説明

伸縮性不織布およびそれを用いた繊維製品

【課題】伸縮性・柔軟性ともに優れ、かつアンチブロッキング性および風合にも優れた伸縮性不織布およびそれを用いた繊維製品を提供する。
【解決手段】第一成分樹脂を用いて得られる繊維と第二成分樹脂を用いて得られる繊維の混繊(重量)比が5:95〜95:5の範囲である混合繊維ウェブを用いて得られる伸縮性不織布であり、第一成分樹脂がポリスチレンエラストマーであって、該ポリスチレンエラストマーが、(1)主として芳香族ビニル化合物を用いて得られる重合体ブロック(イ)と、主として共役ジエン化合物を用いて得られる重合体ブロック(ロ)とをそれぞれ少なくとも1個有し、かつ二重結合の一部が水素添加されたブロック共重合体、または(2)二重結合の一部が水素添加された、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体であり、第二成分樹脂がポリスチレンエラストマー以外の熱可塑性エラストマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性不織布およびそれを用いた繊維製品に関する。さらに詳しくは、優れた伸縮性、優れた柔軟性、優れたアンチブロッキング性および優れた風合を兼ね備えた伸縮性不織布およびそれを用いた繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身体へのフィット性を向上させるために、伸縮性不織布が好んで用いられるようになりなってきた。中でも、熱可塑性エラストマーを用いた不織布は、柔軟で、かつ伸縮特性に富むため、使い捨ておむつ、衣類、キャップ、包帯、テープ、サポーター、手袋等、各種用途に用いられている。一方、大多数の熱可塑性エラストマーは、優れた伸縮性を有す反面、伸縮性が向上するに従い、粘着性が強くなるという性質を有する。従って、伸縮性能の高い熱可塑性エラストマーを用いた伸縮性不織布は、衣服との摩擦により毛羽立ち、ズレ、剥がれが起こるため、衣服の下で皮膚に貼り付けて使用する用途に向かなかったり、風合が低下する恐れがある。
【0003】
また、伸縮性不織布を製造したり、保管したりする際、特に夏場の保管時においては高温と積載荷重によって、繊維間に膠着が発生しやすくなるため、ロール状に巻かれた伸縮性不織布の繰出し作業においては、伸縮性不織布に過剰な張力が必要となり、伸縮性不織布が変形したり、酷い時は破断するといった問題が発生する。このように、繊維同士・不織布同士が膠着する現象は「ブロッキング」と呼ばれ、伸縮性を持った繊維や不織布を取り扱う際の問題点となっている。ブロッキングを防ぐ性質のことを「アンチブロッキング性」と呼び、粘着性のない、すなわちアンチブロッキング性に優れる伸縮性不織布が望まれている。
【0004】
また、熱可塑性エラストマーを不織布化する方法としては、メルトブロー法およびスパンボンド法が知られているが、製造時においてコンベアネットあるいはその後の移動手段等の製造設備への膠着も発生し、特に目付が低い不織布を得る際は、工業的に安定して得ることが困難であるというのが現状である。熱可塑性エラストマーの中には、不織布に使用した場合アンチブロッキング性が良好なもの(例えばポリウレタンエラストマーの一種)もあるが、それだけでは良好な柔軟性や風合いを求めるという課題を解決できない。
【0005】
熱可塑性エラストマーの中でも、特にポリスチレンエラストマーは、伸縮性に優れ、かつ他の熱可塑性エラストマーに比べて、材料硬度が低いことから、得られる伸縮性不織布は、伸縮性および柔軟性に優れるが、一方で粘着性が強く、ブロッキング現象が起こるといった問題があった。また、低応力での伸縮性に富む反面、応力保持性が十分ではないといった問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、ポリスチレンエラストマーにポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンを混合した組成物を素材として用いた伸縮性不織布を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法で得られた伸縮性不織布は、応力保持性が不十分であり、また不織布表面にポリオレフィン成分が十分に存在していないので、十分なアンチブロッキング性が得られないうえ、伸縮性と柔軟性に乏しいポリプロピレン系樹脂を混合しているため、伸縮性と柔軟性も十分ではなく、前記用途に使用するためにはさらなる改善が望まれるものである。
【0007】
また、(スチレン)−(エチレン−ブチレン)−(スチレン)ブロック共重合体と伸縮性を有し、かつ熱可塑性エラストマーの中では、粘着性が弱いエチレン−α−オレフィン共重合体を混合した後、伸縮性不織布を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。エチレン−α−オレフィン共重合体を用いることで、伸縮性には優れるが、伸縮に高い応力を要するので柔軟性に乏しく、依然、不織布表面にエチレン−α−オレフィン共重合体が十分に存在してないので、十分なアンチブロッキング性が得られるものではなかった。
【0008】
また、同一ダイに配置された異なるノズルから、異種の溶融ポリマーを同時に押し出して、異種ポリマーからなる繊維が混合された混繊不織布が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、これは、単に異なる繊維同士を混合するだけの発明であり、伸縮性とアンチブロッキング性という両性能に優れたものを得るという目的にかなうものではない。
【0009】
【特許文献1】特公平7−81230号公報
【特許文献2】特開平9−105056号公報
【特許文献3】特開2002−242069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、優れた伸縮性と優れた柔軟性と優れたアンチブロッキング性および優れた風合を兼ね備えた伸縮性不織布およびそれを用いた繊維製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、伸縮性(特に低応力での)に優れるポリスチレンエラストマーに着目していたが、それ自体からなる不織布ではブロッキング現象の問題を解決できないことは明らかであった。一般に、同種の熱可塑性エラストマーからなる繊維同士では相溶性に起因した粘着性によるブロッキング現象が起こる一方、異種の熱可塑性エラストマーを用いて得られる繊維同士の接触点ではブロッキング現象が起こりにくいことにも着目していた。これは、異種のエラストマー同士の相溶性が低いことに起因すると考えられる。相溶性の低い異種のエラストマー樹脂同士を混合して紡糸することは困難だが、混繊するならば紡糸・不織布化は極めて容易であり、このような不織布同士を接触させた場合、異種の熱可塑性エラストマー同士の接点が増えることによりブロッキング現象を効率的に抑えることができることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0012】
本発明は、以下によって構成される。
(1)第一成分樹脂を用いて得られる繊維と第二成分樹脂を用いて得られる繊維の混繊〔重量〕比が5:95〜95:5の範囲である混合繊維ウェブを用いて得られる伸縮性不織布であり、第一成分樹脂がポリスチレンエラストマーであって、該ポリスチレンエラストマーが、(1)主として芳香族ビニル化合物を用いて得られる重合体ブロック(イ)を少なくとも1個、主として共役ジエン化合物を用いて得られる重合体ブロック(ロ)を少なくとも1個有し、かつ共役ジエン部分に由来する二重結合の一部が水素添加されたブロック共重合体、または(2)共役ジエン部分に由来する二重結合の一部が水素添加された、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体であり、第二成分樹脂がポリスチレンエラストマー以外の熱可塑性エラストマーであることを特徴とする伸縮性不織布。
ただし、第二成分樹脂が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなるエチレン−α―オレフィン共重合体であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下であって、該エチレン−α−オレフィン共重合体が、下記のa)〜c)を満たし、かつ実質的に線状であり、炭素数3〜20のα−オレフィンの少なくとも1種が均一に分岐しているエチレン−α−オレフィン共重合体である場合は除く。
a)密度が0.90g/cm以下であること
b)メルトマスフローレートの比(I10/I)が6以上であること。
c)分子量分布(Mw/Mn)とメルトマスフローレートの比(I10/I)が次式の関係にあること。
4.63≦(I10/I)−(Mw/Mn)
(2)第二成分樹脂の熱可塑性エラストマーがポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、およびポリオレフィンエラストマーの群から選ばれる少なくとも1種である前記(1)項記載の伸縮性不織布。
(3)前記伸縮性不織布が、スパンボンド法により得られる長繊維不織布である前記(1)項または前記(2)項に記載の伸縮性不織布。
(4)前記伸縮性不織布が、メルトブロー法により得られる長繊維不織布である前記(1)項または前記(2)項に記載の伸縮性不織布。
(5)前記伸縮性不織布同士を重ね合わせた時の剥離強度が、該不織布の50%伸長時の強度以下である前記(1)項〜(4)項のいずれか1項記載の伸縮性不織布。
(6)前記(1)項〜(5)項のいずれか1項記載の伸縮性不織布に、該伸縮性不織布以外の不織布、フィルム、ウェブ、織物、編物およびトウから選ばれる少なくとも1種の物品を積層した複合化不織布。
(7)前記(1)項〜(5)項のいずれか1項記載の伸縮性不織布、または前記(6)項記載の複合化不織布を用いた繊維製品。
【発明の効果】
【0013】
