交流電源装置
【課題】MERS内のオフセット異常を迅速に検出することができる。
【解決手段】蛍光灯2及び交流電源3間に接続され、蛍光灯を点灯する負荷電圧を電源電圧から調整出力するMERS4と、MERSを駆動制御する制御装置13とを備え、制御装置は、ON/OFFタイミングに応じたMOSのON/OFF動作及び、ON/OFF動作に伴うコンデンサ25の充放電動作に応じて、電源電圧から所望の負荷電圧を調整出力すべく、MERSを駆動制御する蛍光灯システム1であって、制御装置は、MOSのON継続期間内のコンデンサのコンデンサ電圧を継続検出するコンデンサ電圧継続監視部44と、この検出結果に基づき、同ON継続期間内に継続検出したコンデンサ電圧内に零ボルト区間があるか否かを判定し、零ボルト区間がない場合、オフセット異常と判断する零ボルト区間有無判定部45とを有している。
【解決手段】蛍光灯2及び交流電源3間に接続され、蛍光灯を点灯する負荷電圧を電源電圧から調整出力するMERS4と、MERSを駆動制御する制御装置13とを備え、制御装置は、ON/OFFタイミングに応じたMOSのON/OFF動作及び、ON/OFF動作に伴うコンデンサ25の充放電動作に応じて、電源電圧から所望の負荷電圧を調整出力すべく、MERSを駆動制御する蛍光灯システム1であって、制御装置は、MOSのON継続期間内のコンデンサのコンデンサ電圧を継続検出するコンデンサ電圧継続監視部44と、この検出結果に基づき、同ON継続期間内に継続検出したコンデンサ電圧内に零ボルト区間があるか否かを判定し、零ボルト区間がない場合、オフセット異常と判断する零ボルト区間有無判定部45とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば蛍光灯等の放電灯やモータ等の誘導性負荷及び交流電源間に接続され、前記誘導性負荷を駆動するための負荷電圧を、前記交流電源の電源電圧から調整出力する磁気エネルギー回生スイッチ(以下、単にMERSと称する)と、前記誘導性負荷を駆動するための所望の負荷電圧を、前記電源電圧から調整出力させるべく、MERSを駆動制御する制御装置とを備えた交流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような交流電源装置としては、誘導性負荷及び交流電源間に直列に接続され、誘導性負荷を駆動するための負荷電圧を、前記交流電源の電源電圧から調整出力するMERSと、所望の負荷電圧を、前記電源電圧から調整出力させるべく、MERSを駆動制御する制御装置とを備えた技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
MERSは、直列に相互接続された一方側の2個の逆導通型半導体スイッチ及び、直列に相互接続された他方側の2個の逆導通型半導体スイッチで構成するブリッジ回路と、前記一方側の逆導通型半導体スイッチ間の中点及び前記他方側の逆導通型半導体スイッチ間の中点を接続するコンデンサとを有し、前記制御装置は、前記電源電圧の零クロスポイント及び、この零クロスポイントを基準にした時間差に相当するゲート位相角を調整可能にし、このゲート位相角に基づき、前記ブリッジ回路を構成する4個の逆導通型半導体スイッチの内、対角線上に位置するペアの逆導通型半導体スイッチを同時にON又はOFFするON/OFFタイミングを調整制御するものである。
【0004】
また、MERSは、ON/OFFタイミングに応じて、2組の逆導通型半導体スイッチのペアの内、一方のペアの逆導通型半導体スイッチをONした場合、他方のペアの逆導通型半導体スイッチをOFFするように、各ペアの逆導通型半導体スイッチを交互にON/OFF制御し、各逆導通型半導体スイッチのON/OFF動作及び、このON/OFF動作に伴うコンデンサの充放電動作に応じて、所望の負荷電圧を、電源電圧から調整出力するものである。
【0005】
特許文献1の交流電源装置によれば、前記ゲート位相角を調整することで、前記MERS内の各逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整し、同ON/OFFタイミングに応じた各逆導通型半導体スイッチのON/OFF動作及び、このON/OFF動作に伴うコンデンサの充放電動作に応じて、所望の負荷電圧を、前記電源電圧から調整出力することで、この調整出力された所望の負荷電圧に応じて誘導性負荷を駆動することができる。
【0006】
また、特許文献1の交流電源装置によれば、図14に示すように逆導通型半導体スイッチS1,S2,S3及びS4のON/OFF動作の他に、ON/OFF動作に伴うコンデンサの充放電動作に応じて、電源電圧Vから所望の負荷電圧Vloadを調整出力することになるが、一方のペアの逆導通型半導体スイッチS1,S3のONタイミングからOFFタイミングまでのON継続期間X内でコンデンサ電圧Vcが放電しきる零ボルト区間があることで逆導通型半導体スイッチS1,S3が零ボルト状態からスイッチングを開始する零ボルトスイッチングを実現すると共に、同様に、他方のペアの逆導通型半導体スイッチS2,S4のON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間があることで逆導通型半導体スイッチS2,S4の零ボルトスイッチングを実現するものである。
【特許文献1】特許第3735673号公報(「特許請求の範囲」及び段落番号「0014」〜「0015」参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の交流電源装置によれば、図15に示すように、ON/OFFタイミングを調整するゲート位相角αの調整過程でON継続期間X内にコンデンサ電圧Vcが放電しきれない、すなわち、零ボルト区間が存在しないオフセット異常が発生する場合があるが、このようなオフセット異常が発生した場合、零ボルトスイッチングを実現することができないため、逆導通型半導体スイッチがハードスイッチングとなるためスイッチング損失が生じる虞がある。
【0008】
また、上記特許文献1の交流電源装置によれば、誘導性負荷として放電灯を採用し、放電灯を減光方向に調光する際、減光方向にゲート位相角αを調整することになるため、ON継続期間X内にコンデンサ電圧Vcが放電しきれない、すなわち零ボルト区間が存在しないオフセット異常が発生する場合があるが、このようなオフセット異常が発生した場合、零ボルトスイッチングを実現することができず、しかも、電源電圧Vloadを負荷電圧Vloadとして出力することができないため、前記コンデンサ電圧Vcがオフセット異常になって放電灯に点灯チラツキや立ち消えが生じる虞がある。
【0009】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、零ボルトスイッチングが実現できない要因となる、磁気エネルギー回生スイッチ(MERS)内部のコンデンサ電圧のオフセット異常を迅速に検出することができる交流電源装置を提供することにある。
【0010】
さらに本発明の目的とするところは、放電灯の点灯チラツキや立ち消えの要因となる、磁気エネルギー回生スイッチ(MERS)内部のコンデンサ電圧のオフセット異常を迅速に検出することができる交流電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本願請求項1記載の交流電源装置は、誘導性負荷及び交流電源間に接続され、前記誘導性負荷を駆動するための負荷電圧を、前記交流電源の電源電圧から調整出力する磁気エネルギー回生スイッチと、この磁気エネルギー回生スイッチを駆動制御する制御装置とを備え、前記磁気エネルギー回生スイッチは、複数の逆導通型半導体スイッチと、これら複数の逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングに応じて充放電動作を実行するコンデンサとを有し、前記制御装置は、前記ON/OFFタイミングに応じた前記逆導通型半導体スイッチのON/OFF動作及び、前記ON/OFF動作に伴う前記コンデンサの充放電動作に応じて、前記電源電圧から所望の負荷電圧を調整出力すべく、前記磁気エネルギー回生スイッチを駆動制御する交流電源装置であって、前記制御装置は、前記逆導通型半導体スイッチをONするONタイミングから、このON中の逆同通型半導体スイッチをOFFするOFFタイミングまでのON継続期間内の前記コンデンサのコンデンサ電圧を継続検出するコンデンサ電圧継続検出手段と、このコンデンサ電圧継続検出手段の検出結果に基づき、同ON継続期間内に継続検出した前記コンデンサ電圧内に零ボルト区間があるか否かを判定する零ボルト区間有無判定手段と、この零ボルト区間有無判定手段にて前記ON継続期間内に零ボルト区間がない場合、前記コンデンサのオフセット異常と判断するオフセット異常認識手段とを有するようにした。
【0012】
従って、本願請求項1記載の交流電源装置によれば、前記磁気エネルギー回生スイッチ内部の逆導通型半導体スイッチのON継続期間内のコンデンサ電圧を継続検出し、同ON継続期間内のコンデンサ電圧内に零ボルト区間がない場合、同コンデンサのオフセット異常と判断するようにしたので、例えば逆導通型半導体スイッチの零ボルトスイッチングを実現することができない要因となるコンデンサのオフセット異常を迅速に検出することができる。
【0013】
また、本願請求項2記載の交流電源装置は、本願請求項1記載の構成において、前記オフセット異常認識手段にて前記コンデンサのオフセット異常と判断されると、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧内に前記零ボルト区間を発生させるべく、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整するタイミング調整手段を有するようにした。
【0014】
従って、本願請求項2記載の交流電源装置によれば、本願請求項1記載の効果に加えて、前記コンデンサのオフセット異常と判断されると、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧内に前記零ボルト区間を発生させるべく、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整するようにしたので、オフセット異常が発生したとしても、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整することでON継続期間内にコンデンサ電圧が放電しきる零ボルト区間を発生させて、オフセット異常を解消することができ、その結果、逆導通型半導体スイッチの零ボルトスイッチングを実現することでスイッチング損失を解消することができる。
【0015】
また、本願請求項3記載の交流電源装置は、本願請求項2記載の構成において、前記磁気エネルギー回生スイッチは、前記電源電圧の零クロスポイント及び、前記零クロスポイントを基準にした時間差に相当するゲート位相角に基づき、前記逆導通型半導体スイッチの前記ON/OFFタイミングを調整する構成とし、前記タイミング調整手段は、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧内に零ボルト区間を発生させるべく、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整する前記ゲート位相角を設定する位相角設定手段に相当するようにした。
【0016】
従って、本願請求項3記載の交流電源装置によれば、本願請求項2記載の効果に加えて、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧内に前記零ボルト区間を発生させるべく、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整する前記ゲート位相角を設定するようにしたので、オフセット異常が発生したとしても、前記ゲート位相角を調整して前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整することでON継続期間内にコンデンサ電圧が放電しきる零ボルト区間を発生させて、オフセット異常を解消することができ、その結果、逆導通型半導体スイッチの零ボルトスイッチングを実現することでスイッチング損失を解消することができる。
【0017】
また、本願請求項4記載の交流電源装置は、本願請求項2又は3記載の構成において、前記タイミング調整手段にて前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整した後、前記コンデンサ電圧継続検出手段を通じて、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧の継続検出を再開するようにした。
【0018】
従って、本願請求項4記載の交流電源装置によれば、本願請求項3記載の効果に加えて、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整した後、前記コンデンサ電圧継続検出手段を通じて、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧の継続検出を再開するようにしたので、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミング調整、前記コンデンサ電圧の継続検出、前記零ボルト区間の継続監視、前記ON/OFFタイミング調整を、前記オフセット異常が解消できるまで繰り返し実行することで、オフセット異常を確実に解消することができる。
【0019】
また、本願請求項5記載の交流電源装置は、本願請求項1,2,3又は4記載の構成において、前記誘導性負荷は、前記負荷電圧に応じて点灯する放電灯とした。
【0020】
従って、本願請求項5記載の交流電源装置によれば、本願請求項1,2,3又は4記載の効果に加えて、前記誘導性負荷は前記負荷電圧に応じて点灯する放電灯としたので、例えば放電灯の点灯チラツキや立ち消えの要因となるオフセット異常を迅速に検出することができる。
【発明の効果】
【0021】
上記のように構成された本発明の交流電源装置によれば、前記磁気エネルギー回生スイッチ内部の逆導通型半導体スイッチのON継続期間内のコンデンサ電圧を継続検出し、同ON継続期間内のコンデンサ電圧内に零ボルト区間がない場合、同コンデンサのオフセット異常と判断するようにしたので、逆導通型半導体スイッチの零ボルトスイッチングを実現することができない要因となるコンデンサのオフセット異常を迅速に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づき本発明の交流電源装置に関わる実施の形態を示す蛍光灯システムについて説明する。
【0023】
図1は本実施の形態を示す蛍光灯システム内部の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示す蛍光灯システム1は、誘導性負荷の放電灯に相当する蛍光灯2と、電源電圧Vを供給する交流電源3と、蛍光灯2及び交流電源3間に直列接続され、交流電源3の電源電圧Vから蛍光灯2へ印加する負荷電圧Vloadを調整出力するMERS4と、蛍光灯2のON/OFFは勿論のこと、蛍光灯2の調光量を設定する調光量設定部5と、交流電源3の電源電圧Vを検出する電源電圧検出部6と、蛍光灯2への負荷電圧Vloadを検出する負荷電圧検出部7と、負荷電流を検出する負荷電流検出部8と、MERS4内部のコンデンサ電圧を検出するコンデンサ電圧検出部9と、蛍光灯2の現在調光量を測定する調光量測定部10と、交流電源3及びMERS4間の位相を検出すると共に、蛍光灯2及びMERS4間の位相を検出する位相検出部11と、様々な情報を表示する情報表示部12と、MERS4を駆動制御すると共に、蛍光灯システム1全体を制御する制御装置13とを有している。
