説明

位相ロックループ回路

【課題】ローカルクロック信号に同期し、入力クロック信号に基づく周波数の出力クロック信号を出力することができる位相ロックループ回路を提供することを課題とする。
【解決手段】ローカルクロック信号及び第1のクロック信号の位相を比較する第1の位相比較器(107)と、第1の位相比較器により出力される信号の電圧に応じた周波数の出力クロック信号を出力する電圧制御発振器(109)と、電圧制御発振器により出力される出力クロック信号を分周し、その分周した出力クロック信号を第1のクロック信号として第1の位相比較器に出力する第1の分周器(110)と、入力クロック信号及び電圧制御発振器により出力される出力クロック信号の位相を比較する第2の位相比較器(111)と、第2の位相比較器により出力される信号に応じて第1の分周器の分周比を制御する制御部(112,113)とを有する位相ロックループ回路が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相ロックループ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
クロック信号が入力されたときに、これに同期したクロック信号を出力するクロック同期回路が知られている。例えば、入力される補助クロック信号に対して、変更可能な所定の分周比で分周動作を行う分周器と、分周器から出力される分周クロック信号に基づいて動作する位相同期ループ回路と、所定の基準クロック信号が入力されており、この基準クロック信号と分周クロック信号との位相差が所定の範囲内にあるときに、分周器の分周比を所定の固定値に設定する分周比制御手段と、を備えるクロック同期回路が知られている(例えば、特開2000−31819号公報参照)。
【0003】
また、VCXO発振回路と、このVCXO発振回路の出力を入力する第1の分周回路と、外部から送られてくる基準クロックを入力する第2の分周回路と、この第1の分周回路と第2の分周回路の出力を入力する位相比較回路と、この位相比較回路の出力を入力しVCXO発振回路用の所定の制御電圧を出力するフィルタ回路とを備えたPLL回路において、第1の分周回路の入力段に必要に応じて作動するゲート回路を装備し、フィルタ回路とVCXO発振回路との間にサンプル・ホールド回路を装備し、外部から送られてくる基準クロックが断状態と成った場合に直ちにこれを検出するクロック断検出回路を設け、このクロック断検出回路からの出力信号に応じてゲート回路およびサンプル・ホールド回路を駆動制御する制御回路を設けたPLL回路が知られている(例えば、特開平5−129948号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−31819号公報
【特許文献2】特開平5−129948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のPLL回路は、ローカルクロック信号よりも低い周波数の基準クロック信号が入力される。ローカルクロック信号の周波数を高くするために発振周波数の高い水晶発信器を使うと、消費電力が大きくなる。
【0006】
本発明の目的は、ローカルクロック信号に同期し、入力クロック信号に基づく周波数の出力クロック信号を出力することができる位相ロックループ回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
位相ロックループ回路は、出力クロックを分周する分周器を含み、ローカルクロックと分周された出力クロックとの位相差と応じて前記出力クロックの周波数を制御する制御ループと、前記出力クロックと前記出力クロックに基づいて取り込むデータに対応する入力クロックとの位相差に応じて、前記分周部の分周比を制御する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
ローカルクロック信号に同期し、入力クロック信号に基づく周波数の出力クロック信号を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態による位相ロックループ(PLL)回路の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1のカウント判定回路の構成例を示す回路図である。
【図3】積差分回路の出力信号を示すタイムチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態による位相ロックループ回路の構成例を示すブロック図である。
【図5】図4のカウント判定回路の構成例を示す回路図である。
