説明

二環式複素環、これらの化合物を含む医薬組成物、それらの使用及びそれらの製造方法

本発明は、一般式(I)の二環式複素環(式中Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びXは、請求項1に示した定義を有する)、その互変異性体、立体異性体、混合物及びそれらの塩、特に、価値ある医薬特性、特にチロシンキナーゼにより介在される情報伝達に阻害作用を有する無機又は有機酸を含有する生理学的に許容され得るそれらの塩、疾患、具体的には癌疾患及び良性前立腺過形成(BPH)、肺及び気道の疾患を治療するためのそれらの使用、及びそれらの製造方法に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、以下の一般式の二環式複素環
【化1】

その互変異性体、立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩、具体的には、無機又は有機酸の生理学的に許容され得るそれらの塩であって、価値ある薬理学的特性、具体的にはチロシンキナーゼにより介在される情報伝達に阻害作用を有するもの、疾患、具体的には腫瘍性疾患及び良性前立腺過形成(BPH)、肺及び気道の疾患を治療するためのそれらの使用、及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
上記一般式Iにおいて、
Raは、水素原子又はC1-4-アルキル基を示し、
Rbは、フェニル基、ベンジル基又は1-フェニルエチル基を示し、各場合において、フェニル核はR1〜R3基により置換されており、
(R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、各場合において、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、
C1-4-アルキル基、ヒドロキシ基、C1-4-アルコキシ基、C2-3-アルケニル基又はC2-3-アルキニル基、
アリール基、アリールオキシ基、アリールメチル基又はアリールメトキシ基、
ヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールメチル基又はヘテロアリールメトキシ基、
1〜3のフッ素原子により置換されているメチル基又はメトキシ基又は
シアノ基、ニトロ基又はアミノ基を示し、また
R3は、水素原子、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子、
メチル基又はトリフルオロメチル基を示す)、
Rcは、水素原子又はフッ素原子、塩素原子又は臭素原子、
ヒドロキシ基又はC1-4-アルキルオキシ基、
1〜3のフッ素原子により置換されているメトキシ基、
1〜5のフッ素原子により置換されているエチルオキシ基、
R4基により置換されているC2-4-アルキルオキシ基、
(R4は、ヒドロキシ基、C1-3-アルキルオキシ基、C3-6-シクロアルキルオキシ基、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキルオキシ基、アミノ基、C1-3-アルキルアミノ基、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ基、ビス-(2-C1-3-アルキルオキシ-エチル)-アミノ基、ビス-(3-C1-3-アルキルオキシ-プロピル)-アミノ基、ピロリジン-1-イル基、ピペリジン-1-イル基、ホモピペリジン-1-イル基、モルホリン-4-イル基、ホモモルホリン-4-イル基、ピペラジン-1-イル基、4-(C1-3-アルキル)-ピペラジン-1-イル基、ホモピペラジン-1-イル基又は4-(C1-3-アルキル)-ホモピペラジン-1-イル基を示す)、
C3-7-シクロアルキルオキシ基又はC3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキルオキシ基、
テトラヒドロフラン-3-イルオキシ基、テトラヒドロピラン-3-イルオキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イルオキシ基、
テトラヒドロフラニル-C1-4-アルキルオキシ基又はテトラヒドロピラニル-C1-4-アルキルオキシ基、
ピロリジン-3-イルオキシ基、ピペリジン-3-イルオキシ基又はピペリジン-4-イルオキシ基、
1-(C1-3-アルキル)-ピロリジン-3-イルオキシ基、1-(C1-3-アルキル)-ピペリジン-3-イルオキシ基又は1-(C1-3-アルキル)-ピペリジン-4-イルオキシ基、
C1-4-アルコキシ基であって、R5基により1位において置換されているピロリジニル基、ピペリジニル基又はホモピペリジニル基により置換されているもの、
(R5は、水素原子又はC1-3-アルキル基を示す)
又は、C1-4-アルコキシ基であって、R5基により4位において置換されているモルホリニル基又はホモモルホリニル基により置換されているもの(R5は上記定義の通りである)を示し、
Re及びRdは、同一でも異なっていてもよく、各場合において、水素原子又はC1-3-アルキル基を示し、また、
Xは、シアノ基又は窒素原子により置換されているメチン基を示し、
上記基の定義において述べたアリール基は、各場合において、R6により一置換又は二置換されているフェニル基を意味し、その置換基は同一でも異なっていてもよく、
(R6は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子又はC1-3-アルキル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルキルオキシ基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又はシアノ基を示す)、また、
上記定義において述べたヘテロアリール基は、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基又はピラジニル基を意味し、各場合において、上記ヘテロアリール基は、R6基により一置換又は二置換されており、その置換基は同一でも異なっていてもよく、またR6は上記定義の通りであり、また、
特に規定しない限り、上記アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であってもよい。
【0003】
上記一般式Iの好ましい化合物は、
式中、Raが水素原子を示し、
Rbが、R1〜R3基により置換されているフェニル基を示し、
{R1が、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、
メチル基、トリフルオロメチル基又はエチニル基、
フェニルオキシ基又はフェニルメトキシ基(上記基のフェニル成分は、所望により、フッ素原子又は塩素原子により置換されている)又は
ピリジニルオキシ基又はピリジニルメトキシ基(上記基のピリジニル成分は、所望により、メチル基又はトリフルオロメチル基により置換されている)を示し、
R2が、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示し、また
R3が、水素原子を示す}
【0004】
Rcが、水素原子、
C1-3-アルキルオキシ基、
C4-6-シクロアルキルオキシ基又はC3-6-シクロアルキル-C1-2-アルキルオキシ基、
テトラヒドロフラン-3-イルオキシ基、テトラヒドロピラン-3-イルオキシ基、テトラヒドロピラン-4-イルオキシ基、テトラヒドロフラニル-C1-2-アルキルオキシ基又はテトラヒドロピラニル-C1-2-アルキルオキシ基、
R4基により2位において置換されているエチルオキシ基、
(R4は、ヒドロキシ基、C1-3-アルキルオキシ基、アミノ基、C1-3-アルキルアミノ基、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ基、ビス(2-メトキシエチル)-アミノ基、ピロリジン-1-イル基、ピペリジン-1-イル基、ホモピペリジン-1-イル基、モルホリン-4-イル基、ホモモルホリン-4-イル基、ピペラジン-1-イル基、4-(C1-3-アルキル)-ピペラジン-1-イル基、ホモピペラジン-1-イル基又は4-(C1-3-アルキル)-ホモピペラジン-1-イル基を示す)、
【0005】
R4基により3位において置換されているプロピルオキシ基(R4は、上記定義の通りである)又は、
R4基により4位において置換されているブチルオキシ基(R4は、上記定義の通りである)を示し、
Re 及びRdが、同一でも異なっていてもよく、各場合において、水素原子又はメチル基を示し、また、
Xが、窒素原子を示す化合物、
(特に規定しない限り、上記アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であってもよい)、
その互変異性体、それらの立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩である。
【0006】
上記一般式Iの特に好ましい化合物は、
式中、Raが水素原子を示し、
Rbが、3-エチニルフェニル基、3-ブロモフェニル基、3,4-ジフルオロフェニル基又は3-クロロ-4-フルオロ-フェニル基を示し、
Rcが、水素原子、
メトキシ基、エチルオキシ基、2-(メトキシ)エチルオキシ基、3-(モルホリン-4-イル)プロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロプロピルメトキシ基、シクロペンチルメトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ基、テトラヒドロピラン-3-イルオキシ基、テトラヒドロピラン-4-イルオキシ基、テトラヒドロフラン-2-イルメトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イルメトキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イルメトキシ基を示し、
Re及びRdが、各場合において、水素原子を示し、また
Xが、窒素原子を示す化合物、
その互変異性体、それらの立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩である。
【0007】
最も好ましい一般式Iの化合物は、
式中、Raが、水素原子を示し、
Rbが、3-クロロ-4-フルオロ-フェニル基を示し、
Rcが、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ基を示し、
Re及びRdが、各場合において、水素原子を示し、また
Xが、窒素原子を示す化合物、
その互変異性体、それらの立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩である。
【0008】
以下の一般式Iの特に好ましい化合物を、一例として挙げる:
4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン
及びそれらの塩。
【0009】
一般式Iの化合物は、例えば、以下の方法により製造してもよい:
a) 以下の一般式の化合物







