説明

付着物除去方法、および、付着物除去装置

【課題】外気圧より低い気圧に維持される低圧室内において低コストで被洗浄面に付着した付着物を除去すること。
【解決手段】外気圧より低い気圧の低圧室内に設置されるコンプレッサーが前記低圧室内において取り込んだ空気を圧縮して吐出することにより、前記低圧室内における被洗浄面にドライアイス粒を噴射し、該噴射による衝突エネルギにより前記被洗浄面に付着した付着物を除去する付着物除去方法であって、前記コンプレッサーが単位時間あたりに取り込む空気量と、前記コンプレッサーが単位時間あたりに吐出する空気量とをほぼ同量としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着物除去方法、および、付着物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
壁面に付着した付着物を除去するための様々な方法が開示されている。その開示された技術の中に、コンプレッサーによって圧縮された圧縮空気によりドライアイス粒を噴射して、作業場所の有害物を除去する技術がある(特許文献1)。そして、この技術を用いたアスベストの除去工法が使用されている。使用されるアスベストの除去工法は、コンプレッサーとドライアイス搬送機を作業場の室外に配置する。そして、ドライアイス搬送機に投入したドライアイス粒をコンプレッサーの高圧空気と共に噴射ノズルから噴射させ、壁面等のアスベストを除去する。
【0003】
また、特許文献2には、ドライアイス等の昇華性粒子をブラストして、付着物を剥離除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−300030号公報
【特許文献2】特開2004−305904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のアスベストの除去方法を用いて壁面等に付着したアスベストなどの有害物を除去する場合、作業場所を隔離密閉養生する。そして、負圧集塵装置等を用いて隔離密閉養生された室内の気圧を室外よりも低圧にし、除去した室内の有害物が室外に漏れないようにする必要がある。
【0006】
このとき、室外に設置されたコンプレッサーの圧縮空気によって室外よりも低圧に維持された室内でドライアイスを噴射すると、室内の気圧が著しく上昇する。そのため、室内の気圧を室外よりも低圧に保つために、大型の負圧集塵装置を使用するか、又は、多くの負圧集塵装置を設置する必要がある。このような装置の多くの設置は、コストを高くする要因となる。
【0007】
また、通常、コンプレッサーは大型のため室外に設置されており、室内に圧縮空気を送るためのホースを室内に連通させるための穴を密閉養生材にあける必要がある。この穴は室内の密閉性を損なわせるため、室内を低圧に保ちにくくする。このことも大型の負圧集塵装置等を使用せざるを得ない一要因となる。このように、室外に設置された大型の負圧集塵装置と大型のコンプレッサーの使用は、燃料等のコストのために工費を高くする原因となっていた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、外気圧より低い気圧に維持される低圧室内において被洗浄面に付着した付着物を低コストで除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために本発明に係る付着物除去方法は、外気圧より低い気圧の低圧室内に設置されるコンプレッサーが前記低圧室内において取り込んだ空気を圧縮して吐出することにより、前記低圧室内における被洗浄面にドライアイス粒を噴射し、該噴射による衝突エネルギにより前記被洗浄面に付着した付着物を除去する付着物除去方法であって、前記コンプレッサーが単位時間あたりに取り込む空気量と、前記コンプレッサーが単位時間あたりに吐出する空気量とをほぼ同量としたことを特徴とする
【0010】
また、外気圧より低い気圧の低圧室内に設置されるコンプレッサーが前記低圧室内において取り込んだ空気を圧縮して吐出することにより、前記低圧室内における被洗浄面にドライアイス粒を噴射し、該噴射による衝突エネルギにより前記被洗浄面に付着した付着物を除去する付着物除去方法であって、前記コンプレッサーが単位時間あたりに取り込む空気量を、前記コンプレッサーが単位時間あたりに吐出する空気量よりも多くしたことを特徴とする
【0011】
