説明

二次電池搭載車両

【課題】二次電池の温度調節を効率良く行うことができる二次電池搭載車両を提供すること。
【解決手段】プラグインハイブリッド車両11には、エンジン12と、エンジン12に連結されるとともにエンジン12の廃熱と熱交換し、エンジン12を冷却する冷却水が循環する冷却液循環路13と、冷却液循環路13に設けられるラジエータ14と、二次電池22と、二次電池22に充電された電力によって駆動される走行モータ17と、が搭載されている。そして、冷却液循環路13の一部が二次電池22に連結され、二次電池22と冷却水との熱交換により二次電池22を温度調節可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関又は走行モータによって駆動される二次電池搭載車両に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両としては、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1のハイブリッド車両は、内燃機関により車輪を駆動させる第1の駆動系統と、電動機構により車輪を駆動させる第2の駆動系統と、内燃機関から延びる排気管に配設された消音器とを備える。電動機構は、高温型電池(具体的にはナトリウム−硫黄電池やリチウム系溶融塩電池)に蓄電された電力により駆動される。ナトリウム−硫黄電池の作動温度は約300〜350℃で、リチウム系溶融塩電池の作動温度は約400〜500℃である。特許文献1では、高温型電池が、消音器又は内燃機関の近傍に配設されている。そして、高温型電池は、消音器を通過する高温の排気ガスによって温度上昇し、作動温度に温度調節されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−189413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、高温型電池の温度調節は、気体である排気ガスを用いて行われる。しかし、気体は、液体に比べ熱伝導率が悪いことから、排気ガスを用いて高温型電池を作動温度に温度調節するには、その作動温度よりも高い温度の排気ガスで温度調節しなければならず、温度調節の効率が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、二次電池の温度調節を効率良く行うことができる二次電池搭載車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、内燃機関と、前記内燃機関に連結されるとともに前記内燃機関の廃熱と熱交換し、該内燃機関を冷却する冷却液が循環する冷却液循環路と、前記冷却液循環路に設けられる放熱器と、二次電池と、前記二次電池に充電された電力によって駆動される走行モータと、が搭載され、前記内燃機関又は前記走行モータによって走行する二次電池搭載車両に関する。そして、前記冷却液循環路の一部を前記二次電池に連結し、該二次電池と前記冷却液との熱交換により前記二次電池を温度調節可能にした。
【0007】
これによれば、二次電池は、内燃機関からの廃熱を受け取った冷却水との熱交換により温度調節される。冷却水(液体)は、気体に比べて熱伝導率が良い。このため、冷却水は内燃機関からの廃熱が伝わりやすく、かつ二次電池に対しても熱を伝えやすい。よって、気体を用いて二次電池の温度調節を行う場合と比べると、温度調節を効率良く行うことができる。
【0008】
また、前記温度調節は、前記二次電池の温度が、前記走行モータを駆動させる出力を得られる温度範囲になるように行われる。
これによれば、二次電池により電力を効率良く出力させることができる。
【0009】
また、前記二次電池に蓄えられた熱で前記内燃機関の暖機を行ってもよい。
これによれば、内燃機関の暖機を行うことにより、内燃機関始動時の機械損失が低減され、エミッションの低下に寄与することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、二次電池の温度調節を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態のプラグインハイブリッド車両の温調システムを模式的に示す図。
【図2】車両の始動時に行われる温調システムの動作を示すフローチャート。
【図3】第2の実施形態の温調システムの動作を示すフローチャート。
【図4】第3の実施形態の温調システムの動作を示すフローチャート。
