説明

乗員検知校正システム

【課題】作業者が荷重信号の基準点へのリセットを確実かつ適切に行うことができる乗員検知校正システムを提供することを目的とする。
【解決手段】コントローラ30が、スライドポジションセンサ18、ヘッドレストポジションセンサ20、及びリクライニングセンサ22の検出結果をコネクタ23、車両側コネクタ26、及び工場側コネクタ28を介して取得し、取得した各センサの検出結果からシートの所定の状態(スライド位置がフロントモースト位置でヘッドレストがロアモースト位置、かつリクライニングアップライト状態)を判断し、シートが所定の状態のときだけ、荷重センサ16の0点リセットを行う信号を乗員検知ECU14に出力する。これにより、乗員検知ECU14では、当該信号をコントローラ30から受信したときに、現在の荷重センサ16から出力される信号を0点としてリセットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員検知校正システムにかかり、特に、車両用シートの着座乗員を検知する乗員検知装置を校正する乗員検知校正システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のシートに配設される乗員検知装置の一例としては、特許文献1に示される技術が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の乗員検知装置では、シートクッションの後部に2個の歪み測定型ロードセル等のセンサを設けて、シートに加わる荷重をセンサによって検出することにより、乗員の着座を検知するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−203324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の技術のように、シートクッションの後部に設けた2つのセンサに加わる荷重を検出することにより、乗員の着座を検知する乗員検知装置では、シートバックの角度によってシートクッションの後部に設けられたセンサに加わる荷重が変化するため、工場出荷時に作業者が、予め定めたリクライニングアップライト状態(標準状態)で荷重信号の基準点のリセットを行う必要がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、作業者が荷重信号の基準点へのリセットを確実かつ適切に行うことができる乗員検知校正システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、車両用シートに加わる荷重を検出し、当該荷重を表す荷重信号を出力する荷重検出手段と、予め定めたリセット指示に基づいて前記荷重信号の基準点へのリセットが可能とされ、前記荷重信号に基づいて、乗員を検知する乗員検知手段と、シートバックの予め定めた傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段と、前記傾斜角度検出手段によって予め定めた傾斜角度が検出されたときに、前記乗員検知手段による前記荷重信号の基準点へのリセットの実行を許可する許可手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、荷重検出手段は、車両用シートに加わる荷重を検出して、検出した荷重を表す荷重信号を出力する。
【0009】
これにより、乗員検知手段では、荷重信号に基づいて、乗員が検知される。このとき、荷重検出手段から出力される荷重信号は、基準点(例えば、0点)へのリセットを行っておく必要がある。すなわち、シートクッションの傾斜角度によってシートに加わる荷重が変化してしまうので、荷重信号を基準点へリセットする際のシートバックの角度によって正確に乗員検知ができなくなってしまう。
【0010】
そこで、傾斜角度検出手段では、シートバックの予め定めた傾斜角度を検出し、許可手段が、傾斜角度検出手段によって予め定めた傾斜角度が検出されたときに、乗員検知手段による荷重信号の基準点へのリセットの実行を許可する。すなわち、シートバックの角度が予め定めた角度のときに、荷重センサの基準点へのリセットが行われるので、荷重信号の基準点へのリセットを確実かつ適切に行うことができる。
【0011】
なお、請求項2に記載の発明のように、車両用シートのスライド位置を検出するスライド位置検出手段と、ヘッドレストの位置を検出するヘッドレスト位置検出手段と、を更に備えて、許可手段が、検車角度検出手段によって予め定めた傾斜角度が検出され、かつ、スライド位置検出手段及びヘッドレスト位置検出手段の検出結果に基づいて、車両用シートの状態が所定状態であることが検出されたときに、基準点へのリセットを許可するようにしてもよい。
【0012】
また、許可手段は、請求項3に記載の発明にように、車両とは別に設けられ、傾斜角度検出手段によって予め定めた傾斜角度が検出されたときに、乗員検知手段に対してリセット指示を出力することにより、基準点へのリセットの実行を許可するようにしてもよい。
【0013】
