説明

亜鉛を実質的に含有しないプライマーを有するパウダーコーティング用組成物

自動車用コイルばねなどの高張力鋼部品用の耐食性および耐チッピング性コーティング(corrosion and chip resistant coating)は、亜鉛を実質的に含有しないプライマーおよびトップコートを含むコーティング用組成物によって形成される。プライマーは、約860〜約930のエポキシ等量を有するエポキシ樹脂、約200〜約500のヒドロキシル等量を有するポリヒドロキシル官能性フェノール系硬化剤、および充填材を含む。トップコートは、約520〜約930のエポキシ等量を有するエポキシ樹脂、約1000〜約1600のエポキシ等量を有するエラストマー改質エポキシ樹脂、約45mg KOH/g〜約75mg KOH/gの酸価(acid number)を有するカルボキシル官能性ポリエステル、起泡剤(forming agent)、および強化用繊維を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年1月25日出願の米国特許出願第61/023,540号の優先権を主張する。その内容は参照により本明細書中に組み入れられる。
【0002】
本発明は、自動車用ばねなどの高応力下にある鋼のための耐食性および耐チッピング性コーティング用組成物、ならびにこのコーティング用組成物がコーティングされた高応力下にある鋼に関する。
【背景技術】
【0003】
鋼のコーティング用の組成物は、当技術分野で一般的によく知られている。
【0004】
米国特許第5,334,631号には、エポキシ樹脂、硬化剤、層状亜鉛、および亜鉛末を含むコーティング用組成物が開示されている。第2層は、バインダーとしてのポリエステル樹脂と、硬化剤としてのトリスグリシジルイソシヌレート(Trisglycidylisocyanurate)などのエポキシ基を含む成分とをベースとするパウダーコーティング用組成物などのトップコートコーティングとして塗布することができる。鉄、鋼、銅、およびアルミニウムなどの金属についてのこのコーティングの利用が、ガスタンクの外側への使用を示している例とともに記載されている。
【0005】
米国特許第7,018,716号には、亜鉛を含有しないトップコートとともに、単層コーティングまたはプライマーコーティングのいずれかとして亜鉛を含有するエポキシ樹脂を含有し、繊維の添加により、および/または多孔性を付与する起泡剤によって強化したコーティングが開示されている。このコーティングについて記載されている用途としては、コイルばねなどの高張力応力鋼が挙げられる。
【0006】
米国特許第4,804,581号には、エラストマー改質エポキシ含有コーティングプライマーとトップコートとしてのカルボキシル官能性ポリエステル樹脂などのカルボキシル官能性材料とでコーティングされた金属基材が開示されている。コーティング用組成物は、所望されるチッピングに対する保護(anti-chip protection)を得るために自動車用途に有用であるとされているが、例としては、ばねなどの高応力下にある鋼物品ではなく、設置用鋼製パネルについての使用が示されている。
【0007】
高抗張力(high tensile strength)ばねの保護には、初期のコーティングシステムでは、優れた耐チッピング性を得るための大きい膜厚で塗布された熱可塑性トップコートの重層コーティング(overlying coating)との、非常に優れた耐食性のための亜鉛を多く含むエポキシ熱硬化性プライマーの組み合わせが使用されることが最も好ましいとされてきた(米国特許第5,981,086号)。場合によっては、エポキシエレクトロコーティングが亜鉛を多く含むプライマーの代わりに使用された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常は、耐チッピング性および低温での物理的特性は劣るが、米国特許第7,018,716号には、低コストである熱可塑性トップコートと競合する性能を有するエポキシ熱硬化性トップコートが報告されている。亜鉛金属の需要の増加とそれに伴う値上がりに関する市場の変化は、亜鉛を含有するコーティングを魅力のないものにしてしまった。亜鉛を含有するコーティングにかかるコストは、コーティングされる面積に対するより高価な材料の使用に等しいそれらの比較的高い密度によってもまた影響を受けてきた。したがって、高応力下にある鋼などの用途のための亜鉛を実質的に含有しないコーティングが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、亜鉛を実質的に含有しないエポキシ熱硬化性プライマーによって主に耐食性がもたらされ、重層エポキシ−ポリエステル熱硬化性トップコートによって主に耐チッピング性がもたらされる、耐食性および耐チッピング性デュアルコートパウダーコーティングシステム(dual-coat powder coating system)に関する。いくつかの実施形態では、このコーティングシステムは、自動車用の懸架ばねなどの高張力合金鋼(steel alloy)に有用である。
【0010】
本発明の1つの実施形態では、以下の(I)および(II)を含むコーティング用組成物が開示される:
(I)以下の(i)〜(iii)を含み、亜鉛を実質的に含まないエポキシ熱硬化性プライマー
(i)約860〜約930のEEWを有するエポキシ樹脂;
(ii)約200〜約500のヒドロキシル等量を有するポリヒドロキシル官能性フェノール系硬化剤(polyhydroxyl functional phenolic curing agent);および
(iii)充填材、
