交通情報処理システム、車載装置、交通情報処理方法及び交通情報処理プログラム
【課題】プローブデータのノイズ情報を除去することができる交通情報処理システム、車載装置、交通情報処理方法及び交通情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】現在時刻を含むプローブデータを統計する統計サーバ2において、有料道路の料金所を基準としたノイズ判定区間を走行する車両のナビゲーション装置から送信されたプローブデータを取得し、取得したプローブデータが、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブデータに含まれる現在時刻に基づき判定し、該当するプローブデータを、統計対象から除外する。
【解決手段】現在時刻を含むプローブデータを統計する統計サーバ2において、有料道路の料金所を基準としたノイズ判定区間を走行する車両のナビゲーション装置から送信されたプローブデータを取得し、取得したプローブデータが、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブデータに含まれる現在時刻に基づき判定し、該当するプローブデータを、統計対象から除外する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報処理システム、車載装置、交通情報処理方法及び交通情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の円滑な走行を支援するために、高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems)の開発が進められている。例えば、道路を走行する車両をセンサーと
みなし、車両に搭載された通信装置から現在位置や車速等を含むプローブデータを収集することにより、道路交通情報を生成するシステムが開発されている。このシステムを普及させるため、プローブデータの収集方法や統計方法等が検討されている。
【0003】
このようなシステムの一例として、特許文献1には、プローブデータから道路状況を判定するための交通情報判定区間の長さを、車両台数に応じて変更するシステムが記載されている。例えば、ある道路区間を走行する車両台数が少ない場合や、その区間を走行する車両の車速が大きい場合には上記区間を長くして、上記区間から収集するデータ数を調整し、上記区間が短すぎることによるデータのばらつきを抑制している。また、ドライバーの意図で停車している車両からのデータを除外するため、最低移動距離を予め定めた移動時間幅以上かかって走行している車両のデータをノイズ成分として除外する。
【特許文献1】特開2006−31422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記システムのノイズ除去方法では、移動時間幅の設定次第で、本来は渋滞であるのにノイズ成分として除去されたり、駐車であるのに正常なデータとして採用されてしまうことがある。例えば、有料道路の通過料金を、適用時間を指定して変更するサービスが知られているが、このサービスを利用するために料金所付近にて、通行料金が変更されるタイミングを待機する車両が多数存在する。この場合、車両の待機時間は、数分程度であると考えられる。従って、上記システム及び既存のシステムでは、そのような車両から送信されたプローブデータも統計対象のデータとして取り扱ってしまう。このため、不確かなデータを統計に用いることにより、料金所付近での走行時間が長くなり、生成される道交通情報の精度が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プローブデータのノイズ情報を除去することができる交通情報処理システム、車載装置、交通情報処理方法及び交通情報処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、時刻情報を含むプローブ情報を統計する交通情報処理システムにおいて、有料道路の料金所を基準とした道路区間を走行する車両の車載装置から送信された前記プローブ情報を取得するプローブ情報取得手段と、取得した前記プローブ情報が、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブ情報に含まれる前記時刻情報に基づき判定し、該当するプローブ情報を、統計対象から除外する判定手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の交通情報処理システムにおいて、前記プローブ情報取得手段は、料金所を通過した際の前記時刻情報を含む前記プローブ情報を取得
し、前記判定手段は、前記時刻情報が、通行料金の変更開始時刻からの経過時間が所定時間以内の時刻を示す場合に、該プローブ情報を統計対象から除外することを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の交通情報処理システムにおいて、前記プローブ情報取得手段は、前記道路区間に進入した進入時刻を含む前記プローブ情報と、前記道路区間から退出した退出時刻を含む前記プローブ情報とを取得し、前記判定手段は、前記進入時刻と前記退出時刻との間に、通行料金の変更開始時刻が含まれている場合に、該プローブ情報を統計対象から除外することを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、プローブ情報を生成して送信する車載装置において、生成したプローブ情報が、有料道路の料金所を基準とした道路区間内に属するプローブ情報であるか否かを判定する道路区間判定手段と、前記生成したプローブ情報が示す走行時刻が、通行料金の変更時刻に対応するか否かを判定し、通行料金の変更時刻に対応すると判定した際に、前記生成したプローブ情報を送信対象から除外するプローブ情報送信手段とを備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、時刻情報を含むプローブ情報を取得する制御手段を用いて、前記プローブ情報を統計する交通情報処理方法において、前記制御手段が、有料道路の料金所を基準とした道路区間を走行する車両の車載装置から送信された前記プローブ情報を取得し、取得した前記プローブ情報が、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブ情報に含まれる前記時刻情報に基づき判定し、該当するプローブ情報を、統計対象から除外することを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、時刻情報を含むプローブ情報を取得する制御手段を用いて、前記プローブ情報を統計する交通情報処理プログラムにおいて、前記制御手段を、有料道路の料金所を基準とした道路区間を走行する車両の車載装置から送信された前記プローブ情報を取得するプローブ情報取得手段と、取得した前記プローブ情報が、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブ情報に含まれる前記時刻情報に基づき判定し、該当するプローブ情報を、統計対象から除外する判定手段として機能させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、料金所を基準とした道路区間内の車両からプローブ情報を取得し、プローブ情報に含まれる時刻に基づき変更時間を待機する車両からの情報である場合には、その情報を除外する。このため、不確かな情報を除外して、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、通行料金の変更開始時刻に近い時刻がプローブ情報に含まれていた場合に、そのプローブ情報を統計対象から除外する。このため、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができるとともに、不確かな情報を除去するための処理量を軽減することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、料金所を基準とした道路区間の進入時刻及び退出時刻の間に、通行料金の変更開始時刻が含まれている場合に、そのプローブ情報を統計対象から除外するので、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができるとともに、不確かな情報を除去するための処理量を軽減することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、車載装置は、生成したプローブ情報が、有料道路の料金所を基準とした道路区間に属し、且つ通行料金の変更時刻に対応する場合に、生成したプローブ情報を送信対象から除外する。このため、不確かな情報を除外し、不要なデータ
を送信することを防止することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、料金所を基準とした道路区間内の車両からプローブ情報を取得し、プローブ情報に含まれる時刻に基づき変更時間を待機する車両からの情報である場合には、その情報を除外するので、不確かな情報を除外する。このため、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、交通情報処理プログラムに従って、料金所を基準とした道路区間内の車両からプローブ情報を取得し、プローブ情報に含まれる時刻に基づき変更時間を待機する車両からの情報である場合には、その情報を除外する。このため、不確かな情報を除外し、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図8に従って説明する。図1は、プローブ情報処理システム1を説明する模式図である。本実施形態では、プローブデータ(プローブ情報)を送信する通信装置を、車載装置としてのナビゲーション装置10に具体化している。
【0019】
車両Cに搭載されたナビゲーション装置10は、中継装置3と専用線又は公衆回線網とを介して、管理センター4に設置された交通情報処理システムとしての統計サーバ2と接続されている。ナビゲーション装置10は、プローブデータを中継装置3を介して、統計サーバ2に送信する。本実施形態の統計サーバ2は、多数のナビゲーション装置10からプローブデータを収集し、プローブデータのノイズ情報を除去した後、統計処理を行って道路交通データを生成し、各ナビゲーション装置10に配信する。
【0020】
次に、ナビゲーション装置10のハードウェア構成について、図2に従って説明する。ナビゲーション装置10は、制御部11を備えている。制御部11は、CPU12、RAM13、ROM14、車両側インターフェース(I/F)15、通信インターフェース(I/F)16、識別データ記憶部17を備えている。ROM14又は図示しない記憶部には、プローブ情報送信プログラムが格納されている。
【0021】
CPU12は、車両側I/F15を介して、GPS(Global Positioning System)受
信部30、車速センサ31及びジャイロ32から取得した検出信号に基づき、電波航法及び自律航法によって自車位置を特定する。
【0022】
また、CPU12は、車両側I/F15を介して、車両Cに搭載された電子制御装置(以下、ECU33)から、ブレーキペダルの踏込を示すオン信号等を取得する。
