中継通信装置および通信制御方法
【課題】
呼制御プロトコルに対応したグローバル網でエラーが発生した場合に、呼制御プロトコルに対応していない端末又はサーバにおいても、グローバル網からのエラー通知を解釈できるようにすることを目的とする。
【解決手段】
呼制御プロトコルに対応するグローバル網と、呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバを含むプライベート網とを連結する中継通信装置であって、端末またはサーバから通信要求を受け、グローバル網内に呼を確立するセッション制御部503と、グローバル網から呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、端末またはサーバが解釈可能な通信プロトコルのエラー通知に変換し、端末又はサーバに送信するエラー応答部506と、を備える。
呼制御プロトコルに対応したグローバル網でエラーが発生した場合に、呼制御プロトコルに対応していない端末又はサーバにおいても、グローバル網からのエラー通知を解釈できるようにすることを目的とする。
【解決手段】
呼制御プロトコルに対応するグローバル網と、呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバを含むプライベート網とを連結する中継通信装置であって、端末またはサーバから通信要求を受け、グローバル網内に呼を確立するセッション制御部503と、グローバル網から呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、端末またはサーバが解釈可能な通信プロトコルのエラー通知に変換し、端末又はサーバに送信するエラー応答部506と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、異なるネットワーク間を連結する中継通信装置、および、その中継通信装置を用いた通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、端末が所属するプライベート網では、高速かつ安価な通信が可能であるが、プライベート網間を接続するグローバル網における通信は、低速かつ高価なものとなる。そのため、グローバル網においては、呼制御プロトコルなどのさまざまなシステムを用いて高速化を図っている。一方、プライベート網では、厳密な帯域制御を必ずしも必要としないため、呼制御プロトコルに対応していない通信方式が採用される場合がある。したがって、プライベート網とグローバル網において、異なる通信方式が採用されることが多く、異なる通信方式間を中継するための変換装置が必要となる。そこで、従来の通信装置では、呼制御未対応の端末からの通信、例えばTCP(Transmission Control Protocol)/UDP(User Data Protocol)による接続要求がゲートウェイ装置に届くと、ゲートウェイ装置がその通信が呼制御を行うべきものであるかの判断をし、呼制御を行うべき通信であると判断した場合、端末からその通信に適した呼制御セッションを張り、呼制御で確立したサービス(帯域や優先度)を付加することにより、呼制御プロトコルに未対応な端末であっても呼制御ネットワークへ適用可能としている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/051594号パンフレット(図1、第8頁〜第11頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の通信装置を用いて端末側からグローバル網への通信が行われた場合、通常であればそのまま帯域の確保や優先度制御が呼制御プロトコルにより実施されるが、グローバル網のエラーにより、帯域の確保、優先度制御が実施されずにエラーがゲートウェイ装置などの中継通信装置に返ってきた場合、中継通信装置ではそのエラーを解釈することができるが、呼制御プロトコルに未対応の端末では、エラーを解釈することができない。そのため、グローバル網において未だエラーが生じているにもかかわらず、再送タイマによる再送が何度も繰り返され、無用な通信の再要求が生じることとなり、ネットワーク上のトラフィックの混雑を引き起こす恐れがある。
【0005】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、呼制御プロトコルに対応したグローバル網でエラーが発生した場合に、呼制御プロトコルに対応していない端末又はサーバにおいても、グローバル網からのエラー通知を解釈できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る中継通信装置は、呼制御プロトコルに対応するグローバル網と、呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバを含むプライベート網とを連結する中継通信装置であって、端末またはサーバから通信要求を受け、グローバル網内に呼を確立するセッション制御部と、グローバル網から呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、端末またはサーバが解釈可能な通信プロトコルのエラー通知に変換し、端末又はサーバに送信するエラー応答部と、を備えるものである。
【0007】
また、この発明に係る中継通信装置は、呼制御プロトコルに対応するグローバル網と、呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバを含むプライベート網と、を連結する中継通信装置であって、端末またはサーバから通信要求信号を受け、グローバル網側への呼を確立して通信を行うセッション制御部と、グローバル網から呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、端末又はサーバとのリンクをダウンさせるエラー応答部とを備えるものである。
【0008】
また、この発明に係る通信制御方法は、中継通信装置が呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバから通信要求を受け、呼制御プロトコルに対応するグローバル網内に呼を確立するセッション制御ステップと、中継通信装置がグローバル網からの呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、端末またはサーバが解釈可能な通信プロトコルのエラー通知を生成し、端末またはサーバへ送信するエラー応答ステップと、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、グローバル網においてエラーが生じた場合でも、呼制御プロトコルに未対応の端末またはサーバにおいて、グローバル網からのエラー通知を解釈することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係るゲートウェイ装置を用いたネットワークの基本構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るゲートウェイ装置の構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1に示す申請成功時のシーケンス図である。
【図4】本発明の実施の形態1に示す従来のゲートウェイ装置を用いた場合におけるエラー発生時のシーケンス図である。
【図5】本発明の実施の形態1に示す従来のゲートウェイ装置の構成図である。
【図6】本発明の実施の形態1に示すクライアント端末に行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の実施の形態1に示すクライアント端末に行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図8】従来のゲートウェイ装置を用いた場合におけるエラー発生時のシーケンス図である。
【図9】本発明の実施の形態2に示すサーバに行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係るゲートウェイ装置の構成図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係るゲートウェイ装置の動作を表すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態3に示すクライアント端末に行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図13】本発明の実施の形態3に示すクライアント端末に行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図14】本発明の実施の形態3に示すクライアント端末に行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図15】本発明の実施の形態3に示すエラー通知に記述する再送可能時間の計算例を示すシーケンス図である。
【図16】本発明の実施の形態4に係るゲートウェイ装置の動作を表すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態4に示すサーバに行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図18】本発明の実施の形態4に示すサーバに行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図19】本発明の実施の形態4に示すサーバに行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図20】本発明の実施の形態4に示すサーバに行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図21】本発明の実施の形態4に示すサーバに行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図22】本発明の実施の形態4に示すエラー通知に記述する再送可能時間の計算例を示すシーケンス図である。
【図23】本発明の実施の形態5に示すリンクダウンによりクライアント端末に再送を停止させる場合のシーケンス図である。
【図24】本発明の実施の形態6に示す無線通信を用いた場合におけるエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1に、本発明の実施の形態1に係る中継通信装置を用いたIP(Internet Protocol)ネットワークの基本構成図を示す。図1において、プライベート網10、20、30がそれぞれグローバル網40により接続されており、また、それぞれのプライベート網とグローバル網との間にはゲートウェイ装置50、51、52が設置されている。また、プライベート網10にはクライアント端末11、12、プライベート網20にはサーバ21、プライベート網30にはサーバ31がそれぞれ配置されている。ここで、クライアント端末11およびサーバ31は呼制御プロトコルであるSIP(Session Initiation Protocol)に対応していない。グローバル網40には、SIPを経由するサーバとしてSIPサーバ41が設けられている。
【0012】
図2に、本発明の実施の形態1に係るゲートウェイ装置の構成図を示す。図2において、LAN(Local Area Network)インタフェース501はプライベート網であるLANに接続するためのインタフェースであり、WAN(Wide Area Network)インタフェース502はグローバル網であるWANに接続するためのインタフェースである。セッション制御部503はNGN(Next Generation Network)等により構成されるグローバル網40に対して、帯域申請等を行い、呼接続の確立を行う。通信プロトコル解析部504は、端末やサーバからの通信に用いられるプロトコルの解析を行う。エラー解析部505はグローバル網40からのエラー通知の解析を行う。エラー応答部506はプライベート網側のクライアント端末やサーバへのエラー通知を行う。
【0013】
次に、ゲートウェイ装置の動作についてシーケンス図を用いて説明する。図3に、グローバル網においてエラーが発生せず、通常の通信が行われる場合のシーケンス図を示す。ゲートウェイ装置50は、クライアント端末11から送信された通信要求としてのTCP SYNパケットを受信した場合、通信プロトコル解析部504により、送信元のIPアドレス、ポート番号、宛先のIPアドレス、ポート番号等を確認し、セッション制御部503により、アプリケーションに合わせた帯域の申請、優先度制御の申請をSIPによる呼接続要求パケットとしてのINVITEパケットをグローバル網に対し送信する。グローバル網40に設けられたSIPサーバ41は、ゲートウェイ装置50からINVITEパケットを受信すると、このINVITEパケットを宛先のゲートウェイ装置51へ転送する。このとき、SIPサーバ41は、ゲートウェイ装置50に準備応答メッセージ100 Tryingメッセージを返す。SIPサーバ40から転送されたINVITEパケットを受信したゲートウェイ装置51は、INVITEパケットを受信したことを示す100 TryingおよびINVITEパケットの受付応答である200 OKをSIPサーバ41に送付する。SIPによる申請が終了したら、ゲートウェイ装置50で待機させていたTCP SYNパケットをSIPで確保された帯域、優先度制御を活用して相手先のサーバ21まで転送し、TCP SYNを受け取ったサーバ21はSYN/ACKを返す。SYN/ACKを受け取ったクライアント端末11は、ACKを返し、TCPセッションがクライアント端末11、サーバ21間で確立される。一度SIPのセッションにより申請が完了すれば、通常の通信と同様の動作となり、クライアント端末11はHTTP GETなどの通信を開始する。
【0014】
次に、グローバル網において、エラーが発生した場合のゲートウェイ装置の動作について示す。ここで、グローバル網におけるエラーとは何らかの理由により、プライベート網から送信された信号が宛先のゲートウェイ装置に到達しない場合をいい、例えば、グローバル網の故障や、通信フローが一時的に増加し、セッションの同時申請が制限され、プライベート網からグローバル網への通信要求が拒否されるような場合をいう。
【0015】
図4は、従来のゲートウェイ装置を用いた場合のシーケンス図である。また、図5に従来のゲートウェイ装置の構成を示す。図5において、図2と同一の符号は同一または同様の部分を示している。クライアント端末11からTCPの通信要求としてのTCP SYNパケットがゲートウェイ装置50に到着し、ゲートウェイ装置50は通信プロトコル解析部504により通信要求を解析する。解析結果に基づいて、セッション制御部503によりグローバル網40に対してSIPによる呼接続要求としてのINVITEパケットを送信し、帯域、優先制御の申請を行う。しかし、グローバル網40においてエラーが発生したため申請が失敗し、ゲートウェイ装置50にSIPのエラー通知である4xx リクエストエラーが返っている。ゲートウェイ装置では、SIPのエラー通知を解釈することができるが、クライアント端末はSIPに対応していないためこのエラー通知を解釈することができない。そのため、クライアント端末に対してエラー通知は行われず、再送タイマによる通信要求の再送が何度も行われており、無用な通信要求が発生している。
【0016】
図6は、本発明の実施の形態1に係るゲートウェイ装置を用いた場合における、グローバル網のエラー発生時のシーケンス図である。図4に示す従来のゲートウェイ装置を用いた場合と同様に、ゲートウェイ装置50から送信されたSIPによる申請に対し、グローバル網40からSIPのエラー通知が返ってきている。実施の形態1に係るゲートウェイ装置では、エラー解析部505により、受け取ったSIPのエラー通知を読み取ってその内容、例えば、エラー通知に含まれる応答コードやRetry After等のメッセージを読み取り、グローバル網におけるエラーの発生をエラー応答部506に通知する。通知を受けたエラー応答部506では、グローバル網から受け取ったSIPのエラー通知をTCP RSTに変換し、クライアント端末11にエラー通知として送信する。TCP RSTはSIPに対応していないクライアント端末でも解釈できるため、TCP RSTを受け取ったクライアント端末11は通信を停止させ、再送を発生させないようにしている。
【0017】
実施の形態1に係るゲートウェイ装置では、以上のような構成をしているため、通信の要求を行うクライアント端末が呼制御プロトコルに対応していない場合であっても、グローバル網側のエラー通知を認識することができるようになり、無用な通信の再要求が発生しないという効果が得られる。
【0018】
ここでは、ゲートウェイ装置40がクライアント端末11に対し、TCP RSTを返すようにした場合について示したが、図7に示すように、IPによるエラーメッセージであるICMP(Internet Control Message Protocol) Netwwork Unreachableを返答し、クライアント端末11からの通信を停止させ、通信要求の再送を発生させないようにすることもできる。
【0019】
また、中継通信装置としてゲートウェイ装置を用いた場合について示したが、ゲートウェイ装置のほか、IPパケットを中継できる装置(例えばルータ等)であっても同様の効果が得られる。さらに、呼制御プロトコルとしてSIPを用いた場合について示したが、H.323、MGCP等のプロトコルを用いてもよい。また、クライアント端末に対し通信要求の再送を停止させるためのエラー通知を行う場合について示したが、クライアント端末が複数のネットワークに接続されている場合には、異なるネットワーク(例えば無線通信網)などによる通信に変更させるエラー通知としてもよい。
【0020】
実施の形態2.
