説明

二環式キナーゼ阻害剤

ヒトまたは動物の対象において腫瘍形成に関連するモロニーのプロウイルス組み込みキナーゼ(PIMキナーゼ)活性を阻害する新規化合物、組成物および方法を提供する。或る態様において、本化合物および組成物は、少なくとも1種のPIMキナーゼの活性を阻害するのに有効である。新規化合物および組成物は、単独で、または、セリン/トレオニン・キナーゼもしくは受容体チロシンキナーゼが介在する障害、例えば癌を処置するためのさらなる処置剤の少なくとも1種と組み合わせて用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は、アメリカ合衆国法典第35巻119条(e)により、米国仮特許出願第61/093,669号(2008年9月2日出願)(言及することによってその全体が本明細書に組み込まれる)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明の分野
本発明は、新規化合物、その互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩、エステル、代謝物またはプロドラッグ、薬学的に許容される担体を共に含む新規化合物の組成物、および、癌の予防または処置における新規化合物の単独または少なくとも1種のさらなる治療薬との組み合わせの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
モロニーレトロウイルスの感染および宿主細胞ゲノムへのゲノム組み込みは、マウスにおいてリンパ腫の発症をもたらす。モロニーのプロウイルス組み込みキナーゼ(PIMキナーゼ)は、このレトロウイルス組み込みイベントによって転写活性化され得る高頻度の癌原遺伝子の一つとして同定され(Cuypers HT et al., “Murine leukemia virus-induced T-cell lymphomagenesis: integration of proviruses in a distinct chromosomal region”, Cell 37(1):141-50 (1984); Selten G, et al., “Proviral activation of the putative oncogene Pim-1 in MuLV induced T-cell lymphomas”, EMBO J 4(7):1793-8 (1985))、従って、このキナーゼの過剰発現とその発癌能の間の相関関係が確立された。配列相同性分析により、3つの相同性の高いPim−キナーゼ(Pim1、2および3)があることが証明され、Pim1が元々レトロウイルス組み込みによって同定された癌原遺伝子である。さらに、Pim1またはPim2を過剰発現した遺伝子組み換えマウスは、T細胞リンパ腫の発病率の増大を示し(Breuer M et al., “Very high frequency of lymphoma induction by a chemical carcinogen in pim-1 transgenic mice”, Nature 340(6228):61-3 (1989))、一方、c−mycと組み合わせた過剰発現は、B細胞リンパ腫の発病率に関連している(Verbeek S et al., “Mice bearing the E mu-myc and E mu-pim-1 transgenes develop pre-B-cell leukemia prenatally” Mol Cell Biol 11(2):1176-9 (1991))。従って、これらの動物モデルは、造血器悪性腫瘍において、Pim過剰発現と発癌の間の強い相関関係を確立している。これらの動物モデルに加えて、Pim過剰発現は、他の多くのヒトの悪性腫瘍において報告されている。Pim1、2および3の過剰発現は、しばしば、多くの造血器悪性腫瘍(Amson R et al., “The human protooncogene product p33pim is expressed during fetal hematopoiesis and in diverse leukemias”, PNAS USA 86(22):8857-61 (1989); Cohen AM et al., “Increased expression of the hPim-2 gene in human chronic lymphocytic leukemia and non-Hodgkin lymphoma”, Leuk Lymph 45(5):951-5 (2004); Huttmann A et al., “Gene expression signatures separate B-cell chronic lymphocytic leukaemia prognostic subgroups defined by ZAP-70 and CD38 expression status”, Leukemia 20:1774-1782 (2006))および前立腺癌(Dhanasekaran SM, et al., “Delineation of prognostic biomarkers in prostate cancer”, Nature 412(6849):822-6 (2001); Cibull TL, et al., “Overexpression of Pim-1 during progression of prostatic adenocarcinoma”, J Clin Pathol 59(3):285-8 (2006))において観察され、一方、Pim3の過剰発現は、しばしば、肝細胞癌において(Fujii C, et al., “Aberrant expression of serine/threonine kinase Pim-3 in hepatocellular carcinoma development and its role in the proliferation of human hepatoma cell lines”, Int J Cancer 114:209-218 (2005))および膵臓癌(Li YY et al., “Pim-3, a proto-oncogene with serine/threonine kinase activity, is aberrantly expressed in human pancreatic cancer and phosphorylates bad to block bad-mediated apoptosis in human pancreatic cancer cell lines”, Cancer Res 66(13):6741-7 (2006))において観察される。
【0004】
Pim1、2および3は、増殖因子およびサイトカインに応答して、造血細胞の生存および増殖において通常機能するセリン/トレオニン・キナーゼである。Jak/Stat経路を介するサイトカインシグナル伝達は、Pim遺伝子の転写および蛋白質合成の活性化をもたらす。キナーゼPim活性のために、さらなる翻訳後修飾は必要とされない。従って、シグナル伝達経路の下流は、主に、転写/翻訳レベルおよび蛋白質ターンオーバーレベルで制御される。Pimキナーゼのための基質は、アポトーシスの制御因子、例えばBcl−2ファミリーメンバーBAD(Aho T et al., “Pim-1 kinase promotes inactivation of the pro-apoptotic Bad protein by phosphorylating it on the Ser112 gatekeeper site”, FEBS Letters 571: 43-49 (2004))、細胞周期制御因子、例えばp21WFA1/CIP1(Wang Z, et al., “Phosphorylation of the cell cycle inhibitor p21Cip1/WAF1 by Pim-1 kinase”, Biochim Biophys Acta 1593:45- 55 (2002))、CDC25A(1999)、C−TAK(Bachmann M et al., “The Oncogenic Serine/Threonine Kinase Pim-1 Phosphorylates and Inhibits the Activity of Cdc25C-associated Kinase 1 (C-TAK1). A novel role for Pim-1 at the G2/M cell cycle checkpoint”, J Biol Chem 179:48319-48328 (2004))、および、NuMA(Bhattacharya N, et al., “Pim-1 associates with protein complexes necessary for mitosis”, Chromosoma 111(2):80-95 (2002))、および、蛋白質合成制御因子4EBP1(Hammerman PS et al., “Pim and Akt oncogenes are independent regulators of hematopoietic cell growth and survival”, Blood 105(11):4477-83 (2005))を含む。これらの制御因子におけるPimの効果は、アポトーシスからの保護および細胞増殖と成長の促進における役割と一致する。従って、癌におけるPimの過剰発現は、癌細胞の生存および増殖の促進に役割を果たし、従って、その阻害は、それが過剰発現している癌を処置するのに有効な方法であると考えられている。事実、幾つかの報告により、siRNAでPimの発現をノックダウンすると、増殖の阻害および細胞死を引き起こすことが示されている(Dai JM, et al., “Antisense oligodeoxynucleotides targeting the serine/threonine kinase Pim-2 inhibited proliferation of DU-145 cells”, Acta Pharmacol Sin 26(3):364-8 (2005); Fujii et al. 2005; Li et al. 2006)。さらに、造血器悪性腫瘍における幾つかの周知の発癌遺伝子の変異による活性化は、少なくとも一部Pimを介して、その効果を発揮すると考えられている。例えば、pim発現の標的下方制御は、Flt3およびBCR/ABLによって形質転換された造血細胞の生存を損なう(Adam et al. 2006)。従って、Pim1、2および3に対する阻害剤は、これらの悪性腫瘍の処置に有用である。癌および骨髄増殖性疾患の処置における可能性のある役割に加えて、当該阻害剤は、他の病理学的状態、例えば自己免疫疾患、アレルギー反応、および臓器移植拒絶反応症候群における免疫細胞の増殖を制御するのに有用であり得る。この考えは、IL−12およびIFN−αによるTh1ヘルパーT細胞の分化が、Pim1および2の双方の発現を誘発するという発見によって支持される(Aho T et al., “Expression of human Pim family genes is selectively up-regulated by cytokines promoting T helper type 1, but not T helper type 2, cell differentiation”, Immunology 116: 82-88 (2005))。さらに、Pim発現は、免疫抑制TGF−βによって両方の細胞型で阻害される(Aho et al. 2005)。これらの結果は、Pimキナーゼが、自己免疫疾患、アレルギー反応および組織移植拒絶反応において免疫応答を調整するヘルパーT細胞の初期の分化プロセスに関係していることを示唆している。
【0005】
毛細血管の増殖を阻害する、腫瘍の増殖を阻害する、癌を処置する、細胞周期抑止を調節する、および/またはPim1、Pim2およびPim3などの分子を阻害する化合物、ならびに、該化合物を含む医薬製剤および医薬に対する必要性が引き続き存在する。また、投与が必要な患者または対象に、該化合物、医薬製剤および医薬を投与する方法に対する必要性もまた存在する。
【発明の概要】
【0006】
概要
本発明は、式I:
【化1】

[式中、
、X、X、X、XおよびXはCRおよびNから独立して選択され、ただし、少なくとも1個の、しかし3個以下のX、X、X、X、XおよびXがNであり;
Yは、アミノ、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、部分的に不飽和のシクロアルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、該基の各メンバーは、4個までの置換基で置換されており;
、ZおよびZは、CR12およびNから独立して選択され、ただし、2個以下のZ、ZおよびZがNであってもよく;
は、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択され;
およびR12は、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択される。]
の化合物、その立体異性体、互変異性体および薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
幾つかの態様において、2個以下のX、XおよびXがNであって、2個以下のX、XおよびXが窒素である、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩が提供される。他の態様において、XおよびXがNであって、X、X、XおよびXがCRであるか;あるいはXがNであって、X、X2、、XおよびXがCRである、式Iの化合物が提供される。また、他の態様において、ZがNまたはCR12であって、ZおよびZがCR12であるか;あるいはZおよびZがNまたはCR12であってZがCR12である、新規の式Iの化合物が提供される。
【0008】
他の態様は、式II:
【化2】

[式中、
Yは、置換または非置換アミノ、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ピペリジニルおよびピペラジニルからなる群から選択され;
は、非置換および置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、水素およびハロからなる群から選択され;
は、水素、ハロ、CN、NH、NHR、C1−4アルキルおよびC3−4シクロアルキルから選択され;
およびR12は、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、カルボキシ、および、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。]
の化合物またはその立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩を提供する。
【0009】
また、他の態様は、式III:
【化3】

[式中、
Yは、置換または非置換アミノ、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ピペリジニルおよびピペラジニルからなる群から選択され;
は、非置換および置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、水素およびハロからなる群から選択され;
およびR12は、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択される。]
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩を提供する。
【0010】
また、他の態様は、式IV:
【化4】

[式中、
Yは、置換または非置換アミノ、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ピペリジニルおよびピペラジニルからなる群から選択され;
は、非置換および置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、水素およびハロからなる群から選択され;
は、水素、ハロ、CN、NH、NHR、C1−4アルキルおよびC3−4シクロアルキルから選択され;
それぞれのRおよびR12は、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から独立して選択され;
は、水素、カルボキシ、および、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。]
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩を提供する。
【0011】
他の態様において、Yが、ピペリジニル、ピペラジニル、シクロヘキシル、ピリジル、ピリミジルおよびピラジニルからなる群から選択され、該基の各メンバーが4個までの置換基で置換されている、式I〜IVの化合物が提供される。好ましい態様において、Yが置換ピペリジニルまたはシクロヘキシルである。
【0012】
また、他の態様において、R12が、アミノ、水素またはハロから選択される、式I〜IVの化合物が提供される。
【0013】
本発明の他の局面において、処置を必要とするヒトまたは動物の対象において、モロニーのプロウイルス組み込みキナーゼ(PIMキナーゼ)関連障害を処置する方法であって、対象においてPIM活性を阻害するのに有効な量の式I、II、IIIまたはIVの化合物を、対象に投与することを含む方法が提供される。
【0014】
他の局面において、本発明は、処置を必要とするヒトまたは動物の対象において、PIM関連障害を処置する方法であって、対象において腫瘍増殖を軽減または予防するのに有効な量の式I、II、IIIまたはIVの化合物を、対象に投与することを含む方法を提供する。
【0015】
また、他の局面において、本発明は、処置を必要とするヒトまたは動物の対象において、PIM関連障害を処置する方法であって、少なくとも1種のさらなる癌処置剤と組み合わせて、対象において腫瘍増殖を軽減または予防するのに有効な量の、式I、II、IIIまたはIVの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0016】
また、他の局面において、本発明は、癌治療に一般的に用いられる1種以上のさらなる癌処置剤と組み合わせて、少なくとも1つの式I、II、IIIまたはIVの化合物を含む治療用組成物を提供する。また、他の局面は、好ましくは、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、カルボプラチン、シスプラチン、タキサン類、テザシタビン(tezacitabine)、シクロホスファミド、ビンカアルカロイド、イマチニブ(Gleevec)、アントラサイクリン類、リツキシマブおよびトラスツズマブから選択される、さらなる癌処置剤をさらに含む医薬組成物を提供する。
【0017】
本発明の化合物は、造血器悪性腫瘍を含む癌、癌(例えば肺、肝臓、膵臓、卵巣、甲状腺、膀胱または大腸の癌)、黒色腫、骨髄性障害(例えば骨髄性白血病、多発性骨髄腫および赤白血病)、腺腫(例えば大腸絨毛腺腫)、肉腫(例えば骨肉腫)、自己免疫疾患、アレルギー反応および臓器移植拒絶症候群の処置に有用である。
【0018】
本発明は、さらに、本発明の詳細な説明に記載された組成物、使用方法、および製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本発明は、一つの態様において、式I:
【化5】

