説明

交換レンズおよびカメラボディ

【課題】特別な操作を必要とせずに、かつ迅速に交換レンズを防塵状態とする。
【解決手段】交換レンズ20をカメラから取り外すと、これに連動して開閉レバー34が防塵機構が閉状態とし、複数の羽根33が部分的に重なり合った状態でマウント開口OPを完全に閉塞する。交換レンズ20をカメラに装着すると、これに連動して開閉レバー34が防塵機構を開状態とし、複数の羽根33がマウント開口OPを開放する。このような防塵構造をカメラ側に設けても効果的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ用の交換レンズおよびカメラボディに関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラから交換レンズを取り外したとき、交換レンズのマウント開口から鏡筒内に塵埃が侵入し、撮影光学系の後部レンズ(いわゆる、後玉)に付着して撮影結果に悪影響を及ぼすおそれがある。また、塵埃が入り込んだ交換レンズをカメラに装着すると、それらの塵埃がマウント開口を通ってカメラ本体内に移動し、特に電子カメラでは撮像素子や光学フィルタ等に塵埃が付着すると、画像により顕著な悪影響を及ぼす。この問題に対し、従来は交換レンズを取り外したときにマウント開口にレンズキャップを装着することで対処している。
【0003】
またレンズの前面側に関しては、レンズバリアにてレンズ保護を図ったものがある。例えば特許文献1のレンズバリアユニットは、鏡筒内のカム環の回転力を利用して開閉するよう構成される。
【0004】
【特許文献1】特開2004−184585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、交換レンズのマウント開口にキャップを装着する方法は、レンズ交換のたびにキャップの装着および取り外しを行う必要があり、甚だ面倒であるのに加えて、キャップを紛失するおそれもある。また、特に埃っぽい場所でレンズ交換を行うと、キャップを装着する前に塵埃が入り込んでしまうおそれもある。またレンズバリアは、交換レンズのマウント側のレンズの保護を図るものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る交換レンズは、カメラに装着するための開口を有したレンズ側マウント部と、開口を閉塞した閉状態と開口を閉塞しない開状態とを形成可能な開口調整部と、開口調整部を閉状態とするか開状態とするかを切り替える切り替え部とを有する。
開口を閉塞した状態で、開口調整部が開口から交換レンズ内部へ塵埃が侵入することを防止するようにできる。開口調整部に開口の中心に向かって移動する移動部を持たせてもよい。移動部を複数枚の羽根部で構成し、羽根部の回動に伴って閉状態および開状態とするようにしてもよい。羽根部を閉状態となるように付勢する付勢部を設けてもよい。カメラへの装着に連動して開口調整部を開状態とするようにしてもよい。
本発明に係るカメラボディは、交換レンズを装着するための開口を有したカメラ側マウントと、開口を閉塞した閉状態と開口を閉塞しない開状態とを形成可能な開口調整部と、開口調整部を閉状態とするか開状態とするかを切り替える切り替え部とを有する。
開口を閉塞した状態で、開口調整部は開口からカメラ内部へ塵埃が侵入することを防止するようにできる。開口調整部に開口の中心に向かって移動する移動部を持たせてもよい。移動部を複数枚の羽根部で構成し、羽根部の回動に伴って閉状態および開状態とするようにしてもよい。羽根部を閉状態となるように付勢する付勢部を設けてもよい。交換レンズの装着に連動して開口調整部を開状態とするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レンズやカメラ内部品の保護や防塵が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
−第1の実施形態−
図1〜図5により本発明をカメラの交換レンズに適用した場合の第1の実施形態を説明する。
図1において、10は一眼レフタイプの電子カメラのボディを、20はカメラボディ10に着脱可能な交換レンズをそれぞれ示している。交換レンズ20は撮影光学系22を内蔵し、いわゆるバヨネット式のマウント部21を介してカメラボディ10に装着される。カメラボディ10には、レンズ側のマウント部21と係合可能なマウント部11が設けられ、両マウント部11,21を合わせて交換レンズ20を所定量回転させることで装着(ロック)される。取り外しの際には、ボタン操作でロックを解除して交換レンズ20を回転させ取り外す。
