説明

伝熱構造体

装置100は、第1の面125を有する第1の基板130、第1の面と向き合う第2の面127を有する第2の基板132、及び第1の面の上に配置された金属の突出フィーチャ170の配列170を備え、各突出フィーチャは第1の面に接触して第2の面に向かい、突出フィーチャの一部は圧縮力305によって変形を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概略として、熱インターフェース材料(thermal interface material)を含む装置及びその製造方法を対象にしている。
【背景技術】
【0002】
従来型の熱インターフェース材料(TIM)は、断熱性有機マトリックス(例えば接着剤又はグリース)中に分散させた熱伝導性粒子からなる複合材であることがしばしばである。そうした複合材の熱伝導率は、適切な粘性を保証するのにしばしば必要とされる比較的低い粒子の濃度、及び粒子間の接点の熱抵抗によって制限される。さらに、熱伝導率が不十分である空気で満たされた隙間が有機マトリックス内で増大し、それによって、TIMの全体的な熱伝導率が低下する可能性がある。インジウムなどの柔らかい金属、又はグラファイトなどの他の柔らかい材料が、熱インターフェース材料として使用されることもある。こうした材料の熱伝導率は複合材より高いが、非平面又は不規則な面に適合する能力が限られている。こうした柔らかい材料の一部のものは腐食を受けやすく、また低い融点を有することがある。こうした制限は全て、信頼性、適用性及び組立の選択肢を制限する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態は、第1の面を有する第1の基板、第1の面に向き合う第2の面を有する第2の基板、及び第1の面上に配置された金属の突出フィーチャ(raised feature)の配列を備える装置であり、各突出フィーチャは第1の面に接触して第2の面に向かい、突出フィーチャの一部が圧縮力によって変形を受ける。
【0004】
他の実施形態は、前面及び裏面を有する金属の平坦な基板を備える装置であり、裏面は前面の反対側にある。装置は、それぞれの面上に直接配置された金属の突出フィーチャの配列も備える。
【0005】
他の実施形態は方法である。方法は、電気デバイスの第1の構成要素の面上に伝熱構造体を設けるステップを含み、伝熱構造体は金属の変形可能な突出フィーチャを含む。方法はさらに、伝熱構造体が第1の構成要素と第2の構成要素の中間に配置されるように、電気デバイスの第2の構成要素を面に向かって押圧し、その結果、金属の変形可能な突出フィーチャの少なくとも一部が変形を受け、その高さを押圧前の突出フィーチャの高さに比べて少なくとも約1パーセントだけ低減するステップを含む。
【0006】
他の実施形態は方法である。方法は、圧力変形可能な金属の突出フィーチャの2次元配列を、実質的に平坦な基板の面上に形成することを含む、伝熱構造体を形成するステップを含む。配列は、A)突出フィーチャが中空であること、B)突出フィーチャが電気めっきされた構造体であること、及びC)突出フィーチャの第1の群が第1の高さを有し、突出フィーチャの第2の群が異なる第2の高さを有することからなる群について選択される特性を有する。
【0007】
本開示に関する実施形態は、以下の詳細な記述を添付図面と共に読むことによって最もよく理解される。対応する若しくは類似する番号又は記号は、対応する若しくは類似する構造を指す。議論を明確にするために、様々な特徴を一定の縮尺で描かないこと、又はサイズを任意に増減させることがある。次に、添付図面と共に取り上げる以下の記述に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】圧縮前の本開示の例示的な装置の断面図である。
【図1B】圧縮前の本開示の例示的な装置の断面図である。
【図2】圧縮前の本開示の例示的な装置の断面図である。
【図3】圧縮後の図1Aに示す例示的な装置の断面図である。
【図4】本開示の装置の例示的な突出フィーチャの斜視図又は断面図である。
【図5】本開示の装置の例示的な突出フィーチャの斜視図又は断面図である。
【図6】本開示の装置の例示的な突出フィーチャの斜視図又は断面図である。
【図7】本開示の装置の例示的な突出フィーチャの斜視図又は断面図である。
【図8】本開示の装置の例示的な突出フィーチャの斜視図又は断面図である。
【図9】本開示の装置の例示的な突出フィーチャの斜視図又は断面図である。
【図10】本開示の装置の例示的な突出フィーチャの斜視図又は断面図である。
【図11】本開示の装置の例示的な突出フィーチャの斜視図又は断面図である。
【図12】例えば図1A〜3の場合と同様の、本開示の装置を用いる例示的な方法における選択されたステップの流れ図である。
【図13】例えば図1A〜12の場合と同様の、本開示の装置を製造する例示的な方法における選択されたステップの流れ図である。
【図14】例えば図13の場合と同様の、本開示の装置を製造する例示的な実施形態の選択された段階の平面図である。
【図15】例えば図13の場合と同様の、本開示の装置を製造する例示的な実施形態の選択された段階の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1A及び1Bは例示的な装置100の断面図を示す。装置100は、設計された金属の変形可能な突出フィーチャ110を有する伝熱構造体105を備える。金属の変形可能な突出フィーチャ110は、図1Aに示す突出フィーチャ110の変形前の形状など、変形前の形状に比べて少なくとも1つの寸法115において圧縮されるように構成される。
【0010】
一般的には、圧縮量が大きい場合ほど熱伝達が改善される。しかしながら、より高率の圧縮を得るにはより多量の圧縮力が必要になり、それによって装置100の構成要素を誤って損傷する恐れがある。従って、少なくとも1つの寸法115における圧縮量は、改善される熱伝達と装置を損傷することとの間で注意深く釣り合わせるようにする。いくつかの好ましい実施形態では、金属の変形可能な突出フィーチャ110は、少なくとも1つの選択された寸法(例えば高さ)において、変形前の形状に比べて少なくとも約1パーセント圧縮されるように構成される。他の好ましい実施形態では、金属の変形可能な突出フィーチャ110は、少なくとも1つの選択された寸法115において、少なくとも約5パーセント、場合によっては少なくとも約25パーセント圧縮されるように構成される。
【0011】
いくつかの好ましい実施形態では、個々の突出フィーチャ110は、ミリメートルサイズ又はより小さい構造体である。即ち、金属の変形可能な突出フィーチャ110のそれぞれが、約1ミリメートル以下の少なくとも1つの第2の寸法120(例えば幅、高さ又は厚さ)を有する。ミリメートルサイズの突出フィーチャは、有利なことに、一部の構成要素の不規則な面又は粗い面に適合し(例えば、ぴったりと接触し)、それによって構成要素間の熱伝達を改善することができる。またミリメートルサイズの突出フィーチャは、有利なことに、変形するのに大きいサイズの突出フィーチャ110より少量の圧縮力しか必要とせず、それによって、突出フィーチャ110を圧縮するとき、装置100の構成要素を損傷する危険性が低減される。
