説明

二次監視レーダ

【課題】プリアンブルが含む情報をより利用することができる二次監視レーダを提供する。
【解決手段】二次監視レーダ1は、第1パルスP1〜第4パルスP4を有するプリアンブルPAを含むモードS用の応答Rを受信する。二次監視レーダ1は、プリアンブルPAのパルスP1〜P4の立上りを検出して立上り検出信号Srを出力する立上り検出部42と、プリアンブルPAのパルスP1〜P4の立下りを検出して立下り検出信号Sdを出力する立下り検出部43と、立上り検出信号Srと立下り検出信号Sdとの間に一定間隔で入力されるクロックパルスCLKをカウントしてパルス幅WC1〜WC4を測定するカウンタ部41とを含むプリアンブルパルス幅カウンタ処理部34を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリアンブルを含むモードS用の応答を受信する二次監視レーダに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、航空機に搭載されているトランスポンダに対して質問を送信するとともに、その質問に対する様々な情報をトランスポンダからの応答として受信することにより航空管制のための監視に関わる情報を取得する二次監視レーダ(SSR:Secondary Surveillance Radar)が知られている。
【0003】
二次監視レーダは、従来から使用されているATCRBSトランスポンダへのモードA/C用の質問と、近年開発されたモードSトランスポンダへのモードS用の質問とを送信している。そして、二次監視レーダは、モードA/C用の質問に対するモードA/C用の応答と、モードS用の質問に対するモードS用の応答とを受信している。
【0004】
ここでモードS用の応答は、プリアンブルと、データブロックとを含む。更に、プリアンブルは、第1パルス〜第4パルスを含む。これらの4つのパルスは、航空機に搭載されたモードSトランスポンダから、所定のパルス間隔、及び、所定のパルス幅で送信される(特許文献1参照)。
【0005】
二次監視レーダでは、上述したプリアンブルの4つのパルスが、所定のパルス間隔で検出された際にのみ、モードS用の応答と判別される。その後、二次監視レーダでは、プリアンブルの後に送信されるデータブロックに含まれる情報を処理して解析する。
【特許文献1】特開2007−71623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、二次監視レーダでは、プリアンブルのパルス間隔を測定して、規定のプリアンブルであるか否かを検出するのみである。そのため、プリアンブルが持つ他の情報は、得ることができないといった課題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、プリアンブルが含む情報をより利用することができる二次監視レーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る二次監視レーダは、第1パルス〜第4パルスを有するプリアンブルを含むモードS用の応答を受信する二次監視レーダにおいて、前記プリアンブルのパルスの立上りを検出して立上り検出信号を出力する立上り検出手段と、前記プリアンブルのパルスの立下りを検出して立下り検出信号を出力する立下り検出手段と、前記立上り検出信号と立下り検出信号との間に一定間隔で入力されるクロックパルスをカウントして、そのカウント値を前記プリアンブルのパルスのパルス幅として出力するカウンタ手段とを含むプリアンブルパルス幅カウンタ処理手段を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プリアンブルに含まれるパルスのパルス幅を情報として得ることができるので、そのパルス幅を情報として利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態による二次監視レーダと航空機との関係を示す概略図である。図2は、二次監視レーダの内部構成を示すブロック図である。図3は、モードS応答処理器の内部構成を示すブロック図である。図4は、プリアンブルパルス幅カウント処理部の内部構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、第1実施形態による二次監視レーダ1は、モードSトランスポンダ92が搭載された航空機91と、質問Q及び応答Rを送受信して、種々の情報を得て監視するものである。
【0012】
