説明

二次元プロフィールを有する電気エネルギー発生モジュールおよびこれを作成する方法

電気エネルギー発生モジュールは、波付けされた屋根材のようなフラットではない面または建築上のエレメントにマッチするために、所望の二次元プロフィールを呈するように成形される。上記モジュールは、上側カプセル化材料層と下側カプセル化材料層との間にシールされた電気エネルギー発生フィルムを含んでいる。上記カプセル化材料のタイプおよび量は、高い温度および/または圧力が上記モジュールに与えられたときに上記カプセル化材料の形状が変更されることができるが、通常(すなわち、自然に生じる)温度および圧力のコンディションの下では上記カプセル化材料が上記電気エネルギー発生フィルムの周囲に剛構造を与えるものである。したがって、上記モジュールは、適当な圧力および/または高い温度が与えられることによって成形されることができるが、上記モジュールは、通常の温度および圧力のコンディションの下に置かれると直ちに、剛構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電力フィルムを用いている太陽電池モジュールのような、電気エネルギー発生モジュールの分野に関する。さらに詳細には、本発明は、屋根材や、フラットでない面を有する他の建築用のアプリケーションに特に適する電気エネルギー発生モジュールに関する。さらに、本発明は、このようなモジュールを作成する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池技術から得られるエネルギーは、価値があり再生可能でありかつ一般的に偏在する資源として、ますます開発されてきている。太陽電池産業は、用いられる技術がエネルギー効率のさらに良好なものになりかつ生産するのにさらに安価になっているので、成長し続けている。太陽のまたは光起電力(PV)のセル(ここにおいて、用語「太陽の」および「光起電力の」は、互換性があるとして用いられている。)は、DC電流および電圧を作り出すために、光を電気エネルギーに変換する個別のエレメントを指している。典型的には、幾つかのこのようなセルは、さらに大規模にエネルギーを発生するPVモジュール(ときどきは、パネルとしても示される)を形成するために、電気的に直列に接続される。一般的に、PVモジュールは、相互接続、接点、構造上のエレメント、カプセル化材料および(ダイオードのような)保護用のデバイスのような、太陽電池および他の付属のパーツを含んでいる。モジュールの構造上の(すなわち、負荷を保持する)エレメントは、しばしば、後側層のサブストレートまたは上側層のサブストレートのいずれかである。後者は、一般的に、PVセルに光を伝導するように透明でなければならない。多くのPVモジュールは、さらに大きなアレイ構造を形成するために、一緒にさらに接続されることができる。
【0003】
太陽電池に用いられる最も一般的な半導体材料は、シリコン(単結晶、多結晶またはアモルファスの形態のうちのいずれか)である。シリコンの種々な形態に加えて、ガリウムひ素、銅インジウム2−セレン化物およびテルル化カドミウムのような他の半導体材料も、太陽電池に用いられる。結晶シリコン太陽電池は、一般的に、単結晶または多結晶のインゴットからスライスされた比較的厚い(例えば、約200μmの)シリコンウエハから作られる。しかし、さらに最近には、周知の半導体生産技術を用いて低コストのサブストレート(ガラスまたはプラスチックのような)上に個別に析出されるためのはるかに薄い太陽電池フィルムのモジュールが、一般的になってきている。このような薄いフィルムは、さらに容易でさらに費用効果が高い製造と、大量生産(これは、一般的には、さらに低い効率という犠牲があるけれども)へのさらに良好な適合性とを含む幾つかの利点を提供する。薄膜技術において、レーザ・プロセスは、大きいエリアのサブストレートを個々のセルに分割するために、種々の析出ステップの間に用いられることができ、そして、これらのセルは、製造プロセスの間に個別に電気的な相互接続を施されることができる。特に、アモルファスシリコンは、良好に適合され、または、薄膜太陽電池に用いられる。これらのPVセルは、典型的には、p型、i型(真性型)およびn型の半導体層を有するP−I−N(または、N−I−P)半導体構造を形成するために、種々の不純物を有するシランのような反応ガスのプラズマ強化された化学蒸着を用いてシリコンを析出させることによって、作られる。
【0004】
PVモジュールは、典型的には、PVエレメントを機械的にかつ腐食に対して保護するために、或る方法でシールされるか、または、カプセル化される。シールはまた、ダストおよび水の侵入を妨げる。少なくとも幾らかのパーセンテージの所望の波長の光が太陽電池に到達するように、太陽電池モジュールの上側面を被覆するカプセル化材料は、光に対して少なくとも部分的に透明でなければならない。さらに丈夫でかつ易損性がさらに低い構造を付与するために、PVモジュールの下側面(太陽電池に光を伝導する必要がない)は、アルミニウムまたは他の適当な材料から形成される剛性のベース層から成っていてよい。このタイプのPVモジュールは、その内容が参照によってここに組み入れられている米国特許出願No.10/688,596「光起電力製品およびその作成方法」に例示されているように、上側透明カプセル化材料と下側ベース層との間に太陽電池の薄いフィルムをラミネートすることによって、一般的には形成される。構造上において剛性のPVモジュールは、サブストレートまたは上側層として厚いガラス層を用いることによって、同様に形成されることができる。このような剛性のPVモジュールは、ベース層が壁または屋根面に対してフラットに横たわるように取付られる建築上のアプリケーションに用いられることができる。しかし、屋根または壁がフラットな面を有さない場合(例えば、波付けされたタイルを有する屋根)には、モジュールを屋根に取付けることは、モジュールの下面に比較的精巧な取付け形状を用いることが必要であり、そしてまた、フラットでない面の意図された機能(例えば、降水の除去)が損なわれないことを保証しなければならない。さらに、均一でない面上の平らなPVモジュールの使用は、しばしば、ビルディングまたは他の構造の審美的な外観にとって有害である。
【0005】
EP−A2−0874404は、通常の屋根材料の場合と同じ方法でこれを使用するのに必要とされる形状および剛性をこれに与えるための作動圧力を付与することによってベンディングされた太陽電池モジュールを記述している。モジュールは、剛性の導電性サブストレートを有する起電力層を含んでいる。さらに、支持部材は、屋根材料としても機能する太陽電池モジュールを実現するためのモジュールの機械的な強さを増大させるために、後側の面の外側に貼られる。したがって、支持部材の材料は、屋根を作るエレメントのための厳しい必要条件を満足している強くかつ剛性の材料の中から選択されなければならない。このために、モジュールの成形およびベンディングは、高価なプレス装置を必要とする実質的な圧力のみの付与によって行われる。複雑な層のアレンジは、内側の層に対する高い圧力、または、エネルギー発生層にダメージを与えるかもしれない小さな半径の湾曲を回避するように、提供されなければならない。
【0006】
さらに、EP−A2−0874404のモジュールは、相互に接続された個別のエネルギー発生の長方形セルを含んでいる。接続プロセスは、冗長でかつ高価であり、連続的な作成方法が必要である。さらに、異なるセルは、異なる箇所でベンディングされ、このために、異なる量の日光にされされる。認識されるであろうように、これらのセルが直列接続される場合には、この結果として生じるモジュールにおける電流は、どれか1つのセルにおける最も低い電流に制限される。したがって、この結果として生じるモジュールの効率は、幾つかのセルにおける高いシェージング損失によって大幅に減少する。
【0007】
