乾燥焼酎粕の製造方法及び乾燥焼酎粕を主材とした飼料の製造方法
【課題】比較的簡単な方法で焼酎粕を効率よく飼料化する製造方法を提供する。
【解決手段】焼酎粕を乾燥させた焼酎粕飼料を製造する方法であって、パルス燃焼装置5で燃料を燃焼させて生ずる燃焼ガス中に、焼酎粕スラリーを霧状に分散させて供給することによって、前記焼酎粕を乾燥させ、前記乾燥させた焼酎粕を、前記パルス燃焼装置を冷却するために用いられた熱媒体13との間接熱交換によって加熱し、この加熱によって前記乾燥させた焼酎粕を更に乾燥させる。この方法によって乾燥させた焼酎粕に米糠を混合し、その混合物を醗酵させることにより、乾燥焼酎粕11を主材とした飼料を得る。
【解決手段】焼酎粕を乾燥させた焼酎粕飼料を製造する方法であって、パルス燃焼装置5で燃料を燃焼させて生ずる燃焼ガス中に、焼酎粕スラリーを霧状に分散させて供給することによって、前記焼酎粕を乾燥させ、前記乾燥させた焼酎粕を、前記パルス燃焼装置を冷却するために用いられた熱媒体13との間接熱交換によって加熱し、この加熱によって前記乾燥させた焼酎粕を更に乾燥させる。この方法によって乾燥させた焼酎粕に米糠を混合し、その混合物を醗酵させることにより、乾燥焼酎粕11を主材とした飼料を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥した焼酎粕の製造方法及び乾燥焼酎粕を主材とした飼料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芋、米又は麦等を原料として焼酎を製造する一連の工程では、その焼酎となる液体成分を濾過によってもろみから分離する段階で、固形物の焼酎粕が生じる。
この焼酎粕は、生物化学的酸素要求量が高く、そのまま水に流すと水中の酸素が減少し、生態系が乱れたり、メタンガスによる悪臭の原因となることから、川や海への直接廃棄が禁止されている。そのため、焼酎の生産に伴って大量に生ずる焼酎粕の適切な処理又は処分は焼酎の生産業界において従来より大きな問題となっている。
【0003】
近年、適切な処分又は有効な利用方法を見出すことが困難であった焼酎粕を処理する方法の一つとして、この焼酎粕を飼料化する方法が種々提案されており、例えば、下記の特許第2976072号公報に開示されているように、焼酎蒸留残渣液を固液分離し、そのろ液を濃縮させて水分含有率65%〜80%の濃縮液を抽出し、該濃縮液と乾草や穀類等の混合原料を所定の割合で混合させてなるウエットタイプ完全飼料の製造方法が提案されている。
【特許文献1】特許第2976072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来技術による方法では、焼酎粕の固液分離に蒸留廃液脱水機(デカンタ)のような多大の経費が掛かる設備を必要とし、また、分離された濾液を濃縮するのに大量の燃料が必要になるという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、大がかりな設備や大量の燃料も必要としないで、簡単な方法で効率よく、上記問題を生じない焼酎粕、すなわち十分に乾燥した焼酎粕、及び乾燥焼酎粕を主材とした飼料を提供するものであって、乾燥焼酎粕及び乾燥焼酎粕を主材とした飼料の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、焼酎粕を飼料化する前記の方法が前述のような問題を抱えていることに鑑みて種々研究を重ねた結果、
(1)パルス燃焼装置で燃料を燃焼させて生ずるパルス燃焼ガス中に焼酎粕を霧状に分散させることによって焼酎粕を乾燥させると、その焼酎粕は粉粒体の状態となること、
(2)上記のように乾燥させた焼酎粕を、前記パルス燃焼装置を冷却するために用いられた熱媒体との間接熱交換によって加熱し、この加熱によって前記の乾燥させた焼酎粕を更に乾燥させると、ほとんど乾燥状態の焼酎粕が得られ、このような状態になった焼酎粕は、粉粒体であるため、牛や豚などの飼料として利用する場合に、取扱い易く、他の飼料成分と混合しやすいという利点があること、及び
