説明

二液吐出器

【課題】一対の吐出用容器Aと、前記各吐出用容器内の二液を吐出する吐出具Bとを備え、吐出具Bは、各吐出用容器体内と連通し且つノズル41を有する吐出ヘッドB3を備え、吐出ヘッドB3の押し下げにより前記各吐出用容器体内の液がノズル41を介して吐出される二液吐出器であって、吐出する二液の一方が刺激臭を備えたものであっても、その刺激臭を充分抑えることができる二液吐出器を提案するものである。
【解決手段】各吐出用容器体から泡状或いは粘性液状に吐出された液を、少なくとも第1液層の上面を第2液層が被覆する層構成を備えた断面パターンで、ノズル41から吐出する液誘導機構を吐出ヘッドB3内に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二液吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
二液吐出器として、並設した一対のエアゾール缶に吐出具を嵌着し、吐出具より各エアゾール缶内の液を吐出する如く構成したものが種々提案されている。(例えば特許文献1を参照)
【0003】
特許文献1に記載された二液吐出器は、二本のエアゾール缶とこれらエアゾール缶上部を連結する吐出具を備え、吐出具は各エアゾール缶の各ステムから連通するノズルを備え、ノズル内には左右方向中間部分に仕切板を縦設してノズル内を左右両部に区分しており、レバーを利用して吐出具の押下ヘッドを押し下げることで各ステムを押し下げ、各エアゾール缶内の液がノズルを介して吐出される。
【0004】
その際ノズル内は仕切板により左右両部に区分されているため、各ステムから泡状に吐出された液が左右二層構造でノズル先端から吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−334767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら容器による二液の混合吐出の場合に、例えば、吐出液として毛染め液等を使用する場合に一方がアンモニア等の刺激臭を備えたものである場合があり、これらの刺激臭を使用時にできるだけ抑えることが要望されている。従来の左右に縦列した二液の吐出の場合にこれらの刺激臭の抑制においてはいまだ改良の余地があった。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、泡状或いは粘性液状に吐出する二液の一方が刺激臭を備えたものであっても、その刺激臭を充分抑えることができる二液吐出器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、上方付勢状態で押し下げ可能なステム11を上面より突出し、該ステム11の押し下げにより収納液がステム11より泡状或いは粘性液状に吐出する如く構成した一対の第1吐出用容器A1及び第2吐出用容器A2と、前記各吐出用容器を跨いで嵌着固定するとともに、前記各吐出用容器内の二液を吐出する吐出具Bとを備え、吐出具Bは、第1吐出用容器体A1内及び第2吐出用容器A2内と連通し且つノズル41を有する吐出ヘッドB3を備え、吐出ヘッドB3の押し下げにより前記各吐出用容器体内の液がノズル41を介して吐出される二液吐出器であって、各吐出用容器体からの液を、少なくとも第1液層L1の上面を第2液層L2が被覆する層構成を備えた断面パターンで、ノズル41から吐出する液誘導機構を吐出ヘッドB3内に備えている。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上記断面パターンが、第1液層L1と、第1液層L1上に積層された同横幅の第2液層L2で構成されている断面パターンである。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、上記吐出ヘッドB3が、第1吐出用容器A1の第1ステム11a に嵌合させた第1ステム嵌着筒42と、第2吐出用容器A2の第2ステム11b に嵌合させた第2ステム嵌着筒43とをケーシング40より垂設するとともに、ケーシング40前面にノズル41を突設してなり、上記液誘導機構を、ケーシング40内を第1液用分割室46と第2液用分割室47とに右左に二分割するとともに、ノズル41内基端部を上下に二分割し、第1液用分割室46からノズル41内下方の分割区画に連通する第1透孔49と、第2液用分割室47からノズル41内上方の分割区画に連通する第2透孔50とを穿設して構成した。