【0010】
【化2】

【0011】
(式中、Ra、Rb、Rc及びXは上記定義の通りであり、R7及びR8は同一でも異なっていてもよく、C1-4-アルキル基を示す)を、以下の一般式の化合物
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、Rd及びReは上記の通りである)
と反応させる。
【0014】
その反応は、溶媒又は溶媒の混合物、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン/水、アセトニトリル、アセトニトリル/水、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、イソプロパノール、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド又はスルホラン中、所望により、無機又は有機塩基、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデカ-7-エンの存在下、及び所望により、リチウム塩、例えば塩化リチウムの存在下、-50〜150℃の温度で、好ましくは-20〜80℃の温度で、都合よく行われる。また、反応は、一般式IIIの化合物の反応誘導体、例えばヒドレート又はヘミアセタールと行われてもよい。
【0015】
b) 以下の一般式の化合物
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、Ra、Rb、Rc及びXは、上記定義の通りであり、Z1は、脱離基、例えばハロゲン原子又は置換スルホニルオキシ基、例えば塩素原子又は臭素原子、メタンスルホニルオキシ基又はp-トルエンスルホニルオキシ基を示す)を、以下の一般式の化合物
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、Rd及びReは、上記定義の通りである)
と反応させる。
【0020】
その反応は、溶媒、例えば、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、スルホラン、トルエン又は塩化メチレン又はそれらの混合物中、所望により、無機又は有機塩基、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン又はN-エチル-ジイソプロピルアミンの存在下、及び所望により、反応促進剤、例えば、アルカリ金属ヨウ化物の存在下、-20〜150℃の温度で、好ましくは0〜100℃の温度で、都合よく行われる。しかし、その反応は、溶媒なしに、又は過剰量の、使用される一般式Vの化合物中において行われてもよい。
【0021】
上記反応において、存在するいずれかの反応基、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基又はイミノ基は、反応の間、反応後に再び切断される慣用の保護基により保護されてもよい。
例えば、ヒドロキシ基用の保護基は、トリメチルシリル基、アセチル基、トリチル基、ベンジル基又はテトラヒドロピラニル基であってもよい。
アミノ基、アルキルアミノ基又はイミノ基用の保護基は、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、エトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンジル基、メトキベンジル基又は2,4-ジメトキシベンジル基であってもよい。
【0022】
使用されるいずれかの保護基は、所望により、その後、例えば、水性溶媒、例えば、水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水又はジオキサン/水中、酸、例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸又は硫酸の存在下又はアルカリ金属塩基、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの存在下、又は非プロトン的に、例えば、ヨードトリメチルシランの存在下において、温度0〜120℃、好ましくは10〜100℃で、切断される。
しかし、ベンジル基、メトキシベンジル基又はベンジルオキシカルボニル基は、例えば、水素分解により、例えば、触媒、例えば、パラジウム/活性炭の存在下の水素と、好適な溶媒、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル又は氷酢酸中、所望により、酸、例えば塩酸を添加して、温度0〜100℃、好ましくは20〜60℃で、水素圧1〜7バール、好ましくは3〜5バールで切断してもよい。しかし、2,4-ジメトキシベンジル基は、アニソールの存在下、トリフルオロ酢酸において好ましく切断される。
【0023】
tert.ブチル又はtert.ブチルオキシカルボニル基は、酸、例えば、トリフルオロ酢酸又は塩酸で処理することにより、又はヨードトリメチルシランで処理することにより、所望により、溶媒、例えば塩化メチレン、ジオキサン、メタノール又はジエチルエーテルを使用して、好ましく切断される。
好ましくは、トリフルオロアセチル基は、酸、例えば塩酸で、所望により溶媒、例えば酢酸の存在下、50〜120℃の温度で処理することにより、又は水酸化ナトリウム溶液で、所望により、溶媒、例えばテトラヒドロフランの存在下、0〜50℃の温度で処理することにより切断される。
【0024】
さらに、得られる一般式Iの化合物は、上記のように、それらのエナンチオマー及び/又はジアステレオマーに分割されてもよい。従って、例えば、シス/トランス混合物は、それらのシス及びトランス異性体に分割されてもよく、少なくとも一つの光学活性炭素原子を有する化合物は、それらのエナンチオマーに分離されてもよい。