(3)上記の(1)又は(2)のようにして乾燥させた焼酎粕に米糠を混合し、その混合物を中温菌、高温菌、バチルス菌、酵母菌、乳酸菌のような微生物によって醗酵させると、この焼酎粕はその醗酵によって部分的に分解し、これを牛や豚などの飼料として用いる場合には、栄養価の高い摂取しやすい製品となるというような利点が得られること、
を見出した。
【0007】
本発明は、このような知見に基づいて発明されたもので、
1.乾燥焼酎粕を製造する方法であって、パルス燃焼装置で燃料を燃焼させて生ずるパルス燃焼ガス中に焼酎粕スラリーを霧状に分散させて供給することによって焼酎粕を乾燥させることを特徴とする乾燥焼酎粕の製造方法、
2.乾燥焼酎粕を製造する方法であって、パルス燃焼装置で燃料を燃焼させて生ずるパルス燃焼ガス中に焼酎粕スラリーを霧状に分散させて供給することによって乾燥させ、前記乾燥させた焼酎粕を、前記パルス燃焼装置を冷却するために用いられた熱媒体との間接熱交換によって加熱し、この加熱によって前記乾燥させた焼酎粕を更に乾燥させることを特徴とする乾燥焼酎粕の製造方法、
3.前記1又は2の方法によって乾燥させた焼酎粕に米糠を混合し、その混合物を醗酵させることを特徴とする乾燥焼酎粕を主材とした飼料の製造方法、
に係わるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大がかりの設備も多くの燃料も必要としないで、比較的簡単な方法で効率よく、十分に乾燥した焼酎粕及び乾燥焼酎粕を含有した飼料の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
焼酎を、例えば芋を主な原料として製造する場合には、米麹用の米を洗い、水に浸し水分を吸収させ(洗米・浸漬工程)、十分に水分を吸収した米を蒸し(蒸煮工程)、種麹を混ぜ、麹を造り(製麹工程)、麹米に酵母菌と水を加え(一次もろみ工程)、その後、芋と水を加えて混ぜ、アルコール発酵させ二次もろみを作る。
二次もろみが発酵した後、前記二次もろみを蒸留釜で沸騰させ、吹き上がった蒸気を冷却しろ過する(蒸留工程)ことで焼酎が製造される。
このような焼酎の製造工程の蒸留工程の段階で、蒸留後に残った残渣物が焼酎粕であり、本発明の原料として使用される。
【0010】
この焼酎粕はスラリー状を呈して、普通95重量%程度の水分を含んでいるので、この水分が65〜80重量%程度になるまで焼酎粕を乾燥するには、例えば、前記の従来技術に示されてるように、大がかりな設備と多量の燃料とが必要になるけれども、本発明ではこのような多量の水分を含むスラリー状の焼酎粕の水分を比較的小型の装置を用いて5〜20重量%程度まで簡単に減少させることができる。
【0011】
本願は前記1〜3の発明、すなわち、請求項1〜3の発明に係わり、これらの発明の工程をまとめてブロック図として図1に示し、パルスジェットエンジンの構成図を図2に示し、また本発明を実施する装置の構成図を図3に示す。
図1は本発明の乾燥焼酎粕の製造方法のブロック図であり、図2はパルスジェットエンジンの基本構造を概括的に示す側面図であり、図3は本発明の製造方法を遂行するのに適した装置の一例の縦断側面図である。
【0012】
図において、焼酎粕タンク1に収納されている焼酎粕は開閉バルブ2を経て攪拌機3に供給され、ここで焼酎粕は全体が十分な流動性を有する均質なスラリーとなるように攪拌された後、ポンプ4によってパルス燃焼装置5の燃焼ノズル5a付近に供給される。
【0013】
パルス燃焼装置5には、燃料タンク6から燃料が、そして誘引送風装置7から燃焼用空気が供給され、更に点火手段8を介してパルス状の衝撃波を伴った燃焼ガスが燃焼ノズル5aから放出される。
【0014】
パルス燃焼装置5に供給された燃料が燃焼用空気によって燃焼するときに生ずるパルス燃焼ガス中に、上記燃焼ノズル5aとは別の噴射ノズル5bから焼酎粕スラリーが噴射されることによって、この焼酎粕スラリーは前記燃焼ノズル5aからの放出されるパルス燃焼ガス中に霧状に分散される結果、95重量%程度から10〜20重量%程度までの水分含有率に乾燥される。
【0015】
