説明

主軸装置用軸受

【課題】良好な排油性を有し、軸受に対する潤滑油過多や軸受の異常発熱を抑制することができる主軸装置用軸受を提供する。
【解決手段】主軸装置用軸受70において、保持器74は、軸方向両側に位置し、外径が互いに異なる小径円環部74a及び大径円環部74bと、該両円環部74a,74bを連結し、周方向に略等間隔で配置される複数の柱部74cとを備える。外輪71には、軸方向において玉73に対して大径円環部74b側に、排油穴71bが径方向に貫通形成され、排油穴71b内には、負圧発生装置103の吸引力によって、負圧が作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主軸装置用軸受に関し、より詳細には、多軸制御の工作機械等に適用され、外部から潤滑油が供給される、高速回転可能な主軸装置用軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、5軸加工機や複合加工工作機械のような多軸制御される工作機械では、工具が取り付けられる回転軸が、水平位置と垂直位置との間、或いは、360度全域に亘って旋回可能な、チルトタイプの主軸装置が使用されている。
【0003】
このような主軸装置では、内部に配置された軸受を潤滑する方式として、エアを利用して、外部から軸受内部に微量の潤滑油を供給するオイルエア潤滑方式やオイルミスト潤滑方式、また、潤滑油を軸受内部に間欠的に高速度で直接噴射する直接噴射方式が採用されている。
【0004】
例えば、オイルエア潤滑やオイルミスト潤滑では、図16に示すように、ノズル901から軸受900に潤滑油を供給するとともに、外輪900aや間座902に形成された排油穴903aや排油溝903bからハウジング904の排油通路905を経て外部に排出される構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開昭63−139324号公報(第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の主軸装置用軸受では、重力作用により潤滑油をハウジング904の排油通路905を介して自然に排油するものであるが、軸受内部やその周辺に潤滑のために使用された潤滑油が排出しきれない可能性がある。特に、dm・N50万以上、さらに軸受内部の残油量が潤滑条件に敏感に作用するdm・N100万以上で高速回転可能な主軸装置においては、潤滑油過多や攪拌抵抗によって異常発熱を生じる可能性がある。また、チルトタイプの主軸装置に適用した場合には、主軸装置の姿勢変化により、一端排油穴903aや排油溝903b内に排出された潤滑油が軸受内部に戻り、潤滑油過多や攪拌抵抗によって異常発熱を生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な排油性を有し、軸受に対する潤滑油過多や軸受の異常発熱を抑制することができる主軸装置用軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)外周面に内輪軌道面を有する内輪と、
内周面に外輪軌道面を有する外輪と、
前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間に配置される複数の転動体と、
前記転動体を周方向に略等間隔で保持する保持器と、
を有し、工具を取り付け可能な回転軸をハウジングに対して回転自在に支持するとともに、オイル潤滑によって潤滑される主軸装置用軸受であって、
前記保持器は、軸方向両側に位置し、外径が互いに異なる小径円環部及び大径円環部と、該両円環部を連結し、周方向に略等間隔で配置される複数の柱部と、を備え、
前記外輪には、軸方向において前記転動体に対して前記大径円環部側に、排油穴が径方向に貫通形成されるとともに、該排油穴内には、軸受外部からの吸引力によって、負圧が作用することを特徴とする主軸装置用軸受。
【発明の効果】
【0008】
本発明の主軸装置用軸受によれば、外輪に形成される排油穴内には、軸受外部からの吸引力によって、負圧が作用するので、軸受内部の余分な潤滑油を排油穴を介して速やかに排出することができる。特に、チルトタイプの主軸装置では、その姿勢が変化した場合であっても、排出されるはずの排油穴内の潤滑油が軌道面に戻ることが防止され、潤滑油過多や異常発熱を抑制することができる。
【0009】
また、回転軸の高速回転に伴って保持器が回転すると、保持器周囲の空気も、その粘性抵抗により連れ回られて円周方向の空気流が生じる。外径が互いに異なる円環部においては、大径円環部側の外周面の周速度が、小径円環部側の外周面の周速度より速いので、大径円環部周囲の空気の流速が、小径円環部周囲の空気の流速より速くなる。これにより、大径円環部近傍の気圧が低下して、小径円環部側から大径円環部側への軸方向空気流が生じ、これに伴って軸受内の余分な潤滑油も小径円環部側から大径円環部側へ送られ、軸受外部からの吸引力によって排油穴を介して速やかに排出することができる。
【0010】