従って、例えば、シス/トランス混合物は、それらのシス及びトランス異性体にクロマトグラフィーにより分割されてもよく、ラセミ体として生じる、得られる一般式Iの化合物は、それ自体公知の方法により(Allinger N. L.及びEliel E. L.の"Topics in Stereochemistry"、第6版、Wiley Interscience、1971年を参照されたい)、それらの光学鏡像体に分離されてもよく、少なくとも2つの不斉炭素原子を有する一般式Iの化合物は、それ自体公知の方法、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶を使用して、それらの物理化学的差異をベースとしてそれらのジアステレオマーに分割されてもよく、また、もし、これらの化合物がラセミ体において得られるならば、それらは、上記のようなエナンチオマーにその後分割されてもよい。
【0025】
エナンチオマーは、キラル相におけるカラム分離により又は光学活性溶媒からの再結晶により、或いは、ラセミ化合物との誘導体、特に酸及び活性化誘導体又はアルコールとの誘導体又は塩を形成する光学活性物質と反応させ、次いで得られた誘導体又は塩のジアステレオマー混合物を、例えばその溶解性の差を基に分離することにより分離するのが好ましい。この場合、適当な試薬の作用により純粋なジアステレオマー誘導体又は塩から遊離の対掌体を放出し得る。一般的な使用における光学活性酸は、例えば、酒石酸又はジベンゾイル酒石酸のD体及びL体、ジ-O-p-トリル酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、カンファースルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸又はキナ酸である。光学活性アルコールは、例えば、(+)又は(-)-メントールであってもよく、また、アミドの光学活性アシル基は、例えば、(+)又は(-)-メンチルオキシカルボニルであってもよい。
【0026】
さらに、得られる一般式Iの化合物は、それらの塩、具体的には医薬用に、生理学的に許容され得る塩に、無機酸又は有機酸で変換されてもよい。本目的に使用してもよい酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸が挙げられる。
既に上記したように、本発明による一般式Iの化合物及びそれらの生理学的に許容され得る塩は、価値ある薬理学的特性、具体的には上皮成長因子レセプター(EGF-R)により介在される情報伝達への阻害作用を有し、同時にこれは、リガンド結合、レセプターニ量化又はチロシンキナーゼそれ自体を阻害することにより達成されてもよい。また、さらに下流に位置する成分への情報伝達を阻害することが可能である。
【0027】
新規化合物の生理学的特性を以下のように検討した:
ヒトEGF-レセプターキナーゼの阻害を、細胞質チロシンキナーゼ領域(ネーチャー309(1984年)、418に公開された配列をベースとした、メチオニン664〜アラニン1186)を使用して測定した。これを行うために、タンパク質を、バキュロウイルス発現系を使用してGST融合タンパク質として、Sf9昆虫細胞に発現させた。
その酵素活性を、段階希釈により試験化合物の存在下又は非存在下において測定した。SIGMAにより製造されたポリマーpEY(4:1)を基質として使用した。ビオチン化pEY (bio-pEY)を、トレーサー基質として加えた。反応溶液各100μlは、50% DMSO中のインヒビター10μl、基質溶液20μl(200mM HEPES pH7.4、50mM 酢酸マグネシウム、2.5mg/ml ポリ(EY)、5μg/ml bio-pEY)及び酵素プレパレーション20μlを含んでいた。酵素反応を、10mM塩化マグネシウム中の100μM ATP溶液 50μlの添加により開始した。酵素プレパレーションの希釈を、bio-pEYへのホスフェートの導入が時間及び酵素量に比例するように調整した。酵素プレパレーションを、20mM HEPES pH7.4、1mM EDTA、130mM 塩化ナトリウム、0.05% トリトンX-100、1mM DTT及び10% グリセロールに希釈した。
【0028】
酵素アッセイを、周囲温度で、30分間行い、停止溶液(20mM HEPES pH 7.4中、250mM EDTA)50μlの添加により終了させた。100μlをストレプトアビジンコートしたマイクロタイタープレートに置き、周囲温度で60分間インキュベートした。その後、プレートを洗浄溶液(50mM トリス、0.05% Tween 20)200μlで洗った。HRPO-標識した抗-PY抗体(Transduction Laboratoriesにより製造されたPY20H 抗-PTyr:HRP 250ng/ml)100μlの添加後、それを60分間インキュベートした。その後、マイクロタイタープレートを、洗浄溶液200μlで三回洗った。その後、サンプルをTMB-ペルオキシダーゼ溶液(A:B = 1:1、Kirkegaard Perry Laboratories)100μlと合わせた。10分後、反応を止めた。吸光度をELISAリーダーを用い、OD450nmで測定した。全てのデータポイントを三度測定した。
そのデータを、S字状曲線用分析プログラムを使用し、繰り返し計算を使用して合わせた(Graph Pad Prism Version 3.0; S字曲線、可変ピッチ)。出された全ての繰り返しデータは、0.9より大きい相関係数を示した。曲線の最大及び最小は、少なくとも因子5の広がり(spread)を示した。IC50(EGF-レセプターキナーゼの50%活性を示す活性物質の濃度)を曲線から決定した。
【0029】
以下の結果が得られた:
【表1】

