説明

亜硝酸酸化細菌並びにその使用方法及び検出方法

本明細書に記載されているのは、亜硝酸酸化細菌である。本発明の特定の細菌は、塩水環境、淡水環境、及びその両方の環境に耐性である。さらに、様々な実施態様において、各種の本発明の細菌が、凍結過程又は凍結乾燥過程で生き残ることができ、その後も生存能力を維持できる。さらに、本発明の亜硝酸酸化細菌を用いて、水性環境における亜硝酸塩の蓄積を防止又は軽減する方法も提供されている。本発明の細菌を検出する方法も提供されている。本発明の亜硝酸酸化細菌及び、とりわけアンモニア酸化細菌を含む組成物も提供されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、優先権を主張しない2003年9月10日に出願された米国特許出願番号[Atty. Docket No. 81289-284779]、2003年9月10日に出願された米国特許出願番号[Atty. Docket No. 81289-284781]、2003年9月10日に出願された米国特許出願番号[Atty. Docket No. 81289-294309]及び2003年9月10日に出願された米国特許出願番号[Atty. Docket No. 81289-305694]に関連するものであり、その全ての内容が参照として本明細書に援用される。
【0002】
[発明の分野]
本発明は概して亜硝酸酸化因子に、詳細には亜硝酸塩を硝酸塩に酸化し得る細菌に関する。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
アンモニアは、淡水及び海水の両方における硬骨類及び多くの無脊椎動物による主要な窒素排泄物である。アンモニアは、生物体がその食餌から取り込むタンパク質の脱アミノ化又はアミノ基転移により生じる。しかし、高いアンモニア濃度はこれらと同じ水生生物体の多くにとって毒となり得る。自然の系、例えば湖、川及び海では、水量あたりの魚(及び他の生物体)の密度が低いので、アンモニア濃度が有毒なレベルに達することはめったにない。
【0004】
しかし、人工的な水系、例えば水産養殖の囲い、タンク、導水路及び生簀並びに水槽では、公共物及び私有物のいずれにおいても、アンモニアは、時には極めて急速に有毒な濃度に達する可能性がある。その理由の1つは、上述の系では、少ない水量に対して魚類密度が極めて高くなり得るということである。別の理由として、これらの系の多くでは、水が連続的に交換されず;むしろ定期的に一部の水しか交換せず、水がこの系を再循環していることである。
【0005】
従って、ほとんどの水産養殖系及び水槽では、何らかの形態の濾過を行い、水生生物体の保全及び生育に適切であるように、水質の程度を維持する。このような濾過ユニットの主な構成要素は、生物学的フィルターである。生物学的フィルターは、酸化によりアンモニアを他の化合物(亜硝酸塩)に変換する能力を有する細菌を増殖させるための基材又は部位として機能するという事実から名付けられている。高濃度の亜硝酸塩はまた有毒になり得るが、生物学的フィルター上で増殖し、かつ亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する他の細菌種が存在する。例えば、各々があたかも完全に記載されているかのようにその全体が本明細書に援用され、米国特許第6,268,154号、同第6,265,206号及び同第6,207,440号に記載の細菌種である。硝酸塩は非常に高濃度の極端な場合を除いて、水生生物体に対して無毒であると考えられている。
【0006】
生物学的フィルターを使用する他の状況又は利用が存在する。これらとしては下水処理施設、廃水処理施設及び飲料水濾過設備が挙げられる。各々が生物学的フィルターを使用する独自の具体的な理由を有するが、その目的は同じであり:毒性の無機窒素化合物をより無害な窒素物質に変換することである。アメリカ合衆国環境保護局(Environmental Protection Agency)(EPA)により規定された国際推奨水質判定基準(National Recommended Water Quality Criteria)を満たすために、多くの施設が生物学的フィルターを必要としている。
【0007】
アンモニアの亜硝酸塩への酸化は、アンモニア酸化細菌(AOB)が介在するプロセスである。詳細には、以下の式で示されるアンモニアの亜硝酸塩への変換を含む二段階酸化プロセスである:
【0008】
【化1】

【0009】
亜硝酸塩の硝酸塩への酸化も細菌が介在するプロセスである。詳細には、以下の式で示される亜硝酸塩から硝酸塩への変換を含む一段階酸化プロセスである:
【0010】
【化2】

【0011】
最も一般に研究されている亜硝酸酸化細菌(NOB)は、Nitrobacter winogradskyiである。これは元々土壌から単離され、水産養殖施設(Wheaton, F. W. 1977. Aquacultural Engineering. John Wiley & Sons, Inc. New York)、廃水処理施設(Painter, H. A. 1986. Nitrification in the treatment of sewage and waste-waters. In Nitrification J. I. Prosser ed. IRL Press. Oxford.)及び水槽(Spotte, S. 1979. Seawater Aquariums-The Captive Environment. Wiley Interscience. New York)において、活性NOBと称されている。本明細書で引用されているこれらの参考文献、及び他の全ての参考文献は、あたかも完全に記載されているかのようにその全体が参照として本明細書に援用される。
【0012】
しかし、生物体(又は生物体の群)のDNA配列の独自性を用いる現代的な分子方法により実施された近年の研究では、N. winogradskyi及びその近縁種が淡水水槽環境において検出限界を下回ることが見出されている(Hovance, T. A. and E. F. Delong. 1996. Comparative analysis of nitrifying bacteria associated with freshwater and marine aquaria. Appl. Environ. Microbiol. 62:2888-2896.)。さらに、研究により、Nitrospira門の細菌が、水槽(Hovanec, T. A., L. T. Taylor, A. Blakis and E. F. Delong. 1998. Nitrospira-like bacteria associated with nitrite oxidation in freshwater aquaria. Appl. Environ. Microbiol. 64:258-264.)及び廃水処理施設(Burrell, P. C., J. Keller and L. L. Blackall. 1998. Microbiology of a nitrite-oxidizing bioreactor. Appl. Environ. Microbiol. 64:1878-1883.)における亜硝酸塩から硝酸塩への酸化に関与することが見出されている。しかし、淡水水槽における亜硝酸酸化に関与すると判断されたNitrospira株は、海水水槽では発見されていない(Hovanec et al., 1998)。
【0013】
Nitrospira marinaはWatsonによって1986年に初めて発見された(Watson, S. W., E. Bock, F. W. Valois, J. B. Waterbury, and U. Schlosser; 1986. Nitrospira marina gen. nov., sp. nov.: A chemolithotrophic nitrite oxidizing bacterium. Archives Microbiology, 144:1-7)。しかし、Nitrospira marinaは自然界(土壌、海、又は貯水池ではない淡水)又は人工的環境(廃水処理施設)において重要な又は主要な亜硝酸酸化生物体とは考えられていなかった(Abeliovich, A. 2003. The Nitrite Oxidizing Bacteria. In M. Dworkin et al. Eds. The Prokaryotes: An Evolving Electronic Resource for the Microbiological Community, third edition, release 3. 13, March 2003. Spinger-Verlag, New York)。Nitrospiraの第2の種(Nitrospira moscoviensis)が、ロシアのモスクワに位置する建物内加熱システム中に存在する部分的に腐食した鉄製パイプから単離された。この細菌は、非海水媒体中で39度の至適温度で増殖した(Abeliovich, A. 2003)。海洋移動床リアクター(marine moving bed reactor; MBB)の細菌共同体には、多数の従属栄養細菌に加えて、AOB(Nitrosomonas cryotolerans)及びNOB(Nitrospira marina)が共に含まれることも報告されている(Y. Tal, J. E. M. Watts, S. Schreier, K. R. Sowers and H. J. Schreier, 2003. Characterization of the microbial community and nitrogen transformation process ass
ociated with moving bed bioreactors in a closed recirculated mariculture system. Aquaculture 215 (2003) 187-202.)。
【0014】
水槽の環境及び廃水処理において特に重要な環境的要因は、塩分であり、さらに詳細には、淡水と塩水環境との間の多くの生理化学的相違である。局所環境においてこのような劇的な変化に耐える能力における種々のNOB間の相違は、これらのシステムの設計及びその中でのNOBの実行において重要である。従って、塩水環境に対する特別なNOBによって示された耐性により、特別な水槽及び廃水の環境における使用に最適なNOBが提供され得る。さらに、淡水と塩水環境との間での変化に耐える能力は、より広範な意味、例えば、淡水と塩水の両方の環境での使用に特別なNOBが適しているという意味を有し得る。
【0015】
さらに、NOBの保存及び輸送はしばしば、凍結乾燥処理に種々のNOB株が耐えられないことに少なくとも一部は起因して、液体に、そして同様の潜在的に不便な媒体に限定される。凍結乾燥は、ある容積のNOBを、固体、凍結乾燥粉末又は同様の組成物に処方することができ、それによりNOBは、例えば温度などにおいてのさらに大きな変動に耐えることが可能となり、市販品の輸送及び取り扱いの目的のため、及び長い保存期間を維持するために対応してさらに実際的となり得る。
【特許文献1】米国特許第6,268,154号明細書
【特許文献2】米国特許第6,265,206号明細書
【特許文献3】米国特許第6,207,440号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、塩水環境及び/又は塩水と淡水環境との両方に耐えることができるNOBの同定が当該技術において必要である。凍結乾燥処理に供した後にも生存したままであるNOBも当該技術で必要である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
[発明の要旨]
本発明の実施態様では、亜硝酸塩を硝酸塩に酸化することができる単離された細菌又は菌株が提供される。1つの実施態様では、この細菌又は菌株の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のヌクレオチド配列を有する。配列番号1及び配列番号2に記載のヌクレオチド配列は、Nitrococcus様NOBの例示であり、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8に記載のヌクレオチド配列は、Nitrospira様NOBの例示である。配列番号1及び配列番号2によって表されるNitrococcus様NOBは、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)に寄託されており、寄託番号PTA−5424が付与されている。配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表されるNitrospira様NOBは、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)に寄託されており、寄託番号PTA−5422が付与されている。
【0018】
種々の実施態様では、細菌又は菌株の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8のヌクレオチド配列、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8に対して少なくとも96%類似、少なくとも97%類似、少なくとも98%類似又は少なくとも99%類似であるその変異体を有する。
【0019】
本発明はまた、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8のヌクレオチド配列、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8に対して少なくとも96%類似、少なくとも97%類似、少なくとも98%類似又は少なくとも99%類似であるその変異体を有する核酸配列及びその配列を有する細菌を包含する。
【0020】
本出願の目的に関して、「96%類似」とは、単一の塩基置換が塩基の最大4%まで生じてもよいことを意味し、「97%類似」とは、単一の塩基置換が塩基の最大3%まで生じてもよいことを意味し、「98%類似」とは、単一の塩基置換が塩基の最大2%まで生じてもよいことを意味し、かつ「99%類似」とは、単一の塩基置換が塩基の最大1%まで生じてもよいことを意味する。
【0021】
本発明はまた、媒体における亜硝酸塩の蓄積をとりわけ軽減することができる組成物を包含する。ここでこの組成物は1以上の本発明の菌株を含み、この菌株(単数又は複数)の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8のヌクレオチド配列、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8に対して少なくとも96%類似、少なくとも97%類似、少なくとも98%類似又は少なくとも99%類似であるその変異体を有する。
【0022】
本発明はまた、本明細書で開示された細菌又は菌株を凍結乾燥する方法を包含する。本方法は、抗凍結剤と共に細菌又は菌株を処理し、それらをフリーザー中に置き、減圧下で細菌又は菌株を乾燥するという工程を含む。本発明の凍結乾燥法は、NOBの生存能力及び亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する能力を維持しながら凍結乾燥形態で保存できる凍結乾燥NOBを製造する。
【0023】
本発明はまた、媒体における亜硝酸塩の蓄積を軽減する方法を包含する。本方法は、菌株又は菌株を含む組成物の十分な量をこの媒体に入れる工程を包含し、ここでこの菌株の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8のヌクレオチド配列、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8に対して少なくとも96%類似、少なくとも97%類似、少なくとも98%類似又は少なくとも99%類似であるその変異体を有する。
【0024】
本発明はまた、亜硝酸塩を硝酸塩へ酸化し得る細菌の媒体中の量を検出及び決定するための方法を包含する。この方法は、本発明の検出可能に標識されたプローブを準備する工程と、媒体から総DNAを単離する工程と、この細菌の16 rDNAが配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8のヌクレオチド配列を有する場合、細菌の核酸にのみプローブがハイブリダイズする条件下でプローブに対して単離されたDNAを曝露させる工程と、細菌の量を検出及び測定するためにプローブを検出及び測定する工程とを包含する。
【0025】
本発明はまた、本発明の細菌及び核酸配列を検出するために使用され得るポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーも包含する。
【0026】
[本発明の詳細な説明]
本発明は、塩水及び/又は淡水の環境において亜硝酸塩を酸化でき、かつ凍結処理又は凍結乾燥処理後にも生存して生存可能なままであり得る新規な菌株の発見に基づく。本発明の実施態様は、この菌株の使用方法及び検出方法を記載する。
【0027】
本発明は、亜硝酸塩を硝酸塩に酸化し得る、単離された菌株又は生物学的に純粋な菌株の培養物を提供しており、ここでこの菌株の16S rDNAは、表1〜8に表される配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のヌクレオチド配列を含む。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
【表4】