また、小径円環部側から潤滑油を供給することによって、軸方向空気流の作用により、潤滑が必要な内外輪と転動体の接触部に確実に潤滑油を送り込むことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る主軸装置用軸受について図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の軸受を備えた主軸装置が組み込まれる、複合加工工作機械としての門形マシニングセンタを示す。門形マシニングセンタ1では、ベッド2の上にテーブル3がX軸方向へ移動可能に支持されており、ベッド2の両側には一対のコラム4が立設されている。コラム4の上端にはクロスレール5が架設されており、クロスレール5には、サドル6がY軸方向へ移動可能に設けられる。また、サドル6には、Z軸方向に昇降可能なラム7が支持されており、ラム7の下端には、主軸装置20をY軸回り及びZ軸回りに回転割出し駆動可能に保持する主軸ヘッド8が装着されている。
【0013】
主軸ヘッド8には、主軸装置20のブラケット21を挟むように一対の支持アーム9が設けられており、一対の支持アーム9は、ブラケット21の両側面に固定された図示しない一対の旋回シャフトを回転可能に支持する。これにより、主軸装置20は、主軸ヘッド8側に設けられた図示しない駆動機構によって一対の支持アーム9に対してY軸回りに旋回可能であり、水平位置と垂直位置との間、或いは、360度全域に亘って取付姿勢を変化することができるチルトタイプを構成する。
【0014】
図2に示すように、主軸装置20は、モータビルトイン方式であり、その軸方向中心部には、中空状の回転軸22が設けられ、回転軸22の軸芯には、ドローバ23が摺動自在に挿嵌されている。ドローバ23は、工具ホルダ24に取付けられたプルスタッド25を、クランプボール26を介して、皿ばね27の力によって反工具側方向(図の右方向)に付勢しており、工具ホルダ24は、回転軸22のテーパ面28と嵌合する。工具ホルダ24には図示しない工具が取り付けられており、この結果、回転軸22は、一端(図の左側)に工具をクランプして、工具を取り付け可能としている。
【0015】
また、回転軸22は、その工具側を支承する2列の前側軸受60,70と、反工具側を支承する1列の後側軸受80とによって、ブラケット21(図1参照。)に固定されたハウジングHを構成する外筒29に回転自在に支持されている。なお、前側軸受60,70及び後側軸受80は、本実施形態の主軸装置用軸受を構成する。
【0016】
前側軸受60,70と後側軸受80間における回転軸22の外周面には、ロータ30が焼き嵌めされたロータスリーブ31が外嵌されている。また、ロータ30の周囲に配置されるステータ32は、ステータ32に焼き嵌めされた冷却ジャケット33を外筒29に内嵌することで、外筒29に固定される。従って、ロータ30とステータ32はモータを構成し、ステータ32に電力を供給することでロータ30に回転力を発生させ、回転軸22を回転させる。
【0017】
また、外筒29と反工具側で固定されたハウジングHを構成する後蓋34には、工具アンクランプピストン35を摺動自在に内嵌したハウジングHを構成する工具アンクランプシリンダ36が固定されている。よって、工具を交換する際には、油路37から油圧室38に作動油を導き、工具アンクランプピストン35を工具側(図の左側)へ前進させることにより、ドローバ23を工具側(図の左側)へ前進させて、工具をアンクランプする。
【0018】
前側軸受60,70は、外輪61,71と、内輪62,72と、接触角を持って配置される転動体としての玉63,73と、玉63,73を略等間隔で保持する外輪案内の保持器64,74と、をそれぞれ有するアンギュラ玉軸受であり、背面組み合わせとなるように配置されている。後側軸受80は、外輪81と、内輪82と、転動体としての円筒ころ83と、円筒ころ83を略等間隔で保持する外輪案内の保持器84と、を有する円筒ころ軸受である。
【0019】
前側軸受60,70の外輪61,71は外筒29に内嵌されており、且つ外筒29にボルト締結された前側軸受外輪押え39によってノズル付き外輪間座40を介して外筒29に対し軸方向に固定されている。また、前側軸受60,70の内輪62,72は、回転軸22に外嵌されており、且つ回転軸22に締結されたナット41によって内輪間座42を介して回転軸22に対し軸方向に固定されている。
【0020】
後側軸受80の外輪81は後蓋34に内嵌されており、且つ後蓋34にボルト締結された後側軸受外輪押え43によって後蓋34に固定されている。後側軸受80の内輪82は、回転軸22に形成されたテーパ面44とテーパ嵌合されており、回転軸22に締結された他のナット45によって、内輪間座46及び速度センサ47の被検出部48を介して位置決めされている。
【0021】
なお、後側軸受外輪押え43の反工具側には、被検出部48と径方向に対向する位置に速度センサ47の検出部49が固定されており、回転軸22の回転速度を検出する。また、前側軸受外輪押え39の工具側端面には、フロントカバー50がボルト固定されている。
【0022】
ここで、図2〜図4に示すように、ハウジングHを構成する外筒29、後蓋34、工具アンクランプシリンダ36には、前側軸受60,70及び後側軸受80をそれぞれ潤滑するための複数の給油通路(ハウジングHの給油用穴)90,91,92が形成されており、これら通路90,91,92の一端側には、潤滑油を送り込む潤滑装置93が図示しない配管を介してそれぞれ取り付けられている。なお、潤滑装置93によって供給される潤滑方式は、オイル潤滑であればよく、オイルエア潤滑、オイルミスト潤滑、直噴潤滑等のいずれであってもよい。
