説明

中継サーバ及び中継通信システム

【課題】中継通信システムにおいて、限られたオペレータにだけ作業を許可してセキュリティを十分に確保しつつ、オペレータに多様なログイン形態を提供する。
【解決手段】中継通信システム1は、センター端末5、接続側の端末、及び被接続側の端末を含んで構成される。オペレータの入力により中継通信システム1にログイン可能となるIDには、各オペレータに一意のオペレータID(Op1〜Op4)と、それとは別のゲストID(Guest)と、が含まれている。センター端末5は、被接続側の端末(例えば、第1被保守端末7A)と、当該端末に対して接続を許可され得る候補(接続候補)を表すオペレータID又はゲストIDと、を対応付けた接続ジョブを作成する。オペレータは、接続側の端末(例えば、第1保守端末9A)からオペレータID又はゲストIDでログインすると、そのIDが接続候補となっている接続ジョブについて作業が許可される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、異なるLAN(Local Area Network)に接続されている端末間の通信を可能とする中継サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、仮想プライベートネットワーク(Virtual Private Network,VPN)と呼ばれる通信技術が知られている。このVPNは、例えば、地域ごとに設けられた複数の拠点のLANに接続された端末同士でインターネットを介して通信する用途に用いられている。前記VPNを利用すれば、遠隔地にある他のLANを、あたかも直接接続されているネットワークであるかのように使用することができる。VPNは、例えば、他の拠点に設けられた端末を遠隔保守する用途に用いられる。保守対象の端末は、遠隔地にある他のLANに接続された機器からリモートメンテナンス等を受けることができる。
【0003】
特許文献1は、この種のネットワークを介した管理システムを開示する。この管理システムは、ビルオーナ、設備保守会社、及び電気設備メーカーに跨る形で構築されている。ビルオーナは、自身が保有するビルに、電気設備及びこれを制御するための運転制御管理装置を設置している。この運転制御管理装置は、インターネット等のネットワークを介してアクセス可能に構成されている。設備保守会社は、ビルオーナから電気設備の管理を委託され、運転制御管理装置にアクセスする許可を電気設備メーカーから得ている。従って、設備保守会社は、インターネット等のネットワークを介して遠隔地から電気設備を管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−223521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のシステムにおいては、遠隔保守の作業者(オペレータ)は自身を一意に識別するIDを事前に割り当てられ、そのIDを用いてシステムにログインして作業を行うことが一般的である。この方法は、ログインの権限を適切に管理し、また、誰がシステムにログインして作業を行ったかを追跡するのに有利であると考えられる。
【0006】
一方で、上記のシステムにおいて、例えば通常でない状況の場合、同一のオペレータがログインする場合であっても平時のIDではなく他のIDを使用できると、通常時の作業と明確に区別できる等の点で有用な場合がある。しかしながら、従来の構成では、限られた者にだけログインを許可することでセキュリティを確保しつつ、上記のようなIDの柔軟な取扱いを実現することが困難であった。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、作業を行う対象に応じて限られたオペレータにだけ作業を許可してセキュリティを十分に確保しつつ、必要に応じて多様なログイン形態での作業をオペレータに提供できる中継サーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の管理機能付き中継サーバが提供される。即ち、この管理機能付き中継サーバは、オペレータリスト格納部と、ログイン認証部と、接続ジョブ作成部と、候補ジョブリスト送信部と、実行判断部と、を備える。前記オペレータリスト格納部は、自身及び他の中継サーバを含んで構成される中継通信システムにログイン可能なオペレータの一覧を格納する。前記ログイン認証部は、オペレータのログインの可否を、少なくとも、当該オペレータが入力したIDと、前記オペレータリスト格納部の内容と、に基づいて判断する。前記接続ジョブ作成部は、被接続側の中継サーバと、当該被接続側の中継サーバに対して接続を許可され得る候補である接続候補となる前記IDと、を対応付けた接続ジョブを作成する。前記候補ジョブリスト送信部は、接続側の中継サーバからの要求に応じて、当該接続側の中継サーバを介してログイン中のオペレータが入力した前記IDが接続候補として設定された前記接続ジョブの一覧である候補ジョブリストを、当該接続側の中継サーバに送信する。前記実行判断部は、前記オペレータが前記候補ジョブリストから接続ジョブを選択した場合に、前記接続側の中継サーバからの問合せに応じて、当該接続側の中継サーバと前記被接続側の中継サーバとの間でルーティングセッションを確立して当該接続ジョブを実行することの可否を判断する。オペレータが入力することで前記中継通信システムにログイン可能となるIDには、各オペレータに一意に割り当てられたオペレータIDと、前記オペレータIDとは別に設定された別設定IDと、が含まれている。前記接続ジョブ作成部は、被接続側の中継サーバと前記別設定IDとを対応付けた接続ジョブを作成することが可能に構成されている。
【0010】
これにより、オペレータがオペレータID又は別設定IDを用いて接続側の中継サーバから中継通信システムにログインすると、当該IDが接続候補となっている接続ジョブのリストが表示され、これから接続ジョブを選択することで、対応する被接続側の中継サーバと接続してルーティングセッションを確立し、所定の作業を行うことができる。従って、オペレータは、自身に許可されたアクセス権限を逸脱することなく、ログインから実際の作業までをスムーズに行うことができる。また、作業の対象に応じて予め定めたオペレータにだけ当該作業を許可してセキュリティを十分に確保しつつ、必要に応じて多様なログイン形態での作業をオペレータに提供することができる。
【0011】
前記の管理機能付き中継サーバにおいては、前記オペレータのうち前記別設定IDを使用して前記中継通信システムにログイン可能なオペレータの一覧を格納する特別オペレータリスト格納部を備えることが好ましい。
【0012】
これにより、別設定IDを使用できるオペレータを特別オペレータリスト格納部で管理できるので、強固なセキュリティを実現できる。
【0013】
前記の管理機能付き中継サーバにおいては、前記オペレータリスト格納部は、前記別設定IDと、当該別設定IDを使用可能なオペレータと、を対応付けて格納可能に構成されていることが好ましい。
【0014】
これにより、別設定IDを特定のオペレータに明確に結び付けることで、アクセス権限を確実に管理することができる。
【0015】
前記の管理機能付き中継サーバにおいては、前記別設定IDが設定されたオペレータが前記オペレータIDを使用して前記中継通信システムにログインした場合に、当該別設定IDが設定されている旨を当該オペレータに通知できることが好ましい。
【0016】
これにより、特定のオペレータに別設定IDが設定された際に、その旨を当該オペレータに連絡する作業を省略できるので、スムーズな運用が可能になる。
【0017】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の接続側の中継サーバが提供される。即ち、この接続側の中継サーバは、管理先情報格納部と、選択ジョブ通知部と、ルーティングセッション確立部と、ルーティング制御部と、を備える。前記管理先情報格納部は、自身及び他の中継サーバを含んで構成される中継通信システムにログインするためにオペレータが入力を要求されるIDと、接続を許可され得る候補である接続候補として当該IDが設定された被接続側の中継サーバと、を対応付けた接続ジョブの格納先である管理機能付き中継サーバの識別情報を格納する。前記選択ジョブ通知部は、自身を介してログイン中のオペレータが入力したIDが接続候補として設定されている前記接続ジョブの一覧である候補ジョブリストを前記管理機能付き中継サーバから受信した後に、当該候補ジョブリストの中から選択された前記接続ジョブを前記管理機能付き中継サーバに通知する。前記ルーティングセッション確立部は、選択された前記接続ジョブの実行を許可する旨を受信した場合に、当該接続ジョブが示す被接続側の中継サーバとの間に、パケットのルーティングに用いられるルーティングセッションを確立する。前記ルーティング制御部は、前記ルーティングセッションに基づいて、ルーティング制御を行う。オペレータが入力することで前記中継通信システムにログイン可能となるIDには、各オペレータに一意に割り当てられたオペレータIDと、前記オペレータIDとは別に設定された別設定IDと、が含まれている。
【0018】
これにより、オペレータがオペレータID又は別設定IDを用いて接続側の中継サーバから中継通信システムにログインすると、当該IDが接続候補となっている接続ジョブのリストが表示され、これから接続ジョブを選択することで、対応する被接続側の中継サーバと接続してルーティングセッションを確立し、所定の作業を行うことができる。従って、オペレータは、自身に許可されたアクセス権限を逸脱することなく、ログインから実際の作業までをスムーズに行うことができる。また、作業の対象に応じて予め定めたオペレータにだけ当該作業を許可してセキュリティを十分に確保しつつ、必要に応じて多様なログイン形態での作業をオペレータに提供することができる。