二次監視レーダ1は、地上局2に設置される。二次監視レーダ1は、アンテナ3と、送受信部4と、処理部5とを備えている。
【0013】
図2に示すように、送受信部4は、ミキサー11と、送信器12と、受信器13とを備えている。
【0014】
ミキサー11は、アンテナ3と、送信器12及び受信器13とを中継する。ミキサー11は、送信器12から送られる質問Qをアンテナ3へと送信する。また、ミキサー11は、アンテナ3から送られる応答Rを受信器13へと送信する。
【0015】
送信器12は、処理部5から入力された質問Qをミキサー11及びアンテナ3を介して、航空機91へと送信する。送信器12は、メインビームから送信されるINTパルスを出力する主送信器(図示略)と、オムニビームから送信されるサイドローブ抑圧(SLS)パルスを出力する副送信器(図示略)とを含む。
【0016】
受信器13は、質問Qに対する航空機91からの応答Rを、アンテナ3及びミキサー11を介して受信する。受信器13は、受信した応答Rを、増幅検波及び量子化によるデジタル化した後、後述するATCRBS応答処理器24及びモードS応答処理器23に供給する。
【0017】
図2に示すように、処理部5は、送信制御器21と、チャネル管理器22と、モードS応答処理器23と、ATCRBS応答処理器24と、タイミング信号発生器25と、監視処理器26とを備えている。
【0018】
送信制御器21は、送信器12と、チャネル管理器22と、タイミング信号発生器25と、監視処理器26とに接続されている。
【0019】
送信制御器21は、オールコール期間において、監視処理器26から供給される自サイトID(識別符号)及びPR値(応答確率値)に基づき、オールコール用の質問Qを生成する。尚、オールコール期間には、モードA/C専用のオールコール質問も生成される。また、送信制御器21は、ロールコール期間において、監視処理器26から供給される航空機91のモードSアドレス、距離及び方位等の航空機情報に基づき、ロールコール用の質問Qを生成する。
【0020】
送信制御器21は、送信器12及びミキサー11を介して、生成した各質問Qをアンテナ3から送信する。
【0021】
チャネル管理器22は、送信制御器21と、モードS応答処理器23と、ATCRBS応答処理器24と、タイミング信号発生器25と、監視処理器26とに接続されている。チャネル管理器22は、タイミング信号発生器25からの信号に基づき、ビームドエルタイムにスイープタイムを設定する。チャネル管理器22は、スイープタイムにオールコール期間及びロールコール期間を割り当てる。チャネル管理器22は、オールコール期間及びロールコール期間に、航空機91から応答を受信するためのウインドウ期間を割り当てる。
【0022】
モードS応答処理器23は、受信器13と、チャネル管理器22と、タイミング信号発生器25と、監視処理器26とに接続されている。
【0023】
モードS応答処理器23は、モードSトランスポンダ92を搭載した航空機91からのモードS用の応答Rに含まれるプリアンブルPAを検出するとともに、各応答Rのデータブロックに含まれる情報を解析処理する。尚、データブロックの解析処理ついては、既知の方法によって行われるので省略する。
【0024】
図3に示すように、モードS応答処理器23は、2値化処理部31と、プリアンブル相関処理部32と、データデコーダ処理部33と、プリアンブルパルス幅カウンタ処理部34とを備えている。
【0025】
2値化処理部31は、入力された応答Rを「0」と「1」の2値化する。2値化処理部31は、2値化した応答Rをプリアンブル相関処理部32と、データデコーダ処理部33と、プリアンブルパルス幅カウンタ処理部34とに出力する。
【0026】
プリアンブル相関処理部32は、2値化された第1パルスP1〜第4パルスP4を含むプリアンブルPAの相関をとるものである。
【0027】
プリアンブル相関処理部32は、第1パルスP1〜第4パルスP4のパルス間隔を測定して、規定のパルス間隔である場合は、データデコーダ処理部33、プリアンブルパルス幅カウンタ処理部34及び後段へとプリアンブル検出信号Sdeを出力する。ここで、規定の第1パルスP1と第2パルスP2とのパルス間隔は、1.0μsである。規定の第3パルスP3と第4パルスP4とのパルス間隔は、1.0μsである。規定の第1パルスP1と第3パルスP3とのパルス間隔は、3.5μsである。
【0028】
データデコーダ処理部33は、2値化された応答Rに含まれるデータブロックDBを解析処理する。データブロックDBは、マンチェスターコードである。データブロックDBの最初のデータビットは、プリアンブルPAの第1パルスP1の立上がりから8μs後の位置となる。