【0023】
例えば、オイルエア潤滑の場合、給油通路90,91,92の他端側は、外輪間座40に形成されたノズル40a(図2参照。),40b(図3参照。)、後側軸受外輪押え43に形成されたノズル43a(図4参照。)と連通しており、潤滑装置93によって送られた潤滑油を各軸受60,70,80の側方から軸受空間内に供給する。
【0024】
また、ハウジングHには、各軸受60,70,80を潤滑した潤滑油をそれぞれ排出する複数の排出通路(ハウジングHの排油用穴)100(図2参照。),101(図3参照。),102(図4参照。)が形成されており、これら通路100,101,102の一端側には、潤滑油を吸引するための負圧発生装置103がそれぞれ図示しない配管を介して接続されている。
【0025】
具体的に、図5に拡大して示すように、前側軸受70では、複数の玉73が、外輪71の内周面に形成された略円弧状の外輪軌道面71aと、内輪72の外周面に形成された略円弧状の内輪軌道面72aとの間に径方向に対して接触角を持って配置されている。前側軸受70の外輪71には、カウンターボア側の内周面で玉73が通過する外輪軌道面71aの近傍に開口して、且つ、径方向に貫通する排油穴71bが周方向に略等間隔で複数本ずつ形成されている。外輪71の内周面には、排油穴71bが開口する軸方向位置に、集油溝77が周方向に亘って形成されている。
【0026】
また、外輪71の外周面には、排油穴71bが開口する環状の周方向溝75が形成されており、この周方向溝75は、排油穴71bと、外筒29に形成された排油通路101の排油穴29aとを連通する。なお、排油穴71bは、外輪軌道面71aの近傍に開口することが好ましく、図5に示すように、径方向から見て、玉73とオーバーラップする位置に形成されている。この結果、転がり接触部を潤滑後、玉73に付着した油が遠心力により振り切られた後、直接排油穴71bに導かれるメリットがある。ただし、排油穴71bは、径方向から見て玉73とオーバーラップする位置に限定されるものではない。
【0027】
保持器74は、玉73を略等間隔で保持する外輪案内の保持器であり、軸方向両側に位置し、外径が互いに異なる小径円環部74a及び大径円環部74bと、これら小径円環部74a及び大径円環部74bを連結して周方向に略等間隔で配置される複数の柱部74cと、を有し、これら小径円環部74a、大径円環部74b、および隣接する柱部74cとで玉73を保持するポケットを構成する。
【0028】
柱部74cの外周面は、小径円環部74aと略一様外径の円弧面74dと、該円弧面74dから大径円環部74bに向けて拡径する傾斜面74eと、を有する。円弧面74dと傾斜面74eとの境界部Bは、軸方向において、玉73の軸方向中心位置Oと排油穴71bとの間に位置する。また、保持器74の内径は、小径円環部74a、大径円環部74b、および柱部74cともに、同じ内径寸法となっている。
【0029】
このような保持器74は、大径円環部74bが潤滑油が給油される側と反対側の外輪71のカウンターボア側に配置されて外輪71と内輪72との間に組み込まれる。これにより、保持器74は、小径円環部74aの外周面が外輪71の反カウンターボア側の内周面71fと摺接することによって外輪案内される。また、排油穴71bは、軸方向において、玉73に対して大径円環部74b側に形成されることになる。
【0030】
回転軸22の高速回転に伴って保持器74が回転すると、保持器74周囲の空気も、その粘性抵抗により連れ回られて円周方向の空気流が生じる。軸方向両側の外径が互いに異なる保持器74においては、大径円環部74b側の外周面の周速度が、小径円環部74a側の外周面の周速度より速いので、大径円環部74b周囲の空気の流速が、小径円環部74a周囲の空気の流速より速くなる。これにより、大径円環部74b近傍の気圧が低下して、小径円環部74a側から大径円環部74b側への軸方向空気流が生じる。これに伴って、供給された潤滑油が確実に内外輪72,71と玉73との接触部に送り込まれるとともに、軸受内部を潤滑した余分な潤滑油も、小径円環部74a側から大径円環部74b側へ移動するポンプ作用が生じる(矢印F方向)。
【0031】
また、負圧発生装置103の吸引力によって、集油溝77及び排油穴71b内の潤滑油が、強制的に吸引されることから、上記ポンプ作用による小径円環部74a側から大径円環部74b側への空気の流れと相俟って、外輪軌道面71cに付着する潤滑油をより効果的に吸引して、排油穴71bから外部へ速やかに排出することができる。
【0032】
また、保持器74に付着する潤滑油にも、保持器74の回転による遠心力が作用する。この遠心力によって、傾斜面74eに付着する潤滑油には、傾斜面74eに沿う方向の分力が発生するので、潤滑油の小径円環部74a側から大径円環部74b側への移動は、遠心力によっても促進される。
【0033】
