説明

人工生体模倣膜を組み込んだデバイス

本発明は、ケーシングと、該ケーシング内に2つのチャンバを形成するように配置された人工生体模倣膜とを備えたデバイスに関し、各チャンバには所定成分の液体が入れられ、前記人工生体模倣膜は脂質膜と該脂質膜を支持する半透膜を備え、前記脂質膜は層状に配置された複数の脂質分子で構成されると共に少なくとも1種類の輸送タンパク質が含まれた膜であり、前記輸送タンパク質により前記液体のイオン及び/又は分子が前記2つのチャンバ間で輸送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的プロセスにより開発された人工生体模倣膜を組み込んだデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境を考えたエネルギーの供給は多くの人間が解決に取り組んでいる重要な問題となっている。
化石燃料では全世界で高まるエネルギー需要に対応できないことは周知である。
よって、現在のエネルギー生成方法をより地球に優しい方法に替える、又は現在の方法を少なくとも補強するような解決手段の開発が進められている。
【0003】
その内のいくつかは水力、風力、太陽光に着目したものである。これらの解決手段は大量のエネルギーを生成できるので大変有望な対策であるが、天候状態に左右されやすいという点で制限がある。更に、これらの方法では現在の化石燃料を使用する方法に比べてその駆動(作動)に係る費用が高いために、化石燃料が高いシェアを占めている。
【0004】
このような理由から、新しい方法としてナノテクノロジーが注目されている。
特に臓器が機能不全のために代用臓器を使用する場合などに、診断又は治療行為を行うためのマイクロテクノロジーを利用したシステム又はナノテクノロジーを利用したシステムに恒久的にエネルギーを供給するためには、生命体の化学成分からエネルギーを生成する必要があると認識されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明の目的はこれらのエネルギーに関する問題に対処するための新しい解決策を提案することである。更に詳しく言うと、本発明は、将来的に生体内に移植出来る可能性を秘めた、エネルギーを持続的に生成するナノテクノロジーを利用した人工生体模倣膜を組み込んだデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は請求項で規定される生体模倣膜を組み込んだデバイスを提案する。
特に、本発明は、ケーシングと、該ケーシング内に2つのチャンバを形成するように配置された生体模倣膜とを備え、各チャンバには所定成分の液体が入れられ、前記生体模倣膜は脂質膜と該脂質膜を支持する半透膜(以下支持膜と言う)を備え、前記脂質膜は層状に配置された複数の脂質分子で構成されると共に少なくとも1種類の輸送タンパク質が含まれた膜であり、前記輸送タンパク質により前記液体のイオン及び/又は分子が前記2つのチャンバ間で輸送されることを特徴とする生体模倣膜を組み込んだデバイスを提案する。
【0007】
限定する趣旨ではないが、人工生体模倣膜を組み込んだデバイスは以下の特徴を備えることが好ましい。
・前記脂質膜は、複数の脂質分子よりなる二重膜である。
・前記輸送タンパク質は、Na/K交換体、Na/H交換体、Na/グルコース輸送体、HCO/Cl交換体、尿素輸送体、受動グルコースチャネル、アクアポリン、受動イオンチャネル(例えば、グラミシジンAイオンチャネル、バリノマイシンイオンチャネル、若しくは他の更に複雑な生細胞から抽出されるイオンチャネルタンパク質)、カドミウム輸送体、バクテリオロドプシン、及びそれらの組み合わせの中から選択される。
・前記脂質膜は、2種類又はそれ以上の輸送タンパク質を備える。
・前記人工生体模倣膜には、更に高分子電解質膜が備えられる。
・デバイスには更に、前記脂質膜の両側に電極が設けられる。
・前記人工生体模倣膜は、2つの脂質膜とその間に配置される電気活性高分子膜を備える。
・前記支持膜は、液体成分の全てのイオン及び/又は分子に対して透過性を有す。
・前記支持膜は、多孔質ポリマー、シリコン又はグラフィン膜である。
・各チャンバには前記所定成分の液体を充填するための流入口が備えられる。
・各チャンバには外部に前記液体を排出するための排出口が備えられる。
・両方のチャンバには、同じ組成分でイオン濃度及び/又は分子濃度が同一の液体が充填される。
・前記チャンバの内の1方には更に、液体成分のイオン及び/又は分子が輸送タンパク質によって2つのチャンバ間で輸送されるようにするための活性化物質が含まれ、前記活性化物質は例えばアデノシン三リン酸や、他のドラッグ及び/又は輸送分子を活性化させるための当業者には公知の分子である。
・前記チャンバの内の1方には更に、液体成分のイオン及び/又は分子が輸送タンパク質によって2つのチャンバ間で輸送されないようにするための阻害物質が含まれる。