[式中、
、X、X、X、XおよびXはCRおよびNから独立して選択され、ただし、少なくとも1個の、しかし3個以下のX、X、X、X、XおよびXがNであり;
Yは、アミノ、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、部分的に不飽和のシクロアルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、該基の各メンバーは、4個までの置換基で置換されており;
、ZおよびZは、CR12およびNから独立して選択され、ただし、2個以下のZ、ZおよびZがNであってもよく;
は、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択され;
およびR12は、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択される。]
の化合物、その立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩を提供する。
【0020】
好ましい態様において、2個以下のX、XおよびXがNであって、2個以下のX、XおよびXが窒素である式Iの化合物、または、その立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩が提供される。他の態様において、XおよびXがNであって、X、X、XおよびXがCRであるか;あるいは、XがNであって、X、X2、、XおよびXがCRである式Iの化合物が提供される。また、他の態様において、ZがNまたはCR12であって、ZおよびZがCR12であるか;あるいは、ZおよびZがNまたはCR12であって、ZがCR12である新規の式Iの化合物が提供される。
【0021】
他の態様は、式II:
【化6】

[式中、
Yは、置換または非置換アミノ、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ピペリジニルおよびピペラジニルからなる群から選択され;
は、非置換および置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、水素およびハロからなる群から選択され;
は、水素、ハロ、CN、NH、NHR、C1−4アルキルおよびC3−4シクロアルキルから選択され;
およびR12は、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、カルボキシ、および、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。]
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩を提供する。
【0022】
また、他の態様は、式III:
【化7】

[式中、
Yは、置換または非置換アミノ、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ピペリジニルおよびピペラジニルからなる群から選択され;
は、非置換および置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、水素およびハロからなる群から選択され;
およびR12は、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択される。]
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩を提供する。
【0023】
また、他の態様は、式IV:
【化8】

[式中、
Yは、置換または非置換アミノ、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ピペリジニルおよびピペラジニルからなる群から選択され;
は、非置換および置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、水素およびハロからなる群から選択され;
は、水素、ハロ、CN、NH、NHR、C1−4アルキルおよびC3−4シクロアルキルから選択され;
およびR12は、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から独立して選択され;
は、水素、カルボキシ、および、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。]
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩を提供する。
【0024】
他の態様において、Yが、ピペリジニル、ピペラジニル、シクロヘキシル、ピリジル、ピリミジルおよびピラジニルからなる群から選択され、該基の各メンバーが4個までの置換基で置換されている、式I〜IVの化合物が提供される。幾つかの態様において、Yは、置換ピペリジニルまたはシクロヘキシルである。
【0025】
また、他の態様において、R12は、アミノ、水素およびハロから選択される、式I〜IVの化合物が提供される。
【0026】
幾つかの好ましい態様において、次に示すものからなる群から選択される、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩が提供される:
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−フルオロ−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−3−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−フルオロ−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド、
4−(6−(3−アミノ−6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)−6−メチルピリジン−2−アミン、
3−(5−アミノ−6−(4−(2−アミノ−6−メチルピリジン−4−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−3−アミン、
(S)−4−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−2−(2−フルオロフェニル)ピリミジン−5−アミン、
(R)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(R)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド、
【0027】
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2−フルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−フェニルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(チオフェン−2−イル)ピリジン−3−アミン、
(S)−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6'−メトキシ−2,2'−ビピリジン−5−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−N−シクロヘキシル−4−フルオロベンズアミド、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N,N−ジメチルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−フェニルピリジン−3−アミン、
【0028】
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(3−(メチルスルホニル)フェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−4−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(4−(メチルスルホニル)フェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(4−(2−フルオロフェニル)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(4−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(3S,5R)−5−メチル−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(3R,4R)−1−(6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)−4−フルオロピペリジン−3−アミン、
(3R,4R)−4−フルオロ−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(3S,5R)−1−(6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)−5−メチルピペリジン−3−アミン、
(3R,4R)−3−アミノ−1−(6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−4−オール、および
(3R,4R)−3−アミノ−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−4−オール。
【0029】
他の局面において、本発明は、処置を必要とするヒトまたは動物の対象において、モロニーのプロウイルス組み込みキナーゼ(PIMキナーゼ)関連障害を処置する方法であって、対象においてPIM活性を阻害するのに有効な量の式I、II、IIIまたはIVの化合物を、対象に投与することを含む方法を提供する。
【0030】
他の局面において、本発明は、処置を必要とするヒトまたは動物の対象において、PIM関連障害を処置する方法であって、対象において腫瘍増殖を軽減または予防するのに有効な量の式I、II、IIIまたはIVの化合物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0031】
また、他の局面において、本発明は、処置を必要とするヒトまたは動物の対象において、PIM関連障害を処置する方法であって、少なくとも1種のさらなる癌処置剤と組み合わせて、対象において腫瘍増殖を軽減または予防するのに有効な量の、式I、II、IIIまたはIVの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0032】
また、他の局面において、本発明は、癌治療に一般的に用いられる1種以上のさらなる癌処置剤と組み合わせて、少なくとも1つの式I、II、IIIまたはIVの化合物を含む治療用組成物を提供する。
【0033】
本発明の化合物は、造血器悪性腫瘍を含む癌、癌(例えば肺、肝臓、膵臓、卵巣、甲状腺、膀胱または大腸の癌)、黒色腫、骨髄性障害(例えば骨髄性白血病、多発性骨髄腫および赤白血病)、腺腫(例えば大腸絨毛腺腫)、肉腫(例えば骨肉腫)、自己免疫疾患、アレルギー反応および臓器移植拒絶症候群の処置に有用である。
【0034】
他の態様において、本発明は、対象においてPim1、Pim2およびPim3からなる群から選択される少なくとも1種のキナーゼの活性を阻害する方法であるか、あるいは、処置を必要とするヒトまたは動物の対象において少なくとも1つのPim1、Pim2およびPim3が介在する生物学的状態を処置する方法であって、対象においてキナーゼを阻害するのに有効な量の式I、II、IIIまたはIVの化合物を投与することを含む方法に関する。治療用化合物は、このような阻害剤を必要とする患者(例えば異常なセリン/トレオニン・キナーゼ受容体シグナル伝達が介在する癌に罹患している患者)の処置に有用である。
【0035】
本発明は、さらに、本発明の詳細な説明に記載された組成物、使用方法、および製造方法を提供する。
【0036】
定義
“PIM阻害剤”は、本明細書において、PIMキナーゼ活性に関して、以下に記載されたPIMのATP消費アッセイで測定して、約100μM以下、より典型的には約50μM以下のIC50を示す化合物を言うために用いられる。
【0037】
フレーズ“アルキル”はC1−10アルキル基を言う。従って、該フレーズは、直鎖のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどを含む。該フレーズはまた、−CH(CH)、−CH(CH)(CHCH)、−CH(CHCH)、−C(CH)、−C(CHCH)、−CHCH(CH)、−CHCH(CH)(CHCH)、−CHCH(CHCH)、−CHC(CH)、−CHC(CHCH)、−CH(CH)CH(CH)(CHCH)、−CHCHCH(CH)、−CHCHCH(CH)(CHCH)、−CHCHCH(CHCH)、−CHCHC(CH)、−CHCHC(CHCH)、−CH(CH)CHCH(CH)、−CH(CH)CH(CH)CH(CH)、−CH(CHCH)CH(CH)CH(CH)(CHCH)などを含み、これらに限定されない分枝鎖のC3−8−アルキル基を含む。従って、フレーズ“アルキル基”は、第1級アルキル基、第2級アルキル基および第3級アルキル基を含む。好ましいアルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖のアルキル基を含む。
【0038】
用語“アルケニル”は、少なくとも1箇所で不飽和を含む、すなわち2個の隣接する炭素原子が二重結合によって結合している、上で定義したアルキル基を言う。用語“アルケニル”は、2個の隣接する炭素原子が三重結合によって結合しているアルキル基を言う。用語“アルコキシ”は、式:−OR(ここで、Rは上で定義したアルキルである。)の基を言う。
【0039】
本明細書で用いられるとき、用語“ハロゲン”または“ハロ”は、クロロ、ブロモ、フルオロおよびヨード基を言う。用語“ハロアルキル”は、アルキル基中の1個以上の水素原子が1個以上のハロゲン原子によって置き換えられている、上で定義されたアルキル基を言う。従って、用語“ハロアルキル”は、モノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキルなどを含む。
【0040】
“アミノ”は、本明細書で、基:−NHを言う。用語“アルキルアミノ”は、基:−NRR'(ここで、RおよびR'はそれぞれ独立して水素およびアルキルから選択される。)を言う。用語“アリールアミノ”は、本明細書で、基:−NR''R'(ここで、R''は、アリールであり、R'は、水素、アルキルまたはアリールである。)を言う。用語“アラルキルアミノ”は、本明細書で、基:−NRR'(ここで、Rはアラルキルであり、R'は水素、アルキル、アリールまたはアラルキルである。)を言う。用語シアノは、基:−CNを言う。用語ニトロは、基:−NOを言う。
【0041】
用語“アルコキシアルキル”は、基:−alk−O−alk(ここで、alkはアルキルまたはアルケニルであり、alkはアルキルまたはアルケニルである。)を言う。用語“アリールオキシアルキル”は、基:−アルキル−O−アリールを言う。用語“アラルコキシアルキル”は、基:アルキレニル−O−アラルキル(ここで、アラルキルはアラルキルである。)を言う。
【0042】
用語“アミノカルボニル”は、本明細書で、基:−C(O)−NHを言う。“置換アミノカルボニル”は、本明細書で、基:−C(O)−NRR'(ここで、Rはアルキルであり、R'は水素またはアルキルである。)を言う。幾つかの態様において、RおよびR'は、それらが結合しているN原子と一体となって、“ヘテロシクロアルキルカルボニル”基を形成し得る。用語“アリールアミノカルボニル”は、本明細書で、基:−C(O)−NRR'(ここで、Rはアリールであり、R'は水素、アルキルまたはアリールである。)を言う。用語“アラルキルアミノカルボニル”は、本明細書で、基:−C(O)−NRR'(ここで、Rはアラルキルであり、R'は水素、アルキル、アリールまたはアラルキルである。)を言う。
【0043】
“アミノスルホニル”は、本明細書で、基:−S(O)−NHを言う。“置換アミノスルホニル”は、本明細書で、基:−S(O)−NRR'(ここで、Rはアルキルであり、R'は水素またはアルキルである。)を言う。用語“アラルキルアミノスルホニルアリール”は、本明細書で、基:−アリール−S(O)−NH−アラルキルを言う。
【0044】
“カルボニル”は、二価の基:−C(O)−を言う。“カルボキシ”は、−C(=O)−OHを言う。“アルコキシカルボニル”は、エステル:−C(=O)−OR (ここで、Rはアルキルである。)を言う。“低級アルコキシカルボニル”は、エステル:−C(=O)−OR (ここで、RはC1−4−アルキルである。)を言う。“シクロアルキルオキシカルボニル”は、−C(=O)−OR (ここで、Rはシクロアルキルである。)を言う。
【0045】
“シクロアルキル”は、単環式または多環式炭素環アルキル置換基を言う。典型的にはシクロアルキル置換基は、3〜8個の環炭素原子を有する。カルボシクロアルキル基は、全ての環原子が炭素原子であるシクロアルキル基である。シクロアルキル基の例は、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロプロピル、シクロブチルなどである。シクロアルキル置換基と連結して用いられるとき、用語“多環式”は、本明細書で、縮合および非縮合アルキル環構造を言う。多環式シクロアルキル基の例は、オクタヒドロ−1H−インデン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、スピロ[3.3]ヘプタンなどである。用語“部分的に不飽和のシクロアルキル基”は、シクロアルキル基の少なくとも2個の隣接炭素原子が互いに二重結合または三重結合によって結合している、上で定義したシクロアルキル基を言う。部分的に不飽和のシクロアルキル基の例は、シクロペンテニル、シクロペンチニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシニルなどを含む。
【0046】
用語“ヘテロシクリル”または“ヘテロ環基”または“ヘテロシクロアルキル”は、本明細書で用いられるとき、少なくとも1個の、しかし5個以下の環員が窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子である、4〜10員の環状環系を言う。好ましいヘテロ環基は、環系の1〜3個の環員が窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子である5員から9員の環状環系である。ヘテロ環式環系に含まれる窒素および硫黄原子は、所望により酸化されていてもよく、また、所望により四級化していてもよいことに留意すべきである。さらに、用語ヘテロシクリルまたはヘテロ環基またはヘテロシクロアルキルは、本明細書で用いられるとき、単結合、多重の、二重結合または三重結合を含むと解される。ヘテロ環基の例は、ピペリジニル、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン、テトラヒドロピラン、3,6−ジヒドロ−2H−ピラン、テトラヒドロフラン、ピペリジンなどである。
【0047】
ヘテロ環部分は、非置換であっても、ヒドロキシ、ハロ、オキソ(C=O)、アルキルイミノ(RN=)(ここで、Rは低級アルキルまたは低級アルコキシ基である。)、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、ポリアルコキシ、アルキル、アルケニル、ハロ、シアノ、ニトロ、シクロアルキルまたはハロアルキルから独立して選択される置換基で、一置換、二置換または三置換されていてもよい。
【0048】
ヘテロ環基は、有機化学および/または医療化学の分野の当業者に明らかな種々の位置で結合し得る。
【0049】
代表的なヘテロ環部分は、イミダゾリル、ピリジル、ピペラジニル、ピペリジニル、アゼチジニル、チアゾリル、フラニル、トリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、インドリル、ナフタピリジニル、インダゾリルおよびキノリジニルを含む。
【0050】
用語“アリール”は、本明細書で用いられるとき、所望により置換された、5〜12員の環系を有する単環式および多環式芳香族基を言う。アリール基の例は、フェニル、ナフチルなどである。用語“ヘテロアリール”は、本明細書で用いられるとき、1個から約6個の環員がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である、5〜12員の環状芳香族構造を表す。ヘテロアリール基の例は、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、インドリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、トリアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、プリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピリジルおよびベンゾイミダゾリルなどである。
【0051】
“所望により置換されている”または“置換されている”は、1個以上の水素原子を1価または2価の基で置き換えることを言う。適当な置換基は、例えば、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、イミノ、シアノ、ハロ、チオ、スルホニル、チオアミド、アミジノ、イミジノ、オキソ、グアニジノ、スルホンアミド、カルボキシル、ホルミル、低級アルキル、ハロ低級アルキル、低級アルキルアミノ、ハロ低級アルキルアミノ、低級アルコキシ、ハロ低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、アルキルカルボニル、アミノカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、アルキルチオ、アミノアルキル、シアノアルキル、アリールなどを含む。
【0052】
置換基は、それ自身置換されていてもよい。当該置換基を置換している基は、カルボキシル、ハロ;ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、アミノカルボニル、−SR、チオアミド、−SOH、−SORまたはシクロアルキル (ここで、Rは、典型的に水素、ヒドロキシルまたは低級アルキルである。)であってよい。置換された置換基が直鎖の基を含むとき、置換は、鎖内(例えば2−ヒドロキシプロピル、2−アミノブチルなど)または鎖の末端(例えば2−ヒドロキシエチル、3−シアノプロピルなど)の何れで起こっていてもよい。置換された置換基は、共有結合している炭素またはヘテロ原子の直鎖、分枝鎖または環状の配置であり得る。
【0053】
上記の定義は、許容されない置換パターン(例えば、5個のフルオロ基で置換されたメチル、または、他のハロゲン原子で置換されたハロゲン原子)を含むことを意図しない。このような許容されない置換パターンは、当業者に周知である。
【0054】
本発明の化合物またはその立体異性体、ならびにその何れかの薬学的に許容される塩、エステル、代謝物およびプロドラッグは、互変異性を示してもよく、従って、分子の1個の原子のプロトンが他の原子にシフトし、その結果、分子の原子間の結合が再配列されている種々の互変異性体の形態で存在してもよいことが、当業者に明らかである。例えば、March, Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structures, Fourth Edition, John Wiley & Sons, pages 69-74 (1992)を参照のこと。本明細書で用いられるとき、用語“互変異性体”は、プロトンのシフトによって生じる化合物を言い、全ての互変異性体の形態は、それらが存在し得る限り、本発明の範囲内に含まれると理解されるべきである。
【0055】
本発明の化合物またはその互変異性体、ならびにその何れかの薬学的に許容される塩、エステル、代謝物およびプロドラッグは、不斉に置換された炭素原子を含んでもよい。このような不斉に置換された炭素原子は、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学の用語で定義され得る他の立体異性体、例えば(R)型または(S)型が存在する本発明の化合物を生じ得る。結果として、全てのこのような可能な異性体、光学的に純粋な形態の個々の立体異性体、それらの混合物、ラセミ混合物(またはラセミ化合物)、ジアステレオマー混合物、および本発明の化合物の単一のジアステレオマーは、本発明に含まれる。本明細書で用いられる用語“S”および“R”配置は、IUPAC 1974 RECOMMENDATIONS FOR SECTION E, FUNDAMENTAL STEREOCHEMISTRY, Pure Appl. Chem. 45:13 30 (1976)によって定義された通りである。用語αおよびβは、環状化合物の環の位置について用いられる。参照平面のα側とは、優位な置換基がより低番号位置にある側である。該参照平面の反対側にある置換基はβという記載で示す。この使用法は、“α”は“平面の下”を意味し、そして絶対配置を示す環状立体母核におけるものとは異なっていることに注意するべきである。本明細書で用いられる用語αおよびβ配置は、CHEMICAL ABSTRACTS INDEX GUIDE-APPENDIX IV (1987) paragraph 203によって定義された通りである。
【0056】
本明細書で用いられるとき、用語“薬学的に許容される塩”は、式I、II、IIIまたはIVの化合物の非毒性の酸またはアルカリ土類金属の塩を言う。これらの塩は、式I、II、IIIまたはIVの化合物の最終的な単離および精製の際に、in situで製造され得るか、または、別個に、塩基または酸官能基を、それぞれ、適切な有機または無機の酸または塩基と反応させることによって、製造され得る。代表的な塩は、次に示すものを含み、これらの限定されない:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロパン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロパン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロパン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩。また、塩基性窒素含有基は、ハロゲン化低級アルキル、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピル、およびブチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミル、ハロゲン化長鎖、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ハロゲン化アラルキル、例えば臭化ベンジルおよびフェネチルなどの反応剤で四級化され得る。それによって、水または油に可溶なまたは懸濁可能な生成物が得られる。
【0057】
本発明は、さらに、上記化合物の重水素化形態を提供する。本明細書で用いられるとき、“重水素化形態”は、少なくとも1個の水素が、重水素の天然の存在率を超える重水素同位体で富化されている化合物を言う。典型的には、水素原子は、少なくとも50%の重水素、しばしば少なくとも75%の重水素、好ましくは少なくとも約90%の重水素で富化されている。所望により1個以上の水素原子が重水素によって置き換えられ得る。例えばメチル基は、1個の水素が重水素で置き換えられることによって重水素化され得るか(すなわち−CHD)、あるいは、3個の水素原子全てが重水素で置換され得る(すなわち−CD)。それぞれの場合において、Dは、対応するHの少なくとも50%が重水素として存在することを示す。
【0058】
薬学的に許容される酸付加塩を形成するために用いられ得る酸の例は、塩酸、硫酸およびリン酸といった無機酸、ならびに、シュウ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、コハク酸およびクエン酸といった有機酸を含む。塩基付加塩は、式(I)の化合物の最終的な単離および精製の際に、in situで製造され得るか、または、別個に、カルボン酸部分を、適切な塩基、例えば薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、またはアンモニア、または有機の第1級、第2級または第3級アミンと反応させることによって製造され得る。薬学的に許容される塩は、次に示すものを含み、これらに限定されない:アルカリ金属およびアルカリ土類金属をベースとするカチオン(例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなど)の塩、ならびに非毒性のアンモニウム塩、第4級アンモニウム塩、およびアミンカチオンの塩(アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンの塩などを含み、これらに限定されない)。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミン類は、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどを含む。
【0059】
本明細書で用いられるとき、用語“薬学的に許容されるエステル”は、in vivoで加水分解するエステル類を言い、ヒトの体内で容易に切断され親化合物またはその塩が得られるものを含む。適当なエステル基は、例えば、薬学的に許容される脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカンジオン酸から誘導される基を含み、ここで、それぞれのアルキルまたはアルケニル部分は、有利には、最大6個の炭素原子を有する。特定のエステル類の例は、蟻酸エステル類、酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類、酪酸エステル類、アクリル酸エステル類、およびエチルコハク酸エステル類を含む。
【0060】
用語“薬学的に許容されるプロドラッグ”は、本明細書で用いられるとき、合理的な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に対応して、不適当な毒性、刺激性、アレルギー応答などがなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触させる使用に適当であり、かつその意図された使用に有効である、ならびに可能であれば本発明の化合物の双性イオンの形態である、本発明の化合物のプロドラッグを言う。用語“プロドラッグ”は、例えば血中で加水分解することによって、in vivoで素早く変換され、上記の式の親化合物を得る化合物を言う。徹底的な議論は、T. Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series、および、Edward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987において提供され、両者は言及することによって本明細書に組み込まれる。
【0061】
本発明の化合物またはその互変異性体、プロドラッグおよび立体異性体、ならびにその何れかの薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグは、in vivoで、ヒトまたは動物の体内または細胞内で、代謝によって処理され、代謝物を生じ得ることが、当業者に明らかである。用語“代謝物”は、本明細書で用いられるとき、親化合物の投与後、対象内で生じる式の何れかの誘導体を言う。該誘導体は、対象内の種々の生化学的変換によって、例えば酸化、還元、加水分解、または結合によって、親化合物から生じ、例えばオキシドおよび脱メチル誘導体を含む。本発明の化合物の代謝物は、当技術分野で既知の慣例の方法を用いて同定され得る。例えば、Bertolini, G. et al., J. Med. Chem. 40:2011-2016 (1997); Shan, D. et al., J. Pharm. Sci. 86(7):765-767; Bagshawe K., Drug Dev. Res. 34:220-230 (1995); Bodor, N., Advances in Drug Res. 13:224-331 (1984); Bundgaard, H., Design of Prodrugs (Elsevier Press 1985); and Larsen, I. K., Design and Application of Prodrugs, Drug Design and Development (Krogsgaard-Larsen et al., eds., Harwood Academic Publishers, 1991)を参照のこと。式Iの化合物、またはその互変異性体、プロドラッグおよび立体異性体、ならびにそれらの何れかの薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグの代謝物である個々の化学化合物は、本発明の範囲に含まれると理解されるべきである。
【0062】
用語“癌”は、例えば、固形癌、例えば癌腫(例えば肺癌、膵臓癌、甲状腺癌、卵巣癌、膀胱癌、乳癌、前立腺癌または大腸癌)、黒色腫、骨髄性障害(例えば骨髄性白血病、多発性骨髄腫および赤白血病)、腺癌(例えば繊毛結腸腺腫)および肉腫(例えば骨肉腫)を含む、Pimキナーゼの阻害によって有益に処置され得る癌疾患を言う。
【0063】
合成方法
本発明の化合物は、当業者に既知の手順によって得られる。スキーム1に記載した通り、4−クロロ−6−ブロモキノリンは、そのクロロがアミンまたは有機金属によって置き換えられ、4位置換6−ブロモキノリンが得られる。ブロモを対応するボロン酸エステルに変換し、置換ヘテロアリール ハライドまたはトリフレートとカップリングさせ、4,6−二置換キノリン(I)を得る。(I)中のHet2がハロまたはトリフレート前駆体を有するならば、Het2は、さらに標準的な有機金属またはアミノ化法によって修飾され得る。
【0064】
スキーム1
【化9】

