二重増感剤含有ルミネッセンス化合物および結合体、ならびにその使用
本発明は、2つの蛍光体(増感剤)を含む新規なルミネッセンス組成物、前記組成物の合成方法、前記組成物のマクロ分子結合体、ならびに前記組成物および前記結合体の多様な検出方法における使用に関する。本発明は検出方法に使用される前記組成物および前記結合体を含むキットをも提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、35U.S.C.§119(e)の下で、2006年8月12日出願の米国仮特許出願第60/822,235号および2006年8月11日出願の米国仮特許出願第60/822,219号の優先権の利益を主張する。両方の出願の開示は、参照により本発明に引用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ルミネッセンスランタニドキレートは、極めて珍しいスペクトル特性のために、主要な研究対象となってきた(Gudgin−Dicksonら、Pharmac.Ther.、66:207〜235(1995);Selvin,P.R.、Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.、31:275〜302(2002);およびHemmilaら、J.Fluoresc.、15:529〜542(2005))。これらの分子は、例えば医療診断、新薬開発などの多種多様な生化学分析や、細胞生物学的用途の画像化ツールとして利用されてきた。ルミネッセンスランタニドキレートは、高バックグランド蛍光が問題となる用途に適用される従来型の有機蛍光体に代わる非同位体的物質として特に有用である。ルミネッセンスランタニドキレートの珍しいスペクトル特性(すなわち、尖頂急峻なピーク)および時間的特性(すなわち、高寿命な発光)のために、(i)超高感度な検出、(ii)同一サンプル混合物中に存在する複数の分析物の簡易な同時モニタリング、および(iii)サンプル中の特定の個体分析物からのより詳細な情報収集が可能となる。
【0003】
ランタニドプローブは、例えば、有機蛍光体およびケージ化またはキレート化されたランタニドを含有しうる。蛍光体部位はアンテナまたは増感剤として作用し、励起光のエネルギーを吸収し、それをより放射の小さい形式でランタニドに輸送する。ランタニド部位の吸収が非常に小さいため、アンテナは「ポンプのように作用する(pump)」または金属を活性化させることが求められる。アンテナからランタニドへのエネルギー移動は短距離(数オングストロームのオーダー)においてのみ起こり、一般に2つの部位が連結される必要がある。
【0004】
しかし不幸にも、蛍光体によるランタニドルミネッセンスの促進過程は十分には解明されておらず、プローブおよびその構成要素を最適化することは困難である。
【0005】
より多くの生物学的分析で使用するためにランタニドプローブの需要は大きいが、研究者は費用の制限に遭遇することが多い。このようなプローブの費用は$10,000/mgにも達するが、その大部分は面倒な合成法によるものである。したがって、新規で、より反応性が高く、より機能説明がされたルミネッセンスランタニドプローブに対してのみならず、この試薬の多量入手が可能となるような費用効率のよい合成戦略に対しても、満たされていない強い要求がある。
【発明の概要】
【0006】
(発明の要約)
本明細書によれば、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含む組成物が提供される。そして、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0007】
【化1】
【0008】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0009】
【化2】
【0010】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0011】
【化3】
【0012】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0013】
【化4】
【0014】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す。
【0015】
一実施形態において、組成物は、XがO原子である式(I)を含む。組成物はR3がCH3である式(I)を有してもよい。他の実施形態では、組成物において第一増感剤部位もしくは第二増感剤部位または第一増感剤部位および第二増感剤部位が下記式でありうる。
【0016】
【化5】
【0017】
他の実施形態において、組成物はXがO原子であり、かつR3がCF3である式(I)を含む。他の実施形態では、組成物において第一増感剤部位もしくは第二増感剤部位または第一増感剤部位および第二増感剤部位が下記式でありうる。
【0018】
【化6】
【0019】
他の実施形態において、組成物はXがN−R1である式(I)を含む。組成物はR1がHであり、R3がCF3である式(I)を有してもよい。一部の実施形態では、組成物において第一増感剤部位もしくは第二増感剤部位または第一増感剤部位および第二増感剤部位が下記式でありうる。
【0020】
【化7】
【0021】
他の実施形態において、組成物は、ZがN−R4である式(II)を含む。組成物はR4がシクロプロピル部位である式(II)を有してもよい。組成物はR5が式COOHを有する有機酸部位であり、かつ/または、R6がF原子である式(II)を有してもよい。一部の実施形態では、組成物において第一増感剤部位もしくは第二増感剤部位または第一増感剤部位および第二増感剤部位が下記式でありうる。
【0022】
【化8】
【0023】
一部の実施形態において、組成物は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aなどのキレート部位を含有しうる。
【0024】
一部の実施形態において、組成物は、結合基(conjugating group)に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合した増感剤部位の一方または両方を有しうる。結合基は化学式S=C=N−またはBr−CH2−CO−を有しうる。
【0025】
組成物がルミネッセンス組成物またはルミネッセンスキレートである実施形態において、組成物はキレート部位にキレート化された金属イオンをさらに含有しうる。キレート化された金属イオンは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択されるランタニドでありうる。
【0026】
他の実施形態では、組成物はマクロ分子に結合しうる。マクロ分子はポリペプチド(例えば、抗原もしくはその抗原結合フラグメント、または細胞受容体のポリペプチドリガンド)または核酸(例えば、DNAまたはRNA)でありうる。
【0027】
本明細書によれば、本明細書に記載される組成物のいずれかと薬学的に許容可能な担体とを含有する医薬組成物も提供される。
【0028】
本明細書では、プローブを用いた標的のインビトロ検出方法を取り上げる。本方法は、サンプルと、標的に対して親和性のある標的プローブ部位を含むルミネッセンスプローブ組成物とを接触させる工程と;前記ルミネッセンスプローブ組成物から発生する信号を検出する工程と;を含む。この際、前記標的プローブ部位はルミネッセンスキレート組成物に共有結合しており、前記キレートルミネッセンス組成物は、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0029】
【化9】
【0030】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0031】
【化10】
【0032】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0033】
【化11】
【0034】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0035】
【化12】
【0036】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示し;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており;
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される。
【0037】
サンプルは1以上の細胞、細胞物質(例えば、全細胞溶解物)を含有してよいし、あるいは、1以上の精製タンパク質および/または組み換えタンパク質を含有してよい。サンプルは、(例えば、サンプルをネガティブ対照(negative control)として使用する場合に)緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)のみを含有してもよい。ルミネッセンスプローブ組成物は本明細書に記載されたルミネッセンスキレート組成物のいずれかを含みうる。被検体は本明細書に記載される任意の被検体であってよい(以下参照)。検出には、ルミネッセンスプローブ組成物からのルミネセンス発光の検出、ルミネッセンスプローブ組成物の一方もしくは両方の増感剤からの蛍光発光、またはルミネッセンスプローブ組成物からのルミネッセンス発光および蛍光発光の両方の検出が含まれうる。
【0038】
本明細書では、プローブを用いた標的のインビボ検出方法についても取り上げる。本方法は、標的に対して親和性のある標的プローブ部位を含むルミネッセンスプローブ組成物を被検体に輸送する工程と;前記ルミネッセンスプローブ組成物から発生する信号を検出する工程と;を含む。この際、前記標的プローブ部位はルミネッセンスキレート組成物に共有結合しており、前記キレートルミネッセンス組成物は、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0039】
【化13】
【0040】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0041】
【化14】
【0042】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0043】
【化15】
【0044】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0045】
【化16】
【0046】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており、
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される。
【0047】
ルミネッセンスプローブ組成物は本明細書に記載されたルミネッセンスキレート組成物のいずれかを含みうる。被検体は本明細書に記載される任意の被検体であってよい(以下参照)。検出には、ルミネッセンスプローブ組成物からのルミネセンス発光の検出、ルミネッセンスプローブ組成物の一方もしくは両方の増感剤からの蛍光発光、またはルミネッセンスプローブ組成物からのルミネッセンス発光および蛍光発光の両方の検出が含まれうる。
【0048】
本明細書によれば、(a)ルミネッセンス組成物および(b)消光剤部位からなる、ルミネッセンスで標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチドが提供される。ここで、(a)ルミネッセンス組成物は、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0049】
【化17】
【0050】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0051】
【化18】
【0052】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0053】
【化19】
【0054】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0055】
【化20】
【0056】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており;
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択され;前記ルミネッセンス組成物はヘアピン形成オリゴヌクレオチドに共有結合している。(b)消光剤部位は、(i)一方もしくは両方の増感剤部位または(ii)ランタニド部位のルミネッセンスの一方または両方の蛍光を消光することが可能であり、消光剤部位はヘアピン形成オリゴヌクレオチドに共有結合している。前記オリゴヌクレオチドは、一本鎖ループならびに相補的な3’アームおよび5’アームにより形成されたステム二重鎖(stem duplex)を含む閉鎖コンフォメーションを有し;この際、前記消光剤部位は、ランタニドまたは増感剤部位のうちの少なくとも1つを消光する関係にあり;増感剤部位の一方または両方の極大励起波長で励起させた場合、増感剤部位の一方または両方の極大発光波長における発光が、消光されない場合の増感剤部位の一方または両方の極大発光波長における光度(magnitude)および発光に比べて実質的に抑制される。前記オリゴヌクレオチドはステム二重鎖を除く開鎖コンフォメーションを有し;この際、前記消光剤部位は、ランタニド、第一増感剤部位もしくは第二増感剤部位、または第一増感剤部位および第二増感剤部位を消光する関係にはなく;第一増感剤部位および第二増感剤部位の一方または両方の極大励起波長で励起させた場合、ランタニドのルミネッセンスは、増感剤部位の一方または両方からの蛍光共鳴エネルギー移動により増大する。
【0057】
標的ヌクレオチドに対するループのハイブリダイゼーションによって、オリゴヌクレオチドが開鎖コンフォメーションをとる。消光剤部位はBHQ、DABCYL、およびDABCYLの変異体よりなる群から選択される。一本鎖ループおよびステム二重鎖の一方の鎖は標的鎖に対して相補的であってよく、これによりオリゴヌクレオチドはDNAポリメラーゼのプライマーとして機能することが可能である。オリゴヌクレオチドは、該オリゴヌクレオチドが閉鎖コンフォメーションをとる場合のDNAポリメラーゼのプライミング領域として機能できる末端伸張を含んでもよい。
【0058】
本明細書では、核酸増幅成分、本明細書に記載される結合オリゴヌクレオチドのいずれかであるオリゴヌクレオチド検出用プローブ、および増幅反応を実施するための指示書を含む核酸増幅用試薬キットについても取り上げる。核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸塩基配列増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅、ループ介在(loop−mediated)恒温増幅(LAMP)、またはRNA依存性RNAポリメラーゼによるRNAの増幅でありうる。
【0059】
本発明は、少なくとも1つのプライマー(例えば、本明細書に記載されるルミネッセンスで標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチド結合体のいずれか)を含む増幅反応用成分、増幅分析用成分、および増幅分析を実施するための指示書を含む増幅反応用試薬キットについても取り上げる。核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸塩基配列増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅、ループ介在恒温増幅(LAMP)、またはRNA依存性RNAポリメラーゼによるRNAの増幅でありうる。
【0060】
本明細書では検出分析についても取り上げるが、この検出分析は、サンプル(必要に応じて標的鎖を含有しうる)に、少なくとも1つの検出用プローブ(本明細書に記載される任意のルミネッセンスで標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチド結合体である)を添加する工程と、少なくとも1つの検出用プローブのルミネッセンスキレート部位からのルミネッセンス発光を検出する工程とを含む。該検出は少なくとも1つのプローブの増感剤部位の一方または両方からの蛍光発光を検出する工程をも含みうる。
【0061】
サンプル(必要に応じて標的鎖を含有しうる)に、本明細書に記載される任意の増幅反応を行うための試薬、本明細書に記載されるルミネッセンスで標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチド結合体のいずれかの少なくとも1つを添加する工程と、本明細書に記載される該ルミネッセンスで標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチド結合体のいずれかの少なくとも1つのルミネッセンスキレート部位からのルミネッセンス発光および/または蛍光発光を検出する工程とを含む増幅分析をも提供する。
【0062】
本明細書では、化学的に結合可能な蛍光化合物の合成法をも提供する。この方法は、(a)トリフルオロアセチルメチルエチルスクシナートを1,3−フェニレンジアミンと反応させる工程と、(b)工程(a)の生成物をけん化して、前記生成物上にポリメチレンジアミン基と結合(カップリング)させるための遊離カルボキシレート基を生成する工程とを含む。一実施形態において、本方法は(c)工程(b)の生成物を4−ニトロフェノールと反応させる工程と、ポリメチレンジアミン基と結合(カップリング)させる工程とをさらに含む。他の実施形態において、本方法は工程(c)の生成物をハロゲン酢酸の活性エステルまたはチオカルボニルジイミダゾールの活性エステルで処理する工程を含む。付加的な実施形態は、(d)工程(c)の生成物をRe−Xaと反応させる工程を含む。ここで、Reは希土類キレート化合物であり、XaはCOOHまたはその無水物である。さらに他の実施形態において、本方法は(e)工程(d)の生成物をDTPA二無水物と反応させる工程を含む。他の実施形態において、本発明は工程(e)の生成物を、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される水溶性ランタニド塩と反応させる工程を含む。
【0063】
本発明の1以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の明細書に記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点は明細書および図面ならびに特許請求の範囲から明らかとなるであろう、引用される特許、特許出願、および参考文献はすべて、参照によりその全体があらゆる目的で本願に組み込まれる。
【0064】
矛盾する場合には、定義を含め、本明細書が参照されるであろう。また、材料、方法、および実施例は一例にすぎず、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図面の簡単な説明
【図1】図1は本明細書に記載される増感剤部位のいくつかの化学構造を図示したものである。ただし、(I)シプロフロキサシン、(II)cs124、(III)CF3−124、(IV)3−カルボキシメチルCF3−csl24である。
【図2】図2は4−キノロンルミネッセンスプローブの合成ルートを図示したものである。
【図3】図3は2−キノロンルミネッセンスプローブの合成ルートを図示したものである。
【図4】図4は図2の化合物VIIの金属遊離状態ならびにEu3+およびTb3+との錯体状態における発光スペクトルを図示したものである。
【図5】図5はヘアピン形成ハイブリダイゼーションプローブ(分子標識)における図2の化合物VII(およびそのEu3+およびTb3+キレート)の蛍光信号の発生を図示したものである。
【図6】図6は指示濃度のDNA標的の存在下における分子標識(図3のプローブVIIのEu3+状態から誘導体化)の615nmでの時間分解発光を図示したものである。
【図7a】図7aは二量体ルミネッセンスキレートのシプロフロキサシン誘導体の合成スキームを図示したものである。
【図7b】図7bは二量体ルミネッセンスキレートのシプロフロキサシン誘導体の合成スキームを図示したものである。
【図8】図8はEDTA−(シプロ)2の金属遊離状態およびTb3+の濃度を増加させた場合における発光スペクトルを図示したものである。ピークII、III、V、およびVIはTb3+発光に相当し、ピークIVは解析対象外ピーク(デバイス発光)に相当する。
【図9a】図9aは異なる溶液における二量体シプロフロキサシンキレートおよびその錯体がとりうるコンフォメーションを図示したものである。スタッキング相互作用を右側に破線の双頭矢印を用いて示す。
【図9b】図9bは異なる溶液における二量体シプロフロキサシンキレートおよびその錯体がとりうるコンフォメーションを図示したものである。スタッキング相互作用を右側に破線の双頭矢印を用いて示す。
【図10a】図10aは異なる溶媒中での選択された増感剤部位のUV吸収値(モル吸光単位)を示す表である。
【図10b】図10bは異なる溶媒中での選択された増感剤部位のUV吸収値(モル吸光単位)を示す表である。
【図11a】図11aは選択された増感剤部位および対応するLn3+錯体の信号強度を示す。
【図11b】図11bは選択された増感剤部位および対応するLn3+錯体の信号強度を示す。
【図11c】図11cは選択された増感剤部位および対応するLn3+錯体の信号強度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
発明の詳細な説明
本明細書では、組成物および該組成物のマクロ分子結合体ならびに該組成物および該結合体の使用方法について取り上げる。本発明の多様な態様を以下に記載する。
【0067】
(定義)
「被検体」という用語は、哺乳綱に属するものを指す。哺乳類の例としては特に限定されないが、ヒト、霊長類(例えば、チンパンジー、サル、ヒヒ)、齧歯類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ウマ、家畜、イヌ、ネコ、ヒツジ、およびウシ)が挙げられる。特定の好適な実施態様において、「被検体」とはヒト(例えば、ヒト患者)である。
【0068】
本明細書で使用される「マクロ分子」は、分子量が大きく、通常の分子に比べてはるかに多数(数百または数千)の原子から構成される分子を指す。マクロ分子の一部は同一性(identity)を失うことなしには細分化することのできない単一の要素である。他のもの(例えば、ポリマー)は鎖またはネットワーク(例えば、プラスチック、セルロース)中の複数の繰り返し構成単位(モノマーの)からなる。かようなマクロ分子の例としては、以下に限定されないが、ポリペプチド(タンパク質複合体)、核酸(例えば、DNAおよびRNA)、ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、セルロース(すなわち、糖ポリマー))が挙げられる。マクロ分子という用語は2以上のポリペプチドまたは核酸(例えば、タンパク質二量体または二本鎖DNA分子)も指す。
【0069】
本明細書で使用される「プローブ」という用語は結合対の一要素を構成する分子を指し、結合対のもう一方の要素がプローブの標的である。分子は小分子(例えば、化合物)、マクロ分子(例えば、抗体、核酸;上記参照)でありうる。例えば、プローブが抗体である場合、標的は抗体が特異的に認識する抗原(例えば、エピトープ含有抗原)である。プローブがリガンドである場合、標的はリガンドが特異的に結合する同族受容体である(例えば、上皮細胞成長因子(EGF)−受容体に結合するEGFリガンド)。プローブが核酸(例えば、DNAプローブ)である場合、標的は核酸プローブに対して相補的な核酸配列である。プローブがポリペプチドである場合、ポリペプチドは任意の長さや任意の機能を有していてよい。プローブが化合物である場合、標的は、例えば、受容体(例えば、ステロイド、ホルモン受容体(例えば、エストロゲン受容体)、または化合物が結合または阻害するような酵素標的(例えば、キナーゼ)でありうる。ポリペプチドは任意の種または生物有機体中のコードされたまたは発現されたポリペプチド(例えば、細菌タンパク質、ウイルスタンパク質、昆虫タンパク質、線虫タンパク質、哺乳類タンパク質、ヒトタンパク質)であってもよい。ポリペプチドは有機体により自然に生成されてもよいし、(例えば、自動化学合成により)合成されてもよい。
【0070】
本明細書で使用される「プロドラッグ」は、インビボ投与において、1以上の工程または過程によって代謝されるか、または生物学的、薬学的もしくは治療的に活性な形態に変換される化合物である。プロドラッグの製造のために、薬学的に活性な化合物を修飾して、その活性な化合物が代謝過程で再生成されるようにする。プロドラッグの設計は、薬剤の代謝安定性または輸送特性を変化させる目的で、副作用や毒性をマスクする目的で、薬剤の風味を改善する目的で、または薬剤の他の特徴または特性を変化させる目的で行ってよい。インビボの薬力学的過程および薬剤代謝の知識のおかげで、当業者であれば、薬学的に活性な化合物が公知になるとすぐに、その化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogradyら、Medicinal Chemistry A Biochemical Approach、Oxford University Press、New York、388〜392頁(1985)を参照)。
【0071】
本明細書で使用されるような、本明細書に記載されるインビボ法のいずれかで使用される組成物の薬学的に許容可能な誘導体としては、塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物、またはこれらのプロドラッグが挙げられる。かような誘導体は誘導体化のような公知の方法を用いて当業者により容易に調製されうる。調製した化合物は実質的な毒性作用を伴うことなく動物またはヒトに投与することができ、薬学的に活性なものまたはプロドロックのどちらかである。薬学的に許容可能な塩としては、以下に限定されないが、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミンおよび他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−パラ−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’−イルメチル−ベンズイミダゾール、ジエチルアミンおよび他のアルキルアミン、ピペラジン、ならびにトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのようなアミン塩(ただしこれらに限定されない);リチウム、カリウム、およびナトリウムのようなアルカリ金属塩(ただしこれらに限定されない);バリウム、カルシウム、およびマグネシウムのようなアルカリ土類金属塩(ただしこれらに限定されない);亜鉛のような遷移金属塩(ただしこれらに限定されない);ならびにリン酸水素ナトリウムおよびリン酸二ナトリウムのようなその他の金属塩(ただしこれらに限定されない)が挙げられる。また、以下に限定されないが、硝酸塩;ホウ酸塩;、メタンスルホネート;ベンゼンスルホネート;トルエンスルホネート;塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、および硫酸塩のような鉱酸塩(ただしこれらに限定されない);ならびに酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩およびフマル酸塩のような有機酸塩(ただしこれらに限定されない)をも含む。
【0072】
薬学的に許容可能なエステルとしては、以下に限定されないが、カルボン酸、ホスホリック酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸、およびボロン酸(ただしこれらに限定されない)などの酸基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、およびヘテロサイクリルエステルが挙げられる。薬学的に許容可能なエノールエーテルとしては、以下に限定されないが、化学式C=C(OR)の誘導体(ただし、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、およびヘテロサイクリル)が挙げられる。
【0073】
薬学的に許容可能なエノールエステルとしては、以下に限定されないが、化学式C=C(OC(O)R)の誘導体(ただし、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、およびヘテロサイクリル)が挙げられる。薬学的に許容可能な溶媒和物および水和物としては、1以上の溶媒または水分子、あるいは1〜約100、または1〜約10、または1〜約2、3、もしくは4の溶媒分子または水分子と化合物との複合体である。
【0074】
本明細書で提供される化合物はキラル中心を有してもよいと理解されるべきである。かようなキラル中心は(R)または(S)のいずれの立体配置であってもよく、これらの混合物であってもよい。したがって、本明細書で提供される化合物は鏡像異性的に純粋なものであってもよいし、立体異性体またはジアステレオマーの混合物であってもよい。アミノ酸残基の場合、かような残基はL型またはD型のいずれであってもよい。自然発生するアミノ酸残基の立体配置は一般にL型である。特定しない場合、残基はL型である。本明細書で使用される「アミノ酸」という用語はα−アミノ酸を指し、このα−アミノ酸は、ラセミ体であるか、またはD型もしくはL型のいずれかの立体配置を有する。アミノ酸記号の前にある「d」という記号(例えば、dAla、dSer、dValなど)は、アミノ酸のD−異性体を指す。アミノ酸記号の前にある「dl」という記号(例えば、dlPip)は、アミノ酸のL−異性体とD−異性体との混合物を指す。本明細書で提供される化合物のキラル中心はインビボでエピマー化されうると理解されるべきである。こうして、当業者であれば、インビボでエピマー化される化合物にとって、化合物を(R)形態で投与することは化合物を(S)形態で投与することと等価であることを理解するであろう。
【0075】
本明細書で使用される、実質的に純粋であるとは、当業者が純度の評価のために使用する薄層クロマトグラフィー(TLC)、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および質量分析(MS)のような標準的な分析方法によって測定されるような容易に検出できる不純物が存在しないほどに十分均質であるか、または、さらなる精製によって、物質の酵素活性や生物活性のような物理的または化学的特性の変化が検出可能ではないであろうというほど十分に純粋であることを意味する。実質的に化学的に純粋な化合物を調製するための化合物の精製方法は当業者に公知である。ただし、実質的に化学的に純粋な化合物は立体異性体の混合物であってよい。かような場合、さらなる精製により化合物の特異的活性が増大するかもしれない。
【0076】
本明細書で使用される「アルキル」、「アルケニル」、および「アルキニル」の炭素鎖は、特定されない限り、1〜20(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;1〜5、1〜6、1〜10、10〜15、15〜20)個の炭素を含み、直鎖状、環状、または分岐状である。一部の実施形態では、2〜20(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;2〜5、2〜6、2〜10、10〜15、15〜20)個の炭素のアルケニル炭素鎖は1〜8(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8)個の二重結合を含む。そして、一部の実施形態では、2〜16(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16)個の炭素のアルケニル炭素鎖は1〜5(例えば、1、2、3、4、または5)個の二重結合を含む。一部の実施形態では、2〜20(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;2〜5、2〜6、2〜10、10〜15、15〜20)個の炭素のアルキニル炭素鎖は1〜8(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8)個の三重結合を含む。そして、一部の実施形態では、2〜16(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16)個の炭素のアルキニル炭素鎖は1〜5個の三重結合を含む。本明細書において代表的なアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基としては、以下に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、アリル(プロペニル)基、およびプロパギル(プロペニル)基が挙げられる。本明細書で使用される低級アルキル、低級アルケニル、および低級アルキニルは、約1また約2個の炭素〜約6個の炭素(例えば、1、2、3、4、5または6個)を有する炭素鎖を指す。本明細書で使用される「アル(ケニ)(キニ)ル(alk(en)(yn)yl)」は少なくとも1つの二重結合を含むアルキル基および少なくとも1つの三重結合を含むアルキル基を指す。
【0077】
本明細書で使用される「シクロアルキル」は飽和単環系または多環系を指し、一部の実施形態では3〜10(例えば、3、4、5、6、7、8、9または10;3〜5、3〜6、3〜8、5〜10)個の炭素原子を有し、他の実施形態では3〜6(例えば、3、4、5または6)個の炭素原子を有する。そして、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルはそれぞれ少なくとも1つの二重結合および少なくとも1つの三重結合を含む単環系または多環系を指す。一部の実施形態においてシクロアルケニル基およびシクロアルキニル基は、3〜10(例えば、3、4、5、6、7、8、9または10;3〜5、3〜7、5〜10)個の炭素原子とシクロアルケニル基とを含んでもよい。さらに他の実施形態において4〜7(例えば、4、5、6または7)個の炭素原子とシクロアルキニル基とを含んでもよい。さらに他の実施形態において8〜10(例えば、8、9または10)個の炭素原子を含んでもよい。シクロアルキル基、シクロアルケニル基、およびシクロアルキニル基の環構造は1つの環または2以上の環から構成されてよく、これらは融合形態、架橋形態またはスピロ結合形態で結合されうる。「シクロアル(ケニ)(キニ)ル」は少なくとも1つの二重結合を含むシクロアルキル基および少なくとも1つの三重結合を含むシクロアルキル基を指す。
【0078】
本明細書で使用される「アリール」または「アレーン」は6〜19(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19;6〜8、6〜10、6〜12、6〜15、10〜15、15〜19)個の炭素原子を含む芳香族単環基または多環基を指す。アリール基としては、以下に限定されないが、非置換または置換フルオレニル、非置換または置換フェニル、および非置換または置換ナフチルのような置換基が挙げられる。
【0079】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」は単環または多環の芳香環系を指し、一部の実施形態では、該芳香環系は、約5〜約15(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15;5〜7、5〜9、5〜10、10〜12、10〜15)の構成要素を有する。この際、環系中の1以上の原子、一実施形態では1〜3(例えば、1、2または3)個の原子はヘテロ原子(すなわち、炭素以外の元素であり、例えば、窒素、酸素、または硫黄が挙げられるがこれらに限定されるわけではない)である。ヘテロアリール基を必要に応じてベンゼン環に融合させてもよい。ヘテロアリール基としては、以下に限定されないが、フリル基、イミダゾリル基、ピリミジニル基、テトラゾリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、キノリニル基およびイソキノリニル基が挙げられる。
【0080】
本明細書で使用される「ヘテロサイクリル」は単環または多環の非芳香環系を指す。該非芳香環系は、一部の実施形態では3〜10(例えば、3、4、5、6、7、8、9、または10)の構成要素を有し、他の実施形態では4〜7(例えば、4、5、6、または7)の構成要素を有し、さらに他の実施形態では5〜6の構成要素を有する。この際、環系中の1以上の原子、特定の実施形態では1〜3(例えば、1、2または3)個の原子はヘテロ原子(すなわち、炭素以外の元素であり、例えば、窒素、酸素、または硫黄が挙げられるがこれらに限定されるわけではない)である。ヘテロ原子が窒素である実施形態では、窒素は必要に応じて、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、ヘテロサイクリル、シクロアルキルアルキル、ヘテロサイクリルアルキル、アシル、グアニジノで置換されているか、または、窒素が四級化されてアンモニウム基を形成していてもよい(この際、置換基は上記から選択される)。
【0081】
本明細書で使用される「ハロ」、「ハロゲン」、または「ハライド」は、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0082】
本明細書で使用される擬ハライドまたは擬ハロ基はハライドと実質的に類似の挙動を示す置換基である。かような化合物をハライドと同様の方法で使用し、取り扱うことができる。擬ハライドとしては、以下に限定されないが、シアニド、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、トリフルオロメトキシおよびアジドが挙げられる。
【0083】
本明細書で使用される「ハロアルキル」は1以上の水素原子がハロゲンで置換されたアルキル基を指す。かような置換基としては、以下に限定されないが、クロロメチル、トリフルオロメチル、および1−クロロ−2−フルオロエチルが挙げられる。
【0084】
本明細書で使用される「スルフィニル」または「チオニル」は−S(O)−を指す。本明細書で使用される「スルホニル」または「スルフリル」は−S(O)2−を指す。本明細書で使用される「スルホ」は−S(O)2O−を指す。
【0085】
本明細書で使用される「カルボキシ」は二価のラジカル、−C(O)O−を指す。
【0086】
本明細書で使用される「アミノカルボニル」は−C(O)NH2を指す。
【0087】
本明細書で使用される「アリールアミノカルボニル」は−C(O)NHR(ただし、Rはフェニルのような低級アリールなどのアリールである)を指す。
【0088】
本明細書で使用される「ヒドロキシカルボニル」は−COOHを指す。
【0089】
本明細書で使用される「アルキレン」は直鎖、分岐または環状の二価の脂肪族炭化水素基を指す。特定の実施形態では直鎖または分岐の二価の脂肪族炭化水素基であり、一実施形態では1〜20(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;1〜2、1〜5、1〜10、6〜10、10〜15、または15〜20)個の炭素を有する。さらに他の実施形態において、アルキレンには低級アルキレンが含まれる。必要に応じて、アルキレン基に沿ってS(=O)およびS(=O)2基などの1以上の酸素、硫黄、または、−NR−基および−N+RR−基などの置換もしくは非置換の窒素原子(この際、窒素の置換基はアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、もしくはCOR’であり、R’はアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−OY、もしくは−NYYであり、Yは水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはヘテロサイクリルである)を挿入してもよい。アルキレン基としては、以下に限定されないが、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)、プロピレン(−(CH2)3−)、メチレンジオキシ(−0−CH2−O−)およびエチレンジオキシ(−O−(CH2)2−O−)が挙げられる。「低級アルキレン」という用語は1〜6(例えば、1、2、3、4、5または6)個の炭素を有するアルキレン基を指す。特定の実施形態において、アルキレン基は1〜3(例えば、1、2または3)個の炭素原子のアルキレンを含む低級アルキレンである。
【0090】
本明細書で使用される「アルケニレン」は直鎖、分岐または環状の二価の脂肪族炭化水素基を指す。一実施形態では直鎖または分岐の二価の脂肪族炭化水素基である。特定の実施形態では2〜約20(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;2〜5、2〜6、2〜10、10〜15、または15〜20)個の炭素原子および少なくとも1つの二重結合を有する。他の実施形態では1〜12(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12;1〜5、2〜6、2〜10、10〜12)個の炭素を有する。さらに他の実施形態において、アルケニレン基には低級アルケニレンが含まれる。必要に応じて、アルケレン基に沿って1以上の酸素、硫黄、または置換もしくは非置換の窒素原子(この際、窒素の置換基はアルキルである)を挿入してもよい。アルケニレン基としては、以下に限定されないが、−CH=CH−CH=CH−および−CH=CH−CH2−が挙げられる。「低級アルケニレン」という用語は2〜6(例えば、2、3、4、5または6)個の炭素を有するアルケニレン基を指す。特定の実施形態において、アルケニレン基は3〜4個の炭素原子のアルケニレンを含む低級アルケニレンである。
