説明

二酸化チタン顔料とその製造方法

【課題】活性が抑制されていると共に、揮発水分量も少ない二酸化チタン顔料とその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、マグネシウム、カルシウム、バリウム及びストロンチウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属の化合物と二酸化チタン粒子を60℃以上の温度に加熱し、上記アルカリ土類金属元素を二酸化チタンと複合化させて、上記アルカリ土類金属元素を酸化物換算にて0.1〜20重量%の範囲の量で二酸化チタン粒子の表面に有せしめてなる二酸化チタン顔料が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化チタン顔料に関し、詳しくは、アルカリ土類金属を二酸化チタンに複合化させてなる複合化物を二酸化チタン粒子の表面に有せしめて、その光触媒活性を抑制すると共に、揮発水分量を低減した二酸化チタン顔料に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化チタン粒子は白色顔料や紫外線遮蔽剤等として知られており、塗料製品やプラスチックス製品の着色剤等に広く用いられている。しかし、二酸化チタン粒子は光触媒活性を有しており、それ故に二酸化チタン粒子を配合した塗料組成物や樹脂組成物は、時間の経過と共に光沢劣化、白亜化、変褪色等を起こす。また、二酸化チタン粒子は、その揮発水分によって樹脂を加水分解する。
【0003】
そこで、従来から、二酸化チタン粒子の表面にケイ素、アルミニウム、ジルコニウム等の水和酸化物にて表面処理して、二酸化チタン粒子の光触媒活性を抑制して、樹脂の酸化分解を防止することが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかし、このように、二酸化チタン粒子を表面処理して、その光触媒活性を抑制するには、表面処理量を多くする必要があり、そして、そのように表面処理量を多くするときは、表面処理した二酸化チタン粒子からの揮発水分量が多くなり、これによって樹脂の加水分解が促進されるという問題が生じる。従って、この揮発水分を抑制するには、二酸化チタン粒子の表面処理量を低減する必要があるが、このように、表面処理量を減らすときは、二酸化チタン粒子の光触媒活性を十分に抑制することができない。
【0004】
このように、従来、二酸化チタン粒子の表面処理によっては、二酸化チタン粒子の光触媒活性の抑制と揮発水分の抑制とを同時に可能とする技術は知られていない。
【特許文献1】特開平7−292276号公報
【特許文献2】特開平7−292277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、二酸化チタンの有する光触媒活性に関連する上述した問題を解決するためになされたものであって、光触媒活性を抑制すると共に、揮発水分量をも低減した二酸化チタン顔料とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、マグネシウム、カルシウム、バリウム及びストロンチウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属の化合物と二酸化チタン粒子を60℃以上の温度に加熱し、上記アルカリ土類金属元素を二酸化チタンと複合化させてなる複合化物を上記アルカリ土類金属酸化物換算にて0.1〜20重量%の範囲の量で二酸化チタン粒子の表面に有せしめてなる二酸化チタン顔料が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、マグネシウム、カルシウム、バリウム及びストロンチウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属の化合物と二酸化チタン粒子を60℃以上の温度に加熱し、上記アルカリ土類金属元素を二酸化チタンと複合化させて、上記アルカリ土類金属元素を酸化物換算にて0.1〜20重量%の範囲の量で二酸化チタン粒子の表面に有せしめる二酸化チタン顔料の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の二酸化チタン顔料は、二酸化チタン粒子の光触媒活性が抑制されていると共に、揮発水分量も低減されているので、高い耐候性及び耐光性が要求される塗料組成物や樹脂組成物に顔料として好適に用いることができる。即ち、本発明による二酸化チタン顔料を含む塗料組成物や樹脂組成物は、従来の二酸化チタン顔料を含む塗料組成物や樹脂組成物と相違して、耐候性及び耐光性にすぐれており、更に、加水分解に対する抵抗性にもすぐれている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明による二酸化チタン顔料は、マグネシウム、カルシウム、バリウム及びストロンチウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属の化合物と二酸化チタン粒子を60℃以上の温度に加熱し、上記アルカリ土類金属元素を二酸化チタンと複合化させてなる複合化物を上記アルカリ土類金属酸化物換算にて0.1〜20重量%の範囲の量で二酸化チタン粒子の表面に有せしめてなるものである。