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、上記吐出ヘッドB3が、第1吐出用容器A1の第1ステム11a に嵌合させた第1ステム嵌着筒42と、第2吐出用容器A2の第2ステム11b に嵌合させた第2ステム嵌着筒43とをケーシング40より垂設するとともに、ケーシング40前面にノズル41を突設してなり、上記液誘導機構が、ケーシング40内中央部を前後に縦断し、且つ、下部縦壁52の上端より延設した横壁53の他端縁より上部縦壁54を立設した断面構造をなす仕切壁45a により、第1液用分割室46と第2液用分割室47とに右左に二分割し、横壁53の下方空間の先端をノズル41基端下部に連通し、横壁53の上方空間の先端を、ノズル41基端上部に連通して構成した。
【0012】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、上記吐出ヘッドB3が、第1吐出用容器A1の第1ステム11a に嵌合させた第1ステム嵌着筒42と、第2吐出用容器A2の第2ステム11b に嵌合させた第2ステム嵌着筒43とをケーシング40より垂設するとともに、ケーシング40前面にノズル41を突設してなり、上記液誘導機構が、ノズル41後方のケーシング内前端部に下方の第1液供給室55と上方の第2液供給室56を画成し、各供給室以外のケーシング40内を第1液用分割室46と第2液用分割室47とに右左に分割し、第1液用分割室46と第1液供給室55とを連通させるとともに、第2液用分割室47と第2液供給室56とを連通させ、第1液供給室55の先端をノズル41基端下部に開口し、第2液供給室56の先端をノズル41基端上部に開口して構成した。
【0013】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上記断面パターンが、第1液層L1と、第1液層L1の上面及び両側面を被覆する第2液層L2で構成されている断面パターンである。
【0014】
第7の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第6の手段に於いて、上記吐出ヘッドB3が、第1吐出用容器A1の第1ステム11a に嵌合させた第1ステム嵌着筒42と、第2吐出用容器A2の第2ステム11b に嵌合させた第2ステム嵌着筒43とをケーシング40より垂設するとともに、ケーシング40前面にノズル41を突設してなり、上記液誘導機構が、ノズル41後方のケーシング内前端部に下方の第1液供給室55と上方の第2液供給室56を画成し、各供給室以外のケーシング40内を第1液用分割室46と第2液用分割室47とに右左に分割し、第1液用分割室46と第1液供給室55とを連通させるとともに、第2液用分割室47と第2液供給室56とを連通させ、第1液供給室55の先端にノズル41内に連通する第1透孔49を、第2液供給室56の先端にノズル41内に連通する第2透孔50をそれぞれ穿設し、第1透孔49は第2透孔50の中央下方位置に小幅に穿設して構成した。
【0015】
第8の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上記断面パターンが、第1液層L1と、第1液層L1の上下左右を囲繞する第2液層L2とで構成されている断面パターンである。
【0016】