【0032】
【表5】

【0033】
【表6】

【0034】
【表7】

【0035】
【表8】

【0036】
本発明の目的に関して、単離された菌株とは、天然環境からある程度精製された1つの株を意味する。細菌の少なくとも20%が1つの菌株に由来する場合、細菌培養物は生物学的に純粋であると見なされる。しかし、培養物は少なくとも33%純粋であるのが好ましく、培養物が少なくとも45%純粋であればより好ましく、少なくとも90%純粋であることが最も好ましい。
【0037】
本発明の菌株はまた、水性媒体を維持又は精製するための組成物を提供するために、他の細菌種、栄養分、及び/又は他の成分と互いに組み合わせてもよい。例えば本発明の細菌を、水性媒体から汚染物質又は所望しない化合物を除去することができる細菌と組み合わせることが望まれ得る。このような細菌の例としては、アンモニア酸化細菌(アンモニアを亜硝酸塩に酸化する化学無機独立栄養細菌(chemolithoautotrophic bacteria))、従属栄養細菌(有機物質をアンモニア及び他の物質に無機化する)、及び当業者に既知の別の細菌が挙げられる。アンモニア酸化細菌は、Proteobacteriaのβ及びγ亜門から公知である。その例としてはNitrosomonas、Nitrosospira、Nitrosolobus及びNitrosococcus属の種が挙げられる。硝酸還元細菌は、Azoarcus、Pseudomonas及びAlcaligenes属から公知である。従属栄養細菌は、Bacillus、Pseudomonas及びAlcaligenes属から公知である。本発明の菌株と組み合わせてよい細菌の他のグループとしては、Planctomycesの一員が挙げられる。このような菌は公知の供給源から入手可能であり(例えばAmierican Type Culture Collection, 10801 University Blvd., Manassas VA 20100, USA)又は水槽バイオフィルターから直接単離され得る。
【0038】
例えば、本発明の菌株は、水系に存在するアンモニアを亜硝酸塩に酸化し、亜硝酸塩を硝酸塩に酸化するように、アンモニア酸化細菌と組み合わされてもよい。追加されるアンモニア酸化細菌は、当技術分野で公知のアンモニア酸化細菌のいずれでもよく、非限定的な例として、以下の同一出願人による特許出願で開示されているアンモニア酸化細菌が挙げられる:2003年9月10日に出願された米国特許出願番号[Atty. Docket No. 81289-284779]、2003年9月10日に出願された米国特許出願番号[Atty. Docket No. 81289-284781]、2003年9月10日に出願された米国特許出願番号[Atty. Docket No. 81289-294309]及び2003年9月10日に出願された米国特許出願番号[Atty. Docket No. 81289-305694]。
【0039】
別の例は、本発明の菌株と好気性又は嫌気性の脱窒細菌とを混合することである。この場合、本発明の菌株と脱窒細菌との相互作用により生成される硝酸塩は、二窒素又は他の窒素をベースとする生成物に還元される。第3の例は、本発明の菌株と従属栄養細菌とを組み合わせることであり、この従属栄養細菌は有機物質をより単純な無機物質に無機化し、それにより続いて、本発明の菌株がこれを基質として利用できる。
【0040】
複数の実施態様では、水性媒体を維持又は精製するための組成物が提供されており、組成物には亜硝酸酸化細菌及びアンモニア酸化細菌が含まれている。1つの実施態様では、組成物は、家庭用水槽を維持するために提供されており、本組成物は塩水AOBに加えて本発明の塩水NOBを含む。1つの実施態様では、0.5〜1.5mL、好ましくは約1mLの本発明の濃塩水NOBと、2.25mL〜3.25mL、好ましくは約2.75mLの濃塩水AOBとを混合する。この濃縮された混合物は、その後、人工海水で2.5〜3.5液量オンス、好ましくは約3液量オンス(88.7mL)に希釈される。この量は、50〜60ガロン、好ましくは約55ガロンの水槽の水を処理できるように設計されたものである。本組成物は、本発明の塩水NOB株を複数含有してもよく、ここでこの菌株の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のヌクレオチド配列を有する。1つの実施態様では、組成物は、本発明の塩水NOB株を全て含んでおり、この場合、配列番号6、配列番号7及び配列番号8で表される菌株が組成物の大部分を占めている(ここで使用されている「大部分」という用語は少なくとも50%を意味する)。
【0041】
別の実施態様では、組成物は公共の水槽及び水産養殖施設を維持するために提供されており、本組成物は塩水AOBと共に本発明の塩水NOBを含む。1つの実施態様では、40〜50mL、好ましくは約45mLの本発明の濃塩水NOBと、118〜128mL、好ましくは約123mLの濃塩水AOBとを混合する。この濃縮された混合物は、その後、脱塩素化された濾水で0.9〜1.1ガロン、好ましくは約1ガロン(3.79L)に希釈される。この量は、2410〜2510ガロン、好ましくは約2460ガロンの水槽又は水産養殖施設の水を処理できるように設計されたものである。本組成物は、本発明の塩水NOB株を複数含有してもよく、ここでこの菌株の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のヌクレオチド配列を有する。1つの実施態様では、組成物は、本発明の塩水NOB株を全て含んでおり、この場合、配列番号6、配列番号7及び配列番号8で表される菌株が組成物の大部分を占めている(ここで使用されている「大部分」という用語は少なくとも50%を意味する)。
【0042】
本発明はまた、亜硝酸塩を硝酸塩に酸化し得る濃縮された菌株を含む混合物を提供しており、この細菌の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8のヌクレオチド配列、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8に対して少なくとも96%類似、少なくとも97%類似、少なくとも98%類似又は少なくとも99%類似であるその変異体を有する。本発明の実施態様によれば、菌株は、この菌株が天然に存在する濃度よりも高い濃度で存在する場合、濃縮されているとみなされる。一般には、菌株の濃度は、適切なコントロール及び列挙法を用い、当業者に既知である蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH)技術を用いた分子プロービングのような標準的技術によって決定した場合、サンプル中の総細胞の少なくとも20%である。さらに好ましくは、菌株の濃度は、総細胞の33%以上、より好ましくは総細胞の45%以上、そして最も好ましくは総細胞の90%以上である。しかし、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のヌクレオチド配列を有する細菌の2つ以上を混合物中に有することが好ましい場合があり得る。この場合、上記のパーセンテージは、細胞集団のバランスがアンモニア酸化細菌又は他のタイプの細菌から構成され得るということを理解した上で、混合物中の総NOBのパーセンテージに関するものである。
【0043】
詳細には、ただしいかなる理論によっても束縛されることは望まないが、本発明によって記載される種々の菌株のうち配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8で表される株は、塩水環境に特に耐性であると考えられる;とはいえ、これらの株は、淡水環境においても同様に利用することができ、かつその中で有効に機能すると考えられる。配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表される株以外の菌株及び株を含む混合物はまた、適切な程度まで塩水環境に耐性であり得るが、本発明のさらに好ましい実施態様では、これは、亜硝酸塩を硝酸塩に酸化するために塩水環境に含まれる配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8によって表される株である。
【0044】
さらに、本発明に関連して言及される菌株のいずれが凍結乾燥されてもよいが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表される株は、このような処理の後にそれらが生存可能なままである能力、及びこのような処理の後に亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する能力によって証明されるように、凍結乾燥処理に特に耐性であると考えられる。従って、本発明の実施態様では、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8によって表される菌株は、凍結乾燥されてもよく、その後に塩水環境で亜硝酸塩を硝酸塩に酸化するために用いられてもよい。
【0045】
別の実施態様では、本明細書で開示されている細菌又は菌株を凍結乾燥する方法が提供されている。本方法は、抗凍結剤と共に細菌又は菌株を処理し、それらをフリーザー中に置き、減圧下で細菌又は菌株を乾燥するという工程を含む。本発明の凍結乾燥法は、解凍後の、細菌又は菌株の生存能力及び亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する能力を維持しながら凍結乾燥形態で保存可能な凍結乾燥NOBを製造する。
【0046】
複数の実施態様では、本発明の細菌及び菌株を凍結乾燥する方法は特別な凍結乾燥条件を含む。1つの実施態様では、本発明のNOB株を、30pptの塩濃度を含む媒体中で増殖させる。このNOBをその後、抗凍結剤であるトレハロースで処理し、約5%トレハロース含有NOB溶液になるよう、40〜60gのトレハロース、好ましくは約50gのトレハロースと、900〜1100mL、好ましくは約1000mLのNOBとを混合する。上記NOB溶液は、処理工程前まで約4℃で保存しておき、それから、予め冷却しておいたトレイに移し、約−40℃で約3時間凍らせる。その後、凍結溶液をドライヤー中に入れ、穏やかな昇華速度(mild primary sublimation rate)で約12時間一次乾燥させ、約27℃の最終温度で総乾燥時間が約35時間になるようにさらに乾燥させる。別の実施態様では、凍結溶液をドライヤー中に入れ、急激な昇華速度(aggressive primary sublimation rate)で約2時間一次乾燥させ、約27℃の最終温度で総乾燥時間が約28時間になるようにさらに乾燥させるが、それ以外の凍結乾燥条件は同一である。
【0047】
別の実施態様では、本発明のNOB株を、30pptの塩濃度を含む媒体で増殖させる。このNOBをその後、抗凍結剤であるトレハロースで処理し、約10%トレハロース含有NOB溶液になるよう、90〜110gのトレハロース、好ましくは約100gのトレハロースと、900〜1100mL、好ましくは約1000mLのNOBとを混合する。上記NOB溶液は、処理工程前まで約4℃で保存しておき、それから、予め冷却しておいたトレイに移し、約−40℃で約3時間凍らせる。その後、凍結溶液をドライヤー中に入れ、穏やかな昇華速度(mild primary sublimation rate)で約12時間一次乾燥させ、約27℃の最終温度でさらに乾燥させる。別の実施態様では、凍結溶液をドライヤー中に入れ、急激な昇華速度(aggressive primary sublimation rate)で約2時間一次乾燥させ、約27℃の最終温度でさらに乾燥させるが、それ以外の凍結乾燥条件は同一である。
【0048】
本発明の菌株、混合物及び組成物は、粉末形態、液体形態、凍結形態、凍結乾燥形態又はその他の適切な形態であってもよいことが理解され、それは当業者に容易に認識されよう。これらは一般的に「市販の添加物」と呼ばれ、以下が挙げられるがこれらに全く限定されない:
(1)細胞の生存能力が保存期間中に損なわれないように、無機塩又は有機化合物を含有する液体溶液中に1以上の株、混合物又は組成物が存在する、液体形態;
(2)細胞の溶解を防止するため任意選択で抗凍結化合物を含有する上記の液体混合物中に1以上の株、混合物又は組成物が存在し、これを凍結させ、32°F以下の温度で凍結させて保存する、凍結形態;ならびに
(3)凍結乾燥又は他の方法で製造され、ここで1以上の株、混合物又は組成物の脱水形態が、通常の室温で生存能力を損なうことなく保存可能である、粉末形態。
【0049】
本発明の菌株及び混合物を適当な形態で取得することは、本開示から考えると当業者が精通していることである。本発明の菌株及び混合物は、単独で使用されてもよく、又は他の成分と組み合わせて使用されてもよいことも理解される。このような成分の例としては、アンモニア酸化細菌、従属栄養亜硝酸酸化細菌、従属栄養アンモニア酸化細菌及び同種のものが挙げられるがこれらに限定されない。生物学的に純粋な菌株の全ての形態はまた、栄養分、アミノ酸、ビタミン、及び菌株の増殖を維持しかつ促進する働きをする他の化合物を含有してよい。本発明の菌株及び混合物及び組成物は、亜硝酸塩の蓄積を軽減するために、淡水水槽、塩水水槽及び廃水に使用され得る。これらはまた、亜硝酸塩により引き起こされる汚染レベルを低減するために、バイオレメディエーションプロセスに利用されてもよい。バイオレメディエーションプロセスは、バイオオーグメンテーションともいわれ、これには、元の系に存在する1以上の形態の化合物の変化を生じさせる、生物学的及び/又は化学的プロセスを促進又は確立するために、ある系(例えば、生物学的又は化学的な汚染の生じている場所)へ微生物を補足的に添加することが挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
従って、本発明の1つの局面は、媒体中の亜硝酸塩の蓄積を軽減する方法を提供することである。本方法は、媒体中の亜硝酸塩の蓄積を軽減するために、亜硝酸塩を硝酸塩へ酸化できる1以上の本発明の菌株を、この媒体に十分な量導入する工程を含み、ここで、この菌株(単数又は複数)の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8のヌクレオチド配列、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8に対して少なくとも96%類似、少なくとも97%類似、少なくとも98%類似又は少なくとも99%類似であるその変異体を有する。添加した細菌が媒体中の亜硝酸塩の蓄積を軽減又は防止できる場合、この菌株(単数又は複数)の量は十分である。一般的に、本発明の1以上の菌株を淡水水槽又は塩水水槽へ添加することによって、最大亜硝酸塩濃度は、菌株(単数又は複数)の非存在下で到達するであろうレベルと比較して少なくとも50%低下することが予想される。
【0051】
本発明の別の実施態様では、媒体中の亜硝酸塩の蓄積を軽減する方法は、この目的のために、本明細書に開示されるような組成物の十分量を媒体に導入する工程を含む。この組成物は、亜硝酸塩を硝酸塩へ酸化できる1以上の本発明の菌株を含んでもよく、ここで、この菌株(単数又は複数)の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8のヌクレオチド配列、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8に対して少なくとも96%類似、少なくとも97%類似、少なくとも98%類似又は少なくとも99%類似であるその変異体を有する。
【0052】
様々な実施態様では、水性媒体を維持又は精製する方法が提供されており、本方法は、この目的のために、本明細書に開示されているような組成物の十分量をこの媒体に導入する工程を含む。上記組成物において、本発明の菌株は、水系に存在するアンモニアを亜硝酸塩に酸化し、亜硝酸塩を硝酸塩に酸化するようにアンモニア酸化細菌と組み合わされてもよい。別の例では、本発明の菌株を好気性又は嫌気性の脱窒細菌と混合してもよい。この場合、本発明の菌株と脱窒細菌との相互作用により生成される硝酸塩は、二窒素又は他の窒素をベースとする生成物に還元され得る。第3の例では、本発明の菌株と従属栄養細菌とを組み合わせてもよく、この従属栄養細菌は有機物質をより単純な無機物質に無機化し、それにより続いて、本発明の菌株がこれを基質として利用できる。
【0053】
複数の実施態様では、水性媒体を維持又は精製する方法が提供されており、本方法は、亜硝酸酸化細菌及びアンモニア酸化細菌を含む組成物の十分量をこの媒体に導入する工程を含む。1つの実施態様では、家庭用水槽を維持する方法が提供されており、この方法は組成物の十分量を水槽へ導入する工程を含んでおり、上記組成物は、塩水AOBに加えて本発明の塩水NOBを含む。1つの実施態様では、組成物は、0.5〜1.5mL、好ましくは約1mLの本発明の濃塩水NOBと、2.25〜3.25mL、好ましくは2.75mLの濃塩水AOBとを混合することによって形成されている。この濃縮された混合物は、その後、人工海水で2.5〜3.5液量オンス、好ましくは約3液量オンス(88.7mL)に希釈される。この量は、50〜60ガロン、好ましくは約55ガロンの水槽の水を処理できるように設計されたものである。本組成物は、本発明の塩水NOB株を複数含有してもよく、ここでこの菌株の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のヌクレオチド配列を有する。1つの実施態様では、組成物は、本発明の塩水NOB株を全て含んでおり、この場合、配列番号6、配列番号7及び配列番号8で表される菌株が組成物の大部分を占めている(ここで使用されている「大部分」という用語は少なくとも50%を意味する)。
【0054】
別の実施態様では、公共の水槽及び水産養殖施設を維持する方法が提供されており、本方法は、組成物の十分量を水槽又は水産養殖施設に導入する工程を含み、上記組成物は塩水AOBと共に本発明の塩水NOBを含む。1つの実施態様では、組成物は、40〜50mL、好ましくは約45mLの本発明の濃塩水NOBと、118〜128mL、好ましくは約123mLの濃塩水AOBとを混合することによって形成されている。この濃縮された混合物は、その後、脱塩素化された濾水で0.9〜1.1ガロン、好ましくは約1ガロン(3.79L)に希釈される。この量は、2410〜2510ガロン、好ましくは約2460ガロンの水槽又は水産養殖施設の水を処理できるように設計されたものである。本組成物は、本発明の塩水NOB株を複数含有してもよく、ここでこの菌株の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のヌクレオチド配列を有する。1つの実施態様では、組成物は、本発明の塩水NOB株を全て含んでおり、この場合、配列番号6、配列番号7及び配列番号8で表される菌株が組成物の大部分を占めている(ここで使用されている「大部分」という用語は少なくとも50%を意味する)。
【0055】
所定の設定で達成される実際のレベルは、系の大きさと内容(すなわち魚類、植物等の数)の関数であることが理解されよう。新規の設定では、10匹の魚がいる37リットルの水槽で、亜硝酸塩濃度は菌株の添加なしでは14mg/L以上に達し得、これに対して1以上の菌株を添加することによって最大レベルを約5mg/Lまで低下させることができる。通常、1以上の本発明の菌株をこのような系へ添加する場合、最大亜硝酸塩濃度が3mg/Lを超えるとは予想されない。系が定常状態に達すると、亜硝酸塩のレベルは0.5mg/L未満まで戻り、1以上の本発明の菌株が存在すればこの過程はより急速になる。
【0056】
本発明の1つの実施態様では、本発明の菌株及び組成物を、限定はしないが淡水水槽、海水水槽及び廃水のような媒体へ直接導入する。本発明の別の実施態様では、菌株及び組成物を回転生物接触器で増殖させて、その後、媒体へ導入してもよい。異なる実施態様では、本発明の菌株及び組成物は、媒体中に存在するバイオフィルターユニットに導入できる。別の実施態様では、本発明の菌株及び組成物を、限定はしないがアクリルアミド、アルギネート又はカラギナンのような固定化ポリマー中に固定してもよい。次いでこの細菌を固定したポリマー物質をフィルター中に導入してもよいし、又はそれ自体を適切な設備のフィルター流中に導入してもよい。
【0057】
「水槽」という用語は、本明細書では、水を保持しかつその中で水生生物体(例えば魚類、植物、細菌及び無脊椎動物)が生存する容器であって、限定はしないがガラス、プラスチック若しくは木材を組み合わせて、又はそれ自体で製造され得る容器、並びにその内容物を意味する。水槽は、水生生物体の展示、短時間又は長時間の保持、科学的調査、輸送及び他の目的を意図してもよい。淡水水槽は一般的に、液体媒体が1000分の15部未満の塩濃度を有する水槽である。塩水水槽は一般的に、液体媒体が1000分の15部を超える塩濃度を有する水槽である。「水槽の水」という用語は、中に水槽生物体が生息している水槽及びそれに付随したフィルターシステム中に含まれる媒体を称するために使用される。水槽の水は広い範囲の無機又は有機化学物質を含有してよく、従って、例えば、塩濃度、pH、全溶解固体、及び温度などのパラメーターを広範囲に有してもよい。
【0058】
本明細書では、「廃水」とは一般的に、工業的又は人為的プロセスの産物である液体媒体を意味する。廃水は環境に与える害を少なくするために1回以上の濾過法による処理を必要とするかもしれず、これによって政府機関が規定した廃棄規準を満たす必要があるかもしれない。廃水はまた、環境に廃棄されないようにリサイクルされてもよい。
【0059】
本明細書では、「バイオフィルター」とも称される「生物学的フィルター」は、一般的に、その目的が微生物の増殖を促進することであるか、又は微生物の付着及び増殖のための基材を提供することであるようなタイプのフィルターを意味する。バイオフィルターは水槽の濾過システム又は廃水の濾過システムの一部であってよい。本明細書では、「回転生物接触器」という用語は、一般的に、水中又は媒体中で回転するある種のバイオフィルターを意味する。これは水中又は媒体中に完全に又は部分的に浸漬されてもよい。当業者は、あたかも完全に記載されているかのように本明細書において参照として各々が援用される、米国特許第2,085,217号;同第2,172,067号;同第5,423,978号;同第5,419,831号;同第5,679,253号;同第5,779,885号、並びに全ての継続出願、改良出願及び対応する外国出願において具現化されているものとして回転生物接触器を認識する。
【0060】
本明細書では、「フィルターフロス」とは、バイオフィルター、メカニカルフィルター又はそれらの組み合わせ物として機能し得る、不規則な形状をした天然又は合成のマルチストランド物質(multi-stranded material)を意味する。
【0061】
本明細書では、「水槽用砂利」とは、水槽の内部の底に通常敷かれている物質を意味する。それは、岩、サンゴ、プラスチック又は他の物質の不規則な又は規則的な形状の破片から構成されてもよい。それはバイオフィルター、メカニカルフィルターとして、装飾目的で、又はそれらの組み合わせとして機能し得る。
【0062】
本明細書では、「フィルタースポンジ」という用語は、水槽中で使用されるか又は水槽濾過システムの一部として使用される場合に、メカニカルフィルター若しくはバイオフィルター、又はその両方として機能し得る天然又は合成の物質を意味する。
【0063】
本明細書では、「プラスチックフィルター媒体」とは、バイオフィルター若しくはメカニカルフィルター、又はその両方として機能する人工の物質を意味する。これは成形又は射出成形されたプラスチックでもよい。
【0064】
別の実施態様では、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8のヌクレオチド配列、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8に対して少なくとも96%類似、少なくとも97%類似、少なくとも98%類似又は少なくとも99%類似であるその変異体を有する核酸配列及び配列を有する細菌も提供される。
【0065】
別の実施態様では、媒体に存在する本発明の細菌の量を検出及び測定するためのオリゴヌクレオチドプローブが提供される。このプローブは、配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号18に記載されるヌクレオチド配列を有する。本発明のオリゴヌクレオチドプローブは当該技術で公知の方法によって合成され得る。
【0066】
本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、検出可能な任意の標識で標識され得る。好適な標識の例としては、放射性標識、蛍光標識などが挙げられるがこれらに限定されない。好適な標識物質は市販されており、当業者に既知である。オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの標識法はまた、当業者に既知である(例えば、Sambrook, J., E. F. Fritsch, and T. Maniatis. Molecular Cloning-A Laboratory Manual, second edition, 1989, Cold Spring Harbor Press参照)。
【0067】