・前記チャンバの内の1方には更に、分子又はイオンの特性に応じて輸送が制御される物質に対して作用する酵素が含まれており、前記酵素は例えばグルコースオキシダーゼであり、前記物質はグルコースである。
・前記チャンバの壁はシリコン製であり、その一部が多孔質シリコンである。
・前記チャンバの容量は1cm未満である。
・前記膜の厚さは100nm未満、好ましくは20nm未満である。
【0008】
本発明はまた、上記のデバイスを備えた燃料電池に関し、前記デバイスによりpH勾配ができ、前記燃料電池には前記pH勾配をエネルギーに変換する手段が備えられる。そのような燃料電池を作るために、前記デバイスにはNa/H輸送体を備えた人工生体模倣膜が設けられ、前記液体にはNaClが含まれることとする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の人工生体模倣膜を組み込んだデバイスの基本原理を示す。
【図2】本発明によるデバイスの生体模倣膜を示す。
【図3】生体模倣グルコースセンサの作動テストシステムを示す。
【図4】図3の物理的システムに対応する(動態解析に使用される)コンパートメントモデルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の他の特徴並びに効果については、図面を参照して説明した以下の説明より明らかになるが、これらの説明は例示のために示したものであり限定する趣旨ではない。
【0011】
(人工生体模倣膜を組み込んだデバイス)
本発明は、生体内作用を理解することで電気化学的エネルギー生成方法の開発し、またそれに対応するナノ構造に基づく生体模倣膜を組み込んだデバイスの開発技術を提案するものである。
より正確に言うと、本発明は化学エネルギーが変化した結果、電気化学的勾配ができてエネルギーが生成されることに起因する人工生体模倣膜を組み込んだデバイスを提案するものである。
【0012】
自然界にはイオンチャネル(細胞の生体膜にある膜貫通タンパク質の一種で、受動的にイオンを透過させるタンパク質の総称)や水チャネル(細胞の間で水の出入りを調節しているチャネル)が広く存在し、生物学者や生化学者には公知である。それらは輸送タンパク質であり、遺伝子工学技術で生成できることは公知である。しかし、膜貫通タンパク質は大量に生成・抽出することが困難なため、輸送タンパク質の生成は必ずしも容易ではない。
【0013】
生体膜もまた広く公知であり、一般的なものに脂質二重層、通常はリン脂質二重層がある。
【0014】
生体内作用と同様に作用する生体模倣膜の製造方法は公知である。例えば、非特許文献1(「Nanobiotechnology of Biomimetic Membranes」(スプリンガー著、ニューヨーク、2006年−ISBN:978−0−387−37738−4))に書かれたドナルドマーティンの研究を参照されたい。この本の内容は全て、この引用により本明細書に含まれることとする。
【0015】
本発明のデバイスで使用される人工生体模倣膜は3層構造となっている。このような構成の膜は図1及び2に記載される。その3層とは、
・一般的には高分子膜(多孔質シリコン膜やグラフィン膜でもよい)で、公知の物質に対して透過性を有する多孔質支持膜(以下支持膜と称する)
・1種類以上の輸送タンパク質が組み込まれた、通常はリン脂質で構成される脂質膜
この脂質膜は好ましくは脂質二重層であり、この脂質二重層の膜の厚さは好ましくは約4nmとする。
・高分子電解質ポリマー「クッション」とも呼ばれる、高分子電解質膜(必ずしも使用される訳ではない。)
この層(厚さは通常40nm)は脂質二重層膜と支持膜の間に設けることにより、脂質膜とは強力に接着する一方で、支持膜との粘着力は弱く支持膜に接触する底部が側方拡散できるよう構成されている。
【0016】
このように構成された膜は既存の半透膜の効果を大幅に上げることができる。既存の半透膜では、特定の分子をある程度選択して輸送するためには膜の物理的特性を変更する必要がある。例えば、膜に使用する素材の選択に加えて表面電荷(濡れ性)と細孔径(多孔率)の組み合わせも変更する必要がある。また、この種の膜では、「実在する」複合流体(例えば生体液や環境流体)の殆どに存在するイオン及び大型分子を選択的に透過させるように制御する能力に限界がある。
【0017】
本発明が提案する人工生体模倣膜を組み込んだデバイスの利点は、生細胞の脂質二重膜(極性脂質、特にリン脂質が二層となり膜状の構造をとったもの)に存在する特有の輸送タンパク質を使用することによって透過性を制御可能とした点である。このように、人工膜にも生細胞と同じように、輸送するイオン又は分子を選択できる機能が備えられる。脂質二重層の殆どの部分は、イオン及び分子が生物学的輸送分子によって膜の反対側へ輸送されないよう構成されている。生細胞から抽出される生物学的輸送タンパク質から人工膜を「形成」することによって、選択的な透過性を持つ人工膜ができる。
