説明

二重管削孔装置及び小口径二重管削孔装置を用いたアンカー材設置方法

【課題】アウタービットを進退のみ許容する状態に連結する外管との間の係合部に繰り粉等の粒状物や塊状物などの異物が詰って起るトラブルを軽減して二重管削孔装置の耐久性を改善するとともに、その二重管削孔装置の小口径化により小型軽量化を図り、自然斜面安定化工法の作業性の向上に資する。
【解決手段】アウタービット6の外周面に、基端部側に外管2側の内側面に形成した外管側係合部16と係合して軸線方向の進退のみ許容するアウタービット側係合部を形成するとともに、そのアウタービット側係合部の先端部側に該アウタービット側係合部の外径より縮径された縮径部20を形成し、さらに外管2側の先端部に前記アウタービット側係合部の先端部側の端部に係止可能で、かつ前記縮径部20の外周面に対して摺動可能なストッパ部材17を設置する。小口径化して自然斜面安定化工法に適用してアンカー材設置作業の作業性を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インナービットの外周部に配設されるアウタービットを外管に対して進退のみ可能に構成し、インナービットに付与される打撃力をアウタービットに伝達しながら回転させることにより掘削を行う回転打撃式の二重管削孔技術に関し、自然状態をなるべくそのまま残して斜面の安定化を図る自然斜面安定化工法に好適な二重管削孔技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の打撃力をアウタービットに伝達しながら回転させて掘削を行う回転打撃式の二重管削孔装置に関しては、削孔径が120mm程度以上の比較的大きな口径用のものが種々の用途に使用されている。従来の回転打撃式の二重管削孔装置における打撃力の付与の仕方は、トップハンマ方式とダウンザホールハンマ方式に大別される。後者のダウンザホールハンマ方式は、先端の削孔用ビットを直接的に打撃するため掘削性能が高く、大深度削孔にも適用できる利点がある。その反面、ハンマ機構が外管内のインナービット近傍に配設されることから、特に小口径化には各部の寸法に関する困難な制約が伴った。このダウンザホールハンマ方式を採用する回転打撃式二重管削孔装置の従来例として、アウタービットを外管の先端外周部に進退可能に設置し、そのアウタービットの内面に形成した内径段部に対してインナービットの外周面に形成した段部を係合させることにより、インナービットに付与される打撃力をアウタービット側に伝達する構造のものが知られている(特許文献1)。しかしながら、この従来技術のように、アウタービットが外管の先端外周部に進退可能に配設される場合には、アウタービットの前進状態において外管との係合部が外部へ露出するため、繰り粉等の粒状物や塊状物が侵入してトラブルを起しやすいといった問題があった。
【特許文献1】特許第2680433号公報
【0003】
さらに、ロックボルト等を使用する斜面安定化施工などにおいて一般的に使用されている削孔径が90mm程度以下の小口径用の場合になると、アウタービットの外径寸法をその口径内に納めなければならないという制約が製造技術上の問題となった。例えば、インナービットからアウタービットへ伝達する打撃力は相当大きいため、この打撃力を的確かつある程度長期間安定して伝達するためには、前記アウタービット側の内径段部とインナービット側の段部との係合部の当接面積を大きくとる必要があることから、実用に耐え得る小口径二重管削孔装置を実現することは簡単ではなかった。また、インナービットから伝達される打撃力によって進退するように構成されるアウタービットに関しても、その打撃力による外管からの抜脱を阻止するためのストッパ手段を限られた寸法内に納め、かつ前記抜脱を確実に阻止する必要がある。以上のように、小口径二重管削孔装置の場合には、寸法上の制約が起因して生じる、インナービットとアウタービットとの間の打撃力伝達部の当接面積の不足からくる摩滅や、アウタービットの抜脱阻止用のストッパ手段の摩滅による機能障害の問題、あるいは繰り粉の排出に十分な通路断面積の確保の問題などから、実用に耐え得る耐久性のある小口径二重管削孔装置の実現は遅れているのが実情である。
