説明

会議録表示装置及び方法

【課題】閲覧者が必要とする情報を推定することによって、効率的に会議状況を閲覧できる会議録表示装置を提供する。
【解決手段】会議における話題及び各出席者のアクションを含む会議状況情報を取得する取得部101と;会議状況情報から話題リスト中の話題を検出する第1の検出部102と;会議状況情報から得点表中のアクションを検出する第2の検出部103と;第2の検出部により検出されたアクションに関連付けられた得点に基づいて、第1の検出部により検出された話題毎に各出席者の関与度を算出する算出部104と;会議状況情報を話題単位で閲覧可能であって、かつ各出席者について関与度が一定値以上の話題を強調表示可能な会議録を作成する作成部105と;会議録を表示する表示部106と;を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチメディア会議録を表示する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、会議を行う場合、議論の内容を後に参照できるよう会議録を作成する。しかしながら、手書きの会議録では概要のみを記載するのが普通であり、議論の細部を参照することは不可能である。一方、会議状況をビデオカメラ等で取得すれば、議論の細部を参照することが可能となるものの、閲覧者が実際に必要とする情報は会議内容の一部であることが多く、このような状況映像等の全体から必要とする情報を探し出すのは煩雑である。そこで、会議状況を容易に参照するための様々な会議録表示装置が提案されている。
【0003】
従来、会議録を表示する装置は、基本情報として会議自体の日時、場所、及び出席者等を登録し、会議中の資料、会話音声、及び状況映像等をこれら基本情報に関連付けて蓄積し、表示するものが知られている。
【0004】
具体的には、会議中の会話音声、状況映像等の情報からキーワードを抽出し、検索用ファイルを作成し、この検索用ファイルを参照して会議録を効率的に作成できるマルチメディア会議録作成支援装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、会議中の資料の識別情報と提示時間区間及び複数の出席者の発言の発言時間区間と当該発言時間区間に提示した資料の識別情報を夫々関連付けて記憶し、提示する発言構造情報提示装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
更に、出席者の識別方法として、出席予定表に登録された出席者情報から出席予定者の情報を取得し、当該出席予定者を出席者として扱う方法が知られている。また、座席毎に着座する人物を予め割り当てておき、着座の有無をセンサで感知することにより出席者を把握する方式や、発話音声から発話者を識別することにより出席者を類推する方式等が知られている。
【特許文献1】特開平7−182365号公報
【特許文献2】特開平11−272679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2記載の発明によれば、会議状況を部分的に閲覧可能な会議録を作成できるので、閲覧者は予め必要とする情報の見当がついていれば効率的に会議状況を閲覧できるが、換言すれば、従来の会議録表示装置では閲覧者が必要とする情報を予め把握していなければ効率的な閲覧ができない。
【0008】
従って、本発明の一態様は、閲覧者が必要とする情報を推定することによって、効率的に会議状況を閲覧できる会議録表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る会議録表示装置は、会議における話題及び各出席者のアクションを含む会議状況情報を取得する取得部と;前記会議状況情報、前記話題をリスト化した話題リスト、及び、複数のアクションと、当該アクションの話題に対する関わりの強弱に基づいて定められた得点とを関連付けて記載された得点表を蓄積する第1の蓄積部と;前記会議状況情報から前記話題リスト中の話題を検出する第1の検出部と;前記会議状況情報から前記得点表中のアクションを検出する第2の検出部と;前記第2の検出部により検出されたアクションに関連付けられた得点に基づいて、前記第1の検出部により検出された話題毎に各出席者の関与度を算出する算出部と;前記関与度を蓄積する第2の蓄積部と;前記会議状況情報を話題単位で閲覧可能であって、かつ各出席者について前記関与度が一定値以上の話題を強調表示可能な会議録を作成する作成部と;前記会議録を表示する表示部と;を具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、閲覧者は必要とする情報を効率的に閲覧できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る会議録表示装置は、会議状況取得部101、話題検出部102、アクション検出部103、話題関与度算出部104、会議録作成部105、会議録表示部106、会議情報蓄積部111、及び話題関与度リスト蓄積部112を含む。
