説明

乾燥装置

【課題】乾燥中の被乾燥物の乾燥度合に応じて効率的に当該被乾燥物の乾燥を行うことのできる乾燥装置を提供する。
【解決手段】被乾燥物の収容された収容体10からの空気を除湿ユニット25に導く第1経路110と、除湿ユニット25を経た空気を収容体10に導く第2経路130と、第1経路110から分岐し、除湿ユニット25をバイパスして第2経路130につながるバイパス経路120と、第1経路110のバイパス経路120との分岐点から除湿ユニット25に導入される空気流量とバイパス経路130の空気流量とを調整する流量調整機構22、23と、収容体10から排出される空気の湿度を検出する湿度検出手段31と、その検出湿度に基づいて前記流量調整機構を制御して除湿ユニット25に導入される空気流量及びバイパス経路120の空気流量を調整する制御手段とを備えた構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等のプラスチック材料等の被乾燥物の乾燥装置に係り、詳しくは、被乾燥物の収容された収容体から空気を排出しつつ該空気を除湿して当該収容体に戻して前記被乾燥物を乾燥させる乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルの成形に使用されるPET樹脂は吸水性があり、成形前に高いレベル(通常50ppm)まで乾燥させる必要がある。従来、このようなPET樹脂等を乾燥させる乾燥装置として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この従来の乾燥装置は、乾燥対象材料(被乾燥物)の収容された乾燥用ホッパーから延びて当該乾燥用ホッパーに戻る空気循環経路に除湿ユニットが設けられ、前記空気循環経路を空気が流れる状態で前記除湿ユニットによって除湿された空気を前記乾燥用ホッパーに供給することより前記乾燥対象材料を乾燥させるようになっている。更に、前記空気循環経路には、除湿ユニットをバイパスして空気循環のなされるバイパス経路が形成され、除湿ユニット側の経路及びバイパス経路にそれぞれ流量制御弁が設けられている。
【0003】
この乾燥装置においては、バイパス経路及び除湿ユニット側の経路に設けられた流量調整弁によってバイパス経路の空気流量及び除湿ユニット側の経路の空気流量を調整することにより、乾燥用ホッパーに循環供給される空気の除湿の程度を調整することができる。このため、種々の材料のそれぞれに対して最適な除湿・乾燥を行うことができるようになる。
【特許文献1】特開平7−163828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述した従来の乾燥装置では、流量調整弁によってバイパス経路の空気流量及び除湿ユニット側の経路の空気流量が調整されると、乾燥中にその調整された空気流量が維持されることになるので、乾燥中の被乾燥材料の乾燥度合いに応じて効率的に当該被乾燥物の乾燥を行うことができない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、乾燥中の被乾燥物の乾燥度合に応じて効率的に当該被乾燥物の乾燥を行うことのできる乾燥装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る乾燥装置は、被乾燥物の収容された収容体から延びて当該収容体に戻る空気循環経路に除湿ユニットが設けられ、前記空気循環経路を空気が流れる状態で前記除湿ユニットによって除湿された空気を前記収容体に供給することより前記被乾燥物を乾燥させる乾燥装置であって、前記空気循環経路は、前記収容体からの空気を前記除湿ユニットに導く第1経路と、前記除湿ユニットを経た空気を前記収容体に導く第2経路と、前記第1経路から分岐し、前記除湿ユニットをバイパスして前記第2経路につながるバイパス経路とを有し、前記第1経路の前記バイパス経路との分岐点から前記除湿ユニットに導入される空気流量と前記バイパス経路の空気流量とを調整する流量調整機構と、前記収容体から排出される空気の湿度を検出する湿度検出手段と、該湿度検出手段にて得られた検出湿度に基づいて前記流量調整機構を制御して前記除湿ユニットに導入される空気流量及び前記バイパス経路の空気流量を調整する制御手段とを備えた構成となる。
【0007】
