説明

付着物除去装置

【課題】メタルマスク版の表面にはみ出した半田等の付着物の拭き取りに使用した拭き取りシートから付着物を除去して、拭き取りシートを何度も再利用できるようにした付着物除去装置を提供する。
【解決手段】超音波振動子46の振動を拭き取りシートSに染み込んだ液媒体を介して拭き取りシートS及び付着物Pに対して伝搬させ、拭き取りシートSを伝搬する振動と付着物Pを伝搬する振動との伝搬速度差による振幅変動によって、付着物Pを拭き取りシートSから剥離させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着物除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、メタルマスク版を用いて印刷配線基板にクリーム半田や部品接着用の接着剤を印刷する技術が知られている。このメタルマスク版にはステンレス、ニッケル板等の金属製の版が用いられている。ここで、例えばクリーム半田を印刷配線基板上に印刷した後は、メタルマスク版の基板側の表面に半田がはみ出してしまい、所望の印刷品質が得られなくなるおそれがある。
【0003】
したがって、このような印刷に用いるメタルマスク版は、特許文献1に示すように、基板に半田を印刷した後、所定回数や所定時間ごとにメタルマスク版の基板側表面にはみ出した半田を不織布で拭き取るようにしている。また、特許文献1の発明では、半田を拭き取った後の不織布は、片面のみが半田で汚れているため、表裏を逆転させて再びロール状に巻き直すことで、不織布の両面ともに半田の拭き取りに使用できるようにしている。これにより、片面のみを拭き取りに使用する場合に比べて、大幅なコストダウンを図ることができる。
【特許文献1】特開2007−301809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の拭き取り装置では、拭き取りシートの両面を半田の拭き取りに使用した後は、その拭き取りシートを廃棄処分しなければならないため、その都度、新しい拭き取りシートに交換しなければならず、コストがかかっていた。さらに、拭き取り後の拭き取りシートには半田が付着しているため、耐環境性を考慮して産業廃棄物として廃棄処分しなければならず、手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、メタルマスク版の表面にはみ出した半田等の付着物の拭き取りに使用した拭き取りシートから付着物を除去して、拭き取りシートを何度も再利用できるようにした付着物除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため、本発明は、拭き取りシート及び付着物を超音波振動させることで、付着物を拭き取りシートから剥離させるようにした。
【0007】
具体的に、本発明は、付着物の拭き取りに使用された後でロール状に巻かれた長尺の拭き取りシートから該付着物を除去するための付着物除去装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、請求項1の発明は、ロール状に巻かれた前記拭き取りシートを回転自在に支持する上流側ローラと、
前記上流側ローラから引き出された前記拭き取りシートを下流側に搬送しながら再びロール状に巻き取るための下流側ローラと、
前記上流側ローラと前記下流側ローラとの間に配設され、前記拭き取りシートに対して振動伝達媒体としての液媒体を供給する液供給ユニットと、
前記液供給ユニットから供給された液媒体を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽に対向して上方に配設され、前記拭き取りシートに染み込んだ液媒体に対して振動を与える超音波振動子を有する振動ユニットとを備え、
前記振動ユニットの振動を前記拭き取りシートに染み込んだ液媒体を介して該拭き取りシート及び前記付着物に対して伝搬させ、該拭き取りシートを伝搬する振動と該付着物を伝搬する振動との伝搬速度差による振幅変動によって、該付着物を該拭き取りシートから剥離させるようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、
前記振動ユニットよりも下流側には、前記拭き取りシートに染み込んだ液媒体を乾燥させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2において、
前記乾燥ユニットは、前記拭き取りシートに対して乾燥風を吹き付ける送風手段で構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2において、
前記乾燥ユニットは、前記拭き取りシートに染み込んだ液媒体を吸引除去する吸引除去手段で構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のうち何れか1項において、
前記貯留槽内には、該貯留槽の底板と所定の間隙を存して対向するようにパンチングメタルが配設されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のうち何れか1項において、
前記上流側及び下流側ローラをそれぞれ回転自在に支持する軸受部材を備え、
前記軸受部材は、前記拭き取りシートがロール状に巻かれた前記上流側及び下流側ローラをそれぞれ着脱自在な構成とされていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のうち何れか1項において、