【0065】
スキーム2は、4,6−二置換キノリン類を製造する別の方法を記載している。クロロをベンジルアルコールで置き換え、続いてブロモを対応するボロン酸エステルに変換し、置換ヘテロアリール ハライドまたはトリフレートとスズキ反応を行い、4−ベンジルオキシ−6−置換キノリンが得られる。ベンジル脱保護を行い、続いてトリフルオロ酢酸で処理して(II)を得る。アミノ化条件または有機金属カップリング条件下でトリフレート(II)を反応させ、4,6−二置換キノリン(III)が得られる。
【0066】
スキーム2
【化10】

【0067】
4−ヒドロキシ−6−クロロ−1,7−ナフチリジンを製造する経路をスキーム3に記載している。2−クロロ−4−メチル−5−ニトロピリジンから出発して、ジメチルホルムアミドジメチルアセタールで縮合し、続いて酸化的切断を行って、2−クロロ-5−ニトロイソニコチンアルデヒドを得る。アルデヒドへ、メチルリチウムおよび四塩化チタンによって、−50℃で化学選択的メチル付加をし、酸化し、1−(2−クロロ−5−ニトロピリジン−4−イル)エタノンを得る。酢酸中の鉄によりニトロ還元をして2段階でモノトシル化して、N−(4−アセチル−6−クロロピリジン−3−イル)−4−ニトロベンゼンスルホンアミドを得る。DMF中、ジメチルホルムアミドジメチルアセタールおよびジイソプロピルエチルアミンと共に105℃で加熱した後、室温でチオフェノールで処理し、6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−オール(IV)を得る。標準的な条件を用いて、(IV)を対応するトリフレートまたはベンジルエーテルに変換し、二官能基性中間体を得る。これをスキーム1および2に記載した化学的変換を行い、4,6−二置換−1,7−ナフチリジン(V)を得る。
【0068】
スキーム3
【化11】

