説明

会議装置の筐体、会議装置

【課題】プロジェクターと接続可能な画像出力端子を備え、通信網を介して画像及び音声の双方向通信を行なう会議装置において、スクリーンに向かって漸次広がっていくプロジェクターの投影光を遮る虞を低減することを可能な会議装置の筐体を提供する。
【解決手段】平面視、前部102または後部103と直交する方向となる両側壁部104の夫々を、画像出力端子と接続されるプロジェクターの水平画角の半分以内の傾斜角度θとして、前部102から後部103に向かって漸次幅狭に筐体101を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信網を介して相手方装置との双方向通信を行なう会議装置に用いられる筐体、及び、その筐体を用いた会議装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信網を介して相手方装置との双方向通信を行なう会議装置がある。この会議装置は、パソコン上で実行する会議アプリケーション(ソフトウェアベース)と専用端末とに大別できる。
前者のソフトウェアベースは、個人用のコミュニケーションツールとして適している。
これに対し、後者の専用端末は、複数人同士のコミュニケーションツールとして適している。この専用端末は、さらに、一部屋を専用のテレビ会議室として構築するような据え置きタイプと、持ち運び可能なポータブルタイプとに大別され、ユーザの使用目的に応じて選択される。
このうち、ポータブルタイプの専用端末は、例えば、以下のものが挙げられる。
【0003】
電子回路を収容するための内部チャンバを有し、平面視、矩形状に形成されたハウジングと、上記チャンバ内に収容され、画像及び音声処理を実行する電子ボードと、上記ハウジングに一体的に取り付けられ、上記電子ボードに接続された画像出力を有するビデオカメラと、上記ハウジングに取り付けられた少なくとも1つのマイクロフォンを有し、且つ上記電子ボードに接続された音声出力を有するマイクロフォン組立体とを備えた一体型のポータブルビデオ会議装置がある。この会議装置は、その使用態様として、ビデオモニタと電気的に接続し、ビデオモニタの上に設置したものが例示されている(特許文献1参照)。
【0004】
円盤状の放収音装置と、その放収音装置に対してステーにより支持されると共に水平方向と垂直下方向との2態様で半固定されるように回動可能に設置されカメラとを備えると共に、ディスプレイに相手方の会議装置からの映像を表示可能に構成されたビデオ会議装置がある。この会議装置は、その使用態様として、テーブル横のディスプレイと電気的に接続し、テーブルの中央部に会議装置を設置したものが例示されている(特許文献2参照)。
【0005】
ところで、特許文献1及び2に記載されたようなポータブルタイプの専用端末(以下、単に「会議装置」という)は、その使用態様において、プロジェクター(スクリーンに画像を投影させる映像機器)を用いる場合がある。
【0006】
この場合、会議装置が邪魔になって投影画像が見づらくなったり、投影画像に会議装置の影が入ったりしないように、会議装置をプロジェクターの画角外に設置させる必要があるが、会議装置を用いる部屋の大きさや、会議参加者の人数、プロジェクターの性能等の諸条件によっては、プロジェクターとスクリーンとの間に会議装置を設置しなければならないこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された会議装置は、プロジェクターとスクリーンとの間に会議装置を設置しなければならない場合、平面視、横方向に延びる矩形状に形成されていたり、平面視、円形状に形成されていたりするため、プロジェクターからスクリーンに向かって漸次広がっていく投影光を会議装置で遮る虞があった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決できる会議装置の筐体、及び、会議装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる会議装置の筐体、及び、会議装置は、下記の技術的手段を講じた。