第9の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第8の手段に於いて、上記吐出ヘッドB3が、第1吐出用容器A1の第1ステム11a に嵌合させた第1ステム嵌着筒42と、第2吐出用容器A2の第2ステム11b に嵌合させた第2ステム嵌着筒43とをケーシング40より垂設するとともに、ケーシング40前面にノズル41を突設してなり、上記液誘導機構が、ケーシング40内中央部に、後方へ延びる前部前後方向壁60と、前部前後方向壁60の後縁より左横方向に延びる横方向壁61と、横方向壁61の他端縁より後方へ延びる後部前後方向壁62とからなる仕切壁45c を設けて、ケーシング40内を第1液用分割室46と第2液用分割室47とに二分割し、横方向壁61中央部に第1液用分割室46から第2液用分割室47に液を吐出する吐出孔63を穿設し、吐出孔63前方にノズル41内に連通する透孔64を穿設して構成した。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、各吐出用容器体から泡状或いは粘性液状に吐出された液を、少なくとも第1液層L1の上面を第2液層L2が被覆する層構成を備えた断面パターンで、ノズル41から吐出する液誘導機構を吐出ヘッドB3内に備えているため、吐出される第1液層L1に刺激臭等があっても、第2液層L2でそれの揮散を抑えることができ牽いては充分刺激臭を抑えることができる。特に、収容液が毛染め等の、その使用形態が、吐出液を直接被塗布面や手の平、櫛、或いはカップ等に吐出する形態の場合には、第1液層L1の下面が露出していても、露出面は被塗布面や手の平、櫛或いはカップ等により被覆されてより確実に吐出液の臭いを防止できる。
【0018】
また、吐出ヘッドB3を押し下げることで、二液を上記形態に吐出できるため、その取り扱いも極めて便利である。
【0019】
上記断面パターンが、第1液層L1と、第1液層L1上に積層された同横幅の第2液層L2で構成されている断面パターンである場合には、吐出直後は第1液層L1の両側面及び下面は露出しているものの、第1液層上面を第2液層L2により被覆しているため、充分臭いを抑える効果を発揮でき、特に、上記塗布面に第1液層L1を下にして吐出する場合にその効果がより顕著となる。
【0020】
第3の手段乃至第5の手段に於いては、上記効果に加え、液誘導機構を極めて簡単な構造で形成できる利点がある。
【0021】
また、上記断面パターンが、第1液層L1と、第1液層L1の上面及び両側面を被覆する第2液層L2で構成されている断面パターンである場合には、吐出直後は第1液層L1の下面は露出しているものの、第1液層上面及び両側面を第2液層L2により被覆しているため、臭いを抑える効果をより発揮でき、特に、上記塗布面に第1液層L1を下にして吐出する場合にその効果が更に顕著となる。
【0022】
第7の手段に於いては、上記効果に加え、上記と同様に液誘導機構を極めて簡単な構造で形成でき、しかも簡単な構造にもかかわらず、第1液層L1と、第1液層L1の上面及び両側面を被覆する第2液層L2で構成される、明瞭に区画された断面パターンでの吐出を行うことができる利点を兼ね備えている。
【0023】
また、断面パターンが、第1液層L1と、第1液層L1の上下左右を囲繞する第2液層L2とで構成されている断面パターンである場合には、吐出液は端面以外、第1液層L1の周囲は第2液層L2で被覆されているため、臭いを抑える効果を更に絶大に発揮できる。
【0024】
第9の手段に於いては、上記と同様に液誘導機構を極めて簡単な構造で形成でき、しかも簡単な構造にもかかわらず、第1液層L1と、第1液層L1の上下左右を囲繞する第2液層L2とで構成される、明瞭に区画された断面パターンでの吐出を行うことができる利点を兼ね備えている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】二液吐出器の要部断面図である。(実施例1)
【図2】二液吐出器の要部断面図である。(実施例1)
【図3】吐出ヘッドの組み立て前の平面図である。(実施例1)
【図4】吐出ヘッドの組み立て前の縦断面図である。(実施例1)
【図5】吐出ヘッドの底壁部分の要部半断面図である。(実施例1)
【図6】吐出ヘッドのケーシングの要部正面図である。(実施例1)
【図7】吐出ヘッドのノズル部分の要部拡大正面図である。(実施例1)
【図8】液の吐出形態を示す要部斜視図である。(実施例1)
【図9】二液吐出器の要部断面図である。(実施例2)
【図10】二液吐出器の要部断面図である。(実施例2)
【図11】吐出ヘッド内の液の流れを説明する説明図である。(実施例2)
【図12】二液吐出器の要部断面図である。(実施例3)
【図13】二液吐出器の要部断面図である。(実施例3)
