説明

二液型エポキシ系構造接着剤

硬化性エポキシ樹脂と、アミン硬化剤と、強化剤と、反応性液体改質剤とを含む二液型構造接着剤組成物。構造接着剤はまた、二次硬化剤、反応開始剤、反応希釈剤及びこれらの組み合わせを含んでよい。部品を共に結合させる際の溶接又は機械的締結などの従来の接合手段を置き換えたり又は補完したりするために、構造接着剤を使用してよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液型エポキシ系構造接着剤、具体的には、硬化したとき構造組立品で有用な特性を示すエポキシ系接着剤に関する。本発明はまた、二液型エポキシ系構造接着剤を作製及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造接着剤は、実質的な接着剤の接着強度が室温で6.9MPa(1,000psi)超であるように、木材、複合材料又は金属などの、他の高強度の物質を接着するために使用される物質として定義することができる。構造接着剤は、汎用工業用途、並びに自動車及び航空宇宙産業における高性能用途を含む種々の用途で用いられる。構造接着剤を用いて、ねじ、ボルト、くぎ、止め金、びょう等の従来の連結技術、及び金属融合プロセス(例えば、溶接、ろう付け及びはんだ付け)に置き換える又は補完することができる。特に、運送業(例えば、自動車、航空機又は船舶)においては、構造接着剤は機械的締結具の軽量代替物を提示できる。構造接着剤として好適であるためには、接着剤は、高い機械的強度及び高い耐衝撃性を有していなければならない。
【0003】
熱硬化エポキシ系接着剤の固有の脆性は、硬化済みエポキシ組成物へより高い耐衝撃性を提供する強化剤を接着剤組成物へ添加することによって克服することができる。通常は、十分な強化及び/又は耐衝撃性を得るために、かなり大量の強化剤を用いなければならない。しかし、例えば、大量の強化剤は、接着剤組成物の粘度を上昇させ、かつ取扱い性を低下させる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、組成物、特に構造接着剤として好適な組成物(より少量の強化剤で同一のあるいは改善された強化効果及び/又は耐衝撃性を有する)を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態では、本発明は、硬化性エポキシ樹脂と、アミン硬化剤と、強化剤と、アクリレート官能化化合物、アクリルアミド官能化化合物、シュウ酸アミド官能化化合物、アセトアセトキシ官能化ウレタン、アセトアセトキシ官能化ポリアルケン、又はこれらの組み合わせを含む反応性液体改質剤と、を含む二液型構造接着剤組成物を提供する。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、複合品を作製する方法であって、二液型接着剤を表面に塗布する工程と、その表面に接触している二液型接着剤を硬化させて複合品を形成する工程と、を含む方法を提供する。
【0007】
更なる実施形態では、本発明は、複数の部材間に接着継手を形成する方法であって、二液型接着剤を2つ以上の部材のうちの少なくとも1つの表面に塗布する工程と、二液型接着剤が2つ以上の部材間に挟まれるように部材を接合させる工程と、二液型接着剤を硬化させて2つ以上の部材間に接着継手を形成する工程と、を含む方法を提供する。
【0008】
本発明のその他の特徴及び態様は、発明を実施するための形態及び添付図面を熟考することによって、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1に記載の種々のアクリレートエポキシ接着剤についてのtanδ対温度のDMAプロット。
【図2】実施例2に記載の種々のシュウ酸アミドエポキシ接着剤についてのtanδ対温度のDMAプロット。
【図3】実施例3に記載の種々のAcAcUDエポキシ接着剤についてのtanδ対温度のDMAプロット。
【図4】実施例3に記載の種々のAcAcXMエポキシ接着剤についてのtanδ対温度のDMAプロット。
【図5】実施例4に記載の種々のAcAc1Kエポキシ接着剤についてのtanδ対温度のDMAプロット。
【図6】実施例4に記載の種々のAcAc2Kエポキシ接着剤についてのtanδ対温度のDMAプロット。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のいずれかの実施形態を詳細に説明するのに先立って、本発明は、以下の説明文に記載されるかあるいは以下の図面に示される構成の詳細及び構成要素の配置にその用途が限定されない点は理解されるべきである。本発明には他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することが可能である。更に、本明細書で使用される専門語句及び専門語は説明を目的としたものであり、発明を限定するものとして見なされるべきではない点は理解されるべきである。「含む(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」、及びこれらの変形は、それらの後に列記される要素及びそれらの均等物、並びに更なる要素を包含することを意味するものである。本明細書に引用される任意の数値的な範囲には、低位の値から高位の値までの全ての値を含む。例えば、濃度範囲が1%〜50%のように記載される場合、これは2%〜40%、10%〜30%、又は1%〜3%などの値が本明細書中に明確に列挙されることを意図する。これらは何が具体的に意図されているのかの例に過ぎず、列挙された最も低位の値と最も高位の値との間並びにこれらを含む、数値の全ての可能性のある組み合わせが、本明細書において明確に記載されていると考慮される。
【0011】
本発明は、硬化性エポキシ樹脂、アミン硬化剤、強化剤及び反応性液体改質剤を含む二液型エポキシ系構造接着剤に関する。理論に縛られるものではないが、反応性液体改質剤は重合して、エポキシ樹脂と相互侵入網目構造高分子又はセミ相互侵入網目構造高分子(集合的に「IPN」と呼ばれる)を形成すると考えられる。本明細書で使用するとき、相互侵入網目構造高分子とは、両方が網目構造形態の2つの高分子であって、そのうちの少なくとも1つが、他の高分子が周辺に存在する場合に合成される及び/又は架橋する緊密な組み合わせを指す。セミ相互侵入網目構造高分子とは、一方が架橋しておりもう一方が直鎖状である2つの高分子であって、そのうちの少なくとも1つが、他の高分子が周辺に存在する場合に合成される及び/又は架橋する緊密な組み合わせを指す。IPNは、構造接着剤の性能を高めると考えられる。
【0012】
本発明の構造接着剤はまた、二次硬化剤、ラジカル反応開始剤、反応性希釈剤、及びこれらの組み合わせ、並びに当業者に知られている他の成分(例えば、充填剤及び色素)を含んでもよい。
【0013】
部品を接着させる際の溶接又は機械的締結具などの従来の接合手段を置き換えたり又は補完したりするために、構造接着剤を使用してよい。
【0014】
硬化性エポキシ樹脂
本発明の構造接着剤は、少なくとも1つの硬化性エポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂は、1分子あたり少なくとも1つのエポキシ官能基を含むモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーエポキシ材料であってよい。かかる樹脂は、芳香族又は脂肪族、環状又は非環式、一官能性又は多官能性であってよい。樹脂の主鎖は任意の種類であってよく、その置換基はオキシラン環と反応する、求核基又は求電子基(活性水素原子など)を有さない任意の基であり得る。例示的な置換基としては、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、ニトロ基、アミド基、ニトリル基、及びリン酸基が挙げられる。
【0015】
エポキシ樹脂の分子量は、モノマー又はオリゴマー樹脂の約100g/モル〜ポリマー樹脂の50,000g/モルの範囲であってよい。好適なエポキシ樹脂は、典型的には、室温で液体である。しかし、可溶性固体エポキシ樹脂を用いてもよい。エポキシ樹脂は、単独で又は組み合わせて使用してよい。幾つかの実施形態においては、エポキシ構成要素は、具体的な必要条件について、架橋された構造接着剤の機械的性質を改質して適合させるために、2つ以上のエポキシ樹脂の混合物を含む。
【0016】
使用され得るエポキシ樹脂の種類には、例えば、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応生成物、フェノールとホルムアルデヒド(ノボラック樹脂)とエピクロロヒドリンとの反応生成物、過酸エポキシ、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、エピクロロヒドリンとp−アミノフェノールとの反応生成物、エピクロロヒドリンとグリオキサールテトラフェノールとの反応生成物などが挙げられる。
【0017】
本発明で特に有用なエポキシドは、グリシジルエーテル型のものである。好適なグリシジルエーテルエポキシドはこれらの一般式(I)を含み得る。
【0018】
【化1】

【0019】
式中、R’は、例えば、アルキル基、アルキルエーテル基、又はアリール基を含んでよいn価の有機残基であり、nは、少なくとも1である。幾つかの実施形態では、R’は、ポリ(アルキレンオキシド)である。幾つかの実施形態では、nは、1〜4の範囲である。
【0020】
好適な式(I)のグリシジルエーテルエポキシドとしては、ビスフェノールA及びF、脂肪族ジオール及び脂環式ジオールのグリシジルエーテルが挙げられる。幾つかの実施形態においては、式(I)のグリシジルエーテルエポキシドは、約170g/モル〜約10,000g/モルの範囲の分子量を有する。他の実施形態においては、式(I)のグリシジルエーテルエポキシドは、約200g/モル〜約3,000g/モルの範囲の分子量を有する。
【0021】
式(I)の有用なグリシジルエーテルエポキシドとしては、末端エポキシ基(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)及び芳香族グリシジルエーテル(例えば、これらは二価フェノールを過剰量のエピクロロヒドリンと反応させることにより調製される)を有する、直鎖ポリマーエポキシドが挙げられる。有用な二価フェノールの例には、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、及びp,p’−ジヒドロキシジベンジル、p,p’−ジヒドロキシフェニルスルホン、p,p’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシフェニルスルホン、p,p’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−1,1−ジナフチルメタンを包含する多核フェノール、並びにジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルメチルプロピルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルプロピレンフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルブチルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルトリルエタン、ジヒドロキシジフェニルトリルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルジシクロヘキシルメタン、及びジヒドロキシジフェニルシクロヘキサンの2,2’、2,3’、2,4’、3,3’、3,4’、及び4,4’異性体が挙げられる。
【0022】
好適な、市販の芳香族及び脂肪族エポキシドには、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals GmbH(Rosbach,Germany)から入手可能なEPON 828、EPON 872、EPON 1001、EPON 1310及びEPONEX 1510)、DER−331、DER−332及びDER−334(Dow Chemical Co.(Midland,MI,USA)から入手可能)、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(例えば、Dainippon Ink and Chemicals,Inc.から入手可能なEPICLON 830)、PEG1000DGE(Polysciences,Inc.(Warrington,PA,USA)から入手可能)、ジグリシジルエポキシ官能基を含有しているシリコーン樹脂(例えば、Dow Chemical Co.(Midland,MI,USA)から入手可能な、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂であるDER 580)、1,4−ジメタノールシクロヘキシルジグリシジルエーテル、及び1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルが挙げられる。ビスフェノールをベースにしたその他のエポキシ樹脂は、商標名D.E.N.、EPALLOY及びEPILOXにて市販されている。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態では、構造接着剤は、少なくとも約20重量%の硬化性エポキシ樹脂、幾つかの実施形態では、少なくとも約40重量%の硬化性エポキシ樹脂、及び幾つかの実施形態では、少なくとも約50重量%の硬化性エポキシ樹脂を含む。本発明の幾つかの実施形態では、構造接着剤は、約90重量%未満の硬化性エポキシ樹脂、幾つかの実施形態では、約80重量%未満の硬化性エポキシ樹脂、及び幾つかの実施形態では、約70重量%未満の硬化性エポキシ樹脂を含む。重量パーセントは、二液型構造接着剤の総重量(即ち、A部及びB部の合計重量)に基づく。
【0024】
幾つかの実施形態においては、本発明の構造接着剤は、約20重量%〜約90重量%の硬化性エポキシ樹脂を含む。他の実施形態においては、構造接着剤は、約40重量%〜約70重量%の硬化性エポキシ樹脂を含む。更に他の実施形態においては、構造接着剤は、約50重量%〜約70重量%の硬化性エポキシ樹脂を含む。
【0025】
アミン硬化剤
本発明の構造接着剤はまた、硬化性エポキシ樹脂を架橋することができる少なくとも1つの硬化剤を含む。アミン硬化剤はまた、反応性液体改質剤の一部の種類を架橋するために用いることもできる。典型的には、これらの剤は、一級又は二級アミンである。アミンは、脂肪族、脂環式、芳香族、又は1つ以上のアミノ部分を有する芳香族構造体であってよい。
【0026】
好適なアミン硬化剤としては、一般式(II)を有するアミンが挙げられる。
【0027】
【化2】