請求項1にかかる発明は、映像機器と接続される画像出力端子を備え、通信網を介して画像及び音声の双方向通信を行なう会議装置の筐体であって、平面視、前部から後部に向かって漸次幅狭に形成されている会議装置の筐体を特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1において、平面視、前部または後部と直交する方向となる両側壁部の夫々が、所要の傾斜角度でもって前部から後部にかけて傾斜されて、平面視、前部から後部に向かって漸次幅狭に形成されていることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1において、平面視、前部または後部と直交する方向となる一方の側壁部が、所要の傾斜角度でもって前部から後部にかけて傾斜され、他方の側壁部が、前部または後部と略直交する方向に延びて、平面視、前部から後部に向かって漸次幅狭に形成されていることを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3の何れか1項において、前記傾斜角度は、前記画像出力端子と接続されるプロジェクターの水平画角の半分以内の角度であることを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の会議装置の筐体と、通信網を介して画像及び音声の双方向通信を制御する制御手段と、該制御手段と電気的に接続された前記画像出力端子と、前記制御手段と電気的に接続され、音声を出力させるスピーカーと、前記制御手段と電気的に接続され、画像を入力させるカメラ部と、前記制御手段と電気的に接続され、音声を入力させるマイクロフォンとを備えた会議装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、会議装置の画像出力端子にプロジェクターを接続させて使用する場合、筐体の形状を、平面視、前部から後部に向かって漸次幅狭に形成したことで、プロジェクターからスクリーンに向かって漸次広がっていく投影光を会議装置で遮る虞を低減することが期待できると共に、平面視、横方向に延びる矩形状や円形状の会議装置と比較して、投影光側に会議装置を寄せて設置することが可能となり、撮影アングルの確保が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかる会議装置のカメラ部を立てた状態の斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】実施の形態1にかかる会議装置のカメラ部を折り畳んだ状態の斜視図である。
【図5】実施の形態1にかかる会議装置の使用状態図である。
【図6】本実施の形態にかかる会議装置のハードウェア構成図である。
【図7】本実施の形態にかかる会議装置を用いた会議システムの構成を示した概念図である。
【図8】実施の形態2にかかる会議装置のカメラ部を立てた状態の斜視図である。
【図9】図8の平面図である。
【図10】図8の側面図である。
【図11】実施の形態2にかかる会議装置のカメラ部を折り畳んだ状態の斜視図である。
【図12】実施の形態3にかかる会議装置のカメラ部を立てた状態の斜視図である。
【図13】図12の平面図である。
【図14】図12の側面図である。
【図15】実施の形態3にかかる会議装置のカメラ部を折り畳んだ状態の斜視図である。
【図16】実施の形態3にかかる会議装置の使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかる筐体を備えた会議装置の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる会議装置1は、筐体101と、制御手段と、スピーカー123と、マイクロフォン124と、カメラ部と、画像出力端子122とを備えてなる
【0013】
筐体101は、下筐体と、その下筐体を覆うように配設された上筐体とがビス止めされて一体化されており、図2に示すように、平面視、前部102から後部103に向かって漸次幅狭な等脚台形状に形成されていると共に、図3に示すように、側面視、前部102より後部103を高くさせた前方傾斜状に形成されている。さらに、この筐体101は、前部102の側面上側の角部から後部103の側面上側の角部に亘る領域が、後部103の側面上側の角部に向かって漸次幅広となるような面取り状に形成されている。
【0014】
また、平面視、前部102または後部103と直交する方向となる両側壁部104の夫々の傾斜角度θは、後述する画像出力端子122と接続されるプロジェクターの水平画角αの半分以内の角度となっている。なお、プロジェクターの水平画角αは、その機種により多少違いがあるが、概ね20°〜40°となっており、上述した両側壁部104の夫々の傾斜角度θは、概ね10°〜20°になっている。
【0015】