本発明の伸縮性不織布は、伸縮性・柔軟性ともに優れ、かつアンチブロッキング性および風合にも優れており、特に適度なフィット感、伸縮性が求められる使い捨ておむつ、衣類、キャップ、包帯、テープを始め各種繊維製品へ好適に使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の伸縮性不織布は、第一成分樹脂(ポリスチレンエラストマー)と第二成分樹脂(熱可塑性エラストマー)を用いて得られる繊維の混繊比(重量比)が5:95〜95:5の範囲である混合繊維を用いて得られる伸縮性不織布であって、該不織布の100%伸長時の回復が70%以上を有し、第一成分樹脂のポリスチレンエラストマーが、(1)主として芳香族ビニル化合物を用いて得られる重合体ブロック(イ)を少なくとも1個、主として共役ジエン化合物を用いて得られる重合体ブロック(ロ)を少なくとも1個有し、かつ共役ジエン部分に由来する二重結合の一部が水素添加されたブロック共重合体、または(2)共役ジエン部分に由来する二重結合の一部が水素添加された、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体であり、第二成分樹脂が第一成分樹脂とは異なる熱可塑性エラストマーであることを特徴とする伸縮性不織布である。
【0015】
本発明の第一成分樹脂を構成するポリスチレンエラストマーは、芳香族ビニル化合物と、他のコモノマーとの共重合体が利用できる。他のコモノマーには、芳香族ビニル化合物と共重合が可能なモノマーを使用でき、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン化合物、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等のオレフィンや、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸とメタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール等のアルコールとを用いて得られるエステル化合物等を挙げることができる。
【0016】
中でも、前記ポリスチレンエラストマーとしては、(1)主として芳香族ビニル化合物を用いて得られる重合体ブロック(イ)を少なくとも1個、主として共役ジエン化合物を用いて得られる重合体ブロック(ロ)を少なくとも1個有し、かつ共役ジエン部分に由来する二重結合の一部が水素添加されたスチレンブロック共重合体、または(2)共役ジエン部分に由来する二重結合の一部が水素添加された芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体が好ましい。なお、「主として」とは、重合体ブレンドを構成する上記化合物が、重合体ブロックの構成単位中に少なくとも50重量%を占めるという条件のもとに、他の構成単位を含んでいても良いことを意味し、「他の構成単位」としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等が例示できる。
【0017】
該スチレンブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン等が例示され、特にスチレンが好ましい。これら芳香族ビニル化合物は、単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いても良い。また、該スチレンブロック共重合体を構成する共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が例示でき、特にブタジエン及びイソプレンが好ましい。これらは、単独で用いても2種類以上を組み合わせても良い。また、該スチレンブロック共重合体は、化合物の安定性、紡糸性等の点から共役ジエン部分に由来する二重結合の一部が水素添加されたスチレンブロック共重合体であり、好ましくエチレン・α−オレフィン共重合体スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体「エチレン・α―オレフィン共重合体」

「エチレン−α―オレフィン共重合体」


「スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体」

「(スチレン)−(エチレン−ブチレン)−(スチレン)ブロック共重合体」は該二重結合の水素添加率は80%以上である。
【0018】
このようなスチレンブロック共重合体としては、具体的には、(スチレン)−(エチレン−ブチレン)−(スチレン)ブロック共重合体(SEBS)、(スチレン)−(エチレン−プロピレン)−(スチレン)ブロック共重合体(SEPS)、(スチレン)−(エチレン−ブチレン)−(オレフィン結晶)ブロック共重合体(SEBC)等のブロック共重合体が挙げられる。商品名の具体例として、KRATON G(商品名、クレイトンポリマージャパン(株)製)、SEPTON(商品名、クラレ(株)製)、タフテック(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)、JSR DYNARON(商品名、JSR(株)製)等が挙げられる。
【0019】
前記ポリスチレンエラストマーのランダム共重合体は、該ランダム共重合体を構成する共役ジエン部分に由来する二重結合の一部が水素添加された水添スチレン−ジエン共重合体であり、好ましくは該二重結合の水素添加率は80%以上である。
【0020】
該水添スチレン−ジエン共重合体を構成する共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,2−ジメチルブタジエン、3−エチルブタジエンが挙げられる。好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンであり、更に好ましくは1,3−ブタジエンである。また、該水添スチレン−ジエン共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。好ましくはスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレンであり、更に好ましくはスチレンである。
【0021】
該水添スチレン−ジエン共重合体(HSBR)は、少なくとも1種の共役ジエン化合物と3〜50重量%の芳香族ビニル化合物との共重合体であって、分子量分布(Mw/Mn=重量平均分子量/数平均分子量)が10以下であって、かつ該水添スチレン−ジエン共重合体を構成するジエン部分のビニル結合含有率が10〜90重量%である共重合体のオレフィン性不飽和結合の少なくとも80%が水素添加された共重合体が好ましい。
商品名の具体例としては、JSR DYNARON(商品名、JSR(株)製)等が挙げられる。
【0022】
本発明の「第一成分樹脂を用いて得られる繊維」には、本発明の効果を阻害しない範囲で第一成分以外の樹脂成分を含んでいても良い。
【0023】
本発明の伸縮性不織布を構成する第二成分樹脂は、ポリスチレンエラストマー以外の熱可塑性エラストマーを用いて得られる。熱可塑性エラストマーとは、常温(20〜30℃)では加硫ゴムと同様な弾性体の性質を持ち(分子中のソフトセグメントによる)、高温では通常の熱可塑性樹脂と同様に既存の繊維紡糸機をそのまま使って紡糸することができる(分子中のハードセグメントによる)高分子材料である。
【0024】
第二成分樹脂の熱可塑性エラストマーは、本発明の第一成分樹脂であるポリスチレンエラストマーとは異なる熱可塑性エラストマーである。第一成分樹脂と同様なポリスチレンエラストマーを第二成分樹脂として用いた場合、不織布としてロール状に巻取り、このロールをユーザーで繰出す時に粘着力が強くなり、繰出しにくくなる場合がある。酷い時には重なり合った部分が一体化してしまう場合もある。これは、不織布表面に同一成分の占める割合が多くなり、親和力により粘着性が増加するからである。
【0025】
熱可塑性エラストマーとしては、加工性と伸縮性の点からポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマーが好ましい。
【0026】
前記のポリウレタンエラストマーとしては、特に限定されるものではなく、これまで公知の溶融紡糸可能なものが使用できる。このようなポリウレタンエラストマーは、ポリオール成分、有機ジイソシアネート、および鎖伸長剤として活性水素原子を2個以上有する低分子化合物を縮重合させたポリマーであり、これらの3成分を一括混合して縮重合させるワンショット法で製造されるものでもよく、ポリオール成分と有機ジイソシアネートをまず反応させてプレポリマーとし、続いて鎖伸長剤を加えて反応させるプレポリマー法で製造されるものでもよい。
【0027】
好ましいポリオール成分としては、低分子量のジオールとジカルボン酸の縮合重合でポリエステルジオール、ラクタムの開環重合で得たポリラクトンジオール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリアルキレンカーボネートグリコールなど平均分子量が500〜3000のポリマーグリコールが挙げられる。さらに具体的には、炭素数2〜12の脂肪族ジオールまたは脂環族ジオール、例えば、エチレングリコール、ブロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−又は3−メチル−1,7−ヘプタンジオール、2−又は3−メチル−1,8−オクタンジオール、ω,ω’−ジヒドロキシ−1,4−ジメチルシクロヘキサンなどの直鎖状又は側鎖状の脂肪ジオール或いは脂環族ジオールから選ばれる少なくとも1種類のジオールと、脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、またはそれらジカルボン酸のエステルなどから選ばれる少なくとも1種類のジカルボン酸或いはエステルとを反応して得た平均分子量600〜3000のポリエステルジオールが挙げられる。
【0028】
有機ジイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族または脂肪族ジイソシアネートを主体とした有機ジイソシアネート、それに必要に応じて脂肪族ジイソシアネートまたはナフタレン環を有するジイソシアネートから選ばれる有機ジイソシアネートが挙げられる。
【0029】
