説明

二層型化粧料

【課題】本発明は光輝性粉体を含み、外観美麗で、霧状で均一塗付が可能な二層型化粧料に関する。更に詳しくは、光輝性粉体を含む粉体層が、明瞭に二層分離した美しい外観を呈し、振盪使用時には二層が容易に混和して、光輝性粉体を均一に分散した懸濁液を形成でき、なおかつ霧状で、広範囲に渡る部位へ均一塗付が可能な二層型化粧料に関する。さらには、肌のうるおい感に優れ、光輝性粉体の付着性が高く、かつ保存安定性に優れた、使用時に霧状に噴霧して用いられる二層型化粧料を提供する。
【解決手段】下記成分(A)〜(D)を含有し、成分(A)のアルミニウムイオンと成分(B)のアルカリ金属イオンのモル比(A)/(B)が0.8〜2.0であることを特徴とする二層型化粧料である。
(A)水溶性アルミニウム塩
(B)アルカリ金属塩
(C)光輝性粉体
(D)25℃で固形、またはペースト状のポリオキシエチレン付加植物油

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光輝性粉体を含み、外観美麗で、霧状で均一塗付が可能な二層型化粧料に関する。更に詳しくは、光輝性粉体を含む下層が、明瞭に二層分離した美しい外観を呈し、振盪使用時には二層が容易に混和して、光輝性粉体を均一に分散した懸濁液を形成でき、なおかつ霧状で、広範囲に渡る部位へ均一塗付が可能な二層型化粧料に関する。さらには、肌のうるおい感に優れ、光輝性粉体の付着性が高く、かつ保存安定性に優れた、使用時に霧状に噴霧して用いられる二層型化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を含有した化粧料に関して、消費者の嗜好性を向上させるべく、その使用感のみならず、特徴のある製剤の開発が必要とされている。
従来、粉体を含有した水性化粧品の開発は多岐にわたっており、その検討事項は、静置時におけるケーキング防止や粉体沈降の抑制、振盪時における再分散性の向上といった状態の制御に向けられてきた。ケーキングを防止し再分散性を向上させる手段としては、水溶性塩類等の凝集剤や界面活性剤等の分散剤の添加(特許文献1)や、粉体の選別、改質(特許文献2、3)といった技術が知られている。また、分散状態を保持する手段としては、水膨潤性粉末(特許文献4)や寒天(特許文献5)の添加により粉体の沈降を抑制する技術が知られている。さらに、ヒドロゾルを形成して粉体を保持し、水層、粉体層の二層型として沈降をある程度抑制し、ケーキングを防止するという技術も知られている(特許文献6)。
【0003】
一方、粉体を含有した化粧料の中でも特に光輝性粉体を含有した水性化粧品は、外観の美しさを演出する目的で、主に香料組成物(フレグランス)で好まれて使用されている。光輝性粉体の使用は、外観の美しさだけでなく、肌を美しく魅せる演出にも長けているため、フレグランスのような局所使用のみならず、腕、脚、デコルテといった広範囲に渡る部位への使用が求められている。光輝性粉体を含有した水性化粧品においても、上記技術が同様に用いられてきたが、光輝性粉体による外観の美しさと、使用性の向上を同時に達成するには、従来技術の範囲では充分ではなかった。
【0004】
例えば、特許文献1、2、3の方法では、粉体層の嵩高さは得られず、静置時には容器の底に粉体が敷き詰められ、光輝性粉体特有の美観が見られるのは振盪時とその後の僅かな時間に限られる。特許文献4、5のように粉体の沈降を抑制すると、本来連続的に動いて角度を変えることで輝きを与える光輝性粉体の特性を抑えられてしまう。このように、光輝性粉体特有の美しさを、静置時においても振盪時においても存分に発揮させるには、粉体をゆらめかせながら完全には沈降させないといった方法が必要であった。特許文献6のヒドロゾルを形成させて粉体を保持する技術は、そのような相反する要素を持ち合わせ、光輝性粉体特有の外観をつくる上で好適であった。しかし特許文献6の技術は、粉体を含有させてさっぱりとした感触を出すカラミンローションのような製剤に用いられてきたため、光輝性粉体を塗付し保持させるといった機能は満たせなかった。また、沈降過程において、不定形なヒドロゾルが不揃いに沈降する様は、界面を不明確化し美観を損なうものであった。
【0005】
加えて、広範囲に渡る部位への均一塗付という使用性の向上については、ディスペンサー容器を用いた霧状噴霧が有効と考えられる。しかし、特許文献1、2、3の方法では、粉体の沈降が速く均一な噴霧が行えなかった。また、特許文献4、5の方法では、粘性が高く、微細な液滴での均一な噴霧が行えなかった。