【0010】
このような二酸化チタン顔料は、本発明に従って、マグネシウム、カルシウム、バリウム及びストロンチウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属の化合物と二酸化チタン粒子を60℃以上の温度に加熱し、上記アルカリ土類金属元素を二酸化チタンと複合化させてなる複合化物を上記アルカリ土類金属酸化物換算にて0.1〜20重量%の範囲の量で二酸化チタン粒子の表面に有せしめることによって得ることができる。
【0011】
本発明による二酸化チタン顔料の製造方法において、出発物質として用いる二酸化チタン粒子は、その製法、形状、結晶型及び粒子径において特に限定されない。例えば、出発物質として用いる二酸化チタン粒子の製法については、硫酸法でもよく、塩素法でもよい。二酸化チタンの製造原料についても特に限定されず、メタチタン酸でもよく、四塩化チタンでもよい。また、出発物質として用いる二酸化チタン粒子の形状は、球状でも、針状でもよく、更に、結晶型は、ルチル型でもよく、アナターゼ型でもよい。粒度も、用途や要求特性に応じて適宜に選択される。例えば、一般的に、塗料、樹脂等に用いられる二酸化チタン粒子は、電子顕微鏡、比表面積、X線回折法等の任意の方法で測定された一次粒子径が0.1〜0.5μmである。また、紫外線遮蔽用の可視光応答性超微粒子の場合は、一般的に0.01〜0.1μmである。本発明による二酸化チタン顔料を塗料や樹脂等に配合する場合には、出発物質として用いる二酸化チタン粒子の平均一次粒子径は、通常、0.1〜0.5μmの範囲にあることが好ましい。
【0012】
更に、本発明において、出発物質として用いる二酸化チタン粒子の一次粒子は、特に限定しないが、用途や要求特性に応じて、アルカリ金属やアルカリ土類金属、アルミニウム、ケイ素、リン、硫黄、亜鉛、スズ、アンチモン、種々の遷移金属、例えば、ジルコニウム、マンガン等、更には、種々の希土類元素、例えば、イットリウム、ランタン等のようなチタン以外の元素を、例えば、化合物や固溶体の形態で含有していてもよい。
【0013】
本発明によれば、マグネシウム、カルシウム、バリウム及びストロンチウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属化合物と二酸化チタン粒子を加熱して、アルカリ土類金属元素を二酸化チタンと複合化し、この複合化物を二酸化チタン粒子の表面に有せしめて、本発明による二酸化チタン顔料を得るが、ここに、上記アルカリ土類金属の化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化物は好ましく用いられるアルカリ土類金属の化合物の一例である。また、塩化物や硝酸塩等の水溶性塩類も好ましく用いられるアルカリ土類金属の化合物の一例である。このような水溶性塩類をアルカリ土類金属化合物として用いるときは、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物や水酸化マグネシウムのようなアルカリ土類金属水酸化物と併用することが好ましい。アルカリ土類金属の水溶性塩類をアルカリ金属水酸化物やアルカリ土類金属水酸化物と併用して、反応条件をアルカリ性とすることによって、アルカリ土類金属と二酸化チタンの複合化を促進することができ、従って、例えば、反応温度を低くし、又は反応時間を短縮することができる。
【0014】
更に、本発明によれば、このようなアルカリ土類金属化合物と二酸化チタン粒子を60℃以上の温度に加熱して、アルカリ土類金属元素を二酸化チタン粒子の表面において、アルカリ土類金属を二酸化チタンと複合化させ、生成した複合化物を二酸化チタン粒子の表面に所定の範囲で存在させて、本発明による二酸化チタン顔料を得るが、ここに、アルカリ土類金属化合物と二酸化チタン粒子を加熱する態様として、固相法、即ち、アルカリ土類金属の化合物と二酸化チタン粒子の乾式混合物を加熱する方法によってもよく、また、アルカリ土類金属化合物と二酸化チタン粒子を適宜の溶媒中にて加熱する湿式法によってもよい。
【0015】
