説明

伸縮継手用小型制御盤

【課題】伸縮継手用小型制御盤の提供。
【解決手段】本発明は、一般に海洋掘削機器に関し、特に、本発明は、ライザすべり型継手の上部パッカ故障を決定し、かつ上部パッカ故障に反応する方法および装置を提供する。上部パッカ故障は、差圧弁を用いて上部パッカ圧力回路中の2地点における圧力を比較することによって決定される。上部パッカが故障する場合には、二次圧力源が、ライザすべり型継手の下部パッカにエネルギーを供給するために用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2007年12月20日に出願された米国仮出願第61/015,494号の利益を主張するものであり(米国特許法第119条(e))、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般に海洋掘削機器に関し、特に、本発明は、上部パッカ/一次パッカが圧力を喪失する場合に、伸縮継手の下部パッカに対して自動的にエネルギーを供給することによって掘削流体の事故時放出を排除し、かつ/または低減する装置および方法を提供する。本発明は、上部パッカの制御ホース故障、上部パッカの漏出および/またはリグ空気圧の喪失の場合に、下部パッカに対してエネルギーを供給する装置および方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、上部パッカの故障を認識する圧力回路を提供し、圧力回路は、上部パッカと、第一の圧力源と、第一の圧力源および上部パッカに接続されている、第一の圧力回路と、第一の圧力回路に沿った2地点から圧力を受ける差圧弁であって、第一の地点は、第二の地点よりも第一の圧力源の近くであり、差圧弁は、第二の地点からの圧力が第一の地点からの圧力を下回る操作上の量である場合に、開放する、差圧弁と、第二の圧力源と、第二の圧力源および差圧弁に接続されている第二の圧力回路であって、第二の圧力回路の一部分は、差圧弁が閉鎖される場合に、差圧弁の下流の第二の圧力源から遮断される、第二の圧力回路とを備えている。1つの応用において、操作上の限界は、第一の地点における圧力よりも0.5psi低い。創意に富んだ回路は、下部パッカを含み得、第二の圧力源からの圧力は、差圧弁が開放される場合に、下部パッカがエネルギーを供給されるようにする。第一の圧力源は、すべり型継手空気圧であり得、第二の圧力源は、リグ空気圧であり得る。創意に富んだ回路は、下部パッカに操作可能に係合されている液圧源を含み得、液圧源は、第二の圧力源に応答して下部パッカにエネルギーを供給する。それら液圧源は、ダイバータ盤からであり得る。
【0004】
開示されている圧力回路は、第三の圧力源と、第三の圧力源に接続されている第三の圧力回路と、第三の圧力回路および第二の圧力回路に接続されている、常時開のシャトル弁とを含み得、常時開のシャトル弁は、第二の圧力源が操作可能なリグ圧力以上にある間、常時開のシャトル弁の下流の第三の圧力回路の一部分から第三の圧力を遮断する。第三の圧力源は、第二の圧力源によって満たされ得る空気レシーバシリンダであり得る。
【0005】
本発明の別の局面は、ライザすべり型継手回路であり、ライザすべり型継手回路は、上部パッカと、下部パッカと、第一の圧力を含む第一の導管と、第二の圧力を含む第二の導管であって、第二の導管は、第一の導管および上部パッカに接続されている、第二の導管と、第三の圧力を含む第三の導管と、第一の導管、第二の導管、および第三の導管に接続されている差圧弁であって、差圧弁は、第二の圧力が第一の圧力より操作上で低い場合に、第三の圧力が下部パッカにエネルギーを供給することを可能にする、差圧弁とを備えている。ライザすべり型継手回路はまた、第一の導管と第二の導管との間に位置決めされた流量制御弁を含み得る。第二の導管は、リードバックラインを含む。
【0006】