これにより、内輪72の外周面と保持器74の内周面との間に供給されて(図中太線矢印で示す)軸受70を潤滑した潤滑油は、上記したポンプ作用によって小径円環部74a側から大径円環部74b側に送られて、集油溝77に集められ、更に集油溝77の潤滑油が負圧発生装置103の吸引力によって強制的に吸引されて、排油穴71bから外部へ速やかに排出される。また、保持器74に付着する潤滑油も、遠心力によって傾斜面74eを小径円環部74a側から大径円環部74b側へ移動して、集油溝77に効果的に集められる。
【0034】
なお、保持器74の円弧面74dと傾斜面74eとの境界部Bは、軸方向において玉73の軸方向中心位置Oと排油穴71bとの間に位置するので、玉73と外輪軌道面71aとの間の接触点P1付近の空間容積を広くすることができ、これによって接触点P1付近の潤滑油の流れを良くしつつ、ポンプ作用による空気および潤滑油の流れも確保して、排油穴71bから余分な潤滑油を速やかに排出することができる。
【0035】
軸受70が高速回転していると、玉73の公転や保持器74や内輪72の自転の際、内部の空気もその粘性抵抗により、同様に回転させられ、円周方向の空気流が生じている。従って、外輪71の内周面に付着した油も内周面に沿って円周方向に移動しながら滞留している。特に、回転軸22が立軸の場合、重力効果が少ないのでこの油の滞留が発生しやすい。
【0036】
主軸装置20が停止して空気流が止まることにより、この滞留している余分な潤滑油が外輪軌道面71aに戻り、再び主軸装置20を回転させた時や、主軸装置20をチルトさせて姿勢が変化した際等に、滞留する油が外輪軌道面71aに戻って異常発熱の原因となる。しかし、集油溝77によって滞留油の戻りを防ぎ、且つ、集油溝77に連通する排油穴71bから吸引することにより、効果的な潤滑油の回収ができる。なお、前側軸受60は、前側軸受70と背面組み合わせで配置される、前側軸受70と同一の構成であるので、説明を省略する。
【0037】
また、図6に示すように、後側軸受80は、複数の円筒ころ83が、外輪81の内周面に形成された外輪軌道面81cと、内輪82の外周面に形成された内輪軌道面82aとの間に配置されている。そして、外輪81の軸方向両側の内周面で、円筒ころ83と干渉しない外輪軌道面81cの近傍に、径方向に貫通する排油穴81a,81bが周方向に略等間隔で複数本ずつ形成されている。また、外輪81の外周面には、これら排油穴81a,81bがそれぞれ開口する環状の周方向溝85a,85bが形成されており、これら周方向溝85a,85bは、これら排油穴81a,81bと、後蓋34に形成された排油通路102の排油穴34a,34bとをそれぞれ連通する。
【0038】
また、保持器84は、円筒ころ83を略等間隔で保持する外輪案内の保持器であり、軸方向両側に位置し、外径が互いに異なる小径円環部84a及び大径円環部84bと、これら小径円環部84a及び大径円環部84bを連結し、周方向に略等間隔で配置される複数の柱部84cと、を有し、これら小径円環部84a、大径円環部84b、および隣接する柱部84cとで円筒ころ83を保持するポケットを構成する。
【0039】
保持器84の外周面は、小径円環部84a側から大径円環部84bに向けて略一様に拡径する傾斜面84eを有する。また、保持器84の内径は、小径円環部84a、大径円環部84b、および柱部84cともに、同じ内径寸法となっている。
【0040】
このような保持器84は、大径円環部84bが、潤滑油が供給される側と反対側となるように、外輪71と内輪72との間に組み込まれ、大径円環部84bの外周面が外輪81の内周面81fと摺接することによって外輪案内される。
【0041】
この場合にも、回転軸22の高速回転に伴って保持器84が回転すると、大径円環部84b側の外周面の周速度が、小径円環部84a側の外周面の周速度より速いので、小径円環部84a側の空気が大径円環部84b方向(矢印F方向)へ流れるポンプ作用が生じる。従って、アンギュラ玉軸受70と同様、負圧発生装置103の吸引力によって、排油穴81a内の潤滑油が、強制的に吸引されることから、ポンプ作用による小径円環部84a側から大径円環部84b側への空気の流れと相俟って、外輪軌道面81cに付着する潤滑油をより効果的に吸引して、排油穴81aから外部へ速やかに排出することができる。
また、保持器84に付着する潤滑油も、遠心力によって小径円環部84a側から大径円環部84b側へ傾斜面84eに沿って移動し、排油穴81aから外部への排出が促進される。
【0042】
これにより、内輪82の外周面と保持器84の内周面との間に供給されて(図中矢印で示す)軸受80を潤滑した潤滑油は、上記したポンプ作用によって小径円環部84a側から大径円環部84b側に送られ、負圧発生装置103の吸引力によって強制的に吸引されて、排油穴81aから外部へ排出される。また、保持器84に付着する潤滑油も、遠心力によって傾斜面84eを小径円環部84a側から大径円環部84b側へ移動するので、排油穴81aからの排出が促進される。
【0043】