【図6】積差分回路の出力信号を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による位相ロックループ(PLL)回路の構成例を示すブロック図である。位相ロックループ回路101は、位相ロックループ回路102、第2の位相比較器111、カウント判定回路112及びアップ/ダウンカウンタ113を有する。位相ロックループ回路102は、第2の分周器106、第1の位相比較器107、ローパスフィルタ(LPF)108、電圧制御発振器(VCO)109及び第1の分周器110を有する。ローカルクロック発生器104は、例えば水晶発振器を有し、ローカルクロック信号CK2を生成する。位相ロックループ回路101は、外部から入力クロック信号CK1を入力し、入力クロック信号CK1と同じ周波数であり、かつローカルクロック信号CK2に同期した出力クロック信号CK3を出力することができる。また、位相ロックループ回路101は、外部から入力される入力クロック信号CK1が切断された場合にも、切断前と同じ周波数の出力クロック信号CK3を出力し続けることができる。例えば、ローカルクロック信号CK2は10MHz、入力クロック信号CK1及び出力クロック信号CK3は100MHzである。
【0011】
第2の分周器106は、ローカルクロック信号CK2を分周比Mで分周し、その分周したローカルクロック信号を第1の位相比較器107に出力する。分周比Mは、マイクロプロセッサ等により設定される。例えば、第2の分周器106は、10MHzのローカルクロック信号CK2を入力し、1kHzのローカルクロック信号を出力する。第1の位相比較器107は、排他的論理和(XOR)回路を有し、第2の分周器106が出力するローカルクロック信号及び第1の分周器110が出力する第1のクロック信号の位相を比較し、その比較の結果に応じた信号を出力する。ローパスフィルタ108は、第1の位相比較器107により出力される信号の低周波数帯域成分を通過させ、高周波数帯域成分を減衰させ、電圧制御発振器109に出力する。電圧制御発振器109は、ローパスフィルタ108により出力される信号の電圧に応じた周波数の出力クロック信号CK3を出力する。第1の分周器110は、電圧制御発振器109により出力される出力クロック信号CK3を分周比Nで分周し、その分周した出力クロック信号を第1のクロック信号として第1の位相比較器107に出力する。位相ロックループ回路102は、第1の分周器110が出力する第1のクロック信号と第2の分周器106が出力するローカルクロック信号との位相(周波数)が同じになるように、フィードバック制御され、出力クロック信号CK3が出力される。出力クロック信号CK3は、ローカルクロック信号CK2を逓倍率N/Mで逓倍された信号である。
【0012】
第2の位相比較器111は、排他的論理和回路を有し、入力クロック信号CK1及び電圧制御発振器109により出力される出力クロック信号CK3の位相を比較し、その比較の結果に応じた位相信号PA及びPBを出力する。出力クロック信号CK3の周波数が入力クロック信号CK1の周波数より低いときには位相信号PAがハイレベルになり、出力クロック信号CK3の周波数が入力クロック信号CK1の周波数より高いときには位相信号PBがハイレベルになる。制御部は、カウント判定回路112及びアップ/ダウンカウンタ113を有し、第2の位相比較器111により出力される位相信号PA及びPBに応じて第1の分周器110の分周比Nを制御する。具体的には、制御部は、入力クロック信号CK1及び出力クロック信号CK3が同じ周波数になるように、分周比Nを制御する。
【0013】
カウント判定回路112は、入力クロック信号CK1及びローカルクロック信号CK2を入力し、位相信号PA及びPBに応じて、周波数アップ信号UP、周波数ダウン信号DN、イネーブル信号EN、及び入力クロック信号CK1をアップ/ダウンカウンタ113に出力する。出力クロック信号CK3の周波数が入力クロック信号CK1の周波数より低いときには、位相信号PAがハイレベルになり、周波数アップ信号UPがハイレベルになる方向に作用する。また、出力クロック信号CK3の周波数が入力クロック信号CK1の周波数より高いときには、位相信号PBがハイレベルになり、周波数ダウン信号DNがハイレベルになる方向に作用する。イネーブル信号ENは、周波数アップ信号UP又は周波数ダウン信号DNがハイレベルのときにハイレベルになる。
【0014】
アップ/ダウンカウンタ113は、入力クロック信号CK1及びローカルクロック信号CK2を入力し、イネーブル信号EN、周波数アップ信号UP及び周波数ダウン信号DNに基づいてカウント値をアップ又はダウンさせ、第1の分周器110の分周比Nを設定する。また、アップ/ダウンカウンタ113は、リセット信号RESETによりリセットされる。
【0015】
図2は、図1のカウント判定回路112の構成例を示す回路図である。カウント判定回路112は、積差分回路201及び入力クロック切断検出回路202を有する。入力クロック切断検出回路202は、カウンタ208,209、論理積(AND)回路210及びD型フリップフロップ回路211,212を有する。
