説明

人間、動物およびバイオテクノロジー産業において、RNAウイルスと、それによって引き起こされる感染または疾患を、予防、除去、治療するための、ピクロリザ・クロア抽出物

【課題】人間および動物における感染、障害および疾患の予防、治療等に使用するための組成物を開示する。
【解決手段】ゴマノハグサ科植物に存在するテルペンおよび脂肪酸を含む抗ウイルス組成物を開示する。組成物には、さらに、前記科の植物に存在する他の親油性成分と配糖体のアグリコンが含まれる。該組成物は、ピクロリザ・クロア・ロイル、ピクロリザ・スクロフラリフロラ・ペネルおよびネオピクロリザ・スクロフラリフロラの混合物の根および匍匐茎の抽出によって得られることが好ましい。また、溶媒および溶媒の組み合わせについても開示した。該組成物は、DNAおよびRNAウイルスの両方に対して、また菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染および疾患に対して、また、肝臓保護、抗高脂血症、抗糖尿病および腎臓保護薬として、有効である。動物その他の対象に該組成物を投与することにより、記載された疾患のための抗体およびワクチンを製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間および動物対象、およびバイオテクノロジー産業における感染、障害および疾患の予防、除去、治療および管理に使用するための医薬用、栄養補助用および食品用の組成物に関する。本発明はまた、ウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫によって引き起こされる感染、障害および疾患の前記予防等における、前記組成物の使用方法および治療方法に関し、また、ゴマノハグサ科(目)(Scrophulariaceae
family (order))植物の植物物質の抽出によって前記組成物を製造する工程、および前記抽出物とその分取物に関し、前記組成物の成分の混合によって前記組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴマノハグサ目の植物には、伝統的医学体系で報告されているように、薬理作用があることが知られている。これら植物の薬効は、この目の植物に存在する数多くの配糖体に起因している。ゴマノハグサ科の植物の中で、最も入手しやすいのは、ピクロリザ(Picrorrhiza)属(コオウレン属)の植物である。この属の中の3つは、毒性の無さと安全性から、特に興味深い。3つとは、ピクロリザ・クロア・ロイル(Picrorhiza kurrooa Royle)、ピクロリザ・スクロフラリフロラ・ペネル(Picrorhiza scrophulariflora Pennell)およびネオピクロリザ・スクロフラリフロラ(Neopicrorhiza scrophulariiflora)である。
【0003】
ピクロリザ・クロア(Picrorhiza kurrooa)(インドではKatukaとして知られる)は、インドで広く見られる植物である。ヒマラヤの高度約3000〜5000メートルに生息する。抽出物は、肝臓保護薬と免疫調整薬としての性質があることで知られている。この植物の根は、インドのアーユルヴェーダ医学体系(伝統医学体系)で、喘息、気管支炎、マラリア、慢性赤痢、ウイルス性肝炎、胃のむかつき、サソリによる刺傷用に、また、食欲を刺激し消化力を高める苦味トニックとして、伝統的に使用されている。肝臓保護薬としての、また解熱目的での治療的価値で知られているが、これが肝炎や他のウイルスに対して作用するのか、または単なる肝臓の活性剤であるのかに関しては、従来技術の中には、開示や証拠がない。
【0004】
この植物は、中国、ネパール、ブータンおよび他の地域にも生息し、その根および匍匐茎は、伝統的に、赤痢、黄疸、骨蒸、肝臓保護、免疫調整機能の用途で使用されてきた。この植物、特に根は、テルペノイドおよび配糖体が豊富なことで知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kamble, et al.,薬草製剤の肝臓保護作用に関する研究、International Journal of Green Pharmacy, July-Sept 2008
【非特許文献2】ピクロリザ・クロア−治療特性の評価、Alternative Medicine Review,2001
【非特許文献3】A. Russo et al.,抗ラジカル剤およびDNA切断保護剤としてのインドの薬用植物、Phytomedicine,Vol. 8(2), pp.125-132,2001
【非特許文献4】Anamika Khajuria, et al., RLJ-NE-299A: 新規な植物ベースのワクチン・アジュバント、Vaccine 25(2007)2706-2715
【非特許文献5】Pandey BL and Das PK, Indian journal of physiology and pharmacology32(2):120-5, 1988
【非特許文献6】Vaidya AB, et al., 肝臓保護薬としてのピクロリザ・クロア(Kutaki)・ロイル・エクス・ベンス−実験的および臨床的研究、Journalof Postgraduate Medicine, Vol. 42, Issue. 4, pages 105-8, Year 1996.
【非特許文献7】http://www.thorne.com/media/picrorhiza_monograph.pdf---monograph.
【非特許文献8】インドにおける肝臓疾患用植物薬、SP Thyagarajan,S Jayaram, V Gopalakrishnan,R Hari, P Jeyakumar, MS Sripathi, Journal of Gastroenterology and Hepatology Volume 17, pages S370-S376, December 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
僅かに綴りの異なるPicrorhizaとPicrorrhiza(本日本語訳においてはいずれも「ピクロリザ」と記載)の語は、本明細書において互換性のある語として使用され、同じものを示している。種名のピクロリザ・クロア(Picrorhiza kurrooa)は、以後、簡略化のため、「PK」と略すことにする。本明細書においては、頭文字「PK」は、前記ピクロリザ種を指す。前記頭文字は、文脈に応じて、上述の3つのピクロリザの種の1つまたは複数の種を同時に指すことができるものとする。頭文字「P」は、ピクロリザ(Picrorhiza)の略語として使用される。”principle”と”factor”(本日本語訳においては共に「成分」と記載)の語も、本明細書において、互換性のある語として使用され、文脈により他の解釈を必要としない限り、同じものを意味するものとする。
【0007】
本明細書において「抽出」(extraction)と記載される場合、植物物質の抽出工程全体を指す場合と、このような工程中のステップの1つ(浸出または固−液抽出ステップ)である個々の抽出操作を指す場合がある。文脈に相応しい意味を選択するものとする。”component”と”constituent”(本日本語訳においては共に「成分」と記載)の語は、本明細書の数箇所において互換性のある語として使用されているが、意味するところは、文脈から非常に明確である。
【0008】
植物物質(plant matter)は、本発明の抽出工程の出発原料を指し、その工程の最後に現われる最終的な生成物を、抽出物(extract)と呼ぶ。「植物物質」の語は、工程中の植物物質、つまり、工程の様々な段階における植物物質を指す語としても使用されている。工程中の様々な段階における液体流は、抽出物または溶液と呼ばれる。文脈に相応しい意味を選択するものとする。
【0009】