【0019】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成の中継通信システムが提供される。即ち、この中継通信システムは、管理機能付き中継サーバと、接続側の中継サーバと、被接続側の中継サーバと、を含んで構成される。前記接続側の中継サーバ及び前記被接続側の中継サーバは、前記管理機能付き中継サーバと通信可能である。前記管理機能付き中継サーバは、オペレータリスト格納部と、ログイン認証部と、接続ジョブ作成部と、候補ジョブリスト送信部と、実行判断部と、を備える。前記オペレータリスト格納部は、前記中継通信システムにログイン可能なオペレータの一覧を格納する。前記ログイン認証部は、少なくとも、オペレータのログインの可否を、当該オペレータが入力したIDと、前記オペレータリスト格納部の内容と、に基づいて判断する。前記接続ジョブ作成部は、被接続側の中継サーバと、当該被接続側の中継サーバに対して接続を許可され得る候補である接続候補となる前記IDと、を対応付けた接続ジョブを作成する。前記候補ジョブリスト送信部は、接続側の中継サーバからの要求に応じて、当該接続側の中継サーバを介してログイン中のオペレータが入力した前記IDが接続候補として設定された前記接続ジョブの一覧である候補ジョブリストを、当該接続側の中継サーバに送信する。前記実行判断部は、前記オペレータが前記候補ジョブリストから接続ジョブを選択した場合に、前記接続側の中継サーバからの問合せに応じて、当該接続側の中継サーバと前記被接続側の中継サーバとの間でルーティングセッションを確立して当該接続ジョブを実行することの可否を判断する。オペレータが入力することで前記中継通信システムにログイン可能となるIDには、各オペレータに一意に割り当てられたオペレータIDと、前記オペレータIDとは別に設定された別設定IDと、が含まれる。前記接続ジョブ作成部は、被接続側の中継サーバと前記別設定IDとを対応付けた接続ジョブを作成することが可能に構成されている。前記接続側の中継サーバは、管理先情報格納部と、選択ジョブ通知部と、ルーティングセッション確立部と、ルーティング制御部と、を備える。前記管理先情報格納部は、前記管理機能付き中継サーバの識別情報を格納する。前記選択ジョブ通知部は、自身を介してログイン中のオペレータが入力したIDが接続候補として設定されている前記接続ジョブの一覧である候補ジョブリストを前記管理機能付き中継サーバから受信した後に、当該候補ジョブリストの中から選択された前記接続ジョブを前記管理機能付き中継サーバに通知する。前記ルーティングセッション確立部は、選択された前記接続ジョブの実行を許可する旨を受信した場合に、当該接続ジョブが示す被接続側の中継サーバとの間に、パケットのルーティングに用いられるルーティングセッションを確立する。前記ルーティング制御部は、前記ルーティングセッションに基づいて、ルーティング制御を行う。
【0020】
これにより、オペレータがオペレータID又は別設定IDを用いて接続側の中継サーバから中継通信システムにログインすると、当該IDが接続候補となっている接続ジョブのリストが表示され、これから接続ジョブを選択することで、対応する被接続側の中継サーバと接続してルーティングセッションを確立し、所定の作業を行うことができる。従って、オペレータは、自身に許可されたアクセス権限を逸脱することなく、ログインから実際の作業までをスムーズに行うことができる。また、作業の対象に応じて予め定めたオペレータにだけ当該作業を許可してセキュリティを十分に確保しつつ、必要に応じて多様なログイン形態での作業をオペレータに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る中継通信システムの全体構成を示す説明図。
【図2】センター端末の構成を示す機能ブロック図。
【図3】オペレータリストの内容を示す図。
【図4】保守端末リストの内容を示す図。
【図5】被保守端末リストの内容を示す図。
【図6】接続ジョブリストの内容を示す図。
【図7】第1保守端末の構成を示す機能ブロック図。
【図8】第2被保守端末の構成を示す機能ブロック図。
【図9】接続ジョブが作成されるときの処理の流れを示すシーケンス図。
【図10】オペレータによる中継通信システムへのログイン時に行われる処理の流れを示すシーケンス図。
【図11】オペレータによる接続ジョブの選択時に行われる処理の流れを示すシーケンス図。
【図12】保守作業の終了後に行われる処理の流れを示すシーケンス図。
【図13】ゲストリストの内容を示す図。
【図14】ゲストIDが記述された状態のオペレータリストを示す図。
【図15】ゲストIDを接続候補とするジョブリストが記述された接続ジョブリストを示す図。
【図16】ゲストIDを登録した上で、当該ゲストIDに対する接続ジョブが作成されるときの処理を示すシーケンス図。
【図17】オペレータがゲストIDを用いて中継通信システムへログインする場合の処理を示すシーケンス図。
【図18】ゲストIDで認証されたオペレータが接続ジョブを選択して保守作業を行う際の処理を示すシーケンス図。
【図19】保守作業の終了後に行われる処理を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る中継通信システム1の全体構成を示す説明図である。
【0023】
図1に示すように、中継通信システム1は、インターネット等のWide Area Network(WAN、広域通信網)3を介して接続された複数の中継サーバと、これらの中継サーバにLANを介して接続されるクライアント端末と、で構成されている。中継サーバは、他の中継サーバ及び他の中継サーバに接続されるクライアント端末と通信可能である。クライアント端末は、LANで接続された中継サーバを介して、他の中継サーバ及び他の中継サーバに接続されるクライアント端末と通信可能である。
【0024】
本実施形態では、この中継通信システム1を用いて、遠隔保守及びその管理が行われている。中継通信システム1において、前記中継サーバとして機能する端末は、センター端末5、第1被保守端末7A、第2被保守端末7B、第1保守端末9A、及び、第2保守端末9Bである。
【0025】
センター端末5は、コールセンターに設けられている。コールセンターとは、保守対象の機器の所有者からの問い合わせに対応するオペレータが在籍する拠点である。また、センター端末5は、保守端末(又は保守を行うオペレータ)の被保守端末に対するアクセス権を管理している。センター端末5には、前記クライアント端末としてのセンター端末操作端末11がLAN13を介して接続されている。なお、センター端末5のIDは、「Center@relaysystem.net」である。
【0026】
第1被保守端末7Aは、遠隔保守の対象となる機器の設置先に設けられている。第1被保守端末7Aには、LAN17を介して、前記クライアント端末としての第1被保守対象システム15A及び第2被保守対象システム15Bが接続されている。第1被保守対象システム15A及び第2被保守対象システム15Bは、遠隔保守の対象となるファイルサーバ又はWebサーバ等である。なお、第1被保守端末7AのIDは、「Target1@relaysystem.net」である。
【0027】
第2被保守端末7Bは、遠隔保守の対象となる機器の設置先に設けられている。第2被保守端末7Bには、LAN21を介して、前記クライアント端末としての第3被保守対象システム19A及び第4被保守対象システム19Bが接続されている。第3被保守対象システム19A及び第4被保守対象システム19Bは、遠隔保守の対象となるファイルサーバ又はWebサーバ等である。なお、第2被保守端末7BのIDは、「Target2@relaysystem.net」である。
【0028】
第1保守端末9Aは、遠隔保守を行うオペレータが在籍する保守拠点に設けられている。第1保守端末9Aには、LAN25を介して、前記クライアント端末としての第1保守操作端末23A及び第2保守操作端末23Bが接続されている。なお、第1保守端末9AのIDは、「Maintenance2@relaysystem.net」である。
【0029】
第2保守端末9Bは、遠隔保守を行うオペレータが在籍する保守拠点に設けられている。第2保守端末9Bには、LAN29を介して、前記クライアント端末としての第3保守操作端末27A及び第4保守操作端末27Bが接続されている。なお、第2保守端末9BのIDは、「Maintenance1@relaysystem.net」である。
【0030】
保守拠点に在籍するオペレータが保守作業を行うためには、中継通信システム1にログインすることが必要である。オペレータは、保守操作端末を操作してID及びパスワードを入力することにより、中継通信システム1にログインすることができる。本実施形態の中継通信システム1では、オペレータは特定の保守操作端末に結び付けられておらず、何れの保守操作端末を使用した場合であっても中継通信システム1にログインすることができる。オペレータは、中継通信システム1へのログイン後に、前記保守操作端末を使用して、前記センター端末5が管理するアクセス権の範囲で、前記保守対象システムの遠隔保守を行う。
【0031】