【0016】
カウンタ209は、ローカルクロック信号CK2のパルス数をカウントアップし、設定値(例えば16)を超えると、オーバーフロー信号OFをハイレベルにする。また、カウンタ209は、オーバーフロー信号OFがハイレベルになると、カウント値を同期リセットする。D型フリップフロップ回路212は、ローカルクロック信号CK2に同期し、カウンタ209のオーバーフロー信号OFを保持し、出力端子Qから出力する。D型フリップフロップ回路212は、カウンタ209のオーバーフロー信号OFを1クロック遅延させる遅延器として機能する。カウンタ208は、入力クロック信号CK1のパルス数をカウントアップし、設定値(例えば3)を超えると、オーバーフロー信号OFをハイレベルにする。また、カウンタ208は、D型フリップフロップ回路212の出力端子Qの信号がハイレベルになると、カウント値を非同期リセットする。論理積回路210は、カウンタ209のオーバーフロー信号OF及びローカルクロック信号CK2の論理積信号を出力する。D型フリップフロップ回路211は、論理積回路210の出力信号に同期し、カウンタ208のオーバーフロー信号OFを保持し、出力端子Qから出力する。
【0017】
入力クロック切断検出回路202は、入力クロック信号CK1の切断を検出する。入力クロック信号CK1のパルスが連続発生しているときには、カウンタ208のオーバーフロー信号OFがハイレベルになり、D型フリップフロップ回路211の出力信号もハイレベルになる。これに対し、入力クロック信号CK1のパルスが停止すると、カウンタ208のオーバーフロー信号OFがローレベルになり、D型フリップフロップ回路211の出力信号もローレベルになる。すなわち、D型フリップフロップ回路211の出力端子Qは、入力クロック信号CK1が切断されなければハイレベルになり、入力クロック信号CK1が切断されるとローレベルになる。
【0018】
論理積回路203は、位相信号PB及びD型フロップ回路211の出力端子Qの信号の論理積信号を出力する。論理積回路204は、位相信号PA及びD型フロップ回路211の出力端子Qの信号の論理積信号を出力する。npnトランジスタ221は、ベースが論理積回路203の出力端子に接続され、コレクタが抵抗224を介して電源電位ノードに接続され、エミッタが基準電位ノード(グランド電位ノード)に接続される。pnpトランジスタ222は、ベースがnpnトランジスタ221のコレクタに接続され、エミッタが抵抗225を介して電源電位ノードに接続され、コレクタがノードN1に接続される。npnトランジスタ223は、ベースが論理積回路204の出力端子に接続され、コレクタがノードN1に接続され、エミッタが抵抗226を介して基準電位ノードに接続される。抵抗227は、電源電位ノード及びノードN1間に接続される。抵抗228は、ノードN1及び基準電位ノード間に接続される。抵抗229は、ノードN1及び容量230の上電極間に接続される。容量230の下電極は、基準電位ノードに接続される。
【0019】
図3は、積差分回路201の出力信号を示すタイムチャートである。まず、入力クロック信号CK1が連続発生し、D型フリップフロップ回路211の出力端子Qがハイレベルになったときの積差分回路201の動作を説明する。位相信号PBがハイレベル、位相信号PAがローレベルになると、トランジスタ221及び222がオンし、トランジスタ223がオフする。すると、容量230には、電源電位ノードから電流が流れ込み、容量230は充電され、電源電位VCCに向けて電圧が上昇する。容量230は、位相信号PBの積分電圧を充電する。逆に、位相信号PBがローレベル、位相信号PAがハイレベルになると、トランジスタ221及び222がオフし、トランジスタ223がオンする。すると、容量230から基準電位ノードへ電流が流れ、容量230は放電し、電圧が0Vに向けて下降する。容量230は、位相信号PAの積分電圧を放電する。その結果、容量230は位相信号PBの積分電圧と位相信号PAの積分電圧の差電圧を保持し、積差分回路201は容量230の電圧を出力する。積分を行うことにより、分周比Nの制御の急激な変化を防止することができる。位相ロックループ回路102のフィードバック制御により、積差分回路201の出力信号はVCC/2に収束し、出力クロック信号CK3は入力クロック信号CK1とほぼ同じ周波数に収束する。
【0020】
次に、入力クロック信号CK1が切断され、D型フリップフロップ回路211の出力端子Qがローレベルになったときの積差分回路201の動作を説明する。D型フリップフロップ回路211の出力端子Qがローレベルになると、トランジスタ221〜223がオフする。すると、ノードN1は、抵抗227及び228の抵抗分割により中間電位のアイドル電位VCC/2に向けて変化し、やがてアイドル電位VCC/2に落ち着く。例えば、電源電位VCCが5V、基準電位ノードが0Vのとき、ノードN1は2.5Vになる。
【0021】