PK中の有効成分は、従来技術において、クツキン(kutkin)と呼ばれ、配糖体であるクツコシド(kutkoside)を含む。有効成分には更にピクロシドI、II、IIIと呼ばれるイリドイド配糖体および他のピクロシドが含まれる。アポシニン、ドロジン(drosin)、および9つのククルビタシン配糖体など他の成分もいくつか特定されているが、最初に挙げたアポシニンは強力な抗炎症薬であり、他の2つについても、薬理作用があるとされている。これらの薬効成分は、前記目(ゴマノハグサ科)全体に一様に存在し、また特に、P.属の植物全てに存在している。従来技術では、今に至るまで、前記PK抽出物の薬効が、特定の有効成分に帰せられることはなかった。
【0010】
特にP.属の植物物質、また一般にゴマノハグサ科(S.科と略すことにする)の植物物質は、親油性成分と非親油性成分の両方を含んでいることが知られている。本明細書においては、前記科の親油性化合物および成分を略してLCで記し、同様に、前記科の非親油性成分および化合物を略してNLCと記すことにする。これは簡略化のためであり、本発明の範囲に何ら限定を設けるものではない。
【0011】
前記S.科、P.属の植物の抽出物に関する本発明の出願人の同時継続出願(インドにおける特許番号1917/CHE/2009(2009年8月12日出願))を参照されたい。
【0012】
本発明者は、伝統医学または現代の従来技術において報告、議論、調査の対象となってきた、上記PKの薬効成分の全てが、主にNLCであることに気づいた。従来技術(伝統医学を含む)が、抽出溶媒として水およびアルコール(メタノールおよびエタノール)のみを使用するという殻に、自らを閉じ込めていたことは、注目に値するだろう。本発明者は、一般的に、前記溶媒は、前記NLCを抽出するが、LCを殆ど全て除外してしまうことに着目した。このような訳で、従来技術の注意はNLCとその薬理作用のみに向けられ、これら他の成分にまで拡大されることが無かった。
【0013】
P.植物物質の主要NLCは、その配糖体である。現代では、様々な植物配糖体の広範囲な薬理作用が、明らかにされている。薬理作用は、広範囲の疾患および障害に及んでいる。植物界では、様々な型の配糖体が発見されている。従来技術においては、少なくとも薬理作用と効果に関する限り、焦点と注目は完全にP.配糖体に集まっていた。従来技術は、S.科植物の他の成分の性質と範囲、つまり、前記LCとその医薬上の重要性に関する認識がなかったように見受けられる。このことは、多かれ少なかれLCも抽出し、研究、調査、医学的精査の対象としたであろう他の溶媒が、従来技術では実質上調査から除外されていたことを考えれば、理解に難くない。そのようなことがなければ、従来技術においても、LCの薬効の性質と範囲について研究されていたのではないだろうか。また、恐らく、水とアルコールによる抽出物だけでも少なからぬ薬効を示し、十分に広い調査範囲があったために、他の抽出溶媒、ひいてはS.科の親油性成分にまで、注意が広がらなかったのであろう。
【0014】
実験観察により、本発明者は、前記LC(S.科の親油性化合物)の薬理活性が非常に高いレベルにあることを、明らかにした。本発明者によって最初に観察されたのであるが、前記LCの薬効の程度および範囲は、前記配糖体と比べて、かなり、驚くほどに高く広い。本発明は、前記LCについて考慮し、例えば抗ウイルス化合物としての、その並外れた医学的重要性を確認した、最初の発明である。本発明は、また、NLCの存在がLCの薬効を損ない減じる傾向があり、このため、NLCを実質的に含まないか、極少量しか含まないLC含有PK抽出物の製造が重要であることを明らかにした、最初の発明である。本発明者は、この目的のため、新規の工程を提供し、また、前記LCを選択的に抽出して前記NLCを実質的に除外するか、抽出物へのNLCの抽出を最小にするような抽出特性を持つ、適切な溶媒を特定するものである。
【0015】
本発明者は、NLCがLCの薬効を隠してしまうことに気づいた。前記LCを含有する抽出物に存在するどのNLCにも、LCの薬効を減じる効果がある。S.科のNLCの一部は、LCと反対の作用を有するのではないかと考えられる。メカニズムはともあれ、本発明は、LCが顕著な薬効を有すること、LC抽出物の薬効を完全に実現するためには、好ましくは、LC抽出物が、実質的にNLCを含まないようにするべきであることを実験的に明らかにした。
【0016】
以上のように、本発明における新規のPK抽出物と従来技術のPK抽出物は、前者の薬効成分が後者とは異なる点で、全く根本的に異なっている。前者の薬効成分は実質的に後者には存在せず、後者の薬効成分は、本明細書で以下に詳述する理由で、前者から実質的に除かれている。前者の薬効成分はS.科植物のLCであり、後者のようにS.科の配糖体ではない。
【0017】
前者の主要な薬効成分は、S.科の植物に含まれる脂肪酸、テルペン、そして、S.科植物配糖体に由来するアグリコンである。本工程で抽出物に抽出される前記脂肪酸、テルペン、およびアグリコンは、後者にはない。PK植物の配糖体には、ピクロシドI、II、III等があることが知られている。つまり、後者は、主に前記ピクロシドと、アポシニンと呼ばれる化合物からなり、一方で、前者には、実質的に、前記ピクロシドも他の配糖体も、またアポシニンも含まれていない。元の植物物質には前記ピクロシドが存在するが、本発明の抽出物に含まれているのは、それらに由来するアグリコンの方である。
【0018】
つまり、本発明の工程は、単なる物理的な抽出工程ではなく、化学変化をも含んでいると言える。本発明者は、抽出工程中で加水分解とエステル化反応が起き、その結果、抽出物中に前記アグリコンが現われるものと考えている。なんらの義務を負うものではないが、実験調査により、より高い薬効が既に実証されていることから、このような仮説を提示するものである。本発明には、抽出中に化学反応が起きることの実験的証拠があり、従って、本発明の抽出工程は、物理変化と化学変化の組合せである。本発明では、ヘキサン抽出物と、第1溶媒をエタノール、第2溶媒をヘキサンとする抽出物とを作成した。前者の方法では、LCの収率が35%高いことがわかった。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析により、アグリコン、ステロイドテルペンおよび長鎖の脂肪酸構造が、抽出物中に存在することが示された。収率の多い分は、ヘキサン抽出物中に存在する、これらアグリコン、ステロイドテルペンおよび長鎖の脂肪酸に相当すると考えられる。これらの化合物は(元々S.科の植物物質に存在している化合物も、該元々存在している化合物の一部の反応生成物も)、エタノール−ヘキサン溶媒システムで得られた抽出物には、実質的に存在しない。エタノール−ヘキサン溶媒システムでは、抽出中にこれら成分が排除される。
【0019】
本発明の抽出物は、さらに、S.科植物に存在する脂肪酸を含んでいる。S.科配糖体は、非常に苦い化合物であり、従来技術のPK抽出物を非常に不味くしている。これとは対照的に、本発明のPK抽出物は、苦味成分が全くないため、非常に味が良い。水およびアルコール抽出物には、多くの臭い成分が抽出され、その結果、従来技術のPK抽出物は強烈な不快臭があり、人間および動物が消費するための受容性を低下させている。S.科植物に含まれる、前記したピクロシドおよび他の配糖体は、非常に苦い化合物である。より少量ではあるが、PK植物には、他の苦味成分も存在する。他方、本発明の抽出物は、実質的に無臭である。全てにおいて、本発明の抽出物は、従来技術の抽出物とは異なる枠組みに入るものである。
【0020】
本発明の抽出物におけるテルペンおよび他の成分の薬理作用のメカニズムは解明されておらず、従来技術の抽出物成分に対するそれら成分の薬理作用の優位性に関する説明も得られていない。しかし、本発明者は、やはり、前記の一層優れた薬理活性が、実験により、実験的に明らかにされていると考えている。
【0021】
つまり、従来技術の抽出物の短所は、S.科植物の前記テルペンおよび他のLCよりもかなり薬効の少ない配糖体成分の存在である。配糖体の薬効の範囲も、前記したテルペンおよびその他のLCより、かなり狭い。該配糖体には、肝臓保護作用があることが報告されているが、抗ウイルス作用はない。(インドにおける肝疾患用植物薬、SP Thyagarajan, S Jayaram,
V Gopalarkrishnan, R Hari,
P Jeyakumar, MS Sripathi,
Journal of Gastroenterology and Hepatology Volume 17,