前記コンプレッサーは、48(L/min)の吐出能力を有することとしてもよい。前記コンプレッサーが空気を吐出する最高圧力は、0.67(MPa)であることとしてもよい
【0012】
また、ドライアイス粒を供給するドライアイス粒供給装置と、前記ドライアイス粒を噴射させるために低圧室内における空気を取りこんで、取り組んだ空気を圧縮して吐出するコンプレッサーと、前記ドライアイス粒供給装置から供給されるドライアイス粒を、前記コンプレッサーにより吐出される空気の力により付着物が付着した被洗浄面に向けて噴射し、前記付着物を除去する噴射ノズルと、を備える除去装置と、前記除去装置と前記被洗浄面とを含む作業場を外気圧より低い気圧にするための負圧生成装置と、を備える付着物除去装置であって、前記コンプレッサーが単位時間あたりに取り込む空気量と、前記コンプレッサーが単位時間あたりに吐出する空気量とをほぼ同量としたことを特徴とする
【0013】
また、ドライアイス粒を供給するドライアイス粒供給装置と、前記ドライアイス粒を噴射させるために低圧室内における空気を取りこんで、取り組んだ空気を圧縮して吐出するコンプレッサーと、前記ドライアイス粒供給装置から供給されるドライアイス粒を、前記コンプレッサーにより吐出される空気の力により付着物が付着した被洗浄面に向けて噴射し、前記付着物を除去する噴射ノズルと、を備える除去装置と、前記除去装置と前記被洗浄面とを含む作業場を外気圧より低い気圧にするための負圧生成装置と、を備える付着物除去装置であって、前記コンプレッサーが単位時間あたりに取り込む空気量を、前記コンプレッサーが単位時間あたりに吐出する空気量よりも多くしたことを特徴とする
【発明の効果】
【0014】
以上のように、空気の送り出し装置は、低圧室内において空気を取り込みつつ取り込んだ空気を送り出すため、付着物の除去作業中において、取り込まれる空気量と送り出される空気量とが平均的にほぼ同量となる。そうすると、室内の空気量はほぼ一定に保たれるので、室内の気圧は一定(低圧)に維持される。つまり、室外のコンプレッサーから送られる高圧の圧縮空気のように室内の圧力を上昇させることがないので、室内を外気圧よりも低い気圧に保つための負圧集塵装置を多く設けたり、大型の負圧集塵装置を設ける必要がない。よって、外気圧より低い気圧に維持される室内において、低コストで壁面に付着した付着物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態における除去装置の概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態におけるアスベスト除去方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書及び図面には、例えば、次のような発明が含まれる
付着物除去方法であって、外気圧より低い気圧の低圧室内に設置される空気の送り出し装置が前記低圧室内において取り込んだ空気を送り出すことにより、前記低圧室内における被洗浄面にドライアイス粒を噴射し、該噴射による衝突エネルギにより前記被洗浄面に付着した付着物を除去することを特徴とする
このように、空気の送り出し装置は、低圧室内において空気を取り込みつつ取り込んだ空気を送り出すため、付着物の除去作業中において、取り込まれる空気量と送り出される空気量とが平均的にほぼ同量となる。そうすると、室内の空気量はほぼ一定に保たれるので、室内の気圧は一定(低圧)に維持される。つまり、室外のコンプレッサーから送られる高圧の圧縮空気のように室内の気圧を上昇させることがないため、室内の気圧を室外よりも低く保つための装置を多く設けたりする必要がない。よって、外気圧より低い気圧に維持された室内において被洗浄面に付着した付着物を低コストで除去することができる
【0017】
また、前記付着物除去方法において、前記空気の送り出し装置が送り出す空気は圧縮空気であることを特徴とする
このようにすることで、低圧室内において取り込んだ空気を圧縮して生成した圧縮空気によりドライアイス粒を噴射することができる。圧縮空気を噴射した場合、その流速は速いため高速でドライアイス粒を噴射することができるようになる
【0018】
また、前記付着物除去方法において、前記空気の送り出し装置はコンプレッサーであることを特徴とする
このように、空気の送り出し装置としてコンプレッサーを使用することにより、圧縮空気を生成してドライアイス粒を噴射することができる。また、このコンプレッサーは室内に設置されるので、低圧室内の圧力をあまり上昇させることなく、被洗浄面に付着した付着物を除去することができる