抵抗231〜233は、電源電位ノード及び基準電位ノード間に直列に接続される。抵抗234は、抵抗231及び232の相互接続点とオペアンプ(比較器)205の−入力端子との間に接続される。抵抗235は、容量230の上電極及びオペアンプ205の+入力端子間に接続される。抵抗238は、オペアンプ205の出力端子及び+入力端子間に接続される。オペアンプ205は、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧302(図3)より高いときにはハイレベルの周波数ダウン信号DNを出力し、低いときにはローレベルの周波数ダウン信号DNを出力する。
【0022】
抵抗237は、抵抗232及び233の相互接続点とオペアンプ206の+入力端子との間に接続される。抵抗236は、容量230の上電極及びオペアンプ206の−入力端子間に接続される。抵抗239は、オペアンプ206の出力端子及び+入力端子間に接続される。オペアンプ206は、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧303(図3)より低いときにはハイレベルの周波数アップ信号UPを出力し、高いときにはローレベルの周波数アップ信号UPを出力する。
【0023】
論理和(OR)回路207は、周波数ダウン信号DN及び周波数アップ信号UPの論理和信号をイネーブル信号ENとして出力する。閾値電圧302及び303の間は、不感電位301である。アップ/ダウンカウンタ113は、周波数アップ信号UP及び周波数ダウン信号DNに基づいてカウント値をアップ又はダウンさせ、第1の分周器110の分周比Nを設定する。周波数アップ信号UPがハイレベルになると、分周比Nを大きくし、出力クロック信号CK3の周波数を高くする。また、周波数ダウン信号DNがハイレベルになると、分周比Nを小さくし、出力クロック信号CK3の周波数を低くする。図3に示すように、アップ/ダウンカウンタ113のカウント値のアップ及びダウンを繰り返しながら、出力クロック信号CK3の周波数は入力クロック信号CK1の周波数に近づき、最後には入力クロック信号CK1の周波数付近で安定する。電源がオンされると、ハイレベルの周波数アップ信号UPが出力される。また、位相信号PA及びPBがローレベルのときには、容量230の電位はアイドル電位VCC/2に近づく。
【0024】
入力クロック切断検出回路202は、一定時間内の入力クロック信号CK1のパルス数をカウンタ208で計測し、カウント値が一定値以下のときに入力クロック信号CK1の切断と判断し、積差分回路201の動作を停止させ、容量230の電位をアイドル電位VCC/2に近づける。さらには、入力クロック信号CK1が切断した瞬間にアップ/ダウンカウンタ113に入力される入力クロック信号CK1が停止し、アップ/ダウンカウンタ113の動作は停止する。
【0025】
入力クロック信号CK1が切断されると、容量230の電位はアイドル電位VCC/2になり、周波数ダウン信号DN及び周波数アップ信号UPがローレベルになる。その結果、アップ/ダウンカウンタ113は、入力クロック信号CK1の切断前の分周比Nを保持し、第1の分周器110の分周比Nを維持する。すなわち、入力クロック切断回路202により入力クロック信号CK1の切断が検出されると、アップ/ダウンカウンタ113は、入力クロック信号CK1の切断前の第1の分周器110の分周比Nを保持し、その保持した分周比Nで分周するように第1の分周器110を制御する。
【0026】
以上のように、どのような周波数の入力クロック信号CK1が入力されるかわからない用途においても、ローカルクロック信号CK2を分周比Mで分周したクロック信号をベース周波数とし、ローカルクロック信号CK2を逓倍率N/Mで逓倍した出力クロック信号CK3を出力する。上記のベース周波数を周波数単位(例えば、1kHz、100kHz又は1MHz等)として逓倍することにより、多種多様な周波数の出力クロック信号CK3を出力することができ、またLSIが必要とする周波数と実際に入力される入力クロック信号CK1に微妙な差異がある場合は、このローカルクロック信号CK2から生成したベース周波数のクロック信号で補正され、出力クロック信号CK3の品質が向上する。
【0027】
なお、ローカルクロック信号CK2の周波数を高くするためにローカルクロック発生器104として発振周波数の高い水晶発振器を使うと、輻射ノイズが大きくなり、消費電力が高くなってしまう。本実施形態では、ローカルクロック信号CK2の周波数が低くても、分周比Nを制御することにより、高い周波数の出力クロック信号CK3を生成することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態による位相ロックループ回路の構成例を示すブロック図である。本実施形態は、第1の実施形態に対して、第2の分周器106の分周比Mがアップ/ダウンカウンタ113により制御される点が異なる。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。カウント判定回路112は、3ビットの周波数アップ信号UP0〜UP2及び3ビットの周波数ダウン信号DN0〜DN2をアップ/ダウンカウンタ113に出力する。アップ/ダウンカウンタ113は、3ビットの周波数アップ信号UP0〜UP2及び3ビットの周波数ダウン信号DN0〜DN2を基に、第1の分周器110の分周比N及び第2の分周器106の分周比Mを制御する。
