説明

人名表記方法および電子機器

【課題】同一人の複数形式の名前をユーザーインターフェースにスペース効率良く表記する方法および電子機器する。
【解決手段】電子機器のユーザーインターフェースに人名を表記するにあたり、同一の人名を同一表記欄の複数の区画(312,314,316)に複数の形式でそれぞれ表記する。複数の区画は、そのうちの1つ(312)が他よりも大きい。1つの区画では、文字の入力および編集が可能である。複数の区画の表記は、区画を跨いでスクロール可能である。他の区画(314,316)は、拡大可能である。拡大された区画では、文字の入力および編集が可能ある。複数の形式は、漢字形式、かな形式およびアルファベット形式である。ユーザーインターフェースは、DICOM規格に準拠する。複数の形式の人名は、DICOM規格に準拠したネームストリングを構成する。電子機器は、超音波診断装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人名表記方法および電子機器に関し、特に、電子機器のユーザーインターフェース(user interface)に人名を表記する方法、および、人名を表記するユーザーインターフェースを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば超音波診断装置等の医用電子機器では、ユーザーインターフェースを通じて種々の情報の入力や表示が行われる。入力/表示される情報には患者情報が含まれる。患者情報には患者の姓名が含まれる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−278741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
日本国では、人名の表記には漢字形式、かな形式およびアルファベット(alphabet)形式の三つの形式があり、ユーザーインターフェースが対応可能な形式で表記される。ユーザーインターフェースが全ての形式に対応可能な場合は、人名は三通りに表記される。
【0004】
その場合、それぞれの形式に対応した表記欄が必要になるので、ユーザーインターフェース上の占有面積が大きくなる。この面積は、数ある情報のうちの1つに過ぎない人名用としては不釣合いに大きい。
【0005】
そこで、本発明の課題は、同一人の複数形式の名前をユーザーインターフェースにスペース効率良く表記する方法および電子機器することである。なお、本書において、表記は入力と表示のどちらをも意味する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためのひとつの観点での発明は、電子機器のユーザーインターフェースに人名を表記する方法であって、同一の人名を同一表記欄の複数の区画に複数の形式でそれぞれ表記する、ことを特徴とする人名表記方法である。
【0007】
上記の課題を解決するための他の観点での発明は、人名を表記するユーザーインターフェースを有する電子機器であって、前記インターフェースは、同一の人名を同一表記欄の複数の区画に複数の形式でそれぞれ表記する表記手段を具備することを特徴とする電子機器である。
【0008】
前記複数の区画は、そのうちの1つが他よりも大きいことが、主要な表記を明確にする点で好ましい。
前記1つの区画では、文字の入力および編集が可能であることが、利便性を高める点で好ましい。
【0009】
前記複数の区画の表記は、区画を跨いでスクロール可能であることが、主要な表記を切り替える点で好ましい。
前記他の区画は、拡大可能であることが、視認性を良くする点で好ましい。
【0010】
前記拡大された区画では、文字の入力および編集が可能あることが、利便性を高める点で好ましい。
前記複数の形式は、漢字形式、かな形式およびアルファベット形式であることが、日本国での利便性を高める点で好ましい。
【0011】
前記ユーザーインターフェースは、DICOM規格に準拠することが、DICOM規格に準拠する他の機器との協調性を高める点で好ましい。
前記複数の形式の人名は、DICOM規格に準拠したネームストリングを構成することが、DICOM規格への適合性を良くする点で好ましい。
【0012】
前記電子機器は、超音波診断装置であることが、患者名表記の利便性を高める点で好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子機器のユーザーインターフェースに人名を表記するにあたり、同一の人名を同一表記欄の複数の区画に複数の形式でそれぞれ表記するので、同一人の複数形式の名前をユーザーインターフェースにスペース効率良く表記する方法および電子機器することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、発明を実施するための最良の形態に限定されるものではない。図1に超音波診断装置100のブロック(block)図を示す。本装置は、発明を実施するための最良の形態の一例である。本装置の構成によって、電子機器に関する発明を実施するための最良の形態の一例が示される。本装置の動作によって、人名表記方法に関する発明を実施するための最良の形態の一例が示される。
【0015】