【0091】
本明細書で使用される「アルキニレン」は直鎖、分岐または環状の二価の脂肪族炭化水素基を指す。特定の実施形態では直鎖または分岐の二価の脂肪族炭化水素基であり、一実施形態では2〜20個の炭素原子および少なくとも1つの三重結合を有する。他の実施形態では1〜12個の炭素原子を有する。さらに他の実施形態において、アルキニレンには低級アルキニレンが含まれる。必要に応じて、アルキニレン基に沿って1以上の酸素、硫黄、または置換もしくは非置換の窒素原子(この際、窒素の置換基はアルキルである)を挿入してもよい。アルキニレン基としては、以下に限定されないが、-C≡C-C≡C-、−C≡C−、および−C≡C−CH2−があげられる。「低級アルキニレン」という用語は2〜6(例えば、2、3、4、5または6)個の炭素を有するアルキニレン基を指す。特定の実施形態において、アルキニレン基は3〜4個の炭素原子のアルキニレンを含む低級アルキニレンである。
【0092】
本明細書で使用される「アル(ケニ)(キニ)レン(alk(en)(yn)ylene)」は直鎖、分岐、または環状の二価の脂肪族炭化水素基を指す。特定の実施形態では直鎖または分岐の二価の脂肪族炭化水素基であり、一実施形態では、2〜約20(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;2〜5、2〜6、2〜10、10〜15、または15〜20)個の炭素原子および少なくとも1つの三重結合、ならびに少なくとも1つの二重結合を有する。他の実施形態では1〜12(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12;1〜5、2〜6、2〜10、10〜12)個の炭素を有する。さらに他の実施形態において、アル(ケニ)(キニ)レンには低級アル(ケニ)(キニ)レンが含まれる。必要に応じて、アルキニレン基に沿って1以上の酸素、硫黄、または置換もしくは非置換の窒素原子(この際、窒素の置換基はアルキルである)を挿入してもよい。アル(ケニ)(キニ)レン基としては、以下に限定されないが、-C=C-(CH2)n−C≡C-(ただし、nは1または2である)が挙げられる。「低級アル(ケニ)(キニ)レン」という用語は6(例えば、1、2、3、4、5または6)個以下の炭素を有するアル(ケニ)(キニ)レン基を指す。特定の実施形態において、アル(ケニ)(キニ)レン基は約4個(例えば、1、2、3、または4)個の炭素原子を有する。
【0093】
本明細書で使用される「シクロアルキレン」は二価の飽和単環系または多環系を指す。特定の実施形態では3〜10(例えば、3、4、5、6、7、8、9または10;3〜5、3〜6、3〜8、6〜10)個の炭素原子を有し、他の実施形態では、3〜6個の炭素原子を有する。シクロアルケニレンおよびシクロアルキニレンはそれぞれ少なくとも1つの二重結合および少なくとも1つの三重結合を含む二価の単環系または多環系を指す。特定の実施形態においてシクロアルケニレン基およびシクロアルキニレン基は3〜10個の炭素原子とシクロアルケニレン基とを含んでもよい。特定の実施形態においては4〜7個の炭素原子とシクロアルキニレン基とを含む。一部の実施形態では8〜10個の炭素原子を含む。シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、およびシクロアルキニレン基の環構造は1つの環または2以上の環から構成されてよく、これらは融合形態、架橋形態またはスピロ結合形態で結合されうる。
【0094】
「シクロアル(ケニ)(キニ)レン」は少なくとも1つの二重結合を含むシクロアルキル基および少なくとも1つの三重結合を含むシクロアルキル基を指す。
【0095】
本明細書で使用される「アリーレン」は単環または多環の二価の芳香族基を指す。特定の実施形態では単環の二価の芳香族基を指す。一実施形態では5〜約20個の炭素原子および少なくとも1つの芳香環を有する。他の実施形態では5〜12個の炭素を有する。さらに他の実施形態において、アリーレンには低級アリーレンが含まれる。アリーレン基としては、以下に限定されないが、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、および1,4−フェニレンが挙げられる。「低級アリーレン」という用語は6個の炭素数を有するアリーレン基を指す。
【0096】
本明細書で使用される「ヘテロアリーレン」は二価の単環または多環の芳香環系を指す。一実施形態では約5〜約15(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15;5〜8、5〜10、8〜12、または10〜15)個の原子を環中に有する。この際、環系中の1以上の原子、特定の実施形態では1〜3個の原子はヘテロ原子(すなわち、炭素以外の元素であり、例えば、窒素、酸素、または硫黄が挙げられるがこれらに限定されるわけではない)である。「低級へテロアリーレン」という用語は5または6個の炭素原子を環中に有するヘテロアリーレン基を指す。
【0097】
本明細書で使用される「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換シクロアルキル」、「置換シクロアルケニル」、「置換シクロアルキニル」、「置換アリール」、「置換ヘテロアリール」、「置換ヘテロサイクリル」、「置換アルキレン」、「置換アルケニレン」、「置換アルキニレン」、「置換シクロアルキレン」、「置換シクロアルケニレン」、「置換シクロアルキニレン」、「置換アリーレン」、「置換へテロアリーレン」、および「置換へテロサイクリレン」はそれぞれ1以上の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキニレン、シクロアルケニレン、シクロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびへテロサイクリレンを指す。特定の実施形態では1つ、2つ、3つ、または4つの置換基で置換されており、この際、置換基は本明細書で定義されるものであり、一実施形態ではQ1から選択される。
【0098】
本明細書で使用されるイソチオシアネート(ITC)は−N=C=S部位を指す。
【0099】
いかなる置換基であってもその数が特定されない場合(例えば、ハロアルキル)には、1以上の置換基が存在してよい。例えば、「ハロアルキル」は1以上の同一のまたは異なるハロゲンを含みうる。
【0100】
本明細書で使用される任意の保護基、アミノ酸、および他の化合物の略語は他に記載がなければ一般的な使用方法に従って認識される略語、すなわち、IUPAC−IUB生化学命名法(Biochem.11:942〜944頁(1972)を参照)である。
【0101】
(組成物)
本明細書で提供される組成物の組成物および結合体は本明細書で提供される方法のいずれかに有用である。一実施形態においてこの組成物または結合体をインビトロの検出分析で使用しうる。関連する実施形態においてこの組成物および結合体をインビボの診断または検出方法に使用しうる。
【0102】
一実施形態では本明細書で提供される結合体および方法に使用される組成物は、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含む。そして、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0103】
【化21】
【0104】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0105】
【化22】
【0106】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0107】
【化23】
【0108】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0109】
【化24】
【0110】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す。
【0111】
一実施形態において上記の組成物はXがO原子である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。他の実施形態において上記の組成物はR3がCH3である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。特定の実施形態において上記組成物はXがOでありかつR3がCH3である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。
【0112】
一実施形態において上記組成物は式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部分を含み、図1の化合物cs124の化学式を有する。
【0113】
一実施形態において上記組成物はR3がCF3である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。他の実施形態において上記組成物はXがOでありかつR3がCF3である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。
【0114】
特定の実施形態において上記組成物は式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部分を含み、図1の化合物CF3−cs124の化学式を有する。
【0115】
一実施形態において上記組成物はXがN−R1である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。一実施形態において上記組成物はXがN−Hである式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。他の実施形態において上記組成物はR3がCF3である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。特定の実施形態において上記組成物はXがN−HでありかつR3がCF3である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。
【0116】
特定の実施形態において上記組成物は式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部分を含み、図1の化合物3−カルボキシメチルCF3−csl24の化学式を有する。
【0117】
他の実施形態において上記組成物はZがN原子でありかつR4がシクロプロピル部位である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。他の実施形態において上記組成物はR5が化学式COOHを有する有機酸部位である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。他の実施形態において上記組成物はZがN−R4でありかつR4がシクロプロピル部位でありかつR5が化学式COOHを有する有機酸部位である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。他の実施形態において上記組成物はR6がF原子である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。関連する実施形態において上記組成物はZがN−R4でありかつR4がシクロプロピル部位でありかつR5が化学式COOHを有する有機酸部位でありかつR6がF原子である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。
【0118】
特定の実施形態において上記組成物は式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部分を含み、図1に図示されるような化合物シプロフロキサシンの化学式を有する。
【0119】
多様な実施形態において上記組成物のいずれかはキレート部位を含む。キレート部位は、以下に限定されないが、例えば、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aでありうる。
【0120】
特定の実施形態において上記組成物はキレート部位EDTAを含む。他の実施形態において上記組成物はキレート部位DPTAを含む。
【0121】
一部の実施形態において上記組成物は第一リンカー部位および第二リンカー部位、または第一リンカー部位もしくは第二リンカー部位を有する。一部の実施形態において上記組成物は第一リンカー部位および第二リンカー部位、または第一リンカー部位もしくは第二リンカー部位を有し、この際、第一リンカー部位および第二リンカー部位、または第一リンカー部位もしくは第二リンカー部位は独立して化学式−NH−を有する。他の実施形態において上記組成物は第一リンカー部位および第二リンカー部位、または第一リンカー部位もしくは第二リンカー部位を有し、この際、第一リンカー部位および第二リンカー部位、または第一リンカー部位もしくは第二リンカー部位は独立して化学式N2C4H8を有するヘテロ環状アルキレン部位を有し、共有結合がN原子を介して生じる。
する。
【0122】
一部の実施形態においてキレート部位は増感剤部位の一方もしくは両方または第一リンカー部位および第二リンカー部位の一方もしくは両方にキレート部位のN原子を介して共有結合する。他の実施形態においてキレート部位は増感剤部位の一方もしくは両方または第一リンカー部位および第二リンカー部位の一方もしくは両方にキレート部位のカルボニル基を介して共有結合する。
【0123】
他の実施形態において上記組成物は増感剤部位の一方または両方に共有結合する第三リンカー部位を有する。一部の実施形態において第三リンカー部位は増感剤部位の一方または両方のR2部位で共有結合する。一部の実施形態において第三リンカー部位は7位で増感剤部位の一方または両方に共有結合する。一部の実施形態において第三リンカー部位は化学式−(CH2)n−を有し、nは1〜20(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;1〜3、1〜4、1〜5、1〜8、1〜10、5〜10、5〜12、5〜15、10〜15、15〜20)の整数である。特定の実施形態において第三リンカー部位は化学式−(CH2)n−を有し、nは4である。当然のことながら、リンカー部位の長さは上記組成物に共有結合しうるマクロ分子などの様々な因子(ただしこれに限定されるわけではない)に依存するであろう。
【0124】
付加的な実施形態において第三リンカーを含む上記組成物のいずれかはさらに、第三リンカーを介して、結合基にさらに共有結合しうる。かような結合基は組成物を例えばマクロ分子(例えば、核酸またはポリペプチド)に共有結合(すなわち、連結)させるのに有用である。
【0125】
特定の実施形態において結合基は化学式−S=C=N−または−C(O)−CH2−Brを有する。
【0126】
一部の実施形態において上記組成物のいずれかは金属イオンをさらに含有しうる。特定の実施形態において金属イオンは三価の金属イオンである。特定の実施形態において金属イオンは、以下に限定されないが、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)でありうる。特定の実施形態において金属イオンはランタニドである。一部の実施形態において金属イオンはTb(III)またはEu(III)(本明細書ではそれぞれTb3+またはEu3+とも称される)でありうる。
【0127】
(化合物の調製)
本明細書で提供される医薬組成物および方法に使用される組成物は、本明細書に示す方法によって、または適切な出発材料を用いてこの方法の所定の手順を修正することによって調製しうる。本明細書に記載される組成物を生成するための特定の方法を以下に後述する実施例で詳述する(実施例1、2、および4を参照)。
【0128】
(インビトロ検出方法)
本明細書によればプローブを用いた標的のインビトロ検出方法および前記インビトロ検出方法に有用な組成物が提供される。本方法は、サンプルと、標的に対して親和性のある標的プローブ部位を含むルミネッセンスプローブ組成物とを接触させる工程と;前記ルミネッセンスプローブ組成物から発生する信号を検出する工程と;を含む。この際、前記標的プローブ部位はルミネッセンスキレート組成物に共有結合しており、前記キレートルミネッセンス組成物は、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0129】
【化25】
【0130】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0131】
【化26】
【0132】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0133】
【化27】
【0134】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0135】
【化28】
【0136】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示し;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており;
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される。
【0137】
場合によっては、本方法および組成物は、科学的研究、例えば、新規なタンパク質または公知のタンパク質(例えば、NF−κBもしくはp53)の細胞内局在性(例えば、核局在化または細胞質局在性)の確認に有用となりうる。本方法および組成物は、例えば、感染能(または感染予防)の研究においてウイルス、細菌、または他の感染性微生物による細胞感染を検出するのにも有用となりうる(例えば、Tardifら、J Virol.77(22):12299〜309頁(2003)を参照)。本検出方法の他の研究用途としては、細胞または組織で発現するような特定のポリペプチドの存在の検出がある。ポリペプチドの発現はタンパク質またはmRNA発現でありうる。そして、適切な結合体(例えば、ルミネッセンスキレートおよび抗体または核酸の結合体)を用いたこれらの分別検出を以下に詳述する。
【0138】
本方法および組成物は、細胞選別(例えば、蛍光補助細胞選別(FACS))、クロマトグラフィー、または電気泳動による分離、浸透圧による分離もしくは遠心分離などの分離手段(ただし、これらに限定されない)と併用する場合にも有用となりうる。
【0139】
インビトロ検出方法および組成物は、例えば、サンプル中に存在する疾患バイオマーカーの検出またはスクリーニングのための診断分析または試験にも有用となりうる。かような組成物および方法は被験患者の分析を通して患者を診断するために(例えば、ウイルス感染もしくは細菌感染の証拠またはガン細胞の存在を検出するために)使用されうる(例えば、Boshellら、Biomedica 22(l):30〜38頁(2002)を参照)。サンプル(例えば、被検体(例えば、ヒト患者)から得られるまたは提供されるサンプル)は血液、尿、リンパ液、脳脊髄液、羊水、膣液、精液および便のサンプルでありうると考えられる。サンプルは切除組織または針生検などの生検材料から得られるか提供されてもよい。外科病理学用の組織断片調製物は標準的な手法を用いて凍結および調製されうる。組織断片の免疫組織化学およびインサイチュー(in situ)ハイブリダイゼーション結合分析を固定細胞中で実施する(下記参照)。細胞を遠心分離のように流体サンプルから分離してもよい。組織サンプルを得るために他の多数の手法を利用することができ、これらは当業者によく知られている。例えば、試験サンプルはシリンジやスワブによって流体を取り除くというような方法によって得られうる。
【0140】
本組成物および方法の一部の実施形態において、ルミネッセンス部位に共有結合したプローブ部位は抗体、または抗体の抗原結合フラグメントである。注目する特定の標的抗原に結合する抗体または抗体フラグメントは、例えば動物を用いた免疫処置によって、またはファージ提示のようなインビトロ法によって生成されうる。本明細書で使用される「標的抗原」は特定の抗体が認識するエピトープを有する抗原を指す。
【0141】
抗体によるプローブおよびこれらのルミネッセンス結合体を用いた本発明の画像化方法は様々な様式の検出を包含する。一実施形態では、免疫組織化学手法を使用することにより、結合抗体によって認識される1以上の抗原を用いて細胞を同定および実質的に染色することができる。かような「染色」により、例えば、細胞のウイルスまたは細菌感染の分析(例えば、抗体が細菌またはウイルス抗原中のエピトープを特異的に認識する場合)や正常細胞対ガン細胞の確認(例えば、抗体が正常細胞またはガン細胞(例えば、メラノーマ抗原(MAGE)を発現するガン細胞)中で特異的に発現するエピトープを認識する場合)が可能となる。生細胞または固定細胞は、標的抗原(例えば、抗MAGE抗体)に特異的な抗体と接触することができ、この際、標的抗原(例えば、MAGE)が標的細胞(例えば、メラノーマ細胞)中に存在する場合には抗体により認識され結合される。一次抗体(すなわち、抗原(例えば、MAGE抗原)を特異的に認識する抗体)を1以上のルミネッセンス部位を用いて直接的に検出可能に標識(共有結合)することができる。あるいは二次(抗IgG)抗体や、例えば、1以上のルミネッセンス部位を用いて検出可能に標識(共有結合)されたプロテインAまたはプロテインGを用いて検出を行うこともできる。
【0142】
試験サンプル中のポリペプチドの検出は常用のものであり、当業者であればよく知られた方法を用いてタンパク質または抗体の存在または非存在を検出することができる。他の実施形態において本明細書に記載される抗体プローブ結合体を免疫測定法で使用してサンプル中の抗原の存在を検出することができる。一部の実施形態によれば免疫測定はサンプル中のタンパク質がプラスチック表面のような固相担体に結合できるようにすることを含む。続いて検出可能に標識された抗体(すなわち、ルミネッセンス部位に結合した抗体)を添加し、この同族抗原に選択的に結合させる。検出可能な(すなわち、ルミネッセンス標識された)抗体の検出はサンプル中の抗原の存在を示す。検出可能な抗体は標識されたまたは非標識の抗体でありうる。非標識の抗体は、一次抗体に特異的に結合する標識された二次抗体、または標識された、抗体と複合化するタンパク質であるプロテインAを用いて検出されうる非標識の二次抗体を使用することにより検出することができる。多様な免疫測定の手順は、例えば、Vollerら、Eds.,University Park、1981に記載されており、この文献は本明細書によりその全体が参照により引用される。固相担体を試験サンプルに接触させるように免疫測定を行ってもよい。試験サンプル中に存在するタンパク質はいずれも固相担体を結合させ、特定の検出可能な抗体調製物によって検出することができる。かような手法の例としては、ドットブロット法、ウェスタンブロット法、および他の類似の異なる分析法が挙げられる。ウェスタンブロット手法は、例えば、Sambrook,J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)に記載されている。
【0143】
他のより複雑な免疫測定としては、例えば、タンパク質の検出のための「サンドイッチ」分析があり、この分析では、固相担体に結合した第一の抗タンパク質抗体を試験サンプルに接触させる。好適なインキュベーション期間の後、固相担体を洗浄して非結合タンパク質を除去する。続いて、一次抗体によって認識されない特異的タンパク質の部分に対して特異的である異なる抗タンパク質二次抗体を添加する。この場合には、ルミネッセンス部位を用いて二次抗体を検出可能に標識することが好ましい。検出可能な抗体と一次抗体を介して固相担体に結合した特異的タンパク質とが複合化できるようにするための第二のインキュベーション期間の後に、固相担体に二回目の洗浄を行い、非結合の検出可能な抗体を除去する。あるいは、二次抗体は検出可能でなくてもよい。この場合には、二次抗体も特異的に結合し(一次抗体には結合しない)第三の検出可能な抗体を系に添加する。
【0144】
この種の分析から得られる結果は単純なイエス/ノーの答えでありうるか、例えば、(a)「優」、「良」、「可」、「不可」、および/もしくは「不良」のうちの1つ以上;(b)「非常に高い」、「高い」、「普通」、「低い」、および/もしくは「非常に低い」のうちの1つ以上;または(c)「+++++」、「++++」、「+++」、「++」、「+」、「+/−」、および/もしくは「−」のうちの1つ以上として表現されうる。この点で本分析は定性分析である。あるいは、本分析の結果は、検出可能な抗体の量を対照として得られたものと比較することによって定量的なものとすることができる。かような分析の例は、Wideら、Radioimmune Assay Method,Kirkham,Ed.,E.&S.Livingstone,Edinburgh、1970、199〜206頁に記載されており、この文献は本明細書によりその全体が参照により引用される。他の種類の免疫測定としては、「同時」、「リバース」分析がある。
【0145】
免疫測定の第一構成要素をニトロセルロースまたはタンパク質を固定できる他の固相担体に添加する。本明細書で使用される「固相担体」または「担体」はタンパク質を結合させることができる任意の材料を指す。よく知られた固相担体としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然セルロースまたは修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、および磁鉄鉱がある。担体の性質は、本発明の目的では、ある程度可溶性であるか、または不溶性であるかのどちらであればよい。担体の立体配置は、ビーズ(例えば、アガロース、セファロース、もしくは磁気ビーズ)のように球状であってもよいし、試験管の内側表面や棒材の外側表面のように円筒状であったもよい。当業者であればタンパク質を結合するための他の多数の好適な「固相担体」を知っているであろう。例えば、好適な固相担体は、96または386ウェルのマイクロタイタープレートである。
【0146】
タンパク質特異的抗体、その抗原結合フラグメント、またはこれらの誘導体の検出は、例えば蛍光増感剤部位の一方または両方を検出しようとする場合には蛍光光度計を用いて、あるいは、例えばルミネッセンス部位からの発光を検出しようとする場合には照度計を用いて、行うことができる。試験分析と並行して実施する分析物に既知量の1以上の抗原を加えるというようなポジティブ対照およびネガティブ対照を行ってもよい。当業者であれば適切な対照を行うのに必要な知識を持っているであろう。
【0147】
あるいは、一部の実施形態では、プローブ部位は細胞受容体のリガンドでありうる。本明細書に記載されるルミネッセンス部位に結合することができ、かつ本方法に有用であるようなリガンドの例としては、以下に限定されないが、サイトカイン(例えば、インターフェロン(例えば、IFN−ガンマ)、IL−2サブファミリーサイトカイン、IL−10サブファミリーサイトカイン、IL−1サブファミリーサイトカイン、IL−17サブファミリーサイトカイン、および腫瘍壊死因子);成長因子(PDGF、EGF、TGF−アルファ、FGF、NGF、エリトロポエチン、TGF−ベータ、IGF−I、IGF−II、G−CSF、GM−SCF、トロンボポイエチン、およびミオスタチン);ならびにウイルスまたはウイルスタンパク質(例えば、ウイルス表面タンパク質もしくはウイルス外殻タンパク質、たとえばHIV−1のgp16Oもしくはp24)が挙げられる。他の実施形態では、リガンドは小分子(例えば、アンドロゲン(例えば、アンドロゲン受容体に結合するためのテストステロン)、エストロゲン、プロゲストロン、グルココルチコステロイド、またはコルチコステロイド)であってもよい。小分子がオーファン化合物(すなわち、既知の機能を有するが同定された細胞標的を有さない化合物)である場合、本方法を使用してオーファン化合物の細胞標的(例えば、その化合物の酵素標的)を同定することができる。
【0148】
リガンドを介した(ligand−based)ルミネッセンス結合体の好適な検出方法は当業者によく知られており、上記した方法の一部が含まれる。端的にいうと、リガンド結合体を、リガンドとその同属受容体との結合が可能となるのに十分な時間、サンプルに添加した後に、ルミネッセンス部位からの発光または蛍光増感剤部位の一方または両方からの蛍光発光を検出することができる。場合によっては、リガンドは非標識の抗体であってもよく、検出可能に標識された抗体(上記のものなど)を使用してリガンドの存在を検出することも可能である。
【0149】
一部の実施形態において、プローブ部位は核酸(例えば、RNAまたはDNA)である。ルミネッセンス結合(luminescently conjugated)核酸への好適な使用法としては、例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)法、分岐オリゴヌクレオチド法、ノーザンブロット法およびサザンブロット法、インサイチュー(in situ)ハイブリダイゼーション法(例えば、蛍光インサイチュー(in situ)ハイブリダイゼーション(FISH))、ならびにオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法(ただしこれらに限定されない)などのmRNA塩基配列検出法がある。
【0150】
サンプル(例えば、ヒトガン患者サンプル)から得られる遺伝物質中の特定のmRNA転写物を検出する方法の一つは、分岐鎖オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション分析を使用する。分岐鎖オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションは米国特許第5,597,909号明細書、米国特許第5,437,977号明細書、および米国特許第5,430,138号明細書に記載されているように実施すればよい。
【0151】
他の実施形態において、本明細書に記載されたルミネッセンス結合核酸プローブを用いたサンプル中のmRNA転写物の検出には、ノーザンブロット分析を使用する。ノーザンブロット分析の実施手法は当業者によく知られており、Sambrook, J. ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)に記載されている。mRNA抽出、mRNAの電気泳動による分離、ブロット、プローブ調製、およびハイブリダイゼーションはいずれも容易に入手可能な出発材料を用いて日常的に実施可能である周知技術である。
【0152】
本発明に採用される特定のmRNA転写物の存在を検出する他の方法は、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法を使用する。オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法は当業者に周知である(以下に詳細に記載する)。端的にいうと、特定のヌクレオチド配列を含有する検出可能なプローブはmRNA転写物のヌクレオチド配列にハイブリダイズするであろう。一実施形態において、サンプルから得られるRNAから作られるRNAまたはcDNAを、例えば、濾紙に固定する。次に、プローブを添加し、プローブが固定された遺伝物質を十分に補完する場合に限りハイブリダイゼーションを可能とする条件下に維持する。条件はプローブを洗い落とすほどに十分に厳格であり、プローブの一部分のみが固定された材料にハイブリダイズする。洗浄されたフィルター上のプローブの検出は相補配列を示す。かような方法に有用なプローブとしては相補的DNAのオリゴヌクレオチドの少なくとも18のヌクレオチドがあり、標的mRNA転写物の完全な相補配列と同じ大きさでありうる。一部の好適な実施形態において、本発明のプローブは30〜200のヌクレオチドであり、好ましくは40〜100のヌクレオチドである。プローブは標的mRNA配列に対して固有の配列を含有することが好ましい。ハイブリダイゼーション条件は完全に相補的でないハイブリダイゼーションによるバックグランド信号を最小化するために日常的に最適化されうる。一部の好適な実施形態において、プローブは全長クローンである。プローブは少なくとも15のヌクレオチド、好ましくは30〜200の、より好ましくは40〜100のヌクレオチドフラグメントであり、完全なmRNA転写物でありうる。
【0153】
オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法は、均質化された組織サンプル中のmRNA転写物および体液サンプル中の細胞の検出に有用である。さらに、多数の検出方法(本明細書に記載された方法および他の好適な検出法の両方を含む)を特定の分析に組み込むことができる。例えば、免疫組織化学分析のような手法を1以上のポリペプチド産物がサンプル中の細胞に存在するかどうかを決定するために実施してもよいし、例えば、RT−PCRまたはノーザンブロット分析を使用してポリペプチドをコードするmRNAの存在を検出するために実施してもよい。
【0154】
ルミネッセンスで標識されていない核酸の付加的な実施形態を以下の「核酸プローブとしての結合体の使用」という欄で詳細に記載する。
【0155】
(インビボ検出法)
本発明では、組成物およびプローブ(例えば、被検体の内部または上部の標的)を用いた標的のインビボ検出方法についても取り上げる。本方法は、標的に対して親和性のある標的プローブ部位を含むルミネッセンスプローブ組成物を被検体に輸送する工程と;前記ルミネッセンスプローブ組成物から発生する信号を検出する工程と;を含む。この際、前記標的プローブ部位はルミネッセンスキレート組成物に共有結合しており、前記キレートルミネッセンス組成物は、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0156】
【化29】
【0157】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0158】
【化30】
【0159】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0160】
【化31】
【0161】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0162】
【化32】
【0163】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示し;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており;
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される。
【0164】
検出方法は本明細書に記載された方法のいずれであってもよく(「組成物のルミネッセンスおよび/または蛍光の検出」を参照)、例えば、フルオロスコープ、ルミノスコープ、核磁気共鳴断層撮影(MRI)、またはコンピュータ断層撮影(CTスキャン)を使用して実施することができる。
【0165】
本方法は、腫瘍抗原(例えば、MAGE−1、MAGE−3、MUC1、FAP−α、テネイシン、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)、pl85HER2、Her−2/Neu、もしくはCA−125)、心疾患のバイオマーカー(例えば、CK、CK−MB、ミオグロビン、心筋トロポニン、LDH、AST、Hs−CRP、もしくはBNP)、または神経疾患のバイオマーカー(例えば、タウ、トランスサイレチン、もしくはアルファシヌクレイン)などのバイオマーカーのインビボ診断において有用となりうる。バイオマーカーは核酸(例えばmRNA)またはタンパク質(例えば、細胞によるタンパク質発現)の両方を含む。本方法を一時点で使用する場合(すなわち、1つの個別測定用途)、本方法を使用することで疾患(例えば、ガン、心疾患、微生物感染、または神経疾患)の有無を検出することができる。あるいは、本方法を特定の被検体に長時間繰り返す場合(すなわち、同一被検体における種々の時点のバイオマーカー検出)、本方法を使用することで被検体における疾患の状態の進行を検出または定量化(例えば、疾患のバイオマーカーの増加または減少に基づく疾患の悪化または改善の検出)が可能である。例えば、最初にメラノーマに検出されたMAGE−1の量に比べてより多くのMAGE−1が二回目の時点でメラノーマ中に検出される場合、このことはメラノーマが進行している兆候となりうる。
【0166】
本方法は、被検体中のプローブをひきつける特定の標的の場所を確認または画像化するのにも有用となりうる。例えば、プローブの標的が腫瘍細胞上または腫瘍細胞中で発現される抗原である、すなわち真正な(bona fide)腫瘍抗原である場合、本方法を使用することで被検体中の腫瘍の場所を突き止める(例えば、転移性腫瘍細胞または細胞のコロニーを発見する、検出する、または確認する)ことができる。本方法は、例えば検出静脈造影による被検体中の血栓または血栓症の検出にも有用となりうる。
【0167】
本方法の他の使用法は、心臓負荷試験、肺スキャン、肺血管造影、およびスパイラル(ヘリカル)コンピュータ断層撮影(CT)スキャンでありうる。
【0168】
被検体としては本明細書に記載される任意の被検体であってよい。
【0169】
本明細書に記載される結合プローブのすべてをインビボ法に使用することができる。例えば、本方法で有用なルミネッセンスプローブ組成物としては、プローブが例えば、抗体、リガンド、小分子、または核酸である組成物がある。好適なプローブは、プローブを引きつける標的分子の種類によって異なるであろう。
【0170】
プローブ部位が抗体である場合、(例えば、目的とする被検体がヒトであるときに)抗体プローブを部分的にヒト化するまたは完全にヒト化するのに有用となりうる。本発明の結合抗体または抗原結合フラグメントをインビトロ用途またはインビボ用途に一層適合化させるような方法で修飾してもよい。欧州特許第239400号明細書(Winterら)には、ある種類のCDRを他の種類のもので(特定の可変領域の範囲内で)置換することによる抗体の変性が記載されている。CDR置換抗体は非ヒトの構成要素の含有量が著しく少ないため、CDR置換抗体は真性キメラ抗体に比べてヒトにおける免疫応答を引き起こす傾向が小さくなりうる。Riechmannら、Nature 332、323〜327頁、1988;VerhoeyenらScience 239、1534〜1536頁、1988を参照されたい。通常は、組換え核酸技術を用いてマウス抗体のCDRsをヒト抗体中の対応領域に置換し、所望の置換抗体をコードする配列を生成する。所望のアイソタイプのヒト定常領域の遺伝子断片(例えば、CHのためのガンマIおよびCLのためのカッパ)を加えることができ、そして、ヒト化重鎖および軽鎖遺伝子を哺乳類細胞中で共発現させることで可溶性ヒト化抗体を生成することができる。
【0171】
国際公開第90/07861号パンフレットには、本来のマウス抗体のV領域フレームワークへの最適なタンパク質配列の相同性についてのコンピュータ分析を行うことによりヒトVフレームワーク領域を選択する工程、およびマウスV領域の三次構造をモデル化してマウスCDRsと相互作用する可能性が高いフレームワークアミノ酸残基を可視化する工程を含む方法が記載されている。次に、これらのマウスアミノ酸残基を相同ヒトフレームワークに重ね合わせる。米国特許第5,693,762号明細書;米国特許第5,693,761号明細書;米国特許第5,585,089号明細書;および米国特許第5,530,101号明細書も参照されたい。Tempestら、Biotechnology 9、266〜271頁、1991では、標準として、NEWMおよびREI重鎖および軽鎖由来のV領域フレームワークをそれぞれ、ラジカル導入を伴わないCDR移植のために使用する。NEWMおよびREIによるヒト化抗体の構築のためのTempestらの取り組みを使用することによる利点は、NEWMおよびREI可変領域の三次元構造をX線結晶学から知ることにより、CDRsとV領域フレームワーク残基との間の特異的相互作用をモデル化することができることである。
【0172】
非ヒト抗体を修飾して、ヒト免疫グロブリン配列、例えば、コンセンサスヒトアミノ酸残基を特定の位置、例えば、1以上(好ましくは少なくとも5、10、12、または全て)の下記の位置:(軽鎖の可変ドメインのフレームワーク中の)4L、35L、36L、38L、43L、44L、58L、46L、62L、63L、64L、65L、66L、67L、68L、69L、7OL、71L、73L、85L、87L、98L、ならびに/または重鎖の可変ドメインのフレームワーク中の)2H、4H、24H、36H、37H、39H、43H、45H、49H、58H、6OH、67H、68H、69H、7OH、73H、74H、75H、78H、91H、92H、93H、および/もしくは103H(Kabatナンバリングに従う)に挿入するというような置換を含めてもよい。例えば、米国特許第6,407,213号明細書を参照されたい。
【0173】