(II)以下の(i)〜(v)を含む重層エポキシ−ポリエステル熱硬化性トップコート
(i)約520〜約930のEEWを有するエポキシ樹脂;
(ii)約1000〜約1600のEEWを有するエラストマー改質エポキシ樹脂;
(iii)約45mg KOH/g〜約75mg KOH/gの酸価を有するカルボキシル官能性ポリエステル樹脂;
(iv)起泡剤;および
(v)強化用繊維(reinforcing fiber)。
【0011】
本発明の他の実施形態は、高張力合金鋼にコーティング用組成物を塗布するための方法、および上記組成物がコーティングされたばねなどの高張力合金鋼を含む。本発明のいくつかの実施形態は、上記組成を有するエポキシ熱硬化性プライマーを含み、トップコートを有しないコーティング用組成物を含むことがさらに企図される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記で議論した実施形態と、本明細書中に記載される開示の他の実施形態および特許請求の範囲において使用される場合は、以下の用語は、通常は、示されるような意味を有するが、本発明の利点が以下の用語についてより広い意味を推測することによって得られる場合には、これらの意味は本発明の範囲を限定するようには意味されない。
【0013】
実施例またはそれ以外の指示を別として、明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量を表す全ての数、反応条件などは、全ての場合に「約」という用語によって変更されると理解されるべきである。したがって、それに対する指示がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲の中で示される数的なパラメータは近似値であり、これは本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変えることができる。最少に見て、しかし特許請求の範囲の均等理論の適用の制限を試みることとしてではなく、各々の数的パラメータは有効数字数の見方で、通常の丸めの手法で解釈されるべきである。本発明の広い範囲で示される数的範囲および数的パラメータは近似値であるが、特定の実施例において示される数値はできる限り正確に記録される。しかしながらあらゆる数値は、本質的に、そのそれぞれの試験測定で見られる標準偏差から必然的に生ずる一定の誤差を含む。特に指示がない限りは、本明細書中でのパーセンテージ、比、および割合は全て重量によるものであり、特に具体的な指示がない限りは、記載される組成物中の成分の割合は、これらの成分の混合物の全質量に対するパーセンテージで与えられる。
【0014】
また、本明細書においては、終点による数的範囲の記載は、その範囲内に含まれる全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、5などを含む)。
【0015】
本明細書ではまた、「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは複数」は、相互に言い換えることができる。
【0016】
また、本明細書中では、用語「含む」とそのバリエーションは、これらの用語が明細書および特許請求の範囲の中に現れる場所で限定的な意味は持たない。
【0017】
本出願および特許請求の範囲全体を通じて開示される、用語「例えば」など、ならびに例示的な化合物、範囲、パラメータなどは、限定的ではない方法で本発明の実施形態を特定するために意図される。他の化合物、範囲、パラメータなどは、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく用いることができる。
【0018】
燃料の節約に役立つような設計検討(design consideration)と部品を軽量化することとにより駆られ、自動車製造メーカーでは、彼らの車の設計において、より軽量の、高抗張力の懸架ばねが使用されることが増えている。少量しか金属を含まないこれらのばねは、他の処理の態様と組み合わせて使用される特定の合金鋼の組み合わせにより、さらに大きなばねの強度をもたらす。
【0019】
利点のいくつかを弱めることにより、これらのばねの高度に操作された特性が、それらの破損のあらゆる可能性に関して一定のコストで得られる。通常は、そのようなばねには相当の硬度があり、相当に高い内部応力で操作されるので、例えば、腐食孔によって生じた比較的少量の金属の消失によっても、ばねの破損が起こる可能性がある。車用の懸架は、特に、様々な道路用の塩が使用される北の地域では、極めて腐食しやすい環境に曝される可能性があるので、高抗張力ばねを十分に保護するためには、飛び散った砂利に対する非常に優れた耐チッピング性と耐食性とを備えた保護コーティングを使用しなければならない。
【0020】
従来のパウダーコーティングシステムは、耐食性を得るために、通常、50wt%を超える量の亜鉛を含有するプライマーを含む。本発明のプライマーは、自動車産業での耐食性および耐チッピング性の基準を満たしており、さらに、本発明のプライマーは、亜鉛を実質的に含有しないプライマーである。本明細書中で使用される場合は、用語「亜鉛を実質的に含有しない(substantially non-zinc containing)」、「亜鉛を実質的に含まない(substantially zinc-free)」、およびそれらのバリエーションは、亜鉛を含有しないプライマー、または約50wt%未満の量の亜鉛を含有するプライマーを記述する。本発明のトップコートは、亜鉛を含有する場合があり、「亜鉛を実質的に含有しない」場合も、「亜鉛を実質的に含まない」場合もある。
【0021】