【0012】
会議状況取得部101は、会議状況をデータ化して取得する。会議状況は、会議中の音声、映像、提示資料、及び出席者の位置情報等、会議の再生のため必要な情報である。即ち、会議状況取得部101はセンサ群に相当し、例えば会議中の音声を取得する録音装置、会議中の映像を撮影するカメラ装置、提示資料を記録するパーソナルコンピュータ(PC)及びソフトウエア、及びホワイトボードの前面に出て話している人物を識別する位置情報検出装置等を含む。
【0013】
会議情報蓄積部111は、例えばサーバのハードディスクであり、予め登録された基本情報及び上記会議状況を含む会議情報を蓄積する。基本情報とは、会議の日時、場所、出席者、会議名、話題リスト、及び得点表等の会議を行うにあたって予め定める情報である。話題リストは会議で議論される話題をリスト化したものであり、得点表は特定のアクションを得点に関連付けて記載した表である。会議情報は、会議録作成部105が会議録を作成するため必要な情報であり、予め登録した基本情報、及び会議状況取得部101が取得した会議状況を含む。尚、会議状況は構成要素に応じた様々なデータ形式で蓄積される。また、会議状況の構成要素は、各構成要素が発生した時間等のメタ情報を会議状況取得部101によって付加され、データ化されている。
【0014】
話題検出部102は、会議状況から現在議論されている話題を検出する。具体的には、例えば出席者、傍聴者、または書記等が手動で話題を登録してもよいし、基本情報中の話題リスト等の候補から話題を選択してもよい。即ち、例えば、議事進行係が操作するPC中の議事選択ソフトウエアによって話題検出部102を構成できるが、望ましくは、スクリーンに提示されている資料や会話状況等に基づいて自動的に話題リストから話題を検出する構成を採る。
【0015】
アクション検出部103は、会議状況から各出席者のアクションを検出する。アクションは、話題関与度算出部104で話題関与度を算出する際に使用する得点に関連付けられて、得点表に予め定められた行動である。アクション検出部103は、例えば会議状況に含まれる位置情報から在席情報を検出するソフトウエア、及び会議状況に含まれる音声から発話状況を検出するソフトウエア等によって構成される。
【0016】
話題関与度算出部104は、話題と当該話題の議論中に行われたアクションから各出席者の当該話題に関する話題関与度を算出する。話題関与度は、各人が各話題にどの程度関与しているかを示す評価値に相当し、この値の大小から各人に対する各話題の重要度が推定できる。また、逆に、各話題に対する各人の貢献度も推定できる。話題関与度は前述した各アクションに対応する得点を用いて算出される。従って、各アクションに対応する得点は議論に対する関わりの強弱に基づいて定められ、例えば発話行為であれば、長く説明を行えば比較的高い得点、相槌程度であれば比較的低い得点が夫々割り当てられる。
【0017】
話題関与度リスト蓄積部112は、例えばサーバのハードディスクであり、話題関与度リストを蓄積する。即ち、話題関与度算出部104で算出された話題関与度は、例えば話題を行、出席者を列とするリストとして保存され、また、話題関与度リスト蓄積部112には過去に行われた会議における話題関与度リストも蓄積されているものとする。
【0018】
会議録作成部105は、会議情報及び話題関与度リストに基づいて会議録を作成する。即ち、会議情報蓄積部111に蓄積されている会議状況データを話題単位で閲覧可能で、かつ、各人毎に重要な話題を強調表示した会議録を作成する。
【0019】
会議録表示部106は、会議録を表示する。即ち、会議録作成部105が作成した会議録を、例えばPCのディスプレイに表示し、話題単位で分割された会議状況を、例えばディスプレイ及びスピーカを用いて閲覧者の求めに応じて再生する。
【0020】
以下、本実施形態に係る会議録表示装置の動作を図3に示すフローチャートに沿って具体的に説明する。
尚、本発明の一態様が対象とする会議は、基本的に、複数の人間が会議室でテーブルを囲み、リアルタイムにコミュニケーションを行う一般的な会議を想定している。しかしながら、本発明の一態様は、TV(テレビジョン)会議システム、PCを用いたチャットやWeb(ウェブ)会議、及び電話による会話といった複数の人間が離れた場所からコミュニケーションを行うといった場合にも広く適用可能である。また、前提として会議情報蓄積部111は、基本情報を予め記録しているものとする。
【0021】