【図14】吐出ヘッド内の液の流れを説明する説明図である。(実施例3)
【図15】図14のX−X線に沿う縦断面図である。(実施例3)
【図16】二液吐出器の要部断面図である。(実施例4)
【図17】二液吐出器の要部断面図である。(実施例4)
【図18】吐出ヘッド内の液の流れを説明する説明図である。(実施例4)
【図19】図18のY−Y線に沿う縦断面図である。(実施例4)
【図20】液の吐出形態を示す要部斜視図である。(実施例4)
【図21】二液吐出器の要部断面図である。(実施例5)
【図22】二液吐出器の要部断面図である。(実施例5)
【図23】吐出ヘッド内の液の流れを説明する説明図である。(実施例5)
【図24】液の吐出形態を示す要部斜視図である。(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0027】
図1乃至図8は二液吐出器1の一例を示し、二液吐出器1は、一対の吐出用容器Aと、吐出具Bとを備えている。吐出用容器Aは、胴部10上面より上方付勢状態で押し込み可能にステム11を突出した形態のもので、本例では一対の第1吐出用容器A1及び第2吐出用容器A2として、それぞれエアゾール缶を採用している。
【0028】
各第1吐出用容器A1及び第2吐出用容器A2は、第1胴部10a 及び第2胴部10b の上面より上方付勢状態で押し込み可能に第1ステム11a 及び第2ステム11b をそれぞれ突出している。各吐出用容器は、ステムを押し下げることで内蔵吐出弁が開弁し、収納ガス圧により液がステムを介して吐出し、また、ステムの押し下げを解除すると、ステムが上方付勢により上昇し、内蔵吐出弁が閉じて液の吐出が停止する公知機構のものが使用される。但し、吐出用容器としては、この様なエアゾール缶に限らず、例えばシリンダとピストンとを備えたポンプ機構を内蔵したものであっても良く、ステムの押し下げにより液が吐出し、押し下げを解除すると上方付勢力によりステムが上昇して液の吐出が停止するという要件を備えたものが使用できる。
【0029】
また、各吐出用容器から吐出される液は後述する断面パターンを形成する上で保形性を備えたものであることが要求され、従って、各吐出容器の液は泡状に吐出される形態や粘性液状に吐出される形態が採用される。これらの吐出形態は各吐出用容器内の公知の起泡構造や収容液自体の物性により選択できる。
【0030】
吐出具Bは、容器固定枠B1と、容器固定筒B2と、吐出ヘッドB3と、押圧操作部B4とを備えている。
【0031】
容器固定枠B1は、並設した第1吐出用容器A1及び第2吐出用容器A2の上端外周に嵌合させて両者を固定する役割を果たす。
【0032】
容器固定筒B2は、容器固定枠B1を介して並設した第1吐出用容器A1及び第2吐出用容器A2の外周に下部を嵌合させる外周壁30を備え、外周壁の上端より内方へ延設したフランジ状頂壁31を介して内周壁32を垂設しており、並設した一対の第1吐出用容器A1及び第2吐出用容器A2に掛け渡し嵌合させて緊縛している。また、前部及び後部にそれぞれ、内周壁32、外周壁30及びフランジ状頂壁31を下方へ凹ませて形成した形態の、上面及び前後面を開口した前部凹部33及び後部凹部34を凹設している。
【0033】
吐出ヘッドB3は、図1乃至図7に示す如く、横長楕円筒状のケーシング40の前面からノズル41を突設し、ケーシング40の下面左右からは一対の第1ステム嵌着筒42、第2ステム嵌着筒43をそれぞれ垂設しており、内部に液誘導機構を備えている。
【0034】
本例の吐出ヘッドB3は、図3乃至図5に示す如く、周壁40a と頂壁40b を備えたケーシング本体に一対の連結ヒンジ44を介して開いた底壁40c を延設した状態で形成し、組み付け時に超音波接合により底壁40c をケーシング本体に固定する如く構成している。
【0035】
液誘導機構は、各吐出用容器体からの粘性液を、少なくとも第1液層の上面を第2液層が被覆する層構成を備えた断面パターンで、ノズル41から吐出する機構であり、本例の場合には図8に示す如く、第1液層L1と、第1液層L1上に積層された同横幅の第2液層L2で構成されている断面パターンで、ノズル41から吐出する機構を備えている。
【0036】
