交流−交流電力変換装置
【課題】交流電源と負荷とを直接接続するスイッチにより構成され、仮想的な整流器とインバータとを設定してスイッチを制御する交流−交流電力変換装置において、その仮想的な整流器でのスイッチ切り替えに相当するタイミングで、現実のスイッチ切り替えが発生しないようにすることができる交流−交流電力変換装置を提供することを目的とする。
【解決手段】パルス生成周期Tsのタイミングおよび2種の相間電圧VRS、VSTが切り替わるタイミングで折り返すとともに、2種の相間電圧VRS、VSTが切り替わるタイミングでは時間軸に垂直に折り返す変形鋸波搬送波を発生する変形鋸波発生手段33を備え、2種の相間電圧VRS、VSTが切り替わるタイミングで、スイッチ3UR〜3UTがスイッチング動作をしないようにする。
【解決手段】パルス生成周期Tsのタイミングおよび2種の相間電圧VRS、VSTが切り替わるタイミングで折り返すとともに、2種の相間電圧VRS、VSTが切り替わるタイミングでは時間軸に垂直に折り返す変形鋸波搬送波を発生する変形鋸波発生手段33を備え、2種の相間電圧VRS、VSTが切り替わるタイミングで、スイッチ3UR〜3UTがスイッチング動作をしないようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交流電源の交流電圧を直接交流電圧に変換して負荷に供給する交流−交流電力変換装置であって、交流電源と負荷とを直接接続するスイッチにより構成される交流−交流電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交流電源と負荷とを、交流直流変換手段および直流交流変換手段を伴うことなく直接接続するスイッチにより構成される交流−交流電力変換装置は、交流電源と負荷との間に大容量のエネルギー蓄積手段を持たずに、交流電源の交流電圧から任意の周波数と振幅を持つ交流電圧を発生して負荷に供給することができる。このような交流−交流電力変換装置は、交流電源や負荷に発生させる電圧や電流のさまざまな制御方法によって多様なスイッチング制御の方法が存在する。
【0003】
その一つに、任意の周波数と振幅を持つ交流電圧を負荷に発生させることに加えて、交流電源の相に任意の電流を発生させるというスイッチング制御の方法がある。例えば、特許文献1によれば、交流電源の交流電圧から仮想的なPWM整流器によって仮想的な非平滑直流母線に直流電圧を出力し、その仮想的な非平滑直流母線の電圧から仮想的なインバータによって任意の交流電圧を出力し負荷に供給するとしている。仮想的なPWM整流器において、そのスイッチの切り替えタイミングは、交流電源の相に任意の電流を発生させるための電流指令値によってその相と非平滑直流母線との接続時間を計算することにより求める整流器側PWMパルスとして定める。仮想的なインバータにおいて、そのスイッチング制御のタイミングは、負荷の相に任意の周波数と振幅を持つ交流電圧を発生させるための出力電圧指令値と、仮想的なPWM整流器のスイッチの切り替えタイミングに頂点を合わせた変形三角搬送波とを比較した結果により仮想的なインバータに与えるPWMパルスとして定める。
【0004】
PWM整流器のスイッチング制御としては、交流電源の相に任意の電流を発生させる制御のほかに、交流電源の相間電圧の中から任意の1つの電圧を非平滑直流母線に接続して直流電圧として与える制御も可能である。例えば、非特許文献1によれば、交流電源と負荷との間に非平滑直流母線を有する交流−交流電力変換装置において、交流電源の相間電圧の中から最大の相間電圧と2番目に大きい相間電圧とを選択的に非平滑直流母線に接続してその接続時間の比率を電流指令値に基づいて演算して交流電源に発生する歪みや振動を低減させる従来のPWM整流器の制御の方法に加えて、負荷に供給する交流電圧の振幅が小さいときには交流電源の相間電圧の中から2番目に大きい相間電圧と最小の相間電圧とを選択的に非平滑直流母線に接続してその接続時間の比率を電流指令値に基づいて演算するPWM整流器の制御方法が示されている。このようなPWM整流器の制御方法では、非平滑直流母線に発生する直流母線電圧が平均的に小さくなることから、インバータでのスイッチの切り替えにおいて発生するスイッチング損失を小さくすることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−266972号公報(段落0015〜0020、図2参照)
【非特許文献1】Proceedings of the 29th Annual Conference of the IEEE Industry Electronics Society、pp.2085−2090(2003).(780頁3行〜17行、図5参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている、交流電源と負荷とを直接接続するスイッチにより構成される交流−交流電力変換装置において、仮想的なインバータでのスイッチ切り替えに相当する、現実の交流−交流電力変換装置でのスイッチ切り替えにおいて発生するスイッチング損失を小さくするために、非特許文献1に記載されているPWM整流器の制御方法を選択すると、仮想的なPWM整流器でのスイッチ切り替えに相当するタイミングで負荷の全ての相についてスイッチ切り替えが発生する。その結果、非特許文献1に記載されている制御方法を行う場合と比較してスイッチ切り替えの回数が増加し、条件によっては、逆にスイッチング損失が増大することになるという問題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、交流電源と負荷とを直接接続するスイッチにより構成され、仮想的な整流器とインバータとを設定してスイッチを制御する交流−交流電力変換装置において、その仮想的な整流器でのスイッチ切り替えに相当するタイミングで、現実のスイッチ切り替えが発生しないようにすることができる交流−交流電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る交流−交流電力変換装置は、入力端の多相交流電圧を、電圧指令に基づき、交流直流変換手段および直流交流変換手段を伴うことなく直接交流電圧に変換して出力端に出力する交流−交流電力変換装置であって、
入力端の各相と出力端の各相との間に接続され交流交流直接変換を行う交流交流変換スイッチ、および交流交流変換スイッチのオンオフ制御を行う制御手段を備え、
制御手段は、入力端の多相交流電圧を直流電圧に変換して仮想直流母線に出力する仮想交流直流変換スイッチと仮想直流母線の電圧を電圧指令に基づく交流電圧に変換する仮想直流交流変換スイッチとを設定するとともに、
入力端の多相交流電圧の相間電圧を2種選択し、この2種の相間電圧が所定のパルス生成周期毎に順次反転する順序で仮想直流母線に出力されるように仮想交流直流変換スイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号を演算する第1のパルス信号演算手段と、電圧指令および仮想直流母線の電圧に基づき出力端に出力する各相の電圧指令となる変調率を演算する変調率演算手段と、パルス生成周期のタイミングおよび2種の相間電圧が切り替わるタイミングで折り返すとともに、2種の相間電圧が切り替わるタイミングでは時間軸に垂直に折り返す変形鋸波搬送波を発生する変形鋸波発生手段と、変調率演算手段からの変調率と変形鋸波発生手段からの変形鋸波搬送波との比較演算に基づき仮想直流交流変換スイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号を演算する第2のパルス信号演算手段と、第1および第2のパルス信号演算手段からの仮想パルス信号を合成し、入力端と出力端との接続状態が、当該仮想パルス信号によってオンオフ制御される仮想交流直流変換スイッチおよび仮想直流交流変換スイッチによる接続状態と等価となるよう交流交流変換スイッチをオンオフ制御するパルス信号を演算するゲートパルス合成手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る交流−交流電力変換装置は、例えば、第1のパルス信号演算手段で選択する2種の相間電圧の種別によりそのままでは交流交流変換スイッチにおけるスイッチング回数が増大する場合であっても、仮想パルス信号を出力するため変調率と比較演算する搬送波を上記変形鋸波発生手段で作成する変形鋸波搬送波としたので、パルス生成周期内で2種の相間電圧を切り替えるタイミングで交流交流変換スイッチがスイッチング動作をしなくなり、スイッチング回数の増大が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、交流電源1と負荷2とを直接接続する交流交流変換スイッチ3Vにより構成される従来の交流−交流電力変換装置である。本願発明の理解を容易とするため、以下では、先ず、この図1の従来装置について説明する。このような交流−交流電力変換装置では、交流電源1の相と負荷2の相とがスイッチ3UR〜3WTを介してそれぞれ相互に直接接続される。スイッチ3UR〜3WTは、例えば、図2(a)のように、絶縁ゲート形バイポーラトランジスタTAFとTAR、更に、トランジスタTAF、TARとそれぞれ逆並列に接続されたダイオードDAFとDARを用いて、双方向に電圧を阻止してかつ電流の導通を制御できるように構成する。また、図2(b)のように、逆阻止絶縁ゲート形バイポーラトランジスタTBFとTBRとを逆並列に接続して構成してもよい。また、これ以外の構成であっても、双方向に電圧を阻止してかつ電流の導通を制御できるような構成であればよい。
なお、以下では、交流電源1が三相交流電源の場合を例に説明するが、本願発明は、必ずしも、三相交流に限られるものではなく、多相交流を電源とする場合に適用を広げることも可能である。
【0011】
そして、ここでは、現実の構成である交流交流変換スイッチ3Vのオンオフ制御は、図3に示す仮想的な交流直流変換スイッチである仮想整流器3CV、仮想的な直流母線である仮想非平滑直流母線P、Nおよび仮想的な直流交流変換スイッチである仮想インバータ3IVを設定して動作する、以下で説明する制御手段により行う。
【0012】
入力電圧検出部4は、交流電源1の電圧を検出して入力電圧信号を生成する。接続時間比率演算手段11は、入力電圧信号に応じて、所定のパルス生成周期において、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の2種の相間電圧を選択し、そのパルス生成周期において仮想非平滑直流母線P、Nのそれぞれに接続する交流電源1の相の選択結果と、上記2種の相間電圧をパルス生成周期ごとに反転させるための交流電源1の相の接続順序と、その選択結果と接続順序に対応し、交流電源1の電流指令値に基づき交流電源1のそれぞれの相を接続する接続時間のそのパルス生成周期における比率を演算した結果とを出力する。整流器パルス発生手段12は、交流電源1の2種の相間電圧の選択結果と接続時間比率演算結果に応じて、仮想整流器3CVのスイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号である整流器ゲートパルスを作成して後述するゲートパルス合成手段41に入力する。
【0013】
電圧指令手段21は、負荷2のそれぞれの相に与える電圧の指令値を出力電圧指令値として生成し出力する。この出力電圧指令値は、負荷の制御方式に応じて適切な方法で作成される。変調率演算手段22は、入力電圧信号と接続時間比率演算結果とによって決定される仮想非平滑直流母線P、Nの直流母線電圧VDCに応じて、負荷2の出力電圧指令値からそれぞれの相の変調率を演算して出力する。第2のパルス信号演算手段であるインバータパルス発生手段23は、負荷2のそれぞれの相の変調率を、後述する変形三角波発生手段32からの変形三角波搬送波と比較して仮想インバータ3IVのスイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号であるインバータゲートパルスを作成してゲートパルス合成手段41に入力する。
【0014】
変形三角波発生手段32は、接続時間比率演算手段11が演算した接続時間比率演算結果に応じて、パルス生成周期のタイミングおよび仮想整流器3CVのスイッチにより2種の相間電圧の切り替えが発生するタイミングで折り返す、従って、これらのタイミングに頂点を合わせた三角波搬送波を作成し変形三角波搬送波として出力する。
ゲートパルス合成手段41は、整流器パルス発生手段12が作成する整流器ゲートパルスとインバータパルス発生手段23が作成するインバータゲートパルスとを合成して、交流交流変換スイッチ3Vのスイッチ3UR〜3WTを構成するトランジスタに与えるゲートパルスを作成してゲートドライバ42に入力する。
【0015】