実施の形態1では、クライアント端末から通信要求が送信された場合について示したが、実施の形態2ではサーバ側から通信要求が送信された場合について示す。本発明の実施の形態2に係るゲートウェイ装置を用いたIPネットワークの基本構成図は、実施の形態1と同様であり、図1に示すとおりである。また、本発明の実施の形態2に係るゲートウェイ装置の構成は、実施の形態1に係るゲートウェイ装置と同様であり、図2に示す通りである。
【0021】
図8に、従来のゲートウェイ装置を用いた場合のシーケンス図を示す。サーバ31から、クライアント端末12に対して、動画などで利用されるRTP(Real−time Transport Protocol)パケットが送信され、ゲートウェイ装置52に到達すると、ゲートウェイ装置52は実施の形態1の場合と同様に送信元、宛先のIPアドレスとポート番号を解析し、グローバル網40にSIPの呼接続要求としてのINVITEパケットを送信する。しかし、グローバル網でエラーがあり、ゲートウェイ装置にSIPのエラー通知4xx リクエストエラーが返されている。ゲートウェイ装置52では、SIPのエラー通知を解釈することができるが、サーバ31はSIPに対応していないため、このエラー通知を解釈することができない。そのため、サーバ31に対してエラー通知が行われず、サーバからは常にRTPパケットが送信され続けている。
【0022】
図9は、本発明の実施の形態2に係るゲートウェイ装置を用いた場合における、グローバル網のエラー発生時のシーケンス図である。図8に示す場合と同様に、通信要求および呼接続要求が送信され、グローバル網のエラーにより、エラー通知4xx リクエストエラーが返されている。エラー通知を受信したゲートウェイ装置52は、エラー解析部505により受信したエラー通知を解析し、解析結果に基づいてエラー応答部506によりサーバ31に対してIPによるエラー通知であるNetwwork Unreachableを返す。このエラー通知はSIPに未対応のサーバ31でも解釈可能なエラー通知であり、エラー通知を受け取ったサーバ31は、サーバからの通信を停止させている。
【0023】
実施の形態2に係るゲートウェイ装置では、以上のような構成をしているため、通信の要求を行うサーバが呼制御プロトコルに対応していない場合であっても、グローバル網側のエラーを認識することができるようになり、通常の通信と同様のエラー時の判断をすることができる。従って、無用な通信の再要求を実施しないという効果が得られる。
【0024】
ここでは、中継通信装置としてゲートウェイ装置を用いた場合について示したが、ゲートウェイ装置のほか、IPパケットを中継できる装置(例えばルータ等)であっても同様の効果が得られる。また、呼制御プロトコルとしてSIPを用いた場合について示したが、H.323、MGCP等のプロトコルを用いてもよい。さらに、サーバに対し通信要求の再送を停止させるためのエラー通知を行う場合について示したが、サーバが複数のネットワークに接続されている場合には、異なるネットワーク(例えば無線通信網)などによる通信に変更させるエラー通知としてもよい。
【0025】
実施の形態3.
実施の形態1では、ゲートウェイ装置がエラー通知を受け取った場合、クライアント端末の通信方式に関わらず同じエラー通知を返す方式について示したが、実施の形態3では、クライアント端末の通信方式に応じてエラー通知の種類を変更させる方式について示す。本発明の実施の形態3に係るゲートウェイ装置を用いたIPネットワークの基本構成図は、実施の形態1と同様であり、図1に示すとおりである。
【0026】
実施の形態3に係るゲートウェイ装置の構成を図10に示す。図10において、タイマ計算部507は、エラー応答により通信を停止させた後、通信要求の再送可能時間の計算を行う。なお、図2と同一の符号については同一または同様の部分を示す。
【0027】
図11は、本発明の実施の形態3に係るゲートウェイ装置の動作を示すフローチャートである。クライアント端末11によりTCPによる通信要求が発生し(ステップS1)、プライベート網とグローバル網との間に存在する中継通信装置であるゲートウェイ装置50において、この通信要求を受信する(ステップS2)。通信要求を受信したゲートウェイ装置50は、通信プロトコル解析部504により、この通信要求の内容を解釈するとともに、この通信要求をトリガとして、セッション制御部503によりグローバル網40に対してSIPによる帯域申請、優先度申請等を行う(ステップS3)。ステップS4では、セッション制御部503によりSIPによる申請が成功したかの判定を行い、SIPによる申請が成功した場合には、ステップS5へと進む。ステップS5では、図3に示す場合と同様に通信要求をグローバル網側に転送し、申請したサービスを適用した状態での通常通りの通信を開始する。
【0028】
一方、グローバル網においてエラーが発生した場合、SIPによる申請が失敗し、グローバル網側よりエラー通知が返されると、ゲートウェイ装置50はクライアント端末11に通信要求に対する暫定応答を返す(ステップS6)。暫定応答を受けたクライアント端末11は、その後HTTPなどのアプリケーションの通信を開始する(ステップS7)。ゲートウェイ装置ではこのアプリケーションの通信を受信し(ステップS8)、プロトコル解析部504により受け取った通信の種別の解析を行う(ステップS9)。解析の結果に基づいて、エラー応答部506によりそれぞれの通信方式に合わせて応答の種別を変更し、通信要求を行ったクライアント端末11にエラー通知を返す。これにより、クライアント端末からの通信方式に応じた通知することができ、再送可能時間などの詳細なエラー通知を行うことが可能となる。ここでは、エラー通知を行う際に応答時間についてグローバル網より通知が来ている場合には、エラー通知にその時間も追加して応答する(ステップS10〜S13)。
【0029】
図12は、クライアント端末11からサーバ21に対し、通信方式としてHTTPを利用してアクセスを行った場合のシーケンス図である。クライアント端末11から通信要求としてのTCP SYNパケットがゲートウェイ装置50に到着すると、それを受けてゲートウェイ装置50はグローバル網40に対してSIPの呼接続要求としてのINVITEパケットを送信し、帯域等の申請を行う。グローバル網40において何らかのエラーが発生し、グローバル網40からSIPのエラー通知4xx リクエストエラーが返されると、ゲートウェイ装置50は、エラー解析部505によりエラー通知の内容、例えば、エラー通知に含まれる応答コードやRetry After等のメッセージを読み取り、読み取った内容をエラー応答部506に通知する。通知を受け取ったエラー応答部506は、クライアント端末11に対して、暫定応答としてTCP SYN/ACKを返す。暫定応答を受信したクライアント端末11は、HTTP GETなどのHTTPによる通信を開始し、ゲートウェイ装置50がこの通信を受信する。ゲートウェイ装置50は、通信プロトコル解析部504により、クライアント端末11からの通信の通信方式を解析し、解析した通信方式をエラー応答部507に通知する。通信方式がHTTPである場合には、クライアント端末11からのHTTPによる通信をグローバル網40へとは通さず、その応答として、エラー応答部507により、SIPのエラー通知をHTTPによるエラー通知(503 Service Unavailable)に変換し、クライアント端末11に返す。
【0030】
ここで、エラー解析部505は、グローバル網40からのエラー通知にSIPの受付時間の記載がある場合にはその時間をエラー応答部506に通知する。エラー応答部506では、HTTPによるエラー通知にその時間を記述し、クライアント端末11にエラー通知を返す。一方、SIPの受付時間の記載がない場合にはタイマ計算部507にグローバル網40からのエラー通知の内容を通知し、タイマ計算部507ではグローバル網40からのエラー通知の内容に基づいて計算した再接続要求可能な時間をエラー通知に記述し、クライアント端末11にエラー通知を返す(ステップS10b〜S13b)。ここでは、503 Service Unavailableのメッセージに再接続要求の時間を設定するRetry−Afterを記述することにより、再接続要求可能な時間が設定されたエラー通知を行うことができる。また、エラー通知の内容とはSIPの応答コードであり、例えば400 Bad Requestのように定められているものである。エラー通知の内容に応じて、再接続までの時間を設定することもできる。これにより、グローバル網において生じたエラーの内容に応じた再接続要求時間をクライアント端末に通知することができ、効率的な通信を行うことができる。
【0031】
クライアント端末11はこのHTTPのエラー通知を解釈することができ、FINパケットを送信しゲートウェイ装置50との通信の切断を行う。そして、Retry−Afterに記述されている時間後に再接続を試みる。図12においては、HTTPによるエラー通知にRetry−After 30を設定し、エラー通知を受け取ったクライアント端末11はエラー通知を受信後30秒後に、通信要求を再送する。通信要求の再送時には、グローバル網におけるエラーは解消されており、実施の形態1の図3に示す場合と同様にTCPセッションが確立されHTTPによる通信を行うことができる。
【0032】
図12では、ゲートウェイ装置40からの503 Service UnavailableのRetry−Afterに再接続を行うまでの時間を記述した場合について示したが、図13に示すように、GMT(Greenwich Mean Time)時間を記述してもよい。GMT時間を記述することにより、クライアント端末はその時間に再接続を試みる。
【0033】
次に、通信方式としてFTP(File Transfer Protocol)を利用した場合について示す。クライアント端末11からサーバ21に対し、通信方式としてFTPを利用してアクセスを行った場合のシーケンス図を図14に示す。図14において、クライアント端末11からFTPによる通信要求が発生すると、図12に示すHTTPによる通信の場合と同様に、ゲートウェイ装置50はグローバル網40に対してSIPの呼接続要求としてINVITEパケットを送信し、帯域および優先度制御等の申請を行う。グローバル網40よりエラー通知があると、ゲートウェイ装置50より、TCPによる暫定応答としてTCP SYN/ACKをクライアント端末に返す。ゲートウェイ端末50から暫定応答を受け取ったクライアント端末11はFTPによる通信を行う。ゲートウェイ装置50は、通信プロトコル解析部504において、クライアント端末11からの通信を解析する(ステップS9)。クライアント端末11からの通信が、FTPによるものであると認識した場合には、FTPによる通信に対してResponseコード120をクライアント端末11に返す(ステップS13a)。ここで、グローバル網からのエラー通知にSIPの受付時間の記載がある場合にはその時間を、ない場合にはタイマ計算部507により計算を行った再送可能時間をResponseコード120に指定し(ステップS11a、S12a)、クライアント端末11に対して何分後にサーバが準備できるかを通知することで、同時にクライアント端末からの要求を停止させることが可能となる。図14においては、Service ready in 5 minutesを設定し、Responseコード120の受信から5分後に、通信要求を再送させている。通信要求の再送時にはグローバル網40におけるエラーは解消されており、実施の形態1の図3に示す場合と同様にTCPセッションを確立させ、FTPによる通信を行う。