【0018】
入手可能な様々な生物学的輸送タンパク質の中から我々が選んだものは、Na/K交換体(Na/K−ATPアーゼとも称される)、Na/H交換体(Na/H対向輸送体(アンチポーター)とも称される)、Na/グルコース輸送体、HCO/Cl交換体、尿素輸送体、受動グルコースチャネル、アクアポリン、受動イオンチャネル(例えばグラミシジンAイオンチャネル、バリノマイシンイオンチャネル、又は生細胞から抽出される他のイオンチャネルタンパク質)、カドミウム輸送体若しくはバクテリオロドプシンであるが、これらに限定されることはない。
【0019】
人工生体模倣膜はケーシング内に収納されてケーシングを2つのチャンバに分割するように配置される。両方のチャンバの内部には流体が充填されており、その間の交換は生体模倣膜を通してのみ行われる。
図1に記載の通り、好ましくは両方のチャンバに入口及び出口を設け、入口から液体を注入して出口から液体の排出が行われるようにする。
【0020】
(基本原理)
図1は本発明による人工生体模倣膜を組み込んだデバイスの基本原理を示す。
本デバイスに設けられるケーシングは拡散チャンバとして構成してもよい。既に説明したように、生体模倣膜によって2つの流体コンパートメント、つまり流体を充填する2つのチャンバに分割される。
【0021】
ケーシングはシリコンウェーハ技術によって非常に小型化できる。実際、チャンバの壁をシリコンにして一部を多孔質シリコンにすると、MEMS(微小電気機械システム)技術を備えるデバイスを構成することができる。こうしてチャンバは容量が少なく(約1cm以下)、膜は超極薄(数十ナノメートル)にすることができる。
【0022】
図の例の生体模倣膜は、Na/K交換体(Na/K−ATPアーゼ)、Na/H交換体(Na/H対向輸送体(アンチポーター))及び内向き整流性Kチャネル(種々の細胞外K濃度下において、主としてKの平衡電位以下で開き、内向き電流を通すKチャネル)を備えた脂質膜が含まれる。
【0023】
まず、それぞれのチャンバに電解質溶液(例えば、NaCl=150mM、KCl=150mM、pH=7.4とする)を入れる。但し、下側チャンバにはアデノシン三リン酸(ATP)も含まれる。
一次性能動輸送を行うNa/K−ATPアーゼは、ATP結合のPを利用してNa及びKを能動輸送する。この能動輸送は起電性があり、膜を隔ててアシンメトリーなNaとKのイオン濃度勾配を作る。
二次性能動輸送を行うNa/HアンチポーターはNaイオン濃度勾配のポテンシャルエネルギーを利用して膜を隔ててアシンメトリーなHのイオン濃度勾配を作る。
【0024】
内向き整流Kチャネルは、膜の両側でKイオンのネルンスト(電気生理学におけるネルンストの式とは、「イオンXに対して透過性がある膜を隔てて、片側の区画(o)イオンXの濃度をXo、他方の区画(i)での濃度Xiとする。濃度勾配に従ってイオンが膜を透過することにより生じる電荷の移動により膜を隔てて電位差が生じる。平衡に達した時の区画oに対する区画iの電位を表す式)の平衡を成立させるために必要である。興味深いことに、このネルンストの平衡により電位(例えば、70−90mV)が発生するので、この人工生体模倣膜をナノエレクトロニクスに適用する場合にも役に立つ。
【0025】
そのような人工生体模倣膜を組み込んだデバイスは、以下を発生させることができる。
(i) 起電性のイオン束によって発生する電流
(ii) 膜を隔てて生じる電位(例えば70−90mV)
(iii) アシンメトリーなイオン濃度勾配による大きな浸透圧
(iv) 浄化された液体(液体の様々な溶質の濃度が膜を隔てて変化するため)
【0026】
この原理はバイオセンサの製造にも適用できる。
このように、本発明の人工生体模倣膜を組み込んだデバイスは化学勾配を作り出して、以下に記載する詳細な説明から明らかなように様々な用途に使用することができる。
【0027】
(生体模倣燃料電池)
まず、人工生体模倣膜を組み込んだデバイスは電気エネルギー源としても使用可能である。
化学勾配から直接的に電気エネルギーを生成する様々な方法が存在する。
例えば、近年提案されているのはpHの変化を用いた燃料電池である。これについては、特許文献1(2006年12月4日出願のフランス特許出願番号06−55296)に更に詳しく記載されている。この文献の内容は全て、この引用により本明細書に含まれることとする。
他の燃料電池も開発されており、グルコースをエネルギー源としたグルコース燃料電池や、NaClをエネルギー源とした塩燃料電池などがある。
【0028】
本発明のデバイスは機械エネルギー源としても使用可能である。
その場合、例えばオスモル濃度(同じ浸透圧をもつ非電離質水溶液のモル濃度で浸透圧を示す)勾配を利用するシステムで使用することが考えられる。この一例が特許文献2(2005年2月3日出願のフランス特許出願番号05−50314)に記載されている。この文献の内容は全て、この引用により本明細書に含まれることとする。