本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、本発明の菌株の16S rDNAとハイブリダイズし得る。従って、本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、本発明の細菌の量を検出及び決定するための方法における使用に十分適している。
【0068】
本発明の1つの局面では、媒体中で亜硝酸塩を硝酸塩へ酸化できる細菌の量を検出及び決定するための方法が提供されるが、ここでこの細菌の16S rDNAは配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のヌクレオチド配列を有する。この方法は以下の工程を含み得る:
(a)配列番号14、配列番号15、配列番号16又は配列番号18に記載されるヌクレオチド配列を有する、本発明の検出可能に標識されたプローブを準備する工程;
(b)媒体から総DNAを単離する工程;
(c)プローブがこの細菌の核酸とのみハイブリダイズする条件下で、単離した総DNAを検出可能に標識されたプローブに対して曝露する工程(ここで、この細菌の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のヌクレオチド配列を有する);
(d)細菌の量を検出及び測定するためにハイブリダイズしたプローブを検出及び測定する工程。
【0069】
本発明のプローブは、配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号18によって表される。上述のプローブのいずれかの全長にわたって少なくとも96%類似である配列を用いて、本発明の細菌を検出することもできる。これらのプローブは以下の実施例にさらに記載される。
【0070】
媒体は水槽水であってよく、この場合そこからDNAを単離する。媒体はまた、例えば、水槽用砂利、スポンジフィルター物質、フィルターフロス、又はプラスチックフィルター媒体などの物質を含んでもよいが、これに限定されるものではない。従って、DNAは、そのような細菌が存在すると予想され得る上記の供給源及び他の供給源から単離され得る。
【0071】
本発明の方法は、DNAチップ又は当業者に既知の同様のツールと組み合わせて行なうことができる。DNAチップは、固体キャリア、及び共有結合によってこの固体キャリアに固定されたヌクレオチド誘導体又はそれらのアナログの群を含んでもよい。DNAチップを用いた核酸フラグメントの検出は一般に、検出されるべき核酸フラグメントに相補的なプローブオリゴヌクレオチドを用いて、ハイブリダイゼーションによって行なわれる。このプローブオリゴヌクレオチドは一般にこの固体キャリア(例えば固体基材)上に固定される。この検出過程では、サンプル液中の核酸フラグメントは、蛍光標識又はラジオアイソトープ標識を備えてもよく、次いでサンプル液はDNAチップのプローブオリゴヌクレオチドと接触されてもよい。サンプル液中のこの標識された核酸フラグメントがプローブオリゴヌクレオチドに対して相補的である場合、この標識された核酸フラグメントは、ハイブリダイゼーションによって上記プローブオリゴヌクレオチドと結合される。次いで、このプローブオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによってDNAチップに固定された上記の標識された核酸フラグメントは、適切な検出方法によって、例えば、フルオロメトリー(蛍光光度法)又はオートラジオグラフィーによって、検出され得るが、他の検出方法が利用されてもよい。
【0072】
この方法は代替的には、当業者によって容易に認識され、慣用的な実験によって行なわれる広範な自動化されたプロセスと組み合わせて行なわれてもよい。例えば、本発明の方法は、いくつかの一般的な手順である、DNA若しくはタンパク質のマイクロアレイ、バイオセンサー、バイオプローブ、キャピラリー電気泳動及びリアルタイムPCRで行なうことができる;しかしこの列挙が全てを包括するわけではないということは当業者によって容易に理解されよう。
【0073】
本発明の検出方法は、媒体中で亜硝酸塩を硝酸塩に酸化し得る細菌の存在をモニター及び検出するための有効なツールを提供する。この方法はまた、本発明の細菌の存在又は量を測定することにより、市販の添加物を確認して、この添加物の有効性を判断するためのツールを提供する。
【0074】
別の実施態様では、本発明の細菌及び核酸配列を検出するために使用され得るPCRプライマーが提供される。このプライマー対は、配列番号19、配列番号20、配列番号21及び配列番号22によって表される。上述のPCRプライマーのいずれかの全長にわたって少なくとも96%類似である配列を使用して、本発明の細菌を検出することもできる。これらのPCRプライマーは以下の例においてさらに記載されている。
【0075】
本発明の細菌及び核酸配列を検出するために用いられ得る上述のオリゴヌクレオチドプローブ及びPCRプライマーの変異体は、本発明の範囲内であることが当業者には容易に理解される。例えば、1つ以上のヌクレオチド付加、欠損又は置換に起因して配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21又は配列番号22とは異なる任意のオリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーの変異体は、本発明の細菌及び核酸配列を検出するために依然として用いることができ、本発明に包含される。
【0076】
本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7若しくは配列番号8として本明細書において同定される配列、又はそれらの配列の変異体を含む、単離された細菌、単離された菌株、細菌培養物及びヌクレオチド配列を含む。特に好ましい変異体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8に対して高い程度の類似性を有する変異体である。本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8に対して少なくとも96%類似、少なくとも97%類似、少なくとも98%類似又は少なくとも99%類似である変異体を含む。参照配列(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8)の作製法及び使用法の開示は、当業者に対して上述の変異体の作製法及び使用法を教示するのに十分であるということが当該分野では理解される。
【0077】
亜硝酸酸化細菌、この細菌の使用方法及び検出用法を記載する3つの同一出願人による特許が米国で発行されている(米国特許第6,207,440号、同第6,265,206号及び同第6,268,154号参照)。3つ全ての特許が、あるヌクレオチド配列及びその配列に対して96.1%を超える相同性を有する任意の変異体を記載している。これらの特許の発行により、特定の配列を示し特定の変異体を記載する明細書によって、当業者がこの配列及びその記載された変異体を作製及び使用できるようになるということが実証される。さらに、ヌクレオチド配列を開示する特許はまた、それらの配列の変異体を開示し且つ特許請求することが当該分野では一般的である(例えば、米国特許第6,465,621号、同第6,509,170号及び同第6,573,066号参照)。
【0078】
特定のヌクレオチド配列の変異体は、天然に存在する多型性の配列変異、又は合成の配列変異であってもよい(例えば、米国特許第6,485,938号参照)。天然及び合成の両方のヌクレオチド配列に対する非常に多様な修飾は、合成変異体を作製するための方法とともに当分野で一般的かつ周知である(例えば、米国特許第6,448,044号及び同第6,509,170号参照)。2つ以上のヌクレオチド配列の類似性を比較するための方法は当分野で周知である。類似した配列はしばしばBESTFIT及びBLASTなどのコンピュータープログラムを使用して同定される(例えば、米国特許第6,461,836号参照)。さらに、ハイブリダイゼーションを用いて、変異体配列と参照配列との間の類似性を検出してもよい(例えば、米国特許第6,573,066号参照)。従って、当業者は、既知の技術を用いることによって、参照配列の変異体であるヌクレオチド配列を容易に合成及び同定することができる。それ故、ヌクレオチド配列及びその変異体を記載する明細書によって、当業者はその配列及びその変異体を作製及び使用することが可能になる。
【0079】
[実施例]
一連のアッセイ及び実験を、本明細書において報告する菌株を単離し、同定し、かつその菌株の有効性を示すために実施した。それらは、様々な細菌培養技術、培養のサンプルから抽出したDNAの分子生物学的分析、菌株の分子生物学的分析、並びに液体形態及び凍結乾燥形態である菌株の濃縮培養物を水槽へ適用することによって亜硝酸塩濃度を調整する能力を測定することを含む。
【0080】
[実施例1]
細菌培養
細菌培養容器(リアクターと称する)を構築して、使用中の水槽から収集した細菌バイオマスを播種した。各リアクターに、KHPO 50g、KHPO 50g、MgSO・7HO 18.75g、CaCl・2HO 1.25g及びFeSO・7HO 1gを含有する無機塩溶液(蒸留水中で製造する)を4.95L入れた。溶存酸素が7.5mg/L以上になるように空気を供給し、攪拌しながら、このリアクターを約28℃の暗いキャビネット中に放置した。
【0081】
塩水環境における本発明のNOB株を単離及び培養するために、28〜33pptの塩濃度になるまで、合成の海塩(INSTANT OCEAN, Aquarium Systems Inc., Mentor, OH)を添加した。
【0082】
アンモニア及び亜硝酸塩濃度を、電極(Denver Instruments Model 225 pH/ISE meter及び付属のpH/ATC電極)を用いてpHを測定しながら、フローインジェクション分析(FIA, Tecator FIASTAR 5010 system)を用いて毎日測定した。塩濃度は、YSI Model 30 塩濃度,温度,伝導度プローブを用いて測定した。硝酸塩を定期的に測定し、いつ水の交換をすべきかを決定する際にこのデータを使用した。細菌バイオマスは本質的にまさに綿状であるので、水の交換中もリアクターに保持された。従って、適当なサンプリングポートを介してリアクターの容積の50%をデカントする前に、空気を送る装置及び攪拌装置を1時間停止することにより、バイオマスを沈殿させた。さらに、リアクターを定期的にこすって表面からバイオマスを取り除き、それによってバイオマスを懸濁液に戻した。DNA抽出(PCR用)及び細胞固定(FISH用)のために、微生物サンプルを定期的に回収しさらに分析した。
【0083】
[実施例2]
核酸のサンプリング及び抽出
DNA抽出のために、適当な生物学的濾過媒体のサンプルを回収し、細胞溶解バッファー(40mM EDTA、50mM Tris−HCl、pH8.3)中に再懸濁した。サンプルを、抽出を行うまで−20℃又は−74℃で保存した。処理に際し、最終濃度が10mg/mlとなるようにリゾチームをサンプルへ添加した。37℃で90分間インキュベートした後、20%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を最終濃度が1%になるように添加した。次いでこのサンプルを4回の凍結/解凍サイクルに供して、それに続いてプロテイナーゼK(保存濃度、10mg/ml)を最終濃度が2mg/mlとなるように添加し、70℃で35分間インキュベートした。場合によっては、プロテイナーゼK及びSDSを追加して添加し、サンプルを55℃でさらに30分間インキュベートした。
【0084】
細胞溶解後に、Easy DNA抽出キット(Qiagen Inc., Santa Clarita, CA;本明細書ではこれ以降「Qiagen」と記す)を用いてDNAを抽出した。DNAを50μl容積に溶出し、Hoechstタイプ33258 染料結合及びフルオロメトリー(DYNAQUANT 200, Hoefer Pharmacia Biotech Inc., San Francisco, CA)により定量した。
【0085】
[実施例3]
PCR増幅rRNA遺伝子のクローンライブラリー
クローンライブラリーは、リアクター及び水槽から回収したバイオマスサンプルからのDNA抽出物に由来する。配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8という配列によって表される細菌由来の細菌リボソームRNA遺伝子フラグメントを、プライマー S−D−Bact−0011−a−S−17(8f;GTT TGA TCC TGG CTC AG)(配列番号9)及び1492r(真正細菌;GGT TAC CTT GTT ACG ACT T)(配列番号10)を用いて増幅した。PCR条件、サイクルパラメーター、及び反応成分はこれまでの記載に従った(DeLong, E. F. 1992. Archaea in coastal marine environments. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 5685-5689.)。PCR産物をアガロースゲル電気泳動により評価した。TEバッファーでリンスし、CENTRICON濃縮装置(Amicon, Inc. Beverly, MA)で30μlまで濃縮した後、TA Cloningキット(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて、製造業者の指示書に記載のとおり、PCRフラグメントをクローニングした。
【0086】
[実施例4]
配列解析及び系統発生解析
クローンライブラリーを含む各クローン由来の16S rDNA挿入物を、制限酵素HaeIIIを用いた制限酵素分析(REA)によりスクリーニングし、16S rDNA挿入物が増幅可能であることを確認し、16S rDNAが、HaeIII酵素で切断される場合にユニークなREAパターンを保有するかどうかを決定した。クローンが増幅可能で、ユニークなREAパターンを有する場合は、その後、目的の16S rDNA挿入物を含むクローンのプラスミドを部分的に配列決定した。配列決定のために選択された、各クローンのPCR増幅16S rDNAテンプレートを、PCR Purificationキット カタログ番号28142(Qiagen)を用いて精製した。蛍光標識プライマー及びSEQUITHERM EXCEL II DNA シークエンシングキット(Epicentre Technologies, Madison, WI)を用いてサイクルシークエンスしたテンプレートを、LICOR 4000L自動DNAシークエンサーにより配列決定した。
【0087】
同一のREAパターンである2又は3種までのクローンを部分的に配列決定し、それらが同一であることを確認した。多くのクローンを完全に配列決定して、PAUP(Phylogenetic Analysis Using Parsimony ver 4.0b2a, D. L. Swofford)(ブートストラップ値及び距離分析)、ARB(A Software Environment for Sequence Date, W. Ludwig and O. Strunk)(系統樹)及びPhylip(Phylogeny Inference Package J. Felsentein)(類型マトリックス)により系統発生解析を行った。クローンライブラリーに由来する目的のクローンのためのプライマー及びプローブの開発には、ARBプローブ設計及びARBプローブマッチプログラム並びにアフターマニュアルアラインメント(after manual alignment)を使用した。プライマー及びプローブをBLAST(S. F. Altschul et al. 1990. Basic local alignment tool. J. Mol. Biol. 215: 403-410)を使用して再確認した。プライマーの特異性は、プライマーをクローン及び公知の細菌の純粋培養物由来のDNA抽出物に用いることによって決定した。プローブの特異性は、プローブを公知の細菌の純粋培養物及びリアクター由来のサンプルに用いて検証した。
【0088】
[実施例5]
DGGE解析及びプロファイリング
一般的な真正細菌DGGE解析のため、Murrayらが記載するように(A. Murray et al. 1996. Phylogenetic compositions of bacterioplankton from two California estuaries compared by denaturing gradient gel electrophoresis of 16S rDNA fragments. Appl. Environ. Microbiol. 62: 2676-2680)、5’末端に40bpのGCクランプを有するフォワード358f(真正細菌;CCT ACG GGA GGC AGC AG)(配列番号11)及びリバースプライマーS−*−Univ−0519−a−A−18(519r:GWA TTA CCG CGG CKG CTG)(配列番号12)を用いてrDNAフラグメントを増幅した。特異的なNOB DGGE解析のために、5’末端に40bpのGCクランプを有するフォワードプライマー358f(配列番号11)をリバースプライマーNSP685(NSP685:CAC CGG GAA TTC CGC GCT CCT C)(配列番号13)とともに使用した。PCR条件は同一であり、ROBOCYCLER GRADIENT 96(Stratagene, La Jolla, CA)を使用し、TAQ PCRコアキット(Qiagen)を用いて実施した。PCR条件には、ホットスタート(80℃)手順及びタッチダウン手順を含めた。最初の変性を94℃で3分間実施した後、それに続いて94℃で1分間変性し、タッチダウンアニーリングを65℃から55℃で1分29秒間実施し(タッチダウン中、1サイクル毎に1.4秒間ずつアニーリング時間を延長した)、プライマー伸長を72℃で56秒間実施した(サイクル毎に1.4秒間ずつ伸長時間を延長する)。上記の熱サイクルの最後の温度系列を全部で20サイクル繰り返し、それに続いて72℃で5分間、最後の伸長を行った。単位複製配列をアガロースゲル電気泳動により検討した。
【0089】
DGGEをBio−Rad D−GENE System(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA;本明細書において以降では「Bio-Rad」と記す)を用いて行なった。ゲルは、Bio−Rad試薬(D GENE Electrophoresis Reagent Kit, Bio-Rad)を用いた8.5%のアクリルアミド/ビスアクリルアミドであった。25〜55%の変性勾配(100%の変性は40%の脱イオン化ホルムアミドと7M 尿素との混合物である)を有するBio−Rad試薬(D GENE Electrophoresis Reagent Kit, Bio-Rad)及びBio−Rad勾配送達システム(Model 475, Bio-Rad)を特記のない限り用いて、ゲル勾配をかけた。全てのゲルを200ボルトで6時間泳動した。書類作成目的で、いくつかのゲルをVistra Green(1:10,000希釈)(Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA;本明細書において以降では「Molecular Dynamics」と記す)で20分間染色し、それに続いて1×TAEバッファーで20分間洗浄し、次いでFLUORIMAGER SI(Molecular Dynamics)を用いてスキャンした。
【0090】
個々のバンドをアルコール滅菌したメスを用いてDGGEゲルから切り出した。ゲルからのDNAの抽出にはFerrisらの方法に従った(M. J. Ferris et al. 1996. Denaturing gradient gel electrophoresis profiles of 16S rRNA-defined population inhabiting a hot spring microbial mat community. Appl. Environ. Microbiol. 62: 340-346.)。切り出したバンドを500μlの滅菌脱イオン水の入った2mlの滅菌スクリューキャップチューブに入れた。このチューブの半分をガラスビーズ(カタログ番号11079−101、Biospec Products Inc., Bartlesville, OK;本明細書において以降では「Biospec」と記す)で満たし、最も高い設定で3分間、機械的なビーズビーター(MINI−BEADBEATER−8,Biospec)に入れた。処理したDNAを4℃で一晩チューブ中に放置した。一晩放置した後、このチューブを3,200×g、4℃で8分間遠心分離し、ゲルフラグメントを濃縮した。上清を清潔なエッペンドルフチューブに移した。
【0091】
抽出効率を確認するために、この上清を時々DGGEプライマーで再増幅し、DGGEによって再解析した。混合した集団サンプル中で元のDGGEバンドと同時に移動する単一バンドがDGGE解析で生じた場合に、抽出は許容可能レベルであると考えた。切り出したバンドのヌクレオチド配列を、蛍光標識プライマー用いて、先に記載した方法に従い配列決定した。
【0092】
[実施例6]
オリゴヌクレオチドプローブの開発
蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブは、本研究におけるリアクター由来の近縁の細菌から単離された16S rRNA遺伝子配列と特異的にハイブリダイズするように設計した。第1のプローブである、SNOBTP(GTT GCC CCG GAT TCT CGT TC)(配列番号14)は、配列番号1及び配列番号2の配列によって表される他の亜硝酸酸化細菌(Nitrococcus様細菌)でもなく、Nitrobacter winogradskyiによって代表されるProteobacteria亜硝酸酸化細菌のα亜門でもない、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8の配列によって表される、本研究で発見された全てのNitrospira様細菌を標的としている。このプローブは、蛍光色素であるCy−3又はフルオレセイン−ON(Qiagen Inc., USA)のいずれかと、20%のホルムアミドとともに、成功裏に使用されている。
【0093】
第2のプローブである、NSP685(CAC CGG GAA TTC CGC GCT CCT C)(配列番号15)は、配列番号3、配列番号4及び配列番号5の配列によって表されるNitrospira様細菌の特定の系統(クレード1と称される)を標的とするために使用され得る。プローブNSP685(配列番号15)は、蛍光色素であるCy−3で標識されており、ハイブリダイゼーションを行っている間に、さらに2つのプローブがこの反応に追加して添加される。追加して添加されるこれらの2つのプローブは、フルオレセイン−ON(Qiagen Inc., USA)で標識されたSNTSP2(CAC CGG GAA TTC CGC ACT CCT C)(配列番号16)及びフルオレセイン−ONで標識されたEUBAC338(GCT GCC TCC CGT AGG AGT)(配列番号17)である。ホルムアミドの割合は、55%である。この場合、Nitrospira様亜硝酸酸化細菌のクレード1のみが、顕微鏡の視野内で見ることのできる生物体となる。
【0094】
第3のプローブは、プローブを組み合わせるものであり、配列番号6、配列番号7及び配列番号8の配列によって表されるNitrospira様細菌の別の特定の系統(クレード2と称される)を標的とするために使用され得る。これには、フルオレセイン−ONで標識されたプローブSNTSP2(配列番号16)と以下に挙げる2つの別のプローブとを組み合わせたものが使用される:Cy−3で標識されたNSP685(配列番号15)及び同じくCy−3で標識されたEUBAC338(配列番号17)。ホルムアミドの割合は、55%である。この場合、Nitrospira様亜硝酸酸化細菌のクレード2のみが、顕微鏡の視野内で見ることのできる生物体となる。
【0095】
第4のプローブである、MOBP(CTC GCC AGC CAC CTT TCC GAA)(配列番号18)は、全てのNitrospira様亜硝酸酸化生物体でもなく、Nitrobacter winogradskyiによって代表されるProteobacteria亜硝酸酸化生物体のα亜門でもない、配列番号1及び配列番号2によって表されるNitrococcus様亜硝酸酸化生物体を標的としている。このプローブを用いる場合、ホルムアミドの割合は20%であり、用いた染料はCy−3である。
【0096】
プローブのマッチングをBLAST(S. F. Altschul et al. 1990. Basic local alignment tool. J. Mol. Biol. 215: 403-410)及びCHECK_PROBE(B. L. Maidak et al. 1994. The ribosomal database project. Nucleic Acids Res. 22: 3485-3487.)を用いて初めにスクリーニングした。プローブは、Operon Tech,Inc.(Alameda, CA)により合成された。プローブのヌクレオチド配列を表9に示す。
【0097】
【表9】