通信I/F16は、中継装置3に接続するためのインターフェースであって、CPU12は、この通信I/F16を介して統計サーバ2にプローブデータを送信し、統計サーバ2から道路交通データを受信する。
【0023】
識別データ記憶部17には、車両毎に付与された車両ID22が格納されている。CPU12は、プローブデータを送信する際、プローブデータに、車両固有の車両ID22を付与して送信する。
【0024】
また、ナビゲーション装置10は、内蔵ハードディスク、又は光ディスク等の外部記憶媒体からなる地理情報記憶部18から、経路ネットワークデータ(以下、経路データ19Aという)と、地図描画データ19Bとを読み出す。
【0025】
経路データ19Aは、リンクID、接続ノード、道路種別、リンクコストを有している。ノードは、交差点、インターチェンジ、道路の端点等を示すデータ要素であって、リンクは各ノードを接続するデータ要素である。
【0026】
また、地図描画データ19Bは、全国の地図を分割したメッシュ毎に格納され、道路、市街地、施設等を描画するための背景データ、道路の形状を示す道路形状データ等を有している。CPU12は、この道路形状データと走行軌跡とを照合して、自車位置を道路上に特定するマップマッチングを行う。
【0027】
CPU12は、中継装置3のデータ要求に対し、プローブデータ40を生成し、中継装置3に送信する。図3は、プローブデータ40のデータ構成を説明する概念図である。プローブデータ40は、車両ID40A、現在位置40B、走行リンク40C、時刻情報としての現在時刻40D、進行方向40E、速度40F、ブレーキフラグ40Gを有している。車両ID40Aは、識別データ記憶部17に記憶された車両ID22と同一の識別データである。現在位置40Bは、プローブデータ40を送信又は生成したときの車両Cの位置であり、走行リンク40Cは、現在位置40Bがマッピングされた道路のリンクIDである。現在時刻40Dは、プローブデータ40を送信又は生成したときの時刻である。進行方向40Eは、プローブデータ40を送信又は生成したときの車両Cの進行方向である。速度40Fは、プローブデータ40を送信又は生成したときの車速であって、車速センサ31に基づき算出された値である。ブレーキフラグ40Gは、ブレーキペダルが踏み込まれたか否かを示すフラグであって、ECU33からの取得したオン信号又はオフ信号に基づき設定されている。この他にも、プローブデータ40は、ワイパー等の稼働状況や、ABSの稼働状況等の走行情報を有していてもよい。
【0028】
また、図2に示すように、ナビゲーション装置10は、画像プロセッサ35と、音声プロセッサ36とを備えている。画像プロセッサ35は、地図描画データ19Bを読み出して、地図画面5Aをディスプレイ5に表示したり、統計サーバ2から受信した道路交通データに応じて、渋滞・混雑の有無、注意喚起ポイントへの接近等の交通案内表示を表示する。また、音声プロセッサ36は、統計サーバ2から受信した道路交通データに従って、車室に設けられたスピーカ6から、渋滞・混雑の有無、注意喚起ポイントへの接近等の案内音声を出力する。
【0029】
次に、統計サーバ2について、図4に従って説明する。統計サーバ2は、CPU21、RAM22、ROM23、通信インターフェース(I/F)24からなるコンピュータ20を備えている。また、統計サーバ2は、プローブデータ記憶部25、交通情報記憶部26及びフィルタ情報記憶部27を備えている。このコンピュータ20は、プローブ情報取得手段、判定手段及び制御手段を構成する。ROM23又は図示しない記憶部には、交通情報処理プログラムが格納されている。
【0030】
プローブデータ記憶部25には、各ナビゲーション装置10から受信したプローブデータ40が一時記憶されている。交通情報記憶部26には、プローブデータ40を統計処理して生成した道路交通データ41が格納されている。また、フィルタ情報記憶部27には、割引時間データ42が格納されている。本実施形態では、割引時間データ42には、ETC(Electronic Toll Collection system)の車載器を備えた車両を対象とした、有料
道路の割引サービスに関する情報が記憶されている。この割引サービスは、予め定めた時間帯に適用するサービスである。具体的には、割引時間データ42は、割引サービス毎に、割引開始時刻(変更開始時刻)及び割引終了時刻とからなる変更時刻を有している。
【0031】
コンピュータ20は、プローブデータ記憶部25に一時記憶されたプローブデータ40を用いて統計を行い、道路交通データ41を生成する。この統計手法は特に限定されない
が、例えば、1台の車両Cが、地点Xと地点Yとで送信したプローブデータ40を用い、地点X〜地点Yの旅行時間(所要時間)を算出する。これを各車両Cのプローブデータ40に対して繰り返し、地点X〜地点Yの平均旅行時間を算出し、道路交通データ41に含める。或いは、地点X及び地点Yで収集した各車両Cのプローブデータ40を用い、各車両Cの地点X〜地点Yの区間の速度40Fの大きさ、ブレーキフラグ40Gの頻度に応じて、地点X〜地点Y間の混雑度を判定する。そして、判定した混雑度を道路交通データ41に含める。
【0032】
次に、本実施形態の処理手順について、図5〜図8に従って説明する。本実施形態では、図8に示す有料道路Rの料金所Tの前後の地点A及び地点Cと、料金所Tがある地点Bに、各中継装置3がそれぞれ設置され、地点A〜地点Cで収集したプローブデータ40を用いて、料金所付近の道路交通データ41を生成する。ここでは、ノイズ情報を判定するための基準は、地点Bの通過時刻である。また、本実施形態では、地点Bに設置された中継装置3には、通信エリアが3〜5m程度の装置を用い、該装置をETC車載器が搭載された車両Cのみからプローブデータ40を受信するようにETC専用の料金所付近に設置してもよい。或いはETC車載器の有無を問わず、料金所Tを通過する全ての車両Cからプローブデータ40を受信するようにしてもよい。
【0033】
図5は、ナビゲーション装置10がプローブデータ40を送信する際の手順を示す。ナビゲーション装置10の制御部11は、地点Bに設置された中継装置3からデータ要求を受信すると、プローブデータ40を生成する。具体的には、まず現在位置を取得する(ステップS1−1)。このとき、現在位置がマッピングされるリンクIDを抽出し、このリンクIDを走行リンク40Cとする。また、ジャイロ32又は経路データ19Aに基づき進行方向40Eを取得する。
【0034】
さらに制御部11は、ナビゲーション装置10に内蔵されたクロック発振器又は外部ネットワークを介して、現在時刻40Dを取得する(ステップS1−2)。また、車速センサ31及びECU33から各種信号を取得して、速度、ブレーキの有無等からなる走行情報を取得する(ステップS1−3)。このとき制御部11は、車速パルスに基づく速度40Fを算出するとともに、ブレーキペダルの踏み込みの有無を示す検出信号に基づきブレーキフラグ40Gを設定する。例えばブレーキペダルが踏み込まれたと判断すると、ブレーキフラグ40Gを「1」に設定する。
【0035】
現在位置40Bや現在時刻40D、走行情報を取得すると、制御部11は、車両ID22と同一の車両ID40Aを付与し、プローブデータ40を生成する。また、生成したプローブデータ40を、通信I/F16を介してデータ要求を行った中継装置3に送信する(ステップS1−4)。
【0036】
地点Bに設置された中継装置3は、受信したプローブデータ40を統計サーバ2に送信する。統計サーバ2は、受信したプローブデータ40をプローブデータ記憶部25に一時記憶する。
【0037】
図6に示すように、統計サーバ2は、地点Bで収集したプローブデータ40に対して、ノイズ除去を行い(ステップS2−1)、ノイズ情報を除去したプローブデータ40を統計対象として統計処理を行って道路交通データ41を生成する(ステップS2−2)。このとき生成される道路交通データ41は、料金所を含む地点A〜地点Cの渋滞・混雑を示す情報でもよいし、地点A〜地点Bの区間又は地点B〜地点Cの区間の渋滞・混雑を示す情報でもよい。コンピュータ20は、道路交通データ41を生成すると、その道路交通データ41を各ナビゲーション装置10に送信する(ステップS2−3)。
【0038】
ここで、ノイズ除去処理について、図7に従って詳述する。コンピュータ20は、プローブデータ記憶部25に一時記憶されたプローブデータ40のうち、料金所T(地点B)で収集したプローブデータ40を取得する(ステップS3−1)。プローブデータ40を送信した中継装置3を判別可能な場合には、地点Bに設置された中継装置3から送信されたプローブデータ40を抽出すればよく、送信元の中継装置3を判別できない場合には、プローブデータ40に含まれる現在位置40Bが地点Bの座標であるか否かを判断してもよい。
【0039】
このように、料金所Tを基準とした区間に限定して、プローブデータ40を取得することで、料金所T付近での状況に応じたノイズ除去を行うことができる。即ち、料金所T付近のみでしか適用できない条件を適用したノイズ判断を行うことができる。
【0040】
地点Bで収集したプローブデータ40を取得すると、コンピュータ20は、プローブデータ40に含まれる現在時刻40Dと、フィルタ情報記憶部27に記憶された割引時間データ42とを照合して、プローブデータ40を送信した車両Cが、通行料金の割引が開始された直後に、地点Bを通過したか否かを判断する(ステップS3−2)。具体的には、現在時刻40Dが、割引時間データ42に含まれる割引開始時間を過ぎてから所定時間(例えば5分)以内の時刻であるか否かを判断する。
【0041】
例えば、割引サービスが、料金所Tを指定時間帯に通過する際、或いは指定時間帯に対象の有料道路を走行する際に適用される場合、割引時間データ42には、割引開始時刻として「6時」、割引終了時刻として「9時」が格納されている。複数の割引サービスがある場合、割引開始時刻及び割引終了時刻の組は、複数格納されている。コンピュータ20は、割引時間データ42に格納されている割引開始時刻のうち、もっとも現在時刻40Dに近い割引開始時刻を選択し、例えば該現在時刻40Dが、割引開始時刻「6時」を過ぎてから所定時間以内に含まれているか否かを判断する。
【0042】
現在時刻40Dが、割引開始時刻の経過後の所定時間以内に含まれており、送信元の車両Cが割引開始直後に通過したと判断した場合(ステップS3−2においてYES)、そのプローブデータ40を送信した車両Cは、割引開始時間を待機してから地点Bを通過した可能性が比較的大きい。この場合、例えば料金所Tの入口前で待機した時間だけ、地点A〜地点B、或いは地点A〜地点Cの所要時間が長くなったり、地点Aで混雑が発生していないにも関わらず、地点Aでの速度40Fが小さくなる。従って、コンピュータ20は、現在時刻40Dが、割引開始時刻の経過後の所定時間以内に含まれるプローブデータ40を、ノイズ情報とみなして統計対象から除外する(ステップS3−3)。
【0043】
一方、現在時刻40Dが、割引開始時刻の経過後の所定時間以内に含まれず、送信元の車両Cは、割引開始直後に通過した車両ではないと判断した場合(ステップS3−2においてNO)、そのプローブデータ40を統計対象に含める(ステップS3−4)。
【0044】