同様のソリューションは、US2001/0045228に示されている。さらに、記述された太陽電池モジュールは、剛性の例えばステンレススチールのサブストレートを含んでいる。アルミニウムのひずみ保持プレートは、太陽電池がないエリアにおいて形状を与えるのに必要とされる。ベンディングは、高圧でかつ高価な装置を必要とし、そして、メジャーは、光起電力層に対するダメージを防止するのに必要とされる。
【0008】
剛性のサブストレートによってその形状が与えられている別の光起電力モジュールは、US−A1−2003/0140959に開示されている。サブストレートの形成は、機械的な制限のみを通して得られる。
【0009】
太陽電池は、この結果として生じる薄いフィルムのPVモジュールがフレキシブルな構造を有するように、ポリイミドまたはPETプラスチックから作られたもののようなフレキシブルなサブストレート上にも、作成されることができる。ついで、例えばフッ素ポリマーフィルムのようなカプセル化材料が、モジュールのフレキシビリティを著しく減少させることなしに、フレキシブルなPVモジュール全体をシールするのに用いられることができる。フレキシブルなPVモジュールに用いられるこのような1つのカプセル化材料は、エチレン酢酸ビニル(EVA)と一緒に用いられるTefzel(登録商標)のフィルム(デュポングループ社によって作られる)である。
【0010】
フレキシブルなPVフィルムは、ロール・トゥ・ロール製造技術を用いて作られることができるので、これらは、バッチ技術を用いて作られなければならないフィルムと比較すると、非常に低コストの生産の可能性を誇りにする。この結果として生じるフレキシブルなモジュールは、ポータブルPV充電器モジュールに対するような或るタイプのアプリケーションにおいて、同様に軽量かつ有用である。なぜならば、これらは、使用されていないときに、さらに少ないスペースを占めるようにチューブ状の形状に都合よく巻かれることができるからである。さらに、フレキシブルなPVモジュールは、フラットでない構造上のエレメントでもって、はるかに良好な組み込みを提供することも可能でもある。この結果、例えば、フレキシブルなPVモジュールは、一般的にフラットな面を有していない屋根タイル上にモジュールを取付けることによって、屋根材のアプリケーションに用いられてきた。これらのフレキシビリティのために、フレキシブルなモジュールは、波付けされているか、または、起伏しているかしている屋根タイル(または、これらのタイルに取付けられる同様の形状の剛性ベース層)のような、フラットでない面のプロフィールを大よそ想定して作られることができる。しかし、最もフレキシブルなPVモジュールは、これらが天候および/または他の環境条件にさらされる建築上のアプリケーションにおける使用にとってこれらをあまり適していないようにするこれらの剛性の類似物よりも、あまり耐久性がなくかつさらに易損性である。さらに、そのプロフィールが屋根材エレメントの所望のプロフィールにマッチするようなそれぞれのフレキシブルなPVモジュールの成形および取付けは、比較的労力を要するプロセスのままである。
【0011】
上述の点を考慮すれば、波付けされた屋根材のような、二次元プロフィールを有するフラットでない面があるアプリケーション(特に、屋根材または建築上のアプリケーションにおいて)にさらに良好に適合するPVモジュールの必要性が明らかにある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、フラットでない物理的な面が存在するかまたは所望される箇所(ビルディングのアーケードまたは屋根のような)における取付けおよび組み込みに特に良好に適合している電気エネルギー発生モジュール(PVモジュールのような)に関している。これは、モジュールがフラットでない面またはフラットでない建築上のエレメントにマッチするために所望の二次元プロフィールを有するようにモジュールを成形することによって、達成される。さらに、本発明は、電気エネルギー発生モジュールを作成する方法にも関している。また、本発明は、モジュールの他の部分へのモジュールのプロフィールされた部分によるシェージングによる効率損失が低減されるモジュールにも関している。
【0013】
したがって、本発明は、1つの観点においては、上側カプセル化材料層と下側カプセル化材料層との間にシールされている電気エネルギー発生フィルムを含んでいる電気エネルギー発生モジュールを提供している。カプセル化材料のタイプおよび量は、高い温度と圧力とのうちの少なくとも一方がそこに与えられるときに、カプセル化材料の形状が変更されることができるが、上記カプセル化材料が通常の(すなわち、自然に生じる)温度および圧力のコンディションの下では電気エネルギー発生フィルムの周囲に剛構造を提供するようなものである。圧力および/または高い温度の適用によって、モジュールは、所望の二次元プロフィールを有しかつ提供するように、成形される。その後に、モジュールは、通常の温度および圧力のコンディション(これらの現在の外側のような)の下に置かれると直ちに、剛構造を有する。
【0014】
電気エネルギー発生フィルムは、相互に電気的に接続されたストリップ形状の複数のセルを含んでいる。それぞれのストリップ形状のセルの長さ方向は、二次元プロフィールを規定する面に平行に延びている。したがって、総ての直列接続されたストリップでのシェージングは、同一であるか、または、少なくともほぼ近似しているかであり、そして、モジュールの効率は、異なる電流を有するセルが直列に接続されるときに生じるシェージング損失によって低減されることはない。
【0015】
好ましい実施例においては、電気エネルギー発生フィルムは、PVフィルム(例えば、アモルファスシリコンp−i−n半導体構造を含むための)を含み、そして、上側のカプセル化材料は、少なくとも部分的に透明である。また、上側カプセル化材料は、好ましくは、UV抵抗性である。下側カプセル化材料は、上側カプセル化材料と同一の材料であってもよいが、異なっていてもよい。
【0016】
本発明は、別の観点においては、このような電気エネルギー発生モジュールを作成する方法を提供している。この方法は、電気エネルギー発生フィルム、上側カプセル化材料層および下側カプセル化材料層を提供することを含んでいる。ついで、高い温度と圧力とのうちの少なくとも一方が、電気エネルギー発生フィルム、上側カプセル化材料層および下側カプセル化材料層にボンディングされたスタックのために一緒に適用される。さらに、高い温度と圧力とのうちの少なくとも一方が、所望の二次元プロフィールを有するモジュールを提供するために、上記ボンディングされたスタックを成形するように同様に適用される。1つの好ましい実施例においては、上記ボンディングは、およそ70および250℃の間の温度ならびにおよそ0.3から10バールの間の圧力を付与することを含んでおり、そして、上記成形は、およそ70および250℃の間の温度ならびにおよそ0.01から1バールの間の圧力を付与することを含んでいる。上記成形は、上記ボンディングに続いて直ちにまたは上記ボンディングと正に同時に実行されることができる。再び、ベンディング/成形が、ストリップに成形された複数のセルの長さ方向が二次元プロフィールを規定する面に対して平行に延びるように、遂行される。
【0017】
本発明の目的および利点は、本発明の好ましい実施例を一例として示しているつぎの詳細な既述および添付の図面とともに考慮されるとき、さらによく理解されかつさらに容易に明らかであるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の好ましい実施例に従って、図1は、モジュールがボンディング・ステップを施される前の、PVモジュール100内の異なったフィルム(すなわち、層)を示す分解図である。本発明は、電気エネルギーを発生するフィルムおよびモジュールの別のタイプにもまた適用されることができるけれども、PV分野に特に適しており、そして、この結果として、ここにおいては、PVへの適用が参照されている。このことは、例えばハイブリッド熱光起電力効果(TPV)フィルムのような、電気エネルギーを発生するフィルムおよびモジュールの別の適当なタイプに本発明の範囲を限定することを意図してはいない。
