中空管構造体及び柱状固化杭の形成方法
【課題】地中に貫入された中空管を、回動のみで中空管先端部の蓋部材を確実に開状態又は閉状態とすることができる中空管構造体及び柱状固化杭の形成方法を提供すること。
【解決手段】中空管1の先端面に一対の半割り円板状の蓋本体部31を有する蓋部材3を先端の開口面に沿って回動するように取り付け、中空管1の先端部に中空管1に対して所定の角度内において回動自在であって、且つ一対の翼部材22を有する回動体20を取り付け、一対の翼部材22の長手方向に形成されるガイド長穴23に蓋部材3に形成されるガイド棒部材33を挿通し、中空管1の回動に連動して一対の半割り円板状の蓋本体部31を回動させ中空管1の先端の開口の開閉を行なう中空管構造体10。
【解決手段】中空管1の先端面に一対の半割り円板状の蓋本体部31を有する蓋部材3を先端の開口面に沿って回動するように取り付け、中空管1の先端部に中空管1に対して所定の角度内において回動自在であって、且つ一対の翼部材22を有する回動体20を取り付け、一対の翼部材22の長手方向に形成されるガイド長穴23に蓋部材3に形成されるガイド棒部材33を挿通し、中空管1の回動に連動して一対の半割り円板状の蓋本体部31を回動させ中空管1の先端の開口の開閉を行なう中空管構造体10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式による軟弱地盤の改良工法に用いられる中空管構造体及び柱状固化杭の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤改良工法には液状の固化材を使用する湿式工法と粉末状の固化材を使用する乾式工法がある。湿式工法は、施工現場においてセメント系固化材を液状とするための地上プラントが必要となり、施工費用や作業負担が生じることや、地下への固化材の浸透による地下水を汚染するなどの問題がある。
【0003】
一方、乾式工法は、固化材を粉末状のまま地盤中に圧縮空気等により投入するものであるため、上記湿式工法の問題は解消される。しかし、粉末状の固化材は地盤への混合量を均一に制御することが難しいという問題がある。かかる課題を解決するものとして、特開昭59−96325号公報には、地上から所定の深度に貫入された中空管の内部に、粉末状固化材を所定量収納した袋体を順次充填し、次いで袋体に収納された粉末状固化材だけを地中に残して中空管を引き上げる工法が開示されている。この中空管の先端部の構造は、圧入時には先端の開閉可能な突鋭部が相互に閉じる方法に力を受け、引き上げるときには、袋体の反力によりピンを中心に相互に開いて2つに分割される構造である。
【特許文献1】特開昭59−96325号公報(第3頁右上欄、図1〜図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開昭59−96325号公報の中空管の先端部の蓋部材は、引き上げと同時に固化材の重みでピンを中心に開くものであるが、開く力が弱いため地中の破石やガラスなどの障害物により、蓋部材の開きが妨げられ、袋体が中空管から排出されないという問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、地中に貫入された中空管を、回動のみで中空管先端部の蓋部材を確実に開状態又は閉状態とすることができる中空管構造体及び柱状固化杭の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明は鋭意検討を行った結果、中空管の先端面に一対の半割り円板状の蓋本体部を有する蓋部材を先端の開口面に沿って回動するように取り付け、中空管の先端部に中空管に対して所定の角度内において回動自在であって、一対の翼部材を有する回動体を取り付け、一対の翼部材と蓋部材を特定手段で連動させれば、回動体の回動に連動して蓋部材が中空管の先端の開口の開閉を確実に行なうことができること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、中空管の先端面に一対の半割り円板状の蓋本体部を有する蓋部材を先端の開口面に沿って回動するように取り付け、該中空管の先端部に該中空管に対して所定の角度内において回動自在であって、且つ一対の翼部材を有する回動体を取り付け、該一対の翼部材の長手方向に形成されるガイド長穴に該蓋部材に形成されるガイド棒部材を挿通し、該中空管の回動に連動して該一対の半割り円板状の蓋本体部を回動させ中空管の先端の開口の開閉を行なう中空管構造体を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、前記中空管構造体の中空管を地中に正回転させながら所定の深度まで貫入する工程、該中空管の地上側の開口から中空管内に粉状の固化材を投入する工程、該中空管を逆回転させながら地表に引き上げると共に、該中空管の先端開口から固化材を地中に置き去りにする工程、地中攪拌混合装置を地中に貫入して、固化材と現地盤を攪拌混合する工程を備える柱状固化杭の形成方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の中空管構造体を乾式の軟弱地盤改良工法に用いれば、地中に正回転させながら貫入する際、蓋部材は一対の半割り円板状の蓋本体部が閉じる方向に回動して中空管先端の開口を確実に閉状態とすることができる。