説明

交流電力増幅器

【課題】LINC方式の増幅器において入力振幅の広い範囲に亘って高い効率を得ることができる交流電力増幅器を提供する。
【解決手段】入力端子1から入力された入力信号を2つの定振幅の交流信号に分離して、それらの交流信号の位相差が入力信号の振幅に対応して変化するようにした分波回路90と、飽和領域で動作するFET12、22を有し、2つの定振幅の交流信号をそれぞれ増幅する2つの飽和増幅器10、20と、を備え、それぞれの飽和増幅器からの増幅された増幅信号を合成点で合成して、出力端子2から出力しており、各FET12、22のドレインと合成点39との間が、増幅すべき交流信号の基本波に対して略四分の一波長に相当する遅延を与える伝送線路32、33で結合されており、且つ合成点39には、高調波を反射し且つ合成点39で負荷側を見た高調波の反射位相を逆相とするキャパタ34が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流信号を増幅する交流電力増幅器に関し、特に、LINC方式による交流電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波を増幅する目的で設計・製作される増幅器において、その線形性と効率の向上は永遠の課題である。
【0003】
線形性の向上という面では近年各種の強力な歪補償技術が発達・普及してきており、これらの技術の効果を手に入れることは困難ではなくなっている。また、効率の向上という面でも、素子の改良から回路技術までの広い技術領域で様々な努力が傾注され、多くの提案がなされている。
【0004】
過去に提案され、高い効率と線形性を実現できるとされた方式の一つにLINC方式と呼ばれるものがある。この方式は、1974年にベル研究所のD.C.Coxによって提案されたもので、LINCとはLinear Amplification with Nonlinear Componentsの略である。この増幅器の概略構成を図6に示し、その動作原理を以下に説明する。
【0005】
まず、アナログの入力信号は、入力分波回路90によって、一定の振幅を持つ2つの定振幅信号に分離される。このとき、2つの定振幅信号はそのベクトル和が入力信号を表すように生成され、入力信号の振幅情報と位相情報が保持される。図7はその様子をベクトル図としたもので、高振幅の大入力91に対しては位相差の小さい91+、91−の定振幅ベクトルに対応する信号が生成され、低振幅の小入力92に対しては、92+、92−で表示した大きな位相差を持つ定振幅ベクトルに対応する信号が生成される。このように、2つの定振幅ベクトルの開き角、換言すれば、分離された定振幅信号の位相差は入力信号の振幅に対応して変化するようになっており、図7で分かるように、入力信号の振幅と位相の情報は失われていない。このような動作を実行する入力分波回路90の具体的構成は、例えば、特許文献1で提案されている。
【0006】
次いで、分波後の2つの定振幅信号(例えば91+、91−、または92+、92−)がそれぞれ飽和増幅器10、20において増幅される。振幅変動がない信号の増幅であるから、増幅器としては最高の効率が得られる飽和増幅器を用いることができる。
【0007】
増幅された2信号は出力合成回路30で合成される。ここでは、分波と逆の操作であるベクトル加算が行われ、入力信号波形が再現される。出力合成回路30としては、合成器としてよく用いられる図8に示したウィルキンソン型電力合成器で構成することができる。
【0008】
このように、LINC方式によれば、飽和増幅器という線形性が極めて劣悪な増幅器を用いても、定振幅動作であればこの欠点を考慮する必要がなくなるため、効率が高く線形性のよい増幅器が得られるという利点を有する。
【0009】
しかしながら、この方式では低振幅の入力信号に対しては、分波後のベクトルの位相差が大きくなり(図7の92+、92−)、増幅器での効率は高いが出力合成回路での損失が大きくなるという欠点がある。図8に示したウィルキンソン型電力合成器では入力に位相差が存在すると、両入力間に電圧差が発生するため抵抗器による発熱が増加していき、いわば、余分な電力を抵抗によって熱に変換してしまうという問題がある。このため、低振幅信号の増幅時に効率が極端に悪化してしまう。
【0010】