図1に示すように、本装置は、超音波プローブ2(probe)を有する。超音波プローブ2は、超音波トランスデューサ(transducer)のアレイ(array)を有する。アレイにおける個々の超音波トランスデューサは例えばPZT(チタン(Ti)酸ジルコン(Zr)酸鉛)セラミックス(ceramics)等の圧電材料によって構成される。超音波プローブ2は、操作者により被検体4に当接して使用される。
【0016】
超音波プローブ2は送受信部6に接続されている。送受信部6は、超音波プローブ2に駆動信号を与えて超音波を送波させる。送受信部6はまた超音波プローブ2が受波したエコー(echo)信号を受信する。
【0017】
超音波の送受信は、音線によって撮影範囲を走査しながら行われる。音線は超音波ビーム(beam)で構成される。音線走査は、セクタスキャン(sector scan)、コンベックススキャン(convex scan)、リニアスキャン(linear scan)等によって行われる。
【0018】
送受信部6はBモード(mode)処理部10およびドプラ(Doppler)処理部12に接続されている。送受信部6から出力される音線ごとのエコー受信信号は、Bモード処理部10およびドプラ処理部12に入力される。
【0019】
Bモード処理部10はBモード画像を形成するものである。Bモード処理部10は、音線上の個々の反射点でのエコーの強度を表す信号を得て、この信号の各瞬時の振幅をそれぞれ輝度値としてBモード画像を形成する。
【0020】
ドプラ処理部12はドプラ画像を形成するものである。ドプラ処理部12は、エコー受信信号を直交検波したI,Q信号をMTI(Moving Target Indication)処理してエコーの複素ドプラ信号を求め、複素ドプラ信号に関する所定の演算により音線ごとにドプラ画像を形成する。
【0021】
ドプラ画像は、カラードプラ(color Doppler)画像またはパワードプラ(power Doppler)画像として形成される。カラードプラ画像は流速分布を表す。パワードプラ画像はドプラ信号のパワー分布を表す。
【0022】
Bモード処理部10およびドプラ処理部12は画像処理部14に接続されている。画像処理部14は、Bモード処理部10およびドプラ処理部12からそれぞれ入力される画像データに基づいて表示用の画像を生成する。
【0023】
Bモード画像は色相を持たない輝度画像として生成される。カラードプラ画像およびパワードプラ画像はいずれもカラー画像として生成される。カラードプラ画像は、速度の大きさを色の輝度で表し、速度の方向を色相で表す。パワードプラ画像は、パワーの大きさを色の輝度で表す。
【0024】
画像処理部14は、図2に示すように、バス(bus)140によって接続された入力データメモリ(data memory)142、ディジタル・スキャンコンバータ(digital scan converter)144、画像メモリ146およびプロセッサ(processor)148を備えている。
【0025】
Bモード処理部10およびドプラ処理部12から音線ごとに入力されたBモード画像およびドプラ画像は、入力データメモリ142にそれぞれ記憶される。入力データメモリ142に記憶されるデータを音線データとも呼ばれる。音線データは、ディジタル・スキャンコンバータ144で走査変換されて画像メモリ146に記憶される。画像メモリ146に記憶されるデータを画像データとも呼ばれる。
【0026】
プロセッサ148は、画像処理部14の中枢として、音線データおよび画像データの処理、入力データメモリ142と画像メモリ146の読み書き、ディジタル・スキャンコンバータ144の制御等を行う。
【0027】
画像処理部14には表示部16が接続されている。表示部16は、画像処理部14の画像メモリ146から画像信号が与えられ、それに基づいて画像を表示する。表示部16は、カラー画像が表示可能なグラフィックディスプレイ(graphic display)によって構成される。
【0028】
以上の送受信部6、Bモード処理部10、ドプラ処理部12、画像処理部14および表示部16には制御部18が接続されている。制御部18は、それら各部に制御信号を与えてその動作を制御する。また、被制御の各部から各種の報知信号が入力される。制御部18の制御の下で、Bモード撮影動作およびドプラモード撮影動作が実行される。
【0029】
制御部18には操作部20が接続されている。操作部20は操作者によって操作され、制御部18に各種の指令や情報を入力する。操作部20は、例えば、キーボード(keyboard)やポインティングデバイス(pointing device)およびその他の操作具を備えた操作パネル(panel)として構成される。
【0030】
図3に、表示部16に表示される画面の一例を示す。この画面は、ユーザーインターフェースである。このユーザーインターフェースは、本発明におけるユーザーインターフェースの一例である。
【0031】
図3に示すように、ユーザーインターフェースは、画面の最上段に人名表記欄300を有する。人名表記欄300は患者名の表記欄である。人名表記欄300は、本発明における表記欄の一例である。人名表記欄300は、また、本発明における表記手段の一例である。
【0032】
図4に、人名表記欄300の構成を示す。図4に示すように、人名表記欄300は、3つの区画312,314,316を有する。区画312,314,316は、本発明における区画の一例である。
