説明

二次電池装置

【課題】組立性および信頼性の向上を図ることが可能な二次電池装置を提供する。
【解決手段】二次電池装置は、それぞれ一端側に電極端子32a、32bを有し、これらの電極端子が同一方向を向いた状態で互いに隙間を置いて並べて配置された複数の電池セル14と、複数の電池セルの一端側を両側から支持する一対の支持部材であって、それぞれ複数の電池セルの配列方向に沿って延び複数の電池セル一端部外側に対向する支持体40a、40bと、それぞれ支持体から突出し電池セル間の隙間に押し込まれた複数のスペーサ42と、を有する一対の支持部材と、一対の支持部材の外側に係合され、支持部材を、電池セルを支持した状態に保持する保持部材と、それぞれ隣合う電池セルの電極端子間を電気的に接続する複数の導電部材50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで述べる実施形態は、複数の二次電池セルを有する二次電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池、例えば、非水系二次電池であるリチウムイオン二次電池は、高出力、高エネルギー密度を有することから、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、電動自転車の電源、あるいは、電気機器の電源として注目されている。
【0003】
一般に、二次電池は、外装容器と、この外装容器内に電解液とともに収納された電極群と、外装容器に設けられた電極端子と、を備えた電池セルとして構成されている。高容量化、高出力化を図るため、複数の電池セルをケース内に並べて配置し、これらの電池セルを並列あるいは直列に接続した電池モジュールを構成し、更に、複数の電池モジュールを接続して電池パックを構成している。
【0004】
電池パックは車内の後部や床下などに設置されるが、限られたスペースに収める必要があること、電池パックの重量が乗り物の性能に影響すること等から、小型、軽量化が必須となっている。そのため、電池パック内に納める電池モジュールにおいても可能な限り小形・軽量化が求められる。
【0005】
電池モジュールにおいて、電池セルを絶縁する目的からケースの材料として樹脂が採用されている。ケースは電池セルを覆うように構成され、ケース側に設けられた枠の中に各々の電池セルが装填される。しかし、電池セルをはめ込む際の組立性の観点から、ケースの寸法公差を大きくとらざるを得ず、電池セルと樹脂ケースとの間に若干の隙間が存在する。電池セルと樹脂ケースとに隙間が存在すると、稼動中の振動により電池セルがケースとの隙間で振動しセル間の相対変位が生じる。この場合、電池セルの端子に取り付けられたバスバーに負担がかかり、バスバーが損傷する可能性がある。そのため、接着剤により電池セルと樹脂ケースとの隙間を埋め、電池セルを固定する方法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−66061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、接着剤を充填する工程が余分に必要なため、電池モジュールの組立時間の短縮を図ることが困難となる。また、二次電池装置の長期的な信頼性を維持する観点から、接着剤に依存しない固定が望ましい。
【0008】
この発明は以上の点に鑑みなされたものであり、組立性および信頼性の向上を図ることが可能な二次電池装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の実施態様に係る二次電池装置は、それぞれ一端側に電極端子を有し、これらの電極端子が同一方向を向いた状態で互いに隙間を置いて並べて配置された複数の電池セルと、前記複数の電池セルの前記一端側を両側から支持する一対の支持部材であって、それぞれ前記複数の電池セルの配列方向に沿って延び前記複数の電池セルの前記一端部外側に対向する支持体と、それぞれ支持体から突出し電池セル間の隙間に押し込まれた複数のスペーサと、を有する一対の支持部材と、前記一対の支持部材の外側に係合され、前記支持部材を、前記電池セルを支持した状態に保持する保持部材と、それぞれ隣合う前記電池セルの電極端子間を電気的に接続する複数の導電部材と、を備えている
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る二次電池装置を示す斜視図。
【図2】図2は、前記二次電池装置の外ケース、内部の電池セル群、および支持枠を示す分解斜視図。
【図3】図3は、前記二次電池装置の上面板、上部支持枠、下部支持板、電池セル、バスバーを分解して示す分解斜視図。
【図4】図4は、前記上部支持枠の一部を拡大して示す斜視図。