このように、ノイズ除去処理を行うと、図6に示すステップS2−2に戻り、公知の統計処理を行う。ここでは、ステップS3−2において統計対象となったプローブデータ40を用いて統計を行う。この統計の前にノイズ除去処理を行うことで、比較的少ないデータ数でも精度の良い道路交通データ41を生成することができるので、データ収集にかかる時間も短縮化され、道路交通データの更新頻度の向上を図ることができる。
【0045】
また、地点Bでは、ETC利用車両と、ETCを利用しない車両とが分岐するため、地点Bの中継装置3をETCを利用する車両のみからプローブデータ40を受信するように設置すると、ETCの利用車両からのプローブデータ40のみを簡単に除外することができる。
【0046】
統計処理を行うと、コンピュータ20は道路交通データ41を生成し、中継装置3を介してナビゲーション装置10に送信する(ステップS2−3)。ナビゲーション装置10は、道路交通データ41を受信し、自車位置周辺の情報であると判断すると、音声プロセッサ36を制御して、平均旅行時間、混雑情報等を通知する案内音声をスピーカ6から出力する。又は画像プロセッサ35を制御して、ディスプレイ5に交通案内表示を出力する。
【0047】
第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態では、統計サーバ2は、有料道路の料金所Tを基準としたノイズ判定区間を走行するナビゲーション装置10から送信されたプローブデータ40を取得する。また、取得したプローブデータ40が、通行料金の変更時間を待機する車両Cから送信された情報であるか否かを、該プローブデータ40に含まれる現在時刻40Dに基づき判定し、該当するプローブデータ40を統計対象から除外する。このため、不確かなデータを除外し、信頼性のあるデータを用いて統計を行うことができるので、誤差の小さい道路交通データ41を生成することができる。
【0048】
(2)第1実施形態では、統計サーバ2は、料金所Tを通過した際の現在時刻40Dを含むプローブデータ40を取得する。そして、現在時刻40Dが、通行料金の割引開始時刻を経過してから所定時間以内の時刻である場合に、該プローブデータ40を統計対象から除外する。このため、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができるとともに、処理対象のデータが料金所T付近で収集したデータであって、且つ通過時刻のみで判断するので、ノイズ情報を除去するための処理量を軽減することができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図8及び図9に従って説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態のノイズ除去の処理手順を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0050】
本実施形態では、図8に示す地点A及び地点Cにそれぞれ設置された中継装置3からのプローブデータ40を用いて、ノイズ情報の除去を行う。地点A及び地点Cは、料金所Tがある地点Bから所定距離(例えば200m)離れた地点である。尚、地点A及び地点Cは、料金所Tからの距離が互いに異なる位置にそれぞれ設定されてもよく、各料金所付近の道路形状等に応じて適宜変更する。本実施形態では、ノイズ情報を判定するための基準となる道路区間(以下、ノイズ判定区間という)が、地点A〜地点Cの区間となる。
【0051】
図9に示すように、コンピュータ20は、ノイズ判定区間で収集した同一車両のデータを抽出する(ステップS4−1)。即ち、同一の車両ID40Aを有し、地点A及び地点Cで収集したプローブデータ40を抽出する。
【0052】
次に、コンピュータ20は、ノイズ判定区間へ進入した進入時刻を取得する(ステップS4−2)。このとき、コンピュータ20は、プローブデータ40の進行方向40Eを抽出し、ノイズ判定区間での進行方向を取得する。例えば、図10に示すように、進行方向40Eが、地点Aから地点Cに向かう方向である場合、地点Aで受信したプローブデータ40の現在時刻40D「16時48分」を進入時刻とする。進行方向40Eが地点Cから地点Aに向かう方向である場合、地点Cで受信したプローブデータ40の現在時刻40Dを進入時刻とする。
【0053】
さらに、コンピュータ20は、ノイズ判定区間から退出した退出時刻を取得する(ステップS4−3)。ステップS4−2と同様に、コンピュータ20は、プローブデータ40
の進行方向40Eに基づき、ノイズ判定区間での進行方向を取得する。図10に示すように、進行方向40Eが地点Aから地点Cに向かう方向である場合、地点Cで受信したプローブデータ40の現在時刻40D「17時5分」を退出時刻とする。
【0054】
次に、コンピュータ20は、進入時刻と退出時刻との間に、割引開始時間が含まれているか否かを判断する(ステップS4−4)。コンピュータ20は、フィルタ情報記憶部27に格納された割引時間データ42の中から、ノイズ判定区間を含む道路の割引時間データ42を抽出する。例えば、進入時刻に最も近い割引開始時刻「17時」を抽出し、進入時刻と退出時刻との間に、その割引開始時刻が含まれているか否かを判断する。
【0055】
ステップS4−4において、図10に示すように進入時刻「16時48分」と退出時刻「17時5分」との間に、割引開始時刻「17時」が含まれていると判断した場合(ステップS4−4においてYES)、そのプローブデータ40を送信した車両Cは、割引開始時間を待機してから地点Bを通過した可能性が比較的大きい。このため、その該当するプローブデータ40を統計対象から除外する(ステップS4−5)。
【0056】
一方、ステップ4−4において、進入時刻と退出時刻との間に、割引開始時間が含まれていないと判断した場合(ステップS4−4においてNO)、そのプローブデータ40を統計対象に含める(ステップS4−6)。
【0057】
プローブデータ40がノイズ情報であるか否かの判定を終了すると、図6に示す統計処理(ステップS2−2)に進む。
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態に記載の(1)の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
【0058】
(3)第2実施形態では、統計サーバ2は、ノイズ判定区間に対する進入時刻を含むプローブデータ40と、ノイズ判定区間から退出した退出時刻を含むプローブデータ40を取得する。また、進入時刻と前記退出時刻との間に、通行料金の変更開始時刻が含まれているか否かを判断し、変更開始時刻が含まれている場合に、該プローブデータ40を統計対象から除外する。このため、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができるとともに、処理対象のデータが料金所T付近で収集したデータであって、且つ通過時刻のみで判断するので、ノイズ情報を除去するための処理量を軽減することができる。
【0059】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図11及び図12に従って説明する。尚、第3実施形態は、第1実施形態のノイズ除去の処理手順を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0060】
本実施形態では、図8に示す地点A及び地点Cにそれぞれ設置された中継装置3からのプローブデータ40を用いて、ノイズ情報の除去を行う。
まず、コンピュータ20は、ノイズ判定区間で収集した判定対象車両のプローブデータ40を取得する(ステップS5−1)。判定対象車両とは、プローブデータ40がノイズ情報であるか否かを判定する車両である。また、ノイズ判定区間は、地点Aから地点Cの間の区間である。具体的には、コンピュータ20は、同一の車両ID40Aを有し、地点A及び地点Cで収集したプローブデータ40を抽出する。
【0061】
次に、コンピュータ20は、比較対象車両のプローブデータ40を抽出する(ステップS5−2)。具体的には、プローブデータ記憶部25に一時記憶されたプローブデータ40のうち、判定対象車両の車両ID40Aと異なる車両ID40Aを有し、且つ地点A及び地点Cで同日のほぼ同じ時間に受信したプローブデータ40を抽出する。
【0062】
さらに、コンピュータ20は、進行方向40Eに基づき、判定対象車両及び比較対象車両がノイズ判定区間に進入した進入時刻をそれぞれ取得する(ステップS5−3)。例えば、図12(a)に示すように、判定対象車両C1の進入時刻は、「16時48分」であって、図12(b)に示すように、比較対象車両C2の進入時刻は、「16時48分」である。
【0063】
また、進行方向40Eに基づき、判定対象車両及び比較対象車両がノイズ判定区間から退出した退出時刻をそれぞれ取得する(ステップS5−4)。例えば、図12(a)に示すように、判定対象車両C1の退出時刻は、「17時5分」であって、図12(b)に示すように、比較対象車両C2の退出時刻は、「16時53分」である。
【0064】
そして、コンピュータ20は、各車両C1,C2のノイズ判定区間の所要時間ΔT1,ΔT2をそれぞれ取得する(ステップS5−5)。図12(a)の場合、判定対象車両C1の所要時間ΔT1は、17分である。
【0065】
一方、図12(b)に示すように、比較対象車両C2が地点Aを通過した時刻が「16時48分」であって、地点Cを通過した時刻が「16時53分」である場合、比較対象車両C2の所要時間ΔT2は5分である。
【0066】
次に、コンピュータ20は、所要時間ΔT1から所要時間ΔT2を減算した値が、閾値TA以下であるか否かを判断する(ステップS5−6)。閾値TAは、例えば「2分」等に設定されている。所要時間ΔT1から所要時間ΔT2を減算した値が閾値TA以下である場合には(ステップS5−6においてYES)、所要時間ΔT1,ΔT2がほぼ等しいと判断し、ステップS5−7に進む。
【0067】
一方、所要時間ΔT1から所要時間ΔT2を減算した値が閾値TA超である場合には(ステップS5−6においてNO)、図12(a)に示すように、地点Aと地点Bとの間で、車両C1が割引開始時刻を待機している可能性が比較的大きい。この場合には、その該当するプローブデータ40を統計対象から除外する(ステップS5−9)。
【0068】
ステップS5−7では、コンピュータ20は、判定対象車両C1の所要時間ΔT1と、比較対象車両C2の所要時間ΔT2とを比較した比較回数が所定回数Nに到達したか否かを判断する。例えば、所定回数Nが「3」に設定されている場合であって、比較回数が「1」の場合には、比較回数が所定回数Nに到達していないと判断して(ステップS5−7においてNO)、ステップS5−2に戻る。一方、比較対象車両C2との比較を3回行い、3回とも所要時間ΔT1が、比較対象車両C2の所要時間ΔT2とほぼ等しいと判断した場合には、ステップS5−7において比較回数が所定回数Nに到達したと判断する(ステップS5−7においてYES)。そして、判定対象のプローブデータ40を統計対象に含め(ステップS5−8)、図6に示すステップS2−2に進む。
【0069】