また、上筐体の天板部106には、電源スイッチ107や操作ボタン108等を通す孔やスピーカー音を通す音声出力孔109が設けられると共に、後述するカメラ部を支持させるブラケット部110が後部103側に設けられている。
【0016】
制御手段は、音声データ及び画像データを処理して、通信網としてのインターネットを介して音声及び画像の双方向通信を可能とさせるもので、そのハードウェアの基本的な構成は、図5に示すように、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113、フラッシュメモリ121が接続されたSSD(Solid State Drive)114、メディアドライブ115、操作ボタン108、電源スイッチ107、ネットワークI/F(Interface)116、撮像素子I/F117、音声入出力I/F118、画像出力I/F119の各構成要素が、アドレスバスやデータバス等のバスライン120を介して、双方向通信可能に接続されてなる。これらの構成体は、図示しない制御基板に実装されている。
なお、上述した画像データは、動画または間欠画像(一定時間間隔の静止画像)のデータである。
【0017】
CPU111は、所定のプログラムに基づいて会議装置1全体の動作を制御する。なお、会議装置用プログラムに従ったCPU111の命令による、インターネットを介した音声及び画像の双方向通信にかかる一連の動作は後述する。
ROM112は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU111の駆動に用いられるプログラムが記憶されている。
RAM113は、CPU111のワークエリアとして使用される。
【0018】
フラッシュメモリ121は、会議装置用プログラム、画像データ、及び音声データ等の各種データが記憶される。
上述した会議装置用プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、記録メディア等の、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。また、この会議装置用プログラムは、フラッシュメモリ121ではなく、ROM112に記憶されるようにしてもよい。
SSD114は、CPU111の制御にしたがってフラッシュメモリ121に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0019】
メディアドライブ115は、フラッシュメモリ121等の記録メディアに対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。記録メディアは、会議装置1に対して着脱自在な構成となっている。また、CPU111の制御にしたがってデータの読み出し又は書き込みを行う不揮発性メモリであれば、フラッシュメモリ121に限らず、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等を用いてもよい。
【0020】
操作ボタン108は、インターネットを介して音声及び画像の双方向通信を行なう相手先の会議装置の宛先を選択する場合などに用いられる押しボタン、または、タッチスイッチであり、上述した制御基板に電気的に接続または制御基板に実装されている。
電源スイッチ107は、会議装置1の電源のON/OFFを切り換えるための押しボタンまたはタッチスイッチであり、制御基板に電気的に接続されている。
【0021】
ネットワークI/F116は、接続端子(イーサネット(登録商標)端子)を備え、インターネットを介したデータの入出力のやりとりを仲介するようになっている。
撮像素子I/F117は、後述するカメラ部で撮像されて出力された信号を所定の画像データとして取り込むようになっている。なお、カメラ部の詳細は後述する。
音声入出力I/F118は、後述するマイクロフォン124で収録された信号を所定の音声データとして取り込むと共に、通信網を介して受信されたデータのうち音声データを後述するスピーカー123で再生可能な信号に変換するようになっている。
【0022】
画像出力I/F119は、画像出力端子122を備え、通信網を介して音声及び画像の双方向通信を行なう相手先の会議装置の宛先や画質調整、出力信号の選択などの操作用アイコン等のメニュー画面や、通信網を介して受信されたデータのうちエンコードされた画像データや当該会議装置1のカメラ部7が撮像した画像データを、プロジェクターPが受け入れ可能な所定のアナログまたはデジタルの画像信号に変換して画像出力端子122を介して出力するようになっている。画像出力端子122は、会議装置1の後部103の側面下部から露出するように制御基板に実装されている。
