説明

位置センサ、計測システム及び平面ステージ

【課題】本発明は、静電容量を利用して簡易な構成で計測対象の変位を計測する。
【解決手段】本発明は、移動ステージの位置を計測する位置センサ100を提供する。位置センサ100は、第1の固定対向電極対111,121の間に部分的に挿入されている第1の可動電極131と、第2の固定対向電極対112,122の間に部分的に挿入されている第2の可動電極132と、第3の固定対向電極対113,123に部分的に挿入されている第3の可動電極133とを備える。第1の対向電極は、第2の対向電極に対して第1の方向にシフトした位置に配置され、第3の対向電極は、第1の対向電極に対して第2の方向にシフトした位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式位置センサに関し、特に電極の対向面積の変化に起因する静電容量の変化を利用する平面ステージ用の位置センサに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットや半導体製造装置などの位置決め装置等としてXYステージが利用されている。XYステージは、X軸(左右)方向とY軸(縦)方向に移動ステージを駆動する平面リニアモータと、移動ステージの位置を計測する位置センサとを備えている。位置センサとしては、たとえばレーザ測長器のような光学式センサを使用する光学方式(たとえば特許文献1)が一般的に普及している。しかしながら、光学方式は、高額な光学式センサを複数必要とし、移動ステージの可動範囲外に光学式センサを配置しなければならず、大型化の要因となっていた。一方、位置センサとして、静電容量方式のものも提案されている(特許文献2)。特許文献2では、移動電極と複数の固定電極の間の対向面積の変動に起因する各静電容量変化に基づいてX軸、Y軸、及びXY平面に垂直な方向の軸回りの回転角度θを計測可能な位置センサが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−194672号公報
【特許文献2】特開2005−168154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、静電容量に基づいて位置を計測する位置センサでは、移動ステージの微小な移動を対向面積の変化に基づいて検出することが困難であった。移動ステージの移動に起因する静電容量の変化が小さいので、SN比を上げることが難しいからである。
【0005】
本発明は、上述の従来の課題の少なくとも一部を解決するために創作されたものであり、静電容量を利用して簡易な構成で計測対象の変位を計測する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0007】
手段1.固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージとを有する平面ステージにおいて、前記移動ステージの位置を計測する位置センサであって、前記固定部に接続され、所定の間隔で相互に対向している第1の固定対向電極対と第2の固定対向電極対と第3の固定対向電極対とを有する固定電極部と、前記移動ステージに接続され、前記第1の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第1の可動電極と、前記第2の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第2の可動電極と、前記第3の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第3の可動電極とを有する可動電極部と、を備え、前記第1の固定対向電極対は、第1の方向に延びている第1の対向電極を有し、前記第2の固定対向電極対は、前記第1の方向と平行に延びている第2の対向電極を有し、前記第3の固定対向電極対は、前記第1の方向と交差する第2の方向に延びている第3の対向電極を有し、前記第1の対向電極は、前記第1の可動電極の挿入状態に応じて変化する第1の静電容量を有し、前記第2の対向電極は、前記第2の可動電極の挿入状態に応じて変化する第2の静電容量を有し、前記第3の対向電極は、前記第3の可動電極の挿入状態に応じて変化する第3の静電容量を有し、前記第1の対向電極は、前記第2の対向電極に対して前記第1の方向にシフトした位置に配置され、前記第3の対向電極は、前記第1の対向電極に対して前記第2の方向にシフトした位置に配置されている位置センサ。
【0008】
手段1の位置センサは、第1の方向に延びている第1の対向電極と、これに平行に延びている第2の対向電極とを有し、これらは相互に第1の方向にシフトした位置に配置されているので、移動ステージの回転によって相互に逆方向の静電容量の変化が生じることになる。移動ステージの回転角度は、このような逆方向の静電容量の変化を利用して、第1の対向電極と第2の対向電極の静電容量の差として検出することができる。一方、移動ステージの第2の方向への並進移動は、第1の対向電極と第2の対向電極の和として回転移動の影響を相殺することによって検出することができる。移動ステージの第1の方向への並進移動は、第3の対向電極の静電容量の変化に対して回転移動の影響を補正することによって検出することができる。
【0009】