前記下流側ローラにおける前記拭き取りシートの巻き取りが開始されてから、前記上流側ローラと前記下流側ローラとの間に張られた該拭き取りシートに所定の張力が付与されるまでの間、該上流側ローラの回転を規制する回転規制手段を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のうち何れか1項において、
前記振動ユニットよりも下流側には、前記拭き取りシートに染み込んだ液媒体が乾燥した後の該拭き取りシート表面の繊維の毛羽立ちを抑制する毛羽立ち抑制ユニットが設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のうち何れか1項において、
前記振動ユニットよりも下流側には、前記拭き取りシート表面に残存する前記付着物を検出する検出ユニットが設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1乃至9のうち何れか1項において、
前記振動ユニットは、前記超音波振動子を複数有しており、
前記複数の超音波振動子は、それぞれ独立に作動又は停止を切り替え可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項11の発明は、請求項1乃至10のうち何れか1項において、
前記拭き取りシートとして不織布を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、ロール状に巻かれた拭き取りシートを引き出して下流側に搬送し、液供給ユニットで拭き取りシートに液媒体を供給し、拭き取りシートに染み込んだ液媒体を介して振動ユニットの振動を拭き取りシート及び付着物に対して伝搬させるようにしたから、拭き取りシートに付着した付着物を、拭き取りシートを伝搬する振動と付着物を伝搬する振動との伝搬速度差による振幅変動によって剥離することができる。これにより、付着物の拭き取りに使用した拭き取りシートを何度でも再利用することができ、拭き取りシートを廃棄処分にする必要が無く、コスト低減に有利である。
【0020】
また、付着物の剥離を何度も繰り返すことにより、拭き取りシートの繊維質が痛んで再利用が不可能な状態になったとしても、半田等の付着物が拭き取りシートに付着していないために産業廃棄物として廃棄処分する必要が無く、環境負荷が軽減される。
【0021】
さらに、例えば、半田の代わりに銀ペーストを拭き取った拭き取りシートSに対して本発明を適用すれば、拭き取りシートSから剥離させた銀成分を回収して、拭き取りシートSだけでなく銀成分を再利用することもできる。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、拭き取りシートに染み込んだ液媒体を乾燥させる乾燥ユニットを振動ユニットよりも下流側に設けたから、拭き取りシートから付着物を剥離した後で拭き取りシートに染み込んだ液媒体を乾燥させることができる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、拭き取りシートに対して乾燥風を吹き付ける送風手段で乾燥ユニットを構成したから、液媒体が染み込んだ拭き取りシートに乾燥風を吹き付けて短時間で乾燥させることができる。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、拭き取りシートに染み込んだ液媒体を吸引除去する吸引除去手段で乾燥ユニットを構成したから、拭き取りシートに染み込んだ液媒体を吸引してさらに短時間で乾燥させるとともに、拭き取りシートから剥離された後、搬送途中で拭き取りシートの表面に再付着した付着物を吸引除去することができ、拭き取りシートの乾燥作業と付着物の除去作業とを同時に行うことができる。
【0025】
なお、乾燥ユニットを構成する送風手段と吸引除去手段とは、それぞれ組み合わせて装置に設けるようにしてもよい。すなわち、振動ユニットの下流側に吸引除去手段を設け、吸引除去手段の下流側に送風手段を並べて設けるようにしてもよい。このような構成とすれば、拭き取りシートに再付着した付着物と液媒体とを吸引除去手段によって吸引除去した後、吸引しきれなかった液媒体を、送風手段による乾燥風の吹き付けにより確実に乾燥させることができ、乾燥性能が向上する。
【0026】
請求項5に係る発明によれば、貯留槽の底板と所定の間隙を存して対向するようにパンチングメタルを配設したから、拭き取りシートから剥離した付着物が、拭き取りシートの搬送途中でその表面に再付着することを抑制する上で有利となる。
【0027】
具体的に、貯留槽内にパンチングメタルを配設しない場合には、拭き取りシートから剥離した付着物は貯留槽の底板に堆積するが、拭き取りシートの搬送途中でその表面が貯留槽の底板に接触してしまい、貯留槽の底板に堆積していた付着物が拭き取りシートの表面に再付着するおそれがある。
【0028】
これに対し、本発明では、拭き取りシートから剥離した付着物の一部は、パンチングメタルのパンチ孔を介して貯留槽の底板に堆積する一方、残りの付着物はパンチングメタル上面に堆積する。そして、振動ユニットの振動が、液媒体を介してパンチングメタルまで伝搬されると、パンチングメタル上面に堆積していた付着物が振動し、パンチングメタルのパンチ孔を介して貯留槽の底板に排出されて堆積する。これにより、パンチングメタル上面には付着物がほとんど堆積しなくなり、拭き取りシートの搬送途中でその表面がパンチングメタル上面に接触したとしても、拭き取りシートに付着物が再付着することが抑制できる。
【0029】