まず、会議状況取得部101は、会議状況を取得し、会議情報蓄積部に蓄積する(ステップS1)。ここで、会議状況取得部101は、図2に示すように、マイク、カメラ、タブレットPC、RFID(無線自動識別)タグ及びRFIDリーダで構成されているとし、会議状況として音声、映像、提示資料、位置情報、及び在室状況を取得するものとする。
【0022】
会議状況としての音声はPCに接続されたマイクによって取得される。ここで、会議室に1つだけマイクを用意する構成でも音声は取得可能であるが、出席者の数以上のマイクを用意する構成が望ましい。また、音声の取得はIC(集積回路)レコーダによっても可能であるから、マイクに代えてICレコーダを用いてもよい。取得された音声はPC上で開始時刻及びマイクID(識別情報)などのメタ情報を付加され、例えばmp3(MPEG-1 audio layer-3)形式のデータとして、ミキサなどを経由して会議情報蓄積部111としてのサーバPCに蓄積される。
【0023】
会議状況としての映像は、PCに接続されたカメラによって取得される。その他、映像の取得が可能なデジタルビデオカメラ等の各種カメラを用いてもよい。ここで、カメラは図2に示すような、出席者全員が着座している様子、提示資料等を投影するスクリーン、及びホワイトボードを撮影可能な角度に1つ、及び図示しないが、各座席における出席者の着座状態やテーブル上での手の動きを上部から撮影できる角度に1つの合計2つ設置するものとする。取得された映像はPC上で開始時刻及びカメラIDなどのメタ情報を付加され、例えばavi(audio video interleave)形式のデータとして会議情報蓄積部111としてのサーバPCに蓄積される。
【0024】
会議状況としての提示資料は、タブレットPCによって取得される。尚、ここで提示資料は、PCによって処理可能であり、ディスプレイに表示、またはプロジェクタによってスクリーンに投影するものとする。この前提の下で、表示画面及びデータ内容はPCによって取得可能であるから、ソフトウエア処理によって提示資料のファイル名、ファイルデータ、及び表示箇所等(プレゼンテーションファイルであればページ番号、表計算ファイルであればセル番号等に相当)を取得できる。即ち、「ファイルを開く」、「表示ページの切り替え」、または「アクティブウインドウの切り替え」といったイベントを検出した際に、検出時刻、提示中のファイル名、ファイルデータ、及び表示箇所等を取得するようなソフトウエア処理を行う。取得された提示資料の提示時刻、ファイルデータ、ファイルパス、及び表示箇所は、会議情報蓄積部111としてのサーバPCに蓄積される。その他、画面のスクリーンショットを定期的に記録してPCやスクリーンに提示された資料を連続画面として取得することも可能である。
【0025】
会議状況としての位置情報は、RFIDタグ及びRFIDリーダによって取得される。具体的には、RFIDリーダは、RFIDタグを一定距離以内に検知すると、タグに無線でアクセスし、タグに予め割り当てられたIDを読み取る。即ち、出席者には予め所定のIDを割り当てたタグを所持することを課しておき、リーダをスクリーン及びホワイトボードの後部を含む複数位置に設置することにより、「スクリーン前に、いつ、誰がいたか」、「ホワイトボード前に、いつ、誰がいたか」等の位置情報を取得できる。その他、マイクが取得した音声に誰の声がどの程度のボリュームで入っているかを分析して、位置情報を取得してもよい。会議情報蓄積部111としてのサーバPCは、取得された位置情報として、検出時刻、位置ID、及び人物IDを蓄積する。また、会議状況としての在室状況も、同様にして取得及び蓄積する。
【0026】
次に、話題検出部102は、蓄積された会議状況から話題リストを用いて話題を検出する(ステップS2)。ここで、話題リストは図4に示すような、テキストデータの項目群を大項目、中項目、及び小項目からなる階層構造に構成したものである。この話題リストを用いて話題を検出する手法について2例説明する。
【0027】
第1の手法では、司会進行者があらかじめ、会議情報蓄積部111に蓄積されている話題リストから会議の議題とすべき項目を用意しておくものとする。会議の際にはこの用意しておいた話題リストをアジェンダとして用いて議事を進行し、議事進行時に随時議論中の話題を選択し、この選択された話題が、現在の話題として検出される。また、この方式を用いると、議事進行時に話題を選択することにより、その話題にあらかじめ関連づけられた資料を得ることもできる。
【0028】