【0012】
本明細書で使用する、設計されるという用語は、原理に従い本明細書に記載される手順によって、意図的に作製される1つ以上の立体形状を有する突出フィーチャ110を指す。突出フィーチャ110は、機械的に変形することによって装置100の基板又は構成要素130、132の境界面125、127の不均一性に適合すると同時に、熱の流れの方向140全体にわたる連続した熱の経路を維持するように設計される。例えば、突出フィーチャ110は、面125、127が図1Aに示すように同一平面上にあるかどうか、或いは面125、127の一方若しくは両方が湾曲している、又は他の状態の非平面であるかどうかにかかわらず、両方の面125、127に物理的に接触するように設計される。設計された突出フィーチャ110は、一部の金属構造体に自然に生じる、又は析出、切断、つち打ち若しくは他の製造工程によって金属構造体を成形した結果として意図せずに生じることがある面の仕上がり状態と対照をなす。
【0013】
明確にするために、ある特定の設計の態様を、例示的な突出フィーチャにおける単一の要素として示している。しかしながら、突出フィーチャ110のいくつかの好ましい実施形態は、単一の構造体において複数の設計の態様を組み合わせることが可能であることを理解すべきである。
【0014】
いくつかの実施形態では、装置はさらに電気デバイス145を含む。例えば、装置100が電気通信システムのリモート無線ヘッド、基地局、コンピュータ又は他の部分であるとき、電気デバイス145は回路基板とすることができる。デバイスは、境界面125、127で互いに接触する少なくとも2つの構成要素130、132を有することが可能であり、伝熱構造体105は境界面125、127の間に配置される。構成要素130、132の例示的な実施形態はヒートシンク又は熱源(例えば集積回路)を含む。
【0015】
本開示の突出フィーチャ110は、(例えば少なくとも約1パーセントだけ)突出フィーチャの圧縮をもたらすのに十分な変形圧力によって機械的に圧縮されるように設計される。しかしながら、変形圧力は通常、やはり変形圧力を受ける可能性がある装置100の構成要素130、132の圧縮若しくは他の変形、又は損傷を回避するように注意深く調整される。例えば変形圧力が過大である場合には、伝熱構造体105の下又は上に配置される構成要素130、132が損傷を受ける恐れがある。
【0016】
本明細書で使用する、突出したという用語は、突出したフィーチャ110を作る金属材料が、突出したフィーチャ110がその上に配置される面125と同一平面上にないことを意味する。例えばいくつかの実施形態では、金属の変形可能な突出フィーチャ110は、装置100の構成要素130の面125上に配置すること、また場合によっては面125上に直接形成することができる。
【0017】
図2にある断面図に示すような他の実施形態では、突出フィーチャ110は伝熱構造体105の一部でもあり、装置の別個の構成要素ではない基板220の1つ以上の面210、215上に配置すること、また場合によっては面210、215上に直接形成することができる。そうした実施形態では、装置100は、突出フィーチャ110及び基板220を備える伝熱構造体105のみからなること、又は図1Aに示すものと同様の他の構成要素(図示せず)をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、突出フィーチャ110は、平坦な基板220の第1の側面225及び反対側の第2の側面230の、面210、215の一方又は両方に配置することができる。場合によっては、基板220は、突出フィーチャ110と同じ金属又は異なる金属で作製された変形可能な金属基板である。例えば、例示的な基板220は、約10〜1000ミクロンの範囲の厚さ235を有する平坦な金属箔とすることができる。しかしながら、他の実施形態では、構成要素の面にさらに適合しやすくするために、基板220を湾曲させる、又は他の非平面の形状を有するようにすることができる。
【0018】
場合によっては、第2の寸法120を第1の寸法115と同じにすることができる。例えば、第1の寸法115及び第2の寸法120はどちらも、約1ミリメートル以下とすることが可能な突出フィーチャの高さ150に一致させることができる。図1Aに示すような他の場合には、第2の寸法120は突出フィーチャ110の幅152に一致させることができる。突出フィーチャ110が均一な幅152を有していない(例えば、突出フィーチャの幅にテーパ付いている)場合によっては、幅の少なくとも一部(例えば、突出フィーチャ110の頂部156における幅154)を約1ミリメートル以下にする。さらに他の場合には、第2の寸法120は突出フィーチャ110の厚さに一致させることができる。例えば、以下で図9に関する文脈で論じるように、突出フィーチャ110が中空であるとき、第2の寸法120は突出フィーチャ110の外壁の厚さに一致させることができる。
【0019】
図3は、金属の変形可能な突出フィーチャ110を少なくとも1つの寸法115において圧縮した後の、図1Aに示す例示的な装置100の断面図を示している。例えば、第2の構成要素132の面を突出フィーチャ110の頂部156(図1A)に接触させ、装置110の第2の構成要素132を、突出フィーチャ110がその上に配置される第1の構成要素130に向かって押圧することによって、突出フィーチャ110に変形圧力305を加えることができる。
【0020】
少なくとも1つの寸法115における圧縮は、突出フィーチャ110の形状の曲げ若しくは座屈によって、又は突出フィーチャ110の形状を変える他のモードによって行うことができる。以下でさらに論じるように、突出フィーチャ110は、加える変形圧力305を最小限に抑えながら突出フィーチャ110の効率的な圧縮を容易にする形状及び寸法を有するように特別に設計することができる。特に突出フィーチャ110の形状及び寸法の選択、突出フィーチャ110間の間隔、及び突出フィーチャ110の形成に用いられる材料のタイプは全て、突出フィーチャ110を所与の加圧力305に対して圧縮し、熱伝達を容易にする方法又は程度を制御するための新しく発見された結果有効な変数である。
【0021】
いくつかの好ましい実施形態では、圧縮される寸法115は熱の流れの方向140に平行である。これにより、圧縮される突出フィーチャ110の1つ1つが熱伝達方向140に沿って、構成要素130の1つの面125を別の構成要素132の別の面127に熱的且つ物理的に直接つなぐ金属の連続相を形成するのを容易にすることができる。圧縮された突出フィーチャ110の金属を、熱の流れの方向140における支配的な連続相として有することにより、構成要素130、132の間の熱伝達が容易になる。これは、比較的不十分な熱導電率を有する有機マトリックスが熱の流れ方向における支配的な連続相である、従来のTIMと対照的である。
【0022】
