伝送装置及び伝送システム
【課題】増幅帯域を有効活用しつつ伝送品質の劣化を防止すること。
【解決手段】送信器は、偏波多重の信号光と非偏波多重の信号光がそれぞれ合波器で合波される。光増幅器は増幅帯域の短波長側に偏波多重の信号光を割り当てた状態で増幅する。光増幅器は、希土類イオンをドープした増幅媒体を用いることで信号光を増幅する。このようにすることで、増幅帯域を有効活用しつつ伝送品質の劣化を防止することができるという効果を奏する。
【解決手段】送信器は、偏波多重の信号光と非偏波多重の信号光がそれぞれ合波器で合波される。光増幅器は増幅帯域の短波長側に偏波多重の信号光を割り当てた状態で増幅する。光増幅器は、希土類イオンをドープした増幅媒体を用いることで信号光を増幅する。このようにすることで、増幅帯域を有効活用しつつ伝送品質の劣化を防止することができるという効果を奏する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送装置及び伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
WDM(Wavelength Division Multiplexing)伝送システムは、各種の変調方式により変調した信号光を多重化することで、大容量の情報を伝送することができる。このWDMシステムにおける信号光の変調方式には、光強度(OOK:On Off Keying)変調方式、光位相変調方式等が存在する。このうち、光強度変調方式は、光のオン、オフで情報を送受信する方式であり、ビットレートが10Gbps(bit per second)程度の送受信器に使用される。これに対して、光位相変調方式は、光の位相を変化させることで情報を送受信する方式であり、ビットレートが40Gbps程度の送受信器に使用される。この光位相変調方式は、光強度変調方式と比較して、雑音耐力や分散耐力に優れている。
【0003】
光位相変調方式には、差動位相偏移(DPSK:Differential Phase Shift Keying)変調方式や差動4値位相偏移(DQPSK:Differential Quadrature Phase Shift Keying)変調方式が含まれる。なお、DPSK変調方式には複数の種類があり、例えば、NRZ−DPSK(Non Return to Zero-DPSK)等の変調方式が存在する。更に近年では、偏波多重(DP−QPSK:Dual Polarization Quadrature Phase Shift Keying)変調方式と呼ばれる変調方式が開発された。このDP−QPSK変調方式では、偏波を多重化させることで、100Gbps程度で情報を送受信することができる。
【0004】
ここで、WDM伝送システムでは、EDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)と呼ばれる増幅器を利用して、信号光を中継する。このEDFAは、希土類イオンをドープしたファイバを光増幅媒体として用いる増幅器である。また、EDFAは、波長が1530nm〜1625nmとなる帯域の信号光を一括して増幅する。特に、EDFAが増幅する波長の帯域のうち、1530nm〜1565nmの帯域をCバンド(C Band)と呼び、1565nm〜1625nmの帯域をLバンド(L Band)と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−107069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記EDFAには、PHB(Polarization hole burning)と呼ばれる現象が発生し、伝送品質の劣化が起こる。このPHBは、EDFに入力された信号光の偏波の影響で、EDFAが偏波依存利得(PDG:Polarization Dependent Gain)を持つ現象である。PHBの影響により、信号光の偏波の状態によっては、EDFA内で発生する雑音成分であるASE(Amplified Spontaneous Emission)の利得が大きくなってしまう。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、EDFAの増幅帯域を有効活用しつつ、伝送品質の劣化を防止することができる伝送装置及び伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する伝送装置は、非偏波多重の信号光と、前記信号光とは異なる波長である偏波多重の信号光を伝送する光伝送装置であって、希土類イオンをドープした増幅媒体を用いることで波長多重信号光を増幅する光増幅器と、前記光増幅器の増幅帯域の短波長側に偏波多重された信号光の波長を出力する第1の送信器と、前記光増幅器の増幅帯域の長波長側に非偏波多重された信号光の波長を出力する第2の光送信器と、入力された前記非偏波多重の信号光および前記偏波多重の信号光が合波された波長多重信号光を前記光増幅器に入力する合波器と、を有することを要件とする。信号光の偏波状態により信号利得とASE利得が異なる偏波ホールバーニング帯域を有するとともに、該偏波ホールバーニング帯域内において信号光の波長数に応じて信号利得とASE利得が変化する、希土類イオンをドープした増幅媒体を用いる光増幅器と、偏波多重による変調方式により変調された偏波多重の信号光と、非偏波多重の信号光を出力することが可能であり、前記偏波ホールバーニング帯域に少なくとも1つの前記偏波多重の信号光を割り当てる複数の光送信器と、前記複数の光送信器からの信号光を合波し、光学的に結合した前記光増幅器に出力する合波波器と、を有すること要件とする。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する伝送装置の一つの態様によれば、EDFAの増幅帯域を有効活用しつつ、伝送品質の劣化を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施例1にかかる光伝送システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施例2にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。
【図3】図3は、本実施例2にかかるノードの構成を示す図である。
【図4】図4は、本実施例2にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。
【図5】図5は、本実施例2にかかるWDM伝送システムが設定するガードバンドを示す図である。
【図6】図6は、本実施例3にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。
【図7】図7は、本実施例3にかかるノードの構成を示す図である。
【図8】図8は、本実施例3にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。
【図9】図9は、本実施例3にかかるWDM伝送システムが設定するガードバンドを示す図である。
【図10】図10は、本実施例4にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。
【図11】図11は、本実施例4にかかるノードの構成を示す図である。
【図12】図12は、本実施例4にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。
【図13】図13は、本実施例5にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。
【図14】図14は、本実施例5にかかるノードの構成を示す図である。
【図15】図15は、本実施例5にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。
【図16】図16は、Er3+のエネルギー準位を示す図である。
【図17】図17は、EDFの吸収断面積及び放射断面積と波長との関係を示す図である。
【図18】図18は、Cバンドに対応するEDFの単位長さあたりの利得波長特性を示す図である。
【図19】図19は、Cバンドに対応するEDFの長手方向の光パワーの波長特性のシミュレーションモデルを示す図である。
【図20】図20は、図19に示したシミュレーションモデルのシミュレーション結果を示す図である。
【図21】図21は、図19に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの長手方向の光パワー分布を波長毎に示した図である。
【図22】図22は、図19に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの出力のスペクトルを示す図である。
【図23】図23は、Lバンドに対応するEDFの単位長さあたりの利得波長特性を示す図である。
【図24】図24は、Lバンドに対応するEDFの長手方向の光パワーの波長特性のシミュレーションモデルを示す図である。
【図25】図25は、図24に示したシミュレーションモデルのシミュレーション結果を示す図である。
【図26】図26は、図24に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの長手方向の光パワー分布を波長毎に示した図である。
【図27】図27は、図24に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの出力のスペクトルを示す図である。
【図28】図28は、Cバンドの波長と誘導放出のパラメータFとの関係を示す図である。
【図29】図29は、Lバンドの波長と誘導放出のパラメータFとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する伝送装置及び伝送システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
図1は、本実施例1にかかる光伝送システムの構成を示す図である。図1に示すように、この光伝送システムは、伝送路35を介して複数の伝送装置30を有する。ここでは一例として、伝送装置30bの構成について説明する。伝送装置30a,30cの構成は伝送装置30bと同様である。
【0013】
図1に示すように、伝送装置30bは、送信器31a,31b、光増幅器32、合波器33を有する。このうち、送信器31a,31bは、偏波多重の信号光と非偏波多重の信号光とのうち、いずれかの信号光を出力する。ここで、偏波多重の信号光は、偏波多重による変調方式により変調された信号光を示す。非偏波多重の信号光は、強度変調方式により変調された信号光または偏波多重による変調方式以外の位相変調方式により変調された信号光を示す。
【0014】
光増幅器32は、希土類イオンをドープした増幅媒体(たとえば希土類イオンをドープした光ファイバ)と励起光源を用いることで信号光を増幅する。合波器33は、光増幅器32の増幅帯域の短波長側に偏波多重の信号光を割り当て、増幅帯域の長波長側に非偏波多重の信号光を割り当てた状態で、偏波多重の信号光と非偏波多重の信号光とを合成し、合成した信号光を光増幅器32に出力する。
【0015】
上述したように、本実施例1にかかる光伝送システムは、光増幅器32の増幅帯域のうち、短波長側に偏波多重の信号光を割りあて、増幅帯域のうち長波長側に非偏波多重の信号光を割り当てた状態で偏波多重の信号光および非偏波多重の信号光を合成する。増幅帯域のうち、短波長側の帯域は、偏波依存利得を持つため、偏波の状態によっては、信号光の雑音成分に対する利得が、信号光に対する利得よりも大きくなってしまう。ここで、偏波多重の信号光は、互いに直交する2つの偏波が含まれているため、信号光に対する利得と雑音成分に対する利得が均一になり、雑音成分の利得のみが大きくなってしまうことを防止することができる。このため、偏波依存利得の影響を低減することができ、伝送品質の劣化を防止することができる。また、ガードバンドを用いないので、増幅帯域を有効活用することもできる。
【実施例2】
【0016】
次に、本実施例2にかかるWDM伝送システムの構成について説明する。図2は、本実施例2にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。図2に示すように、このWDM伝送システムは、複数のノード100a〜100fを有する。各ノード100は、光ファイバ等の伝送路50により相互に接続する。具体的には、ノード100aとノード100bとは伝送路50aで接続され、ノード100bとノード100cとは伝送路50bで接続される。また、ノード100cとノード100dとは伝送路50cで接続され、ノード100dとノード100eとは伝送路50dで接続され、ノード100eとノード100fとは伝送路50eで接続される。
【0017】
続いて、図2に示したノード100の構成について説明する。ここでは一例として、ノード100bの構成について説明する。ノード100a、100c〜100fの構成は、ノード100bと同様である。図3は、本実施例2にかかるノードの構成を示す図である。図3に示すように、このノード100bは、送信器110a,110b、受信器120a,120b、合波器130、分波器140を有する。また、ノード100bは、受信用光増幅器150、送信用光増幅器160、ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)装置170を有する。
【0018】
図3では説明の便宜上、送信器110a,110bを示すが、ノード100bはその他に送信器を有していてもよい。また、図3では受信器120a,120bを示すが、ノード100bはその他に受信器を有していてもよい。
【0019】
送信器110a,110bは、電気信号を信号光に変換し、変換した信号光を合波器130に出力する。送信器110a,110bが利用する信号光の変調方式には、OOK変調方式、DPSK変調方式、DQPSK変調方式、DP−QPSK変調方式が含まれる。受信器120a,120bは、信号光を電気信号に変換し、変換した電気信号を外部の装置に出力する。
【0020】