【0028】
式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素又は約1〜15個の炭素原子を含む炭化水素であり、炭化水素としては、ポリエーテルが挙げられ、nの値は、約1〜10の範囲である。幾つかの実施形態では、硬化剤は、一級アミンである。同じ又は他の実施形態では、Rは、ポリエーテルアルキルである。
【0029】
例示的なアミン硬化剤としては、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、プロピレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタメチレン−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、アミノエチルピペラジン等が挙げられる。
【0030】
幾つかの実施形態では、アミン硬化剤は、1つ以上のアミン部分を有するポリエーテルアミンであり、ポリプロピレンオキシド又はポリエチレンオキシドから誘導可能なこれらポリエーテルアミンが挙げられる。市販のポリエーテルアミンとしては、JEFFAMINE(商標)シリーズのポリエーテルポリアミン(Huntsman Corporation(Woodlands,TX,USA)から入手可能)及び4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン(TTD)(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)が挙げられる。
【0031】
アミン硬化剤の一級又は二級アミン水素は、硬化性エポキシ樹脂のエポキシ部分と化学量論的に反応して、架橋エポキシ網目構造を形成する。エポキシ部分の一級又は二級アミン水素に対するモル比は、所望の性能を得られるよう調整することができる。幾つかの実施形態では、本発明の構造接着剤は、約0.5:1〜約3:1の範囲の、硬化性エポキシ樹脂のエポキシ部分のアミン硬化剤のアミン水素に対するモル比を有する。これは、モル比が2:1又は約1:1である実施形態を含む。構造接着剤中の他の成分がアミン硬化剤(例えば、反応性液体改質剤の一部の種類)とも反応する場合、構造接着剤中のアミン硬化剤の量を適宜増加させてよい。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態では、構造接着剤は、少なくとも約3重量%のアミン硬化剤、幾つかの実施形態では、少なくとも約5重量%のアミン硬化剤、及び幾つかの実施形態では、少なくとも約10重量%のアミン硬化剤を含む。本発明の幾つかの実施形態では、構造接着剤は、約30重量%未満のアミン硬化剤、幾つかの実施形態では、約20重量%未満のアミン硬化剤、及び幾つかの実施形態では、約15重量%未満のアミン硬化剤を含む。
【0033】
幾つかの実施形態においては、本発明の構造接着剤は、約3重量%〜約30重量%のアミン硬化剤を含む。他の実施形態においては、構造接着剤は、約5重量%〜約15重量%のアミン硬化剤を含む。
【0034】
二次硬化剤
本発明の構造接着剤は、所望により二次硬化剤を含んでよい。本発明にかかる二次硬化剤としては、イミダゾール、イミダゾール塩、イミダゾリン、又は式(III)の構造を有するものを含む芳香族三級アミンが挙げられる。
【0035】
【化3】

【0036】
式中、
は、H又はアルキル(例えば、メチル又はエチル)であり、
は、CHNRであり、
及びRは、互いに独立して、存在しても又は存在しなくてもよく、存在する場合は、R及びRは、−CHNRであり、
及びRは、互いに独立して、アルキル(例えば、CH又はCHCH)である。
【0037】
例示的な二次硬化剤は、トリス−2,4,6−(ジメチルアミノメチル)フェノール(Air Products Chemicals(Europe B.V)から、ANCAMINE K54として入手可能)である。
【0038】
強化剤
強化剤は、硬化性エポキシ樹脂又は反応性液体改質剤(下記)以外の、硬化したエポキシ樹脂の強靭性を増加させることが可能なポリマーである。強靭性は、硬化した組成物の剥離強度によって測定することができる。典型的な強化剤には、コア/シェル型ポリマー、ブタジエンニトリルゴム、アクリルポリマー及びアクリルコポリマーなどが挙げられる。市販の強化剤としては、ポリエーテルジアミン(3M Corporation(St.Paul,MN,USA)製のDynamar(商標)ポリエーテルジアミン HC 1101)及びカルボキシル終端ブタジエンアクリロニトリル(Emerald Chemical(Alfred,ME,USA)から入手可能)が挙げられる。
【0039】
幾つかの実施形態においては、本発明の構造接着剤は、約5重量%〜約55重量%の強化剤を含む。他の実施形態においては、構造接着剤は、約5重量%〜約30重量%の強化剤を含む。更に他の実施形態においては、構造接着剤は、約5重量%〜約15重量%の強化剤を含む。
【0040】
好適な強化剤としては、コア/シェル型ポリマーが挙げられる。コア/シェル型ポリマーは、グラフト化可能なエラストマー(その上にシェルをグラフトさせることができるエラストマーを意味する)を含むコアを有するグラフトポリマーを意味すると理解されている。エラストマーは、0℃よりも低いガラス転移温度を有してよい。典型的には、コアは、ブタジエンポリマー若しくはコポリマー、アクリロニトリルポリマー若しくはコポリマー、アクリレートポリマー若しくはコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含むか又はそれらからなる。ポリマー又はコポリマーは、架橋されていても、架橋されていなくてもよい。幾つかの実施形態では、コアポリマーは架橋されている。
【0041】
コア上には、1種類以上のポリマー、「シェル」がグラフトされている。典型的には、シェルポリマーは、高ガラス転移温度、即ち26℃を超えるガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、動的機械熱分析(DMTA)(“Polymer Chemistry,The Basic Concepts,Paul C.Hiemenz,Marcel Dekker 984)によって測定することができる。
【0042】
「シェル」ポリマーは、スチレンポリマー若しくはコポリマー、メタクリレートポリマー若しくはコポリマー、アクリロニトリルポリマー若しくはコポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。このようにして生成された「シェル」は更に、エポキシ基又は酸基によって官能化されてよい。「シェル」の官能化は、例えば、グリシジルメタクリレート又はアクリル酸との共重合によって実現することができる。具体的には、シェルは、アセトアセトキシ部分を含んでよく、その場合には、アセトアセトキシ官能化ポリマーの量を減らしてよく、又はアセトアセトキシ官能化コア/シェル型ポリマーに完全に置き換えてもよい。
【0043】
好適なコア/シェル型ポリマーのシェルは、例えば、ポリメチルメタクリレートシェル等のポリアクリレートポリマー又はコポリマーシェルを含んでよい。ポリメチルメタクリレートシェルなどのポリアクリレートシェルは、架橋されていなくてよい。
【0044】
好適なコア/シェル型ポリマーのコアは、ブタジエンポリマー若しくはコポリマー、スチレンポリマー若しくはコポリマー、又はブタジエン−スチレンコポリマーを含んでよい。ブタジエン−スチレンコア等のコアを構成するポリマー又はコポリマーは、架橋されてよい。
【0045】
幾つかの実施形態においては、本発明にかかるコア/シェル型ポリマーは、約10nm〜約1,000nmの粒径を有し得る。他の実施形態においては、コア/シェル型ポリマーは、約150nm〜約500nmの粒径を有し得る。
【0046】
好適なコア/シェル型ポリマー及びそれらの調製については、例えば米国特許第4,778,851号に記載されている。市販のコア/シェル型ポリマーには、例えば、PARALOID EXL2600及び2691(Rohm & Haas Company(Philadelphia,PA,USA)から入手可能)並びにKANE ACE MX120(Kaneka(Belgium)から入手可能)を挙げることができる。
【0047】
反応性液体改質剤
好適な反応性液体改質剤は、約4,000g/モル未満の分子量を有する。より大きな分子量を有する反応性液体改質剤は、典型的には、エポキシ樹脂と不適合であり、相分離及び接着強度の低下をもたらす。本発明の幾つかの実施形態では、反応性液体改質剤は、約4,000g/モル未満の分子量、幾つかの実施形態では、約3,500g/モル未満の分子量、及び幾つかの実施形態では、約2,000g/モル未満の分子量を有する。本発明の幾つかの実施形態では、反応性液体改質剤は、少なくとも約100g/モルの分子量、幾つかの実施形態では、少なくとも約200g/モルの分子量、及び幾つかの実施形態では、少なくとも約500g/モルの分子量を有する。
【0048】
本発明の幾つかの実施形態では、反応性液体改質剤は、約100g/モル〜約4,000g/モルの分子量を有する。他の実施形態では、反応性液体改質剤は、約200g/モル〜約3,500g/モルの分子量を有する。更なる実施形態では、反応性液体改質剤は、約500g/モル〜約2,000g/モルの分子量を有する。
【0049】
本発明の反応性液体改質剤は、連鎖開始単独重合又はアミン硬化剤との縮合反応により重合して、IPNを形成することができる。連鎖開始単独重合を受ける反応性液体改質剤としては、アクリレート官能化化合物及びアクリルアミド官能化化合物が挙げられる。縮合反応を受ける反応性液体改質剤としては、シュウ酸アミド官能化化合物、アセトアセトキシ官能化ウレタン、及びアセトアセトキシ官能化ポリアルケンが挙げられる。
【0050】
アクリレート官能化化合物アクリレート官能化化合物は、モノ−、ジ−又はポリ官能化化合物であってよい。好適なアクリレート官能化化合物としては、一般式(IV)を有するカプロラクトン誘導体が挙げられる:
【0051】
【化4】