【0019】
図1に示されているように、PVモジュール100は、薄いフレキシブルなPVフィルム110、一枚の上側カプセル化材料150および一枚の下側カプセル化材料170から形成されている。フラットのように(すなわち、サイドから見たときの一次元のプロフィールで)示されているけれども、フレキシブルなPVフィルム110がシートの面において種々の2次元プロフィールを採用することが可能であるということが認識されるだろう。(第3の次元における変化は、一般的に、他の2つの次元におけるよりもさらに明白ではないけれども、幾つかのケースにおいては、材料、構造およびプロセスに応じて3次元プロフィールさえもが採用されることができる。)図1を参照して、フィルム110は、この上にPV半導体電池構造130が作られているフレキシブルなサブストレート120を含んでいる。サブストレート120は、好ましくは、ポリイミド、PET(ポリエチレン・テレフタレート)またはPEN(ポリエチレン・ナフタレート)のシートのようなプラスチックの箔から成っている。また、アルミニウム、絶縁体−金属複合体または繊維強化プラスチックのような他のフレキシブルなサブストレートも用いられることができる。また、図示の実施例において、そして、以下にさらに詳細に記述されるように、それぞれのPVセルは、ストリップとして成形され、そして、複数の薄い導体140および2つのより厚い電流収集母線145は、PVセル構造130の上側面に沿って延びている。フィルム110の少なくとも幾らかの異方性の剛性は、ストリップ130、導体140および母線145によって与えられる。垂直な方向におけるより重要な剛性は、以下において記述されているベンディング・ステップによって与えられるだろう。
【0020】
上側カプセル化材料150は、少なくとも幾らかのパーセンテージの所望の波長の光がPVフィルム110に到達するように、光160に対して透明である。好ましくは、上側カプセル化材料150は、高いパーセンテージ、例えば少なくとも90%の入射光を透過する。また、UV放射に長期間さらされたときにその透明性、構造上の信頼性および腐食に対する抵抗が著しく悪化することがないように、上側カプセル化材料150は、UV抵抗がある(またはUV安定化されている)のが好ましい。さらに、幾つかのケースにおいては、UV放射は、フィルムのPV特性を悪化させるかもしれない。このようなケースにおいては、フィルムに到達することからこのような放射のかなりの量を阻止することが、上側カプセル化材料150にとってまた重要である。もしも、上側カプセル化材料150が、UV抵抗性では本来なければ、一緒に押し出し加工されるかまたは材料150の外側面にラミネートされるかしている添加物または保護層を用いることによって、これらのUV抵抗特性(すなわち、UV安定化)を与えられてもよい。そのような添加物または保護材料は、UV吸収材料またはフッ素化されたポリマーのようなUV安定化ポリマーを含むことができる。下側カプセル化材料170は、不透明であることができ、そして、UV抵抗性であるかまたはUV安定化されているかしている必要は必ずしもなくてよい。しかし、幾つかの実施例においては、上側カプセル化材料と下側カプセル化材料との両方に同一の材料を単に用いることは、最も好都合であることができる。
【0021】
本発明に従って、上側および下側のカプセル化材料は、好ましくは、熱の適用によって軟化されることができかつその後の冷却時に再硬化する、熱可塑性ポリマーのような熱成形可能な材料から成っている。例えば、材料150および170は、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレン・テレフタレート)、PEN(ポリエチレン・ナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチル・メタクリレート)、EVA(エチレン−酢酸ビニル)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン)またはこのような材料の種々の組み合わせから成っていてよい。好ましくは、カプセル化材料150および170の軟化温度は、約70〜250℃の間である。以下にさらに既述する別の実施例において、熱成形することができる材料の代りに(または、この材料に加えて)、これらの材料のそれぞれは、射出成形材料から成ることができる。
【0022】
明瞭さのために、図1が一定の比率で描かれていないことが留意されるべきである。しかし、PVセル構造130は、例えば、0.1〜20μmの間の厚みを有することができ、サブストレート120は、約10〜300μmの間の厚みを有することができる。このようなPVフィルム110のために、材料シート150および170の厚みは、同様に、約0.1〜5mmに及ぶことができる。また、材料シート150の厚みは、材料170の厚みと同一であってもよいし、これらは異なっていてもよい。重要なことは、そして、以下にさらに詳細に述べられているように、本発明に従って用いられるカプセル化材料150および170のタイプおよび/または量は、フレキシブルなPVフィルム製品をシールするのに通常用いられるカプセル化材料とは異なって、作り出されるPVモジュールが通常の状態(すなわち、自然に生じている温度および圧力)において剛性で耐久性のある構造を有するものである。
【0023】
薄いフレキシブルなPVフィルムは、当業者によく知られているように、種々の異なった材料を用いることができ、そして、種々の異なった構造を有することができる。一般的に、PVフィルムは、荷電キャリア(電子およびホール)の生成につながりかつそのエネルギーバンドギャップ以上の光子を吸収するように、半導体を用いる。ついで、これらの荷電キャリアは、半導体内のp−nまたはp−i−n接合のいずれかによりまたは半導体と別の材料との間におけるヘテロ接合により作り出される内部の電界によって、分離される。ついで、荷電キャリアは、電極によって集められ、そして、外部の回路において電流を発生させるのに用いられる。
【0024】
本発明のPVモジュールは、一般的に、薄いPVフィルムのいずれかのタイプを用いてよい。1つの図示の実施例において、図2は、図1におけるII−II線に沿ったフィルム110の部分的な断面図を示している。図示されているように、図2におけるPVセル構造130は、下側電極層132および透明な上側電極138の間に位置するp型(p)、真性型(i)およびn型(n)の層を形成するために析出されるアモルファスシリコン(a−Si)を用いている。このようなPVセル構造の作成は、良く知られているので、ほんの簡潔に既述されるだろう。アモルファスシリコン層の析出に先立って、アルミニウム(Al)の下側電極層132は、スパッタリングまたは他の適当な技術によって形成される。ついで、この層は、それぞれのセルの下側電極を分離するために(すなわち、レーザエッチング・プロセスを用いて)、形づくられる。ついで、n型のa−Si層134は、ホスフィンのような適当なドープ剤を伴っている、シリコンと水素との混合物から、PECVDによって下側電極層上に析出される。一般的に、真性型のa−Si層135の析出の間には、不純物は用いられない。一方、メタンおよびジボラン(または、トリメチルボロン)は、つぎのp型のa−Si層136に必要なドーピングを付与するために、シランおよび水素に加えられることができる。つぎに、透明な導電性の酸化物(TCO)の上側電極層138は、析出され、ついで、周囲のセルの上側電極を電気的に分離するためにボイド・エリア139を形成するように形づくられる。上側電極138の材料は、光子の高い導電性を可能にすべきであり、そして、適当な材料は、酸化インジュウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO)および酸化亜鉛(ZnO)を含んでいる。一方、下側電極132は、それを不透明にする何らかの導電性材料(例えば、アルミニウムまたは銀)または上述のようなTCOから成っていてよい。