【図5】第4の実施形態の温調システムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明の二次電池搭載車両をプラグインハイブリッド車両11(以下、単に車両11と記載する)に具体化した第1の実施形態を図1〜図2にしたがって説明する。
【0013】
図1に示すように、車両11には、内燃機関としてのガソリンエンジン12(以下、単にエンジン12と記載する)が搭載されるとともに、エンジン12には走行モータ17が連結されている。エンジン12のウォータジャケット(図示せず)には冷却液循環路13が連結されるとともに、この冷却液循環路13の一部は走行モータ17にも連結されている。
【0014】
冷却液循環路13にはウォータポンプ16が設けられるとともに、このウォータポンプ16はエンジン12と動力伝達可能に連結されている。そして、ウォータポンプ16はエンジン12の駆動に伴い駆動されるとともに、冷却水を冷却液循環路13で強制循環させる。冷却液循環路13には冷却液としての冷却水が循環し、冷却水はウォータジャケットでエンジン12からの廃熱を奪い、さらに、走行モータ17で廃熱を奪ってエンジン12及び走行モータ17を冷却するようになっている。
【0015】
エンジン12には、エンジン12の温度を検出するエンジン用温度センサ18が設けられるとともに、走行モータ17には、その温度を検出する温度センサ19が設けられている。エンジン用温度センサ18及び温度センサ19は、制御部28に信号接続されている。
【0016】
エンジン12は、温度上昇によるエンジンオイルの焼付き、燃焼室の異常燃焼等を防止するため、及び温度低下によるエンジン12の性能低下を防止するため、適温(80〜90℃)に維持されるのが好ましく、エンジン12を適温に維持するために冷却水も適温(80〜90℃)に維持されるのが好ましい。また、走行モータ17も、適正に動作させるために適温に維持されるのが好ましい。そして、エンジン用温度センサ18で検出されたエンジン12の温度情報、及び温度センサ19で検出された走行モータ17の温度情報に基づき、冷却水の温度調節が行われるようになっている。
【0017】
冷却液循環路13には放熱器としてのラジエータ14が設けられている。車両11の進行方向において、ラジエータ14の後方には送風ファン14aが配設されている。そして、エンジン12及び走行モータ17を冷却した冷却水は、主に車両11の走行時は、その走行に伴う車速風によってラジエータ14で冷却され、車両11の停止時は、送風ファン14aからの送風によってラジエータ14で冷却されるようになっている。
【0018】
また、冷却液循環路13にはラジエータ14を迂回するバイパス路13aが接続されるとともに、冷却液循環路13におけるバイパス路13aの分岐点には切換弁20が設けられている。この切換弁20は、エンジン12及び走行モータ17を冷却した冷却水をラジエータ14に流す第1位置と、エンジン12及び走行モータ17を冷却した冷却水をラジエータ14に流さず、ラジエータ14を迂回させてバイパス路13aに流す第2位置と、の2位置を取り得る。また、切換弁20は、図示しないが制御部28に信号接続され、制御部28からの指令により第1位置又は第2位置に切り換えられるようになっている。
【0019】
そして、エンジン12が適温より低い温度にあるときは、制御部28によって切換弁20が第2位置に切り換えられることで、冷却水はバイパス路13aを流れる。このため、冷却水は、ラジエータ14を流れずにウォータポンプ16に戻り、冷却水がラジエータ14で冷却されず、冷却水の温度上昇が早まる。その後、エンジン12が適温になり、冷却水が適温になれば、制御部28によって切換弁20が第1位置に切り換えられ、冷却水はバイパス路13aを流れず、ラジエータ14に流れる。
【0020】
また、冷却液循環路13において、冷却水の循環方向(矢印Yで示す)でのエンジン12より上流側であり、かつラジエータ14及びバイパス路13aより下流側には、二次電池22が設けられている。この二次電池22は、ナトリウムイオン電池よりなる。ナトリウムイオン電池は、ナトリウム化合物が融点以上の温度で液体となった溶融塩(イオン液体)を用いたものであり、正極材料に亜クロム酸ナトリウムを用い、負極材料にナトリウム合金を用いている。そして、ナトリウムイオン電池の作動温度範囲は57〜190℃であり、適正な作動温度は70〜80℃である。このため、二次電池22は、適正な作動温度(70〜80℃)に維持されるのが好ましく、この適正な作動温度は、適温にある冷却水の温度と同じになっている。なお、二次電池22は、57℃より低くなると過冷状態となり、190℃より高くなると過熱状態となる。