この状態から、中空管を正回転させる限り、蓋部材には地盤の反力が蓋部材を閉じる方向に作用することになり、開口が開くことはなく、中空管は所定深度に貫入されるまで、中空内部は実質の容積分を空状態とすることができる。一方、粉末状の固化材が投入された中空管を上方へ引き上げる際、中空管を逆回転させる。この際、蓋部材は一対の半割り円板状の蓋本体部が開く方向に回動して中空管先端の開口を確実に開状態とすることができる。この状態から、中空管を更に同方向に回転させると、蓋部材には地盤の反力が蓋部材を開く方向に作用することになり、開口は閉じることはない。この状態を維持しつつ中空管を引き上げれば、地中の深度方向に対して、粉末状固化材を均等に置くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次ぎに、本発明の実施の形態における中空管構造体を図1〜図10を参照して説明する。図1は本例の蓋部材が閉じた状態の中空管構造体の先端部分の斜視図、図2は図1の中空管構造体を構成する中空管部材の先端部分の斜視図、図3は図1の中空管構造体を構成する回動体の斜視図、図4は本例の蓋部材が開いた状態の中空管構造体の先端部分の斜視図、図5は図1の中空管構造体を上から見た図、図6は図1の中空管構造体を下から見た図、図7は図1の中空管構造体を正面から見た図、図8は図4の中空管構造体を上から見た図、図9は図4の中空管構造体を下から見た図、図10は図4の中空管構造体を正面から見た図をそれぞれ示す。
【0011】
図1の中空管構造体10は、図2の中空管部材10aに図3の回動体20を組み付けたものである。すなわち、中空管部材10aは、中空管1の先端フランジ2と環状の窓部6との間に軸4により一対の半割り円板状の蓋本体部31を有する蓋部材3を取り付けたものである。環状の窓部6はリング状であり、蓋本体部31の出没を許容する空間を有しつつ、中空管1の先端フランジ2に固定されるものである。中空管構造体10は、この中空管部材10aに更に、中空管1の円弧状割スペーサー5の周面部分に対して回動自在に一対の翼部材22を有する回動体20を取り付けたものである。本例の回動体20は、予め左側半割り部材20aと右側半割り部材20bとを製作したものを、中空管側部材10aに組み付けた後は両者を当接部(図3では隙間部分)において溶着したものである。従って、図3を除く図面(組み付け後の図面)における左側半割り部材20aと右側半割り部材20bは接合された一体構造である。なお、回動体20は当初から一体構造として、中空管1の上端側から挿入することで組み付けてもよい。
【0012】
中空管部材10aにおいて、中空管1の先端フランジ2の直上、すなわち、環状部材20が遊嵌する中空管1の周面部分には、所定の周方向長さと径方向長さの一対の切り欠き部8が形成されるように円弧状割りスペーサー5が中空管1に固設されている。組み付け後は、回動体20の環状部材21の内周面に回動体20の中心に向かって延びるように形成される一対の突起25を、切り欠き部8内に位置させる。これにより、回動体20は中空管1に対して所定の角度内において回動することができる。すなわち、回動体20は回動体20側の突起25が切り欠き部8内で周方向に移動する長さ分だけ中空管1回りを回動することができる。切り欠き部8の周方向長さは、中空管1の回転に連動して蓋部材が中空管1の開口を閉じる形状から開口を開ける形状をとるのに必要な長さである。
【0013】
蓋部材3は、中空管1の先端に、一対の半割り部材を中空管1の軸中心に対して点対称となるように設置される。すなわち、蓋部材3の半割り部材は、半割り円板状の蓋本体部31と、蓋本体部31の径方向の端部から外側に延びる腕部材33と、腕部材33の上面から上方に立設されるガイド棒部材33からなる。なお、蓋部材3が中空管1に回動自在に取り付けられる軸支位置4は、半割り部材が直線部で互いに当接して円形部材を形成した場合における腕部材33の基端部分であって、且つ蓋本体部31と先端フランジ2が対向する位置である。また、腕部材33の長手方向と蓋本体部31の直線部に沿う方向とで形成される角度は概ね直角である。このような形状の蓋部材3は軸4を中心に、図2中符号X方向に回動すれば、蓋部材3が閉まる状態になり、符号Y方向に回動すれば、蓋部材3が開く状態となる。
【0014】
回動体20は、上記突起25の他、中空管1周りに回動自在に遊嵌する環状部材21と、環状部材21から両外側に延びる左右一対の翼部材22と、翼部材22の長手方向の側面に翼部材22との間に所定の長さのガイド長穴23を形成するように配設されたガイド部材24を備える。本例のガイド部材24は、線材を略L字形状に屈曲させ、一端を環状部材21に、他端を翼部材22に溶接により固定したものである。環状部材21の内径は、環状スペーサー5が付設された中空管1の外径よりやや大きい寸法である。突起25の突出長さは、突起25間で形成される内径が中空管1の外径よりも大きくなる寸法である。また、ガイド長穴23の幅寸法は、ガイド棒部材33の外径よりも大きい寸法である。ガイド長穴23の長さ寸法は、回動体20の回動に連動してガイド棒部材33がガイド長穴23内を移動する際、蓋部材が中空管1の開口を閉じる形状から開口を開ける形状をとる範囲においてガイド棒部材33がガイド長穴23内に位置できる長さである。
【0015】