【0098】
リアクターバイオマスを本明細書の細菌配列(配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8)のポジティブコントロールとして使用した、異なるホルムアミド濃度での一連のFISH実験によって、プローブ(配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号18)のストリンジェンシーを判断した。固定し動かなくした細胞のin situハイブリダイゼーションを、0.9M NaCl、20mM Tris/HCl(pH7.4)、0.01%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、25ng オリゴヌクレオチドプローブ及び各種量のホルムアミドから構成されるハイブリダイゼーション溶液中で行なった。スライドを、平衡化した湿度チャンバー内に置き、46℃で、90〜120分間インキュベートした。ハイブリダイゼーション溶液を予め加熱(48℃)した洗浄溶液で洗い流した。次いで、スライドを洗浄溶液中でインキュベートした(48℃、15分間)。洗浄工程の間、ハイブリダイゼーション工程と同様のストリンジェンシーを得るために、洗浄溶液には20mM Tris/HCl(pH7.4)、0.01% SDS、5mM EDTA及びNaClを含有させた。NaClの濃度は、溶液で使用するホルムアルデヒドの割合に応じて変化させた。20%ホルムアルデヒドの場合、NaCl濃度は215mMであり、30%では120mMであり、40%ではNaCl濃度は46mMであった。細胞は、FITC/FLUO3及びHQ CY3のフィルターセットを装備したAXIOSKOP 2エピ蛍光顕微鏡(Carl Zeiss, Jena, Germany)を用いて検出した。最適のストリンジェンシーは、SNOBTPプローブ(配列番号14)については20%ホルムアミドであると判断された。3種類の標識がされたプローブを使用する際に用いられるNSP685及びSNTSP2プローブ(それぞれ配列番号15及び配列番号16)については、最適のストリンジェンシーはそれぞれ55%ホルムアミドであると判断された。最適のストリンジェンシーは、配列番号18によって表されるMOBPプローブについては20%ホルムアミドであると判断された。
【0099】
[実施例7]
PCRプライマーの開発
本発明の配列を有するNitrospira様細菌を特異的に検出する1セットのPCRプライマー(配列番号19及び配列番号20)を開発した(表9)。本発明の配列を有するNitrococcus様細菌を特異的に検出する第2の1セットのPCRプライマー(配列番号21及び配列番号22)を開発した(表9)。第1のセット(配列番号19及び配列番号20)は、他の亜硝酸酸化細菌ではなく、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8に記載されている16S rDNA配列を有するNitrospira様細菌を特異的に検出する(表10)。第2のセット(配列番号21及び配列番号22)は、他の亜硝酸酸化細菌ではなく、配列番号1及び配列番号2に記載されている16S rDNA配列を有するNitrococcus様細菌を特異的に検出する(表10)。PCR条件は、アニーリング温度を表10に記載したとおりに変更した以外、前述の実施例5の条件と同一であった。
【0100】
【表10】

