説明

位置可変型案内羽根作動システムおよび方法

【課題】タービン位置可変型案内羽根作動システム(10)を提供すること。
【解決手段】このシステム(10)は、複数の位置可変型案内羽根(14)と、それぞれのアクチュエータ(18)が複数の位置可変型案内羽根(14)の1つに動作可能に連絡している、複数のアクチュエータ(18)と、それらの複数のアクチュエータ(18)のうちの複数に動作可能に連絡していて、タービン(26)の軸に平行に移動可能である、少なくとも1つの構造物(22)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する発明は、タービンエンジンの位置可変型案内羽根を作動させるシステムおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、複数の位置可変型案内羽根に動作可能に連絡した構造物を移動させることによって位置可変型案内羽根を作動させるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンエンジンの羽根の空気力学的効率は、エンジンの総合的な動作効率の重要な因子である。オペレータは、タービンのさまざまな動力設定で空気力学的性能を改善しようとして羽根を回転させる。タービンエンジンの複数の羽根の回転の精度および制御を改善するシステムおよび方法は、当業界のオペレータには価値のあるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,867,635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改善されたタービン位置可変型案内羽根作動システム(10)を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
タービン位置可変型案内羽根作動システムを本明細書で開示する。このシステムは、複数の位置可変型案内羽根と、それぞれのアクチュエータが複数の位置可変型案内羽根の1つに動作可能に連絡している、複数のアクチュエータと、それらの複数のアクチュエータのうちの複数に動作可能に連絡していて、タービンの軸に平行に移動可能である、少なくとも1つの構造物とを含む。
【0006】
さらに、複数のタービン位置可変型案内羽根を作動させる方法を本明細書で開示する。この方法は、タービンの軸に平行な方向に構造物を移動させるステップと、その構造物に動作可能に連絡している複数のタービン位置可変型案内羽根を回転させるステップとを含む。
【0007】
以下の説明は決して限定するものと考えるべきではない。添付の図面については同様の要素には同様の番号を付した。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本明細書で開示するタービン位置可変型案内羽根作動システムの部分斜視図である。
【図2】矢印2−2に沿った、図1のタービン位置可変型案内羽根作動システムの部分断面図である。
【図3】本明細書で開示する代替の位置可変型案内羽根作動システムの部分斜視図である。
【図4】本明細書で開示する他の代替の位置可変型案内羽根作動システムの部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
開示する装置および方法の1つまたは複数の実施形態の詳細な説明を、図を参照して限定ではなく例証によって本明細書で提示する。
【0010】
たとえば動力生成用のガスタービンエンジンなどのタービンエンジンは、固定案内羽根および回転案内羽根を有する。タービンの動作中に両タイプの案内羽根を通って圧縮空気が流れる。タービンの性能は、とりわけ、固定案内羽根の角度に応じて変更することができる。しかし、異なる動作状況では、異なる案内羽根の角度が好ましい場合がある。したがって、羽根の角度が可変の案内羽根を有することは、タービンのオペレータにとって利益となる。可変案内羽根を調整するシステムおよび方法を、以下で詳細に説明する。
【0011】
図1を参照すると、本明細書で開示するタービン位置可変型案内羽根作動システム10の実施形態が示されている。このシステム10は複数の位置可変型案内羽根14を含み、それら位置可変型案内羽根14のそれぞれ1つに、本明細書ではレバーとして示すアクチュエータ18が1つ取り付けられ、それら複数のレバー18に、本明細書ではプレートとして示す少なくとも1つの構造物22が係合する。プレート22は、タービン26の軸に平行な方向に移動して、プレート22に係合したレバー18をそれぞれ回転運動させ、したがってそのレバー18に取り付けられた位置可変型案内羽根14を回転させるように構成される。
【0012】
図2を参照すると、位置可変型案内羽根14の1つ、図1のレバー18およびプレート22を通る、矢印2−2に沿った断面図が示されている。ベアリング30が、位置可変型案内羽根14をそれぞれ、タービン26のケーシング34に回転式に取り付ける。ピン38が、レバー18のスロット42と係合するように各プレート22から延びる。適宜、ピン38とスロット42の壁50との間の摩擦係合を低減するために、スリーブ46を回転式に各ピン38と係合させることができる。