【0030】
従って、ヒトEGFレセプターの例により示したように、本発明による一般式Iの化合物は、チロシンキナーゼによる情報伝達を阻害し、従って、チロシンキナーゼの機能亢進により生じる病態生理学的プロセスの治療に有用である。それらは、例えば、良性又は悪性腫瘍、特に上皮及び神経上皮起源の腫瘍、血管内皮細胞の転移及び異常増殖(血管新生能)である。
また、本発明による化合物は、気道及び肺の疾患であって、チロシンキナーゼによる刺激により生じる粘液産生の増加又は変化に伴うもの、例えば、気道の炎症性疾患、例えば慢性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎、喘息、気管支拡張症、アレルギー性又は非アレルギー性鼻炎又は副鼻腔炎、嚢胞性線維症、α1-アンチトリプシン欠乏症、又は咳、肺気腫及び気道反応亢進症において、予防及び治療に有用である。
【0031】
また、本化合物は、消化管及び胆管及び胆嚢の疾患であって、チロシンキナーゼの乱れた活性(disrupted activity)に関連するもの、例えば、慢性炎症性変化、例えば胆嚢炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、消化管の潰瘍に見い出されるか、又は、例えば、分泌増加に関連する消化管の疾患、例えばメネトリエ病、アデノーマ分泌及びタンパク質損失症候群に生じるかもしれない疾患の治療に好適である。
さらに、一般式Iの化合物及びそれらの生理学的に許容され得る塩は、チロシンキナーゼの異常な作用により生じる他の疾患、例えば上皮過剰増殖(乾癬)、良性前立腺過形成(BPH)、炎症プロセス、免疫系疾患、造血細胞の過剰増殖、鼻ポリープ等を治療するために使用してもよい。
【0032】
それらの生物学的特性のために、本発明による化合物は、それら単独で又は他の薬理学的活性化合物と共に、例えば腫瘍治療において、単独療法又は他の抗腫瘍治療剤と共に、例えば、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、エトポシド)、有糸分裂インヒビター(例えば(ビンブラスチン)、核酸と相互作用する化合物(例えば、シス-プラチン、シクロホスファミド、アドリアマイシン)、ホルモンアンタゴニスト(例えば、タモキシフェン)、代謝プロセスのインヒビター(例えば、5-FU等)、サイトカイン(例えば、インターフェロン)、抗体等との組み合わせにおいて使用してもよい。気道疾患の治療のために、これらの化合物は、それら単独で、又は他の気道用治療剤、例えば、分泌性(secretolytic)物質(例えば、アンブロキソール、N-アセチルシステイン)、気管支用薬(broncholytic)(例えば、チオトロピウム又はイプラトロピウム又はフェノテロール、サルメテロール、サルブタモール)及び/又は抗炎症活性剤(例えば、テオフィリン又はグルココルチコイド)と共に使用してもよい。消化管領域における疾患の治療のために、これらの化合物は、それら単独で又は運動又は分泌に作用する物質と共に投与してもよい。これらのコンビネーションを、同時に又は連続的に投与してもよい。
【0033】
これらの化合物は、それら単独で又は他の活性物質と共に、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内又は鼻腔内経路により、吸入又は経皮又は経口により投与してもよいが、エアロゾル製剤は、特に吸入に適している。
医薬用として、本発明による化合物は、一般的に、温血脊椎動物、具体的にはヒトに、0.01〜100mg/体重kg、好ましくは0.1〜15mg/kgの量で使用される。投与に関して、それらは、一つ以上の従来の不活性担体及び/又は希釈剤、例えば、コーンスターチ、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は脂肪物質、例えば、固い脂肪又はそれらの好適な混合物又は好適なそれらの混合物と、従来のガレヌス製剤、例えば裸錠又は被覆錠、カプセル、粉末、サスペンジョン、溶液、スプレー又は坐剤において製剤化される。
【0034】
以下の実施例は、本発明を制限することなく、本発明を説明しようとするものである:出発化合物の製造方法:
実施例1
4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[(ジエトキシ-ホスホリル)-アセチルアミノ]-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン
ジエトキシホスホリル酢酸 60.07gをN,N-ジメチルホルムアミド750ml中に置き、周囲温度で、N,N'-カルボニルジイミダゾール48.67gと合わせた。ガスの発生が終了した後、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-アミノ-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン 90.00gを加え、反応混合物を、反応が完了するまで周囲温度で約4〜5時間攪拌した。その後、反応混合物を水浴中、穏やかに加熱し、水750mlを2回加えた。濃厚なサスペンジョンを一晩攪拌し、翌朝、さらに水350mlを加えた。サスペンジョンを氷浴中で冷却し、1時間攪拌し、吸引濾過した。濾過ケークを、再び、N,N-ジメチルホルムアミド/水(1:2)及びジイソプロピルエーテル240mlで洗い、循環エアドライヤーにおいて40℃で乾燥した。
収量: 117.30g(理論値の88%)
Rf値:0.37(シリカゲル、塩化メチレン/メタノール=9:1)
質量スペクトル(ESI+):m/z=553、555[M+H]+
【0035】
以下の化合物は、実施例1と同様に得た:
(1) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[(ジエトキシ-ホスホリル)-アセチルアミノ]-7-[(R)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン
質量スペクトル(ESI+):m/z=553、555[M+H]+
(2) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[(ジエトキシ-ホスホリル)-アセチルアミノ]-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン
融点:185〜187℃
(3) 4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-[(ジエトキシ-ホスホリル)-アセチルアミノ]-キナゾリン
質量スペクトル(ESI-):m/z=491、493[M-H]-
(4) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[(ジエトキシ-ホスホリル)-アセチルアミノ]-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン
Rf値:0.54(シリカゲル、塩化メチレン/エタノール=20:1)
【0036】
実施例II
ホモモルホリン-4-イル-アセトアルデヒド塩酸塩
4-(2,2-ジメトキシ-エチル)-ホモモルホリンを、半濃縮した(semiconcentrated)塩酸と、80℃で攪拌(2.5時間)することにより製造した。得られた溶液を、さらに、実施例1のように直接反応させた。
【0037】
実施例III
4-(2,2-ジメトキシ-エチル)-ホモモルホリン
ホモモルホリン塩酸塩を、ブロモアセトアルデヒド-ジメチルアセタールと、炭酸カリウムの存在下、N-メチルピロリドン中、80℃で攪拌(5時間)することにより製造した。
Rf値:0.2(シリカゲル、酢酸エチル/メタノール/濃アンモニア水=90:10:1)
【0038】
最終化合物の製造:
実施例1
4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン
【0039】
【化6】