【0101】
各々のプライマーセットの特異性は、Stratagene ROBOCYCLERの温度勾配モードを使用し、各プライマーセットを用いたPCR実験に供することにより最適化された。このモードでは、最大12の異なるアニーリング温度を用いた全ての反応を1回の実験で実施できる。主として、2℃ずつの間隔で上昇させた4〜6の異なる温度で実験を行なった。各PCRプライマーセットを、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のヌクレオチド配列を有するクローン生成物に対して試験した。表9にPCRプライマーセットを提示しており、最適のアニーリング温度の結果を表10に示す。
【0102】
[実施例8]
類似性分析
亜硝酸塩から硝酸塩への酸化を担う亜硝酸酸化生物体(単数又は複数)の同一性を決定するために、塩水の硝化バイオマスから3つのクローンライブラリーを構築した。このバイオマスの詳細を表11に表す。
【0103】
【表11】

【0104】
このクローンライブラリーデータによって、試験したアンモニア供給リアクターに存在する2群の亜硝酸酸化細菌の存在が示される。亜硝酸酸化細菌の2つのタイプとは、Nitrospira様生物体及びNitrococcus様微生物である(表12)。しかし、3つの全てのクローンライブラリーから見出されているのはNitrospira様NOBのみである。Nitrospira様NOBとして同定されたクローンの割合は、スクリーニングされた総クローンに対して3.11%から33.33%であった。Nitrococcus様NOBは3つのクローンライブラリーのうち2つで見出され、その割合は、スクリーニングされた総クローンに対して2.56%及び8.70%であった(表12)。
【0105】
【表12】

【0106】
本明細書に記載されている8種のクローン配列(配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8)について、RDPを使用し、類似性のランク付けを行った(Maidak, B. L., J. R. Cole, C. T. Parker, Jr, G. M. Garrity, N. Larsen, B. Li, T. G. Lilburn, M. J. McCaughey, G. J. Olsen, R. Overbeek, S. Pramanik, T. M. Schmidt, J. M. Tiedje and C. R. Woese. A new version of the RDP (Ribosomal Database Project). Nucleic Acids Res. 27: 171-173(1999))(表13)。
【0107】
【表13】