上記湿式法として、アルカリ土類金属化合物と二酸化チタン粒子を適宜の溶媒中、例えば、常圧下、水中にて100℃又はそれよりも低い温度で加熱してもよく、また、加圧下、水の存在下に100℃を超える温度にて加熱する水熱処理を行なってもよい。常圧下での加熱及び水熱処理のいずれにおいても、溶媒としては、通常、水が好ましいが、しかし、アルコールやその他の水溶性有機化合物の水溶液を溶媒として用いてもよい。
【0016】
アルカリ土類金属化合物と二酸化チタン粒子を加熱する温度は、60℃以上である。加熱温度が60℃よりも低いときは、二酸化チタン粒子の表面において、アルカリ土類金属元素を十分な量にて二酸化チタンと複合化させることができず、目的とする光触媒活性が抑制されている二酸化チタン顔料を得ることができない。アルカリ土類金属化合物と二酸化チタン粒子を加熱する温度の上限は特に限定されるものではないが、固相法によるときは、通常、1200℃程度であり、湿式法によるときは、特に、水熱処理するときは、加熱温度が高いほど、反応装置も複雑で高価となることから、通常、300℃程度である。
【0017】
特に、本発明によれば、固相法によるときは、加熱温度は、600〜1200℃の範囲が好ましく、湿式法によるときは、溶媒として水を用いるときは、常圧下、60〜100℃の範囲が好ましく、水熱法によるときは、110〜300℃の範囲が好ましい。
【0018】
本発明によれば、用いるアルカリ土類金属の化合物の種類や量、アルカリ土類金属の化合物と二酸化チタン粒子を加熱する際の温度や圧力や時間等の反応条件を適宜に選択することによって、二酸化チタン粒子の表面において、二酸化チタンと複合化するアルカリ土類金属元素の量を調節することができる。
【0019】
このようにして、アルカリ土類金属の化合物と二酸化チタン粒子を加熱し、反応させて、二酸化チタン粒子の表面において、アルカリ土類金属元素を二酸化チタンと複合化させた後、得られた反応生成物を水洗して、余剰のアルカリ土類金属の化合物を除去し、乾燥、粉砕することによって、本発明による二酸化チタン顔料を得ることができる。
【0020】
本発明によれば、このようにして得られる二酸化チタン顔料において、アルカリ土類金属元素の含有量は、その酸化物換算にて0.1〜20重量%の範囲であり、好ましくは、1〜10重量%の範囲である。アルカリ土類金属元素の含有量がその酸化物換算にて0.1重量%よりも少ないときは、二酸化チタン粒子の光触媒活性が十分に抑制されず、他方、含有量が酸化物換算にて20重量%を超えるときは、得られる二酸化チタン顔料における二酸化チタンの含有量が相対的に低減するので、二酸化チタン顔料が本来、有する着色力等の望ましい特性が低下する。
【0021】
このようにして得られる本発明による二酸化チタン顔料は、蛍光X線分析によって、アルカリ土類金属元素を含むことが確認され、また、走査型電子顕微鏡写真によって、顔料粒子の核にはチタン元素が存在し、表面にはアルカリ土類金属元素が存在することが確認される。
【0022】
更に、本発明による二酸化チタン顔料は、X線回折分析によれば、二酸化チタンのX線回折パターンと共に、アルカリ土類金属元素と二酸化チタンの複合化物、即ち、アルカリ土類金属元素とチタン元素を含む複合酸化物のX線回折パターンが確認される。例えば、アルカリ土類金属化合物として、水酸化バリウムを用いて、本発明に従って、二酸化チタン粒子を処理したとき、得られる二酸化チタン顔料は、その表面に上記アルカリ土類金属元素が二酸化チタンと複合化してなる複合酸化物として、チタン酸バリウム(BaTiO3)やオルトチタン酸バリウム(Ba2TiO4)が存在することが確認される。
【0023】
このように、本発明による二酸化チタン顔料は、その表面にアルカリ土類金属元素と二酸化チタンとの複合化物を有しているので、光触媒活性が抑制される。また、従来の表面処理と相違して、得られる二酸化チタン顔料は揮発水分量も少ない。
【0024】
本発明によれば、二酸化チタン粒子は、上述したアルカリ土類金属元素による表面の複合化に加えて、必要に応じて、従来から知られている無機化合物や有機化合物による表面処理を施してもよい。無機化合物による表面処理としては、例えば、前述したケイ素、アルミニウム、ジルコニウム等の水和酸化物による表面処理を挙げることができる。
【0025】
本発明による二酸化チタン顔料は、光触媒活性が抑制されており、また、揮発水分量も少ないので、高い耐候性が要求される塗料組成物や樹脂組成物に好適に用いることができる。即ち、本発明による二酸化チタン顔料を含む塗料組成物や樹脂組成物は、従来の二酸化チタン顔料を含む塗料組成物や樹脂組成物と相違して、耐候性にすぐれている。更に、本発明による二酸化チタン顔料を含む樹脂組成物は、樹脂の加水分解による溶融粘度の低下等の樹脂物性の低下も抑制される。