従って、第3実施形態によれば、第1実施形態に記載の(1)の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(4)第3実施形態では、統計サーバ2は、判定対象車両C1のノイズ判定区間に対する進入時刻を含むプローブデータ40と、ノイズ判定区間に対する退出した退出時刻を含むプローブデータ40とを取得する。また、進入時刻と退出時刻とに基づき、判定対象車両C1のノイズ判定区間の所要時間ΔT1を算出するとともに、比較対象車両C2のノイズ判定区間の所要時間ΔT2を同様に算出し、所要時間ΔT1から所要時間ΔT2を減算した値が閾値TAより大きい場合に、判定対象車両C1から送信されたプローブデータ40を統計対象から除外する。このため、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができ
る。また、他車のデータに比べて偏りのある、不確かな情報のみを除外することができる。また、処理対象のデータが料金所T付近で収集したデータであるので、ノイズ情報を除去するための処理量を軽減することができる。
【0070】
尚、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1及び第2実施形態では、ナビゲーション装置10がノイズ情報を除外するための処理を行ってもよい。この場合、ナビゲーション装置10の制御部11は、道路区間判定手段、プローブ情報送信手段を構成する。このとき、ナビゲーション装置10の地理情報記憶部18には割引時間データ42が格納されている。例えば、図13に示すように、ナビゲーション装置10の制御部11は、生成して記憶してあるプローブデータを取得する(ステップS6−1)。また、取得したプローブデータについて、有料道路の料金所を基準とした道路区間内に属するプローブデータ40であるか否かを判断する(ステップS6−2)。具体的には、プローブデータ40を生成したときの位置情報として記憶されている現在位置40Bが、料金所の位置と一致しているか否かを、図示しない施設データ、経路データ19A又は地図描画データ19Bに基づき判断する。上記道路区間に属するプローブデータである場合(ステップS6−2においてYES)、プローブデータが示す走行時刻が、通行料金の変更時刻に対応するか否かを判断する(ステップS6−3)。具体的には、プローブデータ40を生成したときの時刻として記憶されている現在時刻40Dが割引開始時間を過ぎてから所定時間(例えば5分)以内の時刻であるか否かを判断する。そして、走行時刻が、変更時刻に対応すると判断した場合(ステップS6−3においてYES)、そのプローブデータを送信対象から除外する(ステップS6−4)。一方、上記道路区間に属するプローブデータでない場合(ステップS6−2においてNO)、及び走行時刻が通行料金の変更時刻に対応しない場合(ステップS6−3においてNO)は、そのプローブデータを送信対象とする(ステップS6−5)。その後、制御部11が、プローブデータのデータ要求を受信した場合には、送信対象としたプローブデータのみを送信し、送信対象外としたプローブデータは送信しない。これにより、ナビゲーション装置10によって、不確かな情報を除外することができるとともに、不要なデータを送信することを防止できる。
【0071】
・上記実施形態では、統計サーバ2が、ノイズ除去処理を行うようにしたが、中継装置3又は統計サーバ2と中継装置3との間に介在する装置によりノイズ除去処理を行うようにしてもよい。例えば第1実施形態の場合、割引開始時刻から所定時間の間、中継装置3又は上記装置が統計サーバ2へのデータ送信を中止するようにしてもよい。この場合、中継装置3又は上記装置は、交通情報処理システムを構成する。
【0072】
・ナビゲーション装置10は、その車両CにETCの車載器が設置されているか否かを示すフラグを、プローブデータ40に含めて送信してもよい。この場合、ナビゲーション装置10には、ETC車載器が取り付けられたことを示すデータを予め登録しておく。統計サーバ2では、このETCフラグが「オン」である場合に、プローブデータ40を送信した車両CがETCの車載器を搭載した車両であると判断し、第1〜第3実施形態の方法と、送信元の車両CがETC利用車両であるか否かに基づき、そのデータがノイズ情報であるか否かを判断する。ETCフラグが「オン」であり、且つ第1〜第3実施形態の方法でノイズ情報であると判断された場合には、そのプローブデータ40を統計対象から除外する。ETCフラグが「オフ」である場合には、そのデータは、通行料金割引が適用される車両ではないため、統計対象に含める。このようにすると、ETCの車載器を搭載していない車両からのデータを除外せずに、統計対象にすることができる。
【0073】
・第1実施形態及び第3実施形態を組み合わせて、ノイズ情報の除去を行うようにしてもよい。即ち、ノイズ判定区間の所要時間ΔT1から所要時間ΔT2を減算した値が閾値TA超であるか否かを判断する第1の判断処理、及び地点Bを割引開始時刻を過ぎた後に
通過しているか否かを判断する第2の判断処理を両方行ってもよい。各判断処理の順番は特に問わない。このようにすると、不確かなデータをより的確に判断できる。
【0074】
・第2実施形態及び第3実施形態を組み合わせて、ノイズ情報の除去を行うようにしてもよい。即ち、ノイズ判定区間の所要時間ΔT1から所要時間ΔT2を減算した値が閾値TA超であるか否かを判断する第1の判断処理、及びノイズ判定区間に対する進入時刻と退出時刻との間に割引開始時刻が含まれているか否かを判断する第3の判断処理の両方を両方行ってもよい。各判断処理の順番は特に問わない。このようにすると、不確かなデータをより的確に判断できる。
【0075】
・上記実施形態では、プローブデータを送信する通信装置をナビゲーション装置10に具体化したが、車両Cに搭載される他の通信装置に具体化してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0076】
(a)請求項1に記載された交通情報処理システムにおいて、前記プローブ情報取得手段は、前記道路区間に進入した進入時刻を含む前記プローブ情報と、前記道路区間から退出した退出時刻を含む前記プローブ情報とを取得し、前記判定手段は、前記進入時刻と前記退出時刻とに基づき、判定対象の車両の前記道路区間の所要時間を算出するとともに、比較対象の車両の前記道路区間の所要時間を算出し、前記判定対象の車両の所要時間と、前記比較対象の車両の所要時間との差分に基づき、前記判定対象の車両から送信された前記プローブ情報を統計対象から除外することを特徴とする交通情報処理システム。
【0077】
従って、この(a)に記載の発明によれば、判定対象の車両の所要時間と、比較対象の車両の所要時間とを比較して、その差分に応じて、プローブ情報を統計対象から除外するので、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができるとともに、不確かな情報のみを除外することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】交通情報処理システムを説明する模式図。
【図2】ナビゲーション装置のハードウェア構成を説明するブロック図。
【図3】プローブデータのデータ構成を説明する概念図。
【図4】統計サーバのハードウェア構成を説明するブロック図。
【図5】プローブデータを送信する際の手順を示すフローチャート。
【図6】データ統計の手順を示すフローチャート。
【図7】第1実施形態のノイズ除去処理の手順を示すフローチャート。
【図8】料金所を基準としたノイズ判定区間の概念図。
【図9】第2実施形態のノイズ除去処理の手順を示すフローチャート。
【図10】第2実施形態のノイズ除去処理の手順を示す概念図。
【図11】第3実施形態のノイズ除去処理の手順を示すフローチャート。
【図12】第3実施形態のノイズ除去処理の手順を示す概念図であって、(a)は判定対象車両、(b)は比較対象車両の移動時間を示す。
【図13】別例のノイズ除去処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0079】
1…交通情報処理システム、2…交通情報処理システムとしての統計サーバ、3…交通情報処理システムを構成する中継装置、10…車載装置としてのナビゲーション装置、11…道路区間判定手段、プローブ情報送信手段としての制御部、20…プローブ情報取得手段、判定手段及び制御手段としてのコンピュータ、40…プローブ情報としてのプローブデータ、40D…時刻情報としての現在時刻、C…車両、C1…判定対象車両、C2…
比較対象車両、R…有料道路、T…料金所、ΔT1,ΔT2…所要時間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報処理システム、車載装置、交通情報処理方法及び交通情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の円滑な走行を支援するために、高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems)の開発が進められている。例えば、道路を走行する車両をセンサーと
みなし、車両に搭載された通信装置から現在位置や車速等を含むプローブデータを収集することにより、道路交通情報を生成するシステムが開発されている。このシステムを普及させるため、プローブデータの収集方法や統計方法等が検討されている。
【0003】
このようなシステムの一例として、特許文献1には、プローブデータから道路状況を判定するための交通情報判定区間の長さを、車両台数に応じて変更するシステムが記載されている。例えば、ある道路区間を走行する車両台数が少ない場合や、その区間を走行する車両の車速が大きい場合には上記区間を長くして、上記区間から収集するデータ数を調整し、上記区間が短すぎることによるデータのばらつきを抑制している。また、ドライバーの意図で停車している車両からのデータを除外するため、最低移動距離を予め定めた移動時間幅以上かかって走行している車両のデータをノイズ成分として除外する。
【特許文献1】特開2006−31422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記システムのノイズ除去方法では、移動時間幅の設定次第で、本来は渋滞であるのにノイズ成分として除去されたり、駐車であるのに正常なデータとして採用されてしまうことがある。例えば、有料道路の通過料金を、適用時間を指定して変更するサービスが知られているが、このサービスを利用するために料金所付近にて、通行料金が変更されるタイミングを待機する車両が多数存在する。この場合、車両の待機時間は、数分程度であると考えられる。従って、上記システム及び既存のシステムでは、そのような車両から送信されたプローブデータも統計対象のデータとして取り扱ってしまう。このため、不確かなデータを統計に用いることにより、料金所付近での走行時間が長くなり、生成される道交通情報の精度が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プローブデータのノイズ情報を除去することができる交通情報処理システム、車載装置、交通情報処理方法及び交通情報処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、時刻情報を含むプローブ情報を統計する交通情報処理システムにおいて、有料道路の料金所を基準とした道路区間を走行する車両の車載装置から送信された前記プローブ情報を取得するプローブ情報取得手段と、取得した前記プローブ情報が、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブ情報に含まれる前記時刻情報に基づき判定し、該当するプローブ情報を、統計対象から除外する判定手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の交通情報処理システムにおいて、前記プローブ情報取得手段は、料金所を通過した際の前記時刻情報を含む前記プローブ情報を取得