合波器130は、送信器110a,110bから入力された信号光を合波し、合波した信号光をROADM装置170に出力する。ここで、合波器130が各信号光を合波する場合には、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に偏波多重信号を割り当て、長波長側に非偏波多重信号を割り当てる。偏波多重信号は、例えば、DP−QPSK変調方式で変調された信号光に対応する。非偏波多重信号は、例えば、OOK変調方式、DPSK変調方式、DQPSK変調方式で変調された信号光に対応する。
【0021】
分波器140は、多重化された信号をROADM装置170から入力され、この多重化された信号光を波長毎に分波する。分波器140は、分波した信号光を受信器120a,120bに出力する。
【0022】
受信用光増幅器150は、伝送路50a等で減衰した信号光を増幅し、増幅した信号光をROADM装置170に出力する。この受信用光増幅器150は、例えば、EDFAである。
【0023】
送信用増幅器160は、合波器130及びROADM装置170等で減衰した信号光を増幅し、増幅した信号光を伝送路50bに出力する。この送信用増幅器160は、例えば、EDFAである。
【0024】
ROADM装置170は、任意の波長の信号光を加える処理、信号光から任意の波長を取り出す処理を実行する。例えば、ROADM装置170は、受信用光増幅器150から信号光を入力され、この信号光から任意の波長の信号光を取り出し、取り出した信号光を分波器140に出力する。また、ROADM装置170は、合波器130から信号光を入力され、この信号光を受信用光増幅器150から入力される信号光に加えた後に、信号光を送信用光増幅器160に出力する。
【0025】
なお、ROADM装置170は、信号光を加える処理および信号光を取り出す処理を実行しない場合には、受信用光増幅器150から入力される信号光をそのまま送信用光増幅器160に出力する。
【0026】
一般に、1スパンあたりの伝送距離は100km程度である。このため、信号光を数百km〜数千kmを伝送させるには、複数のノードを中継させる。ROADM装置170を利用することにより、デマンドに応じて任意の波長の信号光を加えたり取り出したりすることができる。
【0027】
次に、波長増設について説明する。ここでは一例として、WDM伝送システムを導入する時点の条件を下記の条件1,2とする。まず、ノード100aとノード100fとの間を10Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件1とする。この場合には、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器110をノード100aに設置し、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器120をノード100fに設置する。そして、ノード100aとノード100fとの間で送受信する信号光の波長λ1を、光増幅器の増幅帯域のうち、長波長側に設定する。ここで、ノード100aの送信器110が出力する信号光を非偏波多重信号とする。
【0028】
続いて、ノード100bとノード100dとの間を100Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件2とする。この場合には、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器110をノード100bに設置し、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器120をノード100dに設置する。そして、ノード100bとノード100dとの間で送受信する信号光の波長λ2を、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に設置する。ここで、ノード100bの送信器110が出力する信号光を偏波多重信号とする。
【0029】
次に、上記条件1,2でWDM伝送システムが信号光を伝送する場合の波長帯域について説明する。図4は、本実施例2にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。図4の横軸は波長の長さを示し、図4中の左が短波長側で右が長波長側である。図4に示すように、この波長帯域には、第1の帯域180aと第2の帯域180bが存在する。第1の帯域180aと第2の帯域180bとを合わせた波長帯域が、光増幅器の増幅帯域に対応する。また、第1の帯域180aは、第2の帯域180bよりも短波長側に存在する。本実施例2にかかるWDM伝送システムでは、第1の帯域180aに偏波多重信号190aが配置され、第2の帯域180bに非偏波多重信号190bが配置される。
【0030】
上述してきたように、本実施例2にかかるWDM伝送システムは、光増幅器の増幅帯域のうち、偏波ホールバーニング(PHB)が発生する短波長側に偏波多重の信号光を伝送させ、長波長側に非偏波多重の信号光を伝送させる。このため、偏波に依存した利得差(たとえば、偏波多重の信号光とASE光との利得差)の影響を低減することができ、伝送品質の劣化を防止することができる。つまり、偏波多重の信号光は偏波ホールバーニング帯域において信号光の利得とASE光の利得がほぼ一致するので、OSNRの劣化を抑制することができる。
【0031】
なお、本実施例2にかかるWDM伝送システムは、第1の帯域180aと第2の帯域180bとの間にガードバンドを設定してもよい。図5は、本実施例2にかかるWDM伝送システムが設定するガードバンドを示す図である。図5の横軸は波長の長さを示す。図5に示すように、第1の帯域180aと第2の帯域180bとの間にガードバンド180cが設定されている。
【0032】
例えば、第1の帯域180aに位相変調方式の信号光が割り当てられ、第2の帯域180bに強度変調方式の信号光が割り当てられた場合でも、ガードバンド180cを設定することで、XPM(相互位相変調)を低減させることができる。なお、WDM伝送システムは、第1の帯域180aに割り当てられた信号光と第2の帯域180bに割り当てられた信号光との変調方式が同じでも、伝送速度が異なる場合には、ガードバンド180cを設ける。特に、低速の強度変調信号光とより高速の位相変調信号光の波長多重により生じる相互位相変調が高速の位相変調信号光に著しい通信品質の劣化を与える。
【実施例3】
【0033】
次に、本実施例3にかかるWDM伝送システムの構成について説明する。図6は、本実施例3にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。図6に示すように、このWDM伝送システムは、複数のノード200a〜200fを有する。各ノード200は、光ファイバ等の伝送路50により相互に接続する。具体的には、ノード200aとノード200bとは伝送路50aで接続され、ノード200bとノード200cとは伝送路50bで接続される。また、ノード200cとノード200dとは伝送路50cで接続され、ノード200dとノード200eとは伝送路50dで接続され、ノード200eとノード200fとは伝送路50eで接続される。
【0034】
続いて、図6に示したノード200の構成について説明する。ここでは一例として、ノード200bの構成について説明する。ノード200a、200c〜200fの構成は、ノード200bと同様である。図7は、本実施例3にかかるノードの構成を示す図である。図7に示すように、このノード200bは、送信器210a,210b、受信器220a,220b、合波器230、分波器240を有する。また、ノード200bは、受信用光増幅器250、送信用光増幅器260、ROADM装置270を有する。
【0035】
図7において、送信器210a,210b、受信器220a,220b、分波器240に関する説明は、上記実施例2で説明した送信器110a,110b、受信器120a,120b、分波器140に関する説明と同様である。また、受信用光増幅器250、送信用光増幅器260、ROADM装置270に関する説明は、上記実施例2で説明した受信用光増幅器150、送信用光増幅器160、ROADM装置170に関する説明と同様である。
【0036】
合波器230は、送信器210a,210bから入力された信号光を合波し、合波した信号光をROADM装置270に出力する。ここで、合波器230が各信号光を合波する場合には、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に偏波多重信号を割り当て、長波長側に非偏波多重信号を割り当てる。
【0037】
ここで、合波器230は、複数の偏波多重信号を割り当てる場合には、短波長側から長波長側に向けて、各偏波多重信号を割り当てる。また、合波器230は、複数の非偏波多重信号を割り当てる場合には、長波長側から短波長側に向けて、各非偏波多重信号を割り当てる。
【0038】
次に、波長増設について説明する。ここでは一例として、WDM伝送システムを導入する時点の条件を下記の条件1〜4とする。まず、ノード200aとノード200fとの間を10Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件1とする。この場合には、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器210をノード200aに設置し、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器220をノード200fに設置する。そして、ノード200aとノード200fとの間で送受信する信号光の波長λ1を、光増幅器の増幅帯域のうち、長波長側に設定する。ここで、ノード200aの送信器210が出力する信号光を非偏波多重信号とする。
【0039】
続いて、ノード200bとノード200dとの間を10Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件2とする。この場合には、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器210をノード200bに設置し、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器220をノード200dに設置する。そして、ノード200bとノード200dとの間で送受信する信号光の波長λ2を、光増幅器の増幅帯域のうち、長波長側に設定する。ただし、波長λ2は、上記λ1よりも短波長側に設定する。ここで、ノード200bの送信器210が出力する信号光を非偏波多重信号とする。
【0040】
続いて、ノード200cとノード200eとの間を100Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件3とする。この場合には、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器210をノード200cに設置し、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器220をノード200eに設置する。そして、ノード200cとノード200eとの間で送受信する信号光の波長λ3を、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に設置する。ここで、ノード200cの送信器210が出力する信号光を偏波多重信号とする。
【0041】
続いて、ノード200dとノード200fとの間を100Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件4とする。この場合には、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器210をノード200cに設置し、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器220をノード200fに設置する。そして、ノード200dとノード200fとの間で送受信する信号光の波長λ4を、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に設置する。ただし、波長λ4は上記波長λ3よりも長波長側に設定する。ここで、ノード200dの送信器210が出力する信号光を偏波多重信号とする。
【0042】
次に、上記条件1〜4でWDM伝送システムが信号光を伝送する場合の波長帯域について説明する。図8は、本実施例3にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。図8の横軸は波長の長さを示す。図8に示すように、このWDM伝送システムでは、偏波多重信号290aを増設する場合には、短波長側280aから長波長側280bに向けて増設する。これに対して、非偏波多重信号290bを増設する場合には、長波長側280bから短波長側280aに向けて増設する。
【0043】
上述してきたように、本実施例3にかかるWDM伝送システムは、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に偏波多重信号を伝送させ、長波長側に非偏波多重信号を伝送させる。また、WDM伝送システムは、偏波多重信号を増設する場合には、この偏波多重信号の波長を、短波長側から長波長側に向けて増設する。また、WDM伝送システムは、非偏波多重信号を増設する場合には、この非偏波多重信号を長波長側から短波長側に向けて増設する。このため、偏波依存利得の大きい短波長側でもスペクトルホール内の偏波状態が不均一となり、偏波依存利得を減少することができる。また、デマンドに応じて、各種の変調方式で変調された信号光を容易に増設することができるので、光増幅器の増幅帯域を有効活用できる。
【0044】
なお、本実施例3にかかるWDM伝送システムは、偏波多重信号を割り当てる短波長側の帯域と、非偏波多重信号を割り当てる長波長側の帯域との間にガードバンドを設定してもよい。図9は、本実施例3にかかるWDM伝送システムが設定するガードバンドを示す図である。図9の横軸は波長の長さを示す。図9に示すように、偏波多重信号290aが割り当てられる帯域と、非偏波多重信号290bが割り当てられる帯域との間にガードバンド280cが設定されている。図9に示すように、短波長側280aから長波長側280bに向けて、偏波多重信号を増設し、長波長側280bから短波長側280aに向けて非偏波多重信号を増設することで、ガードバンドを含めて、光増幅器の増幅帯域を有効活用することができる。