【図5】図5は、図1の線A−Aに沿った二次電池装置の断面図。
【図6】図6は、前記二次電池装置における電子セルと上部支持枠との係合状態を示す平面図。
【図7】図7は、第2の実施形態に係る二次電池装置の上部支持枠の一部を拡大して示す斜視図。
【図8】図8は、第2の実施形態に係る二次電池装置における電子セルと上部支持枠との係合状態を示す平面図。
【図9】図9は、第3の実施形態に係る二次電池装置の上部支持枠の一部を拡大して示す斜視図。
【図10】図10は、第3の実施形態に係る二次電池装置における電子セルと上部支持枠との係合状態を示す断面図。
【図11】図11は、第4の実施形態に係る二次電池装置の上部支持枠の一部を拡大して示す斜視図。
【図12】図12は、第4の実施形態に係る二次電池装置における電子セルと上部支持枠との係合状態を示す断面図。
【図13】図13は、第5の実施形態に係る二次電池装置を示す分解斜視図。
【図14】図14は、第5の実施形態に係る二次電池装置の上部支持枠と電池セルとの係合状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、第1の実施形態に係る二次電池装置について詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る二次電池装置の外観を示す斜視図、図2は、二次電池装置の外ケース、内部の電池セル群、および支持枠を示す分解斜視図、図3は、二次電池の電池セル群、および支持枠を示す分解斜視図である。
【0012】
図1、図2、図3に示すように、二次電池装置10は、上面が開口したほぼ矩形箱状の外ケース12と、外ケース内に収容された複数、例えば、10個の電池セル(二次電池)14と、を備え、組電池として構成されている。有底の外ケース12は、例えば、金属により形成されている。
【0013】
二次電池装置10は、複数の電池セル14をそれぞれ支持する上部支持枠16、中央支持枠18、および下部支持板20を備え、これらの支持枠および支持板は、電池セル14とともに外ケース12内に収容されている。更に、二次電池装置10は、電池セル14の上端を覆っているとともに、外ケース12の上面開口12aを閉じる上面板22を備えている。上部支持枠16、中央支持枠18、下部支持板20、上面板22は、それぞれ絶縁性を有する合成樹脂、例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)により形成されている。
【0014】
図3に示すように、各電池セル14は、例えば、リチウムイオン電池等の非水電解質二次電池であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された扁平な略直方体形状の外装容器30と、外装容器30内に非水電解液と共に収納された電極体31と、を備えている。外装容器30は、上端が開口した容器本体と、容器本体に溶接され容器本体の開口を閉塞した矩形板状の蓋体とを有し、液密に形成されている。電極体31は、例えば、正極板および負極板をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回し、更に、径方向に圧縮することにより、偏平な矩形状に形成されている。
【0015】
正極端子32aおよび負極端子32bが蓋体の長手方向両端部にそれぞれ設けられ、蓋体から突出している。正極端子32aおよび負極端子32bは、電極体31の正極および負極にそれぞれ接続されている。一方の端子、例えば、正極端子32aは、蓋体30bに電気的に接続され、外装容器30と同電位となっている。負極端子32bは、蓋体30bを貫通して延びている。負極端子32bと蓋体30bとの間には、合成樹脂、ガラス等の絶縁体からなるシール材、例えば、ガスケットが設けられている。
【0016】
蓋体の中央部には、例えば、矩形状の安全弁36が形成されている。安全弁36は、蓋体30bの一部を約半分程度の厚さに薄くした薄肉部により形成され、この薄肉部の上面中央部に、複数の刻印が形成されている。電池セル14の異常モード等により外装容器30内にガスが発生し、外装容器内の内圧が所定の値以上に上昇した際、安全弁36が開放し、内圧を下げて外装容器30の破裂等の不具合を防止する。
【0017】
外装容器30の上端部および下端部を除いて、外装容器の外周に絶縁性のフィルムを巻装してもよい。このフィルムは、外装容器30の膨張を規制するとともに、外装容器30と他の電池セル14との短絡、あるいは、外装容器30と他の部材との短絡を防止する。
【0018】
図2および図3に示すように、複数の電池セル14は、外装容器30の主面同士が所定の隙間を置いて向い合った状態で、かつ、電極端子が設けられている外装容器30の上端が同一方向を向いた状態で、一列に並んで配設されている。