所定の画像信号としては、アナログRGB信号(VGA)、コンポーネントビデオ信号、HDMI(High―Definition Multimedia Interface)信号、DVI(Digital Video Interactive)信号が挙げられる。
【0023】
スピーカー123は、フルレンジタイプのスピーカーであり、音声入出力I/F118に結線されると共に、上筐体に形成された音声出力孔109からスピーカー音(音声)が出力されるように、天板部106の裏面に取り付けられている。
マイクロフォン124は、単一指向性のマイクロフォンであり、音声入出力I/F118に結線されると共に、後述する第1のアーム125の中途部内部に取り付けられている。
【0024】
カメラ部は、図1に示すように、アームと、カメラハウジング128と、カメラ本体129とを備えてなる。
アームは、起立状態を起点に下向きに回転可能にブラケット部110に接続された第1のアーム125と、正面を0度として概ね±180度のパン角(左右方向の角度)で第1のアーム125の頂部に回転可能に接続された第2のアーム126とを備え、先細りの中空角棒状に構成されている。
また、第1のアーム125の中途部には、肉声等の音声を通す音声入力孔127が形成されている。上述したマイクロフォン124は、その音声入力孔127を介して音声が収音されるように、第1のアーム125の中途部内部に取り付けられている。
【0025】
カメラハウジング128は、中空の矩形体状に形成され、起立状態を起点に下向きに回転可能に第2のアーム126に回転可能に接続されている。
第1のアーム125、第2のアーム126、カメラハウジング128の夫々の可動部分は、トルクヒンジとなるように構成されてあり、任意の回転角度で停止した状態を保持すると共に、所要の力を加えることで、その停止状態から回転移動可能になっている。
【0026】
カメラ本体129は、絞りを備え、焦点距離の短い単焦点の広角レンズ部と、その広角レンズ部aを通った被写体の像が結像されるように配置され、光を電荷に変換して被写体の像を電子化すると共に撮像素子I/F117に結線された撮像素子部とを備え、被写界深度の深いパンフォーカスとなるように構成されている。そして、このカメラ本体129は、上述したカメラハウジング128に形成されたレンズ穴に広角レンズ部の前玉が露出するように組み込まれている。
【0027】
また、このカメラ部は、図4に示すように、カメラハウジング128を第1のアーム125に向かい合うように折り畳み、第1のアーム125を上筐体の天板部106に向かい合うように折り畳むことで、会議装置1の不使用時の持ち運び性、収納性を向上させている。
【0028】
さらに、このカメラ部は、第1のアーム125とカメラハウジング128とを立ち上げた状態のレンズ中心と、会議装置1の設置面との距離は、平均的な体格の成人が椅子に着座し、一般的な会議テーブルを用いた場合(使用状態時を想定)に、ヒトの目あたりにレンズ中心が位置するような距離、すなわち、アイレベルのカメラポジションとなるように設定されている。
【0029】
次に、会議装置1とプロジェクターPとの配置例を図5に示す。
スクリーンSとプロジェクターPとの距離が概ね2メートル以上3メートル以内、6〜8人程度用の会議テーブルの略中央(スクリーンS寄り)に水平画角α概ね40°のプロジェクターPを設置した場合、プロジェクターPの水平画角αから外れる位置で、且つ、テーブルを挟んでスクリーンSと対向した位置のヒトがスクリーンSに映し出された画像を見るのに会議装置1が邪魔にならない位置(設置推奨位置)が、図5に示すように、テーブルのスクリーンS側の両隅部に形成される。
実施の形態1にかかる会議装置1は、この両隅部のいずれか一方に設置可能な大きさになっており、その位置に会議装置1を設置することで、プロジェクターPからスクリーンSに向かって漸次広がっていく投影光を、当該会議装置1で遮る虞を回避する。
【0030】
以上のように構成された会議装置1は、外部から電源供給状態にし、ネットワークI/F116に結線された接続端子とインターネットに接続された接続端子とをケーブルで繋ぎ、画像出力I/F119に結線された画像出力端子122とプロジェクターの接続端子とをケーブルで繋ぎ、カメラハウジング128と第1のアーム125とを立ち上げ、電源スイッチ107の操作による電源投入、各種操作ボタン108の操作による各種調整、相手先の会議装置1の選択をして、インターネットを介した相手先の会議装置1と音声及び画像の双方向通信を行なう。