【0029】
プリアンブルパルス幅カウンタ処理部34は、第1〜第4パルスP1、P2、P3、P4の第1〜第4パルス幅WC1、WC2、WC3、WC4をカウントして測定するものである。
【0030】
図4に示すように、プリアンブルパルス幅カウンタ処理部34は、フリップフロップ回路FF1と、カウンタ部41と、立上り検出部42と、立下り検出部43と、カウンタラッチ回路44と、フリップフロップ回路FF2と、第1〜第3シフトレジスタSR1、SR2、SR3と、ラッチタイミング調整部45と、パルス幅ラッチ回路46とを備えている。尚、カウンタラッチ回路44と第1〜第3シフトレジスタSR1、SR2、SR3とが、請求項に記載のパルス幅保持手段に相当する。ラッチタイミング調整部45が、請求項に記載のタイミング調整手段に相当する。パルス幅ラッチ回路46が、請求項に記載のパルス幅出力手段に相当する。
【0031】
フリップフロップ回路FF1は、2値化処理部31によって2値化された後に入力されるプリアンブルPAを含む応答Rを一時的に保持した後、カウンタ部41、立上り検出部42及び立下り検出部43へと出力する。
【0032】
カウンタ部41は、立上り検出信号Srと立下り検出信号Sdとの間に入力される40MHzのクロックパルスCLKをカウントする。そして、カウンタ部41は、そのカウント値を第1パルスP1〜第4パルスP4のパルス幅WC1〜WC4としてカウンタラッチ回路44へと出力するものである。具体的には、カウンタ部41は、立上り検出部42から立上り検出信号Srが入力されたら、カウント値を「0」に戻した後、クロックパルスCLKのカウントを再開する。即ち、カウンタ部41は、第1パルスP1〜第4パルスP4が入力された後のクロックパルスCLKの数をカウントして、出力する。
【0033】
尚、カウンタ部41は、パルス幅WC1〜WC4をカウントできるビット数に構成する必要がある。ここで、クロックパルスCLKの周期が、40MHzであり、規定のパルス幅が500nsであることを考慮すると、カウンタ部41は、最低でも25以上カウントできることが好ましい。このことから、カウンタ部41は、5ビット以上が好ましい。
【0034】
立上り検出部42は、第1パルスP1〜第4パルスP4の立上りを検出する。立上り検出部42は、立上りを検出すると、カウンタ部41へ立上り検出信号Srを出力する。
【0035】
立下り検出部43は、第1パルスP1〜第4パルスP4の立下りを検出する。立下り検出部43は、フリップフロップ回路FF2を介して、カウンタラッチ回路44へと立下り検出信号Sdを出力する。
【0036】
フリップフロップ回路FF2は、立下り検出信号Sdから入力された立下り検出信号Sdを一時的に遅延させた後、カウンタラッチ回路44へと出力する。
【0037】
カウンタラッチ回路44は、カウンタ部41によってカウントされたパルス幅WC1〜WC4を一時的に保持して出力するものである。具体的には、カウンタラッチ回路44には、第1パルスP1〜第4パルスP4に対応するパルス幅WC1〜WC4が、カウンタ部41から順次入力される。カウンタラッチ回路44は、立下り検出信号Sdが入力されるまで、同じパルス幅WC1〜WC4を保持する。カウンタラッチ回路44は、保持しているパルス幅WC1〜WC4をシフトレジスタSR1及びパルス幅ラッチ回路46へと出力する。カウンタラッチ回路44は、立下り検出信号Sdが入力されると、保持しているパルス幅WC1〜WC4に代えて、その時間にカウンタ部41がカウントしているパルス幅WC1〜WC4を、新たに保持して出力する。
【0038】
第1シフトレジスタSR1は、カウンタラッチ回路44から入力されたパルス幅WC1〜WC4を、1μs遅延させる。第1シフトレジスタSR1は、遅延させた後、パルス幅WC1〜WC4を第2シフトレジスタSR2及びパルス幅ラッチ回路46へと出力する。
【0039】
第2シフトレジスタSR2は、第1シフトレジスタSR2から入力されたパルス幅WC1〜WC4を、2.5μs遅延させる。第2シフトレジスタSR2は、遅延させた後、パルス幅WC1〜WC4を第3シフトレジスタSR3及びパルス幅ラッチ回路46へと出力する。
【0040】
第3シフトレジスタSR3は、第2シフトレジスタSR2から入力されたパルス幅WC1〜WC4を、1.0μs遅延させる。第3シフトレジスタSR3は、遅延させた後、パルス幅WC1〜WC4をパルス幅ラッチ回路46へと出力する。
【0041】