図4は、ゲートパルス合成手段41の内部構成を示す論理回路図である。この回路では、交流交流変換スイッチ3Vの、交流電源1と接続される入力端(図1では明示せず)と、負荷2と接続される出力端(図1では明示せず)との間の接続状態が、整流器パルス発生手段12からの整流器ゲートパルスおよびインバータパルス発生手段23からのインバータゲートパルスによってオンオフ制御される仮想整流器3CVのスイッチ3PR〜3NTおよび仮想インバータ3IVのスイッチ3UP〜3WNによる接続状態と等価となるよう交流交流変換スイッチ3Vのスイッチ3UR〜3WTをオンオフ制御するゲートパルスを論理演算により求める。図4は、出力端のU相に接続されるスイッチ3UR、3US、3UTのみについて示しているが、V相、W相についても対応する相が異なるのみで同様の論理回路により構成される。
【0016】
整流器制御方法選択手段31は、入力電圧信号と出力電圧指令値とを比較して、入力電圧信号の振幅に対する出力電圧指令値の振幅の比率があらかじめ設定する基準比率(設定値)より大きい場合には、仮想整流器3CVの制御方法として、交流電源1の相間電圧の中から最大の相間電圧と2番目に大きい相間電圧とを選択して制御する「A制御」を選択し、上記比率が上記基準比率以下の場合には、仮想整流器3CVの制御方法として、交流電源1の相間電圧の中から2番目に大きい相間電圧と最小の相間電圧とを選択して制御する「B制御」を選択し、その選択結果を整流器制御方法選択信号として出力する。接続時間比率演算手段11は、整流器制御方法選択信号を受けて、当該整流器制御方法選択信号が示す仮想整流器3CVの制御方法に即した交流電源1の相間電圧の選択結果と接続時間比率演算結果を入力電圧信号に応じて出力することになる。
なお、本願請求項でいう第1のパルス信号演算手段は、以上で説明した整流器制御方法選択手段31、接続時間比率演算手段11および整流器パルス発生手段12を含む内容のものとなる。
【0017】
図5(a)〜(f)は、交流−交流電力変換装置のスイッチング制御を行う仮想構成部分の、特に、仮想整流器3CVの6通りの接続状態を示したものである。スイッチ3PR、3PS、3PTのうち2つ以上のスイッチをオンとする状態、および、スイッチ3NR、3NS、3NTのうち2つ以上のスイッチをオンとする状態は、交流電源1の相間を短絡することになるため除外した。また、スイッチ3PR、3PS、3PTの全てのスイッチをオフとする状態、スイッチ3NR、3NS、3NTの全てのスイッチをオフとする状態は、仮想インバータ3IVが負荷2に零電圧を与えることしかできないため除外した。さらに、スイッチ3PRと3NRとを同時にオンとする状態、スイッチ3PSと3NSとを同時にオンとする状態、スイッチ3PTと3NTとを同時にオンとする状態についても、同様に仮想インバータ3IVが負荷2に零電圧を与えることしかできないため除外した。
【0018】
仮想非平滑直流母線P、Nに接続した交流電源1の相間電圧を仮想非平滑直流母線P、Nの直流母線電圧VDCとし、電圧指令手段21が生成する出力電圧指令値が負荷2に発生するようなインバータゲートパルスを3UP〜3WNに与えることにより、負荷2に所望の電圧を供給する。例えば、図5(a)は、仮想非平滑直流母線Pに交流電源1のR相を、仮想非平滑直流母線Nに交流電源1のS相を、それぞれ接続した状態であり、直流母線電圧VDCは、交流電源1のR相とS相との間の相間電圧VRSとなる。図5(b)〜(f)についても、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相が異なるのみで、仮想非平滑直流母線P、Nに接続した交流電源1の相間電圧を直流母線電圧VDCとして扱うという動作は同一である。
【0019】
なお、仮想整流器3CVは、直流母線電圧VDCが正となるように図5(a)〜(f)の中から等価的な接続状態を選択するものとし、仮想非平滑直流母線Pに接続する交流電源1の相の電圧は仮想非平滑直流母線Nに接続する交流電源1の相の電圧よりも大きいものとする。このことから、仮想非平滑直流母線PとNとに接続する交流電源1の相の組み合わせは、その電圧が交流電源1の相の中で最大である相を最大電圧入力相、その電圧が交流電源1の相の中で2番目にあたる相を中間電圧入力相、その電圧が交流電源1の相の中で最小である相を最小電圧入力相とすると、「最大電圧入力相(P)−最小電圧入力相(N)」「最大電圧入力相(P)−中間電圧入力相(N)」「中間電圧入力相(P)−最小電圧入力相(N)」の3通りのみとなる。したがって、仮想非平滑直流母線Pに接続する交流電源1の相は、最大電圧入力相または中間電圧入力相のいずれかとなり、仮想非平滑直流母線Nに接続する交流電源1の相は中間電圧入力相または最小電圧入力相のいずれかとなる。加えて、仮想非平滑直流母線Pに最大電圧入力相を接続する場合、または、仮想非平滑直流母線Nに最小電圧入力相を接続する場合、の少なくとも一方の接続が常に現れることになる。
【0020】
図6は、交流電源1の3つの相の電圧および交流電源1の最大電圧入力相、中間電圧入力相、最小電圧入力相の組み合わせを、交流電源1の1周期分について示したものである。最大電圧入力相、中間電圧入力相、最小電圧入力相の組み合わせは6通りあり、同一の組み合わせは交流電源1の位相の60度にわたって連続的に現れて、6通りの組み合わせが順番に現れることにより交流電源1の1周期となる。上記の組み合わせが同一である60度期間を、交流電源1の位相0度(交流電源1のR相の電圧VRが負から正に変わる時点)から順にI、II、III、IV、V、VIと便宜的に呼ぶことにする。
【0021】
図7(a)は、図6の期間IIの一部を時間的に拡大したものであり、中間電圧入力相であるS相の電圧VSは正であるとする。図の時間範囲は交流電源1の周期に対して十分に短い時間としこの時間範囲では交流電源1の電圧がほとんど変わらないものとする。図7(a)の期間では電圧VSが正であることから、交流電源1の相間電圧の中で最大の相間電圧はR相とT相との相間電圧VRT、2番目に大きい相間電圧はS相とT相との相間電圧VST、最小の相間電圧はR相とS相との相間電圧VRSとなる。
このような交流電源1の状態において、図1の整流器制御方法選択手段31が「A制御」を選択するときは、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧は最大の相間電圧であるVRTと2番目に大きい相間電圧であるVSTとなり、相間電圧VRTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続する等価的な接続状態は図5(d)に、相間電圧VSTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続する等価的な接続状態は図5(b)に、それぞれ相当する。この結果、いずれの等価接続状態においても、交流電源1の最小電圧入力相であるT相と仮想非平滑直流母線Nとが接続した状態となり、交流電源1と負荷2の等価的な接続状態において交流電源1のT相と仮想非平滑直流母線Nとを常に接続することになる。
【0022】
一方、図1の整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択するときは、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧は2番目に大きい相間電圧であるVSTと最小の相間電圧であるVRSとなり、相間電圧VSTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続する等価的な接続状態は図5(b)に、相間電圧VRSを仮想非平滑直流母線P、Nに接続する等価的な接続状態は図5(a)に、それぞれ相当する。この結果、いずれの等価的な接続状態においても交流電源1の中間電圧入力相であるS相は仮想非平滑直流母線と接続した状態となるが、図5(b)では仮想非平滑直流母線Pに、図5(a)では仮想非平滑直流母線Nに、それぞれ接続した状態であることから、交流電源1と負荷2との等価的な接続状態において交流電源1のS相は仮想非平滑直流母線PまたはNのいずれか一方と常に接続するような状態とはならない。
【0023】
図7(b)は、図7(a)と同様に図6の期間IIの一部を時間的に拡大したものであるが、中間電圧入力相であるS相の電圧VSは負であるとする。図7(b)の期間では、交流電源1の相間電圧の中で最大の相間電圧はVRTで変わらないが、2番目に大きい相間電圧はVRSに、最小の相間電圧はVSTになる。
【0024】
このような交流電源1の状態において、「A制御」を選択するようなときは、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧は最大の相間電圧であるVRTと2番目に大きい相間電圧であるVRSとなり、交流電源1と仮想非平滑直流母線P、Nの等価的な接続状態は図5(d)と図5(a)にそれぞれ相当する。したがって、交流電源1と負荷2との等価的な接続状態においては交流電源1の最大電圧入力相であるR相と仮想非平滑直流母線Pを常に接続することになる。
一方、「B制御」を選択するときは、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧は2番目に大きい相間電圧であるVRSと最小の相間電圧であるVSTとなり、交流電源1と仮想非平滑直流母線との等価的な接続状態は、図7(a)の場合と同様に、図5(a)と図5(b)にそれぞれ相当する。したがって、交流電源1と負荷2との等価的な接続状態において交流電源1の中間電圧入力相であるS相は仮想非平滑直流母線PまたはNのいずれか一方と常に接続するような状態とはならない。
【0025】
以上のように、「A制御」を行うときは、交流電源1の最大電圧入力相と仮想非平滑直流母線Pとを接続する状態、または、交流電源1の最小電圧入力相と仮想非平滑直流母線Nとを接続する状態、のいずれかの接続状態が常に現れることになる。これに対して、「B制御」を行うときは、交流電源1の中間電圧入力相と仮想非平滑直流母線とを常に接続した状態となるが、仮想非平滑直流母線PまたがNのいずれか一方と常に接続するような状態とはならない。
【0026】
以上は、交流電源1の電圧の状態が、図6の期間IIを例に説明したものであるが、このような動作は、図6の他の60度期間であっても、交流電源1の相の組み合わせが入れ替わるだけで同様に発生する。
【0027】
図8は、接続時間比率演算手段11が出力する交流電源1の相間電圧の選択結果と接続時間比率演算結果による交流電源1の相間電圧の接続期間(a)、変調率演算手段22が出力する負荷2のU相、V相、W相の変調率VU*、VV*、VW*と変形三角波発生手段32が出力する変形三角波搬送波(b)、交流電源1の相間電圧の選択結果にしたがって整流器パルス発生手段12が出力する整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NT(c)、変調率VU*と変形三角波搬送波とを比較した結果としてインバータパルス発生手段23が出力するインバータパルス3UP、3UN(d)、整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NTとインバータパルス3UP、3UNから合成した負荷2のU相に関する交流交流変換スイッチ3Vのスイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルス(e)、および、スイッチ3UR〜3WTのゲートパルスによって負荷2のU相、V相、W相に現れる電圧VU、VV、VW(f)を、それぞれ示したタイミングチャートである。
【0028】
図8は、図1の整流器制御方法選択手段31が「A制御」を選択するようなときの一例であり、交流電源1の電圧が図6の期間IIにあって図7(a)の状態であるとしたものである。仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧は、最大の相間電圧であるVRTと2番目に大きい相間電圧であるVSTであり、交流電源1と負荷2との等価的な接続状態は、図5(d)と図5(b)にそれぞれ相当する。相間電圧VRTと相間電圧VSTの接続時間比率をそれぞれDR、DSとしてDR+DS=1になるようにすると、それぞれの相間電圧の接続時間は、パルス生成周期をTsとして、前者がDR×Ts、後者がDS×Tsとなる。なお、負荷2のV相およびW相に関する、インバータパルス3VP、3VN、3WP、3WN、および、ゲートパルス3VR、3VS、3VT、3WR、3WS、3WTは、その発生原理がU相に関するインバータパルスおよびゲートパルスとそれぞれ同一であるため図示は省略している。
【0029】
次に、交流電源1の相間電圧の選択結果による等価接続状態とインバータパルス3UP、3UNから負荷2のU相に関する交流交流変換スイッチ3Vのスイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルスを合成する方法を、図5と図8を用いて説明する。