【0025】
上述のステップは、フィッシャ他による米国特許出願公開No.2003/0172873A1に記述されている単一のチャンバのロール・トウ・ロール装置および方法を用いて実行されることができる。そして、その全体の内容は、その参照によって、ここに組み入れられている。さらに、平行な個々のストリップ形状のPVセルの間の直列接続を提供するために、機械的な(またはレーザの)スクライブが、層138、136、135、134および(部分的に)132を通して電流保持のグリッドパターンをエッチングするのに、用いられる。ついで、エッチングされたエリアは、薄い導体140を作成するために、導電性ペースト(例えば、銀ペースト)で満たされる。この方法において、電気的な直列接続が、上側電極138と周囲のセルの下側電極132との間で、付与される。
【0026】
また、単一接合のp−i−n型のa−SiのPVセル構造とは別に、さらに高い効率の太陽電池構造が、積み重ねられた縦列(p−i−n/p−i−n)または三重(p−i−n/p−i−n/p−i−n)の接合を用いて、または、PECVDプロセスによって析出されることもできる微結晶シリコンのより厚いi型の層を含むセルを用いて、作成され得るということが認識されるだろう。さらに、すでに述べたように、フレキシブルな薄いPVフィルムは、多結晶シリコン、微結晶シリコン、薄膜シリコン、薄膜縦列セル、銅インジュウムガリウム2−セレン化物(CIGS)、CISエレメント、テルル化カドミウム(CdTe)、ナノ結晶で染料高感知性の材料または導電性ポリマーのような、他の半導体材料に基づかれていてもよい。半導体構造は、一般的に、用いられる材料に依存して異なるであろうことが認識されるであろう。
【0027】
図3を参照すれば、薄いフレキシブルなPVフィルム110を上側カプセル化材料シート150および下側カプセル化材料シート170とボンディングするためのラミネート・ステップが、図示されている。シート150、フィルム110およびシート170は、高い温度の下で3つのシートを一緒にボンディングすることが可能であるラミネータまたは他の適当な装置に供給される。図示の実施例においては、ラミネータ200は、シートを一緒にボンディングしてこのボンディングされたPVモジュール・スタック100’を提供するために、約70〜250℃の間の温度で圧力を加える2つの回転ドラム210および220を備えている熱ロールプレスである。好ましい実施例においては、ラミネータ200によって付与される圧力は、約0.3バール〜10バール(1バール=100kPa)の間であり、1つの特定の例においては、1バールの圧力が用いられる。ボンディング・プロセスは、カプセル化材料150および170の自己接着特性を利用することができ、あるいは、にかわ、シリコンまたはエチレン−酢酸ビニルのような接着材料の追加の層(図示せず)がPVフィルム110およびそれぞれのカプセル化シートの間に挿入されることができる。ラミネータ200は、圧力および高い温度の両方の組み合わせを付与しているけれども、幾つかの実施例においては、唯一の/主としての圧力または唯一の/主としての高い温度が、ボンディングを達成するために用いられることができ、このような技術の達成は、一般的に、用いられるカプセル化材料150および170のタイプに依存するだろう。温度および圧力の組み合わせが付加されると、この付与されたコンディションは、そうでなければモジュール100がさらされるであろう自然に生じているコンディション、すなわち、温度および/または圧力の組み合わせではないであろうことは、やはり認識されるだろう。
【0028】
ボンディング・ステップは、種々の異なった方法において生起するかもしれない。1つの実施例においては、ボンディング・ステップは、単一のPVモジュールのためのボンディングされたスタック100’(好ましくは、カプセル化材料のオーバーラップがすべてのサイドでPVフィルムを囲むように)を形成するために、フィルム110、上側カプセル化材料150および下側カプセル化材料170の個々のフラットなセクションを一緒にボンディングするフラットプレスを用いて、全くのバッチプロセスとして行われる。この技術は、接着性の層(EVA層のような)がボンディングされたスタック100’を作成するのを助けるためにも用いられれば、好ましいかもしれない。この代りとして、フィルムシート110、上側カプセル化材料シート150および下側カプセル化材料シート170が3つの個別のロールからロールプレス(図3におけるラミネータ200のような)に供給されるロールバッチプロセスが、用いられることができる。これに代る別のものとして、フィルム110、上側カプセル化材料150および下側カプセル化材料170から成る複数のPVモジュールに相当している連続的なフィルムが、3つの個別のロールからロールプレスに供給され、そして、ラミネートの後または成形の後に所望の長さに切断されることができる。
【0029】
カプセル化材料がエッジのシールを付与するためにPVフィルムのそれぞれのサイドをオーバーラップさせており、そして、このことが上述の第1の2つの技術のいずれか一方を用いるのを可能にしているのが、好ましい。しかし、第3の技術における連続的なフィルムのために、連続的なラミネートされた材料が切断されるときに、PVフィルムは切断エッジをさらされるだろうし、このために、浸透および/または劣化に対する影響を受けやすいであろう。この場合において、切断エッジをシールするための付加的なステップは、切断されかつボンディングされたスタックを再加熱することと、これをシールするために、露出されたエッジの周囲のスタックにおける現存の熱可塑性材料をウエルディングすることとによって、実行される。もしも、必要であるかまたは所望されるかすれば、付加的なかつ熱成形可能な材料も、切断/露出されたエッジをシールするときに、ボンディングされたスタックに加えられることができる。
【0030】
幾つかの実施例においては、シールされかつボンディングされたスタック100’に何らかの空気が取り入れられるのを阻止するのを助けるために、真空においてボンディング・ステップを実行することも、望ましいかもしれない。さらに、ボンディングされたPVモジュールスタック100’の上側面が全く平らであるかもしれないときに、その面は、反射特性を変えること、ぎらぎらを回避すること、光のトラップを改良することおよび/またはモジュールの審美的な外観を改良することのために、織り目模様を付けられてもよい。この織り目模様は、層を一緒にボンディングするのに用いられるラミネート・プレス/ロールに適当な面構造を用いることによって、付与されることができる。
【0031】
本発明に従って、PVモジュールの異なったシートが一緒にボンディングされた後に、ボンディングされたスタック100’は、PVモジュール100に所望の二次元プロフィール(すなわち、サイドから見られたときの2次元の輪郭)を付与するために、圧力(好ましくは、高い温度と一緒に)を付加することによって、さらに成形される。図4に図示の実施例においては、プロファイリング装置300は、モジュール100を所望のプロフィール形状に機械的に強要するために、高い温度で操作される補足的なモールド・セクション310および320を含んでいる。好ましい実施例においては、装置300によって付与される圧力は、約0.01〜1バールの間で変化し、そして、1つの特定の実施例においては、付与される圧力は、0.05バールである。装置300における温度は、上述のように70〜250℃の間であってよい、熱成形可能なカプセル化材料150および170の軟化温度と一致している。これに代る実施例においては、プロファイリング・ステップは、ボンディングされたスタック100’をモールド装置のフレームに固定することと、スタックを加熱することと、ついで、空気圧力がボンディング・スタック100’に対しモールド・セクションを圧縮してスタックがこれらのモールド・セクションの形状を呈するように、2つの補足的なモールド・セクションに孔を通して真空を付与することとによって、達成されることができる。