ライザすべり型継手回路は、第四の圧力を含む第四の導管と、第三の導管および第四の導管に接続されている常時開の弁とを含み得、常時開の弁は、第三の圧力が操作上の限界未満に降下する場合に、第四の圧力が下部パッカにエネルギーを供給することを可能にする。ライザすべり型継手回路はまた、第四の導管に接続されているレシーバシリンダを含み得、第四の圧力は、レシーバシリンダによって提供される。ライザすべり型継手はまた、第三の導管と第四の導管との間の1方向弁を含み得、それによって、第四の圧力は、第三の圧力以上である。
【0007】
ライザすべり型継手回路はまた、下部パッカに接続されている液圧源を含み得、第三の圧力は、第二の圧力が第一の圧力よりも操作上で低い場合に、液圧源を開放する。液圧源は、ダイバータ制御盤であり得る。ライザすべり型継手は、第四の圧力を含む第四の導管と、第三の導管および第四の導管に接続されている常時開の弁とをさらに含み得、常時開の弁は、第三の圧力が操作上の限界未満に降下する場合に、第四の圧力が液圧源に信号を提供することを可能にする。ライザすべり型継手の第一の導管および第二の導管は、第二の導管が第一の導管よりも圧力源から遠い状態において同じ圧力源に接続され得る。
【0008】
ライザすべり型継手回路の一局面において、第一の導管、第二の導管、第三の導管、および差圧弁は、小型制御盤内に配置されている。
【0009】
本発明の別の局面は、ライザすべり型継手を制御する方法であり、方法は、圧力源と上部パッカとの間の経路に沿ってすべり型継手圧力を伝達するステップと、差圧弁を用いて経路に沿った2地点における圧力を比較するステップとを包含し、2地点の間の距離は、重大な上部パッカ漏出が存在する場合に、上部パッカに最も近い地点における圧力が、圧力源に最も近い地点における圧力よりも低くなるようにさせるに十分な距離である。方法はまた、上部パッカに最も近い地点における圧力が、圧力源に最も近い地点における圧力よりも操作上で低い場合に、パイロット圧を液圧弁に提供するステップを含み得る。方法はまた、パイロット圧が液圧弁に供給される場合に、下部パッカを液圧によって加圧するステップを含み得る。パイロット圧は、リグ空気供給によって提供され得る。方法は、圧力源によって提供された圧力が操作上の限界未満に降下する場合に、圧力リザーバからのパイロット圧を液圧弁に提供するステップを包含し得る。方法は、リグ圧力が常時開の弁を閉鎖された位置に維持することに対して不十分な場合に、パイロット圧を圧力リザーバから常時開の弁を通って液圧弁に提供するステップを包含し得る。方法は、空気が第一の地点と第二の地点との間に流れることを流量制御弁によって制限するステップを包含し得る。下部パッカがエネルギーを供給されている場合に、方法は、機械的表示器のスイッチをパイロット圧によって切り換えることを包含し得る。
【0010】
上記は、以下の本発明の詳細な説明がよりよく理解され得るように、本発明の特徴および技術的利点を少し幅広く概説している。本発明の追加の特徴および利点が、以下に記載され、それらは、本発明の特許請求の範囲の対象を形成している。開示されている概念および具体的な実施形態が、本発明の同じ目的を実行する他の方法を修正するかまたは設計するための基礎として容易に利用され得ることは当業者によって認識されるべきである。そのような均等物の構造が、添付の特許請求の範囲に記載されているような本発明の精神および範囲から逸脱しないことはまた当業者によって理解されるべきである。本発明の編成と動作の方法との両方に関して、本発明に特有であると信じられている新規の特徴が、さらなる目的および利点と共に、添付の図に関係して考慮される場合には、以下の説明からよりよく理解される。しかしながら、図の各々が単に例示および説明の目的のために提供され、本発明の限界を規定することを意図されていないことは明確に理解されるはずである。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
上部パッカの故障を認識する圧力回路であって、
上部パッカと、
第一の圧力源と、