従って、各軸受60,70,80を潤滑した排油穴71b,81a,81bの潤滑油が、周方向溝75,85a,85bと、各排油通路100,101,102を介して、外部へ排出される。この際、軸受外部からの吸引力、即ち、負圧発生装置103の吸引力によって、排油穴71b,81a,81b内には、負圧が作用し、排油穴71b,81a,81b内の潤滑油が強制的に吸引される。また、各外輪軌道面71c,81cの近傍の外輪61,71,81の内周面に付着した潤滑油も、負圧発生装置103の吸引力によって、排油穴71b,81a,81bへと導かれる。また、保持器64,74,84が回転したときに生じるポンプ作用および遠心力作用によって、潤滑油が小径円環部74a,84a側から大径円環部74b,84b方向(矢印F方向)へ流れるので、排油穴71b,81aからより効果的な排油が可能となる。
【0044】
これにより、各軸受60,70,80の外輪軌道面61c,71c,81cの近傍に設けられた排油穴71b,81a,81bから余分な潤滑油を速やかに排出することができる。特に、本実施形態のようなチルトタイプの主軸装置20において、その姿勢が変化した場合であっても、排出されるはずの潤滑油が軸受内部に戻ること、特に、排油穴71b,81a,81bに存在する潤滑油が外輪軌道面61c,71c,81cに戻ることが防止され、潤滑油過多や攪拌抵抗による異常発熱を抑制することができる。
【0045】
また、外輪61,71,81の外周面には、排油穴71b,81a,81bとハウジングHの排油通路100,101,102とを連通する周方向溝75,85a,85bが形成されているので、排油通路100,101,102との位相合わせを行うことなく、軸受60,70,80をハウジングHに組み付けることができ、主軸装置20の組み付け性が向上される。
【0046】
また、本実施形態では、排油通路100,101,102は、各軸受60,70,80毎に形成されているので、負圧発生装置103の吸引能力条件を変化させることで、各軸受60,70,80の吸引効率を最適化することができる。
【0047】
なお、図7に示す変形例のように、円筒ころ83に対して潤滑油を給油する側と反対側に位置する排油穴81aのみが外輪81に形成されてもよい。この場合、外輪81の外周面には、排油穴81aが開口する周方向溝85aが、排油穴81aと排油通路102の排油穴34aとを連通するように形成される。
【0048】
また、図8(a)の他の変形例に示すように、外輪81の内周面には、排油穴81a,81bが開口する軸方向位置に、周方向に亘って環状の集油溝87a,87bが形成される。外輪81の内周面に集油溝87a,87bを設けることにより、小径である排油穴81a,81b内に油が集まりやすく、排油性が向上される。さらに、案内面を集油溝87aより外側にしてエッジ当たりを回避して、保持器84の摩耗を防止している。
【0049】
さらに、図8(b)のさらに他の変形例に示すように、円筒ころ83に対して潤滑油を給油する側(図中矢印で示す)と反対側に位置する排油穴81aのみが形成される場合には、この排油穴81aが開口する周方向溝85aおよび集油溝87aのみが形成される。
【0050】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る主軸装置用軸受について、図9を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、前側軸受であるアンギュラ玉軸受の構成において、第1実施形態と異なる。そのため、第1実施形態と同等部分については、同一符号を付して説明を省略或いは簡略化する。
【0051】
図9に示すように、本実施形態のアンギュラ玉軸受170の保持器174もまた、軸方向両側に位置し、外径が互いに異なる小径円環部174a及び大径円環部174bと、これら小径円環部174a及び大径円環部174bを連結し、周方向に略等間隔で配置される複数の柱部174cと、を有する。また、柱部174cの外周面は、第1実施形態と同様、小径円環部174aと略一様外径の円弧面174dと、該円弧面174dから大径円環部174bに向けて拡径する傾斜面174eと、を有する。
【0052】
また、この保持器174は、軸方向に亘って略一様の径方向厚さtを有している。従って、大径円環部174bの内径が、小径円環部174aの内径よりも大きくなるように、柱部174cで拡径されている。具体的には、柱部174cの内周面は、小径円環部174aの内径と略一様内径の円弧面174fと、円弧面174fから大径円環部174bの内径に向けて拡径する傾斜面174gと、を有する。
【0053】
従って、本実施形態の保持器174では、内径及び外径がそれぞれ互いに異なる、小径円環部174aと大径円環部174bが設けられるので、保持器174が回転したとき、両円環部174a,174bの外周面の周速度の差によるポンプ作用だけでなく、内周面の周速度の差によるポンプ作用も生じ、軸受170内の潤滑油が、保持器174の内周面及び外周面の両側で、小径円環部174a側から大径円環部174b側(矢印F方向及びF´方向)へ送られる。特に、内輪72の外周面と保持器174の内周面との間の軸方向側方から給油されている場合には、内輪72の外周面と保持器174の内周面との間に溜まりやすい余分な潤滑油も排油穴71bに向けて排出しやすいので、より効果的である。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0054】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る主軸装置用軸受について、図10を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、後側軸受である円筒ころ軸受の構成において、第1実施形態と異なる。そのため、第1実施形態と同等部分については、同一符号を付して説明を省略或いは簡略化する。