【0052】
式中、Yは、約1〜10個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル鎖(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル等)、又は約1〜10個の炭素原子を有するヘテロアルキル鎖(例えば、アルキルエーテル、アルキルスルフィド等)を表し、それぞれのRは、独立して、H又はC〜Cアルキル(例えば、メチル、エチル等)であり、それぞれのgは、独立して、約1〜35の範囲の整数値であり、hは、約1〜22の範囲の整数値である。
【0053】
他の好適なアクリレート官能化化合物としては、一般式(V)を有するビスフェノールA誘導体が挙げられる:
【0054】
【化5】

【0055】
式中、それぞれのRは、独立して、H又はC〜Cアルキル(例えば、メチル、エチル等)であり、i及びjは、それぞれ、独立して、約1〜10の範囲の整数値であり、k及びlは、それぞれ、独立して、合計値(即ち、k+l)が約2〜135の範囲である少なくとも1の整数値である。幾つかの実施形態では、i及びjの合計値(即ち、i+j)は、約2〜10の範囲である。幾つかの実施形態では、i及びjは、それぞれ2である。
【0056】
更なる他の好適なアクリレート官能化化合物としては、一般式(VI)を有するビスフェノールF誘導体が挙げられる:
【0057】
【化6】

【0058】
式中、それぞれのRは、独立して、H又はC〜Cアルキル(例えば、メチル、エチル等)であり、i及びjは、それぞれ、独立して、約1〜10の範囲の整数値であり、k及びlは、それぞれ、独立して、合計値(即ち、k+l)が約2〜135の範囲である少なくとも1の整数値である。幾つかの実施形態では、i及びjの合計値(即ち、i+j)は、約2〜10の範囲である。幾つかの実施形態では、i及びjは、それぞれ2である。
【0059】
市販のアクリレート官能化反応性液体改質剤としては、SR602(Sartomer Company,Inc.(Exton,PA,USA)から入手可能なエトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート)が挙げられる。
【0060】
アクリルアミド官能化化合物アクリルアミド官能化化合物は、モノ−、ジ−又はポリ官能化化合物であってよい。好適なアクリルアミド官能化化合物は、以下に示すように(スキームI)、カプロラクトンのオリゴマーとアズラクトンとの反応から誘導され得る。
【0061】
【化7】

【0062】
Yは、約1〜10個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル鎖(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル等)又は約1〜10個の炭素原子を有するヘテロアルキル鎖(例えば、アルキルエーテル、アルキルスルフィド等)を表す。それぞれのmは、独立して、約1〜20の範囲の整数値である。nは、約1〜5の範囲の整数値である。
【0063】
及びRは、それぞれ、独立して、約1〜14個の炭素原子を有するアルキル基、約3〜14個の炭素原子を有するシクロアルキル基、約5〜12個の環状原子を有するアリール基、及び約6〜26個の炭素原子と、約0〜3個のS、N、若しくは非過酸化O原子を有するアレニル基であるか、又はR及びRは、それらが結合している炭素と一緒になって、約4〜12個の炭素原子を有する炭素環を形成する。それぞれのpは、それぞれ独立して、0又は1である。
【0064】
幾つかの実施形態では、アズラクトンは、2−ビニル−4,4−ジメチルアズラクトンである。
【0065】
幾つかの実施形態では、アクリルアミド官能化化合物は、ビスアクリルアミド(VII)であり、式中、Yは、アルキルエーテル(−CHCHOCHCH−)であり、mは、5であり、nは、2であり、pは、0であり、R及びRは、それぞれメチル基である(合成については実施例の章に記載される)。
【0066】
【化8】

【0067】
他の好適なアクリルアミド官能化化合物は、以下に示すように(スキームII)、アルコキシル化ビスフェノールAとアズラクトンとの反応から誘導され得る。
【0068】
【化9】

【0069】
i及びjは、それぞれ、独立して、約1〜10の範囲の整数値である。幾つかの実施形態では、i及びjの合計値(即ち、i+j)は、約2〜10の範囲である。幾つかの実施形態では、i及びjは、それぞれ2である。
【0070】
k及びlは、それぞれ、独立して、合計値(即ち、k+l)が約2〜120の範囲である少なくとも1の整数値である。
【0071】
及びRは、それぞれ、独立して、約1〜14個の炭素原子を有するアルキル基、約3〜14個の炭素原子を有するシクロアルキル基、約5〜12個の環状原子を有するアリール基、及び約6〜26個の炭素原子と、約0〜3個のS、N、若しくは非過酸化O原子を有するアレニル基であるか、又はR及びRは、それらが結合している炭素と一緒になって、約4〜12個の炭素原子を有する炭素環を形成する。それぞれのpは、それぞれ独立して0又は1である。
【0072】
幾つかの実施形態では、アズラクトンは、2−ビニル−4,4−ジメチルアズラクトンである。
【0073】
更なる他の好適なアクリルアミド官能化化合物は、以下に示すように(スキームIII)、アルコキシル化ビスフェノールFとアズラクトンとの反応から誘導され得る。
【0074】
【化10】

【0075】
i及びjは、それぞれ、独立して、約1〜10の範囲の整数値である。幾つかの実施形態では、i及びjの合計値(即ち、i+j)は、約2〜10の範囲である。幾つかの実施形態では、i及びjは、それぞれ2である。
【0076】
k及びlは、それぞれ、独立して、合計値(即ち、k+l)が約2〜120の範囲である少なくとも1の整数値である。
【0077】
及びRは、それぞれ、独立して、約1〜14個の炭素原子を有するアルキル基、約3〜14個の炭素原子を有するシクロアルキル基、約5〜12個の環状原子を有するアリール基、及び約6〜26個の炭素原子と、約0〜3個のS、N、若しくは非過酸化O原子を有するアレニル基であるか、又はR及びRは、それらが結合している炭素と一緒になって、約4〜12個の炭素原子を有する炭素環を形成する。それぞれのpは、それぞれ独立して0又は1である。
【0078】
幾つかの実施形態では、アズラクトンは、2−ビニル−4,4−ジメチルアズラクトンである。
【0079】
シュウ酸アミド官能化化合物シュウ酸アミド化合物は、ジ−又はポリ官能化化合物であってよい。好適なシュウ酸アミド官能化化合物は、以下に示すように(スキームIV)ジアミンとジアルキルオキザラートとの反応から誘導され得る。
【0080】
【化11】

【0081】
zは、約1〜75の範囲の整数値である。幾つかの実施形態において、zは、6である。
【0082】
及びRは、それぞれ、独立して、約1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、約3〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、又は約6〜12個の炭素原子を有する芳香族基である。幾つかの実施形態では、R及びRは、それぞれエチル基である。
【0083】
幾つかの実施形態では、シュウ酸アミド官能化化合物は、DEO−400(合成については実施例の章に記載される)であり、式中、zは、5〜6であり、R及びRは、それぞれエチル基である。
【0084】
別の好適なシュウ酸アミド官能化化合物は、以下に示すように(スキームV)、ポリアミンとジアルキルオキザラートとの反応から誘導され得る。
【0085】
【化12】

【0086】
Aは、約1〜10個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル鎖(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル等)を表す。Rは、約1〜5個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル鎖である。それぞれのwは、独立して、約1〜130の範囲の整数値である。xは、約1〜40の範囲の整数値である。
【0087】
及びRは、それぞれ、独立して、約1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、約3〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、又は約6〜12個の炭素原子を有する芳香族基である。幾つかの実施形態では、R及びRは、それぞれエチル基である。
【0088】
アセトアセトキシ官能化ウレタンアセトアセトキシ官能化ウレタンは、オリゴウレタンポリオールの1つ以上のヒドロキシル基をアセトアセトキシ官能基で末端保護することにより調製されるモノ−、ジ−、又はポリ官能化化合物であってよい。好ましくは、アセトアセトキシ官能化ウレタンは、イソシアネートを含まない。幾つかの実施形態では、アセトアセトキシ官能化ウレタンは、二官能化されている。
【0089】
例示的なアセトアセトキシ官能化ウレタンとしては、AcAcUD及びAcAcXM(合成については以下の実施例の章に記載される)が挙げられる。
【0090】
アセトアセトキシ官能化ポリアルケンアセトアセトキシ官能化ポリアルケンは、モノ−、ジ−、又はポリ官能化化合物であってよい。好適なアセトアセトキシ官能化ポリアルケンとしては、一般式(VIII)を有するものが挙げられる:
【0091】
【化13】

【0092】
qは、1分子あたりのアセトアセトキシ基の平均数を表し、約1〜約10の範囲の整数又は非整数である。例えば、幾つかの実施形態では、nは、約2〜約5の範囲である。これは、nが約4.6である実施形態を含む。他の実施形態では、nは、約7〜約10の範囲である。これは、nが約9である実施形態を含む。
【0093】
は、H又は熱分解反応開始剤由来の反応開始剤断片である。熱分解反応開始剤は、一般に、アゾ型化合物とペルオキシ型化合物の2つの分類に分けられる。アゾ型化合物は、安定な窒素分子の排除により駆動されるC−N(ジアルキルジアゼン)又はO−N(次亜硝酸ジアルキル)結合切断のいずれかにより炭素及び酸素中心ラジカルの両方を生成する熱分解反応開始剤の広く利用されている分類である。大部分のアゾ型化合物は、断片化される際に2つの同一のラジカル種を生成する。例示的なアゾ型化合物を以下に示す。
【0094】
【化14】

【0095】
ペルオキシ型化合物は、O−O結合切断により酸素中心ラジカルを生成する熱分解反応開始剤である。例示的なペルオキシ型化合物を以下に示す。
【0096】
【化15】

【0097】
他の好適なペルオキシ型化合物としては、1,1−ビス(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,4−ペンタンジオンペルオキシド、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2−ブタノンペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酢酸t−ブチル、t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、及びt−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネートが挙げられる。
【0098】
は、H、熱分解反応開始剤由来の反応開始剤断片、又は式(IX)により表されるチオエステルである:
【0099】
【化16】