このような構成により、空気循環経路を空気が流れて除湿ユニットによって除湿された空気が収容体に供給されながら該収容体に収容された被乾燥物が乾燥させられる過程で、前記収容体から排出される空気の湿度(収容体内の被乾燥物の乾燥度合を反映している)に応じて除湿ユニットに導入される空気流量及びバイパス経路を流れる空気流量が調整されるので、収容体に収容される被乾燥物の乾燥度合(含水量)に応じて前記除湿ユニットを通る空気と前記バイパス経路を通る空気とが混合して前記収容体に戻される空気の除湿度合を調整することができるようになる。
【0008】
また、本発明に係る乾燥装置において、前記制御手段は、前記検出湿度が大きいほど前記除湿ユニットに導入される空気流量を多くするように前記流量調整機構を制御するよう構成することができる。
【0009】
このような構成により、収容体に収容される被乾燥物の乾燥度合が小さく、検出湿度が大きい場合に、除湿ユニットに導入される空気量が多くなるので、より除湿の程度の高い空気が収容体に供給されるようになり、被乾燥物のより効率的な乾燥が可能となる。
【0010】
また、本発明に係る乾燥装置において、前記制御手段は、前記検出湿度が小さいほど前記バイパス経路の空気流量を多くするように前記流量調整機構を制御するよう構成することができる。
【0011】
このような構成により、収容体に収容される被乾燥物の乾燥度合が大きく、検出湿度が小さい場合に、バイパス経路を通って収容体に供給される空気流量が多くなるので、より除湿の程度の低い空気が収容体に供給されるようになり、被乾燥物の急激、過剰な乾燥を防ぎつつ、該被乾燥物をより効率良く乾燥させることができる。
【0012】
更に、本発明に係る乾燥装置において、前記制御手段は、前記検出湿度が所定値以上である場合に、前記除湿ユニットに導入される空気流量が前記バイパス経路の空気流量より多くなるように前記流量調整機構を制御するよう構成することができる。
【0013】
このような構成により、収容体に収容される被乾燥物の乾燥度合が所定程度に達せず、検出湿度が所定値以上である場合に、除湿ユニットに導入される空気流量が前記バイパス経路の空気流量より多くなるので、より除湿の程度の高い空気が収容体に供給されるようになり、被乾燥物のより効率的な乾燥が可能となる。
【0014】
また、本発明に係る乾燥装置において、前記制御手段は、前記検出湿度が前記所定値より小さい場合に、前記除湿ユニットに導入される空気流量が前記バイパス経路の空気流量より少なくなるように流量調整機構を制御するよう構成することができる。
【0015】
このような構成により、収容体に収容される被乾燥物の乾燥度合が所定程度を越えて、検出湿度が所定値より小さい場合に、除湿ユニットに導入される空気流量がバイパス経路の空気流量より少なくなるので、より除湿の程度の低い空気が収容体に供給されるようになり、被乾燥物の急激、過剰な乾燥を防ぎつつ、該被乾燥物をより効率良く乾燥させることができる。
【0016】
また、本発明に係る乾燥装置において、前記流量調整機構は、前記第1経路の前記バイパス経路との分岐点と前記除湿ユニットとの間及び前記バイパス経路の少なくともいずれか一方に設けられた開閉バルブを有する構成とすることができる。
【0017】
このような構成により、検出湿度に基づいて開閉バルブの開度を調整することにより、除湿ユニットに導入される空気流量とバイパス経路の空気流量との割合を調整することができ、結果として、収容体に供給される空気の除湿の度合いを調整することができるようになる。
【0018】
更に、本発明に係る乾燥装置において、前記第2経路から前記収容体に導入される空気を加熱する加熱器と、前記第1経路の前記バイパス経路との分岐点と前記除湿ユニットとの間に設けられた冷却器とを有する構成とすることができる。
【0019】
このような構成により、加熱された空気を収容体に供給することができて被乾燥体のより効率的な乾燥が可能になるとともに、第1経路からバイパス経路に分岐される空気が冷却されず、第1経路のバイパス経路の分岐点から除湿ユニットに導入される空気のみが冷却されるので、エネルギーロスを極力小さくすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る乾燥装置によれば、収容体に収容される被乾燥物の乾燥度合(含水量)に応じて前記除湿ユニットを通る空気と前記バイパス経路を通る空気とが混合して前記収容体に戻される空気の除湿度合を調整することができるようになるので、乾燥中の被乾燥物の乾燥度合に応じて効率的に当該被乾燥物の乾燥を行うことのできるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0022】