【0055】
図10(a)に示すように、本実施形態の円筒ころ軸受180では、外輪181に径方向に貫通形成される排油穴181a,181bは、外輪181の軸方向外側に形成されている。排油穴181a,181bが開口する軸方向位置の外輪181の内周面には、周方向に亘って環状の集油溝187a,187bが形成され、また、外輪181の外周面には、環状の周方向溝85a,85bが形成される。
【0056】
また、保持器184は、一対の円環部184a,184bと、複数の柱部184cとを有し、大径円環部184bの外周面が、排油穴181aより軸方向内側の外輪181の内周面181fと摺接して外輪案内される。保持器184の軸方向幅が両排油穴181a,181b間の軸方向距離より狭く形成されている。また、保持器184の外周面は、小径円環部184a側から大径円環部184bに向けて略一様に拡径する傾斜面184eを有する。
【0057】
本実施形態の円筒ころ軸受180においても、軸受180を潤滑した潤滑油が集油溝187a,187bに集められ、更に、集油溝187a,187b内の潤滑油が、負圧発生装置103の吸引力によって、排油穴181a,181bから速やかに外部に排出される。また、保持器184が回転したときに生じるポンプ作用および遠心力作用によって、潤滑油が小径円環部184a側から大径円環部184b方向(矢印F方向)へ流れるので、排油穴181aからより効果的な排油が可能となる。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0058】
なお、図10(b)の変形例に示すように、軸方向片側に排油穴181aが形成される場合には、排油穴181aは、円筒ころ83に対して潤滑油を給油する側(図中矢印で示す)と反対側に形成される。この場合にも、この排油穴181aが内周面及び外周面に開口する位置には、集油溝187a及び周方向溝85aが形成される。
【0059】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る主軸装置用軸受について、図11を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、後側軸受である円筒ころ軸受の構成において、第1及び第3実施形態と異なる。そのため、第1及び第3実施形態と同等部分については、同一符号を付して説明を省略或いは簡略化する。
【0060】
図11(a)に示すように、本実施形態の円筒ころ軸受280では、給油が外輪281に径方向に貫通形成された給油穴285を介して行われている。具体的に、給油穴285は、外輪281の円筒ころ83と干渉しない外輪軌道面81cの近傍に開口する。また、外輪281の外周面には、給油穴285が開口する軸方向位置に環状の周方向溝286が形成されている。これにより、後蓋34に形成された給油通路92から供給された潤滑油は、周方向溝286、給油穴285を介して供給される。なお、給油は、給油穴285単独であっても良いし、後側軸受外輪押え43のノズル43aからの給油を併用してもよい。
【0061】
また、外輪281には、円筒ころ83を挟んで給油穴285と軸方向反対側に、排油穴81aが形成されている。排油穴81aが開口する軸方向位置の外輪281の内周面には、周方向に亘って環状の集油溝87aが形成され、外周面には、周方向溝85aが形成されている。周方向溝85aは、排油穴81aと排油通路102の排油穴34aとを連通する。
【0062】
給油穴285から供給されて軸受280の内部を潤滑した潤滑油は、保持器84のポンプ作用および傾斜面84eに作用する遠心力の分力によって大径円環部84b側に流れて、集油溝87aに集められ、排油穴81a、周方向溝85a、排油通路102を介して負圧発生装置103の吸引力によって、強制的に外部に排出される。
【0063】
なお、保持器84は、大径円環部84bの外周面が、径方向から見て給油穴285および排油穴81aとオーバーラップしない位置、即ち、集油溝87aの軸方向外方で、外輪281の内周面281fと摺接して外輪案内される。また、給油穴285は、保持器84の小径円環部84a側に配置されているので、給油穴285と保持器84との間には隙間が確保され、保持器84によって給油が阻害されることはない。また、図11では、簡略化のため、給油穴285と排油穴81aが同一断面に示されているが、実際には、異なる位相に配置されている。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0064】
また、図11(b)の変形例に示すように、給油穴285を外輪281´に設ける構造は、第3実施形態の保持器184にも適用可能である。即ち、外輪281´には、排油穴181aが、円筒ころ83に対して給油穴285と反対側で、保持器184の大径円環部184bが摺接する内周面と干渉しない軸方向外側に形成される。排油穴181aの内周面及び外周面には、集油溝187a及び周方向溝85aがそれぞれ形成される。
