説明

乾燥装置および不活性ガス置換方法

【課題】貯留槽を効率よく不活性ガス置換することができ、乾燥中に粉粒体が劣化することを防止することができる乾燥装置、および、その乾燥装置に用いられる不活性ガス置換方法を提供すること。
【解決手段】
粉粒体を貯留する貯留槽11を備え、粉粒体をほぼ常圧で乾燥する乾燥装置1に、貯留槽11を減圧するポンプ41と、貯留槽11に窒素ガスを供給する窒素発生装置21とを備え、ポンプ41により貯留槽11を減圧し、窒素発生装置21からの窒素ガスを貯留槽11に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置、および、その乾燥装置に用いられる不活性ガス置換方法、詳しくは、粉粒体を乾燥する乾燥装置、および、その乾燥装置に用いられる不活性ガス置換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック成形などでは、乾燥装置を用いて、予め、成形材料であるプラスチックペレットなどの粉粒体を乾燥するようにしている。
【0003】
このような乾燥装置として、例えば、加熱された乾燥空気を、粉粒体が貯留されている乾燥ホッパを含む閉鎖乾燥ラインに流して、粉粒体を乾燥させる乾燥装置が提案されている(下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−185433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、上記した特許文献1に記載の乾燥装置では、加熱された乾燥空気を閉鎖乾燥ラインに流している。そのため、乾燥空気に含まれる酸素により粉粒体が酸化され、黄変するなど、劣化する場合がある。
【0006】
このような粉粒体の劣化を防ぐためには、閉鎖乾燥ライン内の空気を不活性ガスで置換することが検討される。
【0007】
しかし、閉鎖乾燥ライン内の不活性ガスによる置換が不十分であると、粉粒体の劣化を防止する効果が低くなる場合がある。また、閉鎖乾燥ライン内の不活性ガスによる置換に時間が掛かると、その分、乾燥時間が延長される。
【0008】
そこで、本発明の目的は、貯留槽を効率よく不活性ガス置換することができ、乾燥中に粉粒体が劣化することを防止することができる乾燥装置、および、その乾燥装置に用いられる不活性ガス置換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、粉粒体を貯留する貯留槽、前記貯留槽へ向かう気流を発生させる気流発生手段、および、前記気流発生手段から前記貯留槽へ向かう気流を加熱する加熱手段を備え、粉粒体を常圧で乾燥する乾燥装置であって、前記貯留槽を減圧する減圧手段と、前記貯留槽に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、前記減圧手段により前記貯留槽を減圧し、前記不活性ガス供給手段からの不活性ガスを前記貯留槽に供給するように、前記減圧手段と前記不活性ガス供給手段とを制御する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、制御手段により、貯留槽内を減圧しながら、貯留槽に不活性ガスを供給することができる。すなわち、貯留槽内の空気を、積極的に排出しながら、貯留槽に不活性ガスを供給することができる。
【0011】
そのため、貯留槽に不活性ガスを供給するのみである場合と比べて、貯留槽内を効率よく不活性ガス置換することができる。
【0012】
その結果、乾燥中に粉粒体が劣化することを防止することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、前記減圧手段による減圧と同時または減圧後に、前記不活性ガス供給手段からの不活性ガスを前記貯留槽に供給するように、前記減圧手段と前記不活性ガス供給手段とを制御することを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、減圧手段により貯留槽内が確実に減圧されている状態で、貯留槽に不活性ガスを供給することができる。
【0015】
そのため、貯留槽内を、より効率よく不活性ガス置換することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記制御手段は、前記減圧手段により前記貯留槽を減圧する途中に、前記不活性ガス供給手段からの不活性ガスを、前記貯留槽に供給するように、前記減圧手段と前記不活性ガス供給手段とを制御することを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、まず、減圧手段により貯留槽を減圧し、次いで、減圧手段による減圧を終了する前(すなわち、減圧手段により貯留槽を減圧する途中)に、不活性ガスを貯留槽に供給できる。その後、不活性ガスの貯留槽への供給開始後、減圧手段による減圧を終了するまでの間、引き続き減圧手段により貯留槽を減圧するとともに、不活性ガスを貯留槽に供給できる。
