人物動線追跡システム及び広告表示制御システム
【課題】金融営業店の店舗内存在する顧客の属性を自動的に取得し、店舗内に設置されている広告ディスプレイに顧客が興味を持ち易い広告を表示する。
【解決手段】金融営業店の店舗内における顧客の動線を追跡すると同時に窓口に来た時刻と照らし合わせることで顧客IDとそれに対応する顧客属性を取得して店舗内で表示する広告表示内容を制御する。
【解決手段】金融営業店の店舗内における顧客の動線を追跡すると同時に窓口に来た時刻と照らし合わせることで顧客IDとそれに対応する顧客属性を取得して店舗内で表示する広告表示内容を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広告表示制御システムに係り、特にカメラで撮影したビデオ画像から抽出した人物の動線情報と、店舗内における取引データを関連付けることにより当該人物を特定する情報を得ると共に、特定情報を元に表示広告の内容をその人物毎にカスタマイズし、広告表示装置の前を通過する時にカスタマイズ広告を表示するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品の売上向上のために様々なメディアを通じて広告が流されている。しかし、従来のマスマーケットを対象とした広告表示が主流だった時代とは異なり、現在は消費者の価値観や生活スタイルも多様化している。そのために、不特定多数向けに画一的な広告を表示しても、その広告効果が上がりにくいという問題点が指摘されるようになってきた。その対策として、個々の消費者の価値観や興味に応じて広告の内容を変えるという取組みが行われ、例えば、インターネットの世界では、その人の興味がある分野をサービスプロバイダに登録しておけば、その分野に関連する広告や情報を選択して配信するというサービスが存在する。顧客の特徴に合わせて広告表示するものに特許文献1がある。
【0003】
一方、現実世界の店舗においては、広告情報や商品情報を得るために消費者が興味対象分野を予め店舗側に登録するというような積極的な働きかけは非常に少ない。むしろ、広告を出したい店舗側が消費者に対して一方的に広告を表示することが多かった。ただ、技術の発展により、印刷物による広告の他に、プラズマディスプレイなどを用いて表示を変えることが可能な広告媒体が普及するようになり、動画等を用いて視聴者の気に留まり易い広告が可能になった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−73321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように表示内容を変更することが可能なディスプレイを用いるということにより、従来以上に様々な表示効果を出すことが可能になった。また、携帯端末等と広告ディスプレイを連携させて、広告を見ている視聴者にあわせて表示内容を変えるといった広告ディスプレイに対する双方向性のアイデアも提案されている。しかし、これらの双方向性メディアも含めて視聴者が広告ディスプレイの前を通った時に、たまたま、自分が興味を持っている広告が表示されて立ち止まり視聴することが前提である。
【0006】
一般に、広告ディスプレイを見ている視聴者を特定することが困難であるが故に、無作為に広告を流しているのが現状である。これに対し、視聴者がディスプレイの前を通る前に予めその視聴者が誰であるかということと、その人の興味対象分野を特定した上で、広告内容をカスタマイズして表示することが可能であれば、視聴者を立ち止まらせて広告効果を高めることができる。
【0007】
本発明の目的は、店舗内における顧客の動線情報と店舗内の取引データを関連付けることでディスプレイの前を通る顧客が誰であるかということを事前に特定すること、および、その特定された人物情報を基にシステムからその人に関連する広告データを取得し、ディスプレイの前を通過時に前記関連広告を表示することで広告効果を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、人物追跡環境の画像を撮影する1つ以上のカメラと、前記カメラから出力される撮影画像を解析して、画像に含まれる追跡すべき人物を特定すると共に特定した人物の特徴量を抽出し、抽出した結果に基づき当該人物の動線情報を抽出する人物動線追跡システムであって、前記動線情報の中に含まれる位置情報をその位置に存在した時の時刻と関連付けて記憶する画像処理装置と、追跡されている人物が特定の場所に滞在した時刻と、その場所で開示された当該人物を一意に特定するコードを対にして記憶する顧客取引装置と、前記時刻と関連付けられた位置情報と前記特定の場所に滞在した時刻とをマッチングし、そのマッチング結果から前記動線情報と前記当該人物を一意に特定するコードを関連付ける手段とを、具備することを特徴とする人物動線追跡システムである。
【0009】
また、他の好ましい例では、広告を表示するディスプレイに、予め装置内に格納した広告コンテンツデータを表示する広告表示制御システムであって、人物追跡環境の画像を撮影する1つ以上のカメラと、前記カメラから出力される撮影画像を解析して、画像に含まれる追跡すべき人物を特定すると共に特定した人物の特徴量を抽出し、抽出した結果に基づき当該人物の動線情報を抽出すると共に、前記動線情報の中に含まれる位置情報をその位置に存在した時の時刻と関連付けて記憶する画像処理装置と、追跡されている人物が特定の場所に滞在した時刻と、その場所で開示された当該人物を一意に特定するコードを対にして記憶する顧客取引装置と、前記時刻と関連付けられた位置情報と前記特定の場所に滞在した時刻とをマッチングし、そのマッチング結果から前記動線情報と前記当該人物を一意に特定するコードを関連付ける手段と、前記当該人物を一意に特定するコードとそのコードと関連付けられた広告コンテンツデータを取得する手段と、前記動線情報から当該人物が広告を表示するディスプレイの前に来たことを検知する手段と、前記検知情報に基づき前記当該人物を一意に特定するコードと関連付けられた広告コンテンツデータを前記ディスプレイに表示する手段とを、具備することを特徴とする広告表示制御システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、顧客に対する店舗内の動線情報とその顧客を特定する情報を結び付けることが可能になるので、その動線情報をマーケティング情報として活用することが可能になる。また、店舗内を移動している顧客を個々の特定することが可能になるので、店舗内の顧客が広告ディスプレイの前を通る前に、システムが保持しているその人の興味対象分野を取得することが可能になる。また、その取得された興味対象分野に応じて広告表示内容をその人に合わせた形に切り替えることが可能になるので、その顧客の注意を惹きやすく広告効果を高めることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1〜15を参照して本発明の実施形態について、説明する。