【0025】
MERS4は、スイッチOFF時の導通方向が相互に逆向きに直列接続した第1MOSFET(以下、単に第1MOSと称する)21A及び第4MOSFET(以下、単に第4MOSと称する)24A、スイッチOFF時の導通方向が相互に逆向きに直列接続した第2MOSFET(以下、単に第2MOSと称する)22A及び第3MOSFET(第3MOSと称する)23Aで構成するブリッジ回路20と、第1MOS21A及び第4MOS24A間の中点にある端子a及び、第2MOS22A及び第3MOS23A間の中点にある端子bを接続し、各MOS21A、22A、23A及び24AのON/OFFタイミングに応じて充放電動作を実行するコンデンサ25と、交流電源3に接続する接続端子26と、蛍光灯2に接続する接続端子27とを有している。
【0026】
また、各MOS21A,22A,23A及び24Aには、ダイオードを並列に接続し、第1MOS21Aには第1ダイオード21B、第2MOS22Aには第2ダイオード22B、第3MOS23Aには第3ダイオード23B、第4MOS24Aには第4ダイオード24Bを並列接続している。
【0027】
また、制御装置13は、交流電源3の電源電圧Vの零クロスポイント及び、この零クロスポイントを基準にした時間差に相当するゲート位相角αに基づくON/OFFタイミングに応じて、ブリッジ回路20を構成する各MOS21A,22A,23A及び24Aの内、対角線上に位置する第1MOS21A及び第3MOS23Aを同時にON(又はOFF)動作すると共に、第2MOS22A及び第4MOS24Aを同時にOFF(又はON)動作すべく、MERS4を駆動制御するものである。その結果、一方の第1MOS21A及び第3MOS23Aが同時にONした場合、他方の第2MOS22A及び第4MOS24Aが同時にOFFするのに対し、一方の第1MOS21A及び第3MOS23Aが同時にOFFした場合、他方の第2MOS22A及び第4MOS24Aが同時にONし、交互にON/OFFするものである。尚、第1MOS21A、第2MOS22A、第3MOS23A及び第4MOS24Aは、設定に応じて同時にOFFする期間(デッドタイム)や同時にONする期間を設けるようにしても良い。
【0028】
また、制御装置13は、MERS4内の第1MOS21A、第2MOS22A、第3MOS23A及び第4MOS24AのゲートG1,G2,G3及びG4をON/OFF制御するゲート駆動信号を出力するゲート位相制御部41を備え、ゲート位相制御部41は、調光量設定部5で設定した調光量に相当する負荷電圧VloadをMERS4で調整出力させるべく、同調光量に相当する負荷電圧Vloadに対応したゲート位相角αを算出し、この算出したゲート位相角αを設定したゲート駆動信号を出力するものである。
【0029】
また、MERS4は、ゲート駆動信号に応じて、同ゲート駆動信号に含むゲート位相角αに基づき、第1MOS21A、第2MOS22A,第3MOS23A及び第4MOS24AをON/OFF動作し、これら各MOS21A、22A、23A及び24AのON/OFF動作及び、これらON/OFF動作に伴うコンデンサ25の充放電動作に応じて、蛍光灯2へ印加する負荷電圧Vloadを交流電源3の電源電圧Vから調整出力し、蛍光灯2は、負荷電圧Vloadに応じた調光量で点灯するものである。尚、当然ながら、MERS4は、負荷電圧Vloadの調整に応じて負荷電力を調整し、同負荷電力の調整に応じて調光量を調整するものである。
【0030】
また、調光量設定部5は、蛍光灯2の消灯(OFF)は勿論のこと、蛍光灯2の点灯(ON)、例えば調光量100%、すなわち定格電圧1.0相当の通常点灯から調光量約70%、すなわち定格電圧0.7相当の範囲内で所定調光量相当の定格電圧の割合を設定するものである。
【0031】
また、調光量測定部10は、蛍光灯2の現在調光量、例えば蛍光灯2の明るさを直接測定する光センサに相当するものである。尚、調光量測定部10としては、光センサを使用せず、例えばMERS4の入力電力や出力電力を測定し、この測定結果から逆算して間接的に蛍光灯2の現在調光量を測定するようにしても良いことは言うまでもない。
【0032】
また、制御装置13は、調光量測定部10を通じて蛍光灯2の現在調光量を測定し、現在調光量が設定調光量となるように、MERS4を駆動制御するものである。
【0033】
また、位相検出部11は、交流電源3の電源電圧Vの位相を検出し、この電源電圧Vの位相を位相情報としてゲート位相制御部41に通知するものである。
【0034】
ゲート位相制御部41は、位相検出部11からの電源電圧Vの位相情報に基づき、ゲート駆動信号をMERS4の各MOS21A,22A,23A及び24A側のゲートG1,G2,G3及びG4に供給し、その結果、ゲート駆動信号ONに応じてMOSのゲートをON動作することでソース及びドレイン間の接続をONすると共に、ゲート駆動信号OFFに応じてMOSのゲートをOFF動作することでソース及びドレイン間の接続をOFFするものである。
【0035】
各MOS21A,22A,23A及び24Aは、ゲート駆動信号ONに応じてソース及びドレイン間の接続をONした場合、電流Iを両方向に導通可能とするのに対し、ゲート駆動信号OFFに応じてソース及びドレイン間の接続をOFFした場合、ダイオード21B,22B,23B,24Bを通じて電流Iをダイオード順方向の一方向にのみ導通可能とするものである。
【0036】
また、MERS4は、第1MOS21A及び第3MOS23Aへのゲート駆動信号ONに応じて第1MOS21A及び第3MOS23A側のソース及びドレイン間の接続をONすると同時に、第2MOS22A及び第4MOS24Aへのゲート駆動信号OFFに応じて第2MOS22A及び第4MOS24A側のソース及びドレイン間の接続をOFFするものである。
【0037】
また、同様に、MERS4は、第2MOS22A及び第4MOS24Aへのゲート駆動信号ONに応じて第2MOS22A及び第4MOS24A側のソース及びドレイン間の接続をONすると同時に、第1MOS21A及び第3MOS23Aへのゲート駆動信号OFFに応じて第1MOS21A及び第3MOS23A側のソース及びドレイン間の接続をOFFするものである。
【0038】
つまり、第1MOS21A及び第3MOS23Aは同一方向のスイッチ極性、第2MOS22A及び第4MOS24Aは同一方向のスイッチ極性を備え、第1MOS21A及び第3MOS23Aのスイッチ極性は、第2MOS22A及び第4MOS24Aのスイッチ極性と逆方向となる。
【0039】
では、まず、MERS4の基本原理について説明する。図2は交流電源3の電源電圧VとMERS4を駆動制御するゲート駆動信号との関係を端的に示すタイミング説明図である。
【0040】
図2(a)は交流電源3が供給する電源電圧Vの時間的な変化を示し、電源電圧Vは、定格電圧の正電圧+Va及び定格電圧の負電圧−Vaを1周期Tとした正弦波である。尚、説明の便宜上、負電圧から正電圧へ移行する零クロスポイント(周期“0”)のタイミングを“t2”、次の正電圧から負電圧へ移行する零クロスポイント(周期“T/2”=180°)のタイミングを“t4”、更に次の負電圧から正電圧へ再び移行する零クロスポイント(周期“T”=360°)のタイミングを“t7”とする。
【0041】
図2(b)及び(c)はゲート位相角αに応じた第1MOS21A、第2MOS22A、第3MOS23A及び第4MOS24Aへのゲート駆動信号を端的に示すタイミング説明図である。尚、図2(a)乃至図2(c)は同一時間軸に相当するものである。
【0042】
図2(b)はゲート位相角αを0°<α≦90°に設定した場合のゲート駆動信号を端的に示し、第1MOS21A及び第3MOS23AをOFFからONするタイミングを、電源電圧Vの零クロスポイント(周期“0”)のタイミング“t2”を基準に、同タイミング“t2”からαだけ位相を進めたタイミング“t1”とした場合、同タイミング“t1”から電源電圧Vの半周期T/2後のタイミング“t3”を、第1MOS21A及び第3MOS23AをONからOFFするタイミングとするものである。尚、第2MOS22A及び第4MOS24Aのスイッチング位相は、第1MOS21A及び第3MOS23Aとは逆相となるため、タイミング“t1”では第2MOS22A及び第4MOS24AをONからOFFするタイミングに相当し、タイミング“t3”では第2MOS22A及び第4MOS24AをOFFからONするタイミングに相当するものである。
【0043】
また、図2(c)はゲート位相角αを90°<α<180°に設定した場合のゲート駆動信号を端的に示し、第1MOS21A及び第3MOS23AをOFFからONするタイミングを、電源電圧Vの零クロスポイント(周期“0”)のタイミング“t2”を基準に、同タイミング“t2”からαだけ位相を進めたタイミング“t0”とした場合、同タイミング“t0”から電源電圧Vの半周期T/2後のタイミング“t2y”を、第1MOS21A及び第3MOS23AをONからOFFするタイミングとするものである。尚、タイミング“t0”では第2MOS22A及び第4MOS24AをONからOFFするタイミングに相当し、タイミング“t2y”では第2MOS22A及び第4MOS24AをOFFからONするタイミングに相当するものである。
【0044】
また、図示せぬが、ゲート位相角αをα=180°に設定した場合、電源電圧Vが正電圧の場合、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち第2MOS22A及び第4MOS24AがON、電源電圧Vが負電圧の場合、第1MOS21A及び第3MOS23AがON、すなわち第2MOS22A及び第4MOS24AがOFFである。
【0045】
また、同様に図示せぬが、ゲート位相角αをα=0°に設定した場合、電源電圧V及びゲート駆動信号は同期し、電源電圧Vが正電圧の場合、第1MOS21A及び第3MOS23AがON、すなわち第2MOS22A及び第4MOS24AがOFF、また、電源電圧Vが負電圧の場合、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち第2MOS22A及び第4MOS24AがONである。
【0046】
図3はゲート位相角αを(α=0°)に設定した場合に関わるMERS4の内部動作を端的に示す説明図である。
【0047】
MERS4は、交流電源3の電源電圧Vが正電圧の場合、図3(a)に示すように、第1MOS21A及び第3MOS23AがONで導通状態、第2MOS22A及び第4MOS24AがOFF、すなわち第2ダイオード22B及び第4ダイオード24Bが順方向で導通状態となるため、コンデンサ25の両端が短絡状態となる。その結果、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0048】
また、MERS4は、交流電源3の電源電圧Vが負電圧の場合、図3(b)に示すように、第2MOS22A及び第4MOS24AがONで導通状態、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが順方向で導通状態となるため、コンデンサ25の両端が短絡状態となる。その結果、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0049】
つまり、MERS4は、ゲート位相角をα=0°に設定した場合、電源電圧Vが、そのまま、蛍光灯2に対する負荷電圧Vloadとなるため、交流電源3及び蛍光灯2間にMERS4を配置しない場合と同じである。
【0050】
次にゲート位相角αを0°<α≦90°に設定した場合のMERS4の内部動作について説明する。図4はゲート位相角(0°<α≦90°)に設定した場合の電源電圧V、ゲート駆動信号、コンデンサ電圧Vc及び負荷電圧Vload(点線)の関係を端的に示す説明図、図5乃至図6はゲート位相角(0°<α≦90°)に設定した場合に関わるMERS4の内部動作を端的に示す説明図である。
【0051】
MERS4は、図4に示すように、ゲート位相角αに設定したゲート駆動信号に応じて第1MOS21A及び第3MOS23Aと、第2MOS22A及び第4MOS24Aとを交互にON/OFF駆動するものである。
【0052】
タイミング“t1”直前においてMERS4は、電源電圧Vが負電圧のため、図5(a)に示すように、第2MOS22A及び第4MOS24AがONで導通状態、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが順方向で導通状態となるため、コンデンサ25の両端が短絡状態となる。その結果、第1ダイオード21B→第4MOS24A、第2MOS22A→第3ダイオード23Bの電流経路で、コンデンサ25のコンデンサ電圧Vcは0Vを保持、電源電圧Vが、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0053】
次にMERS4は、電源電圧Vが負電圧のまま、タイミング“t1”に到達すると、図5(b)に示すように、第1MOS21A及び第3MOS23AがONで導通状態、第2MOS22A及び第4MOS24AがOFF、すなわち、第2MOS22A、第2ダイオード22B、第4MOS24A及び第4ダイオード24Bの電流経路は遮断状態となる。尚、第1MOS21A及び第3MOS23Aは、OFFからON動作するに際し、第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが導通状態であるため、スイッチング損失が生じることなく、零ボルトスイッチングを実現している。
【0054】
その結果、タイミング“t1”〜“t2”の最初の期間においてMERS4は、第1MOS21A→コンデンサ25→第3MOS23Aの経路で電流が流れて、コンデンサ25の充電動作を開始し、コンデンサ電圧Vcは上昇することになる。
【0055】
更に負荷電圧Vloadは、図4に示すように、電源電圧Vに90°までの進み位相でコンデンサ電圧Vcが重畳されることになるため、負荷電圧Vloadの負電圧の減少は更に加速され、電源電圧Vの周期0°に到達するタイミング“t2”前、すなわち、電源電圧Vが負電圧であるにもかかわらず、負荷電圧Vloadは正電圧に反転することになる。
【0056】
その結果、MERS4内の負荷電流は徐々に減少して電流の向きが反転して(図5(b)内の点線電流方向参照)、コンデンサ25の放電を開始し、コンデンサ電圧Vcは、第3MOS23A→コンデンサ25→第1MOS21Aの電流経由で放電することになる。
【0057】
次にMERS4は、タイミング“t2”に到達して、電源電圧Vが正電圧に反転した場合、図5(c)に示すように、第3MOS23A→コンデンサ25→第1MOS21Aの経路でコンデンサ25の放電を継続することになる。
【0058】
更にMERS4は、タイミング“t2x”に到達すると、放電中のコンデンサ25のコンデンサ電圧Vcが0Vとなるため、図6(a)に示すように、OFF中の第2MOS22A及び第4MOS24A側の第2ダイオード22B及び第4ダイオード24Bは順方向で導通状態となり、コンデンサ25の両端が短絡状態となるため、タイミング“t2x”〜“t3”の期間では、第4ダイオード24B→第1MOS21A、第3MOS23A→第2ダイオード22Bの電流経路で、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0059】
次にMERS4は、電源電圧Vが正電圧のまま、タイミング“t3”に到達すると、図6(b)に示すように、第2MOS22A及び第4MOS24AがONで導通状態、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち、第1MOS21A、第1ダイオード21B、第3MOS23A及び第3ダイオード23Bの電流経路は遮断状態となる。尚、第2MOS22A及び第4MOS24Aは、OFFからON動作するに際し、第2ダイオード22B及び第4ダイオード24Bが導通状態であるため、スイッチング損失が生じることなく、零ボルトスイッチングを実現している。