【0108】
類似性分析により、Nitrococcus mobilisに対して98.9%類似である1群のクローン(配列番号1及び配列番号2によって表される)が明らかとなった(表13)。
【0109】
類似性分析により、本発明のNitrospira様NOB(配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表される)は2つの系統に大別されることが明らかとなった。クレード1には、配列番号3、配列番号4及び配列番号5によって表されるNOBが含まれる。クレード1の中でも、配列番号3及び配列番号4によって表されるNOBは、Nitrospira marinaに対して99.2%類似であり、配列番号5によって表されるNOBは、Nitrospira marinaに対して98.7%類似である。クレード2には、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表されるNOBが含まれる。クレード2の中でも、配列番号6によって表されるNOBは、Nitrospira marinaに対して92.2%類似であり、配列番号7によって表されるNOBは、Nitrospira marinaに対して91.6%類似であり、配列番号8によって表されるNOBは、Nitrospira marinaに対して94.0%類似である。
【0110】
近隣結合距離分析及びブートストラップ分析を用いて系統樹を構築することによる配列の系統発生解析により、類似性分析の結果が支持される(図1)。系統発生解析の結果、配列番号1及び配列番号2は互いに類似しており、その近縁種はNitrococcus mobilisである可能性が非常に高いことが示される。しかし、この結果はまた、配列番号1及び配列番号2がNitrococcus mobilisそのものではないことも実証している。
【0111】
系統発生解析の結果はまた、公知のNitrospira細菌とは異なる塩水Nitrospira様NOBの2つの別々のクレードがあるという結論を支持している(図1)。配列番号3、配列番号4及び配列番号5によって表されるクレード1は、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表されるクレード2とは明らかに異なっている。塩水Nitrospira様NOBのクレード1の近縁種は、Nitrospira marinaである。
【0112】
例として、塩水Nitrospira様NOBのクレード2(配列番号6、配列番号7及び配列番号8)は、細菌の少なくとも1の新種であることに疑う余地はない。類似性分析により、それらの近縁種(Nitrospira marina)との類似性は高くても94%(配列番号8の場合)であることが示されている。系統発生解析により、これらの3つの配列は、公知の全てのNitrospira細菌とは明らかに異なっていることが示されている(図1)。BLAST分析により、これらの配列と最も近縁なデータベース内の細菌はNitrospira marinaであることが示されているが、Nitrospira marinaの配列は、類似性分析及び系統発生解析によって実証されているように、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表される配列とは明らかに異なっている。
【0113】
表13に示した類似性のランク付けは、菌株の特異性を決定するのに役立つ。どの程度で新種とみなすかについて、厳格な規則はない。しかし、例えば、アンモニア酸化細菌であるNitrosolobus multiformis及びNitrosovibrio tenuisは0.989の類似性ランクを有するが、あらゆる微生物の権威から異種であると認識されており、Nitrosolobus multiformis及びNitrosospira briensis(類似性ランク0.980)も同様である。配列番号3及び配列番号4によって表される菌株は、Nitrospira marinaと比較した場合、0.992の類似性ランクを有する。この類似性ランクは、上述した類似性ランク0.989よりもわずかに高いが、配列番号3及び配列番号4は、Nitrospira marinaとは十分に異なっており、新規かつユニークな種を構成する。
【0114】
従って、クローンデータ、PCRの結果、系統発生解析、DGGEデータ及び類似性のランク付けという全体から、本明細書で報告される菌株がユニークなものであり、公知の亜硝酸酸化細菌とは異なることが実証される。
【0115】
[実施例9]
細菌の分析及び実験結果
Nitrospira様NOBのクローンメンバーが、3つの塩水濃縮物の全てから見出され、クローンライブラリーが構築された(表12)。Nitrospira様NOBは、同定された総クローンのかなりの部分を占めており、その割合は、総クローンに対して3%強(SB7)から33%を超えるものである。
【0116】
Nitrococcus様NOBは、3つのクローンライブラリーのうち2つでのみ見出されており(表12)、Nitrospira様NOBに比べて数が少なかった。サンプルB7で同定されたNitrococcus様NOBは、総クローンに対して3%未満であり、一方、サンプルSB7で同定されたNitrococcus様NOBの割合は14%であった。サンプルP4では、Nitrococcus様NOBは見出されなかった(表12)。
【0117】
[実施例10]
クローン及びリアクターの変性勾配ゲル電気泳動調査
本明細書で報告される各種の菌株の新規性は、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)試験の結果によりさらに実証される。図2に、以下のサンプルのDDGE結果をしめす:アンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌の濃縮物、Nitrococcus様NOB(配列番号1及び配列番号2)の代表となるクローン、並びにNitrospira様NOBのクレード1(配列番号3、配列番号4及び配列番号5)及びクレード2(配列番号6、配列番号7及び配列番号8)両方の代表となる各クローン。この結果により、配列番号1と配列番号2(Nitrococcus様NOB)との間で、ゲルの泳動距離がわずかに異なることが示される。Nitrospira様NOBのクレード2である3つのクローン(配列番号6、配列番号7及び配列番号8)のバンドの位置もまた異なっているが、それらの16S rRNA遺伝子の配列にはわずかな差異が見られるので(表6〜8)、これは予期されたことである。さらに、図2中に示される4つの濃縮物のバンド位置を比較した場合(レーンE,F、G及びH)、これらの濃縮物のゲルのバンドが、配列番号1(Nitrococcus様NOB)又は配列番号7(Nitrospira様NOB)のバンドと同一の泳動距離を示すかどうかを識別するのは困難である。
【0118】
従って、第2のタイプのDGGE分析を実施した。このDGGE分析では、標準的な25〜55%の変性勾配を、30〜60%の変性勾配へと変化させ、このゲルを200ボルトで360分間泳動した。図3に、以下のサンプルのバンド移動パターンを示す:配列番号1、配列番号2(共にNitrococcus様NOB)及び配列番号7(Nitrospira様NOB)の単独の各クローン、NOB濃縮物(レーンA)、並びに配列番号1、配列番号2及び配列番号7の標準的な各クローンを含む1組の混合物。この結果により、第2のタイプのDGGEを用いて、これらの3つのクローンのバンドが明らかに分離されたことが示される。さらに、濃縮物中の(レーンA)2つのバンドを前述したように切り出し、処理し、配列を決定した。我々の方法及び結果の有効性をさらに確認するために、上部のバンドはクローンSB7c32(配列番号1)のバンドと同一の位置にあり、下部のバンドはクローンB7c10(配列番号7)のバンドと同一の位置にある。
【0119】
図4は別のDDGE分析結果を表しており、図2と同様の濃縮サンプルを示しているが、ゲルの条件を変えたことによって(上記参照)、さらに大きな分解能である。この結果は、環境中に存在するサンプルのNitrospira様NOBとNitrococcus様NOB(レーンG〜K)とを区別できることを明らかに示している。
【0120】
[実施例11]
細菌添加試験
一連の実験を行って、本発明の菌株を含有する種々の細菌混合物の有効性を、1)混合物を供給されなかったコントロールの水槽、2)熱帯魚水槽用に細菌混合物を接種した水槽、及び3)保持又は保存された本発明の菌株の細菌混合物:と比較して決定した。
【0121】
本発明の亜硝酸酸化菌株が水槽の亜硝酸を酸化すること、及びさらに、他の菌株(例えば、アンモニア酸化細菌)と組み合わせた場合にこの細菌が水槽での硝化の確立を促進することが示されることにより、混合物の効果が実証される。硝化の確立は少なくとも3つの異なる方法で測定され得る。第1の方法は、新しい水槽を設置した後、水槽水のアンモニア及び亜硝酸塩の濃度がほぼ0mg/L濃度に到達するまでにかかる日数を計測するものである。新規に設置した塩水水槽においては概して、アンモニア濃度が0mg/Lに達するには約14日を要し、亜硝酸塩が0mg/Lに達するには約30〜35日を要す。
【0122】
水槽へ添加した硝化菌株の有益な作用を測定する第2の方法は、0mg/Lまで濃度が低下する前に達するアンモニア又は亜硝酸塩の最大濃度を比較するものである。硝化細菌を添加した水槽で達するアンモニア又は亜硝酸塩の最大濃度が、コントロール水槽で達する最大濃度よりもかなり低いものならば、ある程度の有効性が実証される。
【0123】
[実施例12]
細菌添加試験
この試験の目的は、「現実世界」の設定で行われ得るように、亜硝酸塩を硝酸塩へ酸化する本発明NOB株の各種混合物の能力を評価することであった。本発明の混合物の能力を、淡水水槽又は塩水水槽のいずれかにおける使用に適切であると主張する市販の細菌混合物と比較した。
【0124】
この試験のために、15個の10ガロン水槽及び15個のPenguin 170B(Marineland Aquarium Products)ハングオンザバック(hang-on-the-back)形式のパワーフィルターを滅菌し、十分に洗浄し、空気乾燥させた。翌日、10 lbs.の洗浄したTideline Crushed Coral #5を各々のタンクに充填し、滅菌したパワーフィルター(PF 0170B)及び洗浄したカーボンカートリッジを取り付けた。各タンクに35Lの人工海水を満たした。この海水は、塩濃度が30pptとなるように、Tropic Marine塩混合物とポストGAC水(post GAC water)とを組み合わせたものであった。細菌添加物及び魚類を添加する前にフィルターを一晩稼動させた。
【0125】
水サンプルの採取及び蒸発を補填するために、翌朝、各タンクを超純水で一杯まで満たした。各タンクに1つの細菌学的処理を施したが、コントロール群には細菌混合物を添加しなかった。
【0126】
この試験には以下の4種類の処理を用いた:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8によって表される本発明の全てのNitrospira様NOB株をともに含む、リアクター21及びリアクター29、CYCLE(淡水又は塩水用の市販の細菌混合物);並びにSTRESS ZYME(淡水又は塩水用の別の市販の細菌混合物)。各処理は3つの複製を有した。リアクター21及びリアクター29の処理を導入する水槽には、試験初日に100mlのいずれかの混合物を1回投与した。CYCLE又はSTRESS ZYMEの処理を導入する水槽には、試験初日に、10mlのいずれかの処理を投与し、試験7日目にさらに10ml投与し、その後、試験期間中7日毎にさらに5ml投与した。試験初日に、4匹の種々雑多なスズメダイ科の魚(ダムゼル)(Pomacentrus spp.)を各タンクへ添加し、1日に2回給餌した。
【0127】
毎日水サンプルを回収し、pH、アンモニア、亜硝酸塩及び伝導率を分析した。月曜日、水曜日及び金曜日に、水を硝酸塩及び濁度について試験した。pHの測定は、Denver Instruments pH組み合わせ電極を装備したDenver Instruments Model 225 pH/Ionメーターを用いて行った。Tecator FIASTAR 5010 Analyzerを用い、Tecator Application Notesに記載の方法に従って、アンモニア、亜硝酸塩及び硝酸塩(すなわち窒素)を測定した。YSI Model 30携帯型の塩濃度、伝導率及び温度システムを用いて、毎日、各タンクにおける塩濃度を直接測定した。濁度のデータは、DRT−100濁度メーター(HF Scientific)を用いて決定した。
【0128】
4種類の処理及びコントロールについての平均亜硝酸塩濃度を図5に示す。配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表されるNOB株を含む、リアクター21及びリアクター29の処理は、他の処理よりも非常に急速に亜硝酸塩を酸化した。リアクター処理を導入した場合の亜硝酸塩濃度は、他の処理を用いた場合よりも、すぐにピークに達し0mg/Lまで低下した(図5)。リアクター21は21日目に0mg/Lに達し、リアクター29は29日目に0mg/Lに達したが、コントロール及び市販の添加物は37日目以降まで0mg/Lに達しなかった(図5)。
【0129】
この結果は、以下を実証している:1)本発明のNOB株は、新規に設置された塩水水槽において、亜硝酸塩酸化を加速する、2)NOBであるNitrobacter winogradskyiを含むとされる市販の添加物は、新規の海水水槽の開始時に亜硝酸を制御することに対して有効ではない。
【0130】
[実施例13]
細菌添加試験
この試験の目的は、「現実世界」の設定で行われ得るように、亜硝酸塩を硝酸塩へ酸化する本発明NOB株の各種混合物の能力を評価することであった。リアクターSB7(本発明のNitrospira様NOB株及びNitrococcus様NOB株をともに含む)由来の物質を水槽に導入し、この系の能力を、細菌接種されていない水槽と比較した。
【0131】
この試験のために、8個の10ガロン水槽及び8個のPenguin 170B(Marineland Aquarium Products)ハングオンザバック形式のパワーフィルターを滅菌し、十分に洗浄し、空気乾燥させた。翌日、10 lbs.の洗浄したTideline Crushed Coral #5を各々のタンクに充填し、滅菌したパワーフィルター(PF 0170B)及び洗浄したカーボンカートリッジを取り付けた。各タンクに35Lの人工海水を満たした。塩濃度が30pptになるまで、カーボン濾過した水道水にINSTANT OCEAN SeaSalts(Aquarium Systems, Mentor, Ohio)を添加することによって人工的な海水を作製した。水槽にこの海水を充填し、細菌添加物及び魚類を添加する前にフィルターを一晩稼動させた。
【0132】
水サンプルの採取及び蒸発を補填するために、翌朝、各タンクを超純水で満たした。その後、4つのタンクに150mLのSB7リアクター細菌混合物を投与した。別の4つのタンクには細菌混合物を投与しなかった。SB7リアクター混合物は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表される、本発明のNitrococcus様NOB株及びNitrospira様NOB株から構成された。試験初日に、6匹のカクレクマノミ(Amphiprion ocellaris)を各タンクへ添加し、1日に2回給餌した。この魚の餌は、凍結ブラインシュリンプとSpirulina魚用フレークとの混合物であった。試験の3日目に、4匹のさらなるカクレクマノミ(Amphiprion ocellaris)を各水槽に添加した。
【0133】
毎日水サンプルを回収し、pH、アンモニア、亜硝酸塩及び伝導率について試験した。月曜日、水曜日及び金曜日に、水を硝酸塩及び濁度について試験した。pHの測定を、Denver Instruments pH組み合わせ電極を装備したDenver Instruments Model 225 pH/Ionメーターを用いて行った。Tecator FIASTAR 5010 Analyzerを用い、Tecator Application Notesに記載の方法に従って、アンモニア、亜硝酸塩及び硝酸塩(すなわち窒素)を測定した。YSI Model 30携帯型の塩濃度、伝導率及び温度システムを用いて、毎日、各タンクにおける塩濃度を直接測定した。濁度のデータは、DRT−100濁度メーター(HF Scientific)を用いて決定した。
【0134】
SB7処理及びコントロールについての平均亜硝酸塩濃度を図6に示す。SB7処理は、コントロールよりも顕著に急速に亜硝酸塩を酸化した。SB7処理されたタンクの平均亜硝酸塩濃度は、24日目に0mg/Lに達したが、コントロール水槽では、亜硝酸塩値が同じレベルである0mg/Lに達するまでに38日を要した。さらに、SB7処理の平均最大亜硝酸塩濃度(約2.4mg/L−N)は、コントロール処理の平均最大亜硝酸塩濃度(7.2mg/L−N)よりも有意に低かった(図6)。
【0135】
この結果によって、本発明のNOB株が、新規に設置された海水水槽において亜硝酸塩酸化を加速すること、及びこの期間において毒性濃度を下回る亜硝酸塩を保持することに対して有効であると実証された。
【0136】
[実施例14]
細菌添加試験
この試験の目的は、5.5ヶ月間保存されていた、凍結乾燥した塩水亜硝酸酸化細菌の生存能力を評価することであった。この試験の目的はまた、本明細書に記載されている、水性媒体を維持するための各種組成物の有効性を試験することでもあった。
【0137】
方法:細菌の準備
600LのリアクターSB1由来のNOBと、600LのリアクターSB2由来のNOBとを混合し、Harvest Only Tank(HOT)中に一晩沈殿させた。リアクターSB1及びリアクターSB2ともに、本発明のNOB株(配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表される)を全て含んでおり、両方とも、30pptの塩濃度で維持された。翌日、できるだけ多量の上清をタンクから除去した。2回目の濃縮は、再びできるだけ多量の上清を除去するまで、より小さな容器で実施された。残った細菌を回収し、5Lの容器に入れ、4〜5時間沈殿させた。再び、できるだけ多量の上清を除去し、この溶液を2部に分けた。この時点で、抗凍結剤である各種量のトレハロースを、細菌溶液に添加した。1つの溶液には、5%トレハロース溶液となるように、50gのトレハロースを1000mLのNOBと混合し、もう1つの溶液には、10%トレハロース溶液となるように、100gのトレハロースを1000mLのNOBと混合した(表14)。2つの塩水リアクター由来のAOBを凍結乾燥するために、同様に準備した。さらに処理する前に、サンプルを4℃で保存した。余剰量のNOB及びAOBをポジティブコントロールとして用いるために、抗凍結剤を混合せず4℃で保存した。
【0138】
【表14】

【0139】
凍結乾燥に関して、一次乾燥における2つの昇華速度(PSR;primary sublimation rate)(穏やかな速度及び急激な速度)を試験するために、サンプルを分割した。全てのサンプルを予め冷却しておいたトレイに移し、フリーザー中に放置した。このフリーザーは−40℃に冷却されていた。サンプルを3時間凍結させ、次いでドライヤー中に置いた。サンプルを、穏やかな又は急激なPSRで乾燥させた。凍結乾燥処理に供したこのサンプルを、凍結乾燥形態で5.5ヶ月間、4℃で保存した。
【0140】
試験設定:28個の5ガロン水槽及びフィルターをSanaquaで滅菌し、洗浄し、空気乾燥させた。水槽を、新たに準備した19Lの人工海水(塩濃度が29pptになるように、ポストGAC水にINSTANT OCEAN SeaSaltsを溶解することで作製した)で満たした。洗浄したてのカーボンカートリッジ及び新しいBIOWHEELを装備したPenguin 125パワーフィルターを各水槽に取り付け、プラグで接続し、一晩稼動させた。Access Test Databaseを用いて、それぞれ4つの複製で構成される特定の処理を、不規則に水槽に導入した(表15)。
【0141】
【表15】

【0142】
試験開始時に、蒸発による水損失を補うために水槽を脱イオン水で満たし、ベースラインのサンプルを採取した。細菌を午前11:00に添加し、第2のベースラインサンプル採取前に、30分間循環させたままにした。午後12:30に、9匹のドミノダムゼルを各水槽に入れた。毎朝、水槽を脱イオン水で満たし、その後サンプルを採取した。
【0143】
毎日、pH、アンモニア、亜硝酸塩及び濁度についてサンプルを分析した。試験の間中、硝酸塩を断続的に測定した。Foss FIASTAR 5000を用い、Foss Application Notesに記載の方法に従って、アンモニア及び亜硝酸塩を測定した。Tecator FIASTAR 5010を用い、Tecator Application Notesに記載の方法に従って、硝酸塩(すなわち窒素として)を測定した。濁度のデータは、HF Scientific Micro 100濁度メーターを用いて決定した。
【0144】
結果:表16に、それぞれの凍結乾燥処理に供し凍結乾燥した、細菌とトレハロースとの混合物の初めの湿重量、及び凍結乾燥後の乾燥重量の収量を示す。
【0145】
【表16】