【0021】
二次電池22は、断熱材23によって全体が覆われている。さらに、二次電池22には冷却液循環路13の一部が連結されるとともに、二次電池22と冷却水とが、冷却液循環路13を介して間接的に熱交換可能になっている。そして、エンジン12を冷却した冷却水により、二次電池22が加熱されるようになっている。また、冷却液循環路13には電池用ウォータポンプ31が設けられるとともに、この電池用ウォータポンプ31は制御部28に信号接続されている。そして、制御部28は、エンジン12停止時に電池用ウォータポンプ31を駆動させ、冷却水を冷却液循環路13で強制循環させる。
【0022】
二次電池22には、二次電池22の温度を検出する電池用温度センサ24が設けられるとともに、この電池用温度センサ24は制御部28に信号接続されている。そして、電池用温度センサ24で検出された二次電池22の温度情報に基づき、制御部28によって二次電池22の温度調節、及び後述する二次電池22の熱を利用したエンジン12の暖機に関する制御が行われるようになっている。
【0023】
なお、二次電池22は充電コネクタ25を介して外部の交流電源(例えば商用電源)と接続することができるとともに、交流電源から充電可能になっている。また、二次電池22には、充電量を監視する充電状態検出装置30が設けられるとともに、この充電状態検出装置30は制御部28に信号接続されている。二次電池22は、図示しない電力変換装置を介して走行モータ17に接続されるとともに、電力変換装置は制御部28に信号接続されている。二次電池22から出力された電力を用いて電力変換装置により走行モータ17が駆動される。
【0024】
そして、本実施形態では、エンジン12と、冷却液循環路13と、ラジエータ14と、走行モータ17と、切換弁20と、制御部28とから、二次電池22を適温に温度調節する温調システムSが構成されている。
【0025】
次に、車両11の始動時に行われる温調システムSの動作を、作用とともに図2のフローチャートを用いて説明する。なお、冷却水は適温にあり、制御部28によって切換弁20が第1位置に切り換えられているものとする。
【0026】
さて、車両11の始動時、制御部28は、充電状態検出装置30によって検出された電池残量が多いか否かを判定する(ステップS11)。なお、電池残量が多いとは、例えば、車両11が十分に走行できる量があることである。電池残量が多い場合(ステップS11においてYES)、制御部28は電池用温度センサ24によって検出された二次電池22の温度が作動温度か否かを判定する(ステップS12)。
【0027】
二次電池22の温度が作動温度に達しておらず、二次電池22から効率良く出力が得られない場合(ステップS12においてNO)、制御部28は、エンジン12を駆動させる(ステップS13)。エンジン12が駆動されるのに伴いウォータポンプ16が駆動される。すると、エンジン12からの廃熱が伝達された冷却水が、二次電池22上の冷却液循環路13を流れ、二次電池22がエンジン12からの廃熱で加熱される(ステップS14)。その後、ステップS12に移行し、二次電池22の温度が作動温度に達している場合(ステップS12においてYES)、制御部28は、エンジン12を停止させる。エンジン12の停止に伴い、ウォータポンプ16も停止し、冷却液循環路13では冷却水の循環が停止する。
【0028】
そして、二次電池22の電池残量が多く、作動温度にあることから、制御部28は二次電池22に蓄電された電力によって走行モータ17を駆動させ(ステップS15)、走行モータ17による車両11の走行が行われる。その後、制御部28は、充電状態検出装置30によって検出された電池残量が多いか否かを判定する(ステップS16)。電池残量が多い場合(ステップS16においてYES)、ステップS15に移行し、走行モータ17による走行が継続される。一方、電池残量が少ない場合(ステップS16でNO)、制御部28は、電池用ウォータポンプ31を駆動させ、冷却水を冷却液循環路13で強制循環させる。
【0029】
すると、二次電池22で熱交換して熱を受け取った冷却水がエンジン12上の冷却液循環路13を流れ、エンジン12が二次電池22の熱で暖機される(ステップS17)。そして、エンジン12が暖機されると、制御部28は、エンジン12を駆動させ(ステップS18)、エンジン12による車両11の走行が行われる。また、エンジン12の駆動に伴い、制御部28は電池用ウォータポンプ31を停止させる。すると、エンジン12の駆動に伴いウォータポンプ16が駆動され、ウォータポンプ16によって冷却液循環路13を冷却水が循環する。