仮想非平滑直流母線P、Nに相間電圧VRTを接続する期間では、その等価接続状態である図5(d)において、負荷2のU相は、仮想インバータ3IVのスイッチ3UPをオンとするときは仮想非平滑直流母線Pを介して交流電源1のR相に接続され、仮想インバータ3IVのスイッチ3UNをオンとするときは仮想非平滑直流母線Nを介して交流電源1のT相に接続される。このことから、仮想インバータ3IVのスイッチ3UPがオンである期間はU相とR相との間のスイッチ3URがオンとなり、仮想インバータ3IVのスイッチ3UNがオンである期間はU相とT相との間のスイッチ3UTがオンとなる。
【0030】
同様にして、仮想非平滑直流母線P、Nに相間電圧VSTを接続する期間では、その等価接続状態である図5(b)において、負荷2のU相は、仮想インバータ3IVのスイッチ3UPをオンとするときは仮想非平滑直流母線Pを介して交流電源1のS相に接続され、仮想インバータ3IVのスイッチ3UNをオンとするときは仮想非平滑直流母線Nを介して交流電源1のT相に接続される。このことから、仮想インバータ3IVのスイッチ3UPがオンである期間はU相とS相との間のスイッチ3USがオンとなり、仮想インバータ3IVのスイッチ3UNがオンである期間はU相とT相との間のスイッチ3UTがオンとなる。
以上の結果、スイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルスと、その結果として負荷2のU相に現れる電圧VUは図8(e)(f)に示す通りとなる。同様にして、負荷2のV相、W相に現れる電圧VV、VWも図示した通りになる。
【0031】
ここで、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVRTからVSTまたはその逆に切り替わるタイミングでは、負荷2のU相に関するインバータパルスはそのタイミングの前後にわたって3UNがオン、整流器パルスはそのタイミングの前後にわたって3NTがオンのままとなり、負荷2のU相に関するスイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルスを合成するとそのタイミングの前後にわたってスイッチ3UTがオンとなることからスイッチングは発生しないことになるため、負荷2のU相に現れる電圧は交流電源1のT相の電圧VTのままとなる。このことは、負荷2のV相、W相でも同様である。
以上は、交流電源1の電圧の状態が図6の期間IIを例に説明したものであるが、このような動作は、図6の他の60度期間であっても交流電源1の相の組み合わせが入れ替わるだけで同様に発生する。
【0032】
次に、図9は、図1の整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択するようなときの一例を図8と同様の各波形について示すもので、交流電源1の電圧は図8と同様に図6の期間IIにあって図7(a)の状態であるとしたものである。
仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧は2番目に大きい相間電圧であるVSTと最小の相間電圧であるVRSであり、交流電源1と負荷2との等価的な接続状態は図5(b)と図5(a)にそれぞれ相当する。相間電圧VSTと相間電圧VRSの接続時間比率をそれぞれDT、DRとしてDT+DR=1になるようにすると、それぞれの相間電圧の接続時間は、パルス生成周期をTsとして前者がDT×Ts、後者がDR×Tsとなる。なお、インバータパルス3VP、3VN、3WP、3WN、および、ゲートパルス3VR、3VS、3VT、3WR、3WS、3WTは、図8と同様に図示は省略した。
【0033】
ここで、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVSTからVRSまたはその逆に切り替わるタイミングでは、負荷2のU相に関するインバータパルスはそのタイミングの前後にわたって3UNがオンとなっているが、整流器パルスは、相間電圧VSTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときは3PSと3NTとが、相間電圧VRSを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときは3PRと3NSとが、それぞれオンとなっており、そのタイミングの前後にわたってオンとなる整流器パルスはない。このため、負荷2のU相に関するスイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルスを合成すると、相間電圧VSTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときはスイッチ3UTが、相間電圧VRSを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときはスイッチ3USが、それぞれオンとなることから、上記タイミングではスイッチ3UTとスイッチ3USとの間でスイッチングが発生することになる。結果、負荷2のU相に現れる電圧も交流電源1のT相の電圧VTとS相の電圧VSとの間で切り替わることになる。このことは、負荷2のV相、W相でも同様である。このようなスイッチングは、図8の「A制御」を選択する場合においては発生しないものであることから、その場合と比較してパルス生成周期あたりのスイッチングの回数が増加することになり、スイッチング損失の増大やサージ電圧の発生回数の増加といった課題が生じることになる。
以上は、交流電源1の電圧の状態が図6の期間IIを例に説明したものであるが、このような動作は図6の他の60度期間であっても交流電源1の相の組み合わせが入れ替わるだけで同様に発生する。
【0034】
図10は、このような課題を解決するために創案された本願発明の実施の形態1における、交流電源1と負荷2とを直接接続するスイッチにより構成される交流−交流電力変換装置の構成図である。図1と同一の構成要素については図1と同一の番号を付し個々の説明は省略する。
図10において、変形鋸波発生手段33は、接続時間比率演算手段11が演算した接続時間比率演算結果と接続順序に応じて、後述する波形の変形鋸波搬送波を出力する。 搬送波選択手段34は、整流器制御方法選択信号に応じて、仮想整流器3CVの制御方法として「A制御」を選択する場合には変形三角波発生手段32からの変形三角波搬送波を選択し、「B制御」を選択する場合には変形鋸波発生手段33からの変形鋸波搬送波を選択し、選択した搬送波を変形搬送波として出力してインバータパルス発生手段23に入力する。
【0035】
図11は、図10の交流−交流電力変換装置の構成において、交流電源1の相間電圧の選択結果と接続期間(a)、変調率VU*、VV*、VW*と変形鋸波搬送波(b)、整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NT(c)、インバータパルス3UP、3UN(d)、スイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルス(e)、および電圧VU、VV、VW(f)を、それぞれ示したタイミングチャートである。
図11は、図10の整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択したときの一例であり、交流電源1の電圧は、図8と同様に、図6の期間IIにあって図7(a)の状態であるとしたものである。整流器制御方法選択手段31が「B制御」を指示する整流器制御方法選択信号を出力したことから、搬送波選択手段34は変形搬送波として変形鋸波搬送波を選択して出力する。
【0036】
ここで採用する変形鋸波搬送波は、パルス生成周期の最初の交流電源1の相間電圧の接続期間で交流電源1の最大電圧の相を仮想非平滑直流母線Pに接続する場合は右上がり、パルス生成周期の最初の交流電源1の相間電圧の接続期間で交流電源1の最小電圧の相を仮想的な非平滑直流母線Nに接続する場合は右下がり、となるようにし、接続する相間電圧が切り替わるタイミングで時間軸に垂直に折り返す変形鋸波状とする。ここでは、図7(a)の状態としているので、交流電源1の最大電圧の相はR相であり、最小電圧の相はT相であるので、変形鋸波搬送波は、図11(b)に示す通りとなる。
【0037】
そして、変調率VU*と変形鋸形搬送波とを比較した結果、インバータパルス発生手段23が出力するインバータパルス3UP、3UNは、図11(d)に示したとおりになる。
ここで、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVSTからVRSまたはその逆に切り替わるタイミングでは、負荷2のU相に関するインバータパルスは、相間電圧VSTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときは3UPが、相間電圧VRSを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときは3UNが、それぞれオンとなっており、仮想インバータ3IVではスイッチングが発生している。また、整流器パルスは、図9と同様に、相間電圧VSTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときは3PSと3NTが、相間電圧VRSを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときは3PRと3NSが、それぞれオンとなっており、そのタイミングの前後にわたってオンとなる整流器パルスはない。しかしながら、インバータパルスと整流器パルスとから負荷2のU相に関するスイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルスを合成するとそのタイミングの前後にわたってスイッチ3USがオンとなることからスイッチングは発生しないことになるため、負荷2のU相に現れる電圧は交流電源1のS相の電圧VSのままとなる。このことは、負荷2のV相、W相でも同様である。
【0038】
したがって、仮想整流器3CVの制御方法として「B制御」を選択するような整流器制御方法選択信号を出力する場合でも、「A制御」を選択する整流器制御方法選択信号を出力する図8の場合と比較してスイッチング回数は増大せず同一である。したがって、仮想非平滑直流母線P、Nに発生する直流母線電圧VDCを小さくできる「B制御」では、その本来の意図通り、「A制御」と比較して交流−交流電力変換装置で発生するスイッチング損失が小さくなる。
以上は、交流電源1の電圧の状態が図6の期間IIを例に説明したものであるが、このような動作は図6の他の60度期間であっても交流電源1の相の組み合わせが入れ替わるだけで同様に発生する。
【0039】
また、変形鋸波発生手段33で生成する変形鋸波搬送波は、細部の説明は省略するが、必ずしも、図11に示す形状のものに限られるものではなく、パルス生成周期のタイミングおよび2種の相間電圧が切り替わるタイミングで折り返すとともに、2種の相間電圧が切り替わるタイミングでは時間軸に垂直に折り返す形状のものであれば、上述したと同様の効果が得られる。
【0040】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、交流電源1と負荷2とを直接接続する交流交流変換スイッチ3Vにより構成される交流−交流電力変換装置において、上述した変形鋸波搬送波を出力する変形鋸波発生手段を設けたことにより、仮想整流器3CVが、交流電源1の相間電圧の中から2番目に大きい相間電圧と最小の相間電圧とを選択して制御する場合に、上記2種の相間電圧の切り替えが発生するタイミングで、交流交流変換スイッチ3Vのスイッチでスイッチングを発生させることがないため、交流−交流電力変換装置で発生するパルス生成周期あたりのスイッチング回数は増加しない。したがって、仮想整流器3CVが、交流電源1の相間電圧の中から最大の相間電圧と2番目に大きい相間電圧とを選択して制御する場合と比較して、仮想非平滑直流母線P、Nに発生する直流母線電圧が平均的に小さいことから、交流−交流電力変換装置で発生するスイッチング損失を小さくすることができるという効果がある。
【0041】
また、整流器制御方法選択手段31が交流電源1の相間電圧の中から最大の相間電圧と2番目に大きい相間電圧とを選択して仮想整流器3CVの制御を行う場合は、変形搬送波として変形三角波搬送波を選択し、整流器制御方法選択手段31が交流電源1の相間電圧の中から2番目に大きい相間電圧と最小の相間電圧とを選択して仮想整流器3CVの制御を行う場合は、変形搬送波として変形鋸波搬送波を選択して出力する搬送波選択手段34を設けたことにより、仮想整流器3CVの制御方法の選択結果に拘わらず、スイッチング損失を常に最小とすることができる。
【0042】
実施の形態2.
