乗用型田植機
【課題】苗載台上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業のように、比較的頻繁に行われる作業において、オペレータが操作しなくてもエンジンの回転数をアイドリング状態まで速やかに低下させると共に、自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への積み降ろし作業を行なう際、エンジンの回転数が不測に停止することを防止して、オペレータが降車した状態で安全且つ的確な作業が行なえるようにする。
【解決手段】苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段72a,72bが作動可能状態且つ駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされると共に、着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段81を設けた。
【解決手段】苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段72a,72bが作動可能状態且つ駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされると共に、着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段81を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車輪を有する走行機体の後方に昇降リンク機構を介して植付作業機を昇降自在に連結すると共に、エンジンの動力より苗載台上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置と、該植付装置によるマット苗の植え付け時に肥料タンク内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置とを備えた乗用型田植機におけるエンジンの回転数制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗用型田植機では、燃費の向上と騒音の低減を図ることを目的として、走行用の変速操作具である主変速レバーが走行停止状態をもたらす特定の位置、即ち主変速レバーがニュートラル位置に操作されていることを条件とすると共に、作業対象に設定された条件、例えば、苗載台上に載置されたマット苗の残量が少なくなったことを苗残量検出センサが検出した状態、あるいは、植付作業機が上限位置まで上昇したことを上限スイッチが検出した状態等の条件が満たされ、且つ苗継ぎ作業あるいは苗補充作業を行なうためにオペレータが運転座席から所定時間以上立ち上がっていることが検出されると、自動的にエンジンを停止せしめるエンジン自動停止手段を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−94753号公報(第6−8頁、図7−図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、乗用型田移植機では、自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への積み降ろし作業を行なう際は、これらの作業を安全且つ的確に行なうためにオペレータが乗用型田移植機から降車して操縦操作を行なうことが一般的に行なわれており、特許文献1の乗用型田植機のように、ある条件下、即ち主変速レバーがニュートラル位置に操作されると共に、苗載台上に載置されたマット苗の残量が少なくなったことを苗残量検出センサが検出した状態、あるいは、植付作業機が上限位置まで上昇したことを上限スイッチが検出した状態等の条件が満たされ、且つオペレータが運転座席から所定時間以上立ち上がったことが検出されると自動的にエンジンを停止するように構成したものでは、エンジンを再始動させないと自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への積み降ろし作業が行なうことができないので作業性の面で不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することを目的とした本発明は、エンジンの動力により、苗載台上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置と、該植付装置によるマット苗の植え付け時に肥料タンク内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置と、苗載台上に載置したマット苗の残量低下を検出する苗残量検出センサまたは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下を検出する肥料残量検出センサと、前記苗残量検出センサまたは肥料残量検出センサの検出結果に基づいて苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段を備えると共に、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサを運転座席に設置してなる乗用型田植機において、前記警報手段が作動可能状態であって、苗残量検出センサによる苗切れの検出または肥料量検出センサによる肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサによる運転座席へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段を設けてあることを第1の特徴としている。
また、エンジンの動力により、苗載台上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置と、該植付装置によるマット苗の植え付け時に肥料タンク内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置と、苗載台上に載置したマット苗の残量低下を検出する苗残量検出センサまたは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下を検出する肥料残量検出センサと、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサを運転座席に設置すると共に、走行車輪を制動する駐車ブレーキを備えた乗用型田植機において、前記駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサによる苗切れの検出または肥料残量検出センサによる肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサによる運転座席へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段を設けてあることを第2の特徴としている。
そして、エンジンの動力により、苗載台上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置と、該植付装置によるマット苗の植え付け時に肥料タンク内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置と、苗載台上に載置したマット苗の残量低下を検出する苗残量検出センサまたは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下を検出する肥料残量検出センサとまたは苗残量検出センサと肥料残量検出センサの検出結果に基づいて苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段を備え、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサを運転座席に設置すると共に、走行車輪を制動する駐車ブレーキを備えた乗用型田植機において、前記警報手段が作動可能状態且つ駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサによる苗切れの検出または肥料残量検出センサによる肥料切れの検出がなされると共に、着座状態検出センサによる運転座席へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段を設けてあることを第3の特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、苗残量検出センサまたは肥料残量検出センサの検出結果に基づいて苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段が作動可能状態であって、苗残量検出センサによる苗切れの検出または肥料量検出センサによる肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサによる運転座席へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段を設けてあることによって、乗用型田植機の自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への乗用型田植機の積み降ろし作業を行なう際、オペレータが運転座席から所定時間以上立ち上がっても自動的にエンジンが停止することがないので、従来のようにエンジンを再始動させなくて済む。この時、オペレータが運転座席から立ち上がった状態または乗用型田移植機から降車した状態で操縦操作することにより、前記畦越えや積み降ろし作業を安全且つ的確に行なうことができると共に、当該作業時にエンジンEの回転数が不測に低下することも防止できる。また、苗載台上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業は、比較的に頻繁に行わなければならないが、その際、オペレータがスロットルレバーを操作しなくても、エンジンの回転数はアイドリング状態まで速やかに低下するので不要に消費される燃料を低減させることができる。
また、請求項2の発明によれば、走行車輪を制動する駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサによる苗切れの検出または肥料残量検出センサによる肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサによる運転座席へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段を設けてあることによって、乗用型田移植機の走行を比較的長時間停止させて行なう作業、即ち苗載台上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業を行なう時、前記駐車ブレーキが作用中であることを、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させる制御条件としているので、より安全に前記苗継ぎや苗補充作業及び肥料の補給作業が行なえるようになる。