【0030】
冷却水は、ラジエータ14に流れ、エンジン12から熱を奪った冷却水は、ラジエータ14で冷却される。また、エンジン12からの廃熱が伝達された冷却水は、二次電池22上の冷却液循環路13を流れ、エンジン12からの廃熱は、電池残量の少ない二次電池22に蓄熱される。なお、ステップS11においてNOの場合、すなわち、電池残量が少ない場合も、ステップS18に移行し、エンジン12によって車両11の走行が行われる。
【0031】
上記第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)車両11において、エンジン12の冷却水と二次電池22との熱交換で、二次電池22の温度調節を行う構成とした。冷却水(液体)は、気体に比べて熱伝導率が良いため、背景技術のように気体を用いて二次電池22の温度調節を行う場合と比べると、温度調節を効率良く行うことができる。
【0032】
(2)また、気体を用いて二次電池22を作動温度にまで加熱(温度調節)するには、二次電池22の作動温度より遙かに高い温度の気体で温度調節を行う必要がある。この場合は、高温の気体を流通させるために、その流通経路を高温に耐え得る材料で形成する等の設計を必要とし、製造コストが嵩んでしまう。しかし、本実施形態では、冷却水を用いて二次電池22を作動温度にまで加熱し、冷却水は気体より低い温度でもよく、高温に耐え得る設計を必要としなくなり、製造コストも嵩まない。
【0033】
(3)エンジン12の冷却水は、エンジン12を適温に維持するために、適温(約80℃)に維持されている。そして、この冷却水の適温は、二次電池22が、走行モータ17を駆動させる出力を得ることができる温度、すなわち、適正な作動温度(70〜80℃)とほぼ同じである。このため、エンジン12の冷却システムを、二次電池22の温度調節にそのまま用いることができ、二次電池22の温度調節用に別途システムを設けることなく、二次電池22の温度調節を行うことができる。
【0034】
(4)二次電池22の電池残量が少なくなり、エンジン12を駆動させる必要がある場合、二次電池22の熱でエンジン12を暖機させる。このため、エンジン12駆動時は、エンジン12を適温にすることができ、エンジン12始動時の機械損失が低減され、エミッションの低下に寄与することができる。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、第1の実施形態に記載の温調システムSを搭載した車両11において、二次電池22が充電コネクタ25を介して交流電源によって充電されるとともに(プラグイン)、二次電池22が作動温度に温度調節された状態からの走行開始時に、温調システムSで行われる動作を、図3のフローチャートを用いて説明する。なお、制御部28によって切換弁20が第1位置に切り換えられているものとする。
【0036】
さて、制御部28は二次電池22に蓄電された電力によって走行モータ17を駆動させ、走行モータ17による車両11の走行が行われる(ステップS21)。このとき、エンジン12は駆動されず、停止状態にあるため、冷却液循環路13を冷却水は循環していない。続いて、制御部28は、充電状態検出装置30によって検出された電池残量が多いか否かを判定する(ステップS22)。電池残量が多い場合(ステップS22においてYES)、制御部28は電池用温度センサ24によって検出された二次電池22の温度から、走行時の二次電池22の放熱量が、二次電池22の発熱量より大きいか否かを判定する(ステップS23)。放熱量が発熱量より大きい場合(ステップS23においてYES)、制御部28は、電池用温度センサ24によって検出された二次電池22の温度から二次電池22が過冷状態か否かを判定する(ステップS24)。
【0037】
そして、二次電池22が過冷状態である場合(ステップS24においてYES)、制御部28は、切換弁20を第2位置に切り換えるとともに、電池用ウォータポンプ31を駆動させ、冷却液循環路13に冷却水を強制循環させる。すると、走行モータ17から熱を奪った冷却水が、二次電池22上の冷却液循環路13を流れ、二次電池22が走行モータ17からの熱で加熱される(ステップS25)。すると、二次電池22の温度は上昇し、作動温度に達する。その後、ステップS21に移行する。また、二次電池22が過冷状態にない場合(ステップS24においてNO)もステップS21に移行する。
【0038】