【0100】
式中、Rは、C〜C12直鎖アルキル、C〜C12分岐アルキル、又はC〜C12環状アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソオクチル等)である。これは、Rがイソオクチルである実施形態を含む。
【0101】
幾つかの実施形態では、本発明の反応性液体改質剤は、MaAcAc 1000 MWオリゴマー(合成については実施例の章に記載される)であり、式中、qは、約4.6であり、Rは、t−ブチル基であり、Rは、一般式(IX)であり、Rは、イソオクチルである。
【0102】
幾つかの実施形態では、本発明の反応性液体改質剤は、MaAcAc 2000 MWオリゴマー(合成については実施例の章に記載される)であり、式中、qは、約9であり、Rは、t−ブチル基であり、Rは、一般式(IX)であり、Rは、イソオクチルである。
【0103】
本発明の幾つかの実施形態では、構造接着剤は、少なくとも約5重量%の反応性液体改質剤、幾つかの実施形態では、少なくとも約8重量%の反応性液体改質剤、及び幾つかの実施形態では、少なくとも約10重量%の反応性液体改質剤を含む。本発明の幾つかの実施形態では、構造接着剤は、約20重量%未満の反応性液体改質剤、幾つかの実施形態では、約15重量%未満の反応性液体改質剤、及び幾つかの実施形態では、約12重量%未満の反応性液体改質剤を含む。
【0104】
幾つかの実施形態においては、本発明の構造接着剤は、約5重量%〜約20重量%の反応性液体改質剤を含む。他の実施形態においては、構造接着剤は、約6重量%〜約12重量%の反応性液体改質剤を含む。更に他の実施形態においては、構造接着剤は、約6重量%〜約10重量%の反応性液体改質剤を含む。
【0105】
ラジカル反応開始剤
アクリレート官能化反応性液体改質剤又はアクリルアミド官能化反応性液体改質剤を含む本発明の組成物はまた、エチレン性不飽和アクリレート又はアクリルアミド部分を重合させる1つ以上のラジカル反応開始剤を含む。ラジカル反応開始剤は、ペルオキシド及びアゾ化合物等の熱反応開始剤を含んでよい。例示的なペルオキシド熱反応開始剤としては、アシルペルオキシド(例えば、アセチルペルオキシド及びベンゾイルペルオキシド)、アルキルペルオキシド(例えば、クミルペルオキシド及びt−ブチルペルオキシド)、ヒドロペルオキシド(例えば、クミルヒドロペルオキシド及びt−ブチルヒドロペルオキシド)及び過酸エステル(例えば、t−ブチルペルベンゾエート)を挙げることができる。例示的なアゾ熱反応開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及びVAZO−52 及びVAZO−67(DuPont Chemicals(Wilmington,DE,USA)から入手可能)を挙げることができる。
【0106】
ラジカル反応開始剤としてはまた、少なくとも1つの酸化剤と少なくとも1つの還元剤を含むレドックス反応開始剤を含んでもよい。種々のレドックス反応開始剤は、所望により、マイクロカプセル化還元及び/又は酸化剤を含んでよい。酸化剤は、還元剤と反応するか、別な方法で協同し、フリーラジカルを生成する。フリーラジカルは、エチレン性不飽和アクリレート又はアクリルアミド部分の重合を開始させることができる。
【0107】
好適な酸化剤としては、過硫酸塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びアルキルアンモニウム過硫酸塩)、過酸化物又は過酸化物塩(例えば、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、及び例えば、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、及び2,5−ジヒドロペルオキシ−2,5−ジメチルヘキサンを含むヒドロペルオキシド)、コバルト(III)及び鉄(III)の塩、過ホウ酸及びその塩、過マンガン酸アニオンの塩、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0108】
好適な還元剤としては、アミン(例えば、芳香族アミン)、アスコルビン酸、金属錯体アスコルビン酸、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、シュウ酸、チオ尿素、並びにジチオナイト、チオ硫酸、スルフィン酸ベンゼン、又は亜硫酸塩アニオンの塩を挙げることができる。
【0109】
例示的なレドックス反応開始剤としては、ベンゾイルペルオキシド/N,N−ジアルキルアニリン反応開始剤系、及びベンゾイルペルオキシド/N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン反応開始剤系を挙げることができる。
【0110】
幾つかの実施形態では、ラジカル反応開始剤は、VAZO−52、VAZO−67、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。他の実施形態では、ラジカル反応開始剤は、ベンゾイルペルオキシド/N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジンレドックス反応開始剤系を含む。
【0111】
ラジカル反応開始剤の量は、接着剤組成物を重合させてIPNを形成するのに十分な量であってよい。幾つかの実施形態においては、本発明の構造接着剤は、約0.01重量%〜約5重量%の反応開始剤を含む。これは、構造接着剤が約0.1重量%〜約2重量%の反応開始剤を含む実施形態を含む。
【0112】
反応性希釈剤
所望により反応性希釈剤を添加して、接着性組成物の流動特性を制御することができる。好適な希釈剤は、少なくとも1つの反応性末端部分、及び好ましくは、飽和又は不飽和の環状主鎖を有することができる。反応性末端部分には、グリシジルエーテルが挙げられる。好適な希釈剤の例としては、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、及びトリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテルが挙げられる。市販の反応性希釈剤は例えば、Reactive Diluent 107(Hexion Specialty Chemical(Houston,TX,USA)から入手可能)及びEPODIL 757(Air Products and Chemical Inc.(Allentown,PA,USA)から入手可能)である。
【0113】
幾つかの実施形態においては、本発明の構造接着剤は、約0.001重量%〜約25重量%の反応性希釈剤を含む。
【0114】
構造接着剤組成物
本発明の二液型組成物は、A部及びそれとは別個のB部を含む。A部は、アミン硬化剤を含み、B部は、硬化性エポキシ樹脂を含む。B部の硬化性エポキシ樹脂に加えて、A部も硬化性エポキシ樹脂を含んでもよい。任意の残りの成分(例えば、強化剤、反応性液体改質剤、二次硬化剤、ラジカル反応開始剤、反応性希釈剤等)については、エポキシ反応性基を有する化合物はA部に添加され、アミン反応性基を有する化合物はB部に添加され、エポキシ反応性基もアミン反応性基も有さない化合物は、A部、B部又はこれらの組み合わせに添加されてよい。あるいは、1つ以上のこれら成分用の別個の部分も想到され得る。
【0115】
接着剤を作製するために組み合わせられるA部及びB部の量は、架橋エポキシ網目構造におけるエポキシのアミン硬化剤に対する所望のモル比に依存する。幾つかの実施形態では、本発明の構造接着剤は、約0.5:1〜約3:1の範囲の、硬化性エポキシ樹脂のエポキシ部分のアミン硬化剤のアミン水素に対するモル比を有する。これは、モル比が2:1又は約1:1である実施形態を含む。構造接着剤中の他の成分がアミン硬化剤とも反応する場合、構造接着剤中のアミン硬化剤の量を適宜増加させてよい。A部及びB部のそれぞれの量は、使用直前に混合されることが好ましい。
【0116】
幾つかの実施形態では、本発明の構造接着剤は、硬化性エポキシ樹脂、アミン硬化剤、強化剤及び反応性液体改質剤を含む。他の実施形態では、本発明の構造接着剤は、硬化性エポキシ樹脂、アミン硬化剤、二次硬化剤、強化剤、及び反応性液体改質剤を含む。更に他の実施形態では、本発明の構造接着剤は、硬化性エポキシ樹脂、アミン硬化剤、二次硬化剤、強化剤、反応性液体改質剤、及び反応性希釈剤を含む。
【0117】
本発明の組成物を構成するために用いられる成分は、共連続相により印を付けられた形態を作製すべきである。換言すれば、IPNを作製するために、反応性液体改質剤は、エポキシ樹脂と適合すべきである。化学的観点から、IPNは、両方のポリマーの物理的特性を呈する2つの全く異なる種類のポリマーで形成される全体の単位構造である。反応性液体改質剤がエポキシ樹脂と適合する場合、エポキシに富む相のガラス転移温度は、エポキシ樹脂のTgと重合した液体改質剤のTgとの間に存在し、ここで、量の変化は組成物中の反応性液体改質剤の量により決定される。他方、反応性液体改質剤がエポキシ樹脂と適合しない場合、相分離が生じ、エポキシに富む相のガラス転移温度は、存在する反応性液体改質剤の量によりほとんど変化しないままである。したがって、本発明の組成物は、典型的には、反応性液体改質剤を含まない組成物より低い又は高いガラス転移温度を呈する。幾つかの実施形態では、本発明の組成物は、反応性液体改質剤を含まない対応する組成物のTgよりも低いTgを呈する。
【0118】
硬化
本発明に従ってIPNを作製するために、反応性液体改質剤の硬化速度は、エポキシ樹脂の硬化速度より速いことが好ましい。エポキシ樹脂が反応性液体改質剤の前に硬化する場合、「ドメイン化」が生じる場合があり、接着剤に許容できない不連続が引き起こされる。したがって、完成IPNの化学的及び物理的特性は、エポキシ樹脂及び反応性液体改質剤の硬化の相対速度に強く影響を受ける。
【0119】
一般に、反応性液体改質剤がシュウ酸アミド官能化化合物、アセトアセトキシ官能化ウレタン又はアセトアセトキシ官能化ポリアルケンであるとき、アミン硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化前に反応性液体改質剤を実質的に重合させる(実施例2〜4を参照)。反応性液体改質剤がアクリレート官能化化合物又はアクリルアミド官能化化合物であるとき、ラジカル反応開始剤及び/又は重合温度は、エポキシ樹脂が実質的に硬化する前に反応性液体改質剤が重合するように選択すべきである(実施例1を参照)。
【0120】