オスモル濃度勾配は特異分子(グルコース、グルコン酸塩)の勾配でもよいし、アクアポリン(HO輸送体)の使用から生じるものであってもよいが、その場合全体的に浸透圧が変化する。
体積変化による例えばNaやHの変換に反応するイオン交換樹脂(合成樹脂の一種で分子構造の一部にイオン基として電離する構造を持つ。水などの溶媒中のイオンとイオン交換作用を示すが、その挙動がイオンに対する選択制に従う。)やヒドロゲルを利用してもよい。
人工生体模倣膜を組み込んだデバイスは、2つの面に電圧差を生じさせることによってEAP(電気活性高分子)の活性化に使用してもよい。
【0029】
(浄化装置)
人工生体模倣膜を組み込んだデバイスは浄化装置としても使用できる。
この場合、このデバイスは人工腎臓の1構成要素(Naの輸送制御を行う要素)となる。
デバイスは尿素制御のために使用してもよい。(直接的に制御してもよいし、ネフロンの各部位と同様のメカニズムを設けて制御してもよい。)
更に、排水量の調節(水分バランス調整のため)、又は脱塩に使用してもよい。
【0030】
(生体模倣センサ)
人工生体模倣膜を組み込んだデバイスはセンサ機器として使用することもできる。分子勾配ができる時にその分子の初期値に応じた電圧が生じるので、分子濃度の測定に活用できる。
【0031】
典型的な例がグルコースセンサである。グルコースセンサにおける輸送タンパク質には、SGLT(Na/グルコース共輸送体)、つまりリガンド依存性イオンチャネル(分子の特異的な結合によって開くイオンチャネル)が含まれる。この輸送体によって、検知する分子にリガンド結合する、即ちその分子を共輸送するイオンのイオン束が発生する。そうすると、発生したイオン束が一般的な電子機器で検出される。図1に記載される他の輸送タンパク質は、その適用状況やイオン輸送の条件に応じて図2に説明した基本原理の概要に追加する。
【0032】
Naとグルコース輸送の量的関係は化学量論的に正確に規定されているので、直接的にグルコース分子を検出する感度の良い生体電気器具ができる。この化学量論的な数値は輸送タンパク質の種類により異なる。例えば、SGLT1は各グルコース分子が2個のNaイオンを輸送し、SGLT2は各グルコース分子が1個のNaイオンを輸送し、SGLT3は全グルコース分子の結合に対して2個のNaイオンを輸送する。SGLT3は、実際にグルコースは輸送せずに確実にNaイオンを膜透過させるので他のSGLTとは異なるものである。SGLT3は神経内分泌細胞に対する生物学的グルコースセンサであると考えられる。
【0033】
重要な特徴は、SGLT輸送はNa勾配を利用してグルコースをその濃度勾配に反して輸送する点である。グルコース濃度勾配がなければSGLTはNaのユニポート(単輸送)として機能し、起電性Naのバックグラウンド輸送が行われることになる。
【0034】
SGLT阻害剤にはフロリジン(phloridzin)、フロレチン、フロリジン(phlorizin)、p−ニトロフェニルグルコース、β−ナフチルグルコース、カドミウム、イソクェルシトリン、spiraeosid、α−メチル−D−グルコシド、ANPなどがある。
特定のSGLTタンパク質の基質として、フルクトース、D−グルコース、D−マンノース、ガラクトース、α−メチル−D−グルコピラノシド、α−メチル−D−グルコース、メチルアゾキシメタノール β−D−グルコシド、3−O−メチルグルコース、2−デオキシ−D−グルコース、ミオ−イノシトールなどがある。
【0035】
図3は上側及び下側チャンバの電極で測定される電流を利用して、生体模倣グルコースバイオセンサの作動実験を行うための物理的システムを示す。使用した記号の意味は以下の通りである。
−U(t)=上側チャンバにNaを投入
−U(t)=上側チャンバにグルコースを投入
−U(t)=下側チャンバに溶液を投入
−k01=上側チャンバからの溶液流出
−k03=下側チャンバからの溶液流出
−k04=グルコースオキシダーゼ反応による生成物の流出
−k31=SGLT1の(上側から下側への)Na輸送レート
−k32=SGLT1の(上側から下側への)グルコース輸送レート
−k13=SGLT1の(下側から上側への)Na輸送レート
−k23=SGLT1の(下側から上側への)グルコース輸送レート
−k34=グルコースオキシダーゼによるグルコースの消費
−k43=グルコースオキシダーゼ反応による生成物
【0036】
図4は物理的システムに対応する一般的なコンパートメントモデルを示す図である。
−コンパートメント1は上側チャンバのNa濃度を表す。
−コンパートメント2は上側チャンバのグルコース濃度を表す。
−コンパートメント3は下側チャンバの溶液濃度を表す。
−コンパートメント4は下側チャンバのグルコースオキシダーゼの濃度を表す。
【0037】
一般的なコンパートメントモデルは以下の一連の線形微分方程式により表される。

【0038】