【0029】
図5は図4のカウント判定回路112の構成例を示す回路図であり、図6は積差分回路201の出力信号を示すタイムチャートである。図5は、図2に対して、積差分回路201の後段の回路が異なる。以下、図5が図2と異なる点を説明する。抵抗521〜527は、電源電位ノード及び基準電位ノード間に直列に接続される。
【0030】
抵抗528は、抵抗521及び522の相互接続点とオペアンプ(比較器)505の−入力端子との間に接続される。抵抗529は、容量230の上電極及びオペアンプ505の+入力端子間に接続される。抵抗540は、オペアンプ505の出力端子及び+入力端子間に接続される。オペアンプ505は、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧X1(図6)より高いときにはハイレベルの周波数ダウン信号DN2を出力し、低いときにはローレベルの周波数ダウン信号DN2を出力する。
【0031】
抵抗530は、抵抗522及び523の相互接続点とオペアンプ506の−入力端子との間に接続される。抵抗531は、容量230の上電極及びオペアンプ506の+入力端子間に接続される。抵抗541は、オペアンプ506の出力端子及び+入力端子間に接続される。オペアンプ506は、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧Y1(図6)より高いときにはハイレベルの周波数ダウン信号DN1を出力し、低いときにはローレベルの周波数ダウン信号DN1を出力する。
【0032】
抵抗532は、抵抗523及び524の相互接続点とオペアンプ507の−入力端子との間に接続される。抵抗533は、容量230の上電極及びオペアンプ507の+入力端子間に接続される。抵抗542は、オペアンプ507の出力端子及び+入力端子間に接続される。オペアンプ507は、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧Z1(図6)より高いときにはハイレベルの周波数ダウン信号DN0を出力し、低いときにはローレベルの周波数ダウン信号DN0を出力する。
【0033】
抵抗535は、抵抗524及び525の相互接続点とオペアンプ508の+入力端子との間に接続される。抵抗534は、容量230の上電極及びオペアンプ508の−入力端子間に接続される。抵抗543は、オペアンプ508の出力端子及び+入力端子間に接続される。オペアンプ508は、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧Z2(図6)より低いときにはハイレベルの周波数アップ信号UP0を出力し、高いときにはローレベルの周波数アップ信号UP0を出力する。
【0034】
抵抗537は、抵抗525及び526の相互接続点とオペアンプ509の+入力端子との間に接続される。抵抗536は、容量230の上電極及びオペアンプ509の−入力端子間に接続される。抵抗544は、オペアンプ509の出力端子及び+入力端子間に接続される。オペアンプ509は、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧Y2(図6)より低いときにはハイレベルの周波数アップ信号UP1を出力し、高いときにはローレベルの周波数アップ信号UP1を出力する。
【0035】
抵抗539は、抵抗526及び527の相互接続点とオペアンプ510の+入力端子との間に接続される。抵抗538は、容量230の上電極及びオペアンプ510の−入力端子間に接続される。抵抗545は、オペアンプ510の出力端子及び+入力端子間に接続される。オペアンプ510は、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧X2(図6)より低いときにはハイレベルの周波数アップ信号UP2を出力し、高いときにはローレベルの周波数アップ信号UP2を出力する。
【0036】
論理和回路511は、周波数ダウン信号DN0〜DN2及び周波数アップ信号UP0〜UP2の論理和信号をイネーブル信号ENとして出力する。閾値電圧Z1及びZ2の間は、不感電位601である。
【0037】
周波数アップ信号UP0〜UP2及び周波数ダウン信号DN0〜DN2は、積差分回路201の出力電位とアイドル電位VCC/2との差分値の大きさを示す。
