説明

人及び動物識別装置及び方法

【課題】探知対象が人であるか動物であるかをより正確に識別できるようにする人及び動物識別装置及び方法を提供する。
【解決手段】前記人及び動物識別装置は、人と動物の感覚を選択的に刺激するための刺激信号を発生し、探知対象に提供する探知対象刺激部と、前記刺激信号に対する前記探知対象の反応を探知して、前記探知対象が人であるか動物であるかを識別する探知対象識別部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視・偵察網、防犯用及び軍事用監視装置などに活用することのできる人及び動物識別装置に関し、特に、探知対象が人であるか動物であるかをより正確に識別できるようにする人及び動物識別装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、監視・偵察網、防犯用及び軍事用監視装置は、人の侵入を感知するためのシステムであるので、人の侵入に限ってのみアラームイベントを発生しなければならない。よって、所定の監視領域に探知対象が存在する際に探知対象が人であるか動物であるかを識別する技術が必要である。
【0003】
従来、画像処理技法を用いて探知対象が人であるか動物であるかを識別する技術が提案されている。この技術は、探知対象を撮影し、探知対象の面積と距離を利用して探知対象の絶対的な大きさを把握し、それを基準に人と動物を区別する。しかし、このような探知方式は、探知対象の絶対的な大きさのみを利用するため、相対的に探知精度が低いという欠点がある。これは、動物の種類によっては人と同様の大きさを有する動物も存在し、人が動物と同様の大きさを有するように画像が取得されることもあるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第2003−0091394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、人と動物の感覚の認知範囲が異なる点を考慮して、探知対象の感覚を選択的に刺激して反応するか否かを探知することにより、探知対象が人であるか動物であるかをより正確に識別できるようにする人及び動物識別装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の一態様による人及び動物識別装置は、人と動物の感覚を選択的に刺激するための刺激信号を発生し、探知対象に提供する探知対象刺激部と、前記刺激信号に対する前記探知対象の反応を探知して、前記探知対象が人であるか動物であるかを識別する探知対象識別部とを含む。
【0007】
前記探知対象刺激部は、前記刺激信号の出力方向及び出力強度を調整することができることを特徴とする。
【0008】
前記探知対象刺激部は、前記刺激信号を発生する刺激信号発生部と、前記刺激信号を出力する刺激信号出力部とを含んでもよい。
【0009】
前記刺激信号出力部は、ビームフォーミング方式で前記刺激信号の出力方向及び出力強度を制御するビームフォーミングアンテナ、又は位相可変方式で前記刺激信号の出力方向及び出力強度を制御する指向性音波発生器として実現してもよい。
【0010】
前記刺激信号出力部は、前記刺激信号を出力する出力部と、前記出力部の方向及び位置を制御して探知領域を変化させる探知領域制御部とを含んでもよい。
【0011】
前記刺激信号出力部は、前記刺激信号をそれぞれ出力する複数の出力部と、前記各出力部の動作を制御して探知領域を変化させる探知領域制御部とを含んでもよい。
【0012】
前記探知対象識別部は、前記探知対象の動きパターンを分析して前記探知対象の反応を検出する反応検出部と、前記刺激信号の種類及び前記反応検出部の検出結果に基づいて、前記探知対象が人であるか動物であるかを識別する反応分析部とを含んでもよい。
【0013】
前記探知対象識別部は、可視光線カメラ、赤外線カメラ、熱画像カメラの少なくとも1つを利用して前記探知対象の画像を取得し、前記画像から前記探知対象の動きパターンを把握することを特徴とする。
【0014】
前記探知対象識別部は、超音波センサ、レーダセンサ、レーザセンサの少なくとも1つを利用して前記探知対象の位置を把握し、前記探知対象の位置を追跡して前記探知対象の動きパターンを把握することを特徴とする。
【0015】
上記の目的を達成するための本発明の他の態様による人及び動物識別方法は、人と動物の感覚を選択的に刺激するための刺激信号を発生して探知対象に提供する段階と、前記探知対象の反応を探知して、前記探知対象が人であるか動物であるかを識別する段階とを含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明による人及び動物識別装置及び方法は、人と動物の感覚の認知範囲が異なる点を考慮して、探知対象の感覚を選択的に刺激して反応するか否かを探知することにより、探知対象が人であるか動物であるかをより正確に識別できるようにする。従って、本発明による人及び動物識別装置及び方法を採用した監視・偵察網、防犯用及び軍事用監視装置は、探知対象が人であるか動物であるかをより正確に識別し、人の侵入に限ってのみアラームイベントを発生することができ、向上した防犯及び偵察機能を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による人及び動物識別装置を示す図である。
【図2a】本発明の一実施形態による刺激信号出力部の実現例を示す図である。