【0019】
また、前記付着物除去方法において、前記低圧室内において前記空気は取り込まれる前に除塵されることを特徴とする
このように、空気は取り込まれる前に除塵されるので、送り出し装置の内部に除去後の付着物などが流入することがない。例えば、コンプレッサー内部にアスベストなどの付着物が入り込むことがない。よって、コンプレッサー内部の清掃を行う必要がない
【0020】
また、前記付着物除去方法において、前記付着物が、アスベスト、ダイオキシン、又は、放射性物質を含む付着物であることを特徴とする
本方法は、外気圧より低い気圧にされた低圧室内で行われるため、外気が室内に流れ込むようになっている。よって、付着物がアスベスト、ダイオキシン、又は、放射性物質のように、人体に対して有害であって外部に漏らすことができない有害物であっても、これらが外部に漏れることがないようにすることができる
【0021】
また、付着物除去装置であって、除去装置と負圧生成装置とを備える。除去装置は、ドライアイス粒を供給するドライアイス粒供給装置と、前記ドライアイス粒を噴射させるために低圧室内における空気を取りこんで送り出す空気の送り出し装置と、前記ドライアイス粒供給装置から供給されるドライアイス粒を、前記空気の送り出し装置により送り出される空気の力により付着物が付着した被洗浄面に向けて噴射し、前記付着物を除去する噴射ノズルと、を備える。負圧生成装置は、前記除去装置と前記被洗浄面とを含む作業場を外気圧より低い気圧にするための装置である
このような付着物除去装置を用いることで、上述における付着物除去方法と同様の理由により、外気圧より低い気圧に維持された室内において被洗浄面に付着した付着物を低コストで除去することができる
【0022】
以下に、付着物の除去方法および付着物の除去装置の実施形態について、添付の図面を用いて説明する。
【0023】
図1は、本実施形態における付着物の除去装置の概略構成を示す図である。図2は、本実施形態における付着物の除去方法を説明するための図である。本実施形態は、有害物を室外に漏らさないために気圧を室外よりも低圧に維持する必要のある作業場において使用される。ここでは、壁面に付着した人体に有害なアスベストを除去する方法について説明する。
【0024】
本実施形態における除去装置は、室外の気圧(大気圧)よりも低い気圧に維持される室内6に設置されることとなる。よって、ここでは、まず隔離密閉養生工程S31により、室内6の隔離密閉養生が行われる。隔離密閉養生とは、室外よりも気圧の低い作業空間を作り出すために、作業場所を外気に対して密閉するように養生する作業である。そのため、ここでは、室内6と室外の通路を遮断するようにPET製のシート(PETシート)が貼り付けられ養生が行われる。そして、室外に室内6からの空気が流出しないようにし、アスベスト7や粉塵が室外へ流出してしまうのを防止する。
【0025】
図1において、室外への空気の流路となり得るのは、窓15および出入り口16となっている。よって、隔離密閉養生として、外部への空気流路を完全に遮断するように、窓15の周囲にPETシート11が貼り付けられる。また、作業員の出入り口16にも、PETシート11が設けられる。但し、ここでは、PETシート11がカーテンのように取り付けられることにより、外気と室内6との間に小さな空気流路が設けられる。これは、後述する負圧集塵装置21によって室内の空気が吸い出されるため、外気を取り入れ可能とし、必要以上に室内6の気圧が低圧にならないようにするためである。この出入り口16とPETシート11との間に形成された空気の流路は、負圧集塵装置21を動作させたときに、室内6が適度に低い気圧に保たれる程度の小さな流路となっている。このようにして、室外の気圧よりも低い気圧の室内6を作り出すための養生が行われる。
【0026】
室外には、負圧集塵装置21が設置されている。負圧集塵装置21は、隔離密閉養生室6の内部の空気を吸引し、その空気をフィルタで濾過し、空気に含まれる有害物を除去して室内6の外部に排気する。このように、負圧集塵装置21が、隔離密閉養生された室内6の空気を吸引することで室内の気圧は室外の気圧に対して低圧にされる。また、負圧集塵装置21によって室内の空気が吸引されることにより、後述するドライアイスの昇華後の二酸化炭素が排出される。
【0027】