【0019】
図2、図3、図5に示すように、下面支持部材として機能する下部支持板20は、10個の電池セル14に対応する大きさの矩形板状に形成されている。下部支持板20の内面には、電池セル14の数に対応した数、ここでは、10個の係合溝21が形成されている。各係合溝21は、電池セル14の外装容器30の断面形状に対応した細長い矩形状に形成され、下部支持板20の幅方向に沿って延びている。複数の係合溝21は、下部支持板20の長手方向に所定の間隔を置いて並んで設けられている。そして、各電池セル14は、外装容器30の下端部が下部支持板20の係合溝21内に嵌合され、下部支持板上に支持されている。
【0020】
図2および図5に示すように、中央支持枠18は、10個の電池セル14に対応する大きさの矩形枠状に形成され、電池セル14の中央部外周に装着されている。中央支持枠18は、異常動作時などで電池セル14の中央部が膨らんだ際、過度の膨らみを抑える支持部材として機能し、通常は電池セルの拘束力は持たなくてもよい。また、中央支持枠18は、電池セル14の高さ方向に沿って、上下に延出する位置決め部18aを有し、これらの位置決め部18aが下部支持板20および上部支持枠16に当接することにより、中央支持枠18は電池セル14の中央部外周に位置決め保持されている。
【0021】
図2、図3、図5に示すように、上面板22は、10個の電池セル14に対応する大きさの矩形板状に形成されている。上面板22には、後述するように、それぞれ電池セル14の電極端子を挿通するための複数の開口24が形成されている。これらの開口24は、上面板22の長手方向に沿って、2列に並んで設けられている。上面板22の上面中央部に、排気管25が一体に形成され、上面板22の長手方向に沿って、かつ、上面板22の全長に亘って延びている。また、上面板22には、それぞれ電池セル14の安全弁36に対向する複数の排気孔26が形成され、これらの排気孔は、排気管25に連通している。更に、上面板22の両側縁にそれぞれ係合凸部28が形成されている。これらの係合凸部28は、上面板22の側縁に沿って、かつ、上面板の長手方向の全長に亘って延びている。
【0022】
上面板22は、複数の電池セル14の上端、例えば、蓋体に当接した状態で、電池セル14の上を覆っている。上面板22は、電池セル14の位置決め基準として機能している。すなわち、本実施形態では、複数の電池セル14は、上面板22に当接することにより、上端位置、特に、電極端子の高さ位置が決めされている。これにより、複数の電池セル14は、電極端子の高さ位置がばら付くことなく、揃った状態で配列されている。各電池セル14の正極端子32aおよび負極端子32bは、それぞれ対応する開口24内に挿通され、上方に露出している。各電池セル14の安全弁36は上面板22の排気孔26に対向している。
【0023】
図2、図3、図5、図6に示すように、上部支持枠16は、10個の電池セル14に対応する大きさの矩形枠状に形成され、電池セル14の上部側面を支持する支持部材として機能する。本実施形態では、上部支持枠16は、電池セル14の上端部外周に装着され、上面板22基準で位置決めされた複数の電池セル14を固定保持している。上部支持枠16は、複数の電池セル14の配列方向に沿って延び電池セルの上端部外側を囲む枠本体40と、それぞれ枠本体40から突出し電池セル14間の隙間に押し込まれた複数のスペーサ42と、を有している。上部支持枠16の枠本体40は、2つの枠体40a、40bに分かれて形成されている。それぞれ支持体として機能する2つの枠体40a、40bは、電池セル14の配列方向に沿って延びる長辺部44と長辺部の両端から長辺部と直交する方向に延びる一対の短辺部46とを一体に有し、ほぼコ字状に形成されている。長辺部44には、長手方向に所定の間隔をおいて複数のねじ孔47が形成されている。
【0024】
各枠体40a、40bの各短辺部46の先端部は、凹凸部を有しフック46aを形成している。すなわち、枠体40aの各短辺部46の先端部において、幅方向下側の側縁には、凹部41aおよび凸部41bが並んで形成されている。枠体40bの各短辺部46の先端部において、幅方方向上側の側縁には、凸部43aおよび凹部43bが並んで形成され、これら凸部43aおよび凹部43bは、他方の枠体40a側の各短辺部46の先端に形成された凹部41aおよび凸部41bとそれぞれ係合可能に形成されている。
【0025】
各短辺部46にねじ孔47が形成されている。2つの枠体40a、40bは、複数の電池セル14の両側から電池セルに装着され、短辺部46のフック46aが互いに係合している。これにより、2つの枠体40a、40bが互いに連結され、電池セル14の上端部外周を囲んだ矩形枠状の枠本体40を構成している。
【0026】