次に、図2から図6までを参照して、センター端末5の構成を説明する。図2は、センター端末5の構成を示す機能ブロック図である。図3から図6までは、センター端末5のデータベース格納部33に保存された内容を示す図である。
【0032】
図2に示すように、センター端末5は、インタフェース35と、データベース格納部33と、制御部31と、を備える。
【0033】
インタフェース35は、プライベートIPアドレスを利用して、LAN13に接続される機器と通信を行うことができる。また、インタフェース35は、グローバルIPアドレスを利用して、WAN3を介した通信を行うことができる。
【0034】
データベース格納部33は、オペレータリスト格納部53と、ゲストリスト格納部(特別オペレータリスト格納部)54と、保守端末リスト格納部55と、被保守端末リスト格納部57と、接続ジョブリスト格納部59と、を備えている。
【0035】
オペレータリスト格納部53には、例えば図3(a)に示すオペレータリスト53aが保存されている。オペレータリスト53aは、図3(a)に示すように、「ID」、「パスワード」、及び「ログイン中継サーバ」で構成されている。「ID」の列には、中継通信システム1にログイン可能なオペレータのIDが記述されている。「パスワード」の列には、同じ行に記述されたIDを使用して中継通信システム1にログインするために必要なパスワードが記述されている。「ログイン中継サーバ」の列には、同じ行に記述されたIDを使用してオペレータが中継通信システム1にログイン済みである場合に、オペレータのIDと、当該オペレータが使用している中継サーバ(センター端末又は保守端末)のIDと、が記述される。なお、オペレータが中継通信システム1にログイン済みでない場合は、「ログイン中継サーバ」は空欄となる。
【0036】
図3(a)の例からは、オペレータリストにオペレータOp1〜Op4が登録されており、例えば第1オペレータOp1は、IDとして「Op1」という文字列を入力し、パスワードとして「abc」を入力することにより、中継通信システム1にログインできることが分かる。また、図3(a)からは、第2オペレータOp2がセンター端末5を使用し、第3オペレータOp3が第2保守端末9Bを使用してログインしている一方、第1オペレータOp1及び第4オペレータOp4が中継通信システム1にログインしていないことが分かる。
【0037】
ゲストリスト格納部54には、後述のゲストIDを用いてシステムにログイン可能な特別なオペレータの一覧が格納されており、詳細は後述する。
【0038】
保守端末リスト格納部55には、図4に示す保守端末リスト55aが保存されている。保守端末リスト55aは、中継通信システム1を構成する保守端末について記述された、「名称」及び「端末ID」から構成されている。「名称」には、保守端末に付与された名称が記述されている。この名称には、保守端末の設置場所(保守拠点の名称)等、分かり易い適宜の名称を付与することができる。「端末ID」には、保守端末のIDが記述されている。
【0039】
被保守端末リスト格納部57には、図5に示す被保守端末リスト57aが保存されている。被保守端末リスト57aには、中継通信システム1を構成する被保守端末について記述された、「名称」及び「端末ID」から構成されている。「名称」には、被保守端末に付与された名称が記述されている。この名称としては、被保守端末の設置場所(会社名)等、分かり易い適宜の名称を付与することができる。「端末ID」には、被保守端末のIDが記述されている。
【0040】
接続ジョブリスト格納部59には、接続ジョブに関する情報が保存されている。接続ジョブとは、保守作業の作業単位を示しており、被保守対象システムに対して保守作業が必要になる度にセンター端末5によって作成され、接続ジョブリスト格納部59に保存される。接続ジョブリスト格納部59は、1又は複数の接続ジョブで構成される接続ジョブリスト59aを保存している。接続ジョブリスト59aは、図6(a)に示すように各接続ジョブについて記述された、「被保守端末ID」、「接続候補ID」、及び「ジョブ情報」から構成されている。「被保守端末ID」には、保守作業が必要な被保守対象システムと同じLANに接続される被保守端末のIDが記述されている。「接続候補ID」には、被保守端末への接続が許可され得る候補(接続候補)として設定されたIDが記述されている。なお、「接続候補ID」には、1又は複数のオペレータのIDを記述できるほか、後述のゲストIDを記述することもできる。「ジョブ情報」には、現在の接続ジョブの状態(例えば接続ジョブがどのオペレータによって実行されているか等)が記述されている。なお、接続ジョブは、保守作業の完了に伴って接続ジョブリスト59aから削除される。
【0041】
図6(a)の例からは、第2被保守端末7Bについて第1接続ジョブが作成されており、接続候補として、第1オペレータOp1及び第3オペレータOp3のIDが設定されていることが分かる。図6(b)の例からは、前記第1接続ジョブに加え、第1被保守端末7Aについて第2接続ジョブが作成されており、接続候補として、第1オペレータOp1のIDが設定されていることが分かる。図6(c)の例からは、第1オペレータOp1が第2接続ジョブを実行中であることが分かる。
【0042】
なお、データベース格納部33は、図略のログ情報格納部を備えており、接続ジョブが行われた時間及び担当したオペレータ等の情報が格納されている。
【0043】
制御部31は、CPU、RAM、ROM等を含んでおり、ROM等から読み出したプログラムにより各種の処理を実行可能である。図2に示すように、制御部31は、ログイン認証部43と、接続ジョブ作成部45と、実行判断部47と、接続ジョブリスト管理部49と、候補ジョブリスト送信部51と、許可情報送信部52と、を備えている。
【0044】
接続ジョブ作成部45は、被保守対象システムに障害が発生した旨の通知を被保守端末から受けた場合等に前記接続ジョブを作成する。接続ジョブリスト管理部49は、前記接続ジョブリスト格納部59に保存された接続ジョブリスト59aの管理を行う。具体的には、接続ジョブ作成部45が作成した接続ジョブを接続ジョブリスト59aに登録したり、接続ジョブリスト59aのジョブ情報を更新したり、接続ジョブリスト59aから接続ジョブを削除したりする。
【0045】
ログイン認証部43は、オペレータリスト53aと、保守端末等から受信したID及びパスワードと、を照合して、オペレータのログインの可否を判断する。また、ログイン認証部43は、オペレータが入力したID等を送信した保守端末のIDが保守端末リスト55aに含まれているか否かに基づいて、ログインの可否を判断する。
【0046】
候補ジョブリスト送信部51は、保守を行うオペレータからの要求等に応じて、当該オペレータが接続候補となっている接続ジョブの一覧(候補ジョブリスト)を接続ジョブリスト59aから抽出し、保守端末を介して保守操作端末に送信する。オペレータは、候補ジョブリストの中から、実行を希望する接続ジョブを選択して、保守端末を介してセンター端末5に通知する。実行判断部47は、オペレータから通知された接続ジョブのジョブ情報を接続ジョブリスト59aから読み出し、このジョブ情報に基づいて(例えば当該接続ジョブを既に実行している他のオペレータがいるか否か等に基づいて)、接続ジョブの実行を許可するか否かを判断する。許可情報送信部52は、実行判断部47の判断結果(接続ジョブの実行を許可するか否か)を、保守端末を介して保守操作端末に送信することでオペレータに通知する。
【0047】
次に、図7を参照して、保守端末の構成を説明する。図7は、第1保守端末9Aの構成を示す機能ブロック図である。なお、第1保守端末9Aと第2保守端末9Bの構成は同様であるので、代表して、第1保守端末9Aの構成を説明する。第1保守端末9Aは、図7に示すように、インタフェース65と、制御部61と、データベース格納部63と、を備えている。
【0048】
インタフェース65は、プライベートIPアドレスを利用して、LAN25に接続される機器と通信を行うことができる。また、インタフェース65は、グローバルIPアドレスを利用して、WAN3を介した通信を行うことができる。
【0049】
制御部61は、CPU、RAM、ROM等を含んでおり、ROM等から読み出したプログラムにより各種の処理を実行可能である。図7に示すように、制御部61は、ルーティングセッション確立部71と、ルーティング制御部73と、ログイン情報送信部75と、選択ジョブ通知部77と、を備えている。
【0050】
ルーティングセッション確立部71は、第1保守端末9Aと、第1被保守端末7A又は第2被保守端末7Bと、の間にルーティングセッションを確立する。ルーティングセッションとは、LAN25に接続される機器と、保守対象システムの設置先のLAN(LAN17又はLAN21)に接続される機器と、の間で転送される通信パケットのルーティングに用いられるメディアセッションである。ルーティング制御部73は、このルーティングセッションを利用して、他のLANに接続される機器との間で通信パケットのルーティング制御を行う。
【0051】
ログイン情報送信部75は、第1被保守端末7A又は第2被保守端末7Bから受信した、オペレータが入力したID及びパスワード(以下、ログイン情報と称する)をセンター端末5に送信する。選択ジョブ通知部77は、オペレータが前記候補ジョブリストの中から選択した接続ジョブをセンター端末5に送信する。
【0052】
データベース格納部63は、センター端末情報格納部81を備えている。センター端末情報格納部81には、センター端末5の名称とIDとが保存されている。第1保守端末9Aは、センター端末情報格納部81の記憶内容を参照することで、例えば候補ジョブリストの中から選択された接続ジョブを通知するために、センター端末5にアクセスすることができる。