【0032】
ボンディング・ステップと同様に、プロファイリング・ステップは、バッチプロセス(図示のように)として達成されることができ、あるいは、連続的なロールプロセスが用いられることができる。さらに、ボンディングされたPVモジュールスタック100’が、一般的に、プロファイリング・ステップを受けるに先立って冷却を必要にしないので、プロファイリング・ステップは、できる限り同一の装置(すなわち、ラミネータ200およびプロファイリング装置200が組み合わせられることができる。)内において、ボンディング・ステップの後に直ちに実行されることができる。さらに代りのものとして、ボンディングおよびプロファイリング・ステップの両方は、単一のプロセス・ステップとして、同時に行われることができる。上述の方法は、カプセル化材料150および170が繰り返して加熱および冷却されるときに化学的に劣化する熱可塑性ポリマーから成っているか、あるいは、特に、カプセル化材料150および170が単に加熱されて直ちに硬化されることができる熱硬化性の材料から成っていれば、好ましい。
【0033】
別の代りのものとして、上述のようなボンディングおよびプロファイリングの代りに、プロファイリングされたPVモジュール100が射出成型技術を用いて実現されることができる。このケースにおいては、PVフィルム110は、プロファイリングされた射出モールド(図示せず)内に置かれ、そして、カプセル化の樹脂材料(上述の透明性およびUV抵抗特性を有する)は、モジュールを所望のプロフィール形状に組み込むために射出される。射出成形されるカプセル化材料の適当な例は、PET(ポリエチレン・テレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)またはこのような材料の種々の組み合わせを含んでいる。
【0034】
成形後のカプセル化材料を再硬化することは、冷却、または、周囲の温度コンディションにモジュールを戻すことによって、好ましくは行われる。しかし、用いられる材料に依存して、硬化は、例えば、化学剤または紫外光を用いて、改良、開始または加速されることができる。
【0035】
たとえ、剛性のプレートまたは支持部材(アルミニウムまたはガラスベースのような)がモジュールの一部に形成されていなくても、プロファイリング・ステップが完了し、そして、PVモジュール100が冷却されるや否や、剛性で強度があり耐久性がありまだ比較的軽量であるPVモジュールが提供される。認識されるように、モジュールが冷却されかつ通常のコンディション(すなわち、自然に生じている温度および圧力)のもとで用いられれば、用いられるカプセル化材料のタイプおよび量がそのような剛性および耐久性を有する構造をPVモジュール100に付与するのに十分であることは、本発明の重要な特徴である。このことは、用いられるカプセル化材料のタイプおよび/または量が通常のコンディションの下でこれらのフレキシブルな性質をモジュールに保持させる現存の薄膜のフレキシブルなPVモジュールのカプセル化とは、異なっている。本発明の1つの模範的な実施例においては、PVモジュール100の全体の厚さは、強度があり剛性がありそれでも軽量である構造を付与する約2mmである。
【0036】
PVモジュール100のプロフィールの形状は、波形(すなわち、隆起部および溝部を交互に有している)を付けられているか、または、立上がっている継ぎ目(すなわち、かみ合せ)であるか、あるいは、与えられたアプリケーションのために必要とされる他の所望のフラットでない(すなわち、2次元プロフィール)の形状であることができる。図4の実施例においては、PVモジュール100は、おおよそ正弦波のプロフィールを有するように波付けされている。このようなPVモジュールのさらに詳細な上側の斜視図が、図5に示されている。この代りのPVモジュールのプロフィールが、図6Aおよび図6Bにも、模範的に示されている。さらに詳細には、図6Aは、波付けされた台形のプロフィールを有するPVの波付きモジュール100Aの側面図を示し、図6Bは、周囲のPVモジュールが互いにかみ合うことができるように、立上がっている継ぎ目の効果を付与するのに適したプロフィールを有するPVの波付けモジュール100Bの側面図を示している。図示されているように、図6Bの特定の実施例においては、たとえPVモジュール100Bが2次元のプロフィールを有しているとしても、モジュール100B内のPVフィルム110のプロフィールは、このケースにおいても、なおフラット(すなわち、フィルム110は1次元のプロフィール)である。
【0037】
典型的には、PVモジュールの上側および下側の面は、2次元のプロフィールのそれに平行である面におけるモジュールの断面が同一の2次元プロフィールを共有しているであろうという点において、互いに同一である。しかし、このことは、必要ではなく、そして、固定点、より広いセクションまたは電気接点を作ることのためとして作用するセクションがPVモジュールに含まれているケースでなくてもよい。
【0038】
さらに、3次元の織り目模様は、たとえば、織り目模様を付けられた面を有するモールド・セクション310およびできる限り320を用いることによって、上側カプセル化材料層に付与されることができる。織り目模様は、フィルム110の光起電力活性の部分への光の集中を向上させることと、フィルムの不活性部分(相互接続エリア139および140ならびに付加的な電流を収集するフィンガー・グリッドで覆われるエリアのような)から離れる光を逸脱させることとのために、マイクロ光学エレメント、例えばマイクロレンズを構成することができる。付加的にまたはその代りに、織り目模様は、モジュールの光学的な外観を改良するかもしれず、および/または、モジュール面の不必要なギラギラを減少させるだろう。
【0039】
認識されるであろうように、PVモジュール100におけるPVセルが直列接続である場合には、PVモジュールにおける電流は、すべてのPVセルにおいて最少の電流に制限される。この結果として、図5に示されているように、ストリップ形状のセルと、周囲のセルの間における電気的な直列接続をモノリシックに付与する薄い導体140との長さ方向の軸x1は、好ましくは、モジュールの2次元プロフィール(すなわち、図面の面)を規定している面x;zに平行に方向付けされている。このことは、セルが全体としてPVモジュールを通して流れる電流を著しく制限するであろう単なる最少の日光にさらされるかもしれない場合に、PVセルが2次元プロフィール内の溝または谷に沿って完全に(または、主として)位置していることはないことを保証している。この代りに、図5のセルのオリエンテーションでもって、それぞれのセルが、一般的に、同量の日光にさらされ、このために、同量の電流を発生するであろうから、シェージング損失は(純粋に幾何学的な損失以外は)発生しない。したがって、ストリップの直列接続は、セル上でこの結果として生じる電流を減少させることなしに、可能であるだろう。
【0040】
同様に、セルのオリエンテーションは、図6Aおよび図6Bに示されてはいないけれども、セルと、モジュール100Aおよび100Bのための直列接続とが、ストリップ形状である場合には、これらは、さらに、モジュールの2次元プロフィールを規定する面に平行にオリエンテーションされているのが好ましい。もちろん、モジュール100におけるPVセルが異なった方向において電気的に接続されていれば、異なったセルのオリエンテーションが好ましいかもしれない。