本例の液誘導機構は、ケーシング40内中央部に仕切壁45を設けてケーシング40内を第1液用分割室46と第2液用分割室47とに右左に二分割するとともに、ノズル41内基端部に上下を二分割する上下仕切壁48を設けてノズル41内基端部を上下に二分割し、第1液用分割室46からノズル41内下方の分割区画に連通する第1透孔49と、第2液用分割室47からノズル41内上方の分割区画に連通する第2透孔50とを穿設して構成している。尚、本例の仕切壁45はケーシング本体と一体に形成したもので、下端部を底壁40c 所定位置に凹設した嵌合凹部51に嵌合させる如く構成している。
【0037】
押圧操作部B4は、装着枠部80と、押圧板81とを備えている。装着枠部80は,容器固定筒B2の内周壁32内面に嵌合させている。押圧板81は、装着枠部80の前縁にヒンジ82を介して前縁部を連結している。押圧板81は、後部上面を押圧部として構成しており、下面に突設した押圧突起83をケーシング40上面に当接しており、ヒンジ82を中心に押圧部を押し下げ回動させると、吐出ヘッドB3が押し下げされる如く構成している。
【0038】
上記の如く構成した二液吐出器1を使用する場合には、押圧部を押圧することで、押圧板81がヒンジ82を中心に回動して吐出ヘッドB3を押し下げ、各第1吐出用容器A1及び第2吐出用容器A2の第1ステム11a 及び第2ステム11b がそれぞれ押し下げられる。それにより、第1吐出用容器A1内より第1ステム11a を介して泡状に吐出された第1液が第1液用分割室46から第1透孔49を介して上下仕切壁48の下方に吐出され、一方、第2吐出用容器A2内より第2ステム11b を介して泡状に吐出された第2液が第2液用分割室47から第2透孔50を介して上下仕切壁48上方に吐出され、図8に示す如く、ノズル41の先端から、第1液層L1と、第1液層L1上に積層された同横幅の第2液層で構成されている断面パターンを備えた吐出形態で吐出される。
【0039】
この場合、第1液層L1が刺激臭がある揮散性液であり、第2液層L2が刺激臭のない非揮散性液である場合には、第2液層L2により第1液層L1の臭いを抑えることができ、特に、収容液が毛染め液等の場合には吐出液を直接被塗布部分や一旦手の平等に吐出するため、第1液層L1の開放面は概ね被覆されてしまい、臭いの抑制をより発揮することができる。
【0040】
図9乃至図11は他の例を示すもので、図1の例に於いて、吐出ヘッドB3以外は基本的に同様構成であるため、吐出ヘッドB3以外は同符号を付して説明を省略する。また、吐出ヘッドB3も、第1吐出用容器A1の第1ステム11a に嵌合させた第1ステム嵌着筒42と、第2吐出用容器A2の第2ステム11b に嵌合させた第2ステム嵌着筒43とをケーシング40より垂設するとともに、ケーシング40前面にノズル41を突設した点に関しては図1の例と同様であり、内部の液誘導機構が相違する。尚、以下に示す他の例の場合もこの点に関しては同様であるため、以下の例の場合にはこの様な記載を省略する。
【0041】
本例に於ける液誘導機構は、ケーシング40内中央部を前後に縦断する仕切壁45a を設けている。該仕切壁45a は、下部縦壁52の上端より延設した横壁53の他端縁より上部縦壁54を立設した断面構造をなし、第1液用分割室46と第2液用分割室47とに右左に二分割している。また、横壁53の下方空間の先端を、ケーシング周壁40a に設けたノズル41基端開口位置の透孔を介して、ノズル41基端下部に連通し、横壁53の上方空間の先端を、同様にノズル41基端上部に連通している。
【0042】
この場合には、第1吐出用容器A1内より泡状に吐出された第1液は第1液用分割室46から横壁53の下方空間を介してノズル41の基端部下方に吐出され、一方、第2吐出用容器A2内より泡状に吐出された第2液は第2液用分割室47から横壁53の上方空間を介してノズル41の基端部上方に吐出され、図1の例と同様に、ノズル41の先端から、第1液層L1と、第1液層L1上に積層された同横幅の第2液層で構成されている断面パターンを備えた吐出形態で吐出される。
【0043】