本実施形態は、金融営業店において複数のカメラ画像によりそれぞれの顧客の移動を追跡した上で、窓口での取引開始時間と、その顧客が窓口に立寄った時間を付き合わせて、店舗内で移動をしているそれぞれの顧客が誰かを特定する。そして、特定した顧客情報を基にシステム側で保持している顧客の興味対象分野を抽出して、顧客が店舗内にある広告ディスプレイの前を通る直前に表示内容をその興味対象分野に基づき切り替える。
【0012】
図1は、全体システムの構成例である。100は金融営業店であり、勘定系取引データや顧客情報を一括管理するデータセンタ102とは広域ネットワーク101を介して接続する。金融営業店100において各端末やサーバ、装置等は営業店内のLAN110で接続されている。営業店サーバ103は営業店窓口端末104で取り扱う勘定系取引データなどを制御・管理する。広告制御サーバ105は広告ディスプレイ106に表示する広告情報を制御するサーバである。画像処理サーバ107は金融営業店内の複数箇所に設置されたカメラ108〜109からのビデオ画像を入力し、カメラに写された営業店内の各顧客の動線データを画像処理により抽出する。ここで動線データには各顧客が店舗内で移動した経路の位置座標とその位置を通過した時刻が関連付けて記録されている。
【0013】
データセンタ102のHUBサーバ112は営業店100から送信されてくるデータを入り口となり、データセンタ内の各サーバやコンピュータにデータを振り分けて配信する。顧客情報管理サーバ113は口座番号や性別、年齢など顧客ごとの属性情報を管理するサーバである。勘定系ホストコンピュータ114は勘定系に関する顧客の取引データ、例えば、預金口座に対する入出金情報やローン情報を管理する。これらの装置はセンタ内LAN111で接続されている。
【0014】
営業店100内の広告制御サーバ105は、営業店サーバ103から出力される時刻と関連付けられた窓口取引情報、画像処理サーバ107から出力される営業店内の各顧客の動線データ、顧客情報管理サーバ113から出力される顧客属性情報を入力し、顧客の興味分野に応じて広告ディスプレイ106に表示する広告内容を選択する。同時に動線データより対応する顧客が広告ディスプレイ106の前を通過する直前に前記選択された広告を表示する。
【0015】
以下では各装置の構成やその動作について図2から図15を用いて説明する。
まず、図2、図3、図4、図5を用いて画像処理サーバ107の構成と動作を説明する。図2は画像処理サーバ107の構成例を示す図である。CPU201はLANデバイス202を介してカメラ108〜109から出力されるビデオ画像を処理するプロセッサである。補助記憶装置203にはプログラムデータが格納される、または一時的な作業メモリ領域が確保されている。主記憶装置205には画像処理を行い、顧客の動線を追跡するためのプログラム領域や作業領域が確保されている。
【0016】
全体制御プログラム206は人物抽出プログラム207や動線追跡プログラム208を制御するためのプログラムを含む。人物抽出プログラム207や動線追跡プログラム208は、各カメラから出力されるビデオ画像のフレーム画像データを格納しているバッファ211から213のデータを読み出し、画像に写っている人物を抽出すると共にその動線をカメラにまたがって抽出する。動線の抽出結果は抽出された人物毎に時刻と店舗内の位置をリンク付けした形で214から221に格納される。位置マッピングプログラム209は各カメラ画像内の人物の位置座標を店舗内の位置座標に置き換えて出力する。
【0017】
図3は画像処理サーバ107の処理フローを説明した図である。まずサーバは店舗内に設置されたカメラ108から109の時刻毎のビデオ画像データ、すなわち、フレーム画像データをカメラ毎に分けて211から213に格納する(301)。
【0018】
図4に金融営業店の店舗レイアウトと店舗内に設置された各カメラの撮影範囲を示す。401は店舗の出入り口であり、106は出入り口に隣接された広告ディスプレイである。403は来店した顧客が窓口で帳票や通帳を受け付けてもらうための受付端末であり端末から整理券が発行される。404は顧客が帳票に必要事項を記載するための記入デスクであり、405は窓口での処理を待つための椅子である。406は窓口カウンターであり、104aから104dはオペレータが操作する営業店窓口端末を示す。
【0019】
A1からE4の記号で示された点線矩形は、店舗内に設置された各カメラの撮影範囲を示している。ここでは、カメラは店舗の天井に設置されて真上から撮影していると想定しており、カメラはA1からE4までの20台が稼動していることを示している。各カメラの撮影範囲間にまたがる人物の動線を精度良く追跡するために各撮影範囲にはオーバーラップ部分が設けてある。
【0020】
次に、人物抽出プログラム207は各カメラのビデオ画像データを格納しているバッファ211から213のデータを読み出し、時刻毎のフレーム間差分を抽出して移動している人物の画像領域を抽出する。そして、人物画像領域内の服の色や形といった情報から特定の人物の動線を追跡するための特徴量を抽出する(302)。動線追跡プログラム208はフレーム毎に抽出された人物の特徴量とフレーム間差分データからカメラに写っている人物の移動方向である動線データ、すなわち、各時刻とビデオ画像内における動線の位置座標の対を生成する(303)。
【0021】
図5でその詳細を説明する。501は一つの画像内の位置座標を示すメッシュであり、502、504、507はそれぞれ時刻t1、t2、t3の人物の画像を重ね合わせて表示したものである。503、505、506は各時刻の人物領域矩形の中心座標を示したものであり、動線の位置座標とはこの一連の中心座標データである。位置マッピングプログラム209はカメラ画像内の動線の位置座標を店舗内レイアウトの座標値に変換する(304)。これは各カメラで撮影された画像は画像毎に左上が原点となるので、店舗内全体に渡って顧客の動線を追跡するために、店舗内全体を写す仮想的な画像の位置座標に置き換える処理である。例えば、図4において407を仮想的な店舗内全体画像の原点だと置くと、カメラ画像B4の原点408は(0,0)ではなく、ゼロ以外の適当な座標値に置き換わる。このようにして得られた各人物毎の時刻と結び付けられた動線データを広告制御サーバ105に対しネットワークを介して出力する。
【0022】
次に、営業店サーバ103の動作について図6を用いて説明する。営業店サーバ103は営業店窓口端末104とLAN110を介して接続さている。顧客が窓口に来て通帳や帳票などの処理を依頼すると、オペレータは端末104に通帳やキャッシュカード等を挿入して取引を開始する。営業店サーバ103はその開始時刻と顧客IDを広告制御サーバ105に送信する(601)。次にオペレータは端末104を操作することで、営業店サーバ103を介して勘定系ホストコンピュータ114と接続し必要な手続きや処理を行なう(602)。以下、窓口の受付業務が終わるまで上記の処理を繰り返す。