実施例1は、反応性液体改質剤の重合速度がIPNの形成、最終的には構造接着剤の品質にどのように影響を与え得るかを示す。アクリレート1中のアクリレート官能化反応性液体改質剤を、エポキシ樹脂の硬化前に60℃(アクリレート1−60)及び100℃(アクリレート1−100)において別個のサンプルとして重合させた。反応性液体改質剤の重合速度は、温度と共に上昇する。したがって、反応性液体改質剤の重合は、同じ期間60℃で硬化させたサンプルよりも100℃で硬化させたサンプルの方がより進行する。図1に示すように、アクリレート1−60のガラス転移温度は、EPOXYST(反応性液体改質剤を含まない1:1エポキシ接着剤)に類似している。60℃では、反応性液体改質剤は、エポキシ樹脂の硬化前に実質的に重合することができなかったため、反応性液体改質剤とエポキシ樹脂との間に相分離が生じた。したがって、ガラス転移温度は、硬化したエポキシ樹脂のガラス転移温度に類似する。対照的に、アクリレート1−100は、EPOXYSTよりも著しく低いガラス転移温度を有する。100℃では、反応性液体改質剤は、エポキシ樹脂の硬化前に実質的に重合するため、硬化したエポキシ樹脂及び重合した反応性液体改質剤の特性を有するIPNが生じる。したがって、本発明の幾つかの実施形態では、反応性液体改質剤はエポキシ樹脂の硬化前に重合する。
【0121】
本発明の構造接着剤は、典型的には、2段階プロセスで硬化される。最初の段階(第1の硬化)では、主反応は、反応性液体改質剤の重合である。2番目の段階(第2の硬化)では、主反応は、エポキシ樹脂の架橋である。
【0122】
一次硬化の条件は、反応性液体改質剤の性質にある程度依存する。幾つかの実施形態では、一次硬化は、少なくとも3時間室温で実施される。これは、一次硬化が少なくとも24時間室温で実施される実施形態を含む。これはまた、一次硬化が少なくとも72時間室温で実施される実施形態も含む。他の実施形態では、一次硬化は、室温より高い温度で実施されてよい。これは、一次硬化が約110℃で約30分間、又は約110℃で約1時間実施される実施形態を含む。
【0123】
二次硬化は、典型的には、約80℃〜約200℃の範囲の高温で実施される。接着剤が硬化する時間の長さは、所望の特性によって変化する。幾つかの実施形態では、二次硬化は、180℃で30分間実施される。
【0124】
本発明の幾つかの実施形態では、構造接着剤は、110℃で30分間硬化され、続いて180℃で30分間硬化される。
【0125】
更なる実施形態では、接着剤は、短時間熱硬化した後所望の凝集強度に達し得る。凝集強度は、同一条件にてより長期間組成物を硬化した場合でも依然として増大することもできるので、この種の硬化は、本明細書において部分硬化と呼ばれる。原理上は、部分硬化は任意の加熱方法によって実施することができる。幾つかの実施形態では、誘導硬化(例えば、スポット誘導硬化又はリング誘導硬化)を部分硬化に用いることができる。誘導硬化は、誘導コイル(材料に接近し、その中に交流が流れる)を配置することによって、電導材料中に熱を発生させるための電力を使用した非接触式加熱法である。ワークコイル内の交流は、被加工物中に循環電流を発生させる電磁場を確立する。被加工物中のこの循環電流は、材料の固有抵抗に逆らって流れ、熱を発生する。誘導硬化装置は、例えば、IFF−GmbH(Ismaning,Germany)製のEWSが市販品として入手可能である。
【0126】
更なる実施形態では、本発明の接着剤は、誘導硬化を受け、続いて室温硬化及びより高温での後硬化を受ける場合がある。
【0127】
固着強度
硬化時に1つ以上の基材上で頑丈で強固な接着を形成することが、二液型エポキシ系接着剤とって望ましい。重ね剪断強度試験で試験した際には高い剪断値で、及びT型剥離試験で試験した際には高いT型剥離値で接着が凝集的に離れる場合、接着は強固であると見なされる。接着は以下の3つの異なる様式で離れ得る、(1)凝集破壊様式で、両方の金属表面への接着剤の接着部分を残して裂ける、(2)接着破壊様式で、どちらかの金属表面から接着剤が引き離される、又は(3)接着及び凝集破壊の組み合わせ。本発明の構造接着剤は、重ね剪断強度試験及びT型剥離試験中に、接着及び凝集破壊の組み合わせを、より好ましくは凝集破壊を呈し得る。
【0128】
幾つかの実施形態では、本発明の構造接着剤は、110℃で30分硬化させ、続いて180℃で30分間硬化させるとき、少なくとも6.9MPa(1,000psi)の重ね剪断強度を有し得る。他の実施形態においては、構造接着剤は、少なくとも17.2MPa(2500psi)の重ね剪断強度を有し得る。更に他の実施形態においては、構造接着剤は、少なくとも27.6MPa(4000psi)の重ね剪断強度を有し得る。
【0129】
幾つかの実施形態では、本発明の構造接着剤は、110℃で30分間分硬化させ、続いて180℃で30分間硬化させるとき、少なくとも52.1N/cm(30lb/in)−幅のT型剥離強度を有し得る。他の実施形態では、構造接着剤は、少なくとも87.6N/cm(50lb/in)−幅のT型剥離強度を有し得る。更に他の実施形態では、構造接着剤は、少なくとも105.1N/cm(60lb/in)−幅のT型剥離強度を有し得る。
【0130】
本発明の構造接着剤は、110℃で30分間硬化させ、続いて180℃で30分硬化させるとき、少なくとも17.2MPa(2500psi)の重ね剪断強度、及び少なくとも52.1N/cm(30lb/in)−幅のT型剥離強度を有し得る。加えて、本発明の構造接着剤は、110℃で30分間硬化させ、続いて180℃で30分硬化させるとき、少なくとも17.2MPa(2500psi)の重ね剪断強度、及び少なくとも87.6N/cm(50lb/in)−幅のT型剥離強度を有し得る。更に、本発明の構造接着剤は、室温で約18時間硬化させ、続いて180℃で30分硬化させるとき、少なくとも27.6MPa(4000psi)の重ね剪断強度、及び少なくとも52.1N/cm(30lb/in)−幅のT型剥離強度を有し得る。
【0131】
接着剤組成物の使用
本発明の接着剤組成物を使用して、接着剤組成物を、接着させるべき2つの部品の間に塗布することによって、及び接着接合を形成するために接着剤を硬化させることによって、溶接又は機械的な締結具を補完又は完全に排除することができる。その上に本発明の接着剤を適用することができる好適な基材としては、金属(例えば、スチール、鉄、銅、アルミニウムなどと、これらの合金が含まれる)、炭素繊維、ガラス繊維、ガラス、エポキシ繊維複合材料、木、及びこれらの混合物が挙げられる。幾つかの実施形態においては、基材の少なくとも1つは、金属である。他の実施形態においては、基材の両方は、金属である。
【0132】
接着剤接着の分野では、接着剤は、液体、ペースト、及び加熱によって液化可能な半固体又は固体として塗布することができ、又は接着剤はスプレーとして適用されてよい。それは、有用な接着の形成に適合する連続ビーズ、中間ドット、ストライプ、対角線又はその他のいかなる幾何学的形状として塗布してよい。幾つかの実施形態においては、接着剤組成物は液体又は、ペーストの形態である。
【0133】
接着剤配置の選択肢は、溶接又は機械的締結具によって増やしてよい。溶着は、スポット溶接、連続シーム溶接、又は接着剤組成物と組み合わせることが可能な任意のその他の溶接技術によって行い、機械的にしっかりした結合を形成できる。
【0134】
本発明の組成物は、構造接着剤として使用してよい。特に、それらは、船、航空機又は車、モーターバイク若しくは自転車などのモータークラフト車の組立などの機体組立における構造接着剤として使用してよい。特に、接着剤組成物は、ヘムフランジ接着剤として使用してよい。接着剤はまた、ボディフレーム組立において使用してもよい。組成物はまた、建築における構造接着剤として、又は家庭及び工業製品における構造接着剤としても使用することもできる。
【0135】
幾つかの実施形態では、本発明は、複合品を作製する方法であって、本発明の二液型接着剤を表面に塗布する工程と、表面に接触している二液型接着剤を硬化させて複合品を形成する工程とを含む方法を提供する。
【0136】
他の実施形態では、本発明は、複数の部材間に接着継手を形成する方法であって、本発明の二液型接着剤を2つ以上の部材のうちの少なくとも1つの表面に塗布する工程と、二液型接着剤が2つ以上の部材間に挟まれるように部材を接合させる工程と、二液型接着剤を硬化させて2つ以上の部材間に接着継手を形成する工程と、を含む方法を提供する。
【0137】
本発明の組成物はまた、溶接添加剤としても使用することもできる。
【0138】
組成物は、金属−金属接着剤、金属−炭素繊維接着剤、炭素繊維−炭素繊維接着剤、金属−ガラス接着剤、及び炭素繊維−ガラス接着剤として使用してよい。
【0139】
本発明の例示の実施形態は、以下の例で提供される。以下の実施例は、本発明及び本発明を適用するための方法を説明するために存在し、当業者の、同様のものの製造と使用を補助する。実施例は、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0140】
用いられる材料
ANCAMINE K54(Air Products in Allentown,PA,USAから入手可能)は、工業規格のトリス−2,4,6−ジメチルアミノメチル−フェノール触媒三級アミン接着剤である。
【0141】
BP(Aldrich Chemical Company in Milwaukee,WI,USAから入手可能)は、ベンゾイルペルオキシドである。
【0142】
γ−ブチロラクトン(Aldrich Chemical Company in Milwaukee,WI,USAから入手可能)。
【0143】
ポリカプロラクトンジオール(Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI,USA)から入手可能−カタログ番号18,941−3)。
【0144】
CPR−1250ビスアクリルアミド(合成については以下に記載)は、アクリルアミド反応性液体改質剤である。
【0145】
DBU(Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI,USA)から入手可能)は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンである。
【0146】
DHEPT(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)は、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジンである。
【0147】
【化17】