【0069】
本発明の化合物は、in vitroまたはin vivoにおいて、癌細胞の増殖を阻害するのに有用である。本化合物は、単独でまたは薬学的に許容される担体と共に用いられ得る。適切な薬学的に許容される担体または賦形剤は、例えば、加工剤(processing agent)および薬物送達修飾剤および増強剤を含み、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、澱粉、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース ナトリウム、ブドウ糖、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポリビニルピロリジノン、低融点ろう、イオン交換樹脂など、ならびにその何れかの2種以上の組み合わせである。他の適切な薬学的に許容される賦形剤は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”, Mack Pub. Co., New Jersey (1991)(言及することによって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0070】
有効量の本発明の化合物は、一般的に、本明細書で記載された何れかのアッセイによって、当業者に既知の他のPimキナーゼ活性アッセイによって、または、癌の症状の阻害または緩和を検出することによって、検出可能な程度にPim活性を阻害するのに十分な量を含む。
【0071】
担体物質と組み合わせて1回投与量が得られる活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与方法に依存して変化する。しかしながら、何れかの特定の患者の特定の投与量は、用いられる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬物の組み合わせおよび治療を行う具体的な疾患の重症度を含む種々の因子に依存することは理解されるであろう。示された状況についての治療有効量は、慣用の試験によって容易に決定され、通常の臨床医の技術および判断の範囲内である。
【0072】
本発明の目的において、治療有効量は、一般的に、1回または分割投与で宿主に投与される総1日投与量であり、例えば、1日当たり0.001から1000mg/kg体重、より好ましくは1日当たり1.0から30mg/kg体重である。単位投与組成物は、1日投与量を構成するために、その約数の量を含み得る。
【0073】
本発明の化合物は、経口で、非経腸で、舌下で、エアゾールまたは吸入スプレーによって、直腸で、または局所で、記載された慣用の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバントおよびビークルを含む単位投与製剤で、投与され得る。局所投与はまた、経皮投与、例えば経皮パッチまたは電気泳動デバイスの使用を含む。用語非経腸は、本明細書で用いられるとき、皮下注射、静脈内、筋肉内、関節内注射または点滴を含む。
【0074】
注射可能な製剤、例えば滅菌処理された注射可能な水性または油性の懸濁液は、当技術分野で知られている通りに、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて製剤化され得る。滅菌処理された注射可能な製剤はまた、非毒性の非経腸で許容される希釈剤または溶媒中の滅菌処理された注射可能な溶液または懸濁液、例えば1,3−プロパンジオールの溶液であり得る。用いられ得る許容されるビークルおよび溶媒は、水、リンゲル溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌処理された固定化油は、溶媒または懸濁媒体として、慣習的に用いられる。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む何れかの混合固定化油が用いられ得る。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸が、注射可能な製剤に用いられる。
【0075】
薬物の直腸投与のための坐剤は、薬物を、常温で固体であるが直腸温度で液体であり、そのため直腸内で融解して薬物を放出する非刺激性賦形剤、例えばココアバターおよびポリエチレングリコールと混合することによって製造され得る。
【0076】
経口投与のための固体投与形は、カプセル剤、錠剤、丸薬、粉剤および顆粒剤を含み得る。このような固体投与形において、活性な化合物は、少なくとも1種の不活性な希釈剤、例えばショ糖、乳糖または澱粉と混合され得る。このような投与形はまた、常法として、不活性な希釈剤以外のさらなる物質、例えば滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムを含んでもよい。カプセル剤、錠剤および丸薬の場合において、投与形はまた、緩衝剤を含んでもよい。錠剤および丸薬は、さらに腸溶性コーティングを伴い製造され得る。
【0077】
経口投与のための液体投与形は、当技術分野で一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば水を含む、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルを含み得る。このような組成物はまた、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、シクロデキストリン、および甘味料、風味剤および香料を含んでもよい。
【0078】
本発明の化合物はまた、リポソームの形態で投与され得る。当技術分野で知られている通り、リポソームは、一般的に、リン脂質または他の脂質から誘導される。リポソームは、水性媒体に分散された1層または多層の水和した液晶によって形成される。リポソームを形成し得る何れの非毒性の生理学的に許容され且つ代謝可能な脂質も、使用され得る。リポソーム中の本組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存料、賦形剤などを含み得る。好ましい脂質は、天然および合成のリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は、当技術分野で既知である。例えば、Prescott, Ed., Methods in Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N.W., p. 33 et seq. (1976)を参照のこと。
【0079】
本発明の化合物は、唯一の活性な薬物として投与され得るが、それらはまた、1種以上の他の癌の処置に用いられる薬物と組み合わせて用いられ得る。本発明の化合物はまた、既知の治療薬および抗癌剤との組み合わせに有用であり、また、本明細書で開示されている化合物と、他の抗癌剤または化学療法剤との組み合わせは、本発明の範囲内である。このような薬物の例は、Cancer Principles and Practice of Oncology, V. T. Devita and S. Hellman (editors), 6th edition (Feb. 15, 2001), Lippincott Williams & Wilkins Publishersで見出され得る。当業者は、薬物の具体的な特性および関係する癌に基づいて、薬物のどの組み合わせが有用であるか認識し得る。このような抗癌剤は、次に示すものを含み、これらに限定されない:エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞毒/細胞増殖阻害剤、抗増殖剤、プレニル蛋白質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤および他の血管新生阻害剤、細胞増殖および生存シグナル伝達阻害剤、アポトーシス誘発剤、および細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤。本発明の化合物はまた、放射線療法と共投与される際に有用である。
【0080】
従って、本発明の一つの態様において、本発明の化合物はまた、例えばエストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞毒、抗増殖剤、プレニル蛋白質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤および他の血管新生阻害剤を含む、既知の抗癌剤と組み合わせて用いられる。
【0081】
本発明の化合物と組み合わせて用いられる上記化合物は、Physicians' Desk Reference (PDR) 47th Edition (1993)(言及することによって本明細書に組み込まれる)に示された治療量または当業者に既知の治療有効量で用いられる。
【0082】
本発明の化合物および他の抗癌剤は、推奨される最大臨床投与量またはそれより少ない投与量で投与され得る。本発明の組成物中の活性化合物の投与量は、投与経路、疾患の重症度および患者の応答に依存して、望ましい治療応答を得るよう変更し得る。組み合わせは、別個の組成物として、または両方の薬物を含む1個の投与形として投与され得る。組み合わせとして投与されるとき、これらの複数治療薬は、同時にまたは異なる時間に与えられる別個の組成物として製剤化され得るか、または、これらの複数治療薬は、1個の組成物として与えられ得る。
【0083】
一つの態様において、本発明は、ヒトまたは動物の対象において、Pim1、Pim2またはPim3を阻害する方法を提供する。該方法は、有効量の式I、II、IIIまたはIVの何れかの態様の化合物または薬学的に許容される塩を、阻害を必要とする対象に投与することを含む。
【0084】
本発明は、下記の実施例の記載によって、より容易に理解されるであろう。該実施例は、説明の目的で提供され、本発明を限定することを意図しない。
【0085】
実施例
下記の実施例に関して、好ましい態様の化合物を、本明細書に記載された方法または当技術分野で既知の他の方法を用いて合成した。
【0086】
本化合物および/または中間体を、2695 Separation Moduleを備えたWaters Millenium chromatography system (Milford, MA)を用いる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって特性決定した。分析カラムは、逆相 Phenomenex Luna C18, 5μ, 4.6×50mm, (Alltech (Deerfield, IL))であった。濃度勾配溶出を用い(流速2.5ml/分)、典型的には、5% アセトニトリル/95% 水から出発し、10分かけて100% アセトニトリルへと増大させる。全ての溶媒は、0.1% トリフルオロ酢酸 (TFA)を含む。化合物は、220または254nmでの紫外線(UV)吸収によって検出された。HPLC溶媒は、Burdick and Jackson (Muskegan, MI)またはFisher Scientific (Pittsburgh, PA)から得た。
【0087】
幾つかの例において、純度を、ガラスまたはプラスチック支持シリカゲルプレート、例えばBaker Flex Silica Gel 1B2 F flexible sheetを用いる薄層クロマトグラフィー(TLC)によって測定した。TLCの結果は、紫外線下で可視化するか、または周知のヨウ素蒸気および他の種々の染色法を用いることによって、容易に検出された。
【0088】
質量分析は、以下の3種のLCMS装置のうちの1つで行った:
Waters System (Alliance HT HPLC および Micromass ZQ mass spectrometer;カラム=Eclipse XDB C18, 2.1×50mm;濃度勾配=0.05%TFAを含む水中5〜95%(または35〜95%、または65〜95%、または95〜95%) アセトニトリル, 4分;流速=0.8ml/分;分子量範囲=200〜1500;コーン電圧=20V;カラム温度=40℃)
別の Waters System (ACQUITY UPLC system および ZQ 2000 system;カラム=ACQUITY UPLC HSS-C18, 1.8μm, 2.1×50mm;濃度勾配=0.05%TFAを含む水中5〜95%(または35〜95%、または65〜95%、または95〜95%) アセトニトリル, 1.3分;流速=1.2ml/分;分子量範囲=150〜850;コーン電圧=20V;カラム温度=50℃)
または、Hewlett Packard System (Series 1100 HPLC;カラム=Eclipse XDB C18, 2.1×50mm;濃度勾配=0.05%TFAを含む水中5〜95% アセトニトリル, 4分;流速=0.8ml/分;分子量範囲=150〜850;コーン電圧=50V;カラム温度=30℃)。全ての質量を、プロトン化された親イオンの質量として報告した。
【0089】
核磁気共鳴(NMR)分析は、幾つかの化合物について、Varian 300 MHz NMR (Palo Alto, CA)で行った。参照スペクトルは、TMSであるか、または溶媒の既知の化学シフトであった。
【0090】
分取分離は、Flash 40 クロマトグラフィー・システムおよび KP Sil, 60A (Biotage, Charlottesville, VA)を用いて、または、シリカゲル(230〜400メッシュ)充填剤を用いたフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーによって、または、Waters 2767 Sample Manager、C 18 逆相カラム, 30×50mm、流速75ml/分を用いたHPLCによって行われる。Flash 40 Biotage systemおよびフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーに用いられる典型的な溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、酢酸エチル、ヘキサン、アセトン、水性アンモニア(または水酸化アンモニウム)、およびトリエチル アミンである。逆相HPLCに用いられる典型的な溶媒は、0.1%トリフルオロ酢酸を含む、アセトニトリルと水の濃度変化である。
【0091】
好ましい態様による有機化合物は、互変異性の現象を示し得ると理解されるべきである。本明細書内の化学構造は、可能性のある1個の互変異性体の形態のみを示しており、好ましい態様は、描かれた構造の全ての互変異性体の形態を含むと理解されるべきである。
【0092】
本発明は、説明のために本明細書で示された態様に限定されず、上記の開示の範囲内の全ての形態を含むと理解される。
下記の実施例および本明細書全体において、下記の略語は、下記の意味を有する。定義していなければ、用語は、その一般的に受け入れられている意味を有する。
【0093】
略号
【表1】

【実施例】
【0094】
実施例1
(E)−2−(2−クロロ−5−ニトロピリジン−4−イル)−N,N−ジメチルエテンアミンの合成
【化12】

ジメチルホルムアミド中の、2−クロロ−4−メチル−5−ニトロピリジン(1.0当量)、25.2mlのジメチルアセタール ジメチルホルムアミド(2.2当量)の溶液(0.8M)を、95℃で18時間加熱した。冷却後、揮発成分を真空で除去した。粗製の物質を沸騰メタノールから再結晶し、(E)−2−(2−クロロ−5−ニトロピリジン−4−イル)−N,N−ジメチルエテンアミンを赤色の固体として得た(70%)。
1H NMR (CDCl3): δ 8.80 (s, 1H), 7.32 (d, J=13.2, 1H), 7.25 (s, 1H), 5.95 (d, J=13.2, 1H), 3.02 (bs, 6H).
【0095】
2−クロロ−5−ニトロイソニコチンアルデヒドの合成
【化13】

1:1 THF/HO中の、(E)−2−(2−クロロ−5−ニトロピリジン−4−イル)−N,N−ジメチルエテンアミン(1.0当量)の溶液(0.1M)に、過ヨウ素酸ナトリウム(3.0当量)を少しずつ加えた。得られた溶液を室温で6時間撹拌し、その時点で、白色の固体を濾過し、酢酸エチルで濯いだ。濾液全量をNaHCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって精製し(20% 酢酸エチル/ヘキサン, R=0.3)、2−クロロ−5−ニトロイソニコチンアルデヒドを得た(71%)。
1H NMR (CDCl3): δ 10.51 (s, 1H), 9.25 (s, 1H), 7.75 (s, 1H).
【0096】
1−(2−クロロ−5−ニトロピリジン−4−イル)エタノールの合成
【化14】

内部温度計を備えた、オーブン乾燥した250mlの3つ首丸底フラスコ(r.b.f.)に、アルゴン雰囲気下、ジエチルエーテル(180ml)およびジクロロメタン中1.0Mの四塩化チタン(20.5ml, 20.5mmol)を入れた。溶液をCO(固体)/アセトンの−78℃浴中で冷却し、ジエチルエーテル中1.6Mのメチルリチウム(12.8ml, 20.5mmol)を、シリンジを介して、内部温度が−50℃以下となるような速度で加えた。得られたアニオン溶液を−50℃で1時間撹拌し、その時点で、ジエチルエーテル(16+4ml)中の2−クロロ−5−ニトロイソニコチンアルデヒド(2.54g, 13.66mmol)を、シリンジを介して、内部温度が−50℃以下となる速度で加えた。さらに−50℃で1時間撹拌した後、反応物をHO(500ml)に注ぎ、混合後、明黄色の2層が形成した。ジエチルエーテル(500ml)を加え、層を分離し、有機物をHO(250ml)で、そしてNaCl(飽和)(250ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、1−(2−クロロ−5−ニトロピリジン−4−イル)エタノールを得た(2.76g, 収率100%)。
LCMS (m/z): 203.0 (MH+); LC Rt = 2.42分。
1H NMR (CDCl3): δ 8.99 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 5.52 (m, 1H), 1.56 (d, J=9.0, 3H).
【0097】
1−(2−クロロ−5−ニトロピリジン−4−イル)エタノンの合成
【化15】

ジクロロメタン中の1−(2−クロロ−5−ニトロピリジン−4−イル)エタノール(1.0当量)の溶液(0.1M)に、デス・マーチン・ペルヨージナン(1.8当量)を加え、溶液を16時間撹拌した。溶液を酢酸エチル(800ml)に注ぎ、1:1の10% Na/NaHCO(飽和)(4×)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、1−(2−クロロ−5−ニトロピリジン−4−イル)エタノンを黄色の固体として得た(96%)。
LCMS (m/z): 201.0 (MH+); LC Rt = 2.80分。
1H NMR (CDCl3): δ 9.18 (s, 1H), 7.36 (s, 1H), 2.60 (s, 3H).
【0098】
1−(5−アミノ−2−クロロピリジン−4−イル)エタノンの合成
【化16】