【0034】
また、FTPおよびHTTP以外の通信方式による通信を受けた場合、実施の形態1で示した場合と同様に、SIPに対応していない端末においても解釈可能なTCP RSTを返す構成としている(ステップS13c)。
【0035】
図15は、タイマ計算部507における、再接続までの時間(Retry−After)の計算方法の例である。SIPを用いたシステムでは、通信が終了してからSIPによる接続を切断するまでの時間は、即時ではなく、一定時間待ってから終了させる場合がある。ここで、グローバル網側の制限として、一定数までのSIPによる申請までしか受け付けていない状態を前提とする。クライアント端末11からTCP FINパケットを送信し、ゲートウェイ装置50およびクライアント端末11からそれぞれ応答メッセージであるTCP FIN/ACKおよびACKパケットが返されることにより、既存の通信が終了する。そして、一定時間経過後にゲートウェイ装置50によりBYEが送信され、SIPサーバ41により宛先のゲートウェイ装置52に転送される。ゲートウェイ装置52およびSIPサーバ41により200 OKが返されることにより、SIPによる接続が切断される。その間に、他の新しい通信が発生した場合、グローバル網40により新しい通信は拒否され、エラー通知が返される。エラー通知を受け取ったゲートウェイ装置50は、Retry−After等でクライアント端末11に対して、既存の通信のSIPによる申請が切断されるまでの時間を計算し、それを通知する。図15における再送までの時間は、予め設定されている通信の終了を表すFINパケットの送信から実際にSIPの申請を切断するBYEまでの設定時間(図15中でY)と、それまでに実際に行われた通信におけるFINパケットの送信から、ゲートウェイ装置がクライアント端末に対してエラー通知を返すまでの経過時間(図15中でX)から計算しており、通信要求の再送までの時間(図15中でZ)はZ=Y−Xで求められる。求めた時間Zをクライアント端末11に通知することにより、その時間後に通信要求の再送を行わせることができる。なお、多少の処理差を考慮し、Retry−Afterで通知する時間を数秒ずらすことも可能である。
【0036】
なお、クライアント端末のユーザがブラウザ(HTTP)を利用した通信を行い、グローバル網よりエラーが返された場合、自動的に再接続をさせる方法とは別に、ブラウザに現在の状況(エラーの状態や何秒後に復帰するというRetry−Afterの情報など)を表示させ、ユーザ自身に再接続させる方法をとってもよい。
【0037】
本発明の実施の形態3に係るゲートウェイ装置では、以上のような構成をしているため、呼制御プロトコルに対応していないクライアント端末に対しても、その通信方式に応じたエラー通知を行うことができ、また、通信要求の再送可能時間を通知することができる。これにより、無用な通信の再要求を実施させず、効率的な通信が可能となる。
【0038】
ここでは、中継通信装置としてゲートウェイ装置を用いた場合について示したが、ゲートウェイ装置のほか、IPパケットを中継できる装置(例えばルータ等)であっても同様の効果が得られる。また、呼制御プロトコルとしてSIPを用いた場合について示したが、H.323、MGCP等のプロトコルを用いてもよい。
【0039】
また、ここでは、エラー通知を受け取ったゲートウェイ装置から暫定応答をクライアント端末に返す方式について示したが、通信方式をクライアント端末からの通信要求から読み取り、エラー通知を返す方法、すなわち、図11に示すフローチャートのうちステップS6〜ステップS8を省略することもできる。これにより、クライアント端末からの通信の詳細な内容は解析できないものの、クライアント端末からの通信を減少させることができる。
【0040】
実施の形態4.
実施の形態3では、クライアント端末からの通信要求を送信した場合について示したが、実施の形態4では、サーバから通信要求が発生する場合について示す。本発明の実施の形態3に係る中継通信装置を用いたIPネットワークの基本構成図は、実施の形態1と同様であり、図1に示すとおりである。また、ゲートウェイ装置の構成は、実施の形態3と同様であり、図10に示すとおりである。
【0041】
図16は、サーバ31からクライアント端末12に対してUDPによる通信が発生した場合のフローチャートである。プライベート網30に収容されているサーバ31よりUDPによる新規の通信要求が発生する(ステップS1)と、プライベート網30とグローバル網40の間に存在するゲートウェイ装置52において、この通信を受信する(ステップS2)。この新規の通信を受信したゲートウェイ装置は通信の内容(宛先IPアドレス、宛先ポート番号、送信元IPアドレス、送信元ポート番号等)を解釈すると共に、グローバル網40に対してSIPによる帯域申請、優先度申請などを行う(ステップS3)。ステップS4において、SIPによる申請が成功したかの判定を行い、SIPによる申請が成功した場合には、ステップS5に進み、新規の通信を申請したサービスを適用した状態での通信を通常通り行う。
【0042】
一方、SIPによる申請が失敗し、グローバル網側よりエラーが返されると、ゲートウェイはサーバにRTSP(Real Time Streaming Protocol)メッセージ/RTCP(Real−time Transport Control Protocol)応答等を返す。その際に、SIPの受付時間についてグローバル網40より通知されている場合には、メッセージにその時間を追加し、通知されていない場合には再送応答時間を計算し、メッセージに計算した時間を追加して応答する(ステップS10d〜S13d)。
【0043】
図17に、サーバ31よりクライアント端末12に対してRTPによる通信が行われた場合のシーケンス図である。サーバ31よりRTPパケットがゲートウェイ装置52に到着すると、それを受けてゲートウェイ装置52はSIPの呼接続要求としてINVITEパケットを送信し、帯域等の申請を行う。グローバル網においてエラーが発生し、エラー通知が返されると、図12に示す場合と同様に、ゲートウェイ装置52のエラー解析部505によりエラーの内容を解析し、エラー応答部506にエラーの内容を通知する。エラー応答部506は、サーバ31に対して、RTSPのANNOUNCEメソッドを返す。ここで、エラー解析部505は、グローバル網40からのエラー通知にSIPの受付時間の記載がある場合にはその時間をエラー応答部506に通知し、エラー応答部506では、エラー通知にその時間を記述して、サーバ31に対してエラー通知を行う。一方、SIPの受付時間の記載がない場合にはタイマ計算部507にグローバル網40からのエラー通知の内容を通知し、タイマ計算部507ではグローバル網40からのエラー通知の内容に基づいて計算した再接続要求可能な時間をエラー通知に記述して、サーバ31に対してエラー通知を行う(ステップS10b〜S13b)。再送応答時間の記述は、RTSPのANNOUNCEメソッドのSDP(Session Description Protocol)にt行を指定し、開始時間(start time)を指定することにより行う。このエラー通知は、SIPに対応していないサーバであっても解釈可能であり、RTPによる通信を停止させ、start timeの時間にサーバからの再通信が開始されるようになる。この際ANNOUNCEメソッドでは、サーバのRTPパケットを送信しているポート番号を指定することにより、目的のRTPパケットを停止させるようにする。この例ではANNOUNCEメソッドを利用したが、SDPのt行を指定できるRTSPのメッセージであればなんでも良い。
【0044】
図17ではエラー通知として、RTSPのANNOUNCEメソッドを返す場合について示したが、図18では、サーバからクライアント端末11に対してRTPによる通信が行われた際に、RTSPのPAUSEメソッドを使用して、通信を停止させる方式について示す。グローバル網40よりエラーがゲートウェイ装置51に返されたときに、RTSPのPAUSEメソッドをサーバ31に対して送信することにより、サーバからのRTPパケットを停止させ、グローバル網40に対しての申請が可能となったときにRTSPのPLAYメソッドを利用してサーバ31からの通信を再開させる。この際もRTSPのポート番号の指定は、サーバ31のRTPを流しているポート番号とする。
【0045】
図19は図17と同様に、エラー通知としてRTSPのANNOUNCEを利用している。図19においては、RTSPのANNOUNCEメソッドのSDPにb行を指定し、利用帯域を0.0とすることで(b=0.0)、サーバに対して利用帯域幅が少ないことを示し、サーバ31からの通信の停止を促す。再開時にはANNOUNCEのSDPのb行に0よりも大きい数値を入れることにより、再度通信の再開を促す。図19では、再開時のANNOUNCEのSDPのb行を1.0とした場合について示す。なお、この例ではANNOUNCEメソッドを利用したが、SDPのb行を指定できるRTSPのメッセージであればよい。
【0046】
RTSPのメッセージでは、Cseq番号によって、どのメッセージに対する応答かどうかを判断する。ゲートウェイ装置52が独自にサーバ31に対してRTSPのメッセージを送信すると、クライアント端末12とサーバ31の間でのCseq番号にずれが生じる可能性がある。そのため、ゲートウェイ装置50もしくは52においてRTSPメッセージを一度終端し、Cseq番号を付け替えてからサーバ31に送るようにすることにより、Cseq番号にずれが生じた場合にも問題なく通信を行うことができる。図20に、ゲートウェイ装置52により、Cseq番号を付け替える場合のシーケンス図を示す。図20では、図19に示す場合と同様に、RTPの再送によりUDPによる接続を確立し、クライアント端末12からRTSPのメッセージがCseq=1と設定されて送信されている。RTSPのメッセージを受け取ったゲートウェイ装置52は、このメッセージを終端し、Cseq=100と付け替えてからサーバ31に対して送信している。サーバ31からの応答を受け取ったゲートウェイ装置は、このメッセージを終端し、Cseq=100と付け替えてからクライアント装置12に対して送信している。
【0047】
図21は、ゲートウェイ装置からRTPの標準的な応答であるRTCPのRR(Receive Report)によりエラー通知を返す場合のシーケンス図を示す。サーバ31よりRTPの通信が発生し、グローバル網40よりエラー通知があった場合に、ゲートウェイ装置52はサーバ31に対してRTPの標準的な応答であるRTCPのRRにより、欠落率100%を通知する。これにより、サーバ31にグローバル網側にパケットが届かない旨を示唆し、サーバ側からのRTPの通信を抑制する。通信の再開時には、RTCPのRRにより、欠落率0%を通知することにより、サーバ31にグローバル網側へのパケット送信が可能である旨を示唆する。