し、前記判定手段は、前記時刻情報が、通行料金の変更開始時刻からの経過時間が所定時間以内の時刻を示す場合に、該プローブ情報を統計対象から除外することを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の交通情報処理システムにおいて、前記プローブ情報取得手段は、前記道路区間に進入した進入時刻を含む前記プローブ情報と、前記道路区間から退出した退出時刻を含む前記プローブ情報とを取得し、前記判定手段は、前記進入時刻と前記退出時刻との間に、通行料金の変更開始時刻が含まれている場合に、該プローブ情報を統計対象から除外することを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、プローブ情報を生成して送信する車載装置において、生成したプローブ情報が、有料道路の料金所を基準とした道路区間内に属するプローブ情報であるか否かを判定する道路区間判定手段と、前記生成したプローブ情報が示す走行時刻が、通行料金の変更時刻に対応するか否かを判定し、通行料金の変更時刻に対応すると判定した際に、前記生成したプローブ情報を送信対象から除外するプローブ情報送信手段とを備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、時刻情報を含むプローブ情報を取得する制御手段を用いて、前記プローブ情報を統計する交通情報処理方法において、前記制御手段が、有料道路の料金所を基準とした道路区間を走行する車両の車載装置から送信された前記プローブ情報を取得し、取得した前記プローブ情報が、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブ情報に含まれる前記時刻情報に基づき判定し、該当するプローブ情報を、統計対象から除外することを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、時刻情報を含むプローブ情報を取得する制御手段を用いて、前記プローブ情報を統計する交通情報処理プログラムにおいて、前記制御手段を、有料道路の料金所を基準とした道路区間を走行する車両の車載装置から送信された前記プローブ情報を取得するプローブ情報取得手段と、取得した前記プローブ情報が、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブ情報に含まれる前記時刻情報に基づき判定し、該当するプローブ情報を、統計対象から除外する判定手段として機能させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、料金所を基準とした道路区間内の車両からプローブ情報を取得し、プローブ情報に含まれる時刻に基づき変更時間を待機する車両からの情報である場合には、その情報を除外する。このため、不確かな情報を除外して、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、通行料金の変更開始時刻に近い時刻がプローブ情報に含まれていた場合に、そのプローブ情報を統計対象から除外する。このため、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができるとともに、不確かな情報を除去するための処理量を軽減することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、料金所を基準とした道路区間の進入時刻及び退出時刻の間に、通行料金の変更開始時刻が含まれている場合に、そのプローブ情報を統計対象から除外するので、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができるとともに、不確かな情報を除去するための処理量を軽減することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、車載装置は、生成したプローブ情報が、有料道路の料金所を基準とした道路区間に属し、且つ通行料金の変更時刻に対応する場合に、生成したプローブ情報を送信対象から除外する。このため、不確かな情報を除外し、不要なデータ
を送信することを防止することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、料金所を基準とした道路区間内の車両からプローブ情報を取得し、プローブ情報に含まれる時刻に基づき変更時間を待機する車両からの情報である場合には、その情報を除外するので、不確かな情報を除外する。このため、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、交通情報処理プログラムに従って、料金所を基準とした道路区間内の車両からプローブ情報を取得し、プローブ情報に含まれる時刻に基づき変更時間を待機する車両からの情報である場合には、その情報を除外する。このため、不確かな情報を除外し、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図8に従って説明する。図1は、プローブ情報処理システム1を説明する模式図である。本実施形態では、プローブデータ(プローブ情報)を送信する通信装置を、車載装置としてのナビゲーション装置10に具体化している。
【0019】
車両Cに搭載されたナビゲーション装置10は、中継装置3と専用線又は公衆回線網とを介して、管理センター4に設置された交通情報処理システムとしての統計サーバ2と接続されている。ナビゲーション装置10は、プローブデータを中継装置3を介して、統計サーバ2に送信する。本実施形態の統計サーバ2は、多数のナビゲーション装置10からプローブデータを収集し、プローブデータのノイズ情報を除去した後、統計処理を行って道路交通データを生成し、各ナビゲーション装置10に配信する。
【0020】
次に、ナビゲーション装置10のハードウェア構成について、図2に従って説明する。ナビゲーション装置10は、制御部11を備えている。制御部11は、CPU12、RAM13、ROM14、車両側インターフェース(I/F)15、通信インターフェース(I/F)16、識別データ記憶部17を備えている。ROM14又は図示しない記憶部には、プローブ情報送信プログラムが格納されている。
【0021】
CPU12は、車両側I/F15を介して、GPS(Global Positioning System)受
信部30、車速センサ31及びジャイロ32から取得した検出信号に基づき、電波航法及び自律航法によって自車位置を特定する。
【0022】
また、CPU12は、車両側I/F15を介して、車両Cに搭載された電子制御装置(以下、ECU33)から、ブレーキペダルの踏込を示すオン信号等を取得する。
通信I/F16は、中継装置3に接続するためのインターフェースであって、CPU12は、この通信I/F16を介して統計サーバ2にプローブデータを送信し、統計サーバ2から道路交通データを受信する。
【0023】
識別データ記憶部17には、車両毎に付与された車両ID22が格納されている。CPU12は、プローブデータを送信する際、プローブデータに、車両固有の車両ID22を付与して送信する。
【0024】
また、ナビゲーション装置10は、内蔵ハードディスク、又は光ディスク等の外部記憶媒体からなる地理情報記憶部18から、経路ネットワークデータ(以下、経路データ19Aという)と、地図描画データ19Bとを読み出す。
【0025】
経路データ19Aは、リンクID、接続ノード、道路種別、リンクコストを有している。ノードは、交差点、インターチェンジ、道路の端点等を示すデータ要素であって、リンクは各ノードを接続するデータ要素である。
【0026】
また、地図描画データ19Bは、全国の地図を分割したメッシュ毎に格納され、道路、市街地、施設等を描画するための背景データ、道路の形状を示す道路形状データ等を有している。CPU12は、この道路形状データと走行軌跡とを照合して、自車位置を道路上に特定するマップマッチングを行う。
【0027】
CPU12は、中継装置3のデータ要求に対し、プローブデータ40を生成し、中継装置3に送信する。図3は、プローブデータ40のデータ構成を説明する概念図である。プローブデータ40は、車両ID40A、現在位置40B、走行リンク40C、時刻情報としての現在時刻40D、進行方向40E、速度40F、ブレーキフラグ40Gを有している。車両ID40Aは、識別データ記憶部17に記憶された車両ID22と同一の識別データである。現在位置40Bは、プローブデータ40を送信又は生成したときの車両Cの位置であり、走行リンク40Cは、現在位置40Bがマッピングされた道路のリンクIDである。現在時刻40Dは、プローブデータ40を送信又は生成したときの時刻である。進行方向40Eは、プローブデータ40を送信又は生成したときの車両Cの進行方向である。速度40Fは、プローブデータ40を送信又は生成したときの車速であって、車速センサ31に基づき算出された値である。ブレーキフラグ40Gは、ブレーキペダルが踏み込まれたか否かを示すフラグであって、ECU33からの取得したオン信号又はオフ信号に基づき設定されている。この他にも、プローブデータ40は、ワイパー等の稼働状況や、ABSの稼働状況等の走行情報を有していてもよい。
【0028】
また、図2に示すように、ナビゲーション装置10は、画像プロセッサ35と、音声プロセッサ36とを備えている。画像プロセッサ35は、地図描画データ19Bを読み出して、地図画面5Aをディスプレイ5に表示したり、統計サーバ2から受信した道路交通データに応じて、渋滞・混雑の有無、注意喚起ポイントへの接近等の交通案内表示を表示する。また、音声プロセッサ36は、統計サーバ2から受信した道路交通データに従って、車室に設けられたスピーカ6から、渋滞・混雑の有無、注意喚起ポイントへの接近等の案内音声を出力する。
【0029】
次に、統計サーバ2について、図4に従って説明する。統計サーバ2は、CPU21、RAM22、ROM23、通信インターフェース(I/F)24からなるコンピュータ20を備えている。また、統計サーバ2は、プローブデータ記憶部25、交通情報記憶部26及びフィルタ情報記憶部27を備えている。このコンピュータ20は、プローブ情報取得手段、判定手段及び制御手段を構成する。ROM23又は図示しない記憶部には、交通情報処理プログラムが格納されている。
【0030】
プローブデータ記憶部25には、各ナビゲーション装置10から受信したプローブデータ40が一時記憶されている。交通情報記憶部26には、プローブデータ40を統計処理して生成した道路交通データ41が格納されている。また、フィルタ情報記憶部27には、割引時間データ42が格納されている。本実施形態では、割引時間データ42には、ETC(Electronic Toll Collection system)の車載器を備えた車両を対象とした、有料