【0026】
本発明による二酸化チタン顔料は、限定されるものではないが、例えば、樹脂成分がポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂等である塗料組成物に顔料成分として好適に用いることができる。
【0027】
また、本発明による二酸化チタン顔料は、限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂や、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂に顔料成分として好適に用いることができる。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0029】
以下の実施例及び比較例において得られたアナターゼ型又はルチル型二酸化チタン顔料に含まれるアルカリ土類金属元素の量、二酸化チタン顔料の結晶構造及び揮発水分量は下記のようにして測定した。
【0030】
下記実施例及び比較例において得られた二酸化チタン顔料を塗料組成物に配合し、その耐候性(塗膜の光沢保持率)を下記のようにして調べ、また、下記実施例及び比較例において得られた二酸化チタン顔料を配合したポリエチレン樹脂フィルムを製造し、その表面性状を下記のようにして調べ、更に、下記実施例及び比較例において得られた二酸化チタン顔料を配合したポリエチレンテレフタレートシートを製造して、その耐光性を下記のようにして調べた。結果を表1及び表2に示す。
【0031】
(二酸化チタン顔料に含まれるアルカリ土類金属の量)
蛍光X線分析装置((株)リガク製ZSXprimus II)を用いて、二酸化チタン顔料粒子中に含まれるアルカリ土類金属を酸化物として定量した。
【0032】
(複合化物の結晶構造)
X線回折装置((株)リガク製RINT2200)を用いて結晶構造を分析して、各実施例及び比較例において、二酸化チタン由来のピークと二酸化チタンとアルカリ土類金属が複合した化合物由来のピークの有無を確認した。
【0033】
(揮発水分量)
電気炉を用いて、二酸化チタン顔料を105℃で2時間加熱脱水した後、その重量(W1)を測定した。その後、900℃で再び、1時間加熱した後、その重量(W2)を測定した。揮発水分量は次式から求めた。
【0034】
揮発水分量={(W1−W2)/W1}×100(%)
【0035】
(フィルムの表面性状)
二酸化チタン顔料30重量%をポリエチレン樹脂(住友化学(株)製スミカセンF412−1)70重量%に配合し、ラボプラストミル単軸押出機(東洋精機(株)製、軸長20mm)にて加熱混練し、Tダイフィルム成形機(東洋精機(株)製)を用いて、成形温度300℃で厚み30μmのフィルムを得た。
【0036】
このフィルムについて、表面のレーシング等の状態を目視にて観察して、表面性状を評価した。評価は、レーシングや発泡等が殆どないときを○とし、レーシングや発泡等が著しいときを×とした。レーシングとは、樹脂に顔料として配合した二酸化チタン中の含有水分のような揮発成分がフィルムの成形時に揮発して、得られるフィルムにレース状の孔を空ける成形不良現象をいう。樹脂に配合する二酸化チタン顔料中の揮発成分が多いときは、得られるフィルムにこのレーシングが生じやすい。
(樹脂組成物の耐光性)
ポリエチレンテレフタレート樹脂(帝人化成(株)製TR−8550T)98重量%に下記実施例及び比較例において得られた二酸化チタン顔料2重量%を配合し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SH−50)で加熱混練し、厚み3.0mmのシートに成形した。このシートをフェードメーター(スガ試験機(株)製)を用いて48時間紫外線を照射し、照射部と未照射部と間の白色度W値の差(ΔW)を測色計(日本電色工業(株)製SE2000)を用いて測定した。
【0037】
上記測定においては、Lab表色系による白色度Wを次式から求めた。
【0038】
W=100−{(100−L)2+a2+b2}1/2
【0039】
ここで、Lは明度、aは彩度、bは色相である。
【0040】
(塗料組成物の耐候性)
下記実施例及び比較例において得られた二酸化チタン顔料とポリエステルメラミン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製 M6602及びJ820)を顔料重量濃度37.5%に調整した塗料を調製した。塗装はボンデライト鋼板にバーコーターRod No.60を用いて行なった。その後、乾燥機(東洋製作所(株)製)を用いて、150℃で30分間焼き付けた。塗板はカーボンアークを用いたサンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製)で促進暴露試験を行った。条件はカーボンアーク照射60分中、降雨12分とした。