【特許文献1】特開2004−262887号
【特許文献2】特開平6−271419号
【特許文献3】特開平6−336558号
【特許文献4】特開平8−259434号
【特許文献5】特開平11−116432号
【特許文献6】特公平6−21056号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
斯かる状況下、本発明の目的とするところは、光輝性粉体を含む下層が、明瞭に二層分離した美しい外観を呈し、振盪使用時には二層が容易に混和して、光輝性粉体を均一に分散した懸濁液を形成でき、なおかつ霧状で、広範囲に渡る部位へ均一塗付が可能な二層型化粧料を提供することにある。さらには、肌のうるおい感に優れ、光輝性粉体の付着性が高く、かつ保存安定性に優れた、使用時に霧状に噴霧して用いられる二層型化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、(A)水溶性アルミニウム塩、(B)アルカリ金属塩、(C)光輝性粉体、(D)25℃で固形、またはペースト状のポリオキシエチレン付加植物油を含有し、成分(A)のアルミニウムイオンと成分(B)のアルカリ金属イオンのモル比(A)/(B)が0.8〜2.0であることを特徴とする二層型化粧料であり、好ましくは、(A)水溶性アルミニウム塩の含有量を0.05〜3質量%、(C)光輝性粉体の含有量を0.01〜1質量%とする二層型化粧料である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、(A)水溶性アルミニウム塩と(B)アルカリ金属塩から形成される水不溶性のヒドロゾルが有する束縛沈降性(鎖状凝集によって粒子が相互に束縛し合って共に沈降する性質)によって、下層にのみ(C)光輝性粉体を保持させる方法を見出した。これにより、静置時には、透明な上層と光輝性粉体を含む下層が明瞭に二層分離した美しい外観を呈し、振盪使用時には前記二層が容易に混和して、光輝性粉体を均一に分散した懸濁液を形成でき、なおかつ霧状で、広範囲に渡る部位へ均一塗付が可能な二層型化粧料を提供することができる。さらには、(D)25℃で固形、またはペースト状のポリオキシエチレン付加植物油を含有していることで、肌のうるおい感に優れ、光輝性粉体の付着性が高い二層型化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0010】
本発明に使用する成分(A)水溶性アルミニウム塩は、例えば、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硝酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、アラントイクロルヒドロキシアルミニウム、フェノールスルホン酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム等が挙げられる。
【0011】
本発明に使用する成分(B)アルカリ金属塩とは、水に易溶でかつ組成物中に含有した場合、(A)成分である水溶性アルミニウム塩と反応してヒドロゾルを生じせしめ得るアルカリ金属の塩類であって、例えば、第一リン酸、第二リン酸、第三リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタクリ酸、炭酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸からなる群から選ばれる酸のナトリウム塩またはカリウム塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
【0012】
成分(A)水溶性アルミニウム塩と成分(B)アルカリ金属塩は、そのモル比と成分(A)の水溶性アルミニウム塩の含有量を調整することで、沈降速度を制御することができる。それによって振盪時の分散状態が、本発明の二層型化粧料を使用するために充分な時間均一に保たれ、ディスペンサー容器での均一な噴霧をも可能とする。また、使用後の沈降過程においても、従来不定形なヒドロゾルがランダムに積もる様子は美観を損なうものであったが、ヒドロゾルに光輝性粉体が絡まりゆっくり同時に沈降する様子は特徴的な美観を有し、沈降過程までもが美しい二層型化粧料を提供することができる。