【0018】
そのため、まず、最初の減圧により貯留槽内の大半の空気を排出し、その後、貯留槽内の空気が減り、減圧効率が低下するタイミングで、貯留槽内の空気を排出しながら不活性ガスを貯留槽内に供給することができる。
【0019】
その結果、貯留槽内をより一層効率よく不活性ガス置換することができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記貯留槽と前記減圧手段との間に介在される減圧ラインと、前記不活性ガス供給手段と前記貯留槽との間に介在される不活性ガス供給ラインと、前記不活性ガス供給ラインと前記減圧ラインとに接続される還流ラインとを備え、前記不活性ガス供給ライン、前記貯留槽、前記減圧ラインおよび前記還流ラインは、クローズドラインを形成することを特徴としている。
【0021】
このような構成によれば、減圧手段および不活性ガス供給手段により、クローズドライン内を減圧および不活性ガス置換した後、クローズドライン内の不活性ガスの濃度を保つことができる。
【0022】
そのため、不活性ガス置換後の貯留槽内の不活性ガスの濃度を保つことができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記気流発生手段は、前記クローズドライン内に設けられており、前記制御手段は、前記減圧手段を、前記気流発生手段が作動されると同時に、または、前記気流発生手段が作動されるよりも前に、作動させ、前記不活性ガス供給手段を、前記減圧手段が作動されると同時に、または、前記減圧手段が作動されるよりも後に作動させるように、制御することを特徴としている。
【0024】
このような構成によれば、減圧手段が作動されている状態で、気流発生手段を作動させることができる。
【0025】
そのため、減圧手段により、クローズドライン内の空気を外部に排出するときに、クローズドライン内の空気を、気流発生手段から減圧手段へ送ることができ、効率よくクローズドライン内を減圧することができる。
【0026】
また、減圧手段が作動されている状態で、不活性ガス供給手段を作動させることができる。
【0027】
そのため、クローズドライン内の空気を外部に排出しながら、または、クローズドライン内の空気が外部に排出された後に、クローズドライン内に不活性ガスを供給することができ、効率よくクローズドライン内に不活性ガスを満たすことができる。
【0028】
その結果、より効率よくクローズドライン内の空気を不活性ガスに置換することができ、貯留槽内を極めて効率よく不活性ガス置換することができる。
【0029】
また、請求項6に記載の発明は、乾燥装置の不活性ガス置換方法であって、粉粒体を貯留する貯留槽、前記貯留槽へ向かう気流を発生させる気流発生手段、前記気流発生手段から前記貯留槽へ向かう気流を加熱する加熱手段を備え、粉粒体をほぼ常圧で乾燥する乾燥装置において、前記乾燥装置は、前記貯留槽を減圧する減圧手段、および、前記貯留槽に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を備え、前記減圧手段により前記貯留槽を減圧し、前記不活性ガス供給手段からの不活性ガスを前記貯留槽に供給することを特徴としている。
【0030】
このような方法によれば、貯留槽内を減圧しながら、貯留槽に不活性ガスを供給することができる。すなわち、貯留槽内の空気を、積極的に排出しながら、貯留槽に不活性ガスを供給することができる。
【0031】
そのため、貯留槽に不活性ガスを供給するのみの場合と比べて、貯留槽内を効率よく不活性ガス置換することができる。
【0032】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記減圧手段による減圧と同時または減圧後に、前記不活性ガス供給手段からの不活性ガスを、前記貯留槽に供給する
このような構成によれば、減圧手段により貯留槽内が確実に減圧されている状態で、貯留槽に不活性ガスを供給することができる。
【0033】
そのため、貯留槽内を、より効率よく不活性ガス置換することができる。
【発明の効果】
【0034】
請求項1に記載の発明によれば、貯留槽内を効率よく不活性ガス置換することができ、乾燥中に粉粒体が劣化することを防止することができる。