【0009】
カメラボディ10には、ミラー12やペンタプリズム13、CCD、CMOSといった増幅型固体撮像素子14が設けられている。交換レンズ20の撮影光学系22を透過した光束はカメラボディ10内に導かれ、ミラー12,ペンタプリズム13などを経て接眼部15で観察される。撮影時にはミラー12がアップするととにも不図示のシャッタが開き、光束は撮像素子14に受光される。撮像素子14の光電変換出力から画像データが生成され、不図示の記録媒体に記録される。
【0010】
次に、図2〜図5も参照して交換レンズ20の防塵構造について説明する。
交換レンズ20のマウント部21には固定リング31が固定され、この固定リング31と、その前方に回転可能に支持された回転リング32との間に複数枚のフィルム状の防塵羽根33が配置されている。防塵ばね33は、例えばアルミや繊維強化樹脂などから成る。図2,図4のハッチングは、1枚の羽根33の形状を分かりやすくするためのものである。
【0011】
図5に示すように、複数の羽根33は、固定リング31に等角度間隔で設けた軸部31aにそれぞれ回転可能に軸支され、また各羽根33に設けたピン33aが回転リング32に形成された各カム溝32aに係合している。回転リング32が光軸Lを中心に回転すると、カム溝32aがピン33aを介して羽根33を回転駆動する。これにより羽根33は、図1,図2に示す閉状態と、図3,図4に示す開状態とをとり得る。閉状態において、複数の羽根33は隣接する羽根33と部分的に重なり合い、リング31,32の開口OPを完全に閉塞する。一方、開状態では、羽根33は開口OPから完全に退避しており、撮影光束は開口OPを通ってカメラボディ10内に導かれる。
【0012】
羽根33の開閉動作は、交換レンズ20のカメラボディ10への着脱に連動して行われる。すなわち、回転リング32は不図示のばねにより羽根33を閉塞する方向に付勢され、その付勢力によりレンズ単体時に羽根33は閉状態にある。一方、回転リング32には開閉レバー34が連結され、その先端がマウント部21から突出している。交換レンズ装着の際に交換レンズ20をカメラボディ10に対して回転させると、カメラボディ10側の突起11aが開閉レバー34と係合して回転リング32をばねの付勢力に抗して回転させ、これにより羽根33が開状態に駆動される。また交換レンズ20を取り外すと、開閉レバー34がフリーとなるため、ばねの付勢力により回転リング32が逆方向に回転し、羽根33は自動的に閉状態に戻る。
【0013】
このように本実施形態では、互いに重なり合う複数の羽根33によってレンズマウントの開口OPを閉塞したので、鏡筒内への塵埃の侵入を抑制し、またレンズの保護が図れる。しかも羽根33の開閉は交換レンズ20の着脱に連動して自動的に行われるため、ユーザは特別な操作を行う必要はない。特にレンズ取り外しに伴って羽根33が素早く閉塞するので、鏡筒内への塵埃の侵入を最小限に抑制できる。
【0014】
−第2の実施形態−
図6〜図9により本発明を電子カメラに適用した場合の第2の実施形態を説明する。なお、図1〜図5と同様の構成要素には同一の符号を付す。
カメラボディ100のマウント部11の内側には、先の実施形態と同様の固定リング41、回転リング42および複数のフィルム状防塵羽根33から成る防塵構造が設けられている。防塵ばね43は、アルミや繊維強化樹脂などから成る。回転リング42は不図示のばねにより羽根43を閉塞する方向に付勢され、その付勢力によりレンズ非装着のとき羽根33は閉状態にある(図6,図7)。このとき、複数の羽根43は隣接する羽根43と部分的に重なり合い、リング41,42の開口OPを完全に閉塞する。したがって、開口OPからカメラボディ内への塵埃の侵入が抑制される。
なお、図7および図9では、リング41の図示を省略している。
【0015】
回転リング42には開閉レバー44が連結され、その先端がマウント部11から突出している。交換レンズ装着の際に交換レンズ200をカメラボディ100に対して回転させると、交換レンズ200側の突起21aが開閉レバー44と係合して回転リング42をばねの付勢力に抗して回転させ、これにより羽根43が開状態に駆動される(図8,図9)。開状態では、羽根33は開口OPから完全に退避しており、撮影光束は開口OPを通ってカメラボディ10内に導かれる。また交換レンズ200を取り外すと、開閉レバー44がフリーとなるため、ばねの付勢力により回転リング42が逆方向に回転し、羽根43は素早く閉状態に戻る。