V2−CNDポリペプチドに結合する完全なヒトモノクローナル抗体は、例えば、Boernerら、J.Immunol.、147、86〜95頁、1991に記載されるようなインビトロで感作されたヒト膵細胞を使用することにより産生されうる。これらをPerssonら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、88:2432〜2436頁、1991またはHuangおよびStollar、J.Immunol.Methods 141、227〜236、1991;および米国特許第5,798,230号明細書に記載されるようなレパートリークローニングにより調製してもよい。大きな非免疫ヒトファージ提示ライブラリーを使用して、標準的なファージ技術を用いてヒト治療法として発現しうる高親和性抗体を分離してもよい(例えば、Vaughanら、1996;Hoogenboomら、Immunotechnology4:1〜20頁、(1998);およびHoogenboomら、Immunol Today 2:371〜8頁(2000);米国特許出願公開2003−0232333号明細書を参照)。
【0174】
本明細書で使用される「免疫グロブリン可変ドメイン配列」は、免疫グロブリン可変ドメインの構造を形成しうるアミノ酸配列を指す。例えば、前記配列は自然発生の可変ドメインのアミノ酸配列の全部または一部を含みうる。例えば、前記配列は1、2またはそれ以上のN−もしくはC−末端アミノ酸や内部アミノ酸を省略してもよいし、1以上の挿入物または付加的な末端アミノ酸を含んでもよいし、あるいは他の改変部を含んでいてもよい。一実施形態において、免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むポリペプチドは他の免疫グロブリン可変ドメイン配列と連携することができ、これにより標的結合構造(または「抗原結合部位」)、例えばV2−CNDポリペプチドと相互作用する構造を形成する。
【0175】
抗体のVHまたはVL鎖は重鎖または軽鎖定常領域の全部または一部をさらに含んでいてもよく、これによりそれぞれ免疫グロブリン重鎖または軽鎖を形成する。一実施形態において、抗体は2本の免疫グロブリン重鎖および2本の免疫グロブリン軽鎖の四量体である。免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖はジスルフィド結合により結合しうる。重鎖定常領域は通常3つの定常ドメイン、CH1、CH2、およびCH3を含む。軽鎖定常領域は通常CLドメインを含む。重鎖および軽鎖の可変領域は抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は通常、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および従来の補体系の第1成分(C1q)などのホスト組織または因子への抗体の結合を仲介する。
【0176】
抗体の1以上の領域は、ヒトであってもよいし、機能上効果のあるヒト(effectively human)であってもよいし、またはヒト化されていてもよい。例えば、1以上の可変領域はヒトであるか、または効果上はヒトでありうる。例えば、1以上のCDRs、例えば、重鎖(HC) CDRl、HC CDR2、HC CDR3、軽鎖(LC) CDRl、LC CDR2、およびLC CDR3はヒトでありうる。軽鎖CDRsのいずれかはヒトでありうる。HC CDR3はヒトでありうる。1以上のフレームワーク領域(FR)はヒトでありうる。例えば、HCまたはLCのFRl、FR2、FR3、およびFR4はヒトでありうる。一部の実施形態においてフレームワーク領域のすべてがヒトである。例えば、ヒト体細胞(例えば、免疫グロブリンまたは非造血細胞を産生する造血細胞)に由来するフレームワーク領域のすべてがヒトである。一実施形態において、ヒト配列は、例えば、生殖核酸によりコードされる生殖細胞配列である。1以上の定常領域はヒトであってもよいし、機能上効果のあるヒトであってもよいし、またはヒト化されていてもよい。他の実施形態において、フレームワーク領域(例えば、FR1、FR2およびFR3の集合としてもしくはFR1、FR2、FR3、およびFR4の集合として)または抗体全体のうちの少なくとも70、75、80、85、90、92、95、または98%はヒトであってもよいし、機能上効果のあるヒトであってもよいし、またはヒト化されていてもよい。例えば、FR1、FR2、およびFR3の集合は、ヒト生殖セグメントによりコードされるヒト配列と少なくとも70、75、80、85、90、92、95、または98%が一致しうる。
【0177】
「機能上効果のあるヒト」免疫グロブリン可変領域は、免疫グロブリン可変領域が正常なヒトの免疫原性応答を引き出さないために十分な数のヒトフレームワークアミノ酸位置を含む免疫グロブリン可変領域である。「機能上効果のあるヒト」抗体は、抗体が正常なヒトの免疫原性応答を引き出さないために十分な数のヒトアミノ酸位置を含む抗体である。
【0178】
「ヒト化」免疫グロブリン可変領域は、修飾された形態が非修飾の形態に比べてヒトの免疫応答を引き出さないように修飾された免疫グロブリン可変領域である。例えば、免疫グロブリン可変領域が正常なヒトの免疫原性応答を引き出さないために十分な数のヒトフレームワークアミノ酸位置を含むように修飾された免疫グロブリン可変領域である。「ヒト化」免疫グロブリンについての説明は、例えば、米国特許第6,407,213および米国特許第5,693,762にある。場合によっては、ヒト化免疫グロブリンは1以上のフレームワークアミノ酸位置に非ヒトアミノ酸を含みうる。
【0179】
抗体の全部または一部を免疫グロブリン遺伝子またはそのセグメントによりコードしてもよい。代表的なヒト免疫グロブリン遺伝子としては、カッパ、ラムダ、アルファ(IgA1およびIgA2)、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子がある。完全長の免疫グロブリン「軽鎖」(約25Kdまたは214アミノ酸)は可変領域遺伝子によりNH2−末端で(約110アミノ酸)、およびカッパまたはラムダ定常領域遺伝子によりCOOH−末端でコードされる。完全長の免疫グロブリン「重鎖」(約50Kdまたは446アミノ酸)は同様に、可変領域遺伝子(約116アミノ酸)および他の上記定常領域遺伝子のうちの1つ(例えば、ガンマ)(約330アミノ酸をコード)によりコードされる。
【0180】
完全長抗体の「抗原結合フラグメント」という用語は、注目する標的に特異的に結合する能力を保有する完全長抗体(すなわち、GFRアルファ3)の1以上のフラグメントを指す。完全長抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に包含される結合フラグメントの例としては、(i)Fabフラグメント、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合されている2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一群のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Wardら、Nature 341:544〜546頁(1989));ならびに(vi)機能性を保有する分離された相補性決定領域(CDR)がある。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVLおよびVHは個別の遺伝子によってコードされるが、これらは、組換え法を用いて合成リンカーによって結合させることができる。この合成リンカーにより、これらを、VL領域およびVH領域のペアが一本鎖Fv(scFv)として知られる一価性分子を形成するような単一のタンパク質鎖として作成することが可能となる。Birdら、Science 242:423〜426頁(1988);およびHustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879〜5883頁(1988)を参照されたい。
【0181】
(医薬組成物および組成物の輸送方法)
本発明は、本明細書に記載される組成物のいずれかまたは薬学的に許容可能なこれらの塩を含有する医薬組成物をも提供する。この際、この組成物は、薬学的に許容可能なその担体、希釈剤または賦形剤と共に、プローブに共有結合している。
【0182】
本明細書に記載される化学組成物のいずれかが医薬組成物に組み込まれうる。かような医薬組成物は通常、化学組成物および薬学的に許容可能な担体を含む。本明細書に使用される「薬学的に許容可能な担体」という語は、医薬投与に適合した、溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤、抗真菌剤、等張性剤および吸収遅延剤などを包含する。本発明の化学組成物は、シロップ、エリキシル、懸濁液、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、水溶液、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、エマルジョンなどの形態で医薬組成物として配合されうる。補助的な活性化合物も医薬組成物に組み込んでよい。
【0183】
医薬組成物は目的とする投薬経路に適合するように配合される。投薬経路の例としては、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口(例えば吸入)投与、経皮(局所)投与、経粘膜投与、および経直腸投与が挙げられる。非経口投与、皮内投与、または皮下投与に使用される溶液または懸濁液は、下記の構成要素:注射用蒸留水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒のような滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩(phosphate)のような緩衝液;および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張度調節剤を含みうる。pHは塩酸や水酸化ナトリウムのような酸または塩基を用いて調節されうる。非経口調製物はガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器、または、多重投与用バイアル中に封入することができる。
【0184】
注射可能に適した医薬組成物は、注射可能な溶液または分散液の即時調製用の滅菌水溶液(水溶性)または分散液および滅菌粉末を含む。静脈内投与に好適な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL3(BASF、Parsippany、NJ.)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)がある。いかなる場合も、組成物は無菌である必要があり、かつ容易に注射可能な程度の流体であるべきである。これは、製造および貯蔵の条件下で安定であるべきであり、かつ細菌や真菌のような微生物の混入を防止する必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロプレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)ならびにこれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒でありうる。レシチンのような被覆剤の使用によって、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。微生物作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、等張性剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましいであろう。吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含有することにより、注射可能な組成物の吸収を延長することができる。
【0185】
滅菌の注射可能な溶液の調製は、必要な量の本明細書に記載される化学組成物のいずれかを、適切な溶媒中に、必要に応じて上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせと共に組み込んだ後に濾過滅菌することにより行うことができる。一般に、分散液の調製は、塩基性分散媒および上記に列挙したものの必要とされるその他の成分を含有する滅菌媒体(vehicle)中に化学組成物を組み込むことにより行われる。滅菌の注射可能な溶液の調製用滅菌粉末の場合、調製方法としては、あらかじめ滅菌濾過されたこれらの溶液から、活性成分と任意の付加的な所望の成分との粉末を得る真空乾燥または冷凍真空乾燥がありうる。
【0186】
経口医薬組成物は一般に、不活性な希釈剤または食用担体を含む。経口の治療的投与の目的で、化学組成物は賦形剤と組み合わせることができ、錠剤、トローチまたはカプセル(例えばゼラチンカプセル)の形態で使用することができる。経口医薬組成物を、うがい薬として使用される液体担体を用いて調製することもできる。薬学的に適合する結合剤およびまたはアジュバント材料を組成物の一部として含んでもよい。錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは下記の成分または類似の性質を有する化合物のいずれかを含有してもよい:
微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたゼラチンのような結合剤;デンプンまたはラクトースのような賦形剤;アルギン酸、プリモゲル、またはとうもろこしデンプンのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロテスのような潤滑剤;コロイドシリコンジオキシドのような流動促進剤;スクロースまたはサッカリンのような甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ風味料のような風味剤。
【0187】
粉末および錠剤は1%〜95%(w/w)の化学組成物を含有する。特定の実施形態において、化学組成物は5%〜70%(w/w)の範囲である。好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。「調製物」という用語は、カプセルを形成するような担体としての封入材料と共に化学組成物の製剤を含むことを意図する。この際、このカプセル中では、他の担体の有無にかかわらず前記化学組成物は担体に取り囲まれ、このようにして担体はそれと結合している。同様にして、カシェ剤およびロゼンジを含む。錠剤、粉末、カプセル、ピル、カシェ剤、およびロゼンジを経口投与に適する固体投薬形態として使用することができる。
【0188】
経口使用に適した水溶液は、化学組成物を水に溶解し、かつ好適な着色剤、香味料、安定剤、および増粘剤を所望により添加することにより調製されうる。経口使用に適した水性懸濁液は、微細な活性成分を、天然ゴムもしくは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁剤のような粘性材料と共に水中に分散することによって製造することができる。
【0189】
吸入による投与については、化学組成物をエアゾールスプレーの形態で、好適な噴射剤、例えば、二酸化炭素のような気体を含む加圧容器もしくはディスペンサーまたはネブライザーから輸送する。
【0190】
全身投与は経粘膜手段または経皮手段によるものであってもよい。経粘膜投与または経皮投与については、浸透されるべきバリアーに適した浸透剤を製剤中に使用する。かような浸透剤は一般に当該技術分野で公知であり、例えば、経粘膜投与では洗浄剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻腔用スプレーまたは坐薬の使用を通じて実現することができる。経皮投与では、活性化合物を一般に当該技術分野で公知であるような軟膏、膏薬、ゲル、またはクリーム中に配合する。
【0191】
化学組成物を、直腸輸送のために(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドのような慣用の坐剤基剤を用いた)坐薬の形態または滞留浣腸剤の形態で調製してもよい。
【0192】
一実施形態では、移植体およびマイクロカプセル化された送達系を含む放出制御製剤のような、化学組成物を身体から急速に除去されないようにする担体と共に調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸のような生体分解性の生体適合性ポリマーを使用してもよい。かような製剤の調製方法は当業者には明らかであろう。材料はAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Incから商業的に入手することもできる。リポソームの懸濁液(モノクローナル抗体によりウイルス抗原に感染した細胞を標的とするリポソームを含む)を薬学的に許容可能な担体として使用することもできる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号明細書に記載されるような当業者に公知の方法に従って調製することができる。
【0193】
投与の簡便性や投与量の均一性の点で経口または非経口医薬組成物を投与量単位形態で調合することが好都合である。本明細書で使用される投与単位形態は治療される被検体のための単位用量として好適な物理的に分離した単位を指す。各単位には所望のレベルの検出を実現できるように計算されて予め決められた量の化学組成物が必要とされる薬理学的担体と共に含まれている。投与量単位を使用説明書に添付してもよい。
【0194】
被検体に投与される投与量は、本発明においては、被検体において長期間にわたり所望の検出レベルが達成されるのに十分な量とすべきである。投与量は検出に使用される特定の化学組成物の有効性、プローブを引きつける特定の標的のアクセシビリティ、および被検体の状態ならびに治療される被検体の体重または表面積により決定されるであろう。投薬量の規模も、特定の被検体中への特定の化学組成物の投薬に伴う何らかの副作用の存在、性質、程度により決定されるであろう。
【0195】
投与については、本発明の化学組成物は、被検体の集団検診および健康全般に適用されるように、化合物の薬動力学的プロファイル、禁忌薬剤、および様々な濃度における化合物の副作用を含む因子(ただしこれらに限定されない)により決定される速度で投与すればよい。投与は単一投与または分割投与を介して行えばよい。
【0196】
医薬組成物は、容器、パック、またはディスペンサーに投与説明書と共に含まれうる。
【0197】
(組成物のルミネッセンスおよび/または蛍光の検出)
多様な放射線源および放射波長を使用して本明細書に記載されるルミネッセンス組成物を励起することができる。例えば、好適な波長を有する放射線を発生させるランプ(例えば、高圧、水銀、キセノン、および石英ランプ)ならびにレーザーをルミネッセンス組成物の励起に使用することができる。
【0198】
本明細書に記載される組成物のルミネッセンス強度の評価方法は定量的、半定量的、または定性的であってよい。すなわち、例えば、所定の組成物の発光強度を離散値として測定することができる。かような定量的な方法は当業者に周知であり、方法は下記の実施例に記載されている。かような方法としては、例えば、サンプルを本明細書に記載される組成物の増感剤部位の一方または両方を励起することが可能な分光光度計、ルミノメーターまたは蛍光光度計中に入れる工程と;増感剤部位の一方または両方からの蛍光発光を検出(例えば、定量または測定)する工程および/またはルミネッセンス部位(例えば金属キレート、例えばランタニド)からのルミネッセンス発光を検出する工程を含む。検出がインビボ(例えば、全身動物中)で生じる場合、例えばフルオロスコープ、ルミノスコープ、核磁気共鳴断層撮影(MRI)、またはコンピュータ断層撮影(CTスキャン)を使用して検出を行うことができる。励起光は一定であってもよく、好ましくは、励起光はパルス状でありうる。1以上の増感剤部位の励起は400〜700nmの範囲で発生する可能性があり、特定の増感剤の吸収極大に依存する。ランタニド(例えば、Tb3+)を含有する本明細書に記載されるルミネッセンスキレートは150〜750nmの波長、通常は200〜650nmの波長、より頻繁には250〜550nmの波長、最も頻繁には300〜450nmの波長で励起しうる。一般に、検出される発光は、入射光に比べて、少なくとも50nm、通常は少なくとも100nm、より頻繁には少なくとも150nm大きい。例えば、テルビウムおよびユーロピウムについて検出される発光はそれぞれ、好ましく492および546nmならびに617および695nmである。当業者であれば特定の増感剤部位に依存するルミネッセンス組成物の最適励起波長を測定するための日常的な実験を実施する方法を知っているであろう。多数の蛍光体分子の蛍光発光および励起スペクトルの例は、例えば、http://probes.invitrogen.com/servlets/spectra/(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)で入手することができる。
【0199】
本明細書に記載される方法のいずれについても、検出には励起ルミネッセンスキレート部位のルミネッセンス発光および/またはルミネッセンス組成物の増感剤部位の一方または両方の蛍光発光を検出する工程は含まれうると理解される。増感剤(すなわち、蛍光体)の蛍光発光は400〜700の範囲をとることができ、特定の増感剤に依存する。
【0200】
(マクロ分子プローブへの組成物の結合)
本明細書では、本明細書に記載される化学組成物のいずれかとプローブ部位との結合体が提供される。本明細書に記載されるルミネッセンス組成物のマクロ分子結合体は免疫化学、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、細胞追跡、受容体標識化および蛍光類似体細胞化学などの多様な方法に有用である。これらの用途において、結合体は通常比較的長期間にわたり貯蔵および繰り返し使用されうるため、ルミネッセンス組成物とマクロ分子(すなわちプローブ)との間の化学的結合の安定性は特に重要である。その上、結合体に強力な組成物−マクロ分子結合が要求される過酷なインキュベーション工程、ハイブリダイゼーション工程、および洗浄工程を施すことが多い。
【0201】
好ましい結合体は通常、高いルミネッセンス収率および/または蛍光収率を有し、(または、ハプテニル化された(haptenylated)結合体、好適な標的化程度の場合には)溶解性、受容体(例えば、プローブが特定の同族受容体へのリガンドである場合)、標的抗原(例えば、プローブが抗体である場合)、もしくは核酸(例えば、プローブが標的核酸に相補的な核酸である場合)への選択的結合、特定の酵素の活性化もしくは阻害、または生体膜へ組み入れる能力のような非標識の生体分子の臨界パラメータをさらに保有する。結合させた後には、非結合の標識試薬を通常、ゲル濾過、透析、マクロ分子沈殿および再可溶化、HPLCまたはこれらの手法の組み合わせによって、可能な限り取り除くことが非常に重要である。遊離した染料が存在すると、特に依然として化学的反応性を示す場合には、これ以降のルミネッセンスマクロ分子結合体との実験が非常に複雑になりうる。
【0202】
本明細書に記載される組成物のいずれかをペプチドと結合する方法は当業者に周知である。例えば、効率的な検出または精製が可能となるように多様な方法でタンパク質を標識すればよい。標識方法はタンパク質分子の表面上の1以上の共通の官能基を活用する。各ポリペプチド鎖のN−末端およびリシン残基の側鎖に存在する第1級アミン基(−NH2)は組成物に結合することができる。あるいは、システイン残基上に存在するスルフヒドリル基(−SH)は還元剤を用いてジスルフィド結合を処理することによりまたはSATAのような試薬を用いてリシン残基を修飾することにより使用可能となる。抗体への結合に特に有用な炭水化物基は、通常ポリクローナル抗体のFc領域に存在しており、酸化して結合のための活性なアルデヒド(−CHO)を生成しうる(例えば、Quら、J.Immunol.Meth.213:131〜144頁(1998)を参照)。一部の実施形態において、本明細書に記載される化学組成物は「結合部位」に共有結合する。これらの結合部位は化学的反応性基を含む分子であり、プローブ部位と反応する場合には化学組成物およびプローブ部位を連結可能なものである。かような結合部位の例としては、以下に限定されないが、化学式−N=C=Sを有するアミン反応性部位または化学式−CO−CH2−Brを有するチオール反応性部位がある。組成物をマクロ分子またはプローブに結合させる追加の方法としては、例えば、スクシンイミジルエステル、カルボニルアジド、スルホニルクロライド、およびアルデヒドがある。
【0203】
スクシンイミジルエステルはこれらが形成するアミド結合がペプチド結合と同じくらい安定であるためにアミン修飾用の優れた試薬である。これらの試薬は一般に十分に乾燥させれば貯蔵時に安定であり、脂肪族アミンと良好な反応性を示し、芳香族アミン、アルコール、フェノール(チロシンなど)およびヒスチジンと極めて低い反応性を示す。スクシンイミジルエステルは有機溶媒中でチオールとも反応し、チオールエステルを形成するであろう。タンパク質中に形成される場合、チオールエステルはアシル部位を近傍のアミンに移動しうる。スクシンイミジルエステルの加水分解は結合と競合するが、この副反応は通常pH9未満では遅い。
【0204】
カルボニルアジドはアミンと反応しうる活性なエステルであり、アミドを生成する。しかし、カルボニルアジドのより一般的な用途は、アルコールおよびフェノールの誘導体化を目的とする(脂肪族アミンおよび芳香族アミンの両方と反応して尿素を形成することができる)不安定なイソシアネートへの熱転位である。
【0205】
ダンシル、ピレン、リサミンローダミンB、およびテキサスレッド誘導体などのスルホニルクロライドは反応性が高い。これらの試薬は水中、特に脂肪族アミンとの反応に必要な高いpHでは、極めて不安定である。例えばこの試薬を用いたタンパク質修飾は低温で行うのが最もよい。しかし、いったん結合すると、形成されるスルホンアミドは極めて安定であり、これらは完全なタンパク質の加水分解(例えば、ダンシル末端基分析)を耐え抜くことさえする。スルホニルクロライドはフェノール(チロシンなど)、脂肪族アルコール(多糖など)、チオール(システインなど)、およびイミダゾール(ヒスチジンなど)とも反応しうるが、これらの反応はタンパク質または水溶液中では日常的でない。チオールおよびイミダゾールのスルホニルクロライド結合体は一般に不安定であり、脂肪族アルコールの結合体は求核置換しやすい。
【0206】
アルデヒドはアミンと反応してシッフ塩基を形成する。記載されている重要なアルデヒド含有試薬としては、o−フタルジアルデヒド(OPA)、ナフタレンジカルボキシアルデヒド(NDA)、および3−アシルキノリンカルボキシアルデヒド(ATTO−TAG)試薬CBQCAおよびFQがある。これに加えて、NBD塩化物、NBDフッ化物およびジクロロトリアジンのような特定のアリール化試薬はアミンおよびチオールの両方と反応し、アミンと特に安定な結合を形成する。
【0207】
プローブ部位への組成物の結合方法はいずれも、例えば、結合される組成物および化学的組成物が結合する特定のプローブ部位によって異なるであろうと理解される。
【0208】
(核酸プローブとしての結合体の使用)
本発明のルミネッセンス組成物および核酸の結合体(例えば、ハイブリダイゼーションプローブ)は、DNA、RNA、またはこの2つのいくつかの組み合わせから製造されうる。プローブは修飾ヌクレオチドを含みうる。プローブ中のヌクレオシド間の連結にはホスホジエステル結合以外の結合が含まれてもよい。
【0209】
一実施形態では、ルミネッセンスハイブリダイゼーションプローブはステム−および−ループ構造を含む相互作用的に標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチドである「分子標識」タイプのプローブである。ループはプローブの標的に相補的なプローブ配列を含む。ヌクレオチド配列(「アーム」)はプローブ配列の側面に位置し、一方のアーム中の配列は他方のアーム中の配列に相補的である。プローブが標的にハイブリダイズされない場合、アームはお互いにハイブリダイズしてステムハイブリッドを形成し、これはステム二重鎖と呼ばれることもある。これは閉鎖コンフォメーションである。プローブが標的配列にハイブリダイズする場合、より長くかつより強力なプローブ−標的ハイブリッドがステムハイブリッドに打ち勝ち、アーム配列を分離する。これは開鎖コンフォメーションである。開鎖コンフォメーションでは、アームも標的にハイブリダイズすることができる。一部の分子標識プローブについては、完全な相補鎖のみが分析条件下の変化を引き起こす標的である。一方、他の実施形態については、標的との内部の不整合が1箇所または数箇所存在するにもかかわらずプローブは開くであろう。本明細書に記載される分子標識プローブは一方のアームに結合(例えば、共有結合)したルミネッセンス組成物(例えば、本明細書に記載されるルミネッセンス組成物のいずれか)および他方のアームに結合した消光剤(定義については以下参照)を有する。アームがステムを形成する場合、消光剤は蛍光体/ルミノフォア(luminophore)に非常に近接しており、その蛍光を効果的に消光または抑制し、暗い状態にする。
【0210】
本明細書に使用される「消光剤」は励起した蛍光体に非常に近接して配置された場合にその場所を蛍光がほとんどないか、または全くない状態とする分子または部位を指す。同様に、消光剤は励起したルミノフォアに近接して配置された場合にその場所をルミノフォアから放出されるルミネッセンスがほとんどないか、または全くない状態とする。
消光剤部位が蛍光体およびルミノフォアの両方を消光する場合(例えば、ルミネッセンス共鳴エネルギー移動(LRET)関係にある蛍光体およびルミノフォア、以下参照)、消光剤は二重消光剤、すなわち「二重消光」である。当該技術分野で記載されている好ましい消光剤としては、DABCYLおよびこれらの変異体(DABSYL、DABMI、およびメチルレッドなど)が挙げられる。一部の蛍光体は消光剤、例えば、特定の他の蛍光体に作用する蛍光体でもありうる。好ましい消光剤は、DABCYL、マラカイトグリーン、またはプローブが開鎖コンフォメーションである場合に検出領域において蛍光発光しない蛍光体である。
【0211】
本発明に従って修飾された分子標識プローブのオリゴヌクレオチド配列はDNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)、またはこれらの組み合わせでありうる。修飾ヌクレオチドとしては、例えば、ニトロピロールを基とするヌクレオチドまたは2’−O−メチルリボヌクレオチドが含まれうる。修飾された結合としても、例えば、ホスホロチオエートが含まれうる。修飾ヌクレオチドおよび修飾された結合は、一方のアームが核酸ポリメラーゼのプライマーとして機能することのできるという要件を満たす限り、本発明による波長シフトプライマーに組み込まれうると理解されるであろう。
【0212】
本発明によるプローブについては、標的に相補的であるループ配列の長さ、ステムハイブリッドの長さ、この2つの関係をプローブの利用が予定される分析条件に従って設計する。特定の分析条件のための標的−相補体配列の長さおよびステムハイブリッドは必要に応じて公知の方法で推定され、試行され、調節される。PCR分析用の大宝的なプローブ配列は16〜25の範囲のヌクレオチドである。代表的なステム長さは3〜8の範囲、より一般的には4〜7のヌクレオチドである。ステムハイブリッドの強度は適切な機能が達成されるように日常的な実験により調節される。長さに加えて、ステムハイブリッドの強度はG−C含有量および不安定化される不整合な挿入物を変更することによって調整することができると理解されるであろう。一つのアームは標的に部分的または完全に相補的であるように設計されうる。3’アームが標的に相補的であれば、プローブはDNAポリメラーゼのプライマーとして機能しうる。また、波長シフト分子標識プローブは連結されるようにされる固体表面に固定されてもよいし、浮動的であってもよい。
【0213】
本発明によるヘアピン形成プローブは検出分析で活用されうる。これらは増幅分析における検出器としても使用することができ、増幅前に添加されうる。この場合、増幅可能な標的の初期濃度に応じて定量的な結果が得られうる。増幅反応には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、核酸塩基配列増幅(NASBA)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサークル増幅、およびQ−ベータレプリカーゼのような酵素によって触媒されるRNA依存性RNA増幅でありうる。複数の標的のための複数のプローブを単一チューブまたは他の多重分析用の容器中で使用してよい。
【0214】
ヘアピン形成プライマーは1以上のプライマーを含む上記で特定した増幅反応の場合に使用される。これらを本発明に従って修飾して、ヘアピン含有プライマーが核酸ポリメラーゼを用いたインキュベーションにより伸長することができるように、核酸標的に結合するアーム配列を有するようにしてもよい。ループ部分を、必要ではないが、元の標的鎖に相補的としてもよい。ヘアピン含有プライマーは、分子標識検出プローブと同様に、一方のアーム上の蛍光体および他方のアーム上の消光剤を用いて標識されたステムを有する。本発明の実施形態は主として分子標識検出プローブに関連して記載されるであろう。当業者であれば、その概念および教示がヘアピンプライマーに同様に当てはまることを理解するであろう。そして、その概念および特定の教示をヘアピン含有プライマーに適用する方法を理解するであろう。
【0215】
ルミネッセンス組成物を消光剤および付加的な蛍光体を含む分子標識などの一部として使用することについてのさらなる記載は、米国特許第6,037,130号明細書;米国特許出願第08/439,619号明細書および米国特許出願第08/990,176にあり、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0216】
本発明の核酸プローブ(例えば、本明細書の組成物のいずれかと核酸との結合体)を利用する分析は、ハイブリダイゼーションするのによい条件下でプローブを目的とする材料に添加するだけで開始する。サンプルの処理および蛍光信号のモニタリングの方法はサンプルの性質によって異なりうる。組織を機械的にまたはカオトロピック塩を用いたインキュベーションによって破壊してもよい。大抵は破壊された組織を直接分析に使用すればよい。しかし、組織の中には信号の検出を阻害しうる蛍光材料を天然に含有するものがある。かような場合には、ハイブリダイゼーションの前または後のどちらかで蛍光材料から核酸を分離すればよい。開放プローブの蛍光を蛍光光度計によりモニタリングすることができる。開放プローブのルミネッセンスをルミノスコープによりモニタリングすることができる。
【0217】
本明細書に記載される組成物および核酸(例えばDNA、例えばプローブ)の結合体は、例えば、特定の感染症の実地検査に有用である。例えば、マラリアまたはHIV−1の検査はチオシアン酸グアニジンを血液サンプルの添加することにより細胞を溶解し、細胞を解毒した後、成分を変性させることで開始してもよい。次に、例えば、マラリア原虫のリポソームRNAに相補的なプローブを予想される最大標的濃度に対して)大過剰量添加し、ハイブリダイゼーションの進行を可能とすればよい。開放プローブのルミネッセンスまたは蛍光を視覚的にあるいはルミノメーターまたは蛍光光度計を利用してモニタリングすればよい。ポジティブのルミネッセンスおよび/または蛍光信号の検出はマラリア原虫またはHIV−1ウイルスによる感染を示す。
【0218】
本明細書に記載されるプローブのいずれかを使用して、例えば、特定の核酸のサイズについての情報を必要とする、ゲルまたは他の媒体中の特定の核酸フラグメントの場所を突き止めることができる。最初にゲル電気泳動によってサンプル中の核酸を分画した後、ゲル自体をプローブ含有溶液中に浸漬すればよい。ゲル中の標的核酸の泳動位置はハイブリダイゼーションの結果として、特性信号により検出可能であろう。
【0219】
合成反応における核酸の産生のモニタリングは、適切に設計されたプローブを反応混合物中に入れて、信号(例えば、ルミネッセンス)のレベルをリアルタイムでモニタリングすることにより行えばよい。プローブは産生される核酸のセグメントに相補的であるように設計されるべきである。かような反応の例は、DNA依存性RNAポリメラーゼおよびQ−ベータレプリカーゼによるRNA合成である。単分子プローブはポリメラーゼ連鎖反応に使用される熱サイクルのスピードよりも速いスピードで開閉するため、この反応の追跡に特に有用である。 各サイクルにおける追加の温度は、プローブのステムの融解温度よりも5〜12EC低く、検出温度として含まれうる。各サイクルにおいて、ルミネッセンスのレベルが存在する標的DNA鎖の量を示すであろう。過剰のプローブは、過剰のPCRプライマーのように、反応混合物中で使用するべきである。PCRは非対称であってもよい。正確な生成物のリアルタイムモニタリングは、終点検出法とは対照的に、ポリメラーゼ連鎖反応による標的核酸濃度の評価の精度およびダイナミックレンジを向上させ、ポスト増幅分析の必要性が失われる。
【0220】
本明細書に記載されるルミネッセンスプローブを使用して鎖置換増幅反応および自立配列複製反応のような他の核酸増幅反応をモニタリングすることもできる。有用なプローブはポリメラーゼ連鎖反応生成物のためのプローブと類似の方法を用いて設計され、使用される。
【0221】
かようなプローブの使用についての付加的な実施形態および実施例は米国特許出願公開08/152,006号明細書;米国特許出願公開60/161,096号明細書;米国特許出願公開10/426,556号明細書;米国特許第5,925,517;米国特許第6,150,097号明細書;米国特許第6,461,817号明細書;および米国特許第6,037,130号明細書に記載されており、これらは本明細書によりその全体が参照により引用される。
【0222】
(ルミネッセンス共鳴エネルギー移動および分析)
組成物またはこの結合体のいずれかは、例えば、ルミネッセンス共鳴エネルギー移動(LRET)を信号発生機構としての利用することができる。FRETは、蛍光染料で標識され、約10〜75オングストローム離れた2点間の距離の測定に使用することができる。生理学的(または他の)条件下、オングストローム近い解像度かつ優れた蛍光測定感度で測定が行われうるため、本技術は高価である。FRETは一方の蛍光染料−ドナーから他方の吸収染料または蛍光染料−アクセプターへのエネルギーの距離依存性移動に依存する。ドナーおよびアクセプターは距離を測定したい2点に部位特異的に配置される。
【0223】
ランタニドは蛍光発光しないが、本明細書に記載されるルミネッセンス組成物(またはこの結合体)のいずれかを使用することにより、これらを効率的に励起さえることが可能となる。その結果、ランタニドの非蛍光量子遷移は適切に離された好適なアクセプターへの非放射エネルギー移動を達成することができる。移動を達成するには、アクセプターの吸収がランタニド発光と重なり合う必要がある。キレート−アクセプターペアは重なりが最適となるように選択される。長距離測定には、より大きな重なりが好ましい。ランタニドは寿命がミリセカンドオーダーであるため、LRETにおけるアクセプターの増感発光の信号−ノイズ比が時間分解(パルス遅延)または位相変調を通じた発光検出によって改善される。ドナーの消光、または、好ましくはアクセプターのルミネッセンスによってエネルギー移動を検出することができる。
【0224】
ルミネッセンスランタニドキレート剤を(慣用の染料に換えて)ドナーとして、慣用の蛍光染料をアクセプターとして使用することにより、我々はLRETの信号対バックグランドを約100倍向上することができた。この向上により、100オングストロームを超えた測定が可能となった。この距離は、慣用の小さい蛍光染料を使用した場合には現在測定不能な距離である。この距離領域は、多くの生物学的問題において重要である。ランタニドキレート剤はエネルギー移動の方向依存性における不確かさを最小化するため、このキレート剤をドナーとして使用することにより、距離の測定もより正確になる。
【0225】
LRETは溶液中のマクロ分子についての構造上および運動性の情報をリアルタイムで得るのに特に有用である。例えば、両端が標識されたオリゴヌクレオチドは核酸結合タンパク質(例えば、熱転写物因子)により結合される場合に検出可能なLRET信号伝達をもたらす。したがって、本方法は、生体分子の構造または相互作用を変化させる潜在的な治療法の検査に使用される。例えば、抗ウイルス剤は核酸コンフォメーションにおける生体転写物因子誘導変性を変化させる能力を検査される。
【0226】