【0038】
積差分回路201の出力電圧が閾値電圧X1以上のときは、周波数ダウン信号DN0,DN1,DN2及びイネーブル信号ENがハイレベルになる。すると、アップ/ダウンカウンタ113は、分周比MをM−1に、分周比Nを(N−N/M)−1に変更する。すなわち、分周比Nを支配的にした上で分周比Nをカウントダウンする。これにより、出力クロック信号CK3の逓倍率N/Mを最大幅で減少させることができる。
【0039】
また、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧Y1及びZ1の間であるときは、周波数ダウン信号DN0のみとイネーブル信号ENがハイレベルになる。すると、アップ/ダウンカウンタ113は、分周比MをM+1に、分周比Nを(N+N/M)−1に変更する。すなわち、分周比Nを非支配的にした上で分周比Nをカウントダウンする。これにより、出力クロック信号CK3の逓倍率N/Mを最小幅で減少させることができる。
【0040】
また、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧X1及びY1の間であるときは、周波数ダウン信号DN0,DN1及びイネーブル信号ENがハイレベルになる。すると、アップ/ダウンカウンタ113は、分周比Mの大きさを変更しないで分周比NをN−1に変更する。これにより、出力クロック信号CK3の逓倍率N/Mを中位幅で減少させることができる。
【0041】
また、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧X2以下のときは、周波数アップ信号UP0,UP1,UP2及びイネーブル信号ENがハイレベルになる。すると、アップ/ダウンカウンタ113は、分周比MをM−1、分周比Nを(N−N/M)+1に変更する。すなわち、分周比Nを支配的にした上で分周比Nをカウントアップする。これにより、出力クロック信号CK3の逓倍率N/Mを最大幅で増加させることができる。
【0042】
また、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧Y2及びZ2の間であるときは、周波数アップ信号UP0のみとイネーブル信号ENがハイレベルになる。すると、アップ/ダウンカウンタ113は、分周比MをM+1、分周比Nを(N+N/M)+1に変更する。すなわち、分周比Nを非支配的にした上で分周比Nをカウントアップする。これにより、出力クロック信号CK3の逓倍率N/Mを最小幅で増加させることができる。
【0043】
また、積差分回路201の出力電圧が閾値電圧X2及びY2の間であるときは、周波数アップ信号UP0,UP1及びイネーブル信号ENがハイレベルになる。すると、アップ/ダウンカウンタ113は、分周比Mの大きさを変更しないで分周比NをN+1に変更する。これにより、出力クロック信号CK3の逓倍率N/Mを中位幅で増加させることができる。
【0044】
アップ/ダウンカウンタ113は、カウント判定回路112により出力される信号UP0〜UP2,DN0〜DN2に応じて第1の分周器110の分周比N及び第2の分周器106の分周比Mを制御する。
【0045】
入力クロック切断検出回路202により入力クロック信号CK1の切断が検出されると、アップ/ダウンカウンタ113は、入力クロック信号CK1の切断前の第1の分周器110の分周比N及び第2の分周器106の分周比Mを保持し、その保持した分周比N及びMで分周するように第1の分周器110及び第2の分周器106をそれぞれ制御する。
【0046】
これらの制御によって、出力クロック信号CK3の周波数が入力クロック信号CK1に対して所定範囲内の周波数となるように動作する。さらには、入力クロック信号CK1の切断時には、分周比N及びMを固定化して、出力クロック信号CK3の周波数をホールドする。出力クロック信号CK3の逓倍率N/Mの分母も制御するので、出力クロック信号CK3の周波数は限りなく入力クロック信号CK1の周波数と同じになるように近づく。
【0047】
なお、図6に示すように、閾値電圧は、「X2<Y2<Z2<Z1<Y1<X1」の関係にある。また、それぞれの閾値電圧に対してヒステリシス特性を持たせてもよい。また、閾値電圧の数をより多くし、逓倍率N/Mの分子及び分母の制御をより細かくしてもよい。
【0048】
逓倍率N/Mの可変量は、位相比較器111による出力クロック信号CK3及び入力クロック信号CK1の位相差の大きさに基づいた制御を行い、位相差が大きい時は逓倍率N/Mを大きく変化させ、また位相差が小さい時は逓倍率N/Mを小さく変化させる。
【0049】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態のカウント判定回路112は、一部をアナログ回路で例示したが、すべてをデジタル回路で構成してもよい。
【0050】