【0148】
DEO−400(合成については以下に記載)は、オキシアミドエステル終端ポリプロピレンオキシドである。
【0149】
DER 331(Dow Chemical Co.(Midland,MI,USA)から入手可能)は、約187.5のエポキシ当量を有するビスフェノールAのジグリシジルエーテルである。
【0150】
ジエチルオキザラート(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)。
【0151】
EPODIL 757(Air Products and Chemicals Inc.(Allentown,PA,USA)から入手可能)は、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルに基づく反応性希釈剤である。
【0152】
EPON 828(Hexion Specialty Chemicals(Houston,TX,USA)から入手可能)は、約187.5のエポキシ当量を有する、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルである。
【0153】
酢酸エチル(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)。
【0154】
IOTGA(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)は、チオグリシド酸のイソオクチルエステルである。
【0155】
JEFFAMINE(登録商標)D−400ポリエーテルアミン(Hunstman Corporation(The Woodlands,Texas,USA)から入手可能)。
【0156】
K−FLEX XM−311(King Industries(Norwalk,CT,USA)から入手可能)は、ポリウレタンポリオールである。
【0157】
K−FLEX UD−320−1000(King Industries(Norwalk,CT,USA)から入手可能)はポリウレタンポリオールである。
【0158】
MaAcAc(Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI,USA)から入手可能)は、2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテートである。
【0159】
MaAcAc 1000 MWオリゴマー(合成については以下に記載)は、約1000のオリゴマー分子量を有するアセトアセトキシ官能化反応性液体改質剤である。
【0160】
MaAcAc 2000 MWオリゴマー(合成については以下に記載)は、約2000のオリゴマー分子量を有するアセトアセトキシ官能化反応性液体改質剤である。
【0161】
ピアノ線(0.13mm及び0.25mm(直径0.005”及び0.010”))(Small Parts Inc.(Miramar,FL,USA)から入手可能)。
【0162】
PARALOID EXL 2600(Rohm and Haas Company(Philadelphia,PA,USA)から入手可能)は、粒径約250nmのコア/シェル構造(ポリブタジエン−co−ポリスチレン−コポリマー、シェル:ポリメタクリレートを含む、コアを架橋されたゴム)を備えるメタクリレート/ブタジエン/スチレンポリマーである。
【0163】
SR602(Sartomer Company,Inc.(Exton,PA,USA)から入手可能)は、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレートである。
【0164】
アセト酢酸t−ブチル(Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI,USA)から入手可能)。
【0165】
TTD (TCI America(Protland,OR,USA)から入手可能)は、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミンである。
【0166】
ウレタンジAcAc#1(合成については以下に記載)は、アセトアセトキシ官能化終端ウレタン反応性液体改質剤である。
【0167】
ウレタンジAcAc#2(合成については以下に記載)は、アセトアセトキシ官能化終端ウレタン反応性液体改質剤である。
【0168】
VAZO−52(DuPont Chemicals(Wilmington,DE,USA)から入手可能)は、アゾ系フリーラジカル反応開始剤である。
【0169】
VAZO−67又はAIBN(DuPont Chemicals(Wilmington,DE,USA)から入手可能)はアゾイソブチロニトリルである。
【0170】
VDM(合成については以下に記載)は、2−ビニル−4,4−ジメチルアズラクトンである。
【0171】
Zeller−Gmelin KTL N16(Zeller+Gmelin GmbH & Co.KG(Eislingen,Germany)から入手可能)は、深絞り油である。
【0172】
Z6040(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)は、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランとして同定されている接着促進剤である。
【0173】
2−ビニル−4,4−ジメチルアズラクトンの合成
2−ビニル−4,4−ジメチルアズラクトン(VDM)は、脱水剤としてエチルクロロホルメートを用いて、Taylor及びPlattの手順(L.D.Taylor and T.E.Platt,J.Polym.Sci.Polym.Lett.Ed.,7,597(1969))によりN−アクリロイルメチルアラニン(S.M.Heilmann and H.K.Smith II,J.Appl.Polym.Sci.,24,1551(1979))から調製した。ろ液を冷却して生成物を結晶化させる代わりに、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮し、粗生成物を0.5トールにて室温より少しだけ高い温度で蒸留した変更作業手順を用いた。受液フラスコを−78℃に冷却して生成物を回収した。典型的な蒸留収率は約80%であった。
【0174】
アクリルアミド官能化反応性液体改質剤の合成
CPR−1250ビスアクリルアミド(VII)丸底フラスコに31.12グラムのポリカプロラクトンジオールを入れ、続いて6.95グラムのVDMを、ピペットで注意深く添加した。次いで、混合物を80℃に加熱した槽に入れ、ポリカプロラクトンジオールが融解するまで撹拌した。融解が本質的に完了したら、0.4グラムのDBUをピペットで混合物に添加した。80℃で約1時間後、約80%のVDMが反応していた。80℃で24時間後、H NMRにより証明されるように、反応は本質的に完了した。
【0175】
【化18】