図1Aに示すように、圧縮前、突出フィーチャ110は互いに直接接触しない別々の構造体とすることができる。図3に示すように、ある寸法115における圧縮により、圧縮される寸法115及び加えられる変形圧力305に対して実質的に垂直である、突出フィーチャ110の他の寸法310も同時に増大する。図3に示すようないくつかの実施形態では、圧縮後、突出フィーチャ110を他の寸法310において十分に拡張又は増大させ、横方向に隣接する突出フィーチャ110に物理的に接触するようにすることができる。隣接する突出フィーチャ110間の横方向の接触は、有利なことに熱伝達を容易にすることもできる。例えば、突出フィーチャ110の隣接するもの同士の間の横方向の接触は、構成要素130、132内の局所的な高熱発生領域(例えばホットスポット)から熱を放散除去するのを助けることができる。
【0023】
図1及び3に示すように、構成要素130、132の面125、127は不均一性を有する可能性がある。構成要素の面125、127における不均一性には、隙間、窪み、機械加工用のマークなどの局所的な不規則性、或いは凹凸領域、又は面、又は他の非平面領域又は面などのより非局所的な不規則性を含むことができる。いくつかの好ましい実施形態では、突出フィーチャ110の圧縮されたものは、装置100の構成要素132の不規則な非平面の面127に対して共形的に輪郭付けされる。例えば突出フィーチャ110は、圧縮された後、構成要素130、132の面125、127を物理的且つ機械的につなぐ金属の連続相を形成するように、十分高く設計することができる。様々な程度まで圧縮できることにより、突出フィーチャ110の配列170は、不規則な面125、127全体にわたるコンプライアントな(compliant)結合を容易にする。これは、一部の構成要素の不規則な非平面の面に適合する能力に劣る、インジウム又はグラファイトのような従来の柔らかい金属又は他の柔らかい材料と対照的である。
【0024】
構成要素130、132の境界面125、127の両方が不規則である、又は少なくとも1つの面132がきわめて不規則であるときなど、場合によっては、図2に示すような伝熱構造体105を使用すると特に有利になることがある。両面の突出フィーチャ110(例えば、基板220の両側面225、230上の突出フィーチャ110)を有する伝熱構造体105は、片面の突出フィーチャ110(例えば、基板220の側面225、230の一方、又は一方の構成要素130の上の突出フィーチャ110)より、不規則な面125、127の両方により正確に適合する能力を有することができる。しかしながら、他の場合には、図1Aに示すような不規則な面130の上に直接形成された突出フィーチャ110が面130に対する所望の適合性をもたらすこともある。
【0025】
さらに他の場合には、突出フィーチャ110を、構成要素130、132の境界面125、127の両方の上に形成することができる。例えば、一方の面127をヒートシンク132の面とし、他方の面125をパッケージ化された集積回路のリッドとすることができる。図1Bに示すようなそうしたいくつかの実施形態では、変形圧力が加えられると、1つの面125上の突出フィーチャ110(例えば、突出フィーチャ110の配列170)が、もう1つの面127上の突出フィーチャ110(例えば、突出フィーチャ110の配列170、171)と互いにかみ合うように、それぞれの境界面125、127上の突出フィーチャ110を互い違いに配置することができる。突出フィーチャ110は、2つの面125、127のどちらか又は両方に、同じ構造又は異なる構造(例えば、同じ又は異なる高さ、形状など)を有することができる。
【0026】
図1A及び3にさらに示すように、いくつかの実施形態では、金属の変形可能な突出フィーチャ110の隣接するものの間に、接着剤又は熱グリース160を配置することができる。場合によっては、接着剤160は、構成要素130、132(例えば、熱的に結合される構成要素130、132)を一緒に保持するのを助けることができる。場合によっては、チキソトロープ・グリース(thixotropic grease)などの熱グリース160は、境界面125、127(例えば、互いに向き合う面125、127)の間の空気ポケットを減少させる又はなくすことによって、熱伝達性能を改善することができる。いくつかの好ましい実施形態では、突出フィーチャ110は、突出フィーチャ110が圧縮されるとき、接着剤又は熱グリース160が突出フィーチャ110の間を自由に移動できるように設計される、又は間隔を置いて配置される。例えば、圧縮される寸法115に対して垂直な方向315に、接着剤又は熱グリース160の連続相が存在するようにすることができる。他の場合には、突出フィーチャ110の間に接着剤又は熱グリース160の不連続な領域が存在してもよい。
【0027】
突出フィーチャ110及び任意選択の基板220を作製する(1つ以上の)金属は、伝熱構造体105の用途に適用可能な基準を満たすように注意深く選択することができる。構成要素130、132の境界面125、127全体にわたる熱抵抗を最小限に抑えるために、金属の熱伝導率を最大にし、その金属の弾性率(modulus)を最小にすることが望ましいことがある。他の関連する考慮すべき問題には、腐食、酸化及びクリープに対する金属の耐性、又は金属のコストが含まれる。さらに金属の融点は、伝熱構造体105が溶解又はクリープしないことを保証するために、装置100の動作温度より十分高くすべきである。酸化及び腐食に耐性のある低弾性率(例えば体積弾性率)、高熱導電率の金属の例には、銀、銅、アルミニウム、スズ、鉛、ニッケル、インジウム又はそれらの合金が含まれる。
【0028】
いくつかの好ましい実施形態では、突出フィーチャ110はテーパ付きの形状を有することができる。例えば図1Aに示すように、いくつかの実施形態では、突出フィーチャは円錐形とすることができる。テーパ付きの形状を有する突出フィーチャは、有利なことに、同様のサイズのテーパなしの突出フィーチャ110に比べて圧縮に少量の変形圧力しか必要としないようにすることができる。テーパ付きの形状を有する突出フィーチャの圧縮に要する圧力が低減されることは、テーパなしの形状に比べて圧縮する必要がある材料の量が少ない(例えば、同じ最大幅のテーパなしの突出フィーチャより塑性変形中に移動する材料の量が少ない)ことに起因する。一例として、1mmの基部直径152及び2mmの高さ150を有する円錐形の突出フィーチャ110について考える。円錐形の突出フィーチャ110のいくつかの実施形態は、高さ150を50パーセント低減するのに約0.7MPaの変形圧力305を必要とすることがある。それに比べて、同じ高さ及び基部直径152に等しい直径の円筒形の柱状体など、テーパなしの突出フィーチャ110は、(例えば、高さ150を50パーセント低減するのに)約6倍以上の変形圧力を必要とすることがある。それにもかかわらず、円錐体による熱抵抗が円筒体の場合より高くなることもあるため、テーパなしの形状(例えば柱状体)を有する突出フィーチャ110が好ましい場合も依然としてあり得る。
【0029】
さらなる設計の態様を示すために、図4〜11は、金属の変形可能な突出フィーチャ110に関するいくつかの例示的な実施形態の斜視図又は断面図を示している。明確にするために、図4〜11に示す構造の類似の構造を示すのに、図1〜3で使用した同じ参照番号を用いている。
【0030】