一方、放熱量が発熱量より小さい場合(ステップS23においてNO)、制御部28は、電池用温度センサ24によって検出された二次電池22の温度から二次電池22が過熱状態か否かを判定する(ステップS26)。二次電池22が過熱状態である場合(ステップS26においてYES)、制御部28は、電池用ウォータポンプ31を駆動させ、切換弁20が第1位置にある状態のまま冷却液循環路13に冷却水を強制循環させる。すると、ラジエータ14で冷却された冷却水が、二次電池22上の冷却液循環路13を流れ、二次電池22が冷却水により冷却される(ステップS27)。すると、二次電池22の温度は低下し、作動温度に達する。その後、ステップS21に移行する。また、二次電池22が過熱状態にない場合(ステップS26においてNO)もステップS21に移行する。
【0039】
ステップS22においてNOの場合、すなわち、二次電池22の電池残量が少ない場合は、その後、エンジン12による車両11の走行に切り換えられる可能性がある。このとき、制御部28は、エンジン用温度センサ18によって検出されたエンジン12の温度によって、エンジン12の暖機が必要か否かを判定する(ステップS28)。エンジン12の暖機が必要な場合(ステップS28においてYES)、制御部28は、電池用ウォータポンプ31を駆動させるとともに、切換弁20を第2位置に切り換え、冷却水がラジエータ14を流れないようにして冷却液循環路13に冷却水を強制循環させる。すると、二次電池22上の冷却液循環路13を冷却水が流れ、二次電池22からの熱が伝達された冷却水により、エンジン12が暖機される(ステップS29)。その後、制御部28は、走行状況に応じて、走行モータ17とエンジン12の駆動を制御し、車両11ではハイブリッド走行が行われる(ステップS30)。
【0040】
なお、ステップS30において、ハイブリッド走行が行われるときは、制御部28は、電池用ウォータポンプ31の駆動を停止させるとともに、切換弁20を第1位置に切り換える。そして、エンジン12が駆動される際は、ウォータポンプ16によって冷却液循環路13を冷却水が強制循環し、エンジン12からの廃熱が伝達された冷却水は、ラジエータ14で冷却される。一方、エンジン12の暖機が必要ない場合(ステップS28においてNO)、ステップS30に移行する。
【0041】
ハイブリッド走行中、制御部28は、電池用温度センサ24によって検出された二次電池22の温度から、二次電池22が作動温度より低いか否かを判定する(ステップS31)。二次電池22が作動温度より低い場合(ステップS31においてYES)、制御部28は、電池用ウォータポンプ31を駆動させ、冷却液循環路13に冷却水を強制循環させる。すると、残量の少ない二次電池22がエンジン12からの廃熱で加熱され、二次電池22が暖機状態に維持される(ステップS32)。一方、二次電池22が作動温度より高い場合(ステップS31においてNO)、エンジン12からの熱は排熱される(ステップS33)。
【0042】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1)〜(4)と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)車両11の走行開始時に、二次電池22の温度が作動温度にある場合は、二次電池22の温度を作動温度に維持するように、冷却水で二次電池22の温度調節をする。このため、二次電池22からの電力を安定して出力させることができる。
【0043】
(第3の実施形態)
次に、第1の実施形態に記載の温調システムSを搭載した車両11において、二次電池22が充電コネクタ25を介して交流電源によって充電されるとともに(プラグイン)、作動温度に温度調節された状態からの走行開始時に、温調システムSで行われる動作を、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、図4のフローチャートは、図3のフローチャートにおける動作に、暖房機能を使用する際の動作を付加したものである。このため、以下の説明においては、図3のフローチャートと同じ動作ついては同一番号を付すとともに、その重複する説明を省略する。そして、新たに付加した動作について、新たに番号を付して説明する。
【0044】
さて、走行時の二次電池22の放熱量が発熱量より大きい場合(ステップS23においてYES)、二次電池22の熱を暖房に利用する(ステップS23a)。このとき、制御部28は暖房ユニット(図示せず)を駆動させる。具体的には、暖房ユニットの送風機を駆動させ、送風機から送られたエアを二次電池22を通過させ、そのエアを二次電池22の熱で加熱し、温風を車室内に送風する。また、ハイブリッド走行時(ステップS30)、エンジン12の廃熱を暖房に利用する(ステップS30a)。