【実施例4】
【0045】
次に、本実施例4にかかるWDM伝送システムの構成について説明する。図10は、本実施例4にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。図10に示すように、このWDM伝送システムは、複数のノード300a〜300fを有する。各ノード300は、光ファイバ等の伝送路50により相互に接続する。具体的には、ノード300aとノード300bとは伝送路50aで接続され、ノード300bとノード300cとは伝送路50bで接続される。また、ノード300cとノード300dとは伝送路50cで接続され、ノード300dとノード300eとは伝送路50dで接続され、ノード300eとノード300fとは伝送路50eで接続される。
【0046】
続いて、図10に示したノード300の構成について説明する。ここでは一例として、ノード300bの構成について説明する。ノード300a、300c〜300fの構成は、ノード300bと同様である。図11は、本実施例4にかかるノードの構成を示す図である。図10に示すように、このノード300bは、送信器310a,310b、受信器320a,320b、合波器330、分波器340を有する。また、ノード300bは、受信用光増幅器350、送信用光増幅器360、ROADM装置370を有する。
【0047】
図11において、送信器310a,310b、受信器320a,320b、分波器340に関する説明は、上記実施例2で説明した送信器110a,110b、受信器120a,120b、分波器140に関する説明と同様である。また、受信用光増幅器350、送信用光増幅器360、ROADM装置370に関する説明は、上記実施例2で説明した受信用光増幅器150、送信用光増幅器160、ROADM装置170に関する説明と同様である。
【0048】
合波器330は、送信器310a,310bから入力された信号光を合波し、合波した信号光をROADM装置370に出力する。ここで、合波器330が各信号光を合波する場合には、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に波長多重信号を割り当て、長波長側に非偏波多重信号を割り当てる。
【0049】
更に、合波器330は、非偏波多重信号に位相変調方式で変調した信号光と強度変調方式で変調した信号光とが含まれている場合には、各信号の割り当てる帯域を制限する。ここで、非偏波多重信号のうち、位相変調方式で変調した信号光を非偏波多重の位相変調信号と表記する。また、非偏波多重信号のうち、強度変調方式で変調した信号光を非偏波多重強度変調信号と表記する。
【0050】
具体的に、合波器330は、非偏波多重の位相変調信号を、非偏波多重強度変調信号よりも短波長側に設定する。ただし、非偏波多重の位相変調信号は、偏波多重信号よりも長波長側に設定されるものとする。
【0051】
次に、波長増設について説明する。ここでは一例として、WDM伝送システムを導入する時点の条件を下記の条件1〜3とする。まず、ノード300aとノード300fとの間を10Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件1とする。この場合には、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器310をノード300aに設置し、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器320をノード300fに設置する。そして、ノード300aとノード300fとの間で送受信する信号光の波長λ1を、光増幅器の増幅帯域のうち、長波長側に設定する。ここで、ノード300aの送信器310が出力する信号光を非偏波多重の強度変調信号とする。
【0052】
続いて、ノード300bとノード300dとの間を100Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件2とする。この場合には、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器310をノード300bに設置し、100Gbpsで信号光のデータ通信を行う受信器320をノード300dに設置する。そして、ノード300bとノード300dとの間で送受信する信号光の波長λ2を、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に設置する。ここで、ノード300bの送信器310が出力する信号光を変調多重信号とする。
【0053】
続いて、ノード300cとノード300eとの間を40Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件3とする。この場合には、40Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器310をノード300cに設置し、40Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器320をノード300eに設置する。そして、ノード300cとノード300eとの間で送受信する信号光の波長λ3を、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に設置する。ただし、波長λ3は、上記波長λ2よりも長波長側に設置される。ここで、ノード300cの送信器310が出力する信号光を非偏波多重の位相変調信号とする。
【0054】
次に、上記条件1〜3でWDM伝送システムが信号光を伝送する場合の波長帯域について説明する。図12は、本実施例4にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。図12の横軸は波長の長さを示す。図12に示すように、このWDM伝送システムで利用する波長帯域には、第1の帯域380aと第2の帯域380bが存在する。第1の帯域380aと第2の帯域380bとを合わせた波長帯域が、光増幅器の増幅帯域に対応する。また、第1の帯域380aは、第2の帯域380bよりも短波長側に存在する。
【0055】
図12に示すように、本実施例4にかかるWDM伝送システムでは、第1の帯域380aに偏波多重変調信号390aが配置され、第2の帯域380bに非偏波多重の位相変調信号390bおよび非偏波多重の強度変調信号390cが配置される。なお、非偏波多重の位相変調信号390bは、非偏波多重の強度変調信号390cと比較して、短波長側に配置される。
【0056】
上述してきたように、本実施例4にかかるWDM伝送システムは、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側で偏波多重信号を伝送させ、長波長側で非偏波多重の位相変調信号および非偏波多重の強度変調信号を伝送させる。このため、偏波依存利得の影響を低減することができ、伝送品質の劣化を防止することができる。
【0057】
また、本実施例4にかかるWDM伝送システムは、長波長側に非偏波多重の強度変調信号を配置している。このため、XPMの影響を最小限に抑えることができる。仮に、偏波多重位相変調信号と、非偏波多重の位相変調信号との間に非偏波多重強度変調信号を割り当てると、偏波多重位相変調信号及び非偏波多重の位相変調信号がXPMの影響を受けてしまう。
【実施例5】
【0058】
次に、本実施例5にかかるWDM伝送システムの構成について説明する。図13は、本実施例5にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。図13に示すように、このWDM伝送システムは、複数のノード400a〜400fを有する。各ノード400は、光ファイバ等の伝送路50を介して相互に接続する。具体的には、ノード400aとノード400bとは伝送路50aで接続され、ノード400bとノード400cとは伝送路50bで接続される。また、ノード400cとノード400dとは伝送路50cで接続され、ノード400dとノード400eとは伝送路50dで接続され、ノード400eとノード400fとは伝送路50eで接続される。
【0059】
続いて、図13に示したノード400の構成について説明する。ここでは一例として、ノード400bの構成について説明する。ノード400a、400c〜400fの構成は、ノード400bと同様である。図14は、本実施例5にかかるノードの構成を示す図である。図14に示すように、このノード400bは、送信器410a,410b、受信器420a,420b、合波器430、分波器440を有する。また、ノード400bは、受信用光増幅器450、送信用光増幅器460、ROADM装置470を有する。
【0060】
図14において、送信器410a,410b、受信器420a,420b、分波器440に関する説明は、上記実施例2で説明した送信器110a,110b、受信器120a,120b、分波器140に関する説明と同様である。また、受信用光増幅器450、送信用光増幅器460、ROADM装置470に関する説明は、上記実施例2で説明した受信用光増幅器150、送信用光増幅器160、ROADM装置170に関する説明と同様である。
【0061】
合波器430は、送信器410a,410bから入力された信号光を合波し、合波した信号光をROADM装置470に出力する。ここで、合波器430が各信号光を合波する場合には、1537nm以上の光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に非偏波多重の位相変調信号を割り当て、長波長側に非偏波多重強度変調信号を割り当てる。
【0062】
次に、波長増設について説明する。ここでは一例として、WDM伝送システムを導入する時点の条件を下記の条件1、2とする。まず、ノード400aとノード400fとの間を10Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件1とする。この場合には、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器410をノード400aに設置し、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器420をノード400fに設置する。そして、ノード400aとノード400fとの間で送受信する信号光の波長λ1を、光増幅器の増幅帯域のうち、長波長側に設定する。ここで、ノード400aの送信器410が出力する信号光を非偏波多重強度変調信号とする。
【0063】
続いて、ノード400cとノード400eとの間を40Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件2とする。この場合には、40Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器410をノード400cに設置し、40Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器420をノード400eに設置する。そして、ノード400cとノード400eとの間で送受信する信号光の波長λ2を、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に設置する。ただし、波長λ3は、波長1537nmよりも長波長側に設置される。ここで、ノード400cの送信器410が出力する信号光を非偏波多重の位相変調信号とする。
【0064】
次に、上記条件1、2でWDM伝送システムが信号光を伝送する場合の波長帯域について説明する。図15は、本実施例5にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。図15の横軸は波長の長さを示す。図15に示すように、このWDM伝送システムで利用する波長帯域には、第2の帯域480bが存在する。なお、本実施例5では、第1の帯域480aを利用しないものとする。第1の帯域480aと第2の帯域480bとを合わせた波長帯域が、光増幅器の増幅帯域に対応する。また、第2の帯域480bは、波長1537nmよりも長波長側に存在する。
【0065】
図15に示すように、本実施例5にかかるWDM伝送システムでは、第2の帯域480bの短波長側に非偏波多重の位相変調信号490aを配置し、第2の帯域480bの長波長側に非偏波多重強度変調信号490bを配置する。また、非偏波多重の位相変調信号490aを増設する場合には、長波長側から短波長側に向けて、非偏波多重の位相変調信号490aを増設する。非偏波多重強度変調信号490bを増設する場合には、長波長側から短波長側に向けて、非偏波多重強度変調信号490bを増設する。
【0066】
なお、波長増設は、上記の実施例に限られるものではない。例えば、第2の帯域480bのうち、短波長側から長波長側に向けて、非偏波多重の位相変調信号490aを順次増設し、長波長側から短波長側に向けて、非偏波多重強度変調信号490bを順次増設しても構わない。
【0067】
上述してきたように、本実施例5にかかるWDM伝送システムは、第2の帯域のうち、短波長側で非偏波多重の位相変調信号を伝送させ、長波長側で非偏波多重強度変調信号を伝送させる。このため、偏波依存性利得の影響を低減することができ、伝送品質の劣化を防止することができる。また、非偏波多重の位相変調信号が割り当てられる波長帯域と、非偏波多重強度変調信号が割り当てられる波長帯域との間の波長帯域が広くなるので、XMPによる信号劣化の問題を解消することができる。
【0068】
ところで、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともできる。あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0069】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、受信用光増幅器150および送信用光増幅器160の代わりに、単一の光増幅器を用いてもよい。
【0070】