pages S370-S376, December 2002)他方、前記LCは、DNAウイルスとRNAウイルスのいずれに対しても強力な抗ウイルス作用があり、従って、前記LCは、限られた肝臓保護、再生作用が報告されている前記NLCよりも、広範囲に作用する。従来技術の抽出物は、非常に苦く、ほとんど受け入れ難い程であり、またさらに、強烈な不快感のある臭い成分による受け入れ難さも加わっている。
【0022】
従来技術の抽出過程の短所は、水と、エタノールおよびメタノールの2種類のアルコールに溶媒を限定し、S.科植物のLCを含む、新規の、より良く、医学的に、より有益で効果的な抽出物を生じさせる、全ての溶媒に範囲を広げていないことである。
【0023】
本発明者は、主に前記親油性成分を含むPK抽出物の使用が、肝炎ウイルスおよび他のDNAおよびRNA型のウイルスの作用を積極的に妨げることを、細胞株によって、実験的に明らかにした。さらに、これによりウイルス構造が破壊されることから、非常に効果的な抗ウイルス組成物であることが確かである。
【0024】
よく知られているように、細胞膜の構造に関係のあるリン脂質には、2つの親油性の高いアルキル鎖と、他端にあるコリンリン酸を代表とする非常に親水性の高いイオン基が含まれている。本発明者は、これにより、PK抽出物の親油性部分および他の構造が、ウイルス性疾患の治療において薬理学的により高い活性を呈するものと考えている。本発明者によるインビトロ調査は、複数の独立の研究所によって確認された。それによれば、PKの親油性化合物は、B型肝炎、インフルエンザ、HIVのようなレトロウイルス、および他のウイルスを含む、DNAおよびRNAウイルスに対する非常に高い抗ウイルス特性を有することが確認された。
【0025】
本発明者によれば、前記S.科植物に存在するテルペンの1つまたは複数と前記科の植物に存在する1つまたは複数の脂肪酸との組合せ(混合物)は、多くのウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物、原虫による感染、障害および疾患に対して非常に効果的な、新規で強力な抗ウイルス組成物である。該新規な組成物は、DNAウイルスおよびRNAウイルスの何れに対しても効果がある。このため、該組成物は、研究および産業、特に工業的発酵醸造産業における生化学的および生物工学的工程に適用可能である。本発明の新規な組成物は、さらに、前記科の植物に存在する配糖体のアグリコンの1つまたは複数を含んでもよい。本発明の組成物の成分は、植物由来でもよく、合成起源または部分合成起源でもよい。前記組成物は、前記成分の混合工程によって作ることもでき、部分的にまたは全て植物物質から得ることもできる。
【0026】
本発明では、一般的にはS.科の植物物質、特にはP.属の植物物質に対し、抽出を行なった。これらの抽出物に対し、いくつかの分取物を得るため、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって分取を行なった。該分取物は、それぞれがS.科植物の前記テルペンと脂肪酸を含むため、本発明の組成物を構成することができる。該分取物に関しては、本明細書で、後で詳述する。
【0027】
本発明者は、人間または動物対象に対して本発明の前記抽出物または組成物を投与すると、体の免疫過程により、抗原と抗体が作り出されることを発見した。この過程のメカニズムは完全には解明されていないが、本発明者は、抗体および、抗原、免疫原、免疫血清、抗血清、血清、免疫グロブリンなど抗体と類似の種および物質が前記対象において作り出され、使用された人間、動物、鳥または水性動物対象、つまり本発明の抽出物または組成物を投与された対象の血清中から単離可能であることを明らかにした。このように単離された抗体および類似種は、予防または治療を必要とする対象に投与するためのワクチン、アジュバントおよびその他製剤を製剤するために使用することができる。前記抗体、類似の種および物質を、本明細書中では、まとめて「免疫系関連種(immune system related species)」と呼ぶことにする。
【0028】
従って、本発明の目的は、ゴマノハグサ科(目)植物の植物物質に存在するテルペンおよび脂肪酸の混合物を含む組成物を提供することである。
【0029】
本発明の目的はさらに、親油性のPK抽出物であって、PK植物物質の親油性成分を実質的に主要成分とし、該親油性成分が好ましくは前記テルペンおよび脂肪酸である、PK抽出物を提供することである。
【0030】
本発明の目的はさらに、実質的に全てのPKの親油性成分が抽出物中にも忠実に現われる、PK抽出物を提供することである。
【0031】
本発明の目的はさらに、PKの非親油性成分が実質的に存在しないかまたは最少化された、PK抽出物を提供することである。
【0032】
本発明の目的はさらに、PKに含まれる、苦味成分、特にPK配糖体、および、不快な臭い成分が、実質的に存在しないかまたは最少化された、PK抽出物を提供することである。
【0033】
本発明の目的はさらに、前記親油性成分を主要成分とし、PKの非親油性成分が、実質的に存在しないかまたは最少化される、PK抽出物製造のための抽出工程を提供することである。
【0034】
本発明の目的はさらに、PK植物物質に元々存在する親油性成分の完全な組が抽出物中に忠実に持ち出され、前記加水分解およびエステル化反応の進行が可能でありまた実際に促進される、前記抽出工程を提供することである。
【0035】
本発明の目的はさらに、最適な溶媒選択と抽出パラメータ選択により、元の植物物質に含まれるテルペンおよび脂肪酸の抽出が最大化され、さらに、配糖体からアグリコンへの転換と後続するその抽出が最大化される、PK抽出物製造のための抽出工程を提供することである。
【0036】
本発明の目的はさらに、主要成分が前記親油性化合物である抽出物を得るためのPK抽出を行なうことができ、また、抽出されるPK植物物質に元々存在する非親油性成分および/または苦味成分および不快な臭い成分の抽出を実質的に防ぐかまたは最少化する、溶媒の組を提供することである。
【0037】
本発明の目的はさらに、本発明の組成物を人間、動物、鳥、水生動物およびその他の対象に投与することによって前記免疫系関連種を得ること、および、その工程を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記目的を達成するため、本発明によれば、人間および動物対象におけるウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去、治療および管理に使用するための、また、肝臓保護薬、抗高脂血症薬、抗糖尿病薬、腎臓保護薬として他の用途に使用するための、ゴマノハグサ科植物に存在する1つまたは複数のテルペンおよび前記科の植物に存在する1つまたは複数の脂肪酸を含む、医薬用、栄養補助用または食品用の組成物が、提供される。
【0039】
本発明によれば、さらに、人間および動物対象における、また、薬学、生化学、生物工学および発酵醸造に関する研究および産業における、ウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患を、予防、除去、治療および管理するための、ゴマノハグサ科植物に存在する1つまたは複数のテルペンと前記科の植物に存在する1つまたは複数の脂肪酸を含む組成物の適量を適切な期間にわたって前記対象に投与し、その後、任意の選択として、前記組成物の適切な維持量を、適切な期間にわたって投与することによる、治療方法が提供される。
【0040】
本発明によれば、さらに、人間および動物対象におけるウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去、治療および管理に使用するための、また、他の用途に使用するための、ゴマノハグサ科植物に存在する1つまたは複数のテルペンを前記科の植物に存在する1つまたは複数の脂肪酸と混合することによる、医薬用、栄養補助用および食品用の組成物の製造工程が提供される。
【0041】