図3、図4、図5、図6に示すように、複数のスペーサ42は、各枠体40a、40bの長辺部44に突設され、長手方向に所定の間隔を置いて並んでいる。複数のスペーサ42は、長辺部44から電池セル14側に突出する突起として形成され、更に、それぞれ電池セル14に向かって先細となる楔形状に形成されている。これら複数のスペーサ42は、隣り合う電池セル14間の隙間に押し込まれている。このように、2つの枠体40a、40bを複数の電池セル14に両側から装着し、2つの枠体を互いに連結するとともに、複数のスペーサ42を電池セル14間の隙間の各々に両側から押し込むことにより、電池セル14の上端部は、所定の位置に位置決めされた状態に、かつ、互いに所定の間隔を置いた状態に、上部支持枠16によって固定および支持される。
【0027】
また、本実施形態において、各枠体40a、40bの長辺部44の内面に係合溝48が形成され、この係合溝48は、長辺部44の長手方向全長に亘って延びている。2つの枠体40a、40bを複数の電池セル14に両側から装着することにより、上面板22の両側縁部に形成された係合凸部28がそれぞれ枠体40a、40bの係合溝48に嵌合している。これにより、上部支持枠16は、上面板22と係合して一体となり、上面板22に対して所定位置に位置決め、すなわち、電池セル14に対して所定位置に位置決めされている。
【0028】
図2、図3、図5に示すように、複数の電池セル14は、導電性部材としての複数のバスバー50により、直列に接続されている。各バスバー50は、導電材料、例えば、アルミニウム等からなる金属板で形成されている。バスバー50は、電池セル14の正極端子32aあるいは負極端子32bが係合する端子開口50aを有している。各バスバー50は、一方の端子開口50aに電池セル14の正極端子32aが挿通された状態でこの正極端子に接続され、他方の端子開口50aに、隣合う他の電池セル14の負極端子32bが挿通された状態でこの負極端子に接続されている。バスバー50は、例えば、レーザ溶接により電極端子に接合されている。溶接は、レーザ溶接に代えて電子ビーム溶接や抵抗溶接を用いてもよい。このように、10個の電池セル14は、9個のバスバー50により直列に接続されている。なお、複数の電池セルは、直列に限らず、並列に接続するようにしてもよい。
【0029】
複数の電池セル14の内、配列の一方の端に位置した電池セル14の負極端子32b、および、配列の他端に位置した電池セル14の正極端子32aには、それぞれ出力端子52が接続されている。
【0030】
図1および図5に示すように、上部支持枠16、中央支持枠18、下部支持板20、上面板22により支持された電池セル14は、これら上部支持枠16、中央支持枠18、下部支持板20とともに外ケース12内に収容されている。下部支持板20は、外ケース12の底壁上に載置され、外ケース12と電池セル14間の絶縁を維持している。中央支持枠18は、外ケース12に囲まれている。上部支持枠16は、外ケース12に外側から囲まれているとともに、外ケース12を通してねじ込まれた複数のねじにより、外ケースにねじ止め固定されている。このように、外ケース12は、保持部材として機能し、上部支持枠16を、複数の電池セル14を支持した状態に保持している。外ケース12の上部開口は、上面板22および上部支持枠16により閉じられている。
【0031】
以上のように、複数の電池セル14を並べて構成される二次電池装置は、電池セル14を固定する上部支持枠、中央支持枠、下部支持板を例えば、樹脂部材で構成し、更に、その外側を外ケース12で覆う構成としている。使用時の異常などで電池セル14が膨らむなどの変形をしても、電池セル14の上端部、および電池セルの下端部は変形量が少ないこと、缶セルとしての剛性が高い。そこで、上部支持枠および下部支持枠によって電池セル14の上端部あるいは下端部を両側から支持する構成とすることで、電池セルを強固に固定している。中央支持枠は異常時などで電池セル中央部が膨らんだ際の支持部材として機能する。電池セル14の上面には正極端子および負極端子が設けられ、これら電極端子とバスバー50とのレーザ溶接作業の効率化を図るため、電池セル14の高さはできるだけ揃えておくことが望ましい。そのため、電池セル14の上面を支持する上面板22と電池セルの上端部側面を支持する上部支持枠16を、機能毎に2つの部材にわけている。上部支持枠16には、隣り合う電池セル14間の隙間と対向する位置にスペーサ42を設けてあり、側面からスペーサが隙間に挿入されることで電池セルを押し付けて支持している。尚、下部支持板も上部支持枠16と同様の構成とし、電池セル14下端部を支持する下面板と側面を支持する下部支持枠とから構成してもよい。
【0032】