【0045】
従って、第3の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1)〜(4)と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(6)二次電池22の熱を暖房の熱源として利用することができる。したがって、暖房負荷が増えたとき、二次電池22の熱を利用することで、暖房負荷を軽減することができる。
【0046】
(第4の実施形態)
次に、第1の実施形態に記載の温調システムSを搭載した車両11において、車両11が停止し、放置された状態からの走行開始時に、温調システムSで行われる動作を、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、制御部28によって切換弁20が第1位置に切り換えられているものとする。
【0047】
さて、制御部28は、状況に応じて、走行モータ17とエンジン12の駆動を制御し、車両11ではハイブリッド走行が行われる(ステップS41)。このとき、エンジン12が駆動されるため、ウォータポンプ16が駆動されるとともに、第1位置にある切換弁20により、エンジン12からの廃熱を奪った冷却水は、ラジエータ14で冷却される。
【0048】
次に、制御部28は、充電状態検出装置30によって検出された電池残量が多いか否かを判定する(ステップS42)。電池残量が多い場合(ステップS42においてYES)、制御部28は電池用温度センサ24によって検出された二次電池22の温度が作動温度より低いか否かを判定する(ステップS43)。二次電池22の温度が作動温度に達しておらず、二次電池22から効率良く出力が得られない場合(ステップS43においてYES)、制御部28は、切換弁20を第2位置に切り換える。すると、エンジン12からの廃熱が伝達され、かつラジエータ14で冷却されていない冷却水が、二次電池22上の冷却液循環路13を流れ、二次電池22がエンジン12からの廃熱で加熱される(ステップS44)。
【0049】
次に、制御部28は、電池用温度センサ24によって検出された二次電池22の温度から、二次電池22の温度が作動温度か否かを判定する(ステップS45)。そして、二次電池22の温度が作動温度に達している場合(ステップS45においてYES)、制御部28はエンジン12を停止させるとともに、走行モータ17のみを駆動させ、車両11では走行モータ17による走行が行われる(ステップS46)。なお、ステップS43においてNOの場合、すなわち、二次電池22の温度が作動温度に達している場合も、ステップS46に移行し、車両11では走行モータ17による走行が行われる。
【0050】
また、ステップS45においてNOの場合、すなわち、二次電池22の温度が作動温度に達していない場合、ステップS44に移行し、エンジン12からの廃熱による二次電池22の加熱が継続される。
【0051】
また、電池残量が少ない場合(ステップS42においてNO)、車両11ではハイブリッド走行が行われる(ステップS47)。その後、制御部28は、電池用温度センサ24によって検出された二次電池22の温度から、二次電池22の温度が作動温度より低いか否かを判定する(ステップS48)。このとき、エンジン12は駆動されているため、ウォータポンプ16が駆動されるとともに、第1位置にある切換弁20により、エンジン12からの廃熱を奪った冷却水は、ラジエータ14で冷却されている。そして、二次電池22の温度が作動温度より低い場合(ステップS48においてYES)、制御部28は、切換弁20を第2位置に切り換える。すると、エンジン12からの廃熱が伝達された冷却水が、二次電池22上の冷却液循環路13を流れ、二次電池22がエンジン12からの廃熱で加熱される(ステップS49)。一方、二次電池22が作動温度より高い場合(ステップS48においてNO)、エンジン12からの廃熱は捨てられる(ステップS50)。
【0052】
従って、第4の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1)〜(4)と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(7)車両11が停止状態で放置されているときは、二次電池22が冷えて作動温度より低い温度にある。このような場合、エンジン12からの廃熱で二次電池22を作動温度にまで加熱することができる。よって、二次電池22を速やかに作動温度にすることができ、二次電池22から効率良く電力を出力させることができる。