第1及び第2の実施形態では、入力クロック信号CK1に近い周波数の出力クロック信号CK3が出力され、また分周比に基づいたクロック信号生成方法であるため、環境条件に時間的変化があっても同一周波数が保たれる。
【0051】
所定の周波数になった後、ジッタやノイズの影響を受けにくくするため、分周比変更検出レベル(閾値電圧)にヒステリシス特性を持たせて、小さな変化に対しては分周比を変えないことで周波数安定度を向上させることができる。また、入力クロック信号CK1の周波数が途中で変更された場合、周波数の変更を第2の位相比較器111によって現在の出力クロック信号CK3と入力クロック信号CK1の位相差を検出し、分周比を可変することによって出力クロック信号CK3の周波数が入力クロック信号CK1に対して所定範囲内の周波数となるように分周比を可変する動作を行う。
【0052】
また、入力クロック信号CK1が切断したときは、入力クロック信号CK1の切断を判断し、分周比を固定化して、切断直前の周波数を維持した出力クロック信号CK3を出力する。なお、入力クロック信号CK1の切断時に、分周比の変化量を小さくしておき、入力クロック信号CK1が再開された時に、分周比の固定化を解除して分周比の変化量の小さいところから変化開始させることで、入力クロック信号CK1の位相が入力クロック信号CK1の切断の前後で変化していても再同期した出力クロック信号CK3にグリッジノイズや不連続なクロックが発生せず、また入力クロック信号CK1の周波数が入力クロック信号CK1の切断の前後で変えられていても出力クロック信号CK3を途切れさせずに入力クロック信号CK1の周波数に追従することができる。
【0053】
また、電源投入時はシステム全体の電圧が0Vである点に着目し、分周比の可変量の制御電圧について0Vを周波数アップ制御量の最大として配置し、電圧が徐々に上がるにつれて周波数アップ制御量を小さくし、電源電位VCCと0Vとの中間電位VCC/2をアイドル電位とすることにより、電源投入初期の周波数の立ち上がり特性を改善し、目的の周波数への到達速度を向上させることができる。
【0054】
入力クロック信号CK1の切断判定は、入力クロック信号CK1のパルスを数えるカウンタ208とローカルクロック信号のパルスを数えるカウンタ209を用いて、カウンタ209のカウント値がゼロから指定のカウント値にカウントアップするまでの期間内にカウンタ208で入力クロック信号CK1のパルス数を計測する。カウンタ208のカウント値が指定のカウント値以上のとき入力クロック信号CK1が継続していると判断し、指定のカウント値以下のとき入力クロック信号CK1が切断していると判断し、その判断結果を次の計測期間が終了するまでラッチする。
【0055】
分周比の可変量は、第2の位相比較器111による出力クロック信号CK3及び入力クロック信号CK1の位相差の大きさに基づいた制御を行うことで、入力クロック信号CK1の周波数に限りなく近い出力クロック信号CK3が出力される。また、入力クロック信号CK1が途切れた瞬間に分周比の可変をやめ、分周比を固定化させることで、電圧・温度変化があっても出力クロック信号CK3の周波数が一定に保たれる。
【0056】
さらに、入力クロック信号CK1が切断中に、分周比の制御量を減少させておくことで、入力クロック信号CK1の再開時に突然大きく分周比が変化してしまうことを防止し、かつ変化量を小さくしておくことでグリッジノイズや不連続なクロックの発生を防止することができる。
【0057】
また、電源投入時はシステム全体の電圧が0Vであるので、周波数アップ制御に対する分周比の可変量が最大量で変化し、電源投入初期の周波数の立ち上がりが速く、目的の周波数への到達速度が向上する。また、ローカルクロック信号CK2の分周比を逓倍のベース周波数となる値に設定することで、周波数の選択性が広く、LSIが必要とする周波数と実際に入力される入力クロック信号CK1に微妙な差異がある場合には、生成したベース周波数のクロック信号で補正することができる。
【0058】
また、第2の実施形態では、ローカルクロック信号CK2の分周比を逓倍のベース周波数となる値に設定せずに、ローカルクロック信号CK2の分周比Mも含めて分周比N及びMの制御を行うことで、出力クロック信号CK3の周波数は入力クロック信号CK1の周波数と等価になるレベルに限りなく近づくので、より高精度の周波数でクロックホールドが可能となる。
【0059】
また、入力クロック信号CK1の周波数に依存せずに単位時間毎に入力クロック信号CK1の切断を判定するので、実際に入力クロック信号CK1が切断してから判定結果が出るまでの時間が固定であり、位相信号PA及びPBを積分する回路でこの期間の影響が出にくい積分係数を入力クロック信号CK1の周波数に依存せずにぎりぎりの固定係数で設定できるため、入力クロック信号CK1の切断と継続を迅速に判断することができる。
【0060】