【0035】
また、請求項2に記載の発明によれば、貯留槽内をより効率よく不活性ガス置換することができる。
【0036】
また、請求項3に記載の発明によれば、貯留槽内をより一層効率よく不活性ガス置換することができる。
【0037】
また、請求項4に記載の発明によれば、不活性ガス置換後の貯留槽内の不活性ガスの濃度を保つことができる。
【0038】
また、請求項5に記載の発明によれば、貯留槽内を極めて効率よく不活性ガス置換することができる。
【0039】
また、請求項6に記載の発明によれば、貯留槽内を効率よく不活性ガス置換することができる。
【0040】
また、請求項7に記載の発明によれば、貯留槽内をより効率よく不活性ガス置換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の乾燥装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示される乾燥装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明の乾燥装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0043】
乾燥装置1は、図1に示すように、乾燥部2、不活性ガス供給部3、減圧部4、および、制御装置の一例としてのCPU5を備えている。
【0044】
乾燥部2は、貯留槽11、気流発生手段の一例としての乾燥ブロワ12、第1給気ライン13、第1排気ライン14、還流ライン15、加熱手段の一例としてのヒータ16を備えている。
【0045】
貯留槽11は、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続する容器として形成されている。貯留槽11は、粉粒体を貯留する。粉粒体としては、例えば、プラスチックペレットなどが挙げられる。貯留槽11の容量は、特に制限されないが、例えば、5〜20Lである。
【0046】
乾燥ブロワ12は、CPU5により制御され、貯留槽11へ向かう気流を発生させる。
【0047】
第1給気ライン13は、乾燥ブロワ12からの気流を貯留槽11へ供給するための配管であり、その供給方向上流側端部が、乾燥ブロワ12に接続され、その供給方向下流側端部が、貯留槽11に接続されている。
【0048】
第1排気ライン14は、貯留槽11から排気するための配管であり、その排気方向上流側端部が、貯留槽11に接続され、その排気方向下流側端部には、フィルタ17が設けられている。
【0049】
フィルタ17は、貯留槽11から排気された気流から、粉塵などを除去する。
【0050】
還流ライン15は、第1排気ライン14のフィルタ17を通過した気流を、乾燥ブロワ12へ還流させるための配管であり、その還流方向上流側端部が、フィルタ17に接続されており、その還流方向下流側端部が、乾燥ブロワ12に接続されている。
【0051】
ヒータ16は、CPU5により制御され、第1給気ライン13の途中において、貯留槽11の近傍に設けられており、第1給気ライン13を通過して乾燥ブロワ12から貯留槽11へ向かう気流を加熱する。
【0052】
また、乾燥部2は、冷却ライン18および冷却装置19を備えている。
【0053】
冷却ライン18は、乾燥ブロワ12とヒータ16との間において、第1給気ライン13のバイパスラインとして設けられている。すなわち、冷却ライン18の一端部は、第1給気ライン13の供給方向上流側に接続され、冷却ライン18の他端部は、一端部に対して、第1給気ライン13の供給方向下流側に接続されている。また、冷却ライン18の一端部と第1給気ライン13との接続部分には、三方弁20が設けられている。
【0054】
三方弁20は、エアコンプレッサ22(後述)からの空気によって駆動され、第1給気ライン13内を流れる気流をヒータ16に向かわせる加熱位置と、第1給気ライン13内を流れる気流を冷却ライン18に向かわせる冷却位置とに切り換えられる。
【0055】
冷却装置19は、CPU5により制御され、冷却ライン18に設けられ、冷却ライン18内を流れる気流を冷却する。
【0056】
また、乾燥部2(すなわち、第1給気ライン13、貯留槽11、第1排気ライン14、還流ライン15、乾燥ブロワ12および冷却ライン18)は、クローズドライン(循環ライン)を形成している。なお、乾燥部2は、厳密には、配管の継ぎ手部分などにわずかに隙間があり、乾燥部2内の空気または窒素ガス(後述)は、乾燥部2の隙間からわずかに漏洩している。
【0057】