鎖伸長剤としては、例えば、ジオール、アミノアルコール、ヒドラジン、ジアミン、トリオール類などから選ばれる活性水素原子を2個以上有する低分子化合物が挙げられる。鎖伸長剤の好ましい具体例として、1,4−ブタンジオール、p,p’−ビスヒドロキシエトキシベンゼンが挙げられる。
そして、ポリオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤を所望の組成で選び、溶融重合法、塊状重合法あるいは溶液重合法などで重合して熱可塑性ポリウレタンとしたものが代表例として例示される。
【0030】
前記のポリアミドエラストマーとしては、例えば主としてポリアミドを用いて得られるハードセグメントと、ポリエーテルジオールを用いて得られるソフトセグメントとが、ジカルボン酸(結合剤)によってエステル結合で連結されたポリエーテルエステルアミドや、これらがアミド結合で連結されたポリエーテルアミドが挙げられる。ハードセグメントを構成するポリアミドとしては、例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12などが挙げられる。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテルジオールとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリヘキサメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロック共重合体などが挙げられる。なお、これらに他のジオール類、例えばトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンなどをエーテル成分として共重合したものも用いることができる。また、ポリエーテルエステルアミドの場合に、ハードセグメントとソフトセグメントの結合剤として用いられるジカルボン酸としては、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。ハードセグメント、ソフトセグメント、及び結合剤を構成する成分は、単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、ハードセグメントとしてナイロン12、ソフトセグメントとしてポリテトラメチレンオキシド、さらにジカルボン酸成分を結合剤として用いたポリエーテルエステルアミドがポリアミドエラストマーの一例として挙げられる。また、ハードセグメントとソフトセグメントの共重合比は必要とされる硬度に合うように適宜選択できる。
【0031】
前記のポリエステルエラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合体が挙げられる。ハードセグメントである熱可塑性ポリエステルを構成する成分としては、少なくとも1種のジカルボン酸と少なくとも1種のジオール成分を用いて得られる共重合体が挙げられ、ポリエステルエラストマーはこれらをソフトセグメントであるポリ(アルキレンオキシド)グリコールと共重合させた三元共重合体である。ハードセグメントを構成するジカルボン酸として具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸や、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸や、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、及びこれらのエステル形成性誘導体等から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸が挙げられる。ハードセグメントを構成するジオール成分として具体的には、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールや、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族ジオール、及びこれらのエステル形成性誘導体等から選ばれる少なくとも1種のジオール成分が挙げられる。ソフトセグメントを構成するポリ(アルキレンオキシド)グリコールとして具体的には、平均分子量が約400〜5000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等から選ばれる少なくとも1種のポリ(アルキレンオキシド)グリコールが挙げられる。
【0032】
前記ポリオレフィンエラストマーとしては、オレフィンモノマーを用いて得られたランダム共重合体やブロック共重合体の中からエラストマーとなるものを選んで用いることができる。この場合のオレフィンモノマーは、共役ジエン化合物である場合を包含する。
【0033】
前記ポリオレフィンエラストマーのブロック共重合体としては、具体的には主に水添ジエン共重合体を用いて得られるものが挙げられる。水添ジエン共重合体としては、共役ジエン化合物が主に1,4−結合した重合体ブロック(c)と、共役ジエン化合物が主に1,2−結合および/または3,4−結合した重合体ブロック(d)とを用いて得られ、ジエン共重合体中の共役ジエン部分に由来する二重結合の一部が飽和された水添ジエン共重合体が好ましい。
【0034】
上記重合体ブロック(c)中の1,4−結合の含量は、全結合含量(1,2−、3,4−、1,4−結合)中の70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。また、上記重合体ブロック(c)の含量は、水添ジエン共重合体全体に対して1〜99重量%が好ましく、5〜65重量%がより好ましく、5〜50重量%が最も好ましい。また、水添ジエン共重合体を構成する重合体ブロック(d)中の1,2−結合および/または3,4−結合の含量は、全結合含量(1,2−、3,4−、1,4−結合)中の50%以上であることが好ましく、60〜95%がより好ましい。1,4−結合、1,2−結合および3,4−結合の含量は、赤外分光法を用いMorero法によって測定され、その測定法や測定条件等は、例えば錦田晃一・岩本令吉著「赤外法による材料分析」(1986年講談社刊)、第215〜217ページに解説されている。また、前記水添ジエン共重合体中の重合体ブロック(d)の含量は、10〜95重量%が好ましく、20〜90重量%がより好ましく、50〜90重量%が最も好ましい。
【0035】
水添ジエン共重合体の共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が例示されるが、工業的に利用でき、また物性の優れた水添ジエン共重合体を得るためには、共役ジエン化合物として、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンを用いることが好ましい。また、水添ジエン共重合体が、重合体ブロック(c)として、1,2−結合含量が25重量%以下であるポリブタジエンブロックと、共役ジエン化合物を主体とする重合体であって、水添ジエン共重合体を構成する共役ジエン部分の1,2−結合含量及び3,4−結合含量が50重量%以上である重合体ブロック(d)とを用いて得られるブロック共重合体であり、例えば、(c)−(d)ブロック共重合体、(c)−(d)−(c)ブロック共重合体、または前記ブロック共重合体単位がカップリング剤残基を介して延長または分岐されたブロック共重合体を用いて得られる群から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体に水素添加を行い、共役ジエン部分に由来する二重結合が70%以上飽和された、数平均分子量が40000〜700000である水添ジエン共重合体であっても好ましい。中でも、CEBCと呼ばれるオレフィン結晶−エチレンブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体を用いて製造した繊維は、弾性に優れるため特に好ましい。CEBCとしては、具体的には、JSR DYNARON(商品名、JSR(株)製)等が挙げられる。また、該CEBCはフェノキシイミン錯体触媒によって得られたものでも構わない。
【0036】
本発明では、水添ジエン共重合体の重合体ブロック(d)が、共役ジエン化合物を70重量%以上含有する芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体であって、共役ジエン化合物部分のビニル結合含量が25〜70%であり、ブロック構造が(c)−(d−c)n、または(c−d)m(ただし、nは1以上、mは2以上の整数である)で表される直鎖または分岐状のブロック共重合体である水添ジエン共重合体も好ましく利用できる。ビニル結合含量も1,4−結合、1,2−結合および3,4−結合の含量と同様に赤外分光法を用いMorero法によって測定される。尚、前記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等が挙げられ、特に、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0037】
前記ポリオレフィンエラストマーのランダム共重合体とは、二重結合を持つ炭化水素で、C2n(nは2以上の整数)で示されるエチレン、プロピレン、ブテン等のモノマーと、これら以外の少なくとも1種の他のモノマーとの共重合体であり、特にモノマーがランダムに配列したランダム共重合体である。本発明においては、密度が0.850〜0.920g/cmの範囲にあるランダム共重合体が好ましい。密度は、弾性に影響を及ぼし、密度が上記範囲内にあるランダム共重合体は十分な弾性が得られる。
【0038】