尚、上述したカウンタラッチ回路44及びシフトレジスタSR1〜SR3は、カウンタ部41と同様に5ビット以上が好ましい。
【0042】
ラッチタイミング調整部45は、複数のフリップフロップ回路を含む。ラッチタイミング調整部45は、プリアンブル相関処理部32からプリアンブル検出信号Sdeが入力されると、所定の遅延時間後に、パルス幅WC1〜WC4を後段へと出力させるためのタイミング信号Stmをパルス幅ラッチ回路46へと出力する。
【0043】
パルス幅ラッチ回路46は、第1パルスP1〜第4パルスP4のパルス幅WC1〜WC4を保持して、後段へと出力する。また、パルス幅ラッチ回路46は、ラッチタイミング調整部45からタイミング信号Stmが入力されると、保持しているパルス幅WC1〜WC4に代えて、その時、カウンタラッチ回路44及びシフトレジスタSR1〜SR3から入力されているパルス幅WC1〜WC4を、新たなパルス幅WC1〜WC4として保持して、出力する。
【0044】
ATCRBS応答処理器24は、受信器13と、チャネル管理器22と、タイミング信号発生器25と、監視処理器26とに接続されている。ATCRBS応答処理器24は、オールコール期間において、ATCRBSトランスポンダを搭載した航空機(図示略)からのモードA/C専用オールコール質問応答を検出して、処理する。
【0045】
タイミング信号発生器25は、送信制御器21と、チャネル管理器22と、モードS応答処理器23と、ATCRBS応答処理器24と、監視処理器26とに接続されている。タイミング信号発生器25は、処理部5全体のシステムを統括制御すべく、アンテナ3の方位方向におけるシステムの動作や質問信号形成等のためのタイミングを形成して供給する。尚、タイミング信号発生器25は、モードS応答処理器23に40MHz(25ns)のクロックパルスCLKを入力する。
【0046】
監視処理器26は、送信制御器21と、チャネル管理器22と、モードS応答処理器23と、ATCRBS応答処理器24と、タイミング信号発生器25とに接続されている。
【0047】
監視処理器26には、種々の航空機情報等がメモリに記憶されている。監視処理器26には、プリアンブルパルス幅カウンタ処理部34からパルス幅WC1〜WC4が入力される。監視処理器26は、モードS応答処理器23から供給される航空機情報と、パルス幅WC1〜WC4を関連付けた情報を含む検出レポートを出力する。
【0048】
次に、上述した二次監視レーダ1と送受信する航空機91について簡潔に説明する。
【0049】
航空機91は、二次監視レーダ1のアンテナ3から送信されたモードS用の質問Qを受信するとともに、そのモードS用の質問Qに対するモードS応答Rを、地上局2の二次監視レーダ1に向けて送信するためのアンテナ93及びモードSトランスポンダ92とが搭載されている。モードSトランスポンダ92は、送受信部94と、送受信部94に接続された信号処理部95とを備えている。
【0050】
次に、図面を参照して、上述した第1実施形態による二次監視レーダ1と航空機91との送受信動作を説明する。
【0051】
まず、二次監視レーダ1の監視処理器26から自サイトID及びPR値等の情報に基づいて、送信制御器21は、質問Qを生成する。ここで、チャネル管理器22によって設定されたオールコール期間には、オールコール用の質問Qが生成される。一方、チャネル管理器22によって設定されたロールコール期間には、ロールコール用の質問Qが生成される。
【0052】
次に、送信制御器21は、送信器12及びアンテナ3を介して質問Qを送信する。
【0053】
次に、航空機91は、質問Qを受信すると、プリアンブルPA及びデータブロックDBを含む応答Rを送信する。
【0054】
二次監視レーダ1は、航空機91から送信された応答Rを受信すると、以下の処理を行う。ここで、データブロックDBのパルスパターンは、オールコール用の応答とロールコール用の応答とで異なる。しかしながら、プリアンブルPAは、オールコール用の応答とロールコール用の応答に関わらず同じパルスパターンで規定されている。従って、本願の特徴である、プリアンブルPAの処理は、オールコール用の応答Rとロールコール用の応答Rとに関わらず同じ処理が行われるので、併せて説明する。
【0055】
まず、二次監視レーダ1のアンテナ3で応答Rを受信すると、ミキサー11及び受信器13を介して、モードS応答処理器23へと出力される。
【0056】