不活性ガス供給部3は、不活性ガス供給手段の一例としての窒素発生装置21、エアコンプレッサ22、第1空気供給ライン23、第2給気ライン24を備えている。
【0058】
窒素発生装置21は、CPU5により制御され、不活性ガスの一例としての窒素を高濃度に含有する窒素ガスを発生させる。窒素発生装置21は、空気から窒素を分離することにより、窒素ガスを発生させる。
【0059】
エアコンプレッサ22は、空気を圧縮して、圧縮された空気を、窒素発生装置21、減圧部4のポンプ41、および、乾燥部2の三方弁20に供給する。
【0060】
第1空気供給ライン23は、窒素発生装置21にエアコンプレッサ22からの空気を供給するための配管であり、その供給方向上流側端部が、エアコンプレッサ22に接続され、その供給方向下流側端部が、窒素発生装置21に接続されている。また、第1空気供給ライン23の途中には、第1空気供給ライン23内の圧力を調整する圧力調整弁25が設けられている。
【0061】
第2給気ライン24は、窒素発生装置21により発生された窒素ガスを、乾燥部2に供給するための配管であり、その供給方向上流側端部が、窒素発生装置21に接続され、その供給方向下流側端部が、乾燥部2の還流ライン15の途中に接続されている。
【0062】
また、第2給気ライン24は、第1給気ライン13、および、還流ライン15の還流方向下流側端部(第2給気ライン24が接続されている部分よりも下流側端部)とともに、不活性ガス供給ラインを構成する。すなわち、不活性ガス供給ラインは、窒素発生装置21と貯留槽11との間に介在されている。
【0063】
また、第2給気ライン24は、第1電磁弁26、第1窒素供給ライン27および第2窒素供給ライン28を備えている。
【0064】
第1電磁弁26は、第2給気ライン24の途中に設けられている。第1電磁弁26は、CPU5に制御されて、第2窒素供給ライン28を閉鎖し、第1窒素供給ライン27を開放する大流量位置と、第1窒素供給ライン27を閉鎖し、第2窒素供給ライン28を開放する小流量位置とに切り換えられる。
【0065】
第1窒素供給ライン27は、第2給気ライン24のバイパスラインであり、その供給方向上流側端部が、第1電磁弁26に接続され、その供給方向下流側端部が、第1電磁弁26に対して、第2給気ライン24の供給方向下流側端部に接続されている。また、第1窒素供給ライン27は、第1流量調整弁29を備えている。
【0066】
第1流量調整弁29は、第1窒素供給ライン27内を流れる窒素ガスの流量を、第2窒素供給ライン28内を流れる窒素ガスの流量よりも大流量となるように調整する。
【0067】
第2窒素供給ライン28は、第1電磁弁26に対して供給方向下流側の第2給気ライン24であり、第2流量調整弁30を備えている。
【0068】
第2流量調整弁30は、第2窒素供給ライン28内を流れる窒素ガスの流量を、乾燥部3からの窒素ガスの漏洩量よりも大流量となるように調整する。また、第2窒素供給ライン28内を流れる窒素ガスの窒素濃度は、第1窒素供給ライン27内を流れる窒素ガスの窒素濃度よりも高濃度である。
【0069】
減圧部4は、減圧手段の一例としてのポンプ41、第2排気ライン42、第2空気供給ライン43を備えている。
【0070】
ポンプ41は、エジェクタポンプであり、乾燥部2のフィルタ17を介して、乾燥部2内を減圧する。
【0071】
第2排気ライン42は、乾燥部2とポンプ41とを接続する配管であり、一端部が、乾燥部2のフィルタ17に接続され、他端部が、ポンプ41に接続されている。第2排気ライン42は、第1排気ライン14とともに減圧ラインを構成する。すなわち、減圧ラインは、貯留槽11とポンプ41との間に介在されている。
【0072】
第2空気供給ライン43は、ポンプ41にエアコンプレッサ22からの空気を供給するための配管であり、その供給方向上流側端部が、第1空気供給ライン23の途中に接続され、その供給方向下流側端部が、ポンプ41に接続されている。第2空気供給ライン43は、エアコンプレッサ22から第1空気供給ライン23を介して供給された空気を、ポンプ41に供給する。また、第2空気供給ライン43は、第2電磁弁44を備えている。
【0073】
第2電磁弁44は、第2空気供給ライン43の途中に設けられている。第2電磁弁44は、CPU5に制御されて、エアコンプレッサ22からの空気をポンプ41に供給する開位置と、エアコンプレッサ22からポンプ41へ向かう空気を遮断する閉位置とに切り換えられる。
【0074】
CPU5は、乾燥ブロワ12、ヒータ16、冷却装置19、窒素発生装置21、ポンプ41、第1電磁弁26、第2電磁弁44および第3電磁弁52(後述)に電気的に接続されており、それらを制御する。