該ランダム共重合体は、繊維加工した後の風合と弾性の点から、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体またはプロピレンと炭素数3を除く2〜20のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。更に、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとを用いて得られる共重合体が好ましく、例えばプロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等との共重合体が挙げられる。前記α−オレフィンの中では、特に1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。これらのα−オレフィンは、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらを組み合わせたエチレン−オクテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。また本発明に用いられるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体またはプロピレンと炭素数3を除く2〜20のα−オレフィンとの共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、曳糸性の点から1.5〜4であることが好ましい。
【0039】
ただし、該ランダム共重合体のうち、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなるエチレン−α―オレフィン共重合体であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布が(Mw/Mn)が3.5以下であって、該エチレン−α−オレフィン共重合体が、下記のa)〜c)の要件を満たし、かつ実質的に線状であり、炭素数3〜20のα−オレフィンの少なくとも1種が均一に分岐しているエチレン−α−オレフィン共重合体は除く。
a)密度が0.90g/cm以下であること
b)メルトマスフローレートの比がI10/Iが6以上であること。
c)分子量分布(Mw/Mn)とメルトマスフローレートの比(I10/I)が次式の関係にあること。
4.63≦(I10/I)−(Mw/Mn)
ここで、I10とは、温度190℃、荷重10kg重(98.07N)で測定されたメルトマスフローレート(ASTM D1238)であり、Iとは、温度190℃、荷重2.16kg重(21.18N)で測定されたメルトマスフローレート(ASTM D1238)である。
【0040】
本発明で使用可能なオレフィンエラストマーでのランダム共重合体の商品の具体例としては、エンゲージ(商品名、デュポンダウエラストマージャパン(株)製)、タフマー(商品名、三井化学(株)製)が挙げられる。また本発明で用いられるポリオレフィン共重合体はメタロセン触媒によって製造された共重合体であっても良い。尚、α−オレフィンに架橋用ジエンモノマーを加えた三元共重合体も含まれ、具体的には、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴムが例示される。
【0041】
前記ポリオレフィンエラストマーとしては、この他に、エラストメリックポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体が好適に使用することができる。
エラストメリックポリプロピレンは、重合体鎖が結晶性のアイソタクチックポリプロピレンまたはシンジオタクチックポリプロピレンと、非晶性のアタクチックポリプロピレンとを用いて得られるステレオブロック構造をとり、アイソタクチックポリプロピレンまたはシンジオタクチックポリプロピレンをハードセグメントとし、アタクチックポリプロピレンをソフトセグメントとして共重合した構造物である。尚、本発明では、例えば米国特許第4335225号明細書、同第4522982号明細書、同第5188768号明細書に記載されているエラストメリックポリプロピレンが使用できる。これらは単独重合体及び共重合体の両方を意味する。共重合体はプロピレン単位に加えて、分子中にプロピレン単位以外の他のオレフィン単位、例えばエチレン、ブチレン、ペンテンまたはヘキセン単位を含有しても良い。これらは鎖構造中に実質的に立体規則性ブロック配列を有し、例えば、重合体鎖中に選択的に配列されたアイソタクチックポリプロピレン及びアタクチックポリプロピレン序列のブロックを用いて得られる。
【0042】
プロピレン−エチレンブロック共重合体とは、ポリプロピレンとポリ(エチレン−co−プロピレン)とがブレンドの状態で存在しているのではなく、国際公開第00/23489号パンフレットに示されるような、ポリプロピレンセグメントとポリ(エチレン−co−プロピレン)とが化学的に結合した真のブロック共重合体である。具体的には、チタン及びハロゲンまたはチタン、マグネシウム及びハロゲンからなる固体触媒成分とトリエチルアルミニウム等の有機金属化合物を用いて得られるオレフィン重合触媒の存在下に、必要に応じて電子供与性化合物を添加して、重合反応器、好ましくは特開平9−87343号公報に例示してあるような管型重合反応器を使用して、好ましくは液相法により短時間で重合領域(i)にて所定量のポリプロピレンセグメントを合成した後、直ちに、短時間で後流にある重合領域(ii)にて所定量のポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントを合成することにより、ポリプロピレンセグメントとポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントが化学的に結合(共有結合)したポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)を含むプロピレン−エチレンブロック共重合体が製造できる。このようにして得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体は、重量平均分子量(Mw)が10万以上であり、ポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメント含有量が5〜100重量%未満であり、かつ全エチレン含有量が2〜95重量%である。
【0043】
本発明の「第二成分樹脂を用いて得られる繊維」には、本発明の効果を阻害しない範囲で第二成分以外の樹脂成分を含んでいても良い。
【0044】
本発明で用いられる樹脂成分には、本発明の効果を阻害しない範囲で付加的な添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、増粘分岐剤(ここでいう、増粘分岐剤は、非粘着性成分の粘性を増すが、粘着性を付与しない)、艶消剤、着色剤、柔軟性付与剤、老化防止剤、熱安定剤、耐候剤、金属不活性剤、光安定剤、銅害防止剤、防菌・防黴剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、結晶核剤、難燃剤、発泡剤、発泡助剤、酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト、カオリン、ポリオレフィンワックス、セルロースパウダー、低分子量ポリマー等が挙げられる。なお、第一成分樹脂には、粘着性の付与されるような添加物は加えてないことが好ましい。
【0045】
特に屋外で使用される用途においては、従来から用いられている紫外線吸収剤のいずれかを使用でき、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、p−オクチルフェニルサリチレート、ドデシルサリチレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等を挙げることができる。
【0046】
本発明の伸縮性不織布は、第一成分樹脂を用いて得られる繊維と第二成分樹脂を用いて得られる繊維で構成される混合繊維ウェブを用いて得られる不織布である。本発明の伸縮性不織布において、第一成分樹脂を用いて得られる繊維の混繊比が少なすぎると、得られる不織布の柔軟性や低応力での伸縮性が不十分となり、多すぎると、得られる不織布のアンチブロッキング性が低下し、本発明の不織布同士を重ね合わせた場合に粘着しやすくなり、また応力保持性が低下する。これらの観点から、第一成分樹脂を用いて得られる繊維と第二成分樹脂を用いて得られる繊維の好ましい混繊(重量)比は、5:95〜95:5であり、更に好ましくは10:90〜90:10、特に好ましくは20:80〜80:20である。また、本発明のごとく第一成分樹脂を用いて得られる繊維と第二成分樹脂を用いて得られる繊維を混合繊維として用いることにより、成分同士の相溶性が低く樹脂混合では紡糸できないエラストマー同士であっても、容易に紡糸することができ、伸縮性不織布とすることができる。
【0047】
本発明の伸縮性不織布を構成する繊維を製造する方法としては、特に限定はなく、ステープルファイバーやチョップ等の短繊維を得る方法、並びにメルトブロー法、スパンボンド法、トウ開繊法等の長繊維を得る方法を例示できるが、風合いの点からはメルトブロー法、強度の点からはスパンボンド法が望ましい。
【0048】
本発明の伸縮性不織布においては、第二成分樹脂を用いて得られる繊維は、伸縮性不織布にアンチブロッキング性を付与するために第一成分樹脂を用いて得られる繊維に混繊される。第一成分樹脂を用いて得られる繊維に第二成分樹脂を用いて得られる繊維を混繊させる方法には特に限定はなく、従来公知公用の方法を使用することができる。
【0049】
例えば、紡糸、延伸後に必要に応じたクリンプ処理を施して所定の長さに切断された第一成分樹脂及び第二成分樹脂を用いて得られる其々の短繊維を作製し、カード法またはエアーレイド法によりウェブ化する際に両繊維を混繊させることができる。また、一方の成分を用いて得られる繊維を直接不織布化する方法であるメルトブロー法,スパンボンド法のいずれかの方法で製造する工程で、捕集コンベアー上に繊維を吹き付ける時にもう一方の短繊維、長繊維等を供給し混繊する方法が例示される。また、短繊維や長繊維のウェブを形成する際に、メルトブロー法,スパンボンド法のいずれかで製造された長繊維を吹き付けてもよい。
【0050】
本発明の伸縮性不織布を構成する両成分繊維がメルトブロー法による場合は、例えば特許第3360377号明細書に記載された1つの紡糸口金に異種の樹脂が流れ出す紡糸孔が交互に一列で並んだ構造の紡糸口金を使用することができる。得られるウェブでは第一成分樹脂を用いて得られる繊維と第二成分樹脂を用いて得られる繊維がより均一に混合される。また、第一成分樹脂用の紡糸口金と第二成分樹脂用の紡糸口金を併用し、それぞれの紡糸口金で得られる第一成分樹脂を用いて得られる繊維ウェブと第二成分樹脂を用いて得られる繊維ウェブとを積層してもよい。更に、この積層物にニードルパンチ等の処理をして、繊維の混合状態を改良することもできる。より均一な混合状態のウェブを得るには、特許第3360377号明細書に記載された紡糸口金を用いる方法が好ましい。