【0023】
顧客情報管理サーバ113格納されている顧客属性情報テーブルについて図7を用いて説明する。701のカラムは顧客のマーケティングに関連する属性データの項目名を示している。702は各項目名に対応する顧客属性データを示しており、カラム703は例えば、顧客ID”01-123456”を有する人は、年齢が45歳で子供が2人いて貯蓄額が600万円であるなどを示している。
【0024】
次に、広告制御サーバ105の構成やその動作を図8から図15を用いて説明する。図8は広告制御サーバ105の構成を示しており、801、802、804は図2と同様なので説明を割愛する。補助記憶装置803には主記憶装置にロードすべきプログラムの他、図12に示す広告コンテンツデータが広告コンテンツIDと関連付けられて格納されている。1201は広告コンテンツIDを示すカラムであり、1202は1201に対応するコンテンツデータへのポインタを示している。1203は1202からリンクが張られた広告コンテンツデータを表しており、例えば、広告コンテンツID”FCD1”は“外貨預金広告コンテンツ”に対応していることが分かる。
【0025】
主記憶装置805にはサーバの動作を制御する全体制御プログラム806と、図7に示すような顧客の属性データからその人が興味を持ちそうな広告コンテンツのデータIDを抽出するためのコンテンツID取得テーブル807が格納されている。807の詳細を図10に示す。1001は顧客属性データの項目名と広告コンテンツIDであり、テーブル1002から1004は各広告コンテンツIDに対応する顧客属性の範囲を示している。1005は属性データの範囲であり、1006はその属性の範囲に顧客属性が分類された時に出力される広告コンテンツIDである。例えば、1004の場合、年齢45才〜50才、男性で配偶者や子供2人がいて第一子が16才〜18才、第二子が14才〜16才、自営業で貯蓄額が500万円以上1000万円以下で、住宅ローンがあり、性格は慎重と分類されるカテゴリの人は、教育ローンの広告を表す”K1”という広告コンテンツIDが出力される。
【0026】
図8の808から811はそれぞれ図4における窓口端末104aから104dにおける取引の履歴データであり、営業店サーバ103から送信された各履歴データは、図11に示すように顧客ID1101と取引開始時刻1102が関連付けられて格納される。812から824のデータは店舗内の一顧客ごとに保持されるデータであり、複数の顧客が店舗内に存在する場合は、これらのデータが825以降で複数個保持される。顧客属性データ812は図7に示すようなマーケティングに関する顧客属性データであり、顧客情報管理サーバ113から送信されたデータを格納する。813は812の顧客属性データに対応する広告コンテンツIDの格納エリアである。
【0027】
815から821は広告制御サーバ105の動作を制御するためのフラグ値や時刻を格納するエリアである。これらフラグ値の詳細について、店舗内の図13を用いて説明する。図13は店舗内のレイアウトおよび、フラグを制御するための顧客の動線検出エリアを示している。点線で囲われている網掛けエリアは顧客がそのエリア内に入ったときに815から821のフラグ値を変更する検出エリアであることを示している。1302から1305は顧客がそれぞれの窓口に来たことを検知するエリアであり、顧客の動線がそのエリア内に入った場合はそれぞれ814から817のフラグ値をオンにする。1306はそのエリアを通過する顧客に対して、その顧客属性データに対応する広告コンテンツを広告ディスプレイ106で表示開始するためのエリアである。また、広告開始エリアフラグ818をオンにすると共に、このエリアに入った時刻からの経過時間を広告表示時間として819に格納する。1307はそのエリア内に顧客が留まる限り、広告を表示し続けるための検出エリアであり、このエリアで動線が検出される間、表示装置エリアフラグ820はオンに設定され、顧客の動線がエリアの外に出た場合は表示装置エリアフラグ820はオフに設定される。
【0028】
822から824は顧客の店舗内における時刻毎の位置座標を示しており、店舗内における時刻と結び付けられた動線データを表す。図では時刻AT1からAtmまでが格納されている状態を示している。図13ではその動線の例として1310から1319の矢印の順番に顧客が移動したことを示している。
【0029】
本広告制御サーバ105の動作について図8、図9と図13を用いて説明する。図9は装置の処理フローを示す図である。まず、顧客が店舗内に入る前に、図8における813から821のフラグ値を初期化する(901)。次に顧客が出入り口401から店舗内に入ると複数のカメラ画像を介して動線追跡サーバ107が顧客の動線を追跡し、時刻毎の位置座標を広告制御サーバ105に対して送信し始める。広告制御サーバ105が受信した時刻毎の位置座標データは822以降のメモリエリアに書き込まれ、顧客が店舗の外に出るまで時刻毎の位置座標が格納し続けられる。
【0030】
図13において顧客は1310の矢印に沿って記入デスク404に進み、そこで帳票に必要事項を記入した後、矢印1311に沿って受付端末403から整理券を取得し、さらに矢印1312に沿って待機のために椅子405まで移動する。その後、顧客は窓口端末104dのオペレータに呼び出され、矢印1313に沿って1305の窓口4エリアまで移動して帳票や通帳などを窓口のオペレータに渡す。この時、窓口4エリアフラグ817がオンに設定される。ステップ902において、「いずれかの窓口フラグオン」という条件が成り立ったのでステップ903に進む。
【0031】
ステップ903の詳細を図14で説明する。広告コンテンツIDがまだ得られていないのでステップ1402に進む。ステップ1402では、顧客が窓口に来た以降の時刻で最も近い取引開始時刻の顧客IDを、窓口端末4取引履歴データ811から検索する。図6で説明したように、窓口オペレータが通帳などを窓口端末104dに挿入することにより、取引開始時刻と顧客IDが営業店サーバ103から広告制御サーバ105に送信されて811に自動的に追記される。そのため、広告制御サーバ105は811から窓口に立寄った顧客を特定し、その顧客IDを取得することが可能になる。
【0032】
その後、広告制御サーバ105は得られた顧客IDを、データセンタ102に設置されている顧客情報管理サーバ113に送信し、図7に示すような顧客IDに対応する顧客属性データを取得する(1403)。ここではカラム703の属性データが取得できたとする。得られた属性データを図10に示されるようなコンテンツID取得テーブル807と比較し、顧客属性が属する広告コンテンツIDを取得して、広告コンテンツIDテーブル813に格納する(1404)。この場合、IDとして”K1”が得られたと想定する。以上の処理によりステップ903に示される広告コンテンツIDが取得できる。