【0075】
また、乾燥装置1は、第3空気供給ライン51を備えている。
【0076】
第3空気供給ライン51は、乾燥部2の三方弁20にエアコンプレッサ22からの空気を供給するための配管であり、その供給方向上流側端部が、第2空気供給ライン43の途中に接続され、その供給方向下流側端部が、三方弁20に接続されている。第3空気供給ライン51は、エアコンプレッサ22から第1空気供給ライン23および第2空気供給ライン43を介して供給された空気を、三方弁20に供給する。また、第3空気供給ライン51は、第3電磁弁52を備えている。
【0077】
第3電磁弁52は、第3空気供給ライン51の途中に設けられている。第3電磁弁52は、CPU5に制御されて、三方弁20を加熱位置に切り換える第1位置と、三方弁20を冷却位置に切り換える第2位置とに切り換えられる。
【0078】
次いで、図2を参照しながら、乾燥装置1の動作を説明する。
【0079】
図2は、図1に示される乾燥装置の動作を示すタイミングチャートである。
【0080】
乾燥装置1を用いて粉粒体を乾燥させるには、貯留槽11に予め粉粒体を一時貯留するとともに、図2に示すように、まず、乾燥運転を実施する。乾燥運転を実施するには、まず、エアコンプレッサ22を作動させるとともに、第2電磁弁44を開位置に切り替えて、減圧部4のポンプ41を作動させると同時に、乾燥部2の乾燥ブロワ12を作動させる(第1状態)。
【0081】
なお、このとき、窒素発生装置21、ヒータ16および冷却装置19は、いずれも作動していない。また、第1電磁弁26は、大流量位置に配置され、第3電磁弁52は、第1位置に配置されている。
【0082】
すると、フィルタ17を介して、乾燥部2内が減圧されるとともに、乾燥部2において、乾燥ブロワ12から、第1給気ライン13、貯留槽11、第1排気ライン14、フィルタ17および還流ライン15を順次循環し、再び乾燥ブロワ12に戻る気流が発生する。
【0083】
次いで、ポンプ41および乾燥ブロワ12が作動している状態で、窒素発生装置21を作動させる(第2状態)。すなわち、ポンプ41が作動された後において、窒素発生装置21を作動させる。これにより、ポンプ41により貯留槽11を減圧する途中において、窒素発生装置21からの窒素ガスを、貯留槽11に供給する。
【0084】
すると、窒素発生装置21によって窒素ガスが発生され、第2給気ライン24の第1窒素供給ライン27を介して、乾燥部2の還流ライン15に窒素ガスが供給される。そして、還流ライン15に供給された窒素ガスは、乾燥ブロワ12によって、第1給気ライン13を介して貯留槽11へ供給される。すなわち、窒素発生装置21は、第2給気ライン24、還流ライン15および第1給気ライン13を順次介して、貯留槽11に窒素ガスを供給する。なお、窒素ガスは、乾燥ブロワ12が発生させる気流により、乾燥部2内に充満される。
【0085】
次いで、乾燥ブロワ12、ポンプ41および窒素発生装置21を、例えば、0〜10分、好ましくは、0〜5分、ともに作動させ、乾燥部2内の窒素濃度を、例えば、80%以上、好ましくは、90%以上とした後、第2電磁弁44を閉位置へ移動させて、ポンプ41を停止させる(第3状態)。
【0086】
その後、引き続き、乾燥ブロワ12および窒素発生装置21を作動させ続け、乾燥部2内の窒素濃度を、例えば、99.0%以上とする。これにより、乾燥部2内の窒素置換が完了する。
【0087】
次いで、乾燥ブロワ12および窒素発生装置21が作動している状態で、第1電磁弁26を、大流量位置から小流量位置へ切り替え、同時に、ヒータ16を作動させる(第4状態)。
【0088】
すると、窒素発生装置21から第2窒素供給ライン28を介して乾燥部2に窒素ガスが供給されるとともに、乾燥部2内の窒素ガスが徐々に加熱され始める。なお、第2窒素供給ライン28を介して乾燥部2に窒素ガスが供給され続けることにより、乾燥部2内の窒素濃度は、例えば、99.0%以上に保たれる。また、乾燥部2内の圧力は、例えば、1〜10kPa、好ましくは、2〜7kPaであり、ほぼ常圧に保たれる。
【0089】
そして、加熱された窒素ガスにより、貯留槽11内の粉粒体が乾燥され、粉粒体の乾燥が完了される。
【0090】
次いで、粉粒体の乾燥が完了した後、冷却運転を実施する(第5状態)。冷却運転を実施するには、乾燥ブロワ12および窒素発生装置21が作動している状態で、まず、ヒータ16を停止させる。また、冷却装置19を作動させ、第3電磁弁52を第2位置へ切り替えて三方弁20を冷却位置へ移動させる。
【0091】