本発明によれば、さらに、人間および動物におけるウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去および治療に使用するための、人間、動物、鳥または水生動物対象において、本発明の組成物を前記対象へ投与し、該対象の免疫系に産生させることによって生成され、その後、前記予防、除去および治療に使用するために単離して採取される、リンパ球、血清、抗血清、血漿、抗体、抗原、ペプチド、酵素、免疫血清、免疫グロブリン、免疫原、アジュバントのような免疫系関連種が提供される。
【0042】
本願発明によれば、さらに、人間および動物におけるウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去および治療に使用するための、リンパ球、血清、抗血清、血漿、抗体、抗原、ペプチド、酵素、免疫血清、免疫グロブリン、免疫原、アジュバントのような免疫系関連種を製造するための、ゴマノハグサ科植物に存在するテルペンおよび脂肪酸を含む組成物を用意すること、前記組成物を、人間、動物、鳥または水生動物対象に投与し、該対象の免疫系に前記種を産生させること、前記予防、除去および治療に使用するために、前記種を該対象の血清、抗血清から単離し採取することを含む、製造工程が提供される。
【0043】
本願発明によれば、さらに、人間および動物対象におけるウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去、治療および管理に使用するための、また他の用途に使用するための、ゴマノハグサ科植物に存在する1つまたは複数のテルペンと、前記科の植物に存在する1つまたは複数の脂肪酸を混合することによる、医薬用、栄養補助用および食品用の組成物の製造工程が、提供される。
【0044】
従って、本発明の組成物および本発明のPK抽出物は、基本的に、S.科植物のテルペン成分を含有している。文脈と矛盾しない限り、以後、本明細書中で、本発明の組成物に対する言及は、本発明の抽出物に対しても当てはまると考えることができ、逆もまた同様である。それらは、S.科植物の1つの前記テルペンまたは前記テルペンの任意の混合物を含むことができる。それらは、さらに、基本的に、S.科植物の1つまたは複数の脂肪酸を含む。前記テルペンと脂肪酸の組合せにより、治療上の相乗作用が現われる。そのような相乗作用は、3成分系、つまり、前記テルペン、脂肪酸、アグリコンによっても現われる。好ましくは、テルペンは主要LC成分であり、テルペンと脂肪酸がともに、組成物/抽出物中の親油性成分の主要部分を形成する。前記抽出物および組成物はまた、S.科植物中に存在する配糖体由来のアグリコンを含有することが好ましい。これら配糖体は、抽出条件の下で反応(加水分解など)および/または分解を起こして、それぞれ対応するアグリコンを生成し、それらアグリコンが、次に、本発明の溶媒によって、抽出物中に抽出される。前記テルペン、脂肪酸およびアグリコンの合計量、つまりLC全体の合計量が、80重量%以上であることが好ましい。本発明の抽出物は、前記苦味のある配糖体を含まず、抽出物中の他のNLCの量が、抽出物全体の0.01重量%〜20重量%であることが好ましい。前記配糖体、クツキシド(kutkiside)、ピクロシド、アポシニン、およびドロジンの合計量が、抽出物の20重量%を超えないことが好ましい。抽出物の10%未満が水溶性であることが好ましい。上記したパラメータは、文脈に基づいて異なった解釈をする必要が無い限り、本発明の組成物と抽出物の両方に適用できる。
【0045】
本発明の範囲内で、本発明の組成物の前記成分は、部分的に、または全て、植物由来、合成または他の起源、またはそれらの組合せであってもよい。本発明の組成物は、実質的に前記テルペンおよび脂肪酸だけを含有していてもよいが、追加で、増量剤および他の中性物質を含有していてもよい。前記基本となるテルペンおよび脂肪酸の他に、前記組成物は、追加的に、治療、栄養、食品、その他の成分、または味、色、感触、香味、嵩その他を変える成分を含有していてもよく、また、追加の治療効果を奏してもよい。本発明の範囲内で、前記組成物は、S.科植物の何らかの他の成分を含んでいてもよい。
【0046】
とくに、本発明の組成物の前記基本的成分を含有するS.科植物の1つまたは複数の植物の抽出物のような植物抽出物は、本発明の組成物に含まれる。
【0047】
本発明の範囲内で、本発明の前記PK抽出物は、前記S.科植物の如何なる種の抽出物であってもよい。本発明の抽出工程は、如何なる前記植物種または他の植物物質に対しても、簡単かつ単純に拡張可能であることに気づくだろう。同様に簡単かつ単純に、前記工程は、前記種の任意の混合物に対しても適用可能である。抽出物は、明細書中で先に述べた三つの種、つまり、ピクロリザ・クロア・ロイル、ピクロリザ・スクロフラリフロラ・ペネルおよびネオピクロリザ・スクロフラリフロラの混合物から抽出されることが好ましい。これら3種は、毒性の観点から好ましい。
【0048】
本発明の範囲内で、本発明の前記抽出物は、部分的に、または全て、前記テルペン、脂肪酸および配糖体または前記S.科植物の類似成分を含む任意の他の植物物質に由来するものでもよい。本発明の抽出工程は、前記S.科の植物種以外の植物種または植物種の混合物に対しても、簡単かつ単純に拡張可能であることに気づくだろう。
【0049】
抽出に使用される植物物質は、根、匍匐茎、茎、葉、花、皮、種等、植物のどの部位でもよい。本発明の範囲内で、前記部位の如何なる混合物または組合せを抽出に使用してもよい。抽出される植物物質は根または匍匐茎であることが好ましく、二つの混合物であることが、さらに好ましい。前記部位の如何なる他の混合物も、本発明の範囲に含まれる。
【0050】
本発明の抽出工程は、固−液抽出工程である。本明細書中で先に述べたように、植物物質は、S.科植物の内のどの植物でもよい。本発明の範囲内で、植物物質は、異なる前記植物の植物物質の混合物でもよい。植物物質は、ピクロリザ・クロア・ロイル種、ピクロリザ・スクロフラリフロラ・ペネル種またはネオピクロリザ・スクロフラリフロラ種またはこれら3種の任意の混合または組合せのものであることが好ましい。
【0051】
前記前処理ステップは任意に選択可能なものであり、その内の1つまたは複数を必要に応じて採用することができる。抽出は、水分を含んだ植物物質に対しても乾燥した植物物質に対しても実施可能である。植物物質は、天日乾燥またはプロセス乾燥によって予備乾燥することが好ましい。植物物質は、抽出ステップで良好な固−液接触が確保されるように、切って細かく刻み、小サイズ化することが好ましい。植物物質は、砕き、すり潰して、約1〜5mmまたはそれ以下のサイズにすることが好ましい。湯通し操作を行なうことが好ましい。
【0052】
本発明の範囲内で、抽出は一段階でも多段階でもよい。後者の場合、異なる植物物質および抽出物(溶液流)を、逆流、並流、直列、並列および複合型の組合せとなるような様々な配置に組み合わせるか配列してもよい。これらは、更なる加工作業のための前記抽出物/溶液の混合および組合せにも適用される。
【0053】
本発明の工程で使用される溶媒は、非水性である。無極性溶媒が好ましいが、極性溶媒およびその他の溶媒も、本発明の範囲に含まれる。非アルコール溶媒が好ましいが、炭素原子4個以上の鎖長を有する1価アルコールについても、極性があっても使用可能である。該溶媒は、その構造または環状部分に、炭素原子数4個以上の炭化水素鎖を有することが好ましい。本発明の範囲を制限するものではないが、溶媒は、以下のリストの中の1つでもよい(限定はされない)。
【0054】