【0033】
店舗内の顧客は帳票が処理されるのを待つために、矢印1314に沿って椅子405に移動する。その後、顧客は窓口オペレータから再度呼び出され、矢印1315に沿って窓口4エリア1305まで移動して処理を終えた通帳などをオペレータから受け取る。この時、図9の処理フローにおいて、ステップ902の条件が成り立つので再度ステップ903の処理に進むが、図14においてコンテンツIDは既に取得されているのでここでは何も処理は行われない。
【0034】
通帳などを受け取った顧客は矢印1316に沿って移動する。そして、広告開始エリア1306に進入すると広告開始エリアフラグがオンとなる。同時に、この顧客に対する広告はまだ表示されていないので広告表示時間もゼロとなり、図9におけるステップ904の条件が正立してステップ905に進む。ステップ905では広告コンテンツID813に格納された”K1”に対応する広告コンテンツデータを補助記憶装置803から呼び出し、広告ディスプレイ106に送信して広告表示を開始する。それと同時に広告表示時間をカウントし始め、その表示時間を広告表示時間テーブル819に格納して更新する。広告ディスプレイには、顧客の属性に合わせて例えば図15に示すような広告が表示される。
【0035】
さらに顧客は矢印1317に沿って進み、表示装置エリア1307に滞在して広告ディスプレイ106を見続けたとする。その場合、表示装置エリアフラグ820がオンとなり、図9においてどの分岐条件にも当てはまらないので、広告制御サーバ105は顧客がエリア内に留まる限りディスプレイにて広告を表示し続ける。広告を見終わった顧客は矢印1318に沿って表示装置エリア1307から外に出ると、表示装置エリアフラグがオフとなる。その際に、広告表示時間も閾値を超えていると想定すると、図9におけるステップ906の条件が成り立つので、広告制御サーバ105は広告表示を終了する。仮に広告開始エリア1306を通過した顧客がディスプレイ106に表示された広告に関心を示さずに、表示装置エリア1307に進入しなかったとする。その場合、一定閾値時間経過後にステップ906の条件が成り立ち同様に広告表示を終了する。これにより、必要の無い広告表示を止めることができる。
【0036】
顧客はさらに矢印1319に沿って店舗外に出たとすると、図9におけるステップ908の条件が成り立ち、813から824のデータ全てが初期化される。
以上のステップ902から909の処理を店舗が閉店するまで繰り返し実行する。
【0037】
以上に示す処理により店舗内の顧客の動線追跡結果と窓口での取引データに含まれる顧客IDをリンク付けすることにより顧客毎にニーズが高いと思われる広告を表示して広告効果を高めることが可能になる。また、広告を制御するために、動線追跡データと顧客IDをリンク付けしたが、広告表示の制御を前提とする必要はなく、動線追跡データに顧客IDをリンク付けするだけでもよい。これにより、店舗内の顧客の移動パターンからマーケティングに必要な情報を取得することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】広告表示制御システムの全体構成例を示す図。
【図2】動線追跡サーバの構成例を示す図。
【図3】動線追跡サーバの処理フローを示す図。
【図4】金融営業店の店舗レイアウト、並びに、店舗内に配置された複数のカメラ撮影エリアの例を示す図。
【図5】店舗内における顧客の動線を表す位置座標を抽出するための原理を示す図。
【図6】営業店サーバの処理フロー示す図。
【図7】顧客情報管理サーバに格納された顧客属性情報の例を示す図。
【図8】広告制御サーバの構成例を示す図。
【図9】広告制御サーバの処理フローを示す図。
【図10】コンテンツID変換テーブルの例を示す図。
【図11】窓口端末取引履歴データテーブルの構成例を示す図。
【図12】広告コンテンツデータの構成例を示す図。
【図13】広告制御サーバの動作を制御するため、店舗内における顧客の動線検知エリアと顧客の動線の例を示す図。
【図14】広告制御サーバにて広告コンテンツIDを取得する処理フローを示す図。
【図15】広告ディスプレイに表示される広告の例を示す図。
【符号の説明】
【0039】
100…金融営業店、102…データセンタ、103…営業店サーバ、104…営業店窓口端末、105…広告制御サーバ、106…広告ディスプレイ、107…画像処理サーバ、108…カメラ、109…カメラ、110…営業店内LAN、111…データセンタ内LAN、112…HUBサーバ、113…顧客情報管理サーバ、114…勘定系ホストコンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は広告表示制御システムに係り、特にカメラで撮影したビデオ画像から抽出した人物の動線情報と、店舗内における取引データを関連付けることにより当該人物を特定する情報を得ると共に、特定情報を元に表示広告の内容をその人物毎にカスタマイズし、広告表示装置の前を通過する時にカスタマイズ広告を表示するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品の売上向上のために様々なメディアを通じて広告が流されている。しかし、従来のマスマーケットを対象とした広告表示が主流だった時代とは異なり、現在は消費者の価値観や生活スタイルも多様化している。そのために、不特定多数向けに画一的な広告を表示しても、その広告効果が上がりにくいという問題点が指摘されるようになってきた。その対策として、個々の消費者の価値観や興味に応じて広告の内容を変えるという取組みが行われ、例えば、インターネットの世界では、その人の興味がある分野をサービスプロバイダに登録しておけば、その分野に関連する広告や情報を選択して配信するというサービスが存在する。顧客の特徴に合わせて広告表示するものに特許文献1がある。
【0003】
一方、現実世界の店舗においては、広告情報や商品情報を得るために消費者が興味対象分野を予め店舗側に登録するというような積極的な働きかけは非常に少ない。むしろ、広告を出したい店舗側が消費者に対して一方的に広告を表示することが多かった。ただ、技術の発展により、印刷物による広告の他に、プラズマディスプレイなどを用いて表示を変えることが可能な広告媒体が普及するようになり、動画等を用いて視聴者の気に留まり易い広告が可能になった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−73321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように表示内容を変更することが可能なディスプレイを用いるということにより、従来以上に様々な表示効果を出すことが可能になった。また、携帯端末等と広告ディスプレイを連携させて、広告を見ている視聴者にあわせて表示内容を変えるといった広告ディスプレイに対する双方向性のアイデアも提案されている。しかし、これらの双方向性メディアも含めて視聴者が広告ディスプレイの前を通った時に、たまたま、自分が興味を持っている広告が表示されて立ち止まり視聴することが前提である。