【0146】
凍結乾燥工程の間、以下に留意した:穏やかなPSRの場合、最終温度を27℃とし、約35時間乾燥させた。急激なPSRの場合、最終温度を27℃とし、約28時間乾燥させた。NOBはAOBよりも急速に乾燥した。10%トレハロース溶液は、乾燥物上に、薄い糖質の層として残った。内部で沸騰が起こらないように注意した。
【0147】
図7には、本試験の各種処理における平均アンモニア値(N=4)を示す。ネガティブコントロール(細菌を添加していない)は、アンモニア濃度が0mg/Lに達するのに20日を要した。この処理でのアンモニアは7日目にほぼ7mg/Lの値でピークに達した。これらの値とは対照的に、添加される硝化細菌が液体形態(ポジティブコントロール)であるか凍結乾燥形態であるかにかかわらず、それら全ての処理でのアンモニア濃度は、顕著に急速に0mg/Lに達した(図7)。
【0148】
凍結乾燥処理に対する平均アンモニア濃度値は、ポジティブコントロール濃度値とネガティブコントロール濃度値との間であった(図7)。概して、凍結乾燥処理を受けた水槽では、最大アンモニア濃度が約4〜6mg/Lに達し、10日目〜13日目に0mg/Lに達した。
【0149】
この試験の各種の処理における平均亜硝酸塩濃度を図8に示す。これらの結果は、アンモニアのデータから得られた結果を反映している。ポジティブコントロールであるか凍結乾燥されているかに関わらず、細菌接種を受けた水槽は全て、接種を受けていないネガティブコントロールよりも顕著に急速に硝化作用を示した(図8)。
【0150】
アンモニア及び亜硝酸塩の消失が、これらの化合物の硝酸塩への酸化に起因することを図9は裏付ける。時間とともに、全ての処理で硝酸塩濃度の上昇が起こったことをこの図は明らかに示している。ポジティブコントロール処理では、試験開始後ほぼすぐに、硝酸塩の生成を開始した。凍結乾燥処理では、約10〜15日目までに硝酸塩の生成を開始した。このことから、細菌接種されていない水槽と比較して、本発明の菌株が接種された水槽ではより急速に硝化が確立されたことが裏付けられる。
【0151】
本試験の結果は以下を実証している:本発明菌株の凍結乾燥処理工程は、凍結乾燥形態で長期保存した後も、それら菌株の生存能力を維持し、かつ亜硝酸を硝酸塩に酸化する能力を維持する。本試験の結果はまた、以下も実証している:本発明菌株の液体処理工程及び凍結乾燥処理工程は、新規に設置された水槽において、細菌接種されていない水槽よりも急速に硝化を確立できる。本試験の結果はまた、以下も実証している:本明細書に記載されている、水性媒体を維持するための組成物は、この水性媒体において、アンモニアを亜硝酸に酸化し、亜硝酸塩を硝酸塩に酸化することができる。
【0152】
[実施例15]
細菌添加試験
この試験の目的は、11ヶ月間保存されていた、凍結乾燥した塩水亜硝酸酸化細菌の生存能力を評価し、水性媒体における亜硝酸塩濃度を減少させる目的で亜硝酸酸化細菌の最適な投与を決定することであった。この試験の目的はまた、本明細書に記載されている、水性媒体を維持するための各種組成物の有効性を試験することでもあった。
【0153】
方法:細菌の準備
600LのリアクターSB1由来のNOBと、600LのリアクターSB2由来のNOBとを混合し、Harvest Only Tank(HOT)中に一晩沈殿させた。リアクターSB1及びリアクターSB2ともに、本発明のNOB株(配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表される)を全て含んでおり、両方とも、30pptの塩濃度で維持された。翌日、できるだけ多量の上清をタンクから除去した。2回目の濃縮は、再びできるだけ多量の上清を除去するまで、より小さな容器で実施された。残った細菌を回収し、5Lの容器に入れ、4〜5時間沈殿させた。再び、できるだけ多量の上清を除去し、この溶液を2部に分けた。この時点で、抗凍結剤である各種量のトレハロースを、細菌溶液に添加した。1つの溶液には、5%トレハロース溶液となるように、50gのトレハロースを1000mLのNOBと混合し、もう1つの溶液には、10%トレハロース溶液となるように、100gのトレハロースを1000mLのNOBと混合した(表17)。2つの塩水リアクター由来のAOBを凍結乾燥するために、同様に準備した。さらに処理する前に、サンプルを4℃で保存した。余剰量のNOB及びAOBをポジティブコントロールとして用いるために、抗凍結剤を混合せず4℃で保存した。
【0154】
【表17】

【0155】
凍結乾燥に関して、一次乾燥における2つの昇華速度(PSR;primary sublimation rate)(穏やかな速度及び急激な速度)で試験するために、サンプルを分割した。全てのサンプルを予め冷却しておいたトレイに移し、フリーザー中に放置した。このフリーザーは−40℃に冷却されていた。サンプルを3時間凍結させ、次いでドライヤー中に置いた。サンプルを、穏やかな又は急激なPSRで乾燥させた。凍結乾燥処理に供したこのサンプルを、凍結乾燥形態で11ヶ月間、4℃で保存した。
【0156】
比較試験のために、2Lの新鮮細胞を両方の塩水NOBリアクター(SB1及びSB2)から採取し、5Lの新鮮細胞を2つの塩水AOBリアクターから採取した。NOBを別々に組み合わせ、放置することで一晩沈殿させた。翌日、上清を取り除き、残った細菌の濃度を決定するためにImhoff沈殿コーン中に置いた。この濃度に基づき、高用量の濃度(表18)になるように、新たに作製した塩水(塩濃度が28pptになるように、脱イオン水にINSTANT OCEAN SeaSaltsを混合することで作製した)で希釈した。本試験で使用する中用量及び低用量を得るために、塩水を用いて高用量ストックを段階希釈した(表18)。
【0157】
試験設定:32個の10ガロン水槽及びフィルターをSanaquaで滅菌し、洗浄し、空気乾燥させた。水槽を、新たに準備した37Lの人工海水(塩濃度が29pptになるように、ポストGAC水にINSTANT OCEAN SeaSaltsを溶解することで作製した)で満たした。洗浄し立てのカーボンカートリッジ及び新しいBIOWHEELを装備したPenguin 125パワーフィルターを各水槽に取り付け、プラグで接続し、一晩稼動させた。Access Test Databaseを用いて、それぞれ4つの複製で構成される特定の処理を、不規則に水槽に導入した(表18)。
【0158】
【表18】

【0159】
試験開始時に、蒸発による水損失を補うために水槽を脱イオン水で満たし、ベースラインのサンプルを採取した。細菌を午前10:00に添加し、第2のベースラインサンプル採取前に、30分間循環させたままにした。毎朝、水槽を脱イオン水で満たし、その後サンプルを採取した。魚の排泄物をシミュレートするために、サンプル採取後、毎日水槽にアンモニア(0.5mg/L)を手作業で添加した。
【0160】
毎日、pH、アンモニア、亜硝酸塩及び濁度についてサンプルを分析した。試験の間中、硝酸塩を断続的に測定した。Foss FIASTAR 5000を用い、Foss Application Notesに記載の方法に従って、アンモニア及び亜硝酸塩を測定した。Tecator FIASTAR 5010を用い、Tecator Application Notesに記載の方法に従って、硝酸塩(すなわち窒素)を測定した。濁度のデータは、HF Scientific Micro 100濁度メーターを用いて決定した。
【0161】
結果:表19に、それぞれの凍結乾燥処理に供し凍結乾燥した、細菌とトレハロースとの混合物の初めの湿重量、及び凍結乾燥後の乾燥重量の収量を示す。
【0162】
【表19】

【0163】
凍結乾燥工程の間、以下に留意した:穏やかなPSRの場合、最終温度を27℃とし、約35時間乾燥させた。急激なPSRの場合、最終温度を27℃とし、約28時間乾燥させた。NOBはAOBよりも急速に乾燥した。10%トレハロース溶液は、乾燥物上に、薄い糖質の層として残った。内部で沸騰が起こらないように注意した。
【0164】
図10には、本試験の各種処理における平均アンモニア値(N=4)を示す。コントロール(細菌を添加していない)は、アンモニア濃度が0mg/Lに達するのに20日を要した。この処理でのアンモニアは12日目にほぼ7mg/Lの値でピークに達した。これらの値とは対照的に、添加される硝化細菌が液体形態であるか凍結乾燥形態であるかにかかわらず、それら全ての処理でのアンモニア濃度は、顕著に急速に0mg/Lに達した(図10)。
【0165】
液体形態では、高用量が急速な硝化を確立する明らかな傾向があった。高容量処理における平均アンモニア値は0.3mg/Lを超えることがなく、水槽は、4日目までにNH3−Nが0mg/Lに達した。中用量処理では、平均アンモニア濃度が約1mg/Lの最大値に達し、5日目までに0mg/Lに達した(図10)。低用量処理では、平均アンモニア濃度が1.5mg/Lの最大値に達し、6日目までに0mg/Lに達した。
【0166】
凍結乾燥処理に対する平均アンモニア濃度の値は、互いに非常に近く、かつ液体処理濃度値とコントロール処理濃度値との間であった(図10)。概して、凍結乾燥処理を受けた水槽では、最大アンモニア濃度が約4mg/Lに達し、10日目〜12日目に0mg/Lに達した。
【0167】
この試験の各種の処理における平均亜硝酸塩濃度を図11に示す。これらの結果は、アンモニアのデータから得られた結果を反映している。細菌接種されていない水槽は、NO2−Nの最大濃度がほぼ26mg/Lに達した後、NO2−Nが0mg/Lに達するまで、平均して50日を超える日数を要した。液体であるか凍結乾燥されているかに関わらず、細菌接種を受けた水槽は全て、接種を受けていないネガティブコントロールよりも顕著に急速に硝化作用を示した(図11)。
【0168】
アンモニア及び亜硝酸塩の消失が、これらの化合物の硝酸塩への酸化に起因することを図12は裏付ける。時間とともに、全ての処理で硝酸塩濃度の上昇が起こったことをこの図は明らかに示している。液体処理では、試験開始後ほぼすぐに、硝酸塩の生成を開始した。凍結乾燥処理では、約17日目までに硝酸塩の生成を開始したのに対し、細菌接種されていない水槽では、約40日目まで硝酸塩の生成が開始されなかった。このことから、細菌接種されていない水槽と比較して、本発明の菌株が接種された水槽ではより急速に硝化が確立されたことが裏付けられる。
【0169】
本試験の結果は以下を実証している:本発明菌株の凍結乾燥処理工程は、凍結乾燥形態で長期保存した後も、それら菌株の生存能力を維持し、かつ亜硝酸を硝酸塩に酸化する能力を維持する。本試験の結果はまた、以下も実証している:本発明菌株の液体処理工程及び凍結乾燥処理工程は、新規に設定された水槽において、細菌接種されていない水槽よりも急速に硝化を確立できる。本試験の結果はまた、以下も実証している:本明細書に記載されている、水性媒体を維持するための組成物は、この水性媒体において、アンモニアを亜硝酸に酸化し、亜硝酸塩を硝酸塩に酸化することができる。
【0170】
[実施例16]
細菌添加試験
この試験の目的は、5ヶ月間保存されていた、凍結した塩水亜硝酸酸化細菌の生存能力を評価し、かつ異なる温度で14ヶ月間、液体形態で保存されていた細菌の生存能力を評価することであった。この試験の目的はまた、本明細書に記載されている、水性媒体を維持するための各種組成物の有効性を試験することでもあった。
【0171】
方法:細菌の準備
リアクターSB1及びSB2由来の塩水NOBを本試験のために集菌した。リアクターSB1及びリアクターSB2ともに、本発明のNOB株(配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表される)を全て含んでおり、両方とも、30pptの塩濃度で維持された。2つの塩水リアクター由来のAOBも本試験のために集菌した。AOB及びNOBの3種類のストック溶液を、0%、5%及び10%のトレハロースを抗凍結剤として各々含むように作製した。サンプルを4℃で1時間放置し、その後−80℃で72時間放置した。最後に、サンプルを3つに分け、異なる以下の3種類の保存温度で放置した:−15℃、−20℃及び−80℃。このサンプルは、これらの温度で5ヶ月間保存された。
【0172】
約11ヶ月前に、リアクターSB1及びSB2由来のNOB、並びにAOBリアクター由来のAOBを3種類の異なる温度で保存した:4℃、室温及び37℃。これらの液体サンプルを14ヶ月間保存した。保存期間が終わる時、各保存条件で異なる細胞密度となった。従って、各サンプルが等量の細胞を含むように希釈した(表20)。最後に、細菌添加51試験の直前に、リアクターSB1及びSB2、並びにAOBリアクター由来の細菌サンプルを集菌することによって、NOB及びAOBのポジティブコントロールを選択した。
【0173】
【表20】

【0174】
試験設定:36個の5ガロン水槽及びフィルターをSanaquaで滅菌し、洗浄し、空気乾燥させた。水槽を、新たに準備した19Lの人工海水(塩濃度が30pptになるように、ポストGAC水にINSTANT OCEAN SeaSaltsを溶解することで作製した)で満たした。洗浄したてのカーボンカートリッジ及び新しいBIOWHEELを装備したPenguin 170パワーフィルターを各水槽に取り付け、プラグで接続し、一晩稼動させた。Access Test Databaseを用いて、それぞれ4つの複製で構成される特別な処理を、不規則に水槽に導入した(表21)。この試験の処理条件は、細菌の保存条件のより大きな群から選択され(各種濃度のトレハロースとともに、−80℃、−20℃及び−15℃で凍結した凍結細菌、並びに4℃、室温及び37℃の液体細菌)、これは、各種の保存された凍結細菌及び液体細菌で実施された初めの生存能力試験に基づいている。
【0175】
【表21】