図4は、伝熱構造体が突出フィーチャ110の2次元配列170を含む、装置100の例示的な実施形態の斜視図を示している。図2に示す実施形態と同様に、金属の変形可能な突出フィーチャ110は、平坦な変形可能な金属基板220の一方の側面225(例えば第1の側面)及び反対側の側面230(例えば第2の側面)の上に配置される。一方の構成要素の不規則な面に対する共形的な輪郭付けを容易にするために、反対側の側面230上の突出フィーチャ110の位置は、一方の側面225上の突出フィーチャ110の位置に対して互い違いに配置される。2つの側面225、230上の突出フィーチャ110の位置を互い違いに配置することによって、両方の側面225、230上に突出フィーチャ110の2次元配列170が形成される。そのような互い違いに配置された突出フィーチャ110の位置によって、所望の圧縮を得るための最小の加圧力305(図3)を用いた曲げモードによる圧縮を促すことができる。
【0031】
図4にさらに示すように、伝熱構造体105のいくつかの実施形態は、基板220の中に開口部410を含むことが可能であり、開口部410は、基板220上の突出フィーチャ110の位置の間に配置することができる。開口部410は、基板220の一方の側面225から他方の側面230まで延びることができる。開口部410は、有利なことに、接着剤又はグリース160(図1A又は3)が構成要素130、132の上面125と下面127の間を流れることを可能にし、従って、接着剤又はグリースの両横方向315における、及び熱の流れの方向140に沿った流れを促進する。
【0032】
図5は、突出フィーチャ110の2次元配列170を備えた伝熱構造体105を有する、装置100の他の例示的な実施形態の斜視図を示している。基板220は、基板220の一方の側面225上に配置された突出フィーチャ110間に点在する、開口部510の配列505も有している。基板220内の開口部510の配列505により、突出フィーチャ110が圧縮されるとき、接着剤又は熱グリース160(図1A及び3)が均一に分散するのを容易にすることができる。例えば開口部510の配列505によって、接着剤160が構成要素130、132の境界面125、127に沿って容易に流れ、より効率的に隙間を満たすことが可能になる(図3)。
【0033】
図5にさらに示すように、突出フィーチャ110のいくつかの実施形態は、均一に分散した2次元配列170として構成することができる。しかしながら、他の場合には、突出フィーチャ110の配列170をランダムに分散させることができる。図5に示す突出フィーチャ110は、実質的に角錐形である。しかしながら、柱、円錐又は環など様々な他の形状を2次元配列170として配置することが可能である。
【0034】
突出フィーチャ110の形状は、製造しやすさと圧縮時の効率的な熱伝達の実施との間の釣り合いに基づいて選択することができる。
【0035】
例えば図6の斜視図に示すように、突出フィーチャ110は、例えばワイヤボンディング装置を用いてスタッドバンプとして形成された柱状体の配列170とすることができる。そうした突出フィーチャ110は既存の製造工程を用いて形成するのが容易であり、且つ費用がかからないという利点を有している。ワイヤボンディング装置では一般に、共に高熱伝導性金属であるアルミニウム及び金が使用されるが、銅及び他の金属を使用することもできる。さらに、そうした突出フィーチャ110は、所望される場合には、構成要素130の面125上に直接形成することを含めて様々な面の上に形成することができる。
【0036】
他の例として図7の断面図に示すように、突出フィーチャ110は、電気めっきした柱状体の配列170とすることができる。そうした突出フィーチャ110は形成するのに費用がかからず、製造を拡大して多数の伝熱構造体105を生産することができる。さらにそうした突出フィーチャ110は、所望される場合には、構成要素130の面125上に直接形成することを含めて、様々な面の上に形成することもできる。さらに、電気めっきした柱状体として構成される突出フィーチャ110は、高いアスペクト比(例えば、高さ150と直径152の比が約5:1以上、又は約5:1〜10:1の範囲内)を有するように製造することができる。銀及び金などの金属は、既存の製造工程を用いて電気めっきすることができる。さらに、異なる金属の複数の層を備える電気めっきした柱状体を形成することができる。例えば、図7に示す突出フィーチャ110は、銅層710及びより薄いスズ層720を備える柱状体として構成することができる。(例えば、複数の電気めっきした金属層を有する)多層の柱状体として構成される突出フィーチャは、例えば銅の高い熱伝導性及びスズの延性など、異なる金属の材料特性を利用することができる。
【0037】
図7に示すようないくつかの実施形態では、突出フィーチャ110のそれぞれが実質的に同じ高さ150(例えば10パーセント以内の同じ高さ)を有することができる。しかしながら、他の実施形態では、異なる高さを有する突出フィーチャの少なくとも2つの群が存在してもよい。そうした実施形態が、図8の斜視図に示されており、そこでは、群810の中の突出フィーチャ110が同じ高さ815を有し、第2の群820の中の突出フィーチャ110が第2の高さ825を有し、第2の高さ825は第1の高さ815より少なくとも約10パーセント大きい。
【0038】
異なる高さ815、825を備えた群810、820を有する突出フィーチャ110の配列170は、不規則な構成要素の面に対して所望のレベルの適合性を得るために必要な全加圧力を最小限に抑えるのを助けることができる。圧縮中、最も高い群830の突出フィーチャ110が最初に圧縮を受ける。そのような群830の中の突出フィーチャ110が比較的少数である場合には、圧縮に必要な加えられる変形圧力はきわめて小さくなる。従って、所与の量の加圧力に対して得られる圧縮は、均一な高さの突出フィーチャ110の配列170に比べて大きくなる。あるレベルの圧縮が得られると、次に高い群820の突出フィーチャ110が圧縮を受け始める。これによって、構成要素の不規則な面に対する適合性を高めるように改善するために必要な圧力は増大するが、有利なことに、面と熱的に接触する点の総数が増加する。この手法は、構成要素内のホットスポットからの熱を放散させる必要があるとき、又は構成要素の表面が高度の不規則性を示すとき、特に適切に機能する。
【0039】
図9A〜9Cの斜視図に示すようないくつかの実施形態では、突出フィーチャ110の1つ以上を中空にすることができる。中空円錐体を図9A〜9Cに示すが、本明細書で論じる突出フィーチャ110の他の形状の任意のものを中空構造体として構成することが可能である。突出フィーチャ110が中空である場合では、第2の寸法120(図1A)は、突出フィーチャ110の外壁915の厚さ910(図9A)に対応することができる。
【0040】