【0041】
図5にも示されているように、PVモジュール100は、PVフィルム110におけるそれぞれの電流収集母線145に電線148を接続するために、カプセル化材料を通して形成されている2つの接点開口146を有することができる。図示の目的のために、接点開口146は、図5においては、PVモジュール100の上側面を通して作られているように示されている。しかし、さらに典型的には、接点部分は、モジュールの下側面からカプセル化材料を通して形成されている開口によって形成されるだろう。その内容が参照によってここに組み入れられている米国特許出願No.10/688,596「光起電力製品およびその作成方法」に記載されている方法において、接点開口146は、ボンディングおよびプロファイリング・ステップが完成した後に、好ましくは形成される。必要な接続がなされるや否や、開口146は、保護の目的でシールされることができる。認識されるであろうようように、PVモジュール100にワイヤ148を接続することによって、モジュールは、PVアレーの一部としての他のPVモジュールおよび/または外部の電気回路に接続されることができる。この代りとして、ワイヤ148を取付けるのに代えて、開口146が下側にあるPV接続箱にPVモジュール100を直接に電気接続することを単に可能にすることもできる。
【0042】
記述されたように、PVモジュールは、これらが成形された後には、剛性であり、強度があり、そして、耐久性がある。この結果として、モジュールは、従来の大部分のフレキシブルなPVフィルム製品に較べて、悪天候およびその他の環境コンディションへの露出に対してより良好に耐えることが可能である。同時に、所望の2次元プロフィール形状をとることによって、本発明のPVモジュールは、これらがより良好な構造上の適合性を提供するので、所望のアプリケーションにさらに十分に組み込まれることができる。これらの理由のために、本発明のPVモジュールは、フラットでない現存の建築用の面(波付けされるかまたはプロファイリングされるかした屋根材またはアーケード・エレメントのような)に取付けられるのに良好に適合する。さらに、幾つかのケースにおいては、本発明のPVモジュールは、このようなPVモジュールがPV機能と所望の建築上/構造上の機能との両方を付与されるように、現存の建築用エレメント(屋根用タイルまたはアーケード・エレメントのような)に全く置き変えられることができる。さらに一般的に、本発明のモジュールは、フラットでない面を有する何からの箇所に用いるのによく適している。
【0043】
PVモジュール100のプロフィールは、構造および屋根材の産業においてすでに用いられかつ標準化されている現存の材料、例えば、76mmまたは18mmの波付き屋根タイルのサイズおよび形状と一致していてよい。さらに、それぞれのPVモジュールは、1つまたは幾つかの標準化された建築用ユニット上に取付けられる(または補充する)ことができる。例えば、単一のPVモジュール100は、1×2mの面サイズで作られることができ、そして、幾つかの屋根タイルを被覆(または補充)するために用いられることができる。現存のPV製造プロセスでもって、このようなモジュールは、約12〜300ボルトで約50〜300ワットのピークPV電力を作り出すことができるだろう。オプションでもって、モジュールのサイズは、屋根セクション全体またはアーケードの全長を被覆するために、例えば2×10mまで増加させることができる。この代りのものとして、PVモジュールの面エリアは、単一の別個の屋根タイル、すなわち、30×50cmのサイズに一致するように、低減されることができる。
【0044】
PVモジュール100の取付け(建築用エレメントへの、または、としてのいずれでも)は、何らかの従来方法で行われることができる。例えば、モジュール100は、クリップを用いて、または、プロフィールを通して穴あけされた取付け孔を通したねじを用いて、もしくは、何らかの他の固定技術を用いて、他のエレメントまたは面に固定されることができる。幾つかのケースにおいて、PVフィルムの冷却を助けかつその効率を改良するために、プロファイリングされたPVモジュールの下にエアギャップを付与することが望ましいかもしれない。また、多重のPVモジュール100は、屋根またはアーケードのためのより大きなシールされたセクションを形成するために、一緒に溶着されるかまたは接着されるかすることができる。さらに、PVモジュール100は、モジュールの下の熱絶縁層(例えば、ウレタンフォーム)に結合されることができる。このような絶縁層は、例えば、押出しによりその面にフォームを適用することによって、プロファイリングされたPVモジュールの下側面全体に沿って付与されるのが好ましい。このような絶縁層は、プロファイリングされたモジュールの機械的および構造的な特性を付加的に改良しかつ安定化させることができる。特に、裏面を絶縁されたプロファイリング化モジュールは、このようなモジュールの出力電力の温度係数が比較的小さいので、PV材料としてのアモルファスシリコンの使用と連係すれば、特に有利である。
【0045】
本発明が特定の実施例と連係して記述されてきたが、上記記述を考慮すれば、多数の代替、修正および変形が当業者にとって明白であることが明らかであろう。例えば、1つの可能なバリエーションにおいて、図7は、PVモジュール400において(ボンディングおよびプロファイリングよりも前に)用いられる層を図示している。図示されているように、モジュール400は、PET(ポリエチレン・テレフタレート)と下側カプセル化材料シート470とから例えば成っている比較的厚い上層450上に作成されたPVセルモジュール430を含むPVフィルム410を含んでいる。この実施例においては、上層450は、引き続いてのボンディング・ステップにおいて、上側カプセル化材料層と同様に、PVセル構造430がその上に作成される絶縁ベースとの両方として機能する。この方法においては、上層450は、上側カプセル化層150に対してすでに記述された透明性およびUV抵抗性を有するべきである。この結果として生じるPVフィルム410が通常(すなわち、自然に生じる)の温度の下でフレキシブルではないように、上層450が比較的大きな厚さを有していてもよいことが注目されるかもしれない。この代りのものとして、上層450の厚みは、比較的小さくてもよいが、下側カプセル化材料シート470の厚みは、PVフィルム410がまだフレキシブルであることができるように、相対的に増加されてもよい。さらに、この実施例においては、上層450上に最初に析出されるベース電極は、TCOから成るべきであり、そして、もしもp−i−n接合がPVセル構造430におけるセルのために用いられれば、ついで、p型、i型およびn型の層がTCO電極層上に順次析出されることが、認識されるだろう。最終的に、上層450がPVセル構造430よりも大きい面を有するように図7に示されているけれども、この方法でPVフィルム410を作成することは、実用的ではないかもしれない。もしもそうであれば、それを保証するために、PVセル構造430は、ボンディングの後に、カプセル化材料によって十分に保護および被覆され、より大きな下側カプセル化材料シート470が用いられること、および/または、PVフィルム410および下側カプセル化材料シート470が初めに一緒にボンディングされた後に付加的なカプセル化材料が加えられることができる。ついで、この結果として生じるボンディングされたスタックは、上述の方法でプロファイリングされることができる。
【0046】