ジクロロメタン、ヘキサン、n−ヘキサン、c−ヘキサン、トルエン、t−BuOMe、Et2O、メチルイソブチルケトン、酢酸ビニル、酢酸エチル、t−ブタノール、DMA、i−プロパノール、ギ酸、ホルムアミド、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、1−ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、1,2−ジメトキシ−エタン(グリム、DME)、ジメチルエーテル、ジメチル−ホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルリン酸アミド(HMPA)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)、メタノール、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、塩化メチレン、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル、リグロイン、1−プロパノール、2−プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トリエチルアミン、o−、m−およびp−キシレン、ホワイトスピリット、植物油、石油ナフサ、テレピン油、酸素化溶剤(アルコール、グリコールエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、ケトン、エステル、グリコールエーテル、グリコールエステルなど);芳香族化合物およびその他の炭化水素、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、アミン、およびニトロ化炭化水素とハロゲン化炭化水素を含む、溶媒として使用される有機化合物、アンモニア、硫酸、塩化フッ化スルフリル、界面活性剤、洗剤、pH緩衝剤、水および重水のような無機溶媒。
【0055】
本発明の範囲内で、上記溶媒の中の任意の2種類以上の溶媒の混合物を用いて、抽出を行なうことができる。または、本発明の範囲内で、上記から選択された2種類以上の溶媒を使用して、順に、抽出を行なうこともできる。または、一連の溶媒または溶媒混合物によって抽出を行なうことができる。
【0056】
本発明の抽出工程は、植物物質が適当な溶媒と接触させられる、固−液抽出ステップを含んでいる。本発明の抽出物は、本発明の範囲内で、本発明の工程または他の工程によって、製造することができる。本発明の範囲内で、本発明の抽出物は、抽出ステップを行なうための何らかの既知の方法(溶媒抽出、吸収ゲル抽出、液化ガス(CO等)抽出、酵素加工、膜濾過、液−液抽出、液−固抽出、樹脂抽出、逆相抽出、クロマトグラフィー等)によって、作成することができる。
【0057】
本発明の範囲内で、蒸発その他の方法で溶媒を除去した後の本発明の抽出物は、乾燥する、または、すり潰す、篩う、挽く、混合する、粒状にする、賦形剤へ吸着するなど、他の操作を行なってもよい。抽出物は、ナノ粒子、ナノゲル状でもよく、または、ワクチンまたはアジュバントの構成要素となるように加工してもよい。
【0058】
本発明の範囲内で、本発明の抽出物は、前記S.科植物または他の植物の次の成分のうち、1つまたは複数をさらに含んでもよい:配糖体エステル、配糖体エーテル、脂肪族化合物、芳香族化合物、グリコシドカルボン酸塩、ステロイド配糖体、長鎖脂肪酸、アグリコン、アシル化アグリコン、脂肪アルコール、脂肪酸、ステロイドエステル、ステロイド脂肪酸、ステロイドアルコール、ステロール、テルペノイド、ステロイドトリテルペン、酸化トリテルペン、トリテルペンのエステル、トリテルペンの酸、トリテルペンのアルコール、ククルビタシン、炭素原子数5〜40のテルペノイド部分、長鎖ヒドロキシ脂肪酸部分、樹脂酸、ステロイド骨格上に構成されたトリテルペノイド。
【0059】
本発明の範囲内で、抽出物は、経口投与、静脈内投与、筋肉投与、皮下投与、腹膜投与、直腸投与、経鼻投与、経皮投与、皮膚投与、舌下投与、膣内投与、その他のための、如何なる既知の形態であってもよい。また、抽出物は、如何なる既知の薬用塩類の形態でもよく、色、香味、味、感触、嵩等のための添加物を含んでいてもよい。また、本発明の抽出物は、付加的効能または併用療法的効果またはその両方を付与する追加の治療成分を、添加された添加物として、含んでいてもよい。前記添加物は、治療作用のある栄養補助用または食品用の組成物のもとになる栄養成分であってもよい。そのような添加物の例として、砂糖、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、金属、油、脂肪酸、アルコール、溶媒、および、他の植物抽出物、が挙げられる。本発明の抽出物は、適当な基材中に入れられるか、既知の何らかの賦形剤に吸着された、前記親油性成分の溶液または固体状組成物であってもよい。本発明の抽出物は、任意の選択として、更に加工を施し、その性質、形態、形、色、感触を変更して、効果と受容性を高めてもよい。前記抽出物のそのような変更形態も全て本発明の範囲に入る。そのような変更工程の例としては、抽出物の標準化、様々な分取物を得るための分取、均質化、強化、吸収を高める酵素加工、などが挙げられる。これについても、文脈によって他の解釈を必要とされない限り、抽出物に関する記載は、本発明の組成物にも適用される。
【0060】
本発明の抽出物は、本発明の範囲内で、分取物の形態であってもよい。抽出物は、HPLC−高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー(GC)など、何らかの既知の方法によって分取することができる。本発明の範囲内で、任意の前記分取物またはその混合物は、本発明の抽出物を構成することができる。
【0061】
本発明者は、HPLC法によって分取を行い、分取物をNMR分析にかけた。
【0062】
本発明の抽出工程に使用される溶媒は、無極性炭化水素溶媒が好ましい。より好ましくは、溶媒は、n−ヘキサンである。
【0063】
本発明では、以下の用途における本発明の組成物および抽出物の使用について調査した。
1.肝臓保護薬としての、また任意の肝炎ウイルスと毒素に対する用途。
2.抗高脂血症薬、抗糖尿病薬、腎臓保護薬としての用途。
3.研究および産業における生化学、薬学および生物工学工程でのバクテリア感染に対する用途。
4.任意のRNAウイルス、特にインフルエンザウイルスおよびレトロウイルスに対する有効性を確認する。
5.DNAウイルス、特にヘルペスウイルス目(order
Herpesviridae)のヘルペスウイルスに対する有効性を確認する。
6.肝臓病および毒素、および他の臓器の病気に関する予防薬としての用途。
7.ウイルス一般に対する予防薬としての用途。
8.一般に任意のウイルス、バクテリア、菌類、原虫に対する用途。
9.ワクチンおよびワクチンのアジュバントとしての用途。
10.上記病因のいずれかによって引き起こされる任意の感染、障害および疾患に対する用途。
【0064】
上記用途に関して本発明者が算出した用量の範囲は、一回分当たり約1mgから約1000mgである。ここで、重量は、前記テルペンと脂肪酸を合わせた量である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明のより明確な理解のため、以下、本発明の実施例について説明するが、これらは、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0066】
1.前記PK植物の根および匍匐茎を入手し、天日乾燥した。手作業で、異物の除去を行なった。
2.砂および土を除去するため、スプリンクラーによって、植物物質を水洗いした。
3.水分を低下させるため、真空に引いて、植物物質を空気乾燥させた。
4.次に植物物質を手作業ですり潰し、すり潰した植物物質を空気乾燥し、微量の水分まで除去した。
5.この植物物質を1バッチ取って重量を測り、反応装置(抽出容器)に入れた。
6.ヘキサンを加え、固体−液体混合物を加熱した。(任意の他の無極性溶媒に代えてもよい。)
7.加熱した混合物の撹拌を継続した。
8.前記反応を含む抽出工程を、約24時間進行させた。
9.植物物質と溶液を分離した。
10.該溶液を、真空に引きながら他の容器に移送した。
11.該溶液を3回濾過して、懸濁物と非溶解物を除去し、その後、該溶液を反応容器(蒸発器)に送り、真空に引いて溶媒を蒸発させた。蒸発の間、温度は、70℃未満に維持した。
12.溶媒は回収し、抽出での再利用に回した。
13.蒸発によって生じた固体残渣を、管理された雰囲気の中で真空に引いて空気乾燥した。乾燥した植物物質が、本発明の抽出生成物であり、これを、試験に回した。
【実施例2】
【0067】
1.実施例1のステップ1および2と同じ操作を行なった。
2.PK植物物質を、機械的手段で小片にすり潰した。
3.1バッチ分を測定して取り出し、反応装置(抽出容器)に入れた。
4.ペンタンと酢酸エチルの溶媒混合物を反応装置に入れた。(ペンタン、酢酸エチル、アセトン、n−ヘキサン、エーテル、クロロホルムおよびテトラヒドロフランの任意の混合物に代えてもよい。)