中空の突出フィーチャ110を使用することの1つの利点は、同じサイズである同等の中実の突出フィーチャよりも、圧縮するのにかなり小さい圧力305しか必要としないようにできることである。中空の突出フィーチャ110の壁915の厚さ910を、突出フィーチャの全体の厚さ152より薄くすることができるため、圧縮により小さい圧力しか必要としない。さらに、変形圧力305を加えるとき、壁915が中空の突出フィーチャ110の外側又は内側に向かって移動することができるため、中空の突出フィーチャ110をより小さい側面積の中に密集させることが可能である。しかしながら、場合によっては、中実の突出フィーチャ110は中空の突出フィーチャ110より多くの金属を含み、結果として、より効率的な熱伝達経路を形成することができるため、中実の突出フィーチャ110が好ましいこともあり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、突出フィーチャ110の1つ以上が、突出フィーチャ110がその寸法において圧縮されるように構成される、少なくとも1つの寸法115に沿った湾曲面925(図9B、9C、9E)を有している。そのような湾曲した突出フィーチャ110の1つの利点は、そうした構造が、実質的に同等の湾曲していない突出フィーチャ110に比べて、圧縮するのにかなり小さい圧力しか必要としないようにできることである。例えば、湾曲した突出フィーチャ110に変形圧力を加えると、同等の湾曲しない突出フィーチャより容易に曲がる。
【0042】
前述の実施形態の一部についてさらに説明するために、図9Aに示すような銅製の中空円錐体として構成された突出フィーチャ110の例示的な配列170について考える。各円錐体は、約1mmの基部直径152及び約2mmの高さ150、並びに約50ミクロンの壁915の厚さ910を有している。高さ150を75パーセント圧縮するのに必要な変形圧力は、同じサイズの銅製の中実円錐体である同様の配列170を圧縮するのに必要な圧力の約17パーセントにすぎない。図9Bに示すような銅製の中空凸形円錐体として構成される、突出フィーチャ110の同様の配列170を同様に圧縮するのに必要な圧力305は、中実円錐体に要する圧力の約15パーセントである。図9Cに示すような銅製の中空凹形円錐体として構成される、突出フィーチャ110の同様の配列170を同様に圧縮するのに必要な圧力305は、中実円錐体に要する圧力の約7パーセントである。突出フィーチャ110を中空凹形円錐体として構成することのさらなる利点は、変形圧力を加えるとき、この形状によって余分な接着剤又は熱グリース160(図1A、図3)が構成要素間の最も近い接触領域から除かれ、追加の接着剤又はグリース160から利益を得ることができる領域へ流れるのを容易にすることができることである。
【0043】
図9B及び9Cに示すような場合では、湾曲した突出フィーチャ110を対称に湾曲させる。他の場合には、湾曲した突出フィーチャ110を非対称に湾曲させることができる。非対称な湾曲により、突出フィーチャ110の圧縮を得るのに必要な変形圧力をさらに低減するのを助けることができる。例えば、湾曲した突出フィーチャ110は、直角の円錐体(図9D)、又は非対称の凹形円錐体(図9E)とすることができる。他の例として、図5は、非対称に湾曲させた実質的に角錐形の突出フィーチャ110を示している。
【0044】
図10A及び10Bは、特異点1010を有する例示的な突出フィーチャ110の斜視断面図を示している。本明細書で使用する特異点1010という用語は、圧縮される少なくとも1つの寸法115に沿った突出フィーチャ110の滑らかさ、又は形状の面における急な不連続を指す。いくつかの実施形態では、突出フィーチャ110の1つ以上が、少なくとも1つの寸法115に沿った特異点1010を有している。特異点1010の存在により、突出フィーチャ110の圧縮を得るのに必要な変形圧力305を低減するのを助けることができる。例えば、変形圧力305を加えると、特異点110の近傍で突出フィーチャ110における最初の曲げを生じさせることができる。図10Aに示す例示的な突出フィーチャ110では、特異点1010はカルデラ状のものとして構成される。図10Bに示す例示的な突出フィーチャ110では、特異点1010は、突出フィーチャ110の円錐体1020の部分と反転した円錐体1030の部分が接続される点に位置している。さらに他の実施形態では、特異点は、突出フィーチャの他の状態の滑らかな面における急な内向き(例えばクリンプ)若しくは外向き(例えばバンプ)の窪み、又はバンプとすることができる。
【0045】
装置100のさらに他の実施形態では、突出フィーチャ110をひれ状体として構成し、ひれ状体の1次元配列170として配置することができる。突出フィーチャ110のそれぞれがひれ状体であるそうした実施形態を、図11の斜視図に示す。2次元配列170について先に論じたものと同様に、ひれ状体の厚さ、ひれ状体間の間隔及びひれ状体の曲率は全て、伝熱構造体105の特性を変えるように調整することができる。例えば図11に示すように、圧縮を得るために加えなければならない圧力の量を最小限に抑えるために、ひれ状体を湾曲させることができる。圧縮の座屈モードにまさる圧縮の曲げモードが生じるため、湾曲したひれ状体は、まっすぐなひれ状体に比べて圧縮により小さい圧力しか必要としないようにすることができる。ひれ状体として構成された突出フィーチャ110は、圧縮圧力を加えるとき、隣接するひれ状体に倒れ込むように配置することが可能であり、それによって図3の文脈で先に論じたものと同様に、熱伝達のためのさらなる経路を生成する。場合によっては、構成要素の不規則な面への局所的な適合を容易にするために、特異点である横断面をひれ状体の長さに対して垂直に作製することができる。
【0046】
再び図1A及び3を参照すると、装置100の他の実施形態は、第1の面125を有する第1の基板130、及び第1の面125に向き合う第2の面127を有する第2の基板132を備えている。装置100は、第1の面125上に配置された金属の突出フィーチャ110の配列170も備え、各突出フィーチャ110は、第1の面125に接触して第2の面127に向かい、突出フィーチャ110の一部156が圧縮力305によって変形を受ける。
【0047】
いくつかの実施形態では、2つの配列170、171が面125、127のそれぞれの上に存在することができる(図1B)。いくつかの実施形態では、金属の変形可能な突出フィーチャ110は、第1の面125のある領域172(図1A)の各部分と第2の面127との間に物理的な接続を形成するが、第1の面127の領域172は非平面である。いくつかの実施形態では、金属の突出フィーチャ110のそれぞれが、第1の面125及び第2の面127を直接つなぐ金属の連続相を形成する。いくつかの実施形態では、配列170は円錐体、柱状体(例えば、柱状体又は円錐体として構成される突出フィーチャ110)の2次元配列である。いくつかの実施形態では、金属の突出フィーチャ110はひれ状体である(例えば図11)。いくつかの実施形態では、金属の突出フィーチャ110のそれぞれが2つの金属層710、720(例えば図7)を含み、各金属層710、720が異なる金属からなる。いくつかの実施形態では、金属の突出フィーチャ110のそれぞれが実質的に同じ高さ115を有する。いくつかの実施形態では、金属の変形可能な突出フィーチャ110は中空である(例えば図9A〜9C)。いくつかの実施形態では、2つの異なる高さ815、825を有する金属の変形可能な突出フィーチャ110の少なくとも2つの群810、820が存在する(例えば図8)。いくつかの実施形態では、金属の突出フィーチャ110の1つ以上が、湾曲した面925(図9)又は特異点1010(図10)を有する。いくつかの実施形態では、各基板130、132は集積回路である。