該第一の圧力源および該上部パッカに接続されている第一の圧力回路と、
該第一の圧力回路に沿った2地点から圧力を受けるように構成されている差圧弁であって、該第一の地点は、該第二の地点よりも該第一の圧力源の近くであり、該差圧弁は、該第二の地点からの該圧力が該第一の地点からの該圧力を下回る操作上の量である場合に、開放する、差圧弁と、
第二の圧力源と、
該第二の圧力源および該差圧弁に接続されている第二の圧力回路であって、該第二の圧力回路の一部分は、該差圧弁が閉鎖される場合に、該差圧弁の下流の該第二の圧力源から遮断される、第二の圧力回路と
を備えている、圧力回路。
(項目2)
前記第二の地点における前記圧力は、前記第一の地点における前記圧力よりも少なくとも0.5psi低い場合に、該第一の地点における該圧力を下回る操作上の量である、項目1に記載の圧力回路。
(項目3)
下部パッカをさらに備え、前記第二の圧力源からの圧力は、前記差圧弁が開放される場合に、該下部パッカがエネルギーを供給されるようにする、項目1に記載の圧力回路。
(項目4)
前記第一の圧力源は、前記すべり型継手空気圧であり、前記第二の圧力源は、前記リグ空気圧である、項目3に記載の圧力回路。
(項目5)
前記下部パッカに操作可能に係合されている液圧源をさらに備え、該液圧源は、前記第二の圧力源に応答して該下部パッカにエネルギーを供給する、項目3に記載の圧力回路。
(項目6)
前記液圧源は、ダイバータ盤である、項目5に記載の圧力回路。
(項目7)
第三の圧力源と、
該第三の圧力源に接続されている第三の圧力回路と、
該第三の圧力回路および前記第二の圧力回路に接続されている常時開のシャトル弁と
をさらに備え、
該常時開のシャトル弁は、前記第二の圧力源が操作可能なリグ圧力以上にある間、該常時開のシャトル弁の下流の該第三の圧力回路の一部分から該第三の圧力を遮断する、
項目1に記載の圧力回路。
(項目8)
前記第三の圧力源は、空気レシーバシリンダである、項目7に記載の圧力回路。
(項目9)
前記空気レシーバシリンダは、前記第二の圧力源によって満たされる、項目8に記載の圧力回路。
(項目10)
ライザすべり型継手回路であって、
上部パッカと、
下部パッカと、
第一の圧力を含む第一の導管と、
第二の圧力を含む第二の導管であって、該第二の導管は、該第一の導管および該上部パッカに接続されている、第二の導管と、
第三の圧力を含む第三の導管と、
該第一の導管、該第二の導管、および該第三の導管に接続されている差圧弁であって、該差圧弁は、該第二の圧力が該第一の圧力よりも操作上で低い場合に、該第三の圧力が該下部パッカにエネルギーを供給することを可能にする、差圧弁と
を備えている、ライザすべり型継手回路。
(項目11)
前記第一の導管と前記第二の導管との間に位置決めされた流量制御弁をさらに備えている、項目10に記載のライザすべり型継手回路。
(項目12)
前記第二の導管は、リードバックラインを備えている、項目10に記載のライザすべり型継手回路。
(項目13)
第四の圧力を含む第四の導管と、
前記第三の導管および該第四の導管に接続されている常時開の弁と
をさらに備え、
該常時開の弁は、前記第三の圧力が操作上の限界未満に降下する場合に、該第四の圧力が前記下部パッカにエネルギーを供給することを可能にする、
項目10に記載のライザすべり型継手回路。
(項目14)
前記第四の導管に接続されているレシーバシリンダをさらに備え、前記第四の圧力は、該レシーバシリンダによって提供される、項目13に記載のライザすべり型継手回路。
(項目15)
前記第三の導管と前記前方の導管との間の1方向弁をさらに備え、それによって、前記第四の圧力は、前記第三の圧力以上である、項目14に記載のライザすべり型継手回路。
(項目16)
前記下部パッカに接続されている液圧源をさらに備え、前記第三の圧力は、前記第二の圧力が前記第一の圧力よりも操作上で低い場合に、該液源を開放する、項目10に記載のライザすべり型継手回路。
(項目17)