上部支持枠16は、左右2つの枠体に分かれており、枠体の長辺部には電池セル14を支持するスペーサ42が設置されている。短辺部は2つの枠体が所定の位置まで近づいた時点でフックが互いに嵌まり合うことで連結され、連結した後は容易には外れないようになっている。2つの枠体をボルトで締結するという方法もあるが、ボルトを取り付けるためのスペースが必要となるため、樹脂材の噛合わせにて連結している。
【0033】
上部支持枠を短辺部のみでの固定とするため、中央部の電池セル14などでは上部支持枠16による電池セルの支持力が低下する可能性がある。そこで、保持部材として機能する外ケース12により上部支持枠16の外側を囲うことによって上部支持枠を押さえ、上部支持枠による電池セル支持力の低下を抑制している。なお、上部支持枠16と外ケース12との接合を強化するため、本実施形態にように、上部支持枠16と外ケース12とをねじなどで締結しても良い。
【0034】
以上のように構成された二次電池装置によれば、接着剤を用いることなく、複数の電池セルをガタ無く支持および保持することができる。そのため、組立てにおいて、接着剤を塗布する工程を省き組立時間の短縮を図ることができる。同時に、接着剤に依存することなく、長期間に亘って電池セルをガタ無く支持することができ、信頼性の向上を図ることができる。これにより、小型で組立性および信頼性の向上した二次電池装置が得られる。
【0035】
上述した第1の実施形態において、下部支持板を省略し、外ケースの底壁に絶縁シート等を載置する構成としてもよい。また、上面板を省略することも可能である。この場合、二次電池装置の組立て時、所望の治具等を位置決め基準として用いて複数の電池セルを位置決め配置し、この状態で、上部支持枠により複数の電池セルを支持および固定保持するようにすることができる。
【0036】
上述した第1の実施形態において、保持部材は、外ケースにより構成したが、これに限らず、外ケースから独立した枠状の部材とし、これを上部支持枠の外側に係合して上部支持枠を保持する構成としてもよい。また、保持部材は、枠状に限らず、独立した複数の部材で形成されていてもよく、2つの支持部材を保持し、支持部材の変位および変形を抑制できればよい。
【0037】
上部支持枠を構成する2つの枠体は、それぞれフックにより互いに連結する構成としたが、これに限らず、2つの枠体、すなわち、2つの支持部材は、複数の電池セルの両側に装着され、互いに離間した状態で保持されていてもよい。この場合、治具等により一対の支持部材を外側から囲んで保持した後、この治具に代えて保持部材を支持部材の外側に係合させることで、二次電池装置を構成することができる。
【0038】
次に、他の実施形態に係る二次電池装置について説明する。
図7は、第2の実施形態に係る二次電池装置の上部支持枠を一部拡大して示し、図8は、上部支持枠と電池セルとの係合状態を示している。
【0039】
強度の向上を図るために、上部支持枠16がガラス繊維などで強化されている場合、樹脂材の剛性が高く、上部支持枠のスペーサ42は弾性変形しにくくなる。そのため、スペーサ42を電池セル14間の隙間に押し込みにくくなる。そこで、第2の実施形態では、図7および図8に示すように、上部支持枠16の各スペーサ42にスリット43を形成し、スペーサの弾性係数を低く設定している。ここでは、スリット43は、スペーサ42の延出方向、つまり、枠本体の長辺部44と直交する方向に沿って延びている。これによって、各スペーサ42は、電池セル14の配列方向Bに弾性変形可能となり、電池セル14間の隙間に押し込み易く、複数のスペーサ42により複数の電池セル14を支持および保持することができる。
【0040】
図9は、第3の実施形態に係る二次電池装置の上部支持枠を一部拡大して示し、図10は、上部支持枠のスペーサと電池セルとの係合状態を示している。第3の実施形態によれば、図9および図10に示すように、上部支持枠16の各スペーサ42は、複数、例えば、第1、第2、第3スペーサ42a、42b、42cの3つに分かれて形成され、それぞれ電池セル間の隙間よりも小さい幅に形成されている。第1、第2、第3スペーサ42a、42b、42cは、電池セル14の高さ方向に離間して設けられている。また、第1および第3スペーサ42a、42cは、隣り合う2つの電池セル14の一方の電池セルのみに接触する位置に設けられ、第2スペーサ42bは他方の電池セルのみに接触する位置に設けられている。
【0041】
上記構成によれば、スペーサ42の第1ないし第3スペーサを比較的細くかつ薄く形成し、弾性変形し易くすることができる。これにより、組立て時、上部支持枠16のスペーサ42を電池セル14間に容易に押し込むことができ、かつ、複数のスペーサ42a、42b、42cにより複数の電池セル14を支持および保持することができる。
【0042】