サンプルの一部中の第1位置と第2位置との間の距離を検出する一般的なLRETに基づいた方法は、第1位置に位置するドナーランタニドーキレート錯体および第2位置に位置するアクセプターを含むサンプル部分を、ドナーに第一電子遷移を引き起こすことができる第一波長の光に露出させる工程を含む。ドナー発光およびアクセプター吸収のスペクトルの重なりはドナーのルミネッセンス強度もしくは寿命の検出可能な消失またはアクセプターのルミネッセンス強度もしくは寿命の検出可能な増大によって測定されるようなドナーからアクセプターへのエネルギー移動を可能とするのに十分である。そして、第二波長におけるサンプル部分からの光の第一発光強度が検出され、この際、第二波長は第一波長よりも長く、ドナーにおける第二電子遷移に起因する。ここで、光の第一発光強度は第1位置と第2位置との間の距離と相関する。換言すると、位置がより近接するほど、エネルギー移動はより増大し、かつ、ドナー消光が増大する。あるいは、第三波長におけるサンプル部分からの光の第二発光強度を検出することができ、この際、第三波長は第一波長よりも長く、アクセプターにおける電子遷移に起因する。ここで、光の第二発光強度は第1位置と第2位置との間の距離と逆相関する。換言すると、位置がより近接するほど、エネルギー移動は増大し、かつ、アクセプターのルミネッセンスが増大する。
【0227】
この一般的な方法は、目的とする2つの位置(例えば2つの原子または分子)間の距離が静的であっても動的であっても、広く適用される。特定の一実施形態において、本方法はポリメラーゼ連鎖反応の状態をモニタリングするために使用される。ここで、サンプル部分は第一鎖部分と、一方の端近傍をアクセプターで標識し、他方の端近傍をドナーで標識した診断核酸鎖とを含む標的核酸鎖を含む(すなわち、ドナーに共有結合した第一原子とアクセプターに共有結合した第二原子とを含み、該第一原子および第二原子は第二鎖部分によって分離されている)。第一および第二鎖部分はアニール条件下でハイブリダイズするのに十分に相補的であり、第二鎖部分は第一および第二鎖部分がハイブリダイズされない場合のドナーからアクセプターへのエネルギー移動の総計と、第一および第二鎖部分がハイブリダイズされる場合のドナーからアクセプターへのエネルギー移動の総計とを比較した場合に検出可能な差が得られるのに十分な長さである。検出可能な差はドナーのルミネッセンスの検出可能な消光またはアクセプターのルミネッセンスの検出可能な増大の少なくとも一つとして測定される。そして、第一原子と第二原子との間の距離は核酸鎖がハイブリダイズされているかどうかを示す。したがって、反応が進行するときの標的核酸の固定(mount)の段階的増加はエネルギー移動の段階的減少を反映している。
【0228】
LRETまたはFRETを使用する検出または画像化法はエピトープのマッピング、膜中のペプチド会合、ベシクル中の脂質秩序、膜構成、脂質の分布、タンパク質折り畳み動力学、輸送系、インビボタンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質サブユニット交換、DNA−タンパク質相互作用、tRNA−リポソーム、DNA三重らせん、および核酸ハイブリダイゼーションの検出のような多様な用途に有用である。
【0229】
一般に、本明細書に記載される組成物およびこの結合体を使用して、標的配列を含有するかまたは含有するように誘導体化された所望の標的材料を検出および/または定量することができる。標的配列含有標的材料は、本明細書に記載されるルミネッセンス結合体を用いて、標的材料への結合および/または標的材料の標識化が可能となるのに十分な期間インキュベートされる。結合体由来のFRETを検出することにより、標的材料を検出する。標的材料をキュベット、マイクロタイタープレート、キャピラリー、フローセル、試験管、ゲル、ブロット、および生体サンプルなどの任意の材料(ただしこれらに限定されない)中で検出することができる。一部の実施形態では、標的材料を被検体の身体中で検出することができる。
【0230】
FRET分析を使用して分析物間の反応をモニタリングすることもできる。例えば、キナーゼ分析である。かような方法は、例えば、Von Ahsenら、J Biomol.Screen(2006);Greenら、BMC Chem.Biol.5:1(2005);およびZhangら、Anal Biochem.343(10):76〜83頁(2005)に記載されている。
【0231】
本反応は、例えば、タンパク質の折り畳み事象、開裂事象、タンパク質の自己会合事象、またはこれらの速度でありうる。本方法は、免疫測定、DNA−タンパク質結合分析、タンパク質−タンパク質分析、タンパク質コンフォメーション分析、および速度研究であってよく、これらの多くは上記に記載されている。
【0232】
LRETおよびFRETならびに使用方法についての付加的な説明は、例えば、米国特許第5,622,821号明細書;およびSelvinら、Ann.Rev.Biophys.Biomol.Structure 31:275〜302頁(2002)に見られ、これらの両方が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0233】
以下の実施例は例示するためのものであり、本発明の範囲を制限するためのものであはない。
【0234】
(実施例)
(実施例1:4−キノロン誘導体の合成)
図2の化合物Iの合成のために、2.2mL(15mmol)のトリフルオロアセトアセテートおよび0.6g(15mmol)のNaOH粉末を7mLのジメチルホルムアミド中で混合し、40℃で溶解するまで攪拌した。この混合物に、1.5mLのブロモアセトアセテートを添加し、この溶液を70℃で2時間インキュベートした後でNaBr(臭化ナトリウム)によって沈殿を停止させた。この混合物を20mlの水で希釈し、エーテルで抽出した。有機層を収集し、最初に30℃で真空蒸発させた後に70℃で30分間蒸発させた。図2の化合物IIを下記のように合成した:1.0gの1,3−フェニレンジアミンを等モル量の化合物I(図2)と共に2mLのDMSO中で混合し、50℃で18〜20時間インキュベートした。これらの条件の下で、Rf=0.9(薄層クロマトグラフィー(TLC)、酢酸エチル中のシリカゲル上)の主要な蛍光生成物が形成された。混合物を水で水で希釈し、エーテルで抽出した。有機層を収集し、ヘキサン/アセトン4:1の混合物を溶離液として使用したシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより生成物を精製した。
【0235】
4〜5mlの0.5M NaOH 50%エタノール中に溶解させた化合物II(図2)を用いて化合物IIIを合成し、2時間50℃に保持した。この混合物を1Mクエン酸によって酸性化し、エーテルで抽出した。エーテルを真空蒸発により除去した。化合物IIIを3mlのTHF中に溶解させ、140mgの4−ニトロフェノールおよび0.5gのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を追加した。30分のインキュベーションの後に3mmolの1,4−ジアミノブタンを含有する3mlのメタノールを上記混合物に添加し、さらに5分間インキュベートした。この混合物を10mLの水で希釈し、1Mクエン酸を用いてpH3〜4に酸性化し、エーテルで抽出した。10M NaOHによって水層のpHを12〜13に調節し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を真空蒸発させ、残留物を30mlのエーテル/エタノール7:1の混合物に溶解させ、等体積の水を用いて振とうさせた。有機層を収集し、真空蒸発させた後に、アセトニトリルを用いてさらに蒸発させた。残留物をクロロホルム(3×2ml)により洗浄し、廃棄した。クロロホルム抽出物を合わせて、真空蒸発させた。これらの工程により、図2の化合物Vが生成された。
【0236】
40mgの化合物Vを2mLのクロロホルム中に溶解させ、25mgのチオカルボニルジイミダゾールを追加することにより図2の化合物VIを生成した。5分間のインキュベーションの後に、0.1mLのメタノールおよび25mLのトリフルオロ酢酸(TFA)を添加し、さらに55℃で1.5時間インキュベーションを継続した。混合物を1mlの0.1Mクエン酸および1mLの1M NaHCO3を用いて連続的に抽出した。クロロホルムを蒸発により除去し、残留物をアセトニトリルで数回洗浄した。アセトニトリル画分(fraction)を合わせて、真空蒸発させた。
【0237】
20mgの化合物VIをDTPA二無水物および14μlのTEAを含有する0.5mLのDMF中に溶解させることにより図2の化合物VIIを生成した。55℃での20分間のインキュベーションの後に、アセトニトリル/水5:1の系中の2シリカゲルプレート上でTLCにより生成物を精製した。40mgの化合物Vを2.5mLのメタノール中に溶解させ、等モル量のN−ヒドロキシスクシンイミジルブロモアセトアセテートと混合することにより、図2の化合物VIIIを生成した。この混合物を真空蒸発させ、残留物を酢酸エチル中に溶解させ、10mM NaOHを含有する水で抽出した。有機層を収集し、真空蒸発させた。残留物をアセトニトリルにより洗浄し、廃棄した。アセトニトリル洗浄物を蒸発乾固させた。最終的に、化合物VIIの合成と類似の条件で、化合物VIIIから図2の化合物IXを合成した。
【0238】
(実施例2:2−キノロン誘導体の合成)
化合物Iから図3の化合物IIを得た(前節、図2を参照)。ただし、50℃に替えて110℃の温度および4時間を使用した。図3の化合物IIのRfは0.6(TLC、酢酸エチル中のシリカゲル上)であった。混合物に20mlの水を追加し、エーテル(2×40ml)で抽出した。有機層を収集し、生成物をヘキサン/アセトン3:1の混合物を溶離液として使用したシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより生成物を精製した。化合物IIを含有する分画を収集し、真空蒸発させて、残留物を4〜5mlmクロロホルム中に懸濁させた。濾過により溶媒を除去し、残留物を減圧乾燥させた。収量260mg。図2の対応生成物について説明したように化合物IIIから図3の化合物IIIを得た。
【0239】
化合物IV。240mgの化合物IIIを20mlのTHF中に懸濁させ、450mgのDCCを追加して、室温で1時間攪拌した。クロロホルム−エタノール系(2:1)中でのTLC分析では、単一の蛍光生成物(Rf=0.8)が検出された。この混合物を1.5モル過剰の1,4−ジアミノブタンのモノトリチル誘導体で20分間処理し、これにより、化合物IVから対応する付加物(Rf=0.7、酢酸エチル−エタノール系10:1中)に完全に変換された。同一の溶離液を使用したシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより生成物を精製した。収量340mg。90℃で10分間90%酢酸(5ml)中でインキュベーションすることにより、この生成物から化合物Vを生成した。溶媒を真空除去し、残留物を水で数回以上蒸発させ、微量の酢酸を除去した。最終的に、残留物を水に溶解させ、pH3〜3.5に酸性化し、エーテル(2×20ml)で抽出した。水槽を収集し、NaOHによりpHを11.5〜12に調節し、生成物をクロロホルムで抽出した。有機層を収集し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を真空除去した。
【0240】
前節における対応化合物について説明したように他の全ての化合物を得た(実施例1を参照)。
【0241】
(実施例3:2−キノロン誘導体および4−キノロン誘導体の蛍光特性)
図4は図2の4−キノロン化合物VIIについての蛍光発光スペクトルを図示したものである。金属遊離化合物は400nmに中心がある広域発光スペクトルを有する。Eu3+またはTb3+の添加により配位して、結合したランタニドへの効率的なエネルギー移動が生じる。これは、
アンテナの発光の減少(400nm)およびランタニド発光の典型的な尖頂急峻なピーク(Tb3+については490nm、546nm、580nm、622nm、およびEu3+については570nm、595nm、615nm)の出現により証明される。特に、ランタニド発光は50μ秒以下の遅延を明白に低減する一方で、ランタニド配位プローブの時間遅延蛍光測定結果は400nmでの発光極大の完全な消失を示す。これにより、極めて高感度なプローブ検出の実現が可能となり、我々の測定では、50fMであった。
【0242】
(実施例4:2−キノロン誘導体および4−キノロン誘導体の分子標識の合成)
分子標識の調製のために、一般的な蛍光消光剤であるブラックホール消光剤(BHQ−2)およびDabsyl消光剤(DAB)を3’末端に含有する2’OMe RNA構築物を使用した。キノロン誘導体(図2および3の化合物VII)をこれらの構築物に5’末端にあるアミノアルキル部位で結合させた。0.1〜0.5mMポリヌクレオチド材料、5mMキノロンプローブ、および0.2Mホウ酸ナトリウムpH10を含有する30μlの反応混合物中で構築物の誘導体化を実施した。55℃での3.5時間の過剰のキノロン誘導体を複数回のエタノール沈殿によって除去し、8M尿素の存在下におけるポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)または逆相カラムクロマトグラフィーのどちらかで得られた標識構築物を精製した。典型的な場合の誘導体の効率は70〜80%であった。
【0243】
(実施例5:2−キノロン誘導体および4−キノロン誘導体を含有する分子標識の蛍光特性)
図5は異なる条件下での4−キノロン化合物を介した分子標識の蛍光を示したものである。3つの異なる4−キノロン蛍光体を使用した:金属遊離蛍光体およびTb3+またはEu3+で配位した同一の蛍光体。3つの測定を各ケースについて行った。標識自体の分子標識発光を伴わない媒体の発光、および、相補的DNA標的の存在下での媒体の発光。各蛍光体の最適波長(400nm、546nmおよび617nmに対応)で発光を検出した。標的の非存在下では、分子標識は低いバックグラウンド蛍光を有することがわかる。標的を加えると、全ての場合で、明らかに相補的DNA配列を用いたハイブリダイゼーションによる標識の「開放」に起因する蛍光シグナルの劇的な増大が起こった。特に、増大因子は金属遊離標識(60)に比べて、ランタニドを介した標識(400を超える)のほうがずっと高かった。標的の非存在下での分子標識の形態を含む金属の極めて低い発光は、おそらくアンテナの蛍光およびランタニドのルミネッセンスの両方の消光に起因するものであった。これにより、ルミネッセンス分子標識は優れたハイブリダイゼーションプローブとなる。
【0244】
(実施例6:ランタニドを介した分子標識を用いた相補的核酸配列の時間分解検出)
ランタニドを介したハイブリダイゼーションプローブの検出限界の評価のために、信号増大因子(時間遅延方式、50μs)を分子標識(一定濃度25nM)に対して、異なるDNA標的濃度で信号増大因子(時間遅延方式、50μs)を測定した(図6)。これらの実験からすると、静止して確実に検出できる標的の極小の濃度は1nmの低さであった。これは、慣用の分子標識に比べて優れている。
【0245】
(実施例7:シプロフロキサシン誘導体の合成)
図7a〜bは選択されたランタニドキレートの合成スキームを図示したものである。これらの化合物はジメチルホルムアミド(DMF)中でのシプロフロキサシン(シプロ)とEDTAまたはDTPA二無水物のどちらかとの反応により得られた。過剰の二無水物試薬中の反応は単官能化合物(例えば、EDTA−シプロ、DTPA−シプロ)の形成に有利である。一方、二官能誘導体(例えば、EDTA−(シプロ)2およびDTPA−(シプロ)2)は、指定された二無水物に対して2倍モル過剰のシプロフロキサシンを使用することにより得られた。対照として使用するために、二官能アルキル誘導体化合物−(CH2)8−(シプロ)2をジヨードオクタンとシプロとの反応により得た。各合成化合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、UV分光法により同定した。
【0246】
(実施例8:シプロフロキサシン誘導体とこれらのTb3+キレートの蛍光特性)
シプロ誘導体(0.1mMの濃度)とTb3+塩(1mMの濃度)とをの水溶液中で組み合わせると、シプロの自己蛍光(青色である)の顕著な減少とTb発光に特有の緑色のルミネッセンスの発生がもたらされる(図8)。この系でのランタニド発光強度は極めて高く、これは、アンテナからランタニドへのエネルギー移動の高効率(>90%)とランタニド発光の高量子収率との両方に起因した測定値によるものであった。本発明はいずれかの特定の作用機構に限定されるわけではないが、観測されたスペクトルシフトはシプロ誘導体によるランタニド原子の配位およびこれにより生じるシプロ蛍光体から金属へのエネルギー移動に起因するものであったと考えられる。図10a〜bはシプロ分子自体がTbの増感発光を引き起こすことができることを示す。しかし、発光強度は弱かった。単官能誘導体EDTA−シプロまたはDTPA−シプロとのTb3+錯体からの発光強度は有意に大きかった。図10a〜bに示すように、最高強度の発光(すなわち、最も輝度の高い)錯体は、二官能誘導体であるEDTA−(シプロ)2およびDTPA−(シプロ)2とのTb3+錯体であった。
【0247】
2つのシプロ残基を結合する架橋または結合のキレート化特性は、高強度のルミネッセンスに不可欠であった。スペーサー中にキレート基を有さない対照化合物である−(CH2)8−(シプロ)2ではキレート基を有するシプロ化合物に比べて中程度の輝きしかなかった。
【0248】
(実施例9:二官能シプロフロキサシンキレートおよびこれらのランタニド錯体のポテンシャル構造)
EDTA−(シプロ)2およびDTPA−(シプロ)2のランタニドキレートのルミネッセンス強度が大きい理由の一つは、対応する金属−蛍光体錯体の構造によってもたらされる。UV分光データから明らかなように、水中での金属遊離EDTA−(シプロ)2およびDTPA−(シプロ)2化合物のモル吸光はメタノール中に比べて有意に低かった(図10a〜b)。このことは、水溶液中において二官能化合物中の2つのシプロ残基間に、疎水性のスタッキング相互作用があることを示す(図9a〜b)。メタノール中での吸収はスタッキングの崩壊により増大したと推定される。実際、図10a〜bに示すように、シプロならびにその単官能誘導体であるEDTA−シプロおよびDTPA−シプロの光吸収は水中とメタノール中の両方でほとんど同じであった。これは、後者の化合物でスタッキングが存在しないことを示唆する。二官能化合物のスタッキングは連結(すなわち、近接した関係にある2つの部位を維持する共有結合)によるシプロ残基の近接によって有利となる。シプロ化合物およびこれらのランタニド錯体の予想空間構造を図11a〜cに示す。シプロは2つの潜在的な配位部位、環中の3−カルボキシル基および4−オキソ基により形成された一方の部位および7−ピペラジン置換基により形成された他方の部位を有する。どちらの部位がTb3+イオンの配位を伴っているかを決定するために、潜在的なピペラジン配位部位をアシル化により不活性化した対照化合物(シプロ−AcBr)を使用した。しかし、この修飾は錯体形成によるTb3+発光の発生をもたらさなかった。これは、代替部位において金属が結合したことを示唆する(図11a〜cを参照)。EDTA−シプロおよびDTPA−シプロ化合物は三価金属(Me3+)の添加量に応じて単金属錯体および二金属錯体を形成することができる。1つのMe3+はシプロ部位内の配位部位で結合することができ、一方、2つ目のMe3+は2つのシプロ部位(例えば、EDTA(またはDTPA)部位)に結合したキレート部位によって配位されうる。実際、滴定実験によって、これらの化合物に1当量のTb3+を添加してもシプロ蛍光を生じず、Tb3+のルミネッセンス発光も引き起こさないことが示された(図11a〜c)。この結果についての1つの可能な説明は、EDTA(またはDTPA)による金属への結合親和性がシプロ部位自体による金属への結合親和性に比べてはるかに大きいということである。しかし、配位されたMe3+は蛍光体からのエネルギーを受け取ることができなった。さらに、Me3+を添加すると、シプロ−Tb3+錯体に特有のレベルまでルミネッセンスが増大した。特に、極大輝度に必要とされるTb3+の濃度はシプロ−Tb3+錯体と同一であった(約1mM)。これらの結果から、2つの金属と上記リガンドとの間に独立した結合が存在することが示される。
【0249】
二官能化合物であるEDTA−(シプロ)2およびDTPA−(シプロ)2を使用すると異なる結果が得られた。この場合、1当量目のTb3+を添加すると輝度の高いルミネッセンス錯体が得られた。一方、2当量目のTb3+をさらに添加すると輝度が向上した。注目すべきことに、極大輝度に要求されるTb3+の量はEDTA−シプロおよびDTPA−シプロキレートの場合に比べてはるかに少なかった。これは、二官能シプロキレート中に第2のランタニドへのより強力な配位が存在したことを示唆する。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、35U.S.C.§119(e)の下で、2006年8月12日出願の米国仮特許出願第60/822,235号および2006年8月11日出願の米国仮特許出願第60/822,219号の優先権の利益を主張する。両方の出願の開示は、参照により本発明に引用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ルミネッセンスランタニドキレートは、極めて珍しいスペクトル特性のために、主要な研究対象となってきた(Gudgin−Dicksonら、Pharmac.Ther.、66:207〜235(1995);Selvin,P.R.、Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.、31:275〜302(2002);およびHemmilaら、J.Fluoresc.、15:529〜542(2005))。これらの分子は、例えば医療診断、新薬開発などの多種多様な生化学分析や、細胞生物学的用途の画像化ツールとして利用されてきた。ルミネッセンスランタニドキレートは、高バックグランド蛍光が問題となる用途に適用される従来型の有機蛍光体に代わる非同位体的物質として特に有用である。ルミネッセンスランタニドキレートの珍しいスペクトル特性(すなわち、尖頂急峻なピーク)および時間的特性(すなわち、高寿命な発光)のために、(i)超高感度な検出、(ii)同一サンプル混合物中に存在する複数の分析物の簡易な同時モニタリング、および(iii)サンプル中の特定の個体分析物からのより詳細な情報収集が可能となる。
【0003】
ランタニドプローブは、例えば、有機蛍光体およびケージ化またはキレート化されたランタニドを含有しうる。蛍光体部位はアンテナまたは増感剤として作用し、励起光のエネルギーを吸収し、それをより放射の小さい形式でランタニドに輸送する。ランタニド部位の吸収が非常に小さいため、アンテナは「ポンプのように作用する(pump)」または金属を活性化させることが求められる。アンテナからランタニドへのエネルギー移動は短距離(数オングストロームのオーダー)においてのみ起こり、一般に2つの部位が連結される必要がある。
【0004】
しかし不幸にも、蛍光体によるランタニドルミネッセンスの促進過程は十分には解明されておらず、プローブおよびその構成要素を最適化することは困難である。
【0005】
より多くの生物学的分析で使用するためにランタニドプローブの需要は大きいが、研究者は費用の制限に遭遇することが多い。このようなプローブの費用は$10,000/mgにも達するが、その大部分は面倒な合成法によるものである。したがって、新規で、より反応性が高く、より機能説明がされたルミネッセンスランタニドプローブに対してのみならず、この試薬の多量入手が可能となるような費用効率のよい合成戦略に対しても、満たされていない強い要求がある。
【発明の概要】
【0006】
(発明の要約)
本明細書によれば、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含む組成物が提供される。そして、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0007】
【化1】
【0008】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0009】
【化2】
【0010】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0011】
【化3】
【0012】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0013】
【化4】
【0014】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す。
【0015】
一実施形態において、組成物は、XがO原子である式(I)を含む。組成物はR3がCH3である式(I)を有してもよい。他の実施形態では、組成物において第一増感剤部位もしくは第二増感剤部位または第一増感剤部位および第二増感剤部位が下記式でありうる。
【0016】
【化5】
【0017】
他の実施形態において、組成物はXがO原子であり、かつR3がCF3である式(I)を含む。他の実施形態では、組成物において第一増感剤部位もしくは第二増感剤部位または第一増感剤部位および第二増感剤部位が下記式でありうる。
【0018】
【化6】
【0019】
他の実施形態において、組成物はXがN−R1である式(I)を含む。組成物はR1がHであり、R3がCF3である式(I)を有してもよい。一部の実施形態では、組成物において第一増感剤部位もしくは第二増感剤部位または第一増感剤部位および第二増感剤部位が下記式でありうる。
【0020】
【化7】
【0021】
他の実施形態において、組成物は、ZがN−R4である式(II)を含む。組成物はR4がシクロプロピル部位である式(II)を有してもよい。組成物はR5が式COOHを有する有機酸部位であり、かつ/または、R6がF原子である式(II)を有してもよい。一部の実施形態では、組成物において第一増感剤部位もしくは第二増感剤部位または第一増感剤部位および第二増感剤部位が下記式でありうる。
【0022】
【化8】
【0023】
一部の実施形態において、組成物は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aなどのキレート部位を含有しうる。
【0024】
一部の実施形態において、組成物は、結合基(conjugating group)に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合した増感剤部位の一方または両方を有しうる。結合基は化学式S=C=N−またはBr−CH2−CO−を有しうる。
【0025】
組成物がルミネッセンス組成物またはルミネッセンスキレートである実施形態において、組成物はキレート部位にキレート化された金属イオンをさらに含有しうる。キレート化された金属イオンは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択されるランタニドでありうる。
【0026】
他の実施形態では、組成物はマクロ分子に結合しうる。マクロ分子はポリペプチド(例えば、抗原もしくはその抗原結合フラグメント、または細胞受容体のポリペプチドリガンド)または核酸(例えば、DNAまたはRNA)でありうる。
【0027】
本明細書によれば、本明細書に記載される組成物のいずれかと薬学的に許容可能な担体とを含有する医薬組成物も提供される。
【0028】
本明細書では、プローブを用いた標的のインビトロ検出方法を取り上げる。本方法は、サンプルと、標的に対して親和性のある標的プローブ部位を含むルミネッセンスプローブ組成物とを接触させる工程と;前記ルミネッセンスプローブ組成物から発生する信号を検出する工程と;を含む。この際、前記標的プローブ部位はルミネッセンスキレート組成物に共有結合しており、前記キレートルミネッセンス組成物は、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0029】
【化9】
【0030】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0031】
【化10】
【0032】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0033】
【化11】
【0034】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0035】
【化12】
【0036】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示し;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており;
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される。
【0037】
サンプルは1以上の細胞、細胞物質(例えば、全細胞溶解物)を含有してよいし、あるいは、1以上の精製タンパク質および/または組み換えタンパク質を含有してよい。サンプルは、(例えば、サンプルをネガティブ対照(negative control)として使用する場合に)緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)のみを含有してもよい。ルミネッセンスプローブ組成物は本明細書に記載されたルミネッセンスキレート組成物のいずれかを含みうる。被検体は本明細書に記載される任意の被検体であってよい(以下参照)。検出には、ルミネッセンスプローブ組成物からのルミネセンス発光の検出、ルミネッセンスプローブ組成物の一方もしくは両方の増感剤からの蛍光発光、またはルミネッセンスプローブ組成物からのルミネッセンス発光および蛍光発光の両方の検出が含まれうる。
【0038】
本明細書では、プローブを用いた標的のインビボ検出方法についても取り上げる。本方法は、標的に対して親和性のある標的プローブ部位を含むルミネッセンスプローブ組成物を被検体に輸送する工程と;前記ルミネッセンスプローブ組成物から発生する信号を検出する工程と;を含む。この際、前記標的プローブ部位はルミネッセンスキレート組成物に共有結合しており、前記キレートルミネッセンス組成物は、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0039】
【化13】
【0040】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0041】
【化14】
【0042】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0043】
【化15】
【0044】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0045】
【化16】
【0046】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており、
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される。
【0047】
ルミネッセンスプローブ組成物は本明細書に記載されたルミネッセンスキレート組成物のいずれかを含みうる。被検体は本明細書に記載される任意の被検体であってよい(以下参照)。検出には、ルミネッセンスプローブ組成物からのルミネセンス発光の検出、ルミネッセンスプローブ組成物の一方もしくは両方の増感剤からの蛍光発光、またはルミネッセンスプローブ組成物からのルミネッセンス発光および蛍光発光の両方の検出が含まれうる。
【0048】
本明細書によれば、(a)ルミネッセンス組成物および(b)消光剤部位からなる、ルミネッセンスで標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチドが提供される。ここで、(a)ルミネッセンス組成物は、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0049】
【化17】
【0050】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0051】
【化18】
【0052】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0053】
【化19】
【0054】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0055】
【化20】
【0056】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており;
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択され;前記ルミネッセンス組成物はヘアピン形成オリゴヌクレオチドに共有結合している。(b)消光剤部位は、(i)一方もしくは両方の増感剤部位または(ii)ランタニド部位のルミネッセンスの一方または両方の蛍光を消光することが可能であり、消光剤部位はヘアピン形成オリゴヌクレオチドに共有結合している。前記オリゴヌクレオチドは、一本鎖ループならびに相補的な3’アームおよび5’アームにより形成されたステム二重鎖(stem duplex)を含む閉鎖コンフォメーションを有し;この際、前記消光剤部位は、ランタニドまたは増感剤部位のうちの少なくとも1つを消光する関係にあり;増感剤部位の一方または両方の極大励起波長で励起させた場合、増感剤部位の一方または両方の極大発光波長における発光が、消光されない場合の増感剤部位の一方または両方の極大発光波長における光度(magnitude)および発光に比べて実質的に抑制される。前記オリゴヌクレオチドはステム二重鎖を除く開鎖コンフォメーションを有し;この際、前記消光剤部位は、ランタニド、第一増感剤部位もしくは第二増感剤部位、または第一増感剤部位および第二増感剤部位を消光する関係にはなく;第一増感剤部位および第二増感剤部位の一方または両方の極大励起波長で励起させた場合、ランタニドのルミネッセンスは、増感剤部位の一方または両方からの蛍光共鳴エネルギー移動により増大する。
【0057】
標的ヌクレオチドに対するループのハイブリダイゼーションによって、オリゴヌクレオチドが開鎖コンフォメーションをとる。消光剤部位はBHQ、DABCYL、およびDABCYLの変異体よりなる群から選択される。一本鎖ループおよびステム二重鎖の一方の鎖は標的鎖に対して相補的であってよく、これによりオリゴヌクレオチドはDNAポリメラーゼのプライマーとして機能することが可能である。オリゴヌクレオチドは、該オリゴヌクレオチドが閉鎖コンフォメーションをとる場合のDNAポリメラーゼのプライミング領域として機能できる末端伸張を含んでもよい。
【0058】
本明細書では、核酸増幅成分、本明細書に記載される結合オリゴヌクレオチドのいずれかであるオリゴヌクレオチド検出用プローブ、および増幅反応を実施するための指示書を含む核酸増幅用試薬キットについても取り上げる。核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸塩基配列増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅、ループ介在(loop−mediated)恒温増幅(LAMP)、またはRNA依存性RNAポリメラーゼによるRNAの増幅でありうる。
【0059】
本発明は、少なくとも1つのプライマー(例えば、本明細書に記載されるルミネッセンスで標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチド結合体のいずれか)を含む増幅反応用成分、増幅分析用成分、および増幅分析を実施するための指示書を含む増幅反応用試薬キットについても取り上げる。核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸塩基配列増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅、ループ介在恒温増幅(LAMP)、またはRNA依存性RNAポリメラーゼによるRNAの増幅でありうる。
【0060】
本明細書では検出分析についても取り上げるが、この検出分析は、サンプル(必要に応じて標的鎖を含有しうる)に、少なくとも1つの検出用プローブ(本明細書に記載される任意のルミネッセンスで標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチド結合体である)を添加する工程と、少なくとも1つの検出用プローブのルミネッセンスキレート部位からのルミネッセンス発光を検出する工程とを含む。該検出は少なくとも1つのプローブの増感剤部位の一方または両方からの蛍光発光を検出する工程をも含みうる。
【0061】
サンプル(必要に応じて標的鎖を含有しうる)に、本明細書に記載される任意の増幅反応を行うための試薬、本明細書に記載されるルミネッセンスで標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチド結合体のいずれかの少なくとも1つを添加する工程と、本明細書に記載される該ルミネッセンスで標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチド結合体のいずれかの少なくとも1つのルミネッセンスキレート部位からのルミネッセンス発光および/または蛍光発光を検出する工程とを含む増幅分析をも提供する。
【0062】
本明細書では、化学的に結合可能な蛍光化合物の合成法をも提供する。この方法は、(a)トリフルオロアセチルメチルエチルスクシナートを1,3−フェニレンジアミンと反応させる工程と、(b)工程(a)の生成物をけん化して、前記生成物上にポリメチレンジアミン基と結合(カップリング)させるための遊離カルボキシレート基を生成する工程とを含む。一実施形態において、本方法は(c)工程(b)の生成物を4−ニトロフェノールと反応させる工程と、ポリメチレンジアミン基と結合(カップリング)させる工程とをさらに含む。他の実施形態において、本方法は工程(c)の生成物をハロゲン酢酸の活性エステルまたはチオカルボニルジイミダゾールの活性エステルで処理する工程を含む。付加的な実施形態は、(d)工程(c)の生成物をRe−Xaと反応させる工程を含む。ここで、Reは希土類キレート化合物であり、XaはCOOHまたはその無水物である。さらに他の実施形態において、本方法は(e)工程(d)の生成物をDTPA二無水物と反応させる工程を含む。他の実施形態において、本発明は工程(e)の生成物を、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される水溶性ランタニド塩と反応させる工程を含む。
【0063】
本発明の1以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の明細書に記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点は明細書および図面ならびに特許請求の範囲から明らかとなるであろう、引用される特許、特許出願、および参考文献はすべて、参照によりその全体があらゆる目的で本願に組み込まれる。
【0064】
矛盾する場合には、定義を含め、本明細書が参照されるであろう。また、材料、方法、および実施例は一例にすぎず、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図面の簡単な説明
【図1】図1は本明細書に記載される増感剤部位のいくつかの化学構造を図示したものである。ただし、(I)シプロフロキサシン、(II)cs124、(III)CF3−124、(IV)3−カルボキシメチルCF3−csl24である。
【図2】図2は4−キノロンルミネッセンスプローブの合成ルートを図示したものである。
【図3】図3は2−キノロンルミネッセンスプローブの合成ルートを図示したものである。
【図4】図4は図2の化合物VIIの金属遊離状態ならびにEu3+およびTb3+との錯体状態における発光スペクトルを図示したものである。
【図5】図5はヘアピン形成ハイブリダイゼーションプローブ(分子標識)における図2の化合物VII(およびそのEu3+およびTb3+キレート)の蛍光信号の発生を図示したものである。
【図6】図6は指示濃度のDNA標的の存在下における分子標識(図3のプローブVIIのEu3+状態から誘導体化)の615nmでの時間分解発光を図示したものである。
【図7a】図7aは二量体ルミネッセンスキレートのシプロフロキサシン誘導体の合成スキームを図示したものである。
【図7b】図7bは二量体ルミネッセンスキレートのシプロフロキサシン誘導体の合成スキームを図示したものである。
【図8】図8はEDTA−(シプロ)2の金属遊離状態およびTb3+の濃度を増加させた場合における発光スペクトルを図示したものである。ピークII、III、V、およびVIはTb3+発光に相当し、ピークIVは解析対象外ピーク(デバイス発光)に相当する。
【図9a】図9aは異なる溶液における二量体シプロフロキサシンキレートおよびその錯体がとりうるコンフォメーションを図示したものである。スタッキング相互作用を右側に破線の双頭矢印を用いて示す。
【図9b】図9bは異なる溶液における二量体シプロフロキサシンキレートおよびその錯体がとりうるコンフォメーションを図示したものである。スタッキング相互作用を右側に破線の双頭矢印を用いて示す。
【図10a】図10aは異なる溶媒中での選択された増感剤部位のUV吸収値(モル吸光単位)を示す表である。
【図10b】図10bは異なる溶媒中での選択された増感剤部位のUV吸収値(モル吸光単位)を示す表である。
【図11a】図11aは選択された増感剤部位および対応するLn3+錯体の信号強度を示す。
【図11b】図11bは選択された増感剤部位および対応するLn3+錯体の信号強度を示す。
【図11c】図11cは選択された増感剤部位および対応するLn3+錯体の信号強度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