そして、苗残量検出センサまたは肥料残量検出センサの検出結果に基づいて、苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段が作動可能状態且つ走行車輪を制動する駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサによる苗切れの検出または肥料残量検出センサによる肥料切れの検出がなされると共に、着座状態検出センサによる運転座席へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段を設けてあることによって、乗用型田植機の自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への乗用型田植機の積み降ろし作業を行なう際、オペレータが運転座席から所定時間以上立ち上がっても自動的にエンジンが停止することがないので、従来のようにエンジンを再始動させなくて済む。この時、オペレータが運転座席から立ち上がった状態またはオペレータが乗用型田移植機から降車した状態で操縦操作することにより、前記畦越えや積み降ろし作業を安全且つ的確に行なうことができると共に、当該作業時にエンジンEの回転数が不測に低下することも防止できる。また、苗載台上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業は、比較的に頻繁に行わなければならないが、その際、オペレータがスロットルレバーを操作しなくても、エンジンの回転数はアイドリング状態まで速やかに低下するので不要に消費される燃料を低減させることができる。そして、乗用型田移植機の走行を比較的長時間停止させて行なう作業である苗載台上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業を行なう時、前記駐車ブレーキが作用中であることを、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させる制御条件としているので、より安全に苗継ぎや苗補充作業及び肥料の補給作業が行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】乗用型田植機の側面図。
【図2】乗用型田植機の平面図。
【図3】主変速レバーの連係構造を示す側面図。
【図4】運転操作パネルと、その周辺を示す平面図。
【図5】スロットルレバーと調速アームの連係構造を示す側面図と平面図。
【図6】クイックアップレバーの操作方法を示す斜視図。
【図7】油圧感知コントロールバルブ周辺の構成を示す側面図。
【図8】肥料タンク周辺の側面図(一部透視図)。
【図9】施肥装置の概略構成を示す一部を省略した側面図。
【図10】制御部のブロック図(実施例1)。
【図11】クラッチ・ブレーキ兼用ペダル周辺の構成を示す側面図。
【図12】エンジン回転数制御を示すフローチャート(制御例1)。
【図13】エンジン回転数制御を示すフローチャート(制御例2)。
【図14】エンジン回転数制御を示すフローチャート(制御例3)。
【図15】スロットルレバーと調速アームの連係構造を示す側面図と平面図。
【図16】制御部のブロック図(実施例2)。
【図17】エンジン回転数制御を示すフローチャート(制御例4)。
【図18】エンジン回転数制御を示すフローチャート(制御例5)。
【図19】エンジン回転数制御を示すフローチャート(制御例6)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1及び図2は、本発明を適用する乗用型田植機の側面図と平面図であって、乗用型田植機1は、左右の前輪2及び後輪3に支持された走行機体4を有し、該走行機体4の前部には、ボンネット5で覆われたエンジンEを搭載すると共に、ボンネット5の後方には、ステアリングホイール6、運転操作パネル7及び主変速レバー8等を備えた操縦部9と、
操作パネル7の側方から走行機体4の後部にかけて操縦部9の床面を形成するフロアステップ11、及び運転座席12を支持する機体カバー13等を設けている。尚、機体カバー13には、運転座席12後方の左右両側に前記フロアステップ11より一段高く形成した平坦な苗補給用ステップ13a,13aを設けているが、これら基本的な構成は何れも従来通りであり詳細な説明を省略する。
【0010】
そして、走行機体4の後方には、アクチュエータとしての油圧シリンダ14aを備える昇降リンク機構14が設けてあり、この昇降リンク機構14を介して作業機である植付部15を昇降自在に連結している。植付部15は、前高後低上に傾斜して設けられた苗載台16と、該苗載台16から苗を掻取って植え付ける複数の植付装置17を備え、この植付装置17の下方には、植付け田面を整地するフロート18等を設けている。
【0011】
また、走行機体4の前部側方、即ちボンネット5の左右両側に設けられたフロントステップ19の側方には、詳細は後述する施肥装置71(図9参照)にペースト状または液状の肥料を供給するための左右一対の肥料タンク21、21を装着してある。尚、両肥料タンク21,21の後方には、サイドステップ22,22を配設している。
【0012】
そして、図2に示す如く平面視における走行機体4の側方、即ち上述したフロアステップ11とフロントステップ19の側方で、且つ肥料タンク21とサイドステップ22に重合する位置Aには、走行機体4の前方から後部に亘って予備苗(マット苗)を移送する予備苗載台23を設けている。この予備苗載台23は、走行機体4から肥料タンク21の外側方に延出して立ち上げた支持部材25f,25rの上部に装着してなる中間予備苗載台23mと、該中間予備苗載台23mに折畳み自在に連結する前後の予備苗載台23f,23rとからなり、図1に示すように、各予備苗載台23m,23f,23rを側面視で前高後低の略一直線状に展開した展開姿勢状態と、前後の予備苗載台23f,23rを中間予備苗載台23mの上方に折畳んだ格納姿勢状態とに姿勢変更することができる。
【0013】
尚、上述の如く予備苗載台23が展開姿勢状態にある時は、前側の予備苗載台23fが走行機体4の前端から大きく突出すると共に、後側の予備苗載台23rは、植付部15の苗載台16の近傍に位置する機体カバー13の平坦な苗補給用ステップ13a,13a上まで延出されるようになっている。
【0014】
また、運転操作パネル7の左側(ステアリングホイール6の近傍)には、図1及び図3に示すように、変速操作具である主変速レバー8をレバーガイド31に挿通して設けてあり、この主変速レバー8の下方にトランスミッションケース32が配置されている。そして、トランスミッションケース32の左側面には、静油圧式無段変速装置(HST)33が取り付けてあり、機体の走行速度は、静油圧式無段変速装置33による主変速と、トランスミッションケース32内に構成される副変速ギヤの切換え(副変速機構)による副変速とによって決定されるようになっている。尚、主変速レバー8は、左手でその把持部8aを持ちながら変速(揺動)操作することができる。
【0015】
更に詳しく説明すると、主変速レバー8の基端部には、該主変速レバー8の前進側〜後進側の変速操作位置を検出するための主変速レバーポテンショメータ34が設けてあり、この主変速レバーポテンショメータ34による主変速レバー8の変速操作位置の検出結果に基づいて、静油圧式無段変速装置33の操作アーム35を連動して作動させるべく、該操作アーム35にロッド36を介して電動シリンダ37のロッド側37aを連結する一方、電動シリンダ37のモータユニット側37bを上述したレバーガイド31の取付部材38に支承している。尚、図中符号36cは、電動シリンダ37の伸縮ストロークを検出するストロークセンサである。
【0016】
そして、図4に示すように、レバーガイド31に形成したガイド溝31aに沿って主変速レバー8を前後及び左右に揺動操作することによって、静油圧式無段変速装置33の変速操作を行うことができるようになっている。即ち、主変速レバー8は、静油圧式無段変速装置33をニュートラルとするニュートラルポジションNから前方側に操作することにより、静油圧式無段変速装置33の操作アーム35を前進側に操作して前進速度を増加させ、一方主変速レバー8をニュートラルポジションNから後方側に操作することにより、静油圧式無段変速装置33の操作アーム35を後進側に操作して後進速度を増加させることができるようになっている。
【0017】
したがって、レバーガイド31に形成したガイド溝31aは、主変速レバー8による機体の前進と後進操作とが連続した操作とならないように、当該ガイド溝31aの前進操作域Fと後進操作域Rとを左右方向にオフセットして設けると共に、両操作域F,Rをニュートラル域Nによって連結している。そして、主変速レバー8は、ニュートラル域Nにおいて静油圧式無段変速装置33をニュートラル状態としたままで、ガイド溝31aに沿って左右揺動させることができるようになっている。
【0018】
また、操作パネル7の右側には、トランスミッションケース32内に内装されている副変速機構を切換え操作するための副変速レバー38と、この副変速レバー38の外側方に平行に配置したエンジンEの回転数を調節するためのスロットルレバー39とを、レバーガイド41に形成したガイド溝41a,41bに挿通させた状態で突設してある。
【0019】
そして、図5に示すように、スロットルレバー39の基端部は、操作パネル7の下方においてP1を支点軸として前後方向に揺動するブーメラン状の回動アーム42の長辺42aに螺設されている。一方、回動アーム42の短辺42bとエンジンEの調速アーム43との間には、スロットルレバー39の揺動操作に連係して前記調速アーム43を作動させるエンジンコントロールワイヤ44が連結してあり、当該スロットルレバー39の揺動操作によってエンジンEの回転数を低回転から高回転まで調節することができるようになっている。
【0020】
また、乗用型田植機1は、図6に示すように、植付作業機15の昇降操作と植付クラッチの入切操作とを行うことができる上下及び前後方向に揺動操作可能な単一の操作具として、ステアリングホイール6の近傍(右側)に手を離すと元の位置(中立位置)に自動復帰するクイックアップレバー46を備えており、該クイックアップレバー46の上下方向の操作によって植付作業機15の昇降、及び図示しない植付クラッチの入切がなされると共に、前後方向の操作によって図示しない左右の線引きマーカの振出し方向(作動開始順序)を選択することができる。
【0021】
そして、図7に示すように、植付作業機15を昇降させる油圧シリンダ14aの伸縮動作を制御する油圧コントロールバルブ48の近傍には、上述したクイックアップレバー46の上方または下方への操作に基づいて回転駆動するリフタカムモータ49を配設してあり、このリフタカムモータ49の出力軸に固設したピニオンギヤ51aと、リフタカム52の一側に形成したセクタギヤ52aとを歯合させると共に、図示しないバルブ操作板の係合ピンと係合する第1カム部をリフタカム52に設け、この第1カム部がバルブ操作板の係合ピンに係合した状態で、リフタカム52がスリーブ軸53を中心として回動するように構成することによって、当該リフタカム52をリフタカムモータ49の回転駆動に応じて、上げ・固定・自動(下げ)・植付の4ポジションに移動制御できるように構成している。即ち、リフタカム52の各ポジションへの回動により、油圧コントロールバルブ48を上げ・固定・自動位置に制御すると共に、前記油圧コントロールバルブ48の下げ位置においてクイックアップレバー46による植付クラッチの入切作動を可能にしている。
【0022】
ところで、乗用型田植機1は、苗載台16上に載置したマット苗の残量低下、即ちマット苗の苗切れ状態を検出する苗残量検出センサ61を、図2に示す如く当該乗用型田植機1の植え付け条数に対応させて苗載台16の下部に設けている。また、肥料タンク21内に貯留した肥料(液肥)の残量低下、即ち肥料切れ検出するフロート式の肥料残量検出センサ62を肥料タンク21内に設けている。
【0023】
尚、図9は、施肥装置71の概略構成を示す一部を省略した側面図であって、上述した左右一対の肥料タンク21,21の下部とサブタンク63の前端部とを連結するホース64を介して両肥料タンク21,21を連通せしめると共に、前記サブタンク63の後端部を固定容量型ポンプ65に接続している。そして、固定容量型ポンプ65から一定の容量で吐出される肥料は、吐出ホース66、施肥条止めやエアー抜き等を行う切換操作部67、及び分岐パイプ68を経て、施肥深さ調節可能にフロート18に装着した施肥ノズル69の先端から圃場に施肥されるようになっており、これら固定容量型ポンプ65、吐出ホース66、切換操作部67、分岐パイプ68、及び施肥ノズル69等によって施肥装置71を構成している。