道路の割引サービスに関する情報が記憶されている。この割引サービスは、予め定めた時間帯に適用するサービスである。具体的には、割引時間データ42は、割引サービス毎に、割引開始時刻(変更開始時刻)及び割引終了時刻とからなる変更時刻を有している。
【0031】
コンピュータ20は、プローブデータ記憶部25に一時記憶されたプローブデータ40を用いて統計を行い、道路交通データ41を生成する。この統計手法は特に限定されない
が、例えば、1台の車両Cが、地点Xと地点Yとで送信したプローブデータ40を用い、地点X〜地点Yの旅行時間(所要時間)を算出する。これを各車両Cのプローブデータ40に対して繰り返し、地点X〜地点Yの平均旅行時間を算出し、道路交通データ41に含める。或いは、地点X及び地点Yで収集した各車両Cのプローブデータ40を用い、各車両Cの地点X〜地点Yの区間の速度40Fの大きさ、ブレーキフラグ40Gの頻度に応じて、地点X〜地点Y間の混雑度を判定する。そして、判定した混雑度を道路交通データ41に含める。
【0032】
次に、本実施形態の処理手順について、図5〜図8に従って説明する。本実施形態では、図8に示す有料道路Rの料金所Tの前後の地点A及び地点Cと、料金所Tがある地点Bに、各中継装置3がそれぞれ設置され、地点A〜地点Cで収集したプローブデータ40を用いて、料金所付近の道路交通データ41を生成する。ここでは、ノイズ情報を判定するための基準は、地点Bの通過時刻である。また、本実施形態では、地点Bに設置された中継装置3には、通信エリアが3〜5m程度の装置を用い、該装置をETC車載器が搭載された車両Cのみからプローブデータ40を受信するようにETC専用の料金所付近に設置してもよい。或いはETC車載器の有無を問わず、料金所Tを通過する全ての車両Cからプローブデータ40を受信するようにしてもよい。
【0033】
図5は、ナビゲーション装置10がプローブデータ40を送信する際の手順を示す。ナビゲーション装置10の制御部11は、地点Bに設置された中継装置3からデータ要求を受信すると、プローブデータ40を生成する。具体的には、まず現在位置を取得する(ステップS1−1)。このとき、現在位置がマッピングされるリンクIDを抽出し、このリンクIDを走行リンク40Cとする。また、ジャイロ32又は経路データ19Aに基づき進行方向40Eを取得する。
【0034】
さらに制御部11は、ナビゲーション装置10に内蔵されたクロック発振器又は外部ネットワークを介して、現在時刻40Dを取得する(ステップS1−2)。また、車速センサ31及びECU33から各種信号を取得して、速度、ブレーキの有無等からなる走行情報を取得する(ステップS1−3)。このとき制御部11は、車速パルスに基づく速度40Fを算出するとともに、ブレーキペダルの踏み込みの有無を示す検出信号に基づきブレーキフラグ40Gを設定する。例えばブレーキペダルが踏み込まれたと判断すると、ブレーキフラグ40Gを「1」に設定する。
【0035】
現在位置40Bや現在時刻40D、走行情報を取得すると、制御部11は、車両ID22と同一の車両ID40Aを付与し、プローブデータ40を生成する。また、生成したプローブデータ40を、通信I/F16を介してデータ要求を行った中継装置3に送信する(ステップS1−4)。
【0036】
地点Bに設置された中継装置3は、受信したプローブデータ40を統計サーバ2に送信する。統計サーバ2は、受信したプローブデータ40をプローブデータ記憶部25に一時記憶する。
【0037】
図6に示すように、統計サーバ2は、地点Bで収集したプローブデータ40に対して、ノイズ除去を行い(ステップS2−1)、ノイズ情報を除去したプローブデータ40を統計対象として統計処理を行って道路交通データ41を生成する(ステップS2−2)。このとき生成される道路交通データ41は、料金所を含む地点A〜地点Cの渋滞・混雑を示す情報でもよいし、地点A〜地点Bの区間又は地点B〜地点Cの区間の渋滞・混雑を示す情報でもよい。コンピュータ20は、道路交通データ41を生成すると、その道路交通データ41を各ナビゲーション装置10に送信する(ステップS2−3)。
【0038】
ここで、ノイズ除去処理について、図7に従って詳述する。コンピュータ20は、プローブデータ記憶部25に一時記憶されたプローブデータ40のうち、料金所T(地点B)で収集したプローブデータ40を取得する(ステップS3−1)。プローブデータ40を送信した中継装置3を判別可能な場合には、地点Bに設置された中継装置3から送信されたプローブデータ40を抽出すればよく、送信元の中継装置3を判別できない場合には、プローブデータ40に含まれる現在位置40Bが地点Bの座標であるか否かを判断してもよい。
【0039】
このように、料金所Tを基準とした区間に限定して、プローブデータ40を取得することで、料金所T付近での状況に応じたノイズ除去を行うことができる。即ち、料金所T付近のみでしか適用できない条件を適用したノイズ判断を行うことができる。
【0040】
地点Bで収集したプローブデータ40を取得すると、コンピュータ20は、プローブデータ40に含まれる現在時刻40Dと、フィルタ情報記憶部27に記憶された割引時間データ42とを照合して、プローブデータ40を送信した車両Cが、通行料金の割引が開始された直後に、地点Bを通過したか否かを判断する(ステップS3−2)。具体的には、現在時刻40Dが、割引時間データ42に含まれる割引開始時間を過ぎてから所定時間(例えば5分)以内の時刻であるか否かを判断する。
【0041】
例えば、割引サービスが、料金所Tを指定時間帯に通過する際、或いは指定時間帯に対象の有料道路を走行する際に適用される場合、割引時間データ42には、割引開始時刻として「6時」、割引終了時刻として「9時」が格納されている。複数の割引サービスがある場合、割引開始時刻及び割引終了時刻の組は、複数格納されている。コンピュータ20は、割引時間データ42に格納されている割引開始時刻のうち、もっとも現在時刻40Dに近い割引開始時刻を選択し、例えば該現在時刻40Dが、割引開始時刻「6時」を過ぎてから所定時間以内に含まれているか否かを判断する。
【0042】
現在時刻40Dが、割引開始時刻の経過後の所定時間以内に含まれており、送信元の車両Cが割引開始直後に通過したと判断した場合(ステップS3−2においてYES)、そのプローブデータ40を送信した車両Cは、割引開始時間を待機してから地点Bを通過した可能性が比較的大きい。この場合、例えば料金所Tの入口前で待機した時間だけ、地点A〜地点B、或いは地点A〜地点Cの所要時間が長くなったり、地点Aで混雑が発生していないにも関わらず、地点Aでの速度40Fが小さくなる。従って、コンピュータ20は、現在時刻40Dが、割引開始時刻の経過後の所定時間以内に含まれるプローブデータ40を、ノイズ情報とみなして統計対象から除外する(ステップS3−3)。
【0043】
一方、現在時刻40Dが、割引開始時刻の経過後の所定時間以内に含まれず、送信元の車両Cは、割引開始直後に通過した車両ではないと判断した場合(ステップS3−2においてNO)、そのプローブデータ40を統計対象に含める(ステップS3−4)。
【0044】
このように、ノイズ除去処理を行うと、図6に示すステップS2−2に戻り、公知の統計処理を行う。ここでは、ステップS3−2において統計対象となったプローブデータ40を用いて統計を行う。この統計の前にノイズ除去処理を行うことで、比較的少ないデータ数でも精度の良い道路交通データ41を生成することができるので、データ収集にかかる時間も短縮化され、道路交通データの更新頻度の向上を図ることができる。
【0045】
また、地点Bでは、ETC利用車両と、ETCを利用しない車両とが分岐するため、地点Bの中継装置3をETCを利用する車両のみからプローブデータ40を受信するように設置すると、ETCの利用車両からのプローブデータ40のみを簡単に除外することができる。
【0046】
統計処理を行うと、コンピュータ20は道路交通データ41を生成し、中継装置3を介してナビゲーション装置10に送信する(ステップS2−3)。ナビゲーション装置10は、道路交通データ41を受信し、自車位置周辺の情報であると判断すると、音声プロセッサ36を制御して、平均旅行時間、混雑情報等を通知する案内音声をスピーカ6から出力する。又は画像プロセッサ35を制御して、ディスプレイ5に交通案内表示を出力する。
【0047】
第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態では、統計サーバ2は、有料道路の料金所Tを基準としたノイズ判定区間を走行するナビゲーション装置10から送信されたプローブデータ40を取得する。また、取得したプローブデータ40が、通行料金の変更時間を待機する車両Cから送信された情報であるか否かを、該プローブデータ40に含まれる現在時刻40Dに基づき判定し、該当するプローブデータ40を統計対象から除外する。このため、不確かなデータを除外し、信頼性のあるデータを用いて統計を行うことができるので、誤差の小さい道路交通データ41を生成することができる。
【0048】
(2)第1実施形態では、統計サーバ2は、料金所Tを通過した際の現在時刻40Dを含むプローブデータ40を取得する。そして、現在時刻40Dが、通行料金の割引開始時刻を経過してから所定時間以内の時刻である場合に、該プローブデータ40を統計対象から除外する。このため、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができるとともに、処理対象のデータが料金所T付近で収集したデータであって、且つ通過時刻のみで判断するので、ノイズ情報を除去するための処理量を軽減することができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図8及び図9に従って説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態のノイズ除去の処理手順を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0050】
本実施形態では、図8に示す地点A及び地点Cにそれぞれ設置された中継装置3からのプローブデータ40を用いて、ノイズ情報の除去を行う。地点A及び地点Cは、料金所Tがある地点Bから所定距離(例えば200m)離れた地点である。尚、地点A及び地点Cは、料金所Tからの距離が互いに異なる位置にそれぞれ設定されてもよく、各料金所付近の道路形状等に応じて適宜変更する。本実施形態では、ノイズ情報を判定するための基準となる道路区間(以下、ノイズ判定区間という)が、地点A〜地点Cの区間となる。
【0051】
図9に示すように、コンピュータ20は、ノイズ判定区間で収集した同一車両のデータを抽出する(ステップS4−1)。即ち、同一の車両ID40Aを有し、地点A及び地点Cで収集したプローブデータ40を抽出する。
【0052】
次に、コンピュータ20は、ノイズ判定区間へ進入した進入時刻を取得する(ステップS4−2)。このとき、コンピュータ20は、プローブデータ40の進行方向40Eを抽出し、ノイズ判定区間での進行方向を取得する。例えば、図10に示すように、進行方向40Eが、地点Aから地点Cに向かう方向である場合、地点Aで受信したプローブデータ40の現在時刻40D「16時48分」を進入時刻とする。進行方向40Eが地点Cから地点Aに向かう方向である場合、地点Cで受信したプローブデータ40の現在時刻40Dを進入時刻とする。