翼部材22は、ガイド長穴23を形成する部材であると共に、中空管1の回転による地中抵抗体として機能するものである。また、翼部材22の形状が、攪拌羽根形状、すなわち、正回転方向に対して、上面が下り傾斜面となる形状であることが、中空管構造体10を地中に貫入する際、貫入効率が向上する点で好ましい。
【0016】
中空管部材10aと回動体20を組み付ける方法の一例を説明する。図2の中空管部材10aのガイド棒部材33を回動体20のガイド長穴23に挿通し、且つ中空管部材10aの切り欠き部8内に回動体20の突起25が位置するようにセットする。次いで左側半割り部材20aと右半割り部材20bを溶接により一体化する。この際、蓋部材3を符号Xの方向に回転させ、蓋が閉じる状態とした際、回動体20の突起25の位置が切り欠き部8の一方の端部に当接するようにする(図5参照)。この状態から、更に中空管1がZ方向(図8参照)に回転すると、中空管1と回動体20は一体となって、その回転方向に共に回動する。
【0017】
中空管構造体10に、回動体20の翼部材22とは別に、更に攪拌翼(不図示)を付設してもよい。これにより、更に地中への貫入が円滑となると共に、原地盤と地中に置かれた粉末状固化材の攪拌混合工程において使用するのに好適な装置となる。
【0018】
次ぎに、本発明の柱状固化杭の形成方法を図11を参照して説明する。図11は本例の柱状固化杭の形成方法の各工程を説明する簡略図である。図11中、中空管構造体の先端構造は図面簡略化のため記載を省略した。本発明の柱状固化杭の形成方法は、前記中空管構造体の中空管を地中に正回転させながら所定の深度まで貫入する工程(図11(A))、該中空管の地上側の開口から中空管内に粉状の固化材を投入する工程(図11(B))、該中空管を逆回転させながら地表に引き上げると共に、該中空管の先端開口から固化材を地中に置き去りにする工程(図11(C)、(D))、地中攪拌混合装置を地中に貫入して、固化材と現地盤を攪拌混合する工程(図11(E))を行なう。
【0019】
中空管1を地中に貫入する際あるいは貫入直後、中空管構造体10の先端は、図1、5、6及び7に示す構造を採る。すなわち、図1の中空管構造体10において、中空管1を符号Z方向(図中、時計回り方向)に回転させると、蓋部材3の軸支位置4も同様に移動する(図2、図5及び図6参照)。すると軸支位置4とガイド棒部材33の距離は一定であるため、ガイド棒部材33は当該移動に連動して、ガイド部材24にガイドされてガイド長穴23内を中空管1側(内側)へ移動する。これにより、一対の半割り円板状の蓋本体部31は互いの直線部が近接して中空管1の開口を閉じる(図5〜図7)。この状態から、中空管1を更に正回転させると、蓋部材3には地盤の反力が蓋部材3を閉じる方向に作用することになり、開口が開くことはなく、中空管1は所定深度に貫入されるまで、中空内部は実質の容積分を空状態とすることができる(図11(A))。
【0020】
次いで、中空管1の地上側の開口51から中空管1内に粉状の固化材40を投入する工程を行なう(図11(B))。この工程では、中空管1の先端は蓋部材3により閉じた状態にあり、且つ中空管1の内部は空の状態である。粉末状の固化材は、袋詰めされた複数の袋体40として中空管に投入することが、正確な量の固化材を地中に深さ方向に均等に投入できると共に、取り扱いが容易となる点で好ましい。また、袋詰めされた個々の袋体40は、隣接する袋体同士を接続部材で接続し、芋づる状に連結された状態で中空管に投入することが、ビニールなどの袋体容器を地上に回収し易い点で好ましい。すなわち、例えば中空管構造体10の蓋部材3の軸4近傍の直線部に、内側に突出するように爪を形成しておけば、爪が上方に移動する際に個々の袋体40を深度方向に沿って破断していくため、地表に近い袋体40を地上に引き上げるだけで、すべての袋体40を簡易に回収することができる。袋体40を結ぶ接続部材は、糸状又は帯状等の部材であればよい。また、接続部材の強度は、地表に近い袋体40を地上に引き上げた際、全ての接続部材が途中で破断することなく、全ての袋体40が回収できる強度のものであればよい。
【0021】
次いで、中空管1を逆回転させながら地表に引き上げると共に、中空管1の先端開口52から固化材40を地中に置き去りにする工程を行なう。中空管1を逆回転方向(図1中、反時計回り方向)に回転させると、中空管1は円弧状割スペーサー5が回動体20の突起25に当接するまで所定の角度回動する。中空管1の回動により蓋部材3の軸支位置4も同様に移動する。すると軸支位置4とガイド棒部材33の距離は一定であるため、ガイド棒部材33は当該移動に連動して、ガイド部材24にガイドされてガイド長穴23内を中空管1とは反対側(外側)へ移動する。これにより、一対の半割り円板状の蓋本体部31は互いに離間して中空管1の開口を開ける(図2、図8及び図9参照)。この状態から、中空管1を更に同方向に回転させると、蓋部材3には地盤の反力が蓋部材3を開ける方向に作用することになり、開口が閉じることはない。この状態で中空管構造体10を所定の速度で引き上げれば、粉末状固化材を地中に置き去りにすることができる(図11(C)、(D))。
【0022】
袋詰めされた複数の袋体を地中に置き去りにする場合、前述の如く、中空管構造体10の先端部分の何れかに付設された爪により袋体40を破断して、袋体40を地上に回収すると共に、粉末状の固化材の柱状体を地中に残置させておくのが好適である。