請求項6に係る発明によれば、上流側及び下流側ローラを軸受部材で支持し、拭き取りシートがロール状に巻かれた状態で上流側及び下流側ローラをそれぞれ着脱自在としたから、例えば、付着物の拭き取りに使用された後でロール状に巻かれた拭き取りシートを上流側ローラにセットして軸受部材に取り付けることや、付着物を剥離した後でロール状に巻かれた拭き取りシートを別の処理工程である拭き取り装置まで搬送する際に、下流ローラとともにワンタッチで軸受部材から取り外すことができ、作業性が向上する。
【0030】
請求項7に係る発明によれば、回転規制手段により、下流側ローラにおける拭き取りシートの巻き取りが開始されてから、上流側ローラと下流側ローラとの間に張られた拭き取りシートに所定の張力が付与されるまでの間、上流側ローラの回転を規制するようにしたから、拭き取りシートが波打った状態のままで拭き取りシートの搬送が開始されてしまい、拭き取りシートが搬送中に絡まったり、振動ユニットの振動が拭き取りシート及び付着物に十分に伝搬されないといった不具合を回避することができる。
【0031】
請求項8に係る発明によれば、毛羽立ち抑制ユニットにより、液媒体が乾燥した後の拭き取りシート表面の繊維の毛羽立ちを抑制するようにしたから、拭き取りシート表面の繊維の毛羽立ちを修正した後で拭き取りシートをロール状に巻き取ることができ、繊維の劣化を防止する上で有利となる。また、繊維が毛羽立った状態で拭き取りシートをロール状に巻き取ると、繊維が毛羽立っている箇所でロールの厚さが厚くなる等、ロールの厚さが不均一になるおそれがあるが、本発明によれば、そのような問題を解消することができる。
【0032】
請求項9に係る発明によれば、検出ユニットにより、振動ユニットで除去した後、拭き取りシート表面に残存する付着物を検出するようにしたから、拭き取りシートを巻き取る前に、拭き取りシート表面の状態を把握することができる。
【0033】
具体的に、拭き取りシートに残存する付着物の残存量が多い場合には、液媒体を新しいものに交換して洗浄能力を回復させたり、拭き取りシートの繊維質が痛んで再利用が不可能であれば、それ以降の拭き取りシートの再利用は行わずに廃棄処分とする等、作業者が付着物の残存状態に応じて適切な対応をリアルタイムで行うことができる。
【0034】
すなわち、拭き取りシートの付着物の除去及び巻き取り作業が完了してから、作業者が拭き取りシートに付着物が残存していることに気付いた場合には、その分、対応が遅れることとなるが、検出ユニットで付着物の残存状況を逐一確認するようにすれば、リアルタイムで作業者が不具合に対応することができ、作業効率が向上する。
【0035】
請求項10に係る発明によれば、複数の超音波振動子をそれぞれ独立に作動又は停止を切り替えるようにしたから、例えば、付着物がそれほど付着していない拭き取りシートが搬送されてきた場合には、一部の超音波振動子の動作を停止させて残りの超音波振動子のみで付着物の除去作業を行うことで、超音波振動子の駆動に用いる電力を省力化することができ、消費電力を抑える上で有利となる。
【0036】
また、長時間、超音波振動子を駆動させ続けて振動ユニットの温度が上昇した場合には、超音波振動子の熱による破損を防止するために、一部の超音波振動子の動作を停止させることで、それ以上の温度上昇を抑制して超音波振動子の長寿命化を図る上で有利となる。さらに、温度上昇が急激である場合には、全ての超音波振動子を数分間停止させる等の制御を行い、超音波振動子の熱による破損を抑えるようにしてもよい。
【0037】
請求項11に係る発明によれば、拭き取りシートとして不織布を用いたから、液媒体の浸透性能が良好であり、振動ユニットの振動を液媒体を介して拭き取りシート及び付着物に対して伝搬して付着物を確実に剥離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0039】
図1は本発明の実施形態に係る付着物除去装置の構成を示す正面図、図2は振動ユニット周りの装置構成を一部拡大して示す正面図である。図1及び図2に示すように、この付着物除去装置10は、付着物Pの拭き取りに使用された拭き取りシートSから付着物Pを除去するものである。
【0040】
具体的に、前記拭き取りシートSは、メタルマスク版を用いて印刷配線基板にクリーム半田を印刷した際に、メタルマスク版の基板側の表面にはみ出した付着物Pとしてのクリーム半田を拭き取るのに用いられる。なお、本実施形態では、拭き取りシートSとして不織布を用いているが、繊維を織り込んで作成した織物シートを用いても構わない。
【0041】
前記付着物除去装置10は、付着物Pの拭き取りに使用された後で付着物Pが付着した面を内側にしてロール状に巻かれた長尺の拭き取りシートSを回転自在に支持する上流側ローラ20と、上流側ローラ20から引き出された拭き取りシートSを下流側に搬送しながら再びロール状に巻き取るための下流側ローラ60と、上流側ローラ20と下流側ローラ60との間に配設され、拭き取りシートSに対して振動伝達媒体としての液媒体を供給する液供給ユニット30と、液媒体を介して拭き取りシートS及び付着物Pに対して振動を与える振動ユニット40と、拭き取りシートSに染み込んだ液媒体を乾燥させる乾燥ユニット50と、拭き取りシートS表面の繊維の毛羽立ちを抑制する圧延ローラ55(毛羽立ち抑制ユニット)と、拭き取りシートS表面に残存する付着物Pを検出する検出ユニット56とを備えている。
【0042】
前記上流側ローラ20は、下流側ローラ60の回転駆動に連動して回転する、いわゆる従動ローラとして構成され、ローラ軸の両端が後述する軸受部材70(図4参照)によって回転自在に両端支持されている。