亜鉛を実質的に含有しないプライマーおよびトップコートの使用は、高応力下にある鋼、および特に、高抗張力懸架ばねのためのコストの低い保護コーティングに関する要件を満たすが、耐食性と耐チッピング性との幾分正反対の特性が原因で、別のプライマーおよびトップコートが選択される場合がある。優れた耐食性を有するそのようなプライマーおよびトップコートは必ずしも最良の耐チッピング性を有するわけではなく、逆の場合も同じである。
【0022】
リン酸亜鉛で予め処理された鋼上に塗布することができる本発明の亜鉛を含有しないプライマーの主要な機能のうちの1つは、耐食性をもたらすことである。加えて、ある程度の耐チッピング性もまた、理想よりも薄いトップコートの厚みが使用されるそのような場合に適応するように、プライマーによってもたらされ得る。したがって、本発明のプライマーは、約860〜約930のエポキシ等量(EEW)を有するエポキシ樹脂、約200〜約500のヒドロキシル等量(HEW)を有するポリヒドロキシル官能性フェノール系硬化剤、および充填材を含むことによって、耐食性および耐チッピング性を提供する。
【0023】
本明細書中で使用され、実施例でさらに説明されるように、用語エポキシ樹脂の「有効量」、ポリヒドロキシル官能性フェノール系硬化剤の「有効量」、および充填材の「有効量」はそれぞれ、高張力懸架ばね(GM specification GMW14656)の場合などの意図される用途についての業界で認められている耐食性の基準を満たすプライマーをもたらす、エポキシ樹脂、ポリヒドロキシル官能性フェノール系硬化剤、および充填材の量を記述する。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のプライマーにおける使用のために、有効量のエポキシ樹脂(非限定的な例として、約80℃〜約125℃の間の軟化点、および約450〜約1400の間、あるいは約860〜約1400の間のエポキシ等量を有する2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェノール)−プロパンをベースとするエポキシ樹脂を含む)が使用される。非限定的な例として、軟化点は約90℃〜約115℃の間にあり、エポキシ等量は約860〜約930の間にある。エポキシ樹脂は、コーティングパウダーに有用な様々なエポキシ樹脂(例えば、限定ではないが、エピクロルヒドリンまたはポリグリシジルエーテルと、限定ではないがビスフェノール(例えば、ビスフェノールA)などの芳香族ポリオールとの反応によって生じるもの)から選択することができる。エポキシ樹脂は、1.0より大きいエポキシ官能性、あるいは1.9より大きいエポキシ官能性を有する場合がある。
【0025】
そのようなエポキシ樹脂は、非限定的な例として、芳香族ポリオールまたは脂肪族ポリオールとエピクロルヒドリンまたはジクロロヒドリンとの間での、アルカリ(例えば、苛性ソーダであるがこれに限定されない)の存在下でのエーテル化反応によって生成させることができる。芳香族ポリオールは、非限定的な例として、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン(すなわち、ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、または1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジオールのジグリシジルエーテルまたはジオールの縮合グリシジルエーテルであり得る。本発明のプライマーにおいてエポキシ樹脂として使用することができるオキシラン基を含むポリマーとしては、ポリグリシジル官能性アクリル系ポリマーまたはエポキシノボラック樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
プライマーにおいて使用される他のエポキシ樹脂としては、非限定的な例として、約80℃〜約125℃の間に軟化点を有するエポキシ化フェノール−ノボラック樹脂が挙げられる。いくつかの実施形態では、軟化点は約90℃〜約115℃の間にある。いくつかの実施形態では、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル(DGEBA)ノボラック改質エポキシ樹脂が使用される。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、ビスフェノールAエポキシ樹脂は、非限定的な例として、ビスフェノールAのエピクロルヒドリンとの縮重合によって得られる。限定ではないが、ジシアンジアミンで硬化したかまたはカルボキシ官能性ポリエステルと一緒に反応した(ハイブリッド)ビスフェノールA樹脂などの他の樹脂化学物質によっては、通常は、耐チッピング性および/または耐食性に乏しいプライマーが生じる。例えば、以下の「プライマーの例についての試験データと比較」という表題の表は、ジシアンジアミンで硬化させたエポキシおよび/またはハイブリッド樹脂化学物質を有するプライマー比較例6〜8の低い性能を示す。
【0028】