【0048】
図22は、サーバ31に対して再接続までの時間(図22では、RTSPメッセージのt行を利用)の設定方法の例である。図15に示す場合と同様に、サーバ31からの既存の通信が終了し、実際にSIPによる申請が切断されるまでの一定時間に、他の新しい通信要求が発生した場合、グローバル網40により新しい通信は拒否され、エラー通知が返される。エラー通知を受け取ったゲートウェイ装置52は、サーバに対して通知するRTSPメッセージのt行等の設定時間は、他の通信の最後のRTPパケット到着時間から現在時刻までの経過時間(図22中でX)と、予め設定されているゲートウェイ装置のRTPの最終パケットからBYE送信までの時間(図22中でY)とから計算され、start timeへの設定時間を 現在時刻+(Y−X) と設定し、それを通知する。なお、多少の処理差を考慮し、t行等で通知する時間を数秒ずらしてもよい。
【0049】
本発明の実施の形態4に係るゲートウェイ装置では、以上のような構成をしているため、呼制御プロトコルに対応していないサーバに対しても、その通信方式に応じたエラー通知を行うことができ、また、通信要求の再送可能時間を通知することにより、無用な通信の再要求を実施させず効率的な通信が可能となる。
【0050】
ここでは、中継通信装置としてゲートウェイ装置を用いた場合について示したが、ゲートウェイ装置のほか、IPパケットを中継できる装置(例えばルータ等)であっても同様の効果が得られる。また、呼制御プロトコルとしてSIPを用いた場合について示したが、H.323、MGCP等のプロトコルを用いてもよい。
【0051】
実施の形態5.
実施の形態3では、エラー通知を受け取ったゲートウェイ装置がクライアント端末に対して、クライアント端末の解釈可能なエラー通知を行う方式について示したが、実施の形態5では、エラー通知を受け取ったゲートウェイ装置が、クライアント端末とのリンクをダウンさせる方式について示す。本発明の実施の形態3に係るゲートウェイ装置を用いたIPネットワークの基本構成図は、実施の形態1と同様であり、図1に示すとおりである。また、実施の形態5に係るゲートウェイ装置の構成は、実施の形態1と同様であり、図2に示すとおりである。
【0052】
図23は、エラー通知を受け取ったゲートウェイ装置が、クライアント端末とのリンクをダウンさせる場合のシーケンス図である。図23において、ゲートウェイ装置50は、実施の形態1において図6に示す場合と同様に、グローバル網からのエラー通知に対応して、ゲートウェイ装置50がクライアント端末11に対してTCP RSTを送信する。ゲートウェイ装置50は、TCP RSTを送信後、エラー応答部506により、クライアント端末11に対応する物理ポートをリンクダウンさせる。リンクダウン中であるため、クライアント端末11からの通信は発生しない。グローバル網40に対してSIPによる申請が可能になった場合、ゲートウェイ装置50はリンクダウンしていたリンクをアップすることにより、クライアント端末40からの要求を再度受け付けるようにし、図3に示すようにTCPによる接続を確立し通信を行う。この方法はクライアント端末側だけでなく、サーバ31とゲートウェイ装置52間においても同様に行うことができる。
【0053】
本発明の実施の形態5に係るゲートウェイ装置では、以上のような構成をしているためクライアント端末が呼制御プロトコルに対応していない場合であっても、無用な通信の再要求を実施しないという効果が得られる。
【0054】
ここでは、中継通信装置としてゲートウェイ装置を用いた場合について示したが、ゲートウェイ装置のほか、IPパケットを中継できる装置(例えばルータ等)であっても同様の効果が得られる。また、呼制御プロトコルとしてSIPを用いた場合について示したが、H.323、MGCP等のプロトコルを用いてもよい。
【0055】
実施の形態6.
実施の形態5では、有線による通信を利用した場合について示したが、本発明の実施の形態6では、無線通信を利用する方式について示す。実施の形態6に係るゲートウェイ装置の構成は、実施の形態1と同様であり、図2に示すとおりである。
【0056】
図24は、クライアント端末11とゲートウェイ装置50間において、無線通信が利用された場合の例である。図23と同様にリンクダウンを行う意味で、無線LANにおけるアクセスポイントの識別子であるSSID(Service Set Identifier)を変更などすることにより、クライアント端末からの通信を拒否し、クライアント端末からの通信を発生させないようにする。再度グローバル網40に対して申請が可能となる状態となった後に、クライアント端末11からのSSIDを元に戻す変更を行い、クライアント端末11からの要求を再度受け付けるようにする。そして、図3に示す場合と同様にTCPによる接続を確立し、通信を行う。この方法はクライアント側だけでなくサーバ側31とゲートウェイ装置52間においても同様となる。
【0057】
本発明の実施の形態6に係るゲートウェイ装置では、以上のような構成をしているため無線通信を用いるネットワークにおいて、クライアント端末が呼制御プロトコルに対応していない場合であっても、無用な通信の再要求を実施しないという効果が得られる。
【0058】
ここでは、中継通信装置としてゲートウェイ装置を用いた場合について示したが、ゲートウェイ装置のほか、IPパケットを中継できる装置(例えばルータ等)であっても同様の効果が得られる。また、呼制御プロトコルとしてSIPを用いた場合について示したが、H.323、MGCP等のプロトコルを用いてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 プライベート網、11,12 クライアント端末、20 プライベート網、21 サーバ端末、30 プライベート網、31 サーバ端末、40 グローバル網、41 SIPサーバ、50〜52 ゲートウェイ装置、501 LANインタフェース、502 WANインタフェース、503 セッション制御部、504 通信プロトコル解析部、505 エラー解析部、506 エラー応答部、507 タイマ計算部
【技術分野】
【0001】
この発明は、異なるネットワーク間を連結する中継通信装置、および、その中継通信装置を用いた通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、端末が所属するプライベート網では、高速かつ安価な通信が可能であるが、プライベート網間を接続するグローバル網における通信は、低速かつ高価なものとなる。そのため、グローバル網においては、呼制御プロトコルなどのさまざまなシステムを用いて高速化を図っている。一方、プライベート網では、厳密な帯域制御を必ずしも必要としないため、呼制御プロトコルに対応していない通信方式が採用される場合がある。したがって、プライベート網とグローバル網において、異なる通信方式が採用されることが多く、異なる通信方式間を中継するための変換装置が必要となる。そこで、従来の通信装置では、呼制御未対応の端末からの通信、例えばTCP(Transmission Control Protocol)/UDP(User Data Protocol)による接続要求がゲートウェイ装置に届くと、ゲートウェイ装置がその通信が呼制御を行うべきものであるかの判断をし、呼制御を行うべき通信であると判断した場合、端末からその通信に適した呼制御セッションを張り、呼制御で確立したサービス(帯域や優先度)を付加することにより、呼制御プロトコルに未対応な端末であっても呼制御ネットワークへ適用可能としている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/051594号パンフレット(図1、第8頁〜第11頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の通信装置を用いて端末側からグローバル網への通信が行われた場合、通常であればそのまま帯域の確保や優先度制御が呼制御プロトコルにより実施されるが、グローバル網のエラーにより、帯域の確保、優先度制御が実施されずにエラーがゲートウェイ装置などの中継通信装置に返ってきた場合、中継通信装置ではそのエラーを解釈することができるが、呼制御プロトコルに未対応の端末では、エラーを解釈することができない。そのため、グローバル網において未だエラーが生じているにもかかわらず、再送タイマによる再送が何度も繰り返され、無用な通信の再要求が生じることとなり、ネットワーク上のトラフィックの混雑を引き起こす恐れがある。
【0005】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、呼制御プロトコルに対応したグローバル網でエラーが発生した場合に、呼制御プロトコルに対応していない端末又はサーバにおいても、グローバル網からのエラー通知を解釈できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る中継通信装置は、呼制御プロトコルに対応するグローバル網と、呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバを含むプライベート網とを連結する中継通信装置であって、端末またはサーバから通信要求を受け、グローバル網内に呼を確立するセッション制御部と、グローバル網から呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、端末またはサーバが解釈可能な通信プロトコルのエラー通知に変換し、端末又はサーバに送信するエラー応答部と、を備えるものである。
【0007】
また、この発明に係る中継通信装置は、呼制御プロトコルに対応するグローバル網と、呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバを含むプライベート網と、を連結する中継通信装置であって、端末またはサーバから通信要求信号を受け、グローバル網側への呼を確立して通信を行うセッション制御部と、グローバル網から呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、端末又はサーバとのリンクをダウンさせるエラー応答部とを備えるものである。
【0008】
また、この発明に係る通信制御方法は、中継通信装置が呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバから通信要求を受け、呼制御プロトコルに対応するグローバル網内に呼を確立するセッション制御ステップと、中継通信装置がグローバル網からの呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、端末またはサーバが解釈可能な通信プロトコルのエラー通知を生成し、端末またはサーバへ送信するエラー応答ステップと、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、グローバル網においてエラーが生じた場合でも、呼制御プロトコルに未対応の端末またはサーバにおいて、グローバル網からのエラー通知を解釈することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係るゲートウェイ装置を用いたネットワークの基本構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るゲートウェイ装置の構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1に示す申請成功時のシーケンス図である。