静電容量の変化は、固定対向電極(第1と第2の対向電極)への可動電極(第1と第2の可動電極)の挿入状態に応じて変化する。本発明者によれば、本静電容量は、固定対向電極と可動電極の平面内(たとえばXY平面内)の相対的な位置関係の変動に応じて変化する一方、その平面に垂直な方向(Z軸方向)の位置関係の変動に応じては原理的に変化しないことを見出した。本知見は、可動電極が挿入された領域においては、固定対向電極間の距離から可動電極の厚みを減じた距離が、固定対向電極の静電容量の決定要因である対向電極間距離と等価となる点に基づくものである。
【0010】
これにより、本発明者は、固定対向電極間の平行度(間隔の均一性)と可動電極の平行度(厚みの均一性)だけを高精度にすればよく、固定対向電極と可動電極の組み付け誤差に依存しないことを見出した。この結果、計測可能な変位量と対向電極の組み付け許容公差との間のトレードオフの問題が解決されたことになる。
【0011】
手段2.手段1記載の位置センサであって、前記第1の対向電極は、相互に平行に延びている複数の電極要素である第1の櫛歯電極群が相互に接続されている櫛歯状の電極を含み、前記第2の対向電極は、相互に平行に延びている複数の電極要素である第2の櫛歯電極群が相互に接続されている櫛歯状の電極を含み、前記第3の対向電極は、相互に平行に延びている複数の電極要素である第3の櫛歯電極群が相互に接続されている櫛歯状の電極を含む位置センサ。
【0012】
手段2の位置センサは、第1〜第3の各対向電極は、相互に平行に延びている複数の電極要素である櫛歯電極群が相互に接続されている櫛歯状の電極を有しているので、移動ステージの動きに対する静電容量の変化を大きくすることができる。これにより、移動ステージの微小な動きに対する検出精度を向上させることができる。
【0013】
手段3.手段1又は2に記載の位置センサであって、前記固定電極部は、前記固定部に接続され、前記所定の間隔で相互に対向している第4の対向電極を有し、前記可動電極部は、前記移動ステージに接続され、前記移動ステージで予め設定されている動きの範囲内において前記第4の対向電極の間に全体が挿入されている第4の可動電極を有する位置センサ。
【0014】
手段3の位置センサは、移動ステージで予め設定されている動きの範囲内において第4の固定対向電極対の間に全体が挿入されている第4の可動電極を有するので、移動ステージで予め設定されている動きで静電容量が変化しない補正用コンデンサを有することになる。補正用コンデンサは、たとえば温度等の環境変化に起因する静電容量の変化を補償することによって検出精度を高める用途に利用可能である。
【0015】
手段4.手段1又は2に記載の位置センサであって、前記固定電極部は、前記固定部に接続され、前記所定の間隔で相互に対向している第5の対向電極を有し、前記可動電極部は、前記移動ステージに接続され、前記移動ステージで予め設定されている動きの範囲内において前記第5の対向電極の全体に対向する領域を有する第5の可動電極を有する位置センサ。
【0016】
手段4の位置センサは、移動ステージで予め設定されている動きの範囲内において第5の固定対向電極の全体に対向する領域を有する第5の可動電極を有するので、移動ステージで予め設定されている動きでは静電容量が変化しない補正用コンデンサを有することになる。補正用コンデンサは、たとえば温度等の環境変化に起因する静電容量の変化を補償することによって検出精度を高める用途に利用可能である。
【0017】
手段5.手段1乃至4のいずれか1項に記載の位置センサであって、前記第1の方向は、前記第2の方向と略垂直に交差している位置センサ。
【0018】
手段5の位置センサでは、第1の方向が第2の方向と略垂直に交差しているので、第1の方向の変位と第2の方向の変位とを分離して直接検出することができる。
【0019】
手段6.固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージとを有する平面ステージにおいて、前記移動ステージの位置を計測する計測システムであって、手段1乃至5のいずれか1項に記載の位置センサと、前記第1の対向電極の第1静電容量と、前記第2の対向電極の第2静電容量と、前記第3の対向電極の第3静電容量と、を検出する静電容量検出部と、前記第1静電容量と前記第2静電容量の和に基づいて前記第2の方向の変位を計測し、前記第1静電容量と前記第2静電容量の差に基づいて前記移動ステージの回転角度を計測し、前記第3静電容量と前記差とに基づいて前記第1の方向の変位を計測する計測部とを備える計測システム。
【0020】
手段6では、手段1乃至5のいずれか1つに記載の位置センサを効果的に使用する計測システムとして本発明が具現化されている。
【0021】
手段7.平面ステージであって、固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージと、手段6記載の計測システムと、前記計測値に基づいて前記平面内で前記移動ステージを駆動する平面リニアモータと、を備える平面ステージ。
【0022】
手段7では、手段6に記載の計測システムを効果的に使用する平面ステージとして本発明が具現化されている。
【0023】
手段8.手段7記載のステージであって、前記平面リニアモータは、前記平面に垂直な方向に前記移動ステージを支持することによって前記固定部に対して非接触での前記平面内の移動を許容するエア軸受けを備えている平面ステージ。
【0024】
手段8では、平面リニアモータが平面に垂直な方向に移動ステージを支持することによって平面内の移動を許容するエア軸受けを備えているので、移動ステージを非接触で支持してヒステリシスが殆ど無い微小な駆動を簡易に実現することができる。エア軸受けは、空気圧で浮上させる方式なので浮上時の移動ステージのZ軸方向の高さや傾斜を許容すると設計が容易となる。上述の各手段は、固定対向電極と固定電極の組み付け誤差によって位置検出精度に影響を与えないので、エア軸受けの好ましい特性を効果的に利用することができる。