プライマーの中のエポキシ樹脂または複数のエポキシ樹脂の組み合わせの量は、添加剤および充填剤の量との関係で変わり得る。非限定的な例として、phr(樹脂百分率)の式の慣習にしたがい、樹脂と硬化剤との合計が100部に設定される。したがって、処方物中の全エポキシ樹脂の割合(%)は、phrレベルでの添加剤および充填剤の関数として変化する。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂または複数のエポキシ樹脂の組み合わせは、利用できる100部のうちの約60部〜約95部の量で存在する。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、プライマーは、有効量の、非限定的な例として、ポリヒドロキシルフェノール系硬化剤、2−メチルイミダゾールを含むポリヒドロキシルフェノール系硬化剤、ジシアンジアミン硬化剤、加速型ジシアンジアミン硬化剤(accelerated dicyandiamine curing agent)、イミダゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、トリメタル酸の酸無水物、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、カルボン酸の部分エステル化付加物、芳香族アミン、エポキシ樹脂−フェノール付加物、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ポリヒドロキシル官能性フェノール系硬化剤は、約200〜約500のヒドロキシル等量(HEW)を有し得、ビスフェノールAの低分子量ジグリシジルエーテルのビスフェノールA末端から形成させることができる。
【0030】
硬化剤または複数の硬化剤の組み合わせの量は、添加剤および充填剤の量との関係で変わり得る。非限定的な例として、phr(樹脂百分率)の式の慣習にしたがい、樹脂と硬化剤との合計が100部に設定される。したがって、処方物中の全硬化剤の割合(%)は、phrレベルでの添加剤および充填剤の関数として変化する。いくつかの実施形態では、硬化剤または複数の硬化剤の組み合わせは、利用できる100部のうちの約5部〜約40部の量で存在する。
【0031】
本発明のプライマーにはまた、有効量の腐食阻害性充填材(corrosion inhibitive filler material)も含まれる。本発明で使用される充填材としては、非限定的な例として、複合アルミノケイ酸塩(complex aluminosilicate)(白雲母)、メタケイ酸カルシウム(珪灰石)、微粉化ケイ酸マグネシウム(タルク)、酸化亜鉛粉末、亜鉛末、石英粉末、アルミノケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、10μm〜35μmの粒径中央値(median particle size)(最大寸法)の複合アルミノケイ酸塩(白雲母)、2μm〜6μmの粒径中央値(最大寸法)のメタケイ酸カルシウム(珪灰石)、または0.5μm〜3.0μmの粒径中央値(最大寸法)の微粉化ケイ酸マグネシウム(タルク)が使用される。充填剤は、バリア、pHの調節、および吸湿特性の組み合わせにより耐食性を改善するように働く。珪灰石および雲母は、いくつかの実施形態では10phr〜30phr(樹脂百分率)で、タルクは1phr〜5phrで使用される。
【0033】
いくつかの実施形態では、トップコートは、約520〜約930のEEWを有する有効量のエポキシ樹脂を含む。本明細書中で使用される場合は、用語のエポキシ樹脂の「有効量」、エラストマー改質エポキシ樹脂の「有効量」、カルボキシル官能性ポリエステル樹脂の「有効量」、起泡剤の「有効量」、および強化用繊維の「有効量」はそれぞれ、高張力懸架ばね(GM specification GMW14656)の場合などの意図される用途について業界で認められている基準を満たすトップコートをもたらす、エポキシ樹脂、エラストマー改質エポキシ樹脂、カルボキシル官能性ポリエステル樹脂、起泡剤、および強化用繊維の量を記述する。トップコートにおいて使用されるエポキシ樹脂の非限定的な例としては、約80℃〜約125℃の間の軟化点を有する2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェノール)−プロパンをベースとするエポキシ樹脂が挙げられる。
【0034】
トップコート中のエポキシ樹脂または複数のエポキシ樹脂の組み合わせの量は、添加剤および強化用繊維の量との関係で変わり得る。非限定的な例として、phr(樹脂百分率)の式の慣習にしたがい、エポキシ樹脂、エラストマー改質エポキシ樹脂、およびカルボキシル官能性ポリエステル樹脂の合計が100部に設定される。したがって、処方物中の全エポキシ樹脂の割合(%)は、phrレベルでの添加剤および強化用繊維の関数として変化する。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂または複数のエポキシ樹脂の組み合わせは、利用できる100部のうちの約30部〜約65部の量で存在する。
【0035】
エポキシ樹脂は、コーティングパウダーに有用な様々なエポキシ樹脂(例えば、限定ではないが、エピクロルヒドリンまたはポリグリシジルエーテルと、限定ではないがビスフェノール(例えば、ビスフェノールA)などの芳香族ポリオールとの反応によって生じるもの)から選択することができる。エポキシ樹脂は、1.0より大きいエポキシ官能性、あるいは1.9より大きいエポキシ官能性を有する場合がある。一般的には、エポキシ等量は約450〜約1400の間、あるいは約520〜約930の間であり得る。
【0036】