こうして、粉末状の乾燥状態になった焼酎粕は、一次乾燥釜9の中に吹き込まれて、この一次乾燥釜9の中に設けられている鉄爪攪拌装置10の鉄爪10aで攪拌されながら一次乾燥釜9の中を順に移動した後、この一次乾燥釜9の終端部から、乾燥させた焼酎粕11が排出される。
【0016】
上記の鉄爪攪拌装置10は、また、内容物を撹拌するための複数の鉄爪10aを備え内側へ屈曲した突片を有し、この内設された鉄爪10aが回動運動することによって、一次乾燥釜9の内壁にこびり付いているキャラメル状の焼酎粕を掻き落とすために、この一次乾燥釜9に設けられている。
【0017】
この乾燥焼酎粕11は、アルコール分がほとんど除去され酵母菌、クエン酸、アミノ酸、炭水化物、ポリフェノール等を含む粉粒体であるため、牛や豚などの飼料の主材として適している。
【0018】
上記の乾燥焼酎粕11を更に乾燥したものとするために、この乾燥焼酎粕11は二次搬入ホッパー12を経て二次乾燥釜19に投入され、ここで、乾燥焼酎粕11は、パルス燃焼装置5を冷却するために蛇管を通って循環される熱媒体、すなわちパルス燃焼装置5を冷却することによって温められた熱媒体13と間接的に熱交換されることによって乾燥焼酎粕11よりも水分が少ない更に乾燥させた乾燥焼酎粕14となり、この更に乾燥させた乾燥焼酎粕14は上記の乾燥焼酎粕11と比較して水分が少なく、より取扱易い特徴を備えていて、特に牛や豚などの飼料の主材、添加材として適している。
【0019】
上記の更に乾燥させた乾燥焼酎粕14を主材とした飼料を製造するためには、上記の更に乾燥させた乾燥焼酎粕14が、第二乾燥釜19に送られて、この第二乾燥釜19の内部に設けられている二次鉄爪攪拌装置15によって、第二乾燥釜19の中に別途に供給されてくる米糠とともに攪拌混合される。
【0020】
上記の攪拌混合によって用意された更に乾燥させた乾燥焼酎粕14と米糠との混合物は、その後醗酵室に移され、酵母菌、バチルス菌、セルラーゼのような微生物により、分解醗酵を受ける。
【0021】
この醗酵は、一般に30〜60℃の温度において1〜3日間遂行され、それによって牛や豚などの飼料として適したアミノ酸、ビタミン等を含んだ栄養価が高く消化の良い飼料が生成される。
【0022】
なお、本発明で用いられるパルス燃焼装置5としては、従来知られている公知のパルス燃焼装置を使用することができ、本発明では、例えば、図2に示されるような基本構造を有するパルス燃焼装置を使用することができる。
【0023】
このパルス燃焼装置5によれば、それの燃料ノズル5aから噴射される燃料の燃焼により生じた300〜600℃という高温の100〜200Hzで脈動するパルス燃焼ガスによって生ずる衝撃波、及び温度と圧力が急激に変化する圧力波に触れて、簡単に、脱アルコール、脱水され、5〜10重量%の水分を含む粉末あるいは粒状の乾燥物となる。
【0024】
パルス燃焼装置5で燃焼させる燃料としては普通灯油が用いることができ、その他エタノール、メタノールのようなバイオ燃料を使用することもできる。
【実施例】
【0025】
本発明の実施例を図3に基づいて説明する。なお、本発明は勿論この実施例に限定されない。
図3は、前記の図1に示される工程図に沿って本発明方法を遂行するのに適した装置の一例の縦断側面図である。
【0026】
図3において、1は焼酎粕タンク、2は開閉バルブ、3は攪拌機、4はポンプ、5はパルス燃焼装置、5aは燃焼ノズル、5bは噴射ノズル、6は燃料タンク、9は一次乾燥釜、10は鉄爪撹拌装置、10aは鉄爪、12は二次搬入ホッパー、15は二次鉄爪撹拌装置、15aは鉄爪、16は防音砂隔壁、17はハウジング、19は二次乾燥釜、21蛇管である。
【0027】
図3に示す焼酎粕タンク1には、焼酎粕が収納されている。前記焼酎粕タンク1に収納された焼酎粕は、開閉バルブ2を開くことにより、攪拌機3へ供給する。
攪拌機3に供給された焼酎粕は、全体が十分な流動性を有する均質なスラリーとなるように攪拌された後、ポンプ4によってパルス燃焼装置5の燃焼ノズル5a付近に供給される。
燃料タンク6には燃料、例えば灯油が収納され、燃料タンク6から燃料が供給され、そして誘引送風装置7から燃焼用空気が供給されると、燃焼ノズル5aから衝撃波を伴ったパルス燃焼ガスが放出される。
【0028】