【0060】
その結果、タイミング“t3”〜“t4”の最初の期間においてMERS4は、第4MOS24A→コンデンサ25→第2MOS22Aの経路で電流が流れて、コンデンサ25の充電動作を開始し、コンデンサ電圧Vcは上昇することになる。
【0061】
更に負荷電圧Vloadは、電源電圧Vに90°までの進み位相でコンデンサ電圧Vcが重畳されることになるため、負荷電圧Vloadの正電圧の減少は更に加速し、電源電圧Vの周期180°に到達するタイミング“t4”前、すなわち、電源電圧Vが正電圧であるにもかかわらず、負荷電圧Vloadは、負電圧に反転することになる。
【0062】
その結果、MERS4内の負荷電流は徐々に減少して電流の向きが反転して(図6(b)内の点線矢印参照)、コンデンサ25の放電を開始し、コンデンサ電圧Vcは、第2MOS22A→コンデンサ25→第4MOS24Aの経由で放電することになる。
【0063】
次にMERS4は、タイミング“t4”に到達して、電源電圧Vが負電圧に反転した場合、図6(c)に示すように、第2MOS22A→コンデンサ25→第4MOS24Aの経路でコンデンサ25の放電を継続することになる。
【0064】
更にMERS4は、タイミング“t4x”に到達すると、放電中のコンデンサ25のコンデンサ電圧Vcが0Vとなるため、図5(a)に示すように、OFF中の第1MOS21A及び第3MOS23A側の第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bは順方向で導通状態となり、コンデンサ25の両端が短絡状態となるため、タイミング“t4x”〜“t6”の期間では、第1ダイオード21B→第4MOS24A、第2MOS22A→第3ダイオード23Bの電流経路で、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0065】
そして、MERS4は、タイミング“t6”以降、前述したタイミング“t1”〜“t6”の処理動作を繰り返し継続することになる。
【0066】
従って、MERS4は、ゲート位相角を0°<α≦90°に設定した場合、誘導性負荷の蛍光灯2による遅れ力率に対してコンデンサ電圧Vcを進み位相で電源電圧Vに重畳することになるため、ゲート位相角αを進めるに連れて力率が改善され、負荷電圧Vload(Vload=V+Vc)が上昇し、その結果、負荷電力も上昇することになる。
【0067】
尚、MERS4内のコンデンサ25の容量及びゲート位相角αのタイミングに応じてコンデンサ25の充電から放電に反転するタイミングは異なる場合があることは言うまでもない。
【0068】
次にゲート位相角αを90°<α<180°に設定した場合のMERS4の内部動作について説明する。図7はゲート位相角(90°<α<180°)に設定した場合の電源電圧V、ゲート駆動信号、コンデンサ電圧Vc及び負荷電圧Vload(点線)の関係を端的に示す説明図、図8乃至図10はゲート位相角(90°<α<180°)に設定した場合に関わるMERS4の内部動作を端的に示す説明図である。
【0069】
MERS4は、図7に示すように、ゲート位相角αに設定したゲート駆動信号に応じて第1MOS21A及び第3MOS23Aと、第2MOS22A及び第4MOS24Aとを交互にON/OFF駆動するものである。
【0070】
タイミング“t0”直前においてMERS4は、電源電圧Vが負電圧のため、図8(a)に示すように、第2MOS22A及び第4MOS24AがONで導通状態、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが順方向で導通状態となるため、コンデンサ25の両端が短絡状態となる。その結果、第1ダイオード21B→第4MOS24A、第2MOS22A→第3ダイオード23Bの電流経路で、コンデンサ25のコンデンサ電圧Vcは0Vを保持、電源電圧Vが、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0071】
次にMERS4は、電源電圧Vが負電圧のまま、タイミング“t0”に到達すると、図8(b)に示すように、第1MOS21A及び第3MOS23AがONで導通状態、第2MOS22A及び第4MOS24AがOFF、すなわち、第2MOS22A、第2ダイオード22B、第4MOS24A及び第4ダイオード24Bの電流経路は遮断状態となる。尚、第1MOS21A及び第3MOS23Aは、OFFからON動作するに際し、第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが導通状態であるため、スイッチング損失が生じることなく、零ボルトスイッチングを実現している。
【0072】
その結果、タイミング“t0”〜“t1x”の最初の期間においてMERS4は、第1MOS21A→コンデンサ25→第3MOS23Aの経路で電流が流れて、コンデンサ25の充電動作を開始し、コンデンサ電圧Vcは上昇することになる。
【0073】
更に負荷電圧Vloadは、電源電圧Vに90°を超えて進み位相でコンデンサ電圧Vcが重畳されることになるため、図7に示すように、電源電圧Vがピークの負電圧になる前に、逆電圧方向でコンデンサ電圧Vcが重畳されることになるため、負荷電圧Vloadは電源電圧Vに比較して減少する。その結果、タイミング“t0”〜“t1x”間では、電源電圧Vが負電圧であるにもかかわらず、負荷電圧Vloadは負電圧から正電圧に反転することになる。
【0074】
その結果、MERS4内のコンデンサ25に流れる負荷電流の向きが反転して(図8(b)内の点線電流方向参照)、コンデンサ25の放電を開始し、コンデンサ電圧Vcは、第3MOS23A→コンデンサ25→第1MOS21Aの電流経路で放電することになる。
【0075】
次にMERS4は、タイミング“t1x”に到達すると、コンデンサ25のコンデンサ電圧Vcが0V、さらに、タイミング“t2”に到達すると、電源電圧Vが正電圧に反転することになる。尚、これらタイミング“t1x”〜タイミング“t2”の期間は、電源電圧Vの位相が0Vに近く、しかも、コンデンサ電圧Vcが0Vとなるため、負荷電圧Vloadは、電源電圧Vのピーク値に比較して0Vに近い電圧となる。図7に示す波形例では電源電圧Vが正電圧に反転するタイミング“t2”の前にコンデンサ電圧Vcが0Vとなるものである。
【0076】
また、MERS4は、タイミング“t1x”に到達すると、コンデンサ25の放電継続に応じてコンデンサ電圧Vcが0Vとなるため、図8(c)に示すように、OFF中の第2MOS22A及び第4MOS24A側の第2ダイオード22B及び第4ダイオード24Bが順方向で導通状態となり、コンデンサ25の両端が短絡状態となるため、タイミング“t1x”〜“t2”の期間では、第4ダイオード21B→第1MOS21A、第3MOS23A→第2ダイオード22Bの電流経路で、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0077】
次にMERS4は、タイミング“t2”に到達して、電源電圧Vが正電圧に反転すると、図9(a)に示すように、第2ダイオード22B及び第4ダイオード24Bは順方向で導通状態となり、コンデンサ25の両端が短絡状態となるため、タイミング“t2”〜“t2y”の期間では、第4ダイオード24B→第1MOS21A、第3MOS23A→第2ダイオード22Bの電流経路で、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0078】
次にMERS4は、電源電圧Vが正電圧のまま、タイミング“t2y”に到達すると、図9(b)に示すように、第2MOS22A及び第4MOS24AがONで導通状態、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち、第1MOS21A、第1ダイオード21B、第3MOS23A及び第3ダイオード23Bの電流経路は遮断状態となる。尚、第2MOS22A及び第4MOS24Aは、OFFからON動作するに際し、第2ダイオード22B及び第4ダイオード24Bが導通状態であるため、スイッチング損失が生じることなく、零ボルトスイッチングを実現している。
【0079】
その結果、タイミング“t2y”〜“t3x”の最初の期間においてMERS4は、第4MOS24A→コンデンサ25→第2MOS22Aの経路で電流が流れて、コンデンサ25の充電動作を開始し、コンデンサ電圧Vcは上昇することになる。
【0080】
更に負荷電圧Vloadは、電源電圧Vに90°を超えて進み位相でコンデンサ電圧Vcが重畳されることになるため、図7に示すように、電源電圧Vがピークの正電圧になる前に、逆電圧方向でコンデンサ電圧Vcが重畳されることになるため、負荷電圧Vloadは電源電圧Vに比較して減少する。その結果、タイミング“t2y”〜“t3x”間では、電源電圧Vが正電圧であるにもかかわらず、負荷電圧Vloadは正電圧から負電圧に反転することになる。
【0081】
その結果、MERS4内のコンデンサ25に流れる負荷電流の向きが反転して(図9(b)内の点線電流方向参照)、コンデンサ25の放電を開始し、コンデンサ電圧Vcは、第2MOS22A→コンデンサ25→第4MOS24Aの電流経路で放電することになる。
【0082】
次にMERS4は、タイミング“t3x”に到達すると、コンデンサ25のコンデンサ電圧Vcが0V、さらに、タイミング“t4”に到達すると、電源電圧Vが負電圧に反転することになる。尚、これらタイミング“t3x”〜タイミング“t4”の期間は、電源電圧Vの位相が0Vに近く、しかも、コンデンサ電圧Vcが0Vとなるため、負荷電圧Vloadは、電源電圧Vのピーク値に比較して0Vに近い電圧となる。図7に示す波形例では電源電圧Vが負電圧に反転するタイミング“t4”の前にコンデンサ電圧Vcが0Vとなるものである。
【0083】
MERS4は、タイミング“t3x”に到達すると、コンデンサ25の放電継続に応じてコンデンサ電圧Vcが0Vとなるため、図9(c)に示すように、OFF中の第1MOS21A及び第3MOS23A側の第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが順方向で導通状態となり、コンデンサ25の両端が短絡状態となるため、タイミング“t3x”〜“t4”の期間では、第1ダイオード21B→第4MOS24A、第2MOS22A→第3ダイオード23Bの電流経路で、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0084】
更にMERS24は、タイミング“t4”に到達すると、電源電圧Vが負電圧に反転し、図10に示すように、第2MOS22A及び第4MOS24AがONで導通状態、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが順方向で導通状態となるため、コンデンサ25の両端が短絡状態となる。その結果、第1ダイオード21B→第4MOS24A、第2MOS22A→第3ダイオード23Bの電流経路で、コンデンサ25のコンデンサ電圧Vcは0Vを保持、電源電圧Vが、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0085】
つまり、MERS4は、タイミング“t4”以降、前述したタイミング“t0”〜“t4”の処理動作を繰り返し継続することになる。
【0086】
従って、MERS4は、ゲート位相角を90°<α<180°に設定した場合、誘導性負荷の蛍光灯2に対してコンデンサ電圧Vcを更に90°を超えた進み位相で電源電圧Vに、コンデンサ電圧Vcを逆電圧方向に重畳することになるため、ゲート位相角αを進めるに連れて力率が低下し、負荷電圧Vload(Vload=V−Vc)が減少し、その結果、負荷電力も減少することになる。
【0087】
尚、ここまで、ゲート位相角αを変化させた場合のMERS4の基本原理について説明してきたが、次に本願発明の主眼であるMERSオフセット異常回復処理について詳細に説明する。
【0088】
MERSオフセット異常回復処理とは、図12に示すように、第1MOS21A及び第3MOS23A(又は第2MOS22A及び第4MOS24A)のONタイミングからOFFタイミングまでのON継続期間X内のMERS4のコンデンサ25のコンデンサ電圧Vcに零ボルト区間が存在しないオフセット異常を検出すると、図13に示すように、同オフセット異常を解消、すなわちON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcに零ボルト区間が存在する正常状態に回復させるための処理である。
【0089】
制御装置13は、ゲート位相制御部41を通じて第1MOS21A及び第3MOS23A(第2MOS22A及び第4MOS24A)が同時ONするONタイミングを検出するONタイミング検出部42と、ゲート位相制御部41を通じて第1MOS21A及び第3MOS23A(第2MOS22A及び第4MOS24A)が同時OFFするOFFタイミングを検出するOFFタイミング検出部43と、ONタイミング検出部42にて第1MOS21A及び第3MOS23A(第2MOS22A及び第4MOS24A)のONタイミングを検出すると、コンデンサ電圧検出部9を通じてコンデンサ電圧Vcの継続検出を開始し、OFFタイミング検出部43にて第1MOS21A及び第3MOS23A(第2MOS22A及び第4MOS24A)のOFFタイミングを検出すると、コンデンサ電圧Vcの継続検出を停止することで、第1MOS21A及び第3MOS23A(第2MOS22A及び第4MOS24A)のON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcを継続検出するコンデンサ電圧継続監視部44と、このコンデンサ電圧継続監視部44にて継続検出したON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間があるか否かを判定する零ボルト区間有無判定部45と、この零ボルト区間有無判定部45にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、コンデンサ電圧Vcのオフセット異常と判断し、このON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間を発生させるべく、各MOS21A,22A,23A及び24AのON/OFFタイミングを調整するようにゲート位相角αをゲート位相制御部41に設定するゲート位相角調整設定部46とを有している。
【0090】
零ボルト区間有無判定部45は、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間があるか否かを判定し、図13に示すように、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がある場合、ON継続期間X内にコンデンサ電圧Vcの放電しきった状態で正常と判断するものである。
【0091】
また、零ボルト区間有無判定部45は、図12に示すように、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、ON継続期間X内にコンデンサ電圧Vcの放電しきれない状態、すなわちオフセット異常と判断するものである。
【0092】
ゲート位相角調整設定部46は、零ボルト区間有無判定部45にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、MOS21A,22A,23A及び24AのON/OFFタイミングを調整するゲート位相角αをゲート位相制御部41内に設定するものであって、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間を発生する方向、すなわち現在設定中のゲート位相角αを所定角度(例えば1°)単位で減算し、この減算したゲート位相角αをゲート位相制御部41に設定するものである。