【0033】
3つの区画312,314,316は、いずれも水平な帯状の区画であり、縦方向に3段に配置されている。区画312,314,316は、また、いずれも縦に3区分されている。
【0034】
3つの区画312,314,316は、横方向の大きさは同一であるが、縦方向では、中段の大きさが上および下の段とは異なる。中段の区画312の縦方向の大きさは、上段および下段の区画314,316の例えば2倍である。なお、2倍に限らず3倍や1.7倍等適宜の倍率であってよい。以下、横方向の大きさを長さともいい、縦方向の大きさを幅ともいう。
【0035】
最大の幅を持つ中段の区画312は、人名表記欄300の主要部分であリ、ここに、姓名が漢字で表記される。幅が狭い上段および下段の区画314,316は、人名表記欄300の補助的部分であリ、それらには、それぞれ、姓名がアルファベットおよびかなで表記される。
【0036】
表記は左書きであり、各区画において、左端の区分に姓が表記され、右端の区分に名が表記される。なお、中央の区分はミドルネーム(middle name)用であり、日本人の場合は概ね空白となる。
【0037】
このように、同一人の、漢字形式、かな形式およびアルファベット形式の姓名を、同一表記欄の複数の区画を利用して表記するので、表記される情報量が多い割にはユーザーインターフェース上の占有面積が小さい。したがって、スペース(space)効率の良い人名表記を行うことができる。
【0038】
また、漢字形式、かな形式およびアルファベット形式の姓名が同一欄に一括して表記されるので、ユーザーは、同一人の三通りの形式の姓名を一瞥で認識することができる。しかも、日本国における正規の姓名表記である漢字名が最も大きく表記され、参考的表記であるかな名およびアルファベット名が小さく表記されるので、国内での姓名表記の慣習に相応したものとなる。
【0039】
区画312の右側には、インジケータ(indicator)322が設けられている。インジケータ322は、区画312の表記形式を示すものである。図3では、区画312の表記が漢字であることにより、「漢」が示されている。
【0040】
インジケータ322の上および下には、スクロールボタン(scroll button)324,326がそれぞれ設けられている。スクロールボタン324,326は、それぞれ、上スクロールおよび下スクロール用のボタンである。
【0041】
上スクロールを行うことにより、上段の区画314にあるアルファベット表記を中段の区画312に移動させることができ、下スクロールを行うことにより、下段の区画316にあるかな表記を中段の区画312に移動させることができる。これによって、所望の表記形式の姓名を、人名表記欄の主要部に表記することが可能となり、ユーザーの利便性が向上する。
【0042】
上スクロールを行った状態を図5に示す。図5に示すように、アルファベット表記が中段の区画312に移動する。それに伴って、インジケータの表示は「en」となり、アルファベット(英語)表記であることが示される。また、文字数に合わせて縦の区分線が移動する。
【0043】
下スクロールを行った状態については図示を省略するが、かな表記が中段の区画312に移動しそれに伴って、インジケータの表示が「かな」となって、かな表記であることが示される。
【0044】
文字入力は、中段の区画312について行われる。文字入力には操作部20のキーボードが用いられる。キーボードの入力信号は、制御部18の変換機能により、中段の区画312のモード(mode)に応じて、漢字、かなまたはアルファベットに変換される。
【0045】
文字入力は、上段の区画314と下段の区画316に直接行えるようにしてもよい。その例を図6に示す。図6に示すように、ポインティングデバイスで上段の区画314を選択すると、区画314は幅が拡大して中段の区画312と同程度になる。この状態で文字入力を行うことにより、中段の区画312に入力するのと同じ視認性の良さで、文字入力を行うことができる。下段の区画316に入力する場合も同様である。
【0046】
このようなユーザーインターフェースは、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に準拠する。そして、複数の形式の人名は、DICOM規格に準拠して、下記のようなネームストリング(name string)を構成する。
【0047】
Yokogawa^ichirou=横河^一郎=よこがわ^いちろう
これによって、同じ規格に準拠する他の医用機器との協調性を高めることができる。
以上、ユーザーインターフェースが超音波診断装置のユーザーインターフェースである例について説明したが、ユーザーインターフェースは超音波診断装置用に限らず、X線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の医用電子機器、あるいは、医療以外の分野の電子機器のユーザーインターフェースであってよい。また、日本人の姓名に限らず、中国人や韓国人あるは欧米人の姓名についても、統一的に取り扱うことが可能である。また、人名を横書きで表記する例を説明したが、表記は縦書きであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明を実施するための最良の形態の一例の超音波診断装置のブロック図である。