本発明の実施の形態に係る乾燥装置は、図1に示すように構成される。
【0023】
図1において、この乾燥装置は、被乾燥物となる粉粒状のPET樹脂を収容する乾燥ホッパー10(収容体)、ブロア21、冷却器24、モレキュラーシーブを用いた除湿ユニット25及び加熱器26を備えている。また、この乾燥装置は、乾燥ホッパー10から延びて当該乾燥ホッパー10に戻る空気循環経路100を有している。空気循環経路100は、乾燥ホッパー10から除湿ユニット25に空気を導く第1経路110、除湿ユニット10を経た空気を乾燥ホッパー10に導く第2経路130、及び第1経路110から分岐し、除湿ユニット25をバイパスして第2経路130につながるバイパス経路120から構成されている。
【0024】
第1経路110のバイパス経路120との分岐点と乾燥ホッパー10との間にブロア21が設けられている。ブロア21によって乾燥ホッパー10から排出される空気が更に当該ブロア21から送り出され、その空気が第1経路110を通って除湿ユニット25に供給される。更に、除湿ユニット25を通った空気が第2経路130を通って乾燥ホッパー10に戻される。また、ブロア21から送り出される空気はバイパス経路120を経由して第2経路130に流入し得るようになっている。
【0025】
第1経路110のバイパス経路120との分岐点と除湿ユニット25との間には、第1開閉バルブ22及び冷却器24が設けられ、バイパス経路120には、第2開閉バルブ23が設けられている。第1開閉バルブ22には第1アクチュエータ41が設けられ、第1アクチュエータ41によって第1開閉バルブ22の開閉がなされるようになっている。第2開閉バルブ23には第2アクチュエータ42が設けられ、第2アクチュエータ42によって第2開閉バルブ23の開閉がなされるようになっている。第1アクチュエータ41の設けられた第1開閉バルブ22及び第2アクチュエータ42の設けられた第2開閉バルブ23によって第1経路110の除湿ユニット25に導入される空気流量とバイパス経路130の空気流量とを調整する流量調整機構が構成される。
【0026】
第1経路110の乾燥ホッパー10とブロア21との間に露点計31が設けられている。露点計31は、乾燥ホッパー10から排出される空気の露点温度、すなわち、湿度を検出する。第2経路130の乾燥ホッパー10近傍には加熱器26が設けられ、加熱器26は、第2経路130から乾燥ホッパー10に供給される空気を加熱する。また、第2経路130の乾燥ホッパー10への空気供給口近傍には温度計測器32が設けられている。温度計測器32は、第2経路130から乾燥ホッパー10に供給される空気の温度を計測する。
【0027】
本発明の制御手段を含む前記乾燥装置の制御系は図2に示すように構成される。
【0028】
図2において、制御ユニット50には、露点計31、温度計測器32及び操作ユニット51が接続されるとともに、ブロア21、第1アクチュエータ41、第2アクチュエータ42及び加熱器26に電源を供給するヒータ駆動回路52が接続されている。制御ユニット50は、露点計31からの検出露点温度(検出湿度)に基づいて第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42を駆動させて第1開閉バルブ22及び第2開閉バルブ23それぞれの開度を制御する。また、制御ユニット50は、温度計測器32からの検出温度に基づいて加熱器26に電源を供給するヒータ駆動回路52を制御し、第2経路130から乾燥ホッパー10に供給される空気の温度が操作ユニット51にて指定された温度範囲に維持されるようにする。更に、制御ユニット50は、空気循環経路100内の空気を流動させるブロア21の駆動制御を行う。
【0029】
制御ユニット50は、ブロア21を駆動させて、空気循環経路100内を空気が流動している状態で、例えば、以下のような手順に従って「連続運転モード」及び「待機モード」の処理を実行する。
【0030】
ここで、「連続運転モード」は、樹脂乾燥を積極的に実施させる動作モードであり、乾燥ホッパー10に未乾燥樹脂が投入された場合に設定される。また、「待機モード」は、樹脂乾燥を消極的に実施させる動作モードであり、乾燥された樹脂を保管する場合に、樹脂の過加熱による劣化を防止するとともに、省エネルギー化を図りつつ乾燥状態を維持するために設定される。