振幅変動の小さい信号、例えばオフセットQPSKやπ/4シフトQPSK等のような変調波を増幅する場合は分波されたベクトルの開き角、即ち位相差はそれほど大きくならないため、出力合成回路30での損失を考慮してもLINC方式の増幅器は実用的価値がある。しかし、CDMAやOFDMといった高度な変調を行う通信システムでは、平均電力とピーク電力の差が非常に大きく、低振幅での動作割合が増えるため、全体としての効率が低下してしまい、その実用的価値が失われるのである。
【0011】
この低振幅時の効率低下を改善する目的で、既に提案がなされている。例えば、特許文献2では、抵抗分を含まない即ち熱的損失がない伝送線路で2つの飽和電力増幅器を結合した上で、出力ベクトルと直交する無効電力成分に対する増幅素子のインピーダンス変化に着目し、これを補償する回路を具備することで低振幅時の効率の低下を救済している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3,777,275明細書
【特許文献2】特開2008−135829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、特許文献2では、バックオフ−10dB付近以上では高い効率が示されているが、これ以下の電力領域では急速に効率が低下しており、その効果は限定的である。このように従来提案されるLINC方式の増幅器においては、低振幅動作時の効率の低下が十分解決されておらず、実用性を十分に満足するとは言い難いレベルにある。
【0014】
本発明は、上記の従来の課題に鑑みなされたもので、LINC方式の増幅器において入力振幅の広い範囲に亘って高い効率を得ることができる交流電力増幅器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、従来の技術では、飽和増幅器が発生する高調波が十分利用されておらず、この扱いを最適化することで上記の問題が解決できることを見出して、本発明を完成させたものである。
【0016】
即ち、本発明は、入力端子からの入力信号を2つの定振幅の交流信号に分離して、それらの交流信号の位相差が入力信号の振幅に対応して変化するようにした入力変換回路と、飽和領域で動作する半導体素子を有し、2つの定振幅の交流信号をそれぞれ増幅する2つの飽和増幅器と、を備え、それぞれの飽和増幅器からの増幅された増幅信号を合成点で合成して、出力端子から出力する交流電力増幅器において、
各飽和増幅器の半導体素子の出力点と合成点との間が、増幅すべき交流信号の基本波に対して略(2n+1)・(1/4)(但しnは0以上の整数)波長に相当する遅延を与える遅延回路で結合されており、且つ該合成点には、高調波を反射し且つ該合成点で負荷側を見た高調波の反射位相を逆相とする高調波反射回路が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の前記高調波反射回路が、合成点と出力端子との間に設けられ、前記基本波を通過させる帯域濾波器または低域濾波器によって構成されることを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の前記高調波反射回路が、合成点とグランドとの間に接続されたキャパシタであり、該キャパシタのインピーダンスは、基本波周波数では前記飽和増幅器に対するインピーダンス整合を行い、高調波に対しては短絡と見なせるように設定される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高調波反射回路によって、高調波反射回路と飽和増幅器との間で高調波を閉じ込めることができると共に、高調波反射回路と飽和増幅器とが基本波の略四分の一の奇数倍の波長に相当する遅延回路で結合されており、結果として飽和増幅器同士が基本波の略二分の一の奇数倍の波長に相当する遅延回路で結合されるために、その閉じ込められた高調波によるエネルギーを回生エネルギーとして有効利用することができる。こうして、LINC方式の短所であった小振幅時における効率を格段に向上させることができる。
【0020】
高調波反射回路として、基本波を通過させる帯域濾波器または低域濾波器とすることにより、基本波を出力端子から出力する一方で、高調波に対しては閉じ込め効果を果たすことができる。
【0021】
また、高調波反射回路として、合成点とグランドとの間に接続されたキャパシタとし、該キャパシタのインピーダンスを基本波周波数では飽和増幅器に対するインピーダンス整合を行い、高調波に対しては短絡と見なせるように設定することで、基本波に対してはインピーダンス整合効果を持たせ、高調波に対して閉じ込め効果を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態による交流電力増幅器の構成回路図である。