【0048】
再び図2を参照すると、装置100の他の実施形態は、前面225及び裏面230を有する金属の平坦な基板220を備え、裏面225は前面225の反対側にある。装置100は、面225、230のそれぞれの上に直接配置された金属の突出フィーチャ110の少なくとも1つの配列170(場合によっては2つの配列170、250)をさらに備えている。いくつかの実施形態では、図2の装置100は、第1の面125を有する第1の基板130(例えば第1の集積回路)、及び第2の面127を有する第2の基板132(例えば第2の集積回路)をさらに備えることができ、第1の面125及び第2の面127のそれぞれが、配列170、250の1つの突出フィーチャ110と直接物理的に接触する。
【0049】
本開示の他の実施形態は、装置を用いる方法である。図12は、図1A〜3の装置100など、装置1200を用いる例示的な方法1200における選択されたステップの流れ図を示している。引き続き図1A〜3を参照すると、方法1200は、電気デバイス145の第1の構成要素130の面125上に伝熱構造体105を設けるステップ1210を含む。伝熱構造体105は、金属の変形可能な突出フィーチャ110を含む。
【0050】
突出フィーチャ110の実施形態はいずれも、ステップ1210で設けることができる。突出フィーチャ110は、変形前の形状(例えば図1A、1B又は2に示すような形状)に比べて、少なくとも1つの寸法115において圧縮されるように構成される。いくつかの好ましい実施形態では、突出フィーチャ110のそれぞれが、約1ミリメートル未満の少なくとも1つの第2の寸法120を有する。
【0051】
場合によっては、ステップ1210における突出フィーチャ110を設けるステップは、構成要素130、132の一方又は両方の境界面125、127上に突出フィーチャを形成するステップを含むことができる。他の場合には、ステップ1210における突出フィーチャ110を設けるステップは、境界面125、127の一方の上に、図2に示すような成形前の熱伝達構造体を配置するステップを含むことができる。
【0052】
方法1200は、伝熱構造体105が第1の構成要素130と第2の構成要素132の中間に配置され、且つ突出フィーチャ110が、第1の構成要素130と前記構成要素132を互いに接触させる前に比べて、少なくとも1つの寸法において少なくとも約1パーセント圧縮されるように、電気デバイス145の第2の構成要素132を第1の構成要素130に向かって押圧するステップ1220も含む。例えばいくつかの実施形態では、押圧ステップ1220は、少なくとも約0.7mPaの変形圧力を与えるステップを含む。
【0053】
図1Bに示すような場合には、第2の構成要素132は、面127上に配置された第2の熱伝達構造105も有し、押圧ステップ1220では、両方の面125、127上に配置された突出フィーチャ110を圧縮することができる。熱伝達構造105が基板220の一方又は両方の側面225、230上に突出フィーチャ110を含む、図2に示すような場合、押圧ステップ1220では、両方の側面225、230上に配置された突出フィーチャ110を圧縮することができる。
【0054】
方法のいくつかの実施形態はさらに、2つの構成要素130、132をそれらの間に配置された伝熱構造体と一緒に固定するステップ1230を含む。場合によっては、固定ステップ1230は、構成要素130、132を一緒に保持するように、機械的クランプを用いて実施することができる。他の場合には、固定ステップ1230は、押圧ステップ1220の前に突出フィーチャ110間に接着剤160を配置することによって実施することができる。
【0055】
引き続き図1A及び12を参照すると、方法1200の他の実施形態は、(ステップ1210)電気デバイス145の第1の構成要素130の面125上に伝熱構造体105を設けるステップを含み、伝熱構造体105は金属の変形可能な突出フィーチャ110を含む。図3に示すように、方法1200は、(ステップ1220)伝熱構造体105が第1の構成要素130と第2の構成要素132の中間に配置されるように、電気デバイス145の第2の構成要素132を面125に向かって押圧し、その結果、金属の変形可能な突出フィーチャ110の少なくとも一部154(図1A)が変形を受け、その高さ115(図3)を押圧前の突出フィーチャ110の高さ115(図1A)に比べて少なくとも約1パーセントだけ低減するステップも含む。
【0056】
他の実施形態は、装置を製造する方法である。図13は、図1A〜11に示すような装置及びその各部分を製造する例示的な方法1300における、選択されたステップの流れ図を示している。
【0057】
引き続き図1A〜11を参照すると、方法1300は伝熱構造体105を形成するステップ(ステップ1305)を含み、また金属の変形可能な突出フィーチャ110を形成するステップ1310を含む。
【0058】
場合によっては、突出フィーチャ110を形成するステップ(ステップ1310)は、装置100の構成要素130、132の1つ以上の面130、132の上に突出フィーチャ110を形成するステップ1315を含む。場合によっては、突出フィーチャ110を形成するステップ(ステップ1310)は、伝熱構造体105の一部である基板220の1つ以上の面210、215の上に形成するステップ1320を含む。
【0059】
本明細書に記載する装置の実施形態はいずれも、そうした方法によって製造することができる。これまでに論じたように、いくつかの好ましい実施形態では、突出フィーチャ110は、少なくとも1つの寸法115において少なくとも1パーセント圧縮されるように構成され、約1ミリメートル以下の少なくとも1つの第2の寸法120を有している。
【0060】
場合によっては、ステップ1315における面上に突出フィーチャ110を形成するステップは、構成要素の面125上に直接突出フィーチャ110を形成するためのワイヤボンディング・ステップ1322を含む。例えば図4に示すような柱状体として構成される突出フィーチャ110は、ステップ1322によるスタッド・バンピング(stud bumping)によって形成することができる。当業者は、ワイヤボンディング工程、及びワイヤボンディングによって製造可能な他のタイプの突出フィーチャ110の形状に精通しているであろう。例えばステップ1322において、環状体を有する突出フィーチャを形成することができる。
【0061】
場合によっては、ステップ1315における面上に突出フィーチャ110を形成するステップは、構成要素の面125上に直接突出フィーチャ110を形成するための電気めっきステップ1324を含む。当業者は、突出フィーチャを形成するために使用可能な電気めっき工程に精通しているであろう。例えば1つ以上の金属を、構成要素の面125上に配置されたフォトレジスト層内の開口部を通して電気めっきし、図7に示すような単層又は複層の柱状体として構成される突出フィーチャ110を形成することができる。
【0062】
場合によっては、ステップ1320における基板の面上に突出フィーチャを形成するステップは、ワイヤボンディング・ステップ1322又は電気めっきステップ1324を含むことができる。例えばワイヤボンディング・ステップ1322又は電気めっきステップ1324によって、金属基板220の面210上に、柱状体として構成される突出フィーチャ110を形成することができる。