【0043】
そして、前記上流側ローラ20は、使用済みの拭き取りシートSがロール状に巻かれた状態で軸受部材70から着脱自在とされている。より詳細には、拭き取りシートSは筒状の巻芯に巻き付けられ、この巻芯の内筒部分が上流側ローラ20のローラ軸に嵌合されることで、ロール状の拭き取りシートSが上流側ローラ20に取り付けられている。なお、上流側ローラ20を着脱自在に支持する軸受部材70の構成については、下流側ローラ60を回転自在に支持する軸受部材70と同様の構成であるため後述する。
【0044】
また、前記上流側ローラ20の下流側近傍には、終端検出センサ28が設けられている。この終端検出センサ28は、上流側ローラ20に巻き付けられていたロール状の拭き取りシートSの終端が上流側ローラ20から離脱したことを検出するものである。
【0045】
また、前記上流側ローラ20の上流側近傍には、ロール状に巻かれた拭き取りシートSのロール外周面を押圧して上流側ローラ20の回転を規制する回転規制部材22が設けられている。この回転規制部材22は、例えば、弾性変形可能な部材で構成され、弾性変形した状態でロール外周面に当接することで拭き取りシートSを押圧している。
【0046】
そして、前記下流側ローラ60で拭き取りシートSが巻き取られ、上流側ローラ20と下流側ローラ60との間で拭き取りシートSに所定の張力が付与されると、回転規制部材22による拭き取りシートSの押圧が解除され、上流側ローラ20が回転可能となる。
【0047】
このような構成とすれば、拭き取りシートSが波打った状態のままで拭き取りシートSの搬送が開始されてしまい、拭き取りシートSが搬送中に絡まったり、振動ユニット40の振動が拭き取りシートS及び付着物Pに十分に伝搬されないといった不具合を回避することができる。
【0048】
前記上流側ローラ20から引き出された拭き取りシートSは、下流側に配設されたガイドローラ25の下側から外周面に沿って巻き掛けられ、さらに、液供給ユニット30の供給パイプ31の上側から外周面に沿って巻き掛けられている。続いて、供給パイプ31の斜め下方で且つ振動ユニット40の超音波振動子46を挟んで配設された一対の水平ローラ26の下側から外周面に沿ってそれぞれ巻き掛けられている。
【0049】
前記液供給ユニット30は、拭き取りシートSの幅方向に延びる供給パイプ31を備え、供給パイプ31には、軸方向に間隔をあけて複数の噴射孔31aが形成されている。具体的に、この噴射孔31aは、供給パイプ31から水平ローラ26に向かって搬送される拭き取りシートSに対して振動伝達媒体としての液媒体を噴射するように、供給パイプ31の斜め下方に形成されている。なお、本実施形態では、液媒体としてアルコールを用いている。
【0050】
また、前記液供給ユニット30には、液媒体を貯留する貯留タンク80から液媒体が供給される。具体的に、液供給ユニット30と貯留タンク80との間には供給配管81が設けられ、供給配管81には供給ポンプ82が接続されている。そして、供給ポンプ82を駆動させて貯留タンク80内の液媒体を汲み上げることで、供給配管81を介して液供給ユニット30に対して液媒体が供給されるようになっている。
【0051】
前記貯留タンク80には、液供給ユニット30に接続された供給配管81の他にも、後述する貯留槽41の底板に連通する回収配管83と、後述する分離タンク85の底板に連通する分離配管88とが接続されている。そして、回収配管83及び分離配管88を介してそれぞれ回収された液媒体は、貯留タンク80に貯留され、液供給ユニット30に供給すべく再利用される。これにより、作業者が貯留タンク80内の液媒体の減り具合を確認して補給する頻度が少なくなって作業性が向上するとともに、液媒体の再利用が可能となることからコスト低減に有利となる。
【0052】
前記振動ユニット40は、液供給ユニット30から供給された液媒体を貯留する貯留槽41に対向して上方に配設され、拭き取りシートSに染み込んだ液媒体に対して振動を与える振動板45aと、振動板45aの上面に取り付けられた超音波振動子46とを備えている。
【0053】
前記貯留槽41は、液供給ユニット30から供給された液媒体を貯留するものであり、より詳細には、液媒体を拭き取りシートSに染み込ませたときに、拭き取りシートSで吸収しきれずに表面から漏れだした液媒体を受けて貯留している。
【0054】
前記貯留槽41内には、貯留槽41の底板と所定の間隙を存して対向するようにパンチングメタル42が配設されている。具体的に、このパンチングメタル42は、幅方向両端又は長手方向両端が下方に折り曲げられており、この折り曲げ部分がスペーサとして機能することで、底板とパンチングメタル42との間に所定の間隙が形成される。
【0055】
また、前記貯留槽41の底板には、貯留槽41内の液媒体を回収する回収配管83が接続されている。この回収配管83の排出側端部は、貯留タンク80と接続され、貯留槽41内に貯留された液媒体が回収配管83を介して貯留タンク80に排出されるようになっている。
【0056】
前記振動板45aは、貯留槽41の上方に配設された中空の振動ボックス45の底板で構成されている。振動ボックス45内には、超音波振動子46が複数配置されている。なお、超音波振動子46の配置は、拭き取りシートSの幅方向全面に振動が均一に伝搬されるように適宜設定される。また、振動ボックス45には図示しない位置調整ダンパが取り付けられており、振動板45aの下面が、拭き取りシートSに染み込んで表面に膜状に存在する液媒体と接触するようにその高さ位置が設定される。
【0057】