【0024】
また、乗用型田植機1は、上述した苗残量検出センサ61と肥料残量検出センサ62の検出結果に基づいて、苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段として、図示しない警報ブザー、及び運転操作パネル7に苗補給モニタ72aと肥料残量表示モニタ72bを備設けると共に、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサ73を運転座席12に設置してあり(図1及び図2参照)、前記苗補給モニタ72aと肥料残量表示モニタ72bが作動(表示)可能状態にあって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段として、図10に示すブロック図のような制御部(制御装置)81を備えている。この制御部81は、CPU、ROM、RAM等を備えるマイクロコンピュータによって構成されており、当該制御部81の入力側に接続される各種センサ及びスイッチ類、及び出力側に接続される出力装置について以下説明する。
【0025】
制御部81の入力側には、警報手段である苗補給モニタ72aや肥料残量表示モニタ72b等を作動可能状態とする警報準備スイッチ82、乗用型田植機1のトランスミッションケース32内に備える図示しない主クラッチを切断すると共に、リヤアクスルケース83内に備える図示しない駐車(走行停止)ブレーキを作用させるクラッチ・ブレーキ兼用ペダル84の踏み込み状態、即ち走行車輪である後輪3を制動する駐車ブレーキの作用状態を検出するブレーキ検出スイッチ85(図11参照)、苗残量検出センサ61、肥料残量検出センサ62、及び着座状態検出センサ73を所定の入力インタフェース回路を介して接続している。尚、クラッチ・ブレーキ兼用ペダル84の踏み込み状態を固定的に保持するペダルロックL(図11参照)を利用して前記ブレーキ検出スイッチ85を設けてもよい。
【0026】
一方、制御部81の出力側には、所定の制御条件下、即ち苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、スロットルレバー39の基端部が螺設されている回動アーム42の長辺42aに対置する短辺42bを押圧して、当該スロットルレバー39を自動的(強制的)に低回転側に揺動させる電動シリンダ86、苗残量検出センサ61と肥料残量検出センサ62の検出結果に基づいて、苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段である苗補給モニタ72aと肥料残量表示モニタ72bを所定の出力インタフェース回路を介して接続している。
【0027】
次に、上述した制御部81によるエンジン回転数制御を、その制御形態別に示す図12〜図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0028】
先ず、図12に示すフローチャート(制御例1)は、警報手段である苗補給モニタ72aや肥料残量表示モニタ72b等を作動可能状態とする警報準備スイッチ82が入り状態にあって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態(所定の回転数)まで自動的に低下させるように、電動シリンダ86を介してスロットルレバー39を強制的に低回転側に揺動させるエンジン回転数制御手段としての制御部81を設けたものであって、この制御形態では、乗用型田植機1の自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への乗用型田植機1の積み降ろし作業を行なう際、オペレータが運転座席12から所定時間以上立ち上がっても自動的にエンジンEが停止することがないので、従来のようにエンジンEを再始動させなくて済む。この時、オペレータが運転座席12から立ち上がった状態またはオペレータが乗用型田移植機1から降車した状態で操縦操作することにより、前記畦越えや積み降ろし作業を安全且つ的確に行なうことができると共に、当該作業時にエンジンEの回転数が不測に低下することも防止できる。また、苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業は、比較的に頻繁に行わなければならないが、その際、オペレータがスロットルレバー39を操作しなくても、エンジンEの回転数はアイドリング状態まで速やかに低下するので不要に消費される燃料を低減させることができる。
【0029】
また、図13に示すフローチャート(制御例2)は、走行車輪である後輪3を制動する駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態(所定の回転数)まで自動的に低下させるように、電動シリンダ86を介してスロットルレバー39を強制的に低回転側に揺動させるエンジン回転数制御手段としての制御部81を設けたものであって、この制御形態では、乗用型田移植機1の走行を比較的長時間停止させて行なう作業、即ち苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業を行なう時、前記駐車ブレーキが作用中であることを、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させる制御条件としているので、より安全に前記苗継ぎや苗補充作業及び肥料の補給作業が行なえるようになる。
【0030】
そして、図14に示すフローチャート(制御例3)は、警報手段である苗補給モニタ72aや肥料残量表示モニタ72b等を作動可能状態とする警報準備スイッチ82が入り状態、且つ走行車輪である後輪3を制動する駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされると共に、着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態(所定の回転数)まで自動的に低下させるように、電動シリンダ86を介してスロットルレバー39を強制的に低回転側に揺動させるエンジン回転数制御手段としての制御部81を設けたものであって、この制御形態では、乗用型田植機1の自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への乗用型田植機1の積み降ろし作業を行なう際、オペレータが運転座席12から所定時間以上立ち上がっても自動的にエンジンEが停止することがないので、従来のようにエンジンEを再始動させなくて済む。この時、オペレータが運転座席12から立ち上がった状態またはオペレータが乗用型田移植機1から降車した状態で操縦操作することにより、前記畦越えや積み降ろし作業を安全且つ的確に行なうことができると共に、当該作業時にエンジンEの回転数が不測に低下することも防止できる。また、苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業は、比較的に頻繁に行わなければならないが、その際、オペレータがスロットルレバー39を操作しなくても、エンジンEの回転数はアイドリング状態まで速やかに低下するので不要に消費される燃料を低減させることができる。そして、乗用型田移植機1の走行を比較的長時間停止させて行なう作業である苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業を行なう時、前記駐車ブレーキが作用中であることを、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させる制御条件としているので、より安全に苗継ぎや苗補充作業及び肥料の補給作業が行なえるようになる。
【0031】
尚、上述した電動シリンダ86は、その伸長動作によりスロットルレバー39を低回転側に揺動させた後、直ちに縮作動するので、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させた後、スロットルレバー39の人為的操作によって所望のエンジン回転数に設定することができる。そして、この場合は、苗継ぎや苗補充作業または肥料の補給作業を終えた後でもエンジンEの回転数がアイドリング状態で維持されているので、不測の急発進等を防止することができる。
【実施例2】
【0032】
実施例2におけるスロットルレバー39は、図15に示すように、操作パネル7の下方においてP1を支点軸として前後揺動可能に軸支すると共に、スロットルレバー39によるエンジン回転数の低回転から高回転範囲の調節位置を検出するために、その基端部にスロットルレバーポテンショメータ91を設けてあり、該スロットルレバーポテンショメータ91によるスロットルレバー39のエンジン回転数調節位置の検出結果に基づいて、エンジンコントロールワイヤ92を介してエンジンEの調速アーム43を作動させるべく、スロットルレバー39の基端部の下方にスロットルモータ(電動モータ)93を配置すると共に、該スロットルモータ93の出力軸に固設したピニオンギヤ93aと歯合するセクタギヤ94を設け、更にこのセクタギヤ94の一側にエンジンコントロールワイヤ92の一端を連結する一方、該エンジンコントロールワイヤ92の他端を調速アーム43の先端部と連結している。尚、図中符号95は、調速アーム43の回動角に代えてセクタギヤ94の回動角を検出するスロットルポテンショメータである。
【0033】
そして、図16は、実施例2における制御部(制御装置)81のブロック図であり、制御部81の入力側には、エンジンEの回転数をスロットルレバー39による調節(設定)位置に連動させる通常制御モードと、所定の制御条件下において、エンジンEの回転数をスロットルレバー39による調節(設定)位置に関係なくアイドリング状態まで自動的に低下させる低回転制御モードに切替えるモード切替スイッチ(図4参照)90、警報手段である苗補給モニタ72aや肥料残量表示モニタ72b等を作動可能状態とする警報準備スイッチ82、乗用型田植機1のトランスミッションケース32内に備える図示しない主クラッチを切断すると共に、リヤアクスルケース83内に備える図示しない駐車(走行停止)ブレーキを作用させるクラッチ・ブレーキ兼用ペダル84の踏み込み状態、即ち走行車輪である後輪3を制動する駐車ブレーキの作用状態を検出するブレーキ検出スイッチ85(図11参照)、苗残量検出センサ61、肥料残量検出センサ62、着座状態検出センサ73、スロットルレバーポテンショメータ91、及びスロットルポテンショメータ95を所定の入力インタフェース回路を介して接続している。
【0034】
一方、制御部81の出力側には、所定の制御条件下、即ち苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、スロットルモータ93の出力軸に固設したピニオンギヤ93aと歯合するセクタギヤ94と、エンジンコントロールワイヤ92を介してエンジンEの調速アーム43を自動的(強制的)に低回転側に揺動させる当該スロットルモータ93、及び苗残量検出センサ61と肥料残量検出センサ62の検出結果に基づいて、苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段である苗補給モニタ72aと肥料残量表示モニタ72bを所定の出力インタフェース回路を介して接続している。
【0035】
次に、上述した制御部81によるエンジン回転数制御を、その制御形態別に示す図17〜図19のフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