【0023】
次いで、地中攪拌混合装置を地中に貫入して、固化材と現地盤を攪拌混合する工程(図11(E))を行なう。当該工程において用いる地中攪拌混合装置50は、前記中空管構造体10であるか、又は中空管構造体10とは別に用意された装置である。第1工程の貫入工程で用いる中空管構造体10は、回動体20の翼部材22を有しており、固化材と現地盤の攪拌混合に用いることができる。また、中空管構造体10に回動体20の翼部材22とは別の攪拌翼を有する場合は、更に本工程における攪拌効率が向上する。中空管構造体10とは別に用意された装置としては、攪拌翼と該攪拌翼を先端に装備して地盤中に貫入及び引き上げが可能なロッドとからなる公知の攪拌装置が挙げられる。
【0024】
地中攪拌混合装置50は、地上より回転しながら貫入され、粉末状の固化材の柱状体と周辺の軟弱土(現地土)を十分に混合する。これにより、固化材と軟弱土は、軟弱土中の含有水分により硬化し、地盤中に改良柱体が形成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本例の蓋部材が閉じた状態の中空管構造体の先端部分の斜視図。
【図2】図1の中空管構造体を構成する中空管部材の先端部分の斜視図。
【図3】図1の中空管構造体を構成する回動体の斜視図。
【図4】本例の蓋部材が開いた状態の中空管構造体の先端部分の斜視図。
【図5】図1の中空管構造体を上から見た図。
【図6】図1の中空管構造体を下から見た図。
【図7】図1の中空管構造体を正面から見た図。
【図8】図4の中空管構造体を上から見た図。
【図9】図4の中空管構造体を下から見た図。
【図10】図4の中空管構造体を正面から見た図。
【図11】本例の柱状固化杭の形成方法の各工程を説明する簡略図。
【符号の説明】
【0026】
1 中空管
2 先端フランジ
3 蓋部材
4 軸(軸支位置)
5 円弧状半割りスペーサー
6 環状の窓部
7 蓋部材収納スペース
8 切り欠き部
10 中空管構造体
20 回動体
21 環状部材
22 翼部材
23 ガイド長穴
24 ガイド部材
25 突起
30 攪拌翼
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式による軟弱地盤の改良工法に用いられる中空管構造体及び柱状固化杭の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤改良工法には液状の固化材を使用する湿式工法と粉末状の固化材を使用する乾式工法がある。湿式工法は、施工現場においてセメント系固化材を液状とするための地上プラントが必要となり、施工費用や作業負担が生じることや、地下への固化材の浸透による地下水を汚染するなどの問題がある。
【0003】
一方、乾式工法は、固化材を粉末状のまま地盤中に圧縮空気等により投入するものであるため、上記湿式工法の問題は解消される。しかし、粉末状の固化材は地盤への混合量を均一に制御することが難しいという問題がある。かかる課題を解決するものとして、特開昭59−96325号公報には、地上から所定の深度に貫入された中空管の内部に、粉末状固化材を所定量収納した袋体を順次充填し、次いで袋体に収納された粉末状固化材だけを地中に残して中空管を引き上げる工法が開示されている。この中空管の先端部の構造は、圧入時には先端の開閉可能な突鋭部が相互に閉じる方法に力を受け、引き上げるときには、袋体の反力によりピンを中心に相互に開いて2つに分割される構造である。
【特許文献1】特開昭59−96325号公報(第3頁右上欄、図1〜図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開昭59−96325号公報の中空管の先端部の蓋部材は、引き上げと同時に固化材の重みでピンを中心に開くものであるが、開く力が弱いため地中の破石やガラスなどの障害物により、蓋部材の開きが妨げられ、袋体が中空管から排出されないという問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、地中に貫入された中空管を、回動のみで中空管先端部の蓋部材を確実に開状態又は閉状態とすることができる中空管構造体及び柱状固化杭の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明は鋭意検討を行った結果、中空管の先端面に一対の半割り円板状の蓋本体部を有する蓋部材を先端の開口面に沿って回動するように取り付け、中空管の先端部に中空管に対して所定の角度内において回動自在であって、一対の翼部材を有する回動体を取り付け、一対の翼部材と蓋部材を特定手段で連動させれば、回動体の回動に連動して蓋部材が中空管の先端の開口の開閉を確実に行なうことができること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、中空管の先端面に一対の半割り円板状の蓋本体部を有する蓋部材を先端の開口面に沿って回動するように取り付け、該中空管の先端部に該中空管に対して所定の角度内において回動自在であって、且つ一対の翼部材を有する回動体を取り付け、該一対の翼部材の長手方向に形成されるガイド長穴に該蓋部材に形成されるガイド棒部材を挿通し、該中空管の回