なお、荷重検出手段は、請求項4に記載の発明のように、シートクッションの車両後方側2カ所に設けられ、シートの後方側に加わる荷重を検出するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、シートバックが予め定めた傾斜角度のときに、荷重検出手段の基準点へのリセットを許可する構成を備えることにより、作業者が荷重信号の基準点へのリセットを確実かつ適切に行うことができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる乗員検知校正システムの概略構成を示す図である。
【図2】(A)はシートバックの角度が起きている状態を表す図であり、(B)はシートバックの角度が寝ている状態を表す図である。
【図3】荷重センサの0点リセットの条件を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係わる乗員検知校正システムの工場側のコントローラで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係わる乗員検知校正システム概略構成を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係わる乗員検知校正システの車両側の乗員検知ECUで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係わる乗員検知校正システムの概略構成を示す図である。なお、乗員検知校正システム10は、車両に設けられたシート12の着座乗員を検知する乗員検知ECU14に入力される荷重信号を校正するものである。
【0018】
シート12には、シート12のシートクッション後方側の左右2カ所に設けられた荷重を検出する荷重センサ16、シートスライド位置を検出するスライドポジションセンサ18、ヘッドレストの位置を検出するヘッドレストポジションセンサ20、及びシートバックが起きた状態の予め定めた傾斜角度(リクライニングアップライト状態)を検出するためのリクライニングセンサ22が設けられている。なお、リクライニングアップライト状態は、例えば、シートバックの傾斜角度を保持するロックがかかる状態で最も起きている状態を適用することができる。
【0019】
また、シート12の下部には、シート12への着座乗員や物の存在を検知するための処理を行う乗員検知ECU14が設けられており、荷重センサ16が接続されている。乗員検知ECU14は、荷重センサ16の検出結果(荷重信号)に基づいて、着座乗員の検知や物の存在を検知するようになっている。
【0020】
乗員検知ECU14には、コネクタ23を介して、エアバッグを制御するA/B ECU24に接続されており、A/B ECU24が、乗員検知ECU14の検知結果に基づいて、乗員の着座の有無や着座乗員が大人か子供か等に応じてエアバッグの展開の有無の判断等を行うようになっている。例えば、A/B ECU24は、乗員検知ECU14の検知結果に基づいて、着座乗員がいない場合にエアバッグ装置の展開を禁止したり、大人が着座している場合にエアバッグ装置を展開し、子供が着座している場合にはエアバッグ装置の展開を禁止する等の制御を行う。
【0021】
ところで、乗員検知ECU14は、荷重センサ16の検出結果に基づいて、シート12の着座乗員や物の存在を検知するが、荷重センサ16の検出結果(荷重信号)を0点リセットしてから乗員検知を行う必要がある。そこで、シート12を取り付けてから0点リセットを行うためのコントローラ30が工場側に設けられている。
【0022】
コントローラ30には、0点リセット指示等を行うための操作パネル32が接続されており、操作パネル32を操作することによって、乗員検知ECU14の0点リセットを行う。
【0023】
このとき、図2(A)に示すようにシートバックの角度が起きている場合と、図2(B)に示すようにシートバックが寝ている場合とでは、シートクッション後方に加わる荷重の大きさが異なるため、図2(B)に示すようにシートクッションが寝ている状態で0点リセットを行った場合には、正しい乗員判定ができなくなってしまう。
【0024】
そこで、コントローラ30は、シート12の状態を検出して、シート12の状態が所定の状態であるときに、リセット信号を乗員検知ECU14に出力することによって、荷重センサ16の0点リセットを行う。
【0025】
すなわち、コントローラ30には、シート12に設けられた乗員検知ECU14、リクライニングセンサ22、スライドポジションセンサ18、及びヘッドレストポジションセンサ20が接続されるが、当該接続は、車両側コネクタ26と、工場側コネクタ28を接続することによって接続されるようになっている。
【0026】
荷重センサ16の0点リセットは、具体的には、図3に示すように、作業者によって乗員・物なしが検出され、かつ、スライドポジションセンサ18によってフロントモースト位置が検出され、ヘッドレストポジションセンサ20によってロアモースト位置が検出され、リクライニングアップライト信号を受信した場合に、コントローラ30から乗員検知ECU14への0点リセット信号の出力が許可され、これによって乗員検知ECU14で0点リセットを行う。すなわち、コントローラ30は、スライドポジションセンサ18、ヘッドレストポジションセンサ20、及びリクライニングセンサ22の検出結果をコネクタ23、車両側コネクタ26、及び工場側コネクタ28を介して取得し、取得した各センサの検出結果からシートの所定の状態(スライド位置がフロントモースト位置でヘッドレストがロアモースト位置、かつリクライニングアップライト状態)を判断し、シートが所定の状態のときに、荷重センサ16の0点リセットを行う信号が乗員検知ECU14に出力される。乗員検知ECU14は、当該信号をコントローラ30から受信したときに、現在の荷重センサ16から出力される信号を0点としてリセットすることにより、荷重センサ16の検出値の0点が設定される。