さて、これまで、実施例1〜5について説明してきたが、以下において、WDM伝送システムで使用されるCバンド及びLバンドでは、長波長側よりも短波長側の方が吸収断面積および放射断面積が大きく、EDFの長手方向の光パワーが大きいことを示す。また、Cバンド及びLバンドでは、短波長側の方が長波長側よりも信号光の偏波に対して偏波依存利得が大きいことを示す。
【0071】
まず、参考文献(Carl R Davidson, “Spectral Dependence of Hole-Burning” OFC,2006)に示すように、飽和信号光によって発生する利得偏光依存性のスペクトルホールは、誘導放電の速度と関係する。
【0072】
図16は、Er3+のエネルギー準位を示す図である。1550nm帯の光増幅には、4I13/2と4I15/2との間の誘導放出遷移を利用する。Er3+が添加される材料が光ファイバの材料である石英ガラスの場合には、各エネルギー準位はシュタルク分裂1aを起こす。分裂したエネルギー準位は、シュタルク準位と呼ばれる。それぞれのシュタルク準位は、40〜100cm−1の線幅を持つため、1550nm帯の吸収スペクトルおよび放射スペクトルは連続して観測される。
【0073】
シュタルク準位Er3+の密度は、ボルツマン分布に従う。信号光の光パワーが大きく、誘導放出の速度がボルツマン分布への緩和速度と比較して無視できない程度となる場合には、シュタルク準位Er3+の密度が減少した状態となる。このシュタルク準位Er3+の密度が減少した準位に相当するスペクトルにホールが形成され、信号光の偏波に対して偏波依存利得を持つようになる。
【0074】
誘導放出の速度は、EDFの吸収放射面積およびEDFの長手方向の光パワー分布に依存する。2準位系のレート方程式は、σa(k)、σe(k)をそれぞれ吸収断面積、放射断面積[m2]、I(k)を光パワー[W/m2]、
【数1】
を光子エネルギーとすると、
【数2】
で表わされる。式(1)において、kは波長を示し、Ntはエルビウム原子の総数を示し、N2は上準位にあるエルビウム数を示し、τ2は自然放出の時間を示す。
【0075】
また、式(1)において、f(k)は、誘導放出の速度の波長を特徴づけるパラメータであり、式(2)により表わされる。
【数3】
式(2)に示すように、誘導放出の速度の波長特性は、吸収、放射断面積σa(k)、σe(k)の和と光パワーI(k)との積に比例することが分かる。
【0076】
図17は、EDFの吸収断面積及び放射断面積と波長との関係を示す図である。図17の縦軸は吸収断面積および放射断面積の大きさを示し、横軸は波長の長さを示す。図17において、1530nm〜1565nmの帯域をCバンド3aとし、1565nm〜1625nmの帯域をLバンド3bとする。図17に示すように、吸収断面積2aは、波長が1450nmとなるあたりから徐々に増加し、波長が1530nmとなる辺りでピークとなる。そして、波長が1530nmから増加するにしたがって、吸収断面積2aは減少する。このため、Cバンド3a内およびLバンド3b内では、長波長側よりも短波長側のほうが、吸収断面積2aが大きくなる。
【0077】
同様に、放射断面積は、波長が1450nmとなるあたりから徐々に増加し、波長が1530nmとなる辺りでピークとなる。そして、波長が1530nmから増加するにしたがって、放射断面積2bは減少する。このため、Cバンド3a内およびLバンド3b内では、長波長側よりも短波長側のほうが、放射断面積2bが大きくなる。
【0078】
続いて、EDF内の光パワーの波長特性について説明する。EDFの単位長さあたりの利得波長特性G(λ)[dB/m]は、式(3)で表わすことができる。
【数4】
式(3)において、tは反転分布を示し、g(λ)は利得係数を示し、α(λ)は吸収係数を示す。
【0079】
図18は、Cバンドに対応するEDFの単位長さあたりの利得波長特性を示す図である。図18の縦軸は利得係数の大きさを示し、横軸は波長の長さを示す。波形4aは反転分布tが1.0の場合の利得と波長との関係を示し、波形4bは反転分布tが0.9の場合の利得と波長との関係を示し、波形4cは反転分布tが0.8の場合の利得と波長との関係を示す。波形4dは反転分布tが0.7の場合の利得と波長との関係を示し、波形4eは反転分布tが0.6の場合の利得と波長との関係を示し、波形4fは、反転分布tが0.5の場合の利得と波長との関係を示す。波形4gは反転分布tが0.4の場合の利得と波長との関係を示す。図18に示すように、反転分布tが0.4の場合には、長波長側の利得が短波長側の利得と比較して大きい。これに対して、反転分布tが0.7以上の場合には、短波長側の利得が長波長側の利得と比較して大きくなる。
【0080】
図19は、Cバンドに対応するEDFの長手方向の光パワーの波長特性のシミュレーションモデルを示す図である。EDF5aの長さを12mとする。図19のシミュレーションモデルでは、EDF5aに波長が1525〜1565nmとなる信号光を21波入力し、980nm、200mWで励起した。また、入力する信号光の光量を−15dBm/chとする。
【0081】
図20は、図19に示したシミュレーションモデルのシミュレーション結果を示す図である。図20の縦軸は反転分布の大きさを示し、横軸はEDFの長手方向の長さを示す。図20に示すように、全長12mのうち0m〜6mのところまでは、反転分布が0.65以上となる。このように、反転分布が0.65以上となる場合には、図18に示したように短波長側の利得の方が長波長側の利得と比較して高くなる。
【0082】
図21は、図19に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの長手方向の光パワー分布を波長毎に示した図である。図21の縦軸は信号光のパワーを示し、横軸はEDFの長手方向の長さを示す。図21の6aに含まれる各波形は、波長が1539〜1565nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。図21の7aに含まれる各波形は、波長が1525〜1537nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。なお、波形8aは、波長が1527nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものであり、波形8bは、波長が1529nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。波形8cは、波長が1531nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものであり、波形8dは、波長が1533nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。波形8eは、波長が1535nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。
【0083】
図21において波形6aと波形7aとを比較すると、EDFの長手方向の6mのところまでは、1525〜1537nmの短波長側の信号光のパワーのほうが、1539〜1565nmの長波長側の信号光のパワーよりも大きいことが分かる。また、EDFの長手方向の12mのところでも、1525〜1537nmの短波長側の信号光のパワーのほうが、1539〜1565nmの長波長側の信号光のパワーよりも大きいことが分かる。
【0084】
図22は、図19に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの出力のスペクトルを示す図である。図22の縦軸は出力される信号光のパワーを示し、横軸は波長の長さを示す。図22に示す例では、波長が1530〜1535nmの間に信号光のパワーのピークをとる。
【0085】
図23は、Lバンドに対応するEDFの単位長さあたりの利得波長特性を示す図である。図23の縦軸は利得係数の大きさを示し、横軸は波長の長さを示す。波形9aは反転分布tが0.5の場合の利得と波長との関係を示し、波形9bは反転分布tが0.45の場合の利得と波長との関係を示し、波形9cは反転分布tが0.4の場合の利得と波長との関係を示す。波形9dは反転分布tが0.35の場合の利得と波長との関係を示し、波形9eは反転分布tが0.3の場合の利得と波長との関係を示す。図23に示すように、反転分布tが0.3の場合には、長波長側の利得が短波長側の利得と比較して大きい。反転分布tが0.4の場合には、長波長側の利得と短波長側の利得がほぼ等しくなる。また、反転分布tが0.45以上の場合には、短波長側の利得が長波長側の利得と比較して大きくなる。
【0086】
図24は、Lバンドに対応するEDFの長手方向の光パワーの波長特性のシミュレーションモデルを示す図である。EDF10aの長さを120mとする。図24のシミュレーションモデルでは、EDF10aに波長が1570〜1610nmとなる信号光を21波入力し、1460nm、300mWで励起した。また、入力する信号光の光量を−15dBm/chとする。
【0087】
図25は、図24に示したシミュレーションモデルのシミュレーション結果を示す図である。図25の縦軸は反転分布の大きさを示し、横軸はEDFの長手方向の長さを示す。図25に示すように、全長120mのうち0m〜30mのところまでは、反転分布が0.4以上となる。このように、反転分布が0.4以上となる場合には、図25に示したように短波長側の利得の方が長波長側の利得と比較して高くなる。
【0088】
図26は、図24に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの長手方向の光パワー分布を波長毎に示した図である。図26の縦軸は信号光のパワーを示し、横軸はEDFの長手方向の長さを示す。図26の11aに含まれる各波形は、波長が1570nm〜1610nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。なお各波形11aのうち、波形12aは、波長が1576nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。波形12bは、波長が1582nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。図26に示すように、ほぼ全域にわたって短波長側の光パワーが長波長側の光パワーよりも大きいことが分かる。
【0089】
図27は、図24に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの出力のスペクトルを示す図である。図27の縦軸は出力される信号光のパワーを示し、横軸は波長の長さを示す。図27に示す例では、波長が1590〜1595nmの間に信号光のパワーのピーク値をとる。
【0090】
続いて、図17に示した吸収断面積及び放射断面積と、図21に示した信号光のパワー分布とを上記の式(2)に代入した結果を図28に示す。図28は、Cバンドの波長と誘導放出のパラメータFとの関係を示す図である。図28の縦軸は誘導放出の速度を特徴づけるパラメータFであり、横軸は波長の大きさを示す。図28に示すように短波長側の方が長波長側と比較して、パラメータFの大きさが大きくなる。
【0091】
図17に示した吸収断面積及び放射断面積と、図26に示した信号光のパワー分布とを上記の式(2)に代入した結果を図29に示す。図29は、Lバンドの波長と誘導放出のパラメータFとの関係を示す図である。図29の縦軸は誘導放出の速度を特徴づけるパラメータFであり、横軸は波長の長さを示す。図29に示すように短波長側の方が長波長側と比較して、パラメータFの大きさが大きくなる。
【0092】
ここで、基準とした信号光の偏波に対して偏波依存利得を持つPHBは、誘導放出の速度が大きければ大きくなる。このため、Cバンド及びLバンドともに、短波長側の方が長波長側よりも信号光の偏波に対して偏波依存利得が大きいことが分かる。
【符号の説明】
【0093】
30a,30b,30c 伝送装置
31a,31b 送信器
32 光増幅器
33 合波器
35 伝送路
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送装置及び伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
WDM(Wavelength Division Multiplexing)伝送システムは、各種の変調方式により変調した信号光を多重化することで、大容量の情報を伝送することができる。このWDMシステムにおける信号光の変調方式には、光強度(OOK:On Off Keying)変調方式、光位相変調方式等が存在する。このうち、光強度変調方式は、光のオン、オフで情報を送受信する方式であり、ビットレートが10Gbps(bit per second)程度の送受信器に使用される。これに対して、光位相変調方式は、光の位相を変化させることで情報を送受信する方式であり、ビットレートが40Gbps程度の送受信器に使用される。この光位相変調方式は、光強度変調方式と比較して、雑音耐力や分散耐力に優れている。
【0003】
光位相変調方式には、差動位相偏移(DPSK:Differential Phase Shift Keying)変調方式や差動4値位相偏移(DQPSK:Differential Quadrature Phase Shift Keying)変調方式が含まれる。なお、DPSK変調方式には複数の種類があり、例えば、NRZ−DPSK(Non Return to Zero-DPSK)等の変調方式が存在する。更に近年では、偏波多重(DP−QPSK:Dual Polarization Quadrature Phase Shift Keying)変調方式と呼ばれる変調方式が開発された。このDP−QPSK変調方式では、偏波を多重化させることで、100Gbps程度で情報を送受信することができる。
【0004】