【0004】
ところで、近時需要が増えつつある、自然斜面上に比較的短い3〜5m程度の長さのロックボルト等からなるアンカー材を多数打設して、そのアンカー材の補強効果や、支圧板による地盤の押え込み効果、アンカー材の頭部間を連結するワイヤーロープ等の連結材による引留め効果などにより自然の状態をなるべくそのまま残して斜面の安定化を図る自然斜面安定化工法は、樹木等の自然環境が維持される点で優れているが、自然状態に合わせて安定化作業を進めなければならない分、作業面で制約を受けざるを得ない。樹木の存在する場所では、削孔装置を設置するための足場空間を十分に確保できない場合があり、小型の削孔装置でないと対応できない場合がある。なお、法面においても足場空間が制限される場合があり、上記のような小口径二重管削孔装置に対する要望が大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような従来の技術的状況に鑑みて研究開発したもので、アウタービットを進退のみ許容する状態に連結する外管との間の係合部に繰り粉等の粒状物や塊状物などの異物が詰って起るトラブルを軽減し、耐久性を改善して実用に耐え得る二重管削孔装置を提供するとともに、その二重管削孔装置の小口径化により小型軽量化を図り、自然の状態をなるべくそのまま残して斜面の安定化を図る自然斜面安定化工法の作業性の向上に資することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、前記課題を解決するため、インナービットの外周部に配設されるアウタービットを外管に対して進退可能に構成するとともに、前記インナービットに付与される打撃力を前記アウタービットに伝達するように構成した二重管削孔装置において、前記アウタービットの外周面に、基端部側に前記外管の内側面に形成した外管側係合部と係合して軸線方向の進退のみ許容するアウタービット側係合部を形成するとともに、そのアウタービット側係合部の先端部側に該アウタービット側係合部の外径より縮径された縮径部を形成し、さらに前記外管の先端部に前記アウタービット側係合部の先端部側の端部に係止可能で、かつ前記縮径部の外周面に対して摺動可能なストッパ部材を設置するという技術手段を採用した。前記ストッパ部材として、外周面に前記外管の先端部内周面に形成された雌ネジに螺合可能な雄ネジを形成するとともに、周上にて分断された筒状ストッパ部材を使用し、その筒状ストッパ部材を前記アウタービット側係合部の先端部側に形成された縮径部に外嵌した上、前記雄ネジを前記外管の先端部内周面に形成された雌ネジに螺合することにより外管に取付けるように構成してもよい。さらに、前記外管の先端部を内外に貫通する貫通孔を設け、前記筒状ストッパ部材の雄ネジを前記外管の先端部内周面に形成された雌ネジに螺合した状態において前記貫通孔を介して硬化性充填材を注入するように構成してもよい。その硬化性充填材としてはろう接材などの使用が可能である。
【0007】
また、アウタービットの外周面に、基端部側に外管の内側面に形成した外管側係合部と係合して軸線方向の進退のみ許容するアウタービット側係合部を形成するとともに、そのアウタービット側係合部の先端部側に該アウタービット側係合部の外径より縮径された縮径部を形成し、さらに前記外管の先端部に前記アウタービット側係合部の先端部側の端部に係止可能で、かつ前記縮径部の外周面に対して摺動可能なストッパ部材を設置した小口径二重管削孔装置を用い、自然斜面に存在する樹木をなるべく損わないように設置した小型の作業足場上に据付けてロックボルト等のアンカー材の設置位置での掘削を行い、しかる後インナーロッドと共にインナービットを削孔から引抜き、さらに前記アンカー材を削孔内に挿入するとともに、そのアンカー材の削孔内への挿入と前後してグラウト材を外管内に注入した上、前記外管と共にアウタービットを削孔から引抜くというアンカー材の設置技術を採用した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、次の効果を得ることができる。