ここで、前記複数の超音波振動子46は、それぞれ独立に作動又は停止を切り替え可能に構成されている。例えば、付着物Pがそれほど付着していない拭き取りシートSが搬送されてきた場合には、一部の超音波振動子46の動作を停止させて残りの超音波振動子46のみで付着物Pの除去作業を行うことで、超音波振動子46の駆動に用いる電力を省力化することができ、消費電力を抑える上で有利となる。
【0058】
また、長時間、超音波振動子46を駆動させ続けて振動ユニット40の温度が上昇した場合には、超音波振動子46の熱による破損を防止するために、一部の超音波振動子46の動作を停止させることで、それ以上の温度上昇を抑制するようにしている。さらに、温度上昇が急激である場合には、全ての超音波振動子46を数分間停止させる等の制御を行い、超音波振動子46の熱による破損を抑えるようにしてもよい。
【0059】
ここで、前記超音波振動子46は、振動板45aを厚さ方向に振動させるように動作するものであり、超音波振動子46で発生させた振動が縦方向の振動波となり、拭き取りシートSに染み込んで表面に膜状に存在する液媒体を介して拭き取りシートS及び付着物Pに伝搬される。
【0060】
このとき、前記拭き取りシートSを伝搬する振動と付着物Pを伝搬する振動との間には、その材質の違いから伝搬速度差による振幅変動が生じる。すなわち、半田等の金属材である付着物Pの方が、不織布である拭き取りシートSよりも振動の伝搬速度が速いため、付着物Pの方が超音波振動による振幅が激しくなる。この振幅変動によって、拭き取りシートSから付着物Pが剥離される。
【0061】
このように、拭き取りシートSに付着した付着物Pを超音波振動させるだけで、付着物Pを拭き取りシートS表面から剥離することができるため、拭き取りシートSを再利用することができる。
【0062】
また、前記超音波振動子46から液媒体内を通過した振動のエネルギーは、パンチングメタル42で反射され、振動のエネルギーの減衰が抑えられる。これにより、効率的に付着物Pを超音波振動させることができる。このパンチングメタル42は、例えばステンレスで形成すればよい。
【0063】
そして、前記拭き取りシートSから剥離された付着物Pの一部は、パンチングメタル42のパンチ孔を介して貯留槽41の底板に堆積する。剥離された残りの付着物Pは、パンチングメタル42上面に堆積するが、パンチングメタル42は超音波振動子46の振動を反射して振動するため、その振動によって残りの付着物Pもパンチ孔を介して貯留槽41の底板に排出されて堆積する。
【0064】
このような構成とすれば、拭き取りシートSから剥離した付着物Pが、拭き取りシートSの搬送途中でその表面に再付着することを抑制する上で有利となる。具体的に、貯留槽41内にパンチングメタル42を配設しない場合には、拭き取りシートSから剥離した付着物Pは貯留槽41の底板に堆積するが、拭き取りシートSの搬送途中でその表面が貯留槽41の底板に接触してしまい、貯留槽41の底板に堆積していた付着物Pが拭き取りシートSの表面に再付着するおそれがある。
【0065】
これに対し、本発明では、拭き取りシートSから剥離した付着物Pは、パンチングメタル42のパンチ孔を介して貯留槽41の底板に堆積するから、パンチングメタル42上面には付着物Pがほとんど堆積しなくなり、拭き取りシートSの搬送途中でその表面がパンチングメタル42上面に接触したとしても、拭き取りシートSに付着物が再付着することを抑制できる。
【0066】
前記振動ユニット40で付着物Pが除去された拭き取りシートSは、水平ローラ26から乾燥ユニット50の吸引パイプ51の上側から外周面に沿って巻き掛けられている。この乾燥ユニット50は、拭き取りシートSに染み込んだ液媒体や、振動ユニット40で剥離した後、拭き取りシートSの搬送途中で表面に再付着した付着物Pを吸引除去するためのものであり、拭き取りシートSの幅方向に延びる吸引パイプ51を備えている。吸引パイプ51の上側の外周面には、軸方向に延びるように吸引孔51aが開口している。なお、吸引孔51aは、吸引パイプ51の周方向に間隔をあけて複数設けてもよい。また、軸方向に間隔をあけて複数のスリット状の吸引孔51aを設けてもよい。
【0067】
前記吸引パイプ51は、吸引配管84を介して中空の分離タンク85と接続されている。分離タンク85の上面には排気ダクト86が接続され、底面には分離配管88が接続されている。そして、図示しない真空ポンプにより排気ダクト86から分離タンク85内の空気を吸引することで、分離タンク85内が負圧となり、その結果、吸引配管84を介して吸引孔51aから液媒体及び付着物Pが吸引除去される。また、分離配管88の排出側端部は、貯留タンク80と接続され、貯留槽41内に貯留された液媒体が分離配管88を介して貯留タンク80に排出されるようになっている。
【0068】
前記分離タンク85は、吸引パイプ51から吸引した液媒体と付着物Pとを分離させるためのものである。具体的に、分離タンク85内に付着物Pを含んだ液媒体が流入されると、液媒体は分離配管88を介して貯留タンク80に排出される一方、付着物Pは分離タンク85の底板に堆積する。ここで、分離タンク85は、図示しない回動軸を中心に装置手前側に傾けることができる構造となっており、作業者が分離タンク85を装置手前側に傾けた状態で、分離タンク85の底板に堆積した付着物Pを取り除くことができ、作業性が向上する。
【0069】
前記排気ダクト86には、フィルタ機能付きの消音マフラ87が接続されており、空気の吸い込み音を消音して騒音を防止するとともに、液媒体と一緒に吸引した粒子状の付着物Pが排気ダクト86を介して外部環境に排気されないように遮断している。