図12乃至図15は更に他の例を示すもので、本例に於ける液誘導機構は、ノズル41後方のケーシング内前端部に下方の第1液供給室55と上方の第2液供給室56とを、区画壁57及びケーシング底壁40c により画成している。第1液供給室55及び第2液供給室56はそれぞれ扁平な直方体形状をなしている。また、区画壁57の右側後端部より後方へ、ケーシング周壁40a に至る仕切壁45b を設けて、各供給室以外のケーシング40内を右側の第1液用分割室46と、左側の第2液用分割室47と分割している。
【0044】
第1液供給室55の右側部は開口しており、また、第2液供給室56後部には連通孔を穿設しており、開口を介して第1液用分割室46と第1液供給室55とを連通させるとともに、連通孔を介して第2液用分割室47と第2液供給室56とを連通させている。また、各第1液供給室55及び第2液供給室56の先端を、ケーシング周壁40a に設けたノズル41基端開口位置の透孔を介して、ノズル41基端下部及びノズル41基端上部にそれぞれ連通している
【0045】
この場合には、第1吐出用容器A1内より泡状に吐出された第1液は第1液用分割室46から第1液供給室55を介してノズル41の基端部下方に吐出され、一方、第2吐出用容器A2内より泡状に吐出された第2液は第2液用分割室47から第2液供給室56を介してノズル41の基端部上方に吐出され、図1の例と同様に、ノズル41の先端から、第1液層L1と、第1液層L1上に積層された同横幅の第2液層で構成されている断面パターンを備えた吐出形態で吐出される。
【0046】
図16乃至図20は更に他の例を示すもので、本例に於ける液誘導機構は、ノズル41後方のケーシング内前端部に下方の第1液供給室55と上方の第2液供給室56とを、区画壁57a 及びケーシング底壁40c により画成している。第1液供給室55及び第2液供給室56はそれぞれ扁平な直方体形状をなしている。また、区画壁57a の右側後端部より後方へ、ケーシング周壁40a に至る仕切壁45b を設けて、各供給室以外のケーシング40内を右側の第1液用分割室46と、左側の第2液用分割室47と分割している。更に、第1液供給室55の右側部は開口しており、また、第2液供給室56の後部には連通孔を穿設しており、開口を介して第1液用分割室46と第1液供給室55とを連通させるとともに、連通孔を介して第2液用分割室47と第2液供給室56とを連通させている。また、第1液供給室55の先端のケーシング周壁40a にノズル41内に連通する第1透孔49を、第2液供給室56の先端のケーシング周壁40a にノズル41内に連通する第2透孔50をそれぞれ穿設しているが、第1透孔49は第2透孔50の中央下方位置に小幅に穿設している。
【0047】
第1吐出用容器A1内より泡状に吐出された第1液は第1液用分割室46から第1液供給室55、第1透孔49を介してノズル41の基端部下方中央部に吐出され、一方、第2吐出用容器A2内より泡状に吐出された第2液は第2液用分割室47から第2液供給室56、第2透孔50を介してノズル41の基端部上方に吐出される。この際第1液は下部中央に幅狭に吐出され、第2液は上部に幅広に吐出されるため、ノズル41内に吐出された第2液の両端部は第1液の両側に侵入し、その結果、ノズル41より吐出する時点では、図20に示す如く、第1液層L1と、第1液層L1の上面及び両側面を被覆する第2液層L2で構成されている断面パターンを備えた吐出形態で吐出される。
【0048】
この場合、第1液層L1が刺激臭がある揮散性液であり、第2液層L2が刺激臭のない非揮散性液である場合には、第2液層L2が第1液層L1の臭いをより抑えることができる。
【0049】
図21乃至図24は更に他の例を示すもので、本例に於ける液誘導機構は、ケーシング40内中央部に、後方へ延びる前部前後方向壁60と、前部前後方向壁60の後縁より左横方向に延びる横方向壁61と、横方向壁61の他端縁より後方へ延びる後部前後方向壁62とからなる仕切壁45c を設けて、ケーシング40内を右側の第1液用分割室46と左側の第2液用分割室47とに二分割している。
【0050】
また、横方向壁61中央部に第1液用分割室46から第2液用分割室47に液を吐出する吐出孔63を穿設し、吐出孔63前方にノズル41内に連通する透孔64を穿設している。
【0051】