【0006】
一般に、広告ディスプレイを見ている視聴者を特定することが困難であるが故に、無作為に広告を流しているのが現状である。これに対し、視聴者がディスプレイの前を通る前に予めその視聴者が誰であるかということと、その人の興味対象分野を特定した上で、広告内容をカスタマイズして表示することが可能であれば、視聴者を立ち止まらせて広告効果を高めることができる。
【0007】
本発明の目的は、店舗内における顧客の動線情報と店舗内の取引データを関連付けることでディスプレイの前を通る顧客が誰であるかということを事前に特定すること、および、その特定された人物情報を基にシステムからその人に関連する広告データを取得し、ディスプレイの前を通過時に前記関連広告を表示することで広告効果を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、人物追跡環境の画像を撮影する1つ以上のカメラと、前記カメラから出力される撮影画像を解析して、画像に含まれる追跡すべき人物を特定すると共に特定した人物の特徴量を抽出し、抽出した結果に基づき当該人物の動線情報を抽出する人物動線追跡システムであって、前記動線情報の中に含まれる位置情報をその位置に存在した時の時刻と関連付けて記憶する画像処理装置と、追跡されている人物が特定の場所に滞在した時刻と、その場所で開示された当該人物を一意に特定するコードを対にして記憶する顧客取引装置と、前記時刻と関連付けられた位置情報と前記特定の場所に滞在した時刻とをマッチングし、そのマッチング結果から前記動線情報と前記当該人物を一意に特定するコードを関連付ける手段とを、具備することを特徴とする人物動線追跡システムである。
【0009】
また、他の好ましい例では、広告を表示するディスプレイに、予め装置内に格納した広告コンテンツデータを表示する広告表示制御システムであって、人物追跡環境の画像を撮影する1つ以上のカメラと、前記カメラから出力される撮影画像を解析して、画像に含まれる追跡すべき人物を特定すると共に特定した人物の特徴量を抽出し、抽出した結果に基づき当該人物の動線情報を抽出すると共に、前記動線情報の中に含まれる位置情報をその位置に存在した時の時刻と関連付けて記憶する画像処理装置と、追跡されている人物が特定の場所に滞在した時刻と、その場所で開示された当該人物を一意に特定するコードを対にして記憶する顧客取引装置と、前記時刻と関連付けられた位置情報と前記特定の場所に滞在した時刻とをマッチングし、そのマッチング結果から前記動線情報と前記当該人物を一意に特定するコードを関連付ける手段と、前記当該人物を一意に特定するコードとそのコードと関連付けられた広告コンテンツデータを取得する手段と、前記動線情報から当該人物が広告を表示するディスプレイの前に来たことを検知する手段と、前記検知情報に基づき前記当該人物を一意に特定するコードと関連付けられた広告コンテンツデータを前記ディスプレイに表示する手段とを、具備することを特徴とする広告表示制御システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、顧客に対する店舗内の動線情報とその顧客を特定する情報を結び付けることが可能になるので、その動線情報をマーケティング情報として活用することが可能になる。また、店舗内を移動している顧客を個々の特定することが可能になるので、店舗内の顧客が広告ディスプレイの前を通る前に、システムが保持しているその人の興味対象分野を取得することが可能になる。また、その取得された興味対象分野に応じて広告表示内容をその人に合わせた形に切り替えることが可能になるので、その顧客の注意を惹きやすく広告効果を高めることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1〜15を参照して本発明の実施形態について、説明する。
本実施形態は、金融営業店において複数のカメラ画像によりそれぞれの顧客の移動を追跡した上で、窓口での取引開始時間と、その顧客が窓口に立寄った時間を付き合わせて、店舗内で移動をしているそれぞれの顧客が誰かを特定する。そして、特定した顧客情報を基にシステム側で保持している顧客の興味対象分野を抽出して、顧客が店舗内にある広告ディスプレイの前を通る直前に表示内容をその興味対象分野に基づき切り替える。
【0012】
図1は、全体システムの構成例である。100は金融営業店であり、勘定系取引データや顧客情報を一括管理するデータセンタ102とは広域ネットワーク101を介して接続する。金融営業店100において各端末やサーバ、装置等は営業店内のLAN110で接続されている。営業店サーバ103は営業店窓口端末104で取り扱う勘定系取引データなどを制御・管理する。広告制御サーバ105は広告ディスプレイ106に表示する広告情報を制御するサーバである。画像処理サーバ107は金融営業店内の複数箇所に設置されたカメラ108〜109からのビデオ画像を入力し、カメラに写された営業店内の各顧客の動線データを画像処理により抽出する。ここで動線データには各顧客が店舗内で移動した経路の位置座標とその位置を通過した時刻が関連付けて記録されている。
【0013】
データセンタ102のHUBサーバ112は営業店100から送信されてくるデータを入り口となり、データセンタ内の各サーバやコンピュータにデータを振り分けて配信する。顧客情報管理サーバ113は口座番号や性別、年齢など顧客ごとの属性情報を管理するサーバである。勘定系ホストコンピュータ114は勘定系に関する顧客の取引データ、例えば、預金口座に対する入出金情報やローン情報を管理する。これらの装置はセンタ内LAN111で接続されている。
【0014】
営業店100内の広告制御サーバ105は、営業店サーバ103から出力される時刻と関連付けられた窓口取引情報、画像処理サーバ107から出力される営業店内の各顧客の動線データ、顧客情報管理サーバ113から出力される顧客属性情報を入力し、顧客の興味分野に応じて広告ディスプレイ106に表示する広告内容を選択する。同時に動線データより対応する顧客が広告ディスプレイ106の前を通過する直前に前記選択された広告を表示する。
【0015】
以下では各装置の構成やその動作について図2から図15を用いて説明する。
まず、図2、図3、図4、図5を用いて画像処理サーバ107の構成と動作を説明する。図2は画像処理サーバ107の構成例を示す図である。CPU201はLANデバイス202を介してカメラ108〜109から出力されるビデオ画像を処理するプロセッサである。補助記憶装置203にはプログラムデータが格納される、または一時的な作業メモリ領域が確保されている。主記憶装置205には画像処理を行い、顧客の動線を追跡するためのプログラム領域や作業領域が確保されている。