【0025】
なお、本発明は、位置センサや計測システム、平面ステージといった形態だけでなく、計測方法、計測システムを実現するコンピュータプログラム及びそのプログラムを格納する記録媒体等の形態で実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態における平面ステージ10の断面を示す断面図。
【図2】本発明の実施形態における固定対向電極板120の平面図。
【図3】本発明の実施形態における可動電極130の平面図。
【図4】本発明の実施形態における電極パターンの構成を示す説明図。
【図5】本発明の実施形態における計測原理を示す模式図と計算式とを表す説明図。
【図6】本発明の実施形態におけるY軸方向の変位と回転角度θを計測する様子を示す模式図。
【図7】本発明の実施形態におけるX軸方向の変位が検出される様子を示す模式図。
【図8】本発明の実施形態におけるX軸方向の変位を計測するための櫛歯電極113,123の静電容量を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本実施形態は、移動ステージのX軸方向とY軸方向の並進移動と回転角度θを計測する位置センサを備える平面ステージについて具体化している。以下、本発明を具体化した実施形態を以下の順序で説明する。
A.平面ステージの構成:
B.移動ステージの計測方法:
C.変形例:
【0028】
A.平面ステージの構成:
図1は、本発明の実施形態における平面ステージ10の断面を示す断面図である。平面ステージ10は、ワークとしてのウェハ(図示せず)をハンドリングする際のワークの位置と向きとを微調整するための装置である。平面ステージ10は、製造施設(図示せず)に固定される固定部200と、固定部200に対して相対的に移動する可動部30とを備えている。固定部200と可動部30とは、いずれも平面視(XY面)において正方形の形状を有している。固定部200は、可動部30よりも大きな外形寸法で構成されている。
【0029】
固定部200は、内部が空洞となっている角筒形状の角筒部210と、角筒部210の底部を構成する正方形底部220と、正方形底部220に形成されている貫通孔である孔部230と、電磁リニアモータの固定子を構成する固定子ユニット240と、浮上ユニット250と、位置センサ100とを備えている。一方、可動部30は、半導体ウェハ等のワークを吸着するウェハチャック(図示せず)を装着するための角柱形状のチャックベース31と、円筒形状の段付軸部32と、電磁リニアモータの可動子を構成する可動子ユニット33とを備えている。
【0030】
固定子ユニット240は、磁性体で形成されているベース部241を有している。ベース部241は、ベース部241の一部として突出している複数の円柱形状の磁心部244a,244b等を有している。複数の磁心部244a,244b等の外形側には、それぞれ環状のコイル242a,242b等が装着されている。複数の磁心部244a,244b等の端部側には、永久磁石であるマグネット部243a,243b等が装着されている。複数の磁心部244a,244b等は、コイル242a,242b等に流れる電流を操作してXY面内で可動部30を駆動することができる。マグネット部243a,243b等は、可動部30をZ軸方向に吸引して持ち上げる機能を果たしている。
【0031】
可動子ユニット33は、複数の磁心部244a,244b等にZ軸方向に対向する磁性体の突起部34a,34b等を備えている。突起部34a,34b等は、磁性体なのでマグネット部243a,243b等によってZ軸方向に吸着されるとともに、コイル242a,242b等によって生成される磁界によってXY面内で駆動される。
【0032】
浮上ユニット250は、マグネット部243a,243b等によって吸引されている可動部30を、固定部200から微小量だけ下方に離隔させて可動部30のXY平面内の円滑な移動を実現するためのエア軸受けである。浮上ユニット250は、多孔質部材252から圧縮空気を噴出させてチャックベース31との間に空気層を形成し、これにより固定部200から可動部30を下方に離隔させる。圧縮空気は、浮上ユニット本体251に形成されている3つの環状の空気流路253,254,255を介して多孔質部材252に供給される。
【0033】
このように、可動部30は、マグネット部243a,243b等の吸引力と浮上ユニット250による空気力で固定部200から離隔した非接触状態とし、低ヒステリシスでの微小な駆動を実現することができる。
【0034】
位置センサ100は、固定部200に対する可動部30の並進変位と回転角度θとを計測するためのセンサである。位置センサ100は、可動部30に装着されている可動電極130と、固定部200に装着されている固定電極部とを備えている。固定電極部は、平面視で正方形の外形を有する一対の固定対向電極板110,120と、付加電極板160と、第1離隔部材140と、第2離隔部材150とを備えている。なお、可動電極130は、可動電極部とも呼ばれる。
【0035】
一対の固定対向電極板110,120と付加電極板160とは、平面視(XY平面)で正方形の外形を有している。可動電極130は、一対の固定対向電極板110,120の間にその一部が挿入され、固定対向電極板110,120や付加電極板160よりも一回り小さな正方形の外形(XY平面の平面視)を有している。第1離隔部材140は、一対の固定対向電極板110,120の離隔距離を確保するための部材である。第2離隔部材150は、固定対向電極板110と付加電極板160の離隔距離を確保するための部材である。