【図4】本発明の実施の形態1に示す従来のゲートウェイ装置を用いた場合におけるエラー発生時のシーケンス図である。
【図5】本発明の実施の形態1に示す従来のゲートウェイ装置の構成図である。
【図6】本発明の実施の形態1に示すクライアント端末に行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の実施の形態1に示すクライアント端末に行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図8】従来のゲートウェイ装置を用いた場合におけるエラー発生時のシーケンス図である。
【図9】本発明の実施の形態2に示すサーバに行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係るゲートウェイ装置の構成図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係るゲートウェイ装置の動作を表すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態3に示すクライアント端末に行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図13】本発明の実施の形態3に示すクライアント端末に行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図14】本発明の実施の形態3に示すクライアント端末に行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図15】本発明の実施の形態3に示すエラー通知に記述する再送可能時間の計算例を示すシーケンス図である。
【図16】本発明の実施の形態4に係るゲートウェイ装置の動作を表すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態4に示すサーバに行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図18】本発明の実施の形態4に示すサーバに行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図19】本発明の実施の形態4に示すサーバに行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図20】本発明の実施の形態4に示すサーバに行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図21】本発明の実施の形態4に示すサーバに行うエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【図22】本発明の実施の形態4に示すエラー通知に記述する再送可能時間の計算例を示すシーケンス図である。
【図23】本発明の実施の形態5に示すリンクダウンによりクライアント端末に再送を停止させる場合のシーケンス図である。
【図24】本発明の実施の形態6に示す無線通信を用いた場合におけるエラー通知の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1に、本発明の実施の形態1に係る中継通信装置を用いたIP(Internet Protocol)ネットワークの基本構成図を示す。図1において、プライベート網10、20、30がそれぞれグローバル網40により接続されており、また、それぞれのプライベート網とグローバル網との間にはゲートウェイ装置50、51、52が設置されている。また、プライベート網10にはクライアント端末11、12、プライベート網20にはサーバ21、プライベート網30にはサーバ31がそれぞれ配置されている。ここで、クライアント端末11およびサーバ31は呼制御プロトコルであるSIP(Session Initiation Protocol)に対応していない。グローバル網40には、SIPを経由するサーバとしてSIPサーバ41が設けられている。
【0012】
図2に、本発明の実施の形態1に係るゲートウェイ装置の構成図を示す。図2において、LAN(Local Area Network)インタフェース501はプライベート網であるLANに接続するためのインタフェースであり、WAN(Wide Area Network)インタフェース502はグローバル網であるWANに接続するためのインタフェースである。セッション制御部503はNGN(Next Generation Network)等により構成されるグローバル網40に対して、帯域申請等を行い、呼接続の確立を行う。通信プロトコル解析部504は、端末やサーバからの通信に用いられるプロトコルの解析を行う。エラー解析部505はグローバル網40からのエラー通知の解析を行う。エラー応答部506はプライベート網側のクライアント端末やサーバへのエラー通知を行う。
【0013】
次に、ゲートウェイ装置の動作についてシーケンス図を用いて説明する。図3に、グローバル網においてエラーが発生せず、通常の通信が行われる場合のシーケンス図を示す。ゲートウェイ装置50は、クライアント端末11から送信された通信要求としてのTCP SYNパケットを受信した場合、通信プロトコル解析部504により、送信元のIPアドレス、ポート番号、宛先のIPアドレス、ポート番号等を確認し、セッション制御部503により、アプリケーションに合わせた帯域の申請、優先度制御の申請をSIPによる呼接続要求パケットとしてのINVITEパケットをグローバル網に対し送信する。グローバル網40に設けられたSIPサーバ41は、ゲートウェイ装置50からINVITEパケットを受信すると、このINVITEパケットを宛先のゲートウェイ装置51へ転送する。このとき、SIPサーバ41は、ゲートウェイ装置50に準備応答メッセージ100 Tryingメッセージを返す。SIPサーバ40から転送されたINVITEパケットを受信したゲートウェイ装置51は、INVITEパケットを受信したことを示す100 TryingおよびINVITEパケットの受付応答である200 OKをSIPサーバ41に送付する。SIPによる申請が終了したら、ゲートウェイ装置50で待機させていたTCP SYNパケットをSIPで確保された帯域、優先度制御を活用して相手先のサーバ21まで転送し、TCP SYNを受け取ったサーバ21はSYN/ACKを返す。SYN/ACKを受け取ったクライアント端末11は、ACKを返し、TCPセッションがクライアント端末11、サーバ21間で確立される。一度SIPのセッションにより申請が完了すれば、通常の通信と同様の動作となり、クライアント端末11はHTTP GETなどの通信を開始する。
【0014】
次に、グローバル網において、エラーが発生した場合のゲートウェイ装置の動作について示す。ここで、グローバル網におけるエラーとは何らかの理由により、プライベート網から送信された信号が宛先のゲートウェイ装置に到達しない場合をいい、例えば、グローバル網の故障や、通信フローが一時的に増加し、セッションの同時申請が制限され、プライベート網からグローバル網への通信要求が拒否されるような場合をいう。
【0015】
図4は、従来のゲートウェイ装置を用いた場合のシーケンス図である。また、図5に従来のゲートウェイ装置の構成を示す。図5において、図2と同一の符号は同一または同様の部分を示している。クライアント端末11からTCPの通信要求としてのTCP SYNパケットがゲートウェイ装置50に到着し、ゲートウェイ装置50は通信プロトコル解析部504により通信要求を解析する。解析結果に基づいて、セッション制御部503によりグローバル網40に対してSIPによる呼接続要求としてのINVITEパケットを送信し、帯域、優先制御の申請を行う。しかし、グローバル網40においてエラーが発生したため申請が失敗し、ゲートウェイ装置50にSIPのエラー通知である4xx リクエストエラーが返っている。ゲートウェイ装置では、SIPのエラー通知を解釈することができるが、クライアント端末はSIPに対応していないためこのエラー通知を解釈することができない。そのため、クライアント端末に対してエラー通知は行われず、再送タイマによる通信要求の再送が何度も行われており、無用な通信要求が発生している。
【0016】
図6は、本発明の実施の形態1に係るゲートウェイ装置を用いた場合における、グローバル網のエラー発生時のシーケンス図である。図4に示す従来のゲートウェイ装置を用いた場合と同様に、ゲートウェイ装置50から送信されたSIPによる申請に対し、グローバル網40からSIPのエラー通知が返ってきている。実施の形態1に係るゲートウェイ装置では、エラー解析部505により、受け取ったSIPのエラー通知を読み取ってその内容、例えば、エラー通知に含まれる応答コードやRetry After等のメッセージを読み取り、グローバル網におけるエラーの発生をエラー応答部506に通知する。通知を受けたエラー応答部506では、グローバル網から受け取ったSIPのエラー通知をTCP RSTに変換し、クライアント端末11にエラー通知として送信する。TCP RSTはSIPに対応していないクライアント端末でも解釈できるため、TCP RSTを受け取ったクライアント端末11は通信を停止させ、再送を発生させないようにしている。
【0017】
実施の形態1に係るゲートウェイ装置では、以上のような構成をしているため、通信の要求を行うクライアント端末が呼制御プロトコルに対応していない場合であっても、グローバル網側のエラー通知を認識することができるようになり、無用な通信の再要求が発生しないという効果が得られる。
【0018】
ここでは、ゲートウェイ装置40がクライアント端末11に対し、TCP RSTを返すようにした場合について示したが、図7に示すように、IPによるエラーメッセージであるICMP(Internet Control Message Protocol) Netwwork Unreachableを返答し、クライアント端末11からの通信を停止させ、通信要求の再送を発生させないようにすることもできる。
【0019】
また、中継通信装置としてゲートウェイ装置を用いた場合について示したが、ゲートウェイ装置のほか、IPパケットを中継できる装置(例えばルータ等)であっても同様の効果が得られる。さらに、呼制御プロトコルとしてSIPを用いた場合について示したが、H.323、MGCP等のプロトコルを用いてもよい。また、クライアント端末に対し通信要求の再送を停止させるためのエラー通知を行う場合について示したが、クライアント端末が複数のネットワークに接続されている場合には、異なるネットワーク(例えば無線通信網)などによる通信に変更させるエラー通知としてもよい。
【0020】
実施の形態2.