【0031】
動作モードが「連続運転モード」に設定されていると、制御ユニット50は、温度計測器32からの検出温度を監視しながら、乾燥ホッパー10に供給される空気の温度TINが比較的高い温度範囲(例えば、100〜150℃)に維持されるように、加熱器26に電源供給を行うヒータ駆動回路52を制御する。このように乾燥ホッパー10に供給される空気の温度TINが比較的高い温度範囲に維持された状態で、制御ユニット50は、露点計31からの検出露点温度THが所定値THO以上であるか否かを判定する。検出露点温度THが前記所定値THO以上である場合、即ち、乾燥ホッパー10から排出される空気の湿度が所定値以上である場合、制御ユニット50は、第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42を駆動させて、第1開閉バルブ22の開度が第2開閉バルブ23の開度より大きくなるように制御する。その結果、第1経路110の冷却器25及び乾燥ユニット25を経由して第2経路130に流入する空気量がバイパス経路120を経由して冷却及び除湿されることなく第2経路130に流入する空気量より多くなるので、より除湿の程度の高い(良好に乾燥した)空気が第2経路130を通って乾燥ホッパー10に供給されるようになる。
【0032】
一方、前記検出露点温度THが前記所定値THOより小さい場合、即ち、乾燥ホッパー10から排出される空気の湿度が所定値より小さい場合、制御ユニット50は、第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42を駆動させて、第1開閉バルブ22の開度が第2開閉バルブ23の開度より小さくなるように制御する。その結果、第1経路110の冷却器25及び乾燥ユニット25を経由して第2経路130に流入する空気量がバイパス経路120を経由して冷却及び除湿されることなく第2経路130に流入する空気量より少なくなるので、比較的除湿の程度の抑えられた(比較的乾燥の程度の低い)空気が第2経路130を通って乾燥ホッパー10に供給されるようになる。
【0033】
制御ユニット50は、上記のように検出露点温度THが所定値THO以上であるか否かに応じて第1開閉バルブ22及び第2開閉バルブ23の開度制御を行いつつ、処理の終了条件が成立したか否か、例えば、動作時間が所定時間に達したか否か、あるいは、検出露点温度THが制御目標値になったか否かを判定する。前記終了条件が成立していない状態では、制御ユニット50は、加熱器26の駆動制御、即ち、乾燥ホッパー10に供給される空気の温度制御、及び乾燥ホッパー10から排出される空気の検出露点温度TH(検出湿度)に基づいた第1開閉バルブ22及び第2開閉バルブ23の開度制御、即ち、乾燥ホッパー10に供給される空気の除湿度合いの制御を繰り返し実行する。
【0034】
その過程で、前記終了条件が成立すると、樹脂の乾燥が完了したと判断でき、乾燥ホッパー10から乾燥済み樹脂を取り出して、成形などの次工程へ供給する。この時点で、制御ユニット50による処理を終了してもよいし、動作モードを待機モードへ切り換えてもよい。
【0035】
なお、プラスチック材料の成形工程では、PETボトル成形の事例を含め、数時間から数日またはそれ以上の長期にわたって連続稼働することが多く、その間の材料の合計使用量は乾燥ホッパー10の貯留量よりも多くなる。このような場合は、連続運転モードによる制御を継続して、乾燥ホッパー10の下部から乾燥済み樹脂を取り出して成形工程に供給しつつ、上部から未乾燥樹脂を注ぎ足しながら連続的に乾燥を行う。また、成形を一時的に中断する際には、待機モードへ切り換えて樹脂の過加熱を防止することができる。
【0036】
待機モードへの切換えがなされると、制御ユニット50は、以下の示す待機モードの処理を実行する。
【0037】
待機モードでは、制御ユニット50は、温度計測器32からの検出温度を監視しながら、乾燥ホッパー10に供給される空気の温度TINが比較的低い温度範囲(例えば、50〜100℃)に維持されるように、加熱器26に電源供給を行うヒータ駆動回路52を制御する。制御ユニット50は、そのヒータ制御の過程で、乾燥ホッパー10に供給される空気の温度TINが前記比較的低い温度範囲に維持され得るか否かを判定している。この判定は、例えば、ある時間の経過後に温度計測器32からの検出温度が前記比較的低い温度範囲になっているか否かによって行うことができる。