【0016】
全体制御プログラム206は人物抽出プログラム207や動線追跡プログラム208を制御するためのプログラムを含む。人物抽出プログラム207や動線追跡プログラム208は、各カメラから出力されるビデオ画像のフレーム画像データを格納しているバッファ211から213のデータを読み出し、画像に写っている人物を抽出すると共にその動線をカメラにまたがって抽出する。動線の抽出結果は抽出された人物毎に時刻と店舗内の位置をリンク付けした形で214から221に格納される。位置マッピングプログラム209は各カメラ画像内の人物の位置座標を店舗内の位置座標に置き換えて出力する。
【0017】
図3は画像処理サーバ107の処理フローを説明した図である。まずサーバは店舗内に設置されたカメラ108から109の時刻毎のビデオ画像データ、すなわち、フレーム画像データをカメラ毎に分けて211から213に格納する(301)。
【0018】
図4に金融営業店の店舗レイアウトと店舗内に設置された各カメラの撮影範囲を示す。401は店舗の出入り口であり、106は出入り口に隣接された広告ディスプレイである。403は来店した顧客が窓口で帳票や通帳を受け付けてもらうための受付端末であり端末から整理券が発行される。404は顧客が帳票に必要事項を記載するための記入デスクであり、405は窓口での処理を待つための椅子である。406は窓口カウンターであり、104aから104dはオペレータが操作する営業店窓口端末を示す。
【0019】
A1からE4の記号で示された点線矩形は、店舗内に設置された各カメラの撮影範囲を示している。ここでは、カメラは店舗の天井に設置されて真上から撮影していると想定しており、カメラはA1からE4までの20台が稼動していることを示している。各カメラの撮影範囲間にまたがる人物の動線を精度良く追跡するために各撮影範囲にはオーバーラップ部分が設けてある。
【0020】
次に、人物抽出プログラム207は各カメラのビデオ画像データを格納しているバッファ211から213のデータを読み出し、時刻毎のフレーム間差分を抽出して移動している人物の画像領域を抽出する。そして、人物画像領域内の服の色や形といった情報から特定の人物の動線を追跡するための特徴量を抽出する(302)。動線追跡プログラム208はフレーム毎に抽出された人物の特徴量とフレーム間差分データからカメラに写っている人物の移動方向である動線データ、すなわち、各時刻とビデオ画像内における動線の位置座標の対を生成する(303)。
【0021】
図5でその詳細を説明する。501は一つの画像内の位置座標を示すメッシュであり、502、504、507はそれぞれ時刻t1、t2、t3の人物の画像を重ね合わせて表示したものである。503、505、506は各時刻の人物領域矩形の中心座標を示したものであり、動線の位置座標とはこの一連の中心座標データである。位置マッピングプログラム209はカメラ画像内の動線の位置座標を店舗内レイアウトの座標値に変換する(304)。これは各カメラで撮影された画像は画像毎に左上が原点となるので、店舗内全体に渡って顧客の動線を追跡するために、店舗内全体を写す仮想的な画像の位置座標に置き換える処理である。例えば、図4において407を仮想的な店舗内全体画像の原点だと置くと、カメラ画像B4の原点408は(0,0)ではなく、ゼロ以外の適当な座標値に置き換わる。このようにして得られた各人物毎の時刻と結び付けられた動線データを広告制御サーバ105に対しネットワークを介して出力する。
【0022】
次に、営業店サーバ103の動作について図6を用いて説明する。営業店サーバ103は営業店窓口端末104とLAN110を介して接続さている。顧客が窓口に来て通帳や帳票などの処理を依頼すると、オペレータは端末104に通帳やキャッシュカード等を挿入して取引を開始する。営業店サーバ103はその開始時刻と顧客IDを広告制御サーバ105に送信する(601)。次にオペレータは端末104を操作することで、営業店サーバ103を介して勘定系ホストコンピュータ114と接続し必要な手続きや処理を行なう(602)。以下、窓口の受付業務が終わるまで上記の処理を繰り返す。
【0023】
顧客情報管理サーバ113格納されている顧客属性情報テーブルについて図7を用いて説明する。701のカラムは顧客のマーケティングに関連する属性データの項目名を示している。702は各項目名に対応する顧客属性データを示しており、カラム703は例えば、顧客ID”01-123456”を有する人は、年齢が45歳で子供が2人いて貯蓄額が600万円であるなどを示している。
【0024】
次に、広告制御サーバ105の構成やその動作を図8から図15を用いて説明する。図8は広告制御サーバ105の構成を示しており、801、802、804は図2と同様なので説明を割愛する。補助記憶装置803には主記憶装置にロードすべきプログラムの他、図12に示す広告コンテンツデータが広告コンテンツIDと関連付けられて格納されている。1201は広告コンテンツIDを示すカラムであり、1202は1201に対応するコンテンツデータへのポインタを示している。1203は1202からリンクが張られた広告コンテンツデータを表しており、例えば、広告コンテンツID”FCD1”は“外貨預金広告コンテンツ”に対応していることが分かる。
【0025】
主記憶装置805にはサーバの動作を制御する全体制御プログラム806と、図7に示すような顧客の属性データからその人が興味を持ちそうな広告コンテンツのデータIDを抽出するためのコンテンツID取得テーブル807が格納されている。807の詳細を図10に示す。1001は顧客属性データの項目名と広告コンテンツIDであり、テーブル1002から1004は各広告コンテンツIDに対応する顧客属性の範囲を示している。1005は属性データの範囲であり、1006はその属性の範囲に顧客属性が分類された時に出力される広告コンテンツIDである。例えば、1004の場合、年齢45才〜50才、男性で配偶者や子供2人がいて第一子が16才〜18才、第二子が14才〜16才、自営業で貯蓄額が500万円以上1000万円以下で、住宅ローンがあり、性格は慎重と分類されるカテゴリの人は、教育ローンの広告を表す”K1”という広告コンテンツIDが出力される。
【0026】
図8の808から811はそれぞれ図4における窓口端末104aから104dにおける取引の履歴データであり、営業店サーバ103から送信された各履歴データは、図11に示すように顧客ID1101と取引開始時刻1102が関連付けられて格納される。812から824のデータは店舗内の一顧客ごとに保持されるデータであり、複数の顧客が店舗内に存在する場合は、これらのデータが825以降で複数個保持される。顧客属性データ812は図7に示すようなマーケティングに関する顧客属性データであり、顧客情報管理サーバ113から送信されたデータを格納する。813は812の顧客属性データに対応する広告コンテンツIDの格納エリアである。