(1)外管側とアウタービットとの間の進退のみを許容する係合部を外管の内側に配設するとともに、そのアウタービットの係合部の先端部側に縮径部を形成し、かつ該縮径部の外周面に対して摺動可能なストッパ部材を外管の先端部側に設置したので、前記係合部が外部へ露出されることはなく、繰り粉等の粒状物や塊状物が外部から係合部に詰って生じるトラブルは解消できる。因みに、外管の内側には係合部の一部が露出される場合があるが、管内に流入する繰り粉等の粒状物の大きさはその流入部の間隙の大きさによって十分に制限され、掘削に使用する加圧水や加圧空気により後方に付勢されることから、係合部に詰って生じるトラブルは大幅に軽減される。
(2)外管の先端部に設けた貫通孔を介してろう接材等の硬化性充填材を注入するようにすれば、前記筒状ストッパ部材の雄ネジと外管先端部の雌ネジ部との螺合状態を強固に固定し得るとともに、アウタービットに形成した前記縮径部の外周面と筒状ストッパ部材の内周面との全周上での摺動状態が確実に保持され、外周面側からの繰り粉等の粒状物や塊状物の侵入を的確に防止することができる。
(3)前記二重管削孔装置によれば、係合部が外部へ露出されることはなく、しかも前記ストッパ部材により径方向の寸法すなわち厚さが小さくてもアウタービットの抜脱を確実に阻止できるので、小口径化による小型軽量化が可能であり、それを前記自然斜面安定化工法に適用して、前記手順によってロックボルト等のアンカー材を設置するようにすれば、その作業負担が軽減されるとともに作業効率が向上し、同自然斜面安定化工法の普及発展に資するところが大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、インナービットの外周部に外管(先端部に接続されるアウタービット設置用の外管を含む)に対して進退可能な状態にアウタービットを配設し、アウタービット側にインナービットに付与される打撃力を伝達しながら掘削する回転打撃式の二重管削孔装置に広く適用することができる。すなわち、インナービットに付与される打撃力をアウタービット側に伝達して、それらのインナービットとアウタービットに打撃力を作用させながら掘削を行う二重管削孔装置であれば、具体的なビットの形態や、各ビットに対する回転力の付与の形態などに制約されることなく、広く適用することが可能である。アウタービットは、外管の内側に進退可能に設置されるが、その進退のみを許容するための係合部の具体的構成に関しては制約されるものではない。また、アウタービットが進退可能に係合される係合部を形成する相手側は、外管自体だけでなく、外管の先端部に接続されるアウタービット設置用の補助外管の内面であってもよい。なお、アウタービットの最後部を、該アウタービットが最も前進した状態において、外管側に形成される前記係合部の後方まで延して、該係合部が常に覆われるように構成すれば、係合部が露出することなく、更に的確に繰り粉等の粒状物や塊状物によるトラブルを防止することができる。繰り粉の排出の仕方に関しては、外管の外側から排出する形態に限らず、外管とインナーロッドとの間から排出する形態にも適用することができる。
【0010】
前記ストッパ部材に関しては、外周面に前記外管の先端部内周面に形成された雌ネジに螺合可能な雄ネジを形成するとともに、周上にて分断された筒状ストッパ部材を使用すれば、その筒状ストッパ部材を前記アウタービット側係合部の先端部側に形成された縮径部に外嵌した上、前記雄ネジを前記外管の先端部内周面に形成された雌ネジに螺合することにより外管に簡便かつ的確に取付けることが可能である。その筒状ストッパの周上での分断の仕方に関しては、軸線方向に平行に分断する形態だけでなく、斜めの方向に分断したものでもよい。また、分断部の両側の縁部に関しても、縁部間が平行な形態だけでなく、かみ合い形状やテーパ状の形態でもよい。要は、アウタービットの先端部側に形成した前記縮径部に外嵌可能であり、かつ外管の雌ネジに確実に螺着し得るものであれば、筒状ストッパ部材として十分である。その場合に、外管の雌ネジに螺合した状態において分断部の両側の縁部が接触ないし近接する形態が繰り粉等の侵入を防ぐ上で望ましいことはいうまでもない。外管の先端部に設けた貫通孔を介して注入するろう接材としては、軟ろう(ハンダ)や、黄銅ろうあるいは銀ろう、銅ろうなどの硬ろうの使用が可能である。因みに、本発明は削孔径が90mm程度以下の小口径用として有効であるが、中大口径用の二重管削孔装置にも適用することが可能である。