ここで、WDM伝送システムでは、EDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)と呼ばれる増幅器を利用して、信号光を中継する。このEDFAは、希土類イオンをドープしたファイバを光増幅媒体として用いる増幅器である。また、EDFAは、波長が1530nm〜1625nmとなる帯域の信号光を一括して増幅する。特に、EDFAが増幅する波長の帯域のうち、1530nm〜1565nmの帯域をCバンド(C Band)と呼び、1565nm〜1625nmの帯域をLバンド(L Band)と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−107069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記EDFAには、PHB(Polarization hole burning)と呼ばれる現象が発生し、伝送品質の劣化が起こる。このPHBは、EDFに入力された信号光の偏波の影響で、EDFAが偏波依存利得(PDG:Polarization Dependent Gain)を持つ現象である。PHBの影響により、信号光の偏波の状態によっては、EDFA内で発生する雑音成分であるASE(Amplified Spontaneous Emission)の利得が大きくなってしまう。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、EDFAの増幅帯域を有効活用しつつ、伝送品質の劣化を防止することができる伝送装置及び伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する伝送装置は、非偏波多重の信号光と、前記信号光とは異なる波長である偏波多重の信号光を伝送する光伝送装置であって、希土類イオンをドープした増幅媒体を用いることで波長多重信号光を増幅する光増幅器と、前記光増幅器の増幅帯域の短波長側に偏波多重された信号光の波長を出力する第1の送信器と、前記光増幅器の増幅帯域の長波長側に非偏波多重された信号光の波長を出力する第2の光送信器と、入力された前記非偏波多重の信号光および前記偏波多重の信号光が合波された波長多重信号光を前記光増幅器に入力する合波器と、を有することを要件とする。信号光の偏波状態により信号利得とASE利得が異なる偏波ホールバーニング帯域を有するとともに、該偏波ホールバーニング帯域内において信号光の波長数に応じて信号利得とASE利得が変化する、希土類イオンをドープした増幅媒体を用いる光増幅器と、偏波多重による変調方式により変調された偏波多重の信号光と、非偏波多重の信号光を出力することが可能であり、前記偏波ホールバーニング帯域に少なくとも1つの前記偏波多重の信号光を割り当てる複数の光送信器と、前記複数の光送信器からの信号光を合波し、光学的に結合した前記光増幅器に出力する合波波器と、を有すること要件とする。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する伝送装置の一つの態様によれば、EDFAの増幅帯域を有効活用しつつ、伝送品質の劣化を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施例1にかかる光伝送システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施例2にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。
【図3】図3は、本実施例2にかかるノードの構成を示す図である。
【図4】図4は、本実施例2にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。
【図5】図5は、本実施例2にかかるWDM伝送システムが設定するガードバンドを示す図である。
【図6】図6は、本実施例3にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。
【図7】図7は、本実施例3にかかるノードの構成を示す図である。
【図8】図8は、本実施例3にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。
【図9】図9は、本実施例3にかかるWDM伝送システムが設定するガードバンドを示す図である。
【図10】図10は、本実施例4にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。
【図11】図11は、本実施例4にかかるノードの構成を示す図である。
【図12】図12は、本実施例4にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。
【図13】図13は、本実施例5にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。
【図14】図14は、本実施例5にかかるノードの構成を示す図である。
【図15】図15は、本実施例5にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。
【図16】図16は、Er3+のエネルギー準位を示す図である。
【図17】図17は、EDFの吸収断面積及び放射断面積と波長との関係を示す図である。
【図18】図18は、Cバンドに対応するEDFの単位長さあたりの利得波長特性を示す図である。
【図19】図19は、Cバンドに対応するEDFの長手方向の光パワーの波長特性のシミュレーションモデルを示す図である。
【図20】図20は、図19に示したシミュレーションモデルのシミュレーション結果を示す図である。
【図21】図21は、図19に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの長手方向の光パワー分布を波長毎に示した図である。
【図22】図22は、図19に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの出力のスペクトルを示す図である。
【図23】図23は、Lバンドに対応するEDFの単位長さあたりの利得波長特性を示す図である。
【図24】図24は、Lバンドに対応するEDFの長手方向の光パワーの波長特性のシミュレーションモデルを示す図である。
【図25】図25は、図24に示したシミュレーションモデルのシミュレーション結果を示す図である。
【図26】図26は、図24に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの長手方向の光パワー分布を波長毎に示した図である。
【図27】図27は、図24に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの出力のスペクトルを示す図である。
【図28】図28は、Cバンドの波長と誘導放出のパラメータFとの関係を示す図である。
【図29】図29は、Lバンドの波長と誘導放出のパラメータFとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する伝送装置及び伝送システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
図1は、本実施例1にかかる光伝送システムの構成を示す図である。図1に示すように、この光伝送システムは、伝送路35を介して複数の伝送装置30を有する。ここでは一例として、伝送装置30bの構成について説明する。伝送装置30a,30cの構成は伝送装置30bと同様である。
【0013】
図1に示すように、伝送装置30bは、送信器31a,31b、光増幅器32、合波器33を有する。このうち、送信器31a,31bは、偏波多重の信号光と非偏波多重の信号光とのうち、いずれかの信号光を出力する。ここで、偏波多重の信号光は、偏波多重による変調方式により変調された信号光を示す。非偏波多重の信号光は、強度変調方式により変調された信号光または偏波多重による変調方式以外の位相変調方式により変調された信号光を示す。
【0014】
光増幅器32は、希土類イオンをドープした増幅媒体(たとえば希土類イオンをドープした光ファイバ)と励起光源を用いることで信号光を増幅する。合波器33は、光増幅器32の増幅帯域の短波長側に偏波多重の信号光を割り当て、増幅帯域の長波長側に非偏波多重の信号光を割り当てた状態で、偏波多重の信号光と非偏波多重の信号光とを合成し、合成した信号光を光増幅器32に出力する。
【0015】
上述したように、本実施例1にかかる光伝送システムは、光増幅器32の増幅帯域のうち、短波長側に偏波多重の信号光を割りあて、増幅帯域のうち長波長側に非偏波多重の信号光を割り当てた状態で偏波多重の信号光および非偏波多重の信号光を合成する。増幅帯域のうち、短波長側の帯域は、偏波依存利得を持つため、偏波の状態によっては、信号光の雑音成分に対する利得が、信号光に対する利得よりも大きくなってしまう。ここで、偏波多重の信号光は、互いに直交する2つの偏波が含まれているため、信号光に対する利得と雑音成分に対する利得が均一になり、雑音成分の利得のみが大きくなってしまうことを防止することができる。このため、偏波依存利得の影響を低減することができ、伝送品質の劣化を防止することができる。また、ガードバンドを用いないので、増幅帯域を有効活用することもできる。
【実施例2】
【0016】
次に、本実施例2にかかるWDM伝送システムの構成について説明する。図2は、本実施例2にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。図2に示すように、このWDM伝送システムは、複数のノード100a〜100fを有する。各ノード100は、光ファイバ等の伝送路50により相互に接続する。具体的には、ノード100aとノード100bとは伝送路50aで接続され、ノード100bとノード100cとは伝送路50bで接続される。また、ノード100cとノード100dとは伝送路50cで接続され、ノード100dとノード100eとは伝送路50dで接続され、ノード100eとノード100fとは伝送路50eで接続される。
【0017】
続いて、図2に示したノード100の構成について説明する。ここでは一例として、ノード100bの構成について説明する。ノード100a、100c〜100fの構成は、ノード100bと同様である。図3は、本実施例2にかかるノードの構成を示す図である。図3に示すように、このノード100bは、送信器110a,110b、受信器120a,120b、合波器130、分波器140を有する。また、ノード100bは、受信用光増幅器150、送信用光増幅器160、ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)装置170を有する。
【0018】
図3では説明の便宜上、送信器110a,110bを示すが、ノード100bはその他に送信器を有していてもよい。また、図3では受信器120a,120bを示すが、ノード100bはその他に受信器を有していてもよい。
【0019】
送信器110a,110bは、電気信号を信号光に変換し、変換した信号光を合波器130に出力する。送信器110a,110bが利用する信号光の変調方式には、OOK変調方式、DPSK変調方式、DQPSK変調方式、DP−QPSK変調方式が含まれる。受信器120a,120bは、信号光を電気信号に変換し、変換した電気信号を外部の装置に出力する。
【0020】
合波器130は、送信器110a,110bから入力された信号光を合波し、合波した信号光をROADM装置170に出力する。ここで、合波器130が各信号光を合波する場合には、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に偏波多重信号を割り当て、長波長側に非偏波多重信号を割り当てる。偏波多重信号は、例えば、DP−QPSK変調方式で変調された信号光に対応する。非偏波多重信号は、例えば、OOK変調方式、DPSK変調方式、DQPSK変調方式で変調された信号光に対応する。
【0021】
分波器140は、多重化された信号をROADM装置170から入力され、この多重化された信号光を波長毎に分波する。分波器140は、分波した信号光を受信器120a,120bに出力する。
【0022】
受信用光増幅器150は、伝送路50a等で減衰した信号光を増幅し、増幅した信号光をROADM装置170に出力する。この受信用光増幅器150は、例えば、EDFAである。
【0023】
送信用増幅器160は、合波器130及びROADM装置170等で減衰した信号光を増幅し、増幅した信号光を伝送路50bに出力する。この送信用増幅器160は、例えば、EDFAである。
【0024】
ROADM装置170は、任意の波長の信号光を加える処理、信号光から任意の波長を取り出す処理を実行する。例えば、ROADM装置170は、受信用光増幅器150から信号光を入力され、この信号光から任意の波長の信号光を取り出し、取り出した信号光を分波器140に出力する。また、ROADM装置170は、合波器130から信号光を入力され、この信号光を受信用光増幅器150から入力される信号光に加えた後に、信号光を送信用光増幅器160に出力する。
【0025】
なお、ROADM装置170は、信号光を加える処理および信号光を取り出す処理を実行しない場合には、受信用光増幅器150から入力される信号光をそのまま送信用光増幅器160に出力する。
【0026】
一般に、1スパンあたりの伝送距離は100km程度である。このため、信号光を数百km〜数千kmを伝送させるには、複数のノードを中継させる。ROADM装置170を利用することにより、デマンドに応じて任意の波長の信号光を加えたり取り出したりすることができる。
【0027】
次に、波長増設について説明する。ここでは一例として、WDM伝送システムを導入する時点の条件を下記の条件1,2とする。まず、ノード100aとノード100fとの間を10Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件1とする。この場合には、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器110をノード100aに設置し、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器120をノード100fに設置する。そして、ノード100aとノード100fとの間で送受信する信号光の波長λ1を、光増幅器の増幅帯域のうち、長波長側に設定する。ここで、ノード100aの送信器110が出力する信号光を非偏波多重信号とする。