【0053】
次に、図8を参照して、被保守端末の構成を説明する。図8は、第1被保守端末7Aの構成を示す機能ブロック図である。なお、第1被保守端末7Aと第2被保守端末7Bの構成は同様であるので、代表して、第1被保守端末7Aの構成を説明する。第1被保守端末7Aは、図8に示すように、インタフェース95と、制御部91と、データベース格納部93と、を備えている。
【0054】
インタフェース95は、プライベートIPアドレスを利用して、LAN17に接続される機器と通信を行うことができる。また、インタフェース95は、グローバルIPアドレスを利用して、WAN3を介した通信を行うことができる。
【0055】
制御部91は、CPU、RAM、ROM等を含んでおり、ROM等から読み出したプログラムにより各種の処理を実行可能である。図8に示すように、制御部91は、ルーティングセッション確立部101と、ルーティング制御部103と、を備えている。
【0056】
ルーティングセッション確立部101は、第1被保守端末7Aと、第1保守端末9A又は第2保守端末9Bと、の間にルーティングセッションを確立する。ルーティング制御部103は、このルーティングセッションを利用して、他のLANに接続される機器との間で通信パケットのルーティング制御を行う。
【0057】
データベース格納部93は、センター端末情報格納部105を備えている。センター端末情報格納部105には、センター端末5の名称とIDとが保存されている。第1被保守端末7Aは、センター端末情報格納部105の記憶内容を参照することにより、例えば保守作業が必要になった旨を通知するために、センター端末5にアクセスすることができる。
【0058】
次に、図9から図12までのシーケンス図を参照して、本実施形態の中継通信システム1を用いて遠隔保守を行う際の処理の流れについて説明する。以下では、第2オペレータOp2がセンター端末5をログイン中継サーバとして中継通信システム1にログイン済みであり、第3オペレータOp3が第2被保守端末7Bをログイン中継サーバとして中継通信システム1にログイン済みである状況(オペレータリスト53aが図3(a)の状態)を考える。また、接続ジョブとして、前記第1接続ジョブのみが存在している状況(接続ジョブリスト59aが図6(a)の状態)を考える。
【0059】
初めに、接続ジョブが作成されるときに中継通信システム1で行われる処理を説明する。接続ジョブは、前述のように、被保守対象システムに保守作業が必要になる度に作成される。以下では、第1被保守対象システム15Aに保守作業が必要となった場合を考える。例えば第1被保守対象システム15Aに障害が発生した場合、その旨が第1被保守端末7Aに通知される。第1被保守端末7Aは、障害が発生した旨を受信した場合(図9のシーケンス番号1)、その旨をセンター端末5に通知して、接続ジョブの作成を要求する(シーケンス番号2)。
【0060】
センター端末5は、この通知及び要求をセンター端末操作端末11に転送して、コールセンターの第2オペレータOp2に知らせる(シーケンス番号3)。第2オペレータOp2は、障害の内容及び被保守端末の名称等に基づいて、保守を担当させることが好ましいオペレータを選択する。ここでは、第1オペレータOp1が選択されたものとする。これにより、センター端末5(接続ジョブ作成部45)が、接続ジョブ(第2接続ジョブ)の作成を行う(シーケンス番号4)。そして、センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、作成された第2接続ジョブを接続ジョブリスト59aに登録する(シーケンス番号5)。即ち、接続ジョブリスト59aの「被保守端末ID」には、第1被保守端末7AのIDが記述され、「接続候補ID」には、第1オペレータOp1のIDが記述される(図6(b)を参照)。
【0061】
接続ジョブは、以上のようにして作成される。なお、第1オペレータOp1に早急に保守作業を行わせる必要がある場合は、接続ジョブの作成後に、その旨を直ちに第1オペレータOp1に通知しても良い。接続ジョブが作成されたことの通知は様々な方法で行うことができ、例えば、中継通信システム1上でインスタントメッセージサービスを運用し、第1オペレータOp1が中継通信システム1にログイン済みであるときは、第2オペレータOp2が当該インスタントメッセージサービスを用いて上記の通知を行うようにすることができる。第1オペレータOp1が中継通信システム1にログインしていない場合は、電話等の適宜の手段で通知すれば良い。
【0062】
次に、第1オペレータOp1が第1保守操作端末23Aを操作することで第1保守端末9Aをログイン中継サーバとして中継通信システム1にログイン要求を行った場合に、中継通信システム1で行われる処理を説明する。このログイン要求では、第1オペレータOp1にログイン情報(IDとパスワード)の入力が求められる。そして、第1オペレータOp1が第1保守操作端末23Aを操作して、自身に割り当てられたオペレータID(Op1)及びパスワード(abc)を入力して、入力内容を確定させることにより、ログイン情報が第1保守端末9Aに送信される。これにより、第1保守端末9Aは、ログイン要求を受け付け(図10のシーケンス番号11)、受信したログイン情報をセンター端末5に送信する(シーケンス番号12)。
【0063】
このログイン情報を受信したセンター端末5(ログイン認証部43)は、ログインの可否を判断する。具体的には、ログイン認証部43は、入力されたID及びパスワードがオペレータリスト53aに登録されているか否かの判断(シーケンス番号13)と、ログイン情報を送信した第1保守端末9Aが保守端末リスト55aに登録されているか否かの判断(シーケンス番号14)と、を行う。
【0064】
図3に示すように、上記で入力されたID及びパスワードは、オペレータリスト53aに登録されている。また、図4に示すように、第1保守端末9Aは保守端末リスト55aに登録されている。従って、センター端末5のログイン認証部43は、第1オペレータOp1のログインを許可する。そして、センター端末5は、オペレータリスト53aの内容を更新する(シーケンス番号15)。具体的には、オペレータリスト53aの第1オペレータOp1に対応する「ログイン中継サーバ」に、第1オペレータOp1のIDと、第1保守端末9AのIDと、を記述する(図3(a)から図3(b)になるようにオペレータリスト53aを更新する)。そして、センター端末5は、ログイン成功を第1保守端末9Aに通知する(シーケンス番号16)。なお、センター端末5は、端末IDの認証又はログイン情報の認証に失敗した場合、ログイン失敗を保守端末に通知する。
【0065】
第1保守端末9Aは、センター端末5から受けたログイン成功の通知を第1保守操作端末23Aに転送して、第1オペレータOp1にログイン成功を通知する(シーケンス番号17)。そして、第1保守端末9Aは、前記候補ジョブリスト(ログイン中のオペレータが接続候補となっている接続ジョブの一覧)をセンター端末5に要求する(シーケンス番号18)。
【0066】
この通知を受けたセンター端末5(候補ジョブリスト送信部51)は、接続ジョブリスト59aに保存された接続ジョブから、第1オペレータOp1が接続候補となっている接続ジョブを抽出して、候補ジョブリストを作成する(シーケンス番号19)。図6(b)に示すように、接続ジョブリスト59aに記述されている第1接続ジョブ及び第2接続ジョブは、両方とも第1オペレータOp1を接続候補としているため、候補ジョブリストには、第1接続ジョブ及び第2接続ジョブが記述される。そして、候補ジョブリスト送信部51は、作成した候補ジョブリストを第1保守端末9Aに送信する(シーケンス番号20)。なお、センター端末5は、第1オペレータOp1が接続候補となっている接続ジョブがない場合、その旨を第1保守端末9Aに送信する。
【0067】
第1保守端末9Aは、センター端末5から受信した候補ジョブリストを第1保守操作端末23Aに転送して、第1オペレータOp1に通知する(シーケンス番号21)。具体的には、第1保守操作端末23Aは、自身が備えるディスプレイに候補ジョブリストを表示する。これにより、第1オペレータOp1は、自身が実行可能な接続ジョブの一覧を知ることができる。
【0068】
なお、第1オペレータOp1は、第2保守操作端末23Bを操作することで第1保守端末9Aから中継通信システム1にログインすることも可能である。更には、第3保守操作端末27A又は第4保守操作端末27Bを操作することで第2保守端末9Bから中継通信システム1にログインすることも可能である。
【0069】
次に、オペレータによる接続ジョブの選択から保守作業中にかけて、中継通信システム1で行われる処理を説明する。以下では、第1オペレータOp1が候補ジョブリストの中から第2接続ジョブを選択した場合を考える。
【0070】
第1オペレータOp1が第2接続ジョブを選択し、その選択を確定させることにより、選択された接続ジョブを示す情報が第1保守端末9Aに送信される。これにより、第1保守端末9Aは、接続ジョブの選択を受け付け(図11のシーケンス番号31)、第1オペレータOp1の選択内容を第1オペレータOp1のIDとともに、センター端末5に通知する(シーケンス番号32)。
【0071】