前記液圧源は、ダイバータ制御盤である、項目16に記載のライザすべり型継手回路。
(項目18)
第四の圧力を含む第四の導管と、
前記第三の導管および該第四の導管に接続されている常時開の弁と
をさらに備え、
該常時開の弁は、前記第三の圧力が操作上の限界未満に降下する場合に、該第四の圧力が前記液圧源に信号を提供することを可能にする、
項目16に記載のライザすべり型継手回路。
(項目19)
前記第一の導管および前記第二の導管は、同じ圧力源に接続され、該第二の導管は、該第一の導管よりも該圧力源から遠い、項目10に記載のライザすべり型継手回路。
(項目20)
前記第一の導管、前記第二の導管、前記第三の導管、および前記差圧弁は、小型制御盤内に配置されている、項目10に記載のライザすべり型継手回路。
(項目21)
ライザすべり型継手を制御する方法であって、
圧力源と上部パッカとの間の経路に沿ってすべり型継手圧力を伝達することと、
差圧弁を用いて該経路に沿った2地点における圧力を比較することであって、該2地点の間の距離は、重大な上部パッカ漏出が存在する場合に、該上部パッカに最も近い地点における圧力が、該圧力源に最も近い地点における圧力よりも低くなるようにさせるに十分な距離である、ことと
を包含する、方法。
(項目22)
前記上部パッカに前記最も近い地点における前記圧力が、前記圧力源に前記最も近い地点における前記圧力よりも操作上で低い場合に、パイロット圧を液圧弁に提供することをさらに包含する、項目21に記載の方法。
(項目23)
パイロット圧が前記液圧弁に供給される場合に、前記下部パッカを液圧によって加圧することをさらに包含する、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記パイロット圧は、前記リグ空気供給によって提供される、項目22に記載の方法。
(項目25)
前記圧力源によって提供された前記圧力が操作上の限界未満に降下する場合に、圧力リザーバからのパイロット圧を液圧弁に提供することをさらに包含する、項目21に記載の方法。
(項目26)
リグ圧力が常時開の弁を閉鎖された位置に維持することに対して不十分な場合に、パイロット圧を圧力リザーバから該常時開の弁を通って液圧弁に提供することをさらに包含する、項目21に記載の方法。
(項目27)
空気が前記第一の地点と前記第二の地点との間に流れることを流量制御弁によって制限することをさらに包含する、項目20に記載の方法。
(項目28)
前記下部パッカがエネルギーを供給されている場合に、機械的表示器のスイッチを前記パイロット圧によって切り換えることをさらに包含する、項目20に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明のさらなる完全な理解のために、添付の図面と共に理解される以下の説明への参照がここで行われる。
【図1】図1は、通常のデュアルパッカのライザすべり型継手の概略図を示す。
【図2】図2は、通常のデュアルパッカのライザすべり型継手の中に組み込まれる小型制御盤の概略図を示す。
【図3】図3は、デュアルパッカすべり型継手の筐体を示す。
【図4】図4は、小型制御盤の圧力回路を示す。
【図5】図5は、上部パッカの通常運転を強調するために、小型制御盤圧力回路の一部分を示す。
【図6】図6は、リグ圧力がどのように下部パッカの加圧を開始するために用いられるかを強調するために、小型制御盤圧力回路の一部分を示す。
【図7】図7は、リザーバ圧力がどのように下部パッカの加圧を開始するために用いられるかを強調するために、小型制御盤圧力回路の一部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
様々な実施形態および修正が、本発明の範囲および精神を逸脱することなく本出願において開示されている本発明に対してなされ得ることは当業者に容易に明らかである。
【0013】