【実施例】
【0011】
図1は本発明の一実施例の要部を示した片側断面図であり、図2はその部分拡大図である。図示のように、本実施例に係る二重管削孔装置1は、中空円筒状の外管2の内部にシリンダ3とハンマ作動部4を主要構成部材とするダウンザホールハンマからなる打撃機構を配設してなり、この打撃機構にて発生した打撃力をインナービット5に付与するとともに、そのインナービット5に付与された打撃力を外管2の先端部に進退可能に設置されたアウタービット6に伝達し得るように構成している。また、外管2と打撃機構には図示しない回転駆動機構により個別的あるいは連動して回転力が付与されるように構成してあり、インナービット5及びアウタービット6にそれらの回転力と前記打撃機構からの打撃力を付与しながら掘削が行われることになる。
【0012】
図3はインナービット軸体を示した片側断面図である。図示のように、本実施例では、インナービット軸体7の形態を採用し、複数個のチップ8を有する前記インナービット5の部分と軸部9とを一体形成してなる。そして、軸部9の中間部には鍔部や段部などの適宜形状からなる係止部10を形成し、この係止部10とアウタービット6の後端部とを軸線方向に対してほぼ直交する当接面同士で係合させることにより、ハンマ作動部4による同軸方向の打撃力をアウタービット6に対してそのまま高効率で伝達し得るように構成している。また、軸部9の外周部には複数条の縦溝11を形成し、これらの縦溝11を図1に示したようにシリンダ3の先端部に設けた摺動支持部12の内面に形成した凸条部に係合させてスプライン結合することにより、軸方向へ摺動し得る状態で回転力をインナービット軸体7に伝達し得るように構成している。なお、本実施例では、前記係止部10の外周部に適宜数の縦溝13を形成し、インナービット5から排出された空気や繰り粉が通過して外管2とシリンダ3との間から排除できるように構成している。
【0013】
図4はアウタービット6を示した片側断面図であり、図5はその左側面図である。図示のように、アウタービット6は、前面に複数個のチップ14を有し、基端部側には複数の凸条からなるアウタービット側係合部15を形成している。このアウタービット側係合部15を、図2に示したように外管2の先端部内側に形成した縦溝からなる外管側係合部16に係合させてスプライン結合することにより、軸線方向へ摺動し得る状態でアウタービット6に回転力を伝達し得るように構成している。図6はアウタービット6の外管2先端部からの抜脱を防止するための筒状ストッパ部材を軸線方向からみた正面図である。図示のように、本実施例における筒状ストッパ部材17は、切れ目18によって周上にて分断されているとともに、外周面には雄ネジ19が形成されている。この筒状ストッパ部材17は、図7に示したようにアウタービット側係合部15の外径より小さい径に形成されたアウタービット6の縮径部20に外嵌した上、アウタービット側係合部15を外管側係合部16に係合させながら、外周部の雄ネジ19を外管2の先端部に形成された雌ネジ21に螺合することにより、外管2の先端部に固着される。この場合、筒状ストッパ部材17の内径は、アウタービット6の縮径部20の外径よりもわずかに大きく形成され、かつアウタービット側係合部15の外径よりも小さい。このため、アウタービット6の縮径部20に外嵌するには、切れ目18を拡げて入れることになる。また、自然状態での筒状ストッパ部材17のネジ径は、外管2の雌ネジ21のネジ径よりもわずかに大きく設定されている。この筒状ストッパ部材17の雄ネジ19の外管2の雌ネジ21への螺合により、筒状ストッパ部材17が縮径し、前記切れ目18による分断部の両側の縁部が接触ないし近接した状態で固着され、アウタービット6は外管2に対して軸線方向への摺動のみ可能な状態に連結されることになる。すなわち、筒状ストッパ部材17の切れ目18が実質的に閉塞されるとともに、アウタービット6の外周面と筒状ストッパ部材17の内周面との間にはごくわずかなクリアランスしか存在しないため、この筒状ストッパ部材17の端面とアウタービット6の外周面との摺動部からの繰り粉の侵入を効果的に阻止することができる。なお、切れ目18の幅によっては、筒状ストッパ部材17と外管2の雌ネジ21のネジ径を同一とし、螺合時に縮径させなくともよい。