発明の詳細な説明
本明細書では、組成物および該組成物のマクロ分子結合体ならびに該組成物および該結合体の使用方法について取り上げる。本発明の多様な態様を以下に記載する。
【0067】
(定義)
「被検体」という用語は、哺乳綱に属するものを指す。哺乳類の例としては特に限定されないが、ヒト、霊長類(例えば、チンパンジー、サル、ヒヒ)、齧歯類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ウマ、家畜、イヌ、ネコ、ヒツジ、およびウシ)が挙げられる。特定の好適な実施態様において、「被検体」とはヒト(例えば、ヒト患者)である。
【0068】
本明細書で使用される「マクロ分子」は、分子量が大きく、通常の分子に比べてはるかに多数(数百または数千)の原子から構成される分子を指す。マクロ分子の一部は同一性(identity)を失うことなしには細分化することのできない単一の要素である。他のもの(例えば、ポリマー)は鎖またはネットワーク(例えば、プラスチック、セルロース)中の複数の繰り返し構成単位(モノマーの)からなる。かようなマクロ分子の例としては、以下に限定されないが、ポリペプチド(タンパク質複合体)、核酸(例えば、DNAおよびRNA)、ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、セルロース(すなわち、糖ポリマー))が挙げられる。マクロ分子という用語は2以上のポリペプチドまたは核酸(例えば、タンパク質二量体または二本鎖DNA分子)も指す。
【0069】
本明細書で使用される「プローブ」という用語は結合対の一要素を構成する分子を指し、結合対のもう一方の要素がプローブの標的である。分子は小分子(例えば、化合物)、マクロ分子(例えば、抗体、核酸;上記参照)でありうる。例えば、プローブが抗体である場合、標的は抗体が特異的に認識する抗原(例えば、エピトープ含有抗原)である。プローブがリガンドである場合、標的はリガンドが特異的に結合する同族受容体である(例えば、上皮細胞成長因子(EGF)−受容体に結合するEGFリガンド)。プローブが核酸(例えば、DNAプローブ)である場合、標的は核酸プローブに対して相補的な核酸配列である。プローブがポリペプチドである場合、ポリペプチドは任意の長さや任意の機能を有していてよい。プローブが化合物である場合、標的は、例えば、受容体(例えば、ステロイド、ホルモン受容体(例えば、エストロゲン受容体)、または化合物が結合または阻害するような酵素標的(例えば、キナーゼ)でありうる。ポリペプチドは任意の種または生物有機体中のコードされたまたは発現されたポリペプチド(例えば、細菌タンパク質、ウイルスタンパク質、昆虫タンパク質、線虫タンパク質、哺乳類タンパク質、ヒトタンパク質)であってもよい。ポリペプチドは有機体により自然に生成されてもよいし、(例えば、自動化学合成により)合成されてもよい。
【0070】
本明細書で使用される「プロドラッグ」は、インビボ投与において、1以上の工程または過程によって代謝されるか、または生物学的、薬学的もしくは治療的に活性な形態に変換される化合物である。プロドラッグの製造のために、薬学的に活性な化合物を修飾して、その活性な化合物が代謝過程で再生成されるようにする。プロドラッグの設計は、薬剤の代謝安定性または輸送特性を変化させる目的で、副作用や毒性をマスクする目的で、薬剤の風味を改善する目的で、または薬剤の他の特徴または特性を変化させる目的で行ってよい。インビボの薬力学的過程および薬剤代謝の知識のおかげで、当業者であれば、薬学的に活性な化合物が公知になるとすぐに、その化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogradyら、Medicinal Chemistry A Biochemical Approach、Oxford University Press、New York、388〜392頁(1985)を参照)。
【0071】
本明細書で使用されるような、本明細書に記載されるインビボ法のいずれかで使用される組成物の薬学的に許容可能な誘導体としては、塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物、またはこれらのプロドラッグが挙げられる。かような誘導体は誘導体化のような公知の方法を用いて当業者により容易に調製されうる。調製した化合物は実質的な毒性作用を伴うことなく動物またはヒトに投与することができ、薬学的に活性なものまたはプロドロックのどちらかである。薬学的に許容可能な塩としては、以下に限定されないが、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミンおよび他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−パラ−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’−イルメチル−ベンズイミダゾール、ジエチルアミンおよび他のアルキルアミン、ピペラジン、ならびにトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのようなアミン塩(ただしこれらに限定されない);リチウム、カリウム、およびナトリウムのようなアルカリ金属塩(ただしこれらに限定されない);バリウム、カルシウム、およびマグネシウムのようなアルカリ土類金属塩(ただしこれらに限定されない);亜鉛のような遷移金属塩(ただしこれらに限定されない);ならびにリン酸水素ナトリウムおよびリン酸二ナトリウムのようなその他の金属塩(ただしこれらに限定されない)が挙げられる。また、以下に限定されないが、硝酸塩;ホウ酸塩;、メタンスルホネート;ベンゼンスルホネート;トルエンスルホネート;塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、および硫酸塩のような鉱酸塩(ただしこれらに限定されない);ならびに酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩およびフマル酸塩のような有機酸塩(ただしこれらに限定されない)をも含む。
【0072】
薬学的に許容可能なエステルとしては、以下に限定されないが、カルボン酸、ホスホリック酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸、およびボロン酸(ただしこれらに限定されない)などの酸基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、およびヘテロサイクリルエステルが挙げられる。薬学的に許容可能なエノールエーテルとしては、以下に限定されないが、化学式C=C(OR)の誘導体(ただし、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、およびヘテロサイクリル)が挙げられる。
【0073】
薬学的に許容可能なエノールエステルとしては、以下に限定されないが、化学式C=C(OC(O)R)の誘導体(ただし、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、およびヘテロサイクリル)が挙げられる。薬学的に許容可能な溶媒和物および水和物としては、1以上の溶媒または水分子、あるいは1〜約100、または1〜約10、または1〜約2、3、もしくは4の溶媒分子または水分子と化合物との複合体である。
【0074】
本明細書で提供される化合物はキラル中心を有してもよいと理解されるべきである。かようなキラル中心は(R)または(S)のいずれの立体配置であってもよく、これらの混合物であってもよい。したがって、本明細書で提供される化合物は鏡像異性的に純粋なものであってもよいし、立体異性体またはジアステレオマーの混合物であってもよい。アミノ酸残基の場合、かような残基はL型またはD型のいずれであってもよい。自然発生するアミノ酸残基の立体配置は一般にL型である。特定しない場合、残基はL型である。本明細書で使用される「アミノ酸」という用語はα−アミノ酸を指し、このα−アミノ酸は、ラセミ体であるか、またはD型もしくはL型のいずれかの立体配置を有する。アミノ酸記号の前にある「d」という記号(例えば、dAla、dSer、dValなど)は、アミノ酸のD−異性体を指す。アミノ酸記号の前にある「dl」という記号(例えば、dlPip)は、アミノ酸のL−異性体とD−異性体との混合物を指す。本明細書で提供される化合物のキラル中心はインビボでエピマー化されうると理解されるべきである。こうして、当業者であれば、インビボでエピマー化される化合物にとって、化合物を(R)形態で投与することは化合物を(S)形態で投与することと等価であることを理解するであろう。
【0075】
本明細書で使用される、実質的に純粋であるとは、当業者が純度の評価のために使用する薄層クロマトグラフィー(TLC)、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および質量分析(MS)のような標準的な分析方法によって測定されるような容易に検出できる不純物が存在しないほどに十分均質であるか、または、さらなる精製によって、物質の酵素活性や生物活性のような物理的または化学的特性の変化が検出可能ではないであろうというほど十分に純粋であることを意味する。実質的に化学的に純粋な化合物を調製するための化合物の精製方法は当業者に公知である。ただし、実質的に化学的に純粋な化合物は立体異性体の混合物であってよい。かような場合、さらなる精製により化合物の特異的活性が増大するかもしれない。
【0076】
本明細書で使用される「アルキル」、「アルケニル」、および「アルキニル」の炭素鎖は、特定されない限り、1〜20(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;1〜5、1〜6、1〜10、10〜15、15〜20)個の炭素を含み、直鎖状、環状、または分岐状である。一部の実施形態では、2〜20(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;2〜5、2〜6、2〜10、10〜15、15〜20)個の炭素のアルケニル炭素鎖は1〜8(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8)個の二重結合を含む。そして、一部の実施形態では、2〜16(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16)個の炭素のアルケニル炭素鎖は1〜5(例えば、1、2、3、4、または5)個の二重結合を含む。一部の実施形態では、2〜20(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;2〜5、2〜6、2〜10、10〜15、15〜20)個の炭素のアルキニル炭素鎖は1〜8(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8)個の三重結合を含む。そして、一部の実施形態では、2〜16(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16)個の炭素のアルキニル炭素鎖は1〜5個の三重結合を含む。本明細書において代表的なアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基としては、以下に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、アリル(プロペニル)基、およびプロパギル(プロペニル)基が挙げられる。本明細書で使用される低級アルキル、低級アルケニル、および低級アルキニルは、約1また約2個の炭素〜約6個の炭素(例えば、1、2、3、4、5または6個)を有する炭素鎖を指す。本明細書で使用される「アル(ケニ)(キニ)ル(alk(en)(yn)yl)」は少なくとも1つの二重結合を含むアルキル基および少なくとも1つの三重結合を含むアルキル基を指す。
【0077】
本明細書で使用される「シクロアルキル」は飽和単環系または多環系を指し、一部の実施形態では3〜10(例えば、3、4、5、6、7、8、9または10;3〜5、3〜6、3〜8、5〜10)個の炭素原子を有し、他の実施形態では3〜6(例えば、3、4、5または6)個の炭素原子を有する。そして、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルはそれぞれ少なくとも1つの二重結合および少なくとも1つの三重結合を含む単環系または多環系を指す。一部の実施形態においてシクロアルケニル基およびシクロアルキニル基は、3〜10(例えば、3、4、5、6、7、8、9または10;3〜5、3〜7、5〜10)個の炭素原子とシクロアルケニル基とを含んでもよい。さらに他の実施形態において4〜7(例えば、4、5、6または7)個の炭素原子とシクロアルキニル基とを含んでもよい。さらに他の実施形態において8〜10(例えば、8、9または10)個の炭素原子を含んでもよい。シクロアルキル基、シクロアルケニル基、およびシクロアルキニル基の環構造は1つの環または2以上の環から構成されてよく、これらは融合形態、架橋形態またはスピロ結合形態で結合されうる。「シクロアル(ケニ)(キニ)ル」は少なくとも1つの二重結合を含むシクロアルキル基および少なくとも1つの三重結合を含むシクロアルキル基を指す。
【0078】
本明細書で使用される「アリール」または「アレーン」は6〜19(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19;6〜8、6〜10、6〜12、6〜15、10〜15、15〜19)個の炭素原子を含む芳香族単環基または多環基を指す。アリール基としては、以下に限定されないが、非置換または置換フルオレニル、非置換または置換フェニル、および非置換または置換ナフチルのような置換基が挙げられる。
【0079】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」は単環または多環の芳香環系を指し、一部の実施形態では、該芳香環系は、約5〜約15(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15;5〜7、5〜9、5〜10、10〜12、10〜15)の構成要素を有する。この際、環系中の1以上の原子、一実施形態では1〜3(例えば、1、2または3)個の原子はヘテロ原子(すなわち、炭素以外の元素であり、例えば、窒素、酸素、または硫黄が挙げられるがこれらに限定されるわけではない)である。ヘテロアリール基を必要に応じてベンゼン環に融合させてもよい。ヘテロアリール基としては、以下に限定されないが、フリル基、イミダゾリル基、ピリミジニル基、テトラゾリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、キノリニル基およびイソキノリニル基が挙げられる。
【0080】
本明細書で使用される「ヘテロサイクリル」は単環または多環の非芳香環系を指す。該非芳香環系は、一部の実施形態では3〜10(例えば、3、4、5、6、7、8、9、または10)の構成要素を有し、他の実施形態では4〜7(例えば、4、5、6、または7)の構成要素を有し、さらに他の実施形態では5〜6の構成要素を有する。この際、環系中の1以上の原子、特定の実施形態では1〜3(例えば、1、2または3)個の原子はヘテロ原子(すなわち、炭素以外の元素であり、例えば、窒素、酸素、または硫黄が挙げられるがこれらに限定されるわけではない)である。ヘテロ原子が窒素である実施形態では、窒素は必要に応じて、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、ヘテロサイクリル、シクロアルキルアルキル、ヘテロサイクリルアルキル、アシル、グアニジノで置換されているか、または、窒素が四級化されてアンモニウム基を形成していてもよい(この際、置換基は上記から選択される)。
【0081】
本明細書で使用される「ハロ」、「ハロゲン」、または「ハライド」は、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0082】
本明細書で使用される擬ハライドまたは擬ハロ基はハライドと実質的に類似の挙動を示す置換基である。かような化合物をハライドと同様の方法で使用し、取り扱うことができる。擬ハライドとしては、以下に限定されないが、シアニド、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、トリフルオロメトキシおよびアジドが挙げられる。
【0083】
本明細書で使用される「ハロアルキル」は1以上の水素原子がハロゲンで置換されたアルキル基を指す。かような置換基としては、以下に限定されないが、クロロメチル、トリフルオロメチル、および1−クロロ−2−フルオロエチルが挙げられる。
【0084】
本明細書で使用される「スルフィニル」または「チオニル」は−S(O)−を指す。本明細書で使用される「スルホニル」または「スルフリル」は−S(O)2−を指す。本明細書で使用される「スルホ」は−S(O)2O−を指す。
【0085】
本明細書で使用される「カルボキシ」は二価のラジカル、−C(O)O−を指す。
【0086】
本明細書で使用される「アミノカルボニル」は−C(O)NH2を指す。
【0087】
本明細書で使用される「アリールアミノカルボニル」は−C(O)NHR(ただし、Rはフェニルのような低級アリールなどのアリールである)を指す。
【0088】
本明細書で使用される「ヒドロキシカルボニル」は−COOHを指す。
【0089】
本明細書で使用される「アルキレン」は直鎖、分岐または環状の二価の脂肪族炭化水素基を指す。特定の実施形態では直鎖または分岐の二価の脂肪族炭化水素基であり、一実施形態では1〜20(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;1〜2、1〜5、1〜10、6〜10、10〜15、または15〜20)個の炭素を有する。さらに他の実施形態において、アルキレンには低級アルキレンが含まれる。必要に応じて、アルキレン基に沿ってS(=O)およびS(=O)2基などの1以上の酸素、硫黄、または、−NR−基および−N+RR−基などの置換もしくは非置換の窒素原子(この際、窒素の置換基はアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、もしくはCOR’であり、R’はアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−OY、もしくは−NYYであり、Yは水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはヘテロサイクリルである)を挿入してもよい。アルキレン基としては、以下に限定されないが、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)、プロピレン(−(CH2)3−)、メチレンジオキシ(−0−CH2−O−)およびエチレンジオキシ(−O−(CH2)2−O−)が挙げられる。「低級アルキレン」という用語は1〜6(例えば、1、2、3、4、5または6)個の炭素を有するアルキレン基を指す。特定の実施形態において、アルキレン基は1〜3(例えば、1、2または3)個の炭素原子のアルキレンを含む低級アルキレンである。
【0090】
本明細書で使用される「アルケニレン」は直鎖、分岐または環状の二価の脂肪族炭化水素基を指す。一実施形態では直鎖または分岐の二価の脂肪族炭化水素基である。特定の実施形態では2〜約20(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;2〜5、2〜6、2〜10、10〜15、または15〜20)個の炭素原子および少なくとも1つの二重結合を有する。他の実施形態では1〜12(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12;1〜5、2〜6、2〜10、10〜12)個の炭素を有する。さらに他の実施形態において、アルケニレン基には低級アルケニレンが含まれる。必要に応じて、アルケレン基に沿って1以上の酸素、硫黄、または置換もしくは非置換の窒素原子(この際、窒素の置換基はアルキルである)を挿入してもよい。アルケニレン基としては、以下に限定されないが、−CH=CH−CH=CH−および−CH=CH−CH2−が挙げられる。「低級アルケニレン」という用語は2〜6(例えば、2、3、4、5または6)個の炭素を有するアルケニレン基を指す。特定の実施形態において、アルケニレン基は3〜4個の炭素原子のアルケニレンを含む低級アルケニレンである。
【0091】
本明細書で使用される「アルキニレン」は直鎖、分岐または環状の二価の脂肪族炭化水素基を指す。特定の実施形態では直鎖または分岐の二価の脂肪族炭化水素基であり、一実施形態では2〜20個の炭素原子および少なくとも1つの三重結合を有する。他の実施形態では1〜12個の炭素原子を有する。さらに他の実施形態において、アルキニレンには低級アルキニレンが含まれる。必要に応じて、アルキニレン基に沿って1以上の酸素、硫黄、または置換もしくは非置換の窒素原子(この際、窒素の置換基はアルキルである)を挿入してもよい。アルキニレン基としては、以下に限定されないが、-C≡C-C≡C-、−C≡C−、および−C≡C−CH2−があげられる。「低級アルキニレン」という用語は2〜6(例えば、2、3、4、5または6)個の炭素を有するアルキニレン基を指す。特定の実施形態において、アルキニレン基は3〜4個の炭素原子のアルキニレンを含む低級アルキニレンである。
【0092】
本明細書で使用される「アル(ケニ)(キニ)レン(alk(en)(yn)ylene)」は直鎖、分岐、または環状の二価の脂肪族炭化水素基を指す。特定の実施形態では直鎖または分岐の二価の脂肪族炭化水素基であり、一実施形態では、2〜約20(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;2〜5、2〜6、2〜10、10〜15、または15〜20)個の炭素原子および少なくとも1つの三重結合、ならびに少なくとも1つの二重結合を有する。他の実施形態では1〜12(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12;1〜5、2〜6、2〜10、10〜12)個の炭素を有する。さらに他の実施形態において、アル(ケニ)(キニ)レンには低級アル(ケニ)(キニ)レンが含まれる。必要に応じて、アルキニレン基に沿って1以上の酸素、硫黄、または置換もしくは非置換の窒素原子(この際、窒素の置換基はアルキルである)を挿入してもよい。アル(ケニ)(キニ)レン基としては、以下に限定されないが、-C=C-(CH2)n−C≡C-(ただし、nは1または2である)が挙げられる。「低級アル(ケニ)(キニ)レン」という用語は6(例えば、1、2、3、4、5または6)個以下の炭素を有するアル(ケニ)(キニ)レン基を指す。特定の実施形態において、アル(ケニ)(キニ)レン基は約4個(例えば、1、2、3、または4)個の炭素原子を有する。
【0093】
本明細書で使用される「シクロアルキレン」は二価の飽和単環系または多環系を指す。特定の実施形態では3〜10(例えば、3、4、5、6、7、8、9または10;3〜5、3〜6、3〜8、6〜10)個の炭素原子を有し、他の実施形態では、3〜6個の炭素原子を有する。シクロアルケニレンおよびシクロアルキニレンはそれぞれ少なくとも1つの二重結合および少なくとも1つの三重結合を含む二価の単環系または多環系を指す。特定の実施形態においてシクロアルケニレン基およびシクロアルキニレン基は3〜10個の炭素原子とシクロアルケニレン基とを含んでもよい。特定の実施形態においては4〜7個の炭素原子とシクロアルキニレン基とを含む。一部の実施形態では8〜10個の炭素原子を含む。シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、およびシクロアルキニレン基の環構造は1つの環または2以上の環から構成されてよく、これらは融合形態、架橋形態またはスピロ結合形態で結合されうる。
【0094】
「シクロアル(ケニ)(キニ)レン」は少なくとも1つの二重結合を含むシクロアルキル基および少なくとも1つの三重結合を含むシクロアルキル基を指す。
【0095】
本明細書で使用される「アリーレン」は単環または多環の二価の芳香族基を指す。特定の実施形態では単環の二価の芳香族基を指す。一実施形態では5〜約20個の炭素原子および少なくとも1つの芳香環を有する。他の実施形態では5〜12個の炭素を有する。さらに他の実施形態において、アリーレンには低級アリーレンが含まれる。アリーレン基としては、以下に限定されないが、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、および1,4−フェニレンが挙げられる。「低級アリーレン」という用語は6個の炭素数を有するアリーレン基を指す。
【0096】
本明細書で使用される「ヘテロアリーレン」は二価の単環または多環の芳香環系を指す。一実施形態では約5〜約15(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15;5〜8、5〜10、8〜12、または10〜15)個の原子を環中に有する。この際、環系中の1以上の原子、特定の実施形態では1〜3個の原子はヘテロ原子(すなわち、炭素以外の元素であり、例えば、窒素、酸素、または硫黄が挙げられるがこれらに限定されるわけではない)である。「低級へテロアリーレン」という用語は5または6個の炭素原子を環中に有するヘテロアリーレン基を指す。
【0097】
本明細書で使用される「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換シクロアルキル」、「置換シクロアルケニル」、「置換シクロアルキニル」、「置換アリール」、「置換ヘテロアリール」、「置換ヘテロサイクリル」、「置換アルキレン」、「置換アルケニレン」、「置換アルキニレン」、「置換シクロアルキレン」、「置換シクロアルケニレン」、「置換シクロアルキニレン」、「置換アリーレン」、「置換へテロアリーレン」、および「置換へテロサイクリレン」はそれぞれ1以上の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキニレン、シクロアルケニレン、シクロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびへテロサイクリレンを指す。特定の実施形態では1つ、2つ、3つ、または4つの置換基で置換されており、この際、置換基は本明細書で定義されるものであり、一実施形態ではQ1から選択される。
【0098】
本明細書で使用されるイソチオシアネート(ITC)は−N=C=S部位を指す。
【0099】
いかなる置換基であってもその数が特定されない場合(例えば、ハロアルキル)には、1以上の置換基が存在してよい。例えば、「ハロアルキル」は1以上の同一のまたは異なるハロゲンを含みうる。
【0100】
本明細書で使用される任意の保護基、アミノ酸、および他の化合物の略語は他に記載がなければ一般的な使用方法に従って認識される略語、すなわち、IUPAC−IUB生化学命名法(Biochem.11:942〜944頁(1972)を参照)である。
【0101】
(組成物)
本明細書で提供される組成物の組成物および結合体は本明細書で提供される方法のいずれかに有用である。一実施形態においてこの組成物または結合体をインビトロの検出分析で使用しうる。関連する実施形態においてこの組成物および結合体をインビボの診断または検出方法に使用しうる。
【0102】
一実施形態では本明細書で提供される結合体および方法に使用される組成物は、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含む。そして、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0103】
【化21】
【0104】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0105】
【化22】
【0106】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0107】
【化23】
【0108】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0109】
【化24】
【0110】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す。
【0111】
一実施形態において上記の組成物はXがO原子である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。他の実施形態において上記の組成物はR3がCH3である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。特定の実施形態において上記組成物はXがOでありかつR3がCH3である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。
【0112】
一実施形態において上記組成物は式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部分を含み、図1の化合物cs124の化学式を有する。
【0113】
一実施形態において上記組成物はR3がCF3である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。他の実施形態において上記組成物はXがOでありかつR3がCF3である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。
【0114】
特定の実施形態において上記組成物は式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部分を含み、図1の化合物CF3−cs124の化学式を有する。
【0115】
一実施形態において上記組成物はXがN−R1である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。一実施形態において上記組成物はXがN−Hである式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。他の実施形態において上記組成物はR3がCF3である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。特定の実施形態において上記組成物はXがN−HでありかつR3がCF3である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。
【0116】
特定の実施形態において上記組成物は式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部分を含み、図1の化合物3−カルボキシメチルCF3−csl24の化学式を有する。
【0117】
他の実施形態において上記組成物はZがN原子でありかつR4がシクロプロピル部位である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。他の実施形態において上記組成物はR5が化学式COOHを有する有機酸部位である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。他の実施形態において上記組成物はZがN−R4でありかつR4がシクロプロピル部位でありかつR5が化学式COOHを有する有機酸部位である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。他の実施形態において上記組成物はR6がF原子である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。関連する実施形態において上記組成物はZがN−R4でありかつR4がシクロプロピル部位でありかつR5が化学式COOHを有する有機酸部位でありかつR6がF原子である式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部位を含む。
【0118】
特定の実施形態において上記組成物は式(I)または式(II)を有する一方または両方の増感剤部分を含み、図1に図示されるような化合物シプロフロキサシンの化学式を有する。
【0119】
多様な実施形態において上記組成物のいずれかはキレート部位を含む。キレート部位は、以下に限定されないが、例えば、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aでありうる。
【0120】
特定の実施形態において上記組成物はキレート部位EDTAを含む。他の実施形態において上記組成物はキレート部位DPTAを含む。
【0121】
一部の実施形態において上記組成物は第一リンカー部位および第二リンカー部位、または第一リンカー部位もしくは第二リンカー部位を有する。一部の実施形態において上記組成物は第一リンカー部位および第二リンカー部位、または第一リンカー部位もしくは第二リンカー部位を有し、この際、第一リンカー部位および第二リンカー部位、または第一リンカー部位もしくは第二リンカー部位は独立して化学式−NH−を有する。他の実施形態において上記組成物は第一リンカー部位および第二リンカー部位、または第一リンカー部位もしくは第二リンカー部位を有し、この際、第一リンカー部位および第二リンカー部位、または第一リンカー部位もしくは第二リンカー部位は独立して化学式N2C4H8を有するヘテロ環状アルキレン部位を有し、共有結合がN原子を介して生じる。
する。
【0122】
一部の実施形態においてキレート部位は増感剤部位の一方もしくは両方または第一リンカー部位および第二リンカー部位の一方もしくは両方にキレート部位のN原子を介して共有結合する。他の実施形態においてキレート部位は増感剤部位の一方もしくは両方または第一リンカー部位および第二リンカー部位の一方もしくは両方にキレート部位のカルボニル基を介して共有結合する。
【0123】
他の実施形態において上記組成物は増感剤部位の一方または両方に共有結合する第三リンカー部位を有する。一部の実施形態において第三リンカー部位は増感剤部位の一方または両方のR2部位で共有結合する。一部の実施形態において第三リンカー部位は7位で増感剤部位の一方または両方に共有結合する。一部の実施形態において第三リンカー部位は化学式−(CH2)n−を有し、nは1〜20(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20;1〜3、1〜4、1〜5、1〜8、1〜10、5〜10、5〜12、5〜15、10〜15、15〜20)の整数である。特定の実施形態において第三リンカー部位は化学式−(CH2)n−を有し、nは4である。当然のことながら、リンカー部位の長さは上記組成物に共有結合しうるマクロ分子などの様々な因子(ただしこれに限定されるわけではない)に依存するであろう。
【0124】
付加的な実施形態において第三リンカーを含む上記組成物のいずれかはさらに、第三リンカーを介して、結合基にさらに共有結合しうる。かような結合基は組成物を例えばマクロ分子(例えば、核酸またはポリペプチド)に共有結合(すなわち、連結)させるのに有用である。
【0125】
特定の実施形態において結合基は化学式−S=C=N−または−C(O)−CH2−Brを有する。
【0126】
一部の実施形態において上記組成物のいずれかは金属イオンをさらに含有しうる。特定の実施形態において金属イオンは三価の金属イオンである。特定の実施形態において金属イオンは、以下に限定されないが、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)でありうる。特定の実施形態において金属イオンはランタニドである。一部の実施形態において金属イオンはTb(III)またはEu(III)(本明細書ではそれぞれTb3+またはEu3+とも称される)でありうる。
【0127】
(化合物の調製)
本明細書で提供される医薬組成物および方法に使用される組成物は、本明細書に示す方法によって、または適切な出発材料を用いてこの方法の所定の手順を修正することによって調製しうる。本明細書に記載される組成物を生成するための特定の方法を以下に後述する実施例で詳述する(実施例1、2、および4を参照)。
【0128】
(インビトロ検出方法)
本明細書によればプローブを用いた標的のインビトロ検出方法および前記インビトロ検出方法に有用な組成物が提供される。本方法は、サンプルと、標的に対して親和性のある標的プローブ部位を含むルミネッセンスプローブ組成物とを接触させる工程と;前記ルミネッセンスプローブ組成物から発生する信号を検出する工程と;を含む。この際、前記標的プローブ部位はルミネッセンスキレート組成物に共有結合しており、前記キレートルミネッセンス組成物は、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0129】
【化25】
【0130】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0131】
【化26】
【0132】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0133】
【化27】
【0134】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0135】
【化28】
【0136】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示し;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており;
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される。
【0137】
場合によっては、本方法および組成物は、科学的研究、例えば、新規なタンパク質または公知のタンパク質(例えば、NF−κBもしくはp53)の細胞内局在性(例えば、核局在化または細胞質局在性)の確認に有用となりうる。本方法および組成物は、例えば、感染能(または感染予防)の研究においてウイルス、細菌、または他の感染性微生物による細胞感染を検出するのにも有用となりうる(例えば、Tardifら、J Virol.77(22):12299〜309頁(2003)を参照)。本検出方法の他の研究用途としては、細胞または組織で発現するような特定のポリペプチドの存在の検出がある。ポリペプチドの発現はタンパク質またはmRNA発現でありうる。そして、適切な結合体(例えば、ルミネッセンスキレートおよび抗体または核酸の結合体)を用いたこれらの分別検出を以下に詳述する。
【0138】
本方法および組成物は、細胞選別(例えば、蛍光補助細胞選別(FACS))、クロマトグラフィー、または電気泳動による分離、浸透圧による分離もしくは遠心分離などの分離手段(ただし、これらに限定されない)と併用する場合にも有用となりうる。
【0139】
インビトロ検出方法および組成物は、例えば、サンプル中に存在する疾患バイオマーカーの検出またはスクリーニングのための診断分析または試験にも有用となりうる。かような組成物および方法は被験患者の分析を通して患者を診断するために(例えば、ウイルス感染もしくは細菌感染の証拠またはガン細胞の存在を検出するために)使用されうる(例えば、Boshellら、Biomedica 22(l):30〜38頁(2002)を参照)。サンプル(例えば、被検体(例えば、ヒト患者)から得られるまたは提供されるサンプル)は血液、尿、リンパ液、脳脊髄液、羊水、膣液、精液および便のサンプルでありうると考えられる。サンプルは切除組織または針生検などの生検材料から得られるか提供されてもよい。外科病理学用の組織断片調製物は標準的な手法を用いて凍結および調製されうる。組織断片の免疫組織化学およびインサイチュー(in situ)ハイブリダイゼーション結合分析を固定細胞中で実施する(下記参照)。細胞を遠心分離のように流体サンプルから分離してもよい。組織サンプルを得るために他の多数の手法を利用することができ、これらは当業者によく知られている。例えば、試験サンプルはシリンジやスワブによって流体を取り除くというような方法によって得られうる。
【0140】
本組成物および方法の一部の実施形態において、ルミネッセンス部位に共有結合したプローブ部位は抗体、または抗体の抗原結合フラグメントである。注目する特定の標的抗原に結合する抗体または抗体フラグメントは、例えば動物を用いた免疫処置によって、またはファージ提示のようなインビトロ法によって生成されうる。本明細書で使用される「標的抗原」は特定の抗体が認識するエピトープを有する抗原を指す。
【0141】
抗体によるプローブおよびこれらのルミネッセンス結合体を用いた本発明の画像化方法は様々な様式の検出を包含する。一実施形態では、免疫組織化学手法を使用することにより、結合抗体によって認識される1以上の抗原を用いて細胞を同定および実質的に染色することができる。かような「染色」により、例えば、細胞のウイルスまたは細菌感染の分析(例えば、抗体が細菌またはウイルス抗原中のエピトープを特異的に認識する場合)や正常細胞対ガン細胞の確認(例えば、抗体が正常細胞またはガン細胞(例えば、メラノーマ抗原(MAGE)を発現するガン細胞)中で特異的に発現するエピトープを認識する場合)が可能となる。生細胞または固定細胞は、標的抗原(例えば、抗MAGE抗体)に特異的な抗体と接触することができ、この際、標的抗原(例えば、MAGE)が標的細胞(例えば、メラノーマ細胞)中に存在する場合には抗体により認識され結合される。一次抗体(すなわち、抗原(例えば、MAGE抗原)を特異的に認識する抗体)を1以上のルミネッセンス部位を用いて直接的に検出可能に標識(共有結合)することができる。あるいは二次(抗IgG)抗体や、例えば、1以上のルミネッセンス部位を用いて検出可能に標識(共有結合)されたプロテインAまたはプロテインGを用いて検出を行うこともできる。