エポキシ樹脂は、非限定的な例として、芳香族ポリオールまたは脂肪族ポリオールとエピクロルヒドリンまたはジクロロヒドリンとの間での、アルカリ(例えば、限定ではないが、苛性ソーダ)の存在下でのエーテル化反応によって生成することができる。芳香族ポリオールは、非限定的な例として、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン(すなわち、ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、または1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジオールのジグリシジルエーテルまたはジオールの縮合グリシジルエーテルであり得る。本発明のトップコートにおいてエポキシ樹脂として使用することができるオキシラン基を含むポリマーとしては、ポリグリシジル官能性アクリル系ポリマーまたはエポキシノボラック樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル(DGEBA)ノボラック改質エポキシ樹脂が使用される。
【0037】
トップコートは、約1000〜約1600のEEWを有する有効量のエラストマー改質エポキシ樹脂を含む。本発明のいくつかの実施形態では、エラストマー改質エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂であり、これにはCTBN(カルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリル)ゴムが付加されており、それによって約1000g/eq〜約1600g/eqのEEWを有する複合樹脂を生じる。いくつかの実施形態では、Tgは約30℃〜約50℃である。Tgはガラス遷移温度であり、これは、非結晶性の物質が「ガラス」状から「ゴム」状へとその性状を変化させる臨界温度である。「ガラス状」は、この文脈では、硬く、脆い(したがって、比較的壊れやすい)ことを意味し、一方、「ゴム状」は、弾性があり、柔軟性があることを意味する。
【0038】
トップコート中のエラストマー改質エポキシ樹脂または複数のエラストマー改質エポキシ樹脂の組み合わせの量は、添加剤および強化用繊維の量との関係で変わり得る。非限定的な例として、phr(樹脂百分率)の式の慣習にしたがい、エポキシ樹脂、エラストマー改質エポキシ樹脂、およびカルボキシル官能性ポリエステル樹脂の合計が100部に設定される。したがって、処方物中の全エラストマー改質エポキシ樹脂の割合(%)は、phrレベルでの添加剤および強化用繊維の関数として変化する。いくつかの実施形態では、エラストマー改質エポキシ樹脂または複数のエラストマー改質エポキシ樹脂の組み合わせは、利用できる100部のうちの約5部〜約20部の量で存在する。
【0039】
トップコートにはまた、約45mg KOH/g〜約75mg KOH/gの酸価を有する有効量のカルボキシ官能性ポリエステル樹脂も含まれる。本発明のいくつかの実施形態では、耐チッピング性を高めるためには、酸価は、約50mg KOH/g〜約60mg KOH/gである。
【0040】
トップコート中のカルボキシ官能性ポリエステル樹脂または複数のカルボキシ官能性ポリエステル樹脂の組み合わせの量は、添加剤および強化用繊維の量との関係で変わり得る。非限定的な例として、phr(樹脂百分率)の式の慣習にしたがい、エポキシ樹脂、エラストマー改質エポキシ樹脂、およびカルボキシル官能性ポリエステル樹脂の合計が100部に設定される。したがって、処方物中の全カルボキシ官能性ポリエステル樹脂の割合(%)は、phrレベルでの添加剤および強化用繊維の関数として変化する。いくつかの実施形態では、カルボキシ官能性ポリエステル樹脂または複数のカルボキシ官能性ポリエステル樹脂の組み合わせは、利用できる100部のうちの約45部〜約70部の量で存在する。
【0041】
カルボキシル官能性ポリエステル樹脂は、非限定的な例として、例えば、脂肪族二価または多価アルコールと脂環式、非環式、もしくは脂肪族ジカルボン酸またはポリカルボン酸あるいはそれらの無水物との間、あるいは、脂肪酸二価アルコールと芳香族ジカルボン酸もしくはポリカルボン酸またはそれらの無水物との間での縮合反応などの、任意の一般的に公知の方法によって調製することができる。非限定的な例として、カルボキシル官能性ポリエステル樹脂は、脂肪族二価または多価アルコール、特に、低級脂肪族ジオール(例えば、限定ではないが、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール(すなわち、ネオペンチルグリコール)、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、またはジプロピレングリコール)から調製することができる。限定ではないが、トリメチロールプロパンなどのポリオールもまた、カルボキシル官能性ポリエステルを調製するために使用することができる。適切なジカルボン酸またはポリカルボン酸および無水物の例としては、限定ではないが、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、およびマレイン酸、ならびにそのような酸の無水物が挙げられる。いくつかの実施形態では、カルボキシル官能性ポリエステル樹脂は、芳香族を含むポリエステル、非限定的な例として、芳香族カルボン酸(例えば、限定ではないが、フタル酸、イソフタル酸、またはテレフタル酸)と、ポリオール(例えば、限定ではないが、ネオペンチルグリコール)とから調製されたポリエステルである。
【0042】
添加剤としての有効量の起泡剤/発泡剤は、コーティング膜の内部に多孔性構造を確立するために、トップコートの中に含まれる。多孔性構造は、衝突エネルギーを吸収して破損させないようにする能力などの物理的特性をコーティングに与える。
【0043】