第2の手法では、話題検出部102は、会議情報蓄積部111に蓄積された提示資料、及び音声から議論中の話題を推定する。即ち、提示資料中の文字列データに対して形態素解析して、各話題の網羅度を算出する。例えば、形態素解析の結果、ある提示資料中に小項目3−2−5の名詞が頻繁に出現すれば、この資料を提示していた時間に議論されていた話題は小項目3−2−5である可能性が高いと推定できる。尚、前述したように話題リストは階層構造で構成されているため、小項目3−2−5が話題となる場合は、当該話題を包含する中項目3−2、及び大項目3についても議論されているものとする。また、音声から話題を検出するには、例えば音声認識ソフトウエアにより音声データを文字列データに変換し、この文字列データに対して同様に形態素解析して、各話題の網羅度を算出する。
【0029】
その他、提示資料中の図面などのオブジェクトの利用状況を監視し、以前提示されたオブジェクトと類似するオブジェクトが用いられている資料は同じ話題に関する資料であると推定することにより話題を検出する、あるいは音声認識の結果から出現頻度の高い単語を話題として検出するといった手法も考えられる。
【0030】
次に、アクション検出部103は、得点表に記載されたアクションを検出する(ステップS3)。ここで、得点表として図5に示す得点表を用いるものとし、アクション検出部103が検出するアクションは位置情報、在室状況、発話状況、書き込み動作、及び指し示し動作とする。また、ステップS3はステップS2と並行して処理可能である。
【0031】
アクションとしての在室状況及び位置情報については、会議情報蓄積部111に蓄積された在室状況及び位置情報を利用する。
【0032】
アクションとしての発話状況については、会議情報蓄積部111に蓄積された音声を分析することにより検出する。ここで、出席者は、各人のIDを割り当てたマイクを使用しているものとする。この前提の下、マイクが一定時間以上、一定の音量以上の発話を取得すれば、このマイクのIDから発話者を特定できる。また、一定の音量以上の発話の開始時刻と終了時刻の差分を算出することにより、発話継続時間を導出できる。その他、声紋認証技術を用いて発話者を特定してもよい。以上のようにして、発話状況として、発話者、発話開始時刻、発話継続時間、及び発話音量などを検出できる。このうち、発話継続時間は、当該発話行為の重要度を評価するのに有用であり、例えば図5に示す得点表では発話継続時間の長短に応じて得点を増減させている。更に、発話継続時間は発話行為自体の特定においても重要な要素である。即ち、例えば発話継続時間が長ければ当該発話行為は「説明」であると推定でき、逆に発話継続時間が短ければ当該発話行為は「相槌」であると推定できる。また、出席者Aが「説明」と推定される発話を行った後、出席者Bがある程度の長さの発話を行い、更に出席者Aが「説明」と推定される発話を行ったとすれば、出席者Bの発話行為は「質問」であると推定できる。
【0033】
アクションとしての書き込み動作については、会議情報蓄積部111に蓄積された位置情報及び映像を分析することにより検出する。ここでは、様々な書き込み形式を想定し、複数の検出手法について説明する。
【0034】
最初に、ホワイトボードへの書き込み動作を検出する手法ついて説明する。位置情報は「ホワイトボード前に、いつ、誰がいたか」といった情報を含んでいるため、このような位置情報を分析することによって、書き込み人物及び時刻は推定できる。また、映像からホワイトボードの書き込み状況を定期的に取得し、差分を算出することによって、書き込み量を推定する。このようにして、書き込み動作のパラメータとして、書き込み人物、時刻、及び量を検出する。また、映像からホワイトボードペンの座標を画像分析し、この座標の軌跡から書き込み動作を検出することも考えられる。尚、この手法は、メインスクリーンとしてホワイトボードを使用し、プロジェクタを経由して資料を投影する場合や、専用のペンを用いる電子ホワイトボードシステムを使用する場合にも適用できる。
【0035】
次に、PCからプロジェクタを経由して、スクリーンに資料を投影する場合におけるPC上の書き込み動作を検出する手法について説明する。ここでは、タブレットPCに付属のペンを用いてディスプレイをなぞることによる書き込み動作を想定している。このような書き込み動作は、通常、タブレットPCに付属のソフトウエアで検出可能であり、これによって書き込み時刻及び量は特定できる。また、書き込み時刻を用いて当該時刻の発話者を参照することで、書き込み人物も推定できる。このようにして、書き込み動作のパラメータとして、書き込み人物、時刻、及び量を検出する。
【0036】
その他、各人のPCのキーボード入力を分析して、電子的なメモ記入として書き込み動作を検出する手法、及び映像を分析して各人の手帳への記入を書き込み動作として検出する手法が考えられる。
【0037】
アクションとしての指し示し動作については、会議情報蓄積部111に蓄積された映像及び提示資料を分析することにより検出する。ここでは、提示資料をPCからプロジェクタを経由して、スクリーンに投影する場合に用いる手法について2例説明する。