先ず、図17に示すフローチャート(制御例4)は、モード切替スイッチ90で通常(制御)モードを選択している場合は、スロットルレバー39の調節(設定)位置に対応するエンジンEの回転数制御が実行される。一方、モード切替スイッチ90で低回転(制御)モードを選択している場合は、警報手段である苗補給モニタ72aや肥料残量表示モニタ72b等を作動可能状態とする警報準備スイッチ82が入り状態にあって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態(所定の回転数)まで自動的に低下させるように、スロットルモータ93の出力軸に固設したピニオンギヤ93aと歯合するセクタギヤ94と、エンジンコントロールワイヤ92を介してエンジンEの調速アーム43を自動的(強制的)に低回転側に揺動させるエンジン回転数制御手段としての制御部81を設けたものであって、この制御形態では、乗用型田植機1の自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への乗用型田植機1の積み降ろし作業を行なう際、オペレータが運転座席12から所定時間以上立ち上がっても自動的にエンジンEが停止することがないので、従来のようにエンジンEを再始動させなくて済む。この時、オペレータが運転座席12から立ち上がった状態またはオペレータが乗用型田移植機1から降車した状態で操縦操作することにより、前記畦越えや積み降ろし作業を安全且つ的確に行なうことができると共に、当該作業時にエンジンEの回転数が不測に低下することも防止できる。また、苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業は、比較的に頻繁に行わなければならないが、その際、オペレータがスロットルレバー39を操作しなくても、エンジンEの回転数はアイドリング状態まで速やかに低下するので不要に消費される燃料を低減させることができる。
【0037】
また、図18に示すフローチャート(制御例5)は、モード切替スイッチ90で通常(制御)モードを選択している場合は、スロットルレバー39の調節(設定)位置に対応するエンジンEの回転数制御が実行される。一方、モード切替スイッチ90で低回転(制御)モードを選択している場合は、走行車輪である後輪3を制動する駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態(所定の回転数)まで自動的に低下させるように、スロットルモータ93の出力軸に固設したピニオンギヤ93aと歯合するセクタギヤ94と、エンジンコントロールワイヤ92を介してエンジンEの調速アーム43を自動的(強制的)に低回転側に揺動させるエンジン回転数制御手段としての制御部81を設けたものであって、この制御形態では、乗用型田移植機1の走行を比較的長時間停止させて行なう作業、即ち苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業を行なう時、前記駐車ブレーキが作用中であることを、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させる制御条件としているので、より安全に前記苗継ぎや苗補充作業及び肥料の補給作業が行なえるようになる。
【0038】
そして、図19に示すフローチャート(制御例6)は、モード切替スイッチ90で通常(制御)モードを選択している場合は、スロットルレバー39の調節(設定)位置に対応するエンジンEの回転数制御が実行される。一方、モード切替スイッチ90で低回転(制御)モードを選択している場合は、警報手段である苗補給モニタ72aや肥料残量表示モニタ72b等を作動可能状態とする警報準備スイッチ82が入り状態、且つ走行車輪である後輪3を制動する駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされると共に、着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態(所定の回転数)まで自動的に低下させるように、スロットルモータ93の出力軸に固設したピニオンギヤ93aと歯合するセクタギヤ94と、エンジンコントロールワイヤ92を介してエンジンEの調速アーム43を自動的(強制的)に低回転側に揺動させるエンジン回転数制御手段としての制御部81を設けたものであって、この制御形態では、乗用型田植機1の自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への乗用型田植機1の積み降ろし作業を行なう際、オペレータが運転座席12から所定時間以上立ち上がっても自動的にエンジンEが停止することがないので、従来のようにエンジンEを再始動させなくて済む。この時、オペレータが運転座席12から立ち上がった状態またはオペレータが乗用型田移植機1から降車した状態で操縦操作することにより、前記畦越えや積み降ろし作業を安全且つ的確に行なうことができると共に、当該作業時にエンジンEの回転数が不測に低下することも防止できる。また、苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業は、比較的に頻繁に行わなければならないが、その際、オペレータがスロットルレバー39を操作しなくても、エンジンEの回転数はアイドリング状態まで速やかに低下するので不要に消費される燃料を低減させることができる。そして、乗用型田移植機1の走行を比較的長時間停止させて行なう作業である苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業を行なう時、前記駐車ブレーキが作用中であることを、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させる制御条件としているので、より安全に苗継ぎや苗補充作業及び肥料の補給作業が行なえるようになる。
【0039】
尚、上述した制御例4〜6においては、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされなくなった状態、即ち苗継ぎや苗補充作業または肥料の補給作業が終了した状態、あるいはオペレータが運転座席12に着座した状態で、スロットルレバー39による調節(設定)位置までエンジンEの回転数が復帰するように構成してあり、再度植え付け作業走行を開始する際は、前記苗継ぎや苗補充作業または肥料の補給作業を行なう前のエンジン回転数となるように、わざわざスロットルレバー39を操作する必要がない。また、実施例1(制御例1〜3)及び実施例2(制御例4〜6)においては、肥料タンク21への肥料の補給作業中であるか否かを、着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態の検出且つ肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出で判断していたが、当該肥料タンク21に備える肥料供給口を覆う蓋体21a(図8参照)の開閉状態を検出して判断することもできる。
【符号の説明】
【0040】
3 走行車輪(後輪)
12 運転座席
16 苗載台
17 植付装置
21 肥料タンク
61 苗残量検出センサ
62 肥料残量検出センサ
71 施肥装置
72a 警報手段(苗補給モニタ)
72b 警報手段(肥料残量表示モニタ)
73 着座状態検出センサ
81 エンジン回転数制御手段(制御部)
E エンジン
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車輪を有する走行機体の後方に昇降リンク機構を介して植付作業機を昇降自在に連結すると共に、エンジンの動力より苗載台上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置と、該植付装置によるマット苗の植え付け時に肥料タンク内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置とを備えた乗用型田植機におけるエンジンの回転数制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗用型田植機では、燃費の向上と騒音の低減を図ることを目的として、走行用の変速操作具である主変速レバーが走行停止状態をもたらす特定の位置、即ち主変速レバーがニュートラル位置に操作されていることを条件とすると共に、作業対象に設定された条件、例えば、苗載台上に載置されたマット苗の残量が少なくなったことを苗残量検出センサが検出した状態、あるいは、植付作業機が上限位置まで上昇したことを上限スイッチが検出した状態等の条件が満たされ、且つ苗継ぎ作業あるいは苗補充作業を行なうためにオペレータが運転座席から所定時間以上立ち上がっていることが検出されると、自動的にエンジンを停止せしめるエンジン自動停止手段を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−94753号公報(第6−8頁、図7−図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、乗用型田移植機では、自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への積み降ろし作業を行なう際は、これらの作業を安全且つ的確に行なうためにオペレータが乗用型田移植機から降車して操縦操作を行なうことが一般的に行なわれており、特許文献1の乗用型田植機のように、ある条件下、即ち主変速レバーがニュートラル位置に操作されると共に、苗載台上に載置されたマット苗の残量が少なくなったことを苗残量検出センサが検出した状態、あるいは、植付作業機が上限位置まで上昇したことを上限スイッチが検出した状態等の条件が満たされ、且つオペレータが運転座席から所定時間以上立ち上がったことが検出されると自動的にエンジンを停止するように構成したものでは、エンジンを再始動させないと自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への積み降ろし作業が行なうことができないので作業性の面で不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することを目的とした本発明は、エンジンの動力により、苗載台上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置と、該植付装置によるマット苗の植え付け時に肥料タンク内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置と、苗載台上に載置したマット苗の残量低下を検出する苗残量検出センサまたは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下を検出する肥料残量検出センサと、前記苗残量検出センサまたは肥料残量検出センサの検出結果に基づいて苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段を備えると共に、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサを運転座席に設置してなる乗用型田植機において、前記警報手段が作動可能状態であって、苗残量検出センサによる苗切れの検出または肥料量検出センサによる肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサによる運転座席へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段を設けてあることを第1の特徴としている。