【0027】
815から821は広告制御サーバ105の動作を制御するためのフラグ値や時刻を格納するエリアである。これらフラグ値の詳細について、店舗内の図13を用いて説明する。図13は店舗内のレイアウトおよび、フラグを制御するための顧客の動線検出エリアを示している。点線で囲われている網掛けエリアは顧客がそのエリア内に入ったときに815から821のフラグ値を変更する検出エリアであることを示している。1302から1305は顧客がそれぞれの窓口に来たことを検知するエリアであり、顧客の動線がそのエリア内に入った場合はそれぞれ814から817のフラグ値をオンにする。1306はそのエリアを通過する顧客に対して、その顧客属性データに対応する広告コンテンツを広告ディスプレイ106で表示開始するためのエリアである。また、広告開始エリアフラグ818をオンにすると共に、このエリアに入った時刻からの経過時間を広告表示時間として819に格納する。1307はそのエリア内に顧客が留まる限り、広告を表示し続けるための検出エリアであり、このエリアで動線が検出される間、表示装置エリアフラグ820はオンに設定され、顧客の動線がエリアの外に出た場合は表示装置エリアフラグ820はオフに設定される。
【0028】
822から824は顧客の店舗内における時刻毎の位置座標を示しており、店舗内における時刻と結び付けられた動線データを表す。図では時刻AT1からAtmまでが格納されている状態を示している。図13ではその動線の例として1310から1319の矢印の順番に顧客が移動したことを示している。
【0029】
本広告制御サーバ105の動作について図8、図9と図13を用いて説明する。図9は装置の処理フローを示す図である。まず、顧客が店舗内に入る前に、図8における813から821のフラグ値を初期化する(901)。次に顧客が出入り口401から店舗内に入ると複数のカメラ画像を介して動線追跡サーバ107が顧客の動線を追跡し、時刻毎の位置座標を広告制御サーバ105に対して送信し始める。広告制御サーバ105が受信した時刻毎の位置座標データは822以降のメモリエリアに書き込まれ、顧客が店舗の外に出るまで時刻毎の位置座標が格納し続けられる。
【0030】
図13において顧客は1310の矢印に沿って記入デスク404に進み、そこで帳票に必要事項を記入した後、矢印1311に沿って受付端末403から整理券を取得し、さらに矢印1312に沿って待機のために椅子405まで移動する。その後、顧客は窓口端末104dのオペレータに呼び出され、矢印1313に沿って1305の窓口4エリアまで移動して帳票や通帳などを窓口のオペレータに渡す。この時、窓口4エリアフラグ817がオンに設定される。ステップ902において、「いずれかの窓口フラグオン」という条件が成り立ったのでステップ903に進む。
【0031】
ステップ903の詳細を図14で説明する。広告コンテンツIDがまだ得られていないのでステップ1402に進む。ステップ1402では、顧客が窓口に来た以降の時刻で最も近い取引開始時刻の顧客IDを、窓口端末4取引履歴データ811から検索する。図6で説明したように、窓口オペレータが通帳などを窓口端末104dに挿入することにより、取引開始時刻と顧客IDが営業店サーバ103から広告制御サーバ105に送信されて811に自動的に追記される。そのため、広告制御サーバ105は811から窓口に立寄った顧客を特定し、その顧客IDを取得することが可能になる。
【0032】
その後、広告制御サーバ105は得られた顧客IDを、データセンタ102に設置されている顧客情報管理サーバ113に送信し、図7に示すような顧客IDに対応する顧客属性データを取得する(1403)。ここではカラム703の属性データが取得できたとする。得られた属性データを図10に示されるようなコンテンツID取得テーブル807と比較し、顧客属性が属する広告コンテンツIDを取得して、広告コンテンツIDテーブル813に格納する(1404)。この場合、IDとして”K1”が得られたと想定する。以上の処理によりステップ903に示される広告コンテンツIDが取得できる。
【0033】
店舗内の顧客は帳票が処理されるのを待つために、矢印1314に沿って椅子405に移動する。その後、顧客は窓口オペレータから再度呼び出され、矢印1315に沿って窓口4エリア1305まで移動して処理を終えた通帳などをオペレータから受け取る。この時、図9の処理フローにおいて、ステップ902の条件が成り立つので再度ステップ903の処理に進むが、図14においてコンテンツIDは既に取得されているのでここでは何も処理は行われない。
【0034】
通帳などを受け取った顧客は矢印1316に沿って移動する。そして、広告開始エリア1306に進入すると広告開始エリアフラグがオンとなる。同時に、この顧客に対する広告はまだ表示されていないので広告表示時間もゼロとなり、図9におけるステップ904の条件が正立してステップ905に進む。ステップ905では広告コンテンツID813に格納された”K1”に対応する広告コンテンツデータを補助記憶装置803から呼び出し、広告ディスプレイ106に送信して広告表示を開始する。それと同時に広告表示時間をカウントし始め、その表示時間を広告表示時間テーブル819に格納して更新する。広告ディスプレイには、顧客の属性に合わせて例えば図15に示すような広告が表示される。
【0035】
さらに顧客は矢印1317に沿って進み、表示装置エリア1307に滞在して広告ディスプレイ106を見続けたとする。その場合、表示装置エリアフラグ820がオンとなり、図9においてどの分岐条件にも当てはまらないので、広告制御サーバ105は顧客がエリア内に留まる限りディスプレイにて広告を表示し続ける。広告を見終わった顧客は矢印1318に沿って表示装置エリア1307から外に出ると、表示装置エリアフラグがオフとなる。その際に、広告表示時間も閾値を超えていると想定すると、図9におけるステップ906の条件が成り立つので、広告制御サーバ105は広告表示を終了する。仮に広告開始エリア1306を通過した顧客がディスプレイ106に表示された広告に関心を示さずに、表示装置エリア1307に進入しなかったとする。その場合、一定閾値時間経過後にステップ906の条件が成り立ち同様に広告表示を終了する。これにより、必要の無い広告表示を止めることができる。
【0036】
顧客はさらに矢印1319に沿って店舗外に出たとすると、図9におけるステップ908の条件が成り立ち、813から824のデータ全てが初期化される。
以上のステップ902から909の処理を店舗が閉店するまで繰り返し実行する。
【0037】