【0036】
付加電極板160は、角筒部210の内腔部に形成されている平坦面211に当接することによって固定部200の角筒部210に固定されている。固定対向電極板110は、第2離隔部材150を介して予め設定された離隔間隔を確保して付加電極板160に対して固定されている。固定対向電極板120は、第1離隔部材140を介して予め設定された離隔間隔を確保して固定対向電極板110に対して固定されている。浮上ユニット250は、固定対向電極板120を介して角筒部210に固定されていることになる。
【0037】
このような構成により、固定部200に対する可動部30の動きに応じて、可動電極130に対して一対の固定対向電極板110,120がXY平面内で相対的に動くことになる。
【0038】
なお、付加電極板160の上面と固定対向電極板120の下面とには、それぞれ接地されたシールド電極が形成されている。これにより、位置センサ100は、外部の電界や磁界からの影響を抑制して高精度の計測を実現することができる。一方、付加電極板160の下面と固定対向電極板110の上面とには、補正用コンデンサを構成するための一対の対向電極(図示省略)が形成されている。
【0039】
補正用コンデンサは、予め設定されている可動部30の動きで静電容量が変化しないコンデンサである。補正用コンデンサは、たとえば温度等の環境変化に起因する静電容量の変化を補償することによって検出精度を高める用途に利用可能である。
【0040】
図2は、本発明の実施形態における固定対向電極板120の平面図(上面)である。図3は、本発明の実施形態における可動電極130の平面図(上面)である。固定対向電極板120には、3個の櫛歯電極121〜123と、補正用対向電極板114とを有する電極パターンが表面に形成されている。固定対向電極板110の下面には、固定対向電極板120の電極パターンに対向する形状の電極パターンが形成されている。これにより、平面視で図2に示される対向電極パターンを構成することができる。
【0041】
このように、補正用コンデンサは、図2〜図4に示されるように、前述の付加電極板160を使用することなく、たとえば一対の固定対向電極板110,120に形成されている補正用対向電極板114を使用して構成するようにしてもよい。具体的には、たとえば一対の固定対向電極板110,120において補正用対向電極板114を形成する一方、可動部30で予め設定されている動きの範囲内において、補正用対向電極板114の間に全体が常に挿入されているように構成されている小さな可動電極138を可動電極130に形成するようにしてもよい。なお、補正用対向電極板114は、第4の対向電極とも呼ばれる。可動電極138は、第4の可動電極とも呼ばれる。
【0042】
逆に、補正用対向電極板を小さくする一方、可動電極を可動部30で予め設定されている動きの範囲内において補正用対向電極板の全体に対向するような広い領域を有するように構成してもよい。なお、この場合には、補正用対向電極板は、第5の対向電極とも呼ばれる。可動電極は、第5の可動電極とも呼ばれる。
【0043】
可動電極130の上面には、3個の電極要素群131〜133と、補正用可動電極138とを有する電極パターンが表面に形成されている。可動電極130の下面には、平面視で可動電極130の上面と同一の電極パターンが形成されている。可動電極130の上面の電極パターンと可動電極130の下面の電極パターンは、それぞれ相互に電気的に接続されている。
【0044】
櫛歯電極123は、X軸方向の変位の計測に使用される移動側の電極である。櫛歯電極123は、X軸方向に垂直な方向に等間隔で延びている4本の電極要素123a、123b、123c、及び123dと、4本の電極要素123a、123b、123c、及び123dを相互に電気的に接続する接続要素123eとを有している。
【0045】
一方、固定対向電極板110の下面には、櫛歯電極123に対向する形状の櫛歯電極113(図示省略)が形成されている。櫛歯電極113は、櫛歯電極123の4本の電極要素123a、123b、123c、及び123dと、接続要素123eとにそれぞれ対向する4本の電極要素113a、113b、113c、及び113dと、接続要素113e(いずれも図示省略)とを有している。
【0046】
2個の櫛歯電極121,122は、相互に対をなし、Y軸方向の変位とZ軸回りの回転角度θの計測に使用される移動側の電極である。櫛歯電極121は、Y軸方向に垂直な方向に等間隔で延びている4本の電極要素121a、121b、121c、及び121dと、4本の電極要素121a、121b、121c、及び121dを相互に電気的に接続する接続要素121eとを有している。櫛歯電極122は、Y軸方向に垂直な方向に等間隔で延びている4本の電極要素122a、122b、122c、及び122dと、4本の電極要素122a、122b、122c、及び122dを相互に電気的に接続する接続要素122eとを有している。
【0047】
一方、固定対向電極板110の下面には、櫛歯電極121に対向する形状の櫛歯電極111(図示省略)が形成されている。櫛歯電極111は、櫛歯電極121の4本の電極要素121a、121b、121c、及び121dと、接続要素121eとにそれぞれ対向する4本の電極要素111a、111b、111c、及び111dと、接続要素111eと(いずれも図示省略)を有している。
【0048】
さらに、固定対向電極板110の下面には、櫛歯電極122に対向する形状の櫛歯電極112(図示省略)が形成されている。櫛歯電極112は、櫛歯電極122の4本の電極要素122a、122b、122c、及び122dと、接続要素122eとにそれぞれ対向する4本の電極要素112a、112b、112c、及び112dと、接続要素112eと(いずれも図示省略)を有している。