【図2】図1の交流電力増幅器によるFETドレイン電圧と電流の時間波形である。
【図3】図1の交流電力増幅器によるバックオフ特性を表すシミュレーション結果図である。
【図4】本発明の第2実施形態による交流電力増幅器の構成回路図である。
【図5】高調波反射回路としての別例を表す。
【図6】LINC方式による増幅器の概略構成図である。
【図7】入力信号の分波と合成の原理を表す説明図である。
【図8】従来の合成回路としてのウィルキンソン型電力合成器の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による交流電力増幅器を表している。図に示すように、交流電力増幅器は、入力端子1と出力端子2とを有し、その端子1、2間に入力変換回路としての分波回路90と、一対の飽和増幅器10、20と、増幅するべき目的信号の基本波の略四分の一波長の遅延を生じさせる遅延回路である四分の一波長伝送線路32、33と、基本波を通過させるように設定された直列共振回路31と、高調波を反射する高調波反射回路であるキャパシタ34と、を備える。
【0024】
分波回路90は、例えば特許文献1に示される回路とすることができ、入力端子1からの入力信号を一定の振幅を持つ2つの定振幅信号に分離する。2つの分離された定振幅信号は、そのベクトル和が入力信号を表すように生成され、入力信号の振幅情報と位相情報が保持される。
【0025】
飽和増幅器10、20は、整合回路11、21と、飽和領域で動作する半導体素子としてのFET12、22とを有する。FET11、22は整合回路11、21を介して分波回路90と接続されて、前記2つの定振幅信号をそれぞれ増幅する。各FET12、22のドレインへの直流電力の供給は、基本波に対しても十分高いインピーダンスを示す高周波チョークコイルRFC13、23を介して行われる。FET12、22のバイアス電圧は、好ましくは、無信号時直流電流が0となる値に設定されるB級動作点に設定されているとよく、これによって効率及び線形性の点で有利となる。
【0026】
FET12のドレインは、伝送線路32と直流カットキャパシタ35を介して合成点39まで連結され、同様に、FET22のドレインは、伝送線路33と直流カットキャパシタ36によって合成点39まで連結される。直流カットキャパシタ35、36は高周波的には移相量が0と見なせるので、2つのFET12、22のドレイン間の電気長は略二分の一波長で、合成点39はその中央にある。
【0027】
合成点39とグランドとの間には高調波反射回路である固定容量のキャパシタ34が設けられている。キャパシタ34は、高調波反射機能を持つと共に、インピーダンス整合素子として動作する。そのため、好ましくは、キャパシタ34のインピーダンスは、FET12、22のドレイン〜ソース間の容量の影響を打ち消すように飽和増幅器10、20の合成点39から見たFET12、22のキャパシタンスと同程度のキャパシタンスとなるように設定されているとよい。
【0028】
直列共振回路31は、目的信号の基本周波数に共振点を持ち、共振周波数以外では開放に近いインピーダンスを示す回路である。
【0029】
以上のように構成された交流電力増幅器において、合成点39に設けられたキャパシタ34は、基本波周波数に対してはインピーダンス整合素子として動作するが、高調波領域においては低インピーダンスを示すため、高調波に対しては近似的には短絡と見なせる。また、直列共振回路31の高いインピーダンスにより負荷抵抗の高調波への影響は殆どなく、高調波に対しては、直列共振回路31が接続されていないように見える。この結果、合成点39で負荷抵抗側を見た高調波の反射位相は逆相となる。
【0030】
よって、FET12、22のドレインから出力端子2までの間で、外部に伝搬したり熱的損失となる高調波成分は原理的にはなくなり、高調波が合成点39と飽和増幅器10、20との間に閉じ込められることになる。閉じ込められたエネルギーは半導体素子の非線形性によって回生され、その一部は電源回路に逆流する電流となる。これは、直流電源からの供給電力が低減されることを意味するので、増幅器としての効率が向上することになる。
【0031】