【0013】
成分(A)のアルミニウムイオンと成分(B)のアルカリ金属イオンの好ましいモル比(A)/(B)は0.8〜2.0であり、更に好ましくは1.0〜1.8である。この範囲であると、ヒドロゾルの形成が安定であって、光輝性粉体を充分に保持し、沈降速度を抑制できる。また、長期安定性においても、pHの変動などに影響することなく、形成されたヒドロゾルは安定であり、皮膚刺激を生じる可能性もない。
【0014】
成分(A)の含有量は、組成物の重量に対して0.05〜3質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。この範囲であると、ヒドロゾルが光輝性粉体を充分に保持し、粉体のケーキングを防ぐことができる。また、粉体層の沈降速度を抑制し、外観においても光輝性を妨げない。
【0015】
本発明に用いられる成分(C)光輝性粉体は肌に輝きを与え立体感を演出するために用いられる。本発明に使用される光輝性粉体としては、通常化粧料として用いられる粉体であれば、板状、紡錘状、針状等の形状、多孔質、無孔質等の粒子構造等は問わず使用できる。具体的には、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、群青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、有機顔料被覆雲母チタン、酸化チタン被覆合成金雲母、酸化チタン被覆ガラス末(ガラスフレーク)、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、アルミニウムパウダー、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等が挙げられる。成分(C)において、平均粒子径が20〜100μmであると、光の正反射を良く生じやすく、肌に輝きを与え立体感を演出する効果がより高くなるため好ましい。また粉体の粒子径の測定方法としては、例えば、電子顕微鏡による粉体の長さの測定や、コールターカウンター(コールターエレクトロニクス社製)などの市販の粒径測定装置やレーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラックII、日機装製)等の粒度分布測定装置等で求めることができる。
【0016】
成分(C)は、使用時に液相中に浮遊して見た目の美麗さを演出し、また、使用後の肌に良好な光輝感を付与するため、金属または金属酸化物で被覆したガラスフレークが好適である。具体的に例示すると、市販品としては、メタシャインGGシリーズ、PSシリーズ、NSシリーズ、NBシリーズ、RSシリーズ、RCシリーズ(以上日本板硝子社製)等が挙げられる。
【0017】
成分(C)の平均粒子径は、1〜500μmが好ましく、より好ましくは20〜100μmである。この範囲であれば本発明の特徴となる美麗な光輝感を十分得ることができ、塗布時の使用感も良好で、霧状で塗布することが可能な二層化粧料を得ることができる。尚、平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラックII、日機装製)を用いて測定した粉体の粒径の50%粒径D50である。
【0018】
成分(C)の含有量は、0.01〜1質量%が好ましく、より好ましくは0.03〜0.5質量%である。この範囲であると、外観のぎらつき感なく、肌に美麗な光輝感を十分得ることができる。また、霧状に噴霧するために用いるディスペンサーなどの機構部においても、粉体が詰まることなく、均一に霧状塗布が可能な二層化粧料を得ることができる。
【0019】
本発明に用いられる成分(D)25℃で固形、またはペースト状のポリオキシエチレン付加植物油は、ホホバ油、アルモンド油、アボカド油、オリーブ油、コーン油、サフラワー油、サンフラワー油、マンゴ油、メドウフォーム油、シアバター、ヒマシ油、ツバキ油、パーシック油、ヤシ油、マカダミアナッツ油およびカカオ脂からなる群から選ばれる植物性油脂をポリオキシエチレン付加したもので、その中でも25℃で固形、またはペースト状を示すものである。
【0020】
ここで25℃で固形、またはペースト状であるとは、25℃以上の融点を有するものを言い、好ましくは30℃以上の融点を有するものを指す。このような性質により、塗付後の肌にうるおい感を保持させ、光輝性粉体の付着性を向上させる。
