面側に配置される第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置されると共に、前記第1の部分及び前記第2の部分に連結される中央部分を備え、前記第1の部分には前記一方と他方とを結ぶ方向に移動可能に第1の可動支持部材が装着され、前記第2の部分には前記一方と前記他方とを結ぶ方向に移動可能に第2の可動支持部材が装着され、前記中央部分と前記第1の可動支持部材との間、及び前記中央部分と前記第2の可動支持部材との間に加熱により発泡及び硬化する第1の熱活性発泡接着剤が設けられ、前記第1の部分の前記一方の内壁面側、及び前記第2の部分の前記他方の内壁面側に前記第1の熱活性発泡接着剤よりも発泡する温度が高く設定された第2の熱活性発泡接着剤が設けられた前記補強部材を、前記中空構造体の内部空間に配置する第1の工程と、
前記補強部材を備える前記中空構造体を加熱し、前記第1の熱活性発泡接着剤を最初に発泡させ、次いで前記第2の熱活性発泡接着剤を発泡させる第2の工程と、
を有する中空構造体の補強方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−208303(P2010−208303A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60078(P2009−60078)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】