【0027】
続いて、上述のように構成された第1実施形態に係わる乗員検知校正システム10で乗員検知ECU14の荷重センサ16の0点リセットを行う際の具体的な処理について説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係わる乗員検知校正システム10の工場側のコントローラ30で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図4の処理は、車両側コネクタ26と工場側コネクタ28が接続された場合に開始するものとして説明する。
【0028】
工場の作業者によって車両側コネクタ26と工場側コネクタ28が接続されると、ステップ100では、0点リセット指示が行われたか否かがコントローラ30によって判定される。該判定は、コントローラ30に接続された操作パネル32が作業者によって操作されて、荷重センサ16の0点リセットの指示が行われたか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ102へ移行する。
【0029】
ステップ102では、リクライニングセンサ22の検出結果が取得されてステップ104へ移行する。すなわち、コネクタ23、車両側コネクタ26、及び工場側コネクタ28を介してリクライニングセンサ22の検出結果がコントローラ30に取り込まれる。
【0030】
ステップ104では、スライドポジションセンサ18の検出結果が取得されてステップ106へ移行する。すなわち、コネクタ23、車両側コネクタ26、及び工場側コネクタ28を介してスライドポジションセンサ18の検出結果がコントローラ30に取り込まれる。
【0031】
ステップ106では、ヘッドレストポジションセンサ20の検出結果が取得されてステップ108へ移行する。すなわち、コネクタ23、車両側コネクタ26、及び工場側コネクタ28を介してヘッドレストポジションセンサ20の検出結果がコントローラ30に取り込まれる。なお、ステップ102〜106の処理順序はこれに限るものではなく、何れを先に行ってもよい。
【0032】
ステップ108では、リセット条件を満足しているか否かがコントローラ30によって判定される。該判定は、スライドポジションセンサ18の検出結果がフロントモースト位置、かつヘッドレストポジションセンサ20の検出結果がロアモースト位置、かつリクライニングセンサ22の検出結果がリクライニングアップライト状態か否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ112へ移行し、肯定された場合にはステップ110へ移行する。なお、図3に示す判定条件のうち、シート12に乗員・物がないか否かは、0点リセット指示を行う際に作業者がシート12を確認してから行うため、当該処理の段階では、シート12に乗員・物がないことが前提として説明する。
【0033】
ステップ110では、0点リセット信号が工場側コネクタ28、車両側コネクタ26、及びコネクタ23を介して乗員検知ECU14に出力されて一連のコントローラ30での処理を終了する。このように、コントローラ30から0点リセット信号が出力されることにより、乗員検知ECU14では、荷重センサ16によって検出されている現在の値が0点としてリセットされる。
【0034】
一方、ステップ112では、条件が満たされていない旨が報知されてステップ114へ移行する。すなわち、各センサの検出結果の何れかが条件を満たしていない旨を表示したり、ランプ等で報知したり、音声や音等によって報知したりする。
【0035】
ステップ114では、0点リセットが再指示されたか否かがコントローラ30によって判定される。該判定は、ステップ112の報知に従って作業者が確認作業を行った後に、操作パネル32が操作されて再度0点リセット指示が行われたか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ102へ移行して、ステップ108の判定が肯定されるまで上述の処理が繰り返される。
【0036】
このように本実施形態では、荷重センサ16がシートクッションの後方の2カ所に設けられていることから、シートバックの傾斜角度によって荷重センサ16の値が変化してしまうので、シート12が所定の状態のときだけ、コントローラ30からのリセット指示を許可することにより、乗員検知ECU14が荷重センサ16の値を0点リセットするので、荷重センサ16の値から乗員検知を正確に行うことが可能となる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係わる乗員検知校正システムについて説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係わる乗員検知校正システム概略構成を示す図である。なお、第1実施形態と同一部分については同一符号を付して説明する。