図10は、第4の実施形態に係る二次電池装置の上部支持枠を一部拡大して示し、図11は、上部支持枠のスペーサと電池セルとの係合状態を示している。これらの図に示すように、第4の実施形態によれば、上部支持枠16の各スペーサ42は、複数、例えば、第1、第2、第3スペーサ42a、42b、42cの3つに分かれて形成され、それぞれ電池セル間の隙間よりも小さい幅に形成されている。第1、第2、第3スペーサ42a、42b、42cは、電池セル14の高さ方向に離間して設けられている。また、第1および第3スペーサ42a、42cは、隣り合う2つの電池セル14の一方の電池セルのみに接触する位置に設けられ、第2スペーサ42bは他方の電池セルのみに接触する位置に設けられている。更に、第4の実施形態によれば、第1および第3スペーサ42a、42cの一部は、第2スペーサ42bの一部と、電池セル14の高さ方向に重なって配置されている。
【0043】
上記構成によれば、スペーサ42の第1ないし第3スペーサを比較的細くかつ薄く形成し、弾性変形し易くすることができる。これにより、組立て時、上部支持枠16のスペーサ42を電池セル14間に容易に押し込むことができ、かつ、複数のスペーサ42a、42b、42cにより複数の電池セル14を支持および保持することができる。更に、第1、第2、第3スペーサ42a、42b、42cの一部を、電池セル14の高さ方向に重ねて配置することにより、スペーサ42全体の幅を細くすることができ、電池セル14間の間隔を狭くした場合でも、スペーサ42を電池セル間に押し込むことができる。また、電池セル間の間隔を変えない場合、スペーサ42における第1、第2、第3スペーサの幅を広くすることが可能となり、各スペーサの剛性を上げることができる。
【0044】
なお、第3および第4の実施形態において、各スペーサ42を3つにスペーサに分ける構成としたが、3つに限らず、2つあるいは4つに分けてもよい。
第2ないし第4の実施形態において、二次電池装置の他構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0045】
次に、第5の実施形態に係る二次電池装置について説明する。
図13は、第5の実施形態に係る二次電池装置を示す分解斜視図、図14は、上部支持枠と電池セル郡との係合状態を示している。上述した第1ないし第4の実施形態において、複数の電池セル14は一列に並べて配置する構成としたが、これに限らず、複数の電池セルを複数列に並べて配置する構成としてもよい。
第5の実施形態によれば、図13および図14に示すように、二次電池装置10は、上面が開口したほぼ矩形箱状の外ケース12と、外ケース内に収容された複数、例えば、18個の電池セル(二次電池)14と、を備え、組電池として構成されている。有底の外ケース12は、例えば、金属により形成されている。
【0046】
二次電池装置10は、複数の電池セル14をそれぞれ支持する上部支持枠16、中央支持枠18、および下部支持板20を備え、これらの支持枠および支持板は、電池セル14とともに外ケース12内に収容されている。更に、二次電池装置10は、電池セル14の上端を覆っているとともに、外ケース12の上面開口12aを閉じる上面板22を備えている。上部支持枠16、中央支持枠18、下部支持板20、上面板22は、それぞれ絶縁性を有する合成樹脂、例えば、PPEにより形成されている。
【0047】
複数の電池セル14は、9個ずつ、2列に並んで配設されている。すなわち、各列の電池セル14は、外装容器30の主面同士が所定の隙間を置いて向い合った状態で、かつ、電極端子32a、32bが設けられている外装容器30の上端が同一方向を向いた状態で並んで配設されている。2列の電池セル14は、互いに所的の隙間を置いて、平行に並んでいる。
【0048】
下部支持板20は、18個の電池セル14に対応する大きさの矩形板状に形成されている。下部支持板20の内面には、電池セル14の数に対応した数、ここでは、18個の係合溝が形成されている。各係合溝は、電池セル14の外装容器30の断面形状に対応した細長い矩形状に形成され、下部支持板20の幅方向に沿って延びている。複数の係合溝は、下部支持板の長手方向に所定の間隔を置いて2列に並んで設けられている。そして、各電池セル14は、外装容器30の下端部が下部支持板20の係合溝内に嵌合され、下部支持板上に支持されている。
【0049】
中央支持枠18は、18個の電池セル14に対応する大きさの矩形枠状に形成され、電池セル14の中央部外周に装着されている。中央支持枠18は、異常動作時などで電池セル14の中央部が膨らんだ際、過度の膨らみを抑える支持部材として機能し、通常は電池セルの拘束力は持たなくてもよい。また、中央支持枠18は、電池セル14の高さ方向に沿って、上下に延出する複数の位置決め部18aを有し、これらの位置決め部18aが下部支持板20および上部支持枠16に当接することにより、中央支持枠18は電池セル14の中央部外周に位置決め保持されている。