本発明の特定の実施形態では、高張力懸架ばねについての商業的に望ましい多孔性は、硬化したトップコートが、多孔性を持たない理論的なトップコートの密度よりも20%〜50%の密度の低下を示す場合に得られる。いくつかの実施形態では、起泡剤および発泡剤は、約0.5phr〜約2.0phr(樹脂百分率)で使用される。p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)と活性化アゾジカルボンアミドをベースとする組成物とを含む起泡剤が、いくつかの実施形態で使用される。他の発泡剤としては、限定ではないが、p−トルエンスルホニルヒドラジドをベースとする起泡剤が挙げられる。
【0044】
有効量の強化用繊維が、起泡剤/発泡剤の存在によって引き起こされる強度の低下を回復させるために、トップコートの中に含まれる。非限定的な例として、一定の範囲のアルミノケイ酸塩ガラス繊維または自然界から採掘されたメタケイ酸カルシウム(珪灰石)繊維を使用することができる。約3um〜約15umの平均直径、および約5〜約20の平均アスペクト比(コーティング充填剤の状況では、アスペクト比は充填剤粒子の最少寸法に対する最大寸法の比と定義される)が、いくつかの実施形態で使用され得る。限定ではないが、アラミドおよび炭素などの他の強化用繊維を同様に使用することができる。約20phr〜約70phrの量の強化用繊維を、本発明のいくつかの実施形態において使用することができる。
【0045】
プライマーおよびトップコートにはまた、限定ではないが、顔料、触媒/硬化剤、脱ガス剤、および流量調節剤などの添加剤も含めることができる。
【0046】
本発明のプライマー用組成物およびトップコート用組成物において使用される顔料としては、非限定的な例として、二酸化チタン、酸化鉄(黄色、茶色、赤色、黒色)、カーボンブラックおよび有機顔料が挙げられる。これらの顔料は、当業者に公知である従来の量で添加することができる。
【0047】
本発明において使用される触媒/硬化剤としては、非限定的な例として、第四級アンモニウム塩、第四級リン酸塩、ホスフィン、イミダゾール、および金属塩が挙げられる。限定ではないが、例として、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、またはテトラブチルアンモニウムヨーダイド、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート、トリフェニルホスフィン、2−メチルイミダゾール、およびジラウリン酸ジブチル錫が挙げられる。触媒は、いくつかの実施形態において使用される場合には、コーティング用組成物の全重量に基づいて、0重量%〜約5重量%の間、あるいは約0.2重量%〜約2重量%の間の量で、組成物中に存在する。
【0048】
脱ガス剤は、膜の損傷を回避するために、任意の揮発性物質が存在することができるように組成物に添加することができる。ベンゾインは脱ガス剤であり、いくつかの実施形態において使用される場合には、パウダーコーティング用組成物の全重量に基づいて、約0.5重量%〜約3.0重量%の量で存在し得る。
【0049】
流量調節剤としては、限定ではないが、以下が挙げられる:低分子量アクリル系ポリマー、非限定的な例として、アクリル系ポリマー(例えば、限定ではないが、約1000〜50000の数平均分子量を有するアクリル系ポリマー、例えば、限定ではないが、ポリラウリルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシル)アクリレート、ポリ(エチルアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート)、ポリラウリルメタクリレート、およびポリイソデシルメタクリレート)、ならびにフッ素化ポリマー(例えば、限定ではないが、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールとフッ素化脂肪酸とのエステル)。1000を超える分子量のポリマーシロキサン(非限定的な例として、ポリ(ジメチルシロキサン)またはポリ(メチルフェニル)シロキサン)もまた、流量調節剤として使用することができる。流量調節剤は、コーティングパウダーの加熱の際の表面張力の低下、およびクレーター形成の解消に役立ち得る。いくつかの実施形態では、流量調節剤は、使用される場合は、パウダーコーティング用組成物の全重量に基づいて約0.05重量%〜5.0重量%の量で存在する。
【0050】
本発明のコーティング用組成物は、限定ではないが、自動車用ばねなどの金属への塗布に特に適している。しかし、コーティング用組成物を炭素、木材、ガラス、ポリマーおよび他の基材に塗布することも可能である。
【0051】
高張力鋼への上記プライマーおよびトップコート用組成物の塗布は、限定ではないが以下の方法1〜3などの任意の公知の技術によって行うことができる。使用される塗布技術には関係なく、高張力合金鋼上に形成された複合コーティング(プライマーおよびトップコート)は、予め処理された鋼表面と接触している、非限定的な例として、約1.5ミル〜約4.0ミルの厚みの別のプライマーを含む場合がある。複合コーティングのトップコートはまた、非限定的な例として、約10ミル〜約35ミルの厚みの別のトップコートを形成する場合があり、これは、下層のプライマー層に接着される。プライマーを有するがトップコートを有しないコーティング用組成物が塗布される場合もある。
【0052】
塗布技術
1.方法1 − 鋼は、プライマーおよびトップコートの連続的な塗布後のより理想的な付着のために約220°F〜約380°Fに加熱される。コーティングされた鋼は、その後、複合コーティング層を作製するために再び加熱され、コーティングシステム上での十分な特性の展開がもたらされる。
【0053】