【0070】
なお、本実施形態では、乾燥ユニット50として、吸引パイプ51を用いた吸引除去タイプのものについて説明したが、この形態に限定するものではなく、例えば、図3に示すように、拭き取りシートSに対して乾燥風を吹き付ける送風ノズル52を備えた送風タイプのものでも構わない。
【0071】
さらに、吸引パイプ51と送風ノズル52とを組み合わせて配設するようにしてもよい。例えば、振動ユニット40の下流側に吸引パイプ51を配設し、吸引パイプ51の下流側に送風ノズル52を配設するようにしてもよい。このような構成とすれば、拭き取りシートSに染み込んだ液媒体と、拭き取りシートSの表面に再付着した付着物Pとを吸引パイプ51で吸引除去した後、吸引しきれなかった液媒体を送風ノズル52による乾燥風の吹き付けにより確実に乾燥させることができ、乾燥性能が向上する。
【0072】
前記乾燥ユニット50で乾燥された拭き取りシートSは、圧延ローラ55で圧延されながら下流側に搬送される。この圧延ローラ55は、乾燥ユニット50で乾燥させた後で拭き取りシートS表面の繊維が毛羽立つことを抑制するためのものであり、一対のローラで構成される。この圧延ローラ55で拭き取りシートSを圧延しながら拭き取りシートS表面の繊維の毛羽立ちを修正し、下流側ローラ60でロール状に巻き取るようにすれば、繊維の劣化を防止する上で有利となる。
【0073】
また、繊維が毛羽立った状態で拭き取りシートSをロール状に巻き取ると、繊維が毛羽立っている箇所でロールの厚さが厚くなる等、ロールの厚さが不均一になるおそれがあるが、本発明によれば、そのような問題を解消することができる。
【0074】
なお、拭き取りシートS表面の繊維の毛羽立ちを抑制する毛羽立ち抑制ユニットとしては、圧延ローラ55を用いた圧延方式に限定するものではなく、例えば、拭き取りシートS表面に超音波振動を付与して、その振動により毛羽立ちを抑制する構成を採用しても良い。また、金属板等を加熱して拭き取りシートS表面に押し当て、熱と自重で皺を延ばす、いわゆるアイロンのような構成を採用しても良い。
【0075】
前記圧延ローラ55の下流側には、拭き取りシートS表面に残存する付着物Pを検出する検出ユニット56が設けられている。この検出ユニット56は、例えば、拭き取りシートS表面にX線を照射することで付着物Pを検出したり、拭き取りシートS表面をカメラ等で拡大して付着物Pを認識する構成となっている。検出ユニット56で付着物Pを検出した場合には、図示しない警報アラームを鳴らす等、作業者に注意を喚起するようになっている。
【0076】
このような構成とすれば、拭き取りシートSを下流側ローラ60で巻き取る前に、拭き取りシートS表面の状態を把握することができる。具体的に、拭き取りシートSに残存する付着物Pの残存量が多い場合には、液媒体を新しいものに交換して洗浄能力を回復させたり、拭き取りシートSの繊維質が痛んで再利用が不可能であれば、それ以降の拭き取りシートSの再利用は行わずに廃棄処分とする等、作業者が付着物の残存状態に応じて適切な対応をリアルタイムで行うことができ、作業効率が向上する。
【0077】
前記乾燥ユニット50で乾燥された拭き取りシートSは、下流側ローラ60にロール状に巻き取られる。この下流側ローラ60は、図示しない駆動モータに連結されていて、駆動モータの回転駆動に連動して、上流側ローラ20から引き出した拭き取りシートSを巻き取るように構成されている。より正確には、下流側ローラ60のローラ軸に嵌合された筒状の巻芯に拭き取りシートSがロール状に巻き取られる。このようにすれば、下流側ローラ60から巻芯を取り外すだけで、ロール状の拭き取りシートSを別の処理工程である拭き取り装置に搬送することができる。
【0078】
図4は軸受部材の構成を示す平面図、図5は図4のA矢視図である。図4及び図5に示すように、下流側ローラ60は、そのローラ軸の両端が軸受部材70によって回転自在に両端支持されている。具体的に、軸受部材70は、ローラ軸を支持する2つの支持ローラ71と、ローラ軸を押圧する方向に付勢された付勢ローラ72とを備え、この3つのローラによって下流側ローラ60のローラ軸を回転自在に支持している。
【0079】
ここで、作業者が下流側ローラ60を軸受部材70に対して取り付ける場合には、付勢ローラ72の付勢力に抗してローラ軸を下流側から押し込むことで、支持ローラ71及び付勢ローラ72で下流側ローラ60を狭持させる。一方、下流側ローラ60を軸受部材70から取り外す場合には、付勢ローラ72の付勢力に抗してローラ軸を下流側に向かって引き抜くことで下流側ローラ60を取り外すようにしている。
【0080】
なお、前記上流側ローラ20を支持する軸受部材70は、下流側ローラ60を支持する軸受部材70と同様に、2つの支持ローラ71と1つの付勢ローラ72とを備えている。そして、上流側ローラ20を軸受部材70に対して取り付ける場合には、上流側ローラ20のローラ軸を上流側から押し込むようにし、取り外す場合には上流側から引き抜いて取り外すようにしている。
【0081】
−付着物の剥離動作−
次に、拭き取りシートSに付着した付着物Pを付着物除去装置10で剥離するための動作手順について説明する。
【0082】
まず、図4に示すように、付着物Pを拭き取った後でロール状に巻かれた拭き取りシートSを上流側ローラ20に取り付け、上流側ローラ20を軸受部材70にセットする。そして、図1及び図2に示すように、上流側ローラ20から拭き取りシートSを引き出し、ガイドローラ25、液供給ユニットの供給パイプ31、水平ローラ26、乾燥ユニット50の吸引パイプ51にそれぞれ巻き掛けた後、下流側ローラ60に巻き付ける。