図2に、シミュレーションで得られた第1実施形態のFET12、22のドレイン電圧とドレイン電流の時間変化を示す。この時の条件は、周期は横軸目盛りで約1.3であり、分波回路90で分離された2つの定振幅信号は約90度の位相差を持っている。ドレイン電流は、ドレインに流れ込む方向をプラスに、ドレインから流れ出す方向をマイナスにとっている。
【0032】
図2(A)は位相の進んだ信号を増幅する側のFET12のドレイン電圧とドレイン電流を示しており、期間(1)でFET12がONとなりドレイン電流が流れている。同じ期間、図2(B)に示した位相の遅れた信号を増幅する側の他方のFET22ではまだONにはならず、電流は流れていない。次の期間(2)では、両方のFET12、22がON状態となっており、双方に電流が流れる。期間(2)の電流が、所望の出力を得るために必要な電流である。これに続く期間(3)では、図2(A)でFET12がOFFとなり電流が0となっていると同時に、図2(B)ではFET22がONで逆向きに流れる電流が発生していることがわかる。これが回生電流である。
【0033】
図2(A)の期間(1)に見られる電流は、このまま消費されてしまえば無駄な電力となって効率低下の原因となる。その周期は基本波の1周期より短く、周波数的には高調波成分で構成されていると考えられる。ところが、本発明では、高調波の閉じ込め効果と、各FETと合成点との間の四分の一波長、FET間の二分の一波長の適切な時間遅延によって、このエネルギーをもう一方のFETから、時間積分が略等しい電流として期間(3)において回生しているので、高い効率を維持することができる。
【0034】
この回生電流は、分波回路90からの2つの定振幅信号の位相差にかかわらず得ることができるために、入力信号が低振幅で2つの定振幅信号の位相差が大きい場合、即ち期間(1)と期間(3)が長くなっても、無駄な電力の消費を防ぐことができ、高効率とすることができる。
【0035】
図3に、この実施形態に対する計算機シミュレーション結果を示す。同図の横軸は最大出力電力からの出力低減量、所謂バックオフを表し、縦軸はRF出力電力の供給直流電力に対する割合であるドレイン効率としている。この図から、最大電力動作時の効率を損なうことなく、バックオフが−25dBという低レベルの動作であっても約60%のドレイン効率が維持されていることがわかる。従来の技術ではこうした低レベル領域でこれほどの高い効率を実現することは不可能であった。
【0036】
この実施形態では、FET12、22のドレインへの直流供給がRFC13、23を介して行われており、RFC13、23は基本波でも高いインピーダンスを示すものが用いられるので、高調波に対しても同様に高いインピーダンスを示す。即ち、動作にかかわる高調波成分全てに対して高インピーダンスとなるため、RFC13、23の接続位置をFETのドレイン端子から直流カットキャパシタ35,36までの間で、ほぼ自由に選択でき、回路配置上、設計に大きな自由度を与えることができる。また、任意には、合成点39の位置に接続することもでき、この場合には、FET12、22に対して共通のRFC及び電源とすることもできる。
【0037】
このように、上記実施形態によれば、キャパシタ34によって、FETのキャパシタンスを相殺するインピーダンス整合効果を持たせることができると共に、高調波の閉じ込め効果を持たせることができる。
【0038】
図4は本発明による第2実施形態を表す。第1実施形態と同じまたは同様の部品は同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0039】
この第2実施形態による交流電流増幅器は、第1実施形態と比較して、キャパシタ34と直列共振回路31の代わりに、合成点39と出力端子2の間にキャパシタ入力型の低域濾波器37を備える。低域濾波器37のカットオフ周波数は基本波と第2高調波の間に選ばれており、また、図中に示したように、この型の低域濾波器37では、高調波に対しては短絡に見えるために、高調波反射回路を構成している。
この実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0040】
以上の通り、本発明によれば、LINC方式の弱点であった低振幅動作時の効率が大きく改善され、電力消費の少ない、従って発熱の少ない電力増幅器が得られる。この結果、放熱機構への負担が少なくなり、高電力増幅器には欠かせない冷却機構が簡素化されるので、初期費用の低減が図れる。電力消費量低減によるランニングコストの低減は言うまでも無い。
【0041】