【0031】
ここで、上述した会議装置用プログラムに従ったCPU111の命令による会議装置1の動作例を、以下の会議システムとあわせて説明する。
この会議システムは、図7に示すように、インターネットに接続された末端のルータR1とそのルータR1に接続された複数のルータR2とを備えて構築された通信網としてのLAN(Local Area Network)と、その複数のルータR2の夫々に接続された複数の会議装置1及び中継装置4と、インターネットに接続された通信管理装置5とを備えて構築されている。
【0032】
会議装置1は、電源投入後に、接続されたプロジェクターにメニュー画面を表示させる。このメニュー画面は、各種調整や会議の開始(双方向通信の開始)などの各項目がアイコンと文字情報で表示される。各項目の選択や決定の操作は、会議装置1の天板部106に設けられた操作ボタン108による操作のほかに、図示しないリモートコントローラによる操作が可能になっている。
【0033】
また、この会議装置1は、カメラ部で撮像された画像を、所定のコーデックを用いて、高解像度(例えば、横が640画素、縦が480画素)、中解像度(例えば、横が320画素、縦が240画素)、低解像度(例えば、横が160画素、縦が120画素)の各画像品質となるようにエンコードし、そのエンコードした画像データを出力するようになっている。上述したように、このエンコードした画像データは、当該会議装置1において、動画または間欠画像(一定時間間隔の静止画像)にデコード可能なデータであり、メニュー画面から、動画または間欠画像のいずれかに選択が可能になっている。
また、会議に参加している複数の相手方の会議装置1からの複数の画像データを合成処理して同時出力するピクチャー・イン・ピクチャー機能を始めとした多彩な画像表現が可能になっている。
【0034】
中継装置4は、所定の制御プログラムに従って、各種機能を実現させるコンピュータであり、通信網の品質(伝送速度)を常時モニタし、その伝送速度に適した解像度の画像データを設定するようになっている。すなわち、この中継装置4は、通信網の状態、会議装置1の処理状況などの影響により、双方向通信時の会議装置1同士において、画像データと音声データとにずれ(遅延)が生じていないかを常時検知し、音声データと画像データとにずれが生じている場合、高解像度の画像データ、中解像度の画像データ、低解像度の画像データの中から、そのずれが生じている会議装置1に対し、最も適した解像度を選択し、相手側の会議装置1に送信するようになっている。これにより、通信網の品質が悪化した場合でも、途切れずに動画像の通信が可能になっている。
【0035】
また、この中継装置4は、画像データと音声データとのずれを解消するために、上述した解像度の変更の他、フレームレートの変更、両者のバランスを重視した解像度及びフレームレートの変更が可能になっている。
このように中継装置4は、通信網の品質(伝送速度)を常時モニタし、ずれ検知、解像度の指定など、動画像および音声の転送にかかわる管理を行なっている。
【0036】
通信管理装置5は、所定の制御プログラムに従って、全ての会議装置1を管理するコンピュータであり、全ての会議装置1の現在の動作状況(双方向通信中、通信待機中、非通電状態など)の把握、会議装置1のデバイス認証、デバイス認証された会議装置1への宛先リストの付与、中継装置4の選定、会議装置1同士の双方向通信に対する課金など、会議装置1と中継装置4とを一元的に管理するようになっている。
【0037】
以上のように構成された会議システムの一連の動作を説明する。
なお、会議装置1と画像出力機器とを接続させ、これらのものが電源投入状態であることを前提とする。また、各種情報の表示は、会議装置1に接続された画像出力機器によるものであるが、説明の便宜上、画像出力機器が表示する旨を省略する。また各種情報の入力は、会議装置1側の操作ボタン108、リモートコントローラの操作によるものであり、この操作部による操作を前提にして説明する。また、IPアドレスは、説明の便宜上、個々の会議装置1に割り振られた固有のIPアドレスとする(図7中、括弧内4つの数字で表す。例えば通信管理装置5は(1.1.1.2))。
【0038】
先ず、会議装置1は、会議の開始(双方向通信の開始)が選択されると、その旨の信号を、通信網(LAN、インターネット)介して、通信管理装置5に送信する。