また、エンジンの動力により、苗載台上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置と、該植付装置によるマット苗の植え付け時に肥料タンク内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置と、苗載台上に載置したマット苗の残量低下を検出する苗残量検出センサまたは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下を検出する肥料残量検出センサと、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサを運転座席に設置すると共に、走行車輪を制動する駐車ブレーキを備えた乗用型田植機において、前記駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサによる苗切れの検出または肥料残量検出センサによる肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサによる運転座席へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段を設けてあることを第2の特徴としている。
そして、エンジンの動力により、苗載台上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置と、該植付装置によるマット苗の植え付け時に肥料タンク内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置と、苗載台上に載置したマット苗の残量低下を検出する苗残量検出センサまたは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下を検出する肥料残量検出センサとまたは苗残量検出センサと肥料残量検出センサの検出結果に基づいて苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段を備え、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサを運転座席に設置すると共に、走行車輪を制動する駐車ブレーキを備えた乗用型田植機において、前記警報手段が作動可能状態且つ駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサによる苗切れの検出または肥料残量検出センサによる肥料切れの検出がなされると共に、着座状態検出センサによる運転座席へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段を設けてあることを第3の特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、苗残量検出センサまたは肥料残量検出センサの検出結果に基づいて苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段が作動可能状態であって、苗残量検出センサによる苗切れの検出または肥料量検出センサによる肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサによる運転座席へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段を設けてあることによって、乗用型田植機の自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への乗用型田植機の積み降ろし作業を行なう際、オペレータが運転座席から所定時間以上立ち上がっても自動的にエンジンが停止することがないので、従来のようにエンジンを再始動させなくて済む。この時、オペレータが運転座席から立ち上がった状態または乗用型田移植機から降車した状態で操縦操作することにより、前記畦越えや積み降ろし作業を安全且つ的確に行なうことができると共に、当該作業時にエンジンEの回転数が不測に低下することも防止できる。また、苗載台上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業は、比較的に頻繁に行わなければならないが、その際、オペレータがスロットルレバーを操作しなくても、エンジンの回転数はアイドリング状態まで速やかに低下するので不要に消費される燃料を低減させることができる。
また、請求項2の発明によれば、走行車輪を制動する駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサによる苗切れの検出または肥料残量検出センサによる肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサによる運転座席へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段を設けてあることによって、乗用型田移植機の走行を比較的長時間停止させて行なう作業、即ち苗載台上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業を行なう時、前記駐車ブレーキが作用中であることを、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させる制御条件としているので、より安全に前記苗継ぎや苗補充作業及び肥料の補給作業が行なえるようになる。
そして、苗残量検出センサまたは肥料残量検出センサの検出結果に基づいて、苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段が作動可能状態且つ走行車輪を制動する駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサによる苗切れの検出または肥料残量検出センサによる肥料切れの検出がなされると共に、着座状態検出センサによる運転座席へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段を設けてあることによって、乗用型田植機の自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への乗用型田植機の積み降ろし作業を行なう際、オペレータが運転座席から所定時間以上立ち上がっても自動的にエンジンが停止することがないので、従来のようにエンジンを再始動させなくて済む。この時、オペレータが運転座席から立ち上がった状態またはオペレータが乗用型田移植機から降車した状態で操縦操作することにより、前記畦越えや積み降ろし作業を安全且つ的確に行なうことができると共に、当該作業時にエンジンEの回転数が不測に低下することも防止できる。また、苗載台上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業は、比較的に頻繁に行わなければならないが、その際、オペレータがスロットルレバーを操作しなくても、エンジンの回転数はアイドリング状態まで速やかに低下するので不要に消費される燃料を低減させることができる。そして、乗用型田移植機の走行を比較的長時間停止させて行なう作業である苗載台上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業を行なう時、前記駐車ブレーキが作用中であることを、エンジンの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させる制御条件としているので、より安全に苗継ぎや苗補充作業及び肥料の補給作業が行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】乗用型田植機の側面図。
【図2】乗用型田植機の平面図。
【図3】主変速レバーの連係構造を示す側面図。
【図4】運転操作パネルと、その周辺を示す平面図。
【図5】スロットルレバーと調速アームの連係構造を示す側面図と平面図。
【図6】クイックアップレバーの操作方法を示す斜視図。
【図7】油圧感知コントロールバルブ周辺の構成を示す側面図。
【図8】肥料タンク周辺の側面図(一部透視図)。
【図9】施肥装置の概略構成を示す一部を省略した側面図。
【図10】制御部のブロック図(実施例1)。
【図11】クラッチ・ブレーキ兼用ペダル周辺の構成を示す側面図。
【図12】エンジン回転数制御を示すフローチャート(制御例1)。
【図13】エンジン回転数制御を示すフローチャート(制御例2)。
【図14】エンジン回転数制御を示すフローチャート(制御例3)。
【図15】スロットルレバーと調速アームの連係構造を示す側面図と平面図。
【図16】制御部のブロック図(実施例2)。
【図17】エンジン回転数制御を示すフローチャート(制御例4)。
【図18】エンジン回転数制御を示すフローチャート(制御例5)。
【図19】エンジン回転数制御を示すフローチャート(制御例6)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1及び図2は、本発明を適用する乗用型田植機の側面図と平面図であって、乗用型田植機1は、左右の前輪2及び後輪3に支持された走行機体4を有し、該走行機体4の前部には、ボンネット5で覆われたエンジンEを搭載すると共に、ボンネット5の後方には、ステアリングホイール6、運転操作パネル7及び主変速レバー8等を備えた操縦部9と、
操作パネル7の側方から走行機体4の後部にかけて操縦部9の床面を形成するフロアステップ11、及び運転座席12を支持する機体カバー13等を設けている。尚、機体カバー13には、運転座席12後方の左右両側に前記フロアステップ11より一段高く形成した平坦な苗補給用ステップ13a,13aを設けているが、これら基本的な構成は何れも従来通りであり詳細な説明を省略する。
【0010】
そして、走行機体4の後方には、アクチュエータとしての油圧シリンダ14aを備える昇降リンク機構14が設けてあり、この昇降リンク機構14を介して作業機である植付部15を昇降自在に連結している。植付部15は、前高後低上に傾斜して設けられた苗載台16と、該苗載台16から苗を掻取って植え付ける複数の植付装置17を備え、この植付装置17の下方には、植付け田面を整地するフロート18等を設けている。
【0011】
また、走行機体4の前部側方、即ちボンネット5の左右両側に設けられたフロントステップ19の側方には、詳細は後述する施肥装置71(図9参照)にペースト状または液状の肥料を供給するための左右一対の肥料タンク21、21を装着してある。尚、両肥料タンク21,21の後方には、サイドステップ22,22を配設している。
【0012】
そして、図2に示す如く平面視における走行機体4の側方、即ち上述したフロアステップ11とフロントステップ19の側方で、且つ肥料タンク21とサイドステップ22に重合する位置Aには、走行機体4の前方から後部に亘って予備苗(マット苗)を移送する予備苗載台23を設けている。この予備苗載台23は、走行機体4から肥料タンク21の外側方に延出して立ち上げた支持部材25f,25rの上部に装着してなる中間予備苗載台23mと、該中間予備苗載台23mに折畳み自在に連結する前後の予備苗載台23f,23rとからなり、図1に示すように、各予備苗載台23m,23f,23rを側面視で前高後低の略一直線状に展開した展開姿勢状態と、前後の予備苗載台23f,23rを中間予備苗載台23mの上方に折畳んだ格納姿勢状態とに姿勢変更することができる。
【0013】
尚、上述の如く予備苗載台23が展開姿勢状態にある時は、前側の予備苗載台23fが走行機体4の前端から大きく突出すると共に、後側の予備苗載台23rは、植付部15の苗載台16の近傍に位置する機体カバー13の平坦な苗補給用ステップ13a,13a上まで延出されるようになっている。
【0014】