【0040】
テトラヒドロフラン20ml中に4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(ジエトキシ-ホスホリル)-アセチルアミノ]-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン3.9gを含む溶液を、水20mlに塩化リチウム300mgを含む溶液に、周囲温度で加えた。その後、水酸化カリウムフレーク2.35gを加え、反応混合物を、氷/アセトン冷却浴中で-3℃まで冷却した。実施例IIで得られたホモモルホリン-4-イル-アセトアルデヒド塩酸塩の溶液を、その後、5分以内に、0℃で滴下して加えた。添加が終了した後、反応混合物をさらに10分間0℃で、及び、さらに1時間周囲温度で攪拌した。進行させるため、酢酸エチル100mlを加え、水相を分離した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。粗生成物を、酢酸エチル/メタノール/濃メタノール性アンモニアを溶離剤として使用して、シリカゲルカラムのクロマトグラフィーにより精製した。得られた生成物を少量のジイソプロピルエーテルと攪拌し、吸引ろ過し、乾燥した。
収量: 2.40g(理論値の63%)
Rf値: 0.09(シリカゲル、酢酸エチル/メタノール/濃アンモニア水=90:10:1)
質量スペクトル(ESI+):m/z=542、544 [M+H]+
【0041】
以下の化合物を、上記実施例及び文献から公知の他の方法により同様に製造してもよい。
【0042】
【化7】