【0093】
また、ゲート位相角調整設定部46は、零ボルト区間有無判定部45にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がないと判定される度に、現在設定中のゲート位相角αを1°単位で減算し、この減算したゲート位相角αをゲート位相制御部41に設定するゲート位相角αの調整設定動作を実行し、零ボルト区間有無判定部45にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間があると判定されるまで、ゲート位相角αの調整設定動作を繰り返し実行するものである。
【0094】
尚、請求項記載の交流電源装置は蛍光灯システム1、誘導性負荷は蛍光灯2、交流電源は交流電源3、磁気エネルギー回生スイッチはMERS4、制御装置は制御装置13、逆導通型半導体スイッチは第1MOS21A,第2MOS22A、第3MOS23A及び第4MOS24A、コンデンサはコンデンサ25、コンデンサ電圧継続検出手段はコンデンサ電圧検出部9、ONタイミング検出部42、OFFタイミング検出部43及びコンデンサ電圧継続監視部44、零ボルト区間有無判定手段は零ボルト区間有無判定部45、オフセット異常認識手段は零ボルト区間有無判定部45、タイミング調整手段及び位相角設定手段はゲート位相制御部41及びゲート位相角調整設定部46、放電灯は蛍光灯2に相当するものである。
【0095】
次に本実施の形態を示す蛍光灯システム1の動作について説明する。図11は本実施の形態を示す蛍光灯システム1のMERSオフセット異常回復処理に関わる制御装置13の処理動作を示すフローチャートである。
【0096】
図11に示すMERSオフセット異常回復処理は、MERS4のON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、MERS4のコンデンサ25のオフセット異常と判断し、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間を発生させる方向にゲート位相角を調整設定することで、オフセット異常を解消するための処理である。
【0097】
図11において制御装置13内のコンデンサ電圧継続監視部44は、ONタイミング検出部42を通じて一対のMOS(第1MOS21A及び第3MOS23A、又は第2MOS22A及び第4MOS24A)が同時にONするONタイミングを検出したか否かを判定する(ステップS11)。
【0098】
コンデンサ電圧継続監視部44は、ONタイミング検出部42にてONタイミングを検出すると、コンデンサ電圧検出部8を通じてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcの継続検出を開始し(ステップS12)、OFFタイミング検出部43を通じて、ステップS11にてONタイミングを検出したMOS(第1MOS21A及び第3MOS23A、又は第2MOS22A及び第4MOS24A)が同時にOFFするOFFタイミングを検出したか否かを判定する(ステップS13)。
【0099】
コンデンサ電圧継続監視部44は、OFFタイミング検出部43にてOFFタイミングを検出すると、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcの継続検出を停止する(ステップS14)。
【0100】
制御装置13内の零ボルト区間有無判定部45は、コンデンサ電圧継続監視部44にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcの継続検出を停止すると、同ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間があるか否かを判定する(ステップS15)。
【0101】
零ボルト区間有無判定部45は、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がある場合、MERS正常と判断し、この処理動作を終了する。
【0102】
また、零ボルト区間有無判定部45は、ステップS15にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、オフセット異常と判断する(ステップS16)。
【0103】
制御装置13内のゲート位相角調整設定部46は、ステップS16にてオフセット異常と判断されると、現在設定中のゲート位相角αを所定角度(例えば1°)単位で減算し、この減算したゲート位相角αをゲート位相制御部41に設定し(ステップS17)、MOSのONタイミングを検出すべく、ステップS11に移行する。
【0104】
尚、ゲート位相制御部41は、ゲート位相角調整設定部46にて設定したゲート位相角αに基づき、第1MOS21A、第2MOS22A、第3MOS23A及び第4MOS24AのON/OFFタイミングを調整することになる。
【0105】
その結果、ゲート位相角調整設定部46は、ステップS17の所定角度単位で現在設定中のゲート位相角αを減算し、この減算したゲート位相角αをゲート位相制御部41に設定することで、図12に示す矢印方向にON/OFFタイミングを調整し、最終的に、図13に示すようにON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間が発生するまで、ステップS11乃至ステップS17までの処理動作を繰り返し実行し、ステップS15にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間があると判定されると、オフセット異常が解消したことになる。
【0106】
また、コンデンサ電圧継続監視部44は、ステップS13にてMOSのOFFタイミングを検出するまで、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcの検出を継続すべく、ステップS12に移行する。
【0107】
図11に示すMERSオフセット異常復旧処理によれば、MERS4のON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、MERS4のコンデンサ25のオフセット異常と判断し、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間を発生させる方向にゲート位相角αを調整設定してMOSのON/OFFタイミングを調整することで、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Va内に零ボルト区間を発生させ、その結果、オフセット異常を解消することができる。
【0108】
本実施の形態によれば、MERS4内部のON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcを継続検出し、同ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、同コンデンサのオフセット異常と判断するようにしたので、MOSの零ボルトスイッチングを実現することができない要因となるコンデンサ25のオフセット異常を迅速に検出することができる。
【0109】
また、本実施の形態によれば、コンデンサ25のオフセット異常と判断されると、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間を発生させるべく、ゲート位相角αを調整設定することでMOSのON/OFFタイミングを調整するようにしたので、オフセット異常が発生したとしても、ゲート位相角αを調整してON/OFFタイミングを調整することでON継続期間X内にコンデンサ電圧Vcが放電しきる零ボルト区間を発生させて、オフセット異常を解消することができ、その結果、MOSの零ボルトスイッチングを実現することでスイッチング損失を解消し、蛍光灯2の点灯チラツキや立ち消えを確実に防止することができる。
【0110】
また、本実施の形態によれば、ゲート位相角調整設定部46にてゲート位相制御部41を通じてMOSのON/OFFタイミングを調整した後、コンデンサ電圧継続監視部44を通じて、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcの継続検出を再開するようにしたので、MOSのON/OFFタイミング調整、コンデンサ電圧Vcの継続検出、零ボルト区間の継続監視、ON/OFFタイミング調整を、オフセット異常が解消できるまで繰り返し実行することで、オフセット異常を確実に解消することができる。
【0111】
尚、本実施の形態においては、誘導性負荷として蛍光灯2を例にあげて説明したが、L成分を備えた負荷であれば良く、例えばモータ等であっても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の交流電源装置によれば、磁気エネルギー回生スイッチ内部の逆導通型半導体スイッチのON継続期間内のコンデンサ電圧を継続検出し、同ON継続期間内のコンデンサ電圧内に零ボルト区間がない場合、同コンデンサのオフセット異常と判断するようにしたので、逆導通型半導体スイッチの零ボルトスイッチングを実現することができない要因となるコンデンサのオフセット異常を迅速に検出することができるため、磁気エネルギー回生スイッチを使用して、例えば蛍光灯を調光する蛍光灯システムに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の交流電源装置に関わる実施の形態を示す蛍光灯システム内部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に関わる交流電源の電源電圧とMERSを制御するゲート駆動信号との関係を端的に示すタイミング説明図である。(a)電源電圧のタイミング説明図(b)ゲート位相角(0°<α≦90°)設定時のゲート駆動信号のタイミング説明図(c)ゲート位相角(90°<α<180°)設定時のゲート駆動信号のタイミング説明図
【図3】ゲート位相角(α=0°)設定時に関わるMERS内部の動作を端的に示す説明図である。
【図4】ゲート位相角(0°<α≦90°)設定時に関わる電源電圧、ゲート駆動信号、コンデンサ電圧及び負荷電圧との関係を端的に示す説明図である。
【図5】ゲート位相角(0°<α≦90°)設定時に関わるMERS内部の動作を端的に示す説明図である。
【図6】ゲート位相角(0°<α≦90°)設定時に関わるMERS内部の動作を端的に示す説明図である。
【図7】ゲート位相角(90°<α<180°)設定時に関わる電源電圧、ゲート駆動信号、コンデンサ電圧及び負荷電圧との関係を端的に示す説明図である。
【図8】ゲート位相角(90°<α<180°)設定時に関わるMERS内部の動作を端的に示す説明図である。
【図9】ゲート位相角(90°<α<180°)設定時に関わるMERS内部の動作を端的に示す説明図である。
【図10】ゲート位相角(90°<α<180°)設定時に関わるMERS内部の動作を端的に示す説明図である。
【図11】本実施の形態を示す蛍光灯システムのMERS異常回復処理に関わる制御装置内部の処理動作を示すフローチャートである。
【図12】本実施の形態を示す蛍光灯システム1のオフセット異常時の電源電圧、コンデンサ電圧、負荷電圧及びゲート駆動信号(ON/OFFタイミング)との関係を端的に示す説明図である。
【図13】本実施の形態を示す蛍光灯システム1のオフセット異常回復時(正常時)の電源電圧、コンデンサ電圧、負荷電圧及びゲート駆動信号(ON/OFFタイミング)との関係を端的に示す説明図である。
【図14】一般的なMERSのオフセット異常時の電源電圧、コンデンサ電圧、負荷電圧及びゲート駆動信号(ON/OFFタイミング)との関係を端的に示す説明図である。
【図15】一般的なMERSの正常時の電源電圧、コンデンサ電圧、負荷電圧及びゲート駆動信号(ON/OFFタイミング)との関係を端的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0114】
1 蛍光灯システム(交流電源装置)
2 蛍光灯(誘導性負荷及び放電灯)
3 交流電源
4 MERS(磁気エネルギー回生スイッチ)
9 コンデンサ電圧検出部(コンデンサ電圧継続検出手段)
13 制御装置
21A 第1MOS(逆導通型半導体スイッチ)
22A 第2MOS(逆導通型半導体スイッチ)
23A 第3MOS(逆導通型半導体スイッチ)
24A 第4MOS(逆導通型半導体スイッチ)
25 コンデンサ
41 ゲート位相制御部(タイミング調整手段及び位相角設定手段)
42 ONタイミング検出部(コンデンサ電圧継続検出手段)
43 OFFタイミング検出部(コンデンサ電圧継続検出手段)
44 コンデンサ電圧継続監視部(コンデンサ電圧継続検出手段)
45 零ボルト区間有無判定部(零ボルト区間有無判定手段及びオフセット異常認識手段)
46 ゲート位相角調整設定部(タイミング調整手段及び位相角設定手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば蛍光灯等の放電灯やモータ等の誘導性負荷及び交流電源間に接続され、前記誘導性負荷を駆動するための負荷電圧を、前記交流電源の電源電圧から調整出力する磁気エネルギー回生スイッチ(以下、単にMERSと称する)と、前記誘導性負荷を駆動するための所望の負荷電圧を、前記電源電圧から調整出力させるべく、MERSを駆動制御する制御装置とを備えた交流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような交流電源装置としては、誘導性負荷及び交流電源間に直列に接続され、誘導性負荷を駆動するための負荷電圧を、前記交流電源の電源電圧から調整出力するMERSと、所望の負荷電圧を、前記電源電圧から調整出力させるべく、MERSを駆動制御する制御装置とを備えた技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
MERSは、直列に相互接続された一方側の2個の逆導通型半導体スイッチ及び、直列に相互接続された他方側の2個の逆導通型半導体スイッチで構成するブリッジ回路と、前記一方側の逆導通型半導体スイッチ間の中点及び前記他方側の逆導通型半導体スイッチ間の中点を接続するコンデンサとを有し、前記制御装置は、前記電源電圧の零クロスポイント及び、この零クロスポイントを基準にした時間差に相当するゲート位相角を調整可能にし、このゲート位相角に基づき、前記ブリッジ回路を構成する4個の逆導通型半導体スイッチの内、対角線上に位置するペアの逆導通型半導体スイッチを同時にON又はOFFするON/OFFタイミングを調整制御するものである。
【0004】
また、MERSは、ON/OFFタイミングに応じて、2組の逆導通型半導体スイッチのペアの内、一方のペアの逆導通型半導体スイッチをONした場合、他方のペアの逆導通型半導体スイッチをOFFするように、各ペアの逆導通型半導体スイッチを交互にON/OFF制御し、各逆導通型半導体スイッチのON/OFF動作及び、このON/OFF動作に伴うコンデンサの充放電動作に応じて、所望の負荷電圧を、電源電圧から調整出力するものである。
【0005】
特許文献1の交流電源装置によれば、前記ゲート位相角を調整することで、前記MERS内の各逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整し、同ON/OFFタイミングに応じた各逆導通型半導体スイッチのON/OFF動作及び、このON/OFF動作に伴うコンデンサの充放電動作に応じて、所望の負荷電圧を、前記電源電圧から調整出力することで、この調整出力された所望の負荷電圧に応じて誘導性負荷を駆動することができる。