幾つかのモジュールは、成形の後で好ましくは屋根への取付けの前に、幅および/または長さもしくはこの結果として生じる光起電力エレメントを延ばすために、一緒にアッセンブリされることができる。周囲のモジュールの間の電気的接続は、所望の直列または並列の接続を付与するために、母線145をオーバーラップさせること、または、接触させることによって、ワイヤなしで達成されるのが好ましい。しかし、異なるモジュールのアッセンブリは、アッセンブルされた光起電力エレメントがマウントされるときに、相互に直列接続されたセルに同一のまたは同様の日光量を保証するような方法で作られる。
【0047】
さらに詳細には、モジュールが波付けされたかまたはプロファイリングされたかしている屋根材エレメントに、または、として用いるように意図されている実施例においては、モジュールの2次元プロフィールを規定する面x;zは、屋根の隆起部または縁部に対して実質的に平行になるように上方に延びていることができる。このケースにおいては、ストリップ130は、好ましくは、上記隆起部または縁部に対して平行である水平方向に沿って延びている。
【0048】
一方、2次元プロフィールを規定している面x;zが屋根材の隆起部または縁部に対して垂直である上方に延びていれば、ストリップ130は、上記隆起部または縁部に対して垂直な方向である上方に延びているのが好ましい。
【0049】
また、モジュールは、プロファイリングされたかまたは波付けされたかした実質的に垂直なアーケード・エレメントとして用いられることができる。このケースにおいて、上記モジュールがマウントされるときに、2次元プロフィールを規定している面(x;z)が水平であれば、ストリップは、水平に延びているのが好ましいだろう。もしも、別のサイドにおいて、上記面が垂直であれば、ストリップは上方に延びているのが好ましいだろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の1つの好ましい実施例に従った、ボンディング・ステップ前のPVモジュール内の種々の層の分解図である。
【図2】図1のPVフィルムのための1つの可能な構造を示している、図1のII−II線に沿った部分的な断面図である。
【図3】図1のPVモジュールのためのボンディング・ステップを示しているハイレベル・ダイアグラムである。
【図4】所望される2次元プロフィールを有するようにPVモジュールを成形するためのプロファイリング・ステップを示しているハイレベル・ダイアグラムである。
【図5】1つの実施例における、プロファイリングされたPVモジュールの上側の斜視図である。
【図6A】別の可能な実施例におけるPVモジュールの側面図である。
【図6B】さらに別の可能な実施例におけるPVモジュールの側面図である。
【図7】本発明の別の実施例に従った、ボンディング・ステップ前のPVモジュール内の層の分解図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に透明である上側カプセル化材料層(150)と下側カプセル化材料層(170)との間にシールされている電気エネルギー発生の光起電力(PV)フィルム(110)を含んでいる電気エネルギー発生モジュール(100)であって、
上記カプセル化材料のタイプおよび量は、高い温度と圧力とのうちの少なくとも一方がそこに与えられるときに、上記モジュールの形状が変更されることができるが、通常の温度および圧力のコンディションの下では上記カプセル化材料が上記電気エネルギー発生フィルム(110)の周囲に剛構造を与えるものであり、
上記電気エネルギー発生フィルムは、互いに電気的に接続されたストリップ形状の複数のセル(130)を含んでおり、
上記モジュールは、所望の二次元プロフィールを提供するように成形され、そして、
上記それぞれのストリップ形状のセル(130)の長さ方向(x1)は、上記二次元プロフィールを規定している面(x;z)に対して平行に延びている電気エネルギー発生モジュール。
【請求項2】
上記ストリップ形状のセル(130)は、互いに直列に接続されている請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
上記カプセル化材料および他の層のタイプおよび量は、
高い温度を与えることによってカプセル化材料を軟化させること、
所望の形状を得るために上記モジュール(100)に圧力を与えること、
上記カプセル化材料を硬化させること、
というステップを与えることによって、上記モジュールの形状が永久に変更されることができるものである請求項1または2に記載のモジュール。
【請求項4】
カプセル化材料のタイプおよび量は、およそ70および250℃の間の温度とおよそ0.01〜1バールの間の圧力とを与えられることによって、上記モジュールの形状が変更されるものである請求項3に記載のモジュール。
【請求項5】
上記モジュールの少なくとも1つの層に用いられる材料のタイプおよび量は、たとえ圧力が一時的にそこに与えられても、通常の温度のコンディションの下では上記モジュールの形状に亀裂を生じることがなくて永久に変更されることがないものである請求項3または4に記載のモジュール。
【請求項6】
上記電気エネルギー発生フィルム(110)は、通常の温度および圧力のコンディションの下ではフレキシブルであるサブストレート(120)を含んでいる請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項7】
上記電気エネルギー発生フィルム(110)のサブストレート(120)は、ポリイミド、PET(ポリエチレン・テレフタレート)またはPEN(ポリエチレン・ナフタレート)、アルミニウム、絶縁体−金属複合体または繊維強化材料のうちの少なくとも1つから成っている請求項6に記載のモジュール。
【請求項8】
上記モジュールの上記二次元プロフィールに従って、上記モジュール(100)内の上記電気エネルギー発生フィルム(110)がフラットではない請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項9】
上記電気エネルギー発生フィルム(110)は、アモルファスシリコン半導体構造、微結晶シリコン、薄膜シリコン、CISエレメント、CdTeエレメントおよび/または薄膜縦列セルから成っている請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項10】
上記電気エネルギー発生フィルム(110)、上記上側カプセル化材料(150)および上記下側カプセル化材料(170)は、上記モジュールが二次元プロフィールを与えるために成形されるのに先立って、フラットなプロフィールを有するスタックを与えるために一緒にボンディングされる請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項11】
上記電気エネルギー発生フィルム(110)、上記上側カプセル化材料(150)および上記下側カプセル化材料(170)は、上記モジュールが成形されかつ所望の長さに切断されるのに先立って、連続的なラミネート工程において互いにシールされる請求項1〜10のうちのいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項12】
上記モジュール(100)は、射出成形プロセスを用いて成形され、上記上側および下側のカプセル化材料は、上記プロセスにおける射出に適している樹脂から成っている請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項13】
上記上側カプセル化材料が、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレン・テレフタレート)、PEN(ポリエチレン・ナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチル・メタクリレート)、EVA(エチレン−酢酸ビニル)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)およびETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン)のうちの少なくとも1つの材料から成っている請求項1〜12のうちのいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項14】