【0049】
一方、可動電極130の電極要素群133は、X軸方向の変位の計測に使用される固定側の複数の電極要素である。電極要素群133は、X軸方向に垂直な方向に等間隔で延びている4本の電極要素133a、133b、133c、及び133dを有している。4本の電極要素133a、133b、133c、及び133dは、いずれもY軸方向にWだけの幅を有している。
【0050】
一方、可動電極130の電極要素群131,132は、相互に対をなし、Y軸方向の変位とZ軸回りの回転角度θの計測に使用される移動側の電極要素群である。電極要素群131は、Y軸方向に垂直な方向に等間隔で延びている4本の電極要素131a、131b、131c、及び131dを有している。4本の電極要素131a、131b、131c、及び131dは、いずれもX軸方向にWだけの幅を有している。電極要素群132は、Y軸方向に垂直な方向に等間隔で延びている4本の電極要素132a、132b、132c、及び132dを有している。4本の電極要素132a、132b、132c、及び132dは、いずれもX軸方向にWだけの幅を有している。
【0051】
このような電極パターンは、たとえば金属蒸着や金属板の装着によって形成することができる。可動電極130における上面側と下面側の電気的な接続は、たとえば可動電極130を貫通するビアホールで実現することができる。
【0052】
なお、4本の電極要素121a、121b、121c、及び121dが延びている方向は、第1の方向と呼ばれる。4本の電極要素123a、123b、123c、及び123dが延びている方向は、第2の方向と呼ばれる。
【0053】
また、4本の電極要素121a、121b、121c、及び121dと、これにそれぞれ対向する電極要素111a、111b、111c、及び111dの組み合わせは、第1の対向電極と呼ばれる。4本の電極要素122a、122b、122c、及び122dと、これにそれぞれ対向する電極要素112a、112b、112c、及び112dの組み合わせは、第2の対向電極と呼ばれる。4本の電極要素123a、123b、123c、及び123dと、これにそれぞれ対向する電極要素113a、113b、113c、及び113dの組み合わせは、第3の対向電極と呼ばれる。
【0054】
図4は、本発明の実施形態における電極パターンの構成を示す説明図である。図4は、一対の固定対向電極板110,120と、これに挿入されている可動電極130の各電極パターンをXY平面に重ねて投影した図である。図4は、初期位置、すなわち、固定部200に対する可動部30の変位と回転がゼロの初期状態を示している。図4から分かるように、これらの電極パターンは、3組の電極ユニットを構成している。3組の電極ユニットは、X軸変位測定用電極ユニット50と、Y軸変位と回転角度θの測定用電極ユニット60と、補正用電極ユニット70とを備えている。
【0055】
X軸変位測定用電極ユニット50は、櫛歯電極113,123と、その間に配置されている電極要素群133とを有している。初期位置では、電極要素群133の電極要素133a、133b、133c、及び133dの各々は、櫛歯電極123の電極要素123a、123b、123c、及び123dとXY平面内において半分だけ重なった状態となっている。具体的には、たとえば電極要素133aは、その半分の面積が櫛歯電極123の電極要素123aとX軸方向に重なっている。
【0056】
具体的には、可動部30がX軸方向に移動すると、電極要素群133の電極要素133a、133b、133c、及び133dも一緒にX軸方向に移動し、櫛歯電極123の電極要素123a、123b、123c、及び123dの各々との対向面積が減少することになる。これにより、一対の櫛歯電極113,123(第3の対向電極に対応)の静電容量が減少するので、可動部30のX軸方向の変位を検出することができる。
【0057】
一方、初期位置では、電極要素群133の電極要素133a、133b、133c、及び133dの各々は、Y軸方向において櫛歯電極123の電極要素123a、123b、123c、及び123dの中央部に配置されている状態となっている。電極要素123a、123b、123c、及び123dは、電極要素133a、133b、133c、及び133dの各々がY軸方向においてδだけ変位しても対向面積が変化しないように電極要素133a、133b、133c、及び133dよりも長く形成されている。これにより、Y軸方向における可動部30の変位に影響を受けることなく、X軸方向における可動部30の変位を正確に検出することができる。
【0058】
Y軸変位と回転角度θの測定用電極ユニット60は、一対の固定対向電極板110,120の図心点Pを通過するY軸方向の線に対して、それらの端部がそれぞれオフセット量Nだけ離隔した対称な一対の電極として構成されている。すなわち、櫛歯電極121と櫛歯電極122は、Y軸方向の線に対して対称な一対の電極として構成されている。櫛歯電極121と櫛歯電極122は、それぞれ電極要素131,132に対して、上述の櫛歯電極123と電極要素群133の位置関係と同様の相対的な位置関係を有している。
【0059】
櫛歯電極123と電極要素群133は、櫛歯電極121と電極要素131に対して図心点Pを時計回りに90度回転した位置に配置されている。すなわち、櫛歯電極123と電極要素群133は、固定対向電極板110,120の図心点Pを通過するX軸方向の線に対して、その端部がオフセット量Nだけ離隔した位置に配置された電極として構成されている。