別の種類のバイオセンサを開発することもできる。すなわち、輸送体分子をバクテリオロドプシンにすると生体模倣光センサとしても使用することができる。この輸送体を組み込むことにより網膜と同じように光に反応する人工生体模倣膜システムを作り出すことができる。バクテリオロドプシンは光に反応するとHイオンを膜の反対側へと輸送するので、このHイオンの束をpHプローブ又はその他の公知のpH検知器具などによって検知することにより生体模倣光センサとなる。
【0039】
また、感光性の立体マイクロカプセルを作ることもできる。このシステムにより、光がイオンチャネルの開閉制御を行うスイッチとなる最先端システムを提供することができる。例えばこのようなシステムは、ドラッグデリバリーシステム(体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御し、コントロールする薬物伝達システム)やターゲット制御において適用できることは明らかである。そのようなシステムでは、中空のマイクロスフェアが輸送媒体として使用され、イオンチャネルにより微小粒子の中身が放出制御されるように構成される。
【0040】
マイクロカプセルの直径は500nmにすることもできるので、感光性マイクロカプセルのアレイをフレキシブルな物質表面(substrate)に取り付けて、「人工網膜」などを作ることが可能である。これはナノバイオテクノロジーの原理に基づく感光性物質を製造するための革新的なアプローチである。つまり、この生物学的な原理が、ナノ工学から開発した材料及びその開発工程や、新規のマイクロカプセルを製造しようとする物理科学に影響を与えるのである。バクテリオロドプシンによる光反応の変換によってイオン束が変化して電気化学勾配が生まれるという特性により、ナノ構造のマイクロカプセルアレイを導電性ポリマーなどのフレキシブル支持材に組み込んで「人工網膜」を構成することが可能となる。このようなポリマーを使用する技術は既に存在している。電子化学的イオン束により「情報」を得ることは現存のマイクロチップ技術への応用に適している。このような技術に適用した結果が光検出器の基盤となる感光性のフレキシブル薄膜(「人工網膜」も含む)である。
【0041】
(人工生体模倣膜における輸送タンパク質の密度)
人工生体模倣膜は、その膜を備えたデバイスの性能を上げるために、全体的に高いイオン伝導率を備えることが一般的に必要とされる。
理論的には6個の脂質分子に対して約1個の輸送分子が比率の上限とされている。しかし、この上限はそれぞれの輸送タンパク質の密集度合いや脂質二重層の脂質分子との組み合わせ方にも関係しており、その理論計算は非常に複雑である(結合エネルギー等も関係する)。
【0042】
別の実験では、正常に作動する脂質分子に対する輸送タンパク質密度の上限は、1個の輸送タンパク質に対して約10個の脂質分子であると考えられている。これは、1cmに1014個の脂質分子が存在する一般的な脂質膜を考えると1cmに約10個の輸送タンパク質が存在する密度となる。
【0043】
燃料電池としてデバイスを正常に作動させる際の一般原則は、輸送タンパク質分子の密度を少なくとも測定可能な電流値となるように設定することである。電流はピコアンペアの単位まで低くても測定可能である。
【0044】
個々の輸送タンパク質が高いイオン伝導性を備えている場合(例えば、その経路の抵抗値が低い場合など)、輸送タンパク質分子の濃度が非常に低くても測定可能な電流値が得られる。
例えば、VDACタンパク質(電圧依存性アニオン選択チャネル)は、単一チャネルの導電性が4nS(ナノジーメンス)と大変高い。よってVDACタンパク質と脂質分子との比は、1個のVDACタンパク質に対して5*10個の脂質分子という低い濃度領域でもよい。これは1cmにつき2*10個のイオンチャネルタンパク質が密集していることになる。
【0045】
個々の輸送タンパク質のイオン伝導性が低い場合、測定可能な電流値を得るためには密度を上げる必要がある。
例えば発生する電流が比較的少ない酵素であるNa/K−ATPアーゼ輸送体の場合である。その場合でも、1モルにつき6*1023個の分子が存在し、伝導性が低い輸送タンパク質でも測定可能な電流を得るために必要な全体的な密度はやはり低い。
【0046】
(具体例)
第1組の実施例は以下を備えるデバイスAに関する。
−・生細胞に見られる脂質二重膜に自然に存在する形態及び化学成分を再現し、好ましくは二重膜に構成されたリン脂質分子と、
・脂質二重膜が含有する輸送タンパク質によって輸送されるイオン及び分子を自由に透過させる、脂質二重膜を支持するための高分子支持膜と、
を備えた少なくとも1の輸送タンパク質を含む生体模倣膜
−生体模倣膜によって分割された以下の特徴を備える2つのコンパートメント
・両方のコンパートメントに、まずは分子濃度又はイオン濃度が同じ液体成分を充填する。
・その内の1つのコンパートメントは細胞外液を充填してもよい。
【0047】