実施の形態1では、クライアント端末から通信要求が送信された場合について示したが、実施の形態2ではサーバ側から通信要求が送信された場合について示す。本発明の実施の形態2に係るゲートウェイ装置を用いたIPネットワークの基本構成図は、実施の形態1と同様であり、図1に示すとおりである。また、本発明の実施の形態2に係るゲートウェイ装置の構成は、実施の形態1に係るゲートウェイ装置と同様であり、図2に示す通りである。
【0021】
図8に、従来のゲートウェイ装置を用いた場合のシーケンス図を示す。サーバ31から、クライアント端末12に対して、動画などで利用されるRTP(Real−time Transport Protocol)パケットが送信され、ゲートウェイ装置52に到達すると、ゲートウェイ装置52は実施の形態1の場合と同様に送信元、宛先のIPアドレスとポート番号を解析し、グローバル網40にSIPの呼接続要求としてのINVITEパケットを送信する。しかし、グローバル網でエラーがあり、ゲートウェイ装置にSIPのエラー通知4xx リクエストエラーが返されている。ゲートウェイ装置52では、SIPのエラー通知を解釈することができるが、サーバ31はSIPに対応していないため、このエラー通知を解釈することができない。そのため、サーバ31に対してエラー通知が行われず、サーバからは常にRTPパケットが送信され続けている。
【0022】
図9は、本発明の実施の形態2に係るゲートウェイ装置を用いた場合における、グローバル網のエラー発生時のシーケンス図である。図8に示す場合と同様に、通信要求および呼接続要求が送信され、グローバル網のエラーにより、エラー通知4xx リクエストエラーが返されている。エラー通知を受信したゲートウェイ装置52は、エラー解析部505により受信したエラー通知を解析し、解析結果に基づいてエラー応答部506によりサーバ31に対してIPによるエラー通知であるNetwwork Unreachableを返す。このエラー通知はSIPに未対応のサーバ31でも解釈可能なエラー通知であり、エラー通知を受け取ったサーバ31は、サーバからの通信を停止させている。
【0023】
実施の形態2に係るゲートウェイ装置では、以上のような構成をしているため、通信の要求を行うサーバが呼制御プロトコルに対応していない場合であっても、グローバル網側のエラーを認識することができるようになり、通常の通信と同様のエラー時の判断をすることができる。従って、無用な通信の再要求を実施しないという効果が得られる。
【0024】
ここでは、中継通信装置としてゲートウェイ装置を用いた場合について示したが、ゲートウェイ装置のほか、IPパケットを中継できる装置(例えばルータ等)であっても同様の効果が得られる。また、呼制御プロトコルとしてSIPを用いた場合について示したが、H.323、MGCP等のプロトコルを用いてもよい。さらに、サーバに対し通信要求の再送を停止させるためのエラー通知を行う場合について示したが、サーバが複数のネットワークに接続されている場合には、異なるネットワーク(例えば無線通信網)などによる通信に変更させるエラー通知としてもよい。
【0025】
実施の形態3.
実施の形態1では、ゲートウェイ装置がエラー通知を受け取った場合、クライアント端末の通信方式に関わらず同じエラー通知を返す方式について示したが、実施の形態3では、クライアント端末の通信方式に応じてエラー通知の種類を変更させる方式について示す。本発明の実施の形態3に係るゲートウェイ装置を用いたIPネットワークの基本構成図は、実施の形態1と同様であり、図1に示すとおりである。
【0026】
実施の形態3に係るゲートウェイ装置の構成を図10に示す。図10において、タイマ計算部507は、エラー応答により通信を停止させた後、通信要求の再送可能時間の計算を行う。なお、図2と同一の符号については同一または同様の部分を示す。
【0027】
図11は、本発明の実施の形態3に係るゲートウェイ装置の動作を示すフローチャートである。クライアント端末11によりTCPによる通信要求が発生し(ステップS1)、プライベート網とグローバル網との間に存在する中継通信装置であるゲートウェイ装置50において、この通信要求を受信する(ステップS2)。通信要求を受信したゲートウェイ装置50は、通信プロトコル解析部504により、この通信要求の内容を解釈するとともに、この通信要求をトリガとして、セッション制御部503によりグローバル網40に対してSIPによる帯域申請、優先度申請等を行う(ステップS3)。ステップS4では、セッション制御部503によりSIPによる申請が成功したかの判定を行い、SIPによる申請が成功した場合には、ステップS5へと進む。ステップS5では、図3に示す場合と同様に通信要求をグローバル網側に転送し、申請したサービスを適用した状態での通常通りの通信を開始する。
【0028】
一方、グローバル網においてエラーが発生した場合、SIPによる申請が失敗し、グローバル網側よりエラー通知が返されると、ゲートウェイ装置50はクライアント端末11に通信要求に対する暫定応答を返す(ステップS6)。暫定応答を受けたクライアント端末11は、その後HTTPなどのアプリケーションの通信を開始する(ステップS7)。ゲートウェイ装置ではこのアプリケーションの通信を受信し(ステップS8)、プロトコル解析部504により受け取った通信の種別の解析を行う(ステップS9)。解析の結果に基づいて、エラー応答部506によりそれぞれの通信方式に合わせて応答の種別を変更し、通信要求を行ったクライアント端末11にエラー通知を返す。これにより、クライアント端末からの通信方式に応じた通知することができ、再送可能時間などの詳細なエラー通知を行うことが可能となる。ここでは、エラー通知を行う際に応答時間についてグローバル網より通知が来ている場合には、エラー通知にその時間も追加して応答する(ステップS10〜S13)。
【0029】
図12は、クライアント端末11からサーバ21に対し、通信方式としてHTTPを利用してアクセスを行った場合のシーケンス図である。クライアント端末11から通信要求としてのTCP SYNパケットがゲートウェイ装置50に到着すると、それを受けてゲートウェイ装置50はグローバル網40に対してSIPの呼接続要求としてのINVITEパケットを送信し、帯域等の申請を行う。グローバル網40において何らかのエラーが発生し、グローバル網40からSIPのエラー通知4xx リクエストエラーが返されると、ゲートウェイ装置50は、エラー解析部505によりエラー通知の内容、例えば、エラー通知に含まれる応答コードやRetry After等のメッセージを読み取り、読み取った内容をエラー応答部506に通知する。通知を受け取ったエラー応答部506は、クライアント端末11に対して、暫定応答としてTCP SYN/ACKを返す。暫定応答を受信したクライアント端末11は、HTTP GETなどのHTTPによる通信を開始し、ゲートウェイ装置50がこの通信を受信する。ゲートウェイ装置50は、通信プロトコル解析部504により、クライアント端末11からの通信の通信方式を解析し、解析した通信方式をエラー応答部507に通知する。通信方式がHTTPである場合には、クライアント端末11からのHTTPによる通信をグローバル網40へとは通さず、その応答として、エラー応答部507により、SIPのエラー通知をHTTPによるエラー通知(503 Service Unavailable)に変換し、クライアント端末11に返す。
【0030】
ここで、エラー解析部505は、グローバル網40からのエラー通知にSIPの受付時間の記載がある場合にはその時間をエラー応答部506に通知する。エラー応答部506では、HTTPによるエラー通知にその時間を記述し、クライアント端末11にエラー通知を返す。一方、SIPの受付時間の記載がない場合にはタイマ計算部507にグローバル網40からのエラー通知の内容を通知し、タイマ計算部507ではグローバル網40からのエラー通知の内容に基づいて計算した再接続要求可能な時間をエラー通知に記述し、クライアント端末11にエラー通知を返す(ステップS10b〜S13b)。ここでは、503 Service Unavailableのメッセージに再接続要求の時間を設定するRetry−Afterを記述することにより、再接続要求可能な時間が設定されたエラー通知を行うことができる。また、エラー通知の内容とはSIPの応答コードであり、例えば400 Bad Requestのように定められているものである。エラー通知の内容に応じて、再接続までの時間を設定することもできる。これにより、グローバル網において生じたエラーの内容に応じた再接続要求時間をクライアント端末に通知することができ、効率的な通信を行うことができる。
【0031】
クライアント端末11はこのHTTPのエラー通知を解釈することができ、FINパケットを送信しゲートウェイ装置50との通信の切断を行う。そして、Retry−Afterに記述されている時間後に再接続を試みる。図12においては、HTTPによるエラー通知にRetry−After 30を設定し、エラー通知を受け取ったクライアント端末11はエラー通知を受信後30秒後に、通信要求を再送する。通信要求の再送時には、グローバル網におけるエラーは解消されており、実施の形態1の図3に示す場合と同様にTCPセッションが確立されHTTPによる通信を行うことができる。
【0032】
図12では、ゲートウェイ装置40からの503 Service UnavailableのRetry−Afterに再接続を行うまでの時間を記述した場合について示したが、図13に示すように、GMT(Greenwich Mean Time)時間を記述してもよい。GMT時間を記述することにより、クライアント端末はその時間に再接続を試みる。
【0033】
次に、通信方式としてFTP(File Transfer Protocol)を利用した場合について示す。クライアント端末11からサーバ21に対し、通信方式としてFTPを利用してアクセスを行った場合のシーケンス図を図14に示す。図14において、クライアント端末11からFTPによる通信要求が発生すると、図12に示すHTTPによる通信の場合と同様に、ゲートウェイ装置50はグローバル網40に対してSIPの呼接続要求としてINVITEパケットを送信し、帯域および優先度制御等の申請を行う。グローバル網40よりエラー通知があると、ゲートウェイ装置50より、TCPによる暫定応答としてTCP SYN/ACKをクライアント端末に返す。ゲートウェイ端末50から暫定応答を受け取ったクライアント端末11はFTPによる通信を行う。ゲートウェイ装置50は、通信プロトコル解析部504において、クライアント端末11からの通信を解析する(ステップS9)。クライアント端末11からの通信が、FTPによるものであると認識した場合には、FTPによる通信に対してResponseコード120をクライアント端末11に返す(ステップS13a)。ここで、グローバル網からのエラー通知にSIPの受付時間の記載がある場合にはその時間を、ない場合にはタイマ計算部507により計算を行った再送可能時間をResponseコード120に指定し(ステップS11a、S12a)、クライアント端末11に対して何分後にサーバが準備できるかを通知することで、同時にクライアント端末からの要求を停止させることが可能となる。図14においては、Service ready in 5 minutesを設定し、Responseコード120の受信から5分後に、通信要求を再送させている。通信要求の再送時にはグローバル網40におけるエラーは解消されており、実施の形態1の図3に示す場合と同様にTCPセッションを確立させ、FTPによる通信を行う。
【0034】
また、FTPおよびHTTP以外の通信方式による通信を受けた場合、実施の形態1で示した場合と同様に、SIPに対応していない端末においても解釈可能なTCP RSTを返す構成としている(ステップS13c)。
【0035】