【0142】
試験サンプル中のポリペプチドの検出は常用のものであり、当業者であればよく知られた方法を用いてタンパク質または抗体の存在または非存在を検出することができる。他の実施形態において本明細書に記載される抗体プローブ結合体を免疫測定法で使用してサンプル中の抗原の存在を検出することができる。一部の実施形態によれば免疫測定はサンプル中のタンパク質がプラスチック表面のような固相担体に結合できるようにすることを含む。続いて検出可能に標識された抗体(すなわち、ルミネッセンス部位に結合した抗体)を添加し、この同族抗原に選択的に結合させる。検出可能な(すなわち、ルミネッセンス標識された)抗体の検出はサンプル中の抗原の存在を示す。検出可能な抗体は標識されたまたは非標識の抗体でありうる。非標識の抗体は、一次抗体に特異的に結合する標識された二次抗体、または標識された、抗体と複合化するタンパク質であるプロテインAを用いて検出されうる非標識の二次抗体を使用することにより検出することができる。多様な免疫測定の手順は、例えば、Vollerら、Eds.,University Park、1981に記載されており、この文献は本明細書によりその全体が参照により引用される。固相担体を試験サンプルに接触させるように免疫測定を行ってもよい。試験サンプル中に存在するタンパク質はいずれも固相担体を結合させ、特定の検出可能な抗体調製物によって検出することができる。かような手法の例としては、ドットブロット法、ウェスタンブロット法、および他の類似の異なる分析法が挙げられる。ウェスタンブロット手法は、例えば、Sambrook,J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)に記載されている。
【0143】
他のより複雑な免疫測定としては、例えば、タンパク質の検出のための「サンドイッチ」分析があり、この分析では、固相担体に結合した第一の抗タンパク質抗体を試験サンプルに接触させる。好適なインキュベーション期間の後、固相担体を洗浄して非結合タンパク質を除去する。続いて、一次抗体によって認識されない特異的タンパク質の部分に対して特異的である異なる抗タンパク質二次抗体を添加する。この場合には、ルミネッセンス部位を用いて二次抗体を検出可能に標識することが好ましい。検出可能な抗体と一次抗体を介して固相担体に結合した特異的タンパク質とが複合化できるようにするための第二のインキュベーション期間の後に、固相担体に二回目の洗浄を行い、非結合の検出可能な抗体を除去する。あるいは、二次抗体は検出可能でなくてもよい。この場合には、二次抗体も特異的に結合し(一次抗体には結合しない)第三の検出可能な抗体を系に添加する。
【0144】
この種の分析から得られる結果は単純なイエス/ノーの答えでありうるか、例えば、(a)「優」、「良」、「可」、「不可」、および/もしくは「不良」のうちの1つ以上;(b)「非常に高い」、「高い」、「普通」、「低い」、および/もしくは「非常に低い」のうちの1つ以上;または(c)「+++++」、「++++」、「+++」、「++」、「+」、「+/−」、および/もしくは「−」のうちの1つ以上として表現されうる。この点で本分析は定性分析である。あるいは、本分析の結果は、検出可能な抗体の量を対照として得られたものと比較することによって定量的なものとすることができる。かような分析の例は、Wideら、Radioimmune Assay Method,Kirkham,Ed.,E.&S.Livingstone,Edinburgh、1970、199〜206頁に記載されており、この文献は本明細書によりその全体が参照により引用される。他の種類の免疫測定としては、「同時」、「リバース」分析がある。
【0145】
免疫測定の第一構成要素をニトロセルロースまたはタンパク質を固定できる他の固相担体に添加する。本明細書で使用される「固相担体」または「担体」はタンパク質を結合させることができる任意の材料を指す。よく知られた固相担体としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然セルロースまたは修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、および磁鉄鉱がある。担体の性質は、本発明の目的では、ある程度可溶性であるか、または不溶性であるかのどちらであればよい。担体の立体配置は、ビーズ(例えば、アガロース、セファロース、もしくは磁気ビーズ)のように球状であってもよいし、試験管の内側表面や棒材の外側表面のように円筒状であったもよい。当業者であればタンパク質を結合するための他の多数の好適な「固相担体」を知っているであろう。例えば、好適な固相担体は、96または386ウェルのマイクロタイタープレートである。
【0146】
タンパク質特異的抗体、その抗原結合フラグメント、またはこれらの誘導体の検出は、例えば蛍光増感剤部位の一方または両方を検出しようとする場合には蛍光光度計を用いて、あるいは、例えばルミネッセンス部位からの発光を検出しようとする場合には照度計を用いて、行うことができる。試験分析と並行して実施する分析物に既知量の1以上の抗原を加えるというようなポジティブ対照およびネガティブ対照を行ってもよい。当業者であれば適切な対照を行うのに必要な知識を持っているであろう。
【0147】
あるいは、一部の実施形態では、プローブ部位は細胞受容体のリガンドでありうる。本明細書に記載されるルミネッセンス部位に結合することができ、かつ本方法に有用であるようなリガンドの例としては、以下に限定されないが、サイトカイン(例えば、インターフェロン(例えば、IFN−ガンマ)、IL−2サブファミリーサイトカイン、IL−10サブファミリーサイトカイン、IL−1サブファミリーサイトカイン、IL−17サブファミリーサイトカイン、および腫瘍壊死因子);成長因子(PDGF、EGF、TGF−アルファ、FGF、NGF、エリトロポエチン、TGF−ベータ、IGF−I、IGF−II、G−CSF、GM−SCF、トロンボポイエチン、およびミオスタチン);ならびにウイルスまたはウイルスタンパク質(例えば、ウイルス表面タンパク質もしくはウイルス外殻タンパク質、たとえばHIV−1のgp16Oもしくはp24)が挙げられる。他の実施形態では、リガンドは小分子(例えば、アンドロゲン(例えば、アンドロゲン受容体に結合するためのテストステロン)、エストロゲン、プロゲストロン、グルココルチコステロイド、またはコルチコステロイド)であってもよい。小分子がオーファン化合物(すなわち、既知の機能を有するが同定された細胞標的を有さない化合物)である場合、本方法を使用してオーファン化合物の細胞標的(例えば、その化合物の酵素標的)を同定することができる。
【0148】
リガンドを介した(ligand−based)ルミネッセンス結合体の好適な検出方法は当業者によく知られており、上記した方法の一部が含まれる。端的にいうと、リガンド結合体を、リガンドとその同属受容体との結合が可能となるのに十分な時間、サンプルに添加した後に、ルミネッセンス部位からの発光または蛍光増感剤部位の一方または両方からの蛍光発光を検出することができる。場合によっては、リガンドは非標識の抗体であってもよく、検出可能に標識された抗体(上記のものなど)を使用してリガンドの存在を検出することも可能である。
【0149】
一部の実施形態において、プローブ部位は核酸(例えば、RNAまたはDNA)である。ルミネッセンス結合(luminescently conjugated)核酸への好適な使用法としては、例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)法、分岐オリゴヌクレオチド法、ノーザンブロット法およびサザンブロット法、インサイチュー(in situ)ハイブリダイゼーション法(例えば、蛍光インサイチュー(in situ)ハイブリダイゼーション(FISH))、ならびにオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法(ただしこれらに限定されない)などのmRNA塩基配列検出法がある。
【0150】
サンプル(例えば、ヒトガン患者サンプル)から得られる遺伝物質中の特定のmRNA転写物を検出する方法の一つは、分岐鎖オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション分析を使用する。分岐鎖オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションは米国特許第5,597,909号明細書、米国特許第5,437,977号明細書、および米国特許第5,430,138号明細書に記載されているように実施すればよい。
【0151】
他の実施形態において、本明細書に記載されたルミネッセンス結合核酸プローブを用いたサンプル中のmRNA転写物の検出には、ノーザンブロット分析を使用する。ノーザンブロット分析の実施手法は当業者によく知られており、Sambrook, J. ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)に記載されている。mRNA抽出、mRNAの電気泳動による分離、ブロット、プローブ調製、およびハイブリダイゼーションはいずれも容易に入手可能な出発材料を用いて日常的に実施可能である周知技術である。
【0152】
本発明に採用される特定のmRNA転写物の存在を検出する他の方法は、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法を使用する。オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法は当業者に周知である(以下に詳細に記載する)。端的にいうと、特定のヌクレオチド配列を含有する検出可能なプローブはmRNA転写物のヌクレオチド配列にハイブリダイズするであろう。一実施形態において、サンプルから得られるRNAから作られるRNAまたはcDNAを、例えば、濾紙に固定する。次に、プローブを添加し、プローブが固定された遺伝物質を十分に補完する場合に限りハイブリダイゼーションを可能とする条件下に維持する。条件はプローブを洗い落とすほどに十分に厳格であり、プローブの一部分のみが固定された材料にハイブリダイズする。洗浄されたフィルター上のプローブの検出は相補配列を示す。かような方法に有用なプローブとしては相補的DNAのオリゴヌクレオチドの少なくとも18のヌクレオチドがあり、標的mRNA転写物の完全な相補配列と同じ大きさでありうる。一部の好適な実施形態において、本発明のプローブは30〜200のヌクレオチドであり、好ましくは40〜100のヌクレオチドである。プローブは標的mRNA配列に対して固有の配列を含有することが好ましい。ハイブリダイゼーション条件は完全に相補的でないハイブリダイゼーションによるバックグランド信号を最小化するために日常的に最適化されうる。一部の好適な実施形態において、プローブは全長クローンである。プローブは少なくとも15のヌクレオチド、好ましくは30〜200の、より好ましくは40〜100のヌクレオチドフラグメントであり、完全なmRNA転写物でありうる。
【0153】
オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法は、均質化された組織サンプル中のmRNA転写物および体液サンプル中の細胞の検出に有用である。さらに、多数の検出方法(本明細書に記載された方法および他の好適な検出法の両方を含む)を特定の分析に組み込むことができる。例えば、免疫組織化学分析のような手法を1以上のポリペプチド産物がサンプル中の細胞に存在するかどうかを決定するために実施してもよいし、例えば、RT−PCRまたはノーザンブロット分析を使用してポリペプチドをコードするmRNAの存在を検出するために実施してもよい。
【0154】
ルミネッセンスで標識されていない核酸の付加的な実施形態を以下の「核酸プローブとしての結合体の使用」という欄で詳細に記載する。
【0155】
(インビボ検出法)
本発明では、組成物およびプローブ(例えば、被検体の内部または上部の標的)を用いた標的のインビボ検出方法についても取り上げる。本方法は、標的に対して親和性のある標的プローブ部位を含むルミネッセンスプローブ組成物を被検体に輸送する工程と;前記ルミネッセンスプローブ組成物から発生する信号を検出する工程と;を含む。この際、前記標的プローブ部位はルミネッセンスキレート組成物に共有結合しており、前記キレートルミネッセンス組成物は、(i)第一増感剤部位;(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【0156】
【化29】
【0157】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0158】
【化30】
【0159】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【0160】
【化31】
【0161】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【0162】
【化32】
【0163】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示し;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており;
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される。
【0164】
検出方法は本明細書に記載された方法のいずれであってもよく(「組成物のルミネッセンスおよび/または蛍光の検出」を参照)、例えば、フルオロスコープ、ルミノスコープ、核磁気共鳴断層撮影(MRI)、またはコンピュータ断層撮影(CTスキャン)を使用して実施することができる。
【0165】
本方法は、腫瘍抗原(例えば、MAGE−1、MAGE−3、MUC1、FAP−α、テネイシン、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)、pl85HER2、Her−2/Neu、もしくはCA−125)、心疾患のバイオマーカー(例えば、CK、CK−MB、ミオグロビン、心筋トロポニン、LDH、AST、Hs−CRP、もしくはBNP)、または神経疾患のバイオマーカー(例えば、タウ、トランスサイレチン、もしくはアルファシヌクレイン)などのバイオマーカーのインビボ診断において有用となりうる。バイオマーカーは核酸(例えばmRNA)またはタンパク質(例えば、細胞によるタンパク質発現)の両方を含む。本方法を一時点で使用する場合(すなわち、1つの個別測定用途)、本方法を使用することで疾患(例えば、ガン、心疾患、微生物感染、または神経疾患)の有無を検出することができる。あるいは、本方法を特定の被検体に長時間繰り返す場合(すなわち、同一被検体における種々の時点のバイオマーカー検出)、本方法を使用することで被検体における疾患の状態の進行を検出または定量化(例えば、疾患のバイオマーカーの増加または減少に基づく疾患の悪化または改善の検出)が可能である。例えば、最初にメラノーマに検出されたMAGE−1の量に比べてより多くのMAGE−1が二回目の時点でメラノーマ中に検出される場合、このことはメラノーマが進行している兆候となりうる。
【0166】
本方法は、被検体中のプローブをひきつける特定の標的の場所を確認または画像化するのにも有用となりうる。例えば、プローブの標的が腫瘍細胞上または腫瘍細胞中で発現される抗原である、すなわち真正な(bona fide)腫瘍抗原である場合、本方法を使用することで被検体中の腫瘍の場所を突き止める(例えば、転移性腫瘍細胞または細胞のコロニーを発見する、検出する、または確認する)ことができる。本方法は、例えば検出静脈造影による被検体中の血栓または血栓症の検出にも有用となりうる。
【0167】
本方法の他の使用法は、心臓負荷試験、肺スキャン、肺血管造影、およびスパイラル(ヘリカル)コンピュータ断層撮影(CT)スキャンでありうる。
【0168】
被検体としては本明細書に記載される任意の被検体であってよい。
【0169】
本明細書に記載される結合プローブのすべてをインビボ法に使用することができる。例えば、本方法で有用なルミネッセンスプローブ組成物としては、プローブが例えば、抗体、リガンド、小分子、または核酸である組成物がある。好適なプローブは、プローブを引きつける標的分子の種類によって異なるであろう。
【0170】
プローブ部位が抗体である場合、(例えば、目的とする被検体がヒトであるときに)抗体プローブを部分的にヒト化するまたは完全にヒト化するのに有用となりうる。本発明の結合抗体または抗原結合フラグメントをインビトロ用途またはインビボ用途に一層適合化させるような方法で修飾してもよい。欧州特許第239400号明細書(Winterら)には、ある種類のCDRを他の種類のもので(特定の可変領域の範囲内で)置換することによる抗体の変性が記載されている。CDR置換抗体は非ヒトの構成要素の含有量が著しく少ないため、CDR置換抗体は真性キメラ抗体に比べてヒトにおける免疫応答を引き起こす傾向が小さくなりうる。Riechmannら、Nature 332、323〜327頁、1988;VerhoeyenらScience 239、1534〜1536頁、1988を参照されたい。通常は、組換え核酸技術を用いてマウス抗体のCDRsをヒト抗体中の対応領域に置換し、所望の置換抗体をコードする配列を生成する。所望のアイソタイプのヒト定常領域の遺伝子断片(例えば、CHのためのガンマIおよびCLのためのカッパ)を加えることができ、そして、ヒト化重鎖および軽鎖遺伝子を哺乳類細胞中で共発現させることで可溶性ヒト化抗体を生成することができる。
【0171】
国際公開第90/07861号パンフレットには、本来のマウス抗体のV領域フレームワークへの最適なタンパク質配列の相同性についてのコンピュータ分析を行うことによりヒトVフレームワーク領域を選択する工程、およびマウスV領域の三次構造をモデル化してマウスCDRsと相互作用する可能性が高いフレームワークアミノ酸残基を可視化する工程を含む方法が記載されている。次に、これらのマウスアミノ酸残基を相同ヒトフレームワークに重ね合わせる。米国特許第5,693,762号明細書;米国特許第5,693,761号明細書;米国特許第5,585,089号明細書;および米国特許第5,530,101号明細書も参照されたい。Tempestら、Biotechnology 9、266〜271頁、1991では、標準として、NEWMおよびREI重鎖および軽鎖由来のV領域フレームワークをそれぞれ、ラジカル導入を伴わないCDR移植のために使用する。NEWMおよびREIによるヒト化抗体の構築のためのTempestらの取り組みを使用することによる利点は、NEWMおよびREI可変領域の三次元構造をX線結晶学から知ることにより、CDRsとV領域フレームワーク残基との間の特異的相互作用をモデル化することができることである。
【0172】
非ヒト抗体を修飾して、ヒト免疫グロブリン配列、例えば、コンセンサスヒトアミノ酸残基を特定の位置、例えば、1以上(好ましくは少なくとも5、10、12、または全て)の下記の位置:(軽鎖の可変ドメインのフレームワーク中の)4L、35L、36L、38L、43L、44L、58L、46L、62L、63L、64L、65L、66L、67L、68L、69L、7OL、71L、73L、85L、87L、98L、ならびに/または重鎖の可変ドメインのフレームワーク中の)2H、4H、24H、36H、37H、39H、43H、45H、49H、58H、6OH、67H、68H、69H、7OH、73H、74H、75H、78H、91H、92H、93H、および/もしくは103H(Kabatナンバリングに従う)に挿入するというような置換を含めてもよい。例えば、米国特許第6,407,213号明細書を参照されたい。
【0173】
V2−CNDポリペプチドに結合する完全なヒトモノクローナル抗体は、例えば、Boernerら、J.Immunol.、147、86〜95頁、1991に記載されるようなインビトロで感作されたヒト膵細胞を使用することにより産生されうる。これらをPerssonら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、88:2432〜2436頁、1991またはHuangおよびStollar、J.Immunol.Methods 141、227〜236、1991;および米国特許第5,798,230号明細書に記載されるようなレパートリークローニングにより調製してもよい。大きな非免疫ヒトファージ提示ライブラリーを使用して、標準的なファージ技術を用いてヒト治療法として発現しうる高親和性抗体を分離してもよい(例えば、Vaughanら、1996;Hoogenboomら、Immunotechnology4:1〜20頁、(1998);およびHoogenboomら、Immunol Today 2:371〜8頁(2000);米国特許出願公開2003−0232333号明細書を参照)。
【0174】
本明細書で使用される「免疫グロブリン可変ドメイン配列」は、免疫グロブリン可変ドメインの構造を形成しうるアミノ酸配列を指す。例えば、前記配列は自然発生の可変ドメインのアミノ酸配列の全部または一部を含みうる。例えば、前記配列は1、2またはそれ以上のN−もしくはC−末端アミノ酸や内部アミノ酸を省略してもよいし、1以上の挿入物または付加的な末端アミノ酸を含んでもよいし、あるいは他の改変部を含んでいてもよい。一実施形態において、免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むポリペプチドは他の免疫グロブリン可変ドメイン配列と連携することができ、これにより標的結合構造(または「抗原結合部位」)、例えばV2−CNDポリペプチドと相互作用する構造を形成する。
【0175】
抗体のVHまたはVL鎖は重鎖または軽鎖定常領域の全部または一部をさらに含んでいてもよく、これによりそれぞれ免疫グロブリン重鎖または軽鎖を形成する。一実施形態において、抗体は2本の免疫グロブリン重鎖および2本の免疫グロブリン軽鎖の四量体である。免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖はジスルフィド結合により結合しうる。重鎖定常領域は通常3つの定常ドメイン、CH1、CH2、およびCH3を含む。軽鎖定常領域は通常CLドメインを含む。重鎖および軽鎖の可変領域は抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は通常、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および従来の補体系の第1成分(C1q)などのホスト組織または因子への抗体の結合を仲介する。
【0176】
抗体の1以上の領域は、ヒトであってもよいし、機能上効果のあるヒト(effectively human)であってもよいし、またはヒト化されていてもよい。例えば、1以上の可変領域はヒトであるか、または効果上はヒトでありうる。例えば、1以上のCDRs、例えば、重鎖(HC) CDRl、HC CDR2、HC CDR3、軽鎖(LC) CDRl、LC CDR2、およびLC CDR3はヒトでありうる。軽鎖CDRsのいずれかはヒトでありうる。HC CDR3はヒトでありうる。1以上のフレームワーク領域(FR)はヒトでありうる。例えば、HCまたはLCのFRl、FR2、FR3、およびFR4はヒトでありうる。一部の実施形態においてフレームワーク領域のすべてがヒトである。例えば、ヒト体細胞(例えば、免疫グロブリンまたは非造血細胞を産生する造血細胞)に由来するフレームワーク領域のすべてがヒトである。一実施形態において、ヒト配列は、例えば、生殖核酸によりコードされる生殖細胞配列である。1以上の定常領域はヒトであってもよいし、機能上効果のあるヒトであってもよいし、またはヒト化されていてもよい。他の実施形態において、フレームワーク領域(例えば、FR1、FR2およびFR3の集合としてもしくはFR1、FR2、FR3、およびFR4の集合として)または抗体全体のうちの少なくとも70、75、80、85、90、92、95、または98%はヒトであってもよいし、機能上効果のあるヒトであってもよいし、またはヒト化されていてもよい。例えば、FR1、FR2、およびFR3の集合は、ヒト生殖セグメントによりコードされるヒト配列と少なくとも70、75、80、85、90、92、95、または98%が一致しうる。
【0177】
「機能上効果のあるヒト」免疫グロブリン可変領域は、免疫グロブリン可変領域が正常なヒトの免疫原性応答を引き出さないために十分な数のヒトフレームワークアミノ酸位置を含む免疫グロブリン可変領域である。「機能上効果のあるヒト」抗体は、抗体が正常なヒトの免疫原性応答を引き出さないために十分な数のヒトアミノ酸位置を含む抗体である。
【0178】
「ヒト化」免疫グロブリン可変領域は、修飾された形態が非修飾の形態に比べてヒトの免疫応答を引き出さないように修飾された免疫グロブリン可変領域である。例えば、免疫グロブリン可変領域が正常なヒトの免疫原性応答を引き出さないために十分な数のヒトフレームワークアミノ酸位置を含むように修飾された免疫グロブリン可変領域である。「ヒト化」免疫グロブリンについての説明は、例えば、米国特許第6,407,213および米国特許第5,693,762にある。場合によっては、ヒト化免疫グロブリンは1以上のフレームワークアミノ酸位置に非ヒトアミノ酸を含みうる。
【0179】
抗体の全部または一部を免疫グロブリン遺伝子またはそのセグメントによりコードしてもよい。代表的なヒト免疫グロブリン遺伝子としては、カッパ、ラムダ、アルファ(IgA1およびIgA2)、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子がある。完全長の免疫グロブリン「軽鎖」(約25Kdまたは214アミノ酸)は可変領域遺伝子によりNH2−末端で(約110アミノ酸)、およびカッパまたはラムダ定常領域遺伝子によりCOOH−末端でコードされる。完全長の免疫グロブリン「重鎖」(約50Kdまたは446アミノ酸)は同様に、可変領域遺伝子(約116アミノ酸)および他の上記定常領域遺伝子のうちの1つ(例えば、ガンマ)(約330アミノ酸をコード)によりコードされる。
【0180】
完全長抗体の「抗原結合フラグメント」という用語は、注目する標的に特異的に結合する能力を保有する完全長抗体(すなわち、GFRアルファ3)の1以上のフラグメントを指す。完全長抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に包含される結合フラグメントの例としては、(i)Fabフラグメント、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合されている2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一群のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Wardら、Nature 341:544〜546頁(1989));ならびに(vi)機能性を保有する分離された相補性決定領域(CDR)がある。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVLおよびVHは個別の遺伝子によってコードされるが、これらは、組換え法を用いて合成リンカーによって結合させることができる。この合成リンカーにより、これらを、VL領域およびVH領域のペアが一本鎖Fv(scFv)として知られる一価性分子を形成するような単一のタンパク質鎖として作成することが可能となる。Birdら、Science 242:423〜426頁(1988);およびHustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879〜5883頁(1988)を参照されたい。
【0181】
(医薬組成物および組成物の輸送方法)
本発明は、本明細書に記載される組成物のいずれかまたは薬学的に許容可能なこれらの塩を含有する医薬組成物をも提供する。この際、この組成物は、薬学的に許容可能なその担体、希釈剤または賦形剤と共に、プローブに共有結合している。
【0182】
本明細書に記載される化学組成物のいずれかが医薬組成物に組み込まれうる。かような医薬組成物は通常、化学組成物および薬学的に許容可能な担体を含む。本明細書に使用される「薬学的に許容可能な担体」という語は、医薬投与に適合した、溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤、抗真菌剤、等張性剤および吸収遅延剤などを包含する。本発明の化学組成物は、シロップ、エリキシル、懸濁液、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、水溶液、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、エマルジョンなどの形態で医薬組成物として配合されうる。補助的な活性化合物も医薬組成物に組み込んでよい。
【0183】
医薬組成物は目的とする投薬経路に適合するように配合される。投薬経路の例としては、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口(例えば吸入)投与、経皮(局所)投与、経粘膜投与、および経直腸投与が挙げられる。非経口投与、皮内投与、または皮下投与に使用される溶液または懸濁液は、下記の構成要素:注射用蒸留水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒のような滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩(phosphate)のような緩衝液;および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張度調節剤を含みうる。pHは塩酸や水酸化ナトリウムのような酸または塩基を用いて調節されうる。非経口調製物はガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器、または、多重投与用バイアル中に封入することができる。
【0184】
注射可能に適した医薬組成物は、注射可能な溶液または分散液の即時調製用の滅菌水溶液(水溶性)または分散液および滅菌粉末を含む。静脈内投与に好適な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL3(BASF、Parsippany、NJ.)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)がある。いかなる場合も、組成物は無菌である必要があり、かつ容易に注射可能な程度の流体であるべきである。これは、製造および貯蔵の条件下で安定であるべきであり、かつ細菌や真菌のような微生物の混入を防止する必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロプレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)ならびにこれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒でありうる。レシチンのような被覆剤の使用によって、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。微生物作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、等張性剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましいであろう。吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含有することにより、注射可能な組成物の吸収を延長することができる。
【0185】
滅菌の注射可能な溶液の調製は、必要な量の本明細書に記載される化学組成物のいずれかを、適切な溶媒中に、必要に応じて上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせと共に組み込んだ後に濾過滅菌することにより行うことができる。一般に、分散液の調製は、塩基性分散媒および上記に列挙したものの必要とされるその他の成分を含有する滅菌媒体(vehicle)中に化学組成物を組み込むことにより行われる。滅菌の注射可能な溶液の調製用滅菌粉末の場合、調製方法としては、あらかじめ滅菌濾過されたこれらの溶液から、活性成分と任意の付加的な所望の成分との粉末を得る真空乾燥または冷凍真空乾燥がありうる。
【0186】
経口医薬組成物は一般に、不活性な希釈剤または食用担体を含む。経口の治療的投与の目的で、化学組成物は賦形剤と組み合わせることができ、錠剤、トローチまたはカプセル(例えばゼラチンカプセル)の形態で使用することができる。経口医薬組成物を、うがい薬として使用される液体担体を用いて調製することもできる。薬学的に適合する結合剤およびまたはアジュバント材料を組成物の一部として含んでもよい。錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは下記の成分または類似の性質を有する化合物のいずれかを含有してもよい:
微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたゼラチンのような結合剤;デンプンまたはラクトースのような賦形剤;アルギン酸、プリモゲル、またはとうもろこしデンプンのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロテスのような潤滑剤;コロイドシリコンジオキシドのような流動促進剤;スクロースまたはサッカリンのような甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ風味料のような風味剤。
【0187】
粉末および錠剤は1%〜95%(w/w)の化学組成物を含有する。特定の実施形態において、化学組成物は5%〜70%(w/w)の範囲である。好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。「調製物」という用語は、カプセルを形成するような担体としての封入材料と共に化学組成物の製剤を含むことを意図する。この際、このカプセル中では、他の担体の有無にかかわらず前記化学組成物は担体に取り囲まれ、このようにして担体はそれと結合している。同様にして、カシェ剤およびロゼンジを含む。錠剤、粉末、カプセル、ピル、カシェ剤、およびロゼンジを経口投与に適する固体投薬形態として使用することができる。
【0188】
経口使用に適した水溶液は、化学組成物を水に溶解し、かつ好適な着色剤、香味料、安定剤、および増粘剤を所望により添加することにより調製されうる。経口使用に適した水性懸濁液は、微細な活性成分を、天然ゴムもしくは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁剤のような粘性材料と共に水中に分散することによって製造することができる。
【0189】
吸入による投与については、化学組成物をエアゾールスプレーの形態で、好適な噴射剤、例えば、二酸化炭素のような気体を含む加圧容器もしくはディスペンサーまたはネブライザーから輸送する。
【0190】
全身投与は経粘膜手段または経皮手段によるものであってもよい。経粘膜投与または経皮投与については、浸透されるべきバリアーに適した浸透剤を製剤中に使用する。かような浸透剤は一般に当該技術分野で公知であり、例えば、経粘膜投与では洗浄剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻腔用スプレーまたは坐薬の使用を通じて実現することができる。経皮投与では、活性化合物を一般に当該技術分野で公知であるような軟膏、膏薬、ゲル、またはクリーム中に配合する。
【0191】
化学組成物を、直腸輸送のために(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドのような慣用の坐剤基剤を用いた)坐薬の形態または滞留浣腸剤の形態で調製してもよい。
【0192】
一実施形態では、移植体およびマイクロカプセル化された送達系を含む放出制御製剤のような、化学組成物を身体から急速に除去されないようにする担体と共に調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸のような生体分解性の生体適合性ポリマーを使用してもよい。かような製剤の調製方法は当業者には明らかであろう。材料はAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Incから商業的に入手することもできる。リポソームの懸濁液(モノクローナル抗体によりウイルス抗原に感染した細胞を標的とするリポソームを含む)を薬学的に許容可能な担体として使用することもできる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号明細書に記載されるような当業者に公知の方法に従って調製することができる。
【0193】
投与の簡便性や投与量の均一性の点で経口または非経口医薬組成物を投与量単位形態で調合することが好都合である。本明細書で使用される投与単位形態は治療される被検体のための単位用量として好適な物理的に分離した単位を指す。各単位には所望のレベルの検出を実現できるように計算されて予め決められた量の化学組成物が必要とされる薬理学的担体と共に含まれている。投与量単位を使用説明書に添付してもよい。
【0194】
被検体に投与される投与量は、本発明においては、被検体において長期間にわたり所望の検出レベルが達成されるのに十分な量とすべきである。投与量は検出に使用される特定の化学組成物の有効性、プローブを引きつける特定の標的のアクセシビリティ、および被検体の状態ならびに治療される被検体の体重または表面積により決定されるであろう。投薬量の規模も、特定の被検体中への特定の化学組成物の投薬に伴う何らかの副作用の存在、性質、程度により決定されるであろう。
【0195】
投与については、本発明の化学組成物は、被検体の集団検診および健康全般に適用されるように、化合物の薬動力学的プロファイル、禁忌薬剤、および様々な濃度における化合物の副作用を含む因子(ただしこれらに限定されない)により決定される速度で投与すればよい。投与は単一投与または分割投与を介して行えばよい。
【0196】
医薬組成物は、容器、パック、またはディスペンサーに投与説明書と共に含まれうる。
【0197】
(組成物のルミネッセンスおよび/または蛍光の検出)
多様な放射線源および放射波長を使用して本明細書に記載されるルミネッセンス組成物を励起することができる。例えば、好適な波長を有する放射線を発生させるランプ(例えば、高圧、水銀、キセノン、および石英ランプ)ならびにレーザーをルミネッセンス組成物の励起に使用することができる。
【0198】
本明細書に記載される組成物のルミネッセンス強度の評価方法は定量的、半定量的、または定性的であってよい。すなわち、例えば、所定の組成物の発光強度を離散値として測定することができる。かような定量的な方法は当業者に周知であり、方法は下記の実施例に記載されている。かような方法としては、例えば、サンプルを本明細書に記載される組成物の増感剤部位の一方または両方を励起することが可能な分光光度計、ルミノメーターまたは蛍光光度計中に入れる工程と;増感剤部位の一方または両方からの蛍光発光を検出(例えば、定量または測定)する工程および/またはルミネッセンス部位(例えば金属キレート、例えばランタニド)からのルミネッセンス発光を検出する工程を含む。検出がインビボ(例えば、全身動物中)で生じる場合、例えばフルオロスコープ、ルミノスコープ、核磁気共鳴断層撮影(MRI)、またはコンピュータ断層撮影(CTスキャン)を使用して検出を行うことができる。励起光は一定であってもよく、好ましくは、励起光はパルス状でありうる。1以上の増感剤部位の励起は400〜700nmの範囲で発生する可能性があり、特定の増感剤の吸収極大に依存する。ランタニド(例えば、Tb3+)を含有する本明細書に記載されるルミネッセンスキレートは150〜750nmの波長、通常は200〜650nmの波長、より頻繁には250〜550nmの波長、最も頻繁には300〜450nmの波長で励起しうる。一般に、検出される発光は、入射光に比べて、少なくとも50nm、通常は少なくとも100nm、より頻繁には少なくとも150nm大きい。例えば、テルビウムおよびユーロピウムについて検出される発光はそれぞれ、好ましく492および546nmならびに617および695nmである。当業者であれば特定の増感剤部位に依存するルミネッセンス組成物の最適励起波長を測定するための日常的な実験を実施する方法を知っているであろう。多数の蛍光体分子の蛍光発光および励起スペクトルの例は、例えば、http://probes.invitrogen.com/servlets/spectra/(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)で入手することができる。
【0199】
本明細書に記載される方法のいずれについても、検出には励起ルミネッセンスキレート部位のルミネッセンス発光および/またはルミネッセンス組成物の増感剤部位の一方または両方の蛍光発光を検出する工程は含まれうると理解される。増感剤(すなわち、蛍光体)の蛍光発光は400〜700の範囲をとることができ、特定の増感剤に依存する。