酢酸中の1−(2−クロロ−5−ニトロピリジン−4−イル)エタノン(1.0当量)の溶液(0.3M)に、鉄(6.0当量)を加えた。溶液を4時間激しく撹拌し、その時点で、MeOHで、そして酢酸エチルで溶出するセライトのパッド(9cm×3インチ)でそれを濾過した。揮発成分を真空で除去し、粗製の物質を酢酸エチルとNaCO(飽和)の層間に分配した。さらに有機層をNaCO(飽和)(3×)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、1−(5−アミノ−2−クロロピリジン−4−イル)エタノンを得た(87%)。
LCMS (m/z): 171.0 (MH+); LC Rt = 2.20分。
1H NMR (CDCl3): δ 9.18 (s, 1H), 7.36 (s, 1H), 2.60 (s, 3H).
【0099】
N−(4−アセチル−6−クロロピリジン−3−イル)−4−ニトロ−N−(4−ニトロフェニルスルホニル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化17】

ピリジン中の1−(5−アミノ−2−クロロピリジン−4−イル)エタノン(1.0当量)の溶液(0.26M)に、塩化 4−ニトロフェニルスルホニル(3.0当量)を加えた。得られた琥珀色の溶液を室温で18時間撹拌し、その時点でそれを氷に注いだ。得られた固体を濾過し、HOで濯ぎ、吸引して(pumped)、N−(4−アセチル−6−クロロピリジン−3−イル)−4−ニトロ−N−(4−ニトロフェニルスルホニル)ベンゼンスルホンアミドを得た(88%)。
LC Rt = 4.77分。
【0100】
N−(4−アセチル−6−クロロピリジン−3−イル)−4−ニトロベンゼンスルホンアミドの合成
【化18】

2:1 THF/MeOH中のN−(4−アセチル−6−クロロピリジン−3−イル)−4−ニトロ−N−(4−ニトロフェニルスルホニル)ベンゼンスルホンアミド(1.0当量)の溶液(0.05M)に、1M LiOH(水性)(3.1当量)を加えた。得られた紫色の溶液を室温で15時間撹拌し、その時点で1M HCl(3.1当量)を加えた。揮発成分を真空で除去し、酢酸エチル(700ml)およびHO(200ml)を加えた。分離した後、有機物をNaHCO(飽和)(200ml)で、そしてNaCl(飽和)(200ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって精製し(0.1% AcOHを含む50% 酢酸エチル/ヘキサン, R=0.6)、N−(4−アセチル−6−クロロピリジン−3−イル)−4−ニトロベンゼンスルホンアミドを得た(84%)。
LCMS (m/z): 356.0(MH+); LC Rt = 3.81分。
1H NMR (CDCl3): δ 8.89 (s, 1H), 8.32 (m, 2H), 8.06 (m, 2H), 7.62 (s, 1H), 2.60 (s, 3H).
【0101】
6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−オールの合成
【化19】

DMF中の、N−(4−アセチル−6−クロロピリジン−3−イル)−4−ニトロベンゼンスルホンアミド(1.0当量)、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(4.8当量)およびDIEA(4.8当量)の溶液(0.15M)を、Ar下、110℃で96時間加熱した。冷却後、チオフェノール(4.9当量)を加え、溶液を室温で15時間撹拌した。揮発成分を真空で除去し、シリカゲルで精製を行い(0〜1.5〜3〜5% MeOH/CHCl)、6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−オールを得た(55%)。
LC/MS = 180.9/182.9 (M+H), LC = 1.41分。
【0102】
6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−イル トリフルオロメタンスルホネートの合成
【化20】

CHCl中の6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−オール(1.0当量)、ジイソプロピルエチルアミン(2.0当量)および1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−(トリフルオロメチルスルホニル)メタンスルホンアミド(1.5当量)の溶液を16時間撹拌した。溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配した。分離後、さらに、有機層をNaCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として10〜15% EtOAc/ヘキサン)、6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−イル トリフルオロメタンスルホネートを得た(65%)。
LC/MS = 131.0/315.0 (M+H), LC = 4.86分。
【0103】
(S)−tert−ブチル 1−(6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートの合成
【化21】

CHCl中の6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−イル トリフルオロメタンスルホネート(1.0当量)、(S)−tert−ブチル ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)およびDIEA(1.5当量)の溶液(0.3M)を室温で120時間撹拌した。溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配した。分離後、有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液としてEtOAc)、(S)−tert−ブチル 1−(6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートを得た(61%)。
LC/MS = 363.2 (M+H), LC = 2.47分。
【0104】
(S)−tert−ブチル 1−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートの合成
【化22】

ジオキサン(0.06M)中の、(S)−tert−ブチル 1−(6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)、酢酸カリウム(3.0当量)、ビス(ピナコレート)ジボラン(2.0当量)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.8当量)およびPd(dba)(0.2当量)の溶液を、マイクロ波中、135℃で20分間加熱した。溶液を1μM HPLCフィルターで濾過し、濃縮し、吸引し、(S)−tert−ブチル 1−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートを得た。これを直接用いた。
LC/MS = 373.1 (対応するHetB(OH)2のM+H)。
【0105】
(S)−tert−ブチル 1−(6−クロロ−3−フルオロ−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートの合成
【化23】

1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン ビス(テトラフルオロボレート)(1.0当量)を、MeCN中の(S)−tert−ブチル 1−(6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)の溶液(0.14M)に加えた。18時間撹拌した後、NaCO(飽和)を加えてクエンチした。溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配し、さらにNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として25〜50〜100% EtOAc/ヘキサン、0.1% DIEA含有)、(S)−tert−ブチル 1−(6−クロロ−3−フルオロ−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(15%)を得て、そして(S)−tert−ブチル 1−(6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートを回収した(55%)。
LCMS (m/z): 381.1/383.0 (MH+); LC Rt = 4.20分。
【0106】
(S)−tert−ブチル 1−(3−フルオロ−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートの合成
【化24】

ジオキサン中の、(S)−tert−ブチル 1−(6−クロロ−3−フルオロ−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)、酢酸カリウム(3.0当量)、ビス(ピナコレート)ジボラン(2.0当量)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.8当量)およびPd(dba)(0.2当量)の溶液(0.12M)を、マイクロ波中、135℃で2×15分間加熱した。溶液を1μM HPLCフィルターで濾過し、濃縮し、吸引し、(S)−tert−ブチル 1−(3−フルオロ−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートを得た。これを直接用いた。
LC/MS = 391.2 (対応するHetB(OH)2のM+H), LC = 2.64分。
【0107】
4−クロロ−6−メチルピリジン−2−アミンの合成
【化25】

ジオキサン水溶液(0.1M)に、4,6−ジクロロピリジン−2−アミン(1.0当量)、トリメチルボロキシン(1.5当量)、Pd(PPh)(0.10当量)およびKCO(3.0当量)を加えた。溶液を、油浴中、120℃で18時間加熱し、室温まで冷却し(出発物質が全て消費されたわけではなかった)、EtOAcで抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗製の物質を、5% MeOH/DCMで溶出するSiOのカラムクロマトグラフィーによって精製し、4−クロロ−6−メチルピリジン−2−アミンを、灰白色の固体として収率23%で得た。
LCMS (m/z): 143 (MH+); LC Rt = 1.11分。
【0108】
6−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミンの合成
【化26】

ジオキサン中の、4−クロロ−6−メチルピリジン−2−アミン(1.0当量)、酢酸カリウム(3.0当量)、ビス(ピナコレート)ジボラン(2.0当量)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.075当量)およびPd(dba)(0.05当量)の溶液(0.12M)を、マイクロ波中、120℃で2×15分間加熱した。溶液を、1μM HPLCフィルターで濾過し、濃縮した。DMEを加え、得られた固体を濾過し、CHClで濯いだ。合わせた濾液を濃縮し、吸引し、6−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミンを得た。これを直接用いた。
LC/MS = 153.0 (対応するHetB(OH)2のM+H), LC = 0.35分。
【0109】
4−(6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−イル)−6−メチルピリジン−2−アミンの合成
【化27】

3:1 DME/2M NaCO中の、6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−イル トリフルオロメタンスルホネート(1.0当量)、6−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミン(1.0当量)およびPd(dppf)Cl−CHCl(0.1当量)の溶液を、マイクロ波中、100℃で15分間加熱した。冷却後、溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配し、さらにNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として2〜4% MeOH/CHCl、0.1% DIEA含有)、4−(6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−イル)−6−メチルピリジン−2−アミンを得た(17%)。
LC/MS = 271.0 (M+H), LC = 1.81分。
【0110】
6−メチル−4−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピリジン−2−アミンの合成
【化28】

ジオキサン中の、4−(6−クロロ−1,7−ナフチリジン−4−イル)−6−メチルピリジン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル(1.0当量)、酢酸カリウム(3.0当量)、ビス(ピナコレート)ジボラン(2.0当量)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.8当量)およびPd(dba)(0.2当量)の溶液(0.06M)を、マイクロ波中、135℃で2×20分間加熱した。溶液を1μM HPLCフィルターで濾過し、濃縮し、吸引し、6−メチル−4−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピリジン−2−アミンを得た。これを直接用いた。
LC/MS = 281.1 (対応するHetB(OH)2のM+H), LC = 1.09分。
【0111】
2,6−ジクロロ−3N−(ビスBocアミノ)ピリジンの合成
【化29】

CHCl中の、3−アミノ−2,6−ジクロロピリジン(1.0当量)、ジ−tert−ブチル ジカーボネート(2.2当量)およびDMAP(0.2当量)の溶液(0.15M)を、16時間撹拌した。シリカゲルを加え、濃縮後、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として10% EtOAc/ヘキサン)、2,6−ジクロロ−3N−(ビスBocアミノ)ピリジンを得た(83%)。
LC/MS = 363.1 (M+H), LC = 4.92分。
【0112】
3−(5−アミノ−6−クロロピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミドの合成
【化30】

3:1 DME/2M NaCO中の、2,6−ジクロロ−3N−(ビスBocアミノ)ピリジン(1.0当量)、2−フルオロ−5−(イソプロピルカルバモイル)フェニルボロン酸(1.0当量)およびPd(dppf)Cl−CHCl(0.05当量)の溶液を90℃で15時間加熱した。冷却後、溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配し、さらにNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として30〜35% EtOAc/ヘキサン)、ビスBocスズキ生成物を得た。Boc保護物質を、25% TFA/CHClで2時間処理し、揮発成分を真空で除去した。粗製の残渣をEtOAcで希釈し、NaCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、揮発成分を真空で除去し、3−(5−アミノ−6−クロロピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミドを得た(60%)。
LC/MS = 308.1 (M+H), LC = 3.15分。
【0113】
2−クロロ−6−(2−フルオロフェニル)ピリジン−3−アミンの合成
【化31】

3:1 DME/2M NaCO中の、2,6−ジクロロ−3N−(ビスBocアミノ)ピリジン(1.0当量)、2−フルオロフェニルボロン酸(1.0当量)およびPd(dppf)Cl−CHCl(0.05当量)の溶液を、90℃で15時間加熱した。冷却後、溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配し、さらにNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として10% EtOAc/ヘキサン)、ビスBocスズキ生成物を得た。Boc保護物質を、25% TFA/CHClで2時間処理し、揮発成分を真空で除去した。粗製の残渣をEtOAcで希釈し、NaCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、揮発成分を真空で除去し、2−クロロ−6−(2−フルオロフェニル)ピリジン−3−アミンを得た(57%)。
LC/MS = 223.0 (M+H), LC = 3.69分。
【0114】
2−クロロ−6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミンの合成
【化32】

3:1 DME/2M NaCO中の、2,6−ジクロロ−3N−(ビスBocアミノ)ピリジン(1.0当量)、2,6−ジフルオロフェニルボロン酸(1.0当量)およびPd(dppf)Cl−CHCl(0.05当量)の溶液を、90℃で15時間加熱した。冷却後、溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配し、さらにNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として5〜10〜20% EtOAc/ヘキサン)、ビスBocスズキ生成物を得た。Boc保護物質を25% TFA/CHClで2時間処理し、揮発成分を真空で除去した。粗製の残渣をEtOAcで希釈し、NaCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、揮発成分を真空で除去し、2−クロロ−6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミンを得た(15%)。
LC/MS = 241.0 (M+H), LC = 3.28分。
【0115】
2,4−ジクロロピリミジン−5−アミンの合成
【化33】

濃度0.4Mの酢酸中の2,4−ジクロロ−5−ニトロ−ピリミジン(1.0当量)および鉄(6.0当量)の不均一な溶液を、14時間激しく撹拌した。混合物を、MeOHで溶出するセライトのパッドを通した。揮発成分を真空で除去した後、残渣をEtOAcに溶解し、NaCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、揮発成分を真空で除去し、2,4−ジクロロピリミジン−5−アミンを得た(80%)。
LCMS (m/z): 157.0 (MH+); LC Rt = 1.85分。
【0116】
2,4−ジクロロ−5N−(ビスBocアミノ)ピリミジンの合成
【化34】

CHCl中の5−アミノ−2,4−ジクロロピリミジン(1.0当量)、ジ−tert−ブチル ジカーボネート(2.2当量)およびDMAP(0.2当量)の溶液(0.15M)を16時間撹拌した。シリカゲルを加え、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製(溶出液として10% EtOAc/ヘキサン)した後、2,4−ジクロロ−5N−(ビスBocアミノ)ピリミジンを得た(48%)。
LC/MS = 364.1 (M+H), LC = 4.87分。
【0117】
4−クロロ−2−(2−フルオロフェニル)ピリミジン−5−アミンの合成
【化35】