図15は、タイマ計算部507における、再接続までの時間(Retry−After)の計算方法の例である。SIPを用いたシステムでは、通信が終了してからSIPによる接続を切断するまでの時間は、即時ではなく、一定時間待ってから終了させる場合がある。ここで、グローバル網側の制限として、一定数までのSIPによる申請までしか受け付けていない状態を前提とする。クライアント端末11からTCP FINパケットを送信し、ゲートウェイ装置50およびクライアント端末11からそれぞれ応答メッセージであるTCP FIN/ACKおよびACKパケットが返されることにより、既存の通信が終了する。そして、一定時間経過後にゲートウェイ装置50によりBYEが送信され、SIPサーバ41により宛先のゲートウェイ装置52に転送される。ゲートウェイ装置52およびSIPサーバ41により200 OKが返されることにより、SIPによる接続が切断される。その間に、他の新しい通信が発生した場合、グローバル網40により新しい通信は拒否され、エラー通知が返される。エラー通知を受け取ったゲートウェイ装置50は、Retry−After等でクライアント端末11に対して、既存の通信のSIPによる申請が切断されるまでの時間を計算し、それを通知する。図15における再送までの時間は、予め設定されている通信の終了を表すFINパケットの送信から実際にSIPの申請を切断するBYEまでの設定時間(図15中でY)と、それまでに実際に行われた通信におけるFINパケットの送信から、ゲートウェイ装置がクライアント端末に対してエラー通知を返すまでの経過時間(図15中でX)から計算しており、通信要求の再送までの時間(図15中でZ)はZ=Y−Xで求められる。求めた時間Zをクライアント端末11に通知することにより、その時間後に通信要求の再送を行わせることができる。なお、多少の処理差を考慮し、Retry−Afterで通知する時間を数秒ずらすことも可能である。
【0036】
なお、クライアント端末のユーザがブラウザ(HTTP)を利用した通信を行い、グローバル網よりエラーが返された場合、自動的に再接続をさせる方法とは別に、ブラウザに現在の状況(エラーの状態や何秒後に復帰するというRetry−Afterの情報など)を表示させ、ユーザ自身に再接続させる方法をとってもよい。
【0037】
本発明の実施の形態3に係るゲートウェイ装置では、以上のような構成をしているため、呼制御プロトコルに対応していないクライアント端末に対しても、その通信方式に応じたエラー通知を行うことができ、また、通信要求の再送可能時間を通知することができる。これにより、無用な通信の再要求を実施させず、効率的な通信が可能となる。
【0038】
ここでは、中継通信装置としてゲートウェイ装置を用いた場合について示したが、ゲートウェイ装置のほか、IPパケットを中継できる装置(例えばルータ等)であっても同様の効果が得られる。また、呼制御プロトコルとしてSIPを用いた場合について示したが、H.323、MGCP等のプロトコルを用いてもよい。
【0039】
また、ここでは、エラー通知を受け取ったゲートウェイ装置から暫定応答をクライアント端末に返す方式について示したが、通信方式をクライアント端末からの通信要求から読み取り、エラー通知を返す方法、すなわち、図11に示すフローチャートのうちステップS6〜ステップS8を省略することもできる。これにより、クライアント端末からの通信の詳細な内容は解析できないものの、クライアント端末からの通信を減少させることができる。
【0040】
実施の形態4.
実施の形態3では、クライアント端末からの通信要求を送信した場合について示したが、実施の形態4では、サーバから通信要求が発生する場合について示す。本発明の実施の形態3に係る中継通信装置を用いたIPネットワークの基本構成図は、実施の形態1と同様であり、図1に示すとおりである。また、ゲートウェイ装置の構成は、実施の形態3と同様であり、図10に示すとおりである。
【0041】
図16は、サーバ31からクライアント端末12に対してUDPによる通信が発生した場合のフローチャートである。プライベート網30に収容されているサーバ31よりUDPによる新規の通信要求が発生する(ステップS1)と、プライベート網30とグローバル網40の間に存在するゲートウェイ装置52において、この通信を受信する(ステップS2)。この新規の通信を受信したゲートウェイ装置は通信の内容(宛先IPアドレス、宛先ポート番号、送信元IPアドレス、送信元ポート番号等)を解釈すると共に、グローバル網40に対してSIPによる帯域申請、優先度申請などを行う(ステップS3)。ステップS4において、SIPによる申請が成功したかの判定を行い、SIPによる申請が成功した場合には、ステップS5に進み、新規の通信を申請したサービスを適用した状態での通信を通常通り行う。
【0042】
一方、SIPによる申請が失敗し、グローバル網側よりエラーが返されると、ゲートウェイはサーバにRTSP(Real Time Streaming Protocol)メッセージ/RTCP(Real−time Transport Control Protocol)応答等を返す。その際に、SIPの受付時間についてグローバル網40より通知されている場合には、メッセージにその時間を追加し、通知されていない場合には再送応答時間を計算し、メッセージに計算した時間を追加して応答する(ステップS10d〜S13d)。
【0043】
図17に、サーバ31よりクライアント端末12に対してRTPによる通信が行われた場合のシーケンス図である。サーバ31よりRTPパケットがゲートウェイ装置52に到着すると、それを受けてゲートウェイ装置52はSIPの呼接続要求としてINVITEパケットを送信し、帯域等の申請を行う。グローバル網においてエラーが発生し、エラー通知が返されると、図12に示す場合と同様に、ゲートウェイ装置52のエラー解析部505によりエラーの内容を解析し、エラー応答部506にエラーの内容を通知する。エラー応答部506は、サーバ31に対して、RTSPのANNOUNCEメソッドを返す。ここで、エラー解析部505は、グローバル網40からのエラー通知にSIPの受付時間の記載がある場合にはその時間をエラー応答部506に通知し、エラー応答部506では、エラー通知にその時間を記述して、サーバ31に対してエラー通知を行う。一方、SIPの受付時間の記載がない場合にはタイマ計算部507にグローバル網40からのエラー通知の内容を通知し、タイマ計算部507ではグローバル網40からのエラー通知の内容に基づいて計算した再接続要求可能な時間をエラー通知に記述して、サーバ31に対してエラー通知を行う(ステップS10b〜S13b)。再送応答時間の記述は、RTSPのANNOUNCEメソッドのSDP(Session Description Protocol)にt行を指定し、開始時間(start time)を指定することにより行う。このエラー通知は、SIPに対応していないサーバであっても解釈可能であり、RTPによる通信を停止させ、start timeの時間にサーバからの再通信が開始されるようになる。この際ANNOUNCEメソッドでは、サーバのRTPパケットを送信しているポート番号を指定することにより、目的のRTPパケットを停止させるようにする。この例ではANNOUNCEメソッドを利用したが、SDPのt行を指定できるRTSPのメッセージであればなんでも良い。
【0044】
図17ではエラー通知として、RTSPのANNOUNCEメソッドを返す場合について示したが、図18では、サーバからクライアント端末11に対してRTPによる通信が行われた際に、RTSPのPAUSEメソッドを使用して、通信を停止させる方式について示す。グローバル網40よりエラーがゲートウェイ装置51に返されたときに、RTSPのPAUSEメソッドをサーバ31に対して送信することにより、サーバからのRTPパケットを停止させ、グローバル網40に対しての申請が可能となったときにRTSPのPLAYメソッドを利用してサーバ31からの通信を再開させる。この際もRTSPのポート番号の指定は、サーバ31のRTPを流しているポート番号とする。
【0045】
図19は図17と同様に、エラー通知としてRTSPのANNOUNCEを利用している。図19においては、RTSPのANNOUNCEメソッドのSDPにb行を指定し、利用帯域を0.0とすることで(b=0.0)、サーバに対して利用帯域幅が少ないことを示し、サーバ31からの通信の停止を促す。再開時にはANNOUNCEのSDPのb行に0よりも大きい数値を入れることにより、再度通信の再開を促す。図19では、再開時のANNOUNCEのSDPのb行を1.0とした場合について示す。なお、この例ではANNOUNCEメソッドを利用したが、SDPのb行を指定できるRTSPのメッセージであればよい。
【0046】
RTSPのメッセージでは、Cseq番号によって、どのメッセージに対する応答かどうかを判断する。ゲートウェイ装置52が独自にサーバ31に対してRTSPのメッセージを送信すると、クライアント端末12とサーバ31の間でのCseq番号にずれが生じる可能性がある。そのため、ゲートウェイ装置50もしくは52においてRTSPメッセージを一度終端し、Cseq番号を付け替えてからサーバ31に送るようにすることにより、Cseq番号にずれが生じた場合にも問題なく通信を行うことができる。図20に、ゲートウェイ装置52により、Cseq番号を付け替える場合のシーケンス図を示す。図20では、図19に示す場合と同様に、RTPの再送によりUDPによる接続を確立し、クライアント端末12からRTSPのメッセージがCseq=1と設定されて送信されている。RTSPのメッセージを受け取ったゲートウェイ装置52は、このメッセージを終端し、Cseq=100と付け替えてからサーバ31に対して送信している。サーバ31からの応答を受け取ったゲートウェイ装置は、このメッセージを終端し、Cseq=100と付け替えてからクライアント装置12に対して送信している。
【0047】
図21は、ゲートウェイ装置からRTPの標準的な応答であるRTCPのRR(Receive Report)によりエラー通知を返す場合のシーケンス図を示す。サーバ31よりRTPの通信が発生し、グローバル網40よりエラー通知があった場合に、ゲートウェイ装置52はサーバ31に対してRTPの標準的な応答であるRTCPのRRにより、欠落率100%を通知する。これにより、サーバ31にグローバル網側にパケットが届かない旨を示唆し、サーバ側からのRTPの通信を抑制する。通信の再開時には、RTCPのRRにより、欠落率0%を通知することにより、サーバ31にグローバル網側へのパケット送信が可能である旨を示唆する。
【0048】
図22は、サーバ31に対して再接続までの時間(図22では、RTSPメッセージのt行を利用)の設定方法の例である。図15に示す場合と同様に、サーバ31からの既存の通信が終了し、実際にSIPによる申請が切断されるまでの一定時間に、他の新しい通信要求が発生した場合、グローバル網40により新しい通信は拒否され、エラー通知が返される。エラー通知を受け取ったゲートウェイ装置52は、サーバに対して通知するRTSPメッセージのt行等の設定時間は、他の通信の最後のRTPパケット到着時間から現在時刻までの経過時間(図22中でX)と、予め設定されているゲートウェイ装置のRTPの最終パケットからBYE送信までの時間(図22中でY)とから計算され、start timeへの設定時間を 現在時刻+(Y−X) と設定し、それを通知する。なお、多少の処理差を考慮し、t行等で通知する時間を数秒ずらしてもよい。
【0049】
本発明の実施の形態4に係るゲートウェイ装置では、以上のような構成をしているため、呼制御プロトコルに対応していないサーバに対しても、その通信方式に応じたエラー通知を行うことができ、また、通信要求の再送可能時間を通知することにより、無用な通信の再要求を実施させず効率的な通信が可能となる。
【0050】
ここでは、中継通信装置としてゲートウェイ装置を用いた場合について示したが、ゲートウェイ装置のほか、IPパケットを中継できる装置(例えばルータ等)であっても同様の効果が得られる。また、呼制御プロトコルとしてSIPを用いた場合について示したが、H.323、MGCP等のプロトコルを用いてもよい。
【0051】
実施の形態5.