前記合成点39で負荷側を見た高調波の反射位相を逆相とする高調波反射回路の例としては、並列キャパシタ、キャパシタ入力型の低域濾波器を示したが、キャパシタ入力型の低域濾波器の例として、π型整合回路を挙げることができる。この回路を用いる場合は、負荷インピーダンスとの整合効果も得られ、好都合である。加えて、合成点39とグランドとの間に接続された並列共振回路もこの高調波反射回路の一例である。図5に示したような並列共振回路と直列共振回路の組み合わせによって高調波反射回路を構成することもできる。図5の回路は帯域濾波器に他ならず、各種の帯域濾波器も高周波反射回路として使用可能である。
【0042】
また、各飽和増幅器10,20から合成点39までの略四分の一波長に相当する遅延を与える遅延回路として、図1または図4に示したように、分布定数回路では四分の一波長の伝送線路を用いることができるが、通過振幅特性が平坦で一定の時間遅延だけを与える各種の濾波器を使用することもできる。周波数が低く、分布定数回路では大型化するような場合には、集中定数回路で濾波器を構成して、遅延回路を小型化することができる。また、反対に、周波数が高く、基本波の波長がミリ波のように短い場合には、遅延回路は分布定数回路で略四分の一波長の奇数倍2n+1倍(nは0以上の整数)の時間遅延を与える伝送線路で構成することもできる。
【0043】
このように、本発明の交流電力増幅器では、必ずしも分布定数回路を必要とせず、集中定数回路によって構成することも可能であるため、動作周波数への制限が小さく、低周波から高周波まで応用可能である。
【0044】
また、本発明の交流電力増幅器は、入力端子1から出力端子2まで、または飽和増幅器10、20から出力端子2までを1つの共通のパッケージに収納することもできる。
【0045】
マイクロ波領域での電力増幅を行う場合、半導体素子の不完全性によって線形性がいくぶん損なわれる場合がある。こうした場合、本発明による交流電力増幅器を歪補償回路と組み合わせることで線形性を回復できる。歪補償回路としてはよく知られたフィードフォワードまたはアナログプリディストーション、デジタルプリディストーションやカーテシアンループのようなフィードバック型の手法が、適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 入力端子
2 出力端子
10、20 飽和増幅器
12、22 FET(半導体素子)
32、33 伝送線路(遅延回路)
34 キャパシタ(高調波反射回路)
39 合成点
90 分波回路(入力変換回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子から入力された入力信号を2つの定振幅の交流信号に分離して、それらの交流信号の位相差が入力信号の振幅に対応して変化するようにした入力変換回路と、飽和領域で動作する半導体素子を有し、2つの定振幅の交流信号をそれぞれ増幅する2つの飽和増幅器と、を備え、それぞれの飽和増幅器からの増幅された増幅信号を合成点で合成して、出力端子から出力する交流電力増幅器において、
各飽和増幅器の半導体素子の出力点と合成点との間が、増幅すべき交流信号の基本波に対して略(2n+1)・(1/4)(但しnは0以上の整数)波長に相当する遅延を与える遅延回路で結合されており、且つ該合成点には、高調波を反射し且つ該合成点で負荷側を見た高調波の反射位相を逆相とする高調波反射回路が設けられていることを特徴とする交流電力増幅器。
【請求項2】
前記高調波反射回路は、合成点と出力端子との間に設けられ、前記基本波を通過させる帯域濾波器または低域濾波器によって構成されることを特徴とする請求項1記載の交流電力増幅器。
【請求項3】
前記高調波反射回路は、合成点とグランドとの間に接続されたキャパシタであり、該キャパシタのインピーダンスは、基本波周波数では前記飽和増幅器に対するインピーダンス整合を行い、高調波に対しては短絡と見なせるように設定される、ことを特徴とする請求項1または2記載の交流電力増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−268248(P2010−268248A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118066(P2009−118066)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000003388)東京計器株式会社 (103)
【Fターム(参考)】