以上に示す処理により店舗内の顧客の動線追跡結果と窓口での取引データに含まれる顧客IDをリンク付けすることにより顧客毎にニーズが高いと思われる広告を表示して広告効果を高めることが可能になる。また、広告を制御するために、動線追跡データと顧客IDをリンク付けしたが、広告表示の制御を前提とする必要はなく、動線追跡データに顧客IDをリンク付けするだけでもよい。これにより、店舗内の顧客の移動パターンからマーケティングに必要な情報を取得することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】広告表示制御システムの全体構成例を示す図。
【図2】動線追跡サーバの構成例を示す図。
【図3】動線追跡サーバの処理フローを示す図。
【図4】金融営業店の店舗レイアウト、並びに、店舗内に配置された複数のカメラ撮影エリアの例を示す図。
【図5】店舗内における顧客の動線を表す位置座標を抽出するための原理を示す図。
【図6】営業店サーバの処理フロー示す図。
【図7】顧客情報管理サーバに格納された顧客属性情報の例を示す図。
【図8】広告制御サーバの構成例を示す図。
【図9】広告制御サーバの処理フローを示す図。
【図10】コンテンツID変換テーブルの例を示す図。
【図11】窓口端末取引履歴データテーブルの構成例を示す図。
【図12】広告コンテンツデータの構成例を示す図。
【図13】広告制御サーバの動作を制御するため、店舗内における顧客の動線検知エリアと顧客の動線の例を示す図。
【図14】広告制御サーバにて広告コンテンツIDを取得する処理フローを示す図。
【図15】広告ディスプレイに表示される広告の例を示す図。
【符号の説明】
【0039】
100…金融営業店、102…データセンタ、103…営業店サーバ、104…営業店窓口端末、105…広告制御サーバ、106…広告ディスプレイ、107…画像処理サーバ、108…カメラ、109…カメラ、110…営業店内LAN、111…データセンタ内LAN、112…HUBサーバ、113…顧客情報管理サーバ、114…勘定系ホストコンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物追跡環境の画像を撮影する1つ以上のカメラと、
前記カメラから出力される撮影画像を解析して、画像に含まれる追跡すべき人物を特定すると共に特定した人物の特徴量を抽出し、抽出した結果に基づき当該人物の動線情報を抽出する人物動線追跡システムであって、
前記動線情報の中に含まれる位置情報をその位置に存在した時の時刻と関連付けて記憶する画像処理装置と、
追跡されている人物が特定の場所に滞在した時刻と、その場所で開示された当該人物を一意に特定するコードを対にして記憶する顧客取引装置と、
前記時刻と関連付けられた位置情報と前記特定の場所に滞在した時刻とから前記動線情報と前記当該人物を一意に特定するコードを関連付ける手段とを、具備することを特徴とする人物動線追跡システム。
【請求項2】
広告を表示するディスプレイに、予め装置内に格納した広告コンテンツデータを表示する広告表示制御システムであって、
人物追跡環境の画像を撮影する1つ以上のカメラと、前記カメラから出力される撮影画像を解析して、画像に含まれる追跡すべき人物を特定すると共に特定した人物の特徴量を抽出し、抽出した結果に基づき当該人物の動線情報を抽出すると共に、前記動線情報の中に含まれる位置情報をその位置に存在した時の時刻と関連付けて記憶する画像処理装置と、
追跡されている人物が特定の場所に滞在した時刻と、その場所で開示された当該人物を一意に特定するコードを対にして記憶する顧客取引装置と、
前記時刻と関連付けられた位置情報と前記特定の場所に滞在した時刻とから前記動線情報と前記当該人物を特定するコードを関連付ける手段と、
前記当該人物を特定するコードとそのコードと関連付けられた広告コンテンツデータを取得する手段と、
前記動線情報から当該人物が広告を表示するディスプレイの前に来たことを検知する手段と、
前記検知情報に基づき前記当該人物を特定するコードと関連付けられた広告コンテンツデータを前記ディスプレイに表示する手段とを、具備することを特徴とする広告表示制御システム。
【請求項3】
請求項2記載の広告表示制御システムにおいて、前記動線情報から顧客の前記ディスプレイの前での検知がオフになったとき、前記ディスプレイへの表示を終了することを特徴とする広告表示制御システム。
【請求項1】
人物追跡環境の画像を撮影する1つ以上のカメラと、
前記カメラから出力される撮影画像を解析して、画像に含まれる追跡すべき人物を特定すると共に特定した人物の特徴量を抽出し、抽出した結果に基づき当該人物の動線情報を抽出する人物動線追跡システムであって、
前記動線情報の中に含まれる位置情報をその位置に存在した時の時刻と関連付けて記憶する画像処理装置と、
追跡されている人物が特定の場所に滞在した時刻と、その場所で開示された当該人物を一意に特定するコードを対にして記憶する顧客取引装置と、
前記時刻と関連付けられた位置情報と前記特定の場所に滞在した時刻とから前記動線情報と前記当該人物を一意に特定するコードを関連付ける手段とを、具備することを特徴とする人物動線追跡システム。
【請求項2】
広告を表示するディスプレイに、予め装置内に格納した広告コンテンツデータを表示する広告表示制御システムであって、
人物追跡環境の画像を撮影する1つ以上のカメラと、前記カメラから出力される撮影画像を解析して、画像に含まれる追跡すべき人物を特定すると共に特定した人物の特徴量を抽出し、抽出した結果に基づき当該人物の動線情報を抽出すると共に、前記動線情報の中に含まれる位置情報をその位置に存在した時の時刻と関連付けて記憶する画像処理装置と、
追跡されている人物が特定の場所に滞在した時刻と、その場所で開示された当該人物を一意に特定するコードを対にして記憶する顧客取引装置と、
前記時刻と関連付けられた位置情報と前記特定の場所に滞在した時刻とから前記動線情報と前記当該人物を特定するコードを関連付ける手段と、
前記当該人物を特定するコードとそのコードと関連付けられた広告コンテンツデータを取得する手段と、
前記動線情報から当該人物が広告を表示するディスプレイの前に来たことを検知する手段と、
前記検知情報に基づき前記当該人物を特定するコードと関連付けられた広告コンテンツデータを前記ディスプレイに表示する手段とを、具備することを特徴とする広告表示制御システム。
【請求項3】
請求項2記載の広告表示制御システムにおいて、前記動線情報から顧客の前記ディスプレイの前での検知がオフになったとき、前記ディスプレイへの表示を終了することを特徴とする広告表示制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−215842(P2006−215842A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28371(P2005−28371)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]