実施の形態3では、エラー通知を受け取ったゲートウェイ装置がクライアント端末に対して、クライアント端末の解釈可能なエラー通知を行う方式について示したが、実施の形態5では、エラー通知を受け取ったゲートウェイ装置が、クライアント端末とのリンクをダウンさせる方式について示す。本発明の実施の形態3に係るゲートウェイ装置を用いたIPネットワークの基本構成図は、実施の形態1と同様であり、図1に示すとおりである。また、実施の形態5に係るゲートウェイ装置の構成は、実施の形態1と同様であり、図2に示すとおりである。
【0052】
図23は、エラー通知を受け取ったゲートウェイ装置が、クライアント端末とのリンクをダウンさせる場合のシーケンス図である。図23において、ゲートウェイ装置50は、実施の形態1において図6に示す場合と同様に、グローバル網からのエラー通知に対応して、ゲートウェイ装置50がクライアント端末11に対してTCP RSTを送信する。ゲートウェイ装置50は、TCP RSTを送信後、エラー応答部506により、クライアント端末11に対応する物理ポートをリンクダウンさせる。リンクダウン中であるため、クライアント端末11からの通信は発生しない。グローバル網40に対してSIPによる申請が可能になった場合、ゲートウェイ装置50はリンクダウンしていたリンクをアップすることにより、クライアント端末40からの要求を再度受け付けるようにし、図3に示すようにTCPによる接続を確立し通信を行う。この方法はクライアント端末側だけでなく、サーバ31とゲートウェイ装置52間においても同様に行うことができる。
【0053】
本発明の実施の形態5に係るゲートウェイ装置では、以上のような構成をしているためクライアント端末が呼制御プロトコルに対応していない場合であっても、無用な通信の再要求を実施しないという効果が得られる。
【0054】
ここでは、中継通信装置としてゲートウェイ装置を用いた場合について示したが、ゲートウェイ装置のほか、IPパケットを中継できる装置(例えばルータ等)であっても同様の効果が得られる。また、呼制御プロトコルとしてSIPを用いた場合について示したが、H.323、MGCP等のプロトコルを用いてもよい。
【0055】
実施の形態6.
実施の形態5では、有線による通信を利用した場合について示したが、本発明の実施の形態6では、無線通信を利用する方式について示す。実施の形態6に係るゲートウェイ装置の構成は、実施の形態1と同様であり、図2に示すとおりである。
【0056】
図24は、クライアント端末11とゲートウェイ装置50間において、無線通信が利用された場合の例である。図23と同様にリンクダウンを行う意味で、無線LANにおけるアクセスポイントの識別子であるSSID(Service Set Identifier)を変更などすることにより、クライアント端末からの通信を拒否し、クライアント端末からの通信を発生させないようにする。再度グローバル網40に対して申請が可能となる状態となった後に、クライアント端末11からのSSIDを元に戻す変更を行い、クライアント端末11からの要求を再度受け付けるようにする。そして、図3に示す場合と同様にTCPによる接続を確立し、通信を行う。この方法はクライアント側だけでなくサーバ側31とゲートウェイ装置52間においても同様となる。
【0057】
本発明の実施の形態6に係るゲートウェイ装置では、以上のような構成をしているため無線通信を用いるネットワークにおいて、クライアント端末が呼制御プロトコルに対応していない場合であっても、無用な通信の再要求を実施しないという効果が得られる。
【0058】
ここでは、中継通信装置としてゲートウェイ装置を用いた場合について示したが、ゲートウェイ装置のほか、IPパケットを中継できる装置(例えばルータ等)であっても同様の効果が得られる。また、呼制御プロトコルとしてSIPを用いた場合について示したが、H.323、MGCP等のプロトコルを用いてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 プライベート網、11,12 クライアント端末、20 プライベート網、21 サーバ端末、30 プライベート網、31 サーバ端末、40 グローバル網、41 SIPサーバ、50〜52 ゲートウェイ装置、501 LANインタフェース、502 WANインタフェース、503 セッション制御部、504 通信プロトコル解析部、505 エラー解析部、506 エラー応答部、507 タイマ計算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼制御プロトコルに対応するグローバル網と、前記呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバを含むプライベート網とを連結する中継通信装置であって、
前記端末またはサーバから通信要求を受け、前記グローバル網内に呼を確立するセッション制御部と、
前記グローバル網から前記呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、前記端末またはサーバが解釈可能な通信プロトコルのエラー通知に変換し、前記端末又はサーバに送信するエラー応答部と、
を備えることを特徴とする中継通信装置。
【請求項2】
前記エラー応答部は、前記端末またはサーバに対し、通信要求信号の再送を止めるためのエラー通知を行うことを特徴とする請求項1記載の中継通信装置。
【請求項3】
前記エラー応答部は、前記端末またはサーバに対し、通信要求信号の再送可能な時間を通知することを特徴とする請求項2記載の中継通信装置。
【請求項4】
予め設定された、前記端末またはサーバの通信終了から、前記グローバル網内の呼切断要求が発生するまでの時間と、
前記端末またはサーバの通信終了から、前記エラー応答部が前記グローバル網からのエラー通知を受け取るまでの時間とから、
前記再送可能な時間を算出するタイマ計算部を備えることを特徴とする請求項3記載の中継通信装置。
【請求項5】
前記グローバル網からのエラー通知は、エラーの内容を示すエラー情報を含み、
前記エラー応答部は、前記エラー情報に基づいて前記再送可能な時間を通知すること、
を特徴とする請求項3記載の中継通信装置。
【請求項6】
呼制御プロトコルに対応するグローバル網と、前記呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバを含むプライベート網と、を連結する中継通信装置であって、
前記端末またはサーバから通信要求信号を受け、前記グローバル網側への呼を確立して通信を行うセッション制御部と、
前記グローバル網から呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、前記端末又はサーバとのリンクをダウンさせるエラー応答部と、
を備えることを特徴とする中継通信装置。
【請求項7】
中継通信装置が呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバから通信要求を受け、呼制御プロトコルに対応するグローバル網内に呼を確立するセッション制御ステップと、
前記中継通信装置が前記グローバル網からの呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、前記端末またはサーバが解釈可能な通信プロトコルのエラー通知を生成し、前記端末またはサーバへ送信するエラー応答ステップと、
を備えることを特徴とする通信制御方法。
【請求項1】
呼制御プロトコルに対応するグローバル網と、前記呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバを含むプライベート網とを連結する中継通信装置であって、
前記端末またはサーバから通信要求を受け、前記グローバル網内に呼を確立するセッション制御部と、
前記グローバル網から前記呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、前記端末またはサーバが解釈可能な通信プロトコルのエラー通知に変換し、前記端末又はサーバに送信するエラー応答部と、
を備えることを特徴とする中継通信装置。
【請求項2】
前記エラー応答部は、前記端末またはサーバに対し、通信要求信号の再送を止めるためのエラー通知を行うことを特徴とする請求項1記載の中継通信装置。
【請求項3】
前記エラー応答部は、前記端末またはサーバに対し、通信要求信号の再送可能な時間を通知することを特徴とする請求項2記載の中継通信装置。
【請求項4】
予め設定された、前記端末またはサーバの通信終了から、前記グローバル網内の呼切断要求が発生するまでの時間と、
前記端末またはサーバの通信終了から、前記エラー応答部が前記グローバル網からのエラー通知を受け取るまでの時間とから、
前記再送可能な時間を算出するタイマ計算部を備えることを特徴とする請求項3記載の中継通信装置。
【請求項5】
前記グローバル網からのエラー通知は、エラーの内容を示すエラー情報を含み、
前記エラー応答部は、前記エラー情報に基づいて前記再送可能な時間を通知すること、
を特徴とする請求項3記載の中継通信装置。
【請求項6】
呼制御プロトコルに対応するグローバル網と、前記呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバを含むプライベート網と、を連結する中継通信装置であって、
前記端末またはサーバから通信要求信号を受け、前記グローバル網側への呼を確立して通信を行うセッション制御部と、
前記グローバル網から呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、前記端末又はサーバとのリンクをダウンさせるエラー応答部と、
を備えることを特徴とする中継通信装置。
【請求項7】
中継通信装置が呼制御プロトコルに対応していない端末またはサーバから通信要求を受け、呼制御プロトコルに対応するグローバル網内に呼を確立するセッション制御ステップと、
前記中継通信装置が前記グローバル網からの呼制御プロトコルによるエラー通知を受け取った場合、前記端末またはサーバが解釈可能な通信プロトコルのエラー通知を生成し、前記端末またはサーバへ送信するエラー応答ステップと、
を備えることを特徴とする通信制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−147061(P2011−147061A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7985(P2010−7985)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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