【0065】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る主軸装置用軸受について、図12を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、後側軸受である円筒ころ軸受の構成、特に保持器がころ案内方式である点で、第1、第3及び第4実施形態と異なる。そのため、第1、第3及び第4実施形態と同等部分については、同一符号を付して説明を省略或いは簡略化する。
【0066】
図12(a)に示すように、本実施形態の円筒ころ軸受380では、保持器384がころ案内方式であり、軸方向両側に位置し、外径が互いに異なる小径円環部384a及び大径円環部384bと、これら小径円環部384a及び大径円環部384bを連結し、周方向に略等間隔で配置される複数の柱部384cと、を有し、これら小径円環部384a、大径円環部384b、および隣接する柱部384cとで円筒ころ83を保持するポケットを構成する。
【0067】
保持器384の外周面は、小径円環部384a側から大径円環部384bに向けて略一様に拡径する傾斜面384eを有し、その内周面は、小径円環部384a、大径円環部384b、および柱部384cともに、同じ内径寸法に設計されている。また、保持器384は、大径円環部384bが、潤滑油が給油される側と反対側となるように組み込まれる。
【0068】
なお、外輪81には、第1実施形態と同様の、排油穴81a,81b及び周方向溝85a,85bが形成されている。
【0069】
従って、ころ案内方式の保持器384においても、軸受380を潤滑した潤滑油は、保持器384の回転に伴う大径円環部384bと小径円環部384aの外周面の周速度の差によって生じるポンプ作用によって、潤滑油が小径円環部384a側から大径円環部384b側(矢印F方向)へ流れるので、排油穴81aからより効果的な排油が可能となる。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0070】
また、図12(b)に示すように、軸方向片側に排油穴81aが形成される場合には、排油穴81aは、円筒ころ83に対して潤滑油を給油する側(図中矢印で示す)と反対側に形成される。この場合にも、この排油穴81aが外周面に開口する位置には、周方向溝85aが形成される。
【0071】
また、図13(a)に示すように、外輪81の内周面には、排油穴81a,81bが開口する軸方向位置に、周方向に亘って環状の集油溝87a,87bが形成される。外輪81の内周面に集油溝87a,87bを設けることにより、小径である排油穴81a,81b内に油が集まりやすく、排油性が向上される。さらに、図13(b)においても、円筒ころ83に対して潤滑油を給油する側(図中矢印で示す)と反対側に排油穴81aが形成される場合には、この排油穴81aが開口する内周面に集油溝87aが形成される。
【0072】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る主軸装置用軸受について、図14を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、後側軸受である円筒ころ軸受の構成において、第1、第3乃至第5実施形態と異なる。そのため、第1、第3乃至第5実施形態と同等部分については、同一符号を付して説明を省略或いは簡略化する。
【0073】
図14に示すように、本実施形態の円筒ころ軸受480では、第5実施形態と同様のころ案内方式の保持器384が使用されており、給油が外輪481に径方向斜めに貫通形成された給油穴485とその外周側開口に位置する環状の周方向溝486を介して行われている。給油穴485の内周側開口は、保持器384の小径円環部384aに向けられている。また、排油穴81a、周方向溝85a及び集油溝87aは、円筒ころ83を挟んで給油穴285と軸方向反対側に形成されている。
【0074】
これにより、給油穴485から供給されて軸受480内部を潤滑した潤滑油は、保持器384のポンプ作用によって大径円環部384b側に流れ、集油溝87aに集められ、排油穴81a、周方向溝85a、排油通路102を介して負圧発生装置103の吸引力によって、強制的に外部に排出される。また、保持器384に付着した潤滑油も、遠心力によって傾斜面384eに沿って大径円環部384b側に移動し、大径円環部384bの軸方向端面から遠心力によって振り切られて、排油穴81aからの排出が促進される。


その他の構成及び作用については、第1、第3乃至第5実施形態のものと同様である。なお、図14では、簡略化のため、給油穴285と排油穴81aが同一断面に示されているが、実際には、異なる位相に配置されている。
【0075】
尚、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
本実施形態では、前側軸受60,70を2列のアンギュラ玉軸受,後側軸受80を円筒ころ軸受としたが、各軸受の種類や列数は任意に設定可能である。
また、本実施形態では、アンギュラ玉軸受の排油穴71bや円筒ころ軸受の排油穴81a,81bは、それぞれ周方向に複数本ずつ形成されているが、周方向に少なくとも一本形成されればよい。