5.反応装置の内容物を継続的にかき混ぜながら加熱した。約36時間、抽出を行なった。
6.植物物質と溶液の分離を行なった。
7.溶液を、真空に引きながら他の容器に移送した。
8.溶液を3回濾過し、澄んだ液体を、真空に引きながら約80℃で蒸発させた。
9.溶媒を回収した。
10.蒸発によって生じた固体残渣を集め、窒素雰囲気(二酸化炭素に代えてもよい)の中で真空に引いて空気乾燥させた。
11.乾燥された生成物が、本発明の抽出生成物であり、これを試験に回した。
【実施例3】
【0068】
1.実施例1のステップ1および2と同じ操作を行なった。
2.PK植物物質をペースト状にすり潰し、十分な量の水と混合した。
3.配糖体のエステル化反応を開始するため、有機酸(無機酸に代えてもよい)を加えてpHを下げた。
4.約24時間撹拌を継続した。
5.この段階で、n−ヘキサン溶媒(石油エーテルに代えてもよい)を加え、撹拌しながら約4時間、抽出を続けた。
6.溶液の上澄みを移し(デカントし)、濾過した。
7.真空に引きながらで約75℃に加熱し、溶液から溶媒を蒸発させた。
8.半固体残渣を集め、真空に引きながら約マイナス80℃で脂肪分解し(lypolise)、更に加工して、粉末状にした。
9.この粉末が本発明の抽出生成物であり、これを試験に回した。
【実施例4】
【0069】
1.実施例1のステップ1および2と同じ操作を行なった。
2.PK植物物質をすり潰してペースト状にし、蒸気蒸留した。
3.蒸気を凝縮させ、蒸気蒸留後の残留溶液を集めた。
4.エステラーゼ酵素を加えた。pHと温度を調節して、溶液を約6時間撹拌した。
5.酵素を変性させるため、真空に引いて、温度を約100℃まで上昇させた。
6.その後、溶液を冷却した。
7.石油エーテルを加え、混合物を約4時間撹拌した。
8.溶液を濾過し、酵素の滓と非溶解性の粒子を取り除いた。
9.溶液を、石油エーテル層と水層に分離した。
10.真空に引きながら石油エーテルを加熱し、溶媒を蒸発させた。
11.本発明の抽出生成物である固体残渣を集めた。
12.抽出生成物を空気乾燥させ、試験に回した。
13.水層から水を蒸発させた。蒸発は真空に引きながら行なった。残渣には、PK植物物質の水溶性成分が含まれていた。
【実施例5】
【0070】
1.実施例1のステップ1、2および3と同じ操作を行なった。
2.PK植物物質を、機械的手段で小片にすり潰した。
3.1バッチ分を測定して取り出し、抽出反応装置に入れた。
4.計量したエタノール溶媒(メタノールに代えてもよい)を反応装置に入れた。
5.反応装置の内容物を、撹拌しながら所要温度まで加熱し、その状態を約24時間維持した。
6.溶液を真空に引きながら別の反応容器に移送した。
7.溶液を3回濾過した。
8.溶液に水を加え、約1時間撹拌した。
9.n−ヘキサン溶媒(ペンタンに代えてもよい)を加え、内容物を、約6時間撹拌した。
10.溶液を約4時間静置した。
11.固体または半固体状の、本発明の抽出生成物を回収するため、真空に引きながら蒸発を行い、溶媒を蒸留した。
12.水とアルコールを含んだ平衡液(balance
liquid)を蒸留し、溶媒を回収した。
13.生成物を窒素雰囲気(CO雰囲気に代えてもよい)で真空に引いて空気乾燥させ、試験と、微生物検査に回した。
【実施例6】
【0071】
1.実施例1のステップ1から3と同じ操作を行なった。
2.実施例5のステップ2と同じ操作をおこなった。
3.PK植物物質の1バッチ分を測定して取り出し、抽出反応装置に入れた。
4.反応装置に所要量のn−ヘキサンを入れた(本実施例では、溶媒を、ペンタン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテルおよび石油エーテルに代えてもよい)。
5.反応装置の内容物を所要温度まで加熱し、約24時間撹拌した。
6.溶液を、真空に引きながら他の容器に移送し、3回濾過した。
7.真空に引きながら溶液を加熱して溶媒を蒸発させ、固体または半固体状の、本発明の抽出生成物を得た。
8.窒素雰囲気(CO雰囲気に代えてもよい)で真空に引き、空気乾燥させることによって、生成物から残留溶媒を取り除いた。
9.生成物を、物理的特性の試験と微生物的評価に回した。
【0072】
当業者であれば、上記以外の実施例および変更例を実施可能であり、そのような実施例および変更例も、本発明の範囲と精神に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間および動物対象におけるウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去、治療および管理に使用するための、また、肝臓保護薬、抗高脂血症薬、抗糖尿病薬および腎臓保護薬として他の用途に使用するための、ゴマノハグサ科植物に存在する1つまたは複数のテルペンおよび前記科の植物に存在する1つまたは複数の脂肪酸を含む、医薬用、栄養補助用または食品用の組成物。
【請求項2】
前記ゴマノハグサ科の植物に存在する1つまたは複数の他の親油性成分を追加で含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記追加の成分が前記科の植物に存在する配糖体のアグリコンを1つまたは複数含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物中の前記親油性成分が、組成物の少なくとも20重量%であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
組成物中の主要な前記親油性分が、1つまたは複数の前記脂肪酸およびテルペンであり、前記脂肪酸とテルペンの合計量が、組成物中の前記親油性成分の約50重量%より多いことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
組成物中の非親油性成分が約20重量%を超えないことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
組成物中の水溶性成分の量が、組成物中の前記親油性成分の量の約10重量%を超えないことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
組成物中の苦味成分および臭い成分の量が約0.5重量%以下であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
補完的または補助的な治療効果を付与する、および/または、栄養物、食品、色、味、感触、臭い、香味、嵩、その他の特性のための追加成分となる、1つまたは複数の追加成分を含むことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
経口投与、静脈内投与、筋肉投与、皮下投与、腹膜投与、直腸投与、経鼻投与、経皮投与、皮膚投与、舌下投与、膣内投与、その他の経路での投与、に適した形態であることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
組成物中の医薬的活性成分が、医薬的に受容可能な任意の塩の形態である、請求項1乃至10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
賦形剤その他に吸着された、粉末、シロップ、飲料、錠剤、カプレット、ソフトゲル、カプセル、ナノゲル、ナノ粒子、注射、非経口剤、経皮パッチ、吸収性ゲル、鼻スプレー、膣ゲルのような形態である、請求項1乃至11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
組成物中の1つまたは複数の成分が、部分的に、または全て、植物物質に由来することを特徴とする、請求項1乃至12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記植物物質が、前記ゴマノハグサ科の植物、好ましくは、前記科のピクロリザ属の植物を1つまたは複数含むことを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記ピクロリザ属の前記植物が、ピクロリザ・クロア・ロイル種、ピクロリザ・スクロフラリフロラ・ペネル種およびネオピクロリザ・スクロフラリフロラ種の内の1つ、または、それらの任意の混合物、好ましくは、前記3種の混合物であることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記成分が由来する植物の部位が、葉、茎、匍匐茎、根、花、皮、種、その他から選択され、好ましくは、根または匍匐茎、さらに好ましくはそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