【0021】
成分(D)のポリオキシエチレン付加率は、植物性油脂1分子に対して60〜140単位程度のエチレンオキシドを付加したものが、光輝性粉体の付着性をより向上させるため好ましく、さらに、HLB16〜20のものが、水性化粧品に容易溶解するためより好ましい。
【0022】
成分(D)は、うるおい感を向上させるため、ポリオキシエチレンホホバ油が好適である。
【0023】
上記成分(D)は、市販品をそのまま用いることもできる。ポリオキシエチレンホホバ油としては、例えば、FLORASOLVS PEG−80、PEG−120 JOJOBA(商品名、いずれもフローラテック社製)などを例示することができる。
【0024】
成分(D)の含有量は、ポリオキシエチレン付加植物油特有のべたつき感、ごわつき感を抑えたまま、上記の効果が充分に得られるため、0.01〜5質量%含有することが好ましく、0.05〜3質量%含有することがさらに好ましい。
【0025】
本発明の二層型化粧料においては、任意成分として通常化粧料に用いられる成分、例えば保湿剤、油分、界面活性剤、増粘剤、粘度調整剤、皮脂吸着剤、金属封鎖剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、薬剤、植物抽出エキス、精油、色素、香料、防腐剤、pH調整剤等を併用することができる。
【0026】
本発明の二層型化粧料は、使用時に霧状に噴霧して用いることが可能であり、様々なタイプの噴霧容器に充填して用いることができるが、光輝性粉体の付着性の点から、ノンガスタイプの噴霧式ディスペンサー容器を用いることが好ましい。なお、本発明においてノンガスタイプとは液化石油ガス、エーテル、フロンガスなどの圧縮ガスを用いて内容物を吐出するエアゾール製品でないことを意味する。また、均一な霧状に噴霧するため、ディスペンサー容器のチップ口径は0.2〜0.6mmが好ましく、0.3〜0.5mmが更に好ましい。
【実施例】
【0027】
以下、実施例、比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。尚、実施例における配合量は質量%である。
【0028】
実施例に先立ち評価方法について以下に示す。
【0029】
(1)静置時の外観
均一に分散した試料組成物を透明ガラス瓶(直径4cm、高さ11cm)の8cmの高さまで容れ、25℃、5℃、45℃の恒温槽中に3ケ月間静置して、静置時の粉体層の状態と光輝性を肉眼観察により判定した。
<判定基準>
(a)静置時の粉体層の状態
○:嵩高い(凝集せずに分散状態である)粉体層があり、明確に二層分離している
△:嵩高い(凝集せずに分散状態である)粉体層はあるが、界面が不明確である
×:粉体層の嵩高がない
−:水層と粉体層が分離していない
(b)静置時の光輝性
○:粉体を保持し、外観の光輝性が認められる
△:粉体を保持しているが、水層、粉体層が濁って外観の光輝性が劣る
×:粉体を保持せず、光輝性が認められない
【0030】
(2)振盪時の均一混和性
前記(1)の試料を手動で上下に強く振盪して二層の成分が均一に混和するまでに要した振盪回数をしらべた。尚、所要振盪回数が少ない程振盪の手間がなく好ましい。
<判定基準>
◎:所要振盪回数が1〜3回
○:所要振盪回数が4〜6回
△:所要振盪回数が7〜10回
×:所要振盪回数が11回以上
−:水層と粉体層が分離していない
【0031】
(3)沈降時の外観
試料組成物50mLを栓付きメスシリンダーに容れ、手動で上下に強く振盪して二層の成分が均一に混和、分散させた後、30分間静置して、沈降時の速度(粉体層の体積)と光輝性を肉眼観察により判定した。
<判定基準>
(a)沈降速度
○:粉体層の嵩高45mL以上で、沈降を抑制している
△:粉体層の嵩高45mL未満で、沈降をやや抑制している
×:粉体層の嵩高がなく、沈降を抑制していない
(b)沈降時の光輝性
○:光輝性粉体のゆらめきを伴った外観の光輝性が認められる
△:水層、粉体層の濁り、界面の不明確化、粉体の固定により、
外観の光輝性が劣る
×:外観の光輝性が認められない
【0032】
(4)使用時の感触、塗付後の仕上がり
20名の専門パネルを対象に実施例および比較例の二層型化粧料を使用してもらい、使用時の感触(うるおい感)、塗付後の仕上がり(光輝性粉体の付着性)について官能試験を行い、下記に示す判定基準により評価を行った。