3:1 DME/2M NaCO中の、2,4−ジクロロ−5N−(ビスBocアミノ)ピリミジン(1.0当量)、2−フルオロフェニルボロン酸(1.0当量)およびPd(dppf)Cl−CHCl(0.05当量)の溶液を、90℃で15時間加熱した。冷却後、溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配し、さらにNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として10% EtOAc/ヘキサン)、ビスBocスズキ生成物を得た。Boc保護物質を25% TFA/CHClで2時間処理し、揮発成分を真空で除去した。粗製の残渣をEtOAcで希釈し、NaCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、揮発成分を真空で除去し、4−クロロ−2−(2−フルオロフェニル)ピリミジン−5−アミンを得た(68%)。
LC/MS = 224.0 (M+H), LC = 2.71分。
【0118】
2−クロロ−6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−3−アミンの合成
【化36】

THF中の、2,6−ジクロロ−3N−(ビスBocアミノ)ピリジン(1.0当量)、臭化 2−チアゾリル−亜鉛(3.5当量)およびPd(dppf)Cl−DCM(0.10当量)の溶液を、70℃で15分間マイクロ波で加熱した。反応物をセライトで濾過し、EtOAcで濯ぎ、真空下で濃縮乾固し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し、Boc保護生成物を得た(39%)。Boc保護物質を、25% TFA/CHClで2時間処理し、揮発成分を真空で除去した。粗製の残渣をEtOAcで希釈し、NaCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、揮発成分を真空で除去し、2−クロロ−6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−3−アミンを得た。
LCMS (m/z): 212.1 (MH+); LC Rt = 2.70分。
【0119】
方法1
実施例10
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミドの合成
【化37】

3:1 DME/2M NaCO中の、(S)−tert−ブチル 1−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)、3−(5−アミノ−6−クロロピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド(1.0当量)およびPd(dppf)Cl−CHCl(0.2当量)の溶液を、120℃で20時間加熱した。冷却後、溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配し、さらにNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、RP−HPLCによって精製した。凍結乾燥後、25% TFA/CHClで処理することによってBoc基を脱保護し、濃縮し、RP−HPLCによって精製し、凍結乾燥し、(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミドを得た(21%)。
LC/MS = 500.3 (M+H), LC = 2.36分。
【0120】
下記の表1に示された化合物を、前記の方法1の手順を用いて合成した。
表1
【表2】

【0121】
【表3】

【0122】
【表4】

【0123】
(S)−tert−ブチル 1−(6−(6−クロロ−3−ニトロピリジン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートの合成
【化38】

3:1 DME/2M NaCO中の、(S)−tert−ブチル 1−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)、2.6−ジクロロ−3−ニトロピリジン(1.0当量)およびPd(dppf)Cl−CHCl(0.15当量)の溶液を、マイクロ波中、100℃で20分間加熱した。冷却後、溶液を、EtOAcとNaCO(飽和)の層間で分配し、さらにNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として75% EtOAc/ヘキサン)、(S)−tert−ブチル 1−(6−(6−クロロ−3−ニトロピリジン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートを得た(20%)。
LC/MS = 485.1 (M+H), LC = 3.17分。
【0124】
(S)−tert−ブチル 1−(6−(3−アミノ−6−クロロピリジン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートの合成
【化39】

濃度0.4Mの酢酸中の(S)−tert−ブチル 1−(6−(6−クロロ−3−ニトロピリジン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)および鉄(6.0当量)の不均一な溶液を、14時間激しく撹拌した。混合物を、MeOHで溶出するセライトのパッドに通した。揮発成分を真空で除去した後、残渣をEtOAcに溶解し、NaCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、揮発成分を真空で除去し、(S)−tert−ブチル 1−(6−(3−アミノ−6−クロロピリジン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートを得た(77%)。
LCMS (m/z): 455.2 (MH+); LC Rt = 3.10分。
【0125】
方法2
実施例19
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−アミンの合成
【化40】

3:1 DME/2M NaCO中の、(S)−tert−ブチル 1−(6−(3−アミノ−6−クロロピリジン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)、4−フルオロフェニルボロン酸(3.0当量)およびPd(dppf)Cl−CHCl(0.15当量)の溶液を、マイクロ波中、120℃で20分間加熱した。冷却後、溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配し、さらにNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、RP−HPLCによって精製した。凍結乾燥後、25% TFA/CHClで処理することによってBoc基を脱保護し、濃縮し、RP−HPLCによって精製し、凍結乾燥し、(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−アミンを得た(61%)。
LC/MS = 415.2 (M+H), LC = 2.32分。
【0126】
下記の表2に示された化合物を、前記の方法2の手順を用いて合成した。
表2
【表5】

【0127】
【表6】

【0128】
【表7】

【0129】
(S)−tert−ブチル 1−(6−ブロモキノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートの合成
【化41】

NMP中の、6−ブロモ−4−クロロキノリン(1.0当量)、(S)−tert−ブチル ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)およびDIEA(1.5当量)の溶液(0.1M)を、140℃で48時間加熱した。冷却後、溶液を氷に注ぎ、融解した後、固体を濾過し、HOで濯ぎ、吸引し、(S)−tert−ブチル 1−(6−ブロモキノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートを得た。
LC/MS = 406.0/408.0 (M+H), LC = 2.85分。
【0130】
(S)−tert−ブチル 1−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートの合成
【化42】

ジオキサン中の、(S)−tert−ブチル 1−(6−ブロモキノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)、酢酸カリウム(3.0当量)、ビス(ピナコレート)ジボラン(2.0当量)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.2当量)およびPd(dba)(0.05当量)の溶液(0.05M)を、マイクロ波中、135℃で20分間加熱した。溶液を1μM HPLCフィルターで濾過し、濃縮し、吸引し、(S)−tert−ブチル 1−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートを得た。これを直接用いた。
LC/MS = 372.1 (対応するHetB(OH)2のM+H), LC = 2.26分。
【0131】
6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル トリフルオロメタンスルホネートの合成
【化43】

THF中の、2−ブロモ−6−メトキシピリジン(1.0当量)、THF中0.5Mの臭化 2−チアゾール−亜鉛(2当量)およびPd(dppf)Cl−DCM(0.2当量)の溶液(0.1M)を、マイクロ波中、100℃で20分間加熱した。冷却後、溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配し、さらにNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として20% EtOAc/ヘキサン)、2−(6−メトキシピリジン−2−イル)チアゾールを得た(73%)。該物質を、3:1:0.25の比のジオキサン/HO/濃塩酸で、100℃で72時間処理した。揮発成分を真空で除去した後、CHCl中の、粗製のヒドロキシルピリジン(1.0当量)、ジイソプロピルエチルアミン(2.0当量)および1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−(トリフルオロメチルスルホニル)メタンスルホンアミド(1.5当量)の溶液を16時間撹拌した。溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配した。分離後、有機層を、さらにNaCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し、6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル トリフルオロメタンスルホネートを得た。
【0132】
6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル トリフルオロメタンスルホネートの合成
【化44】

3:1 DME/2M NaCO中の、2−ブロモ−6−メトキシピリジン(1.0当量)、2,6−ジフルオロフェニルボロン酸(2当量)およびPd(dppf)Cl−DCM(0.05当量)の溶液を、110℃で48時間加熱した。冷却後、溶液を、EtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配し、さらにNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として10〜20% EtOAc/ヘキサン)、スズキ生成物を得た。該物質を、3:1:0.25の比のジオキサン/HO/濃塩酸で、100℃で72時間処理した。揮発成分を真空で除去した後、CHCl中の、粗製のヒドロキシルピリジン(1.0当量)、ジイソプロピルエチルアミン(2.0当量)および1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−(トリフルオロメチルスルホニル)メタンスルホンアミド(1.5当量)の溶液を16時間撹拌した。溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配した。分離後、有機層を、さらにNaCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し、6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル トリフルオロメタンスルホネートを得た。
【0133】
方法3
実施例27
(S)−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミンの合成
【化45】

3:1 DME/2M NaCO中の、(S)−tert−ブチル 1−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)、6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル トリフルオロメタンスルホネート(1.5当量)およびPd(dppf)Cl−CHCl(0.15当量)の溶液を、マイクロ波中、100℃で20分間加熱した。冷却後、溶液を、EtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配し、さらにNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、RP−HPLCによって精製した。凍結乾燥後、25% TFA/CHClで処理することによってBoc基を脱保護し、濃縮し、RP−HPLCによって精製し、凍結乾燥し、(S)−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミンを得た(40%)。
LC/MS = 388.1(M+H), LC = 2.02分。
【0134】
下記の表3に示された化合物を、前記の方法3の手順を用いて合成した。
表3
【表8】

【0135】
4−(ベンジルオキシ)−2−クロロピリミジンの合成
【化46】

250mlのTHF中の水素化ナトリウム(鉱物油中60%)(1.5当量)の冷却(1〜2℃)した懸濁液に、ベンジルアルコール(1.0当量)を滴下し、混合物をN下で30分間撹拌した。この懸濁液を少量ずつ(シリンジを介して, 1時間かけて)、THF中の2,4−ジクロロピリミジン(1.5当量)の溶液に、1〜2℃(内部温度計)で加えた。得られた混合物(0.06M)を、<2℃の温度で2.5時間撹拌し、NHCl(飽和)でクエンチし、EtOAcで抽出した。分離後、有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液としてヘキサン/DCM)、4−(ベンジルオキシ)−2−クロロピリミジンを得た(24%)。
LC/MS = 221.0 (M+H), LC = 3.93分。
【0136】
(S)−tert−ブチル 1−(6−(4−(ベンジルオキシ)ピリミジン−2−イル)−キノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートの合成
【化47】

(S)−tert−ブチル 1−(6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)、4−(ベンジルオキシ)−2−クロロピリミジン(2.0当量)およびPd(dppf)Cl−DCM(0.15当量)の混合物に、20mlのマイクロ波用バイアル中で、DMEおよび2M NaCOを加えた(1.0M)。バイアルを、125℃で20分間マイクロ波中で加熱した。得られた混合物をEtOAcとHOの層間に分配した。分離後、有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、逆相HPLCによって精製し、(S)−tert−ブチル 1−(6−(4−(ベンジルオキシ)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートを得た(88%)。
LC/MS = 512.1 (M+H), LC = 3.40分。
【0137】
(S)−tert−ブチル 1−(6−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートの合成
【化48】

4:1 EtOH/EtOAc中の(S)−tert−ブチル 1−(6−(4−(ベンジルオキシ)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)の溶液(0.6M)に、10% パラジウム/炭素(0.2当量)を加えた。得られた不均一な溶液を1気圧の水素下で12時間撹拌した。次いで混合物をEtOAcで溶出するセライトのパッドで濾過した。揮発成分を真空で除去し、(S)−tert−ブチル 1−(6−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートを得た(87%)。
LCMS (m/z): 422.1 (MH+); LC Rt = 2.14分。
【0138】
(S)−2−(4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)キノリン−6−イル)ピリミジン−4−イル トリフルオロメタンスルホネートの合成
【化49】

CHCl中の、(S)−tert−ブチル 1−(6−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメート(1.0当量)、ジイソプロピルエチルアミン(2.0当量)および1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−(トリフルオロメチルスルホニル)メタンスルホンアミド(1.5当量)の溶液(0.13M)を、105℃で3×20分間マイクロ波中で加熱し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として80% EtOAc/ヘキサン)、(S)−2−(4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)キノリン−6−イル)ピリミジン−4−イル トリフルオロメタンスルホネートを得た(50%)。
LC/MS = 554.1 (M+H), LC = 3.62分。
【0139】
実施例28
(S)−1−(6−(4−(チアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミンの合成
【化50】

THF中0.5Mの臭化 2−チアゾール−亜鉛の溶液(10当量)を、(S)−2−(4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)キノリン−6−イル)ピリミジン−4−イル トリフルオロメタンスルホネート(1.0当量)(0.045M)およびPd(dppf)Cl−DCM(0.2当量)に、マイクロ波用バイアル中で加え、混合物を、100℃で10分間、マイクロ波中で加熱し、EtOAcで溶出する1μm PTFE HPLCフィルターで濾過し、濃縮した。得られた(S)−tert−ブチル 1−(6−(4−(チアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバメートを、25% TFA/DCM(0.011M)に溶解し、2時間置き、濃縮し、逆相HPLCによって精製し、(S)−1−(6−(4−(チアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミンを得た(100%)。
LC/MS = 389.2 (M+H), LC = 1.97分。
【0140】
方法4
実施例29
(S)−1−(6−(4−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミンの合成
【化51】

DME中の(S)−2−(4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)キノリン−6−イル)ピリミジン−4−イル トリフルオロメタンスルホネート(1.0当量)の溶液に、2,6−ジフルオロボロン酸(3.0当量)、Pd(dppf)Cl−DCM(0.2当量)および2M NaCO(0.03M)を、マイクロ波用バイアル中で加え、これを120℃で15分間マイクロ波中で加熱した。得られた有機層を単離し、濃縮し、25% TFA/DCM(0.023M)に溶解した。約1時間置いた後、反応混合物を濃縮し、逆相HPLCによって精製し、(S)−1−(6−(4−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミンを得た(100%)。
LC/MS = 418.2 (M+H), LC = 2.21分。
【0141】
下記の表4に示された化合物を、前記の方法4の手順を用いて合成した。
表4
【表9】