すると、乾燥部2内の窒素ガスは、乾燥ブロワ12から、第1給気ライン13を介して冷却ライン19を通過し、冷却ライン19内で冷却された後、第1給気ライン13を介して貯留槽11に供給される。
【0092】
これにより、窒素ガスによって貯留槽11内の粉粒体が冷却される。
【0093】
なお、粉粒体を冷却した窒素ガスは、その後、第1排気ライン14、フィルタ17および還流ライン15を順次循環し、再び乾燥ブロワ12に戻される。
【0094】
この乾燥装置1およびこのような窒素置換方法によれば、貯留槽11内を減圧しながら、貯留槽11に窒素ガスを供給することができる。すなわち、貯留槽11内の空気を、積極的に排出しながら、貯留槽11に窒素ガスを供給することができる。
【0095】
そのため、貯留槽11に窒素ガスを供給するのみである場合と比べて、貯留槽11内を効率よく窒素置換することができる。
【0096】
その結果、乾燥中に粉粒体が劣化することを防止することができる。
【0097】
また、この乾燥装置1およびこのような窒素置換方法によれば、ポンプ41により貯留槽11内が確実に減圧されている状態で、貯留槽11に窒素ガスを供給することができる。
【0098】
そのため、貯留槽11内を、より効率よく窒素置換することができる。
【0099】
また、この乾燥装置1およびこのような窒素置換方法によれば、まず、ポンプ41により貯留槽11を減圧し、次いで、ポンプ41による減圧を終了する前に、窒素ガスを貯留槽11に供給できる。その後、窒素ガスの貯留槽11への供給開始後、ポンプ41による減圧を終了するまでの間、引き続きポンプ41により貯留槽11を減圧するとともに、窒素ガスを貯留槽11に供給できる。
【0100】
そのため、まず、最初の減圧により貯留槽11内の大半の空気を排出し、その後、貯留槽11内の空気が減り、減圧効率が低下するタイミングで、貯留槽11内の空気を排出しながら窒素ガスを貯留槽11内に供給することができる。
【0101】
その結果、貯留槽11内をより一層効率よく窒素置換することができる。
【0102】
また、この乾燥装置1およびこのような窒素置換方法によれば、ポンプ41および窒素発生装置21により、乾燥部2(クローズドライン)内を減圧および窒素置換した後、乾燥部2内の窒素の濃度を保つことができる。
【0103】
そのため、貯留槽11内の窒素の濃度を保つことができる。
【0104】
また、この乾燥装置1およびこのような窒素置換方法によれば、ポンプ41が作動されている状態で、乾燥ブロワ12を作動させることができる。
【0105】
そのため、ポンプ41により、乾燥部2内の空気を外部に排出するときに、乾燥部2内の空気を、乾燥ブロワ12からポンプ41へ送ることができ、効率よく乾燥部2内を減圧することができる。
【0106】
また、ポンプ41が作動されている状態で、窒素発生装置21を作動させることができる。
【0107】
そのため、乾燥部2内の空気を外部に排出しながら、または、乾燥部2内の空気が外部に排出された後に、乾燥部2内に窒素ガスを供給することができ、効率よく乾燥部2内に窒素を満たすことができる。
【0108】
その結果、より効率よく乾燥部2内を窒素置換することができ、貯留槽11内を極めて効率よく窒素置換することができる。
(変形例)
上記した実施形態では、乾燥ブロワ12とポンプ41とを同時に作動させたが、乾燥ブロワ12を作動させる前に、ポンプ41を作動させることもできる。
【0109】
また、上記した実施形態では、ポンプ41を作動させた後に、窒素発生装置21を作動させたが、ポンプ41と窒素発生装置21とを同時に作動させることもでき、窒素発生装置21を作動させた後に、ポンプ41を作動させることもできる。
【0110】
また、上記した実施形態では、ポンプ41により乾燥部2内を減圧する途中に、窒素発生装置21を作動させ、窒素ガスを乾燥部2内に供給したが、ポンプ41により貯留槽11を減圧すると同時に、窒素ガスを乾燥部2内に供給してもよく、ポンプ41による乾燥部2内の減圧が完了した後に、窒素ガスを乾燥部2内に供給してもよい。
【0111】
また、上記した実施形態では、ポンプ41は、窒素発生装置21を作動させた後、停止させ続けたが、例えば、乾燥装置1が第3状態、第4状態または第5状態にあるときに、ポンプ41を作動させ、乾燥部2内を再び減圧してもよい。
【0112】
また、上記した実施形態では、乾燥部2内に窒素ガスを供給するときに、まず、第1窒素供給ライン27から供給し(第2状態および第3状態)、次いで、第2窒素供給ライン28から供給した(第4状態)が、特に限定されず、目的に応じて、例えば、まず、第2窒素供給ライン28から供給し、次いで、第1窒素供給ライン27から供給してもよい。