本発明は、上部パッカに対して圧力が喪失する場合に、下部パッカの自動的制御を提供する小型制御盤に関する。図1は、通常のデュアルパッカの伸縮すべり型継手の概略図を示す。図1において、パッカ筐体101は、上部パッカと、下部パッカとを含んでいる。上部制御弁102が、上部パッカに対する圧力を制御し、下部制御弁103が、下部パッカに対する圧力を制御する。典型的な構成において、上部パッカは、空気圧によってエネルギーを供給され、下部パッカは、液圧によってエネルギーを供給される。一般に、上部制御弁および下部制御弁は、ダイバータ制御盤の一部分である。図1の設計においては、上部パッカの故障または圧力喪失が、オペレータに対して故障を認識し、かつ下部パッカを手動で起動することを要求する。故障を認識し、かつ下部パッカを手動で起動するために要する時間は、しばしば掘削流体の多大な喪失を結果としてもたらす。従って、掘削流体の喪失を防止するために、下部パッカに対して自動的にエネルギーを供給するニーズが存在する。
【0014】
本発明は、上部パッカシステムが故障する場合には、下部パッカに対して自動的にエネルギーを供給することによって掘削流体の事故時放出を排除し、かつ/または低減する装置および方法を提供する。典型的なシステムの故障は、システム中に重大な漏出が存在する場合に、上部パッカが圧力を喪失することを可能にすることが起こる。当業者は、故障と考えられない小さな漏出を上部パッカが有し得ることを容易に理解する。下部パッカにエネルギーを供給することを保証するために十分な量を上部パッカが漏出させる場合には、「重大な」漏出が起こる。下部パッカにエネルギーを供給することを正当化するための十分な量の掘削流体の漏出が上部パッカを通り過ぎる場合には、上部パッカ回路中の「故障」が起こる。当業者はまた、創意に富む圧力回路が、リグ空気圧における通常の変動と、すべり型継手使用に起因する圧力脈動とを考慮して、漏出に対して多少敏感なように調節され得ることを理解する。
【0015】
図2は、小型制御盤によって自動的に制御されるデュアルパッカシステムの概略図を示す。上部パッカ故障の間、小型制御盤は、パイロット圧をダイバータ制御盤に送ることにより、下部パッカにエネルギーを供給する。一般に、パイロット圧は、液圧流体によって下部パッカにエネルギーを供給する液圧弁を開放する。
【0016】
以下において説明されるように、小型制御盤は、上部パッカ回路中の差圧に応答する。従って、小型制御盤は、特定のリグに合うように調整されることなく多くの異なるリグに実装され得る。図2は、小型制御盤がライザすべり型継手の別個の構成要素である通常の実装を示す。しかしながら、小型制御回路によって提供される機能が、ダイバータ制御盤、ライザすべり型継手、それらの組み合わせ、または任意の他の都合のよい場所の中に、関連する構成要素を直接組み込むことによって提供され得ることは理解されるべきである。好適な実施形態において、空気圧回路網が、開示されている小型制御盤に含まれている。小型制御盤の中で関連する回路網を組み合わせることが、既存リグの改装をより容易にする。
【0017】
図3は、典型的なすべり型継手デュアルパッカの筐体を示す。他のデュアルパッカまたはマルチパッカシステムが用いられ得、そのような等価なシステムは、本発明の範囲および精神を逸脱しない。デュアルパッカ筐体は、上部パッカと、下部パッカとを含む。図3において、上部パッカは、外側パッカ301と、内側パッカ303とをさらに含む。下部パッカは、外側パッカ304と、内側パッカ306とを含む。上部パッカと下部パッカとの両方において、内側パッカが、すべり型継手の内側バレルに向かって押し付ける。上部パッカおよび下部パッカは、入口302および305を通ってそれぞれエネルギーを供給される。空気圧が、一般に、上部パッカにエネルギーを供給するために用いられ、液圧が、下部パッカにエネルギーを供給するために用いられるが、当業者は、異なる組み合わせが用いられ得ることを理解する。本明細書において用いられるときには、気圧および空気圧が、取り替え可能に用いられ、空気または任意の他の適切な気体を表し得る。特許請求の範囲において用いられる場合には、「圧力」は、空気圧または液圧であり得る。