また、運転操作パネル7の左側(ステアリングホイール6の近傍)には、図1及び図3に示すように、変速操作具である主変速レバー8をレバーガイド31に挿通して設けてあり、この主変速レバー8の下方にトランスミッションケース32が配置されている。そして、トランスミッションケース32の左側面には、静油圧式無段変速装置(HST)33が取り付けてあり、機体の走行速度は、静油圧式無段変速装置33による主変速と、トランスミッションケース32内に構成される副変速ギヤの切換え(副変速機構)による副変速とによって決定されるようになっている。尚、主変速レバー8は、左手でその把持部8aを持ちながら変速(揺動)操作することができる。
【0015】
更に詳しく説明すると、主変速レバー8の基端部には、該主変速レバー8の前進側〜後進側の変速操作位置を検出するための主変速レバーポテンショメータ34が設けてあり、この主変速レバーポテンショメータ34による主変速レバー8の変速操作位置の検出結果に基づいて、静油圧式無段変速装置33の操作アーム35を連動して作動させるべく、該操作アーム35にロッド36を介して電動シリンダ37のロッド側37aを連結する一方、電動シリンダ37のモータユニット側37bを上述したレバーガイド31の取付部材38に支承している。尚、図中符号36cは、電動シリンダ37の伸縮ストロークを検出するストロークセンサである。
【0016】
そして、図4に示すように、レバーガイド31に形成したガイド溝31aに沿って主変速レバー8を前後及び左右に揺動操作することによって、静油圧式無段変速装置33の変速操作を行うことができるようになっている。即ち、主変速レバー8は、静油圧式無段変速装置33をニュートラルとするニュートラルポジションNから前方側に操作することにより、静油圧式無段変速装置33の操作アーム35を前進側に操作して前進速度を増加させ、一方主変速レバー8をニュートラルポジションNから後方側に操作することにより、静油圧式無段変速装置33の操作アーム35を後進側に操作して後進速度を増加させることができるようになっている。
【0017】
したがって、レバーガイド31に形成したガイド溝31aは、主変速レバー8による機体の前進と後進操作とが連続した操作とならないように、当該ガイド溝31aの前進操作域Fと後進操作域Rとを左右方向にオフセットして設けると共に、両操作域F,Rをニュートラル域Nによって連結している。そして、主変速レバー8は、ニュートラル域Nにおいて静油圧式無段変速装置33をニュートラル状態としたままで、ガイド溝31aに沿って左右揺動させることができるようになっている。
【0018】
また、操作パネル7の右側には、トランスミッションケース32内に内装されている副変速機構を切換え操作するための副変速レバー38と、この副変速レバー38の外側方に平行に配置したエンジンEの回転数を調節するためのスロットルレバー39とを、レバーガイド41に形成したガイド溝41a,41bに挿通させた状態で突設してある。
【0019】
そして、図5に示すように、スロットルレバー39の基端部は、操作パネル7の下方においてP1を支点軸として前後方向に揺動するブーメラン状の回動アーム42の長辺42aに螺設されている。一方、回動アーム42の短辺42bとエンジンEの調速アーム43との間には、スロットルレバー39の揺動操作に連係して前記調速アーム43を作動させるエンジンコントロールワイヤ44が連結してあり、当該スロットルレバー39の揺動操作によってエンジンEの回転数を低回転から高回転まで調節することができるようになっている。
【0020】
また、乗用型田植機1は、図6に示すように、植付作業機15の昇降操作と植付クラッチの入切操作とを行うことができる上下及び前後方向に揺動操作可能な単一の操作具として、ステアリングホイール6の近傍(右側)に手を離すと元の位置(中立位置)に自動復帰するクイックアップレバー46を備えており、該クイックアップレバー46の上下方向の操作によって植付作業機15の昇降、及び図示しない植付クラッチの入切がなされると共に、前後方向の操作によって図示しない左右の線引きマーカの振出し方向(作動開始順序)を選択することができる。
【0021】
そして、図7に示すように、植付作業機15を昇降させる油圧シリンダ14aの伸縮動作を制御する油圧コントロールバルブ48の近傍には、上述したクイックアップレバー46の上方または下方への操作に基づいて回転駆動するリフタカムモータ49を配設してあり、このリフタカムモータ49の出力軸に固設したピニオンギヤ51aと、リフタカム52の一側に形成したセクタギヤ52aとを歯合させると共に、図示しないバルブ操作板の係合ピンと係合する第1カム部をリフタカム52に設け、この第1カム部がバルブ操作板の係合ピンに係合した状態で、リフタカム52がスリーブ軸53を中心として回動するように構成することによって、当該リフタカム52をリフタカムモータ49の回転駆動に応じて、上げ・固定・自動(下げ)・植付の4ポジションに移動制御できるように構成している。即ち、リフタカム52の各ポジションへの回動により、油圧コントロールバルブ48を上げ・固定・自動位置に制御すると共に、前記油圧コントロールバルブ48の下げ位置においてクイックアップレバー46による植付クラッチの入切作動を可能にしている。
【0022】
ところで、乗用型田植機1は、苗載台16上に載置したマット苗の残量低下、即ちマット苗の苗切れ状態を検出する苗残量検出センサ61を、図2に示す如く当該乗用型田植機1の植え付け条数に対応させて苗載台16の下部に設けている。また、肥料タンク21内に貯留した肥料(液肥)の残量低下、即ち肥料切れ検出するフロート式の肥料残量検出センサ62を肥料タンク21内に設けている。
【0023】
尚、図9は、施肥装置71の概略構成を示す一部を省略した側面図であって、上述した左右一対の肥料タンク21,21の下部とサブタンク63の前端部とを連結するホース64を介して両肥料タンク21,21を連通せしめると共に、前記サブタンク63の後端部を固定容量型ポンプ65に接続している。そして、固定容量型ポンプ65から一定の容量で吐出される肥料は、吐出ホース66、施肥条止めやエアー抜き等を行う切換操作部67、及び分岐パイプ68を経て、施肥深さ調節可能にフロート18に装着した施肥ノズル69の先端から圃場に施肥されるようになっており、これら固定容量型ポンプ65、吐出ホース66、切換操作部67、分岐パイプ68、及び施肥ノズル69等によって施肥装置71を構成している。
【0024】
また、乗用型田植機1は、上述した苗残量検出センサ61と肥料残量検出センサ62の検出結果に基づいて、苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段として、図示しない警報ブザー、及び運転操作パネル7に苗補給モニタ72aと肥料残量表示モニタ72bを備設けると共に、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサ73を運転座席12に設置してあり(図1及び図2参照)、前記苗補給モニタ72aと肥料残量表示モニタ72bが作動(表示)可能状態にあって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段として、図10に示すブロック図のような制御部(制御装置)81を備えている。この制御部81は、CPU、ROM、RAM等を備えるマイクロコンピュータによって構成されており、当該制御部81の入力側に接続される各種センサ及びスイッチ類、及び出力側に接続される出力装置について以下説明する。
【0025】
制御部81の入力側には、警報手段である苗補給モニタ72aや肥料残量表示モニタ72b等を作動可能状態とする警報準備スイッチ82、乗用型田植機1のトランスミッションケース32内に備える図示しない主クラッチを切断すると共に、リヤアクスルケース83内に備える図示しない駐車(走行停止)ブレーキを作用させるクラッチ・ブレーキ兼用ペダル84の踏み込み状態、即ち走行車輪である後輪3を制動する駐車ブレーキの作用状態を検出するブレーキ検出スイッチ85(図11参照)、苗残量検出センサ61、肥料残量検出センサ62、及び着座状態検出センサ73を所定の入力インタフェース回路を介して接続している。尚、クラッチ・ブレーキ兼用ペダル84の踏み込み状態を固定的に保持するペダルロックL(図11参照)を利用して前記ブレーキ検出スイッチ85を設けてもよい。
【0026】
一方、制御部81の出力側には、所定の制御条件下、即ち苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、スロットルレバー39の基端部が螺設されている回動アーム42の長辺42aに対置する短辺42bを押圧して、当該スロットルレバー39を自動的(強制的)に低回転側に揺動させる電動シリンダ86、苗残量検出センサ61と肥料残量検出センサ62の検出結果に基づいて、苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段である苗補給モニタ72aと肥料残量表示モニタ72bを所定の出力インタフェース回路を介して接続している。
【0027】
次に、上述した制御部81によるエンジン回転数制御を、その制御形態別に示す図12〜図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0028】
先ず、図12に示すフローチャート(制御例1)は、警報手段である苗補給モニタ72aや肥料残量表示モニタ72b等を作動可能状態とする警報準備スイッチ82が入り状態にあって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態(所定の回転数)まで自動的に低下させるように、電動シリンダ86を介してスロットルレバー39を強制的に低回転側に揺動させるエンジン回転数制御手段としての制御部81を設けたものであって、この制御形態では、乗用型田植機1の自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への乗用型田植機1の積み降ろし作業を行なう際、オペレータが運転座席12から所定時間以上立ち上がっても自動的にエンジンEが停止することがないので、従来のようにエンジンEを再始動させなくて済む。この時、オペレータが運転座席12から立ち上がった状態またはオペレータが乗用型田移植機1から降車した状態で操縦操作することにより、前記畦越えや積み降ろし作業を安全且つ的確に行なうことができると共に、当該作業時にエンジンEの回転数が不測に低下することも防止できる。また、苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業は、比較的に頻繁に行わなければならないが、その際、オペレータがスロットルレバー39を操作しなくても、エンジンEの回転数はアイドリング状態まで速やかに低下するので不要に消費される燃料を低減させることができる。
【0029】
また、図13に示すフローチャート(制御例2)は、走行車輪である後輪3を制動する駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態(所定の回転数)まで自動的に低下させるように、電動シリンダ86を介してスロットルレバー39を強制的に低回転側に揺動させるエンジン回転数制御手段としての制御部81を設けたものであって、この制御形態では、乗用型田移植機1の走行を比較的長時間停止させて行なう作業、即ち苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業を行なう時、前記駐車ブレーキが作用中であることを、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させる制御条件としているので、より安全に前記苗継ぎや苗補充作業及び肥料の補給作業が行なえるようになる。