【0006】
また、特許文献1の交流電源装置によれば、図14に示すように逆導通型半導体スイッチS1,S2,S3及びS4のON/OFF動作の他に、ON/OFF動作に伴うコンデンサの充放電動作に応じて、電源電圧Vから所望の負荷電圧Vloadを調整出力することになるが、一方のペアの逆導通型半導体スイッチS1,S3のONタイミングからOFFタイミングまでのON継続期間X内でコンデンサ電圧Vcが放電しきる零ボルト区間があることで逆導通型半導体スイッチS1,S3が零ボルト状態からスイッチングを開始する零ボルトスイッチングを実現すると共に、同様に、他方のペアの逆導通型半導体スイッチS2,S4のON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間があることで逆導通型半導体スイッチS2,S4の零ボルトスイッチングを実現するものである。
【特許文献1】特許第3735673号公報(「特許請求の範囲」及び段落番号「0014」〜「0015」参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の交流電源装置によれば、図15に示すように、ON/OFFタイミングを調整するゲート位相角αの調整過程でON継続期間X内にコンデンサ電圧Vcが放電しきれない、すなわち、零ボルト区間が存在しないオフセット異常が発生する場合があるが、このようなオフセット異常が発生した場合、零ボルトスイッチングを実現することができないため、逆導通型半導体スイッチがハードスイッチングとなるためスイッチング損失が生じる虞がある。
【0008】
また、上記特許文献1の交流電源装置によれば、誘導性負荷として放電灯を採用し、放電灯を減光方向に調光する際、減光方向にゲート位相角αを調整することになるため、ON継続期間X内にコンデンサ電圧Vcが放電しきれない、すなわち零ボルト区間が存在しないオフセット異常が発生する場合があるが、このようなオフセット異常が発生した場合、零ボルトスイッチングを実現することができず、しかも、電源電圧Vloadを負荷電圧Vloadとして出力することができないため、前記コンデンサ電圧Vcがオフセット異常になって放電灯に点灯チラツキや立ち消えが生じる虞がある。
【0009】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、零ボルトスイッチングが実現できない要因となる、磁気エネルギー回生スイッチ(MERS)内部のコンデンサ電圧のオフセット異常を迅速に検出することができる交流電源装置を提供することにある。
【0010】
さらに本発明の目的とするところは、放電灯の点灯チラツキや立ち消えの要因となる、磁気エネルギー回生スイッチ(MERS)内部のコンデンサ電圧のオフセット異常を迅速に検出することができる交流電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本願請求項1記載の交流電源装置は、誘導性負荷及び交流電源間に接続され、前記誘導性負荷を駆動するための負荷電圧を、前記交流電源の電源電圧から調整出力する磁気エネルギー回生スイッチと、この磁気エネルギー回生スイッチを駆動制御する制御装置とを備え、前記磁気エネルギー回生スイッチは、複数の逆導通型半導体スイッチと、これら複数の逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングに応じて充放電動作を実行するコンデンサとを有し、前記制御装置は、前記ON/OFFタイミングに応じた前記逆導通型半導体スイッチのON/OFF動作及び、前記ON/OFF動作に伴う前記コンデンサの充放電動作に応じて、前記電源電圧から所望の負荷電圧を調整出力すべく、前記磁気エネルギー回生スイッチを駆動制御する交流電源装置であって、前記制御装置は、前記逆導通型半導体スイッチをONするONタイミングから、このON中の逆同通型半導体スイッチをOFFするOFFタイミングまでのON継続期間内の前記コンデンサのコンデンサ電圧を継続検出するコンデンサ電圧継続検出手段と、このコンデンサ電圧継続検出手段の検出結果に基づき、同ON継続期間内に継続検出した前記コンデンサ電圧内に零ボルト区間があるか否かを判定する零ボルト区間有無判定手段と、この零ボルト区間有無判定手段にて前記ON継続期間内に零ボルト区間がない場合、前記コンデンサのオフセット異常と判断するオフセット異常認識手段とを有するようにした。
【0012】
従って、本願請求項1記載の交流電源装置によれば、前記磁気エネルギー回生スイッチ内部の逆導通型半導体スイッチのON継続期間内のコンデンサ電圧を継続検出し、同ON継続期間内のコンデンサ電圧内に零ボルト区間がない場合、同コンデンサのオフセット異常と判断するようにしたので、例えば逆導通型半導体スイッチの零ボルトスイッチングを実現することができない要因となるコンデンサのオフセット異常を迅速に検出することができる。
【0013】
また、本願請求項2記載の交流電源装置は、本願請求項1記載の構成において、前記オフセット異常認識手段にて前記コンデンサのオフセット異常と判断されると、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧内に前記零ボルト区間を発生させるべく、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整するタイミング調整手段を有するようにした。
【0014】
従って、本願請求項2記載の交流電源装置によれば、本願請求項1記載の効果に加えて、前記コンデンサのオフセット異常と判断されると、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧内に前記零ボルト区間を発生させるべく、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整するようにしたので、オフセット異常が発生したとしても、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整することでON継続期間内にコンデンサ電圧が放電しきる零ボルト区間を発生させて、オフセット異常を解消することができ、その結果、逆導通型半導体スイッチの零ボルトスイッチングを実現することでスイッチング損失を解消することができる。
【0015】
また、本願請求項3記載の交流電源装置は、本願請求項2記載の構成において、前記磁気エネルギー回生スイッチは、前記電源電圧の零クロスポイント及び、前記零クロスポイントを基準にした時間差に相当するゲート位相角に基づき、前記逆導通型半導体スイッチの前記ON/OFFタイミングを調整する構成とし、前記タイミング調整手段は、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧内に零ボルト区間を発生させるべく、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整する前記ゲート位相角を設定する位相角設定手段に相当するようにした。
【0016】
従って、本願請求項3記載の交流電源装置によれば、本願請求項2記載の効果に加えて、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧内に前記零ボルト区間を発生させるべく、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整する前記ゲート位相角を設定するようにしたので、オフセット異常が発生したとしても、前記ゲート位相角を調整して前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整することでON継続期間内にコンデンサ電圧が放電しきる零ボルト区間を発生させて、オフセット異常を解消することができ、その結果、逆導通型半導体スイッチの零ボルトスイッチングを実現することでスイッチング損失を解消することができる。
【0017】
また、本願請求項4記載の交流電源装置は、本願請求項2又は3記載の構成において、前記タイミング調整手段にて前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整した後、前記コンデンサ電圧継続検出手段を通じて、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧の継続検出を再開するようにした。
【0018】
従って、本願請求項4記載の交流電源装置によれば、本願請求項3記載の効果に加えて、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整した後、前記コンデンサ電圧継続検出手段を通じて、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧の継続検出を再開するようにしたので、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミング調整、前記コンデンサ電圧の継続検出、前記零ボルト区間の継続監視、前記ON/OFFタイミング調整を、前記オフセット異常が解消できるまで繰り返し実行することで、オフセット異常を確実に解消することができる。
【0019】
また、本願請求項5記載の交流電源装置は、本願請求項1,2,3又は4記載の構成において、前記誘導性負荷は、前記負荷電圧に応じて点灯する放電灯とした。
【0020】
従って、本願請求項5記載の交流電源装置によれば、本願請求項1,2,3又は4記載の効果に加えて、前記誘導性負荷は前記負荷電圧に応じて点灯する放電灯としたので、例えば放電灯の点灯チラツキや立ち消えの要因となるオフセット異常を迅速に検出することができる。
【発明の効果】
【0021】
上記のように構成された本発明の交流電源装置によれば、前記磁気エネルギー回生スイッチ内部の逆導通型半導体スイッチのON継続期間内のコンデンサ電圧を継続検出し、同ON継続期間内のコンデンサ電圧内に零ボルト区間がない場合、同コンデンサのオフセット異常と判断するようにしたので、逆導通型半導体スイッチの零ボルトスイッチングを実現することができない要因となるコンデンサのオフセット異常を迅速に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づき本発明の交流電源装置に関わる実施の形態を示す蛍光灯システムについて説明する。
【0023】
図1は本実施の形態を示す蛍光灯システム内部の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示す蛍光灯システム1は、誘導性負荷の放電灯に相当する蛍光灯2と、電源電圧Vを供給する交流電源3と、蛍光灯2及び交流電源3間に直列接続され、交流電源3の電源電圧Vから蛍光灯2へ印加する負荷電圧Vloadを調整出力するMERS4と、蛍光灯2のON/OFFは勿論のこと、蛍光灯2の調光量を設定する調光量設定部5と、交流電源3の電源電圧Vを検出する電源電圧検出部6と、蛍光灯2への負荷電圧Vloadを検出する負荷電圧検出部7と、負荷電流を検出する負荷電流検出部8と、MERS4内部のコンデンサ電圧を検出するコンデンサ電圧検出部9と、蛍光灯2の現在調光量を測定する調光量測定部10と、交流電源3及びMERS4間の位相を検出すると共に、蛍光灯2及びMERS4間の位相を検出する位相検出部11と、様々な情報を表示する情報表示部12と、MERS4を駆動制御すると共に、蛍光灯システム1全体を制御する制御装置13とを有している。
【0025】
MERS4は、スイッチOFF時の導通方向が相互に逆向きに直列接続した第1MOSFET(以下、単に第1MOSと称する)21A及び第4MOSFET(以下、単に第4MOSと称する)24A、スイッチOFF時の導通方向が相互に逆向きに直列接続した第2MOSFET(以下、単に第2MOSと称する)22A及び第3MOSFET(第3MOSと称する)23Aで構成するブリッジ回路20と、第1MOS21A及び第4MOS24A間の中点にある端子a及び、第2MOS22A及び第3MOS23A間の中点にある端子bを接続し、各MOS21A、22A、23A及び24AのON/OFFタイミングに応じて充放電動作を実行するコンデンサ25と、交流電源3に接続する接続端子26と、蛍光灯2に接続する接続端子27とを有している。
【0026】
また、各MOS21A,22A,23A及び24Aには、ダイオードを並列に接続し、第1MOS21Aには第1ダイオード21B、第2MOS22Aには第2ダイオード22B、第3MOS23Aには第3ダイオード23B、第4MOS24Aには第4ダイオード24Bを並列接続している。
【0027】
また、制御装置13は、交流電源3の電源電圧Vの零クロスポイント及び、この零クロスポイントを基準にした時間差に相当するゲート位相角αに基づくON/OFFタイミングに応じて、ブリッジ回路20を構成する各MOS21A,22A,23A及び24Aの内、対角線上に位置する第1MOS21A及び第3MOS23Aを同時にON(又はOFF)動作すると共に、第2MOS22A及び第4MOS24Aを同時にOFF(又はON)動作すべく、MERS4を駆動制御するものである。その結果、一方の第1MOS21A及び第3MOS23Aが同時にONした場合、他方の第2MOS22A及び第4MOS24Aが同時にOFFするのに対し、一方の第1MOS21A及び第3MOS23Aが同時にOFFした場合、他方の第2MOS22A及び第4MOS24Aが同時にONし、交互にON/OFFするものである。尚、第1MOS21A、第2MOS22A、第3MOS23A及び第4MOS24Aは、設定に応じて同時にOFFする期間(デッドタイム)や同時にONする期間を設けるようにしても良い。
【0028】
また、制御装置13は、MERS4内の第1MOS21A、第2MOS22A、第3MOS23A及び第4MOS24AのゲートG1,G2,G3及びG4をON/OFF制御するゲート駆動信号を出力するゲート位相制御部41を備え、ゲート位相制御部41は、調光量設定部5で設定した調光量に相当する負荷電圧VloadをMERS4で調整出力させるべく、同調光量に相当する負荷電圧Vloadに対応したゲート位相角αを算出し、この算出したゲート位相角αを設定したゲート駆動信号を出力するものである。
【0029】
また、MERS4は、ゲート駆動信号に応じて、同ゲート駆動信号に含むゲート位相角αに基づき、第1MOS21A、第2MOS22A,第3MOS23A及び第4MOS24AをON/OFF動作し、これら各MOS21A、22A、23A及び24AのON/OFF動作及び、これらON/OFF動作に伴うコンデンサ25の充放電動作に応じて、蛍光灯2へ印加する負荷電圧Vloadを交流電源3の電源電圧Vから調整出力し、蛍光灯2は、負荷電圧Vloadに応じた調光量で点灯するものである。尚、当然ながら、MERS4は、負荷電圧Vloadの調整に応じて負荷電力を調整し、同負荷電力の調整に応じて調光量を調整するものである。
【0030】
また、調光量設定部5は、蛍光灯2の消灯(OFF)は勿論のこと、蛍光灯2の点灯(ON)、例えば調光量100%、すなわち定格電圧1.0相当の通常点灯から調光量約70%、すなわち定格電圧0.7相当の範囲内で所定調光量相当の定格電圧の割合を設定するものである。
【0031】
また、調光量測定部10は、蛍光灯2の現在調光量、例えば蛍光灯2の明るさを直接測定する光センサに相当するものである。尚、調光量測定部10としては、光センサを使用せず、例えばMERS4の入力電力や出力電力を測定し、この測定結果から逆算して間接的に蛍光灯2の現在調光量を測定するようにしても良いことは言うまでもない。
【0032】
また、制御装置13は、調光量測定部10を通じて蛍光灯2の現在調光量を測定し、現在調光量が設定調光量となるように、MERS4を駆動制御するものである。
【0033】