通信管理装置5は、その会議装置1に対しデバイス認証を行い、その認証後、当該会議装置1に、当該会議装置1以外の複数の会議装置(当該通信管理装置5に登録されている会議装置)の現在の動作状況を示した宛先リストを送信、表示させる。この宛先リストは、直感的な操作が可能なアイコン表示と文字情報とからなり、適宜、更新される。
【0039】
宛先リストの中の、非通電状態以外の会議装置1の中から、双方向通信を行ないたい会議装置1が選択されると、通信管理装置5は、複数の中継装置4の中から最適な中継装置4を選択する。通常は、当該会議装置1と物理的に近い中継装置4が選択されるが、その中継装置4に何らかの不具合がある場合、他の中継装置4が選択される。例えば、IPアドレス(1.2.1.5)の会議装置1の場合、IPアドレス(1.2.1.2)の中継装置4が選択されるが、その中継装置4がダウンしているときは、IPアドレス(1.2.2.2)の中継装置4が選択される。
【0040】
通信管理装置5による中継装置4が選択されると、即座に、その中継装置4を介して、IPアドレスに基づいて相手側の会議装置1へ双方向通信の要求が送信される。相手側の会議装置1は、その双方向通信の要求が着信していることを表示し、接続を容認することで、当該会議装置1と相手側の会議装置1との双方向通信が開始される。この着信の表示や操作は、相手側の会議装置1に表示された宛先リストを介して表示及び操作が行なわれる。
【0041】
中継装置4は、上述したように、通信網の品質(伝送速度)を常時モニタしており、通信網の品質が悪化した場合、現在の解像度より一段下げた解像度の画像データに切り替えた中継、または、フレームレートを下げた中継、または、両者を下げた中継を行なう。
【0042】
通信管理装置5は、会議装置1同士の双方向通信の開始と共に、その会議装置1同士の特定、通信時間の計測など、本実施の形態にかかる会議システムの使用に対する課金のための処理が実行される。
操作ボタン108やリモートコントローラによる操作により、当該会議装置1と相手側の会議装置1との双方向通信が終了する。
【0043】
この実施の形態1にかかる会議装置1によれば、平面視、前部102または後部103と直交する方向となる両側壁部104の夫々を、画像出力端子122と接続されるプロジェクターPの水平画角αの半分以内の傾斜角度θとして、平面視、前部102から後部103に向かって漸次幅狭な等脚台形状の筐体101としたことで、プロジェクターからスクリーンSに向かって漸次広がっていく投影光を、当該会議装置1で遮る虞を低減できる。
【0044】
また、平面視、横方向に延びる矩形状や円形状の会議装置1と比較して、投影光側に会議装置1を寄せて設置することが可能となり、撮影アングルの確保が期待できる。
また、筐体101の形状を、側面視、前部102より後部103を高くさせた前方傾斜状に形成したことで、通常、ヒトは、低いほうが手前で高いほうが奥と認識しやすいことから、会議装置1の設置の向き、すなわち、会議装置1の方向性が一見しただけで理解され、スムーズな設置が期待できる。
【0045】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる会議装置2は、実施の形態1にかかる会議装置1の変形例を例示している。すなわち、実施の形態1で例示した会議装置1は角張った形状であったが、実施の形態2にかかる会議装置2は、全体に丸みを帯びるように形成した例であり、ハードウェアの基本的な構成例やシステム例等は、実施の形態1と同一であるため、同一符号を付して、その詳細な説明は省略し、実施の形態1と異なっている点のみ説明する。
【0046】
実施の形態2にかかる会議装置2の筐体201は、下筐体と、その下筐体を覆うように配設された上筐体とがビス止めされて一体化されており、図9に示すように、平面視、前部202から後部203に向かって漸次幅狭な二等辺三角形状に形成されていると共に、図10に示すように、側面視、前部202より後部203を高くさせた前方傾斜状に形成されている。
【0047】
また、平面視、前部202または後部203と直交する方向となる両側壁部204の夫々の傾斜角度θは、実施の形態1の筐体101と同じく、画像出力端子122と接続されるプロジェクターの水平画角αの半分以内の角度となっている。
また、上筐体の天板部206に、電源スイッチ207や操作ボタン208等を通す孔やスピーカー音を通す音声出力孔209が設けられ、後部203にカメラ部を支持させるブラケット210を露出させる穴が設けられ、図9において前部202左側にカメラハウジング228を収納させる凹部230が設けられ、さらに、前部202中央に音声入力孔227が設けられている。