【0038】
制御ユニット50は、ヒータ制御の過程で、乾燥ホッパー10に供給される空気の温度TINが前記比較的低い温度範囲に維持することができないと判定すると、第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42を駆動させて、第1開閉バルブ22の開度が第2開閉バルブ23の開度より大きくなるように制御する。その結果、第1経路110の冷却器25を経由して第2経路130に流入する空気量がバイパス経路120を経由して冷却されることなく第2経路130に流入する空気量より多くなるので、より低温の空気が第2経路130を通って乾燥ホッパー10に供給されるようになる。
【0039】
上記のようなヒータ制御を行う過程で、動作モードが「連続運転モード」に切換えられると、制御ユニット50は、前述した「連続運転モード」での処理を実行する。
【0040】
前述したような乾燥装置によれば、「連続運転モード」において、乾燥ホッパー10に収容されるPET樹脂(被乾燥物)の乾燥度合が所定程度に達せず、検出露点温度THが所定値THO以上である場合、第1経路110の冷却器24及び乾燥ユニット25を経由して第2経路130に流入する空気量がバイパス経路120を経由して冷却及び除湿されることなく第2経路130に流入する空気量より多くなるので、より除湿の程度の高い(良好に乾燥した)空気が第2経路130を通って乾燥ホッパー10に供給されるようになり、乾燥ホッパー10内にてPET樹脂のより効率的な乾燥がなされるようになる。また、乾燥ホッパー10に収容されるPET樹脂(被乾燥物)の乾燥度合が所定程度を越えて、検出露点温度THが所定値THOより小さい場合、第1経路110の冷却器24及び乾燥ユニット25を経由して第2経路130に流入する空気量がバイパス経路120を経由して冷却及び除湿されることなく第2経路130に流入する空気量より少なくなるので、比較的除湿の程度の抑えられた(比較的乾燥の程度の低い)空気が第2経路130を通って乾燥ホッパー10に供給されるようになり、乾燥ホッパー10内にてPET樹脂の急激、過剰な乾燥を防ぎつつ該PET樹脂をより効率良く乾燥させることができるようになる。
【0041】
また、検出露点温度THが所定値THO以上であるか否かに応じて、乾燥ホッパー10に供給される空気の除湿(乾燥)の程度が制御されるので、乾燥ホッパー10内のPET樹脂の乾燥度合をある範囲内に安定的に維持させることが可能になる。
【0042】
更に、冷却器24が、第1経路110のバイパス経路120との分岐点と乾燥ホッパー10との間ではなく、該分岐点と除湿ユニット25との間に設けられているので、第1経路110からバイパス経路120に分岐される空気が冷却されず、第1経路110のバイパス経路120の分岐点100から除湿ユニット25に導入される空気のみが冷却されるので、エネルギーロスを極力小さくすることができる。
【0043】
また、「待機モード」において、乾燥ホッパー10に供給される空気の温度TINを比較的低い温度範囲(例えば、50〜100℃)に維持することができないと判断された場合、第1経路110の冷却器25を経由して第2経路130に流入する空気量がバイパス経路120を経由して冷却されることなく第2経路130に流入する空気量より多くなるので、乾燥ホッパー10に供給される空気の温度TINを低減することができ、その温度を比較的低い温度範囲に維持できるようになる。
【0044】
なお、前述した乾燥装置では、第1経路110及びバイパス経路120の双方における空気流量を制御できるようになっているが、そのいずれか一方であってもよい。この場合、その一方を制御することにより、除湿ユニット25に導入される空気流量とバイパス経路120の空気流量との割合を調整することができ、結果として、除湿ホッパー10に供給される空気の除湿の度合いを調整することができるようになる。
【0045】