【0028】
続いて、ノード100bとノード100dとの間を100Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件2とする。この場合には、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器110をノード100bに設置し、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器120をノード100dに設置する。そして、ノード100bとノード100dとの間で送受信する信号光の波長λ2を、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に設置する。ここで、ノード100bの送信器110が出力する信号光を偏波多重信号とする。
【0029】
次に、上記条件1,2でWDM伝送システムが信号光を伝送する場合の波長帯域について説明する。図4は、本実施例2にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。図4の横軸は波長の長さを示し、図4中の左が短波長側で右が長波長側である。図4に示すように、この波長帯域には、第1の帯域180aと第2の帯域180bが存在する。第1の帯域180aと第2の帯域180bとを合わせた波長帯域が、光増幅器の増幅帯域に対応する。また、第1の帯域180aは、第2の帯域180bよりも短波長側に存在する。本実施例2にかかるWDM伝送システムでは、第1の帯域180aに偏波多重信号190aが配置され、第2の帯域180bに非偏波多重信号190bが配置される。
【0030】
上述してきたように、本実施例2にかかるWDM伝送システムは、光増幅器の増幅帯域のうち、偏波ホールバーニング(PHB)が発生する短波長側に偏波多重の信号光を伝送させ、長波長側に非偏波多重の信号光を伝送させる。このため、偏波に依存した利得差(たとえば、偏波多重の信号光とASE光との利得差)の影響を低減することができ、伝送品質の劣化を防止することができる。つまり、偏波多重の信号光は偏波ホールバーニング帯域において信号光の利得とASE光の利得がほぼ一致するので、OSNRの劣化を抑制することができる。
【0031】
なお、本実施例2にかかるWDM伝送システムは、第1の帯域180aと第2の帯域180bとの間にガードバンドを設定してもよい。図5は、本実施例2にかかるWDM伝送システムが設定するガードバンドを示す図である。図5の横軸は波長の長さを示す。図5に示すように、第1の帯域180aと第2の帯域180bとの間にガードバンド180cが設定されている。
【0032】
例えば、第1の帯域180aに位相変調方式の信号光が割り当てられ、第2の帯域180bに強度変調方式の信号光が割り当てられた場合でも、ガードバンド180cを設定することで、XPM(相互位相変調)を低減させることができる。なお、WDM伝送システムは、第1の帯域180aに割り当てられた信号光と第2の帯域180bに割り当てられた信号光との変調方式が同じでも、伝送速度が異なる場合には、ガードバンド180cを設ける。特に、低速の強度変調信号光とより高速の位相変調信号光の波長多重により生じる相互位相変調が高速の位相変調信号光に著しい通信品質の劣化を与える。
【実施例3】
【0033】
次に、本実施例3にかかるWDM伝送システムの構成について説明する。図6は、本実施例3にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。図6に示すように、このWDM伝送システムは、複数のノード200a〜200fを有する。各ノード200は、光ファイバ等の伝送路50により相互に接続する。具体的には、ノード200aとノード200bとは伝送路50aで接続され、ノード200bとノード200cとは伝送路50bで接続される。また、ノード200cとノード200dとは伝送路50cで接続され、ノード200dとノード200eとは伝送路50dで接続され、ノード200eとノード200fとは伝送路50eで接続される。
【0034】
続いて、図6に示したノード200の構成について説明する。ここでは一例として、ノード200bの構成について説明する。ノード200a、200c〜200fの構成は、ノード200bと同様である。図7は、本実施例3にかかるノードの構成を示す図である。図7に示すように、このノード200bは、送信器210a,210b、受信器220a,220b、合波器230、分波器240を有する。また、ノード200bは、受信用光増幅器250、送信用光増幅器260、ROADM装置270を有する。
【0035】
図7において、送信器210a,210b、受信器220a,220b、分波器240に関する説明は、上記実施例2で説明した送信器110a,110b、受信器120a,120b、分波器140に関する説明と同様である。また、受信用光増幅器250、送信用光増幅器260、ROADM装置270に関する説明は、上記実施例2で説明した受信用光増幅器150、送信用光増幅器160、ROADM装置170に関する説明と同様である。
【0036】
合波器230は、送信器210a,210bから入力された信号光を合波し、合波した信号光をROADM装置270に出力する。ここで、合波器230が各信号光を合波する場合には、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に偏波多重信号を割り当て、長波長側に非偏波多重信号を割り当てる。
【0037】
ここで、合波器230は、複数の偏波多重信号を割り当てる場合には、短波長側から長波長側に向けて、各偏波多重信号を割り当てる。また、合波器230は、複数の非偏波多重信号を割り当てる場合には、長波長側から短波長側に向けて、各非偏波多重信号を割り当てる。
【0038】
次に、波長増設について説明する。ここでは一例として、WDM伝送システムを導入する時点の条件を下記の条件1〜4とする。まず、ノード200aとノード200fとの間を10Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件1とする。この場合には、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器210をノード200aに設置し、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器220をノード200fに設置する。そして、ノード200aとノード200fとの間で送受信する信号光の波長λ1を、光増幅器の増幅帯域のうち、長波長側に設定する。ここで、ノード200aの送信器210が出力する信号光を非偏波多重信号とする。
【0039】
続いて、ノード200bとノード200dとの間を10Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件2とする。この場合には、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器210をノード200bに設置し、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器220をノード200dに設置する。そして、ノード200bとノード200dとの間で送受信する信号光の波長λ2を、光増幅器の増幅帯域のうち、長波長側に設定する。ただし、波長λ2は、上記λ1よりも短波長側に設定する。ここで、ノード200bの送信器210が出力する信号光を非偏波多重信号とする。
【0040】
続いて、ノード200cとノード200eとの間を100Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件3とする。この場合には、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器210をノード200cに設置し、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器220をノード200eに設置する。そして、ノード200cとノード200eとの間で送受信する信号光の波長λ3を、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に設置する。ここで、ノード200cの送信器210が出力する信号光を偏波多重信号とする。
【0041】
続いて、ノード200dとノード200fとの間を100Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件4とする。この場合には、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器210をノード200cに設置し、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器220をノード200fに設置する。そして、ノード200dとノード200fとの間で送受信する信号光の波長λ4を、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に設置する。ただし、波長λ4は上記波長λ3よりも長波長側に設定する。ここで、ノード200dの送信器210が出力する信号光を偏波多重信号とする。
【0042】
次に、上記条件1〜4でWDM伝送システムが信号光を伝送する場合の波長帯域について説明する。図8は、本実施例3にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。図8の横軸は波長の長さを示す。図8に示すように、このWDM伝送システムでは、偏波多重信号290aを増設する場合には、短波長側280aから長波長側280bに向けて増設する。これに対して、非偏波多重信号290bを増設する場合には、長波長側280bから短波長側280aに向けて増設する。
【0043】
上述してきたように、本実施例3にかかるWDM伝送システムは、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に偏波多重信号を伝送させ、長波長側に非偏波多重信号を伝送させる。また、WDM伝送システムは、偏波多重信号を増設する場合には、この偏波多重信号の波長を、短波長側から長波長側に向けて増設する。また、WDM伝送システムは、非偏波多重信号を増設する場合には、この非偏波多重信号を長波長側から短波長側に向けて増設する。このため、偏波依存利得の大きい短波長側でもスペクトルホール内の偏波状態が不均一となり、偏波依存利得を減少することができる。また、デマンドに応じて、各種の変調方式で変調された信号光を容易に増設することができるので、光増幅器の増幅帯域を有効活用できる。
【0044】
なお、本実施例3にかかるWDM伝送システムは、偏波多重信号を割り当てる短波長側の帯域と、非偏波多重信号を割り当てる長波長側の帯域との間にガードバンドを設定してもよい。図9は、本実施例3にかかるWDM伝送システムが設定するガードバンドを示す図である。図9の横軸は波長の長さを示す。図9に示すように、偏波多重信号290aが割り当てられる帯域と、非偏波多重信号290bが割り当てられる帯域との間にガードバンド280cが設定されている。図9に示すように、短波長側280aから長波長側280bに向けて、偏波多重信号を増設し、長波長側280bから短波長側280aに向けて非偏波多重信号を増設することで、ガードバンドを含めて、光増幅器の増幅帯域を有効活用することができる。
【実施例4】
【0045】
次に、本実施例4にかかるWDM伝送システムの構成について説明する。図10は、本実施例4にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。図10に示すように、このWDM伝送システムは、複数のノード300a〜300fを有する。各ノード300は、光ファイバ等の伝送路50により相互に接続する。具体的には、ノード300aとノード300bとは伝送路50aで接続され、ノード300bとノード300cとは伝送路50bで接続される。また、ノード300cとノード300dとは伝送路50cで接続され、ノード300dとノード300eとは伝送路50dで接続され、ノード300eとノード300fとは伝送路50eで接続される。
【0046】
続いて、図10に示したノード300の構成について説明する。ここでは一例として、ノード300bの構成について説明する。ノード300a、300c〜300fの構成は、ノード300bと同様である。図11は、本実施例4にかかるノードの構成を示す図である。図10に示すように、このノード300bは、送信器310a,310b、受信器320a,320b、合波器330、分波器340を有する。また、ノード300bは、受信用光増幅器350、送信用光増幅器360、ROADM装置370を有する。
【0047】
図11において、送信器310a,310b、受信器320a,320b、分波器340に関する説明は、上記実施例2で説明した送信器110a,110b、受信器120a,120b、分波器140に関する説明と同様である。また、受信用光増幅器350、送信用光増幅器360、ROADM装置370に関する説明は、上記実施例2で説明した受信用光増幅器150、送信用光増幅器160、ROADM装置170に関する説明と同様である。
【0048】
合波器330は、送信器310a,310bから入力された信号光を合波し、合波した信号光をROADM装置370に出力する。ここで、合波器330が各信号光を合波する場合には、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に波長多重信号を割り当て、長波長側に非偏波多重信号を割り当てる。
【0049】
更に、合波器330は、非偏波多重信号に位相変調方式で変調した信号光と強度変調方式で変調した信号光とが含まれている場合には、各信号の割り当てる帯域を制限する。ここで、非偏波多重信号のうち、位相変調方式で変調した信号光を非偏波多重の位相変調信号と表記する。また、非偏波多重信号のうち、強度変調方式で変調した信号光を非偏波多重強度変調信号と表記する。
【0050】
具体的に、合波器330は、非偏波多重の位相変調信号を、非偏波多重強度変調信号よりも短波長側に設定する。ただし、非偏波多重の位相変調信号は、偏波多重信号よりも長波長側に設定されるものとする。