第1吐出用容器A1内より泡状に吐出された第1液は第1液用分割室46から吐出口63、透孔64を介してノズル41内に吐出され、一方、第2吐出用容器A2内より泡状に吐出された第2液は横方向壁61の前方に於いて第1液の周囲を囲繞し、その状態で透孔64よりノズル41内に吐出される。従って、ノズル41より吐出する際は、図24に示す如く、第1液層L1と、第1液層L1の上下左右を囲繞する第2液層L2とで構成されている断面パターンでを備えた吐出形態で吐出される。
【0052】
この場合、第1液層L1が刺激臭がある揮散性液であり、第2液層L2が刺激臭のない非揮散性液である場合には、第2液層L2により第1液層L1の臭いを更に確実に抑えることができる。
【符号の説明】
【0053】
1…二液吐出器
A…吐出用容器
10…胴部、11…ステム
A1…第1吐出用容器 10a …第1胴部、11a …第1ステム
A2…第2吐出用容器
10b …第2胴部、11b …第2ステム
B…吐出具
B1…容器固定枠
B2…容器固定筒
30…外周壁、31…フランジ状頂壁、32…内周壁、33…前部凹部、34…後部凹部
B3…吐出ヘッド
40…ケーシング、40a …周壁、40b …頂壁、40c …底壁、41…ノズル、
42…第1ステム嵌着筒、43…第2ステム嵌着筒、44…連結ヒンジ、
45、45a 、45b 、45c …仕切壁、46…第1液用分割室、47…第2液用分割室、
48…上下仕切壁、49…第1透孔、50…第2透孔、51…嵌合凹部、52…下部縦壁、
53…横壁、54…上部縦壁、55…第1液供給室、56…第2液供給室、57、57a …区画壁、 60…前部前後方向壁、61…横方向壁、62…後部前後方向壁、63…吐出孔、64…透孔
B4…押圧操作部
80…装着枠部、81…押圧板、82…ヒンジ、83…押圧突起
L1…第1液層
L2…第2液層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方付勢状態で押し下げ可能なステム(11)を上面より突出し、該ステム(11)の押し下げにより収納液がステム(11)より泡状或いは粘性液状に吐出する如く構成した一対の第1吐出用容器(A1)及び第2吐出用容器(A2)と、前記各吐出用容器を跨いで嵌着固定するとともに、前記各吐出用容器内の二液を吐出する吐出具(B)とを備え、吐出具(B)は、第1吐出用容器(A1)内及び第2吐出用容器(A2)内と連通し且つノズル(41)を有する吐出ヘッド(B3)を備え、吐出ヘッド(B3)の押し下げにより前記各吐出用容器体内の液がノズル(41)を介して吐出される二液吐出器であって、各吐出用容器体からの液を、少なくとも第1液層(L1)の上面を第2液層(L2)が被覆する層構成を備えた断面パターンで、ノズル(41)から吐出する液誘導機構を吐出ヘッド(B3)内に備えていることを特徴とする二液吐出器。
【請求項2】
上記断面パターンが、第1液層(L1)と、第1液層(L1)上に積層された同横幅の第2液層(L2)で構成されている断面パターンである請求項1記載の二液吐出器。
【請求項3】
上記吐出ヘッド(B3)が、第1吐出用容器(A1)の第1ステム(11a )に嵌合させた第1ステム嵌着筒(42)と、第2吐出用容器(A2)の第2ステム(11b )に嵌合させた第2ステム嵌着筒(43)とをケーシング(40)より垂設するとともに、ケーシング(40)前面にノズル(41)を突設してなり、上記液誘導機構を、ケーシング(40)内を第1液用分割室(46)と第2液用分割室(47)とに右左に二分割するとともに、ノズル(41)内基端部を上下に二分割し、第1液用分割室(46)からノズル(41)内下方の分割区画に連通する第1透孔(49)と、第2液用分割室(47)からノズル(41)内上方の分割区画に連通する第2透孔(50)とを穿設して構成した請求項2記載の二液吐出器。
【請求項4】