【0051】
第一成分樹脂と第二成分樹脂とに割り当てられる紡糸孔の数を変更したり、各樹脂の押出量を変更することにより、伸縮性不織布中の各繊維の含有量を変更することができる。また、それぞれの樹脂の紡糸孔当たり異なる押出量で紡糸したり、孔径の異なる口金を用いて紡糸することにより、繊度の異なる混合物が得られる。
【0052】
本発明の伸縮性不織布を構成する両成分繊維がスパンボンド法による場合は、例えば図−1に記載された1つの紡糸口金に異種の樹脂が流れ出す紡糸孔が千鳥配列に並んだ構造の紡糸口金を使用することができる。得られるウェブでは第一成分樹脂を用いて得られる繊維と第二成分樹脂を用いて得られる繊維がより均一に混繊される。また、第一成分樹脂用の紡糸口金と第二成分樹脂用の紡糸口金を併用し、それぞれの紡糸口金で得られる第一成分樹脂を用いて得られる繊維ウェブと第二成分樹脂を用いて得られる繊維ウェブとを積層してもよい。更に、この積層物にニードルパンチ等の処理をして、繊維の混繊状態を改良することもできる。
【0053】
第一成分樹脂と第二成分樹脂とに割り当てられる紡糸孔の数を変更したり、各樹脂の押出量を変更することにより、伸縮性不織布中の各繊維の含有量を変更することができる。また、それぞれの樹脂の紡糸孔当たり異なる押出量で紡糸したり孔径の異なる口金を用いて紡糸することにより、繊度の異なる混合物が得られる。
【0054】
本発明の伸縮性不織布を構成する繊維の成分は、少なくとも第一成分樹脂と第二成分樹脂の2成分を必須成分とすれば良く、更に種類の異なる熱可塑性エラストマー樹脂を用いて得られる繊維を加えたもの、あるいは本発明の性能を阻害しない範囲で非熱可塑性エラストマー繊維を加えたものであっても構わない。
【0055】
本発明の伸縮性不織布を構成する繊維の断面形状は、丸断面または紡糸性を損なわない範囲で異型断面または中空断面であっても良い。繊維の平均繊維径は、特に限定されないが、1〜50μmが好ましい範囲である。更に風合の面から好ましくは1〜30μmである。
【0056】
本発明の伸縮性不織布は、100%伸長時の伸長回復率が70%以上を示す。より好ましい場合は80%以上、更に好ましい場合は90%以上の伸長回復率を示す。100%伸長時の伸長回復率が70%であれば、得られる製品に対して十分な伸縮性能を付与させることができる。例えば、使い捨てパンツタイプオムツのウエスト部分に使用した場合、オムツをはかせる時に伸縮性不織布を使用したウエスト部分を伸長させても、ウエスト部分の伸長は十分に回復するので、良好な締め付けができ、オムツのずれなどは起こらない。
【0057】
本発明の伸縮性不織布は、アンチブロッキング性を示す剥離強度が低いことを特徴とする。これは粘着性の比較的に強い第一成分樹脂を用いて得られる繊維と、第一成分樹脂とは異なる第二成分樹脂を用いて得られる繊維とが混繊していることに起因する。従って、第一成分繊維の重量比(第一成分繊維/第二成分繊維)が増大する(第二成分繊維の重量比が減少する)とアンチブロッキング性が減少(剥離強度が増大)し、両成分繊維の重量比が前述の適度な範囲に入っていればアンチブロッキング性が増大(剥離強度が減少)する。
【0058】
本発明の伸縮性不織布は、異種類の繊維を混繊することから同種類の繊維を混繊するときに発生する同種同士の親和力による粘着性が低下することによりアンチブロッキング性が良好となる。
【0059】
前記アンチブロッキング性は、重ね合わせた2枚の伸縮性不織布を剥がす時の強度(以下、剥離強度という)が小さい程優れる。好ましくは3.0N/25mm以下、さらに好ましくは2.0N/25mm以下、最も好ましくは1.5N/25mm以下である。通常、伸縮性不織布はロールに捲かれた状態で保管されており、必要時に該伸縮性不織布を該ロールから繰出して、製品へと加工されるが、その際、該伸縮性不織布の有する剥離強度が小さいと、該伸縮性不織布が塑性変形を起こすことのない範囲の張力で該伸縮性不織布を繰出すことができるため、操作性や得られる製品の品質を良好に保つことができる。
【0060】
逆に剥離強度が大きいと、該伸縮性不織布を該ロールから繰出す際に、接触している該伸縮性不織布同士を引き離すのに強い力が必要となり、酷い場合には伸縮性不織布に破断が生じる。たとえ破断しなかったとしても、伸縮性不織布は伸長してしまいその後の加工ができなくなる。
また、直接不織布化法であるメルトブロー法とスパンボンド法では、コンベアー上に不織布を捕集するが、この時アンチブロッキング性が強いとコンベアーからの採取が困難となる。
【0061】
本発明の伸縮性不織布は、荷重5kgで50℃×24時間の条件で重ね合わせた2枚の不織布を剥がす時の剥離強度が不織布の50%伸長時強度以下であることが好ましく、その範囲のものを用いることにより、操作性や得られる製品の品質を良好に保つことができる。特に、夏場に保管された伸縮性不織布ロールは、高温高湿と積載荷重によって繊維間に膠着が発生しやすくなり、ロールから伸縮性不織布を繰出す際の操作性が極端に悪くなるが、2枚の伸縮性不織布を剥がす時の剥離強度が伸縮性不織布の50%伸長時強度以下のものを用いることにより、前記問題を発生させることなく、良質な製品を得ることができる。
【0062】
本発明の伸縮性不織布の目付は、特に限定されないが、5〜300g/m、好ましくは10〜200g/m、更に好ましくは20〜150g/mである。また目的に応じて熱処理加工しても構わない。熱処理の方法としては、加熱エンボスロールによる熱圧着法、加熱空気によるエアスルー法、赤外線ランプによる方法等の公知の方法が使用できる。また、ソニックボンド加工、ウォータージェット加工、ニードルパンチ加工、レジンボンド加工のいずれか一つ以上の加工を行っても構わない。
【0063】
本発明においては、得られた伸縮性不織布に、前記伸縮性不織布以外の不織布、フィルム、ウェブ、織物、編物およびトウから選ばれる少なくとも1種の物品を積層して複合化不織布として用いることができる。積層に使用される材料は、特に限定されないが、目的によって種々の材料が適宜選択され、利用できる。
例えば、複合化不織布に伸縮性を付与する場合、伸縮性不織布の伸長を阻害しないように得られた複合化不織布が20%以上伸長可能となるものが好ましい。例えば、ポリスチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等の熱可塑性エラストマー樹脂を用いて、メルトブロー法により不織布化、ネット化、フィルム化したもの等が挙げられる。また、ポリスチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等の熱可塑性エラストマー樹脂を用い繊維化した後に編物及び織物としたものも挙げられる。また、エラストマー素材ではなく捲縮等により構造的伸縮性をもたせたウェブ、不織布,織物,編物も挙げられる。更に、カード法またはエアーレイド法によって得られたウェブをウォータージェット法、ポイントボンド法、スルーエアー法で積層させたものも挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例における測定結果は下記の方法に従った。
【0065】
(1)100%伸長時の伸長回復率
幅25mm長さ200mmの不織布試験片を用い、該不織布の機械方向を長さ方向にして作成する。引張試験機オートグラフAG−G(商品名、(株)島津製作所製)を用い、チャック間を100mmに設定し試験片を固定した。引張速度300mm/分で100%まで伸長させた後、同じ速度で戻し、伸縮性不織布に掛かる負荷を0とした。その直後、再び同じ速度で100%まで伸長させ、負荷が再び始まる時の伸びた長さをLmmとした。伸長回復率は下記式に従って求めた。
100%伸長時の伸長回復率(%)={(100※1−L)/100※1}×100
※1:チャック間における試験片の最初の長さ(mm)
【0066】
(2)50%伸長時強度
幅25mm長さ200mmの不織布試験片を、機械方向を長さ方向にして作成する。引張試験機オートグラフAG−G(商品名、(株)島津製作所製)を用い、チャック間を100mmに設定し試験片を固定した。引張速度300mm/分で50%伸長まで伸長させた時の強度(N/25mm)を50%伸長時強度とした。
【0067】
(3)風合
縦100mm横100mmの不織布を用意する。10人のパネラーに不織布を触ってもらい風合を判断する。10人のパネラーが10段階評価を行い、全員の合計点数で評価した。従って総合点数は、最低0点から最高100点となり、70点以上を風合良好と判断した。
【0068】
(4)剥離強度
縦100mm横100mmの不織布試験片を2枚用意する。前記試験片を重ね合わせた上に縦100mm横100mmのアルミ板を載せ、更にその上に重りを載せ合計5kgとなる様に重りを調整し、50℃のオーブン中に24時間放置する。放置後25℃/RH65%の室内で取り出した試験片を幅25mmに切り、長尺方向の一端から50mmの長さ迄不織布同士を手で剥がす。オートグラフAG−G(商品名、(株)島津製作所製)を用い、剥がした不織布の両端をチャック間50mmに設定した上下のチャックにそれぞれ固定した。引張速度100mm/分で不織布同士が完全に剥がれてしまうまで引張り、強度の平均値を剥離強度(N/25mm)の数値とした(N=5)。剥離強度が小さいほどアンチブロッキング性が良好である。
【0069】
(5)柔軟度
JIS1096(カンチレバー法)に準拠し、不織布のMD方向およびCD方向について、それぞれ剛軟度を測定し、その合計を柔軟度として求めた。なお、柔軟度の値は小さいほど不織布が柔らかいことを示し、本発明においては柔軟度70mm以下を柔軟性良好と判断した。
【0070】
本発明において使用した材料の略号と内容は以下の通りである。
第一成分樹脂
1−i:(スチレン)−(エチレン−ブチレン)−(スチレン)ブロック共重合体(SEBS)、タフテックH 1031((商品名)、旭化成ケミカルズ(株)製)。