パルス燃焼装置5の前方には、焼酎粕スラリーを噴射する噴射ノズル5b及び、パルス燃焼ガスが放出される燃焼ノズル5aが備えられており、焼酎粕スラリーは噴射ノズル5bから噴射されて、燃料ノズル5aから放出されるパルス燃焼ガス中に、噴射ノズル5bから噴射される焼酎粕スラリーが霧状に分散される結果、焼酎粕の95重量%程度の水分含有率が、10〜20重量%程度の水分含有率に乾燥される。
【0029】
燃焼ノズル5aによって噴射されたパルス燃焼ガス及び噴射ノズル5bから噴射された焼酎粕スラリーは、一次乾燥釜9の中に吹き込まれる。一次乾燥釜9の中には、鉄爪攪拌装置10が設けられており、前記焼酎粕スラリーは、鉄爪撹拌装置10中で鉄爪10aにより攪拌されながら一次乾燥釜9の中を順に移動する。
一次乾燥釜9の終端部には、搬出口が設けられており、前記搬出口から乾燥焼酎粕11が排出される。
なお、図3に示す本発明を実施するための装置は、前記パルス燃焼装置5と一次乾燥釜9が、ハウジング17内に配設され、同ハウジング17はその内部に砂が充填されて、前記砂によりパルス燃焼装置5と一次乾燥釜9の周囲に防音砂隔壁16を形成している。
防音砂隔壁16が形成されるハウジング17内に、前記パルス燃焼装置5と一次乾燥釜9が配置されることにより、特に大きな騒音を発生するパルス燃焼装置の防音が達成され、騒音や振動を防止することができ、かつ各装置が砂内で安定して支持・配置され、さらに熱を外に逃しにくく断熱効果が高い。
そのため、防音・防振装置や、固定装置、断熱装置等を配備する必要がなく、大がかりな設備が不要となり、本発明の製造方法の実施にあたり好適である。
【0030】
上記の乾燥焼酎粕11を更に乾燥したものとするために、この乾燥焼酎粕11は二次搬入ホッパー12を経て二次乾燥釜19に搬入される。
二次乾燥釜19には、パルス燃焼装置5を冷却するための蛇管21が配設されている。蛇管21には、パルス燃焼装置5を冷却することによって温められた熱媒体が通っており、二次乾燥釜19に搬入された乾燥焼酎粕11と、前記熱媒体の間で間接的に熱交換がされ、乾燥焼酎粕11は更に乾燥し、乾燥焼酎粕11よりも水分が少ない更に乾燥させた乾燥焼酎粕14が製造できる。
そして、二次乾燥釜19内に設けられた二次鉄爪撹拌装置15で鉄爪15aにより撹拌されながら、二次乾燥釜19の中を順に移動し、二次乾燥釜19の終端部に設けられた搬出口から排出される。
このようにして製造することにより、更に乾燥させた乾燥焼酎粕14は、脱アルコール、脱水され、5〜10重量%の水分を含む粉末あるいは粒状の乾燥物となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の乾燥焼酎粕の製造方法のブロック図
【図2】パルスジェットエンジンの基本構造を概括的に示す側面図
【図3】本発明の製造方法を遂行するのに適した装置の一例の縦断側面図
【符号の説明】
【0032】
1 焼酎粕タンク
2 開閉バルブ
3 攪拌機
4 ポンプ
5 パルス燃焼装置
5a 燃焼ノズル
5b 噴射ノズル
6 燃料タンク
7 誘引送風装置
8 点火手段
9 一次乾燥釜
10 鉄爪攪拌装置
10a 鉄爪
11 乾燥焼酎粕
12 二次搬入ホッパー
13 熱媒体
14 更に乾燥した乾燥焼酎粕
15 二次鉄爪攪拌装置
15a 鉄爪
16 防音砂隔壁
17 ハウジング
19 二次乾燥釜
21 蛇管
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥した焼酎粕の製造方法及び乾燥焼酎粕を主材とした飼料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芋、米又は麦等を原料として焼酎を製造する一連の工程では、その焼酎となる液体成分を濾過によってもろみから分離する段階で、固形物の焼酎粕が生じる。
この焼酎粕は、生物化学的酸素要求量が高く、そのまま水に流すと水中の酸素が減少し、生態系が乱れたり、メタンガスによる悪臭の原因となることから、川や海への直接廃棄が禁止されている。そのため、焼酎の生産に伴って大量に生ずる焼酎粕の適切な処理又は処分は焼酎の生産業界において従来より大きな問題となっている。