【0038】
まず、第1の手法として、マウスポインタによる指し示し動作の検出について説明する。この手法では、アクション検出部103として、マウスポインタの移動を検出するPC上のソフトウエアを使用する。具体的には、マウスポインタの移動をバックグラウンドプロセスにより監視し、例えば「左右の往復運動とみなせる移動」を検出すれば、指し示し対象として「往復運動を検出した箇所の直上部のオブジェクト」を検出し、「一定の範囲内で楕円形に近い繰り返し移動」を検出すれば、指し示し対象として「繰り返し移動を検出した範囲内のオブジェクト」を検出する。また、指し示し対象を検出した時刻を指し示し時刻として検出し、例えば指し示し動作を検出した時刻における発話者を前述の発話状況検出の手法で特定して、指し示し人物として推定する。このようにして、指し示し動作のパラメータとして指し示し人物、時刻、資料、及び対象を検出する。
【0039】
次に、第2の手法として、差し棒及びレーザポインタ等による指し示し動作の検出について説明する。この手法では、差し棒の先端位置及びレーザポインタの照射位置を、画面中の相対座標として分析する。この座標の軌跡から、前述したマウスポインタによる指し示し動作検出の手法と同様に指し示し対象及び時刻を検出する。また、指し示し資料は指し示し動作を検出した時刻における提示資料について会議情報蓄積部111を参照すれば推定できる。更に、指し示し人物については前述したように、発話者を分析することによって推定してもよいし、映像から例えば顔画像認識を行って推定してもよい。このようにして、指し示し動作のパラメータとして、指し示し人物、時刻、資料及び対象を検出する。
【0040】
尚、アクション検出部103の検出するアクションは上記したものに限らない。例えば、話題関与度の算出に有用なアクションとして、うなずき行為が考えられる。うなずき行為は、例えば会議情報蓄積部111が蓄積した映像から出席者の顔角度の変化を分析することで検出できる。
【0041】
次に、話題関与度算出部104は、話題検出部102が検出した話題、及びアクション検出部103が検出したアクションから各話題に対する各人の関与度を算出し、話題関与度リスト蓄積部112に蓄積する(ステップS4)。即ち、話題と人物を固定して、当該話題中に当該人物から検出されたアクションに対応する得点を得点表から取得し、当該得点に基づいて話題関与度を算出する。例えば以下に示す式のように、得点を総和し、100点満点の話題関与度を算出する手法があるが、話題関与度を算出する手法は以下に示す式に限らない
【数1】

【0042】
ここで、relation(person, topic)は人物personの話題topicに関する関与度(100点満点)を、得点point(p, t, action | p=person, t=topic)は人物person=p、話題topic=tの条件を満たすアクションactionに対応する得点として得点表に記載された得点を夫々示すものとする。
【0043】
このように算出された話題関与度は、例えば図6に示すような話題関与度リストとして話題関与度リスト蓄積部112に蓄積される。
【0044】
最後に、会議録作成部105は会議録を作成し、会議録表示部106を介して表示する(ステップS6)。ここで、会議録作成部105は図7に示すような会議録を作成するものとし、この会議録では、話題を選択すると当該話題に関連する会議状況のデータが図8に示すように表示されるものとする。即ち、会議録作成部105は、会議情報蓄積部111から取得した会議状況のデータを話題リストに基づいて分割し、話題毎に閲覧できるようなリンクを作成する。また、会議録作成部105は、話題関与度リストに基づいて各人別に重要な話題を強調表示したリストも併せて作成し、これらを組合せて会議録とする。会議録表示部106は、会議録作成部105が作成した会議録を閲覧者の求めに応じて表示する。
【0045】
ここで、強調表示の例について説明する。まず、話題関与度に関して例えば2つの閾値(第1の閾値<第2の閾値)を設けておき、話題関与度が第1の閾値未満であれば重要度を「低」、第1の閾値以上であって、第2の閾値未満であれば重要度を「中」、第2の閾値以上であれば「高」とランク付けるものとする。この前提の下、ある会議で、出席者1の話題「特許提案について」に関する関与度が「高」ランクであれば、会議録において話題「特許提案について」は「出席者1が主説明者である話題」として強調表示される。また、出席者2の話題「特許提案について」に関する関与度が「中」ランクであれば、会議録において、話題「特許提案について」は「出席者2が議論参加者である話題」として強調表示される。一方、出席者2の話題「進捗報告」に関する関与度が「低」ランクであれば、話題「進捗報告」は出席者2にとってあまり重要でない話題として強調表示されない。