1−ii:(スチレン)−(エチレン−ブチレン)−(スチレン)ブロック共重合体(SEBS)、KRATON G 1657((商品名)、クレイトンポリマージャパン(株)製)。
1−iii:水添スチレン−ジエン共重合体(HSBR)、DYNARON 2324P((商品名)、JSR(株)製)。
【0071】
第二成分樹脂
2−i:熱可塑性ポリウレタンポリマー、パンデックスT−1190((商品名)、DIC−Bayer(株)製)。
2−ii: ポリアミドエラストマー、ペバックス2533((商品名)、アトフィナ・ジャパン(株)製)。
2−iii:ポリエステルエラストマー、グリラックスE−200LV((商品名)、大日本インキ化学工業(株)製)。
2−iv: エチレン−α−オレフィン共重合体、MI=70g/10min(190℃、2.16kg)、密度=0.893g/cm、I10/I=5.7、Mw/Mn=1.9。
2−v:オレフィン結晶−エチレンブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体、DYNARON 6200P((商品名)、JSR(株)製)。
2−vi:ポリプロピレン、MFR=16g/10min(230℃、2.16kg)、密度=0.905g/cm
2−vii:高密度ポリエチレン、MI=30g/10min(190℃、2.16kg)、密度=0.942g/cm
【0072】
実施例1
第一成分樹脂として1−i、第二成分樹脂として2−iを伸縮性不織布の原料樹脂として用いた。スクリュー(30mm径)、加熱体、及びギアポンプを有する2機の押出機、混繊用紡糸口金(孔径0.3mm、異成分繊維が交互に一列に並んだ、孔数501ホール、有効幅500mm)、圧縮空気発生装置及び空気加熱機、ポリエステル製ネットを備えた捕集コンベアー、及び巻取機からなる装置を用いてメルトブロー不織布の製造を行った。それぞれの押出機に第一成分樹脂と第二成分樹脂をそれぞれ投入し、加熱体により第一成分樹脂を220℃、第二成分樹脂を230℃で加熱溶融させ、ギアポンプを、第一成分樹脂:第二成分脂の重量比が40:60となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iを0.115g/分、2−iを0.171g/分で溶融樹脂を吐出させ、吐出した繊維を400℃に加熱した98kPa(ゲージ圧)の圧縮空気によって、走行速度1.4m/分で走行しているポリエステル製ネットの捕集コンベアー上に吹き付けた。捕集コンベアーは、紡糸口金から25cmの距離に設置した。吹き付けた空気は捕集コンベアーの裏側に設けた吸引装置で除去した。捕集コンベアーにて搬送された不織布を巻取機にてロール状に巻取り、目付98g/mの伸縮性不織布を得た。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表1に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れており、また柔軟性(柔軟度)においても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0073】
実施例1で得られた伸縮性不織布をパンツ型使い捨ておむつのプロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク社製「PAMPERSすくすくパンツ」Lサイズのウエスト部分両脇にあるネット状弾性素材を剥ぎ取り、得られた伸縮性不織布を貼り付けたパンツ型使い捨てオムツを5枚用意し、5人の幼児に使用したが、締め付け不足による使い捨てオムツのズレや脱げも起こらず、排泄物の漏れも無かった。また、着脱動作を5回行った後でも使い捨てオムツのズレや脱げも起こらなかった。
【0074】
立体捲縮ポリオレフィンステープルファイバーからなる目付100g/m2の伸縮性不織布を、実施例1の伸縮性不織布と積層してウォータージェットを用いて交絡させ、積層化不織布を作成した。得られた積層化不織布からサポーターを5枚作成し、5人のモニターの膝に24時間巻いていたが、締め付け不足によるサポーターのズレや脱げも無かった。
【0075】
実施例2
実施例1と同様の原料樹脂を用い、ギアポンプを、第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が20:80となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iを0.062g/分、2−iを0.243g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.5m/分とした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表1に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れており、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0076】
実施例2で得られた伸縮性不織布の片面に粘着材を塗布し、止血剤を塗布した布(絆創膏用)を貼り付けた絆創膏を10枚用意し、10人のモニターの人差し指に24時間巻いていたが、充分な伸縮性がある為にモニターの指の動きに追従し、絆創膏のズレや剥げも無かった。
【0077】
実施例2で得られた伸縮性不織布の片面に粘着材を塗布したテープを用意した。傷に当てるサージカルテープとして10枚用意し、10人のモニターの肘に24時間巻いていたが、充分な伸縮性がある為にモニターの肘の動きに追従し、テープのズレや剥げも無かった。
【0078】
実施例2で得られた伸縮性不織布に鎮痛剤を塗布したパップ材を10枚用意し、10人のモニターの膝に24時間貼っていたが、充分な伸縮性がある為にモニターの膝の動きに追従し、パップ材のズレや剥げも無かった。
【0079】
実施例3
実施例1と同様の原料樹脂を用い、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が80:20となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iを0.202g/分、2−iを0.050g/分で溶融原料樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.3m/分とした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表1に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れており、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0080】
実施例4
実施例1と同様の原料樹脂を用い、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が95:5となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iを0.229g/分、2−iを0.013g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.2m/分とした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表1に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れ、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0081】
実施例5
実施例1と同様の原料樹脂を用い、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が5:95となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iを0.016g/分、2−iを0.307g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.6m/分とした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表1に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れ、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0082】
実施例6
第一成分樹脂として1−i、第二成分樹脂として2−iiを伸縮性不織布の原料樹脂として、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が40:60となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iを0.104g/分、2−iiを0.152g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.3m/分にした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表1に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れ、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0083】
実施例7
第一成分樹脂として1−i、第二成分樹脂として2−iiiを伸縮性不織布の原料樹脂として、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が40:60となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iを0.110g/分、2−iiiを0.161g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.4m/分にした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表1に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れ、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0084】