【0176】
シュウ酸アミド官能化反応性液体改質剤の合成
DEO−400オキサミドエステル終端ポリプロピレンオキシドを、以下の反応スキームに従って調製した。
【0177】
【化19】

【0178】
シーブ乾燥させた730.70グラムのジエチルオキサラートと、ヘッドスペースをパージするのに十分な量のアルゴンとを2Lのフラスコに添加した。滴加漏斗を用いて、200.00グラムのJEFFAMINE(登録商標)D−400を激しく攪拌しながら90分にわたって滴加した。蒸留アルゴンスパージ(サブ表面)のためのセットアップを用いて、過剰なジエチルオキサラートとエタノールを留去するために、フラスコ内の内容物の温度をゆっくりと150℃に上昇させた。得られた生成物は、ウィスキーブラウン色の、重量273.2グラムの透明な液体で、3,400cPの粘度を有していた。
【0179】
アセトアセトキシ官能化ウレタン反応性液体改質剤の合成
ウレタンジAcAc#1(AcAcUD)。35グラムのt−ブチルアセトアセテートを20グラムのK−FLEX UD−320−100に添加した。得られた混合物を120℃に加熱し、vigoreaux凝縮器を用いて一晩還流した。次いで反応生成物を真空下で蒸留して過剰なアセト酢酸t−ブチルを除去した。H NMR(CDCl)は、ウレタンジAcAc#1が本質的に純粋であることを裏付ける。
【0180】
ウレタンジAcAc#2(AcAcXM)。50グラムのt−ブチルアセトアセテートを20グラムのK−FLEX XM−311に添加した。得られた混合物を120℃に加熱し、vigoreaux凝縮器を用いて一晩還流した。次いで反応生成物を真空下で蒸留して過剰なアセト酢酸t−ブチルを除去した。H NMR(CDCl)は、ウレタンジAcAc#2が本質的に純粋であることを裏付ける。
【0181】
アセトアセトキシ官能化ポリアルケン反応性液体改質剤の合成
MaAcAc 1000 MWオリゴマー(AcAc1K)。20グラムのMaAcAc、4.75グラムのIOTGA、0.051グラムのVAZO 67及び30グラムのエチルアセテートを4oz.のガラス製の重合瓶に充填した。瓶は窒素で5分間パージし、密閉し、60℃に維持したウォーターバスに24時間浸した。次いで反応混合物をバスから取り外し、真空下で溶媒を除去した。H NMR(CDCl)における、骨格プロトンに対しての末端フラグメントプロトンのピーク比は、1分子あたりおよそ4.65の繰り返し単位、又は270のエポキシド当量(EEW)を示した。
【0182】
MaAcAc 2000 MWオリゴマー(AcAc2K)。20グラムのMaAcAc、2.32グラムのIOTGA、0.051グラムのVAZO 67及び30グラムのエチルアセテートを4oz.のガラス製の重合瓶に充填した。瓶を窒素で5分間パージし、密閉し、60℃に維持した水浴に24時間浸した。次いで反応混合物をバスから取り外し、真空下で溶媒を除去した。H NMR(CDCl)における、骨格プロトンに対しての末端フラグメントプロトンのピーク比は、1分子あたりおよそ9の繰り返し単位、又は243のEEWを示した。
【0183】
エポキシB部の調製
307グラムのエポキシ樹脂(DER 331)及び81グラムの反応性希釈剤(EPODIL 757)を、撹拌しながら23℃で混合した。次いで、混合物を機械で撹拌しながら油浴中で80℃に加熱した。714グラムのコア/シェル型ポリマー(PARALOID EXL 2600)を、撹拌しながら少しずつ1時間にわたって混合物に添加した。更に30分間撹拌した後、混合物を100℃に加熱し、その温度で4時間保持した。次いで、混合物を110℃に加熱し、更に1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した。冷却中、12グラムのシランカップリング剤(Z6040)を混合物に撹拌しながら入れた。
【0184】
エポキシA部の調製
99グラムのTTD(アミン硬化剤)を80℃に加熱した。次いで、58グラムのEPON 828を、混合物の温度が100℃を超えないように少しずつ添加した。18グラムのANCAMINE K54を次に混合物に添加し、混合物を更に5分間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却した。
【0185】
動的機械分析(DMA)
液体反応性改質剤をエポキシB部に添加し、均質で半透明な塊ができるまで3〜4分間激しく撹拌した。その混合物にエポキシA部を添加し、黄色がかった塊の色が均一になるまで更に2〜3分間再度激しく撹拌した。
【0186】
次いで、混合物をシリコーンゴム型に沈着させ、それをシリコーンでコーティングされたPETライナ上に置いた。平行な幅5mm×長さ約30mmの矩形及び厚さ1.5mmのシリコーンゴムの10mm×10mmの正方形を打ち抜くことにより、型は予め準備しておいた。いったん型に均一に広げたら、混合物を別のシリコーンでコーティングされたPETライナで覆った。次いで、構築物を厚さ5mmのガラス板の間に固定し、接着剤を硬化させた(実施例に記載の通り)。硬化後、接着剤サンプルをガラス、ライナ、及び型からこの順序で取り外し、Seiko Instrumentsの動的機械分析器内に入れた。
【0187】
5×30mmの矩形を、Seiko DMS110動的機械分析器コンソールを用いて引っ張りモードで、及びSeiko DMS200動的機械コンソールを用いて剪断モードで評価した。サンプルを−60℃に冷却し、その温度で15分間平衡化させ、次いで2℃/分の速度で200℃に加熱した。得られた損失正接(tan d)対温度の曲線を測定した。
【0188】
凝集強度法(重ね剪断強度試験)
重ね剪断用試料は、Boeing Aircraft Company規格BAC−5555に従ってアノード処理された、10.2cm×17.8cm×0.16cm(4”×7”×0.063”)2024−T3ベアアルミニウムを使用して作製した。アノード処理電圧は、22.5ボルトであった。試料は、ASTM規格D−1002に記載されているように作製された。約1.3cm×0.03cm(1/2”×10ミル)の接着剤の細片を、スクレーパーを使用して、2つの被着材のそれぞれの一端に適用した。直径0.13mm(5ミル)のピアノ線3本をスペーサとして使用して、接着剤層の厚みを制御した。結合を閉じ、テープで端に貼り付けた。アルミホイルのシート及び厚紙の間に結合を施した。2枚の14番スチールプレートを使用して圧力を印加し、接着剤を展延した。接着剤を硬化させた後(実施例にて記載の如く)、より大きな試料を2.5cm(1”)幅のサンプルへと切断し、6.5cm(1/2四方インチ)の結合領域を提供した。6つの重ね剪断サンプルは、より大きな試料のそれぞれから入手した。室温においての破壊について、Sintech引張試験機で、0.25cm/min(0.1”/min)のクロスヘッド変位速度を用いて接着を試験した。破壊荷重を記録した。接着面幅は、ノギスにて測定した。引用された重ね剪断力は、(2×破壊荷重)/測定された幅、として計算される。平均及び標準偏差は、6回の検査の結果から計算した。
【0189】
T−剥離試験方法
T型剥離試料は、上記の通りアノード処理した7.6cm×20.3cm×0.06cm(3”×8”×0.025”)2024−T3ベアアルミニウムを使用して作製した。試料は、ASTM D−1876に記載されているようにして作製した。約5.1cm×12.7cm×0.025cm(2”×5”×10mil)の接着剤のストリップを2つの被接着体の両方に塗布した。接着剤層の厚さを制御するために、黄銅のシムで作製した厚さ0.25mm(10mil)のスペーサを接着領域の縁部に適用した。接着を閉じ、接着テープを適用して、硬化中に被着材を一体に保持した。アルミホイルのシート間及びまた厚紙の間に接着剤接着を配置した。4枚の14番スチールプレートを使用して圧力を印加し、接着剤を展延した。接着剤が粘稠すぎる場合、展延のためにより大きな力を提供するためにT型剥離試料を液圧プレス内に入れた。接着剤を硬化させた後(実施例に記載のように)、より大きな試料を幅2.5cm(1”)のサンプルへと切断し、2つの幅2.5cm(1”)の試料を得た。室温においての破壊について、Sintech引張試験機で、30.5cm/min(12”/min)のクロスヘッド変位速度を用いて接着を試験した。荷重データの初期部分は無視した。平均荷重は、約2.5cm(1”)剥離した後に測定した。見積もられたT字剥離強度は、2回の剥離測定の平均値である。
【0190】
実施例1−アクリレート/アクリルアミド−エポキシ接着剤
配合
アクリレート1。0.075グラムのVAZO−52反応開始剤を1.59グラムのSR602に予め溶解させておいた。次いで、10.94グラムのエポキシB部を撹拌しながらその溶液に添加し、続いて2.47グラムのエポキシA部を撹拌しながら添加した。
【0191】
アクリレート2。0.218グラムのBPを数滴のγ−ブチロラクトンと混合することにより、B’部を作製した。次いで、混合物を3.18グラムのSR602に溶解させ、溶解するまで撹拌した。次いで、12.32グラムのエポキシB部を激しく撹拌しながらエポキシB部に添加した。
【0192】
0.195グラムのDHEPTを数滴のγ−ブチロラクトンと混合することにより、A’部を調製した。次いで、混合物を5.56グラムのエポキシA部に溶解させた。
【0193】
次いで、A’部をB’部に添加した。A’部の不完全な移動を補うために、更に0.4グラムのエポキシA部を反応混合物に添加した。得られた反応混合物を激しく撹拌した。
【0194】
アクリルアミド1(5%)。先ず0.200グラムのDHEPTを数滴のγ−ブチロラクトンに溶解させることにより、B’部を作製した。次いで、穏やかに加熱して融解させておいた(80℃)1グラムのCPR−1250ビスアクリルアミドにその溶液を添加した。得られた混合物に15.51グラムのエポキシB部を添加した。
【0195】
先ず0.2グラムのBPを数滴のγ−ブチロラクトンに溶解させることにより、A’部を作製した。次いで、その溶液を4.3グラムのエポキシA部に添加した。エポキシA部の量は、親容器内に残る量を最低限に抑えながら接着剤サンプルを蓄えるために約3.5グラムのエポキシB部を移動させるのに十分であった。
【0196】
次いで、A’部をB’部に添加した。
【0197】
アクリルアミド2(7%)。0.218グラムのBPを数滴のγ−ブチロラクトンと混合することにより、B’部を作製した。次いで、その溶液を3.18グラムのCPR−1250ビスアクリルアミドに溶解させ、溶解するまで撹拌した。次いで、12.32グラムのエポキシB部を激しく撹拌しながらエポキシB部に添加した。
【0198】
0.195グラムのDHEPTを数滴のγ−ブチロラクトンと混合することにより、A’部を調製した。次いで、混合物を5.56グラムのエポキシA部に溶解させた。
【0199】
次いで、A’部をB’部に添加した。A’部の不完全な移動を補うために、更に0.4グラムのエポキシA部を反応混合物に添加した。得られた反応混合物を激しく撹拌した。
【0200】
EPOXYST。1.841グラムのA部を8.159グラムのB部に添加し、混合物を均質になるまで2〜3分間激しく撹拌した。
【0201】
DMA
以下のアクリレート−エポキシ接着剤に対してDMAを実施した。
【0202】
アクリレート1−60。十分な量のアクリレート1をシリコーンゴム型に添加し、上記のDMA手順に従って分析した。60℃で1時間、続いて180℃で30分間硬化を実施した。室温に冷却した後、硬化したサンプルを型から取り外し、分析した。アクリレート1−60のtanδ対温度のプロットを図1に示す。
【0203】
アクリレート1−100。十分な量のアクリレート1をシリコーンゴム型に添加し、上記のDMA手順に従って分析した。100℃で1時間、続いて180℃で30分間硬化を実施した。室温に冷却した後、硬化したサンプルを型から取り外し、分析した。アクリレート1−100のtanδ対温度のプロットを図1に示す。
【0204】
アクリレート2−RT。十分な量のアクリレート2をシリコーンゴム型に添加し、上記のDMA手順に従って分析した。硬化を、室温で一晩実施した。硬化したサンプルを型から取り外し、分析した。アクリレート2−RTのtanδ対温度のプロットを図1に示す。
【0205】
EPOXYST。十分な量のEPOXYSTをシリコーンゴム型に添加し、上記のDMA手順に従って分析した。硬化を、室温で一晩、続いて180℃で30分間実施した。次いで、サンプルを室温まで冷却した。サンプルを型から取り外し、分析した。EPOXYSTのtanδ対温度のプロットを図1に示す。
【0206】
強度試験
アクリレート−エポキシ及びアクリルアミド−エポキシ接着剤の接着強度を、上記の重ね剪断強度及びT型剥離強度試験により測定した。全ての試験をエッチングしたアルミニウム上で実施し、以下の条件下で硬化させた。
【0207】
アクリレート1−110−180。アクリレート1を、110℃で30分間、続いて180℃で30分間硬化させた。重ね剪断力の測定値は、27.4MPa(3976lb/in)であった。T型剥離の測定値は、110.3N/cm(63lb/in)−幅であった。
【0208】
アクリレート1−RT−180。アクリレート1を室温で一晩硬化させ、次いで180℃で30分間オーブン内に定置した。重ね剪断力の測定値は、19.8MPa(2867lb/in)であった。T型剥離の測定値は、64.8N/cm(37lb/in)−幅であった。
【0209】
アクリレート1−110。予め110℃及び約24.1kPa(3.5psi(圧力2ftに対して100lbs))に設定しておいたホットプレスを用いて、アクリレート1を調製した。サンプルをプレス内に約1時間保持した。重ね剪断力の測定値は、29.5MPa(4276lb/in)であった。T型剥離の測定値は、89.3N/cm(51lb/in)−幅であった。
【0210】
アクリレート1−110−180。予め110℃及び約24.1kPa(3.5psi(圧力2ftに対して100lbs))に設定しておいたホットプレスを用いて、アクリレート1を調製した。サンプルをプレス内に約1時間保持し、続いて180℃で30分間保持した。重ね剪断力の測定値は、28.6MPa(4152lb/in)であった。T型剥離の測定値は、77N/cm(44lb/in)−幅であった。
【0211】
アクリルアミド1−110−180。アクリルアミド1を、110℃で30分間、続いて180℃で30分間硬化させた。重ね剪断力の測定値は、28.6MPa(3880lb/in)であった。T型剥離の測定値は、106.8N/cm(61lb/in)−幅であった。
【0212】
アクリルアミド2−110−180。アクリルアミド2を、110℃で30分間、続いて180℃で30分間硬化させた。重ね剪断力の測定値は、33.8MPa(4898lb/in)であった。T型剥離の測定値は、85.8N/cm(49lb/in)−幅であった。
【0213】
実施例2−シュウ酸アミド−エポキシ接着剤
表1に示す量のエポキシB部、エポキシA部、及びDEO−400を混合することによりシュウ酸アミド−エポキシ製剤を調製した。具体的には、DEO−400をB部に添加し、2〜3分間撹拌して、均質な混合物を得た。次いで、A部を混合物に添加し、混合物を均質になるまで更に2〜3分間撹拌した。
【0214】
【表1】

【0215】
DMA
十分な量の接着剤をシリコーンゴム型に添加し、上記のDMA手順に従って分析した。硬化を、室温で18時間、続いて80℃で2時間実施した。室温に冷却した後、硬化したサンプルを型から取り外し、分析した。種々の接着剤についてtanδ対温度のDMAプロットを図2に示す。
【0216】
強度試験
DEO7の接着強度を、上記の重ね剪断及びT型剥離強度試験により測定した。両方の試験は、エッチングされたアルミニウム上で実施し、接着剤を、110℃で30分間、続いて180℃で30分間硬化させた。重ね剪断力の測定値は、35.9MPa(5214lb/in)であった。T型剥離の測定値は、122.6N/cm(70lb/in)−幅であった。
【0217】
実施例3−ポリウレタンAcAc−エポキシ接着剤
表2に示す量のエポキシB部、エポキシA部及びAcAcUDを混合することによりAcAcUD−エポキシ製剤を調製した。具体的には、AcAcUDをB部に添加し、2〜3分間撹拌して、均質な混合物を得た。次いで、A部を混合物に添加し、混合物を均質になるまで更に2〜3分間撹拌した。
【0218】
【表2】

【0219】
表3に示す量のエポキシB部、エポキシA部及びAcAcXMを混合することによりAcAcXM−エポキシ製剤を調製した。具体的には、AcAcXMをB部に添加し、2〜3分間撹拌して、均質な混合物を得た。次いで、A部を混合物に添加し、混合物を均質になるまで更に2〜3分間撹拌した。
【0220】
【表3】