【0038】
第1実施形態では、工場側のコントローラ30から0点リセット信号出力をする際に、コントローラ30がシートの状態を確認してシート12が所定の状態の時に、0点リセット信号の出力する場合を説明したが、第2実施形態では、コントローラ30から0点リセット信号を出力したときに、乗員検知所定の状態を検出したときのみ乗員検知ECU14がリセットを行う場合を説明する。
【0039】
シート12には、第1実施形態と同様に、シート12のシートクッション後方側の左右2カ所に設けられた荷重を検出する荷重センサ16、シートスライド位置を検出するスライドポジションセンサ18、ヘッドレストの位置を検出するヘッドレストポジションセンサ20、及びシートバックが起きた状態の予め定めた傾斜角度(リクライニングアップライト状態)を検出するためのリクライニングセンサ22が設けられている。
【0040】
また、シート12の下部には、シート12への着座乗員や物の存在を検知するための処理を行う乗員検知ECU14が設けられており、荷重センサ16が接続されている。乗員検知ECU14は、荷重センサ16の検出結果(荷重信号)に基づいて、着座乗員の検知や物の存在を検知するようになっている。
【0041】
第1実施形態では、A/B ECU24に乗員検知ECU14の検知結果を出力してエアバッグの展開を制御する例を説明したが、第2実施形態では、A/B ECU24を省略した例を説明するが、第1実施形態と同様に、A/B ECU24を備えるようにしてもよい。
【0042】
一方、工場側は、第1実施形態と同様に、コントローラ30が設けられており、コントローラ30に操作パネル32が接続されている。
【0043】
本実施形態では、荷重センサ16の0点リセットを行うか否かの判断を乗員検知ECU14で行うので、乗員検知ECU14には、荷重センサ16の他に、スライドポジションセンサ18、ヘッドレストポジションセンサ20、及びリクライニングセンサ22が接続されている。
【0044】
すなわち、乗員検知ECU14は、作業者等によって操作パネル32が操作されてコントローラ30から、工場側コネクタ28、車両側コネクタ26、及びコネクタ23を介して荷重センサ16の0点リセット指示が入力された場合に、各センサの検出結果からシート12が所定の状態(スライド位置がフロントモースト位置、かつヘッドレストがロアモースト位置、リクライニングアップライト状態)であるか否かを判断し、所定の状態にあるときのみ、荷重センサ16の0点リセットを実行し、それ以外の場合には、エラー信号をコントローラ30に返信する。
【0045】
続いて、上述のように構成された本発明の第2実施形態に係わる乗員検知校正システム11で乗員検知ECU14の荷重センサ16の0点リセットを行う際の具体的な処理について説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係わる乗員検知校正システ11の車両側の乗員検知ECU14で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図6の処理は、車両側コネクタ26と工場側コネクタ28が接続された場合に開始するものとして説明する。
【0046】
ステップ200では、0点リセット指示がコントローラ30から入力されたか否かが乗員検知ECU14によって判定される。該判定は、コントローラ30に接続された操作パネル32が作業者によって操作されて、荷重センサ16の0点リセットの指示が行われることによって0点リセット指示を表す信号が出力されたか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ202へ移行する。
【0047】
ステップ202では、リクライニングセンサ22の検出結果が取得されてステップ204へ移行する。すなわち、リクライニングセンサ22の検出結果が乗員検知ECU14に取り込まれる。
【0048】
ステップ204では、スライドポジションセンサ18の検出結果が取得されてステップ206へ移行する。すなわち、スライドポジションセンサ18の検出結果が乗員検知ECU14に取り込まれる。
【0049】
ステップ206では、ヘッドレストポジションセンサ20の検出結果が取得されてステップ208へ移行する。すなわち、ヘッドレストポジションセンサ20の検出結果が乗員検知ECU14に取り込まれる。なお、ステップ202〜206の処理順序はこれに限るものではなく、何れを先に行ってもよい。
【0050】
ステップ208では、リセット条件を満足しているか否かが乗員検知ECU14によって判定される。該判定は、スライドポジションセンサ18の検出結果がフロントモースト位置、かつヘッドレストポジションセンサ20の検出結果がロアモースト位置、リクライニングセンサ22の検出結果がリクライニングアップライト状態か否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ212へ移行し、肯定された場合にはステップ210へ移行する。
【0051】
ステップ210では、荷重センサ16の0点リセットが乗員検知ECU14によって実行されて一連の乗員検知ECU14での処理を終了する。すなわち、乗員検知ECU14は、荷重センサ16によって検出されている現在の値を0点としてリセットする。