【0051】
次に、波長増設について説明する。ここでは一例として、WDM伝送システムを導入する時点の条件を下記の条件1〜3とする。まず、ノード300aとノード300fとの間を10Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件1とする。この場合には、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器310をノード300aに設置し、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器320をノード300fに設置する。そして、ノード300aとノード300fとの間で送受信する信号光の波長λ1を、光増幅器の増幅帯域のうち、長波長側に設定する。ここで、ノード300aの送信器310が出力する信号光を非偏波多重の強度変調信号とする。
【0052】
続いて、ノード300bとノード300dとの間を100Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件2とする。この場合には、100Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器310をノード300bに設置し、100Gbpsで信号光のデータ通信を行う受信器320をノード300dに設置する。そして、ノード300bとノード300dとの間で送受信する信号光の波長λ2を、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に設置する。ここで、ノード300bの送信器310が出力する信号光を変調多重信号とする。
【0053】
続いて、ノード300cとノード300eとの間を40Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件3とする。この場合には、40Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器310をノード300cに設置し、40Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器320をノード300eに設置する。そして、ノード300cとノード300eとの間で送受信する信号光の波長λ3を、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に設置する。ただし、波長λ3は、上記波長λ2よりも長波長側に設置される。ここで、ノード300cの送信器310が出力する信号光を非偏波多重の位相変調信号とする。
【0054】
次に、上記条件1〜3でWDM伝送システムが信号光を伝送する場合の波長帯域について説明する。図12は、本実施例4にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。図12の横軸は波長の長さを示す。図12に示すように、このWDM伝送システムで利用する波長帯域には、第1の帯域380aと第2の帯域380bが存在する。第1の帯域380aと第2の帯域380bとを合わせた波長帯域が、光増幅器の増幅帯域に対応する。また、第1の帯域380aは、第2の帯域380bよりも短波長側に存在する。
【0055】
図12に示すように、本実施例4にかかるWDM伝送システムでは、第1の帯域380aに偏波多重変調信号390aが配置され、第2の帯域380bに非偏波多重の位相変調信号390bおよび非偏波多重の強度変調信号390cが配置される。なお、非偏波多重の位相変調信号390bは、非偏波多重の強度変調信号390cと比較して、短波長側に配置される。
【0056】
上述してきたように、本実施例4にかかるWDM伝送システムは、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側で偏波多重信号を伝送させ、長波長側で非偏波多重の位相変調信号および非偏波多重の強度変調信号を伝送させる。このため、偏波依存利得の影響を低減することができ、伝送品質の劣化を防止することができる。
【0057】
また、本実施例4にかかるWDM伝送システムは、長波長側に非偏波多重の強度変調信号を配置している。このため、XPMの影響を最小限に抑えることができる。仮に、偏波多重位相変調信号と、非偏波多重の位相変調信号との間に非偏波多重強度変調信号を割り当てると、偏波多重位相変調信号及び非偏波多重の位相変調信号がXPMの影響を受けてしまう。
【実施例5】
【0058】
次に、本実施例5にかかるWDM伝送システムの構成について説明する。図13は、本実施例5にかかるWDM伝送システムの構成を示す図である。図13に示すように、このWDM伝送システムは、複数のノード400a〜400fを有する。各ノード400は、光ファイバ等の伝送路50を介して相互に接続する。具体的には、ノード400aとノード400bとは伝送路50aで接続され、ノード400bとノード400cとは伝送路50bで接続される。また、ノード400cとノード400dとは伝送路50cで接続され、ノード400dとノード400eとは伝送路50dで接続され、ノード400eとノード400fとは伝送路50eで接続される。
【0059】
続いて、図13に示したノード400の構成について説明する。ここでは一例として、ノード400bの構成について説明する。ノード400a、400c〜400fの構成は、ノード400bと同様である。図14は、本実施例5にかかるノードの構成を示す図である。図14に示すように、このノード400bは、送信器410a,410b、受信器420a,420b、合波器430、分波器440を有する。また、ノード400bは、受信用光増幅器450、送信用光増幅器460、ROADM装置470を有する。
【0060】
図14において、送信器410a,410b、受信器420a,420b、分波器440に関する説明は、上記実施例2で説明した送信器110a,110b、受信器120a,120b、分波器140に関する説明と同様である。また、受信用光増幅器450、送信用光増幅器460、ROADM装置470に関する説明は、上記実施例2で説明した受信用光増幅器150、送信用光増幅器160、ROADM装置170に関する説明と同様である。
【0061】
合波器430は、送信器410a,410bから入力された信号光を合波し、合波した信号光をROADM装置470に出力する。ここで、合波器430が各信号光を合波する場合には、1537nm以上の光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に非偏波多重の位相変調信号を割り当て、長波長側に非偏波多重強度変調信号を割り当てる。
【0062】
次に、波長増設について説明する。ここでは一例として、WDM伝送システムを導入する時点の条件を下記の条件1、2とする。まず、ノード400aとノード400fとの間を10Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件1とする。この場合には、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器410をノード400aに設置し、10Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器420をノード400fに設置する。そして、ノード400aとノード400fとの間で送受信する信号光の波長λ1を、光増幅器の増幅帯域のうち、長波長側に設定する。ここで、ノード400aの送信器410が出力する信号光を非偏波多重強度変調信号とする。
【0063】
続いて、ノード400cとノード400eとの間を40Gbpsの信号光でデータ通信を行うことを条件2とする。この場合には、40Gbpsの信号光でデータ通信を行う送信器410をノード400cに設置し、40Gbpsの信号光でデータ通信を行う受信器420をノード400eに設置する。そして、ノード400cとノード400eとの間で送受信する信号光の波長λ2を、光増幅器の増幅帯域のうち、短波長側に設置する。ただし、波長λ3は、波長1537nmよりも長波長側に設置される。ここで、ノード400cの送信器410が出力する信号光を非偏波多重の位相変調信号とする。
【0064】
次に、上記条件1、2でWDM伝送システムが信号光を伝送する場合の波長帯域について説明する。図15は、本実施例5にかかるWDM伝送システムが伝送する信号光の波長帯域を示す図である。図15の横軸は波長の長さを示す。図15に示すように、このWDM伝送システムで利用する波長帯域には、第2の帯域480bが存在する。なお、本実施例5では、第1の帯域480aを利用しないものとする。第1の帯域480aと第2の帯域480bとを合わせた波長帯域が、光増幅器の増幅帯域に対応する。また、第2の帯域480bは、波長1537nmよりも長波長側に存在する。
【0065】
図15に示すように、本実施例5にかかるWDM伝送システムでは、第2の帯域480bの短波長側に非偏波多重の位相変調信号490aを配置し、第2の帯域480bの長波長側に非偏波多重強度変調信号490bを配置する。また、非偏波多重の位相変調信号490aを増設する場合には、長波長側から短波長側に向けて、非偏波多重の位相変調信号490aを増設する。非偏波多重強度変調信号490bを増設する場合には、長波長側から短波長側に向けて、非偏波多重強度変調信号490bを増設する。
【0066】
なお、波長増設は、上記の実施例に限られるものではない。例えば、第2の帯域480bのうち、短波長側から長波長側に向けて、非偏波多重の位相変調信号490aを順次増設し、長波長側から短波長側に向けて、非偏波多重強度変調信号490bを順次増設しても構わない。
【0067】
上述してきたように、本実施例5にかかるWDM伝送システムは、第2の帯域のうち、短波長側で非偏波多重の位相変調信号を伝送させ、長波長側で非偏波多重強度変調信号を伝送させる。このため、偏波依存性利得の影響を低減することができ、伝送品質の劣化を防止することができる。また、非偏波多重の位相変調信号が割り当てられる波長帯域と、非偏波多重強度変調信号が割り当てられる波長帯域との間の波長帯域が広くなるので、XMPによる信号劣化の問題を解消することができる。
【0068】
ところで、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともできる。あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0069】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、受信用光増幅器150および送信用光増幅器160の代わりに、単一の光増幅器を用いてもよい。
【0070】
さて、これまで、実施例1〜5について説明してきたが、以下において、WDM伝送システムで使用されるCバンド及びLバンドでは、長波長側よりも短波長側の方が吸収断面積および放射断面積が大きく、EDFの長手方向の光パワーが大きいことを示す。また、Cバンド及びLバンドでは、短波長側の方が長波長側よりも信号光の偏波に対して偏波依存利得が大きいことを示す。
【0071】
まず、参考文献(Carl R Davidson, “Spectral Dependence of Hole-Burning” OFC,2006)に示すように、飽和信号光によって発生する利得偏光依存性のスペクトルホールは、誘導放電の速度と関係する。
【0072】
図16は、Er3+のエネルギー準位を示す図である。1550nm帯の光増幅には、4I13/2と4I15/2との間の誘導放出遷移を利用する。Er3+が添加される材料が光ファイバの材料である石英ガラスの場合には、各エネルギー準位はシュタルク分裂1aを起こす。分裂したエネルギー準位は、シュタルク準位と呼ばれる。それぞれのシュタルク準位は、40〜100cm−1の線幅を持つため、1550nm帯の吸収スペクトルおよび放射スペクトルは連続して観測される。
【0073】
シュタルク準位Er3+の密度は、ボルツマン分布に従う。信号光の光パワーが大きく、誘導放出の速度がボルツマン分布への緩和速度と比較して無視できない程度となる場合には、シュタルク準位Er3+の密度が減少した状態となる。このシュタルク準位Er3+の密度が減少した準位に相当するスペクトルにホールが形成され、信号光の偏波に対して偏波依存利得を持つようになる。
【0074】
誘導放出の速度は、EDFの吸収放射面積およびEDFの長手方向の光パワー分布に依存する。2準位系のレート方程式は、σa(k)、σe(k)をそれぞれ吸収断面積、放射断面積[m2]、I(k)を光パワー[W/m2]、
【数1】
を光子エネルギーとすると、
【数2】
で表わされる。式(1)において、kは波長を示し、Ntはエルビウム原子の総数を示し、N2は上準位にあるエルビウム数を示し、τ2は自然放出の時間を示す。
【0075】
また、式(1)において、f(k)は、誘導放出の速度の波長を特徴づけるパラメータであり、式(2)により表わされる。
【数3】
式(2)に示すように、誘導放出の速度の波長特性は、吸収、放射断面積σa(k)、σe(k)の和と光パワーI(k)との積に比例することが分かる。
【0076】
図17は、EDFの吸収断面積及び放射断面積と波長との関係を示す図である。図17の縦軸は吸収断面積および放射断面積の大きさを示し、横軸は波長の長さを示す。図17において、1530nm〜1565nmの帯域をCバンド3aとし、1565nm〜1625nmの帯域をLバンド3bとする。図17に示すように、吸収断面積2aは、波長が1450nmとなるあたりから徐々に増加し、波長が1530nmとなる辺りでピークとなる。そして、波長が1530nmから増加するにしたがって、吸収断面積2aは減少する。このため、Cバンド3a内およびLバンド3b内では、長波長側よりも短波長側のほうが、吸収断面積2aが大きくなる。
【0077】
同様に、放射断面積は、波長が1450nmとなるあたりから徐々に増加し、波長が1530nmとなる辺りでピークとなる。そして、波長が1530nmから増加するにしたがって、放射断面積2bは減少する。このため、Cバンド3a内およびLバンド3b内では、長波長側よりも短波長側のほうが、放射断面積2bが大きくなる。
【0078】