動に連動して該一対の半割り円板状の蓋本体部を回動させ中空管の先端の開口の開閉を行なう中空管構造体を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、前記中空管構造体の中空管を地中に正回転させながら所定の深度まで貫入する工程、該中空管の地上側の開口から中空管内に粉状の固化材を投入する工程、該中空管を逆回転させながら地表に引き上げると共に、該中空管の先端開口から固化材を地中に置き去りにする工程、地中攪拌混合装置を地中に貫入して、固化材と現地盤を攪拌混合する工程を備える柱状固化杭の形成方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の中空管構造体を乾式の軟弱地盤改良工法に用いれば、地中に正回転させながら貫入する際、蓋部材は一対の半割り円板状の蓋本体部が閉じる方向に回動して中空管先端の開口を確実に閉状態とすることができる。この状態から、中空管を正回転させる限り、蓋部材には地盤の反力が蓋部材を閉じる方向に作用することになり、開口が開くことはなく、中空管は所定深度に貫入されるまで、中空内部は実質の容積分を空状態とすることができる。一方、粉末状の固化材が投入された中空管を上方へ引き上げる際、中空管を逆回転させる。この際、蓋部材は一対の半割り円板状の蓋本体部が開く方向に回動して中空管先端の開口を確実に開状態とすることができる。この状態から、中空管を更に同方向に回転させると、蓋部材には地盤の反力が蓋部材を開く方向に作用することになり、開口は閉じることはない。この状態を維持しつつ中空管を引き上げれば、地中の深度方向に対して、粉末状固化材を均等に置くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次ぎに、本発明の実施の形態における中空管構造体を図1〜図10を参照して説明する。図1は本例の蓋部材が閉じた状態の中空管構造体の先端部分の斜視図、図2は図1の中空管構造体を構成する中空管部材の先端部分の斜視図、図3は図1の中空管構造体を構成する回動体の斜視図、図4は本例の蓋部材が開いた状態の中空管構造体の先端部分の斜視図、図5は図1の中空管構造体を上から見た図、図6は図1の中空管構造体を下から見た図、図7は図1の中空管構造体を正面から見た図、図8は図4の中空管構造体を上から見た図、図9は図4の中空管構造体を下から見た図、図10は図4の中空管構造体を正面から見た図をそれぞれ示す。
【0011】
図1の中空管構造体10は、図2の中空管部材10aに図3の回動体20を組み付けたものである。すなわち、中空管部材10aは、中空管1の先端フランジ2と環状の窓部6との間に軸4により一対の半割り円板状の蓋本体部31を有する蓋部材3を取り付けたものである。環状の窓部6はリング状であり、蓋本体部31の出没を許容する空間を有しつつ、中空管1の先端フランジ2に固定されるものである。中空管構造体10は、この中空管部材10aに更に、中空管1の円弧状割スペーサー5の周面部分に対して回動自在に一対の翼部材22を有する回動体20を取り付けたものである。本例の回動体20は、予め左側半割り部材20aと右側半割り部材20bとを製作したものを、中空管側部材10aに組み付けた後は両者を当接部(図3では隙間部分)において溶着したものである。従って、図3を除く図面(組み付け後の図面)における左側半割り部材20aと右側半割り部材20bは接合された一体構造である。なお、回動体20は当初から一体構造として、中空管1の上端側から挿入することで組み付けてもよい。
【0012】
中空管部材10aにおいて、中空管1の先端フランジ2の直上、すなわち、環状部材20が遊嵌する中空管1の周面部分には、所定の周方向長さと径方向長さの一対の切り欠き部8が形成されるように円弧状割りスペーサー5が中空管1に固設されている。組み付け後は、回動体20の環状部材21の内周面に回動体20の中心に向かって延びるように形成される一対の突起25を、切り欠き部8内に位置させる。これにより、回動体20は中空管1に対して所定の角度内において回動することができる。すなわち、回動体20は回動体20側の突起25が切り欠き部8内で周方向に移動する長さ分だけ中空管1回りを回動することができる。切り欠き部8の周方向長さは、中空管1の回転に連動して蓋部材が中空管1の開口を閉じる形状から開口を開ける形状をとるのに必要な長さである。
【0013】
蓋部材3は、中空管1の先端に、一対の半割り部材を中空管1の軸中心に対して点対称となるように設置される。すなわち、蓋部材3の半割り部材は、半割り円板状の蓋本体部31と、蓋本体部31の径方向の端部から外側に延びる腕部材33と、腕部材33の上面から上方に立設されるガイド棒部材33からなる。なお、蓋部材3が中空管1に回動自在に取り付けられる軸支位置4は、半割り部材が直線部で互いに当接して円形部材を形成した場合における腕部材33の基端部分であって、且つ蓋本体部31と先端フランジ2が対向する位置である。また、腕部材33の長手方向と蓋本体部31の直線部に沿う方向とで形成される角度は概ね直角である。このような形状の蓋部材3は軸4を中心に、図2中符号X方向に回動すれば、蓋部材3が閉まる状態になり、符号Y方向に回動すれば、蓋部材3が開く状態となる。
【0014】