【0060】
このような電極構成は、以下のような方法で効果的に可動部30の変位や回転角度を正確に計測するための静電容量の検出を可能とする。なお、Y軸変位と回転角度θの検出方法とX軸変位についての回転角度θの影響の排除方法については後述する。
【0061】
B.移動ステージの計測方法:
図5は、本発明の実施形態における計測原理を示す模式図と計算式とを表す説明図である。図5には、計測用の静電容量Cmesを有するコンデンサCxの構成を示す模式図と、コンデンサCxの等価回路を示す回路図とが示されている。コンデンサCxは、2個のコンデンサC,Cの直列回路に対してコンデンサC3を並列に接続した回路と等価である。
【0062】
コンデンサCxの静電容量Cmesは、相互に対向する一対の櫛歯電極113,123と電極要素群133,135の重なり合う領域S1(重複領域)の静電容量C12と、一対の櫛歯電極113,123の対向領域うち重なり合わない領域S2(非重複領域)の静電容量C3の和となる。重複領域S1の静電容量C12は、コンデンサC,Cの直列回路の静電容量となり、計算式F1で算出することができる。一方、非重複領域S2の静電容量C3は、誘電率が相違する複数の誘電体を有するコンデンサとなり、計算式F2で算出することができる。したがって、コンデンサCxの静電容量Cmesは、重複領域の静電容量C12と、非重複領域の静電容量C3との和として算出することができる(計算式F3参照)。
【0063】
重複領域S1の静電容量は、電極要素群133の重複領域S1の面積S1と誘電体(たとえば空気)の誘電率ε1とによって決定される。重複領域面積S1は、電極要素群133の挿入量Lと電極要素群133の幅W(図3、図5参照)と電極要素の数(この例では4個)の積として決定される。このように、重複領域の静電容量C12は、計算式F1より電極間距離d1,d3の和に依存する一方、電極間距離d1,d3の各々には依存しないことが分かる。
【0064】
一方、非重複領域の静電容量C3は、非重複領域の面積(重複領域面積を減算して算出)と、一対の櫛歯電極113,123の誘電体毎の離隔距離と、誘電体(たとえば空気)の誘電率ε1と、可動電極130の非電極部分の誘電率ε2とによって決定される。このようなコンデンサは、誘電率が相違する複数の誘電体毎の直列コンデンサと等価となることが知られているので、計算式F2で算出することができる。このように、非重複領域の静電容量C3は、計算式F2より電極間距離d1,d3の和(あるいは可動電極130の厚みd2)に依存する一方、電極間距離d1,d3の各々には依存しないことが分かる。
【0065】
このように、本実施形態では、非重複領域の静電容量についても可動電極130のZ軸方向の位置に依存しないので、一対の櫛歯電極113,123の距離の均一性だけを高精度にすればよいことが分かる。
【0066】
電極間距離d1,d2の和は、櫛歯電極113と櫛歯電極123の間の距離から電極要素群133,135間の距離を減じた値である。したがって、本実施形態は、固定対向電極間の距離の均一性と可動電極130の厚みの均一性だけを高精度にすればよく、固定対向電極板110,120と可動電極130の組み付け誤差に依存しないことを見出した。この結果、計測精度とコンデンサ用電極の組み付け許容公差との間のトレードオフの問題が解決されたことになる。
【0067】
なお、電極要素133は、可動電極130の下面の電極要素群135とともに第3の可動電極とも呼ばれる。電極要素131は、可動電極130の下面の電極要素群(図示せず)とともに第1の可動電極とも呼ばれる。電極要素132は、可動電極130の下面の電極要素群(図示せず)とともに第2の可動電極とも呼ばれる。
【0068】
図6は、本発明の実施形態におけるY軸方向の変位と回転角度θを計測する様子を示す模式図である。図6(a)は、可動部30の回転角度θがゼロの場合の様子を示している。図6(b)は、可動部30が回転している場合の様子を示している。図6(a)から分かるように、可動部30が回転していない場合には、Y軸方向の変位は、一対の櫛歯電極111,121と電極要素群131の組み合わせ(以下では、左側電極群とも呼ばれる。)と、一対の櫛歯電極112,122と電極要素群132の組み合わせ(以下では、右側電極群とも呼ばれる。)と、によって計測することができる。Y軸方向の変位は、基本的にX軸方向の変位と同一の考え方で計測することができる。
【0069】
一方、Z軸回りの回転角度θは、左側電極群と右側電極群の静電容量の差に基づいて計測することができる。可動部30の回転は、左側電極群と右側電極群とに逆方向の静電容量の変化をもたらすからである。具体的には、反時計回りの回転によって、左側電極群では、重複領域面積Sが増大する一方、右側電極群では、重複領域面積Sが減少している。
【0070】
さらに、左側電極群と右側電極群は、前述のように各電極群が延びる方向において固定対向電極板110,120の図心点Pを通過するY軸方向の線に対して対称に配置されている。このような対称な配置によって、左側電極群の静電容量Cy1と右側電極群の静電容量Cy2の和は、回転角度θに起因する影響を排除してY軸方向の変位の計測に利用できる。対称に配置されているので、回転角度θに起因する左側電極群の静電容量Cy1の増加量は、回転角度θに起因する左側電極群の静電容量Cy2の減少量に一致するからである。
【0071】