【0200】
(マクロ分子プローブへの組成物の結合)
本明細書では、本明細書に記載される化学組成物のいずれかとプローブ部位との結合体が提供される。本明細書に記載されるルミネッセンス組成物のマクロ分子結合体は免疫化学、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、細胞追跡、受容体標識化および蛍光類似体細胞化学などの多様な方法に有用である。これらの用途において、結合体は通常比較的長期間にわたり貯蔵および繰り返し使用されうるため、ルミネッセンス組成物とマクロ分子(すなわちプローブ)との間の化学的結合の安定性は特に重要である。その上、結合体に強力な組成物−マクロ分子結合が要求される過酷なインキュベーション工程、ハイブリダイゼーション工程、および洗浄工程を施すことが多い。
【0201】
好ましい結合体は通常、高いルミネッセンス収率および/または蛍光収率を有し、(または、ハプテニル化された(haptenylated)結合体、好適な標的化程度の場合には)溶解性、受容体(例えば、プローブが特定の同族受容体へのリガンドである場合)、標的抗原(例えば、プローブが抗体である場合)、もしくは核酸(例えば、プローブが標的核酸に相補的な核酸である場合)への選択的結合、特定の酵素の活性化もしくは阻害、または生体膜へ組み入れる能力のような非標識の生体分子の臨界パラメータをさらに保有する。結合させた後には、非結合の標識試薬を通常、ゲル濾過、透析、マクロ分子沈殿および再可溶化、HPLCまたはこれらの手法の組み合わせによって、可能な限り取り除くことが非常に重要である。遊離した染料が存在すると、特に依然として化学的反応性を示す場合には、これ以降のルミネッセンスマクロ分子結合体との実験が非常に複雑になりうる。
【0202】
本明細書に記載される組成物のいずれかをペプチドと結合する方法は当業者に周知である。例えば、効率的な検出または精製が可能となるように多様な方法でタンパク質を標識すればよい。標識方法はタンパク質分子の表面上の1以上の共通の官能基を活用する。各ポリペプチド鎖のN−末端およびリシン残基の側鎖に存在する第1級アミン基(−NH2)は組成物に結合することができる。あるいは、システイン残基上に存在するスルフヒドリル基(−SH)は還元剤を用いてジスルフィド結合を処理することによりまたはSATAのような試薬を用いてリシン残基を修飾することにより使用可能となる。抗体への結合に特に有用な炭水化物基は、通常ポリクローナル抗体のFc領域に存在しており、酸化して結合のための活性なアルデヒド(−CHO)を生成しうる(例えば、Quら、J.Immunol.Meth.213:131〜144頁(1998)を参照)。一部の実施形態において、本明細書に記載される化学組成物は「結合部位」に共有結合する。これらの結合部位は化学的反応性基を含む分子であり、プローブ部位と反応する場合には化学組成物およびプローブ部位を連結可能なものである。かような結合部位の例としては、以下に限定されないが、化学式−N=C=Sを有するアミン反応性部位または化学式−CO−CH2−Brを有するチオール反応性部位がある。組成物をマクロ分子またはプローブに結合させる追加の方法としては、例えば、スクシンイミジルエステル、カルボニルアジド、スルホニルクロライド、およびアルデヒドがある。
【0203】
スクシンイミジルエステルはこれらが形成するアミド結合がペプチド結合と同じくらい安定であるためにアミン修飾用の優れた試薬である。これらの試薬は一般に十分に乾燥させれば貯蔵時に安定であり、脂肪族アミンと良好な反応性を示し、芳香族アミン、アルコール、フェノール(チロシンなど)およびヒスチジンと極めて低い反応性を示す。スクシンイミジルエステルは有機溶媒中でチオールとも反応し、チオールエステルを形成するであろう。タンパク質中に形成される場合、チオールエステルはアシル部位を近傍のアミンに移動しうる。スクシンイミジルエステルの加水分解は結合と競合するが、この副反応は通常pH9未満では遅い。
【0204】
カルボニルアジドはアミンと反応しうる活性なエステルであり、アミドを生成する。しかし、カルボニルアジドのより一般的な用途は、アルコールおよびフェノールの誘導体化を目的とする(脂肪族アミンおよび芳香族アミンの両方と反応して尿素を形成することができる)不安定なイソシアネートへの熱転位である。
【0205】
ダンシル、ピレン、リサミンローダミンB、およびテキサスレッド誘導体などのスルホニルクロライドは反応性が高い。これらの試薬は水中、特に脂肪族アミンとの反応に必要な高いpHでは、極めて不安定である。例えばこの試薬を用いたタンパク質修飾は低温で行うのが最もよい。しかし、いったん結合すると、形成されるスルホンアミドは極めて安定であり、これらは完全なタンパク質の加水分解(例えば、ダンシル末端基分析)を耐え抜くことさえする。スルホニルクロライドはフェノール(チロシンなど)、脂肪族アルコール(多糖など)、チオール(システインなど)、およびイミダゾール(ヒスチジンなど)とも反応しうるが、これらの反応はタンパク質または水溶液中では日常的でない。チオールおよびイミダゾールのスルホニルクロライド結合体は一般に不安定であり、脂肪族アルコールの結合体は求核置換しやすい。
【0206】
アルデヒドはアミンと反応してシッフ塩基を形成する。記載されている重要なアルデヒド含有試薬としては、o−フタルジアルデヒド(OPA)、ナフタレンジカルボキシアルデヒド(NDA)、および3−アシルキノリンカルボキシアルデヒド(ATTO−TAG)試薬CBQCAおよびFQがある。これに加えて、NBD塩化物、NBDフッ化物およびジクロロトリアジンのような特定のアリール化試薬はアミンおよびチオールの両方と反応し、アミンと特に安定な結合を形成する。
【0207】
プローブ部位への組成物の結合方法はいずれも、例えば、結合される組成物および化学的組成物が結合する特定のプローブ部位によって異なるであろうと理解される。
【0208】
(核酸プローブとしての結合体の使用)
本発明のルミネッセンス組成物および核酸の結合体(例えば、ハイブリダイゼーションプローブ)は、DNA、RNA、またはこの2つのいくつかの組み合わせから製造されうる。プローブは修飾ヌクレオチドを含みうる。プローブ中のヌクレオシド間の連結にはホスホジエステル結合以外の結合が含まれてもよい。
【0209】
一実施形態では、ルミネッセンスハイブリダイゼーションプローブはステム−および−ループ構造を含む相互作用的に標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチドである「分子標識」タイプのプローブである。ループはプローブの標的に相補的なプローブ配列を含む。ヌクレオチド配列(「アーム」)はプローブ配列の側面に位置し、一方のアーム中の配列は他方のアーム中の配列に相補的である。プローブが標的にハイブリダイズされない場合、アームはお互いにハイブリダイズしてステムハイブリッドを形成し、これはステム二重鎖と呼ばれることもある。これは閉鎖コンフォメーションである。プローブが標的配列にハイブリダイズする場合、より長くかつより強力なプローブ−標的ハイブリッドがステムハイブリッドに打ち勝ち、アーム配列を分離する。これは開鎖コンフォメーションである。開鎖コンフォメーションでは、アームも標的にハイブリダイズすることができる。一部の分子標識プローブについては、完全な相補鎖のみが分析条件下の変化を引き起こす標的である。一方、他の実施形態については、標的との内部の不整合が1箇所または数箇所存在するにもかかわらずプローブは開くであろう。本明細書に記載される分子標識プローブは一方のアームに結合(例えば、共有結合)したルミネッセンス組成物(例えば、本明細書に記載されるルミネッセンス組成物のいずれか)および他方のアームに結合した消光剤(定義については以下参照)を有する。アームがステムを形成する場合、消光剤は蛍光体/ルミノフォア(luminophore)に非常に近接しており、その蛍光を効果的に消光または抑制し、暗い状態にする。
【0210】
本明細書に使用される「消光剤」は励起した蛍光体に非常に近接して配置された場合にその場所を蛍光がほとんどないか、または全くない状態とする分子または部位を指す。同様に、消光剤は励起したルミノフォアに近接して配置された場合にその場所をルミノフォアから放出されるルミネッセンスがほとんどないか、または全くない状態とする。
消光剤部位が蛍光体およびルミノフォアの両方を消光する場合(例えば、ルミネッセンス共鳴エネルギー移動(LRET)関係にある蛍光体およびルミノフォア、以下参照)、消光剤は二重消光剤、すなわち「二重消光」である。当該技術分野で記載されている好ましい消光剤としては、DABCYLおよびこれらの変異体(DABSYL、DABMI、およびメチルレッドなど)が挙げられる。一部の蛍光体は消光剤、例えば、特定の他の蛍光体に作用する蛍光体でもありうる。好ましい消光剤は、DABCYL、マラカイトグリーン、またはプローブが開鎖コンフォメーションである場合に検出領域において蛍光発光しない蛍光体である。
【0211】
本発明に従って修飾された分子標識プローブのオリゴヌクレオチド配列はDNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)、またはこれらの組み合わせでありうる。修飾ヌクレオチドとしては、例えば、ニトロピロールを基とするヌクレオチドまたは2’−O−メチルリボヌクレオチドが含まれうる。修飾された結合としても、例えば、ホスホロチオエートが含まれうる。修飾ヌクレオチドおよび修飾された結合は、一方のアームが核酸ポリメラーゼのプライマーとして機能することのできるという要件を満たす限り、本発明による波長シフトプライマーに組み込まれうると理解されるであろう。
【0212】
本発明によるプローブについては、標的に相補的であるループ配列の長さ、ステムハイブリッドの長さ、この2つの関係をプローブの利用が予定される分析条件に従って設計する。特定の分析条件のための標的−相補体配列の長さおよびステムハイブリッドは必要に応じて公知の方法で推定され、試行され、調節される。PCR分析用の大宝的なプローブ配列は16〜25の範囲のヌクレオチドである。代表的なステム長さは3〜8の範囲、より一般的には4〜7のヌクレオチドである。ステムハイブリッドの強度は適切な機能が達成されるように日常的な実験により調節される。長さに加えて、ステムハイブリッドの強度はG−C含有量および不安定化される不整合な挿入物を変更することによって調整することができると理解されるであろう。一つのアームは標的に部分的または完全に相補的であるように設計されうる。3’アームが標的に相補的であれば、プローブはDNAポリメラーゼのプライマーとして機能しうる。また、波長シフト分子標識プローブは連結されるようにされる固体表面に固定されてもよいし、浮動的であってもよい。
【0213】
本発明によるヘアピン形成プローブは検出分析で活用されうる。これらは増幅分析における検出器としても使用することができ、増幅前に添加されうる。この場合、増幅可能な標的の初期濃度に応じて定量的な結果が得られうる。増幅反応には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、核酸塩基配列増幅(NASBA)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサークル増幅、およびQ−ベータレプリカーゼのような酵素によって触媒されるRNA依存性RNA増幅でありうる。複数の標的のための複数のプローブを単一チューブまたは他の多重分析用の容器中で使用してよい。
【0214】
ヘアピン形成プライマーは1以上のプライマーを含む上記で特定した増幅反応の場合に使用される。これらを本発明に従って修飾して、ヘアピン含有プライマーが核酸ポリメラーゼを用いたインキュベーションにより伸長することができるように、核酸標的に結合するアーム配列を有するようにしてもよい。ループ部分を、必要ではないが、元の標的鎖に相補的としてもよい。ヘアピン含有プライマーは、分子標識検出プローブと同様に、一方のアーム上の蛍光体および他方のアーム上の消光剤を用いて標識されたステムを有する。本発明の実施形態は主として分子標識検出プローブに関連して記載されるであろう。当業者であれば、その概念および教示がヘアピンプライマーに同様に当てはまることを理解するであろう。そして、その概念および特定の教示をヘアピン含有プライマーに適用する方法を理解するであろう。
【0215】
ルミネッセンス組成物を消光剤および付加的な蛍光体を含む分子標識などの一部として使用することについてのさらなる記載は、米国特許第6,037,130号明細書;米国特許出願第08/439,619号明細書および米国特許出願第08/990,176にあり、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0216】
本発明の核酸プローブ(例えば、本明細書の組成物のいずれかと核酸との結合体)を利用する分析は、ハイブリダイゼーションするのによい条件下でプローブを目的とする材料に添加するだけで開始する。サンプルの処理および蛍光信号のモニタリングの方法はサンプルの性質によって異なりうる。組織を機械的にまたはカオトロピック塩を用いたインキュベーションによって破壊してもよい。大抵は破壊された組織を直接分析に使用すればよい。しかし、組織の中には信号の検出を阻害しうる蛍光材料を天然に含有するものがある。かような場合には、ハイブリダイゼーションの前または後のどちらかで蛍光材料から核酸を分離すればよい。開放プローブの蛍光を蛍光光度計によりモニタリングすることができる。開放プローブのルミネッセンスをルミノスコープによりモニタリングすることができる。
【0217】
本明細書に記載される組成物および核酸(例えばDNA、例えばプローブ)の結合体は、例えば、特定の感染症の実地検査に有用である。例えば、マラリアまたはHIV−1の検査はチオシアン酸グアニジンを血液サンプルの添加することにより細胞を溶解し、細胞を解毒した後、成分を変性させることで開始してもよい。次に、例えば、マラリア原虫のリポソームRNAに相補的なプローブを予想される最大標的濃度に対して)大過剰量添加し、ハイブリダイゼーションの進行を可能とすればよい。開放プローブのルミネッセンスまたは蛍光を視覚的にあるいはルミノメーターまたは蛍光光度計を利用してモニタリングすればよい。ポジティブのルミネッセンスおよび/または蛍光信号の検出はマラリア原虫またはHIV−1ウイルスによる感染を示す。
【0218】
本明細書に記載されるプローブのいずれかを使用して、例えば、特定の核酸のサイズについての情報を必要とする、ゲルまたは他の媒体中の特定の核酸フラグメントの場所を突き止めることができる。最初にゲル電気泳動によってサンプル中の核酸を分画した後、ゲル自体をプローブ含有溶液中に浸漬すればよい。ゲル中の標的核酸の泳動位置はハイブリダイゼーションの結果として、特性信号により検出可能であろう。
【0219】
合成反応における核酸の産生のモニタリングは、適切に設計されたプローブを反応混合物中に入れて、信号(例えば、ルミネッセンス)のレベルをリアルタイムでモニタリングすることにより行えばよい。プローブは産生される核酸のセグメントに相補的であるように設計されるべきである。かような反応の例は、DNA依存性RNAポリメラーゼおよびQ−ベータレプリカーゼによるRNA合成である。単分子プローブはポリメラーゼ連鎖反応に使用される熱サイクルのスピードよりも速いスピードで開閉するため、この反応の追跡に特に有用である。 各サイクルにおける追加の温度は、プローブのステムの融解温度よりも5〜12EC低く、検出温度として含まれうる。各サイクルにおいて、ルミネッセンスのレベルが存在する標的DNA鎖の量を示すであろう。過剰のプローブは、過剰のPCRプライマーのように、反応混合物中で使用するべきである。PCRは非対称であってもよい。正確な生成物のリアルタイムモニタリングは、終点検出法とは対照的に、ポリメラーゼ連鎖反応による標的核酸濃度の評価の精度およびダイナミックレンジを向上させ、ポスト増幅分析の必要性が失われる。
【0220】
本明細書に記載されるルミネッセンスプローブを使用して鎖置換増幅反応および自立配列複製反応のような他の核酸増幅反応をモニタリングすることもできる。有用なプローブはポリメラーゼ連鎖反応生成物のためのプローブと類似の方法を用いて設計され、使用される。
【0221】
かようなプローブの使用についての付加的な実施形態および実施例は米国特許出願公開08/152,006号明細書;米国特許出願公開60/161,096号明細書;米国特許出願公開10/426,556号明細書;米国特許第5,925,517;米国特許第6,150,097号明細書;米国特許第6,461,817号明細書;および米国特許第6,037,130号明細書に記載されており、これらは本明細書によりその全体が参照により引用される。
【0222】
(ルミネッセンス共鳴エネルギー移動および分析)
組成物またはこの結合体のいずれかは、例えば、ルミネッセンス共鳴エネルギー移動(LRET)を信号発生機構としての利用することができる。FRETは、蛍光染料で標識され、約10〜75オングストローム離れた2点間の距離の測定に使用することができる。生理学的(または他の)条件下、オングストローム近い解像度かつ優れた蛍光測定感度で測定が行われうるため、本技術は高価である。FRETは一方の蛍光染料−ドナーから他方の吸収染料または蛍光染料−アクセプターへのエネルギーの距離依存性移動に依存する。ドナーおよびアクセプターは距離を測定したい2点に部位特異的に配置される。
【0223】
ランタニドは蛍光発光しないが、本明細書に記載されるルミネッセンス組成物(またはこの結合体)のいずれかを使用することにより、これらを効率的に励起さえることが可能となる。その結果、ランタニドの非蛍光量子遷移は適切に離された好適なアクセプターへの非放射エネルギー移動を達成することができる。移動を達成するには、アクセプターの吸収がランタニド発光と重なり合う必要がある。キレート−アクセプターペアは重なりが最適となるように選択される。長距離測定には、より大きな重なりが好ましい。ランタニドは寿命がミリセカンドオーダーであるため、LRETにおけるアクセプターの増感発光の信号−ノイズ比が時間分解(パルス遅延)または位相変調を通じた発光検出によって改善される。ドナーの消光、または、好ましくはアクセプターのルミネッセンスによってエネルギー移動を検出することができる。
【0224】
ルミネッセンスランタニドキレート剤を(慣用の染料に換えて)ドナーとして、慣用の蛍光染料をアクセプターとして使用することにより、我々はLRETの信号対バックグランドを約100倍向上することができた。この向上により、100オングストロームを超えた測定が可能となった。この距離は、慣用の小さい蛍光染料を使用した場合には現在測定不能な距離である。この距離領域は、多くの生物学的問題において重要である。ランタニドキレート剤はエネルギー移動の方向依存性における不確かさを最小化するため、このキレート剤をドナーとして使用することにより、距離の測定もより正確になる。
【0225】
LRETは溶液中のマクロ分子についての構造上および運動性の情報をリアルタイムで得るのに特に有用である。例えば、両端が標識されたオリゴヌクレオチドは核酸結合タンパク質(例えば、熱転写物因子)により結合される場合に検出可能なLRET信号伝達をもたらす。したがって、本方法は、生体分子の構造または相互作用を変化させる潜在的な治療法の検査に使用される。例えば、抗ウイルス剤は核酸コンフォメーションにおける生体転写物因子誘導変性を変化させる能力を検査される。
【0226】
サンプルの一部中の第1位置と第2位置との間の距離を検出する一般的なLRETに基づいた方法は、第1位置に位置するドナーランタニドーキレート錯体および第2位置に位置するアクセプターを含むサンプル部分を、ドナーに第一電子遷移を引き起こすことができる第一波長の光に露出させる工程を含む。ドナー発光およびアクセプター吸収のスペクトルの重なりはドナーのルミネッセンス強度もしくは寿命の検出可能な消失またはアクセプターのルミネッセンス強度もしくは寿命の検出可能な増大によって測定されるようなドナーからアクセプターへのエネルギー移動を可能とするのに十分である。そして、第二波長におけるサンプル部分からの光の第一発光強度が検出され、この際、第二波長は第一波長よりも長く、ドナーにおける第二電子遷移に起因する。ここで、光の第一発光強度は第1位置と第2位置との間の距離と相関する。換言すると、位置がより近接するほど、エネルギー移動はより増大し、かつ、ドナー消光が増大する。あるいは、第三波長におけるサンプル部分からの光の第二発光強度を検出することができ、この際、第三波長は第一波長よりも長く、アクセプターにおける電子遷移に起因する。ここで、光の第二発光強度は第1位置と第2位置との間の距離と逆相関する。換言すると、位置がより近接するほど、エネルギー移動は増大し、かつ、アクセプターのルミネッセンスが増大する。
【0227】
この一般的な方法は、目的とする2つの位置(例えば2つの原子または分子)間の距離が静的であっても動的であっても、広く適用される。特定の一実施形態において、本方法はポリメラーゼ連鎖反応の状態をモニタリングするために使用される。ここで、サンプル部分は第一鎖部分と、一方の端近傍をアクセプターで標識し、他方の端近傍をドナーで標識した診断核酸鎖とを含む標的核酸鎖を含む(すなわち、ドナーに共有結合した第一原子とアクセプターに共有結合した第二原子とを含み、該第一原子および第二原子は第二鎖部分によって分離されている)。第一および第二鎖部分はアニール条件下でハイブリダイズするのに十分に相補的であり、第二鎖部分は第一および第二鎖部分がハイブリダイズされない場合のドナーからアクセプターへのエネルギー移動の総計と、第一および第二鎖部分がハイブリダイズされる場合のドナーからアクセプターへのエネルギー移動の総計とを比較した場合に検出可能な差が得られるのに十分な長さである。検出可能な差はドナーのルミネッセンスの検出可能な消光またはアクセプターのルミネッセンスの検出可能な増大の少なくとも一つとして測定される。そして、第一原子と第二原子との間の距離は核酸鎖がハイブリダイズされているかどうかを示す。したがって、反応が進行するときの標的核酸の固定(mount)の段階的増加はエネルギー移動の段階的減少を反映している。
【0228】
LRETまたはFRETを使用する検出または画像化法はエピトープのマッピング、膜中のペプチド会合、ベシクル中の脂質秩序、膜構成、脂質の分布、タンパク質折り畳み動力学、輸送系、インビボタンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質サブユニット交換、DNA−タンパク質相互作用、tRNA−リポソーム、DNA三重らせん、および核酸ハイブリダイゼーションの検出のような多様な用途に有用である。
【0229】
一般に、本明細書に記載される組成物およびこの結合体を使用して、標的配列を含有するかまたは含有するように誘導体化された所望の標的材料を検出および/または定量することができる。標的配列含有標的材料は、本明細書に記載されるルミネッセンス結合体を用いて、標的材料への結合および/または標的材料の標識化が可能となるのに十分な期間インキュベートされる。結合体由来のFRETを検出することにより、標的材料を検出する。標的材料をキュベット、マイクロタイタープレート、キャピラリー、フローセル、試験管、ゲル、ブロット、および生体サンプルなどの任意の材料(ただしこれらに限定されない)中で検出することができる。一部の実施形態では、標的材料を被検体の身体中で検出することができる。
【0230】
FRET分析を使用して分析物間の反応をモニタリングすることもできる。例えば、キナーゼ分析である。かような方法は、例えば、Von Ahsenら、J Biomol.Screen(2006);Greenら、BMC Chem.Biol.5:1(2005);およびZhangら、Anal Biochem.343(10):76〜83頁(2005)に記載されている。
【0231】
本反応は、例えば、タンパク質の折り畳み事象、開裂事象、タンパク質の自己会合事象、またはこれらの速度でありうる。本方法は、免疫測定、DNA−タンパク質結合分析、タンパク質−タンパク質分析、タンパク質コンフォメーション分析、および速度研究であってよく、これらの多くは上記に記載されている。
【0232】
LRETおよびFRETならびに使用方法についての付加的な説明は、例えば、米国特許第5,622,821号明細書;およびSelvinら、Ann.Rev.Biophys.Biomol.Structure 31:275〜302頁(2002)に見られ、これらの両方が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0233】
以下の実施例は例示するためのものであり、本発明の範囲を制限するためのものであはない。
【0234】
(実施例)
(実施例1:4−キノロン誘導体の合成)
図2の化合物Iの合成のために、2.2mL(15mmol)のトリフルオロアセトアセテートおよび0.6g(15mmol)のNaOH粉末を7mLのジメチルホルムアミド中で混合し、40℃で溶解するまで攪拌した。この混合物に、1.5mLのブロモアセトアセテートを添加し、この溶液を70℃で2時間インキュベートした後でNaBr(臭化ナトリウム)によって沈殿を停止させた。この混合物を20mlの水で希釈し、エーテルで抽出した。有機層を収集し、最初に30℃で真空蒸発させた後に70℃で30分間蒸発させた。図2の化合物IIを下記のように合成した:1.0gの1,3−フェニレンジアミンを等モル量の化合物I(図2)と共に2mLのDMSO中で混合し、50℃で18〜20時間インキュベートした。これらの条件の下で、Rf=0.9(薄層クロマトグラフィー(TLC)、酢酸エチル中のシリカゲル上)の主要な蛍光生成物が形成された。混合物を水で水で希釈し、エーテルで抽出した。有機層を収集し、ヘキサン/アセトン4:1の混合物を溶離液として使用したシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより生成物を精製した。
【0235】
4〜5mlの0.5M NaOH 50%エタノール中に溶解させた化合物II(図2)を用いて化合物IIIを合成し、2時間50℃に保持した。この混合物を1Mクエン酸によって酸性化し、エーテルで抽出した。エーテルを真空蒸発により除去した。化合物IIIを3mlのTHF中に溶解させ、140mgの4−ニトロフェノールおよび0.5gのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を追加した。30分のインキュベーションの後に3mmolの1,4−ジアミノブタンを含有する3mlのメタノールを上記混合物に添加し、さらに5分間インキュベートした。この混合物を10mLの水で希釈し、1Mクエン酸を用いてpH3〜4に酸性化し、エーテルで抽出した。10M NaOHによって水層のpHを12〜13に調節し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を真空蒸発させ、残留物を30mlのエーテル/エタノール7:1の混合物に溶解させ、等体積の水を用いて振とうさせた。有機層を収集し、真空蒸発させた後に、アセトニトリルを用いてさらに蒸発させた。残留物をクロロホルム(3×2ml)により洗浄し、廃棄した。クロロホルム抽出物を合わせて、真空蒸発させた。これらの工程により、図2の化合物Vが生成された。
【0236】
40mgの化合物Vを2mLのクロロホルム中に溶解させ、25mgのチオカルボニルジイミダゾールを追加することにより図2の化合物VIを生成した。5分間のインキュベーションの後に、0.1mLのメタノールおよび25mLのトリフルオロ酢酸(TFA)を添加し、さらに55℃で1.5時間インキュベーションを継続した。混合物を1mlの0.1Mクエン酸および1mLの1M NaHCO3を用いて連続的に抽出した。クロロホルムを蒸発により除去し、残留物をアセトニトリルで数回洗浄した。アセトニトリル画分(fraction)を合わせて、真空蒸発させた。
【0237】
20mgの化合物VIをDTPA二無水物および14μlのTEAを含有する0.5mLのDMF中に溶解させることにより図2の化合物VIIを生成した。55℃での20分間のインキュベーションの後に、アセトニトリル/水5:1の系中の2シリカゲルプレート上でTLCにより生成物を精製した。40mgの化合物Vを2.5mLのメタノール中に溶解させ、等モル量のN−ヒドロキシスクシンイミジルブロモアセトアセテートと混合することにより、図2の化合物VIIIを生成した。この混合物を真空蒸発させ、残留物を酢酸エチル中に溶解させ、10mM NaOHを含有する水で抽出した。有機層を収集し、真空蒸発させた。残留物をアセトニトリルにより洗浄し、廃棄した。アセトニトリル洗浄物を蒸発乾固させた。最終的に、化合物VIIの合成と類似の条件で、化合物VIIIから図2の化合物IXを合成した。
【0238】
(実施例2:2−キノロン誘導体の合成)
化合物Iから図3の化合物IIを得た(前節、図2を参照)。ただし、50℃に替えて110℃の温度および4時間を使用した。図3の化合物IIのRfは0.6(TLC、酢酸エチル中のシリカゲル上)であった。混合物に20mlの水を追加し、エーテル(2×40ml)で抽出した。有機層を収集し、生成物をヘキサン/アセトン3:1の混合物を溶離液として使用したシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより生成物を精製した。化合物IIを含有する分画を収集し、真空蒸発させて、残留物を4〜5mlmクロロホルム中に懸濁させた。濾過により溶媒を除去し、残留物を減圧乾燥させた。収量260mg。図2の対応生成物について説明したように化合物IIIから図3の化合物IIIを得た。
【0239】
化合物IV。240mgの化合物IIIを20mlのTHF中に懸濁させ、450mgのDCCを追加して、室温で1時間攪拌した。クロロホルム−エタノール系(2:1)中でのTLC分析では、単一の蛍光生成物(Rf=0.8)が検出された。この混合物を1.5モル過剰の1,4−ジアミノブタンのモノトリチル誘導体で20分間処理し、これにより、化合物IVから対応する付加物(Rf=0.7、酢酸エチル−エタノール系10:1中)に完全に変換された。同一の溶離液を使用したシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより生成物を精製した。収量340mg。90℃で10分間90%酢酸(5ml)中でインキュベーションすることにより、この生成物から化合物Vを生成した。溶媒を真空除去し、残留物を水で数回以上蒸発させ、微量の酢酸を除去した。最終的に、残留物を水に溶解させ、pH3〜3.5に酸性化し、エーテル(2×20ml)で抽出した。水槽を収集し、NaOHによりpHを11.5〜12に調節し、生成物をクロロホルムで抽出した。有機層を収集し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を真空除去した。
【0240】
前節における対応化合物について説明したように他の全ての化合物を得た(実施例1を参照)。
【0241】
(実施例3:2−キノロン誘導体および4−キノロン誘導体の蛍光特性)
図4は図2の4−キノロン化合物VIIについての蛍光発光スペクトルを図示したものである。金属遊離化合物は400nmに中心がある広域発光スペクトルを有する。Eu3+またはTb3+の添加により配位して、結合したランタニドへの効率的なエネルギー移動が生じる。これは、
アンテナの発光の減少(400nm)およびランタニド発光の典型的な尖頂急峻なピーク(Tb3+については490nm、546nm、580nm、622nm、およびEu3+については570nm、595nm、615nm)の出現により証明される。特に、ランタニド発光は50μ秒以下の遅延を明白に低減する一方で、ランタニド配位プローブの時間遅延蛍光測定結果は400nmでの発光極大の完全な消失を示す。これにより、極めて高感度なプローブ検出の実現が可能となり、我々の測定では、50fMであった。
【0242】
(実施例4:2−キノロン誘導体および4−キノロン誘導体の分子標識の合成)
分子標識の調製のために、一般的な蛍光消光剤であるブラックホール消光剤(BHQ−2)およびDabsyl消光剤(DAB)を3’末端に含有する2’OMe RNA構築物を使用した。キノロン誘導体(図2および3の化合物VII)をこれらの構築物に5’末端にあるアミノアルキル部位で結合させた。0.1〜0.5mMポリヌクレオチド材料、5mMキノロンプローブ、および0.2Mホウ酸ナトリウムpH10を含有する30μlの反応混合物中で構築物の誘導体化を実施した。55℃での3.5時間の過剰のキノロン誘導体を複数回のエタノール沈殿によって除去し、8M尿素の存在下におけるポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)または逆相カラムクロマトグラフィーのどちらかで得られた標識構築物を精製した。典型的な場合の誘導体の効率は70〜80%であった。
【0243】
(実施例5:2−キノロン誘導体および4−キノロン誘導体を含有する分子標識の蛍光特性)
図5は異なる条件下での4−キノロン化合物を介した分子標識の蛍光を示したものである。3つの異なる4−キノロン蛍光体を使用した:金属遊離蛍光体およびTb3+またはEu3+で配位した同一の蛍光体。3つの測定を各ケースについて行った。標識自体の分子標識発光を伴わない媒体の発光、および、相補的DNA標的の存在下での媒体の発光。各蛍光体の最適波長(400nm、546nmおよび617nmに対応)で発光を検出した。標的の非存在下では、分子標識は低いバックグラウンド蛍光を有することがわかる。標的を加えると、全ての場合で、明らかに相補的DNA配列を用いたハイブリダイゼーションによる標識の「開放」に起因する蛍光シグナルの劇的な増大が起こった。特に、増大因子は金属遊離標識(60)に比べて、ランタニドを介した標識(400を超える)のほうがずっと高かった。標的の非存在下での分子標識の形態を含む金属の極めて低い発光は、おそらくアンテナの蛍光およびランタニドのルミネッセンスの両方の消光に起因するものであった。これにより、ルミネッセンス分子標識は優れたハイブリダイゼーションプローブとなる。
【0244】
(実施例6:ランタニドを介した分子標識を用いた相補的核酸配列の時間分解検出)
ランタニドを介したハイブリダイゼーションプローブの検出限界の評価のために、信号増大因子(時間遅延方式、50μs)を分子標識(一定濃度25nM)に対して、異なるDNA標的濃度で信号増大因子(時間遅延方式、50μs)を測定した(図6)。これらの実験からすると、静止して確実に検出できる標的の極小の濃度は1nmの低さであった。これは、慣用の分子標識に比べて優れている。
【0245】
(実施例7:シプロフロキサシン誘導体の合成)
図7a〜bは選択されたランタニドキレートの合成スキームを図示したものである。これらの化合物はジメチルホルムアミド(DMF)中でのシプロフロキサシン(シプロ)とEDTAまたはDTPA二無水物のどちらかとの反応により得られた。過剰の二無水物試薬中の反応は単官能化合物(例えば、EDTA−シプロ、DTPA−シプロ)の形成に有利である。一方、二官能誘導体(例えば、EDTA−(シプロ)2およびDTPA−(シプロ)2)は、指定された二無水物に対して2倍モル過剰のシプロフロキサシンを使用することにより得られた。対照として使用するために、二官能アルキル誘導体化合物−(CH2)8−(シプロ)2をジヨードオクタンとシプロとの反応により得た。各合成化合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、UV分光法により同定した。
【0246】
(実施例8:シプロフロキサシン誘導体とこれらのTb3+キレートの蛍光特性)
シプロ誘導体(0.1mMの濃度)とTb3+塩(1mMの濃度)とをの水溶液中で組み合わせると、シプロの自己蛍光(青色である)の顕著な減少とTb発光に特有の緑色のルミネッセンスの発生がもたらされる(図8)。この系でのランタニド発光強度は極めて高く、これは、アンテナからランタニドへのエネルギー移動の高効率(>90%)とランタニド発光の高量子収率との両方に起因した測定値によるものであった。本発明はいずれかの特定の作用機構に限定されるわけではないが、観測されたスペクトルシフトはシプロ誘導体によるランタニド原子の配位およびこれにより生じるシプロ蛍光体から金属へのエネルギー移動に起因するものであったと考えられる。図10a〜bはシプロ分子自体がTbの増感発光を引き起こすことができることを示す。しかし、発光強度は弱かった。単官能誘導体EDTA−シプロまたはDTPA−シプロとのTb3+錯体からの発光強度は有意に大きかった。図10a〜bに示すように、最高強度の発光(すなわち、最も輝度の高い)錯体は、二官能誘導体であるEDTA−(シプロ)2およびDTPA−(シプロ)2とのTb3+錯体であった。
【0247】
2つのシプロ残基を結合する架橋または結合のキレート化特性は、高強度のルミネッセンスに不可欠であった。スペーサー中にキレート基を有さない対照化合物である−(CH2)8−(シプロ)2ではキレート基を有するシプロ化合物に比べて中程度の輝きしかなかった。
【0248】
(実施例9:二官能シプロフロキサシンキレートおよびこれらのランタニド錯体のポテンシャル構造)
EDTA−(シプロ)2およびDTPA−(シプロ)2のランタニドキレートのルミネッセンス強度が大きい理由の一つは、対応する金属−蛍光体錯体の構造によってもたらされる。UV分光データから明らかなように、水中での金属遊離EDTA−(シプロ)2およびDTPA−(シプロ)2化合物のモル吸光はメタノール中に比べて有意に低かった(図10a〜b)。このことは、水溶液中において二官能化合物中の2つのシプロ残基間に、疎水性のスタッキング相互作用があることを示す(図9a〜b)。メタノール中での吸収はスタッキングの崩壊により増大したと推定される。実際、図10a〜bに示すように、シプロならびにその単官能誘導体であるEDTA−シプロおよびDTPA−シプロの光吸収は水中とメタノール中の両方でほとんど同じであった。これは、後者の化合物でスタッキングが存在しないことを示唆する。二官能化合物のスタッキングは連結(すなわち、近接した関係にある2つの部位を維持する共有結合)によるシプロ残基の近接によって有利となる。シプロ化合物およびこれらのランタニド錯体の予想空間構造を図11a〜cに示す。シプロは2つの潜在的な配位部位、環中の3−カルボキシル基および4−オキソ基により形成された一方の部位および7−ピペラジン置換基により形成された他方の部位を有する。どちらの部位がTb3+イオンの配位を伴っているかを決定するために、潜在的なピペラジン配位部位をアシル化により不活性化した対照化合物(シプロ−AcBr)を使用した。しかし、この修飾は錯体形成によるTb3+発光の発生をもたらさなかった。これは、代替部位において金属が結合したことを示唆する(図11a〜cを参照)。EDTA−シプロおよびDTPA−シプロ化合物は三価金属(Me3+)の添加量に応じて単金属錯体および二金属錯体を形成することができる。1つのMe3+はシプロ部位内の配位部位で結合することができ、一方、2つ目のMe3+は2つのシプロ部位(例えば、EDTA(またはDTPA)部位)に結合したキレート部位によって配位されうる。実際、滴定実験によって、これらの化合物に1当量のTb3+を添加してもシプロ蛍光を生じず、Tb3+のルミネッセンス発光も引き起こさないことが示された(図11a〜c)。この結果についての1つの可能な説明は、EDTA(またはDTPA)による金属への結合親和性がシプロ部位自体による金属への結合親和性に比べてはるかに大きいということである。しかし、配位されたMe3+は蛍光体からのエネルギーを受け取ることができなった。さらに、Me3+を添加すると、シプロ−Tb3+錯体に特有のレベルまでルミネッセンスが増大した。特に、極大輝度に必要とされるTb3+の濃度はシプロ−Tb3+錯体と同一であった(約1mM)。これらの結果から、2つの金属と上記リガンドとの間に独立した結合が存在することが示される。
【0249】
二官能化合物であるEDTA−(シプロ)2およびDTPA−(シプロ)2を使用すると異なる結果が得られた。この場合、1当量目のTb3+を添加すると輝度の高いルミネッセンス錯体が得られた。一方、2当量目のTb3+をさらに添加すると輝度が向上した。注目すべきことに、極大輝度に要求されるTb3+の量はEDTA−シプロおよびDTPA−シプロキレートの場合に比べてはるかに少なかった。これは、二官能シプロキレート中に第2のランタニドへのより強力な配位が存在したことを示唆する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)第一増感剤部位;
(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および
(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位
を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有する組成物:
式(I)は
【化1】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化2】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【化3】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化4】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す。
【請求項2】