【0176】
試験開始時に、蒸発による水損失を補うために水槽を脱イオン水で満たし、ベースラインのサンプルを採取した。細菌を添加し、第2のベースラインサンプル採取前に、30分間循環させたままにした。毎朝、水槽を脱イオン水で満たし、その後サンプルを採取した。魚の排泄物をシミュレートするために、サンプル採取後、毎日水槽にアンモニア(0.5mg/L)を手作業で添加した。
【0177】
毎日、pH、アンモニア、亜硝酸塩及び濁度についてサンプルを分析した。試験の間中、硝酸塩を間隔をおいて測定した。Foss FIASTAR 5000を用い、Foss Application Notesに記載の方法に従って、アンモニア及び亜硝酸塩を測定した。Tecator FIASTAR 5010を用い、Tecator Application Notesに記載の方法に従って、硝酸塩(すなわち窒素)を測定した。濁度のデータは、HF Scientific Micro 100濁度メーターを用いて決定した。
【0178】
図13には、本試験の各種処理における平均アンモニア値(N=4)を示す。ネガティブコントロール(細菌を添加していない)は、アンモニア濃度が0mg/Lに達するのに25日を要した。この処理でのアンモニアは14日目にほぼ7mg/Lの値でピークに達した。これらの値とは対照的に、凍結処理を受けるか液体処理を受けるかに関わらず、それら全ての実験水槽において、アンモニア濃度は、顕著に急速に0mg/Lに達した(図13)。
【0179】
図14には、本試験の各種処理における平均亜硝酸塩値(N=4)を示す。ネガティブコントロールの水槽及び37℃で保存された液体細菌処理を導入された水槽では、亜硝酸塩レベルの上昇がみられ、そのレベルは30日目を過ぎても減少しなかった。これらの値とは対照的に、凍結処理を受けるか液体処理を受けるかに関わらず、残りの実験水槽では、亜硝酸塩濃度の減少がみられた(図14)。
【0180】
図15には、本試験の各種処理における平均硝酸塩値(N=4)を示す。試験の間、全ての水槽で、硝酸塩濃度のいくらかの上昇がみられた。37℃で保存された液体細胞を除いて、凍結処理及び液体処理を導入された全ての水槽で、硝酸塩濃度の一貫して上昇する傾向がみられた。
【0181】
この試験の結果により以下が実証される:本発明NOBの凍結処理は、5ヶ月間凍結保存した後も、亜硝酸塩から硝酸塩へと酸化する能力を維持する。この試験の結果はまた、以下も実証している:本発明NOBの最適な凍結保存温度は−80℃であるが、−20℃及び−15℃もまた有効な温度である。
【0182】
上記の説明は、本発明の特定の実施形態に言及しているが、本発明の趣旨から逸脱することなく多数の変異がなされ得るということが当業者には容易に明らかであるはずである。添付の特許請求の範囲は、このような変異があたかも本発明の趣旨及び範囲内におさまるとして包含することを意図する。従って、本明細書に開示された実施形態は、あらゆる点で例示的なものであり、制限しないものとして解釈され、本発明の範囲は、前述の詳細な説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意義及びその等価な範囲内にある全ての変異は、本明細書に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】図1は、本発明の実施態様による16S rDNA配列の比較分析から推測される8種の菌株(すなわち、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表される菌株)の系統的関係を図示する。この系統樹は、最低1445ヌクレオチドを含む配列の近隣結合距離分析に基づく。
【図2】図2は、本発明の実施態様による、選択された濃縮物、並びに配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表される亜硝酸酸化細菌由来のバイオマスの変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を図示する。
【図3】図3は、本発明の実施態様により、選択された濃縮物、並びに配列番号1、配列番号2及び配列番号7によって表される亜硝酸酸化細菌のバイオマスの変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を図示する。
【図4】図4は、本発明の実施態様による、選択された濃縮物、並びに配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によって表される亜硝酸酸化細菌由来のバイオマスの変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を図示する。
【図5】図5は、塩水菌株及び2つの市販の添加物についての細菌添加試験による、平均亜硝酸塩濃度の傾向を図示する。
【図6】図6は、細菌接種されていないコントロールに対する塩水菌株について細菌添加試験による、平均亜硝酸塩濃度の傾向を図示する。
【図7】図7は、5.5ヶ月間保存されていた凍結乾燥形態の塩水菌株の生存能力を評価するための細菌添加試験による、平均アンモニア濃度の傾向を図示する。
【図8】図8は、5.5ヶ月間保存されていた凍結乾燥形態の塩水菌株の生存能力を評価するための細菌添加試験による、平均亜硝酸塩濃度の傾向を図示する。
【図9】図9は、5.5ヶ月間保存されていた凍結乾燥形態の塩水菌株の生存能力を評価するための細菌添加試験による、平均硝酸塩濃度の傾向を図示する。
【図10】図10は、11ヶ月間保存されていた凍結乾燥形態の塩水菌株の生存能力を評価するための細菌添加試験による、平均アンモニア濃度の傾向を図示する。
【図11】図11は、11ヶ月間保存されていた凍結乾燥形態の塩水菌株の生存能力を評価するための細菌添加試験による、平均亜硝酸塩濃度の傾向を図示する。
【図12】図12は、11ヶ月間保存されていた凍結乾燥形態の塩水菌株の生存能力を評価するための細菌添加試験による、平均硝酸塩濃度の傾向を図示する。
【図13】図13は、5ヶ月間保存されていた凍結形態の塩水菌株、及び14ヶ月間保存されていた液体形態の塩水菌株の生存能力を評価するための細菌添加試験による、平均アンモニア濃度の傾向を図示する。
【図14】図14は、5ヶ月間保存されていた凍結形態の塩水菌株、及び14ヶ月間保存されていた液体形態の塩水菌株の生存能力を評価するための細菌添加試験による、平均亜硝酸塩濃度の傾向を図示する。
【図15】図15は、5ヶ月間保存されていた凍結形態の塩水菌株、及び14ヶ月間保存されていた液体形態の塩水菌株の生存能力を評価するための細菌添加試験による、平均硝酸塩濃度の傾向を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する単離された菌株であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、菌株。
【請求項2】
ヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8と同一である、請求項1記載の菌株。
【請求項3】
亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する菌株の生物学的に純粋な培養物であって、前記菌株の16S rDNAが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、培養物。
【請求項4】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8と同一である、請求項3記載の生物学的に純粋な培養物。
【請求項5】
亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する単離された菌株を含む組成物であって、前記菌株が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8で表されるヌクレオチド配列を含む、組成物。
【請求項6】
前記組成物が液体形態、凍結形態、凍結乾燥形態及び粉末形態からなる群より選択される形態である請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物がポリマーに含まれている、請求項5記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリマーがアクリルアミド、アルギン酸、カラギナン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
アンモニア酸化生物体、亜硝酸酸化微生物、硝酸還元微生物、従属栄養微生物及びそれらの組み合わせからなる群より選択される微生物をさらに含む、請求項5記載の組成物。
【請求項10】
亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する濃縮された菌株を含む組成物であって、前記菌株の16S rDNAが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、組成物。
【請求項11】
前記菌株が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8と同一である16S rDNA配列を有する、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
アンモニア酸化生物体、亜硝酸酸化微生物、硝酸還元微生物、従属栄養微生物及びそれらの組み合わせからなる群より選択される微生物をさらに含む、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する、少なくとも2つの単離された菌株を含む組成物であって、この少なくとも2つの菌株はそれぞれ、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有するヌクレオチド配列からなる群より独立して選択されるヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する、組成物。
【請求項14】
アンモニア酸化生物体、亜硝酸酸化微生物、硝酸還元微生物、従属栄養微生物及びそれらの組み合わせからなる群より選択される微生物をさらに含む、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記の少なくとも2つの菌株が、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、配列番号2に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、配列番号3に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、配列番号4に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、配列番号5に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、配列番号6に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、配列番号7に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、かつ配列番号8に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含する、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
以下の工程を含む凍結乾燥工程によって製造された請求項13記載の組成物:
前記少なくとも2つの菌株を抗凍結剤とともに処理する工程;
フリーザー中に前記処理された菌株を置く工程;
フリーザーから前記処理された菌株を取り出す工程;及び
減圧下で前記菌株を乾燥する工程。
【請求項17】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有する配列を含む、単離された核酸。
【請求項18】
前記配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8からなる群より選択される配列と同一である、請求項17記載の単離された核酸。
【請求項19】
配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号18からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、オリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項20】
配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号18からなる群より選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有するオリゴヌクレオチドプローブであって、前記オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する16S rDNAを有する細菌の核酸に対してハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項21】
配列番号19、配列番号20、配列番号21及び配列番号22からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー。
【請求項22】
配列番号19、配列番号20、配列番号21及び配列番号22からなる群より選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーであって、前記PCRプライマーが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する16S rDNAを有する細菌の核酸に対してハイブリダイズする、PCRプライマー。
【請求項23】
媒体における亜硝酸塩の蓄積を軽減又は防止する方法であって、以下の工程:
亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する菌株を準備する工程(前記菌株は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む);及び
前記媒体における亜硝酸塩の蓄積を軽減又は防止するのに十分な量の前記菌株を前記媒体中へ導入する工程、
を含む方法。
【請求項24】
前記媒体が、塩水水槽、淡水水槽、廃水及び水産養殖施設の液体からなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記媒体中に導入する工程が、回転生物接触器、バイオフィルター及びポリマーからなる群より選択される媒介体上に、前記媒体中に導入する菌株を置くことをさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
媒体における亜硝酸塩の蓄積を軽減又は防止する方法であって、以下の工程:
亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する菌株を準備する工程(前記菌株は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8に記載のヌクレオチド配列を含む);及び
前記媒体における亜硝酸塩の蓄積を軽減又は防止するのに十分な量の前記菌株を前記媒体中へ導入する工程、
を含む方法。
【請求項27】
媒体における亜硝酸塩の蓄積を軽減又は防止するバイオレメディエーションプロセスであって、以下の工程:
亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する菌株を準備する工程(前記菌株は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む);及び
前記媒体を改善するのに十分な量の前記菌株を前記媒体中へ導入する工程、
を含むプロセス。
【請求項28】
媒体における亜硝酸塩の蓄積を軽減又は防止する方法であって、以下の工程:
亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する、少なくとも2つの単離された菌株を含む組成物を準備する工程(前記少なくとも2つの菌株はそれぞれ、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有するヌクレオチド配列からなる群より独立して選択されるヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する);及び
前記媒体における亜硝酸塩の蓄積を軽減又は防止するのに十分な量の前記組成物を前記媒体中へ導入する工程、
を含む方法。
【請求項29】
前記の少なくとも2つの単離された菌株が、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、配列番号2に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、配列番号3に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、配列番号4に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、配列番号5に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、配列番号6に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、配列番号7に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含し、かつ配列番号8に記載のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を包含する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、アンモニア酸化生物体、亜硝酸酸化微生物、硝酸還元微生物、従属栄養微生物及びそれらの組み合わせからなる群より選択される微生物をさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項31】
媒体中で亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する細菌(前記細菌の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む)の量を検出し決定する方法であって、以下の工程:
配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号18からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、検出可能に標識されたプローブを準備する工程;
前記媒体から総DNAを単離する工程;
前記ヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する細菌の核酸のみに前記プローブがハイブリダイズする条件下で、前記検出可能に標識されたプローブに対して前記単離された総DNAを曝露させる工程;
前記ハイブリダイズされたプローブの量を検出及び測定する工程、
を含む方法。
【請求項32】
前記媒体が、塩水水槽、淡水水槽、廃水及び水産養殖施設の液体からなる群より選択される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記媒体がその中に、水槽用砂利、フィルタースポンジ、フィルターフロス及びプラスチックフィルター媒体からなる群より選択される物質を包含する、請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記媒体から総DNAを単離する工程が、前記物質から総DNAを単離する工程を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
検出可能に標識されたプローブを準備する工程が、DNAチップ上に前記検出可能に標識されたプローブを配置する工程をさらに包含する、請求項31記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、自動化されたプロセスを含む、請求項31記載の方法。
【請求項37】
前記自動化されたプロセスが、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、バイオセンサー、バイオプローブ、キャピラリー電気泳動及びリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応からなる群より選択される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記ハイブリダイズされたプローブの存在が、亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する細菌の存在の指標であり、かつハイブリダイズされたプローブの量が前記媒体において亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する前記細菌の量の指標である、請求項31記載の方法。
【請求項39】
媒体中で亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する細菌(前記細菌の16S rDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む)の量を検出し決定する方法であって、以下の工程:
配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号18からなる群より選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも96%の同一性を有する、検出可能に標識されたプローブを準備する工程;
前記媒体から総DNAを単離する工程;
前記ヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する細菌の核酸のみに前記プローブがハイブリダイズする条件下で、前記検出可能に標識されたプローブに対して、前記単離された総DNAを曝露させる工程;
前記ハイブリダイズされたプローブの量を検出及び測定する工程、
を含む方法。
【請求項40】
前記媒体が、塩水水槽、淡水水槽、廃水及び水産養殖施設の液体からなる群より選択される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記媒体がその中に、水槽用砂利、フィルタースポンジ、フィルターフロス及びプラスチックフィルター媒体からなる群より選択される物質を包含する、請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記媒体から総DNAを単離する工程が、前記物質から総DNAを単離する工程を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
検出可能に標識されたプローブを準備する工程が、DNAチップ上に前記検出可能に標識されたプローブを配置する工程をさらに含む、請求項39記載の方法。
【請求項44】
前記方法が、自動化されたプロセスを含む、請求項39記載の方法。
【請求項45】
前記自動化されたプロセスが、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、バイオセンサー、バイオプローブ、キャピラリー電気泳動及びリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応からなる群より選択される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記ハイブリダイズされたプローブの存在が、亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する細菌の存在の指標であり、かつハイブリダイズされたプローブの量が前記媒体において亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する前記細菌の量の指標である、請求項39記載の方法。
【請求項47】
固体基材、並びに前記固体基材上に構成される配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号18からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブを含む、DNAチップ。
【請求項48】
前記プローブが共有結合によって前記固体基材に結合される、請求項47記載のDNAチップ。
【請求項49】
約1:3の割合で存在する亜硝酸酸化細菌とアンモニア酸化細菌とを含む組成物であって、前記亜硝酸酸化細菌が、配列番号1と同一のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を含み、配列番号2と同一のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を含み、配列番号3と同一のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を含み、配列番号4と同一のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を含み、配列番号5と同一のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を含み、配列番号6と同一のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を含み、配列番号7と同一のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を含み、かつ配列番号8と同一のヌクレオチド配列を含む16S rDNAを有する菌株を含む、組成物。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−510402(P2007−510402A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534423(P2006−534423)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/033370
【国際公開番号】WO2005/045002
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(502417302)アクアリア・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】