回動体20は、上記突起25の他、中空管1周りに回動自在に遊嵌する環状部材21と、環状部材21から両外側に延びる左右一対の翼部材22と、翼部材22の長手方向の側面に翼部材22との間に所定の長さのガイド長穴23を形成するように配設されたガイド部材24を備える。本例のガイド部材24は、線材を略L字形状に屈曲させ、一端を環状部材21に、他端を翼部材22に溶接により固定したものである。環状部材21の内径は、環状スペーサー5が付設された中空管1の外径よりやや大きい寸法である。突起25の突出長さは、突起25間で形成される内径が中空管1の外径よりも大きくなる寸法である。また、ガイド長穴23の幅寸法は、ガイド棒部材33の外径よりも大きい寸法である。ガイド長穴23の長さ寸法は、回動体20の回動に連動してガイド棒部材33がガイド長穴23内を移動する際、蓋部材が中空管1の開口を閉じる形状から開口を開ける形状をとる範囲においてガイド棒部材33がガイド長穴23内に位置できる長さである。
【0015】
翼部材22は、ガイド長穴23を形成する部材であると共に、中空管1の回転による地中抵抗体として機能するものである。また、翼部材22の形状が、攪拌羽根形状、すなわち、正回転方向に対して、上面が下り傾斜面となる形状であることが、中空管構造体10を地中に貫入する際、貫入効率が向上する点で好ましい。
【0016】
中空管部材10aと回動体20を組み付ける方法の一例を説明する。図2の中空管部材10aのガイド棒部材33を回動体20のガイド長穴23に挿通し、且つ中空管部材10aの切り欠き部8内に回動体20の突起25が位置するようにセットする。次いで左側半割り部材20aと右半割り部材20bを溶接により一体化する。この際、蓋部材3を符号Xの方向に回転させ、蓋が閉じる状態とした際、回動体20の突起25の位置が切り欠き部8の一方の端部に当接するようにする(図5参照)。この状態から、更に中空管1がZ方向(図8参照)に回転すると、中空管1と回動体20は一体となって、その回転方向に共に回動する。
【0017】
中空管構造体10に、回動体20の翼部材22とは別に、更に攪拌翼(不図示)を付設してもよい。これにより、更に地中への貫入が円滑となると共に、原地盤と地中に置かれた粉末状固化材の攪拌混合工程において使用するのに好適な装置となる。
【0018】
次ぎに、本発明の柱状固化杭の形成方法を図11を参照して説明する。図11は本例の柱状固化杭の形成方法の各工程を説明する簡略図である。図11中、中空管構造体の先端構造は図面簡略化のため記載を省略した。本発明の柱状固化杭の形成方法は、前記中空管構造体の中空管を地中に正回転させながら所定の深度まで貫入する工程(図11(A))、該中空管の地上側の開口から中空管内に粉状の固化材を投入する工程(図11(B))、該中空管を逆回転させながら地表に引き上げると共に、該中空管の先端開口から固化材を地中に置き去りにする工程(図11(C)、(D))、地中攪拌混合装置を地中に貫入して、固化材と現地盤を攪拌混合する工程(図11(E))を行なう。
【0019】
中空管1を地中に貫入する際あるいは貫入直後、中空管構造体10の先端は、図1、5、6及び7に示す構造を採る。すなわち、図1の中空管構造体10において、中空管1を符号Z方向(図中、時計回り方向)に回転させると、蓋部材3の軸支位置4も同様に移動する(図2、図5及び図6参照)。すると軸支位置4とガイド棒部材33の距離は一定であるため、ガイド棒部材33は当該移動に連動して、ガイド部材24にガイドされてガイド長穴23内を中空管1側(内側)へ移動する。これにより、一対の半割り円板状の蓋本体部31は互いの直線部が近接して中空管1の開口を閉じる(図5〜図7)。この状態から、中空管1を更に正回転させると、蓋部材3には地盤の反力が蓋部材3を閉じる方向に作用することになり、開口が開くことはなく、中空管1は所定深度に貫入されるまで、中空内部は実質の容積分を空状態とすることができる(図11(A))。
【0020】
次いで、中空管1の地上側の開口51から中空管1内に粉状の固化材40を投入する工程を行なう(図11(B))。この工程では、中空管1の先端は蓋部材3により閉じた状態にあり、且つ中空管1の内部は空の状態である。粉末状の固化材は、袋詰めされた複数の袋体40として中空管に投入することが、正確な量の固化材を地中に深さ方向に均等に投入できると共に、取り扱いが容易となる点で好ましい。また、袋詰めされた個々の袋体40は、隣接する袋体同士を接続部材で接続し、芋づる状に連結された状態で中空管に投入することが、ビニールなどの袋体容器を地上に回収し易い点で好ましい。すなわち、例えば中空管構造体10の蓋部材3の軸4近傍の直線部に、内側に突出するように爪を形成しておけば、爪が上方に移動する際に個々の袋体40を深度方向に沿って破断していくため、地表に近い袋体40を地上に引き上げるだけで、すべての袋体40を簡易に回収することができる。袋体40を結ぶ接続部材は、糸状又は帯状等の部材であればよい。また、接続部材の強度は、地表に近い袋体40を地上に引き上げた際、全ての接続部材が途中で破断することなく、全ての袋体40が回収できる強度のものであればよい。
【0021】