【0003】
近年、適切な処分又は有効な利用方法を見出すことが困難であった焼酎粕を処理する方法の一つとして、この焼酎粕を飼料化する方法が種々提案されており、例えば、下記の特許第2976072号公報に開示されているように、焼酎蒸留残渣液を固液分離し、そのろ液を濃縮させて水分含有率65%〜80%の濃縮液を抽出し、該濃縮液と乾草や穀類等の混合原料を所定の割合で混合させてなるウエットタイプ完全飼料の製造方法が提案されている。
【特許文献1】特許第2976072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来技術による方法では、焼酎粕の固液分離に蒸留廃液脱水機(デカンタ)のような多大の経費が掛かる設備を必要とし、また、分離された濾液を濃縮するのに大量の燃料が必要になるという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、大がかりな設備や大量の燃料も必要としないで、簡単な方法で効率よく、上記問題を生じない焼酎粕、すなわち十分に乾燥した焼酎粕、及び乾燥焼酎粕を主材とした飼料を提供するものであって、乾燥焼酎粕及び乾燥焼酎粕を主材とした飼料の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、焼酎粕を飼料化する前記の方法が前述のような問題を抱えていることに鑑みて種々研究を重ねた結果、
(1)パルス燃焼装置で燃料を燃焼させて生ずるパルス燃焼ガス中に焼酎粕を霧状に分散させることによって焼酎粕を乾燥させると、その焼酎粕は粉粒体の状態となること、
(2)上記のように乾燥させた焼酎粕を、前記パルス燃焼装置を冷却するために用いられた熱媒体との間接熱交換によって加熱し、この加熱によって前記の乾燥させた焼酎粕を更に乾燥させると、ほとんど乾燥状態の焼酎粕が得られ、このような状態になった焼酎粕は、粉粒体であるため、牛や豚などの飼料として利用する場合に、取扱い易く、他の飼料成分と混合しやすいという利点があること、及び
(3)上記の(1)又は(2)のようにして乾燥させた焼酎粕に米糠を混合し、その混合物を中温菌、高温菌、バチルス菌、酵母菌、乳酸菌のような微生物によって醗酵させると、この焼酎粕はその醗酵によって部分的に分解し、これを牛や豚などの飼料として用いる場合には、栄養価の高い摂取しやすい製品となるというような利点が得られること、
を見出した。
【0007】
本発明は、このような知見に基づいて発明されたもので、
1.乾燥焼酎粕を製造する方法であって、パルス燃焼装置で燃料を燃焼させて生ずるパルス燃焼ガス中に焼酎粕スラリーを霧状に分散させて供給することによって焼酎粕を乾燥させることを特徴とする乾燥焼酎粕の製造方法、
2.乾燥焼酎粕を製造する方法であって、パルス燃焼装置で燃料を燃焼させて生ずるパルス燃焼ガス中に焼酎粕スラリーを霧状に分散させて供給することによって乾燥させ、前記乾燥させた焼酎粕を、前記パルス燃焼装置を冷却するために用いられた熱媒体との間接熱交換によって加熱し、この加熱によって前記乾燥させた焼酎粕を更に乾燥させることを特徴とする乾燥焼酎粕の製造方法、
3.前記1又は2の方法によって乾燥させた焼酎粕に米糠を混合し、その混合物を醗酵させることを特徴とする乾燥焼酎粕を主材とした飼料の製造方法、
に係わるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大がかりの設備も多くの燃料も必要としないで、比較的簡単な方法で効率よく、十分に乾燥した焼酎粕及び乾燥焼酎粕を含有した飼料の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
焼酎を、例えば芋を主な原料として製造する場合には、米麹用の米を洗い、水に浸し水分を吸収させ(洗米・浸漬工程)、十分に水分を吸収した米を蒸し(蒸煮工程)、種麹を混ぜ、麹を造り(製麹工程)、麹米に酵母菌と水を加え(一次もろみ工程)、その後、芋と水を加えて混ぜ、アルコール発酵させ二次もろみを作る。
二次もろみが発酵した後、前記二次もろみを蒸留釜で沸騰させ、吹き上がった蒸気を冷却しろ過する(蒸留工程)ことで焼酎が製造される。