【0142】
4−(ベンジルオキシ)−6−ブロモキノリンの合成
【化52】

DMF中の、鉱物油中60% NaH(1.75当量)の溶液(0.5M)に、ベンジルアルコール(2.5当量)を滴下した。30分間撹拌した後、6−ブロモ−4−クロロキノリン(1.0当量)を加え、溶液を、マイクロ波中、100℃で30分間加熱した。冷却後、溶液をEtOAcとHOの層間に分配した。分離後、有機層をさらにHO(3×)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、ヘキサンで磨砕し、4−(ベンジルオキシ)−6−ブロモキノリンを得た(73%)。
LC/MS = 314.0/315.9 (M+H), LC = 2.89分。
【0143】
4−(ベンジルオキシ)−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンの合成
【化53】

ジオキサン中の、4−(ベンジルオキシ)−6−ブロモキノリン(1.0当量)、酢酸カリウム(3.0当量)、ビス(ピナコレート)ジボラン(2.0当量)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.2当量)およびPd(dba)(0.05当量)の溶液(0.05M)を、マイクロ波中、135℃で20分間加熱した。溶液を1μM HPLCフィルターで濾過し、濃縮し、吸引し、4−(ベンジルオキシ)−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンを得た。これを直接用いた。
LC/MS = 362.0/279.9 (生成物および対応するHetB(OH)2のM+H)。
LC = 3.39分および2.11分(対応するHet(B(OH)2について)。
【0144】
2−(6−(4−(ベンジルオキシ)キノリン−6−イル)ピリジン−2−イル)チアゾールの合成
【化54】

3:1 DME/2M NaCO中の、4−(ベンジルオキシ)−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン(1.0当量)、6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル トリフルオロメタンスルホネート(1.0当量)およびPd(dppf)Cl−CHCl(0.1当量)の溶液を、マイクロ波中、120℃で20分間加熱した。冷却後、溶液をEtOAcとHOの層間に分配した。分離後、有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液としてEtOAc)、2−(6−(4−(ベンジルオキシ)キノリン−6−イル)ピリジン−2−イル)チアゾールを得た(39%)。
LC/MS = 396.0 (M+H), LC = 3.34分。
【0145】
6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−オールの合成
【化55】

濃度0.1Mの1:1 EtOH/EtOAc中の2−(6−(4−(ベンジルオキシ)キノリン−6−イル)ピリジン−2−イル)チアゾール(1.0当量)の溶液に、10% パラジウム/炭素(0.1当量)を加えた。得られた不均一な溶液を1気圧の水素下に置き、72時間撹拌した。この時点で、混合物をEtOAcで溶出するセライトのパッドで濾過した。揮発成分を真空で除去し、6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−オールを得た(88%)。
LCMS (m/z): 305.9 (MH+); LC Rt = 2.57分。
【0146】
6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル トリフルオロメタンスルホネートの合成
【化56】

NMP中の、6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−オール(1.0当量)、ジイソプロピルエチルアミン(2.0当量)および1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−(トリフルオロメチルスルホニル)メタンスルホンアミド(1.5当量)の溶液(0.23M)を72時間撹拌した。溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配した。分離後、有機層をさらにNaCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として50% EtOAc/ヘキサン)、6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル トリフルオロメタンスルホネートを得た(47%)。
LC/MS = 437.9 (M+H), LC = 4.91分。
【0147】
4−(ベンジルオキシ)−6−(6−ブロモピリジン−2−イル)キノリンの合成
【化57】

3:1 DME/2M NaCO中の、4−(ベンジルオキシ)−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン(1.0当量)、2,6−ジブロモピリジン(1.0当量)およびPd(dppf)Cl−CHCl(0.1当量)の溶液を、マイクロ波中、100℃で20分間加熱した。冷却後、溶液をEtOAcとHOの層間に分配した。分離後、有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として70〜90% EtOAc/ヘキサン)、4−(ベンジルオキシ)−6−(6−ブロモピリジン−2−イル)キノリンを得た(36%)。
LC/MS = 391.1/393.1 (M+H), LC = 3.36分。
【0148】
4−(ベンジルオキシ)−6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリンの合成
【化58】

1:1 トルエン/エタノール中の、4−(ベンジルオキシ)−6−(6−ブロモピリジン−2−イル)キノリン(1.0当量)、2,6−ジフルオロフェニルボロン酸(3.0当量)、ジイソプロピルエチルアミン(3.0当量)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.1当量)の溶液を、マイクロ波中、120℃で20分間加熱した。冷却後、溶液をEtOAcとHOの層間に分配した。分離後、有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として60〜75% EtOAc/ヘキサン)、4−(ベンジルオキシ)−6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリンを得た(74%)。
LC/MS = 425.1 (M+H), LC = 3.59分。
【0149】
6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−オールの合成
【化59】

濃度0.1Mの、1:1 EtOH/EtOAc中の4−(ベンジルオキシ)−6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン(1.0当量)の溶液に、10% パラジウム/炭素(0.1当量)を加えた。得られた不均一な溶液を、1気圧の水素下に置き、72時間撹拌した。この時点で、混合物を、EtOAcで溶出するセライトのパッドで濾過した。揮発成分を真空で除去し、6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−オールを得た(70%)。
LCMS (m/z): 335.0 (MH+); LC Rt = 3.09分。
【0150】
6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)−キノリン−4−イル トリフルオロメタンスルホネートの合成
【化60】

NMP中の6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−オール(1.0当量)、ジイソプロピルエチルアミン(2.0当量)および1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−(トリフルオロメチルスルホニル)メタンスルホンアミド(1.5当量)の溶液(0.23M)を、72時間撹拌した。溶液をEtOAcとNaCO(飽和)の層間に分配した。分離後、有機層をさらにNaCO(飽和)で、そしてNaCl(飽和)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(溶出液として25〜35% EtOAc/ヘキサン)、6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル トリフルオロメタンスルホネートを得た(72%)。
LC/MS = 467.0 (M+H), LC = 5.13分。
【0151】
trans−(+/−)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートの合成
【化61】

【0152】
trans−(+/−)−ベンジル 4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートの合成
【化62】

飽和水酸化アンモニウム水溶液およびエタノール中の(+/−)−ベンジル 7−オキサ−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレート(1.0当量)の溶液(1:1, 0.05M溶液)を、密封鋼鉄製容器中、70℃で5時間加熱した。全ての揮発性物質をNガス流によって除去し、酢酸エチルおよび水を後処理のために加えた。粗製の位置異性体混合物3−アミノ−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸ベンジルおよび4−アミノ−3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸ベンジルを、ジクロロメタン中のBocO(1.0当量)およびトリエチルアミン(1.0当量)(0.1M溶液)と反応させた。室温で2時間撹拌した後、反応混合物をジクロロメタンで抽出した。極性の(+/−)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートおよび非極性の(+/−)−ベンジル 4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートを、フラッシュクロマトグラフィーによって得た(ヘキサン中20%〜40% EtOAc, それぞれ28%, 51%)。
LCMS (m/z): 351.1 (MH+), Rt = 0.81分, LCMS (m/z): 351.1 (MH+), Rt = 0.83分。
【0153】
エナンチオマーとして純粋な(3S,4S)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートおよび(3R,4R)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートを、キラルHPLCによって分離した(分析においては、それぞれRt = 6.8分および9.1分;n−ヘプタン:エタノール=70:30(v:v), Chiralpak AD-H prep 250×4.6mm, 1ml/分。分取分離においては、n−ヘプタン:エタノール=80:20(v:v), Chiralpak AS 50×500mm, 90ml/分)。
【0154】
(3R,4R)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートの合成
【化63】

ジクロロメタン中の(3R,4R)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(1.0当量)の溶液(0.1M溶液)に、イミダゾール(1.1当量)、DMAP(0.1当量)およびTBDMSCl(1.1当量)を連続して加えた。反応混合物を室温で20時間撹拌した。ジクロロメタンで後処理した後、粗製の物質を、シリカのカラムクロマトグラフィーによって精製し(ヘキサン中10%〜20% EtOAc)、(3R,4R)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た(76%)。
LCMS (m/z): 365.2 [(M-Boc)H+]; LC Rt = 6.05分。
【0155】
(3R,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ピペリジン−3−イルカルバミン酸tert−ブチルの合成
【化64】

濃度0.1Mの、1:1 EtOH/EtOAc中の(3R,4R)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.0当量)の溶液に、10% パラジウム/炭素(0.1当量)を加えた。得られた不均一な溶液を1気圧の水素下に置き、72時間撹拌した。この時点で、混合物をEtOAcで溶出するセライトのパッドで濾過した。揮発成分を真空で除去し、(3R,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ピペリジン−3−イルカルバミン酸tert−ブチルを得た(99%)。
LCMS (m/z): 331.3 (MH+)。
【0156】
(3R,4R)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−フルオロピペリジン−1−カルボキシレートおよび(3S,4S)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−フルオロピペリジン−1−カルボキシレートの合成
【化65】

ジクロロメタン中の(+/−)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(1.0当量)の溶液(0.3M溶液)に、DASTを−78℃で加えた。反応混合物を室温までゆっくりと15時間温めた。飽和重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチした後、酢酸エチルおよび水を後処理のために加えた。(+/−)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−フルオロピペリジン−1−カルボキシレートを、シリカのカラムクロマトグラフィーによって得た(ヘキサン中30% EtOAc, 40%)。
LCMS (m/z): 253.1[(M-Boc)H+]; LC Rt = 4.08分。
【0157】
エナンチオマーとして純粋な(3R,4R)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−フルオロピペリジン−1−カルボキシレートおよび(3S,4S)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−フルオロピペリジン−1−カルボキシレートを、キラルHPLCによって分離した(分析においては、それぞれRt = 9.4分および12.6分;n−ヘプタン:イソプロパノール=90:10(v:v), Chiralpak AS 250×4.6mm, 1ml/分。分取分離においては、n−ヘプタン:イソプロパノール=90:10(v:v), Chiralpak AS 50×500mm, 90ml/分)。
【0158】
(3R,4R)−4−フルオロピペリジン−3−イルカルバミン酸tert−ブチルの合成
【化66】

濃度0.1Mの、1:1 EtOH/EtOAc中の(3R,4R)−ベンジル 3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(1.0当量)の溶液に、10% パラジウム/炭素(0.1当量)を加えた。得られた不均一な溶液を水素雰囲気下に置き、72時間撹拌した。この時点で、混合物を、EtOAcで溶出するセライトのパッドで濾過した。揮発成分を真空で除去し、(3R,4R)−4−フルオロピペリジン−3−イルカルバミン酸tert−ブチルを得た(93%)。
LCMS (m/z): 219.2 (MH+), LC Rt = 0.45分。
【0159】
5−メチルピリジン−3−イルカルバミン酸tert−ブチルの合成
【化67】

THF中の5−メチルピリジン−3−アミン(1.0当量)の溶液(0.5M)に、室温で、THF中1Mのビス(トリメチルシリルアミド) ナトリウム(2.2当量)を加え、15分間撹拌し、次にTHF中のジ−tert−ブチルジカーボネート(1.05当量)を加えた。反応物を室温で一夜撹拌し、濃縮した。濃縮物を0.2M HCl(60ml)およびEtOAcで処理し、有機層を抽出し、NaHCO(飽和)で、そして塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。濃縮液をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し(40% EtOAc:ヘキサン)、黄色の固体を生成物5−メチルピリジン−3−イルカルバミン酸tert−ブチルとして得た(88%)。
LCMS (m/z): 209.1 (MH+); LC Rt = 1.94分。
1H NMR(CDCl3) δ 8.20(d, 1H), 8.12(s, 1H), 7.86(s, 1H), 6.53(s, 1H), 2.33(s, 3H), 1.53(s, 9H).
【0160】
cis−(+/−)−tert−ブチル 5−メチルピペリジン−3−イルカルバメートの合成
【化68】

氷酢酸(50ml)中の5−メチルピリジン−3−イルカルバミン酸tert−ブチル(3g, 14mmol)の溶液に、5% ロジウム/活性炭(0.5g)および酸化白金(IV)(0.5g)を、水素化用鋼鉄製容器中で加えた。混合物を密封し、200psiで、70℃で48時間水素化した。混合物をセライトで濾過し、濃縮し、cis−(+/−)−tert−ブチル 5−メチルピペリジン−3−イルカルバメートを得た。
LCMS (m/z): 215.1 (MH+)。
【0161】
方法5
実施例31
(3S,5R)−5−メチル−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)−ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミンの合成
【化69】

i−PrOH中の、(3S,5R)−5−メチルピペリジン−3−イルカルバミン酸tert−ブチル(1.5当量)および6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル トリフルオロメタンスルホネート(1.0当量)およびDIEA(2.0当量)の溶液を、マイクロ波中、150℃で加熱した(5×20分)。冷却後、この物質をRP−HPLCによって直接精製した。凍結乾燥後、25% TFA/CHClで処理することによってBoc基を脱保護し、濃縮し、RP−HPLCによって精製し、凍結乾燥し、(3S,5R)−5−メチル−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)−ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミンを得た(51%)。
LC/MS = 402.0 (M+H), LC = 2.16分。
【0162】
下記の表5に示された化合物を、前記の方法5の手順を用いて合成した。
表5
【表10】