【0046】
また、話題関与度リスト蓄積部112は、過去に行われた会議における話題関与度リストも蓄積しているため、これも利用する。即ち、同じ話題について複数回の会議に渡って議論する場合に、ある会議において不在であっても過去の関与度から重要度を判断し、強調表示することができる。例えば、前述のように話題関与度を「高」、「中」及び「低」にランク付けするなら、ある会議の話題「開発項目1について」の議論に出席者4が不在であったが、直近の会議における当該話題に関する関与度が「高」ランクであれば、話題「開発項目1について」は出席者4の「確認必須箇所」として強調表示される。また、ある会議の話題「開発項目3について」の議論に出席者4が不在であったが、直近の会議における当該話題に関する関与度が「中」ランクであれば、話題「開発項目3について」は出席者4の「要注意箇所」として強調表示される。一方、ある会議の話題「特許提案について」の議論に出席者3が不在であって、直近の会議における当該話題に関する関与度も「低」ランクであれば、話題「特許提案について」は出席者3にとってあまり重要でない話題として強調表示せず、不在であったことを示す程度に留める。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば閲覧者が必要とする情報を効率的に閲覧可能な会議録表示装置を提供できる。
【0048】
(第2の実施形態)
図9に示すように、本発明の第2の実施形態に係る会議録表示装置は、図1に示す第1の実施形態に係る会議録表示装置に新たに管理情報蓄積部213を追加したものである。その他、図1に示す会議録表示装置と同一部分については説明を省略する。
【0049】
管理情報蓄積部213は、会議録の閲覧を管理するための管理情報を蓄積する。この管理情報には、例えばログイン名、パスワード、及びメールアドレスなどの各人を識別するための情報が含まれる。
【0050】
また、本実施形態において会議録表示部106は、管理情報蓄積部213に蓄積された管理情報と、例えば閲覧者から入力されたログイン名、及びパスワードといった情報を照合するなどして、閲覧者を特定する。会議録表示部106は、このようにして特定された閲覧者に応じて会議録の表示を変更する。即ち、例えば図7に示した会議録を出席者4が閲覧する場合であれば、図10に示すように「出席者4」という表示を「あなた」に変えたり、閲覧者以外の出席者については強調表示しないようにしたりすることで、閲覧者にとって必要な情報が明確になり、より簡便な参照ができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば閲覧者が必要とする情報を効率的に閲覧可能な会議録表示装置を提供できる。
【0052】
(第3の実施形態)
図11に示すように、本発明の第3の実施形態に係る会議録表示装置は、図9に示す会議録表示装置に新たに通知部307を追加したものである。その他、図9に示す会議録表示装置と同一部分についての説明は省略する。
【0053】
通知部307は、各人が不在であって、かつ、関わりの強い話題(強調表示する話題)が検出されると、該当者に会議録の閲覧を促すよう通知する。通知部307は、例えば管理情報蓄積部213に蓄積された管理情報を参照して、通知する人物のメールアドレスを取得し、当該メールアドレスに会議録の閲覧を促す電子メールを送信する。
【0054】
また、この通知を受けた人物は、会議録表示部106を介して会議録を閲覧することになるが、その際の表示は図7に示したような画一的な表示であってもよいし、図10に示したような閲覧者毎に異なる表示であってもよい。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、閲覧者は、特に自己の不在時に議論された重要な情報を効率的に閲覧可能な会議録表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る会議録表示装置を示すブロック図。
【図2】図1に示す会議録表示装置の実装例を示す図。
【図3】図1に示す会議録表示装置の処理の流れを示すフローチャート。
【図4】図1に示す会議録表示装置の話題検出部で用いる話題リストの例を示す図。
【図5】図1に示す会議録表示装置のアクション検出部で用いる得点表の例を示す図。
【図6】図1に示す会議録表示装置の話題関与度リスト蓄積部が蓄積する話題関与度リストの例を示す図。
【図7】図1に示す会議録表示装置の会議録表示部で表示される会議録の表示例を示す図。
【図8】図7に示す会議録による会議状況の再生の様子の例を示す図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る会議録表示装置を示すブロック図。