【0043】
【化8】



【0044】
【化9】




【0045】
【化10】





【0046】
【化11】





【0047】
【化12】

【0048】
実施例2
活性物質75mgを含有する被覆錠
1錠のコアは以下のものを含有する:
活性物質 75.0mg
リン酸カルシウム 93.0mg
コーンスターチ 35.5mg
ポリビニルピロリドン 10.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 15.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
230.0mg
【0049】
製造方法:
活性物質を、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び所定量の半分のステアリン酸マグネシウムと混合した。直径13mmのブランクを、錠剤製造機で製造し、その後、これらを好適な機械を使用して1.5mmのメッシュサイズの篩を通してこすり(rub)、残りのステアリン酸マグネシウムと混合した。この顆粒を錠剤製造機において圧縮し、所望の形状の錠剤を形成した。
コアの質量:230mg
ダイ: 9mm、凸型
このように製造した錠剤のコアを、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから本質的になるフィルムで被覆した。完成したフィルムコート錠を、蜜蝋で磨いた。
被覆錠の質量:245mg
【0050】
実施例3
活性物質100mgを含有する錠剤
組成:1錠は以下のものを含有する:
活性物質 100.0mg
ラクトース 80.0mg
コーンスターチ 34.0mg
ポリビニルピロリドン 4.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
220.0mg
【0051】
製造方法:
活性物質、ラクトース及びスターチを一緒に混合し、ポリビニルピロリドンの水溶液で均一に湿らせた。湿った組成物を篩い(2.0mmメッシュサイズ)、ラックタイプドライヤーにおいて50℃で乾燥させた後、それを再び篩い(1.5mmメッシュサイズ)、滑沢剤を加えた。完成した混合物を圧縮し、錠剤を形成した。
錠剤の質量:220mg
直径:10mm、両面にファセットが作られ、片側にノッチのあるバイプレーナー(biplanar)
【0052】
実施例4
活性物質150mgを含有する錠剤
組成:
1錠は以下のものを含有する:
活性物質 150.0mg
粉末ラクトース 89.0mg
コーンスターチ 40.0mg
コロイダルシリカ 10.0mg
ポリビニルピロリドン 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0mg
300.0mg
【0053】
製造方法:
ラクトース、コーンスターチ及びシリカと混合した活性物質を、20%ポリビニルピロリドン水溶液で湿らせ、メッシュサイズ1.5mmの篩を通過させた。45℃で乾燥させた顆粒を、再び同じ篩に通し、所定量のステアリン酸マグネシウムと混合した。錠剤を、混合物から圧縮した。
錠剤の質量:300mg
ダイ: 10mm、フラット
【0054】
実施例5
活性物質150mgを含有する硬ゼラチンカプセル
1カプセルは以下のものを含有する:
活性物質 150.0mg
(乾燥)コーンスターチ 約180.0mg
(粉末)ラクトース 約 87.0mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
約420.0mg
【0055】
製造方法:
活性物質を賦形剤と混合し、メッシュサイズ0.75mmの篩に通し、好適な装置を使用して均一に混合した。完成した混合物を、サイズ1の硬ゼラチンカプセルに詰めた。
カプセルフィリング:約320mg
カプセルシェル:サイズ1硬ゼラチンカプセル
【0056】
実施例6
活性物質150mgを含有する坐剤
1坐剤は以下のものを含有する:
活性物質 150.0mg
ポリエチレングリコール1500 550.0mg
ポリエチレングリコール6000 460.0mg
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 840.0mg
2,000.0mg
【0057】
製造方法:
坐剤のマス(mass)を溶融した後、活性物質をそこに均一に分布させ、その溶融物を冷却した型に注いだ。
【0058】
実施例7
活性物質50mgを含有するサスペンジョン
サスペンジョン100mlは以下のものを含む:
活性物質 1.00g
カルボキシメチルセルロースNa塩 0.10g
p-ヒドロキシ安息香酸メチル 0.05g
p-ヒドロキシ安息香酸プロピル 0.01g
グルコース 10.00g
グリセロール 5.00g
70%ソルビトール溶液 20.00g
香料 0.30g
蒸留水 加えて全量を100mlにする
【0059】
製造方法:
蒸留水を70℃に加熱した。グリセロール及びカルボキシメチルセルロースナトリウム塩と一緒に、p-ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピルを攪拌しながらここに溶解した。その溶液を周囲温度に冷却し、活性物質を加え、ここに攪拌しながら均一に分散させた。糖、ソルビトール溶液及び香料を加え、溶解した後、サスペンジョンを攪拌しながら脱気し、空気を排出した。
サスペンジョン5mlは、活性物質50mgを含有した。
【0060】
実施例8
活性物質10mgを含有するアンプル
組成:
活性物質 10.0mg
0.01N 塩酸 適量
再蒸留水 加えて2.0mlにする
【0061】
製造方法:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶解し、塩化ナトリウムで等張化し、滅菌ろ過し、2mlアンプルに移した。
【0062】
実施例9
活性物質50mgを含有するアンプル
組成:
活性物質 50.0mg
0.01N 塩酸 適量
再蒸留水 加えて10.0mlにする
【0063】
製造方法:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶解し、塩化ナトリウムで等張化し、滅菌ろ過し、10mlアンプルに移した。
【0064】
実施例10
活性物質5mgを含有する吸入パウダー用カプセル
1カプセルは以下のものを含有する:
活性物質 5.0mg
吸入用ラクトース 15.0mg
20.0mg
製造方法:
活性物質を吸入用ラクトースと混合した。混合物をカプセル製造機において、カプセルに詰めた(空のカプセルの質量は約50mg)。
カプセルの質量:70.0mg
カプセルのサイズ 3
【0065】
実施例11
活性物質2.5mgを含有するハンドヘルドネブライザー用吸入溶液
1スプレーは以下のものを含有する:
活性物質 2.500mg
塩化ベンザルコニウム 0.001mg
1N 塩酸 適量
エタノール/水(50/50)加えて15.000mgにする
【0066】
製造方法:
活性物質及び塩化ベンザルコニウムを、エタノール/水(50/50)に溶解した。溶液のpHを、1N 塩酸で調整した。得られた溶液をろ過し、ハンドヘルドネブライザー用の好適な容器(カートリッジ)に移した。
容器の含量:4.5g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式の二環式複素環、その互変異性体、それらの立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩:
【化1】