【0050】
上面板22は、18個の電池セル14に対応する大きさの矩形板状に形成されている。上面板22には、後述するように、それぞれ電池セル14の電極端子を挿通するための複数の開口24が形成されている。これらの開口24は、上面板22の長手方向に沿って、4列に並んで設けられている。上面板22に、2本の排気管25が一体に形成され、それぞれ上面板22の長手方向に沿って、かつ、上面板22の全長に亘って延びている。また、上面板22には、それぞれ電池セル14の安全弁36に対向する複数の排気孔が形成され、これらの排気孔は、排気管25に連通している。上面板22の両側縁にそれぞれ図示しない係合凸部が形成されている。これらの係合凸部は、上面板22の側縁に沿って、かつ、上面板の長手方向の全長に亘って延びている。
【0051】
上面板22は、複数の電池セル14の上端、例えば、蓋体に当接した状態で、18個の電池セル14を覆っている。上面板22は、電池セル14の位置決め基準として機能し、複数の電池セル14は、上面板22に当接することにより、上端位置、特に、電極端子の高さ位置が決めされている。これにより、複数の電池セル14は、電極端子の高さ位置がばら付くことなく、揃った状態で配列されている。各電池セル14の正極端子32aおよび負極端子32bは、それぞれ対応する開口24内に挿通され、上方に露出している。各電池セル14の安全弁36は上面板22の排気孔に対向している。
【0052】
上部支持枠16は、18個の電池セル14に対応する大きさの矩形枠状に形成され、電池セル14の上端部側面を支持する側面支持枠として機能する。上部支持枠16は、電池セル14の上端部外周に装着され、上面板22基準で位置決めされた複数の電池セル14を固定保持している。上部支持枠16は、複数の電池セル14の配列方向に沿って延び電池セルの上端部外側を囲む枠本体40と、それぞれ枠本体40から突出し電池セル14間の隙間に押し込まれた複数のスペーサ42と、を有している。
【0053】
上部支持枠16の枠本体40は、枠体40a、40b、中央枠体40cの3つに分かれて形成されている。枠体40a、40bは、電池セル14の配列方向に沿って延びる長辺部44と長辺部の両端から長辺部と直交する方向に延びる一対の短辺部46とを一体に有し、ほぼコ字状に形成されている。長辺部44には、長手方向に所定の間隔をおいて複数のねじ孔47が形成されている。枠体40a、40bの各短辺部46の先端部は、凹凸部を有しフック46aを形成している。各短辺部46にねじ孔47が形成されている。複数のスペーサ42は、各枠体40a、40bの長辺部44に突設され、長手方向に所定の間隔を置いて並んでいる。複数のスペーサ42は、それぞれ先細の楔形状に形成されている。
【0054】
中央枠体40cは、電池セル14の配列方向に沿って延びる直線部60と、それぞれ直線部60の両端から直線部と直交する方向に延びる2つのフック部62と、を有し、全体としてほぼI字形状に形成されている。直線部60の両側面に、それぞれ複数のスペーサ42が突設され、長手方向に所定の間隔を置いて並んでいる。複数のスペーサ42は、それぞれ先細の楔形状に形成されている。
【0055】
中央枠体40cは、2列の電池セル列の間に装着され、配列方向に沿って延びている。そして、中央枠体40cに突設されたスペーサ42は、両側の電池セル列において、隣り合う2つの電池セル14間の隙間にそれぞれ押し込まれている。
【0056】
2つの枠体40a、40bは、2列の電池セル列の両側から電池セル14に装着され、短辺部46のフック46aが中央枠体40cのフック部62に係合されている。これにより、2つの枠体40a、40bおよび中央枠体40cが互いに結合し、2列の電池セル14の上端部外周を囲んだ矩形枠状の枠本体40が構成されている。
【0057】
各枠体40a、40bの長辺部44に突設された複数のスペーサ42は、隣り合う電池セル14間の隙間に押し込まれている。このように、複数のスペーサ42を有する中央枠体40cを2列の電池セル間に配置し、更に、2つの枠体40a、40bを複数の電池セル14に両側から装着し、3つの枠体を互いに連結するとともに、複数のスペーサ42を電池セル14間の隙間の各々に両側から押し込むことにより、電池セル14の上端部は、所定の位置に位置決めされた状態に、かつ、互いに所定の間隔を置いた状態に、上部支持枠16によって固定および支持される。
【0058】