先の実施の形態1では、図11(f)からも分かるように、負荷2の全ての相について同一回数のスイッチ切り替えが発生する。この実施の形態2は、変調率を調整することにより、負荷2のいずれか1相でスイッチ切り替えが発生しない、即ち、二相変調として、スイッチング損失が全体として低減できる交流−交流電力変換装置について説明する。
【0043】
図12は、本発明の実施の形態2における変調率演算手段22Aを示したものである。変調率演算手段22Aは、実施の形態1の変調率演算手段22に相当する変調率演算手段221と変調率調整手段である二相変調化手段222とで構成される。変調率演算手段221は、入力電圧検出部4が出力する入力電圧信号と接続時間比率演算手段11が出力する接続時間比率演算結果とによって決定される仮想非平滑直流母線P、Nの直流母線電圧VDCに応じて、電圧指令手段21が出力する負荷2の出力電圧指令値からそれぞれの相の変調率を演算して出力するものであり、本発明の実施の形態1における変調率演算手段22と同一の機能を有する。二相変調化手段222は、後述するように、交流電源1の1つの相間電圧を選択した等価接続状態で負荷2のいずれか1つの相について仮想インバータ3IVでスイッチ切り替えが発生しないよう接続時間比率演算手段11が出力する接続順序に応じて変調率演算手段221が出力する変調率を調整するものである。
【0044】
図13は、本発明の実施の形態2の交流−交流電力変換装置の構成において、交流電源1の相間電圧の選択結果と接続期間(a)、調整後の変調率VU*、VV*、VW*と変形鋸波搬送波(b)、整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NT(c)、インバータパルス3UP、3UN(d)、スイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルス(e)、および、電圧VU、VV、VW(f)を、それぞれ示したタイミングチャートである。図13は、図10の整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択しているときの一例であり、交流電源1の電圧は、図6の期間IIにあって図7(a)の状態であるとしたものである。整流器制御方法選択手段31が「B制御」を指示する整流器制御方法選択信号を出力していることから、搬送波選択手段34は変形搬送波として変形鋸波搬送波を選択して出力する。
【0045】
二相変調化手段222は、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVRSである期間は、交流電源1の最大電圧入力相であるR相が仮想非平滑直流母線Pに接続されていることになるため、出力電圧指令値が最小である負荷2のW相の変調率VW*を−1(変形鋸波搬送波の最低値)とし、かつ、負荷2に与える相間電圧が変動しないように変調率VU*、VV*を合わせて調整し、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVSTである期間は、交流電源1の最小電圧入力相であるT相が仮想非平滑直流母線Nに接続されていることになるため、出力電圧指令値が最大である負荷2のU相の変調率VU*を+1(変形鋸波搬送波の最高値)とし、かつ、負荷2に与える相間電圧が変動しないように変調率VV*、VW*を合わせて調整する。その結果、変調率VU*、VV*、VW*は、図13(b)に示したとおりになる。
なお、「B制御」を選択するときにおいては、仮想非平滑直流母線Pに最大電圧入力相を接続する場合、または、仮想非平滑直流母線Nに最小電圧入力相を接続する場合、の少なくとも一方の接続のみが現れることから、変調率を調整する方法はこの2通りしかない。
【0046】
出力電圧指令値が最大であるU相の変調率VU*と変形鋸波搬送波とを比較した結果、インバータパルス発生手段23が出力するインバータパルス3UP、3UNは図示(d)した通りになる。インバータパルス3UP、3UNと整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NTとから負荷2のU相に関するスイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルスを合成すると、相間電圧VSTと相間電圧VRSの切り替えに相当する仮想整流器3CVの切り替えタイミングでは、そのタイミングの前後にわたってスイッチ3USがオンのままとなっておりスイッチングは発生しないことになり、負荷2のU相に現れる電圧も仮想整流器3CVの切り替えタイミングの前後で交流電源1のS相の電圧VSのままとなっている。そして、そのタイミングの前または後のインバータパルス切り替えタイミングでは、R相とS相との間にスイッチングが発生する。
【0047】
出力電圧指令値が中間であるV相のインバータパルス3VP、3VNと整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NTとから負荷2のV相に関するスイッチ3VR、3VS、3VTのゲートパルスを合成すると、上記のタイミングではスイッチングは発生せず負荷2のV相に現れる電圧も仮想整流器3CVの切り替えタイミングの前後で電圧VSのままとなっている。そして、そのタイミングの前後のインバータパルス切り替えタイミングでは、R相とS相との間、S相とT相との間にスイッチングが発生する。
【0048】
出力電圧指令値が最小であるW相のインバータパルス3WP、3WNと整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NTとから負荷2のW相に関するスイッチ3WR、3WS、3WTのゲートパルスを合成すると、上記のタイミングではスイッチングは発生せず負荷2のW相に現れる電圧も仮想整流器3CVの切り替えタイミングの前後で電圧VSのままとなっている。そして、そのタイミングの前または後のインバータパルス切り替えタイミングでは、S相とT相との間にスイッチングが発生する。
この結果、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVRSである期間では、出力電圧指令値が最小であるW相ではスイッチングが発生せずU相とV相の二相のみでスイッチングが発生し、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVSTである期間では、出力電圧指令値が最大であるU相ではスイッチングが発生せずV相とW相の二相のみでスイッチングが発生することになり、それぞれの期間においては二相変調となっている。
キャリア生成周期あたりのスイッチング回数は、出力電圧指令値が最大であるU相と最小であるW相では1回、出力電圧指令値が中間であるV相では2回となり、スイッチ3UR〜3WTで合計4回となり、先の実施の形態1の図11の場合に比べ、二相変調によりスイッチング回数が低減しスイッチング損失も低減する。
【0049】
仮想整流器3CVの制御方法として「A制御」を示す整流器制御方法選択信号を出力する場合であっても、交流−交流電力変換装置で二相変調を行う場合におけるキャリア生成周期あたりのスイッチング回数は4回であることから、「B制御」を選択するような整流器制御方法選択信号を出力する場合でもスイッチング回数は同一となる。したがって、仮想非平滑直流母線に発生する直流母線電圧VDCを小さくできる「B制御」は、「A制御」と比較して交流−交流電力変換装置で発生するスイッチング損失が小さくなる。
以上は、交流電源1の電圧の状態が図6の期間IIを例に説明したものであるが、このような動作は図6の他の60度期間であっても交流電源1の相の組み合わせが入れ替わるだけで同様に発生する。また、出力電圧指令値が最大である負荷2の相、中間である負荷2の相、最小である負荷2の相、の組み合わせがいずれの場合であっても同様に発生する。
【0050】
以上のように、この発明の実施の形態2によれば、交流−交流電力変換装置の出力電圧が二相変調となるようにしたので、全体としてスイッチング回数が低減してスイッチング損失も低減する。また、仮想整流器3CVが、交流電源1の相間電圧の中から2番目に大きい相間電圧と最小の相間電圧とを選択して制御する場合にも、相間電圧の中から最大の相間電圧と2番目に大きい相間電圧とを選択して制御する場合と比較して、パルス生成周期あたりのスイッチング回数を増加させることはない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来の交流−交流電力変換装置を示す構成図である。
【図2】図1の交流交流変換スイッチ3Vのスイッチ3UR〜3WTの構成の一例を示す図である。
【図3】図1の交流−交流電力変換装置を制御するために設定する仮想整流器3CV、仮想非平滑直流母線P、Nおよび仮想インバータ3IVの構成を示す図である。
【図4】図1のゲートパルス合成手段41の内部論理回路の一部を示す図である。
【図5】交流−交流電力変換装置のスイッチング制御における交流電源1と負荷2との等価的な接続状態を示す図である。
【図6】交流電源1の3つの相の電圧および交流電源1の最大電圧入力相、中間電圧入力相、最小電圧入力相の組み合わせを、交流電源1の1周期分について示した図である。
【図7】図6の期間IIの一部を時間的に拡大した図である。
【図8】図1の整流器制御方法選択手段31が「A制御」を選択した場合のタイミングチャートである。
【図9】図1の整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択した場合のタイミングチャートである。
【図10】この発明の実施の形態1における交流−交流電力変換装置を示す構成図である。
【図11】図10の整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択した場合のタイミングチャートである。
【図12】この発明の実施の形態2における交流−交流電力変換装置の変調率演算手段22Aを示す構成図である。
【図13】実施の形態2において、整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択した場合のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 交流電源、2 負荷、3UR〜3WT,3V 交流交流変換スイッチ、
3PR〜3NT,3CV 仮想整流器、3UP〜3WN,3IV 仮想インバータ、
4 入力電圧検出部、11 接続時間比率演算手段、12 整流器パルス発生手段、
21 電圧指令手段、22,22A 変調率演算手段、
23 インバータパルス発生手段、31 整流器制御方法選択手段、
32 変形三角波発生手段、33 変形鋸波発生手段、34 搬送波選択手段、
41 ゲートパルス合成手段、42 ゲートドライバ、221 変調率演算手段、
222 二相変調化手段、P,N 仮想非平滑直流母線。
【技術分野】
【0001】
この発明は、交流電源の交流電圧を直接交流電圧に変換して負荷に供給する交流−交流電力変換装置であって、交流電源と負荷とを直接接続するスイッチにより構成される交流−交流電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交流電源と負荷とを、交流直流変換手段および直流交流変換手段を伴うことなく直接接続するスイッチにより構成される交流−交流電力変換装置は、交流電源と負荷との間に大容量のエネルギー蓄積手段を持たずに、交流電源の交流電圧から任意の周波数と振幅を持つ交流電圧を発生して負荷に供給することができる。このような交流−交流電力変換装置は、交流電源や負荷に発生させる電圧や電流のさまざまな制御方法によって多様なスイッチング制御の方法が存在する。
【0003】
その一つに、任意の周波数と振幅を持つ交流電圧を負荷に発生させることに加えて、交流電源の相に任意の電流を発生させるというスイッチング制御の方法がある。例えば、特許文献1によれば、交流電源の交流電圧から仮想的なPWM整流器によって仮想的な非平滑直流母線に直流電圧を出力し、その仮想的な非平滑直流母線の電圧から仮想的なインバータによって任意の交流電圧を出力し負荷に供給するとしている。仮想的なPWM整流器において、そのスイッチの切り替えタイミングは、交流電源の相に任意の電流を発生させるための電流指令値によってその相と非平滑直流母線との接続時間を計算することにより求める整流器側PWMパルスとして定める。仮想的なインバータにおいて、そのスイッチング制御のタイミングは、負荷の相に任意の周波数と振幅を持つ交流電圧を発生させるための出力電圧指令値と、仮想的なPWM整流器のスイッチの切り替えタイミングに頂点を合わせた変形三角搬送波とを比較した結果により仮想的なインバータに与えるPWMパルスとして定める。
【0004】
PWM整流器のスイッチング制御としては、交流電源の相に任意の電流を発生させる制御のほかに、交流電源の相間電圧の中から任意の1つの電圧を非平滑直流母線に接続して直流電圧として与える制御も可能である。例えば、非特許文献1によれば、交流電源と負荷との間に非平滑直流母線を有する交流−交流電力変換装置において、交流電源の相間電圧の中から最大の相間電圧と2番目に大きい相間電圧とを選択的に非平滑直流母線に接続してその接続時間の比率を電流指令値に基づいて演算して交流電源に発生する歪みや振動を低減させる従来のPWM整流器の制御の方法に加えて、負荷に供給する交流電圧の振幅が小さいときには交流電源の相間電圧の中から2番目に大きい相間電圧と最小の相間電圧とを選択的に非平滑直流母線に接続してその接続時間の比率を電流指令値に基づいて演算するPWM整流器の制御方法が示されている。このようなPWM整流器の制御方法では、非平滑直流母線に発生する直流母線電圧が平均的に小さくなることから、インバータでのスイッチの切り替えにおいて発生するスイッチング損失を小さくすることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−266972号公報(段落0015〜0020、図2参照)