次に、モードS応答処理器23では、入力された応答Rが2値化処理部31で2値化される。その後、2値化された応答Rが、プリアンブル相関処理部32へと入力される。プリアンブル相関処理部32では、入力された応答RのプリアンブルPAのパルス間隔が規定された間隔か否かを判定する。プリアンブル相関処理部32は、プリアンブルPAが検出されると、プリアンブル検出信号Sdeを、データデコーダ処理部33、プリアンブルパルス幅カウンタ処理部34、及び、後段へと出力する。
【0057】
データデコーダ処理部33は、プリアンブル検出信号Sdeが入力されると、プリアンブルPAの第1パルスP1の8μs後に入力されるデータブロックDBのデコード処理を行う。データデコーダ処理部33では、デコード結果として、データビット及び各データビットの信頼性を示す信頼性ビットを後段へと出力する。
【0058】
一方、プリアンブルパルス幅カウンタ処理部34では、プリアンブルPAに含まれる第1パルスP1〜第4パルスP4のパルス幅WC1〜WC4の測定処理が行われる。
【0059】
以下、本願の特徴であるパルス幅WC1〜WC4の測定処理について、図面を参照して説明する。図5は、プリアンブルのパルス幅の測定処理を説明するタイミング図である。図6は、第1パルスのパルス幅の測定処理を説明するタイミング図である。即ち、図6は、図5の部分拡大図に相当する。
【0060】
図5及び図6において、「カウンタ部」に示す数値は、カウンタ部によってカウントされている値である。図5において、「カウンタラッチ回路」、「シフトレジスタSR1〜SR3」、「パルスラッチ回路」に示す数値は、それぞれに保持されているパルス幅である。図6において、「カウンタラッチ回路」に示す数値は、カウンタラッチ回路に保持されているパルス幅である。
【0061】
以下の説明では、図5に示すように、航空機のトランスポンダの不具合のために、入力されたプリアンブルPAの第1パルスP1〜第4パルスP4の各パルス幅WC1〜WC4が、規定の500nsではなく、それぞれ500ns、475ns、525ns、450nsとなっているものとして説明する。また、プリアンブルパルス幅カウンタ処理部34には、タイミング信号発生器25から40MHz(25ns周期)のクロックパルスCLKが常時入力されているものとする。
【0062】
まず、図5に示すように、プリアンブルパルス幅カウンタ処理部34にプリアンブルPAが入力されると、フリップフロップ回路FF1を介して、プリアンブルPAがカウンタ部41、立上り検出部42及び立下り検出部43へと入力される。
【0063】
この後、第1パルスP1の立上りが、立上り検出部42によって検出される。立上り検出部42は、立ち上がりを検出すると、図6に示すように、カウンタ部41へと立上り検出信号Srを出力する。
【0064】
カウンタ部41では、立上り検出信号Srが入力されると、カウント値を「0」に戻すとともに、カウント状態(イネーブル状態)となる。その後、カウンタ部41は、入力されるクロックパルスCLKの数を再びカウントするとともに、そのカウント値をカウンタラッチ回路44へと出力する。
【0065】
次に、立下り検出部43が、第1パルスP1の立下りを検出すると、フリップフロップ回路FF2を介して、立下り検出信号Sdをカウンタラッチ回路44へと出力する。カウンタラッチ回路44では、立下り検出信号Sdが入力されると、保持している前のパルス幅に代えて、その時のカウンタ部41がカウントしているカウント値(=20)を新たなパルス幅WC1として保持する。カウンタラッチ回路44では、このパルス幅WC1を次の立下り検出信号Sdが入力されるまで保持して、第1シフトレジスタSR1及びパルス幅ラッチ回路46へと出力する。
【0066】
第1シフトレジスタSR1は、パルス幅WC1が入力されてから1.0μs後に、入力されたパルス幅WC1を第2シフトレジスタSR2及びパルス幅ラッチ回路46へと出力する。
【0067】
第2シフトレジスタSR2は、パルス幅WC1が入力されてから2.5μs後に、入力されたパルス幅WC1を第3シフトレジスタSR3及びパルス幅ラッチ回路46へと出力する。
【0068】
第3シフトレジスタSR3は、パルス幅WC1が入力されてから1.0μs後に、入力されたパルス幅WC1をパルス幅ラッチ回路46へと出力する。
【0069】
次に、第2パルスP2が入力されると、その立上がり及び立下りが立上り検出部42及び立下り検出部43に検出される。これにより、上述した第1パルスP1のパルス幅WC1と同様に、第2パルスP2のパルス幅WC2がカウントされて、カウンタラッチ回路44にそのパルス幅WC2が保持される。ここで、第2パルスP2のパルス幅WC2は、規定の500nsよりも短い475nsであるから、そのカウント値は、「19」になる。