2.方法2 − プライマーが周囲温度の高張力合金鋼に塗布され、続いて、コーティングを溶かすかまたは部分的に硬化させるために、約220°F〜約380°Fに加熱される。トップコートが、プライマーの加熱によって残っている理想的な余熱を使用して、熱い鋼に塗布される。コーティングされた鋼は、その後、複合層を作製するために再び加熱され、コーティングシステム上での十分な特性の展開がもたらされる。
【0054】
3.方法3 − プライマーとトップコートとが、「ドライオンドライ」パウダー方法で、周囲温度の高張力鋼に連続して塗布され、続いて、複合コーティングを作製するために約220°F〜約380°Fの1回の温度サイクルが行われ、コーティングシステム上での十分な特性の展開がもたらされる。
【実施例】
【0055】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することによりさらに記載される。これらの実施例のバリエーションおよび変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者によって行われ得ることは当然理解される。
【0056】
8種類のプライマー用組成物およびトップコート用組成物を、以下の成分を混合することにより上記方法1にしたがって調製した:
【0057】
【表1】

【0058】
1ビスフェノールAエポキシ樹脂A、B、C、およびDはそれぞれ、860〜930、730〜820、1250〜1400、および780〜900のEEWを有しており、The Dow Chemical Companyから市販されている。
2Cytec Industries Inc.から市販されている、46mg KOH/g〜51mg KOH/gの酸価および約50℃のTgを有するカルボキシル官能性ポリエステル樹脂。
3The Dow Chemical Companyから市販されている、240〜270のHEWを有し、2%の28-メチルイミダゾール硬化促進剤を含むフェノール系硬化剤。
4Casamid 710は、Thomas Swan & Co.,Ltd.から市販されている置換されたジシアンジアミン硬化剤である。
5Epikure P-108は、Hexion Speciality Chemicalsから市販されている加速型のジシアンジアミンである。
6ベンゾインは、Aceto Corporationから市販されている脱ガス剤である。
7Black Pearls 800は、Cabot Corporationから市販されているカーボンブラック顔料である。
8Tiona 595は、Millennium Chemicalsから市販されている二酸化チタン顔料である。
9Fibertec,Inc.から市販されている、20umの平均粒径中央値を有する白雲母充填剤。
10NYCO Mineralsから市販されている、3.5umの粒径中央値と3のアスペクト比とを有するメタケイ酸カルシウム(珪灰石)充填剤。
11K-White TC720は、Tayca Corporationから市販されている、ケイ酸マグネシウム(タルク)耐食性顔料である。
12AZO77Hは、U.S.Zinc.から市販されている酸化亜鉛顔料である。
13Zinc dust64は、Zinc Corporation of Americaによって製造されており、The Cary Companyによって流通されている、亜鉛粉末である。
【0059】
【表2】

【0060】
1ビスフェノールAエポキシ樹脂E、F、およびGはそれぞれ、730〜820、860〜930、および520〜560のEEWを有しており、The Dow Chemical Companyから市販されている。
2CVC Specialty Chemicals,Inc.から市販されている、1250〜1500のEEWを有するCTBN改質エポキシ樹脂。
3Cytec Industries Inc.から市販されている、46mg KOH/g〜51mg KOH/gの酸価および約50℃のTgを有するカルボキシル官能性ポリエステル樹脂。
4Cytec Industries Inc.から市販されている、68mg KOH/g〜74mg KOH/gの酸価および約58℃のTgを有するカルボキシル官能性ポリエステル樹脂。
5Bentone 38は、Elementis Specialtiesから市販されている、有機粘土レオロジー調節剤である。
6Lanco TF1778は、Lubrizol Advanced Materials,Inc.から市販されている、ポリエチレン/PTFEをベースとするワックスである。
7p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)起泡剤は、125cc/gのガス発生率を伴う320°Fの分解点を有しており、Chemtura Corporationから市販されている。
8アゾジカルボンアミド起泡剤は、180cc/gのガス発生率を伴う329°F〜356°Fの分解点を有しており、Chemtura Corporationから市販されている。
9メタケイ酸カルシウム(珪灰石)繊維は、9のアスペクト比を伴う3umの平均粒径を有しており、Fibertec,Inc.から市販されている。
10アルミノケイ酸塩繊維(aluminosilicate fibers)はシラン処理されており、125±25umの平均の長さを有しており、Lapinus Fibersから市販されている。
11Atomiteは、Imerys Performance Minerals.から市販されている炭酸カルシウム充填剤である。
【0061】
【表3】

【0062】
上の表は、本発明の亜鉛を実質的に含有しないプライマーの能力が、従来の亜鉛を含有するプライマーの能力に匹敵するかまたはそれを上回ることを見出したことを明らかにしている。
【0063】
【表4】