また、位相検出部11は、交流電源3の電源電圧Vの位相を検出し、この電源電圧Vの位相を位相情報としてゲート位相制御部41に通知するものである。
【0034】
ゲート位相制御部41は、位相検出部11からの電源電圧Vの位相情報に基づき、ゲート駆動信号をMERS4の各MOS21A,22A,23A及び24A側のゲートG1,G2,G3及びG4に供給し、その結果、ゲート駆動信号ONに応じてMOSのゲートをON動作することでソース及びドレイン間の接続をONすると共に、ゲート駆動信号OFFに応じてMOSのゲートをOFF動作することでソース及びドレイン間の接続をOFFするものである。
【0035】
各MOS21A,22A,23A及び24Aは、ゲート駆動信号ONに応じてソース及びドレイン間の接続をONした場合、電流Iを両方向に導通可能とするのに対し、ゲート駆動信号OFFに応じてソース及びドレイン間の接続をOFFした場合、ダイオード21B,22B,23B,24Bを通じて電流Iをダイオード順方向の一方向にのみ導通可能とするものである。
【0036】
また、MERS4は、第1MOS21A及び第3MOS23Aへのゲート駆動信号ONに応じて第1MOS21A及び第3MOS23A側のソース及びドレイン間の接続をONすると同時に、第2MOS22A及び第4MOS24Aへのゲート駆動信号OFFに応じて第2MOS22A及び第4MOS24A側のソース及びドレイン間の接続をOFFするものである。
【0037】
また、同様に、MERS4は、第2MOS22A及び第4MOS24Aへのゲート駆動信号ONに応じて第2MOS22A及び第4MOS24A側のソース及びドレイン間の接続をONすると同時に、第1MOS21A及び第3MOS23Aへのゲート駆動信号OFFに応じて第1MOS21A及び第3MOS23A側のソース及びドレイン間の接続をOFFするものである。
【0038】
つまり、第1MOS21A及び第3MOS23Aは同一方向のスイッチ極性、第2MOS22A及び第4MOS24Aは同一方向のスイッチ極性を備え、第1MOS21A及び第3MOS23Aのスイッチ極性は、第2MOS22A及び第4MOS24Aのスイッチ極性と逆方向となる。
【0039】
では、まず、MERS4の基本原理について説明する。図2は交流電源3の電源電圧VとMERS4を駆動制御するゲート駆動信号との関係を端的に示すタイミング説明図である。
【0040】
図2(a)は交流電源3が供給する電源電圧Vの時間的な変化を示し、電源電圧Vは、定格電圧の正電圧+Va及び定格電圧の負電圧−Vaを1周期Tとした正弦波である。尚、説明の便宜上、負電圧から正電圧へ移行する零クロスポイント(周期“0”)のタイミングを“t2”、次の正電圧から負電圧へ移行する零クロスポイント(周期“T/2”=180°)のタイミングを“t4”、更に次の負電圧から正電圧へ再び移行する零クロスポイント(周期“T”=360°)のタイミングを“t7”とする。
【0041】
図2(b)及び(c)はゲート位相角αに応じた第1MOS21A、第2MOS22A、第3MOS23A及び第4MOS24Aへのゲート駆動信号を端的に示すタイミング説明図である。尚、図2(a)乃至図2(c)は同一時間軸に相当するものである。
【0042】
図2(b)はゲート位相角αを0°<α≦90°に設定した場合のゲート駆動信号を端的に示し、第1MOS21A及び第3MOS23AをOFFからONするタイミングを、電源電圧Vの零クロスポイント(周期“0”)のタイミング“t2”を基準に、同タイミング“t2”からαだけ位相を進めたタイミング“t1”とした場合、同タイミング“t1”から電源電圧Vの半周期T/2後のタイミング“t3”を、第1MOS21A及び第3MOS23AをONからOFFするタイミングとするものである。尚、第2MOS22A及び第4MOS24Aのスイッチング位相は、第1MOS21A及び第3MOS23Aとは逆相となるため、タイミング“t1”では第2MOS22A及び第4MOS24AをONからOFFするタイミングに相当し、タイミング“t3”では第2MOS22A及び第4MOS24AをOFFからONするタイミングに相当するものである。
【0043】
また、図2(c)はゲート位相角αを90°<α<180°に設定した場合のゲート駆動信号を端的に示し、第1MOS21A及び第3MOS23AをOFFからONするタイミングを、電源電圧Vの零クロスポイント(周期“0”)のタイミング“t2”を基準に、同タイミング“t2”からαだけ位相を進めたタイミング“t0”とした場合、同タイミング“t0”から電源電圧Vの半周期T/2後のタイミング“t2y”を、第1MOS21A及び第3MOS23AをONからOFFするタイミングとするものである。尚、タイミング“t0”では第2MOS22A及び第4MOS24AをONからOFFするタイミングに相当し、タイミング“t2y”では第2MOS22A及び第4MOS24AをOFFからONするタイミングに相当するものである。
【0044】
また、図示せぬが、ゲート位相角αをα=180°に設定した場合、電源電圧Vが正電圧の場合、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち第2MOS22A及び第4MOS24AがON、電源電圧Vが負電圧の場合、第1MOS21A及び第3MOS23AがON、すなわち第2MOS22A及び第4MOS24AがOFFである。
【0045】
また、同様に図示せぬが、ゲート位相角αをα=0°に設定した場合、電源電圧V及びゲート駆動信号は同期し、電源電圧Vが正電圧の場合、第1MOS21A及び第3MOS23AがON、すなわち第2MOS22A及び第4MOS24AがOFF、また、電源電圧Vが負電圧の場合、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち第2MOS22A及び第4MOS24AがONである。
【0046】
図3はゲート位相角αを(α=0°)に設定した場合に関わるMERS4の内部動作を端的に示す説明図である。
【0047】
MERS4は、交流電源3の電源電圧Vが正電圧の場合、図3(a)に示すように、第1MOS21A及び第3MOS23AがONで導通状態、第2MOS22A及び第4MOS24AがOFF、すなわち第2ダイオード22B及び第4ダイオード24Bが順方向で導通状態となるため、コンデンサ25の両端が短絡状態となる。その結果、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0048】
また、MERS4は、交流電源3の電源電圧Vが負電圧の場合、図3(b)に示すように、第2MOS22A及び第4MOS24AがONで導通状態、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが順方向で導通状態となるため、コンデンサ25の両端が短絡状態となる。その結果、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0049】
つまり、MERS4は、ゲート位相角をα=0°に設定した場合、電源電圧Vが、そのまま、蛍光灯2に対する負荷電圧Vloadとなるため、交流電源3及び蛍光灯2間にMERS4を配置しない場合と同じである。
【0050】
次にゲート位相角αを0°<α≦90°に設定した場合のMERS4の内部動作について説明する。図4はゲート位相角(0°<α≦90°)に設定した場合の電源電圧V、ゲート駆動信号、コンデンサ電圧Vc及び負荷電圧Vload(点線)の関係を端的に示す説明図、図5乃至図6はゲート位相角(0°<α≦90°)に設定した場合に関わるMERS4の内部動作を端的に示す説明図である。
【0051】
MERS4は、図4に示すように、ゲート位相角αに設定したゲート駆動信号に応じて第1MOS21A及び第3MOS23Aと、第2MOS22A及び第4MOS24Aとを交互にON/OFF駆動するものである。
【0052】
タイミング“t1”直前においてMERS4は、電源電圧Vが負電圧のため、図5(a)に示すように、第2MOS22A及び第4MOS24AがONで導通状態、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが順方向で導通状態となるため、コンデンサ25の両端が短絡状態となる。その結果、第1ダイオード21B→第4MOS24A、第2MOS22A→第3ダイオード23Bの電流経路で、コンデンサ25のコンデンサ電圧Vcは0Vを保持、電源電圧Vが、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0053】
次にMERS4は、電源電圧Vが負電圧のまま、タイミング“t1”に到達すると、図5(b)に示すように、第1MOS21A及び第3MOS23AがONで導通状態、第2MOS22A及び第4MOS24AがOFF、すなわち、第2MOS22A、第2ダイオード22B、第4MOS24A及び第4ダイオード24Bの電流経路は遮断状態となる。尚、第1MOS21A及び第3MOS23Aは、OFFからON動作するに際し、第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが導通状態であるため、スイッチング損失が生じることなく、零ボルトスイッチングを実現している。
【0054】
その結果、タイミング“t1”〜“t2”の最初の期間においてMERS4は、第1MOS21A→コンデンサ25→第3MOS23Aの経路で電流が流れて、コンデンサ25の充電動作を開始し、コンデンサ電圧Vcは上昇することになる。
【0055】
更に負荷電圧Vloadは、図4に示すように、電源電圧Vに90°までの進み位相でコンデンサ電圧Vcが重畳されることになるため、負荷電圧Vloadの負電圧の減少は更に加速され、電源電圧Vの周期0°に到達するタイミング“t2”前、すなわち、電源電圧Vが負電圧であるにもかかわらず、負荷電圧Vloadは正電圧に反転することになる。
【0056】
その結果、MERS4内の負荷電流は徐々に減少して電流の向きが反転して(図5(b)内の点線電流方向参照)、コンデンサ25の放電を開始し、コンデンサ電圧Vcは、第3MOS23A→コンデンサ25→第1MOS21Aの電流経由で放電することになる。
【0057】
次にMERS4は、タイミング“t2”に到達して、電源電圧Vが正電圧に反転した場合、図5(c)に示すように、第3MOS23A→コンデンサ25→第1MOS21Aの経路でコンデンサ25の放電を継続することになる。
【0058】
更にMERS4は、タイミング“t2x”に到達すると、放電中のコンデンサ25のコンデンサ電圧Vcが0Vとなるため、図6(a)に示すように、OFF中の第2MOS22A及び第4MOS24A側の第2ダイオード22B及び第4ダイオード24Bは順方向で導通状態となり、コンデンサ25の両端が短絡状態となるため、タイミング“t2x”〜“t3”の期間では、第4ダイオード24B→第1MOS21A、第3MOS23A→第2ダイオード22Bの電流経路で、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0059】
次にMERS4は、電源電圧Vが正電圧のまま、タイミング“t3”に到達すると、図6(b)に示すように、第2MOS22A及び第4MOS24AがONで導通状態、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち、第1MOS21A、第1ダイオード21B、第3MOS23A及び第3ダイオード23Bの電流経路は遮断状態となる。尚、第2MOS22A及び第4MOS24Aは、OFFからON動作するに際し、第2ダイオード22B及び第4ダイオード24Bが導通状態であるため、スイッチング損失が生じることなく、零ボルトスイッチングを実現している。
【0060】
その結果、タイミング“t3”〜“t4”の最初の期間においてMERS4は、第4MOS24A→コンデンサ25→第2MOS22Aの経路で電流が流れて、コンデンサ25の充電動作を開始し、コンデンサ電圧Vcは上昇することになる。
【0061】
更に負荷電圧Vloadは、電源電圧Vに90°までの進み位相でコンデンサ電圧Vcが重畳されることになるため、負荷電圧Vloadの正電圧の減少は更に加速し、電源電圧Vの周期180°に到達するタイミング“t4”前、すなわち、電源電圧Vが正電圧であるにもかかわらず、負荷電圧Vloadは、負電圧に反転することになる。
【0062】
その結果、MERS4内の負荷電流は徐々に減少して電流の向きが反転して(図6(b)内の点線矢印参照)、コンデンサ25の放電を開始し、コンデンサ電圧Vcは、第2MOS22A→コンデンサ25→第4MOS24Aの経由で放電することになる。
【0063】
次にMERS4は、タイミング“t4”に到達して、電源電圧Vが負電圧に反転した場合、図6(c)に示すように、第2MOS22A→コンデンサ25→第4MOS24Aの経路でコンデンサ25の放電を継続することになる。
【0064】
更にMERS4は、タイミング“t4x”に到達すると、放電中のコンデンサ25のコンデンサ電圧Vcが0Vとなるため、図5(a)に示すように、OFF中の第1MOS21A及び第3MOS23A側の第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bは順方向で導通状態となり、コンデンサ25の両端が短絡状態となるため、タイミング“t4x”〜“t6”の期間では、第1ダイオード21B→第4MOS24A、第2MOS22A→第3ダイオード23Bの電流経路で、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0065】
そして、MERS4は、タイミング“t6”以降、前述したタイミング“t1”〜“t6”の処理動作を繰り返し継続することになる。
【0066】
従って、MERS4は、ゲート位相角を0°<α≦90°に設定した場合、誘導性負荷の蛍光灯2による遅れ力率に対してコンデンサ電圧Vcを進み位相で電源電圧Vに重畳することになるため、ゲート位相角αを進めるに連れて力率が改善され、負荷電圧Vload(Vload=V+Vc)が上昇し、その結果、負荷電力も上昇することになる。
【0067】
尚、MERS4内のコンデンサ25の容量及びゲート位相角αのタイミングに応じてコンデンサ25の充電から放電に反転するタイミングは異なる場合があることは言うまでもない。
【0068】
次にゲート位相角αを90°<α<180°に設定した場合のMERS4の内部動作について説明する。図7はゲート位相角(90°<α<180°)に設定した場合の電源電圧V、ゲート駆動信号、コンデンサ電圧Vc及び負荷電圧Vload(点線)の関係を端的に示す説明図、図8乃至図10はゲート位相角(90°<α<180°)に設定した場合に関わるMERS4の内部動作を端的に示す説明図である。
【0069】
MERS4は、図7に示すように、ゲート位相角αに設定したゲート駆動信号に応じて第1MOS21A及び第3MOS23Aと、第2MOS22A及び第4MOS24Aとを交互にON/OFF駆動するものである。
【0070】
タイミング“t0”直前においてMERS4は、電源電圧Vが負電圧のため、図8(a)に示すように、第2MOS22A及び第4MOS24AがONで導通状態、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが順方向で導通状態となるため、コンデンサ25の両端が短絡状態となる。その結果、第1ダイオード21B→第4MOS24A、第2MOS22A→第3ダイオード23Bの電流経路で、コンデンサ25のコンデンサ電圧Vcは0Vを保持、電源電圧Vが、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0071】