【0083】
そして、回転規制部材22を弾性変形させてロール外周面を押圧し、上流側ローラ20の回転を規制する。次に、図示しない駆動モータを駆動させて下流側ローラ60を回転駆動させ、拭き取りシートSを下流側ローラ60に巻き取っていく。上流側ローラ20と下流側ローラ60との間で拭き取りシートSに所定の張力が付与されると、回転規制部材22による拭き取りシートSの押圧が解除され、上流側ローラ20が回転可能となり、拭き取りシートSの搬送が開始される。
【0084】
次に、液供給ユニット30の供給パイプ31から拭き取りシートSに向かって液媒体が供給される。拭き取りシートSに供給された液媒体は、拭き取りシートSに染み込んで吸収されてその表面に膜状に存在する一方、吸収しきれなかった液媒体は、拭き取りシートS表面から漏れ出して貯留槽41に貯留される。
【0085】
そして、振動ユニット40の超音波振動子46で振動を発生させ、拭き取りシートSに染み込んだ液媒体を介して拭き取りシートS及び付着物Pに振動を伝搬する。ここで、拭き取りシートSを伝搬する振動と付着物Pを伝搬する振動との伝搬速度差により、両者の間には振幅変動が生じる。すなわち、付着物Pの方が激しく振動するため、拭き取りシートS表面から付着物Pが剥離する。
【0086】
ここで、剥離された付着物Pの一部は、パンチングメタル42のパンチ孔を介して貯留槽41の底板に堆積し、残りの付着物Pはパンチングメタル42上面に堆積する。しかしながら、パンチングメタル42は、超音波振動子46の振動を反射する反射板として機能するため、パンチングメタル42の振動により表面に堆積していた残りの付着物Pがパンチ孔を介して貯留槽41の底板に排出されて堆積する。これにより、拭き取りシートSの搬送途中で付着物Pが拭き取りシートS表面に再付着することを抑制できる。
【0087】
次に、前記振動ユニット40で付着物Pが除去された拭き取りシートSは、乾燥ユニット50に搬送される。乾燥ユニット50では、吸引パイプ51から空気を吸引することで、拭き取りシートSに染み込んでいる液媒体や、表面に再付着している付着物Pが吸引除去される。
【0088】
前記乾燥ユニット50で乾燥した拭き取りシートSは、下流側ローラ60においてロール状に巻き取られる。このような付着物Pの除去、拭き取りシートSの乾燥、巻き取りを連続して行い、上流側ローラ20の下流側近傍に配設した終端検出センサ28で拭き取りシートSの終端が検出されると、振動ユニット40による付着物Pの剥離作業が停止し、下流側ローラ60に拭き取りシートSが完全に巻き取られて作業が完了する。
【0089】
そして、図4に示すように、作業者が下流側ローラ60のローラ軸を軸受部材70の付勢ローラ72の付勢力に抗して引き抜いて取り外し、さらに、下流側ローラ60に巻き取られたロール状の拭き取りシートSを取り外す。このように、付着物Pが除去されたロール状の拭き取りシートSは、別の処理工程である拭き取り装置にセットすることで再利用される。
【0090】
以上のように、本実施形態に係る付着物除去装置10によれば、ロール状に巻かれた拭き取りシートSを引き出して下流側に搬送し、液供給ユニット30で拭き取りシートSに液媒体を供給し、拭き取りシートSに染み込んだ液媒体を介して超音波振動子46の振動を拭き取りシートS及び付着物Pに対して伝搬させるようにしたから、拭き取りシートSに付着した付着物Pを、拭き取りシートSを伝搬する振動と付着物Pを伝搬する振動との伝搬速度差による振幅変動によって剥離することができる。これにより、付着物Pの拭き取りに使用した拭き取りシートSを何度でも再利用することができ、拭き取りシートSを廃棄処分にする必要が無く、コスト低減に有利である。
【0091】
また、付着物Pの剥離を何度も繰り返すことにより、拭き取りシートSの繊維質が痛んで再利用が不可能な状態になったとしても、半田等の付着物が拭き取りシートSに付着していないために産業廃棄物として廃棄処分する必要が無く、環境負荷が軽減される。
【0092】
なお、本実施形態では、付着物除去装置10を用いて、メタルマスク版の表面にはみ出した半田等の付着物Pの拭き取りに使用した拭き取りシートSから付着物Pを除去する場合について説明したが、このような拭き取りシートSを用いた形態に限定するものではない。
【0093】
例えば、フラックスをスプレー状に噴射することでプリント基板上にフラックスを塗布するスプレーフラクサー装置や、予め塗布されたプリント基板上のクリーム半田を赤外線で加熱して溶融させることでチップをプリント基板上に接着させるリフロー装置等を運転させている環境下において、空気中を浮遊するフラックス成分、スス、埃等を回収するために排気口に設けられた長尺のシート状のフィルタを、本発明の付着物除去装置10にセットし、フィルタに付着する付着物を除去することでフィルタを再利用できるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上説明したように、本発明は、メタルマスク版の表面にはみ出した半田等の付着物の拭き取りに使用した拭き取りシートから付着物を除去して、拭き取りシートを何度も再利用できるようにした付着物除去装置を提供することができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態に係る付着物除去装置の構成を示す正面図である。
【図2】振動ユニット周りの装置構成を一部拡大して示す正面図である。
【図3】乾燥ユニットの別の構成を示す正面図である。
【図4】軸受部材の構成を示す平面図である。