このような焼酎の製造工程の蒸留工程の段階で、蒸留後に残った残渣物が焼酎粕であり、本発明の原料として使用される。
【0010】
この焼酎粕はスラリー状を呈して、普通95重量%程度の水分を含んでいるので、この水分が65〜80重量%程度になるまで焼酎粕を乾燥するには、例えば、前記の従来技術に示されてるように、大がかりな設備と多量の燃料とが必要になるけれども、本発明ではこのような多量の水分を含むスラリー状の焼酎粕の水分を比較的小型の装置を用いて5〜20重量%程度まで簡単に減少させることができる。
【0011】
本願は前記1〜3の発明、すなわち、請求項1〜3の発明に係わり、これらの発明の工程をまとめてブロック図として図1に示し、パルスジェットエンジンの構成図を図2に示し、また本発明を実施する装置の構成図を図3に示す。
図1は本発明の乾燥焼酎粕の製造方法のブロック図であり、図2はパルスジェットエンジンの基本構造を概括的に示す側面図であり、図3は本発明の製造方法を遂行するのに適した装置の一例の縦断側面図である。
【0012】
図において、焼酎粕タンク1に収納されている焼酎粕は開閉バルブ2を経て攪拌機3に供給され、ここで焼酎粕は全体が十分な流動性を有する均質なスラリーとなるように攪拌された後、ポンプ4によってパルス燃焼装置5の燃焼ノズル5a付近に供給される。
【0013】
パルス燃焼装置5には、燃料タンク6から燃料が、そして誘引送風装置7から燃焼用空気が供給され、更に点火手段8を介してパルス状の衝撃波を伴った燃焼ガスが燃焼ノズル5aから放出される。
【0014】
パルス燃焼装置5に供給された燃料が燃焼用空気によって燃焼するときに生ずるパルス燃焼ガス中に、上記燃焼ノズル5aとは別の噴射ノズル5bから焼酎粕スラリーが噴射されることによって、この焼酎粕スラリーは前記燃焼ノズル5aからの放出されるパルス燃焼ガス中に霧状に分散される結果、95重量%程度から10〜20重量%程度までの水分含有率に乾燥される。
【0015】
こうして、粉末状の乾燥状態になった焼酎粕は、一次乾燥釜9の中に吹き込まれて、この一次乾燥釜9の中に設けられている鉄爪攪拌装置10の鉄爪10aで攪拌されながら一次乾燥釜9の中を順に移動した後、この一次乾燥釜9の終端部から、乾燥させた焼酎粕11が排出される。
【0016】
上記の鉄爪攪拌装置10は、また、内容物を撹拌するための複数の鉄爪10aを備え内側へ屈曲した突片を有し、この内設された鉄爪10aが回動運動することによって、一次乾燥釜9の内壁にこびり付いているキャラメル状の焼酎粕を掻き落とすために、この一次乾燥釜9に設けられている。
【0017】
この乾燥焼酎粕11は、アルコール分がほとんど除去され酵母菌、クエン酸、アミノ酸、炭水化物、ポリフェノール等を含む粉粒体であるため、牛や豚などの飼料の主材として適している。
【0018】
上記の乾燥焼酎粕11を更に乾燥したものとするために、この乾燥焼酎粕11は二次搬入ホッパー12を経て二次乾燥釜19に投入され、ここで、乾燥焼酎粕11は、パルス燃焼装置5を冷却するために蛇管を通って循環される熱媒体、すなわちパルス燃焼装置5を冷却することによって温められた熱媒体13と間接的に熱交換されることによって乾燥焼酎粕11よりも水分が少ない更に乾燥させた乾燥焼酎粕14となり、この更に乾燥させた乾燥焼酎粕14は上記の乾燥焼酎粕11と比較して水分が少なく、より取扱易い特徴を備えていて、特に牛や豚などの飼料の主材、添加材として適している。
【0019】
上記の更に乾燥させた乾燥焼酎粕14を主材とした飼料を製造するためには、上記の更に乾燥させた乾燥焼酎粕14が、第二乾燥釜19に送られて、この第二乾燥釜19の内部に設けられている二次鉄爪攪拌装置15によって、第二乾燥釜19の中に別途に供給されてくる米糠とともに攪拌混合される。
【0020】
上記の攪拌混合によって用意された更に乾燥させた乾燥焼酎粕14と米糠との混合物は、その後醗酵室に移され、酵母菌、バチルス菌、セルラーゼのような微生物により、分解醗酵を受ける。
【0021】
この醗酵は、一般に30〜60℃の温度において1〜3日間遂行され、それによって牛や豚などの飼料として適したアミノ酸、ビタミン等を含んだ栄養価が高く消化の良い飼料が生成される。