第1及び第2の実施形態では、どのような入力クロック信号CK1が入力されても入力クロック信号CK1の周波数に近い出力クロック信号CK3を得ることができる。入力クロック信号CK1の切断と再開の検出を迅速に行い、入力クロック信号CK1が切断されても安定した出力クロック信号CK3を継続し、ジッタに耐性があること、及び環境条件等の変化による出力クロック信号CK3の周波数変動を抑制する。また、入力クロック信号CK1の供給が再開された時に入力クロック信号CK1への再同期の結果、出力クロック信号CK3が不連続にならないこと及び入力クロック信号CK1の供給が再開された時に入力クロック信号CK1の周波数が変更されても出力クロック信号CK3が入力クロック信号CK1に追従することができる。
【0061】
以上のことにより、入力クロック信号CK1の切断時や再開時にLSIの要求仕様を満たす品質のよい出力クロック信号CK3を得ることができる。
【0062】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0063】
101,102 位相ロックループ回路
104 ローカルクロック発生器
106 第2の分周器
107 第1の位相比較器
108 ローパスフィルタ
109 電圧制御発振器
110 第1の分周器
111 第2の位相比較器
112 カウント判定回路
113 アップ/ダウンカウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相ロックループ回路であって、
出力クロックを分周する分周器を含み、ローカルクロックと分周された出力クロックとの位相差と応じて前記出力クロックの周波数を制御する制御ループと、
前記出力クロックと前記出力クロックに基づいて取り込むデータに対応する入力クロックとの位相差に応じて、前記分周部の分周比を制御する制御部と
を有することを特徴とする位相ロックループ回路。
【請求項2】
ローカルクロック信号及び第1のクロック信号の位相を比較し、その比較の結果に応じた信号を出力する第1の位相比較器と、
前記第1の位相比較器により出力される信号の電圧に応じた周波数の出力クロック信号を出力する電圧制御発振器と、
前記電圧制御発振器により出力される出力クロック信号を分周し、その分周した出力クロック信号を前記第1のクロック信号として前記第1の位相比較器に出力する第1の分周器と、
入力クロック信号及び前記電圧制御発振器により出力される出力クロック信号の位相を比較し、その比較の結果に応じた信号を出力する第2の位相比較器と、
前記第2の位相比較器により出力される信号に応じて前記第1の分周器の分周比を制御する制御部と
を有することを特徴とする位相ロックループ回路。
【請求項3】
さらに、前記ローカルクロック信号を分周し、その分周したローカルクロック信号を前記第1の位相比較器に出力する第2の分周器を有し、
前記第1の位相比較器は、前記分周したローカルクロック信号及び前記第1のクロック信号の位相を比較することを特徴とする請求項2記載の位相ロックループ回路。
【請求項4】
前記制御部は、前記入力クロック信号の切断を検出する入力クロック切断検出部を有し、前記入力クロック信号の切断を検出すると、前記入力クロック信号の切断前の前記第1の分周器の分周比を保持し、その保持した分周比で分周するように前記第1の分周器を制御することを特徴とする請求項2又は3記載の位相ロックループ回路。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2の位相比較器により出力される信号に応じて前記第1の分周器の分周比及び前記第2の分周器の分周比を制御することを特徴とする請求項3記載の位相ロックループ回路。
【請求項6】
前記制御部は、前記入力クロック信号の切断を検出する入力クロック切断検出部を有し、前記入力クロック信号の切断を検出すると、前記入力クロック信号の切断前の前記第1の分周器の分周比及び前記第2の分周器の分周比を保持し、その保持した分周比で分周するように前記第1の分周器及び前記第2の分周器をそれぞれ制御することを特徴とする請求項5記載の位相ロックループ回路。
【請求項7】
さらに、前記第1の位相比較器により出力される信号の低周波数帯域成分を通過させ、高周波数帯域成分を減衰させ、前記電圧制御発振器に出力するローパスフィルタを有することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の位相ロックループ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−40943(P2011−40943A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185800(P2009−185800)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】