【0041】
暴露試験開始前の初期光沢と暴露時間800時間における光沢をグロスメーター(村上色彩技術研究所製)で60°グロスを測定し、初期光沢に対する光沢保持率にて耐候性を評価した。光沢保持率は次式から求めた。
【0042】
光沢保持率=(暴露時間800時間における光沢)/(暴露試験開始前の初期光沢)
【0043】
(二酸化チタン顔料の着色力)
低密度ポリエチレン樹脂(住友化学(株)製スミカセンF412−1)5000重量部、下記実施例及び比較例において得られた二酸化チタン顔料100重量部及びカーボンブラック(三菱化学(株)製MA−100)1重量部からなる混合物をテストロール機(西村工機(株)製NS−90型)にて110℃で溶融混練した後、油圧成形機(東邦マシナリー(株)製TBD−30−2)を用いて、厚み0.5mmのシートに成形した。
【0044】
測色計(日本電色工業(株)製SE2000)を用いて、得られたシートのLab表色系による明度Lを測定して、実施例1による二酸化チタン顔料を用いたシートとその他の実施例及び比較例による二酸化チタン顔料を用いたシートの明度との差(ΔL)を求めた。そこで、実施例1による二酸化チタン顔料を用いたシートの明度を100とし、次式からそれぞれの二酸化チタン顔料の着色力を求めた。
【0045】
着色力=100+ΔL×100
【0046】
A.アナターゼ型二酸化チタン顔料の製造とその性能
以下の実施例及び比較例においては、堺化学工業(株)製アナターゼ型二酸化チタンA110をベースとして二酸化チタンの平均一次粒子径を調整した。
【0047】
実施例1
平均一次粒子径0.15μmに調整したアナターゼ型二酸化チタン75gと水酸化バリウム8水和物48gを水に加えて、全量750mLとし、これを内容積1Lのオートクレーブに仕込み、十分に撹拌しながら、温度150℃、圧力0.4MPaで5時間反応させた。
【0048】
得られた反応生成物を含む水スラリーを酢酸水溶液でpH5.5に調整し、ブフナー漏斗を用いて濾過して、余剰のアルカリ土類金属イオンを除去し、更に、濾液の伝導度が100μS以下になるまで水洗して、残存する水溶性塩類を除去した。このようにして得られたケーキを105℃で乾燥して、水分を除去した後、ジェットミルを用いて粉砕して、二酸化チタン顔料を得た。
【0049】
このようにして得られた二酸化チタン顔料粒子をエポキシ樹脂にて包み、断面試料作製装置にて顔料粒子を切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて電子像を観察すると共に、波長分散型の線分析を行った。図1に二酸化チタン顔料粒子の断面のSEM像を示し、図2に二酸化チタン顔料粒子におけるチタン元素の線分析の結果を示し、図3にバリウム元素の線分析の結果を示す。線分析の結果から顔料粒子の表面にバリウム元素が存在するが、核中にはバリウム元素が存在しないことが示される。
【0050】
また、上記得られた二酸化チタン顔料の粉末X線回折パターンを図4に示し、原料として用いたアナターゼ型二酸化チタンの粉末X線回折パターンを図5に示し、チタン酸バリウム粒子の粉末X線回折パターンを図6に示す。
【0051】
図5に示すように、アナターゼ型二酸化チタンは2θ=25.3°に回折ピークを有し、図6に示すように、チタン酸バリウムは2θ=31.4°に回折ピークを有するところ、本発明による二酸化チタン顔料はアナターゼ型二酸化チタンに由来する上記2θ=25.3°における回折ピークと共に、チタン酸バリウムに由来する2θ=31.4°に回折ピークを有する。
【0052】
かくして、本発明による二酸化チタン顔料は、その表面にバリウムが二酸化チタンと複合化してなるチタン酸バリウムを有することが示される。
【0053】
実施例2
平均一次粒子径0.15μmに調整したアナターゼ型二酸化チタン100gと水酸化バリウム8水和物70gを水に加えて、全量2Lとし、これを内容積3Lの三口フラスコに入れた。十分に撹拌しながら、窒素ガス雰囲気中、温度100℃、常圧下に24時間反応させた。得られた反応生成物を含む水スラリーを実施例1と同様に処理して、二酸化チタン顔料を得た。
【0054】
実施例3
平均一次粒子径0.15μmに調整したアナターゼ型二酸化チタン100gと水酸化バリウム8水和物70gと30重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液60mLを水に加えて、全量2Lとし、これを内容積3Lの三口フラスコに入れた。十分に撹拌しながら、窒素ガス雰囲気中、温度60℃、常圧下に24時間反応させた。得られた反応生成物を含む水スラリーを実施例1と同様に処理して、二酸化チタン顔料を得た。