【0053】
さらに、コンピュータ20は、ノイズ判定区間から退出した退出時刻を取得する(ステップS4−3)。ステップS4−2と同様に、コンピュータ20は、プローブデータ40
の進行方向40Eに基づき、ノイズ判定区間での進行方向を取得する。図10に示すように、進行方向40Eが地点Aから地点Cに向かう方向である場合、地点Cで受信したプローブデータ40の現在時刻40D「17時5分」を退出時刻とする。
【0054】
次に、コンピュータ20は、進入時刻と退出時刻との間に、割引開始時間が含まれているか否かを判断する(ステップS4−4)。コンピュータ20は、フィルタ情報記憶部27に格納された割引時間データ42の中から、ノイズ判定区間を含む道路の割引時間データ42を抽出する。例えば、進入時刻に最も近い割引開始時刻「17時」を抽出し、進入時刻と退出時刻との間に、その割引開始時刻が含まれているか否かを判断する。
【0055】
ステップS4−4において、図10に示すように進入時刻「16時48分」と退出時刻「17時5分」との間に、割引開始時刻「17時」が含まれていると判断した場合(ステップS4−4においてYES)、そのプローブデータ40を送信した車両Cは、割引開始時間を待機してから地点Bを通過した可能性が比較的大きい。このため、その該当するプローブデータ40を統計対象から除外する(ステップS4−5)。
【0056】
一方、ステップ4−4において、進入時刻と退出時刻との間に、割引開始時間が含まれていないと判断した場合(ステップS4−4においてNO)、そのプローブデータ40を統計対象に含める(ステップS4−6)。
【0057】
プローブデータ40がノイズ情報であるか否かの判定を終了すると、図6に示す統計処理(ステップS2−2)に進む。
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態に記載の(1)の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
【0058】
(3)第2実施形態では、統計サーバ2は、ノイズ判定区間に対する進入時刻を含むプローブデータ40と、ノイズ判定区間から退出した退出時刻を含むプローブデータ40を取得する。また、進入時刻と前記退出時刻との間に、通行料金の変更開始時刻が含まれているか否かを判断し、変更開始時刻が含まれている場合に、該プローブデータ40を統計対象から除外する。このため、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができるとともに、処理対象のデータが料金所T付近で収集したデータであって、且つ通過時刻のみで判断するので、ノイズ情報を除去するための処理量を軽減することができる。
【0059】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図11及び図12に従って説明する。尚、第3実施形態は、第1実施形態のノイズ除去の処理手順を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0060】
本実施形態では、図8に示す地点A及び地点Cにそれぞれ設置された中継装置3からのプローブデータ40を用いて、ノイズ情報の除去を行う。
まず、コンピュータ20は、ノイズ判定区間で収集した判定対象車両のプローブデータ40を取得する(ステップS5−1)。判定対象車両とは、プローブデータ40がノイズ情報であるか否かを判定する車両である。また、ノイズ判定区間は、地点Aから地点Cの間の区間である。具体的には、コンピュータ20は、同一の車両ID40Aを有し、地点A及び地点Cで収集したプローブデータ40を抽出する。
【0061】
次に、コンピュータ20は、比較対象車両のプローブデータ40を抽出する(ステップS5−2)。具体的には、プローブデータ記憶部25に一時記憶されたプローブデータ40のうち、判定対象車両の車両ID40Aと異なる車両ID40Aを有し、且つ地点A及び地点Cで同日のほぼ同じ時間に受信したプローブデータ40を抽出する。
【0062】
さらに、コンピュータ20は、進行方向40Eに基づき、判定対象車両及び比較対象車両がノイズ判定区間に進入した進入時刻をそれぞれ取得する(ステップS5−3)。例えば、図12(a)に示すように、判定対象車両C1の進入時刻は、「16時48分」であって、図12(b)に示すように、比較対象車両C2の進入時刻は、「16時48分」である。
【0063】
また、進行方向40Eに基づき、判定対象車両及び比較対象車両がノイズ判定区間から退出した退出時刻をそれぞれ取得する(ステップS5−4)。例えば、図12(a)に示すように、判定対象車両C1の退出時刻は、「17時5分」であって、図12(b)に示すように、比較対象車両C2の退出時刻は、「16時53分」である。
【0064】
そして、コンピュータ20は、各車両C1,C2のノイズ判定区間の所要時間ΔT1,ΔT2をそれぞれ取得する(ステップS5−5)。図12(a)の場合、判定対象車両C1の所要時間ΔT1は、17分である。
【0065】
一方、図12(b)に示すように、比較対象車両C2が地点Aを通過した時刻が「16時48分」であって、地点Cを通過した時刻が「16時53分」である場合、比較対象車両C2の所要時間ΔT2は5分である。
【0066】
次に、コンピュータ20は、所要時間ΔT1から所要時間ΔT2を減算した値が、閾値TA以下であるか否かを判断する(ステップS5−6)。閾値TAは、例えば「2分」等に設定されている。所要時間ΔT1から所要時間ΔT2を減算した値が閾値TA以下である場合には(ステップS5−6においてYES)、所要時間ΔT1,ΔT2がほぼ等しいと判断し、ステップS5−7に進む。
【0067】
一方、所要時間ΔT1から所要時間ΔT2を減算した値が閾値TA超である場合には(ステップS5−6においてNO)、図12(a)に示すように、地点Aと地点Bとの間で、車両C1が割引開始時刻を待機している可能性が比較的大きい。この場合には、その該当するプローブデータ40を統計対象から除外する(ステップS5−9)。
【0068】
ステップS5−7では、コンピュータ20は、判定対象車両C1の所要時間ΔT1と、比較対象車両C2の所要時間ΔT2とを比較した比較回数が所定回数Nに到達したか否かを判断する。例えば、所定回数Nが「3」に設定されている場合であって、比較回数が「1」の場合には、比較回数が所定回数Nに到達していないと判断して(ステップS5−7においてNO)、ステップS5−2に戻る。一方、比較対象車両C2との比較を3回行い、3回とも所要時間ΔT1が、比較対象車両C2の所要時間ΔT2とほぼ等しいと判断した場合には、ステップS5−7において比較回数が所定回数Nに到達したと判断する(ステップS5−7においてYES)。そして、判定対象のプローブデータ40を統計対象に含め(ステップS5−8)、図6に示すステップS2−2に進む。
【0069】
従って、第3実施形態によれば、第1実施形態に記載の(1)の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(4)第3実施形態では、統計サーバ2は、判定対象車両C1のノイズ判定区間に対する進入時刻を含むプローブデータ40と、ノイズ判定区間に対する退出した退出時刻を含むプローブデータ40とを取得する。また、進入時刻と退出時刻とに基づき、判定対象車両C1のノイズ判定区間の所要時間ΔT1を算出するとともに、比較対象車両C2のノイズ判定区間の所要時間ΔT2を同様に算出し、所要時間ΔT1から所要時間ΔT2を減算した値が閾値TAより大きい場合に、判定対象車両C1から送信されたプローブデータ40を統計対象から除外する。このため、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができ
る。また、他車のデータに比べて偏りのある、不確かな情報のみを除外することができる。また、処理対象のデータが料金所T付近で収集したデータであるので、ノイズ情報を除去するための処理量を軽減することができる。
【0070】
尚、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1及び第2実施形態では、ナビゲーション装置10がノイズ情報を除外するための処理を行ってもよい。この場合、ナビゲーション装置10の制御部11は、道路区間判定手段、プローブ情報送信手段を構成する。このとき、ナビゲーション装置10の地理情報記憶部18には割引時間データ42が格納されている。例えば、図13に示すように、ナビゲーション装置10の制御部11は、生成して記憶してあるプローブデータを取得する(ステップS6−1)。また、取得したプローブデータについて、有料道路の料金所を基準とした道路区間内に属するプローブデータ40であるか否かを判断する(ステップS6−2)。具体的には、プローブデータ40を生成したときの位置情報として記憶されている現在位置40Bが、料金所の位置と一致しているか否かを、図示しない施設データ、経路データ19A又は地図描画データ19Bに基づき判断する。上記道路区間に属するプローブデータである場合(ステップS6−2においてYES)、プローブデータが示す走行時刻が、通行料金の変更時刻に対応するか否かを判断する(ステップS6−3)。具体的には、プローブデータ40を生成したときの時刻として記憶されている現在時刻40Dが割引開始時間を過ぎてから所定時間(例えば5分)以内の時刻であるか否かを判断する。そして、走行時刻が、変更時刻に対応すると判断した場合(ステップS6−3においてYES)、そのプローブデータを送信対象から除外する(ステップS6−4)。一方、上記道路区間に属するプローブデータでない場合(ステップS6−2においてNO)、及び走行時刻が通行料金の変更時刻に対応しない場合(ステップS6−3においてNO)は、そのプローブデータを送信対象とする(ステップS6−5)。その後、制御部11が、プローブデータのデータ要求を受信した場合には、送信対象としたプローブデータのみを送信し、送信対象外としたプローブデータは送信しない。これにより、ナビゲーション装置10によって、不確かな情報を除外することができるとともに、不要なデータを送信することを防止できる。
【0071】
・上記実施形態では、統計サーバ2が、ノイズ除去処理を行うようにしたが、中継装置3又は統計サーバ2と中継装置3との間に介在する装置によりノイズ除去処理を行うようにしてもよい。例えば第1実施形態の場合、割引開始時刻から所定時間の間、中継装置3又は上記装置が統計サーバ2へのデータ送信を中止するようにしてもよい。この場合、中継装置3又は上記装置は、交通情報処理システムを構成する。
【0072】
・ナビゲーション装置10は、その車両CにETCの車載器が設置されているか否かを示すフラグを、プローブデータ40に含めて送信してもよい。この場合、ナビゲーション装置10には、ETC車載器が取り付けられたことを示すデータを予め登録しておく。統計サーバ2では、このETCフラグが「オン」である場合に、プローブデータ40を送信した車両CがETCの車載器を搭載した車両であると判断し、第1〜第3実施形態の方法と、送信元の車両CがETC利用車両であるか否かに基づき、そのデータがノイズ情報であるか否かを判断する。ETCフラグが「オン」であり、且つ第1〜第3実施形態の方法でノイズ情報であると判断された場合には、そのプローブデータ40を統計対象から除外する。ETCフラグが「オフ」である場合には、そのデータは、通行料金割引が適用される車両ではないため、統計対象に含める。このようにすると、ETCの車載器を搭載していない車両からのデータを除外せずに、統計対象にすることができる。