【0022】
なお、本発明で用いられるパルス燃焼装置5としては、従来知られている公知のパルス燃焼装置を使用することができ、本発明では、例えば、図2に示されるような基本構造を有するパルス燃焼装置を使用することができる。
【0023】
このパルス燃焼装置5によれば、それの燃料ノズル5aから噴射される燃料の燃焼により生じた300〜600℃という高温の100〜200Hzで脈動するパルス燃焼ガスによって生ずる衝撃波、及び温度と圧力が急激に変化する圧力波に触れて、簡単に、脱アルコール、脱水され、5〜10重量%の水分を含む粉末あるいは粒状の乾燥物となる。
【0024】
パルス燃焼装置5で燃焼させる燃料としては普通灯油が用いることができ、その他エタノール、メタノールのようなバイオ燃料を使用することもできる。
【実施例】
【0025】
本発明の実施例を図3に基づいて説明する。なお、本発明は勿論この実施例に限定されない。
図3は、前記の図1に示される工程図に沿って本発明方法を遂行するのに適した装置の一例の縦断側面図である。
【0026】
図3において、1は焼酎粕タンク、2は開閉バルブ、3は攪拌機、4はポンプ、5はパルス燃焼装置、5aは燃焼ノズル、5bは噴射ノズル、6は燃料タンク、9は一次乾燥釜、10は鉄爪撹拌装置、10aは鉄爪、12は二次搬入ホッパー、15は二次鉄爪撹拌装置、15aは鉄爪、16は防音砂隔壁、17はハウジング、19は二次乾燥釜、21蛇管である。
【0027】
図3に示す焼酎粕タンク1には、焼酎粕が収納されている。前記焼酎粕タンク1に収納された焼酎粕は、開閉バルブ2を開くことにより、攪拌機3へ供給する。
攪拌機3に供給された焼酎粕は、全体が十分な流動性を有する均質なスラリーとなるように攪拌された後、ポンプ4によってパルス燃焼装置5の燃焼ノズル5a付近に供給される。
燃料タンク6には燃料、例えば灯油が収納され、燃料タンク6から燃料が供給され、そして誘引送風装置7から燃焼用空気が供給されると、燃焼ノズル5aから衝撃波を伴ったパルス燃焼ガスが放出される。
【0028】
パルス燃焼装置5の前方には、焼酎粕スラリーを噴射する噴射ノズル5b及び、パルス燃焼ガスが放出される燃焼ノズル5aが備えられており、焼酎粕スラリーは噴射ノズル5bから噴射されて、燃料ノズル5aから放出されるパルス燃焼ガス中に、噴射ノズル5bから噴射される焼酎粕スラリーが霧状に分散される結果、焼酎粕の95重量%程度の水分含有率が、10〜20重量%程度の水分含有率に乾燥される。
【0029】
燃焼ノズル5aによって噴射されたパルス燃焼ガス及び噴射ノズル5bから噴射された焼酎粕スラリーは、一次乾燥釜9の中に吹き込まれる。一次乾燥釜9の中には、鉄爪攪拌装置10が設けられており、前記焼酎粕スラリーは、鉄爪撹拌装置10中で鉄爪10aにより攪拌されながら一次乾燥釜9の中を順に移動する。
一次乾燥釜9の終端部には、搬出口が設けられており、前記搬出口から乾燥焼酎粕11が排出される。
なお、図3に示す本発明を実施するための装置は、前記パルス燃焼装置5と一次乾燥釜9が、ハウジング17内に配設され、同ハウジング17はその内部に砂が充填されて、前記砂によりパルス燃焼装置5と一次乾燥釜9の周囲に防音砂隔壁16を形成している。
防音砂隔壁16が形成されるハウジング17内に、前記パルス燃焼装置5と一次乾燥釜9が配置されることにより、特に大きな騒音を発生するパルス燃焼装置の防音が達成され、騒音や振動を防止することができ、かつ各装置が砂内で安定して支持・配置され、さらに熱を外に逃しにくく断熱効果が高い。
そのため、防音・防振装置や、固定装置、断熱装置等を配備する必要がなく、大がかりな設備が不要となり、本発明の製造方法の実施にあたり好適である。
【0030】
上記の乾燥焼酎粕11を更に乾燥したものとするために、この乾燥焼酎粕11は二次搬入ホッパー12を経て二次乾燥釜19に搬入される。
二次乾燥釜19には、パルス燃焼装置5を冷却するための蛇管21が配設されている。蛇管21には、パルス燃焼装置5を冷却することによって温められた熱媒体が通っており、二次乾燥釜19に搬入された乾燥焼酎粕11と、前記熱媒体の間で間接的に熱交換がされ、乾燥焼酎粕11は更に乾燥し、乾燥焼酎粕11よりも水分が少ない更に乾燥させた乾燥焼酎粕14が製造できる。