【0063】
場合によっては、突出フィーチャを形成するステップ(ステップ1310)はキャビティ鋳造(cavity casting)工程(ステップ1330)を含む。キャビティ鋳造は、低コストの処理、及びあらゆるタイプの金属と共に使用できることを含めた利点を有することができる。キャビティ鋳造工程(ステップ1330)は鋳型を形成するステップ1332を含む。鋳型は突出フィーチャの形状を複製するキャビティを有する。鋳型を形成するステップは突出フィーチャのモデルを形成するステップを含むことができる。場合によっては、鋳型は突出フィーチャを相互に連結する基板を複製することもできる。キャビティ鋳造工程(ステップ1330)は、金属をキャビティの中に入れ、それによって突出フィーチャを形成するステップ1334も含む。場合によっては、ステップ1334で液体金属を鋳型に入れ、次いで冷却することができる。他の場合には、金属粒子を鋳型に入れ、次いで加熱してキャビティ内にある間に金属を液化し、次いで冷却する。キャビティ鋳造工程(ステップ1330)はさらに、突出フィーチャを鋳型から分離するステップ1336を含む。場合によっては、分離ステップ1336によって鋳型が破壊されるが、他の場合には、鋳型を再利用することができる。例えば分離ステップ1336は、ワックス又はポリマー(例えば、熱可塑性又は熱硬化性ポリマー)の鋳型を溶解又は燃焼させて除くように、オーブン内で加熱するステップを含むことができる。分離ステップ1336は、鋳型材料を全て取り除くために、化学洗浄又はプラズマ洗浄などの洗浄ステップを含むことができる。
【0064】
引き続き図13を参照すると、図14A〜14Iは、ステップ1330による例示的なキャビティ鋳造工程の選択された段階の平面図を示している。図14A〜14Eは、鋳型を形成するステップ1332における様々な段階を示している。図14Aは、ターゲットの突出フィーチャの形状に一致するように製造されたモデル1405を示している。例えばモデル1405は、ポリマー又はワックス材料の3次元プリント又は機械加工など様々な技術を用いて製造することができる。そうした技術は、極めて高いアスペクト比を有する形状(例えば、高さの比が約10以上の突出フィーチャ)を含む、様々な形状及びサイズを製造するのに特に有効である。図14Bは、突出フィーチャの形状を複製するキャビティ1415を形成することを含む、第1の鋳型1410の形成を示している。例えばモデル1405を使用し、室温でのシリコーンゴムの加硫を用いて第1の鋳型1410を作製することができる。図14Cは、第1の鋳型からモデル1405を取り外した後の鋳型1410を示している。
【0065】
図14Dは、第2のモデル1420(例えば第1のモデル1405のワックス複製など、犠牲的な第2のモデル)を作製するために用いられる第1の鋳型1410を示しており、次いで、第2のモデル1420が鋳型1410から取り外される(図14E)。第2のモデル1420を用いて、突出フィーチャの形状を複製するキャビティ1430を有する、第2のインベストメント鋳型1425を形成する(図14F)。次いで、第2のモデル1420は、第2のモデル1420を破壊することによって第2の鋳型1425から取り除かれる。例えば第2のモデル1420を溶解又は燃焼させてキャビティ1430から外し、空のキャビティ1430を形成することができる(図14G)。次いで、第2の鋳型1425を使用し、図14H〜14Iに示すようなインベストメント鋳造工程を用いて突出フィーチャ1435を作製することができる。例えばステップ1334に従って、金属1440をキャビティ1430に入れることができる(図14H)。次いでステップ1336に従って、突出フィーチャ1445を第2の鋳型1420から取り外すことができる(図14I)。
【0066】
複雑な形状を有するいくつかの突出フィーチャ、又は突出フィーチャのいくつかの2次元配列の場合、モデル1405又は鋳型1410の一方又は両方を破壊することなく、モデル1405を鋳型1410から取り外すのが難しい場合がある。そのような場合には、第2のモデル1420を用いる代わりに、第1のモデル1405を用いて第2のインベストメント鋳型1425(図14F)を直接形成することができる。
【0067】
図13にさらに示すように、場合によっては、突出フィーチャを形成するステップ(ステップ1310)は、電気めっき鋳造工程を含む(ステップ1340)。電気めっき鋳造工程(ステップ1340)は、突出フィーチャの形状をモデル化する成形面を有するように、基本構造体を鋳造するステップ1342を含む。電気めっき鋳造工程(ステップ1340)は、成形面上に1つ以上の金属を電気めっきし、それによって突出フィーチャを形成するステップ1344も含む。場合によっては、電気めっきステップ1344を容易にするために、電気めっきの前に成形面上にシード層を堆積させるステップ1346があってもよい。ステップ1346におけるシード層を堆積させるステップは、ブラッシング、溶射若しくは他のよく知られた塗布技術によって導電性塗料を塗布するステップ、又は物理蒸着工程によって導電層を堆積させるステップを含むことができる。例えば、成形面に導電性塗料を塗布することができる。電気めっき鋳造工程(ステップ1340)はさらに、ステップ1336について記載したものと同様に、突出フィーチャを基本構造体から分離するステップ1348を含む。
【0068】
図15A〜15Dは、ステップ1340による例示的な電気めっき鋳造工程について、選択された段階の断面図を示している。電気めっき鋳造工程1340は、中空円錐体又は他の形状の2次元配列として構成される突出フィーチャを作製するのに特に有用であるが、この工程1340によって中実の突出フィーチャを作製することも可能である。引き続き図13を参照すると、図15Aは、突出フィーチャの形状をモデル化する成形面を有するように、ステップ1342に従って成形面1510を形成した後の基本構造体1505を示している。例えばここでは、モデル1405(図14)を形成するのに用いるのと同じプラスチック又はワックス材料の3次元プリントを用いて、成形面1510を形成することができる。図15Bは、ステップ1346に従ってシード層1515を成形面1520上に堆積させた後の基本構造体1505を示している。図15Cは、成形面1510、この例ではシード層1515の上に1つ以上の金属(例えば銅又は銀)を電気めっきして、金属の突出フィーチャ1540を形成した後の基本構造体1505を示している。図15Dは、ステップ1348に従って基本構造体1505から分離された後の突出フィーチャ1520を示している。例えばワックスの基本構造体1505は、ステップ1348で溶解除去して分離を実施することができる。図15Dに示すように、場合によっては、シード層1515を突出フィーチャ1520の一部として保持することができる。他の場合には、シード層1515は、熱工程の従来の化学物質を用いて突出フィーチャ1520から取り除かれる。
【0069】