【0073】
・第1実施形態及び第3実施形態を組み合わせて、ノイズ情報の除去を行うようにしてもよい。即ち、ノイズ判定区間の所要時間ΔT1から所要時間ΔT2を減算した値が閾値TA超であるか否かを判断する第1の判断処理、及び地点Bを割引開始時刻を過ぎた後に
通過しているか否かを判断する第2の判断処理を両方行ってもよい。各判断処理の順番は特に問わない。このようにすると、不確かなデータをより的確に判断できる。
【0074】
・第2実施形態及び第3実施形態を組み合わせて、ノイズ情報の除去を行うようにしてもよい。即ち、ノイズ判定区間の所要時間ΔT1から所要時間ΔT2を減算した値が閾値TA超であるか否かを判断する第1の判断処理、及びノイズ判定区間に対する進入時刻と退出時刻との間に割引開始時刻が含まれているか否かを判断する第3の判断処理の両方を両方行ってもよい。各判断処理の順番は特に問わない。このようにすると、不確かなデータをより的確に判断できる。
【0075】
・上記実施形態では、プローブデータを送信する通信装置をナビゲーション装置10に具体化したが、車両Cに搭載される他の通信装置に具体化してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0076】
(a)請求項1に記載された交通情報処理システムにおいて、前記プローブ情報取得手段は、前記道路区間に進入した進入時刻を含む前記プローブ情報と、前記道路区間から退出した退出時刻を含む前記プローブ情報とを取得し、前記判定手段は、前記進入時刻と前記退出時刻とに基づき、判定対象の車両の前記道路区間の所要時間を算出するとともに、比較対象の車両の前記道路区間の所要時間を算出し、前記判定対象の車両の所要時間と、前記比較対象の車両の所要時間との差分に基づき、前記判定対象の車両から送信された前記プローブ情報を統計対象から除外することを特徴とする交通情報処理システム。
【0077】
従って、この(a)に記載の発明によれば、判定対象の車両の所要時間と、比較対象の車両の所要時間とを比較して、その差分に応じて、プローブ情報を統計対象から除外するので、信頼性のある情報を用いて統計を行うことができるとともに、不確かな情報のみを除外することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】交通情報処理システムを説明する模式図。
【図2】ナビゲーション装置のハードウェア構成を説明するブロック図。
【図3】プローブデータのデータ構成を説明する概念図。
【図4】統計サーバのハードウェア構成を説明するブロック図。
【図5】プローブデータを送信する際の手順を示すフローチャート。
【図6】データ統計の手順を示すフローチャート。
【図7】第1実施形態のノイズ除去処理の手順を示すフローチャート。
【図8】料金所を基準としたノイズ判定区間の概念図。
【図9】第2実施形態のノイズ除去処理の手順を示すフローチャート。
【図10】第2実施形態のノイズ除去処理の手順を示す概念図。
【図11】第3実施形態のノイズ除去処理の手順を示すフローチャート。
【図12】第3実施形態のノイズ除去処理の手順を示す概念図であって、(a)は判定対象車両、(b)は比較対象車両の移動時間を示す。
【図13】別例のノイズ除去処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0079】
1…交通情報処理システム、2…交通情報処理システムとしての統計サーバ、3…交通情報処理システムを構成する中継装置、10…車載装置としてのナビゲーション装置、11…道路区間判定手段、プローブ情報送信手段としての制御部、20…プローブ情報取得手段、判定手段及び制御手段としてのコンピュータ、40…プローブ情報としてのプローブデータ、40D…時刻情報としての現在時刻、C…車両、C1…判定対象車両、C2…
比較対象車両、R…有料道路、T…料金所、ΔT1,ΔT2…所要時間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻情報を含むプローブ情報を統計する交通情報処理システムにおいて、
有料道路の料金所を基準とした道路区間を走行する車両の車載装置から送信された前記プローブ情報を取得するプローブ情報取得手段と、
取得した前記プローブ情報が、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブ情報に含まれる前記時刻情報に基づき判定し、該当するプローブ情報を、統計対象から除外する判定手段と
を備えたことを特徴とする交通情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の交通情報処理システムにおいて、
前記プローブ情報取得手段は、
料金所を通過した際の前記時刻情報を含む前記プローブ情報を取得し、
前記判定手段は、
前記時刻情報が、通行料金の変更開始時刻からの経過時間が所定時間以内の時刻を示す場合に、該プローブ情報を統計対象から除外することを特徴とする交通情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の交通情報処理システムにおいて、
前記プローブ情報取得手段は、
前記道路区間に進入した進入時刻を含む前記プローブ情報と、前記道路区間から退出した退出時刻を含む前記プローブ情報とを取得し、
前記判定手段は、
前記進入時刻と前記退出時刻との間に、通行料金の変更開始時刻が含まれている場合に、該プローブ情報を統計対象から除外することを特徴とする交通情報処理システム。
【請求項4】
プローブ情報を生成して送信する車載装置において、
生成したプローブ情報が、有料道路の料金所を基準とした道路区間内に属するプローブ情報であるか否かを判定する道路区間判定手段と、
前記生成したプローブ情報が示す走行時刻が、通行料金の変更時刻に対応するか否かを判定し、通行料金の変更時刻に対応すると判定した際に、前記生成したプローブ情報を送信対象から除外するプローブ情報送信手段と
を備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項5】
時刻情報を含むプローブ情報を取得する制御手段を用いて、前記プローブ情報を統計する交通情報処理方法において、
前記制御手段が、
有料道路の料金所を基準とした道路区間を走行する車両の車載装置から送信された前記プローブ情報を取得し、取得した前記プローブ情報が、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブ情報に含まれる前記時刻情報に基づき判定し、該当するプローブ情報を、統計対象から除外することを特徴とする交通情報処理方法。
【請求項6】
時刻情報を含むプローブ情報を取得する制御手段を用いて、前記プローブ情報を統計する交通情報処理プログラムにおいて、
前記制御手段を、
有料道路の料金所を基準とした道路区間を走行する車両の車載装置から送信された前記プローブ情報を取得するプローブ情報取得手段と、
取得した前記プローブ情報が、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブ情報に含まれる前記時刻情報に基づき判定し、該当するプロー
ブ情報を、統計対象から除外する判定手段として機能させることを特徴とする交通情報処理プログラム。
【請求項1】
時刻情報を含むプローブ情報を統計する交通情報処理システムにおいて、
有料道路の料金所を基準とした道路区間を走行する車両の車載装置から送信された前記プローブ情報を取得するプローブ情報取得手段と、
取得した前記プローブ情報が、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブ情報に含まれる前記時刻情報に基づき判定し、該当するプローブ情報を、統計対象から除外する判定手段と
を備えたことを特徴とする交通情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の交通情報処理システムにおいて、
前記プローブ情報取得手段は、
料金所を通過した際の前記時刻情報を含む前記プローブ情報を取得し、
前記判定手段は、
前記時刻情報が、通行料金の変更開始時刻からの経過時間が所定時間以内の時刻を示す場合に、該プローブ情報を統計対象から除外することを特徴とする交通情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の交通情報処理システムにおいて、
前記プローブ情報取得手段は、
前記道路区間に進入した進入時刻を含む前記プローブ情報と、前記道路区間から退出した退出時刻を含む前記プローブ情報とを取得し、
前記判定手段は、
前記進入時刻と前記退出時刻との間に、通行料金の変更開始時刻が含まれている場合に、該プローブ情報を統計対象から除外することを特徴とする交通情報処理システム。
【請求項4】
プローブ情報を生成して送信する車載装置において、
生成したプローブ情報が、有料道路の料金所を基準とした道路区間内に属するプローブ情報であるか否かを判定する道路区間判定手段と、
前記生成したプローブ情報が示す走行時刻が、通行料金の変更時刻に対応するか否かを判定し、通行料金の変更時刻に対応すると判定した際に、前記生成したプローブ情報を送信対象から除外するプローブ情報送信手段と
を備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項5】
時刻情報を含むプローブ情報を取得する制御手段を用いて、前記プローブ情報を統計する交通情報処理方法において、
前記制御手段が、
有料道路の料金所を基準とした道路区間を走行する車両の車載装置から送信された前記プローブ情報を取得し、取得した前記プローブ情報が、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブ情報に含まれる前記時刻情報に基づき判定し、該当するプローブ情報を、統計対象から除外することを特徴とする交通情報処理方法。
【請求項6】
時刻情報を含むプローブ情報を取得する制御手段を用いて、前記プローブ情報を統計する交通情報処理プログラムにおいて、
前記制御手段を、
有料道路の料金所を基準とした道路区間を走行する車両の車載装置から送信された前記プローブ情報を取得するプローブ情報取得手段と、
取得した前記プローブ情報が、通行料金の変更時刻を待機した車両から送信された情報であるか否かを該プローブ情報に含まれる前記時刻情報に基づき判定し、該当するプロー
ブ情報を、統計対象から除外する判定手段として機能させることを特徴とする交通情報処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−217716(P2009−217716A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62908(P2008−62908)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]