【0018】
図4は、好適な実施形態に従った、小型制御盤の空気圧回路網を示す。小型制御盤は、すべり型継手空気圧と、リグ空気圧と、圧力リードバックラインとのための入力を含む。小型制御盤は、上部パッカ圧力ラインと、パイロット圧ラインとのための出力を含む。通常の運転状態では、すべり型継手空気供給入力と、上部パッカ出力ラインとの間のチュービングの中の圧力、および圧力リードバックライン中の圧力は同じである。
【0019】
典型的なライザすべり型継手においては、上部パッカが故障しない限り、下部パッカは、エネルギーを供給されない。下部パッカがバックアップであるので、下部パッカは、しばしば二次圧力源を用いてエネルギーを供給される。示されている実施形態において、二次圧力源は、ダイバータ制御盤(図1に示されている)からの液圧である。
【0020】
図4に示されている小型制御盤は、液圧を有する配管が施されない。上部パッカが故障する場合には、小型制御盤が、パイロット圧を二次圧力源に提供する。パイロット圧が、二次圧力源を開放し、二次圧力源が、下部パッカにエネルギーを供給する。当業者は、二次圧力源がまた小型制御盤を通って配管が施され得ることを理解する。例えば、パイロット圧を出力する代わりに、小型制御盤は、二次圧力の入力および出力ラインを含み得る。この実施形態においては、パイロット圧を発生する代わりに、二次圧力が、下部パッカに直接解放される。
【0021】
小型制御盤回路は、差圧弁410を含む。差圧弁410は、3方向で、常時閉の、調節可能な弁である。差圧弁410は、2つの圧力を上部パッカ圧力回路(上部パッカ圧力回路については図5を参照されたい)から受ける。第一の圧力は、ラインAによって提供される。ラインAは、すべり型継手空気圧入力に比較的近い上部パッカ圧力回路の中に結合される。第二の圧力は、ラインBによって提供される。ラインBは、すべり型継手空気圧入力からさらに離れており、上部パッカ(図2を参照されたい)に近いすべり型継手空気圧ラインの中に結合される。距離は、空気が小型制御盤回路を通って流れていた場合には、空気が移動する距離に関するものである。従って、図4に見られ得るように、ラインBは、ラインAよりもすべり型継手空気圧接続からさらに離れている。換言すると、ラインBは、ラインAの下流である。ラインB中の圧力がラインA中の圧力よりも操作上で低い場合には、ラインAからの圧力が差圧弁410を開放する。ラインB中の圧力が「操作上で低い」と考えられる前に、ラインB中の圧力がどのくらい低くあるべきかについては、故障イベントを構成しているものに基づく。概して、差分は、ラインA中の圧力が通常の圧力変動の間に差圧弁410を開放しないように十分に高くなければならない。最適な差圧弁410は、ラインB中の圧力がラインA中の圧力よりも少なくとも0.5psi〜20psi低い場合に開放する。差圧弁410が常時閉であるので、ラインB中の圧力がラインA中の圧力よりも高い場合または両方のライン中の圧力が等しく降下する場合には、差圧弁410は閉鎖したままである。
【0022】
好適な実施形態において、ラインBは、圧力リードバックラインと呼ばれる。圧力リードバックラインは、上部パッカのすぐ前で上部パッカ圧力ラインから分割される(図2に示されている)。代替の実施形態において、ラインBは、小型制御盤内部のすべり型継手空気圧ラインの中に配管が施され得る。図4はまた、随意の流量制御弁420を示す。流量制御弁420は、ラインAとラインBとの間に位置決めされ、ラインB中の空気流量を制限するように設計される。流量制御弁420は随意である。なぜならば、ラインAが上部パッカ圧力回路の中に配管を施される地点と、ラインBとの間の摩擦損によって引き起こされる圧力降下が、上部パッカ漏出を示すことに対して十分であり得るからである。しかしながら、差圧弁410へのラインAの入力と、差圧弁410へのラインBの入力との間の距離が短い場合には、流量制御弁420は、ラインB中の圧力損失を拡大することに役立つ。