{式中、
Raは、水素原子又はC1-4-アルキル基を示し、
Rbは、フェニル基、ベンジル基又は1-フェニルエチル基を示し、各場合において、フェニル核はR1〜R3基により置換されており、
(R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、各場合において、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、
C1-4-アルキル基、ヒドロキシ基、C1-4-アルコキシ基、C2-3-アルケニル基又はC2-3-アルキニル基、
アリール基、アリールオキシ基、アリールメチル基又はアリールメトキシ基、
ヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールメチル基又はヘテロアリールメトキシ基、
1〜3のフッ素原子により置換されているメチル基又はメトキシ基又は
シアノ基、ニトロ基又はアミノ基を示し、また
R3は、水素原子、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子、
メチル基又はトリフルオロメチル基を示す)、
Rcは、水素原子又はフッ素原子、塩素原子又は臭素原子、
ヒドロキシ基又はC1-4-アルキルオキシ基、
1〜3のフッ素原子により置換されているメトキシ基、
1〜5のフッ素原子により置換されているエチルオキシ基、
R4基により置換されているC2-4-アルキルオキシ基、
(R4は、ヒドロキシ基、C1-3-アルキルオキシ基、C3-6-シクロアルキルオキシ基、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキルオキシ基、アミノ基、C1-3-アルキルアミノ基、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ基、ビス-(2-C1-3-アルキルオキシ-エチル)-アミノ基、ビス-(3-C1-3-アルキルオキシ-プロピル)-アミノ基、ピロリジン-1-イル基、ピペリジン-1-イル基、ホモピペリジン-1-イル基、モルホリン-4-イル基、ホモモルホリン-4-イル基、ピペラジン-1-イル基、4-(C1-3-アルキル)-ピペラジン-1-イル基、ホモピペラジン-1-イル基又は4-(C1-3-アルキル)-ホモピペラジン-1-イル基を示す)、
C3-7-シクロアルキルオキシ基又はC3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキルオキシ基、
テトラヒドロフラン-3-イルオキシ基、テトラヒドロピラン-3-イルオキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イルオキシ基、
テトラヒドロフラニル-C1-4-アルキルオキシ基又はテトラヒドロピラニル-C1-4-アルキルオキシ基、
ピロリジン-3-イルオキシ基、ピペリジン-3-イルオキシ基又はピペリジン-4-イルオキシ基、
1-(C1-3-アルキル)-ピロリジン-3-イルオキシ基、1-(C1-3-アルキル)-ピペリジン-3-イルオキシ基又は1-(C1-3-アルキル)-ピペリジン-4-イルオキシ基、
C1-4-アルコキシ基であって、R5基により1位において置換されているピロリジニル基、ピペリジニル基又はホモピペリジニル基により置換されているもの、
(R5は、水素原子又はC1-3-アルキル基を示す)
又は、C1-4-アルコキシ基であって、R5基により4位において置換されているモルホリニル基又はホモモルホリニル基により置換されているもの(R5は上記定義の通りである)を示し、
Re及びRdは、同一でも異なっていてもよく、各場合において、水素原子又はC1-3-アルキル基を示し、また、
Xは、シアノ基又は窒素原子により置換されているメチン基を示し、
上記基の定義において述べたアリール基は、各場合において、R6により一置換又は二置換されているフェニル基を意味し、その置換基は同一でも異なっていてもよく、
(R6は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子又はC1-3-アルキル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルキルオキシ基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又はシアノ基を示す)、また、
上記定義において述べたヘテロアリール基は、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基又はピラジニル基を意味し、各場合において、上記ヘテロアリール基は、R6基により一置換又は二置換されており、その置換基は同一でも異なっていてもよく、またR6は上記定義の通りであり、また、
特に規定しない限り、上記アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であってもよい。}
【請求項2】
式中、Raが水素原子を示し、
Rbが、R1〜R3基により置換されているフェニル基を示し、
{R1が、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、
メチル基、トリフルオロメチル基又はエチニル基、
フェニルオキシ基又はフェニルメトキシ基(上記基のフェニル成分は、所望により、フッ素原子又は塩素原子により置換されている)又は
ピリジニルオキシ基又はピリジニルメトキシ基(上記基のピリジニル成分は、所望により、メチル基又はトリフルオロメチル基により置換されている)を示し、
R2が、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示し、また
R3が、水素原子を示す}
Rcが、水素原子、
C1-3-アルキルオキシ基、
C4-6-シクロアルキルオキシ基又はC3-6-シクロアルキル-C1-2-アルキルオキシ基、
テトラヒドロフラン-3-イルオキシ基、テトラヒドロピラン-3-イルオキシ基、テトラヒドロピラン-4-イルオキシ基、テトラヒドロフラニル-C1-2-アルキルオキシ基又はテトラヒドロピラニル-C1-2-アルキルオキシ基、