【非特許文献1】Proceedings of the 29th Annual Conference of the IEEE Industry Electronics Society、pp.2085−2090(2003).(780頁3行〜17行、図5参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている、交流電源と負荷とを直接接続するスイッチにより構成される交流−交流電力変換装置において、仮想的なインバータでのスイッチ切り替えに相当する、現実の交流−交流電力変換装置でのスイッチ切り替えにおいて発生するスイッチング損失を小さくするために、非特許文献1に記載されているPWM整流器の制御方法を選択すると、仮想的なPWM整流器でのスイッチ切り替えに相当するタイミングで負荷の全ての相についてスイッチ切り替えが発生する。その結果、非特許文献1に記載されている制御方法を行う場合と比較してスイッチ切り替えの回数が増加し、条件によっては、逆にスイッチング損失が増大することになるという問題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、交流電源と負荷とを直接接続するスイッチにより構成され、仮想的な整流器とインバータとを設定してスイッチを制御する交流−交流電力変換装置において、その仮想的な整流器でのスイッチ切り替えに相当するタイミングで、現実のスイッチ切り替えが発生しないようにすることができる交流−交流電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る交流−交流電力変換装置は、入力端の多相交流電圧を、電圧指令に基づき、交流直流変換手段および直流交流変換手段を伴うことなく直接交流電圧に変換して出力端に出力する交流−交流電力変換装置であって、
入力端の各相と出力端の各相との間に接続され交流交流直接変換を行う交流交流変換スイッチ、および交流交流変換スイッチのオンオフ制御を行う制御手段を備え、
制御手段は、入力端の多相交流電圧を直流電圧に変換して仮想直流母線に出力する仮想交流直流変換スイッチと仮想直流母線の電圧を電圧指令に基づく交流電圧に変換する仮想直流交流変換スイッチとを設定するとともに、
入力端の多相交流電圧の相間電圧を2種選択し、この2種の相間電圧が所定のパルス生成周期毎に順次反転する順序で仮想直流母線に出力されるように仮想交流直流変換スイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号を演算する第1のパルス信号演算手段と、電圧指令および仮想直流母線の電圧に基づき出力端に出力する各相の電圧指令となる変調率を演算する変調率演算手段と、パルス生成周期のタイミングおよび2種の相間電圧が切り替わるタイミングで折り返すとともに、2種の相間電圧が切り替わるタイミングでは時間軸に垂直に折り返す変形鋸波搬送波を発生する変形鋸波発生手段と、変調率演算手段からの変調率と変形鋸波発生手段からの変形鋸波搬送波との比較演算に基づき仮想直流交流変換スイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号を演算する第2のパルス信号演算手段と、第1および第2のパルス信号演算手段からの仮想パルス信号を合成し、入力端と出力端との接続状態が、当該仮想パルス信号によってオンオフ制御される仮想交流直流変換スイッチおよび仮想直流交流変換スイッチによる接続状態と等価となるよう交流交流変換スイッチをオンオフ制御するパルス信号を演算するゲートパルス合成手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る交流−交流電力変換装置は、例えば、第1のパルス信号演算手段で選択する2種の相間電圧の種別によりそのままでは交流交流変換スイッチにおけるスイッチング回数が増大する場合であっても、仮想パルス信号を出力するため変調率と比較演算する搬送波を上記変形鋸波発生手段で作成する変形鋸波搬送波としたので、パルス生成周期内で2種の相間電圧を切り替えるタイミングで交流交流変換スイッチがスイッチング動作をしなくなり、スイッチング回数の増大が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、交流電源1と負荷2とを直接接続する交流交流変換スイッチ3Vにより構成される従来の交流−交流電力変換装置である。本願発明の理解を容易とするため、以下では、先ず、この図1の従来装置について説明する。このような交流−交流電力変換装置では、交流電源1の相と負荷2の相とがスイッチ3UR〜3WTを介してそれぞれ相互に直接接続される。スイッチ3UR〜3WTは、例えば、図2(a)のように、絶縁ゲート形バイポーラトランジスタTAFとTAR、更に、トランジスタTAF、TARとそれぞれ逆並列に接続されたダイオードDAFとDARを用いて、双方向に電圧を阻止してかつ電流の導通を制御できるように構成する。また、図2(b)のように、逆阻止絶縁ゲート形バイポーラトランジスタTBFとTBRとを逆並列に接続して構成してもよい。また、これ以外の構成であっても、双方向に電圧を阻止してかつ電流の導通を制御できるような構成であればよい。
なお、以下では、交流電源1が三相交流電源の場合を例に説明するが、本願発明は、必ずしも、三相交流に限られるものではなく、多相交流を電源とする場合に適用を広げることも可能である。
【0011】
そして、ここでは、現実の構成である交流交流変換スイッチ3Vのオンオフ制御は、図3に示す仮想的な交流直流変換スイッチである仮想整流器3CV、仮想的な直流母線である仮想非平滑直流母線P、Nおよび仮想的な直流交流変換スイッチである仮想インバータ3IVを設定して動作する、以下で説明する制御手段により行う。
【0012】
入力電圧検出部4は、交流電源1の電圧を検出して入力電圧信号を生成する。接続時間比率演算手段11は、入力電圧信号に応じて、所定のパルス生成周期において、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の2種の相間電圧を選択し、そのパルス生成周期において仮想非平滑直流母線P、Nのそれぞれに接続する交流電源1の相の選択結果と、上記2種の相間電圧をパルス生成周期ごとに反転させるための交流電源1の相の接続順序と、その選択結果と接続順序に対応し、交流電源1の電流指令値に基づき交流電源1のそれぞれの相を接続する接続時間のそのパルス生成周期における比率を演算した結果とを出力する。整流器パルス発生手段12は、交流電源1の2種の相間電圧の選択結果と接続時間比率演算結果に応じて、仮想整流器3CVのスイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号である整流器ゲートパルスを作成して後述するゲートパルス合成手段41に入力する。
【0013】
電圧指令手段21は、負荷2のそれぞれの相に与える電圧の指令値を出力電圧指令値として生成し出力する。この出力電圧指令値は、負荷の制御方式に応じて適切な方法で作成される。変調率演算手段22は、入力電圧信号と接続時間比率演算結果とによって決定される仮想非平滑直流母線P、Nの直流母線電圧VDCに応じて、負荷2の出力電圧指令値からそれぞれの相の変調率を演算して出力する。第2のパルス信号演算手段であるインバータパルス発生手段23は、負荷2のそれぞれの相の変調率を、後述する変形三角波発生手段32からの変形三角波搬送波と比較して仮想インバータ3IVのスイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号であるインバータゲートパルスを作成してゲートパルス合成手段41に入力する。
【0014】
変形三角波発生手段32は、接続時間比率演算手段11が演算した接続時間比率演算結果に応じて、パルス生成周期のタイミングおよび仮想整流器3CVのスイッチにより2種の相間電圧の切り替えが発生するタイミングで折り返す、従って、これらのタイミングに頂点を合わせた三角波搬送波を作成し変形三角波搬送波として出力する。
ゲートパルス合成手段41は、整流器パルス発生手段12が作成する整流器ゲートパルスとインバータパルス発生手段23が作成するインバータゲートパルスとを合成して、交流交流変換スイッチ3Vのスイッチ3UR〜3WTを構成するトランジスタに与えるゲートパルスを作成してゲートドライバ42に入力する。
【0015】
図4は、ゲートパルス合成手段41の内部構成を示す論理回路図である。この回路では、交流交流変換スイッチ3Vの、交流電源1と接続される入力端(図1では明示せず)と、負荷2と接続される出力端(図1では明示せず)との間の接続状態が、整流器パルス発生手段12からの整流器ゲートパルスおよびインバータパルス発生手段23からのインバータゲートパルスによってオンオフ制御される仮想整流器3CVのスイッチ3PR〜3NTおよび仮想インバータ3IVのスイッチ3UP〜3WNによる接続状態と等価となるよう交流交流変換スイッチ3Vのスイッチ3UR〜3WTをオンオフ制御するゲートパルスを論理演算により求める。図4は、出力端のU相に接続されるスイッチ3UR、3US、3UTのみについて示しているが、V相、W相についても対応する相が異なるのみで同様の論理回路により構成される。
【0016】
整流器制御方法選択手段31は、入力電圧信号と出力電圧指令値とを比較して、入力電圧信号の振幅に対する出力電圧指令値の振幅の比率があらかじめ設定する基準比率(設定値)より大きい場合には、仮想整流器3CVの制御方法として、交流電源1の相間電圧の中から最大の相間電圧と2番目に大きい相間電圧とを選択して制御する「A制御」を選択し、上記比率が上記基準比率以下の場合には、仮想整流器3CVの制御方法として、交流電源1の相間電圧の中から2番目に大きい相間電圧と最小の相間電圧とを選択して制御する「B制御」を選択し、その選択結果を整流器制御方法選択信号として出力する。接続時間比率演算手段11は、整流器制御方法選択信号を受けて、当該整流器制御方法選択信号が示す仮想整流器3CVの制御方法に即した交流電源1の相間電圧の選択結果と接続時間比率演算結果を入力電圧信号に応じて出力することになる。
なお、本願請求項でいう第1のパルス信号演算手段は、以上で説明した整流器制御方法選択手段31、接続時間比率演算手段11および整流器パルス発生手段12を含む内容のものとなる。
【0017】
図5(a)〜(f)は、交流−交流電力変換装置のスイッチング制御を行う仮想構成部分の、特に、仮想整流器3CVの6通りの接続状態を示したものである。スイッチ3PR、3PS、3PTのうち2つ以上のスイッチをオンとする状態、および、スイッチ3NR、3NS、3NTのうち2つ以上のスイッチをオンとする状態は、交流電源1の相間を短絡することになるため除外した。また、スイッチ3PR、3PS、3PTの全てのスイッチをオフとする状態、スイッチ3NR、3NS、3NTの全てのスイッチをオフとする状態は、仮想インバータ3IVが負荷2に零電圧を与えることしかできないため除外した。さらに、スイッチ3PRと3NRとを同時にオンとする状態、スイッチ3PSと3NSとを同時にオンとする状態、スイッチ3PTと3NTとを同時にオンとする状態についても、同様に仮想インバータ3IVが負荷2に零電圧を与えることしかできないため除外した。
【0018】
仮想非平滑直流母線P、Nに接続した交流電源1の相間電圧を仮想非平滑直流母線P、Nの直流母線電圧VDCとし、電圧指令手段21が生成する出力電圧指令値が負荷2に発生するようなインバータゲートパルスを3UP〜3WNに与えることにより、負荷2に所望の電圧を供給する。例えば、図5(a)は、仮想非平滑直流母線Pに交流電源1のR相を、仮想非平滑直流母線Nに交流電源1のS相を、それぞれ接続した状態であり、直流母線電圧VDCは、交流電源1のR相とS相との間の相間電圧VRSとなる。図5(b)〜(f)についても、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相が異なるのみで、仮想非平滑直流母線P、Nに接続した交流電源1の相間電圧を直流母線電圧VDCとして扱うという動作は同一である。
【0019】
なお、仮想整流器3CVは、直流母線電圧VDCが正となるように図5(a)〜(f)の中から等価的な接続状態を選択するものとし、仮想非平滑直流母線Pに接続する交流電源1の相の電圧は仮想非平滑直流母線Nに接続する交流電源1の相の電圧よりも大きいものとする。このことから、仮想非平滑直流母線PとNとに接続する交流電源1の相の組み合わせは、その電圧が交流電源1の相の中で最大である相を最大電圧入力相、その電圧が交流電源1の相の中で2番目にあたる相を中間電圧入力相、その電圧が交流電源1の相の中で最小である相を最小電圧入力相とすると、「最大電圧入力相(P)−最小電圧入力相(N)」「最大電圧入力相(P)−中間電圧入力相(N)」「中間電圧入力相(P)−最小電圧入力相(N)」の3通りのみとなる。したがって、仮想非平滑直流母線Pに接続する交流電源1の相は、最大電圧入力相または中間電圧入力相のいずれかとなり、仮想非平滑直流母線Nに接続する交流電源1の相は中間電圧入力相または最小電圧入力相のいずれかとなる。加えて、仮想非平滑直流母線Pに最大電圧入力相を接続する場合、または、仮想非平滑直流母線Nに最小電圧入力相を接続する場合、の少なくとも一方の接続が常に現れることになる。