配糖体エステル、配糖体エーテル、脂肪族化合物、芳香族化合物、グリコシドカルボン酸塩、ステロイド配糖体、長鎖脂肪酸、アグリコン、アシル化グリコド、脂肪アルコール、脂肪酸、ステロイドエステル、ステロイド脂肪酸、ステロイドアルコール、ステロール、テルペノイド、ステロイドトリテルペン、酸化トリテルペン、トリテルペンのエステル、トリテルペンの酸、トリテルペンのアルコール、ククルビタシン、炭素原子数5〜40のテルペノイド部分、テルペンおよびその脂肪酸、エステル、ステロール、ステロイド、アルコール、塩類、炭水化物、酸、サポニン、アルカロイド、フェノール、タンニン、リグニン、フラボノイド、ホルモン、色素、カテキン、タンパク質、ペプチド、酸化型、炭化水素、長鎖ヒドロキシ脂肪酸部分、樹脂酸、ステロイド骨格上に構成されたトリテルペノイドのような、前記ゴマノハグサ科植物の成分に存在するか由来する、1つまたは複数の他の化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項13乃至16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
部分的に、または全て植物物質に由来する前記成分が、前記植物物質の抽出によって得られる抽出物の分取によって得られる1つまたは複数の分取物またはその混合物を含み、前記分取が、任意の既知の手段、好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって行なわれることを特徴とする、請求項13乃至17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
前記植物物質の抽出に使用される溶媒、溶媒混合物または一連の溶媒が、ジクロロメタン、ヘキサン、n−ヘキサン、c−ヘキサン、トルエン、t−BuOMe、Et2O、メチルイソブチルケトン、酢酸ビニル、酢酸エチル、t−ブタノール、DMA、i−プロパノール、ギ酸、ホルムアミド、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、1−ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、1,2−ジメトキシ−エタン(グリム、DME)、ジメチルエーテル、ジメチル−ホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルリン酸アミド(HMPA)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)、メタノール、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、塩化メチレン、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル、リグロイン、1−プロパノール、2−プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トリエチルアミン、o−、m−およびp−キシレン、ホワイトスピリット、植物油、石油ナフサ、テレピン油、酸素化溶剤(アルコール、グリコールエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、ケトン、エステル、グリコールエーテル、グリコールエステルなど);芳香族化合物およびその他の炭化水素、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、アミン、およびニトロ化炭化水素とハロゲン化炭化水素を含む、溶媒として使用される有機化合物、アンモニア、硫酸、塩化フッ化スルフリル、界面活性剤、洗剤、pH緩衝剤、水および重水のような無機溶媒、から選択されるが、これらに限定されないことを特徴とする、請求項13乃至18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
使用される前記溶媒がn−ヘキサンであることを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
ワクチンまたはワクチンのアジュバントの形態であることを特徴とする、請求項1乃至20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
人間および動物対象におけるウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去、治療および管理に使用するための、また他の用途に使用するための、ゴマノハグサ科植物に存在する1つまたは複数のテルペンおよび前記科の植物に存在する1つまたは複数の脂肪酸を含む、実質的に明細書に記載された、医薬用、栄養補助用または食品用の組成物。
【請求項23】
人間および動物対象におけるウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去、治療および管理のための、請求項1乃至22のいずれかに記載の組成物の使用方法。
【請求項24】
前記感染および疾患が、RNAウイルスによって引き起こされることを特徴とする、請求項1乃至22のいずれかに記載の組成物の使用方法。
【請求項25】
前記感染および疾患が、DNAウイルスによって引き起こされることを特徴とする、請求項1乃至22のいずれかに記載の組成物の使用方法。
【請求項26】
前記感染および疾患が、ヘルペス、肝炎ウイルス、インフルエンザ、口腔咽頭カンジダ症、接合菌症、スポロトリクム症、マイコバクテリア結核症、肺炎連鎖球菌、腸管出血性大腸菌(EHEC)、プラスモディウム属の寄生生物およびその他の内の1つであることを特徴とする、請求項1乃至22のいずれかに記載の組成物の使用方法。
【請求項27】
人間および動物対象における肝臓保護薬、腎臓保護薬、抗高脂血症薬、抗糖尿病薬としての、請求項1乃至22のいずれかに記載の組成物の使用方法。
【請求項28】
人間および動物対象における任意のウイルス、菌類、バクテリア、原虫およびその他疾患に対する予防薬、プロドラッグ剤としての、請求項1乃至22のいずれかに記載の組成物の使用方法。
【請求項29】
人間および動物におけるウイルス、菌類、バクテリアおよび原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去および治療に使用するための、リンパ球、ワクチン、血清、抗血清、血漿、抗体、抗原、ペプチド、酵素、免疫血清、免疫グロブリン、免疫原、アジュバントのような免疫系関連種を製造するための、
前記種が、人間、動物、鳥または水生動物対象において、前記組成物を前記対象へ投与して、該対象の免疫系に前記種を産生させることによって生成され、その後、前記種が、前記予防、除去および治療に使用するために、単離して採取される、請求項1乃至22のいずれかに記載の組成物の使用方法。
【請求項30】
人間および動物対象における、また、薬学、生化学、生物工学および発酵醸造に関する研究および産業における、ウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患を、予防、除去、治療および管理するための、
ゴマノハグサ科植物に存在する1つまたは複数のテルペンと前記科の植物に存在する1つまたは複数の脂肪酸を含む組成物の適量を適切な期間にわたって前記対象に投与し、その後、任意の選択として、前記組成物の適切な維持量を、適切な期間にわたって投与することを含む、治療方法。
【請求項31】
前記感染、障害および疾患が、DNAウイルスによって引き起こされることを特徴とする、請求項30に記載の治療方法。
【請求項32】