センター端末5(実行判断部47)は、この通知に基づいて、該当する接続ジョブである第2接続ジョブのジョブ情報を接続ジョブリスト59aから読み出す(シーケンス番号33)。そして、実行判断部47は、同一の接続ジョブを複数のオペレータが同時に実行することを防止するために、読み出したジョブ情報に基づいて、第2接続ジョブが(例えば他のオペレータにより)実行中又は実行準備中か否かを判断する(シーケンス番号34)。図6(b)に示すように、第2接続ジョブのジョブ情報は空欄であるため、当該接続ジョブは実行中でも実行準備中でもない。従って、実行判断部47は、第1オペレータOp1による第2接続ジョブの実行を許可する。その後、接続ジョブリスト管理部49は、接続ジョブリスト59aの第2接続ジョブのジョブ情報に「実行準備中」と記述する(シーケンス番号35)。これにより、コールセンターの第2オペレータOp2は、第2接続ジョブのための接続作業が開始されたことを知ることができる。そして、センター端末5(許可情報送信部52)は、該当する接続ジョブの実行を許可する旨を第1保守端末9Aに通知する(シーケンス番号36)。なお、センター端末5は、接続ジョブの実行を許可しない場合、その旨を保守端末に通知する。
【0072】
第1保守端末9Aは、接続ジョブの実行を許可する旨の通知を第1保守操作端末23Aに転送して、第1オペレータOp1に通知する(シーケンス番号37)。そして、第1保守端末9A(ルーティングセッション確立部71)は、該当する接続ジョブの保守先である第1被保守端末7Aに対して、ルーティングセッションの確立要求を行う(シーケンス番号38)。第1被保守端末7A(ルーティングセッション確立部101)は、この要求を受けて、アクセス許可としてのOKレスポンスを返信する(シーケンス番号39)。この結果、第1保守端末9Aと第1被保守端末7Aとの間に、メディアセッションが確立される。メディアセッションの確立の後に、第1保守端末9Aと第1被保守端末7Aは、ルーティング対象であるLAN17及びLAN25のネットワークアドレスを交換する。これにより、ルーティングセッションを介して、第1保守操作端末23Aと、第1被保守対象システム15A又は第2被保守対象システム15Bと、の通信が可能となる。そして、第1保守端末9Aは、ルーティングセッションが確立した旨を第1保守操作端末23Aに送信して第1オペレータOp1に通知する(シーケンス番号40)。更に、第1保守端末9Aは、ルーティングセッションが確立した旨をセンター端末5に通知する(シーケンス番号41)。
【0073】
センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、この通知を受けて、図6(c)に示すように、接続ジョブリスト59aの第2接続ジョブのジョブ情報に「Op1実行中」と記述する(シーケンス番号42)。これにより、コールセンターの第2オペレータOp2は、第2接続ジョブに係る保守作業が第1オペレータOp1によって開始されたことを知ることができる。
【0074】
第1保守端末9Aは、第1被保守端末7Aとの間に確立された前記ルーティングセッションを介して、保守が必要なシステム(第1被保守対象システム15A)に対する保守作業を行う(シーケンス番号43)。具体的には、第1オペレータOp1は、第1保守操作端末23Aを操作して、第1被保守対象システム15Aの状況の把握及びソフトウェアの更新等の保守作業を行うことができる。
【0075】
次に、第1オペレータOp1による保守作業の完了時に、中継通信システム1で行われる処理を説明する。
【0076】
第1オペレータOp1は、保守作業が完了した後に、当該保守作業の完了を、第1保守端末9Aを介して第1被保守端末7Aに通知する(図12のシーケンス番号51)。また、第1オペレータOp1は、保守作業の完了を、第1保守端末9Aを介して、センター端末5にも通知するとともに、保守作業を行った日時、内容、及び担当者等を示す前記ログ情報を送信する(シーケンス番号52)。このログ情報においては、担当者として、第1オペレータOp1のIDが記録されることになる。
【0077】
センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、この通知を受けて、第2接続ジョブのジョブ情報に保守作業の完了を登録し(シーケンス番号53)、第2接続ジョブを接続ジョブリスト59aから削除する(シーケンス番号54)。
【0078】
その後、第1保守端末9Aは候補ジョブリストを再びセンター端末5に要求し、同様の処理を経ることで、第1オペレータOp1による新たな保守作業が行われる。
【0079】
以上に基本的な保守作業について説明したが、上記で示したように、オペレータリスト53aに登録されているそれぞれのオペレータは、自分に付与されたID(オペレータID、例えば「Op1」)とパスワードを入力することで中継通信システム1にログインし、遠隔保守を行うことができる(図10のシーケンス番号11等)。一方、本実施形態の中継通信システム1では、オペレータが、上記オペレータIDとは別に設定された、ゲストIDと呼ばれる特別なID(別設定ID)を用いてログインすることもできるようになっている。
【0080】
以下、この構成について説明する。図2に示すように、センター端末5のデータベース格納部33はゲストリスト格納部54を備えている。このゲストリスト格納部54には、例えば図13に示すゲストリスト54aが保存されている。
【0081】
ゲストリスト54aにおいては、オペレータリスト53aに登録されているオペレータOp1〜Op4のうち、上記ゲストIDを用いてログインできるものと予め定められた特別なオペレータのIDが「ID」の列に記述されている。図13の例からは、第3オペレータOp3及び第4オペレータOp4がゲストIDを利用してログインできることが分かる。
【0082】
なお、ゲストIDを用いたログインを可能とするために、センター端末5のオペレータリスト53aには、図14(a)の最も下の行で示すように、ゲストIDについて記録が追加される。図14(a)の例では、オペレータリストの「ID」の列に、ゲストIDを表す文字列「Guest」が登録され、「パスワード」の列には、第3オペレータOp3に割り当てられたオペレータID(「Op3」)とパスワードを「@」で連結したもの(即ち、Op3@ghi)が記述されている。これは事実上、第3オペレータOp3のオペレータIDとパスワードを入力できる者のみ(即ち、第3オペレータOp3のみ)が、ゲストIDを用いてログインできることを意味する。このようにして、オペレータリスト53aにおいて、ゲストIDと特定のオペレータ(第3オペレータOp3)とが対応付けた形で記述される。
【0083】
また、ゲストIDに対応した接続ジョブを追加した接続ジョブリストの例が図15(a)に示される。この例からは、前述と同様の第1接続ジョブに加えて、第1被保守端末7Aについて第3接続ジョブが作成されており、接続候補のオペレータとしてゲストIDが設定されていることが分かる。
【0084】
次に、上記のゲストIDを用いた場合における中継通信システム1の処理について、図16から図19までを参照して説明する。なお、図16から図19までのシーケンス図は、前の説明で参照した図9から図12にほぼ対応するものである。
【0085】
前述の例と同様に、第1被保守対象システム15Aに障害が発生して、その旨が第1被保守端末7Aに通知されたとする(図16のシーケンス番号61)。この通知に伴い、第1被保守端末7Aは、その旨をセンター端末5に通知して、接続ジョブの作成を要求する(シーケンス番号62)。
【0086】
コールセンターにおいてセンター端末操作端末11を操作している第2オペレータOp2は、接続ジョブの作成が必要なことを通知され(シーケンス番号63)、保守を行うことが好ましいオペレータを適宜選択する。この選択にあたっては様々な状況が考慮されるが、今回の例では、第1被保守端末7Aの保守は第1オペレータOp1が担当することが事前にルールで定められているにもかかわらず、当該第1オペレータOp1が不在である等の何らかの事情で、作業が不可能であったとする。そこで、第2オペレータOp2は、誰かに臨時の応援で遠隔保守を行ってもらうことを希望し、センター端末操作端末11を操作して、ゲストIDを利用してログイン可能なオペレータの一覧を表示させるように指示する。
【0087】
センター端末操作端末11は、この指示を受けると、ゲストIDを利用可能なオペレータをセンター端末5に問い合わせる。この問合せに応じて、センター端末5は、図13に示すゲストリスト54aの内容をセンター端末操作端末11に送信し、センター端末操作端末11は問合せの結果をディスプレイに表示する。これにより、第2オペレータOp2は、ゲストIDを利用可能なオペレータは第3オペレータOp3及び第4オペレータOp4であることを知ることができる。
【0088】
今回の例では、第2オペレータOp2は、検討の結果、第3オペレータOp3に今回の遠隔保守をしてもらうことを希望し、センター端末操作端末11を操作して第3オペレータOp3を選択したものとする。この選択にあたっては、ゲストIDを用いる指示が併せて行われる。
【0089】
これにより、センター端末5は、オペレータリスト53aにゲストIDを登録する(シーケンス番号64)。具体的には、図14(a)に示すように、オペレータリスト53aの「ID」には、ゲストIDを表す「Guest」が記述され、「パスワード」には、第3オペレータOp3のIDとパスワードを「@」で連結した文字列が登録される。
【0090】
次に、第2オペレータOp2はセンター端末操作端末11を操作し、接続ジョブの作成をセンター端末5に指示する。この指示には、第1被保守端末7Aを被保守端末とし、先ほど作成したゲストIDを接続候補とする指定が含まれる。当該指示に応じて、センター端末5(接続ジョブ作成部45)は、接続ジョブを作成し(シーケンス番号65)、接続ジョブリスト59aに登録する(シーケンス番号66)。具体的には、図15(a)の第3接続ジョブで示すように、接続ジョブリスト59aの「被保守端末ID」に第1被保守端末7AのIDが記述され、「接続候補ID」にはゲストIDが記述される。