<判定基準>
(a)使用時の感触(うるおい感)
◎:パネルの15名以上がうるおいがあると判断
○:パネルの10〜14名がうるおいがあると判断
△:パネルの5〜9名がうるおいがあると判断
×:パネルの4名以下がうるおいがあると判断
(b)塗付後の仕上がり(光輝性粉体の付着性)
◎:パネルの15名以上が付着性が良いと判断
○:パネルの10〜14名が付着性が良いと判断
△:パネルの5〜9名が付着性が良いと判断
×:パネルの4名以下が付着性が良いと判断
(c)刺激性
○:パネルの19名以上が刺激性がないと判断
△:パネルの15〜18名が刺激性がないと判断
×:パネルの14名以下が刺激性がないと判断
【0033】
(5)容器の使用性(噴霧性)
各試料をディスペンサータイプの噴霧器(Y−150、ノズルチップ;ストレート型孔径0.4mm、吉野工業(株)製)を装着した容器に200g収容し、噴霧させ霧の状態を目視した、また、同一試料を10本作成し、1日10回噴霧させ使い切るまで繰り返し使用し、目詰まりの有無を確認した。
<判定基準>
○:最後まで均一な霧状に噴霧できた
△:均一な霧状にならなかった
×:霧状に噴霧できなかった、目詰まりを起こした
【0034】
実施例1〜11、比較例1〜8
表1に示した成分を混合し、均一に分散して、二層型化粧料を調整し、前記各試験を実施した。その結果についても表1に併せて示す。
【表1】

【0035】
表1より明らかなように、本発明の成分を用いた実施例1〜11の二層型化粧料はいずれの評価項目においても優れた特性を示していた。
【0036】
一方、比較例1〜8では、静置時の外観、振盪時の均一混和性、沈降時の外観、使用時の感触、塗付後の仕上がり、刺激性、容器の使用性のいずれかの面で劣っており、本発明の目的を達成できなかった。
【0037】
以下、本発明による二層型化粧料の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例の二層型化粧料についても、上記の試験を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0038】
実施例12(ボディーローション)
配合量(質量%)(1)クロルヒドロキシアルミニウム ・・・・・・(A) 0.13
[Al2(OH)5Cl・2H2O、分子量210.483]
(2)リン酸二ナトリウム ・・・・・・(B) 0.14
[Na2HPO4・12H2O、分子量358.142]
(3)酸化チタン皮膜ガラスフレーク ・・・・・・(C) 0.05
(商品名:メタシャインMC−1080、日本板硝子社製、平均粒子径80μm)
(4)ポリオキシエチレンホホバ油 ・・・・・・(D) 0.1
(商品名:PEG−120 JOJOBA、フローラテック社製)
(5)グリセリン 2.0
(6)シルク抽出液 0.1
(7)ローヤルゼリーエキス 0.1
(8)ローズ水 0.1
(9)香料 0.1
(10)エタノール 10.0
(11)精製水 残 部
【0039】
(製法)上記成分(11)の一部に成分(1)を攪拌下に加え、溶解、分散し、次いで成分(11)の残部に成分(2)を溶解したものを攪拌下に徐々に加え混合し、(4)〜(5)、(9)、(10)の混合物と、(6)〜(8)、(3)を加え、ボディーローションを得た。この場合、成分(A)のアルミニウムイオンと成分(B)のナトリウムイオンのモル比(A)/(B)は1.6となる。
【0040】
実施例13(スタイリングローション)
配合量(質量%)(1)硝酸アルミニウム ・・・・・・(A) 0.5
[AlN3O9・9H2O、分子量375.13]
(2)リン酸二ナトリウム ・・・・・・(B) 0.18
[Na2HPO4・12H2O、分子量358.142]
(3)酸化チタン皮膜ガラスフレーク ・・・・・・(C) 0.05
(商品名:メタシャインMC−1040、日本板硝子社製、平均粒子径40μm)
(4)ポリオキシエチレンホホバ油 ・・・・・・(D) 0.5
(商品名:PEG−80 JOJOBA、フローラテック社製)
(5)グリセリン 2.0
(6)ポリオキシエチレン・パーフルオロポリシロキサン 1.0
(7)D−パントテニルアルコール 0.1
(8)L−アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム 0.0001