【0048】
ブラケット210は、一対の山形状の支持部を備え、上述したブラケット210用の穴を介して、その支持部が露出するように、左右方向(パン)に概ね±180度の範囲で回転可能に筐体201内の固定部に支持されている。
マイクロフォン124は、実施の形態1と同じく、単一指向性のマイクロフォンであり、音声入出力I/F118に結線されると共に、上筐体の天板部206の前部202中央に設けられた音声入力孔227を介して収音可能に、天板部206の裏面に取り付けられている。
【0049】
カメラ部は、アーム225と、カメラハウジング228と、カメラ本体129とを備えてなる。
アーム225は、起立状態を起点に下向きに回転可能にブラケット210に接続された先細りの中空角棒状に構成されている。
カメラハウジング228は、中空の矩形体状に形成され、起立状態を起点に下向きに回転可能にアーム225に回転可能に接続されている。
【0050】
ブラケット210、アーム225、カメラハウジング228の夫々の可動部分は、トルクヒンジとなるように構成されてあり、任意の回転角度で停止した状態を保持すると共に、所要の力を加えることで、その停止状態から回転移動可能になっている。
カメラ本体129は、実施の形態1と同じ構成になっている。
【0051】
このカメラ部は、図11に示すように、カメラハウジング228をアーム225に向かい合うように折り畳み、そのカメラハウジング228が凹部230に収納されるようにアーム225を折り畳むことで、会議装置2の不使用時の持ち運び性、収納性を向上させている。また、このカメラ部は、実施の形態1と同じく、アーム225とカメラハウジング228とを立ち上げた際、アイレベルのカメラポジションとなるように設定されている。
【0052】
以上のように構成された実施の形態2にかかる会議装置2は、実施の形態1の効果に加え、凹部230にカメラハウジング228を収納することで、会議装置2の不使用時の持ち運び性、収納性を更に高めることができる。
【0053】
(実施の形態3)
実施の形態1及び2は、平面視、前部または後部と直交する方向となる両方の側壁部を傾斜状に構成したものを例示したが、実施の形態3にかかる会議装置3は、一方の側壁部304のみ、傾斜状にした例である。なお、ハードウェアの基本的な構成例やシステム例等は、上述した実施の形態と同一であるため、同一符号を付して、その詳細な説明は省略し、実施の形態1及び2と異なっている点のみ説明する。
【0054】
すなわち、実施の形態3にかかる会議装置3の筐体301は、下筐体と、その下筐体を覆うように配設された上筐体とがビス止めされて一体化されており、図13に示すように、平面視、後部303と直交する方向となる左方の側壁部304が、画像出力端子122と接続されるプロジェクターの水平画角αの半分以内の角度でもって前部302から後部303にかけて傾斜され、右方の側壁部305が、後部303と略直交する方向に延びるように形成されて、平面視、前部302から後部303に向かって漸次幅狭に形成されている。また、図14に示すように、側面視、前部302より後部303を高くさせた前方傾斜状に形成されている。
【0055】
さらに、この筐体301は、上筐体の天板部306が、右方の側壁部305側を下段とし、左方の側壁部304側を上段とした段差状に形成されている。下段側には、その前部302にカメラハウジング328を収納させる凹部330が設けられ、後部303にカメラ部を支持させるブラケット部310が設けられている。上段側には、その中途部に音声出力孔309が設けられ、前部302に電源スイッチ307や操作ボタン308等を通す孔が設けられている。
【0056】
カメラ部は、実施の形態1と実質的に同一に構成され、図15に示すように、第2のアーム326に上下方向回転可能に支持されたカメラハウジング328を、音声入力孔327が設けられた第1のアーム325に向かい合うように折り畳み、そのカメラハウジング328が凹部330に収納されるように第1のアーム325を折り畳むことで、会議装置3の不使用時の持ち運び性、収納性を向上させている。
【0057】
このように構成された実施の形態3にかかる会議装置3とプロジェクターPとの配置例を図16に示す。なお、スクリーンSとプロジェクターPとの距離や、プロジェクターPの水平画角αなどの条件は、実施の形態1と同じである。