一方、回転角度θに起因する左側電極群の静電容量Cy1の増加量は、X軸方向の変位の計測にも利用可能である。櫛歯電極123と電極要素群133は、櫛歯電極121と電極要素131に対して図心点Pを時計回りに90度回転した位置に同一形状で配置されているからである。換言すると、櫛歯電極123と電極要素群133は、固定対向電極板110,120の図心点Pを通過するX軸方向の線に対して、その端部がオフセット量Nだけ離隔した位置に配置された電極として構成されているからである。
【0072】
なお、一対の櫛歯電極111,121は、第1の固定対向電極対とも呼ばれる。一対の櫛歯電極112,122は、第2の固定対向電極対とも呼ばれる。一対の櫛歯電極113,123は、第3の固定対向電極対とも呼ばれる。また、一対の櫛歯電極111,121の静電容量Cy1は、第1静電容量とも呼ばれる。一対の櫛歯電極112,122の静電容量Cy2は、第2静電容量とも呼ばれる。一対の櫛歯電極113,123の静電容量Cxは、第3静電容量とも呼ばれる。
【0073】
図7は、本発明の実施形態におけるX軸方向の変位が検出される様子を示す模式図である。図8は、本発明の実施形態におけるX軸方向の変位を計測するための相互に対向する一対の櫛歯電極113,123の静電容量を示すグラフである。線L1は、可動部30が回転していない状態(図7(a)〜図7(c))のときの静電容量を示している。線L2は、可動部30が回転した状態(図7(d)〜図7(f))のときの静電容量を示している。
【0074】
図7(a)は、可動部30の電極要素群133がX軸方向の負側に変位している状態を示し、静電容量は図8のポイントP1に相当する。図7(b)は、可動部30が回転も変位もしていない初期状態を示し、静電容量は図8のポイントP2に相当する。図7(c)は、可動部30がX軸方向の正側に変位している状態を示し、静電容量は図8のポイントP3に相当する。図7(d)は、可動部30が回転しているとともに負側に変位している状態を示し、静電容量は図8のポイントP4に相当する。図7(e)は、可動部30が回転している状態を示し、静電容量は図8のポイントP5に相当する。図7(f)は、可動部30が回転しているとともに正側に変位している状態を示し、静電容量は図8のポイントP6に相当する。
【0075】
図7及び図8から分かるように、可動部30のX軸方向の変位は、可動部30の回転の有無に関わらず静電容量と線形の関係にあることが分かる。2本の線L1,L2は、いずれも直線だからである。一方、可動部30の回転に起因する静電容量の変化は、可動部30のX軸方向の変位に関わらず一定であることが分かる。2本の線L1,L2は、一定のオフセット量でシフトした位置の直線となっているからである。
【0076】
このように、本実施形態では、可動部30の動きは、以下の位置センサ100の以下の検出値を使用して直接的に計測することができる。
(1)回転角度θ:電極ユニット60の左側電極群の静電容量Cy1と右側電極群の静電容量Cy2の差(図4参照)
(2)X軸方向の変位:櫛歯電極113,123の静電容量Cxと左側電極群の静電容量Cy1と右側電極群の静電容量Cy2の差の半分の値(左側電極群分)
(3)Y軸方向の変位:左側電極群の静電容量Cy1と右側電極群の静電容量Cy2の和。
【0077】
本実施形態は、以下の効果を奏することができる。
【0078】
(1)本実施形態の位置センサ100は、計測可能な変位量とコンデンサ用電極の組み付け許容公差との間のトレードオフの問題を解決し、これによりセンサとして理想的な線形特性を有している。本実施形態は、固定対向電極間の平行度(間隔の均一性)と可動電極の平行度(厚みの均一性)だけを高精度にすればよく、たとえば一対の固定対向電極板110,120の離隔間隔と可動電極130の相対的な組み付け誤差が計測精度に影響を与えないからである。
【0079】
(2)本実施形態の位置センサ100では、対向電極(たとえば固定対向電極)の平行度や可動電極の厚みの精度が一般的な機械加工で簡易に実現できるという利点を有している。
【0080】
C.変形例:
なお、実施の形態は上記した内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0081】
(1)上記実施の形態では、電極ユニット50と電極ユニット60の各電極要素は、XY平面内において相互に略垂直な方向に延びているが、必ずしも相互に略垂直に伸びている必要は無く、相互に交差する方向に延びていれば計測することができる。ただし、相互に垂直に延びていると、各軸の変位を直接的に独立して検出することができるという利点を有している。
【0082】
(2)上記実施の形態では、固定対向電極対に対して可動電極が挿入される構成が採用されている。しかしながら、このような構成に限られず、たとえば可動対向電極対に対して固定電極が挿入されるように構成してもよい。ただし、上記実施形態は、固定側対向電極の静電容量を検出すればよく可動側電極側に配線を必要としないので、配線に起因する移動ステージの移動の阻害や可動側電極に移動に起因する配線上の問題をも回避することができるという利点を有している。
【0083】
(3)上記実施の形態では、位置センサとして実装されているが、本発明は、たとえば位置センサの静電容量に基づいて計測値を出力する電子回路を備えた計測システム、計測システムと駆動装置とを有する平面リニアモータ、あるいはこれらを備えた平面ステージとして構成することもできる。さらに、計測方法、計測システムを実現するコンピュータプログラム及びそのプログラムを格納する記録媒体等の形態で実現することもできる。
【符号の説明】
【0084】