【0016】
なお電子カメラにて説明したが、銀塩一眼レフカメラやレンズ交換可能なムービーカメラでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態における交換レンズおよびカメラの側面図で、防塵用の羽根が閉状態にある様子を示す。
【図2】図1のII−II線から見た図。
【図3】図1と同様の図で、防塵用の羽根が開状態にある様子を示す。
【図4】図3のIV−IV線から見た図。
【図5】防塵機構の構造を示す断面図。
【図6】第2の実施形態における電子カメラと交換レンズの側面図で、防塵用の羽根が閉状態にある様子を示す。
【図7】図6のVII−VII線から見た図。
【図8】図6と同様の図で、防塵用の羽根が開状態にある様子を示す。
【図9】図8のIX−IX線から見た図。
【符号の説明】
【0018】
10,100 カメラボディ
11 カメラのマウント部
20,200 交換レンズ
21 交換レンズのマウント部
33,34 羽根
34,44 開閉レバー
OP 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラに装着するための開口を有したレンズ側マウント部と、
前記開口を閉塞した閉状態と前記開口を閉塞しない開状態とを形成可能な開口調整部と、
前記開口調整部を前記閉状態とするか前記開状態とするかを切り替える切り替え部とを有することを特徴とする交換レンズ。
【請求項2】
前記開口を閉塞した状態で、前記開口調整部は前記開口から前記交換レンズ内部へ塵埃が侵入することを防止することを特徴とする請求項1に記載の交換レンズ。
【請求項3】
前記開口調整部は前記開口の中心に向かって移動する移動部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の交換レンズ。
【請求項4】
前記移動部は複数枚の羽根部であって、該羽根部の回動に伴って前記閉状態および前記開状態となることを特徴とする請求項3に記載の交換レンズ。
【請求項5】
前記羽根部を前記閉状態となるように付勢する付勢部を有することを特徴とする請求項4に記載の交換レンズ。
【請求項6】
前記切り替え部は、前記カメラへの装着に連動して前記開口調整部を開状態とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに交換レンズ。
【請求項7】
交換レンズを装着するための開口を有したカメラ側マウントと、
前記開口を閉塞した閉状態と前記開口を閉塞しない開状態とを形成可能な開口調整部と、
前記開口調整部を前記閉状態とするか前記開状態とするかを切り替える切り替え部とを有することを特徴とするカメラボディ。
【請求項8】
前記開口を閉塞した状態で、前記開口調整部は前記開口から前記カメラ内部へ塵埃が侵入することを防止することを特徴とする請求項7に記載のカメラボディ。
【請求項9】
前記開口調整部は前記開口の中心に向かって移動する移動部を有することを特徴とする請求項7または8に記載のカメラボディ。
【請求項10】
前記移動部は複数枚の羽根部であって、該羽根部の回動に伴って前記閉状態および前記開状態となることを特徴とする請求項9に記載のカメラボディ。
【請求項11】
前記羽根部を前記閉状態となるように付勢する付勢部を有することを特徴とする請求項10に記載のカメラボディ。
【請求項12】
前記切り替え部は、前記交換レンズの装着に連動して前記開口調整部を開状態とすることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のカメラボディ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−139849(P2007−139849A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329791(P2005−329791)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】