そして、二次乾燥釜19内に設けられた二次鉄爪撹拌装置15で鉄爪15aにより撹拌されながら、二次乾燥釜19の中を順に移動し、二次乾燥釜19の終端部に設けられた搬出口から排出される。
このようにして製造することにより、更に乾燥させた乾燥焼酎粕14は、脱アルコール、脱水され、5〜10重量%の水分を含む粉末あるいは粒状の乾燥物となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の乾燥焼酎粕の製造方法のブロック図
【図2】パルスジェットエンジンの基本構造を概括的に示す側面図
【図3】本発明の製造方法を遂行するのに適した装置の一例の縦断側面図
【符号の説明】
【0032】
1 焼酎粕タンク
2 開閉バルブ
3 攪拌機
4 ポンプ
5 パルス燃焼装置
5a 燃焼ノズル
5b 噴射ノズル
6 燃料タンク
7 誘引送風装置
8 点火手段
9 一次乾燥釜
10 鉄爪攪拌装置
10a 鉄爪
11 乾燥焼酎粕
12 二次搬入ホッパー
13 熱媒体
14 更に乾燥した乾燥焼酎粕
15 二次鉄爪攪拌装置
15a 鉄爪
16 防音砂隔壁
17 ハウジング
19 二次乾燥釜
21 蛇管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥焼酎粕を製造する方法であって、パルス燃焼装置で燃料を燃焼させて生ずるパルス燃焼ガス中に焼酎粕スラリーを霧状に分散させて供給することによって焼酎粕を乾燥させることを特徴とする乾燥焼酎粕の製造方法。
【請求項2】
乾燥焼酎粕を製造する方法であって、パルス燃焼装置で燃料を燃焼させて生ずるパルス燃焼ガス中に焼酎粕スラリーを霧状に分散させて供給することによって乾燥させ、前記乾燥させた焼酎粕を、前記パルス燃焼装置を冷却するために用いられた熱媒体との間接熱交換によって加熱し、この加熱によって前記乾燥させた焼酎粕を更に乾燥させることを特徴とする乾燥焼酎粕の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2の方法によって乾燥させた焼酎粕に米糠を混合し、その混合物を醗酵させることを特徴とする乾燥焼酎粕を主材とした飼料の製造方法。
【請求項1】
乾燥焼酎粕を製造する方法であって、パルス燃焼装置で燃料を燃焼させて生ずるパルス燃焼ガス中に焼酎粕スラリーを霧状に分散させて供給することによって焼酎粕を乾燥させることを特徴とする乾燥焼酎粕の製造方法。
【請求項2】
乾燥焼酎粕を製造する方法であって、パルス燃焼装置で燃料を燃焼させて生ずるパルス燃焼ガス中に焼酎粕スラリーを霧状に分散させて供給することによって乾燥させ、前記乾燥させた焼酎粕を、前記パルス燃焼装置を冷却するために用いられた熱媒体との間接熱交換によって加熱し、この加熱によって前記乾燥させた焼酎粕を更に乾燥させることを特徴とする乾燥焼酎粕の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2の方法によって乾燥させた焼酎粕に米糠を混合し、その混合物を醗酵させることを特徴とする乾燥焼酎粕を主材とした飼料の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2009−285633(P2009−285633A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143817(P2008−143817)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(308009864)
【出願人】(308010583)
【出願人】(308010594)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(308009864)
【出願人】(308010583)
【出願人】(308010594)
【Fターム(参考)】
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