【0055】
実施例4
平均一次粒子径0.15μmに調整したアナターゼ型二酸化チタン75gと塩化ストロンチウム無水和物13gと30重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液30mLを水に加えて、全量750mLとし、これを内容積1Lのオートクレーブに仕込み、十分に撹拌しながら、温度150℃、圧力0.4MPaで5時間反応させた。得られた反応生成物を含む水スラリーを実施例1と同様に処理して、二酸化チタン顔料を得た。
【0056】
実施例5
平均一次粒子径0.20μmに調整したアナターゼ型二酸化チタン75gと塩化カルシウム2水和物12gと30重量%濃度の水酸化ナトリウム17mLを水に加えて、全量750mLとし、これを内容積1Lのオートクレーブに仕込み、十分に撹拌しながら、温度150℃、圧力0.4MPaで5時間反応させた。得られた反応生成物を含む水スラリーを実施例1と同様に処理して、二酸化チタン顔料を得た。
【0057】
実施例6
平均一次粒子径0.20μmに調整したアナターゼ型二酸化チタン50gに塩化マグネシウム6水和物7g含む水溶液10mLを混合し、105℃で乾燥した後、空気雰囲気下、昇温速度200℃/時間で900℃まで昇温させ、この温度で2時間保持した後、降温速度300℃/時間で室温まで降温した。
【0058】
このようにして得られた粉末を擂解機を用いて粉砕し、pH5.5に調整した酢酸水溶液にリパルプし、ブフナー漏斗を用いて濾過して、余剰のアルカリ土類金属イオンを除去し、更に、濾液の伝導度が100μS以下になるまで水洗して、残存する水溶性塩類を十分に除去した。次いで、このケーキを105℃で乾燥して、水分を除去した後、ジェットミルで粉砕して、二酸化チタン顔料を得た。
【0059】
比較例1
平均一次粒子径0.15μmに調整したアナターゼ型二酸化チタンを比較例1による二酸化チタン顔料とした。
【0060】
比較例2
平均一次粒子径0.15μmに調整したアナターゼ型二酸化チタンを400g/L濃度の水スラリーとし、十分に攪拌しながら、このスラリーに上記二酸化チタンに対してアルミナ換算で1.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を加えた後、硫酸にてpH7.0に調整した。得られたスラリーを濾過、水洗して、水溶性塩類を除去した。得られたケーキを105℃で乾燥し、ジェットミルで粉砕して、表面に酸化物換算にて1.5重量%のアルミニウム水和酸化物を有する二酸化チタン顔料を得た。
【0061】
比較例3
平均一次粒子径0.15μmに調整したアナターゼ型二酸化チタン100gと水酸化バリウム8水和物5gを水に加えて、全量2Lとし、これを内容積3Lの三口フラスコに仕込んだ。十分に攪拌しながら、窒素ガス雰囲気中、温度90℃、常圧下に5時間反応させた。得られた反応生成物を含む水スラリーを実施例1と同様に処理して、二酸化チタン顔料を得た。
【0062】
【表1】

【0063】
本発明によるアナターゼ型二酸化チタン顔料は、アナターゼ型二酸化チタンに比べて、光触媒活性が抑制されており、その結果、本発明によるアナターゼ型二酸化チタン顔料を配合した塗料組成物は、塗膜の光沢保持率が高く、耐候性にすぐれており、また、本発明によるアナターゼ型二酸化チタン顔料を配合したポリエチレンテレフタレート樹脂シートは、耐光性にすぐれている。
【0064】
更に、本発明によるアナターゼ型二酸化チタン顔料は、揮発水分量も少ない。例えば、従来から知られているアルミニウム水和酸化物を被覆してなる二酸化チタン顔料に比べて、揮発水分量が大幅に低減されており、従って、本発明によるアナターゼ型二酸化チタン顔料を配合したポリエチレン樹脂フィルムは、表面にレーシングや発泡がみられず、表面性状にすぐれている。
【0065】
二酸化チタン粒子の表面上に二酸化チタンと複合化したアルカリ土類金属元素の量が酸化物換算で0.1重量%よりも少ないときは、二酸化チタン粒子の光触媒活性が十分に抑制されておらず、従って、そのような二酸化チタン粒子からなる顔料を配合した塗料組成物は、塗膜の光沢保持率が低く、耐候性に劣っており、また、そのような顔料を配合したポリエチレンテレフタレート樹脂シートは、耐光性に劣っている。
【0066】
アルミニウム水和酸化物からなる被覆を表面に施したアナターゼ型二酸化チタンは、揮発水分量が大きく、そのような二酸化チタンからなる顔料を配合したポリエチレン樹脂フィルムは、表面性状に劣っている。
B.ルチル型二酸化チタン顔料の製造とその性能