上記下側カプセル化材料は、上記上側カプセル化材料と同一の材料から成っている請求項13に記載のモジュール。
【請求項15】
上記モジュール(100)の上記二次元プロフィールは、上記モジュールが建築上のユニットまたは面に取り付けられるか、または、1つまたはそれ以上の建築上のユニットと置き換えられるかができるように、上記建築上のユニットまたは面のフラットでないプロフィールと一致している請求項1〜14のうちのいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項16】
上記モジュールの上記二次元プロフィールは、波付けされるかまたはプロファイリングされるかしている屋根材またはアーケード・エレメントのプロフィールと一致している請求項15に記載のモジュール。
【請求項17】
上記モジュールの上記二次元プロフィールは、上記波付けされたかまたはプロファイリングされた屋根材のプロフィールと一致しており、
上記モジュールは、上記モジュールが取り付けられたときに、上記屋根材の隆起部または縁部に対してほぼ平行な方向に沿って延びるように意図された少なくとも1つのストリップ(130)を含んでおり、
上記二次元プロフィールを規定している上記面(x;z)は、上記モジュールが取り付けられたときに、上記隆起部または縁部に対してほぼ平行な上方に延びている請求項16に記載のモジュール。
【請求項18】
上記モジュールの上記二次元プロフィールは、波付けされたかまたはプロファイリングされたアーケード・エレメントのプロフィールに一致しており、
上記モジュールは、上記モジュールが取り付けられたときに、ほぼ水平な方向に沿って延びるように意図された少なくとも1つのストリップ(130)を含んでおり、
上記二次元プロフィールを規定している上記面(x;z)は、上記モジュールが取り付けられたときに、ほぼ水平な方向に延びている請求項16に記載のモジュール。
【請求項19】
上記モジュールの上記二次元プロフィールは、波付けされたかまたはプロファイリングされた屋根材のプロフィールと一致しており、
上記モジュールは、上記モジュールが取り付けられたときに、上方に延びるように意図された少なくとも1つのストリップ(130)を含んでおり、
上記二次元プロフィールを規定している上記面(x;z)は、上記モジュールが取り付けられたときに、上記隆起部あるいは縁部に対してほぼ直交する上方に延びている請求項1〜15のうちのいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項20】
上記モジュールの上記二次元プロフィールは、波付けされたかまたはプロファイリングされたアーケード・エレメントのプロフィールと一致しており、
上記モジュールは、上記モジュールが取り付けられたときに、ほぼ垂直な方向に沿って延びるように意図された少なくとも1つのストリップ(130)を含んでおり、
上記二次元プロフィールを規定している上記面(x;z)は、上記モジュールが取り付けられたときに、ほぼ垂直な方向に延びている請求項16に記載のモジュール。
【請求項21】
上記上側カプセル化材料層は、電気エネルギー発生フィルムのための上側層をも構成している請求項1〜20に記載のモジュール。
【請求項22】
上記モジュールが成形された後に、上記モジュールの下側面に付与される熱絶縁層をさらに含んでいる請求項1〜21のうちのいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項23】
上記モジュールのPV活性部分への光の集中を改善させるようにデザインされた上記上側カプセル化材料層における三次元組織をさらに含んでいる請求項1〜22のうちのいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項24】
互いに電気的に接続されたストリップ形状の複数のセル(130)、上側のカプセル化材料層(150)および下側のカプセル化材料層(170)から成る電気エネルギー発生フィルム(110)を提供することと、
上記電気エネルギー発生フィルム、上記上側カプセル化材料層および上記下側カプセル化材料層をボンディングされたスタックとして一緒にボンディングするために、高い温度と圧力とのうちの少なくとも一方を与えることと、
上記カプセル化材料を溶融/軟化させるために高い温度を保持しまたは付与し、そして、所望の二次元プロフィールを有する上記モジュールを提供するために上記ボンディングされたスタックを成形するための圧力を与えることとから成っている電気エネルギー発生モジュール(100)を作成する方法であって、
そこにおいては、提供される上記カプセル化材料のタイプおよび量は、高い温度と圧力とのうちの少なくとも一方がそこに与えられたときに、上記モジュールの形状が変更されることができるが、上記カプセル化材料(150、170)は、通常の温度および圧力のコンディションの下では電気エネルギー発生フィルム(110)の周囲に剛構造を付与し、
上記それぞれのストリップ形状のセルの長さ方向(x1)は、上記二次元プロフィールを規定する面(x;z)に対して平行に延びている方法。
【請求項25】
上記ボンディングは、高い温度と圧力との両方を与えることから成っている請求項24に記載の方法。
【請求項26】
上記ボンディングは、大よそ70および250℃の間の温度と大よそ0.3〜10バールの間の圧力とを与えることから成り、そして、上記成形は、大よそ70および250℃の間の温度と大よそ0.01〜1バールの間の圧力とを与えることから成っている請求項25に記載の方法。
【請求項27】
上記成形は、上記ボンディングに続いて直ちに行われる請求項24〜26のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
上記成形は、上記ボンディングと同時に行われる請求項24〜27のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
上記成形は、射出成形プロセスを用いることから成り、そして、上記上側および下側のカプセル化材料は、上記プロセスの間に射出成形されるのに適した樹脂から成っている請求項24〜28のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
上記高い温度は、上記電気エネルギー発生フィルム(110)にダメージを与えることなしに、上記カプセル化材料を軟化させるのに十分であり、上記方法は、成形された後に上記カプセル化材料を再硬化するために上記温度を解除するステップを含んでいる請求項24〜29のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
上記上側カプセル化材料層に三次元面組織を与えるステップをさらに含んでいる請求項24〜30のうちのいずれか1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−529889(P2007−529889A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503349(P2007−503349)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051214
【国際公開番号】WO2005/091379
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(506314520)ヴイエイチエフ・テクノロジーズ・エスエー (1)
【Fターム(参考)】