【0091】
第2オペレータOp2は、上記のようにして接続ジョブを作成した後、第3オペレータOp3に電話等で連絡し、応援のためにゲストIDでログインして欲しい旨を伝える。これに応じ、第3オペレータOp3は、適宜の保守操作端末(例えば、第3保守操作端末27A)を操作し、ゲストIDでログインする。
【0092】
上記と同様に、ログインにあたっては、ログイン情報(IDとパスワード)の入力が求められる。今回のゲストIDでのログインは、通常のログインとは異なり、IDとして「Guest」を入力し、パスワードとして、自分に割り当てられたオペレータIDとパスワードとを「@」で連結した文字列を入力することにより行う。今回の例では、第3オペレータOp3は、IDを「Guest」、パスワードを「Op3@ghi」としてログインすることになる。これにより、第3保守操作端末27Aが接続される第2保守端末9Bをログイン中継サーバとして、中継通信システム1に対するログイン要求が行われる。
【0093】
第2保守端末9Bは、第3保守操作端末27Aからログイン情報を受信すると、ログイン要求を受け付け(図17のシーケンス番号71)、受信したログイン情報をセンター端末5に送信する(シーケンス番号72)。
【0094】
このログイン情報を受信したセンター端末5(ログイン認証部43)は、ログインの可否を判断する。具体的には、ログイン認証部43は、入力されたID及びパスワードがオペレータリスト53aに登録されているか否かの判断(シーケンス番号73)と、ログイン情報を送信した第2保守端末9Bが保守端末リスト55aに登録されているか否かの判断(シーケンス番号74)と、を行う。
【0095】
図14(a)に示すように、上記で入力されたゲストID及びパスワードは、オペレータリスト53aに登録されている。また、図4に示すように、第2保守端末9Bは保守端末リスト55aに登録されている。従って、センター端末5のログイン認証部43は、ゲストIDでのログインを許可する。ただし、上記のログインの可否の判断には、オペレータが入力したパスワード(Op3@ghi)からオペレータID(Op3)を抽出した上で、当該オペレータIDが前記ゲストリスト54aに含まれているかの判断を含めるようにしても良い。
【0096】
ゲストIDでのログインが許可されると、センター端末5は、オペレータリスト53aの内容を更新する(シーケンス番号75)。具体的には、オペレータリスト53aのゲストIDに対応する「ログイン中継サーバ」に、ゲストIDと、第2保守端末9BのIDと、を記述する(図14(a)から図14(b)になるようにオペレータリスト53aを更新する)。そして、センター端末5は、ログイン成功を第2保守端末9Bに通知する(シーケンス番号76)。
【0097】
第2保守端末9Bは、センター端末5から受けたログイン成功の通知を第3保守操作端末27Aに転送して、オペレータにログイン成功を通知する(シーケンス番号77)。そして、第2保守端末9Bは、前記候補ジョブリスト(ゲストIDが接続候補となっている接続ジョブの一覧)をセンター端末5に要求する(シーケンス番号78)。
【0098】
この通知を受けたセンター端末5(候補ジョブリスト送信部51)は、接続ジョブリスト59aに保存された接続ジョブから、ゲストIDが接続候補となっている接続ジョブを抽出して、候補ジョブリストを作成する(シーケンス番号79)。図15(a)に示すように、接続ジョブリスト59aに記述されている第1接続ジョブ及び第3接続ジョブのうち、ゲストIDが接続候補となっているのは第3接続ジョブであるので、候補ジョブリストには第3接続ジョブが記述される。
【0099】
なお、ゲストIDで現在ログインしているのは実際には第3オペレータOp3であるが、ここでは、ゲストIDが接続候補になっているもののみが抽出されて候補ジョブリストに記述される。従って、第1接続ジョブについては、第3オペレータOp3が接続候補になっているもののゲストIDは接続候補になっていないので、候補ジョブリストに含まれない。作成された候補ジョブリストは、候補ジョブリスト送信部51によって第2保守端末9Bに送信される(シーケンス番号80)。
【0100】
第2保守端末9Bは、センター端末5から受信した候補ジョブリストを第3保守操作端末27Aに転送して、ゲストIDでログインしている第3オペレータOp3に通知する(シーケンス番号81)。具体的には、第3保守操作端末27Aは、自身が備えるディスプレイに候補ジョブリストを表示する。これにより、第3オペレータOp3は、自身がゲストIDを用いた場合に実行可能な接続ジョブの一覧を知ることができる。
【0101】
ゲストIDでログインした第3オペレータOp3は、第3保守操作端末27Aが表示した接続ジョブの一覧を検討した結果、自分がゲストIDで作業を実行できるのは第3接続ジョブのみであることを知る。そこで、第3オペレータOp3は第3接続ジョブを選択し、接続ジョブを示す情報が第2保守端末9Bに送信される。第2保守端末9Bは、接続ジョブの選択を受け付け(図18のシーケンス番号91)、第3オペレータOp3の選択内容をゲストIDとともにセンター端末5に通知する(シーケンス番号92)。
【0102】
センター端末5(実行判断部47)は、この通知に基づいて、該当する接続ジョブである第3接続ジョブのジョブ情報を接続ジョブリスト59aから読み出す(シーケンス番号93)。そして、実行判断部47は、同一の接続ジョブを複数のオペレータが同時に実行することを防止するために、読み出したジョブ情報に基づいて、第3接続ジョブが(例えば他のオペレータにより)実行中又は実行準備中か否かを判断する(シーケンス番号94)。図15(a)に示すように、第3接続ジョブのジョブ情報は空欄であるため、当該接続ジョブは実行中でも実行準備中でもない。従って、実行判断部47は、ゲストIDによる第3接続ジョブの実行を許可する。その後、接続ジョブリスト管理部49は、接続ジョブリスト59aにおいて、第3接続ジョブのジョブ情報に「実行準備中」と記述する(シーケンス番号95)。これにより、コールセンターの第2オペレータOp2は、第3接続ジョブのための接続作業が開始されたことを知ることができる。そして、センター端末5(許可情報送信部52)は、該当する接続ジョブの実行を許可する旨を第2保守端末9Bに通知する(シーケンス番号96)。
【0103】
第2保守端末9Bは、接続ジョブの実行を許可する旨の通知を第3保守操作端末27Aに転送して、第3オペレータOp3に通知する(シーケンス番号97)。そして、第2保守端末9B(ルーティングセッション確立部71)は、該当する接続ジョブの保守先である第1被保守端末7Aに対して、ルーティングセッションの確立要求を行う(シーケンス番号98)。第1被保守端末7A(ルーティングセッション確立部101)は、この要求を受けて、アクセス許可としてのOKレスポンスを返信する(シーケンス番号99)。この結果、第2保守端末9Bと第1被保守端末7Aとの間にメディアセッションが確立される。これにより、ルーティングセッションを介して、第3保守操作端末27Aと、第1被保守対象システム15A又は第2被保守対象システム15Bと、の通信が可能となる。
【0104】
第2保守端末9Bは、ルーティングセッションが確立した旨を第3保守操作端末27Aに送信して第3オペレータOp3に通知する(シーケンス番号100)。更に、第2保守端末9Bは、ルーティングセッションが確立した旨をセンター端末5に通知する(シーケンス番号101)。
【0105】
センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、この通知を受けて、図15(c)に示すように、接続ジョブリスト59aの第3接続ジョブのジョブ情報に「Guest実行中」と記述する(シーケンス番号102)。これにより、コールセンターの第2オペレータOp2は、第3接続ジョブに係る保守作業がゲストID(第3オペレータOp3)によって開始されたことを知ることができる。その後、第2保守端末9Bは、上記のルーティングセッションを介して、上記の接続ジョブの対象である第1被保守対象システム15Aについて保守作業を行う(シーケンス番号103)。
【0106】
第3オペレータOp3は、保守作業が完了した後に、当該保守作業の完了を、第2保守端末9Bを介して第1被保守端末7Aに通知する(図19のシーケンス番号111)。また、第3オペレータOp3は、保守作業の完了を、第2保守端末9Bを介して、センター端末5に通知するとともに、保守作業を行った担当者、日時、内容等を示す前記ログ情報を送信する(シーケンス番号112)。なお、第3オペレータOp3はゲストIDを用いてログインしているので、ログ情報において、担当者の部分には前記ゲストIDが記述される。
【0107】
センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、この通知を受けて、第3接続ジョブのジョブ情報に保守作業の完了を登録し(シーケンス番号113)、第3接続ジョブを接続ジョブリスト59aから削除する(シーケンス番号114)。
【0108】