以下の実施例及び比較例においては、堺化学工業(株)製ルチル型二酸化チタンR310をベースとして二酸化チタンの平均一次粒子径を調整した。
【0067】
実施例1
平均一次粒子径0.18μmに調整したルチル型二酸化チタン100gと水酸化バリウム8水和物63gと30重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液60mLを水に加えて、全量1Lとし、これを内容積3Lの三口フラスコに入れて、十分に撹拌しながら、窒素ガス雰囲気中、温度90℃、常圧下に5時間反応させた。
【0068】
得られた反応生成物を含む水スラリーをpH5.5に調整し、ブフナー漏斗を用いて濾過し、余剰のアルカリ土類金属イオンを除去し、更に、濾液の伝導度が100μS以下になるまで水洗して、残存する水溶性塩類を除去した。このようにして得られたケーキを105℃で乾燥して、水分を除去した後、ジェットミルを用いて粉砕して、二酸化チタン顔料を得た。
【0069】
このようにして得られた二酸化チタン顔料の粉末X線回折パターンを図7に示し、原料として用いたルチル型二酸化チタンの粉末X線回折パターンを図8に示す。
【0070】
図8に示すように、ルチル型二酸化チタンは2θ=27.4°に回折ピークを有し、前述したように、チタン酸バリウムは、図6に示すように、2θ=31.4°に回折ピークを有するところ、本発明による二酸化チタン顔料はルチル型二酸化チタンに由来する上記2θ=27.4°における回折ピークと共に、チタン酸バリウムに由来する2θ=31.4°に回折ピークを有する。
【0071】
かくして、本発明による二酸化チタン顔料は、その表面にバリウム元素が二酸化チタンと複合化してなるチタン酸バリウムを有することが示される。
【0072】
実施例2
平均一次粒子径0.26μmに調整したルチル型二酸化チタン75gと水酸化バリウム8水和物5gを水に加えて、全量750mLとし、これを内容積1Lのオートクレーブに仕込み、十分に撹拌しながら、温度120℃、圧力0.2MPaで5時間反応させた。得られた反応生成物を含む水スラリーを実施例1と同様に処理して、二酸化チタン顔料を得た。
【0073】
実施例3
平均一次粒子径0.26μmに調整したルチル型二酸化チタン75g、塩化ストロンチウム無水和物13g及び水酸化バリウム8水和物26gを水に加えて、全量750mLとし、これを内容積1Lのオートクレーブに仕込み、十分に撹拌しながら、温度150℃、圧力0.4MPaで5時間反応させた。得られた反応生成物を含む水スラリーを実施例1と同様に処理して、二酸化チタン顔料を得た。
【0074】
実施例4
平均一次粒子径0.20μmに調整したルチル型二酸化チタン50gに水酸化バリウム8水和物35gを含む水溶液10mLを混合し、105℃で乾燥した後、空気雰囲気下、昇温速度200℃/時間にて600℃まで昇温させ、この温度で4時間保持した後、降温速度300℃/時間にて室温まで降温した。
【0075】
このようにして得られた粉末を擂解機を用いて粉砕し、pH5.5に調整した酢酸水溶液にリパルプし、ブフナー漏斗を用いて濾過して、余剰のアルカリ土類金属イオンを除去し、更に、濾液の伝導度が100μS以下になるまで水洗して、残存する水溶性塩類を十分に除去した。次いで、このケーキを105℃で加熱、乾燥して、水分を除去した後、ジェットミルを用いて粉砕して、二酸化チタン顔料を得た。
【0076】
比較例1
平均一次粒子径0.20μmに調整したルチル型二酸化チタンを比較例1による二酸化チタン顔料とした。
【0077】
比較例2
平均一次粒子径0.20μmに調整したルチル型二酸化チタン85gとチタン酸バリウム15gを混合、撹拌して、二酸化チタンとチタン酸バリウムの混合粉末を調製し、これを比較例2による二酸化チタン顔料とした。
【0078】
比較例3
平均一次粒子径0.26μmに調整したルチル型二酸化チタンを400g/L濃度の水スラリーとし、十分に攪拌しながら、このスラリーに上記二酸化チタンに対してアルミナ換算で2.3重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を加えた後、硫酸にてpHを7.0に調整した。得られたスラリーを濾過、水洗して、水溶性塩類を除去した。得られたケーキを105℃で乾燥し、ジェットミルで粉砕して、表面に酸化物換算にて2.3重量%のアルミニウム水和酸化物を有する二酸化チタン顔料を得た。
【0079】
比較例4
平均一次粒子径0.20μmに調整したルチル型二酸化チタン75gと水酸化バリウム8水和物53gを水に加えて、全量750mLとし、これを内容積1Lのオートクレーブに仕込み、十分に撹拌しながら、温度150℃、圧力0.4MPaで5時間反応させた。得られた反応生成物を含む水スラリーを実施例1と同様に処理して、二酸化チタン顔料を得た。