次にMERS4は、電源電圧Vが負電圧のまま、タイミング“t0”に到達すると、図8(b)に示すように、第1MOS21A及び第3MOS23AがONで導通状態、第2MOS22A及び第4MOS24AがOFF、すなわち、第2MOS22A、第2ダイオード22B、第4MOS24A及び第4ダイオード24Bの電流経路は遮断状態となる。尚、第1MOS21A及び第3MOS23Aは、OFFからON動作するに際し、第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが導通状態であるため、スイッチング損失が生じることなく、零ボルトスイッチングを実現している。
【0072】
その結果、タイミング“t0”〜“t1x”の最初の期間においてMERS4は、第1MOS21A→コンデンサ25→第3MOS23Aの経路で電流が流れて、コンデンサ25の充電動作を開始し、コンデンサ電圧Vcは上昇することになる。
【0073】
更に負荷電圧Vloadは、電源電圧Vに90°を超えて進み位相でコンデンサ電圧Vcが重畳されることになるため、図7に示すように、電源電圧Vがピークの負電圧になる前に、逆電圧方向でコンデンサ電圧Vcが重畳されることになるため、負荷電圧Vloadは電源電圧Vに比較して減少する。その結果、タイミング“t0”〜“t1x”間では、電源電圧Vが負電圧であるにもかかわらず、負荷電圧Vloadは負電圧から正電圧に反転することになる。
【0074】
その結果、MERS4内のコンデンサ25に流れる負荷電流の向きが反転して(図8(b)内の点線電流方向参照)、コンデンサ25の放電を開始し、コンデンサ電圧Vcは、第3MOS23A→コンデンサ25→第1MOS21Aの電流経路で放電することになる。
【0075】
次にMERS4は、タイミング“t1x”に到達すると、コンデンサ25のコンデンサ電圧Vcが0V、さらに、タイミング“t2”に到達すると、電源電圧Vが正電圧に反転することになる。尚、これらタイミング“t1x”〜タイミング“t2”の期間は、電源電圧Vの位相が0Vに近く、しかも、コンデンサ電圧Vcが0Vとなるため、負荷電圧Vloadは、電源電圧Vのピーク値に比較して0Vに近い電圧となる。図7に示す波形例では電源電圧Vが正電圧に反転するタイミング“t2”の前にコンデンサ電圧Vcが0Vとなるものである。
【0076】
また、MERS4は、タイミング“t1x”に到達すると、コンデンサ25の放電継続に応じてコンデンサ電圧Vcが0Vとなるため、図8(c)に示すように、OFF中の第2MOS22A及び第4MOS24A側の第2ダイオード22B及び第4ダイオード24Bが順方向で導通状態となり、コンデンサ25の両端が短絡状態となるため、タイミング“t1x”〜“t2”の期間では、第4ダイオード21B→第1MOS21A、第3MOS23A→第2ダイオード22Bの電流経路で、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0077】
次にMERS4は、タイミング“t2”に到達して、電源電圧Vが正電圧に反転すると、図9(a)に示すように、第2ダイオード22B及び第4ダイオード24Bは順方向で導通状態となり、コンデンサ25の両端が短絡状態となるため、タイミング“t2”〜“t2y”の期間では、第4ダイオード24B→第1MOS21A、第3MOS23A→第2ダイオード22Bの電流経路で、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0078】
次にMERS4は、電源電圧Vが正電圧のまま、タイミング“t2y”に到達すると、図9(b)に示すように、第2MOS22A及び第4MOS24AがONで導通状態、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち、第1MOS21A、第1ダイオード21B、第3MOS23A及び第3ダイオード23Bの電流経路は遮断状態となる。尚、第2MOS22A及び第4MOS24Aは、OFFからON動作するに際し、第2ダイオード22B及び第4ダイオード24Bが導通状態であるため、スイッチング損失が生じることなく、零ボルトスイッチングを実現している。
【0079】
その結果、タイミング“t2y”〜“t3x”の最初の期間においてMERS4は、第4MOS24A→コンデンサ25→第2MOS22Aの経路で電流が流れて、コンデンサ25の充電動作を開始し、コンデンサ電圧Vcは上昇することになる。
【0080】
更に負荷電圧Vloadは、電源電圧Vに90°を超えて進み位相でコンデンサ電圧Vcが重畳されることになるため、図7に示すように、電源電圧Vがピークの正電圧になる前に、逆電圧方向でコンデンサ電圧Vcが重畳されることになるため、負荷電圧Vloadは電源電圧Vに比較して減少する。その結果、タイミング“t2y”〜“t3x”間では、電源電圧Vが正電圧であるにもかかわらず、負荷電圧Vloadは正電圧から負電圧に反転することになる。
【0081】
その結果、MERS4内のコンデンサ25に流れる負荷電流の向きが反転して(図9(b)内の点線電流方向参照)、コンデンサ25の放電を開始し、コンデンサ電圧Vcは、第2MOS22A→コンデンサ25→第4MOS24Aの電流経路で放電することになる。
【0082】
次にMERS4は、タイミング“t3x”に到達すると、コンデンサ25のコンデンサ電圧Vcが0V、さらに、タイミング“t4”に到達すると、電源電圧Vが負電圧に反転することになる。尚、これらタイミング“t3x”〜タイミング“t4”の期間は、電源電圧Vの位相が0Vに近く、しかも、コンデンサ電圧Vcが0Vとなるため、負荷電圧Vloadは、電源電圧Vのピーク値に比較して0Vに近い電圧となる。図7に示す波形例では電源電圧Vが負電圧に反転するタイミング“t4”の前にコンデンサ電圧Vcが0Vとなるものである。
【0083】
MERS4は、タイミング“t3x”に到達すると、コンデンサ25の放電継続に応じてコンデンサ電圧Vcが0Vとなるため、図9(c)に示すように、OFF中の第1MOS21A及び第3MOS23A側の第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが順方向で導通状態となり、コンデンサ25の両端が短絡状態となるため、タイミング“t3x”〜“t4”の期間では、第1ダイオード21B→第4MOS24A、第2MOS22A→第3ダイオード23Bの電流経路で、電源電圧Vは、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0084】
更にMERS24は、タイミング“t4”に到達すると、電源電圧Vが負電圧に反転し、図10に示すように、第2MOS22A及び第4MOS24AがONで導通状態、第1MOS21A及び第3MOS23AがOFF、すなわち第1ダイオード21B及び第3ダイオード23Bが順方向で導通状態となるため、コンデンサ25の両端が短絡状態となる。その結果、第1ダイオード21B→第4MOS24A、第2MOS22A→第3ダイオード23Bの電流経路で、コンデンサ25のコンデンサ電圧Vcは0Vを保持、電源電圧Vが、そのまま、負荷電圧Vloadとなる。
【0085】
つまり、MERS4は、タイミング“t4”以降、前述したタイミング“t0”〜“t4”の処理動作を繰り返し継続することになる。
【0086】
従って、MERS4は、ゲート位相角を90°<α<180°に設定した場合、誘導性負荷の蛍光灯2に対してコンデンサ電圧Vcを更に90°を超えた進み位相で電源電圧Vに、コンデンサ電圧Vcを逆電圧方向に重畳することになるため、ゲート位相角αを進めるに連れて力率が低下し、負荷電圧Vload(Vload=V−Vc)が減少し、その結果、負荷電力も減少することになる。
【0087】
尚、ここまで、ゲート位相角αを変化させた場合のMERS4の基本原理について説明してきたが、次に本願発明の主眼であるMERSオフセット異常回復処理について詳細に説明する。
【0088】
MERSオフセット異常回復処理とは、図12に示すように、第1MOS21A及び第3MOS23A(又は第2MOS22A及び第4MOS24A)のONタイミングからOFFタイミングまでのON継続期間X内のMERS4のコンデンサ25のコンデンサ電圧Vcに零ボルト区間が存在しないオフセット異常を検出すると、図13に示すように、同オフセット異常を解消、すなわちON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcに零ボルト区間が存在する正常状態に回復させるための処理である。
【0089】
制御装置13は、ゲート位相制御部41を通じて第1MOS21A及び第3MOS23A(第2MOS22A及び第4MOS24A)が同時ONするONタイミングを検出するONタイミング検出部42と、ゲート位相制御部41を通じて第1MOS21A及び第3MOS23A(第2MOS22A及び第4MOS24A)が同時OFFするOFFタイミングを検出するOFFタイミング検出部43と、ONタイミング検出部42にて第1MOS21A及び第3MOS23A(第2MOS22A及び第4MOS24A)のONタイミングを検出すると、コンデンサ電圧検出部9を通じてコンデンサ電圧Vcの継続検出を開始し、OFFタイミング検出部43にて第1MOS21A及び第3MOS23A(第2MOS22A及び第4MOS24A)のOFFタイミングを検出すると、コンデンサ電圧Vcの継続検出を停止することで、第1MOS21A及び第3MOS23A(第2MOS22A及び第4MOS24A)のON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcを継続検出するコンデンサ電圧継続監視部44と、このコンデンサ電圧継続監視部44にて継続検出したON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間があるか否かを判定する零ボルト区間有無判定部45と、この零ボルト区間有無判定部45にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、コンデンサ電圧Vcのオフセット異常と判断し、このON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間を発生させるべく、各MOS21A,22A,23A及び24AのON/OFFタイミングを調整するようにゲート位相角αをゲート位相制御部41に設定するゲート位相角調整設定部46とを有している。
【0090】
零ボルト区間有無判定部45は、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間があるか否かを判定し、図13に示すように、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がある場合、ON継続期間X内にコンデンサ電圧Vcの放電しきった状態で正常と判断するものである。
【0091】
また、零ボルト区間有無判定部45は、図12に示すように、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、ON継続期間X内にコンデンサ電圧Vcの放電しきれない状態、すなわちオフセット異常と判断するものである。
【0092】
ゲート位相角調整設定部46は、零ボルト区間有無判定部45にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、MOS21A,22A,23A及び24AのON/OFFタイミングを調整するゲート位相角αをゲート位相制御部41内に設定するものであって、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間を発生する方向、すなわち現在設定中のゲート位相角αを所定角度(例えば1°)単位で減算し、この減算したゲート位相角αをゲート位相制御部41に設定するものである。
【0093】
また、ゲート位相角調整設定部46は、零ボルト区間有無判定部45にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がないと判定される度に、現在設定中のゲート位相角αを1°単位で減算し、この減算したゲート位相角αをゲート位相制御部41に設定するゲート位相角αの調整設定動作を実行し、零ボルト区間有無判定部45にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間があると判定されるまで、ゲート位相角αの調整設定動作を繰り返し実行するものである。
【0094】
尚、請求項記載の交流電源装置は蛍光灯システム1、誘導性負荷は蛍光灯2、交流電源は交流電源3、磁気エネルギー回生スイッチはMERS4、制御装置は制御装置13、逆導通型半導体スイッチは第1MOS21A,第2MOS22A、第3MOS23A及び第4MOS24A、コンデンサはコンデンサ25、コンデンサ電圧継続検出手段はコンデンサ電圧検出部9、ONタイミング検出部42、OFFタイミング検出部43及びコンデンサ電圧継続監視部44、零ボルト区間有無判定手段は零ボルト区間有無判定部45、オフセット異常認識手段は零ボルト区間有無判定部45、タイミング調整手段及び位相角設定手段はゲート位相制御部41及びゲート位相角調整設定部46、放電灯は蛍光灯2に相当するものである。
【0095】
次に本実施の形態を示す蛍光灯システム1の動作について説明する。図11は本実施の形態を示す蛍光灯システム1のMERSオフセット異常回復処理に関わる制御装置13の処理動作を示すフローチャートである。
【0096】
図11に示すMERSオフセット異常回復処理は、MERS4のON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、MERS4のコンデンサ25のオフセット異常と判断し、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間を発生させる方向にゲート位相角を調整設定することで、オフセット異常を解消するための処理である。
【0097】
図11において制御装置13内のコンデンサ電圧継続監視部44は、ONタイミング検出部42を通じて一対のMOS(第1MOS21A及び第3MOS23A、又は第2MOS22A及び第4MOS24A)が同時にONするONタイミングを検出したか否かを判定する(ステップS11)。
【0098】
コンデンサ電圧継続監視部44は、ONタイミング検出部42にてONタイミングを検出すると、コンデンサ電圧検出部8を通じてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcの継続検出を開始し(ステップS12)、OFFタイミング検出部43を通じて、ステップS11にてONタイミングを検出したMOS(第1MOS21A及び第3MOS23A、又は第2MOS22A及び第4MOS24A)が同時にOFFするOFFタイミングを検出したか否かを判定する(ステップS13)。
【0099】
コンデンサ電圧継続監視部44は、OFFタイミング検出部43にてOFFタイミングを検出すると、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcの継続検出を停止する(ステップS14)。
【0100】
制御装置13内の零ボルト区間有無判定部45は、コンデンサ電圧継続監視部44にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcの継続検出を停止すると、同ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間があるか否かを判定する(ステップS15)。
【0101】
零ボルト区間有無判定部45は、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がある場合、MERS正常と判断し、この処理動作を終了する。
【0102】
また、零ボルト区間有無判定部45は、ステップS15にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、オフセット異常と判断する(ステップS16)。