R4基により2位において置換されているエチルオキシ基、
(R4は、ヒドロキシ基、C1-3-アルキルオキシ基、アミノ基、C1-3-アルキルアミノ基、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ基、ビス(2-メトキシエチル)-アミノ基、ピロリジン-1-イル基、ピペリジン-1-イル基、ホモピペリジン-1-イル基、モルホリン-4-イル基、ホモモルホリン-4-イル基、ピペラジン-1-イル基、4-(C1-3-アルキル)-ピペラジン-1-イル基、ホモピペラジン-1-イル基又は4-(C1-3-アルキル)-ホモピペラジン-1-イル基を示す)、
R4基により3位において置換されているプロピルオキシ基(R4は、上記定義の通りである)又は、
R4基により4位において置換されているブチルオキシ基(R4は、上記定義の通りである)を示し、
Re 及びRdが、同一でも異なっていてもよく、各場合において、水素原子又はメチル基を示し、また、
Xが、窒素原子を示し、
特に規定しない限り、上記アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であってもよい、
請求項1に記載の一般式Iの二環式複素環、その互変異性体、それらの立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩。
【請求項3】
式中、Raが水素原子を示し、
Rbが、3-エチニルフェニル基、3-ブロモフェニル基、3,4-ジフルオロフェニル基又は3-クロロ-4-フルオロ-フェニル基を示し、
Rcが、水素原子、
メトキシ基、エチルオキシ基、2-(メトキシ)エチルオキシ基、3-(モルホリン-4-イル)プロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロプロピルメトキシ基、シクロペンチルメトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ基、テトラヒドロピラン-3-イルオキシ基、テトラヒドロピラン-4-イルオキシ基、テトラヒドロフラン-2-イルメトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イルメトキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イルメトキシ基を示し、
Re及びRdが、各場合において、水素原子を示し、また
Xが、窒素原子を示す、
請求項1に記載の一般式Iの二環式複素環、その互変異性体、それらの立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩。
【請求項4】
式中、Raが、水素原子を示し、
Rbが、3-クロロ-4-フルオロ-フェニル基を示し、
Rcが、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ基を示し、
Re及びRdが、各場合において、水素原子を示し、また
Xが、窒素原子を示す、
請求項1に記載の一般式Iの二環式複素環、その互変異性体、それらの立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩。
【請求項5】
請求項1に記載の一般式Iの以下の化合物:
4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン
及びそれらの塩。
【請求項6】
請求項1〜5の少なくとも1項に記載の化合物の、無機又は有機の酸又は塩基との生理学的に許容され得る塩。
【請求項7】
請求項1〜5の少なくとも1項に記載の化合物又は請求項6に記載の生理学的に許容され得る塩を、所望により一つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項8】
良性又は悪性腫瘍の治療用、気道及び肺の疾患の予防及び治療用、又は消化管又は胆管及び胆嚢の疾患の治療用医薬組成物を製造するための請求項1〜6の少なくとも1項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1〜6の少なくとも1項に記載の化合物を、非化学的方法により一つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤に導入することを特徴とする、請求項7に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜6に記載の一般式Iの化合物の製造方法であって、
a) 以下の一般式の化合物
【化2】

(式中、Ra、Rb、Rc及びXは請求項1〜5に定義の通りであり、R7及びR8は同一でも異なっていてもよく、C1-4-アルキル基を示す)を、以下の一般式の化合物
【化3】

(式中、Rd及びReは請求項1〜5に定義の通りである)
と反応させるか、又は
b) 以下の一般式の化合物
【化4】

(式中、Ra、Rb、Rc及びXは、請求項1〜5に定義の通りであり、Z1は、脱離基を示す)を、以下の一般式の化合物
【化5】

(式中、Rd及びReは、請求項1〜5に定義の通りである)
と反応させ、また、
必要に応じて、上記反応に使用されたいずれかの保護基を再び切断し、及び/又は
所望により、このようにして得られた一般式Iの化合物はそれらの立体異性体に分割され、及び/又は
このようにして得られた一般式Iの化合物は、それらの塩に、特に生理学的に許容され得るそれらの塩に医薬的使用のために変換される、上記製造方法。

【公表番号】特表2006−515005(P2006−515005A)
【公表日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518423(P2005−518423)
【出願日】平成16年2月14日(2004.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001398
【国際公開番号】WO2004/074263
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】