なお、上記の例で第2オペレータOp2は、第3オペレータOp3によって使用されるゲストIDを作成するとともに、当該ゲストIDに対する接続ジョブを作成しているが(シーケンス番号64、65)、それに代えて、単に第3オペレータOp3のID(Op3)に対する接続ジョブを作成することによっても、第3オペレータOp3の遠隔保守作業が可能な状況を実現することができる。しかし、例えば、上記のように担当外のオペレータが作業をする等の特別な状況が生じたときには、オペレータに対してゲストIDを用いたログイン及び遠隔保守等を行ってもらい、ゲストIDで作業をした旨をログ情報に記録することで、通常の作業と明確に区別でき、後日の管理に役立つ等の利点がある。
【0109】
以上に説明したように、本実施形態においてセンター端末5は、オペレータリスト格納部53と、ログイン認証部43と、接続ジョブ作成部45と、候補ジョブリスト送信部51と、実行判断部47と、を備える。オペレータリスト格納部53は、自身(センター端末5)及び他の中継サーバを含んで構成される中継通信システム1にログイン可能なオペレータの一覧であるオペレータリスト53aを格納する。ログイン認証部43は、オペレータのログインの可否を、少なくとも、当該オペレータが入力したIDと、オペレータリスト格納部53の内容と、に基づいて判断する。接続ジョブ作成部45は、被保守端末(例えば、第1被保守端末7A)と、当該被保守端末に対して接続を許可され得る候補である接続候補となる前記IDと、を対応付けた接続ジョブを作成する。候補ジョブリスト送信部51は、保守端末(例えば、第2保守端末9B)からの要求に応じて、当該保守端末を介してログイン中のオペレータが入力した前記IDが接続候補として設定された接続ジョブの一覧である候補ジョブリストを、当該保守端末に送信する。実行判断部47は、オペレータが前記候補ジョブリストから接続ジョブを選択した場合に、保守端末(第2保守端末9B)からの問合せに応じて、当該保守端末と被保守端末(例えば、第1被保守端末7A)との間でルーティングセッションを確立して当該接続ジョブを実行することの可否を判断する。オペレータが入力することで中継通信システム1にログイン可能となるIDには、各オペレータに一意に割り当てられたオペレータID(Op1〜Op4)と、前記オペレータIDとは別に設定されたゲストID(Guest)と、が含まれている。接続ジョブ作成部45は、図15の第3接続ジョブのように、被保守端末とゲストIDとを対応付けた接続ジョブを作成することが可能に構成されている。
【0110】
これにより、オペレータがオペレータID又はゲストIDを用いて保守端末から中継通信システム1にログインすると、当該IDが接続候補となっている接続ジョブのリストが表示され、これから接続ジョブを選択することで、対応する被保守端末と接続してルーティングセッションを確立し、保守作業を行うことができる。従って、オペレータは、自身に許可されたアクセス権限を逸脱することなく、ログインから実際の保守作業までをスムーズに行うことができる。また、保守作業の対象に応じて予め定めたオペレータにだけ当該保守作業を許可してセキュリティを十分に確保しつつ、必要に応じて多様なログイン形態での作業をオペレータに提供することができる。
【0111】
また、本実施形態のセンター端末5は、オペレータのうち、ゲストIDを使用して中継通信システム1にログイン可能なオペレータの一覧(ゲストリスト54a)を格納するゲストリスト格納部54を備える。
【0112】
これにより、ゲストIDを使用できるオペレータをゲストリスト格納部54で管理できるので、強固なセキュリティを実現できる。
【0113】
また、本実施形態のセンター端末5において、オペレータリスト格納部53は、ゲストIDと、ゲストIDを使用可能なオペレータと、を対応付けた図14のようなオペレータリスト53aを格納可能に構成されている。
【0114】
これにより、ゲストIDを特定のオペレータに明確に結び付けることで、アクセス権限を確実に管理することができる。
【0115】
また、本実施形態において、接続側の中継サーバ(第1保守端末9A及び第2保守端末9B)は、センター端末情報格納部81と、選択ジョブ通知部77と、ルーティングセッション確立部71と、ルーティング制御部73と、を備える。センター端末情報格納部81は、自身及び他の中継サーバを含んで構成される中継通信システム1にログインするためにオペレータが入力を要求されるIDと、接続を許可され得る候補である接続候補として当該IDが設定された被接続側の中継サーバ(第1被保守端末7A等)と、を対応付けた接続ジョブの格納先であるセンター端末5の識別情報を格納する。選択ジョブ通知部77は、自身を介してログイン中のオペレータが入力したIDが接続候補として設定されている接続ジョブの一覧である候補ジョブリストをセンター端末5から受信した後に、当該候補ジョブリストの中から選択された接続ジョブをセンター端末5に通知する。ルーティングセッション確立部71は、選択された接続ジョブの実行を許可する旨を受信した場合に、当該接続ジョブが示す被接続側の中継サーバとの間に、パケットのルーティングに用いられるルーティングセッションを確立する。ルーティング制御部73は、ルーティングセッションに基づいて、ルーティング制御を行う。オペレータが入力することで中継通信システム1にログイン可能となるIDには、各オペレータに一意に割り当てられたオペレータID(Op1〜Op4)と、前記オペレータIDとは別に設定されたゲストID(Guest)と、が含まれている。
【0116】
これにより、オペレータがオペレータID又はゲストIDを用いて接続側の中継サーバから中継通信システム1にログインすると、当該IDが接続候補となっている接続ジョブのリストが表示され、これから接続ジョブを選択することで、対応する被接続側の中継サーバと接続してルーティングセッションを確立し、保守作業を行うことができる。従って、オペレータは、自身に許可されたアクセス権限を逸脱することなく、ログインから実際の保守作業までをスムーズに行うことができる。また、保守作業の対象に応じて予め定めたオペレータにだけ当該保守作業を許可してセキュリティを十分に確保しつつ、必要に応じて多様なログイン形態での作業をオペレータに提供することができる。
【0117】
次に、ゲストIDが設定された旨を対象のオペレータに通知する変形例について説明する。
【0118】
即ち、上記の実施形態では、第2オペレータOp2が第3オペレータOp3を対象としてゲストIDを登録し(図16のシーケンス番号64)、当該ゲストIDについて接続ジョブを作成した後(シーケンス番号65、66)、第2オペレータOp2がその旨を第3オペレータOp3に電話等で連絡することで、ゲストIDを使用したログインを当該第3オペレータOp3に促すこととしている。しかしながら、ゲストIDが第3オペレータOp3について登録された後、そのオペレータがゲストIDでなく第3オペレータOp3のオペレータID(「Op3」)で中継通信システム1にログインした場合に、ゲストIDが設定された旨を、第3保守操作端末27Aのディスプレイに表示する等して第3オペレータOp3に通知するように構成することもできる。
【0119】
自身にゲストIDが設定されていることに気づいた第3オペレータOp3は、このままオペレータIDでのログインを継続するか、ゲストIDでのログインに切り換えるか、を判断する。第3オペレータOp3がゲストIDで作業すべきと判断した場合は、ログアウト操作を行ってオペレータIDでのログインを解除し、改めてゲストIDでログインし、候補ジョブリストを要求する。以上のようにすることで、第2オペレータOp2から第3オペレータOp3への連絡作業を省くことができ、スムーズな運用を実現できる。
【0120】
以上に示すように、上記の変形例のセンター端末5においては、(対応するゲストIDが設定されたオペレータである)第3オペレータOp3がオペレータID(「Op3」)を使用して中継通信システム1にログインした場合に、ゲストIDが設定されている旨を当該第3オペレータOp3に通知できるように構成されている。
【0121】
これにより、ゲストIDが設定された旨の第3オペレータOp3への連絡作業を省略できるので、スムーズな運用が可能になる。
【0122】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0123】
オペレータIDは、上記の説明では理解を容易にするために「Op1」等の文字列としたが、これに限定されず、任意の文字列をオペレータIDとして設定できることは言うまでもない。オペレータIDに対するパスワードも、「abc」等に限らず、任意に定めることができる。ゲストIDについても、「Guest」以外の文字列、例えば「Temp」等、様々な文字列を設定することができる。
【0124】
上記の実施形態では、図14のオペレータリスト53aにおいて、ゲストIDのパスワードの部分に、対応するオペレータのオペレータID(即ち、第3オペレータOp3のオペレータIDである「Op3」)を含ませることにより、ゲストIDと特定のオペレータとを関連付けている。しかしながら関連付けの方法は任意であり、例えば、オペレータリスト53aにおいて「対応オペレータ」の列を新たに作成し、そこに第3オペレータOp3のオペレータIDを記述する構成にしても良い。また、ゲストIDについてのパスワードは、対応するオペレータIDとそのパスワードを「@」で連結する以外の形式で定めても良い。
【0125】
また、図14のオペレータリスト53aにおいて、ゲストIDとオペレータとを関連付けることも必須ではない。例えば、ゲストIDとそのパスワードを事前に定めた上で、図13のゲストリスト54aに掲載されたオペレータOp3,Op4にのみ当該ゲストID及びパスワードを知らせておくことで、限られた者にのみゲストIDによる保守作業を許可することができる。