【0113】
また、上記した実施形態では、ポンプ41をエジェクタポンプとしたが、ポンプ41は、特に限定されず、例えば、ロータリーポンプなどを用いることもできる。
【0114】
また、上記した実施形態では、不活性ガスとして窒素を用い、不活性ガス発生装置として、窒素発生装置を用いたが、不活性ガスとして、例えば、ヘリウム、アルゴンなどの第18族元素を用いることができ、不活性ガス発生装置として、例えば、窒素ボンベなど、上記の不活性ガスを封入したボンベを用いることもできる。
【0115】
これらの変形例は、いずれも、上記した実施形態と同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0116】
1 乾燥装置
2 乾燥部
5 CPU
11 貯留槽
12 ブロワ
13 第1給気ライン
14 第1排気ライン
15 還流ライン
16 ヒータ
21 窒素発生装置
24 第2給気ライン
41 ポンプ
42 第2排気ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を貯留する貯留槽、前記貯留槽へ向かう気流を発生させる気流発生手段、および、前記気流発生手段から前記貯留槽へ向かう気流を加熱する加熱手段を備え、粉粒体を常圧で乾燥する乾燥装置であって、
前記貯留槽を減圧する減圧手段と、
前記貯留槽に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、
前記減圧手段により前記貯留槽を減圧し、前記不活性ガス供給手段からの不活性ガスを前記貯留槽に供給するように、前記減圧手段と前記不活性ガス供給手段とを制御する制御手段と
を備えることを特徴とする、乾燥装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記減圧手段による減圧と同時または減圧後に、前記不活性ガス供給手段からの不活性ガスを前記貯留槽に供給するように、前記減圧手段と前記不活性ガス供給手段とを制御することを特徴とする、請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記減圧手段により前記貯留槽を減圧する途中に、前記不活性ガス供給手段からの不活性ガスを、前記貯留槽に供給するように、前記減圧手段と前記不活性ガス供給手段とを制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記貯留槽と前記減圧手段との間に介在される減圧ラインと、
前記不活性ガス供給手段と前記貯留槽との間に介在される不活性ガス供給ラインと、
前記不活性ガス供給ラインと前記減圧ラインとに接続される還流ラインとを備え、
前記不活性ガス供給ライン、前記貯留槽、前記減圧ラインおよび前記還流ラインは、クローズドラインを形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記気流発生手段は、前記クローズドライン内に設けられており、
前記制御手段は、
前記減圧手段を、前記気流発生手段が作動されると同時に、または、前記気流発生手段が作動されるよりも前に、作動させ、
前記不活性ガス供給手段を、前記減圧手段が作動されると同時に、または、前記減圧手段が作動されるよりも後に作動させるように、制御することを特徴とする、請求項4に記載の乾燥装置。
【請求項6】
粉粒体を貯留する貯留槽、前記貯留槽へ向かう気流を発生させる気流発生手段、前記気流発生手段から前記貯留槽へ向かう気流を加熱する加熱手段を備え、粉粒体をほぼ常圧で乾燥する乾燥装置において、
前記乾燥装置は、前記貯留槽を減圧する減圧手段、および、前記貯留槽に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を備え、
前記減圧手段により前記貯留槽を減圧し、前記不活性ガス供給手段からの不活性ガスを前記貯留槽に供給することを特徴とする、乾燥装置の不活性ガス置換方法。
【請求項7】
前記減圧手段による減圧と同時または減圧後に、前記不活性ガス供給手段からの不活性ガスを、前記貯留槽に供給することを特徴とする、請求項6に記載の乾燥装置の不活性ガス置換方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−158232(P2011−158232A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22499(P2010−22499)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】