【図2b】本発明の一実施形態による刺激信号出力部の実現例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による人及び動物識別方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が後述する実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態は、当該技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による人及び動物識別装置を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の一実施形態による人及び動物識別装置は、探知対象感知部210、探知対象刺激部220及び探知対象識別部230などを含み、人と動物の感覚の認知範囲が異なる点を利用して、探知対象100の感覚(例えば、聴覚、嗅覚、視覚など)を選択的に刺激し、これに対する探知対象100の反応を探知することにより、探知対象100が人であるか動物であるかを識別できるようにする。
【0021】
以下、各構成要素の機能を説明する。
【0022】
探知対象感知部210は、超音波センサ、レーダセンサ、レーザセンサ、熱感知センサのように人と動物が存在するか否かを感知できる感知センサを探知領域に設け、感知センサにより探知領域に探知対象100が存在するか否かを感知する。
【0023】
探知対象刺激部220は、刺激信号発生部221及び刺激信号出力部222を含み、人と動物の感覚を選択的に刺激するための刺激信号を発生し、探知対象100に提供する。
【0024】
刺激信号発生部221は、人と動物の感覚を選択的に刺激するための刺激信号を発生する。基本的に、動物の感覚の認知範囲は人に比べて発達している。例えば、人は20Hz〜20kHzの可聴周波数帯域を有するのに対して、猫などの動物は60Hz〜60kHzの可聴周波数帯域を有する。よって、刺激信号発生部221は、刺激信号を音として実現し、音の周波数帯域を任意に調整することにより、人の聴覚のみを刺激することもでき、動物の聴覚のみを刺激することもできる。すなわち、動物の聴覚のみを刺激しようとする場合は、20kHz以上の超音波帯域又は20Hz以下の極低音波帯域の音を発生して出力し、人の聴覚のみを刺激しようとする場合は、20Hz〜60Hzの周波数帯域の音を発生して出力すればよい。
【0025】
もちろん、刺激信号発生部221は、刺激信号の実現形態を、人と動物の感覚(例えば、聴覚、嗅覚、視覚など)を選択的に刺激できる範囲で様々に変化させることができる。すなわち、刺激信号の実現形態は、人と動物の嗅覚を選択的に刺激するための匂い、又は人と動物の視覚を選択的に刺激するための画像もしくは光など、様々に変化させることができる。
【0026】
刺激信号出力部222は、刺激信号発生部221により生成された刺激信号を探知対象100に提供する。
【0027】
また、刺激信号出力部222は、探知領域を能動的に変化させるために、刺激信号の出力方向及び出力強度を任意に調整することもできる。このような場合、刺激信号出力部222は、ビームフォーミング方式で刺激信号の出力方向及び出力強度を制御するビームフォーミングアンテナとして実現してもよく、位相可変方式で刺激信号の出力方向及び出力強度を制御する指向性音波(又は超音波)発生器として実現してもよい。また、刺激信号出力部222は、図2aに示すように、刺激信号を出力する出力部222−1と、出力部222−1の方向及び位置を機械的に制御する探知領域制御部222−2とから構成されてもよく、図2bに示すように、刺激信号をそれぞれ出力する複数の出力部222−1と、各出力部222−1の動作を決定する探知領域制御部222−2とから構成されてもよい。
【0028】
反応検出部231は、画像処理方式又は測距方式を用いて刺激信号に対する探知対象100の反応を検出する。
【0029】
もし、反応検出部231が画像処理方式で探知対象100の反応検出動作を行う場合、反応検出部231は、可視光線カメラ、赤外線カメラ、熱画像カメラの少なくとも1つを利用して探知対象100を撮影した後、画像処理アルゴリズムにより探知対象100の動きパターン(例えば、探知対象100の位置、動き速度、動き方向など)を追跡することにより、探知対象100が現在発生した刺激信号に反応するか否かを確認することができる。探知対象100の動きパターンを追跡するための画像処理アルゴリズムは、公知の技術に従い、これについての詳細な説明は省略する。
【0030】
それに対して、反応検出部231が測距方式で探知対象100の反応検出動作を行う場合、反応検出部231は、超音波センサ、レーダセンサ、レーザセンサの少なくとも1つを利用して反応検出部231と探知対象100間の距離を測定し、反応検出部231と探知対象100間の距離を追跡し続けることにより、探知対象100が現在発生した刺激信号に反応するか否かを確認することができる。すなわち、探知対象100が刺激信号に反応して急激に動くか否かを確認することにより、探知対象100が現在発生した刺激信号に反応するか否かを容易に確認することができる。
【0031】
反応分析部232は、刺激信号の種類及び反応検出部231の検出結果に基づいて、探知対象100が人であるか動物であるかを識別する。すなわち、刺激信号発生部221から発生した刺激信号が人の感覚を刺激するためのものであるか、動物の感覚を刺激するためのものであるかを確認した後、反応検出部231により探知対象100が反応するか否かを把握し、探知対象100が人の感覚を刺激するための刺激信号に選択的に反応すると、探知対象100が人であると判断し、探知対象100が動物の感覚を刺激するための刺激信号に選択的に反応すると、探知対象100が動物であると判断する。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態による人及び動物識別方法を示す図である。