【図10】図7に示す会議録の別の表示例を示す図。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る会議録表示装置を示すブロック図。
【符号の説明】
【0057】
101・・・会議状況取得部
102・・・話題検出部
103・・・アクション検出部
104・・・話題関与度算出部
105・・・会議録作成部
106・・・会議録表示部
111・・・会議情報蓄積部
112・・・話題関与度リスト蓄積部
213・・・管理情報蓄積部
307・・・通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会議における話題及び各出席者のアクションを含む会議状況情報を取得する取得部と、
前記会議状況情報、前記話題をリスト化した話題リスト、及び、複数のアクションと、当該アクションの話題に対する関わりの強弱に基づいて定められた得点とを関連付けて記載された得点表を蓄積する第1の蓄積部と、
前記会議状況情報から前記話題リスト中の話題を検出する第1の検出部と、
前記会議状況情報から前記得点表中のアクションを検出する第2の検出部と、
前記第2の検出部により検出されたアクションに関連付けられた得点に基づいて、前記第1の検出部により検出された話題毎に各出席者の関与度を算出する算出部と、
前記関与度を蓄積する第2の蓄積部と、
前記会議状況情報を話題単位で閲覧可能であって、かつ各出席者について前記関与度が一定値以上の話題を強調表示可能な会議録を作成する作成部と、
前記会議録を表示する表示部と
を具備することを特徴とする会議録表示装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記話題及び出席者毎に前記検出されたアクションに関連付けられた得点を総和した値を前記関与度として算出することを特徴とする請求項1記載の会議録表示装置。
【請求項3】
前記アクションが発話行為の場合に、前記得点は当該発話行為が長くなると高い値となることを特徴とする請求項2記載の会議録表示装置。
【請求項4】
前記会議状況情報は、出席者となり得る各人の在室状況を示す情報を更に含み、
前記作成部は、前記在室状況を示す情報に基づいて前記各人が不在であった不在時話題を検出すると、前記第2の蓄積部に蓄積された過去の当該不在時話題に関する関与度を参照し、当該関与度が一定値以上であれば、当該不在時話題を強調表示可能な会議録を更に作成することを特徴とする請求項1記載の会議録表示装置。
【請求項5】
前記会議録の閲覧を管理する管理情報を蓄積する第3の蓄積部を更に具備し、
前記表示部は、前記管理情報に基づいて閲覧者を特定し、当該閲覧者によって異なる形式で前記会議録を表示することを特徴とする請求項4記載の会議録表示装置。
【請求項6】
前記会議録の閲覧を管理する管理情報を蓄積する第3の蓄積部を更に具備し、
前記作成部が、前記不在時話題を強調表示可能な会議録を作成する場合に、前記管理情報から該当者の通知先を取得し、当該通知先に閲覧を促す旨を通知する通知部を更に具備することを特徴とする請求項4記載の会議録表示装置。
【請求項7】
前記作成部が、前記不在時話題を強調表示可能な会議録を作成する場合に、前記管理情報から該当者の通知先を取得し、当該通知先に閲覧を促す旨を通知する通知部を更に具備することを特徴とする請求項5記載の会議録表示装置。
【請求項8】
会議における話題及び各出席者のアクションを含む会議状況情報を取得する取得ステップと、
前記会議状況情報、前記話題をリスト化した話題リスト、及び、複数のアクションと、当該アクションの話題に対する関わりの強弱に基づいて定められた得点とを関連付けて記載された得点表を蓄積する第1の蓄積ステップと、
前記会議状況情報から前記話題リスト中の話題を検出する第1の検出ステップと、
前記会議状況情報から前記得点表中のアクションを検出する第2の検出ステップと、
前記第2の検出ステップにより検出されたアクションに関連付けられた得点に基づいて、前記第1の検出ステップにより検出された話題毎に各出席者の関与度を算出する算出ステップと、
前記関与度を蓄積する第2の蓄積ステップと、
前記会議状況情報を話題単位で閲覧可能であって、かつ各出席者について前記関与度が一定値以上の話題を強調表示可能な会議録を作成する作成ステップと、
前記会議録を表示する表示ステップと
を含む会議録表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−219142(P2008−219142A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50117(P2007−50117)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】