次いで、中空管1を逆回転させながら地表に引き上げると共に、中空管1の先端開口52から固化材40を地中に置き去りにする工程を行なう。中空管1を逆回転方向(図1中、反時計回り方向)に回転させると、中空管1は円弧状割スペーサー5が回動体20の突起25に当接するまで所定の角度回動する。中空管1の回動により蓋部材3の軸支位置4も同様に移動する。すると軸支位置4とガイド棒部材33の距離は一定であるため、ガイド棒部材33は当該移動に連動して、ガイド部材24にガイドされてガイド長穴23内を中空管1とは反対側(外側)へ移動する。これにより、一対の半割り円板状の蓋本体部31は互いに離間して中空管1の開口を開ける(図2、図8及び図9参照)。この状態から、中空管1を更に同方向に回転させると、蓋部材3には地盤の反力が蓋部材3を開ける方向に作用することになり、開口が閉じることはない。この状態で中空管構造体10を所定の速度で引き上げれば、粉末状固化材を地中に置き去りにすることができる(図11(C)、(D))。
【0022】
袋詰めされた複数の袋体を地中に置き去りにする場合、前述の如く、中空管構造体10の先端部分の何れかに付設された爪により袋体40を破断して、袋体40を地上に回収すると共に、粉末状の固化材の柱状体を地中に残置させておくのが好適である。
【0023】
次いで、地中攪拌混合装置を地中に貫入して、固化材と現地盤を攪拌混合する工程(図11(E))を行なう。当該工程において用いる地中攪拌混合装置50は、前記中空管構造体10であるか、又は中空管構造体10とは別に用意された装置である。第1工程の貫入工程で用いる中空管構造体10は、回動体20の翼部材22を有しており、固化材と現地盤の攪拌混合に用いることができる。また、中空管構造体10に回動体20の翼部材22とは別の攪拌翼を有する場合は、更に本工程における攪拌効率が向上する。中空管構造体10とは別に用意された装置としては、攪拌翼と該攪拌翼を先端に装備して地盤中に貫入及び引き上げが可能なロッドとからなる公知の攪拌装置が挙げられる。
【0024】
地中攪拌混合装置50は、地上より回転しながら貫入され、粉末状の固化材の柱状体と周辺の軟弱土(現地土)を十分に混合する。これにより、固化材と軟弱土は、軟弱土中の含有水分により硬化し、地盤中に改良柱体が形成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本例の蓋部材が閉じた状態の中空管構造体の先端部分の斜視図。
【図2】図1の中空管構造体を構成する中空管部材の先端部分の斜視図。
【図3】図1の中空管構造体を構成する回動体の斜視図。
【図4】本例の蓋部材が開いた状態の中空管構造体の先端部分の斜視図。
【図5】図1の中空管構造体を上から見た図。
【図6】図1の中空管構造体を下から見た図。
【図7】図1の中空管構造体を正面から見た図。
【図8】図4の中空管構造体を上から見た図。
【図9】図4の中空管構造体を下から見た図。
【図10】図4の中空管構造体を正面から見た図。
【図11】本例の柱状固化杭の形成方法の各工程を説明する簡略図。
【符号の説明】
【0026】
1 中空管
2 先端フランジ
3 蓋部材
4 軸(軸支位置)
5 円弧状半割りスペーサー
6 環状の窓部
7 蓋部材収納スペース
8 切り欠き部
10 中空管構造体
20 回動体
21 環状部材
22 翼部材
23 ガイド長穴
24 ガイド部材
25 突起
30 攪拌翼
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空管の先端面に一対の半割り円板状の蓋本体部を有する蓋部材を先端の開口面に沿って回動するように取り付け、
該中空管の先端部に該中空管に対して所定の角度内において回動自在であって、且つ一対の翼部材を有する回動体を取り付け、
該一対の翼部材の長手方向に形成されるガイド長穴に該蓋部材に形成されるガイド棒部材を挿通し、該中空管の回動に連動して該一対の半割り円板状の蓋本体部を回動させ中空管の先端の開口の開閉を行なうことを特徴とする中空管構造体。
【請求項2】
前記回動体は、該中空管周りに所定の角度内において回動自在に遊嵌する環状部材と、該環状部材から外側に延びる一対の翼部材と、該翼部材の長手方向の側面に該翼部材との間に所定の長さの該ガイド長穴を形成するガイド部材を備えるものであることを特徴とする請求項1記載の中空管構造体。
【請求項3】
前記ガイド棒部材は、一対の半割り円板状の蓋本体部から外側に延びる腕部材から上方に立設されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の中空管構造体。
【請求項4】
前記中空管に対する回動体の所定角度内における回動は、環状部材が遊嵌する中空管の周面の両側に、所定の周方向長さと径方向長さの切り欠き部が形成されるように円弧状割りスペーサーを取り付け、該回動体の環状部材の内周面に該回動体の中心に向かって延びるように形成される突起を、該切り欠き部内に位置させることで行うことを特徴とする請求項2又は3記載の中空管構造体。
【請求項5】
該中空管が地中に正回転で貫入される場合、該半割り円板状の直線部の端面が互いに当接し略円板形状を形成して先端の開口を塞ぎ、該中空管が逆回転で引き抜かれる場合、半割り円板状の蓋本体部が互いに離間して、該中空管の先端開口を開けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の中空管構造体。
【請求項6】