テーブルの長手方向の縁と下段側の側壁部305とが沿うように、且つ、テーブルの短手方向の縁と装置の後部303とが沿うように、実施の形態3にかかる会議装置3を、テーブルのスクリーンS側の両隅部に形成された設置推奨位置のうち、図16において左側に設置する。
このように、実施の形態3にかかる会議装置3は、実施の形態1の効果に加え、収まりの良い設置位置を示唆する形状になっていることから、よりユーザーフレンドリィな会議装置3を提供できる。
【0058】
なお、本実施の形態にかかる会議装置は、図6、図15に示すように、プロジェクターPに接続させることで有利な効果を奏するものであるが、接続させる画像出力機器は特に限定されない。
また、本実施の形態にかかる会議装置に用いる会議装置用プログラムを、パソコンを利用したソフトウェアベースのものと同等とすることで、中継装置や通信管理装置5の不要な会議システムが構築可能(LANやWANのみを用いた会議システムも構築可能)となる。このように本実施の形態にかかる会議装置は、上述した会議システムの構築に用いることに限定されない。
【0059】
以上、本実施の形態にかかる会議装置を説明したが、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1、2、3 会議装置
101、201、301 筐体
102、202、302 前部
103、203、303 後部
104、204、304、305 側壁部
106、206、306 天板部
107、207、307 電源スイッチ
108、208、308 操作ボタン
109、209、309 音声出力孔
110、310 ブラケット部
210 ブラケット
122 画像出力端子
123 スピーカー
124 マイクロフォン
125、325 第1のアーム
126、326 第2のアーム
127、227、327 音声入力孔
128、228、328 カメラハウジング
129 カメラ本体
230、330 凹部
225 アーム
θ 傾斜角度
α 水平画角
P プロジェクター
S スクリーン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開平10−285569号公報
【特許文献2】特開2008−154055号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像機器と接続される画像出力端子を備え、通信網を介して画像及び音声の双方向通信を行なう会議装置の筐体であって、
平面視、前部から後部に向かって漸次幅狭に形成されていることを特徴とする会議装置の筐体。
【請求項2】
平面視、前部または後部と直交する方向となる両側壁部の夫々が、所要の傾斜角度でもって前部から後部にかけて傾斜されて、平面視、前部から後部に向かって漸次幅狭に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の会議装置の筐体。
【請求項3】
平面視、前部または後部と直交する方向となる一方の側壁部が、所要の傾斜角度でもって前部から後部にかけて傾斜され、他方の側壁部が、前部または後部と略直交する方向に延びて、平面視、前部から後部に向かって漸次幅狭に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の会議装置の筐体。
【請求項4】
前記傾斜角度は、前記画像出力端子と接続されるプロジェクターの水平画角の半分以内の角度であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の会議装置の筐体。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の会議装置の筐体と、
通信網を介して画像及び音声の双方向通信を制御する制御手段と、
該制御手段と電気的に接続された前記画像出力端子と、
前記制御手段と電気的に接続され、音声を出力させるスピーカーと、
前記制御手段と電気的に接続され、画像を入力させるカメラ部と、
前記制御手段と電気的に接続され、音声を入力させるマイクロフォンと
を備えたことを特徴とする会議装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−54813(P2012−54813A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196652(P2010−196652)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】