【0064】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(I)および(II)を含むコーティング用組成物。
(I)以下の(i)〜(iii)を含み、亜鉛を実質的に含まないエポキシ熱硬化性プライマー
(i)約860〜約930のEEWを有するエポキシ樹脂;
(ii)約200〜約500のヒドロキシル等量を有するポリヒドロキシル官能性フェノール系硬化剤;および
(iii)充填材、
(II)以下の(i)〜(v)を含む重層エポキシ−ポリエステル熱硬化性トップコート
(i)約520〜約930のEEWを有するエポキシ樹脂;
(ii)約1000〜約1600のEEWを有するエラストマー改質エポキシ樹脂;
(iii)約45〜約75mg KOH/gの酸価を有するカルボキシル官能性ポリエステル樹脂;
(iv)起泡剤;および
(v)強化用繊維。
【請求項2】
前記エポキシ熱硬化性プライマーが、約1250〜約1400のEEWを有する有効量のエポキシ樹脂をさらに含む、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項3】
前記エポキシ熱硬化性プライマー中の前記エポキシ樹脂がビスフェノールAエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項4】
前記エポキシ熱硬化性プライマー中の前記エポキシ樹脂が、約60phr〜約95phrの量で存在する、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項5】
前記ポリヒドロキシル官能性フェノール系硬化剤が2−メチルイミダゾールを含む、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項6】
前記ポリヒドロキシル官能性フェノール系硬化剤が、約5phr〜約40phrの量で存在する、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項7】
前記充填材が、複合アルミノケイ酸塩(雲母)、メタケイ酸カルシウム(珪灰石)、微粉化タルク、酸化亜鉛粉末、亜鉛末、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項8】
前記複合アルミノケイ酸塩(雲母)が、約10phr〜約30phrの量で存在し、約10ミクロン〜約35ミクロンの粒径中央値を有する、請求項7に記載のコーティング用組成物。
【請求項9】
前記メタケイ酸カルシウム(珪灰石)が、約10phr〜約30phrの量で存在し、約2ミクロン〜約6ミクロンの粒径中央値を有する、請求項7に記載のコーティング用組成物。
【請求項10】
前記微粉化タルクが、約1phr〜約5phrの量で存在し、約0.5ミクロン〜約3.0ミクロンの粒径中央値を有する、請求項7に記載のコーティング用組成物。
【請求項11】
前記エポキシ−ポリエステル熱硬化性トップコート中の前記エポキシ樹脂がビスフェノールAエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項12】
前記エポキシ−ポリエステル熱硬化性トップコート中の前記エポキシ樹脂が、約30phr〜約65phrの量で存在する、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項13】
前記エラストマー改質エポキシ樹脂がビスフェノールAエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項14】
前記エラストマー改質エポキシ樹脂が約5phr〜約20phrの量で存在する、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項15】
前記カルボキシル官能性ポリエステル樹脂が約45phr〜約70phrの量で存在する、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項16】
前記起泡剤が、多孔性を持たない理論的なコーティング密度よりも前記トップコートにおいて20%〜50%の密度の低下をもたらす、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項17】
前記起泡剤が約0.5phr〜約2.0phrの量で存在する、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項18】
前記強化用繊維が、アルミノケイ酸塩、メタケイ酸カルシウム(珪灰石)、アラミド、炭素、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項19】
前記強化用繊維が約20phr〜約70phrの量で存在する、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項20】
請求項1に記載のコーティング用組成物によってコーティングされた高張力合金鋼。

【公表番号】特表2011−510147(P2011−510147A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543500(P2010−543500)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050738
【国際公開番号】WO2009/092773
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(500286643)アクゾ ノーベル コーティングス インターナショナル ビー ヴィ (67)
【Fターム(参考)】