【0076】
さらに、図15に示す工作機械用主軸装置20aのように、各軸受60,70,80の排油穴が、ハウジングHに形成された単一の排油通路110と連通し、この排油通路110が、負圧発生装置103に図示しない配管を介して接続されてもよい。
【0077】
これにより、各軸受60,70,80を潤滑した潤滑油は、負圧発生装置103の吸引力によって強制的に吸引されながら、排油穴を介して、単一の排油通路110から外部へ排出され、軸受内部の潤滑油過多や異常発熱を抑制することができる。また、ハウジングHに穴加工する排油通路の数を少なくすることができ、加工コストを低減することができる。なお、図15では、異なる位相の前側軸受60,70のノズル40a,40bと、後側軸受80のノズル43aとを同じ断面に示している。
【0078】
また、本実施形態では、軸受60,70,80毎に複数の給油通路90,91,92が設けられているが、これら給油通路90,91,92を単一の給油通路として、主軸装置20内で分岐して供給するようにしてもよく、潤滑方式や潤滑条件により複数の軸受毎に別通路とするか単一の共有通路とするかは最適方式を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の軸受を備える主軸装置が適用される門形マシニングセンタの概略図である。
【図2】第1実施形態の軸受が適用される主軸装置において、一方の前側軸受の給油通路及び排油通路を示す断面図である。
【図3】主軸装置において、他方の前側軸受の給油通路及び排油通路を示す断面図である。
【図4】主軸装置において、後側軸受の給油通路及び排油通路を示す断面図である。
【図5】主軸装置の前側軸受の拡大断面図である。
【図6】主軸装置の後側軸受の拡大断面図である。
【図7】第1実施形態の変形例に係る後側軸受の拡大断面図である。
【図8】(a)は、第1実施形態の他の変形例に係る後側軸受の拡大断面図であり、(b)は、さらに他の変形例を示す拡大断面図である。
【図9】第2実施形態の主軸装置用軸受に係る前側軸受の拡大断面図である。
【図10】(a)は、第3実施形態の主軸装置用軸受に係る後側軸受の拡大断面図であり、(b)は、その変形例を示す拡大断面図である。
【図11】(a)は、第4実施形態の主軸装置用軸受に係る後側軸受の拡大断面図であり、(b)は、その変形例を示す拡大断面図である。
【図12】(a)は、第5実施形態の主軸装置用軸受に係る後側軸受の拡大断面図であり、(b)は、その変形例を示す拡大断面図である。
【図13】(a)は、第5実施形態の他の変形例に係る後側軸受の拡大断面図であり、(b)は、さらに他の変形例を示す拡大断面図である。
【図14】第6実施形態の主軸装置用軸受に係る後側軸受の拡大断面図である。
【図15】主軸装置の変形例を示す断面図である。
【図16】従来の主軸装置における断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 門形マシニングセンタ(複合加工工作機械)
20,20a 主軸装置(工作機械用主軸装置)
22 回転軸
60,70,170 前側軸受(主軸装置用軸受)
61,71 外輪
62,72 内輪
63,73 玉(転動体)
64,74,174 保持器
71b 排油穴
74a,174a 小径円環部
74b,174b 大径円環部
64c,74c,174c 柱部
80,180,280,380,480 後側軸受(主軸装置用軸受)
81,181,281,381,481 外輪
81a,81b,181a,181b, 排油穴
81c 外輪軌道面
82 内輪
82a 内輪軌道面
83 円筒ころ(転動体)
84,184,384 保持器
84a,184a,384a 小径円環部
84b,184b,384b 大径円環部
84c,184c,384c 柱部
H ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に内輪軌道面を有する内輪と、
内周面に外輪軌道面を有する外輪と、
前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間に配置される複数の転動体と、
前記転動体を周方向に略等間隔で保持する保持器と、
を有し、工具を取り付け可能な回転軸をハウジングに対して回転自在に支持するとともに、オイル潤滑によって潤滑される主軸装置用軸受であって、
前記保持器は、軸方向両側に位置し、外径が互いに異なる小径円環部及び大径円環部と、該両円環部を連結し、周方向に略等間隔で配置される複数の柱部と、を備え、
前記外輪には、軸方向において前記転動体に対して前記大径円環部側に、排油穴が径方向に貫通形成されるとともに、該排油穴内には、軸受外部からの吸引力によって、負圧が作用することを特徴とする主軸装置用軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−191877(P2009−191877A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30883(P2008−30883)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】