例A1は、人工生体模倣膜を組み込んだデバイスAにNa/K交換体(ATP依存性)という1種類の輸送体を備えたものである。
これによって機械的効果が高い、つまり(人工腎臓の)浄化システムとして有用なNa勾配を作ることができる。
3個のNaが2個のKと交換されることにより浸透作用を通してこの機械的効果が得られることになる。例を示すと、チャンバ内の流体のNaCl濃度が125mM/Lの場合、Na/K交換体の働きにより脂質膜を隔てて40mOsm/Lの浸透圧勾配を作ることができる。これは1気圧に相当する。ATPが充分にあればポンプ(膜タンパク質)が作動し続けてNaが膜の片側からなくなる。
Na/K交換体の特性により膜を隔てて125mOsm/LのNa電気化学勾配ができることから、結果として生じる電位は63mVとなる。
機械的効果はイオン交換樹脂やヒドロゲルの増加によっても得られる。
【0048】
例A2は、人工生体模倣膜を組み込んだデバイスAにHCI/Cl交換体という1種類の輸送体を備えたものである。
このデバイスは何らかの酵素系(ウレアーゼ等)又は生物系(イースト等)によりCOができると、Hの勾配ができる。一方、呼吸によるCOの放出も考えられる。
【0049】
例A3は、人工生体模倣膜を組み込んだデバイスAにNa/H交換体という1種類の輸送体を備えたものである。1つのコンパートメント(コンパートメント1)にはグルコースオキシダーゼが含まれ、2つめのコンパートメント(コンパートメント2)にはウレアーゼが含まれる。尚、両方のコンパートメントには最初から水、NaCl、グルコース、尿素が含まれている。
【0050】
酵素の働きによってコンパートメント1ではHができ、コンパートメント2ではOHができる。Naをコンパートメント1に集めるような方向でNaとHが頻繁に交換されるようになる。一定時間経過すると、Na/H交換体がコンパートメント1からコンパートメント2へのHの輸送と、その交換としてコンパートメント2からコンパートメント1へのNaの輸送が安定的に行われるようになる。これによってNaはコンパートメント1に集められ、Hイオンはコンパートメント2に集められることになる。
このデバイスによりNaの急勾配ができるので、(浸透作用、イオン交換樹脂、又はヒドロゲルによる)機械的動力の生成や液体浄化に使用することが出来る。
【0051】
デバイスA3からは、NaClを動力源とする塩燃料電池を製造することができる。Na/H交換体により膜が官能基化されており、膜を隔てた両方にまず真水が充填される。次に片方にNaClを徐々に投入する。これによってNa勾配ができHとの交換が行われる。こうしてH勾配が作り出される。この勾配は例えばpH依存性の燃料電池で利用される。Hが1の電子にほぼ対応している。
【0052】
そのようなデバイスは、NaClを徐々に分解することによってヒトの体外で操作してもよい。グルコース燃料電池(特許文献1に記載)に勝る利点は、酵素が不要である点、塩はグルコースよりも溶解しやすい点、分子量が小さい点である。このように電力対質量比がグルコース燃料電池よりもはるかに優れている。1モルのNaClにより1モルの電子が生じる。発生したHに対して1電子を交換するpH依存型燃料電池を用いて、pH勾配が5ユニットで操作した場合、5×60=300mVとなり、燃料の最大理論電力対質量の比が96500×0.3/58J/g=500J/gとなる。(普通の電池が供給できる電力量は160Wh/kg=576J/gである。)
【0053】
ヒトの体内で使用する場合にも、ATPを製造する必要はなく、Na勾配があればよい。
【0054】
例A4は、人工生体模倣膜を組み込んだデバイスAに受動グルコースチャネルという1種類の輸送体を備えたものである。これは特許文献1に記載のデバイスと共に使用してもよい。特許文献1に記載のデバイスでは1方のコンパートメントには細胞外液(ECF)が、第2のコンパートメントにはグルコースオキシダーゼが含まれている。このグルコースオキシダーゼはECFから第2のコンパートメントに移動したグルコースによるpHの低下に使用する。そのような状況において問題となるのはECF内にHCOなどの化学的バッファ(ケミカルバッファ)が存在することである。デバイスA4の生体模倣膜では、HCOはECFから膜を通過して第2のコンパートメントに入ることはできないのでグルコースオキシダーゼは「バッファーから保護された状態で」作用することになる。
【0055】
これは、pHの低下を促す点、またグルコネートの形でのグルコース捕捉による浸透作用がある点において興味深い。
【0056】
脂質二重膜の各面における電位を測定する電極を設置すると、電圧測定に使用、つまりバイオセンサとして使用した試験例に対応する第2組のデバイスBに第1組のデバイスAを適用することができる。
【0057】
第3組の例のデバイスCはデバイスAと同様のデバイスであるが、2種類の輸送体を使用する。