【0023】
小型制御盤はまた、多くの遮断弁430と、圧力計401とを含む。遮断弁430は、保守の間、および下部パッカにエネルギーを供給した後にシステムをリセットするために用いられ得る。圧力計401は、小型制御盤内に圧力を記録するために好都合に位置決めされる。圧力計401は、オペレータに対して初期セットアップを確認する便利な方法を提供する。圧力計401はまた、リグ圧力計(図示されていない)に対するバックアップとして役立つ。
【0024】
図5〜図7は、回路の様々な局面を強調するために、図4の小型制御盤回路の部分を示す。図5は、すべり型継手空気圧を上部パッカに提供する小型制御盤圧力回路の部分を強調している。簡単のために、図5に示されている圧力回路は、上部パッカ圧力回路と呼ばれる。上部パッカ圧力回路は、すべり型継手空気圧によって加圧される。すべり型継手空気圧は、概して、リグ空気圧未満である。リグ空気圧は概して、110psi〜120psiに及んでいる。好適なすべり型継手空気圧は、40psi〜90psiの間にある。
【0025】
上部パッカが加圧され、かつ正常に機能を果たしている場合には、上部パッカ圧力回路にわたる圧力は、上部パッカ圧力と同じであり、空気は回路を通って流れない。上部パッカ圧力回路に漏出が存在する場合には、空気が漏出(低い圧力)に向かって流れる。小さな漏出に対して、空気の流れは最小であり、しばしば無視され得る。大きな漏出に対して、空気の流れはかなり大きくなる。空気が回路を通って流れるときには、摩擦損が、回路中の異なる地点で異なる空気圧を結果としてもたらす。例えば、上部パッカが重大な漏出を起こす場合には、漏出直前のライン中の空気圧が降下し、おそらく外気圧と同じくらいに低くなる。しかしながら、すべり型継手空気圧接続に近い回路中の圧力は、すべり型継手空気圧またはその近くにとどまる。この圧力差は、すべり型継手空気圧接続と、上部パッカとの間のチュービングの中の摩擦損によって引き起こされる。示されている実施形態においては、リードバック圧力ラインが用いられる。リードバック圧力ラインは、上部パッカのすぐ前に上部パッカ圧力回路の中に配管が施される。この構成において、ラインAとラインBとの間のチュービングは、ラインB中の圧力が摩擦損の影響でラインA中の圧力よりも低くなるくらい十分に長い。代替の実施形態において、流量制御弁420が、圧力差をさらに拡大するために用いられ得る。
【0026】
図6は、リグ空気圧によって加圧される小型制御盤圧力回路の部分を強調している。簡単のために、図6に示されている圧力回路は、リグ空気圧回路と呼ばれる。リグ空気圧は、一般に、110psi〜120psiに及んでいる。
【0027】
リグ空気圧回路は、差圧弁410に配管が施される。通常の状態では、差圧弁410は、差圧弁410のリグ空気回路の下流からリグ空気圧を遮断する。ダイバータ制御盤(図2を参照されたい)に延びるリグ空気圧回路の遮断された部分は、陰影によって図6に示されている。上部パッカが故障する(ラインB中の圧力がラインA中の圧力よりも低い)場合には、差圧弁410が開放され、リグ空気圧回路の遮断された部分が加圧される。回路の遮断された部分の圧力が、二次圧力源を開放し、次に二次圧力源が、下部パッカにエネルギーを供給する。二次圧力源を開放する圧力はパイロット圧と呼ばれる。
【0028】
図6の実施形態は、警笛440と、機械的表示タブ(フリップタブ)450とを含む。リグ空気圧が、警笛スイッチ弁460に提供される。警笛スイッチ弁460は常時閉であり、リグ空気圧が警笛440に達することを防止している。差圧弁410が開放される場合には、回路の遮断された部分の圧力が、警笛スイッチ弁460を開放する。一旦、警笛スイッチ弁460が開放されると、リグ空気が警笛440を通って流れ、可聴の警報を鳴らす。リグ空気圧回路の遮断された部分はまた、フリップタブ450を含む。フリップタブ450は、リグ空気圧から遮断されている場合には、1つの色(緑色)を表示し、リグ空気圧に露出されている場合には、別の色(赤)を表示する機械的タブである。