【0020】
図6は、交流電源1の3つの相の電圧および交流電源1の最大電圧入力相、中間電圧入力相、最小電圧入力相の組み合わせを、交流電源1の1周期分について示したものである。最大電圧入力相、中間電圧入力相、最小電圧入力相の組み合わせは6通りあり、同一の組み合わせは交流電源1の位相の60度にわたって連続的に現れて、6通りの組み合わせが順番に現れることにより交流電源1の1周期となる。上記の組み合わせが同一である60度期間を、交流電源1の位相0度(交流電源1のR相の電圧VRが負から正に変わる時点)から順にI、II、III、IV、V、VIと便宜的に呼ぶことにする。
【0021】
図7(a)は、図6の期間IIの一部を時間的に拡大したものであり、中間電圧入力相であるS相の電圧VSは正であるとする。図の時間範囲は交流電源1の周期に対して十分に短い時間としこの時間範囲では交流電源1の電圧がほとんど変わらないものとする。図7(a)の期間では電圧VSが正であることから、交流電源1の相間電圧の中で最大の相間電圧はR相とT相との相間電圧VRT、2番目に大きい相間電圧はS相とT相との相間電圧VST、最小の相間電圧はR相とS相との相間電圧VRSとなる。
このような交流電源1の状態において、図1の整流器制御方法選択手段31が「A制御」を選択するときは、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧は最大の相間電圧であるVRTと2番目に大きい相間電圧であるVSTとなり、相間電圧VRTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続する等価的な接続状態は図5(d)に、相間電圧VSTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続する等価的な接続状態は図5(b)に、それぞれ相当する。この結果、いずれの等価接続状態においても、交流電源1の最小電圧入力相であるT相と仮想非平滑直流母線Nとが接続した状態となり、交流電源1と負荷2の等価的な接続状態において交流電源1のT相と仮想非平滑直流母線Nとを常に接続することになる。
【0022】
一方、図1の整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択するときは、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧は2番目に大きい相間電圧であるVSTと最小の相間電圧であるVRSとなり、相間電圧VSTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続する等価的な接続状態は図5(b)に、相間電圧VRSを仮想非平滑直流母線P、Nに接続する等価的な接続状態は図5(a)に、それぞれ相当する。この結果、いずれの等価的な接続状態においても交流電源1の中間電圧入力相であるS相は仮想非平滑直流母線と接続した状態となるが、図5(b)では仮想非平滑直流母線Pに、図5(a)では仮想非平滑直流母線Nに、それぞれ接続した状態であることから、交流電源1と負荷2との等価的な接続状態において交流電源1のS相は仮想非平滑直流母線PまたはNのいずれか一方と常に接続するような状態とはならない。
【0023】
図7(b)は、図7(a)と同様に図6の期間IIの一部を時間的に拡大したものであるが、中間電圧入力相であるS相の電圧VSは負であるとする。図7(b)の期間では、交流電源1の相間電圧の中で最大の相間電圧はVRTで変わらないが、2番目に大きい相間電圧はVRSに、最小の相間電圧はVSTになる。
【0024】
このような交流電源1の状態において、「A制御」を選択するようなときは、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧は最大の相間電圧であるVRTと2番目に大きい相間電圧であるVRSとなり、交流電源1と仮想非平滑直流母線P、Nの等価的な接続状態は図5(d)と図5(a)にそれぞれ相当する。したがって、交流電源1と負荷2との等価的な接続状態においては交流電源1の最大電圧入力相であるR相と仮想非平滑直流母線Pを常に接続することになる。
一方、「B制御」を選択するときは、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧は2番目に大きい相間電圧であるVRSと最小の相間電圧であるVSTとなり、交流電源1と仮想非平滑直流母線との等価的な接続状態は、図7(a)の場合と同様に、図5(a)と図5(b)にそれぞれ相当する。したがって、交流電源1と負荷2との等価的な接続状態において交流電源1の中間電圧入力相であるS相は仮想非平滑直流母線PまたはNのいずれか一方と常に接続するような状態とはならない。
【0025】
以上のように、「A制御」を行うときは、交流電源1の最大電圧入力相と仮想非平滑直流母線Pとを接続する状態、または、交流電源1の最小電圧入力相と仮想非平滑直流母線Nとを接続する状態、のいずれかの接続状態が常に現れることになる。これに対して、「B制御」を行うときは、交流電源1の中間電圧入力相と仮想非平滑直流母線とを常に接続した状態となるが、仮想非平滑直流母線PまたがNのいずれか一方と常に接続するような状態とはならない。
【0026】
以上は、交流電源1の電圧の状態が、図6の期間IIを例に説明したものであるが、このような動作は、図6の他の60度期間であっても、交流電源1の相の組み合わせが入れ替わるだけで同様に発生する。
【0027】
図8は、接続時間比率演算手段11が出力する交流電源1の相間電圧の選択結果と接続時間比率演算結果による交流電源1の相間電圧の接続期間(a)、変調率演算手段22が出力する負荷2のU相、V相、W相の変調率VU*、VV*、VW*と変形三角波発生手段32が出力する変形三角波搬送波(b)、交流電源1の相間電圧の選択結果にしたがって整流器パルス発生手段12が出力する整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NT(c)、変調率VU*と変形三角波搬送波とを比較した結果としてインバータパルス発生手段23が出力するインバータパルス3UP、3UN(d)、整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NTとインバータパルス3UP、3UNから合成した負荷2のU相に関する交流交流変換スイッチ3Vのスイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルス(e)、および、スイッチ3UR〜3WTのゲートパルスによって負荷2のU相、V相、W相に現れる電圧VU、VV、VW(f)を、それぞれ示したタイミングチャートである。
【0028】
図8は、図1の整流器制御方法選択手段31が「A制御」を選択するようなときの一例であり、交流電源1の電圧が図6の期間IIにあって図7(a)の状態であるとしたものである。仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧は、最大の相間電圧であるVRTと2番目に大きい相間電圧であるVSTであり、交流電源1と負荷2との等価的な接続状態は、図5(d)と図5(b)にそれぞれ相当する。相間電圧VRTと相間電圧VSTの接続時間比率をそれぞれDR、DSとしてDR+DS=1になるようにすると、それぞれの相間電圧の接続時間は、パルス生成周期をTsとして、前者がDR×Ts、後者がDS×Tsとなる。なお、負荷2のV相およびW相に関する、インバータパルス3VP、3VN、3WP、3WN、および、ゲートパルス3VR、3VS、3VT、3WR、3WS、3WTは、その発生原理がU相に関するインバータパルスおよびゲートパルスとそれぞれ同一であるため図示は省略している。
【0029】
次に、交流電源1の相間電圧の選択結果による等価接続状態とインバータパルス3UP、3UNから負荷2のU相に関する交流交流変換スイッチ3Vのスイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルスを合成する方法を、図5と図8を用いて説明する。
仮想非平滑直流母線P、Nに相間電圧VRTを接続する期間では、その等価接続状態である図5(d)において、負荷2のU相は、仮想インバータ3IVのスイッチ3UPをオンとするときは仮想非平滑直流母線Pを介して交流電源1のR相に接続され、仮想インバータ3IVのスイッチ3UNをオンとするときは仮想非平滑直流母線Nを介して交流電源1のT相に接続される。このことから、仮想インバータ3IVのスイッチ3UPがオンである期間はU相とR相との間のスイッチ3URがオンとなり、仮想インバータ3IVのスイッチ3UNがオンである期間はU相とT相との間のスイッチ3UTがオンとなる。
【0030】
同様にして、仮想非平滑直流母線P、Nに相間電圧VSTを接続する期間では、その等価接続状態である図5(b)において、負荷2のU相は、仮想インバータ3IVのスイッチ3UPをオンとするときは仮想非平滑直流母線Pを介して交流電源1のS相に接続され、仮想インバータ3IVのスイッチ3UNをオンとするときは仮想非平滑直流母線Nを介して交流電源1のT相に接続される。このことから、仮想インバータ3IVのスイッチ3UPがオンである期間はU相とS相との間のスイッチ3USがオンとなり、仮想インバータ3IVのスイッチ3UNがオンである期間はU相とT相との間のスイッチ3UTがオンとなる。
以上の結果、スイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルスと、その結果として負荷2のU相に現れる電圧VUは図8(e)(f)に示す通りとなる。同様にして、負荷2のV相、W相に現れる電圧VV、VWも図示した通りになる。
【0031】
ここで、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVRTからVSTまたはその逆に切り替わるタイミングでは、負荷2のU相に関するインバータパルスはそのタイミングの前後にわたって3UNがオン、整流器パルスはそのタイミングの前後にわたって3NTがオンのままとなり、負荷2のU相に関するスイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルスを合成するとそのタイミングの前後にわたってスイッチ3UTがオンとなることからスイッチングは発生しないことになるため、負荷2のU相に現れる電圧は交流電源1のT相の電圧VTのままとなる。このことは、負荷2のV相、W相でも同様である。
以上は、交流電源1の電圧の状態が図6の期間IIを例に説明したものであるが、このような動作は、図6の他の60度期間であっても交流電源1の相の組み合わせが入れ替わるだけで同様に発生する。
【0032】
次に、図9は、図1の整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択するようなときの一例を図8と同様の各波形について示すもので、交流電源1の電圧は図8と同様に図6の期間IIにあって図7(a)の状態であるとしたものである。
仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧は2番目に大きい相間電圧であるVSTと最小の相間電圧であるVRSであり、交流電源1と負荷2との等価的な接続状態は図5(b)と図5(a)にそれぞれ相当する。相間電圧VSTと相間電圧VRSの接続時間比率をそれぞれDT、DRとしてDT+DR=1になるようにすると、それぞれの相間電圧の接続時間は、パルス生成周期をTsとして前者がDT×Ts、後者がDR×Tsとなる。なお、インバータパルス3VP、3VN、3WP、3WN、および、ゲートパルス3VR、3VS、3VT、3WR、3WS、3WTは、図8と同様に図示は省略した。
【0033】
ここで、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVSTからVRSまたはその逆に切り替わるタイミングでは、負荷2のU相に関するインバータパルスはそのタイミングの前後にわたって3UNがオンとなっているが、整流器パルスは、相間電圧VSTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときは3PSと3NTとが、相間電圧VRSを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときは3PRと3NSとが、それぞれオンとなっており、そのタイミングの前後にわたってオンとなる整流器パルスはない。このため、負荷2のU相に関するスイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルスを合成すると、相間電圧VSTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときはスイッチ3UTが、相間電圧VRSを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときはスイッチ3USが、それぞれオンとなることから、上記タイミングではスイッチ3UTとスイッチ3USとの間でスイッチングが発生することになる。結果、負荷2のU相に現れる電圧も交流電源1のT相の電圧VTとS相の電圧VSとの間で切り替わることになる。このことは、負荷2のV相、W相でも同様である。このようなスイッチングは、図8の「A制御」を選択する場合においては発生しないものであることから、その場合と比較してパルス生成周期あたりのスイッチングの回数が増加することになり、スイッチング損失の増大やサージ電圧の発生回数の増加といった課題が生じることになる。