前記中空管には、更に攪拌翼が付設されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の中空管構造体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の中空管構造体の中空管を地中に正回転させながら所定の深度まで貫入する工程、該中空管の地上側の開口から中空管内に粉状の固化材を投入する工程、該中空管を逆回転させながら地表に引き上げると共に、該中空管の先端開口から固化材を地中に置き去りにする工程、地中攪拌混合装置を地中に貫入して、固化材と現地盤を攪拌混合する工程を行うことを特徴とする柱状固化杭の形成方法。
【請求項8】
前記粉末状の固化材は、袋詰めされた複数の袋体として中空管に投入されることを特徴とする請求項7記載の柱状固化杭の形成方法。
【請求項9】
袋詰めされた個々の袋体は、隣接する袋体同士を接続部材で接続し、芋づる状に連結された状態で中空管に投入されることを特徴とする請求項8記載の柱状固化杭の形成方法。
【請求項10】
前記地中攪拌混合装置は、当該中空管構造体であるか、又は当該中空管構造体とは別に用意された装置であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項記載の柱状固化杭の形成方法。
【請求項1】
中空管の先端面に一対の半割り円板状の蓋本体部を有する蓋部材を先端の開口面に沿って回動するように取り付け、
該中空管の先端部に該中空管に対して所定の角度内において回動自在であって、且つ一対の翼部材を有する回動体を取り付け、
該一対の翼部材の長手方向に形成されるガイド長穴に該蓋部材に形成されるガイド棒部材を挿通し、該中空管の回動に連動して該一対の半割り円板状の蓋本体部を回動させ中空管の先端の開口の開閉を行なうことを特徴とする中空管構造体。
【請求項2】
前記回動体は、該中空管周りに所定の角度内において回動自在に遊嵌する環状部材と、該環状部材から外側に延びる一対の翼部材と、該翼部材の長手方向の側面に該翼部材との間に所定の長さの該ガイド長穴を形成するガイド部材を備えるものであることを特徴とする請求項1記載の中空管構造体。
【請求項3】
前記ガイド棒部材は、一対の半割り円板状の蓋本体部から外側に延びる腕部材から上方に立設されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の中空管構造体。
【請求項4】
前記中空管に対する回動体の所定角度内における回動は、環状部材が遊嵌する中空管の周面の両側に、所定の周方向長さと径方向長さの切り欠き部が形成されるように円弧状割りスペーサーを取り付け、該回動体の環状部材の内周面に該回動体の中心に向かって延びるように形成される突起を、該切り欠き部内に位置させることで行うことを特徴とする請求項2又は3記載の中空管構造体。
【請求項5】
該中空管が地中に正回転で貫入される場合、該半割り円板状の直線部の端面が互いに当接し略円板形状を形成して先端の開口を塞ぎ、該中空管が逆回転で引き抜かれる場合、半割り円板状の蓋本体部が互いに離間して、該中空管の先端開口を開けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の中空管構造体。
【請求項6】
前記中空管には、更に攪拌翼が付設されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の中空管構造体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の中空管構造体の中空管を地中に正回転させながら所定の深度まで貫入する工程、該中空管の地上側の開口から中空管内に粉状の固化材を投入する工程、該中空管を逆回転させながら地表に引き上げると共に、該中空管の先端開口から固化材を地中に置き去りにする工程、地中攪拌混合装置を地中に貫入して、固化材と現地盤を攪拌混合する工程を行うことを特徴とする柱状固化杭の形成方法。
【請求項8】
前記粉末状の固化材は、袋詰めされた複数の袋体として中空管に投入されることを特徴とする請求項7記載の柱状固化杭の形成方法。
【請求項9】
袋詰めされた個々の袋体は、隣接する袋体同士を接続部材で接続し、芋づる状に連結された状態で中空管に投入されることを特徴とする請求項8記載の柱状固化杭の形成方法。
【請求項10】
前記地中攪拌混合装置は、当該中空管構造体であるか、又は当該中空管構造体とは別に用意された装置であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項記載の柱状固化杭の形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−45332(P2008−45332A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221761(P2006−221761)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【出願人】(502231096)株式会社サムシング (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【出願人】(502231096)株式会社サムシング (3)
【Fターム(参考)】
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