【0029】
リグ空気圧回路はまた、随意に空気レシーバシリンダ470に接続される。リグ空気圧が喪失する場合には、空気レシーバシリンダ470が、追加のバックアップを提供する。通常運転の間、リグ空気が、逆止弁480を通って空気レシーバシリンダ470中の圧力を維持する。リグ空気圧が喪失する場合には、逆止弁450は、空気レシーバシリンダ470中の空気圧がリグ空気圧ラインを通って放出されることを防止する。リグ空気圧はまた、レシーバシリンダ弁490に接続している。レシーバシリンダ弁490は常時開の弁である。リグ空気圧が、レシーバシリンダ弁490を閉鎖されるように保持する。リグ空気圧が喪失する場合には、レシーバシリンダ弁490が開放される。最適には、リグ空気圧が95psiを下回る場合には、レシーバシリンダ弁490が開放される。リグ空気圧降下に起因して下部パッカを作動させるための閾値は調節可能である。
【0030】
図7は、空気レシーバシリンダ470によって加圧された小型制御盤圧力回路の一部分を強調する。簡単のために、図7に示されている圧力回路は、空気レシーバシリンダ圧力回路と呼ばれる。上記のように、空気レシーバシリンダ圧力回路は、逆止弁480を通ってリグ空気圧に接続される。リグ空気圧が喪失する(規定圧力未満に降下する)場合には、リグ空気圧と、すべり型継手空気圧とが喪失し、上部パッカの故障を結果としてもたらす。リグ空気圧が喪失する場合には、レシーバシリンダ弁490が開放され、レシーバシリンダ470からの空気が、陰影によって示されている、レシーバシリンダ弁490の下流の回路を加圧する。空気が放出されるときには、空気がシャトル弁500を開放する。シャトル弁500は、シリンダ空気が警笛440を通って放出されることを防止する。レシーバシリンダ弁490の下流の回路中の圧力が、フリップタブ450に上部パッカ故障を示させる。回路中の圧力はまた、下部パッカにエネルギーを供給する二次圧力源を開放するパイロット圧として作用する。
【0031】
本発明およびその利点が詳細に記載されてきたが、様々な変更、置換、および変化が、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく本明細書において行われ得ることは理解されるべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されているプロセス、マシン、製造、材料の構成、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者が本発明の開示から容易に認識するように、本明細書中に記載されている対応する実施形態と、実質的に同じ機能を実行するかまたは同じ結果を実質的に達成する、現存するかまたは後に開発されるプロセス、マシン、製造、材料の構成、手段、方法またはステップが、本発明に従って利用され得る。従って、添付の特許請求の範囲は、それらの範囲の内にそのようなプロセス、マシン、製造、材料の構成、手段、方法またはステップを含むことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29020(P2013−29020A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−245127(P2012−245127)
【出願日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【分割の表示】特願2010−539940(P2010−539940)の分割
【原出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(510078540)トランスオーシャン セドコ フォレックス ベンチャーズ リミテッド (5)
【Fターム(参考)】