以上は、交流電源1の電圧の状態が図6の期間IIを例に説明したものであるが、このような動作は図6の他の60度期間であっても交流電源1の相の組み合わせが入れ替わるだけで同様に発生する。
【0034】
図10は、このような課題を解決するために創案された本願発明の実施の形態1における、交流電源1と負荷2とを直接接続するスイッチにより構成される交流−交流電力変換装置の構成図である。図1と同一の構成要素については図1と同一の番号を付し個々の説明は省略する。
図10において、変形鋸波発生手段33は、接続時間比率演算手段11が演算した接続時間比率演算結果と接続順序に応じて、後述する波形の変形鋸波搬送波を出力する。 搬送波選択手段34は、整流器制御方法選択信号に応じて、仮想整流器3CVの制御方法として「A制御」を選択する場合には変形三角波発生手段32からの変形三角波搬送波を選択し、「B制御」を選択する場合には変形鋸波発生手段33からの変形鋸波搬送波を選択し、選択した搬送波を変形搬送波として出力してインバータパルス発生手段23に入力する。
【0035】
図11は、図10の交流−交流電力変換装置の構成において、交流電源1の相間電圧の選択結果と接続期間(a)、変調率VU*、VV*、VW*と変形鋸波搬送波(b)、整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NT(c)、インバータパルス3UP、3UN(d)、スイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルス(e)、および電圧VU、VV、VW(f)を、それぞれ示したタイミングチャートである。
図11は、図10の整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択したときの一例であり、交流電源1の電圧は、図8と同様に、図6の期間IIにあって図7(a)の状態であるとしたものである。整流器制御方法選択手段31が「B制御」を指示する整流器制御方法選択信号を出力したことから、搬送波選択手段34は変形搬送波として変形鋸波搬送波を選択して出力する。
【0036】
ここで採用する変形鋸波搬送波は、パルス生成周期の最初の交流電源1の相間電圧の接続期間で交流電源1の最大電圧の相を仮想非平滑直流母線Pに接続する場合は右上がり、パルス生成周期の最初の交流電源1の相間電圧の接続期間で交流電源1の最小電圧の相を仮想的な非平滑直流母線Nに接続する場合は右下がり、となるようにし、接続する相間電圧が切り替わるタイミングで時間軸に垂直に折り返す変形鋸波状とする。ここでは、図7(a)の状態としているので、交流電源1の最大電圧の相はR相であり、最小電圧の相はT相であるので、変形鋸波搬送波は、図11(b)に示す通りとなる。
【0037】
そして、変調率VU*と変形鋸形搬送波とを比較した結果、インバータパルス発生手段23が出力するインバータパルス3UP、3UNは、図11(d)に示したとおりになる。
ここで、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVSTからVRSまたはその逆に切り替わるタイミングでは、負荷2のU相に関するインバータパルスは、相間電圧VSTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときは3UPが、相間電圧VRSを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときは3UNが、それぞれオンとなっており、仮想インバータ3IVではスイッチングが発生している。また、整流器パルスは、図9と同様に、相間電圧VSTを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときは3PSと3NTが、相間電圧VRSを仮想非平滑直流母線P、Nに接続するときは3PRと3NSが、それぞれオンとなっており、そのタイミングの前後にわたってオンとなる整流器パルスはない。しかしながら、インバータパルスと整流器パルスとから負荷2のU相に関するスイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルスを合成するとそのタイミングの前後にわたってスイッチ3USがオンとなることからスイッチングは発生しないことになるため、負荷2のU相に現れる電圧は交流電源1のS相の電圧VSのままとなる。このことは、負荷2のV相、W相でも同様である。
【0038】
したがって、仮想整流器3CVの制御方法として「B制御」を選択するような整流器制御方法選択信号を出力する場合でも、「A制御」を選択する整流器制御方法選択信号を出力する図8の場合と比較してスイッチング回数は増大せず同一である。したがって、仮想非平滑直流母線P、Nに発生する直流母線電圧VDCを小さくできる「B制御」では、その本来の意図通り、「A制御」と比較して交流−交流電力変換装置で発生するスイッチング損失が小さくなる。
以上は、交流電源1の電圧の状態が図6の期間IIを例に説明したものであるが、このような動作は図6の他の60度期間であっても交流電源1の相の組み合わせが入れ替わるだけで同様に発生する。
【0039】
また、変形鋸波発生手段33で生成する変形鋸波搬送波は、細部の説明は省略するが、必ずしも、図11に示す形状のものに限られるものではなく、パルス生成周期のタイミングおよび2種の相間電圧が切り替わるタイミングで折り返すとともに、2種の相間電圧が切り替わるタイミングでは時間軸に垂直に折り返す形状のものであれば、上述したと同様の効果が得られる。
【0040】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、交流電源1と負荷2とを直接接続する交流交流変換スイッチ3Vにより構成される交流−交流電力変換装置において、上述した変形鋸波搬送波を出力する変形鋸波発生手段を設けたことにより、仮想整流器3CVが、交流電源1の相間電圧の中から2番目に大きい相間電圧と最小の相間電圧とを選択して制御する場合に、上記2種の相間電圧の切り替えが発生するタイミングで、交流交流変換スイッチ3Vのスイッチでスイッチングを発生させることがないため、交流−交流電力変換装置で発生するパルス生成周期あたりのスイッチング回数は増加しない。したがって、仮想整流器3CVが、交流電源1の相間電圧の中から最大の相間電圧と2番目に大きい相間電圧とを選択して制御する場合と比較して、仮想非平滑直流母線P、Nに発生する直流母線電圧が平均的に小さいことから、交流−交流電力変換装置で発生するスイッチング損失を小さくすることができるという効果がある。
【0041】
また、整流器制御方法選択手段31が交流電源1の相間電圧の中から最大の相間電圧と2番目に大きい相間電圧とを選択して仮想整流器3CVの制御を行う場合は、変形搬送波として変形三角波搬送波を選択し、整流器制御方法選択手段31が交流電源1の相間電圧の中から2番目に大きい相間電圧と最小の相間電圧とを選択して仮想整流器3CVの制御を行う場合は、変形搬送波として変形鋸波搬送波を選択して出力する搬送波選択手段34を設けたことにより、仮想整流器3CVの制御方法の選択結果に拘わらず、スイッチング損失を常に最小とすることができる。
【0042】
実施の形態2.
先の実施の形態1では、図11(f)からも分かるように、負荷2の全ての相について同一回数のスイッチ切り替えが発生する。この実施の形態2は、変調率を調整することにより、負荷2のいずれか1相でスイッチ切り替えが発生しない、即ち、二相変調として、スイッチング損失が全体として低減できる交流−交流電力変換装置について説明する。
【0043】
図12は、本発明の実施の形態2における変調率演算手段22Aを示したものである。変調率演算手段22Aは、実施の形態1の変調率演算手段22に相当する変調率演算手段221と変調率調整手段である二相変調化手段222とで構成される。変調率演算手段221は、入力電圧検出部4が出力する入力電圧信号と接続時間比率演算手段11が出力する接続時間比率演算結果とによって決定される仮想非平滑直流母線P、Nの直流母線電圧VDCに応じて、電圧指令手段21が出力する負荷2の出力電圧指令値からそれぞれの相の変調率を演算して出力するものであり、本発明の実施の形態1における変調率演算手段22と同一の機能を有する。二相変調化手段222は、後述するように、交流電源1の1つの相間電圧を選択した等価接続状態で負荷2のいずれか1つの相について仮想インバータ3IVでスイッチ切り替えが発生しないよう接続時間比率演算手段11が出力する接続順序に応じて変調率演算手段221が出力する変調率を調整するものである。
【0044】
図13は、本発明の実施の形態2の交流−交流電力変換装置の構成において、交流電源1の相間電圧の選択結果と接続期間(a)、調整後の変調率VU*、VV*、VW*と変形鋸波搬送波(b)、整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NT(c)、インバータパルス3UP、3UN(d)、スイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルス(e)、および、電圧VU、VV、VW(f)を、それぞれ示したタイミングチャートである。図13は、図10の整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択しているときの一例であり、交流電源1の電圧は、図6の期間IIにあって図7(a)の状態であるとしたものである。整流器制御方法選択手段31が「B制御」を指示する整流器制御方法選択信号を出力していることから、搬送波選択手段34は変形搬送波として変形鋸波搬送波を選択して出力する。
【0045】
二相変調化手段222は、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVRSである期間は、交流電源1の最大電圧入力相であるR相が仮想非平滑直流母線Pに接続されていることになるため、出力電圧指令値が最小である負荷2のW相の変調率VW*を−1(変形鋸波搬送波の最低値)とし、かつ、負荷2に与える相間電圧が変動しないように変調率VU*、VV*を合わせて調整し、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVSTである期間は、交流電源1の最小電圧入力相であるT相が仮想非平滑直流母線Nに接続されていることになるため、出力電圧指令値が最大である負荷2のU相の変調率VU*を+1(変形鋸波搬送波の最高値)とし、かつ、負荷2に与える相間電圧が変動しないように変調率VV*、VW*を合わせて調整する。その結果、変調率VU*、VV*、VW*は、図13(b)に示したとおりになる。
なお、「B制御」を選択するときにおいては、仮想非平滑直流母線Pに最大電圧入力相を接続する場合、または、仮想非平滑直流母線Nに最小電圧入力相を接続する場合、の少なくとも一方の接続のみが現れることから、変調率を調整する方法はこの2通りしかない。
【0046】
出力電圧指令値が最大であるU相の変調率VU*と変形鋸波搬送波とを比較した結果、インバータパルス発生手段23が出力するインバータパルス3UP、3UNは図示(d)した通りになる。インバータパルス3UP、3UNと整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NTとから負荷2のU相に関するスイッチ3UR、3US、3UTのゲートパルスを合成すると、相間電圧VSTと相間電圧VRSの切り替えに相当する仮想整流器3CVの切り替えタイミングでは、そのタイミングの前後にわたってスイッチ3USがオンのままとなっておりスイッチングは発生しないことになり、負荷2のU相に現れる電圧も仮想整流器3CVの切り替えタイミングの前後で交流電源1のS相の電圧VSのままとなっている。そして、そのタイミングの前または後のインバータパルス切り替えタイミングでは、R相とS相との間にスイッチングが発生する。
【0047】
出力電圧指令値が中間であるV相のインバータパルス3VP、3VNと整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NTとから負荷2のV相に関するスイッチ3VR、3VS、3VTのゲートパルスを合成すると、上記のタイミングではスイッチングは発生せず負荷2のV相に現れる電圧も仮想整流器3CVの切り替えタイミングの前後で電圧VSのままとなっている。そして、そのタイミングの前後のインバータパルス切り替えタイミングでは、R相とS相との間、S相とT相との間にスイッチングが発生する。
【0048】
出力電圧指令値が最小であるW相のインバータパルス3WP、3WNと整流器パルス3PR、3PS、3PT、3NR、3NS、3NTとから負荷2のW相に関するスイッチ3WR、3WS、3WTのゲートパルスを合成すると、上記のタイミングではスイッチングは発生せず負荷2のW相に現れる電圧も仮想整流器3CVの切り替えタイミングの前後で電圧VSのままとなっている。そして、そのタイミングの前または後のインバータパルス切り替えタイミングでは、S相とT相との間にスイッチングが発生する。