10…平面ステージ、30…固定部、50…X軸変位測定用電極ユニット、60…測定用電極ユニット、70…補正用電極ユニット、100…位置センサ、110…固定対向電極、111…櫛歯電極、112…櫛歯電極、113…櫛歯電極、114…補正用移動電極、120…固定対向電極、121…櫛歯電極、122…櫛歯電極、123…櫛歯電極、130…固定電極、140…離隔部材、200…移動部、240…可動子ユニット、250…浮上ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージとを有する平面ステージにおいて、前記移動ステージの位置を計測する位置センサであって、
前記固定部に接続され、所定の間隔で相互に対向している第1の固定対向電極対と第2の固定対向電極対と第3の固定対向電極対とを有する固定電極部と、
前記移動ステージに接続され、前記第1の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第1の可動電極と、前記第2の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第2の可動電極と、前記第3の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第3の可動電極とを有する可動電極部と、
を備え、
前記第1の固定対向電極対は、第1の方向に延びている第1の対向電極を有し、
前記第2の固定対向電極対は、前記第1の方向と平行に延びている第2の対向電極を有し、
前記第3の固定対向電極対は、前記第1の方向と交差する第2の方向に延びている第3の対向電極を有し、
前記第1の対向電極は、前記第1の可動電極の挿入状態に応じて変化する第1の静電容量を有し、
前記第2の対向電極は、前記第2の可動電極の挿入状態に応じて変化する第2の静電容量を有し、
前記第3の対向電極は、前記第3の可動電極の挿入状態に応じて変化する第3の静電容量を有し、
前記第1の対向電極は、前記第2の対向電極に対して前記第1の方向にシフトした位置に配置され、
前記第3の対向電極は、前記第1の対向電極に対して前記第2の方向にシフトした位置に配置されている位置センサ。
【請求項2】
請求項1記載の位置センサであって、
前記第1の対向電極は、相互に平行に延びている複数の電極要素である第1の櫛歯電極群が相互に接続されている櫛歯状の電極を含み、
前記第2の対向電極は、相互に平行に延びている複数の電極要素である第2の櫛歯電極群が相互に接続されている櫛歯状の電極を含み、
前記第3の対向電極は、相互に平行に延びている複数の電極要素である第3の櫛歯電極群が相互に接続されている櫛歯状の電極を含む位置センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の位置センサであって、
前記固定電極部は、前記固定部に接続され、前記所定の間隔で相互に対向している第4の対向電極を有し、
前記可動電極部は、前記移動ステージに接続され、前記移動ステージで予め設定されている動きの範囲内において前記第4の対向電極の間に全体が挿入されている第4の可動電極を有する位置センサ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の位置センサであって、
前記固定電極部は、前記固定部に接続され、前記所定の間隔で相互に対向している第5の対向電極を有し、
前記可動電極部は、前記移動ステージに接続され、前記移動ステージで予め設定されている動きの範囲内において前記第5の対向電極の全体に対向する領域を有する第5の可動電極を有する位置センサ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の位置センサであって、
前記第1の方向は、前記第2の方向と略垂直に交差している位置センサ。
【請求項6】
固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージとを有する平面ステージにおいて、前記移動ステージの位置を計測する計測システムであって、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の位置センサと、
前記第1の対向電極の第1静電容量と、前記第2の対向電極の第2静電容量と、前記第3の対向電極の第3静電容量と、を検出する静電容量検出部と、
前記第1静電容量と前記第2静電容量の和に基づいて前記第2の方向の変位を計測し、前記第1静電容量と前記第2静電容量の差に基づいて前記移動ステージの回転角度を計測し、前記第3静電容量と前記差とに基づいて前記第1の方向の変位を計測する計測部と、
を備える計測システム。
【請求項7】
平面ステージであって、
固定部と、
前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージと、
請求項6記載の計測システムと、
前記計測値に基づいて前記平面内で前記移動ステージを駆動する平面リニアモータと、
を備える平面ステージ。
【請求項8】
請求項7記載のステージであって、
前記平面リニアモータは、前記平面に垂直な方向に前記移動ステージを支持することによって前記固定部に対して非接触での前記平面内の移動を許容するエア軸受けを備えている平面ステージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−24701(P2013−24701A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159144(P2011−159144)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000106760)CKD株式会社 (627)
【Fターム(参考)】