XがO原子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R3がCH3である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第一増感剤部位もしくは前記第二増感剤部位、または前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位が式:
【化5】
を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
R3がCF3である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記第一増感剤部位もしくは前記第二増感剤部位、または前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位が式:
【化6】
を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
XがN−R1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
R1がHである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
R3がCF3である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記第一増感剤部位もしくは前記第二増感剤部位、または前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位が式:
【化7】
を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ZがN−R4である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
R4がシクロプロピル部位である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
R5が式COOHを有する有機酸部位である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
R6がF原子である、請求項12または13に記載の組成物。
【請求項15】
前記第一増感剤部位もしくは前記第二増感剤部位、または前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位が式:
【化8】
を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記キレート部位が、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記キレート部位がEDTAである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記キレート部位がDTPAである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
増感剤部位の一方は、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で、結合基に共有結合している、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記結合基はS=C=N−およびBr−CH2−CO−から選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
キレート部位にキレート化された金属イオンをさらに含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記金属は、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択されるランタニドである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ランタニドがTb(III)である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記ランタニドがEu(III)である、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記ランタニドがDy(III)である、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記ランタニドがSm(III)である、請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
マクロ分子に結合している、請求項1〜26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
前記マクロ分子がポリペプチドである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記ポリペプチドが抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記ポリペプチドが細胞受容体のリガンドである、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
前記マクロ分子が核酸である、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
前記核酸がRNAである、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記核酸がDNAである、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
請求項1〜33のいずれか1項に記載の組成物と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項35】
請求項29に記載の組成物を含む、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
プローブを用いた標的のインビトロ検出方法であって、
サンプルと、標的に対して親和性のある標的プローブ部位を含むルミネッセンスプローブ組成物とを接触させる工程と;
前記ルミネッセンスプローブ組成物から発生する信号を検出する工程と;を含み、
前記標的プローブ部位はルミネッセンスキレート組成物に共有結合しており、前記キレートルミネッセンス組成物は、
(i)第一増感剤部位;
(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および
(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位
を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有する方法:
式(I)は
【化9】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化10】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【化11】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化12】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示し;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で、結合基に共有結合しており;
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される。
【請求項37】
前記サンプルは1以上の細胞を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
プローブを用いた標的のインビボ検出方法であって、
標的に対して親和性のある標的プローブ部位を含むルミネッセンスプローブ組成物を被検体に輸送する工程と;
前記ルミネッセンスプローブ組成物から発生する信号を検出する工程と;を含み、
前記標的プローブ部位はルミネッセンスキレート組成物に共有結合しており、前記キレートルミネッセンス組成物は、
(i)第一増感剤部位;
(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および
(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位
を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有する方法:
式(I)は
【化13】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化14】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【化15】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化16】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており、
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される。
【請求項39】
前記ルミネッセンスキレート組成物は請求項27〜34のいずれか1項に記載の組成物を含む、請求項36〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記検出が前記ルミネッセンスプローブ組成物からのルミネセンス発光の検出を含む、請求項36〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記検出が前記ルミネッセンスプローブ組成物の一方または両方の増感剤からの蛍光発光の検出を含む、請求項36〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
(a)ルミネッセンス組成物および(b)消光剤部位からなる、ルミネッセンスで標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチドであって、
前記(a)ルミネッセンス組成物は、
(i)第一増感剤部位;
(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および
(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位
を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【化17】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化18】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【化19】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化20】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており;
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択され;
前記ルミネッセンス組成物はヘアピン形成オリゴヌクレオチドに共有結合している;
前記(b)消光剤部位は、(i)一方もしくは両方の増感剤部位または(ii)前記ランタニド部位のルミネッセンスの一方または両方の蛍光を消光することが可能であり、前記消光剤部位は前記ヘアピン形成オリゴヌクレオチドに共有結合しており、
前記オリゴヌクレオチドは、一本鎖ループならびに相補的な3’アームおよび5’アームにより形成されたステム二重鎖を含む閉鎖コンフォメーションを有し;この際、前記消光剤部位は、前記ランタニドまたは前記増感剤部位のうちの少なくとも1つを消光する関係にあり;前記増感剤部位の一方または両方の極大励起波長で励起させた場合、前記増感剤部位の一方または両方の極大発光波長における発光が、消光されない場合の増感剤部位の一方または両方の極大発光波長における光度および発光に比べて実質的に抑制され;かつ
前記オリゴヌクレオチドはステム二重鎖を除く開鎖コンフォメーションを有し;この際、前記消光剤部位は、前記ランタニド、または前記第一増感剤部位もしくは前記第二増感剤部位を消光する関係にはなく;前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位の一方または両方の極大励起波長で励起させた場合、前記ランタニドのルミネッセンスが、前記増感剤部位の一方または両方からの蛍光共鳴エネルギー移動により増大する、オリゴヌクレオチド。
【請求項43】
標的ヌクレオチド配列に対する前記ループのハイブリダイゼーションによって、前記オリゴヌクレオチドが開鎖コンフォメーションをとる、請求項42に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項44】
前記消光剤部位はBHQ、DABCYL、およびDABCYLの変異体よりなる群から選択される、請求項43に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項45】
前記一本鎖ループおよび前記ステム二重鎖の一方の鎖が標的鎖に対して相補的であることにより、DNAポリメラーゼのプライマーとして機能することができる、請求項43に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項46】
閉鎖コンフォメーションをとる場合にDNAポリメラーゼのプライミング領域として機能できる末端伸張を含む、請求項42に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項47】
核酸増幅成分、請求項42〜44のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドであるオリゴヌクレオチド検出用プローブ、および増幅反応を実施するための指示書を含む試薬キット。
【請求項48】
少なくとも1つのプライマーを含む増幅反応用成分、増幅分析用成分、および増幅分析を実施するための指示書を含み、
少なくとも1つのプライマーが請求項42、45、および46に記載のオリゴヌクレオチドである、試薬キット。
【請求項49】
前記増幅が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸塩基配列増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅、ループ介在恒温増幅(LAMP)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼによるRNAの増幅よりなる群から選択される、請求項47または48に記載のキット。
【請求項50】
試験サンプルに、請求項42〜44のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドである少なくとも1つの検出用プローブを添加する工程と、
前記少なくとも1つの検出用プローブのルミネッセンス部位からのルミネッセンス発光を検出する工程と、
を含む、検出分析。
【請求項51】
前記少なくとも1つのプローブの増感剤部位の一方または両方からの蛍光発光を検出する工程をさらに含む、請求項50に記載の検出分析。
【請求項52】
試験サンプルに、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸塩基配列増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅、ループ介在恒温増幅(LAMP)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼによるRNAの増幅よりなる群から選択される増幅反応を行うための試薬と少なくとも1つの請求項45または46に記載のオリゴヌクレオチドとを添加する工程と;
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドのルミネッセンス部位からのルミネッセンス発光を検出する工程と;
を含む増幅分析。
【請求項53】
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの蛍光増感剤部位の一方または両方からの蛍光発光を検出する工程をさらに含む、請求項52に記載の増幅分析。
【請求項54】
(a)トリフルオロアセチルメチルエチルスクシナートを1,3−フェニレンジアミンと反応させる工程と、
(b)前記工程(a)の生成物をけん化して、前記生成物上にポリメチレンジアミン基と結合させるための遊離カルボキシレート基を生成する工程と、
を含む、ペプチドに結合可能な蛍光体化合物の製造方法。
【請求項55】
(c)前記工程(b)の生成物を4−ニトロフェノールと反応させる工程と、ポリメチレンジアミン基と結合させる工程とをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記工程(c)の生成物をハロゲン酢酸の活性エステルまたはチオカルボニルジイミダゾールの活性エステルで処理する工程をさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
(d)前記工程(c)の生成物をRe−Xaと反応させる工程をさらに含み、
Reは希土類キレート化合物であり、XaはCOOHまたはその無水物である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
(e)前記工程(d)の生成物をDTPA二無水物と反応させる工程をさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記工程(e)の生成物を、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される水溶性ランタニド塩と反応させる工程をさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項1】
(i)第一増感剤部位;
(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および
(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位
を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有する組成物:
式(I)は
【化1】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化2】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【化3】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化4】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す。
【請求項2】
XがO原子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R3がCH3である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第一増感剤部位もしくは前記第二増感剤部位、または前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位が式:
【化5】
を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
R3がCF3である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記第一増感剤部位もしくは前記第二増感剤部位、または前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位が式:
【化6】
を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
XがN−R1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
R1がHである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
R3がCF3である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記第一増感剤部位もしくは前記第二増感剤部位、または前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位が式:
【化7】
を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ZがN−R4である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
R4がシクロプロピル部位である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
R5が式COOHを有する有機酸部位である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
R6がF原子である、請求項12または13に記載の組成物。
【請求項15】
前記第一増感剤部位もしくは前記第二増感剤部位、または前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位が式:
【化8】
を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記キレート部位が、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記キレート部位がEDTAである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記キレート部位がDTPAである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
増感剤部位の一方は、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で、結合基に共有結合している、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記結合基はS=C=N−およびBr−CH2−CO−から選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
キレート部位にキレート化された金属イオンをさらに含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記金属は、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択されるランタニドである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ランタニドがTb(III)である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記ランタニドがEu(III)である、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記ランタニドがDy(III)である、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記ランタニドがSm(III)である、請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
マクロ分子に結合している、請求項1〜26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
前記マクロ分子がポリペプチドである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記ポリペプチドが抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記ポリペプチドが細胞受容体のリガンドである、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
前記マクロ分子が核酸である、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
前記核酸がRNAである、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記核酸がDNAである、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
請求項1〜33のいずれか1項に記載の組成物と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項35】
請求項29に記載の組成物を含む、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
プローブを用いた標的のインビトロ検出方法であって、
サンプルと、標的に対して親和性のある標的プローブ部位を含むルミネッセンスプローブ組成物とを接触させる工程と;
前記ルミネッセンスプローブ組成物から発生する信号を検出する工程と;を含み、
前記標的プローブ部位はルミネッセンスキレート組成物に共有結合しており、前記キレートルミネッセンス組成物は、
(i)第一増感剤部位;
(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および
(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位
を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有する方法:
式(I)は
【化9】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化10】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【化11】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化12】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示し;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で、結合基に共有結合しており;
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される。
【請求項37】
前記サンプルは1以上の細胞を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
プローブを用いた標的のインビボ検出方法であって、
標的に対して親和性のある標的プローブ部位を含むルミネッセンスプローブ組成物を被検体に輸送する工程と;
前記ルミネッセンスプローブ組成物から発生する信号を検出する工程と;を含み、
前記標的プローブ部位はルミネッセンスキレート組成物に共有結合しており、前記キレートルミネッセンス組成物は、
(i)第一増感剤部位;
(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および
(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位
を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有する方法:
式(I)は
【化13】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化14】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【化15】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化16】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており、
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される。
【請求項39】
前記ルミネッセンスキレート組成物は請求項27〜34のいずれか1項に記載の組成物を含む、請求項36〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記検出が前記ルミネッセンスプローブ組成物からのルミネセンス発光の検出を含む、請求項36〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記検出が前記ルミネッセンスプローブ組成物の一方または両方の増感剤からの蛍光発光の検出を含む、請求項36〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
(a)ルミネッセンス組成物および(b)消光剤部位からなる、ルミネッセンスで標識されたヘアピン形成オリゴヌクレオチドであって、
前記(a)ルミネッセンス組成物は、
(i)第一増感剤部位;
(ii)前記第一増感剤に、必要に応じて第一リンカーを介して、共有結合で結合したキレート部位;および
(iii)前記キレート部位(ii)に、必要に応じて第二リンカーを介して、共有結合で結合した第二増感剤部位
を含み、前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位は独立して式(I)または式(II)を有し、
式(I)は
【化17】
である:
ただし、XはCH−R1、O、S、またはN−R1である;
R1は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R2は、H、NH2、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’である;この際、R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R3は、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化18】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
式(II)は
【化19】
である:
ただし、ZはCH−R4、O、S、またはN−R4である;
R4は、H、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
R5は、カルボキサミド、ヒドラジド、アシルヒドラジドもしくはアルキルヒドラジド、ヒドロキサメート、COOH、またはCO−R’もしくはCO−O−R’であり;R’は直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレ−ン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖ヘテロアルキレン(2〜20原子)、分岐ヘテロアルキレン(3〜20原子)、または環状ヘテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOである);
R6は、H、ハロゲン、直鎖アルキレン(C1〜C20)、分岐アルキレン(C3〜C20)、環状アルキレン(C3〜C10)、直鎖アルケニレン(C2〜C20)、分岐アルケニレン(C3〜C20)、環状アルケニレン(C3〜C10)、直鎖アルキニレン(C2〜C20)、分岐アルキニレン(C3〜C20)、環状アルキニレン(C3〜C10)、アレーン(C6〜C19)、C1〜C20のアルキル部分およびC6〜C19のアレーン部分を有するアルキルアレーン、直鎖へテロアルキレン(2〜20原子)、分岐へテロアルキレン(3〜20原子)、または環状へテロアルキレン(3〜10原子)である(ここで、ヘテロアルキレンの少なくとも1つの原子はNまたはOであり;直鎖、分岐または環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、アレーン、またはアルキルアレーン部位は必要に応じて1〜3のハロゲン原子でさらに置換されている);
フェニル環の7位の
【化20】
は、増感剤部位がキレート部位に、必要に応じてリンカーを介して、共有結合する場所を示す;
該キレート部位は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、TAGA、DOTP、DTPA−BMA、DO2P、およびHP−DO3Aよりなる群から選択され;
増感剤部位の一つは、結合基に、必要に応じて第三リンカー部位を介して、R2またはR5部位で共有結合しており;
前記ルミネッセンス組成物はキレート部位にキレート化されたランタニドをさらに含み、前記ランタニドは、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択され;
前記ルミネッセンス組成物はヘアピン形成オリゴヌクレオチドに共有結合している;
前記(b)消光剤部位は、(i)一方もしくは両方の増感剤部位または(ii)前記ランタニド部位のルミネッセンスの一方または両方の蛍光を消光することが可能であり、前記消光剤部位は前記ヘアピン形成オリゴヌクレオチドに共有結合しており、
前記オリゴヌクレオチドは、一本鎖ループならびに相補的な3’アームおよび5’アームにより形成されたステム二重鎖を含む閉鎖コンフォメーションを有し;この際、前記消光剤部位は、前記ランタニドまたは前記増感剤部位のうちの少なくとも1つを消光する関係にあり;前記増感剤部位の一方または両方の極大励起波長で励起させた場合、前記増感剤部位の一方または両方の極大発光波長における発光が、消光されない場合の増感剤部位の一方または両方の極大発光波長における光度および発光に比べて実質的に抑制され;かつ
前記オリゴヌクレオチドはステム二重鎖を除く開鎖コンフォメーションを有し;この際、前記消光剤部位は、前記ランタニド、または前記第一増感剤部位もしくは前記第二増感剤部位を消光する関係にはなく;前記第一増感剤部位および前記第二増感剤部位の一方または両方の極大励起波長で励起させた場合、前記ランタニドのルミネッセンスが、前記増感剤部位の一方または両方からの蛍光共鳴エネルギー移動により増大する、オリゴヌクレオチド。
【請求項43】
標的ヌクレオチド配列に対する前記ループのハイブリダイゼーションによって、前記オリゴヌクレオチドが開鎖コンフォメーションをとる、請求項42に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項44】
前記消光剤部位はBHQ、DABCYL、およびDABCYLの変異体よりなる群から選択される、請求項43に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項45】
前記一本鎖ループおよび前記ステム二重鎖の一方の鎖が標的鎖に対して相補的であることにより、DNAポリメラーゼのプライマーとして機能することができる、請求項43に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項46】
閉鎖コンフォメーションをとる場合にDNAポリメラーゼのプライミング領域として機能できる末端伸張を含む、請求項42に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項47】
核酸増幅成分、請求項42〜44のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドであるオリゴヌクレオチド検出用プローブ、および増幅反応を実施するための指示書を含む試薬キット。
【請求項48】
少なくとも1つのプライマーを含む増幅反応用成分、増幅分析用成分、および増幅分析を実施するための指示書を含み、
少なくとも1つのプライマーが請求項42、45、および46に記載のオリゴヌクレオチドである、試薬キット。
【請求項49】
前記増幅が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸塩基配列増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅、ループ介在恒温増幅(LAMP)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼによるRNAの増幅よりなる群から選択される、請求項47または48に記載のキット。
【請求項50】
試験サンプルに、請求項42〜44のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドである少なくとも1つの検出用プローブを添加する工程と、
前記少なくとも1つの検出用プローブのルミネッセンス部位からのルミネッセンス発光を検出する工程と、
を含む、検出分析。
【請求項51】
前記少なくとも1つのプローブの増感剤部位の一方または両方からの蛍光発光を検出する工程をさらに含む、請求項50に記載の検出分析。
【請求項52】
試験サンプルに、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸塩基配列増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅、ループ介在恒温増幅(LAMP)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼによるRNAの増幅よりなる群から選択される増幅反応を行うための試薬と少なくとも1つの請求項45または46に記載のオリゴヌクレオチドとを添加する工程と;
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドのルミネッセンス部位からのルミネッセンス発光を検出する工程と;
を含む増幅分析。
【請求項53】
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの蛍光増感剤部位の一方または両方からの蛍光発光を検出する工程をさらに含む、請求項52に記載の増幅分析。
【請求項54】
(a)トリフルオロアセチルメチルエチルスクシナートを1,3−フェニレンジアミンと反応させる工程と、
(b)前記工程(a)の生成物をけん化して、前記生成物上にポリメチレンジアミン基と結合させるための遊離カルボキシレート基を生成する工程と、
を含む、ペプチドに結合可能な蛍光体化合物の製造方法。
【請求項55】
(c)前記工程(b)の生成物を4−ニトロフェノールと反応させる工程と、ポリメチレンジアミン基と結合させる工程とをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記工程(c)の生成物をハロゲン酢酸の活性エステルまたはチオカルボニルジイミダゾールの活性エステルで処理する工程をさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
(d)前記工程(c)の生成物をRe−Xaと反応させる工程をさらに含み、
Reは希土類キレート化合物であり、XaはCOOHまたはその無水物である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
(e)前記工程(d)の生成物をDTPA二無水物と反応させる工程をさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記工程(e)の生成物を、Gd(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Eu(III)、Tb(III)、Sm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Yb(III)、Tm(III)、Nd(III)、およびTb(IV)よりなる群から選択される水溶性ランタニド塩と反応させる工程をさらに含む、請求項58に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【公表番号】特表2010−502573(P2010−502573A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524021(P2009−524021)
【出願日】平成19年8月11日(2007.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/075761
【国際公開番号】WO2008/019403
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(509036333)ユニヴァーシティ オブ メディスン アンド デンティストリー オブ ニュー ジャージー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月11日(2007.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/075761
【国際公開番号】WO2008/019403
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(509036333)ユニヴァーシティ オブ メディスン アンド デンティストリー オブ ニュー ジャージー (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]