【0053】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 各実施形態では、二次電池22を冷却液循環路13に設け、二次電池22と冷却水とを、冷却液循環路13を介して間接的に熱交換させて二次電池22の温度調節を行ったが、これに限らない。例えば、二次電池22の絶縁を確保した状態で、冷却液循環路13内に二次電池22を配設(ドブ付け)し、二次電池22と冷却水とを直接的に熱交換させて二次電池22の温度調節を行ってもよい。
【0054】
○ 各実施形態では、二次電池22としてナトリウムイオン電池を用いたが、作動温度範囲が冷却水の温度に近いものであれば、その他の種類のものに変更してもよい。
○ 各実施形態では、二次電池搭載車両としてプラグインハイブリッド車両11に具体化したが、ハイブリッド車両、レンジ・エクステンダー車両に具体化してもよい。
【0055】
○ 各実施形態では、内燃機関をガソリンエンジン12に具体化したが、ディーゼルエンジンに具体化してもよい。
○ 各実施形態では、冷却液として冷却水に具体化したが、水ではなくオイルに変更してもよく、液体であれば、オイル以外のものに変更してもよい。
【0056】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記冷却液循環路には、前記放熱器をバイパスさせるバイパス路、及び前記冷却液循環路での前記冷却水の流路を切り換える切換弁が設けられている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の二次電池搭載車両。
【0057】
(ロ)前記二次電池に蓄えられた熱を暖房の熱源とする請求項1〜請求項3、及び技術的思想(イ)のうちいずれか一項に記載の二次電池搭載車両。
(ハ)内燃機関と、前記内燃機関に接続されるとともに前記内燃機関の廃熱と熱交換し、該内燃機関を冷却する冷却液が循環する冷却液循環路と、前記冷却液循環路に設けられる放熱器と、二次電池と、前記二次電池に充電された電力によって駆動される走行モータと、前記冷却液循環路に冷却水を循環させるポンプと、制御部と、からなり、前記冷却液循環路の一部が前記二次電池に接続されており、前記二次電池の出力によって前記走行モータを駆動させた状態で、前記二次電池の温度が作動温度より低い場合は、前記制御部は前記内燃機関を駆動させるとともに前記ポンプを駆動させ、前記内燃機関からの熱を奪った前記冷却水により前記二次電池を加熱し、前記二次電池の温度が前記作動温度になれば、前記制御部は前記内燃機関及び前記ポンプを停止させ、前記電池残量が少なくなり、前記内燃機関に切り換えるときは、前記制御部は、前記ポンプを駆動させ、前記二次電池からの熱を奪った冷却水により前記内燃機関を暖機することを特徴とする温調システム。
【符号の説明】
【0058】
11…二次電池搭載車両としてのプラグインハイブリッド車両、12…内燃機関としてのエンジン、13…冷却液循環路、14…放熱器としてのラジエータ、17…走行モータ、22…二次電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
前記内燃機関に連結されるとともに前記内燃機関の廃熱と熱交換し、該内燃機関を冷却する冷却液が循環する冷却液循環路と、
前記冷却液循環路に設けられる放熱器と、
二次電池と、
前記二次電池に充電された電力によって駆動される走行モータと、が搭載され、
前記内燃機関又は前記走行モータによって走行する二次電池搭載車両において、
前記冷却液循環路の一部を前記二次電池に連結し、該二次電池と前記冷却液との熱交換により前記二次電池を温度調節可能にした二次電池搭載車両。
【請求項2】
前記温度調節は、前記二次電池の温度が、前記走行モータを駆動させる出力を得られる温度範囲になるように行われる請求項1に記載の二次電池搭載車両。
【請求項3】
前記二次電池に蓄えられた熱で前記内燃機関の暖機を行う請求項1又は請求項2に記載の二次電池搭載車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−38998(P2013−38998A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175191(P2011−175191)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】