例C1は、Na/K交換体(ATP依存性)及びNa/H交換体を備えた人工生体模倣膜を組み込んだデバイスCである。
このデバイスはH勾配を作り出し、pH依存性燃料電池に使用できる。
【0058】
例C2は、Na/K交換体(ATP依存性)及びHCO/Cl交換体を備えた人工生体模倣膜を組み込んだデバイスCである。
このデバイスは塩水の浄化に使用できる。
【0059】
例C3は、Na/K交換体(ATP依存性)及びSGLTx(Na/グルコース交換体)を備えた人工生体模倣膜を組み込んだデバイスCである。
このデバイスは燃料電池として使用できる点やグルコースを除去できる点において興味深いものである。後者に関して言うと、グルコースが輸送されるコンパートメントにはグルコースオキシダーゼが含まれていることにより、バルブを通して生成されたグルコン酸塩を除去することができる(グルコン酸塩は「捕捉」されるので浸透圧によりこのような除去が行われる)。
【0060】
例C4は、尿素輸送体及びNa/K輸送体を備えた人工生体模倣膜を組み込んだデバイスCである。Na/K輸送体によってNa勾配ができ、尿素輸送体はその勾配を利用して尿素を集める。若しくは、グルコースオキシダーゼにより1つのコンパートメントのpHを低下させ、Na/Hの結合体と尿素輸送体により尿素を集める。
このシステムは尿素排泄の制御に用いられる。更に詳しく言うと、移植可能な人工腎臓に使用される。
【0061】
第4組目の例であるデバイスDは、デバイスBの特徴(電圧測定)及びデバイスCの特徴(2種類の輸送体)を備えたものである。
【0062】
例えばグルコースセンサにおいて、Na/K交換体の作用によってNaイオンを膜の一方側に集中させて、膜を隔てた定常状態のNa勾配を形成する。
1個のグルコース分子をSGLTx輸送体に結合するとSGLTx輸送体の構造変化が起き、グルコース分子及び2個のNaイオンが膜を通過して輸送される。
【0063】
膜を隔てて配置される電極により、Naイオン2個の膜の反対側への輸送により生じる電圧や電流の変化が検知される。
このセンサは、SGLTx輸送体によりグルコース分子とNaイオンが膜の反対側へと共輸送されることによる定常状態の電流や電圧の変化を検知して作動するものである。
「ブリッジ型」電気回路は、グルコース分子とNaイオンの共輸送による定常状態の電圧又は電流の小さな変化を検知するのに使用される。
【0064】
第5組目の例であるデバイスEは、電気活性高分子(EAP)製のアクチュエータをH依存性燃料電池の半電池2個の間に配置したものである。
このデバイスは前記したメカニズムの1つを利用したpHの低下と、「グルコース燃料電池」で使用したようなキンヒドロン等のレドックス対と、EAPによって「燃料マッスル(fuel muscle)」作り出す。
適当な抵抗により電気接触が行われるとEAPが湾曲する。
EAPの活性化に必要な電圧にするためには、複数の「pH依存性燃料電池」を連結させる必要がある。
【0065】
第6組目の例であるデバイスFは、腎臓刺激デバイスである。
このデバイスFには、既に説明したデバイスが複数連結して設けられている。浸透勾配及び受動的な尿素の移動を次々に起こすことにより、流入した流体から流出する流体へと尿素が徐々に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】フランス特許出願番号06−55296
【特許文献2】フランス特許出願番号05−50314
【非特許文献】
【0067】
【非特許文献1】Nanobiotechnology of Biomimetic Membranes(スプリンガー著、ニューヨーク、2006年−ISBN:978−0−387−37738−4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、該ケーシング内に2つのチャンバを形成するように配置された人工生体模倣膜とを備え、
各チャンバには所定成分の液体が入れられ、
前記人工生体模倣膜は脂質膜と該脂質膜を支持する半透膜(以下支持膜と言う)を備え、前記脂質膜は層状に配置された複数の脂質分子で構成されると共に少なくとも1種類の輸送タンパク質が含まれた膜であり、前記輸送タンパク質により前記液体のイオン及び/又は分子が前記2つのチャンバ間で輸送されることを特徴とする人工生体模倣膜を組み込んだデバイス。
【請求項2】
前記脂質膜は、複数の脂質分子よりなる二重膜であることを特徴とする請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記輸送タンパク質は、Na/K交換体、Na/H交換体、Na/グルコース輸送体、HCO/Cl交換体、尿素輸送体、受動グルコースチャネル、アクアポリン、受動イオンチャネル、カドミウム輸送体、バクテリオロドプシン、及びそれらの組み合わせの中から選択されることを特徴とする請求項2記載のデバイス。
【請求項4】