【0030】
そして、図14に示すフローチャート(制御例3)は、警報手段である苗補給モニタ72aや肥料残量表示モニタ72b等を作動可能状態とする警報準備スイッチ82が入り状態、且つ走行車輪である後輪3を制動する駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされると共に、着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態(所定の回転数)まで自動的に低下させるように、電動シリンダ86を介してスロットルレバー39を強制的に低回転側に揺動させるエンジン回転数制御手段としての制御部81を設けたものであって、この制御形態では、乗用型田植機1の自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への乗用型田植機1の積み降ろし作業を行なう際、オペレータが運転座席12から所定時間以上立ち上がっても自動的にエンジンEが停止することがないので、従来のようにエンジンEを再始動させなくて済む。この時、オペレータが運転座席12から立ち上がった状態またはオペレータが乗用型田移植機1から降車した状態で操縦操作することにより、前記畦越えや積み降ろし作業を安全且つ的確に行なうことができると共に、当該作業時にエンジンEの回転数が不測に低下することも防止できる。また、苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業は、比較的に頻繁に行わなければならないが、その際、オペレータがスロットルレバー39を操作しなくても、エンジンEの回転数はアイドリング状態まで速やかに低下するので不要に消費される燃料を低減させることができる。そして、乗用型田移植機1の走行を比較的長時間停止させて行なう作業である苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業を行なう時、前記駐車ブレーキが作用中であることを、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させる制御条件としているので、より安全に苗継ぎや苗補充作業及び肥料の補給作業が行なえるようになる。
【0031】
尚、上述した電動シリンダ86は、その伸長動作によりスロットルレバー39を低回転側に揺動させた後、直ちに縮作動するので、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させた後、スロットルレバー39の人為的操作によって所望のエンジン回転数に設定することができる。そして、この場合は、苗継ぎや苗補充作業または肥料の補給作業を終えた後でもエンジンEの回転数がアイドリング状態で維持されているので、不測の急発進等を防止することができる。
【実施例2】
【0032】
実施例2におけるスロットルレバー39は、図15に示すように、操作パネル7の下方においてP1を支点軸として前後揺動可能に軸支すると共に、スロットルレバー39によるエンジン回転数の低回転から高回転範囲の調節位置を検出するために、その基端部にスロットルレバーポテンショメータ91を設けてあり、該スロットルレバーポテンショメータ91によるスロットルレバー39のエンジン回転数調節位置の検出結果に基づいて、エンジンコントロールワイヤ92を介してエンジンEの調速アーム43を作動させるべく、スロットルレバー39の基端部の下方にスロットルモータ(電動モータ)93を配置すると共に、該スロットルモータ93の出力軸に固設したピニオンギヤ93aと歯合するセクタギヤ94を設け、更にこのセクタギヤ94の一側にエンジンコントロールワイヤ92の一端を連結する一方、該エンジンコントロールワイヤ92の他端を調速アーム43の先端部と連結している。尚、図中符号95は、調速アーム43の回動角に代えてセクタギヤ94の回動角を検出するスロットルポテンショメータである。
【0033】
そして、図16は、実施例2における制御部(制御装置)81のブロック図であり、制御部81の入力側には、エンジンEの回転数をスロットルレバー39による調節(設定)位置に連動させる通常制御モードと、所定の制御条件下において、エンジンEの回転数をスロットルレバー39による調節(設定)位置に関係なくアイドリング状態まで自動的に低下させる低回転制御モードに切替えるモード切替スイッチ(図4参照)90、警報手段である苗補給モニタ72aや肥料残量表示モニタ72b等を作動可能状態とする警報準備スイッチ82、乗用型田植機1のトランスミッションケース32内に備える図示しない主クラッチを切断すると共に、リヤアクスルケース83内に備える図示しない駐車(走行停止)ブレーキを作用させるクラッチ・ブレーキ兼用ペダル84の踏み込み状態、即ち走行車輪である後輪3を制動する駐車ブレーキの作用状態を検出するブレーキ検出スイッチ85(図11参照)、苗残量検出センサ61、肥料残量検出センサ62、着座状態検出センサ73、スロットルレバーポテンショメータ91、及びスロットルポテンショメータ95を所定の入力インタフェース回路を介して接続している。
【0034】
一方、制御部81の出力側には、所定の制御条件下、即ち苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、スロットルモータ93の出力軸に固設したピニオンギヤ93aと歯合するセクタギヤ94と、エンジンコントロールワイヤ92を介してエンジンEの調速アーム43を自動的(強制的)に低回転側に揺動させる当該スロットルモータ93、及び苗残量検出センサ61と肥料残量検出センサ62の検出結果に基づいて、苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段である苗補給モニタ72aと肥料残量表示モニタ72bを所定の出力インタフェース回路を介して接続している。
【0035】
次に、上述した制御部81によるエンジン回転数制御を、その制御形態別に示す図17〜図19のフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
先ず、図17に示すフローチャート(制御例4)は、モード切替スイッチ90で通常(制御)モードを選択している場合は、スロットルレバー39の調節(設定)位置に対応するエンジンEの回転数制御が実行される。一方、モード切替スイッチ90で低回転(制御)モードを選択している場合は、警報手段である苗補給モニタ72aや肥料残量表示モニタ72b等を作動可能状態とする警報準備スイッチ82が入り状態にあって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態(所定の回転数)まで自動的に低下させるように、スロットルモータ93の出力軸に固設したピニオンギヤ93aと歯合するセクタギヤ94と、エンジンコントロールワイヤ92を介してエンジンEの調速アーム43を自動的(強制的)に低回転側に揺動させるエンジン回転数制御手段としての制御部81を設けたものであって、この制御形態では、乗用型田植機1の自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への乗用型田植機1の積み降ろし作業を行なう際、オペレータが運転座席12から所定時間以上立ち上がっても自動的にエンジンEが停止することがないので、従来のようにエンジンEを再始動させなくて済む。この時、オペレータが運転座席12から立ち上がった状態またはオペレータが乗用型田移植機1から降車した状態で操縦操作することにより、前記畦越えや積み降ろし作業を安全且つ的確に行なうことができると共に、当該作業時にエンジンEの回転数が不測に低下することも防止できる。また、苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業は、比較的に頻繁に行わなければならないが、その際、オペレータがスロットルレバー39を操作しなくても、エンジンEの回転数はアイドリング状態まで速やかに低下するので不要に消費される燃料を低減させることができる。
【0037】
また、図18に示すフローチャート(制御例5)は、モード切替スイッチ90で通常(制御)モードを選択している場合は、スロットルレバー39の調節(設定)位置に対応するエンジンEの回転数制御が実行される。一方、モード切替スイッチ90で低回転(制御)モードを選択している場合は、走行車輪である後輪3を制動する駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態(所定の回転数)まで自動的に低下させるように、スロットルモータ93の出力軸に固設したピニオンギヤ93aと歯合するセクタギヤ94と、エンジンコントロールワイヤ92を介してエンジンEの調速アーム43を自動的(強制的)に低回転側に揺動させるエンジン回転数制御手段としての制御部81を設けたものであって、この制御形態では、乗用型田移植機1の走行を比較的長時間停止させて行なう作業、即ち苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業を行なう時、前記駐車ブレーキが作用中であることを、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させる制御条件としているので、より安全に前記苗継ぎや苗補充作業及び肥料の補給作業が行なえるようになる。
【0038】
そして、図19に示すフローチャート(制御例6)は、モード切替スイッチ90で通常(制御)モードを選択している場合は、スロットルレバー39の調節(設定)位置に対応するエンジンEの回転数制御が実行される。一方、モード切替スイッチ90で低回転(制御)モードを選択している場合は、警報手段である苗補給モニタ72aや肥料残量表示モニタ72b等を作動可能状態とする警報準備スイッチ82が入り状態、且つ走行車輪である後輪3を制動する駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされると共に、着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジンEの回転数をアイドリング状態(所定の回転数)まで自動的に低下させるように、スロットルモータ93の出力軸に固設したピニオンギヤ93aと歯合するセクタギヤ94と、エンジンコントロールワイヤ92を介してエンジンEの調速アーム43を自動的(強制的)に低回転側に揺動させるエンジン回転数制御手段としての制御部81を設けたものであって、この制御形態では、乗用型田植機1の自走移動による畦越えや運搬車両の荷台への乗用型田植機1の積み降ろし作業を行なう際、オペレータが運転座席12から所定時間以上立ち上がっても自動的にエンジンEが停止することがないので、従来のようにエンジンEを再始動させなくて済む。この時、オペレータが運転座席12から立ち上がった状態またはオペレータが乗用型田移植機1から降車した状態で操縦操作することにより、前記畦越えや積み降ろし作業を安全且つ的確に行なうことができると共に、当該作業時にエンジンEの回転数が不測に低下することも防止できる。また、苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業は、比較的に頻繁に行わなければならないが、その際、オペレータがスロットルレバー39を操作しなくても、エンジンEの回転数はアイドリング状態まで速やかに低下するので不要に消費される燃料を低減させることができる。そして、乗用型田移植機1の走行を比較的長時間停止させて行なう作業である苗載台16上に載置したマット苗の残量低下に伴う苗継ぎや苗補充作業、あるいは肥料タンク21内に貯留した肥料の残量低下に伴う肥料の補給作業を行なう時、前記駐車ブレーキが作用中であることを、エンジンEの回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させる制御条件としているので、より安全に苗継ぎや苗補充作業及び肥料の補給作業が行なえるようになる。