【0014】
なお、前記筒状ストッパ部材17の外周部に形成される雄ネジ19に関しては、外径が軸線方向に一定の平行ネジでもよいが、先細テーパ状の雄ネジを採用して切れ目18を平行としたり、あるいは平行ネジで切れ目18をテーパ状に形成すれば、外管2の雌ネジ21への螺入量に応じて切れ目18の間隔が徐々に縮小されるので、両側の縁部をより的確に接触させることができる。また、図8に示したように、外管2の先端部に所要数の注入孔22を形成しておき、筒状ストッパ部材17の雄ネジ19を外管2の雌ネジ21へ螺合して締付けた後、前記注入孔22を介して黄銅ろうあるいは銀ろう、銅ろうなどの硬化性充填材を注入するようにすれば、その硬化性充填材が雄ネジ19と雌ネジ21との接合面に浸入して硬化するので、両者が確実かつ強固に固着される。
【0015】
しかして、本実施例に係る二重管削孔装置1は、図9に示した状態(A)及び状態(B)のように動作することになる。掘削作業においてハンマ作動部4からの打撃力が作用しない動作状態では、状態(A)に示したように、地盤からの反力によってインナービット5とアウタービット6は後退位置にある。そして、ハンマ作動部4からの打撃力がインナービット軸体7に付与されると、そのインナービット5に付与される打撃力と回転力との協働作用により、インナービット5は掘削しながら前進することになる。このインナービット5の前進に伴い、状態(B)に示したようにインナービット軸体7の軸部9の中間部に形成した係止部10がアウタービット6の後端部に係合してアウタービット6を前進させる。このアウタービット6の前進動作においては、アウタービット6は、その外周部に形成した凸条からなるアウタービット側係合部15と外管2の内周部に形成した縦溝からなる外管側係合部16との係合に誘導されながら前進することになる。なお、アウタービット6は、アウタービット側係合部15の前端部が前記筒状ストッパ部材17に係止するので、外部へ抜出すことはない。因みに、本実施例では、アウタービット6への打撃力の伝達をインナービット5側の係止部10とアウタービット6の後端部との係止を介して行うように構成したので、安定的かつ的確な打撃力の伝達が可能であり、アウタービット6の外径の縮小化にも有効である。
【0016】
しかして、以上の二重管削孔装置1の削孔径を90mm以下の小口径用として構成し、自然の状態をなるべくそのまま残して斜面の安定化を図る前記自然斜面安定化工法に適用して次の施工手順に従うことにより、簡便かつ効率的なアンカー材の設置が可能である。(1)自然斜面に小型の作業足場を設置する。(2)前記作業足場上に小口径用の二重管削孔装置1を設置して掘削を行う。(3)インナーロッドと共に前記インナービット5を削孔から引抜く。(4)ロックボルト等のアンカー材を削孔内に挿入するとともに、これと前後してグラウト材を前記外管2内に注入する。(5)前記外管2と共にアウタービット6を削孔から引抜く。そして、さらに前記グラウト材の固化を待って当該アンカー材の設置が完了することになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例の要部を示した片側断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】インナービット軸体を示した片側断面図である。
【図4】アウタービットを示した片側断面図である。
【図5】同アウタービットの左側面図である。
【図6】筒状ストッパ部材を軸線方向からみた正面図である。