この結果、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVRSである期間では、出力電圧指令値が最小であるW相ではスイッチングが発生せずU相とV相の二相のみでスイッチングが発生し、仮想非平滑直流母線P、Nに接続する交流電源1の相間電圧がVSTである期間では、出力電圧指令値が最大であるU相ではスイッチングが発生せずV相とW相の二相のみでスイッチングが発生することになり、それぞれの期間においては二相変調となっている。
キャリア生成周期あたりのスイッチング回数は、出力電圧指令値が最大であるU相と最小であるW相では1回、出力電圧指令値が中間であるV相では2回となり、スイッチ3UR〜3WTで合計4回となり、先の実施の形態1の図11の場合に比べ、二相変調によりスイッチング回数が低減しスイッチング損失も低減する。
【0049】
仮想整流器3CVの制御方法として「A制御」を示す整流器制御方法選択信号を出力する場合であっても、交流−交流電力変換装置で二相変調を行う場合におけるキャリア生成周期あたりのスイッチング回数は4回であることから、「B制御」を選択するような整流器制御方法選択信号を出力する場合でもスイッチング回数は同一となる。したがって、仮想非平滑直流母線に発生する直流母線電圧VDCを小さくできる「B制御」は、「A制御」と比較して交流−交流電力変換装置で発生するスイッチング損失が小さくなる。
以上は、交流電源1の電圧の状態が図6の期間IIを例に説明したものであるが、このような動作は図6の他の60度期間であっても交流電源1の相の組み合わせが入れ替わるだけで同様に発生する。また、出力電圧指令値が最大である負荷2の相、中間である負荷2の相、最小である負荷2の相、の組み合わせがいずれの場合であっても同様に発生する。
【0050】
以上のように、この発明の実施の形態2によれば、交流−交流電力変換装置の出力電圧が二相変調となるようにしたので、全体としてスイッチング回数が低減してスイッチング損失も低減する。また、仮想整流器3CVが、交流電源1の相間電圧の中から2番目に大きい相間電圧と最小の相間電圧とを選択して制御する場合にも、相間電圧の中から最大の相間電圧と2番目に大きい相間電圧とを選択して制御する場合と比較して、パルス生成周期あたりのスイッチング回数を増加させることはない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来の交流−交流電力変換装置を示す構成図である。
【図2】図1の交流交流変換スイッチ3Vのスイッチ3UR〜3WTの構成の一例を示す図である。
【図3】図1の交流−交流電力変換装置を制御するために設定する仮想整流器3CV、仮想非平滑直流母線P、Nおよび仮想インバータ3IVの構成を示す図である。
【図4】図1のゲートパルス合成手段41の内部論理回路の一部を示す図である。
【図5】交流−交流電力変換装置のスイッチング制御における交流電源1と負荷2との等価的な接続状態を示す図である。
【図6】交流電源1の3つの相の電圧および交流電源1の最大電圧入力相、中間電圧入力相、最小電圧入力相の組み合わせを、交流電源1の1周期分について示した図である。
【図7】図6の期間IIの一部を時間的に拡大した図である。
【図8】図1の整流器制御方法選択手段31が「A制御」を選択した場合のタイミングチャートである。
【図9】図1の整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択した場合のタイミングチャートである。
【図10】この発明の実施の形態1における交流−交流電力変換装置を示す構成図である。
【図11】図10の整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択した場合のタイミングチャートである。
【図12】この発明の実施の形態2における交流−交流電力変換装置の変調率演算手段22Aを示す構成図である。
【図13】実施の形態2において、整流器制御方法選択手段31が「B制御」を選択した場合のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 交流電源、2 負荷、3UR〜3WT,3V 交流交流変換スイッチ、
3PR〜3NT,3CV 仮想整流器、3UP〜3WN,3IV 仮想インバータ、
4 入力電圧検出部、11 接続時間比率演算手段、12 整流器パルス発生手段、
21 電圧指令手段、22,22A 変調率演算手段、
23 インバータパルス発生手段、31 整流器制御方法選択手段、
32 変形三角波発生手段、33 変形鋸波発生手段、34 搬送波選択手段、
41 ゲートパルス合成手段、42 ゲートドライバ、221 変調率演算手段、
222 二相変調化手段、P,N 仮想非平滑直流母線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端の多相交流電圧を、電圧指令に基づき、交流直流変換手段および直流交流変換手段を伴うことなく直接交流電圧に変換して出力端に出力する交流−交流電力変換装置であって、
上記入力端の各相と上記出力端の各相との間に接続され上記交流交流直接変換を行う交流交流変換スイッチ、および上記交流交流変換スイッチのオンオフ制御を行う制御手段を備え、
上記制御手段は、上記入力端の多相交流電圧を直流電圧に変換して仮想直流母線に出力する仮想交流直流変換スイッチと上記仮想直流母線の電圧を上記電圧指令に基づく交流電圧に変換する仮想直流交流変換スイッチとを設定するとともに、
上記入力端の多相交流電圧の相間電圧を2種選択し、この2種の相間電圧が所定のパルス生成周期毎に順次反転する順序で上記仮想直流母線に出力されるように上記仮想交流直流変換スイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号を演算する第1のパルス信号演算手段と、上記電圧指令および上記仮想直流母線の電圧に基づき上記出力端に出力する各相の電圧指令となる変調率を演算する変調率演算手段と、上記パルス生成周期のタイミングおよび上記2種の相間電圧が切り替わるタイミングで折り返すとともに、上記2種の相間電圧が切り替わるタイミングでは時間軸に垂直に折り返す変形鋸波搬送波を発生する変形鋸波発生手段と、上記変調率演算手段からの上記変調率と上記変形鋸波発生手段からの変形鋸波搬送波との比較演算に基づき上記仮想直流交流変換スイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号を演算する第2のパルス信号演算手段と、上記第1および第2のパルス信号演算手段からの仮想パルス信号を合成し、上記入力端と上記出力端との接続状態が、当該仮想パルス信号によってオンオフ制御される上記仮想交流直流変換スイッチおよび上記仮想直流交流変換スイッチによる接続状態と等価となるよう上記交流交流変換スイッチをオンオフ制御するパルス信号を演算するゲートパルス合成手段とを備えた交流−交流電力変換装置。
【請求項2】
上記入力端および上記出力端の交流電圧が三相交流電圧であって、
上記パルス生成周期のタイミングおよび上記2種の相間電圧が切り替わるタイミングで折り返す変形三角波搬送波を発生する変形三角波発生手段、上記変形鋸波発生手段と上記変形三角波発生手段とのいずれかを選択して上記第2のパルス信号演算手段に送出する搬送波選択手段を備え、
上記第1のパルス信号演算手段は、上記入力端の電圧の振幅に対する上記電圧指令の振幅の比率が所定の設定値より大きいときは上記入力端の相間電圧の内、その値が最大であるものと2番目に大きいものとの2種の相間電圧を選択し、上記比率が上記設定値以下のときは上記入力端の相間電圧の内、その値が2番目に大きいものと最小であるものとの2種の相間電圧を選択する場合、
上記搬送波選択手段は、上記比率が上記設定値より大きいときは上記変形三角波発生手段を選択し、上記比率が上記設定値以下のときは上記変形鋸波発生手段を選択し、それぞれその出力を上記第2のパルス信号演算手段に送出するようにし、
上記第2のパルス信号演算手段は、上記変調率演算手段からの上記変調率と上記変形三角波発生手段からの変形三角波搬送波または上記変形鋸波発生手段からの変形鋸波搬送波との比較演算に基づき上記仮想直流交流変換スイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号を演算するようにしたことを特徴とする請求項1記載の交流−交流電力変換装置。
【請求項3】
上記入力端の三相相電圧の内最大の相が上記仮想直流母線に接続されている期間では上記電圧指令となる三相変調率の内最小の相の変調率が上記変形鋸波搬送波の最低値と一致するように、上記入力端の三相相電圧の内最小の相が上記仮想直流母線に接続されている期間では上記電圧指令となる三相変調率の内最大の相の変調率が上記変形鋸波搬送波の最高値と一致するように、それぞれ上記変調率演算手段からの上記電圧指令となる三相変調率の値を当該三相変調率の各相間値を変化させない条件で調整する変調率調整手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の交流−交流電力変換装置。
【請求項1】
入力端の多相交流電圧を、電圧指令に基づき、交流直流変換手段および直流交流変換手段を伴うことなく直接交流電圧に変換して出力端に出力する交流−交流電力変換装置であって、
上記入力端の各相と上記出力端の各相との間に接続され上記交流交流直接変換を行う交流交流変換スイッチ、および上記交流交流変換スイッチのオンオフ制御を行う制御手段を備え、
上記制御手段は、上記入力端の多相交流電圧を直流電圧に変換して仮想直流母線に出力する仮想交流直流変換スイッチと上記仮想直流母線の電圧を上記電圧指令に基づく交流電圧に変換する仮想直流交流変換スイッチとを設定するとともに、
上記入力端の多相交流電圧の相間電圧を2種選択し、この2種の相間電圧が所定のパルス生成周期毎に順次反転する順序で上記仮想直流母線に出力されるように上記仮想交流直流変換スイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号を演算する第1のパルス信号演算手段と、上記電圧指令および上記仮想直流母線の電圧に基づき上記出力端に出力する各相の電圧指令となる変調率を演算する変調率演算手段と、上記パルス生成周期のタイミングおよび上記2種の相間電圧が切り替わるタイミングで折り返すとともに、上記2種の相間電圧が切り替わるタイミングでは時間軸に垂直に折り返す変形鋸波搬送波を発生する変形鋸波発生手段と、上記変調率演算手段からの上記変調率と上記変形鋸波発生手段からの変形鋸波搬送波との比較演算に基づき上記仮想直流交流変換スイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号を演算する第2のパルス信号演算手段と、上記第1および第2のパルス信号演算手段からの仮想パルス信号を合成し、上記入力端と上記出力端との接続状態が、当該仮想パルス信号によってオンオフ制御される上記仮想交流直流変換スイッチおよび上記仮想直流交流変換スイッチによる接続状態と等価となるよう上記交流交流変換スイッチをオンオフ制御するパルス信号を演算するゲートパルス合成手段とを備えた交流−交流電力変換装置。
【請求項2】
上記入力端および上記出力端の交流電圧が三相交流電圧であって、
上記パルス生成周期のタイミングおよび上記2種の相間電圧が切り替わるタイミングで折り返す変形三角波搬送波を発生する変形三角波発生手段、上記変形鋸波発生手段と上記変形三角波発生手段とのいずれかを選択して上記第2のパルス信号演算手段に送出する搬送波選択手段を備え、
上記第1のパルス信号演算手段は、上記入力端の電圧の振幅に対する上記電圧指令の振幅の比率が所定の設定値より大きいときは上記入力端の相間電圧の内、その値が最大であるものと2番目に大きいものとの2種の相間電圧を選択し、上記比率が上記設定値以下のときは上記入力端の相間電圧の内、その値が2番目に大きいものと最小であるものとの2種の相間電圧を選択する場合、
上記搬送波選択手段は、上記比率が上記設定値より大きいときは上記変形三角波発生手段を選択し、上記比率が上記設定値以下のときは上記変形鋸波発生手段を選択し、それぞれその出力を上記第2のパルス信号演算手段に送出するようにし、
上記第2のパルス信号演算手段は、上記変調率演算手段からの上記変調率と上記変形三角波発生手段からの変形三角波搬送波または上記変形鋸波発生手段からの変形鋸波搬送波との比較演算に基づき上記仮想直流交流変換スイッチをオンオフ制御する仮想パルス信号を演算するようにしたことを特徴とする請求項1記載の交流−交流電力変換装置。
【請求項3】
上記入力端の三相相電圧の内最大の相が上記仮想直流母線に接続されている期間では上記電圧指令となる三相変調率の内最小の相の変調率が上記変形鋸波搬送波の最低値と一致するように、上記入力端の三相相電圧の内最小の相が上記仮想直流母線に接続されている期間では上記電圧指令となる三相変調率の内最大の相の変調率が上記変形鋸波搬送波の最高値と一致するように、それぞれ上記変調率演算手段からの上記電圧指令となる三相変調率の値を当該三相変調率の各相間値を変化させない条件で調整する変調率調整手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の交流−交流電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−283774(P2008−283774A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125212(P2007−125212)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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