次に、室内6に除去装置を設置する(S32)。本実施形態における除去装置は、投入されたドライアイス粒5を貯積し、順次、ドライアイス粒5を送り出すドライアイス搬送機2と、ドライアイス粒5を噴射させるための圧縮空気を生成するコンプレッサー8を備える。ドライアイス搬送機2は、ドライアイス混合部14とホッパー20とを含む。また、本実施形態で使用されるコンプレッサー8は、低圧室内に設置できる程度の大きさの小型のコンプレッサーである。コンプレッサー8の吐出口は、接続ホース18を介してドライアイス混合部14に接続されている。
【0028】
ところで、室内が低圧の状態にされた後、負圧集塵装置21が室外にはき出す空気量と、PETシート11などの隙間から流入する空気量はほぼ同じ量に保たれ、室内6は外気よりも低圧である状態が保たれる。よって、室内6における空気量は低圧状態で密閉されたときの空気量とほぼ同量であるとみなすことができる。連続して付着物の除去作業を行う場合、コンプレッサーは取り込んだ空気をタンクに圧縮しながら圧縮空気を吐出することとなる。この場合、低圧の室内6において設置されるコンプレッサー8が単位時間あたりに取り込む空気の量と吐出する空気の量とがほぼ同じ量となる。そうすると、室内6における空気量はほぼ一定に保たれることとなり、付着物の除去作業中も低圧状態が維持されることとなる。つまり、単位時間あたりに取り込む空気量と吐出する空気量とをほぼ同量とするコンプレッサー(または、単位時間あたりの取り込み可能な空気量が吐出可能な空気量よりも多いコンプレッサー)であれば、様々のタイプのコンプレッサーを使用することができる。
【0029】
本実施形態における小型のコンプレッサー8は、圧縮空気をため込むためのタンクの容量が大型のコンプレッサーのものよりも小さい。よって、空気の吐出口が小さく絞られ、タンク内圧力が急速に下がらないようになっている。この場合、小型のコンプレッサーは、大型のコンプレッサーに比して単位時間あたりの空気の吐出量は少ない。単位時間あたりの空気の吐出量が少なければ吐出される空気がたとえ圧縮空気であっても、噴射を開始した直後において低圧室内の圧力を上昇させにくい。また、小型のコンプレッサーであれば、空気の単位時間あたりの吐出量を高めた場合であっても、そのタンク容量の小ささのため、低圧の室内を外気圧と同等の気圧にまで上昇させるまでの空気を室内6に充当することができず好都合である。
【0030】
よって、室内には小型のコンプレッサーを設置することが望ましい。ここで使用されるコンプレッサー8は、48(L/min)の吐出能力を有する。また、コンプレッサー8は、最高で0.67(MPa)の圧力で空気を吐出できる。
【0031】
除去装置は、コンプレッサー8からの風圧により、ドライアイス搬送機2内に蓄えられたドライアイス粒5を被洗浄面である壁面17のアスベスト7に向けて噴射する噴射ノズル3を備える。噴射ノズル3は、噴射用ホース4によってドライアイス混合部14に取り付けられている。
【0032】
コンプレッサー8の空気の取り入れ口9には、除塵するための装置として除塵フィルタ10が接続ホース13を介して取り付けられている。コンプレッサー8は空気を取り込むため、室内から空気の取り入れ口9に向かう方向に空気の流れが形成されている。よって、粉塵として空気中を舞うアスベストがこの流れに乗り、除塵フィルタ10によって捕集される。このように除塵フィルタ10がコンプレッサー8の空気取り入れ口9に接続ホース13を介して取り付けられているので、コンプレッサー8の内部、噴射用ホース4の内部、および、噴射ノズル3は有害物で汚染されない。そして、アスベストの除去作業終了後にこれらの内部を洗浄する必要がないようになっている。
【0033】
尚、除塵するための装置として、除塵フィルタ10のほかに、さらに、サイクロンなどの固気分離装置を取り付けることとして、空気中を舞うアスベストをより積極的に回収可能とすることとしてもよい。
【0034】
ドライアイス搬送機2は、投入されたドライアイス粒5を貯積するホッパー20と、ホッパーから供給されるドライアイス粒5を圧縮空気と混合して噴射ノズル3へと搬送するためのドライアイス混合部14を含む。ドライアイス供給装置としてのホッパー20は、ドライアイス搬送機2の上部分に配置されている。ホッパー20は、投入されたドライアイス粒5を一時的に蓄え、ドライアイス混合部14に対して必要量を搬出する装置である。ホッパー20の下側は漏斗形状となっており、漏斗形状の先端部に取り付けられた供給調整装置によってドライアイス粒5のドライアイス混合部14への供給量が制御される。この供給調整装置は、例えば螺旋状に切られたネジ状部材である。そして、このネジ状部材が回転させられることにより、このネジ上部材の溝部に入り込んだドライアイス粒5が、順次、ドライアイス混合部14に供給されることとなる。