【0126】
図16のシーケンス番号64に示すゲストIDの登録は、障害発生の通知に応じてその都度行うことに代えて、障害発生前から事前に行うようにすることもできる。
【0127】
上記の実施形態では、図14のオペレータリスト53aにおいてゲストIDに関連付けて登録されるオペレータは、図13のゲストリスト54aに記述されたオペレータから選択される。しかしながら、図13のゲストリスト54aにオペレータが1件も登録されていない場合は、オペレータリスト53aに登録されているオペレータの全員(Op1〜Op4)について、ゲストIDに関連付けて登録できるようにしても良い。
【0128】
中継通信システム1を構成する被保守端末及び保守端末の台数は上記実施形態に限定されず、それぞれ1台であっても良いし、3台以上であっても良い。また、被保守端末に接続される被保守対象システム、及び、保守端末に接続される保守操作端末の台数は上記実施形態に限定されず、それぞれ1台であっても良いし、3台以上であっても良い。
【0129】
上記の第1保守端末9A及び第2保守端末9Bは、パーソナルコンピュータに着脱可能に取り付けられるメモリ及び当該メモリに保存されたアプリケーションであっても良い。
【0130】
上記のオペレータリスト53a、保守端末リスト55a、被保守端末リスト57a、接続ジョブリスト59aは、適宜の形式(例えばXML形式)で格納することができる。
【0131】
上記実施形態の構成に代えて、各中継サーバ間での通信に用いられる外部サーバをインターネット上に設置し、SIP(Session Initiaion Protocol)サーバとしての機能を発揮させて通信を行う構成にしても良い。
【符号の説明】
【0132】
1 中継通信システム
5 センター端末(管理機能付き中継サーバ)
7A 第1被保守端末(被接続側の中継サーバ)
7B 第2被保守端末(被接続側の中継サーバ)
9A 第1保守端末(接続側の中継サーバ)
9B 第2保守端末(接続側の中継サーバ)
11 センター端末操作端末
15A 第1被保守対象システム
15B 第2被保守対象システム
19A 第3被保守対象システム
19B 第4被保守対象システム
23A 第1保守操作端末
23B 第2保守操作端末
27A 第3保守操作端末
27B 第4保守操作端末
43 ログイン認証部
45 接続ジョブ作成部
47 実行判断部
51 候補ジョブリスト送信部
53 オペレータリスト格納部
54 ゲストリスト格納部(特別オペレータリスト格納部)
77 選択ジョブ通知部
81 センター端末情報格納部(管理先情報格納部)
71 ルーティングセッション確立部
73 ルーティング制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身及び他の中継サーバを含んで構成される中継通信システムにログイン可能なオペレータの一覧を格納するオペレータリスト格納部と、
オペレータのログインの可否を、少なくとも、当該オペレータが入力したIDと、前記オペレータリスト格納部の内容と、に基づいて判断するログイン認証部と、
被接続側の中継サーバと、当該被接続側の中継サーバに対して接続を許可され得る候補である接続候補となる前記IDと、を対応付けた接続ジョブを作成する接続ジョブ作成部と、
接続側の中継サーバからの要求に応じて、当該接続側の中継サーバを介してログイン中のオペレータが入力した前記IDが接続候補として設定された前記接続ジョブの一覧である候補ジョブリストを、当該接続側の中継サーバに送信する候補ジョブリスト送信部と、
前記オペレータが前記候補ジョブリストから接続ジョブを選択した場合に、前記接続側の中継サーバからの問合せに応じて、当該接続側の中継サーバと前記被接続側の中継サーバとの間でルーティングセッションを確立して当該接続ジョブを実行することの可否を判断する実行判断部と、
を備え、
オペレータが入力することで前記中継通信システムにログイン可能となるIDには、各オペレータに一意に割り当てられたオペレータIDと、前記オペレータIDとは別に設定された別設定IDと、が含まれており、
前記接続ジョブ作成部は、被接続側の中継サーバと前記別設定IDとを対応付けた接続ジョブを作成することが可能に構成されていることを特徴とする管理機能付き中継サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の管理機能付き中継サーバであって、
前記オペレータのうち前記別設定IDを使用して前記中継通信システムにログイン可能なオペレータの一覧を格納する特別オペレータリスト格納部を備えることを特徴とする管理機能付き中継サーバ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管理機能付き中継サーバであって、
前記オペレータリスト格納部は、前記別設定IDと、当該別設定IDを使用可能なオペレータと、を対応付けて格納可能に構成されていることを特徴とする管理機能付き中継サーバ。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の管理機能付き中継サーバであって、
前記別設定IDが設定されたオペレータが前記オペレータIDを使用して前記中継通信システムにログインした場合に、当該別設定IDが設定されている旨を当該オペレータに通知できるように構成したことを特徴とする管理機能付き中継サーバ。
【請求項5】
自身及び他の中継サーバを含んで構成される中継通信システムにログインするためにオペレータが入力を要求されるIDと、接続を許可され得る候補である接続候補として当該IDが設定された被接続側の中継サーバと、を対応付けた接続ジョブの格納先である管理機能付き中継サーバの識別情報を格納する管理先情報格納部と、
自身を介してログイン中のオペレータが入力したIDが接続候補として設定されている前記接続ジョブの一覧である候補ジョブリストを前記管理機能付き中継サーバから受信した後に、当該候補ジョブリストの中から選択された前記接続ジョブを前記管理機能付き中継サーバに通知する選択ジョブ通知部と、
選択された前記接続ジョブの実行を許可する旨を受信した場合に、当該接続ジョブが示す被接続側の中継サーバとの間に、パケットのルーティングに用いられるルーティングセッションを確立するルーティングセッション確立部と、
前記ルーティングセッションに基づいて、ルーティング制御を行うルーティング制御部と、
を備え、
オペレータが入力することで前記中継通信システムにログイン可能となるIDには、各オペレータに一意に割り当てられたオペレータIDと、前記オペレータIDとは別に設定された別設定IDと、が含まれていることを特徴とする接続側の中継サーバ。
【請求項6】
管理機能付き中継サーバと、
前記管理機能付き中継サーバと通信可能な接続側の中継サーバと、
前記管理機能付き中継サーバと通信可能な被接続側の中継サーバと、
を含んで構成される中継通信システムであって、
前記管理機能付き中継サーバは、
前記中継通信システムにログイン可能なオペレータの一覧を格納するオペレータリスト格納部と、
オペレータのログインの可否を、少なくとも、当該オペレータが入力したIDと、前記オペレータリスト格納部の内容と、に基づいて判断するログイン認証部と、
被接続側の中継サーバと、当該被接続側の中継サーバに対して接続を許可され得る候補である接続候補となる前記IDと、を対応付けた接続ジョブを作成する接続ジョブ作成部と、
接続側の中継サーバからの要求に応じて、当該接続側の中継サーバを介してログイン中のオペレータが入力した前記IDが接続候補として設定された前記接続ジョブの一覧である候補ジョブリストを、当該接続側の中継サーバに送信する候補ジョブリスト送信部と、
前記オペレータが前記候補ジョブリストから接続ジョブを選択した場合に、前記接続側の中継サーバからの問合せに応じて、当該接続側の中継サーバと前記被接続側の中継サーバとの間でルーティングセッションを確立して当該接続ジョブを実行することの可否を判断する実行判断部と、
を備え、
オペレータが入力することで前記中継通信システムにログイン可能となるIDには、各オペレータに一意に割り当てられたオペレータIDと、前記オペレータIDとは別に設定された別設定IDと、が含まれており、
前記接続ジョブ作成部は、被接続側の中継サーバと前記別設定IDとを対応付けた接続ジョブを作成することが可能に構成されており、
前記接続側の中継サーバは、
前記管理機能付き中継サーバの識別情報を格納する管理先情報格納部と、
自身を介してログイン中のオペレータが入力したIDが接続候補として設定されている前記接続ジョブの一覧である候補ジョブリストを前記管理機能付き中継サーバから受信した後に、当該候補ジョブリストの中から選択された前記接続ジョブを前記管理機能付き中継サーバに通知する選択ジョブ通知部と、
選択された前記接続ジョブの実行を許可する旨を受信した場合に、当該接続ジョブが示す被接続側の中継サーバとの間に、パケットのルーティングに用いられるルーティングセッションを確立するルーティングセッション確立部と、
前記ルーティングセッションに基づいて、ルーティング制御を行うルーティング制御部と、
を備えることを特徴とする中継通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−221051(P2012−221051A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83826(P2011−83826)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】