前記感染、障害および疾患が、RNAウイルスによって引き起こされることを特徴とする、請求項30に記載の治療方法。
【請求項33】
前記感染、障害および疾患が、ヘルペス、肝炎ウイルス、インフルエンザ、口腔咽頭カンジダ症、接合菌症、スポロトリクム症、マイコバクテリア結核症、肺炎連鎖球菌、腸管出血性大腸菌(EHEC)、プラスモディウム属の寄生生物およびその他の内の1つであるが、これらに限定されないことを特徴とする、請求項30乃至32のいずれかに記載の治療方法。
【請求項34】
前記組成物が、賦形剤その他に吸着された、粉末、シロップ、飲料、錠剤、カプレット、ソフトゲル、カプセル、ナノゲル、ナノ粒子、注射、非経口剤、経皮パッチ、吸収性ゲル、鼻スプレー、膣ゲルその他のような既知の形態の1つであり、経口投与、静脈内投与、筋肉投与、皮下投与、腹膜投与、直腸投与、経鼻投与、経皮投与、皮膚投与、舌下投与、膣内投与その他の、既知の経路の1つで投与されることを特徴とする、請求項30乃至33のいずれかに記載の治療方法。
【請求項35】
前記組成物が、さらに、前記科の植物の他の成分および/またはそれに由来する化合物の1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項30乃至34のいずれかに記載の治療方法。
【請求項36】
前記用量が、前記テルペンおよび前記脂肪酸を合わせて約10mgから約1000mgであることを特徴とする、請求項30乃至34のいずれかに記載の治療方法。
【請求項37】
人間および動物対象における、また、薬学、生化学、生物工学および発酵醸造に関する研究および産業における、ウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患を、予防、除去、治療および管理するための、
ゴマノハグサ科植物に存在する1つまたは複数のテルペンと前記科の植物に存在する1つまたは複数の脂肪酸を含む組成物の適量を適切な期間にわたって前記対象に投与し、その後、任意の選択として、前記組成物の適切な維持量を、適切な期間にわたって投与することを含む、実質的に明細書に記載された、治療方法。
【請求項38】
人間および動物におけるウイルス、菌類、バクテリアおよび原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去および治療に使用するための、
人間、動物、鳥または水生動物対象において、請求項1乃至22のいずれかに記載の組成物を前記対象へ投与して、該対象の免疫系に産生させることによって生成され、その後、前記予防、除去および治療に使用するために、ワクチンその他として単離して採取される、リンパ球、血清、抗血清、血漿、抗体、抗原、ペプチド、酵素、免疫血清、免疫グロブリン、免疫原、アジュバントのような免疫系関連種。
【請求項39】
人間および動物におけるウイルス、菌類、バクテリアおよび原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去および治療に使用するための、リンパ球、血清、抗血清、血漿、抗体、抗原、ペプチド、酵素、免疫血清、免疫グロブリン、免疫原、アジュバントのような免疫系関連種を製造するための、
ゴマノハグサ科植物に存在するテルペンおよび脂肪酸を含む組成物を用意するステップ、前記組成物を、人間、動物、鳥または水生動物対象に投与して、該対象の免疫系に前記種を産生させるステップ、前記予防、除去および治療に使用するために、前記種を前記対象の血清、抗血清から単離し採取するステップを含む、製造工程。
【請求項40】
前記組成物が、前記科の植物に存在する配糖体のアグリコンの1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項39に記載の免疫系関連種の製造工程。
【請求項41】
前記組成物が、さらに、前記科の植物に存在する他の親油性成分を1つまたは複数含むことを特徴とする、請求項39または40に記載の免疫系関連種の製造工程。
【請求項42】
前記組成物が、さらに、前記科の植物に存在する1つまたは複数の他の成分またはそれに由来する任意の派生物を含むことを特徴とする、請求項39乃至41のいずれかに記載の免疫系関連種の製造工程。
【請求項43】
前記組成物の成分の1つまたは複数が、部分的に、または全て、植物由来であることを特徴とする、請求項39乃至42のいずれかに記載の免疫系関連種の製造工程。
【請求項44】
前記植物由来の成分が、ゴマノハグサ科植物、好ましくは、前記科のピクロリザ属の植物、さらに好ましくは、ピクロリザ・クロア・ロイル種、ピクロリザ・スクロフラリフロラ・ペネル種およびネオピクロリザ・スクロフラリフロラ種の内の1つまたは複数、またさらに好ましくは、該3種の混合物の部位の抽出によって得られることを特徴とする、請求項43に記載の免疫系関連種の製造工程。
【請求項45】
抽出される前記部位が、葉、茎、匍匐茎、根、花、皮、種、その他の内の1つまたは複数、好ましくは、根または匍匐茎、さらに好ましくは、それらの混合物であることを特徴とする、請求項43または44に記載の免疫系関連種の製造工程。
【請求項46】
前記1つまたは複数の成分が、請求項19に記載した溶媒のリストから選択される溶媒、一連の溶媒、溶媒混合物、好ましくはn−ヘキサンによる植物物質の抽出によって得られることを特徴とする、請求項43乃至45のいずれかに記載の免疫系関連種の製造工程。
【請求項47】
前記種が、ワクチンまたはそのアジュバントを製造するために製剤されることを特徴とする、請求項39乃至46のいずれかに記載の免疫系関連種の製造工程。
【請求項48】
前記対象が、好ましくは、前記種の作用を必要とする感染、障害または疾患に予め罹っていることを特徴とする、請求項39乃至47のいずれかに記載の免疫系関連種の製造工程。
【請求項49】
人間および動物におけるウイルス、菌類、バクテリアおよび原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去および治療に使用するための、リンパ球、血清、抗血清、血漿、抗体、抗原、ペプチド、酵素、免疫血清、免疫グロブリン、免疫原およびアジュバントのような免疫関連種を製造するための、実質的に明細書に記載された、製造工程。
【請求項50】
人間および動物対象におけるウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去、治療および管理に使用するための、また他の用途に使用するための、
ゴマノハグサ科植物に存在する1つまたは複数のテルペンと、前記科の植物に存在する1つまたは複数の脂肪酸とを混合することによる、医薬用、栄養補助用および食品用の組成物の製造工程。
【請求項51】
前記科の植物に存在する配糖体のアグリコンを1つまたは複数、請求項50に記載の成分と混合することをさらに含む、請求項50に記載の製造工程。
【請求項52】
前記S.科の植物の他の親油性成分を1つまたは複数、請求項50または51に記載の成分と混合することをさらに含む、請求項50または51に記載の製造工程。
【請求項53】
追加の補完的および/または補助的治療活性、味、色、香味、感触、臭い、嵩その他の特性、活性成分の溶解および修飾/転換、およびその他の目的、のような目的を有する機能的成分を1つまたは複数混合することをさらに含む、請求項50乃至52のいずれかに記載の製造工程。
【請求項54】
人間および動物対象におけるウイルス、菌類、バクテリア、寄生生物および原虫による感染、障害および疾患の、予防、除去、治療および管理に使用するための、また他の用途に使用するための、
組成物の成分を混合することによる、実質的に明細書に記載された、医薬用、栄養補助用および食品用の組成物の製造工程。

【公表番号】特表2013−503854(P2013−503854A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527450(P2012−527450)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000584
【国際公開番号】WO2011/027364
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(512026891)
【Fターム(参考)】