また、露点計31は、第1経路110のバイパス経路120との分岐点と乾燥ホッパー10との間に設けられているが、制御中に第1開閉バルブ22を完全に閉じることがなければ、分岐点と除湿ユニット25の間に設けてもよく、特に冷却器24と除湿ユニット25との間に設ければ、冷却後の空気の露点を測定するため、測定精度の向上が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る乾燥装置は、乾燥中の被乾燥物の乾燥度合に応じて効率的に当該被乾燥物の乾燥、乾燥状態の調整を行うことができるという効果を有し、上述のPET樹脂以外にも、他のポリエステル樹脂やポリアミド樹脂など各種プラスチック材料等の被乾燥物の乾燥装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態に係る乾燥装置の構造を示す図である。
【図2】乾燥装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
10 乾燥ホッパー
21 ブロア
22 第1開閉バルブ
23 第2開閉バルブ
24 冷却器
25 除湿ユニット
26 加熱器
31 露点計
32 温度計測器
41 第1アクチュエータ
42 第2アクチュエータ
50 制御ユニット
51 操作ユニット
52 ヒータ駆動回路
100 空気循環経路
110 第1経路
120 バイパス経路
130 第2経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥物の収容された収容体から延びて当該収容体に戻る空気循環経路に除湿ユニットが設けられ、前記空気循環経路を空気が流れる状態で前記除湿ユニットによって除湿された空気を前記収容体に供給することより前記被乾燥物を乾燥させる乾燥装置であって、
前記空気循環経路は、前記収容体からの空気を前記除湿ユニットに導く第1経路と、前記除湿ユニットを経た空気を前記収容体に導く第2経路と、前記第1経路から分岐し、前記除湿ユニットをバイパスして前記第2経路につながるバイパス経路とを有し、
前記第1経路の前記バイパス経路との分岐点から前記除湿ユニットに導入される空気流量と前記バイパス経路の空気流量とを調整する流量調整機構と、
前記収容体から排出される空気の湿度を検出する湿度検出手段と、
該湿度検出手段にて得られた検出湿度に基づいて前記流量調整機構を制御して前記除湿ユニットに導入される空気流量及び前記バイパス経路の空気流量を調整する制御手段とを備えた乾燥装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出湿度が大きいほど前記除湿ユニットに導入される空気流量を多くするように前記流量調整機構を制御する請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出湿度が小さいほど前記バイパス経路の空気流量を多くするように前記流量調整機構を制御する請求項1記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検出湿度が所定値以上である場合に、前記除湿ユニットに導入される空気流量が前記バイパス経路の空気流量より多くなるように前記流量調整機構を制御する請求項1記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検出湿度が前記所定値より小さい場合に、前記除湿ユニットに導入される空気流量が前記バイパス経路の空気流量より少なくなるように流量調整機構を制御する請求項4記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記流量調整機構は、前記第1経路の前記バイパス経路との分岐点と前記除湿ユニットとの間及び前記バイパス経路の少なくともいずれか一方に設けられた開閉バルブを有する請求項1乃至5のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記第2経路から前記収容体に導入される空気を加熱する加熱器と、
前記第1経路の前記バイパス経路との分岐点と前記除湿ユニットとの間に設けられた冷却器とを有する請求項1乃至6のいずれかに記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−120278(P2010−120278A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296326(P2008−296326)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】