上記吐出ヘッド(B3)が、第1吐出用容器(A1)の第1ステム(11a )に嵌合させた第1ステム嵌着筒(42)と、第2吐出用容器(A2)の第2ステム(11b )に嵌合させた第2ステム嵌着筒(43)とをケーシング(40)より垂設するとともに、ケーシング(40)前面にノズル(41)を突設してなり、上記液誘導機構が、ケーシング(40)内中央部を前後に縦断し、且つ、下部縦壁(52)の上端より延設した横壁(53)の他端縁より上部縦壁(54)を立設した断面構造をなす仕切壁(45a)により、第1液用分割室(46)と第2液用分割室(47)とに右左に二分割し、横壁(53)の下方空間の先端をノズル(41)基端下部に連通し、横壁(53)の上方空間の先端を、ノズル(41)基端上部に連通して構成した請求項2記載の二液吐出器。
【請求項5】
上記吐出ヘッド(B3)が、第1吐出用容器(A1)の第1ステム(11a )に嵌合させた第1ステム嵌着筒(42)と、第2吐出用容器(A2)の第2ステム(11b )に嵌合させた第2ステム嵌着筒(43)とをケーシング(40)より垂設するとともに、ケーシング(40)前面にノズル(41)を突設してなり、上記液誘導機構が、ノズル(41)後方のケーシング内前端部に下方の第1液供給室(55)と上方の第2液供給室(56)を画成し、各供給室以外のケーシング(40)内を第1液用分割室(46)と第2液用分割室(47)とに右左に分割し、第1液用分割室(46)と第1液供給室(55)とを連通させるとともに、第2液用分割室(47)と第2液供給室(56)とを連通させ、第1液供給室(55)の先端をノズル(41)基端下部に開口し、第2液供給室(56)の先端をノズル(41)基端上部に開口して構成した請求項2記載の二液吐出器。
【請求項6】
上記断面パターンが、第1液層(L1)と、第1液層(L1)の上面及び両側面を被覆する第2液層(L2)で構成されている断面パターンである請求項1記載の二液吐出器。
【請求項7】
上記吐出ヘッド(B3)が、第1吐出用容器(A1)の第1ステム(11a )に嵌合させた第1ステム嵌着筒(42)と、第2吐出用容器(A2)の第2ステム(11b )に嵌合させた第2ステム嵌着筒(43)とをケーシング(40)より垂設するとともに、ケーシング(40)前面にノズル(41)を突設してなり、上記液誘導機構が、ノズル(41)後方のケーシング内前端部に下方の第1液供給室(55)と上方の第2液供給室(56)を画成し、各供給室以外のケーシング(40)内を第1液用分割室(46)と第2液用分割室(47)とに右左に分割し、第1液用分割室(46)と第1液供給室(55)とを連通させるとともに、第2液用分割室(47)と第2液供給室(56)とを連通させ、第1液供給室(55)の先端にノズル(41)内に連通する第1透孔(49)を、第2液供給室(56)の先端にノズル(41)内に連通する第2透孔(50)をそれぞれ穿設し、第1透孔(49)は第2透孔(50)の中央下方位置に小幅に穿設して構成した請求項6記載の二液吐出器。
【請求項8】
上記断面パターンが、第1液層(L1)と、第1液層(L1)の上下左右を囲繞する第2液層(L2)とで構成されている断面パターンである請求項1記載の二液吐出器。
【請求項9】
上記吐出ヘッド(B3)が、第1吐出用容器(A1)の第1ステム(11a )に嵌合させた第1ステム嵌着筒(42)と、第2吐出用容器(A2)の第2ステム(11b )に嵌合させた第2ステム嵌着筒(43)とをケーシング(40)より垂設するとともに、ケーシング(40)前面にノズル(41)を突設してなり、上記液誘導機構が、ケーシング(40)内中央部に、後方へ延びる前部前後方向壁(60)と、前部前後方向壁(60)の後縁より左横方向に延びる横方向壁(61)と、横方向壁(61)の他端縁より後方へ延びる後部前後方向壁(62)とからなる仕切壁(45c)を設けて、ケーシング(40)内を第1液用分割室(46)と第2液用分割室(47)とに二分割し、横方向壁(61)中央部に第1液用分割室(46)から第2液用分割室(47)に液を吐出する吐出孔(63)を穿設し、吐出孔(63)前方にノズル(41)内に連通する透孔(64)を穿設して構成した請求項8記載の二液吐出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−51582(P2012−51582A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193738(P2010−193738)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】