前記脂質膜は、2種類の輸送タンパク質を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記脂質二重膜は、3種類以上の輸送タンパク質を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記人工生体模倣膜には、更に高分子電解質膜が備えられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
更に、前記脂質膜の両側に電極が設けられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記人工生体模倣膜は、2つの脂質膜とその間に配置される電気活性高分子膜を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記支持膜は、液体成分の全てのイオン及び/又は分子に対して透過性を持つことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記支持膜は、多孔質ポリマー、シリコン又はグラフィン膜であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
各チャンバには前記所定成分の液体を充填するための流入口が備えられることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
各チャンバには外部に前記液体を排出するための排出口が備えられることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
両方のチャンバには、同じ組成分でイオン及び/又は分子濃度が同一の液体が充填されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記チャンバの内の1方には更に、液体成分のイオン及び/又は分子が輸送タンパク質により2つのチャンバ間で輸送されるようにするための活性化物質が含まれることを特徴とする請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記活性化物質はアデノシン三リン酸であることを特徴とする請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記チャンバの内の1方には更に、液体成分のイオン及び/又は分子が輸送タンパク質により2つのチャンバ間で輸送されないようにするための阻害物質が含まれることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記チャンバの内の1方には更に、分子又はイオンの特性に応じて輸送が制御される物質に対して作用する酵素が含まれることを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記酵素はグルコースオキシダーゼであり、前記物質はグルコースであることを特徴とする請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記チャンバの壁はシリコン製であり、その一部が多孔質シリコンであることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記チャンバの容量は1cm未満であることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記膜の厚さは100nm未満、好ましくは20nm未満であることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれか1項に記載のデバイスで構成された燃料電池であって、
前記デバイスによりpH勾配ができ、前記燃料電池には前記pH勾配をエネルギーに変換する手段が備えられることを特徴とする燃料電池。
【請求項23】
前記デバイスにはNa/H輸送体を備えた人工生体模倣膜が設けられ、前記液体にはNaClが含まれることを特徴とする請求項22に記載の燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−534384(P2010−534384A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513933(P2010−513933)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058253
【国際公開番号】WO2009/003936
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(509352554)ユニヴェルシテ ジョセフ フーリエ−グレノーブル アン (2)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE JOSEPH FOURIER−GRENOBLE 1
【Fターム(参考)】