【図7】同筒状ストッパ部材をアウタービットに装着した状態を示した片側断面図である。
【図8】補助外管を示した片側断面図である。
【図9】インナービットとアウタービットの動作状態を示した動作説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1…二重管削孔装置、2…外管、3…シリンダ、4…ハンマ作動部、5…インナービット、6…アウタービット、7…インナービット軸体、8…チップ、9…軸部、10…係止部、11…縦溝、12…摺動支持部、13…縦溝、14…チップ、15…アウタービット側係合部、16…外管側係合部、17…筒状ストッパ部材、18…切れ目、19…雄ネジ、20…縮径部、21…雌ネジ、22…注入孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナービットの外周部に配設されるアウタービットを外管に対して進退可能に構成するとともに、前記インナービットに付与される打撃力を前記アウタービットに伝達するように構成した二重管削孔装置において、前記アウタービットの外周面に、基端部側に前記外管の内側面に形成した外管側係合部と係合して軸線方向の進退のみ許容するアウタービット側係合部を形成するとともに、そのアウタービット側係合部の先端部側に該アウタービット側係合部の外径より縮径された縮径部を形成し、さらに前記外管の先端部に前記アウタービット側係合部の先端部側の端部に係止可能で、かつ前記縮径部の外周面に対して摺動可能なストッパ部材を設置したことを特徴とする二重管削孔装置。
【請求項2】
前記ストッパ部材として、外周面に前記外管の先端部内周面に形成された雌ネジに螺合可能な雄ネジを形成するとともに、周上にて分断された筒状ストッパ部材を使用し、その筒状ストッパ部材を前記アウタービット側係合部の先端部側に形成された縮径部に外嵌した上、前記雄ネジを前記外管の先端部内周面に形成された雌ネジに螺合することにより外管に取付け可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の二重管削孔装置。
【請求項3】
前記外管の先端部を内外に貫通する貫通孔を設け、前記筒状ストッパ部材の雄ネジを前記外管の先端部内周面に形成された雌ネジに螺合した状態において、前記貫通孔を介して硬化性充填材を注入するように構成したことを特徴とする請求項2に記載の二重管削孔装置。
【請求項4】
前記硬化性充填材としてろう接材を使用したことを特徴とする請求項3に記載の二重管削孔装置。
【請求項5】
アウタービットの外周面に、基端部側に外管の内側面に形成した外管側係合部と係合して軸線方向の進退のみ許容するアウタービット側係合部を形成するとともに、そのアウタービット側係合部の先端部側に該アウタービット側係合部の外径より縮径された縮径部を形成し、さらに前記外管の先端部に前記アウタービット側係合部の先端部側の端部に係止可能で、かつ前記縮径部の外周面に対して摺動可能なストッパ部材を設置した小口径二重管削孔装置を用いて次の手順によりロックボルト等のアンカー材を設置することを特徴とするアンカー材設置方法。
(1)自然斜面に小型の作業足場を設置する。
(2)前記作業足場上に前記小口径二重管削孔装置を設置して掘削を行う。
(3)インナーロッドと共に前記インナービットを削孔から引抜く。
(4)ロックボルト等のアンカー材を削孔内に挿入するとともに、これと前後してグラウト材を前記外管内に注入する。
(5)前記外管と共にアウタービットを削孔から引抜く。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−291660(P2006−291660A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117127(P2005−117127)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【出願人】(000006839)日鐵建材工業株式会社 (371)
【Fターム(参考)】