【図2】画像処理部のブロック図である。
【図3】インターフェースの一例を示す図である。
【図4】人名表記の一例を示す図である。
【図5】人名表記の一例を示す図である。
【図6】人名表記の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
100 : 超音波診断装置
2 : 超音波プローブ
4 : 被検体
6 : 送受信部
10 : Bモード処理部
12 : ドプラ処理部
14 : 画像処理部
16 : 表示部
18 : 制御部
20 : 操作部
142 : 入力データメモリ
144 : スキャンコンバータ
146 : 画像メモリ
148 : プロセッサ
300 : 人名表記欄
312,314,316 : 区画
322 : インジケータ
324,326 : スクロールボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のユーザーインターフェースに人名を表記する方法であって、
同一の人名を同一表記欄の複数の区画に複数の形式でそれぞれ表記する、
ことを特徴とする人名表記方法。
【請求項2】
前記複数の区画は、そのうちの1つが他よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の人名表記方法。
【請求項3】
前記1つの区画では、文字の入力および編集が可能である、
ことを特徴とする請求項2に記載の人名表記方法。
【請求項4】
前記複数の区画の表記は、区画を跨いでスクロール可能である、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の人名表記方法。
【請求項5】
前記他の区画は、拡大可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の人名表記方法。
【請求項6】
前記拡大された区画では、文字の入力および編集が可能ある、
ことを特徴とする請求項5に記載の人名表記方法。
【請求項7】
前記複数の形式は、漢字形式、かな形式およびアルファベット形式である、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の人名表記方法。
【請求項8】
前記ユーザーインターフェースは、DICOM規格に準拠する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の人名表記方法。
【請求項9】
前記複数の形式の人名は、DICOM規格に準拠したネームストリングを構成する、
ことを特徴とする請求項8に記載の人名表記方法。
【請求項10】
前記電子機器は、超音波診断装置である、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の人名表記方法。
【請求項11】
人名を表記するユーザーインターフェースを有する電子機器であって、
前記インターフェースは、同一の人名を同一表記欄の複数の区画に複数の形式でそれぞれ表記する表記手段
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項12】
前記複数の区画は、そのうちの1つが他よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項13】
前記1つの区画では、文字の入力および編集が可能である、
ことを特徴とする請求項12に記載の電子機器。
【請求項14】
前記複数の区画の表記は、区画を跨いでスクロール可能である、
ことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の電子機器。
【請求項15】
前記他の区画は、拡大可能である、
ことを特徴とする請求項11に記載の電子機器。
【請求項16】
前記拡大された区画では、文字の入力および編集が可能ある、
ことを特徴とする請求項15に記載の電子機器。
【請求項17】
前記複数の形式は、漢字形式、かな形式およびアルファベット形式である、
ことを特徴とする請求項11ないし請求項16のうちのいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項18】
前記ユーザーインターフェースは、DICOM規格に準拠する、
ことを特徴とする請求項11ないし請求項17のうちのいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項19】
前記複数の形式の人名は、DICOM規格に準拠したネームストリングを構成する、
ことを特徴とする請求項18に記載の電子機器。
【請求項20】
前記電子機器は、超音波診断装置である、
ことを特徴とする請求項11ないし請求項19のうちのいずれか1つに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−275335(P2007−275335A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106201(P2006−106201)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】