【0039】
尚、上述した制御例4〜6においては、苗残量検出センサ61による苗切れの検出または肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出がなされなくなった状態、即ち苗継ぎや苗補充作業または肥料の補給作業が終了した状態、あるいはオペレータが運転座席12に着座した状態で、スロットルレバー39による調節(設定)位置までエンジンEの回転数が復帰するように構成してあり、再度植え付け作業走行を開始する際は、前記苗継ぎや苗補充作業または肥料の補給作業を行なう前のエンジン回転数となるように、わざわざスロットルレバー39を操作する必要がない。また、実施例1(制御例1〜3)及び実施例2(制御例4〜6)においては、肥料タンク21への肥料の補給作業中であるか否かを、着座状態検出センサ73による運転座席12へのオペレータの非着座状態の検出且つ肥料残量検出センサ62による肥料切れの検出で判断していたが、当該肥料タンク21に備える肥料供給口を覆う蓋体21a(図8参照)の開閉状態を検出して判断することもできる。
【符号の説明】
【0040】
3 走行車輪(後輪)
12 運転座席
16 苗載台
17 植付装置
21 肥料タンク
61 苗残量検出センサ
62 肥料残量検出センサ
71 施肥装置
72a 警報手段(苗補給モニタ)
72b 警報手段(肥料残量表示モニタ)
73 着座状態検出センサ
81 エンジン回転数制御手段(制御部)
E エンジン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)の動力により、苗載台(16)上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置(17)と、該植付装置(17)によるマット苗の植え付け時に肥料タンク(21)内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置(71)と、苗載台(16)上に載置したマット苗の残量低下を検出する苗残量検出センサ(61)または肥料タンク(21)内に貯留した肥料の残量低下を検出する肥料残量検出センサ(62)と、前記苗残量検出センサ(61)または肥料残量検出センサ(62)の検出結果に基づいて苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段(72a,72b)を備えると共に、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサ(73)を運転座席(12)に設置してなる乗用型田植機において、前記警報手段(72a,72b)が作動可能状態にあって、苗残量検出センサ(61)による苗切れの検出または肥料残量検出センサ(62)による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ(73)による運転座席(12)へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジン(E)の回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段(81)を設けてあることを特徴とする乗用型田植機。
【請求項2】
エンジン(E)の動力により、苗載台(16)上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置(17)と、該植付装置(17)によるマット苗の植え付け時に肥料タンク(21)内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置(71)と、苗載台(16)上に載置したマット苗の残量低下を検出する苗残量検出センサ(61)または肥料タンク(21)内に貯留した肥料の残量低下を検出する肥料残量検出センサ(62)と、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサ(73)を運転座席(12)に設置すると共に、走行車輪(3)を制動する駐車ブレーキを備えた乗用型田植機において、前記駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ(61)による苗切れの検出または肥料残量検出センサ(62)による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ(73)による運転座席(12)へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジン(E)の回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段(81)を設けてあることを特徴とする乗用型田植機。
【請求項3】
エンジン(E)の動力により、苗載台(16)上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置(17)と、該植付装置(17)によるマット苗の植え付け時に肥料タンク(21)内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置(71)と、苗載台(16)上に載置したマット苗の残量低下を検出する苗残量検出センサ(61)または肥料タンク(21)内に貯留した肥料の残量低下を検出する肥料残量検出センサ(62)と、前記苗残量検出センサ(61)または肥料残量検出センサ(62)の検出結果に基づいて苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段(72a,72b)を備え、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサ(73)を運転座席(12)に設置すると共に、走行車輪(3)を制動する駐車ブレーキを備えた乗用型田植機において、前記警報手段(72a,72b)が作動可能状態且つ駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ(61)による苗切れの検出または肥料残量検出センサ(62)による肥料切れの検出がなされると共に、着座状態検出センサ(73)による運転座席(12)へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジン(E)の回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段(81)を設けてあることを特徴とする乗用型田植機。
【請求項1】
エンジン(E)の動力により、苗載台(16)上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置(17)と、該植付装置(17)によるマット苗の植え付け時に肥料タンク(21)内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置(71)と、苗載台(16)上に載置したマット苗の残量低下を検出する苗残量検出センサ(61)または肥料タンク(21)内に貯留した肥料の残量低下を検出する肥料残量検出センサ(62)と、前記苗残量検出センサ(61)または肥料残量検出センサ(62)の検出結果に基づいて苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段(72a,72b)を備えると共に、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサ(73)を運転座席(12)に設置してなる乗用型田植機において、前記警報手段(72a,72b)が作動可能状態にあって、苗残量検出センサ(61)による苗切れの検出または肥料残量検出センサ(62)による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ(73)による運転座席(12)へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジン(E)の回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段(81)を設けてあることを特徴とする乗用型田植機。
【請求項2】
エンジン(E)の動力により、苗載台(16)上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置(17)と、該植付装置(17)によるマット苗の植え付け時に肥料タンク(21)内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置(71)と、苗載台(16)上に載置したマット苗の残量低下を検出する苗残量検出センサ(61)または肥料タンク(21)内に貯留した肥料の残量低下を検出する肥料残量検出センサ(62)と、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサ(73)を運転座席(12)に設置すると共に、走行車輪(3)を制動する駐車ブレーキを備えた乗用型田植機において、前記駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ(61)による苗切れの検出または肥料残量検出センサ(62)による肥料切れの検出がなされ、且つ着座状態検出センサ(73)による運転座席(12)へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジン(E)の回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段(81)を設けてあることを特徴とする乗用型田植機。
【請求項3】
エンジン(E)の動力により、苗載台(16)上に載置したマット苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置(17)と、該植付装置(17)によるマット苗の植え付け時に肥料タンク(21)内に貯留した肥料を圃場に施肥する施肥装置(71)と、苗載台(16)上に載置したマット苗の残量低下を検出する苗残量検出センサ(61)または肥料タンク(21)内に貯留した肥料の残量低下を検出する肥料残量検出センサ(62)と、前記苗残量検出センサ(61)または肥料残量検出センサ(62)の検出結果に基づいて苗切れまたは肥料切れ状態をオペレータに知らしめる警報手段(72a,72b)を備え、オペレータの着座状態を検出する着座状態検出センサ(73)を運転座席(12)に設置すると共に、走行車輪(3)を制動する駐車ブレーキを備えた乗用型田植機において、前記警報手段(72a,72b)が作動可能状態且つ駐車ブレーキが作用中であって、苗残量検出センサ(61)による苗切れの検出または肥料残量検出センサ(62)による肥料切れの検出がなされると共に、着座状態検出センサ(73)による運転座席(12)へのオペレータの非着座状態が検出された時、エンジン(E)の回転数をアイドリング状態まで自動的に低下させるエンジン回転数制御手段(81)を設けてあることを特徴とする乗用型田植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−50343(P2011−50343A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203557(P2009−203557)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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