図13に戻ると、突出フィーチャ(ステップ1310)及び伝熱構造体の形成を完了するための、いくつかの任意選択のステップが示されている。例えば、余分な金属構造体(例えば基板又はハンドル構造体)を突出フィーチャから取り除くためのトリミング・ステップ1350、又は突出フィーチャをさらに成形するための機械加工ステップ1352があってもよい。突出フィーチャを構成する(1つ以上の)金属の酸化を防止するために、ステップ1355で突出フィーチャを保護コーティング(例えばベンゾイミダゾール)で被覆することができる。コーティングは、突出フィーチャの熱抵抗が増大しないように十分薄いことが好ましい(例えば約1〜10の分子層)。アニーリング・ステップ1360は、有利なことに、突出フィーチャの弾性率を下げるように実施することができる。例えば電気めっきされた銅の柱状体の弾性率は、400℃以上でアニーリングすることによって下げることができる。伝熱構造体を形成するステップ(ステップ1305)はさらに、接着剤又は熱グリース160を突出フィーチャ110の間に配置するステップ1370を含むことができる。
【0070】
当業者は、装置の特定の構成(例えば、電気通信システムのリモート無線ヘッド、基地局、コンピュータ又は他の部分)に応じた、装置の製造における他のステップに精通しているであろう。例えば方法1300は、装置の電子デバイス(例えば回路基板)を形成するステップ1375を含むことができる。デバイスを形成するステップ(ステップ1375)は、ステップ1380におけるデバイスの構成要素を形成するステップを含むことができる。当業者は、電子デバイスの構成要素(例えばヒートシンク又は集積回路)を製造するステップ1380に精通しているであろう。伝熱構造体を1つ以上の構成要素の上に直接形成する場合には、突出フィーチャを形成するステップ(ステップ1310)を、構成要素を形成するステップ(ステップ1380)の一部とすることができる。
【0071】
方法1300のいくつかの実施形態はさらに、ステップ1385における、デバイスの各構成要素をそれらの間に配置された伝熱構造体と一緒に結合するステップを含むことができる。結合ステップ1385は、図12及び付随する文章における文脈で前述したような、使用方法1200の実施形態の任意のものを含むことができる。
【0072】
引き続き図13を参照すると、方法の他の実施形態では、伝熱構造体105を形成するステップ(ステップ1305)は、(ステップ1310)実質的に平坦な基板の面125上に圧力変形可能な金属の突出フィーチャ110の2次元配列170を形成するステップを含む。配列170は、(A)突出フィーチャが中空であること(例えば図9)、(B)突出フィーチャを電気めっきすること(例えば図7)、及び(C)突出フィーチャ110の第1の群810が第1の高さ815を有し、突出フィーチャ110の第2の群820が異なる第2の高さ825を有すること(例えば図8)からなる群について選択される特性を含むことができる。
【0073】
方法に関するいくつかの実施形態では、突出フィーチャ110はめっきされた金属である。いくつかの実施形態では、方法1200はさらに、接着剤又は熱グリース160を金属の変形可能な突出フィーチャ110の間に配置するステップを含む。いくつかの実施形態では、方法1200はさらに、金属の変形可能な突出フィーチャ110を熱アニールして金属の変形可能な突出フィーチャ110の弾性率を下げるステップを含む。
【0074】
各実施形態について詳しく記述してきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書について様々な変更、置換及び改造を行うことが可能であることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を有する第1の基板、
前記第1の面に向き合う第2の面を有する第2の基板、及び
前記第1の面上に配置された金属の突出フィーチャの配列
を備える装置であって、各突出フィーチャが、前記第1の面に接触して前記第2の面に向かい、前記突出フィーチャの一部が圧縮力によって変形を受ける装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記金属の変形可能な突出フィーチャが、前記第1の面のある領域の各部分と前記第2の面との間に物理的な接続を形成し、前記第1の面の前記領域が非平面である装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記金属の突出フィーチャのそれぞれが、前記第1の面と前記第2の面を直接つなぐ金属の連続相を形成する装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記配列が円錐体又は柱状体の2次元配列である装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記金属の突出フィーチャがひれ状体である装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記金属の突出フィーチャのそれぞれが2つの金属層を含み、各金属層が異なる金属からなる装置。
【請求項7】
前面及び裏面を有する金属の平坦な基板であって、前記裏面が前記前面の反対側にある基板、及び
それぞれの前記面上に直接配置された金属の突出フィーチャの配列
を備える装置。
【請求項8】
請求項12に記載の装置であって、
第1の面を有する第1の集積回路、及び
第2の面を有する第2の集積回路
をさらに備え、前記第1の面及び前記第2の面のそれぞれが、前記配列の1つの前記突出フィーチャと直接物理的に接触する装置。
【請求項9】
伝熱構造体を電気デバイスの第1の構成要素の面上に設けるステップであって、前記伝熱構造体が金属の変形可能な突出フィーチャを含むステップ、及び
前記伝熱構造体が前記第1の構成要素と前記第2の構成要素の中間に配置されるように、前記電気デバイスの第2の構成要素を前記面に向かって押圧し、その結果、前記金属の変形可能な突出フィーチャの少なくとも一部が変形を受け、その高さを前記押圧前の前記突出フィーチャの高さに比べて少なくとも約1パーセントだけ低減するステップ
からなる方法。
【請求項10】
圧力変形可能な金属の突出フィーチャの2次元配列を、実質的に平坦な基板の面上に形成することを含む、伝熱構造体を形成するステップ
からなる製造方法であって、前記配列が、
A)前記突出フィーチャが中空であること、
B)前記突出フィーチャが電気めっきされた構造体であること、及び
C)前記突出フィーチャの第1の群が第1の高さを有し、前記突出フィーチャの第2の群が異なる第2の高さを有すること
からなる群について選択される特性を有する方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−525052(P2011−525052A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514616(P2011−514616)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/003651
【国際公開番号】WO2009/154767
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】