【0070】
次に、第2パルスP2のパルス幅WC2は、カウンタラッチ回路44から第1シフトレジスタSR1及びパルス幅ラッチ回路46へと出力される。この1.0μs後に、第2パルスP2のパルス幅WC2は、第2シフトレジスタSR2及びパルス幅ラッチ回路46へと出力され、更に、その2.5μs後に、第3シフトレジスタSR3及びパルス幅ラッチ回路46へと出力され、その1.0μs後に、パルス幅ラッチ回路46に出力される。
【0071】
この後、第3パルスP3及び第4パルスP4が入力されると、それぞれのパルス幅WC3(=21)及びパルス幅WC4(=18)上述した処理と同様の処理によってカウントされる。その後、パルス幅WC3及びパルス幅WC4が、カウンタラッチ回路44、第1〜第3シフトレジスタSR1〜SR3を介してパルス幅ラッチ回路46へと出力される。
【0072】
次に、プリアンブル相関処理部32にプリアンブルPAが検出されると、プリアンブル相関処理部32からラッチタイミング調整部45にプリアンブル検出信号Sdeが入力される。これにより、ラッチタイミング調整部45は、所定の時間遅延させた後、タイミング信号Stmをパルス幅ラッチ回路46へと出力する。
【0073】
パルス幅ラッチ回路46は、タイミング信号Stmが入力されると、その時に、カウンタラッチ回路44、及び、第1〜第3シフトレジスタSR1〜SR3から入力されているパルス幅WC1〜WC4を、新たなパルス幅WC1〜WC4として保持する。
【0074】
ここで、タイミング信号Stmが入力された時には、上述した遅延時間により、パルス幅ラッチ回路46には、カウンタラッチ回路44からはパルス幅WC4が入力され、第1シフトレジスタSR1からはパルス幅WC3が入力され、第2シフトレジスタSR2からはパルス幅WC2が入力され、第3シフトレジスタSR3からはパルス幅WC1が入力されている。従って、パルス幅ラッチ回路46は、これらの新たな4個のパルス幅WC1〜WC4を同時に監視処理器26へと出力することになる。
【0075】
この後、監視処理器26は、航空機情報と関連付けてパルス幅WC1〜WC4を外部の処理器(図示略)へと出力する。外部の処理器では、パルス幅WC1〜WC4を航空機情報と関連付けて記憶して活用する。例えば、外部の処理器は、遠隔またはオフラインによって、航空機91(トランスポンダ92)毎のパルス幅WC1〜WC4の違いによって、航空機を特定することや応答状態の解析(ガーブル等)に利用する。
【0076】
上述したように第1実施形態による二次監視レーダ1では、プリアンブルパルス幅カウンタ処理部34によって、プリアンブルPAの第1パルスP1〜第4パルスP4のパルス幅WC1〜WC4を測定して、情報として出力することができる。これにより、二次監視レーダ1では、従来、使われることのなかったパルス幅WC1〜WC4を、航空機91を特定するための情報等に利用することができる。
【0077】
また、二次監視レーダ1では、パルス幅WC1〜WC4を保持することができるカウンタラッチ回路44、及び、第1〜第3シフトレジスタSR1〜SR3を備えることによって、4個のパルス幅WC1〜WC4を出力することができる。
【0078】
また、二次監視レーダ1では、パルス幅WC1〜WC4の出力を遅延させる第1〜第3シフトレジスタSR1〜SR3及びパルス幅WC1〜WC4を同時に保持することができるパルス幅ラッチ回路46を備えることによって、パルス幅WC1〜WC4を同時に出力することができる。
【0079】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。以下、上記実施形態を一部変更した変更形態について説明する。
【0080】
上述した実施形態における構成は、適宜変更可能である。例えば、上述した数値、各回路等を変更することが考えられる。
【0081】
上述した実施形態では、プリアンブルに含まれる第1パルス〜第4パルスの全てのパルス幅を測定して出力したが、いずれかのパルスのパルス幅のみを測定して出力するようにしてもよい。この場合、第1シフトレジスタ〜第3シフトレジスタを適宜省略することができる。
【0082】
上述した実施形態では、カウンタ部に入力されるクロックパルスの周波数を40MHzとしたが、クロックパルスの周波数は適宜変更可能である。尚、クロックパルスの周期(周波数)は、プリアンブルの第1パルス〜第4パルスのパルス幅よりも小さければよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1実施形態による二次監視レーダと航空機との関係を示す概略図である。