【0033】
もし、探知対象感知部210から探知対象100が発生したことが通知されると(S1)、探知対象刺激部220は、まず、探知対象100が人であるか否かを確認するために、人の感覚のみを刺激するための第1刺激信号を発生して出力する(S2−1)。
【0034】
そして、探知対象識別部230は、探知対象100が第1刺激信号に反応するか否かを探知し(S3−1)、探知対象100が第1刺激信号に反応して第1刺激信号を回避又は除去するために動けば探知対象100が人であると推定し、探知対象100が第1刺激信号に何ら反応しなければ探知対象100が動物であると推定する(S4−1)。
【0035】
そして、探知対象刺激部220は、探知対象100が動物であるか否かを確認するために、動物の感覚のみを刺激するための第2刺激信号を発生して出力する(S2−2)。
【0036】
そして、探知対象識別部230は、探知対象100が第2刺激信号に反応するか否かを探知し(S3−2)、探知対象100が第2刺激信号に反応して急激に動けば探知対象100が動物であると推定し、探知対象100が第2刺激信号に何ら反応しなければ探知対象100が人であると推定する(S4−2)。
【0037】
最後に、ステップS4−1の推定結果とステップS4−2の推定結果をまとめて、探知対象100が人であるか動物であるかを最終判定する(S5)。
【0038】
図3の実施形態では刺激信号が2つの場合を説明したが、実際の適用例では1つの刺激信号を使用することもでき、3つ以上の刺激信号を使用することもできることは当然である。
【0039】
本発明は、前述した実施形態及び添付された図面により限定されるものではなく、添付された請求の範囲により解釈されるべきである。また、本発明は、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【符号の説明】
【0040】
100 探知対象
210 探知対象感知部
220 探知対象刺激部
230 探知対象識別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人と動物の感覚を選択的に刺激するための刺激信号を発生し、探知対象に提供する探知対象刺激部と、
前記刺激信号に対する前記探知対象の反応を探知して、前記探知対象が人であるか動物であるかを識別する探知対象識別部と
を含む、人及び動物識別装置。
【請求項2】
前記探知対象刺激部は、前記刺激信号の出力方向及び出力強度を調整することができることを特徴とする請求項1に記載の人及び動物識別装置。
【請求項3】
前記探知対象刺激部は、
前記刺激信号を発生する刺激信号発生部と、
前記刺激信号を出力する刺激信号出力部と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の人及び動物識別装置。
【請求項4】
前記刺激信号出力部は、ビームフォーミング方式で前記刺激信号の出力方向及び出力強度を制御するビームフォーミングアンテナ、又は位相可変方式で前記刺激信号の出力方向及び出力強度を制御する指向性音波発生器として実現されることを特徴とする請求項3に記載の人及び動物識別装置。
【請求項5】
前記刺激信号出力部は、
前記刺激信号を出力する出力部と、
前記出力部の方向及び位置を制御して探知領域を変化させる探知領域制御部と
を含むことを特徴とする請求項3に記載の人及び動物識別装置。
【請求項6】
前記刺激信号出力部は、
前記刺激信号をそれぞれ出力する複数の出力部と、
前記各出力部の動作を制御して探知領域を変化させる探知領域制御部と
を含むことを特徴とする請求項3に記載の人及び動物識別装置。
【請求項7】
前記探知対象識別部は、
前記探知対象の動きパターンを分析して前記探知対象の反応を検出する反応検出部と、
前記刺激信号の種類及び前記反応検出部の検出結果に基づいて、前記探知対象が人であるか動物であるかを識別する反応分析部と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の人及び動物識別装置。
【請求項8】
前記探知対象識別部は、可視光線カメラ、赤外線カメラ、熱画像カメラの少なくとも1つを利用して前記探知対象の画像を取得し、前記画像から前記探知対象の動きパターンを把握することを特徴とする請求項7に記載の人及び動物識別装置。
【請求項9】
前記探知対象識別部は、超音波センサ、レーダセンサ、レーザセンサの少なくとも1つを利用して前記探知対象の位置を把握し、前記探知対象の位置を追跡して前記探知対象の動きパターンを把握することを特徴とする請求項7に記載の人及び動物識別装置。
【請求項10】
人と動物の感覚を選択的に刺激するための刺激信号を発生して探知対象に提供する段階と、
前記探知対象の反応を探知して、前記探知対象が人であるか動物であるかを識別する段階と
を含む、人及び動物識別方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−170854(P2011−170854A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31727(P2011−31727)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】