【0163】
実施例37
Pim1のATP消費(depletion)アッセイ
ルシフェラーゼ−ルシフェリンをベースとするATP検出試薬を用いて、ペプチド基質へのキナーゼ触媒ホスホリル移動に由来するATP消費を定量して、PIM1の活性を測定する。試験化合物を100% DMSOに溶解し、直接白色384ウェル・プレートに0.5μl/ウェルで入れる。反応を開始させるために、10μlのアッセイ緩衝液(50mM HEPES(pH 7.5)、5mM MgCl、1mM DTT、0.05% BSA)中5nM Pim1キナーゼおよび80μM BADペプチド(RSRHSSYPAGT-OH)を、それぞれのウェルに加える。15分後、10μlのアッセイ緩衝液中40μM ATPを加える。最終アッセイ濃度は、2.5nM PIM1、20μM ATP、40μM BADペプチドおよび2.5% DMSOである。約50%のATPが消費されるまで反応を行い、次いで、20μlのKinaseGlo Plus (Promega Corporation)溶液を添加することによって停止させる。停止させた反応物を10分間インキュベートし、残ったATPをVictor2 (Perkin Elmer)の発光によって検出する。前述の実施例の化合物をPim1のATP消費アッセイによって試験し、実施例41で示したIC50値を示すことが分かった。IC50、すなわち最大の半分を阻害する濃度は、in vitroでその標的の50%阻害に必要な試験化合物の濃度を表す。
【0164】
実施例38
Pim2のATP消費アッセイ
ルシフェラーゼ−ルシフェリンをベースとするATP検出試薬を用いて、ペプチド基質へのキナーゼ触媒ホスホリル移動に由来するATP消費を定量して、PIM2の活性を測定する。試験化合物を100% DMSOに溶解し、直接白色384ウェル・プレートに0.5μl/ウェルで入れる。反応を開始させるために、10μlのアッセイ緩衝液(50mM HEPES(pH 7.5)、5mM MgCl、1mM DTT、0.05% BSA)中10nM Pim2キナーゼおよび20μM BADペプチド(RSRHSSYPAGT-OH)を、それぞれのウェルに加える。15分後、10μlのアッセイ緩衝液中8μM ATPを加える。最終アッセイ濃度は、5nM PIM2、4μM ATP、10μM BADペプチドおよび2.5% DMSOである。約50%のATPが消費されるまで反応を行い、次いで、20μlのKinaseGlo Plus (Promega Corporation)溶液を添加することによって停止させる。停止させた反応物を10分間インキュベートし、残ったATPをVictor2 (Perkin Elmer)の発光によって検出する。前述の実施例の化合物をPim2のATP消費アッセイによって試験し、実施例41で示したIC50値を示すことが分かった。
【0165】
実施例39
Pim3のATP消費アッセイ
ルシフェラーゼ−ルシフェリンをベースとするATP検出試薬を用いて、ペプチド基質へのキナーゼ触媒ホスホリル移動に由来するATP消費を定量して、PIM3の活性を測定する。試験化合物を100% DMSOに溶解し、直接白色384ウェル・プレートに0.5μl/ウェルで入れる。反応を開始させるために、10μlのアッセイ緩衝液(50mM HEPES(pH 7.5)、5mM MgCl、1mM DTT、0.05% BSA)中10nM Pim3キナーゼおよび200μM BADペプチド(RSRHSSYPAGT-OH)を、それぞれのウェルに加える。15分後、10μlのアッセイ緩衝液中80μM ATPを加える。最終アッセイ濃度は、5nM PIM3、40μM ATP、100μM BADペプチドおよび2.5% DMSOである。約50%のATPが消費されるまで反応を行い、次いで、20μlのKinaseGlo Plus (Promega Corporation)溶液を添加することによって停止させる。停止させた反応物を10分間インキュベートし、残ったATPをVictor2 (Perkin Elmer)の発光によって検出する。前述の実施例の化合物をPim3のATP消費アッセイによって試験し、実施例41で示したIC50値を示すことが分かった。
【0166】
実施例40
細胞増殖アッセイ
KMS11(ヒト骨髄腫細胞株)を、10% FBS、ピルビン酸ナトリウムおよび抗生物質を加えたIMDM中で培養した。同じ培地中で、2000細胞/ウェルの密度で、アッセイの日に、96ウェル組織培養プレートに、細胞を、外側のウェルは空けて、播種した。MM1.s(ヒト骨髄腫細胞株)を、10% FBS、ピルビン酸ナトリウムおよび抗生物質を加えたRPMI1640中で培養した。同じ培地中で、5000細胞/ウェルの密度で、アッセイの日に、96ウェル組織培養プレートに、細胞を、外側のウェルは空けて、播種した。
【0167】
DMSO中に加えられた試験化合物を、DMSOで望ましい最終濃度の500倍に希釈した後、培養培地で最終濃度の2倍に希釈した。等体積の2×化合物を96ウェルプレート中の細胞に加え、37℃で3日間インキュベートした。
【0168】
3日後、プレートを室温に平衡化し、等体積のCellTiter-Glow試薬(Promega)を培養ウェルに加えた。該プレートを短時間撹拌し、発光シグナルをルミノメーターで測定した。DMSOのみで処理した細胞で見られるシグナル対コントロール化合物で処理した細胞で見られるシグナルの%阻害を計算し、実施例41で示した試験化合物についてのEC50値(すなわち細胞における最大効果の50%を得るのに必要な試験化合物の濃度)を決定するために用いた。
【0169】
実施例41
本発明の化合物のIC50およびEC50活性
実施例37(Pim1のATP消費アッセイ)、実施例38(Pim2のATP消費アッセイ)および実施例39(Pim3のATP消費アッセイ)の手順を用いて、前記の実施例の化合物のIC50濃度を表6に示した通りに決定した。
実施例40(細胞増殖アッセイ)の手順を用いて、前記の実施例の化合物のEC50濃度をKMS11細胞において表6に示した通りに決定した。
【0170】
表6
【表11】

【0171】
【表12】

【0172】
【表13】

【0173】
【表14】

【0174】
【表15】

【0175】
実例となる態様を例示し、記載しているが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、その中で種々の変更を行い得ると認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
、X、X、X、XおよびXはCRおよびNから独立して選択され、ただし、少なくとも1個の、しかし3個以下のX、X、X、X、XおよびXがNであり;
Yは、アミノ、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、部分的に不飽和のシクロアルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、該基の各メンバーは、4個までの置換基で置換されており;
、ZおよびZは、CR12およびNから独立して選択され、ただし、2個以下のZ、ZおよびZがNであってもよく;
は、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択され;
およびR12は、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択される。]
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩。
【請求項2】
2個以下のX、XおよびXがNであり、2個以下のX、XおよびXが窒素である、請求項1に記載された化合物。
【請求項3】
およびXがNであって、X、X、XおよびXがCRであるか;あるいは、XがNであって、X、X2、、XおよびXがCRである、請求項2に記載された化合物。
【請求項4】
Yが、ピペリジニル、ピペラジニル、シクロヘキシル、ピリジル、ピリミジルおよびピラジニルからなる群から選択され、該基の各メンバーは、4個までの置換基で置換されている、請求項3に記載された化合物。
【請求項5】
がNまたはCR12であって、ZおよびZがCR12であるか;あるいはZおよびZがNまたはCR12であってZがCR12である、請求項4に記載された化合物。
【請求項6】
がCR12である、請求項5に記載された化合物。
【請求項7】
Yが、置換ピペリジニル、置換シクロヘキシル、置換シクロヘキセニル、または、置換ピペラジニルである、請求項6に記載された化合物。
【請求項8】
Yが置換ピペリジニルまたはシクロヘキシルである、請求項7に記載された化合物。
【請求項9】
12が、アミノ、水素またはハロから選択される、請求項8に記載された化合物。
【請求項10】
次に示すものからなる群から選択される、請求項1または9に記載された化合物:
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−フルオロ−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−3−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−フルオロ−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド、
4−(6−(3−アミノ−6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)−6−メチルピリジン−2−アミン、
3−(5−アミノ−6−(4−(2−アミノ−6−メチルピリジン−4−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−3−アミン、
(S)−4−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−2−(2−フルオロフェニル)ピリミジン−5−アミン、
(R)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(R)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2−フルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−フェニルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(チオフェン−2−イル)ピリジン−3−アミン、
(S)−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6'−メトキシ−2,2'−ビピリジン−5−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−N−シクロヘキシル−4−フルオロベンズアミド、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N,N−ジメチルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−フェニルピリジン−3−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(3−(メチルスルホニル)フェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−4−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(4−(メチルスルホニル)フェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(4−(チアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(4−(2−フルオロフェニル)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(4−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(3S,5R)−5−メチル−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(3R,4R)−1−(6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)−4−フルオロピペリジン−3−アミン、
(3R,4R)−4−フルオロ−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(3S,5R)−1−(6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)−5−メチルピペリジン−3−アミン、
(3R,4R)−3−アミノ−1−(6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−4−オール、および
(3R,4R)−3−アミノ−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−4−オール。
【請求項11】
式II:
【化2】

[式中、
Yは、置換または非置換アミノ、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ピペリジニルおよびピペラジニルからなる群から選択され;
は、非置換および置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、水素およびハロからなる群から選択され;
は、水素、ハロ、CN、NH、NHR、C1−4アルキルおよびC3−4シクロアルキルから選択され;
それぞれのRおよびR12は、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、カルボキシ、および、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。]
を有する、請求項1に記載された化合物、またはその立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩。
【請求項12】
式III:
【化3】

[式中、
Yは、置換または非置換アミノ、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ピペリジニルおよびピペラジニルからなる群から選択され;
は、非置換および置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、水素およびハロからなる群から選択され;
およびR12は、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択される。]
を有する、請求項1に記載された化合物、またはその立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩。
【請求項13】
式IV:
【化4】

[式中、
Yは、置換または非置換アミノ、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ピペリジニルおよびピペラジニルからなる群から選択され;
は、非置換および置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、水素およびハロからなる群から選択され;
は、水素、ハロ、CN、NH、NHR、C1−4アルキルおよびC3−4シクロアルキルから選択され;
およびR12は、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から独立して選択され;
は、水素、カルボキシ、および、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。]
を有する請求項1に記載された化合物、またはその立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩。
【請求項14】
Yが、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、該基が、メチル、エチル、ヒドロキシル、アミノ、メトキシ、エトキシおよびハロから選択される3個までの置換基で置換されており;
が、水素、および、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
およびR12が、それぞれの場合で独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、SOH、および、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、部分的に飽和のシクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アシル、アシルアミノおよびアシルオキシおよび部分的に飽和のシクロアルキルからなる群から選択され;
が、水素、C1−6アルキル、ハロおよびアミノからなる群から選択される、
請求項11、12および13の何れか1項に記載された化合物。
【請求項15】
次に示すものからなる群から選択される、請求項1または14に記載された化合物:
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−フルオロ−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−3−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−フルオロ−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド、
4−(6−(3−アミノ−6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)−6−メチルピリジン−2−アミン、
3−(5−アミノ−6−(4−(2−アミノ−6−メチルピリジン−4−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−3−アミン、
(S)−4−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−2−(2−フルオロフェニル)ピリミジン−5−アミン、
(R)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(R)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−イソプロピルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2−フルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N−フェニルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(チオフェン−2−イル)ピリジン−3−アミン、
(S)−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6'−メトキシ−2,2'−ビピリジン−5−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−N−シクロヘキシル−4−フルオロベンズアミド、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−N,N−ジメチルベンズアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−フェニルピリジン−3−アミン、
(S)−3−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(3−(メチルスルホニル)フェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−4−(5−アミノ−6−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド、
(S)−2−(4−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル)−6−(4−(メチルスルホニル)フェニル)ピリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)−1,7−ナフチリジン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(4−(2−フルオロフェニル)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(S)−1−(6−(4−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリミジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(3S,5R)−5−メチル−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(3R,4R)−1−(6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)−4−フルオロピペリジン−3−アミン、
(3R,4R)−4−フルオロ−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−3−アミン、
(3S,5R)−1−(6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)−5−メチルピペリジン−3−アミン、
(3R,4R)−3−アミノ−1−(6−(6−(2,6−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−4−オール、および
(3R,4R)−3−アミノ−1−(6−(6−(チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル)キノリン−4−イル)ピペリジン−4−オール。
【請求項16】
請求項1に記載された化合物および少なくとも1種のさらなる癌処置剤を含む医薬組成物。
【請求項17】
請求項11、12、13、14または15に記載された化合物、および、少なくとも1種のさらなる癌処置剤を含む医薬組成物。
【請求項18】
細胞においてPIMキナーゼ活性を阻害する方法であって、該細胞を、有効量の請求項1に記載された化合物と接触させることを含む方法。
【請求項19】
細胞においてPIMキナーゼ活性を阻害する方法であって、該細胞を、有効量の請求項11、12、13、14または15の化合物と接触させることを含む方法。
【請求項20】
モロニーのプロウイルス組み込みキナーゼ(PIMキナーゼ)活性の調節によって状態を処置する方法であって、処置を必要とする患者に、有効量の請求項1に記載された化合物を投与することを含む方法。
【請求項21】
モロニーのプロウイルス組み込みキナーゼ(PIMキナーゼ)活性の調節によって状態を処置する方法であって、処置を必要とする患者に、有効量の請求項11、12、13、14または15に記載された化合物を投与することを含む方法。
【請求項22】
患者においてPIMキナーゼ活性を阻害する方法であって、患者に、薬理学的に有効な量の請求項1に記載された化合物を含む組成物を投与することを含む方法。
【請求項23】
患者においてPIMキナーゼ活性を阻害する方法であって、患者に、薬理学的に有効な量の請求項11、12、13、14または15に記載された化合物を含む組成物を投与することを含む方法。
【請求項24】
有効量の請求項1に記載された化合物を含む医薬組成物。
【請求項25】
有効量の請求項11、12、13、14または15に記載された化合物を含む医薬組成物。
【請求項26】
治療剤として使用するための、請求項1に記載された化合物。
【請求項27】
治療剤として使用するための、請求項11、12、13、14または15に記載された化合物。

【公表番号】特表2012−501312(P2012−501312A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524403(P2011−524403)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061182
【国際公開番号】WO2010/026121
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】