【0221】
DMA
十分な量の接着剤をシリコーンゴム型に添加し、上記のDMA手順に従って分析した。硬化を、室温で18時間、続いて80℃で30分間実施した。室温に冷却した後、硬化したサンプルを型から取り外し、分析した。種々の接着剤についてtanδ対温度のプロットを図3(AcAcUDサンプル)及び図4(AcAcXMサンプル)に示す。
【0222】
強度試験
上記の重ね剪断及びT型剥離強度試験によりAcAcUD7及びAcAcXM7の接着強度を測定した。両方の試験は、エッチングされたアルミニウム上で実施し、接着剤を、110℃で30分間、続いて180℃で30分間硬化させた。AcAcUD7は、31.1MPa(4505lb/in)の重ね剪断強度及び112.1N/cm(64lb/in)−幅のT型剥離強度を呈した。AcAcXM7は、35.8MPa(5186lb/in)の重ね剪断強度及び99.8N/cm(57lb/in)−幅のT型剥離強度を呈した。
【0223】
実施例4−AcAcポリアルケン−エポキシ接着剤
表4に示す量のエポキシB部、エポキシA部及びAcAc1Kを混合することによりAcAc1K−エポキシ製剤を調製した。具体的には、AcAc1KをB部に添加し、2〜3分間撹拌して、均質な混合物を得た。次いで、A部を混合物に添加し、混合物を均質になるまで更に2〜3分間撹拌した。
【0224】
【表4】

【0225】
表5に示す量のエポキシB部、エポキシA部及びAcAc2Kを混合することによりAcAc2K−エポキシ製剤を調製した。具体的には、AcAc2KをB部に添加し、2〜3分間撹拌して、均質な混合物を得た。次いで、A部を混合物に添加し、混合物を均質になるまで更に2〜3分間撹拌した。
【0226】
【表5】

【0227】
DMA
十分な量の接着剤をシリコーンゴム型に添加し、上記のDMA手順に従って分析した。硬化を、室温で18時間、続いて80℃で30分間実施した。室温に冷却した後、硬化したサンプルを型から取り外し、分析した。種々の接着剤についてtanδ対温度のプロットを図5(AcAc1Kサンプル)及び図6(AcAc2Kサンプル)に示す。
【0228】
強度試験
上記の重ね剪断及びT型剥離強度試験によりAcAc1K7及びAcAc2K7の接着強度を測定した。両方の試験は、エッチングされたアルミニウム上で実施し、接着剤を、110℃で30分間、続いて180℃で30分間硬化させた。AcAc1K7は、31.2MPa(4524lb/in)の重ね剪断強度及び112.1N/cm(64lb/in)−幅のT型剥離強度を呈した。AcAc2K7は、26.4MPa(3836lb/in)の重ね剪断強度及び66.5N/cm(38lb/in)−幅のT型剥離強度を呈した。
【0229】
上記に述べ、図面に示した実施形態はあくまで一例として示したものであり、本発明の概念及び原理に対する限定を目的としたものではない。したがって、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくそれぞれの要素並びにその構成及び配置における様々な変更が可能である点は認識されるであろう。
【0230】
したがって、本発明は、幾つかある中でも、硬化性エポキシ樹脂、アミン硬化剤、強化剤及び反応性液体改質剤をを含む二液型エポキシ系構造接着剤を提供する。本発明の種々の特徴及び利点は、添付の請求項に定める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二液型構造接着剤組成物であって、
硬化性エポキシ樹脂と、
アミン硬化剤と、
強化剤と、
アクリレート官能化化合物、アクリルアミド官能化化合物、シュウ酸アミド官能化化合物、アセトアセトキシ官能化ウレタン、アセトアセトキシ官能化ポリアルケン、又はこれらの組み合わせを含む反応性液体改質剤と、を含む組成物。
【請求項2】
前記硬化性エポキシ樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記強化剤が、コア/シェル型ポリマー、アクリルポリマー、ブタジエンニトリルゴム、ポリエーテルジアミン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記強化剤が、ブタジエンポリマー、ブタジエンコポリマー、スチレンポリマー、スチレンコポリマー、又はブタジエン−スチレンコポリマーを含むコアと、ポリアクリレートポリマー又はポリアクリレートコポリマーを含むシェルと、を有するコア/シェル型ポリマーを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記反応性液体改質剤が、一般式
Y−[(O−(CO)−(CH−O−(CO)−C(R)=CH
を有するアクリレート官能化化合物であり、式中、Yは、約1〜10個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル鎖、又は約1〜10個の炭素原子を有するヘテロアルキル鎖であり、それぞれのRは、独立して、H又はC〜Cアルキルであり、それぞれのgは、独立して、約1〜35の範囲の整数値であり、hは、約1〜22の範囲の整数値である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記反応性液体改質剤が、一般式
【化1】

を有するアクリレート官能化化合物であって、式中、
それぞれのRは、独立してH又はC〜Cアルキルであり、
i及びjは、それぞれ、独立して、約1〜10の範囲の整数値であり、
k及びlは、それぞれ、独立して、合計値が約2〜120の範囲である少なくとも1の整数値である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記反応性液体改質剤が、一般式
Y−[(O−(CO)−(CH)−O−(CO)−(CH−C(R)(R)−NH−(CO)−CH=CH
を有するアクリルアミド官能化化合物であって、式中、
Yは、約1〜10個の炭素原子を有する分岐若しくは直鎖アルキル鎖、又は約1〜10個の炭素原子を有するへてロアルキル鎖であり、
それぞれのmは、独立して、約1〜20の範囲の整数値であり、
nは約1〜5の範囲の整数値であり、
及びRは、それぞれ、独立して、約1〜14個の炭素原子を有するアルキル基、約3〜14個の炭素原子を有するシクロアルキル基、約5〜12個の環状原子を有するアリール基、及び約6〜26個の炭素原子と、約0〜3個のS、N、若しくは非過酸化O原子を有するアレニル基であるか、又はR及びRは、それらが結合している炭素と一緒になって、約4〜12個の炭素原子を有する炭素環を形成し、
それぞれのpは、それぞれ独立して、0又は1である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
Yが、アルキルエーテルであり、mが、5であり、nが、2であり、pが、0であり、R及びRが、それぞれメチル基である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記反応性液体改質剤が、一般式
【化2】

を有するアクリルアミド官能化化合物であって、式中、
i及びjは、それぞれ、独立して、約1〜10の範囲の整数値であり、
k及びlは、それぞれ、独立して、合計値が約2〜120の範囲である少なくとも1の整数値であり、
及びRは、それぞれ、独立して、約1〜14個の炭素原子を有するアルキル基、約3〜14個の炭素原子を有するシクロアルキル基、約5〜12個の環状原子を有するアリール基、及び約6〜26個の炭素原子と、約0〜3個のS、N、若しくは非過酸化O原子を有するアレニル基であるか、又はR及びRは、それらが結合している炭素と一緒になって、約4〜12個の炭素原子を有する炭素環を形成し、
それぞれのpは、それぞれ独立して、0又は1である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記反応性液体改質剤が、式
【化3】

を有するシュウ酸アミドであって、式中、
zは、約1〜75の範囲の整数値であり、
は、約1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、約3〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、又は約6〜12個の炭素原子を有する芳香族基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
zが、5〜6であり、Rがエチル基である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記反応性液体改質剤が、一般式
【化4】

を有するシュウ酸アミドであって、式中、
Aは、約1〜10個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル鎖であり、
は、約1〜5個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル鎖であり、
それぞれのwは、独立して、約1〜130の範囲の整数値であり、
xは、約1〜40の範囲の整数値であり、
は、約1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、約3〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、又は約6〜12個の炭素原子を有する芳香族基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記反応性液体改質剤が、1つ以上のアセトアセトキシ官能化化合物で末端保護されたオリゴウレタンポリオールを含むアセトアセトキシ官能化ウレタンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記アセトアセトキシ官能化ウレタンが、イソシアネートを含まない、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記反応性液体改質剤が、構造
【化5】

を有するアセトアセトキシ官能化ポリアルケンであって、式中、
qは、約1〜約10の範囲の整数又は非整数であり、
は、H又は熱分解反応開始剤由来の反応開始剤断片であり、
は、H、熱分解反応開始剤由来の反応開始剤断片、又は一般式
【化6】

を有するチオエステルであり、Rは、C〜C12直鎖アルキル、C〜C12分岐アルキル、又はC〜C12環状アルキルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、又はイソオクチル基である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
qが、約4.6であり、Rが、t−ブチル基であり、Rが、イソオクチルである、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
qが、約9であり、Rが、t−ブチル基であり、Rが、イソオクチルである、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記接着剤組成物が、約5重量%〜約20重量%の反応性液体改質剤を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記硬化性エポキシ樹脂が、1つ以上のエポキシ部分を有し、前記アミン硬化剤が、1つ以上のアミン水素を有し、硬化性エポキシ樹脂のエポキシ部分とアミン硬化剤のアミン水素とのモル比が約0.5:1〜約3:1の範囲である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
110℃で30分間の後180℃で30分間硬化させた前記接着剤組成物が、少なくとも17.2MPa(2500psi)の重ね剪断測定値を有する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
110℃で30分間の後180℃で30分間硬化させた前記接着剤組成物が、少なくとも52.5N/cm(30lb/in)−幅のT型剥離測定値を有する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
二次硬化剤を更に含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
複合品を作成する方法であって、
請求項1〜23のいずれか一項に記載の二液型接着剤組成物を表面に塗布する工程と、
前記表面に接触している前記二液型接着剤組成物を硬化させて、複合品を形成する工程と、を含む方法。
【請求項25】
硬化中、前記反応性液体改質剤が重合して、硬化性エポキシ樹脂と相互侵入網目構造高分子又はセミ相互侵入網目構造高分子のうちの少なくとも1つを形成する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
複数の部材間に接着継手を形成する方法であって、
請求項1〜23のいずれか一項に記載の二液型接着剤組成物を2つ以上の部材のうちの少なくとも1つの表面に塗布する工程と、
前記二液型接着剤組成物が2つ以上の部材間に挟まれるように部材を接合させる工程と、
前記二液型接着剤組成物を硬化させて2つ以上の部材間に接着継手を形成する工程と、を含む方法。
【請求項27】
硬化中、前記反応性液体改質剤が重合して、硬化性エポキシ樹脂と相互侵入網目構造高分子又はセミ相互侵入網目構造高分子のうちの少なくとも1つを形成する、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−529117(P2011−529117A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520149(P2011−520149)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/051339
【国際公開番号】WO2010/011705
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】