【0035】
ドライアイス混合部14では、ホッパー20から供給されたドライアイス粒5が圧縮空気と混合され噴射用ホース4側に送り込まれる。尚、ホッパー20に投入されるドライアイス粒5は、直径3mm×長さ10mm等の円筒形状に成形されている。
【0036】
噴射ノズル3には、上述の噴射用ホース4が取り付けられている。そして、圧縮空気と共にドライアイス粒5を噴射可能となっている。噴射されたドライアイス粒5は、壁面のアスベスト7に衝突し、この衝突エネルギによってアスベスト7が剥離される。ドライアイス粒5は、研磨剤として噴射され、付着物であるアスベスト7を被洗浄面から効率よく除去する。アスベスト7を壁面17から除去した後のドライアイス粒5は、その昇華作用により二酸化炭素となって消失する。よって、アスベスト7の除去後に残留するのは剥離されたアスベスト7だけとなる。また、ドライアイスを使用すると作業空間が冷却されるので、夏場の熱中症対策になるという利点もある。
【0037】
以上のような除去装置が設置されると、この除去装置を使用してアスベストの除去作業が行われる(S33)。上述のように、コンプレッサー8によって圧縮空気が送られると、ドライアイス粒5がこの圧縮空気によって送り出され、噴射ノズル3から噴射される。そして、壁面のアスベスト7が剥離され除去される。この除去作業は、人手によって噴射ノズル3を支えつつ行われる。ただし、これを自動化した機械によって行わせることとしてもよい。
【0038】
尚、本実施形態におけるコンプレッサー8は、空気の送り出し装置としての例示である。よって、空気を取り込み、付着物を除去するだけの流量の空気を送り出すことができる装置であれば、これに限られない。コンプレッサー以外の空気の送り出し装置を用い、送り出す空気の圧力が弱い場合には、漏斗状の絞り部材を用いて、管内を通る空気流速を高めることで、圧力の高い空気を生成することとしてもよい。
【0039】
また、空気の送り出し装置として、空気の取り入れ能力の高い装置が使用される場合において、この空気の取り入れ能力を利用して除塵を行うこととしてもよい。このとき、除塵フィルタ10の接続ホース13が取り付けられている側の他方の側に別途ホースを取り付け、このホースを介して除去後の付着物を回収することとしてもよい。そうすることで、空気の送り出し装置の吸引力が利用され、室内6の壁面17において除去されたアスベスト7が吸引されることとなる。
【0040】
なお、本実施形態では、作業員によってドライアイス粒5がドライアイス搬送機2に投入されることとしていたが、室内6に液化炭酸ガスタンクとドライアイス製造装置(ペレタイザ)を備えることとしてもよい。そして、上述のドライアイス粒5を室内6において製造しつつ、アスベスト7の除去を行うこととしてもよい。また、ドライアイス粒5は、必ずしも円筒状に成形される必要はなく、ペレット状であれば、どのような形状に成形されても構わない。また、PETシート11に代えて、養生シートを使用してもよい。
【0041】
また、ここでは、壁面に付着しているアスベスト7の除去作業を例にして説明を行ったが、有害物を外部に漏らさないために作業場を外気圧よりも低圧にする必要があるような状況下となる他の有害物の除去作業に使用することもできる。
【0042】
例えば、使用済み核燃料をストックしておいたプール側壁の清掃に使用することもできる。使用済み核燃料は、炉内から取り出された後も熱を放出し続けているため、使用後もしばらくの間は水を充填したプール内に貯蔵される。使用済み核燃料の温度が下がり、これらがプールから取り出されると、プールから水が抜かれプール壁面の清掃が行われる。このプールは、放射性物質を格納するためのものであるので密閉された空間となっている。このような空間では、上述のような外気圧よりも低い気圧の室内を作りやすい。また、除去すべき壁面の汚れは放射性物質を含んだ有害物であって、外部に漏らすことができない。よって、プール壁面の洗浄時において、上述の除去方法を使用することができる。そして、低コストで壁面の放射性物質を含んだ汚れを除去することができる。
【0043】