また、本実施形態において、各枠体40a、40bの長辺部44の内面に図示しない係合溝が形成され、この係合溝は、長辺部44の長手方向全長に亘って延びている。2つの枠体40a、40bを複数の電池セル14に両側から装着することにより、上面板22の両側縁部に形成された係合凸部がそれぞれ枠体40a、40bの係合溝に嵌合している。これにより、上部支持枠16は、上面板22と係合して一体となり、上面板22に対して所定位置に位置決め、すなわち、電池セル14に対して所定位置に位置決めされている。
【0059】
図13に示すように、複数の電池セル14は、導電性部材としての複数のバスバー50により、直列に接続されている。バスバー50は、例えば、レーザ溶接により電極端子に接合されている。なお、複数の電池セル14は、直列に限らず、並列に接続するようにしてもよい。複数の電池セル14の内、配列の一方の端に位置した電池セル14の負極端子32b、および、配列の他端に位置した電池セル14の正極端子32aには、それぞれ出力端子52が接続されている。
【0060】
上部支持枠16、中央支持枠18、下部支持板20、上面板22により支持された電池セル14は、これら上部支持枠16、中央支持枠18、下部支持板20とともに外ケース12内に収容されている。下部支持板20は、外ケース12の底壁上に載置され、外ケース12と電池セル14間の絶縁を維持している。中央支持枠18は、外ケース12に囲まれている。上部支持枠16は、外ケース12に外側から囲まれているとともに、外ケース12を通してねじ込まれた複数のねじにより、外ケースにねじ止め固定されている。外ケース12の上部開口は、上面板22および上部支持枠16により閉じられている。
【0061】
以上のように構成された二次電池装置によれば、接着剤を用いることなく、複数の電池セルをガタ無く支持および保持することができる。そのため、組立てにおいて、接着剤を塗布する工程を省き組立時間の短縮を図ることができる。同時に、接着剤に依存することなく、長期間に亘って電池セルをガタ無く支持することができ、信頼性の向上を図ることができる。これにより、小型で組立性および信頼性の向上した二次電池装置が得られる。
【0062】
なお、この発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…二次電池装置、12…外ケース、14…電池セル、16…上部支持枠、
18…中央支持枠、20…下部支持板、22…上面板、32a…正極端子、
32b…負極端子、40…枠本体、40a、40b…枠体(支持体)、
40c…中央枠体、42…スペーサ、44…長辺部、46…短辺部、
46a、62…フック部、50…バスバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ一端側に電極端子を有し、これらの電極端子が同一方向を向いた状態で互いに隙間を置いて並べて配置された複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの前記一端側を両側から支持する一対の支持部材であって、それぞれ前記複数の電池セルの配列方向に沿って延び前記複数の電池セルの前記一端部外側に対向する支持体と、それぞれ支持体から突出し電池セル間の隙間に押し込まれた複数のスペーサと、を有する一対の支持部材と、
前記一対の支持部材の外側に係合され、前記支持部材を、前記電池セルを支持した状態に保持する保持部材と、
それぞれ隣合う前記電池セルの電極端子間を電気的に接続する複数の導電部材と、
を備える二次電池装置。
【請求項2】
前記支持部材の支持体は、前記複数の電池セルの配列方向に沿って延びる長辺部と長辺部の両端から長辺部と直交する方向に延びる一対の短辺部とを有し、前記複数のスペーサは前記長辺部に設けられ、2つの枠体は前記複数の電池セルの両側から前記電池セルに装着され、前記短辺部同士が互いに係合している請求項1に記載の二次電池装置。
【請求項3】
前記支持部材の各スペーサは、前記電池セル間の隙間に向かって先細の楔状に形成されているとともに、スリットを有し、前記電池セルの配列方向に弾性変形可能に形成されている請求項1又は2に記載の二次電池装置。
【請求項4】
前記支持部材の各スペーサは、隣合う2つの電池セルの一方の電池セルのみに接触する第1スペーサと、他方の電池セルのみに接触する第2スペーサと、を有し、前記第1スペーサブおよび第2スペーサは、前記電池セルの高さ方向に離間して設けられている請求項1又は2に記載の二次電池装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−22937(P2012−22937A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160975(P2010−160975)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】