【0080】
【表2】

【0081】
本発明によるルチル型二酸化チタン顔料は、ルチル型二酸化チタンに比べて、光触媒活性が抑制されており、その結果、これを配合した塗料組成物は、塗膜の光沢保持率が高く、耐候性にすぐれており、また、本発明によるルチル型二酸化チタン顔料を配合したポリエチレンテレフタレート樹脂シートも、耐光性にすぐれている。但し、ルチル型二酸化チタンとチタン酸バリウムの混合物を樹脂組成物に配合しても、その耐光性は改善されない。
【0082】
更に、本発明によるルチル型二酸化チタン顔料は、例えば、従来から知られているアルミニウム水和酸化物を被覆してなる二酸化チタン顔料に比べて、揮発水分量が大幅に低減されており、従って、本発明によるルチル型二酸化チタン顔料を配合したポリエチレン樹脂フィルムは、表面にレーシングや発泡がみられない。
【0083】
二酸化チタン粒子の表面上に二酸化チタンと複合化したアルカリ土類金属元素の量が酸化物換算で20重量%よりも多いときは、二酸化チタン顔料が本来、有する着色力が低下する。また、アルミニウム水和酸化物からなる被覆を表面に施したルチル型二酸化チタンは、アルミニウム水和酸化物からなる被覆を表面に施したアナターゼ型二酸化チタンと同様に、揮発水分量が大きく、そのような二酸化チタンからなる顔料を配合したポリエチレン樹脂フィルムは、表面性状に劣っている。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】アナターゼ型二酸化チタンを用いて得られた本発明による二酸化チタン顔料粒子の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【図2】上記二酸化チタン顔料粒子におけるチタン元素の線分析の結果を示す。
【図3】上記二酸化チタン顔料粒子におけるバリウム元素の線分析の結果を示す。
【図4】上記二酸化チタン顔料粒子の粉末X線回折パターンを示す。
【図5】上記二酸化チタン顔料の製造のために原料として用いたアナターゼ型二酸化チタンの粉末X線回折パターンを示す。
【図6】チタン酸バリウム粒子の粉末X線回折パターンを示す。
【図7】ルチル型二酸化チタンを用いて得られた本発明による二酸化チタン顔料粒子の粉末X線回折パターンを示す。
【図8】上記二酸化チタン顔料の製造のために原料として用いたルチル型二酸化チタンの粉末X線回折パターンを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム、カルシウム、バリウム及びストロンチウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属の化合物と二酸化チタン粒子を60℃以上の温度に加熱し、上記アルカリ土類金属元素を二酸化チタンと複合化させてなる複合化物を上記アルカリ土類金属酸化物換算にて0.1〜20重量%の範囲の量で二酸化チタン粒子の表面に有せしめてなる二酸化チタン顔料。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化チタン顔料を含む塗料組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の二酸化チタン顔料を含む樹脂組成物。
【請求項4】
マグネシウム、カルシウム、バリウム及びストロンチウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属の化合物と二酸化チタン粒子を60℃以上の温度に加熱し、上記アルカリ土類金属元素を二酸化チタンと複合化させて、その複合化物を上記アルカリ土類金属酸化物換算にて0.1〜20重量%の範囲の量で二酸化チタン粒子の表面に有せしめる二酸化チタン顔料の製造方法。
【請求項5】
アルカリ土類金属の化合物と二酸化チタン粒子の乾式混合物を加熱する請求項4に記載の二酸化チタン顔料の製造方法。
【請求項6】
アルカリ土類金属の化合物と二酸化チタン粒子を溶媒中、常圧下に加熱する請求項4に記載の二酸化チタン顔料の製造方法。
【請求項7】
アルカリ土類金属化合物と二酸化チタン粒子を加圧下、水熱処理する請求項4に記載の二酸化チタン顔料の製造方法。


【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−150087(P2010−150087A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330928(P2008−330928)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000174541)堺化学工業株式会社 (96)
【Fターム(参考)】