(9)グリシン 0.001
(10)L−プロリン 0.001
(11)L−アラニン 0.0004
(12)ユキノシタエキス 0.005
(13)ムラサキセンブリエキス 0.005
(14)ハチミツ 0.1
(15)香料 0.5
(16)エタノール 20.0
(17)精製水 残 部
【0041】
(製法)上記成分(17)の一部に成分(1)を攪拌下に加え、溶解、分散し、次いで成分(17)の残部に成分(2)を溶解したものを攪拌下に徐々に加え混合し、その他に溶解、分散し、そこへ(4)〜(7)、(15)(16)の混合物と、(8)〜(14)、(3)を加え、スタイリングローションを得た。この場合、成分(A)のアルミニウムイオンと成分(B)のナトリウムイオンのモル比(A)/(B)は1.3となる。
【0042】
実施例14(フレグラントウォーター)
配合量(質量%)(1)硝酸アルミニウム ・・・・・・(A) 0.5
[AlN3O9・9H2O、分子量375.13]
(2)クエン酸ナトリウム ・・・・・・(B) 0.13
[C6H5Na3O7・2H2O、分子量294.1]
(3)雲母チタン ・・・・・・(C) 0.03
(商品名:FLAMENCO SUPERPEARL、
エンゲル・ハード社製、平均粒子径25μm)
(4)酸化チタン皮膜ガラスフレーク ・・・・・・(C) 0.01
(商品名:メタシャインMC−1080、日本板硝子社製、平均粒子径80μm)
(5)ポリオキシエチレンアルモンド油 ・・・・・・(D) 0.1
(商品名:クロボル A−70、クローダジャパン社製)
(6)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.5
(7)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 0.01
(8)キイチゴエキス 0.1
(9)赤色227号 0.05
(10)香料 2.0
(11)エタノール 50.0
(12)精製水 残 部
【0043】
(製法)上記成分(12)の一部に成分(1)を攪拌下に加え、溶解、分散し、次いで成分(12)の残部に成分(2)を溶解したものを攪拌下に徐々に加え混合し、そこへ(5)〜(7)、(10)(11)の混合物と、(8)、(9)、(3)、(4)を加え、フレグラントウォーターを得た。この場合、成分(A)のアルミニウムイオンと成分(B)のナトリウムイオンのモル比(A)/(B)は1.0となる。
【0044】
本発明の実施例12〜14で用いた香料を以下の表2に示す。
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明により、光輝性粉体を含む粉体層が、明瞭に二層分離した美しい外観を呈し、振盪使用時には二層が容易に混和して、光輝性粉体を均一に分散した懸濁液を形成でき、なおかつ霧状で、広範囲に渡る部位へ均一塗付が可能な二層型化粧料の提供が可能となる。さらには、肌のうるおい感に優れ、光輝性粉体の付着性が高く、かつ保存安定性に優れた、使用時に霧状に噴霧して用いることも可能であるため、各種化粧料への適用が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(D)を含有し、成分(A)のアルミニウムイオンと成分(B)のアルカリ金属イオンのモル比(A)/(B)が0.8〜2.0であることを特徴とする二層型化粧料。
(A)水溶性アルミニウム塩
(B)アルカリ金属塩
(C)光輝性粉体
(D)25℃で固形、またはペースト状のポリオキシエチレン付加植物油
【請求項2】
(A)水溶性アルミニウム塩の含有量を0.05〜3質量%、(C)光輝性粉体の含有量を0.01〜1質量%とする請求項1に記載の二層型化粧料。
【請求項3】
請求項1または2いずれか1項に記載の二層型化粧料を噴霧式ディスペンサー容器に充填したことを特徴とする二層型化粧料。
【請求項4】
チップ口径が0.2〜0.6mmの噴霧式ディスペンサー容器である請求項3に記載の二層型化粧料。

【公開番号】特開2010−90044(P2010−90044A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260048(P2008−260048)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】