【図2】二次監視レーダの内部構成を示すブロック図である。
【図3】モードS応答処理器の内部構成を示すブロック図である。
【図4】プリアンブルパルス幅カウント処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図5】プリアンブルのパルス幅の測定処理を説明するタイミング図である。
【図6】第1パルスのパルス幅の測定処理を説明するタイミング図である。
【符号の説明】
【0084】
1 二次監視レーダ
2 地上局
3 アンテナ
4 送受信部
5 処理部
11 ミキサー
12 送信器
13 受信器
21 送信制御器
22 チャネル管理器
23 モードS応答処理器
24 ATCRBS応答処理器
25 タイミング信号発生器
26 監視処理器
31 2値化処理部
32 プリアンブル相関処理部
33 データデコーダ処理部
34 プリアンブルパルス幅カウンタ処理部
41 カウンタ部
42 立上り検出部
43 立下り検出部
44 カウンタラッチ回路
45 ラッチタイミング調整部
46 パルス幅ラッチ回路
91 航空機
92 トランスポンダ
93 アンテナ
94 送受信部
95 信号処理部
FF1、FF2 フリップフロップ回路
P1〜P4 第1パルス〜第4パルス
PA プリアンブル
DB データブロック
CLK クロックパルス
Q 質問
R 応答
Sr 立上り検出信号
Sd 立下り検出信号
Sde プリアンブル検出信号
SR1〜SR3 シフトレジスタ
Stm タイミング信号
WC1〜WC4 第1〜第4パルス幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パルス〜第4パルスを有するプリアンブルを含むモードS用の応答を受信する二次監視レーダにおいて、
前記プリアンブルのパルスの立上りを検出して立上り検出信号を出力する立上り検出手段と、前記プリアンブルのパルスの立下りを検出して立下り検出信号を出力する立下り検出手段と、前記立上り検出信号と立下り検出信号との間に一定間隔で入力されるクロックパルスをカウントして、そのカウント値を前記プリアンブルのパルスのパルス幅として出力するカウンタ手段とを含むプリアンブルパルス幅カウンタ処理手段を備えていることを特徴とする二次監視レーダ。
【請求項2】
前記プリアンブルパルス幅カウンタ処理手段は、前記カウンタ手段によって測定されたパルス幅が入力され、前記パルス幅を保持するパルス幅保持手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の二次監視レーダ。
【請求項3】
前記パルス幅保持手段は、4個設けられていることを特徴とする請求項2に記載の二次監視レーダ。
【請求項4】
前記4個のパルス幅保持手段の中の3個のパルス幅保持手段は、パルス幅をそれぞれ異なる遅延時間保持した後、出力することを特徴とする請求項3に記載の二次監視レーダ。
【請求項5】
前記プリアンブルパルス幅カウンタ処理手段は、
前記カウンタ手段によって測定されたパルス幅が入力され、前記パルス幅を保持するパルス幅保持手段と、
前記パルス幅保持手段から入力された複数のパルス幅を保持して出力するパルス幅出力手段とを備えていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の二次監視レーダ。
【請求項6】
前記プリアンブルパルス幅カウンタ処理手段は、前記パルス幅出力手段にタイミング信号を入力するタイミング調整手段を備え、
前記パルス幅出力手段は、前記タイミング信号が入力されると、保持しているパルス幅に代えて、新たなパルス幅を保持することを特徴とする請求項5に記載の二次監視レーダ。
【請求項7】
プリアンブルを検出して、プリアンブル検出信号を前記タイミング調整手段へと出力するプリアンブル検出手段を備え、
前記タイミング調整手段は、前記プリアンブル検出信号が入力されるとタイミング信号を出力することを特徴とする請求項6に記載の二次監視レーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−133781(P2010−133781A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308627(P2008−308627)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】