続いて、EDF内の光パワーの波長特性について説明する。EDFの単位長さあたりの利得波長特性G(λ)[dB/m]は、式(3)で表わすことができる。
【数4】
式(3)において、tは反転分布を示し、g(λ)は利得係数を示し、α(λ)は吸収係数を示す。
【0079】
図18は、Cバンドに対応するEDFの単位長さあたりの利得波長特性を示す図である。図18の縦軸は利得係数の大きさを示し、横軸は波長の長さを示す。波形4aは反転分布tが1.0の場合の利得と波長との関係を示し、波形4bは反転分布tが0.9の場合の利得と波長との関係を示し、波形4cは反転分布tが0.8の場合の利得と波長との関係を示す。波形4dは反転分布tが0.7の場合の利得と波長との関係を示し、波形4eは反転分布tが0.6の場合の利得と波長との関係を示し、波形4fは、反転分布tが0.5の場合の利得と波長との関係を示す。波形4gは反転分布tが0.4の場合の利得と波長との関係を示す。図18に示すように、反転分布tが0.4の場合には、長波長側の利得が短波長側の利得と比較して大きい。これに対して、反転分布tが0.7以上の場合には、短波長側の利得が長波長側の利得と比較して大きくなる。
【0080】
図19は、Cバンドに対応するEDFの長手方向の光パワーの波長特性のシミュレーションモデルを示す図である。EDF5aの長さを12mとする。図19のシミュレーションモデルでは、EDF5aに波長が1525〜1565nmとなる信号光を21波入力し、980nm、200mWで励起した。また、入力する信号光の光量を−15dBm/chとする。
【0081】
図20は、図19に示したシミュレーションモデルのシミュレーション結果を示す図である。図20の縦軸は反転分布の大きさを示し、横軸はEDFの長手方向の長さを示す。図20に示すように、全長12mのうち0m〜6mのところまでは、反転分布が0.65以上となる。このように、反転分布が0.65以上となる場合には、図18に示したように短波長側の利得の方が長波長側の利得と比較して高くなる。
【0082】
図21は、図19に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの長手方向の光パワー分布を波長毎に示した図である。図21の縦軸は信号光のパワーを示し、横軸はEDFの長手方向の長さを示す。図21の6aに含まれる各波形は、波長が1539〜1565nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。図21の7aに含まれる各波形は、波長が1525〜1537nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。なお、波形8aは、波長が1527nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものであり、波形8bは、波長が1529nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。波形8cは、波長が1531nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものであり、波形8dは、波長が1533nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。波形8eは、波長が1535nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。
【0083】
図21において波形6aと波形7aとを比較すると、EDFの長手方向の6mのところまでは、1525〜1537nmの短波長側の信号光のパワーのほうが、1539〜1565nmの長波長側の信号光のパワーよりも大きいことが分かる。また、EDFの長手方向の12mのところでも、1525〜1537nmの短波長側の信号光のパワーのほうが、1539〜1565nmの長波長側の信号光のパワーよりも大きいことが分かる。
【0084】
図22は、図19に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの出力のスペクトルを示す図である。図22の縦軸は出力される信号光のパワーを示し、横軸は波長の長さを示す。図22に示す例では、波長が1530〜1535nmの間に信号光のパワーのピークをとる。
【0085】
図23は、Lバンドに対応するEDFの単位長さあたりの利得波長特性を示す図である。図23の縦軸は利得係数の大きさを示し、横軸は波長の長さを示す。波形9aは反転分布tが0.5の場合の利得と波長との関係を示し、波形9bは反転分布tが0.45の場合の利得と波長との関係を示し、波形9cは反転分布tが0.4の場合の利得と波長との関係を示す。波形9dは反転分布tが0.35の場合の利得と波長との関係を示し、波形9eは反転分布tが0.3の場合の利得と波長との関係を示す。図23に示すように、反転分布tが0.3の場合には、長波長側の利得が短波長側の利得と比較して大きい。反転分布tが0.4の場合には、長波長側の利得と短波長側の利得がほぼ等しくなる。また、反転分布tが0.45以上の場合には、短波長側の利得が長波長側の利得と比較して大きくなる。
【0086】
図24は、Lバンドに対応するEDFの長手方向の光パワーの波長特性のシミュレーションモデルを示す図である。EDF10aの長さを120mとする。図24のシミュレーションモデルでは、EDF10aに波長が1570〜1610nmとなる信号光を21波入力し、1460nm、300mWで励起した。また、入力する信号光の光量を−15dBm/chとする。
【0087】
図25は、図24に示したシミュレーションモデルのシミュレーション結果を示す図である。図25の縦軸は反転分布の大きさを示し、横軸はEDFの長手方向の長さを示す。図25に示すように、全長120mのうち0m〜30mのところまでは、反転分布が0.4以上となる。このように、反転分布が0.4以上となる場合には、図25に示したように短波長側の利得の方が長波長側の利得と比較して高くなる。
【0088】
図26は、図24に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの長手方向の光パワー分布を波長毎に示した図である。図26の縦軸は信号光のパワーを示し、横軸はEDFの長手方向の長さを示す。図26の11aに含まれる各波形は、波長が1570nm〜1610nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。なお各波形11aのうち、波形12aは、波長が1576nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。波形12bは、波長が1582nmとなる場合の信号光のパワーとEDFの長手方向の長さとの関係を示すものである。図26に示すように、ほぼ全域にわたって短波長側の光パワーが長波長側の光パワーよりも大きいことが分かる。
【0089】
図27は、図24に示したシミュレーションモデルにおいてEDFの出力のスペクトルを示す図である。図27の縦軸は出力される信号光のパワーを示し、横軸は波長の長さを示す。図27に示す例では、波長が1590〜1595nmの間に信号光のパワーのピーク値をとる。
【0090】
続いて、図17に示した吸収断面積及び放射断面積と、図21に示した信号光のパワー分布とを上記の式(2)に代入した結果を図28に示す。図28は、Cバンドの波長と誘導放出のパラメータFとの関係を示す図である。図28の縦軸は誘導放出の速度を特徴づけるパラメータFであり、横軸は波長の大きさを示す。図28に示すように短波長側の方が長波長側と比較して、パラメータFの大きさが大きくなる。
【0091】
図17に示した吸収断面積及び放射断面積と、図26に示した信号光のパワー分布とを上記の式(2)に代入した結果を図29に示す。図29は、Lバンドの波長と誘導放出のパラメータFとの関係を示す図である。図29の縦軸は誘導放出の速度を特徴づけるパラメータFであり、横軸は波長の長さを示す。図29に示すように短波長側の方が長波長側と比較して、パラメータFの大きさが大きくなる。
【0092】
ここで、基準とした信号光の偏波に対して偏波依存利得を持つPHBは、誘導放出の速度が大きければ大きくなる。このため、Cバンド及びLバンドともに、短波長側の方が長波長側よりも信号光の偏波に対して偏波依存利得が大きいことが分かる。
【符号の説明】
【0093】
30a,30b,30c 伝送装置
31a,31b 送信器
32 光増幅器
33 合波器
35 伝送路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非偏波多重の信号光と、前記信号光とは異なる波長である偏波多重の信号光を伝送する光伝送装置であって、
希土類イオンをドープした増幅媒体を用いることで波長多重信号光を増幅する光増幅器と、
前記光増幅器の増幅帯域の短波長側に偏波多重された信号光の波長を出力する第1の送信器と、
前記光増幅器の増幅帯域の長波長側に非偏波多重された信号光の波長を出力する第2の光送信器と、
入力された前記非偏波多重の信号光および前記偏波多重の信号光が合波された波長多重信号光を前記光増幅器に入力する合波器と、
を備える伝送装置。
【請求項2】
前記第1の送信器を複数備え、
前記合波器は、前記複数の第1の光送信器から前記偏波多重の信号光を入力し、前記増幅帯域の短波長側において、波長の異なる前記複数の偏波多重の信号光を割り当てた状態で、前記複数の偏波多重の信号光と前記非偏波多重の信号光とを合波することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記合波器は、前記偏波多重の信号光が割り当てられる波長帯域と前記非偏波多重の信号光が割り当てられる波長帯域との間を所定の波長帯域だけ離した状態で、前記偏波多重の信号光と前記非偏波多重の信号光とを合波することを特徴とする請求項1または2に記載の伝送装置。
【請求項4】
前記合波器は、強度変調方式により変調された非偏波多重の信号光を前記増幅帯域の長波長側に割り当て、位相変調方式により変調された偏波多重の信号光を前記増幅帯域の短波長側に割り当てた状態で、前記偏波多重の信号光と非偏波多重の信号光とを合波することを特徴とする請求項1、2または3に記載の伝送装置。
【請求項5】
信号光の偏波状態により信号利得とASE利得が異なる偏波ホールバーニング帯域を有するとともに、該偏波ホールバーニング帯域内において信号光の波長数に応じて信号利得とASE利得が変化する、希土類イオンをドープした増幅媒体を用いる光増幅器と、
偏波多重による変調方式により変調された偏波多重の信号光と、非偏波多重の信号光を出力することが可能であり、前記偏波ホールバーニング帯域に少なくとも1つの前記偏波多重の信号光を割り当てる複数の光送信器と、
前記複数の光送信器からの信号光を合波し、光学的に結合した前記光増幅器に出力する合波波器と、
を有する伝送システム。
【請求項1】
非偏波多重の信号光と、前記信号光とは異なる波長である偏波多重の信号光を伝送する光伝送装置であって、
希土類イオンをドープした増幅媒体を用いることで波長多重信号光を増幅する光増幅器と、
前記光増幅器の増幅帯域の短波長側に偏波多重された信号光の波長を出力する第1の送信器と、
前記光増幅器の増幅帯域の長波長側に非偏波多重された信号光の波長を出力する第2の光送信器と、
入力された前記非偏波多重の信号光および前記偏波多重の信号光が合波された波長多重信号光を前記光増幅器に入力する合波器と、
を備える伝送装置。
【請求項2】
前記第1の送信器を複数備え、
前記合波器は、前記複数の第1の光送信器から前記偏波多重の信号光を入力し、前記増幅帯域の短波長側において、波長の異なる前記複数の偏波多重の信号光を割り当てた状態で、前記複数の偏波多重の信号光と前記非偏波多重の信号光とを合波することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記合波器は、前記偏波多重の信号光が割り当てられる波長帯域と前記非偏波多重の信号光が割り当てられる波長帯域との間を所定の波長帯域だけ離した状態で、前記偏波多重の信号光と前記非偏波多重の信号光とを合波することを特徴とする請求項1または2に記載の伝送装置。
【請求項4】
前記合波器は、強度変調方式により変調された非偏波多重の信号光を前記増幅帯域の長波長側に割り当て、位相変調方式により変調された偏波多重の信号光を前記増幅帯域の短波長側に割り当てた状態で、前記偏波多重の信号光と非偏波多重の信号光とを合波することを特徴とする請求項1、2または3に記載の伝送装置。
【請求項5】
信号光の偏波状態により信号利得とASE利得が異なる偏波ホールバーニング帯域を有するとともに、該偏波ホールバーニング帯域内において信号光の波長数に応じて信号利得とASE利得が変化する、希土類イオンをドープした増幅媒体を用いる光増幅器と、
偏波多重による変調方式により変調された偏波多重の信号光と、非偏波多重の信号光を出力することが可能であり、前記偏波ホールバーニング帯域に少なくとも1つの前記偏波多重の信号光を割り当てる複数の光送信器と、
前記複数の光送信器からの信号光を合波し、光学的に結合した前記光増幅器に出力する合波波器と、
を有する伝送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
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【図4】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
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【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2012−10279(P2012−10279A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146691(P2010−146691)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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