【0052】
一方、ステップ212では、条件が満たされていないことを表すエラー信号がコントローラ30に出力されてステップ214へ移行する。すなわち、各センサの検出結果の何れかが条件を満たしていないことを表すエラー信号をコントローラ30に出力する。コントローラ30は、このエラー信号に基づくエラー内容を報知することができる。例えば、エラー報知方法としては、エラー内容を表示したり、ランプ等で報知したり、音声や音等によって報知したりする。
【0053】
ステップ214では、0点リセットが再指示されたか否かが判定される。該判定は、ステップ212のエラー信号のコントローラ30への出力に対して、作業者が確認作業(例えば、シート12の状態の再確認等)を行った後に、操作パネル32が操作されて再度0点リセット指示が乗員検知ECU14に入力されたか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ202へ移行して、ステップ208の判定が肯定されるまで上述の処理が繰り返される。
【0054】
このように、本実施形態では、荷重センサ16がシートクッションの後方の2カ所にもうけられていることから、シートバックの角度によって荷重センサ16の値が変化してしまうので、シート12が所定の状態のときに乗員検知ECU14が荷重センサ16の値を0点リセットすることによって、荷重センサ16の値から乗員検知を正確に行うことが可能となる。
【0055】
なお、上記の各実施形態では、スライドポジションセンサ18及びヘッドレストポジションセンサ20の検出結果も考慮して0点リセットを行うようにしたが、シートバックの傾斜が荷重センサ16に与える影響が最も大きいので、スライドポジションセンサ18及びヘッドレストポジションセンサ20は省略して、リクライニングセンサ22によってリクライニングアップライト状態が検出されたときに、0点リセットを行う構成としてもよい。
【0056】
また、上記の各実施形態では、荷重信号を基準点へのリセットを0点へリセットするものとして説明したが、基準点としては、0点に限るものではなく、他の値にリセットするようにしてもよい。
【0057】
また、上記の各実施形態では、コントローラ30を工場側に設けるものとして説明したが、これに限るものではなく、工場ではなくて、例えば、自動車修理工場や販売会社等に設けるようにしてもよい。この場合には、コントローラ30は、自動車に接続して自己診断結果を確認するための自己診断装置等を適用することができる。
【0058】
また、上記の各実施形態では、荷重センサ16をシートクッションの後方側の2カ所に設ける例を説明したが、シートクッションの前後4カ所に設ける場合にも0点リセットを上記の実施形態と同様に実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10、11 乗員検知校正システム
12 シート
14 乗員検知ECU
16 荷重センサ
18 スライドポジションセンサ
20 ヘッドレストポジションセンサ
22 リクライニングセンサ
30 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートに加わる荷重を検出し、当該荷重を表す荷重信号を出力する荷重検出手段と、
予め定めたリセット指示に基づいて前記荷重信号の基準点へのリセットが可能とされ、前記荷重信号に基づいて、乗員を検知する乗員検知手段と、
シートバックの予め定めた傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段と、
前記傾斜角度検出手段によって予め定めた傾斜角度が検出されたときに、前記乗員検知手段による前記荷重信号の基準点へのリセットの実行を許可する許可手段と、
を備えた乗員検知校正システム。
【請求項2】
車両用シートのスライド位置を検出するスライド位置検出手段と、ヘッドレストの位置を検出するヘッドレスト位置検出手段と、を更に備え、
前記許可手段が、前記傾斜角度検出手段によって予め定めた傾斜角度が検出され、かつ前記スライド位置検出手段及び前記ヘッドレスト位置検出手段の検出結果に基づいて、車両用シートの状態が所定状態であることが検出されたときに、前記基準点へのリセットを許可する請求項1に記載の乗員検知校正システム。
【請求項3】
前記許可手段は、車両とは別に設けられ、前記傾斜角度検出手段によって予め定めた傾斜角度が検出されたときに、前記乗員検知手段に対して前記リセット指示を出力することにより、前記基準点へのリセットの実行を許可する請求項1又は請求項2に記載の乗員検知校正システム。
【請求項4】
前記荷重検出手段は、シートクッションの車両後方側2カ所に設けられ、車両用シートの後方側に加わる荷重を検出する請求項1〜3の何れか1項に記載の乗員検知校正システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−171473(P2012−171473A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34820(P2011−34820)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】