また、この除去方法は、ゴミ焼却施設の焼却炉内、煙道、集塵機、煙突の内壁部、鉄道のトンネル壁面、サイロ内部、ゴミピット内部、放射性物質の保存容器などにも使用可能であり、焼却灰、煤、粉塵、貯蔵滓、汚物、汚染物質、土、ラベル、シール、塗装材等が付着した箇所でも用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
2 ドライアイス搬送機、3 噴射ノズル、4 噴射用ホース、5 ドライアイス粒、
6 室内、7 アスベスト、8 コンプレッサー、9 取り入れ口、
10 除塵フィルタ、11 PETシート、13 接続ホース、
14 ドライアイス混合部、15 窓、16 出入り口、17 壁面、
18 接続ホース、20 ホッパー、21 負圧集塵装置、
S31 養生工程、S32 除去装置設置工程、S33 アスベスト除去工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気圧より低い気圧の低圧室内に設置されるコンプレッサーが前記低圧室内において取り込んだ空気を圧縮して吐出することにより、前記低圧室内における被洗浄面にドライアイス粒を噴射し、該噴射による衝突エネルギにより前記被洗浄面に付着した付着物を除去する付着物除去方法であって、
前記コンプレッサーが単位時間あたりに取り込む空気量と、前記コンプレッサーが単位時間あたりに吐出する空気量とをほぼ同量としたことを特徴とする付着物除去方法。
【請求項2】
外気圧より低い気圧の低圧室内に設置されるコンプレッサーが前記低圧室内において取り込んだ空気を圧縮して吐出することにより、前記低圧室内における被洗浄面にドライアイス粒を噴射し、該噴射による衝突エネルギにより前記被洗浄面に付着した付着物を除去する付着物除去方法であって、
前記コンプレッサーが単位時間あたりに取り込む空気量を、前記コンプレッサーが単位時間あたりに吐出する空気量よりも多くしたことを特徴とする付着物除去方法。
【請求項3】
前記コンプレッサーは、48(L/min)の吐出能力を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の付着物除去方法。
【請求項4】
前記コンプレッサーが空気を吐出する最高圧力は、0.67(MPa)であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の付着物除去方法。
【請求項5】
ドライアイス粒を供給するドライアイス粒供給装置と、
前記ドライアイス粒を噴射させるために低圧室内における空気を取りこんで、取り組んだ空気を圧縮して吐出するコンプレッサーと、
前記ドライアイス粒供給装置から供給されるドライアイス粒を、前記コンプレッサーにより吐出される空気の力により付着物が付着した被洗浄面に向けて噴射し、前記付着物を除去する噴射ノズルと、
を備える除去装置と、
前記除去装置と前記被洗浄面とを含む作業場を外気圧より低い気圧にするための負圧生成装置と、
を備える付着物除去装置であって、
前記コンプレッサーが単位時間あたりに取り込む空気量と、前記コンプレッサーが単位時間あたりに吐出する空気量とをほぼ同量としたことを特徴とする付着物除去装置。
【請求項6】
ドライアイス粒を供給するドライアイス粒供給装置と、
前記ドライアイス粒を噴射させるために低圧室内における空気を取りこんで、取り組んだ空気を圧縮して吐出するコンプレッサーと、
前記ドライアイス粒供給装置から供給されるドライアイス粒を、前記コンプレッサーにより吐出される空気の力により付着物が付着した被洗浄面に向けて噴射し、前記付着物を除去する噴射ノズルと、
を備える除去装置と、
前記除去装置と前記被洗浄面とを含む作業場を外気圧より低い気圧にするための負圧生成装置と、
を備える付着物除去装置であって、
前記コンプレッサーが単位時間あたりに取り込む空気量を、前記コンプレッサーが単位時間あたりに吐出する空気量よりも多くしたことを特徴とする付着物除去装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−16703(P2012−16703A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197282(P2011−197282)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【分割の表示】特願2007−89523(P2007−89523)の分割
【原出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】