【図5】図4のA矢視図である。
【符号の説明】
【0096】
10 付着物除去装置
20 上流側ローラ
22 回転規制部材(回転規制手段)
30 液供給ユニット
40 振動ユニット
41 貯留槽
42 パンチングメタル
46 超音波振動子
50 乾燥ユニット
51 吸引パイプ(吸引除去手段)
52 送風ノズル(送風手段)
55 圧延ローラ(毛羽立ち抑制ユニット)
56 検出ユニット
60 下流側ローラ
70 軸受部材
P 付着物
S 拭き取りシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付着物の拭き取りに使用された後でロール状に巻かれた長尺の拭き取りシートから該付着物を除去するための付着物除去装置であって、
ロール状に巻かれた前記拭き取りシートを回転自在に支持する上流側ローラと、
前記上流側ローラから引き出された前記拭き取りシートを下流側に搬送しながら再びロール状に巻き取るための下流側ローラと、
前記上流側ローラと前記下流側ローラとの間に配設され、前記拭き取りシートに対して振動伝達媒体としての液媒体を供給する液供給ユニットと、
前記液供給ユニットから供給された液媒体を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽に対向して上方に配設され、前記拭き取りシートに染み込んだ液媒体に対して振動を与える超音波振動子を有する振動ユニットとを備え、
前記振動ユニットの振動を前記拭き取りシートに染み込んだ液媒体を介して該拭き取りシート及び前記付着物に対して伝搬させ、該拭き取りシートを伝搬する振動と該付着物を伝搬する振動との伝搬速度差による振幅変動によって、該付着物を該拭き取りシートから剥離させるようにしたことを特徴とする付着物除去装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記振動ユニットよりも下流側には、前記拭き取りシートに染み込んだ液媒体を乾燥させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする付着物除去装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記乾燥ユニットは、前記拭き取りシートに対して乾燥風を吹き付ける送風手段で構成されていることを特徴とする付着物除去装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記乾燥ユニットは、前記拭き取りシートに染み込んだ液媒体を吸引除去する吸引除去手段で構成されていることを特徴とする付着物除去装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうち何れか1項において、
前記貯留槽内には、該貯留槽の底板と所定の間隙を存して対向するようにパンチングメタルが配設されていることを特徴とする付着物除去装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうち何れか1項において、
前記上流側及び下流側ローラをそれぞれ回転自在に支持する軸受部材を備え、
前記軸受部材は、前記拭き取りシートがロール状に巻かれた前記上流側及び下流側ローラをそれぞれ着脱自在な構成とされていることを特徴とする付着物除去装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうち何れか1項において、
前記下流側ローラにおける前記拭き取りシートの巻き取りが開始されてから、前記上流側ローラと前記下流側ローラとの間に張られた該拭き取りシートに所定の張力が付与されるまでの間、該上流側ローラの回転を規制する回転規制手段を備えたことを特徴とする付着物除去装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のうち何れか1項において、
前記振動ユニットよりも下流側には、前記拭き取りシートに染み込んだ液媒体が乾燥した後の該拭き取りシート表面の繊維の毛羽立ちを抑制する毛羽立ち抑制ユニットが設けられていることを特徴とする付着物除去装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうち何れか1項において、
前記振動ユニットよりも下流側には、前記拭き取りシート表面に残存する前記付着物を検出する検出ユニットが設けられていることを特徴とする付着物除去装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうち何れか1項において、
前記振動ユニットは、前記超音波振動子を複数有しており、
前記複数の超音波振動子は、それぞれ独立に作動又は停止を切り替え可能に構成されていることを特徴とする付着物除去装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のうち何れか1項において、
前記拭き取りシートとして不織布を用いたことを特徴とする付着物除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−291733(P2009−291733A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148970(P2008−148970)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(591230675)株式会社サワーコーポレーション (9)
【Fターム(参考)】