実施例8
第一成分樹脂として1−i、第二成分樹脂として2−ivを伸縮性不織布の原料樹脂として、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が40:60となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iを0.092g/分、2−ivを0.137g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.1m/分にした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表1に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れ、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0085】
実施例9
第一成分樹脂として1−i、第二成分樹脂として2−ivを伸縮性不織布の原料樹脂として、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が40:60となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iを0.092g/分、2−ivを0.137g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.1m/分にした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表2に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れ、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0086】
実施例10
第一成分樹脂として1−ii、第二成分樹脂として2−iを伸縮性不織布の原料樹脂として、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が40:60となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iiを0.115g/分、2−iを0.164g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.4m/分にした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表2に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れ、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0087】
実施例11
第一成分樹脂として1−ii、第二成分樹脂として2−iiを伸縮性不織布の原料樹脂として、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が40:60となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iiを0.102g/分、2−iiを0.147g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.2m/分にした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表2に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れ、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0088】
実施例12
第一成分樹脂として1−ii、第二成分樹脂として2−iiiを伸縮性不織布の原料樹脂として、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が40:60となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iiを0.106g/分、2−iiiを0.157g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.3m/分にした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表2に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れ、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0089】
実施例13
第一成分樹脂として1−ii、第二成分樹脂として2−ivを伸縮性不織布の原料樹脂として、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が40:60となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iiを0.090g/分、2−ivを0.134g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.1m/分にした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表2に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れ、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0090】
実施例14
第一成分樹脂として1−iii、第二成分樹脂として2−iを伸縮性不織布の原料樹脂として、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が40:60となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iiiを0.111g/分、2−iを0.167g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.4m/分にした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表2に示す。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れ、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0091】
実施例15
第一成分樹脂として1−i、第二成分樹脂として2−iを伸縮性不織布の原料樹脂として用いた。スクリュー(40mm径)、加熱体、及びギアポンプを有する2機の押出機、図1の紡糸孔配列を持つ混繊用の紡糸口金(孔径0.4mm、120孔)、エアーサッカー、帯電法開繊機、ポリエステル製ネットを備えた捕集コンベアー、ポイントボンド加工機及び巻取機からなる装置を用いてスパンボンド不織布の製造を行った。それぞれの押出機に第一成分樹脂と第二成分樹脂をそれぞれ投入し、加熱体により第一成分樹脂を220℃で、第二成分樹脂を230℃で加熱溶融させ、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が40:60となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iを0.480g/分、2−iを0.715g/分の紡糸速度で溶融樹脂を吐出させ、吐出した繊維をエアーサッカーに導入し直後に帯電法開繊機によって開繊させ捕集コンベアー上に捕集した。エアーサッカーの空気圧は、196kPaとした。捕集コンベアー上のウェブを上下ロール温度90℃に加熱したポイントボンド加工機(圧着面積率15%)に投入し、加工後の不織布を巻取機にてロール状に巻取り、目付30g/mの伸縮性不織布を得た。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表2に示した。得られた伸縮性不織布は、伸縮性(100%時の伸長回復率)とアンチブロッキング性(剥離強度)及び風合に優れ、柔軟性についても優れていた。また、該伸縮性不織布のロールを繰出す時にも問題なく繰出せた(剥離強度≦50%伸長時強度)。
【0092】
比較例1
原料樹脂に第一成分樹脂1−iのみを用い、2基の押出機の其々に第一成分樹脂を投入し、過熱体により其々220℃で加熱溶融させ、ギアポンプを其々0.120g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.2m/分とした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表3に示す。得られた伸縮性不織布は、第一成分樹脂のみで構成されている為に、柔軟性には優れるが、アンチブロッキング性(剥離強度)が悪く、また風合が悪い満足できる性能を示さなかった。
【0093】
比較例2
原料樹脂に第二成分樹脂2−iのみを用い、2基の押出機の其々に第二成分樹脂を投入し、過熱体により其々230℃で加熱溶融させ、ギアポンプを其々0.164g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.7m/分とした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表3に示す。得られた伸縮性不織布は、第二成分樹脂のみで構成されている為に、アンチブロッキング性(剥離強度)は良好であったが、柔軟性が悪く、また風合が悪く満足できる性能を示さなかった。
【0094】
比較例3