【0103】
制御装置13内のゲート位相角調整設定部46は、ステップS16にてオフセット異常と判断されると、現在設定中のゲート位相角αを所定角度(例えば1°)単位で減算し、この減算したゲート位相角αをゲート位相制御部41に設定し(ステップS17)、MOSのONタイミングを検出すべく、ステップS11に移行する。
【0104】
尚、ゲート位相制御部41は、ゲート位相角調整設定部46にて設定したゲート位相角αに基づき、第1MOS21A、第2MOS22A、第3MOS23A及び第4MOS24AのON/OFFタイミングを調整することになる。
【0105】
その結果、ゲート位相角調整設定部46は、ステップS17の所定角度単位で現在設定中のゲート位相角αを減算し、この減算したゲート位相角αをゲート位相制御部41に設定することで、図12に示す矢印方向にON/OFFタイミングを調整し、最終的に、図13に示すようにON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間が発生するまで、ステップS11乃至ステップS17までの処理動作を繰り返し実行し、ステップS15にてON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間があると判定されると、オフセット異常が解消したことになる。
【0106】
また、コンデンサ電圧継続監視部44は、ステップS13にてMOSのOFFタイミングを検出するまで、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcの検出を継続すべく、ステップS12に移行する。
【0107】
図11に示すMERSオフセット異常復旧処理によれば、MERS4のON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、MERS4のコンデンサ25のオフセット異常と判断し、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間を発生させる方向にゲート位相角αを調整設定してMOSのON/OFFタイミングを調整することで、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Va内に零ボルト区間を発生させ、その結果、オフセット異常を解消することができる。
【0108】
本実施の形態によれば、MERS4内部のON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcを継続検出し、同ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間がない場合、同コンデンサのオフセット異常と判断するようにしたので、MOSの零ボルトスイッチングを実現することができない要因となるコンデンサ25のオフセット異常を迅速に検出することができる。
【0109】
また、本実施の形態によれば、コンデンサ25のオフセット異常と判断されると、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vc内に零ボルト区間を発生させるべく、ゲート位相角αを調整設定することでMOSのON/OFFタイミングを調整するようにしたので、オフセット異常が発生したとしても、ゲート位相角αを調整してON/OFFタイミングを調整することでON継続期間X内にコンデンサ電圧Vcが放電しきる零ボルト区間を発生させて、オフセット異常を解消することができ、その結果、MOSの零ボルトスイッチングを実現することでスイッチング損失を解消し、蛍光灯2の点灯チラツキや立ち消えを確実に防止することができる。
【0110】
また、本実施の形態によれば、ゲート位相角調整設定部46にてゲート位相制御部41を通じてMOSのON/OFFタイミングを調整した後、コンデンサ電圧継続監視部44を通じて、ON継続期間X内のコンデンサ電圧Vcの継続検出を再開するようにしたので、MOSのON/OFFタイミング調整、コンデンサ電圧Vcの継続検出、零ボルト区間の継続監視、ON/OFFタイミング調整を、オフセット異常が解消できるまで繰り返し実行することで、オフセット異常を確実に解消することができる。
【0111】
尚、本実施の形態においては、誘導性負荷として蛍光灯2を例にあげて説明したが、L成分を備えた負荷であれば良く、例えばモータ等であっても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の交流電源装置によれば、磁気エネルギー回生スイッチ内部の逆導通型半導体スイッチのON継続期間内のコンデンサ電圧を継続検出し、同ON継続期間内のコンデンサ電圧内に零ボルト区間がない場合、同コンデンサのオフセット異常と判断するようにしたので、逆導通型半導体スイッチの零ボルトスイッチングを実現することができない要因となるコンデンサのオフセット異常を迅速に検出することができるため、磁気エネルギー回生スイッチを使用して、例えば蛍光灯を調光する蛍光灯システムに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の交流電源装置に関わる実施の形態を示す蛍光灯システム内部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に関わる交流電源の電源電圧とMERSを制御するゲート駆動信号との関係を端的に示すタイミング説明図である。(a)電源電圧のタイミング説明図(b)ゲート位相角(0°<α≦90°)設定時のゲート駆動信号のタイミング説明図(c)ゲート位相角(90°<α<180°)設定時のゲート駆動信号のタイミング説明図
【図3】ゲート位相角(α=0°)設定時に関わるMERS内部の動作を端的に示す説明図である。
【図4】ゲート位相角(0°<α≦90°)設定時に関わる電源電圧、ゲート駆動信号、コンデンサ電圧及び負荷電圧との関係を端的に示す説明図である。
【図5】ゲート位相角(0°<α≦90°)設定時に関わるMERS内部の動作を端的に示す説明図である。
【図6】ゲート位相角(0°<α≦90°)設定時に関わるMERS内部の動作を端的に示す説明図である。
【図7】ゲート位相角(90°<α<180°)設定時に関わる電源電圧、ゲート駆動信号、コンデンサ電圧及び負荷電圧との関係を端的に示す説明図である。
【図8】ゲート位相角(90°<α<180°)設定時に関わるMERS内部の動作を端的に示す説明図である。
【図9】ゲート位相角(90°<α<180°)設定時に関わるMERS内部の動作を端的に示す説明図である。
【図10】ゲート位相角(90°<α<180°)設定時に関わるMERS内部の動作を端的に示す説明図である。
【図11】本実施の形態を示す蛍光灯システムのMERS異常回復処理に関わる制御装置内部の処理動作を示すフローチャートである。
【図12】本実施の形態を示す蛍光灯システム1のオフセット異常時の電源電圧、コンデンサ電圧、負荷電圧及びゲート駆動信号(ON/OFFタイミング)との関係を端的に示す説明図である。
【図13】本実施の形態を示す蛍光灯システム1のオフセット異常回復時(正常時)の電源電圧、コンデンサ電圧、負荷電圧及びゲート駆動信号(ON/OFFタイミング)との関係を端的に示す説明図である。
【図14】一般的なMERSのオフセット異常時の電源電圧、コンデンサ電圧、負荷電圧及びゲート駆動信号(ON/OFFタイミング)との関係を端的に示す説明図である。
【図15】一般的なMERSの正常時の電源電圧、コンデンサ電圧、負荷電圧及びゲート駆動信号(ON/OFFタイミング)との関係を端的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0114】
1 蛍光灯システム(交流電源装置)
2 蛍光灯(誘導性負荷及び放電灯)
3 交流電源
4 MERS(磁気エネルギー回生スイッチ)
9 コンデンサ電圧検出部(コンデンサ電圧継続検出手段)
13 制御装置
21A 第1MOS(逆導通型半導体スイッチ)
22A 第2MOS(逆導通型半導体スイッチ)
23A 第3MOS(逆導通型半導体スイッチ)
24A 第4MOS(逆導通型半導体スイッチ)
25 コンデンサ
41 ゲート位相制御部(タイミング調整手段及び位相角設定手段)
42 ONタイミング検出部(コンデンサ電圧継続検出手段)
43 OFFタイミング検出部(コンデンサ電圧継続検出手段)
44 コンデンサ電圧継続監視部(コンデンサ電圧継続検出手段)
45 零ボルト区間有無判定部(零ボルト区間有無判定手段及びオフセット異常認識手段)
46 ゲート位相角調整設定部(タイミング調整手段及び位相角設定手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導性負荷及び交流電源間に接続され、前記誘導性負荷を駆動するための負荷電圧を、前記交流電源の電源電圧から調整出力する磁気エネルギー回生スイッチと、この磁気エネルギー回生スイッチを駆動制御する制御装置とを備え、前記磁気エネルギー回生スイッチは、複数の逆導通型半導体スイッチと、これら複数の逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングに応じて充放電動作を実行するコンデンサとを有し、前記制御装置は、前記ON/OFFタイミングに応じた前記逆導通型半導体スイッチのON/OFF動作及び、前記ON/OFF動作に伴う前記コンデンサの充放電動作に応じて、前記電源電圧から所望の負荷電圧を調整出力すべく、前記磁気エネルギー回生スイッチを駆動制御する交流電源装置であって、
前記制御装置は、
前記逆導通型半導体スイッチをONするONタイミングから、このON中の逆同通型半導体スイッチをOFFするOFFタイミングまでのON継続期間内の前記コンデンサのコンデンサ電圧を継続検出するコンデンサ電圧継続検出手段と、
このコンデンサ電圧継続検出手段の検出結果に基づき、同ON継続期間内に継続検出した前記コンデンサ電圧内に零ボルト区間があるか否かを判定する零ボルト区間有無判定手段と、
この零ボルト区間有無判定手段にて前記ON継続期間内に零ボルト区間がない場合、前記コンデンサのオフセット異常と判断するオフセット異常認識手段とを有することを特徴とする交流電源装置。
【請求項2】
前記オフセット異常認識手段にて前記コンデンサのオフセット異常と判断されると、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧内に前記零ボルト区間を発生させるべく、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整するタイミング調整手段を有することを特徴とする請求項1記載の交流電源装置。
【請求項3】
前記磁気エネルギー回生スイッチは、
前記電源電圧の零クロスポイント及び、この零クロスポイント基準にした時間差に相当するゲート位相角に基づき、前記逆導通型半導体スイッチの前記ON/OFFタイミングを調整する構成とし、
前記タイミング調整手段は、
前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧内に零ボルト区間を発生させるべく、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整する前記ゲート位相角を設定する位相角設定手段に相当することを特徴とする請求項2記載の交流電源装置。
【請求項4】
前記タイミング調整手段にて前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整した後、前記コンデンサ電圧継続検出手段を通じて、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧の継続検出を再開することを特徴とする請求項2又は3記載の交流電源装置。
【請求項5】
前記誘導性負荷は、
前記負荷電圧に応じて点灯する放電灯であることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の交流電源装置。
【請求項1】
誘導性負荷及び交流電源間に接続され、前記誘導性負荷を駆動するための負荷電圧を、前記交流電源の電源電圧から調整出力する磁気エネルギー回生スイッチと、この磁気エネルギー回生スイッチを駆動制御する制御装置とを備え、前記磁気エネルギー回生スイッチは、複数の逆導通型半導体スイッチと、これら複数の逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングに応じて充放電動作を実行するコンデンサとを有し、前記制御装置は、前記ON/OFFタイミングに応じた前記逆導通型半導体スイッチのON/OFF動作及び、前記ON/OFF動作に伴う前記コンデンサの充放電動作に応じて、前記電源電圧から所望の負荷電圧を調整出力すべく、前記磁気エネルギー回生スイッチを駆動制御する交流電源装置であって、
前記制御装置は、
前記逆導通型半導体スイッチをONするONタイミングから、このON中の逆同通型半導体スイッチをOFFするOFFタイミングまでのON継続期間内の前記コンデンサのコンデンサ電圧を継続検出するコンデンサ電圧継続検出手段と、
このコンデンサ電圧継続検出手段の検出結果に基づき、同ON継続期間内に継続検出した前記コンデンサ電圧内に零ボルト区間があるか否かを判定する零ボルト区間有無判定手段と、
この零ボルト区間有無判定手段にて前記ON継続期間内に零ボルト区間がない場合、前記コンデンサのオフセット異常と判断するオフセット異常認識手段とを有することを特徴とする交流電源装置。
【請求項2】
前記オフセット異常認識手段にて前記コンデンサのオフセット異常と判断されると、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧内に前記零ボルト区間を発生させるべく、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整するタイミング調整手段を有することを特徴とする請求項1記載の交流電源装置。
【請求項3】
前記磁気エネルギー回生スイッチは、
前記電源電圧の零クロスポイント及び、この零クロスポイント基準にした時間差に相当するゲート位相角に基づき、前記逆導通型半導体スイッチの前記ON/OFFタイミングを調整する構成とし、
前記タイミング調整手段は、
前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧内に零ボルト区間を発生させるべく、前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整する前記ゲート位相角を設定する位相角設定手段に相当することを特徴とする請求項2記載の交流電源装置。
【請求項4】
前記タイミング調整手段にて前記逆導通型半導体スイッチのON/OFFタイミングを調整した後、前記コンデンサ電圧継続検出手段を通じて、前記ON継続期間内の前記コンデンサ電圧の継続検出を再開することを特徴とする請求項2又は3記載の交流電源装置。
【請求項5】
前記誘導性負荷は、
前記負荷電圧に応じて点灯する放電灯であることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の交流電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−219214(P2009−219214A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58595(P2008−58595)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
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