実施例1と同様の原料樹脂を用い、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が1:99となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iiを0.003g/分、2−iを0.324g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.6m/分とした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表3に示す。得られた伸縮性不織布は、アンチブロッキング性(剥離強度)は良好であったが、第一成分樹脂が極端に少ない為に、柔軟性が悪く、また風合が悪く満足できる性能を示さなかった。
【0095】
比較例4
実施例1と同様の原料樹脂を用い、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が99:1となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iiを0.283g/分、2−iを0.002g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.2m/分とした以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表3に示す。得られた伸縮性不織布は、第二成分樹脂が極端に少ない為に、柔軟性には優れるが、アンチブロッキング性(剥離強度)が悪く、また風合が悪く満足できる性能を示さなかった。
【0096】
比較例5
実施例1と同様の原料樹脂を用い、押出機投入前に1−i:2−i=40:60(重量比)となるように1−iと2−iとを予め混合(樹脂ブレンド)し、単孔当り0.142g/分で溶融原料樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.4m/分とし、過熱体により其々230℃で加熱溶融させたこと以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。しかし、第一成分樹脂1−iiと第二成分樹脂2−vは相溶性が無い為にショットが多発し、不織布にすることが出来なかった。
【0097】
比較例6
第一成分樹脂として1−i、第二成分樹脂として2−ivを伸縮性不織布の原料樹脂として用いた。押出機投入前に1−i:2−iv=40:60(重量比)となるように1−iと2−ivとを予め混合(樹脂ブレンド)し、単孔当り0.116g/分で溶融原料樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.2m/分とし、過熱体により其々220℃で加熱溶融させたこと以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布は、第一成分樹脂と第二成分樹脂は相溶性が良いため、アンチブロッキング性が悪く、該伸縮性不織布をロールとした時に不織布表面が一体化してしまい、ロール繰出し時に変形、破れが生じた。
【0098】
比較例7
原料樹脂に第一成分樹脂1−iのみを用い、2基の押出機の其々に第一成分樹脂を投入し、過熱体により其々220℃で加熱溶融させ、ギアポンプを其々0.500g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベア速度を2.4m/分とした以外は、実施例15と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。しかし、第一成分樹脂だけでは粘着力が強くエアーサッカーを繊維が通過できない為に不織布を得ることが出来なかった。
【0099】
比較例8
第一成分樹脂として1−i、第二成分樹脂として2−viを伸縮性不織布の原料樹脂として用い、第二成分樹脂を270℃で加熱溶融させ、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が70:30となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iを0.165g/分、2−viを0.070g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.2m/分としたこと以外は全て実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表3に示す。得られた伸縮性不織布は、第二成分樹脂の1−viが非伸縮性であるポリプロピレンである為、100%伸長時の伸長回復率が低く、満足できる性能を示さなかった。
【0100】
比較例9
第一成分樹脂として1−i、第二成分樹脂として2−viiを伸縮性不織布の原料樹脂として用い、第二成分樹脂を240℃で加熱溶融させ、ギアポンプを第一成分樹脂:第二成分樹脂の重量比が70:30となるように設定し、紡糸口金から単孔当たり1−iを0.165g/分、2−viiを0.070g/分で溶融樹脂を吐出させ、コンベアー速度を1.2m/分としたこと以外は全て実施例1と同様の方法で伸縮性不織布を製造した。得られた伸縮性不織布の物性の測定結果を表3に示す。得られた伸縮性不織布は、第二成分樹脂の1−viiが非伸縮性である高密度ポリエチレンである為、100時の伸長回復率が低く、満足できる性能を示さなかった。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の伸縮性不織布または伸縮性複合化不織布を用いた繊維製品としては、例えば使い捨てオムツ用伸縮性部材、オムツ用伸縮性部材、生理用品用伸縮性部材、オムツカバー用伸縮性部材等の衛生材料の伸縮性部材、伸縮性テープ、絆創膏、衣服用伸縮性部材等の他に、衣料用芯地、衣料用絶縁材や保温材、防護服、帽子、マスク、手袋、サポーター、伸縮性包帯、湿布材の基布、プラスター材の基布、スベリ止め基布、振動吸収材、指サック、クリーンルーム用エアフィルター、血液フィルター、油水分離フィルター等の各種フィルター、エレクトレット加工をほどこしたエレクトレットフィルター、セパレーター、断熱材、コーヒーバッグ、食品包装材料、自動車用天井表皮材、防音材、基材、クッション材、スピーカー防塵材、エア・クリーナー材、インシュレーター表皮、バッキング材、接着不織布シート、ドアトリム等の各種自動車用部材、複写機のクリーニング材等の各種クリーニング材、カーペットの表材・裏材、農業捲布、木材ドレーン材、スポーツシューズ表皮等の靴用部材、カバン用部材、工業用シール材、ワイピング材、シーツ等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の混合長繊維不織布をスパンボンド法にて製造する場合の紡糸口金の紡糸孔配列の一例を示す図。○は第一成分樹脂の紡糸孔、●は第二成分樹脂の紡糸孔を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一成分樹脂を用いて得られる繊維と第二成分樹脂を用いて得られる繊維の混繊(重量)比が5:95〜95:5の範囲である混合繊維ウェブを用いて得られる伸縮性不織布であり、第一成分樹脂がポリスチレンエラストマーであって、該ポリスチレンエラストマーが、(1)主として芳香族ビニル化合物を用いて得られる重合体ブロック(イ)を少なくとも1個、主として共役ジエン化合物を用いて得られる重合体ブロック(ロ)を少なくとも1個有し、かつ共役ジエン部分に由来する二重結合の一部が水素添加されたブロック共重合体、または(2)共役ジエン部分に由来する二重結合の一部が水素添加された、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体であり、第二成分樹脂がポリスチレンエラストマー以外の熱可塑性エラストマーであることを特徴とする伸縮性不織布。
ただし、第二成分樹脂が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなるエチレン−α―オレフィン共重合体であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下であって、該エチレン−α−オレフィン共重合体が、下記のa)〜c)を満たし、かつ実質的に線状であり、炭素数3〜20のα−オレフィンの少なくとも1種が均一に分岐しているエチレン−α−オレフィン共重合体である場合は除く。
a)密度が0.90g/cm以下であること
b)メルトマスフローレートの比(I10/I)が6以上であること。
c)分子量分布(Mw/Mn)とメルトマスフローレートの比(I10/I)が次式の関係にあること。
4.63≦(I10/I)−(Mw/Mn)
【請求項2】
第二成分樹脂の熱可塑性エラストマーがポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、およびポリオレフィンエラストマーの群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の伸縮性不織布。
【請求項3】
前記伸縮性不織布が、スパンボンド法により得られる長繊維不織布である請求項1または請求項2に記載の伸縮性不織布。
【請求項4】
前記伸縮性不織布が、メルトブロー法により得られる長繊維不織布である請求項1または請求項2に記載の伸縮性不織布。
【請求項5】
前記伸縮性不織布同士を重ね合わせた時の剥離強度が、該不織布の50%伸長時の強度以下である請求項1〜4のいずれか1項記載の伸縮性不織布。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の伸縮性不織布に、該伸縮性不織布以外の不織布、フィルム、ウェブ、織物、編物およびトウから選ばれる少なくとも1種の物品を積層した複合化不織布。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項記載の伸縮性不織布、または請求項6記載の複合化不織布を用いた繊維製品。

【図1】
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【公開番号】特開2006−161261(P2006−161261A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233451(P2005−233451)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(399120660)チッソポリプロ繊維株式会社 (41)
【Fターム(参考)】