【0013】
プレート22がタービン26の軸に平行に移動することにより、プレート22がタービン26に関して円周方向に移動する典型的なシステムで生じる(場合によっては存在する)横方向または径方向の不安定さを低減することができる。ピン38とスロット42の壁50との間の摩擦の低減に加えて、典型的なシステムと比べて、本明細書で開示する実施形態は、位置可変型案内羽根14の回転運動の精度をより簡単に制御することができる。このように制御が簡単なのは、プレートの円周方向の運動と比べて、プレート22の直線運動と位置可変型案内羽根14の回転運動との間のずれが低減されるからである。以下で詳細に説明する代替の実施形態でこうした制御の精度を維持することができる。
【0014】
図3を参照すると、本明細書で開示する、プレート222を有するタービン位置可変型案内羽根作動システム210の代替の実施形態が示されている。ほんの数個のレバー18と機能的に係合する、上記に示したプレート22とは異なり、プレート222は、タービン26の大部分の外周に沿ってリングを形成する。実際に、プレート222は、ケーシング34を囲み全てのレバー18を作動させる連続したリングでもよく、選択した任意の数の所望のレバー18を作動させるように分けられていてもよい。組立ておよび取外しのためには、プレート222を少なくとも2つの部分に分割して、それぞれがケーシング34の約半分を囲むことが有利な場合がある。
【0015】
図4を参照すると、本明細書で開示する、プレート322を有するタービン位置可変型案内羽根作動システム310のさらに他の代替の実施形態が示されている。プレート322は、構造物22の変形形態である。プレート322は、複数段のレバー18を同時に作動させるように構成される。プレート322は、タービン26の異なる段312A、312Bおよび312Cから構成された位置可変型案内羽根14を作動させる。このような「連動」システムにより、複数の位置可変型案内羽根14を一度に作動させるために必要なリンク機構を大幅に単純化することができる。2つ以上の段を互いに「連動」させて、たとえば1つまたは複数の「連動体」を形成することができる。「連動」システムのこうした変形形態をプレート222の場合に用いることもできる。
【0016】
例示的な1つまたは複数の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなしに、さまざまな変更を行うことができ、本発明の要素の代わりに等価物を用いることができることが当業者には理解されよう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなしに、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実行するために企図される最良のモードとして開示した特定の実施形態に限定されないが、請求項の範囲内に包含される全ての実施形態を含むことが意図される。さらに、図面および明細書中では本発明の例示的な実施形態を開示しており、特定の用語を用いてきたかもしれないが、言明しない限りそれらは一般的かつ説明的な意味でのみ用いられ、限定する意図はなく、したがって本発明の範囲はそのように限定されていない。さらに、第1、第2などの用語の使用はどんな順序や重要性も意味せず、正確に言えば第1、第2などの用語は、ある要素を他の要素と区別するために用いている。さらに、a、anなどの用語の使用は数量の限定を意味せず、正確に言えば言及した要素が少なくとも1つ存在することを意味する。
【符号の説明】
【0017】
10 タービン可変型案内羽根作動システム
14 可変型案内羽根
18 レバー
22 プレート
26 タービン
30 ベアリング
34 ケーシング
38 ピン
42 スロット
46 スリーブ
50 壁
210 タービン可変案内羽根作動システム
312A〜C 段
222 プレート
310 タービン可変案内羽根作動システム
322 プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の位置可変型案内羽根(14)と、
それぞれのアクチュエータ(18)が前記複数の位置可変型案内羽根(14)の1つに動作可能に連絡している、複数のアクチュエータ(18)と、
タービン(26)の軸に平行に移動可能である、前記複数のアクチュエータ(18)のうちの複数に動作可能に連絡している少なくとも1つの構造物(22)とを備える
タービン位置可変型案内羽根作動システム(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの構造物(22)が複数のピン(38)を含み、それぞれのピン(38)がアクチュエータ(18)に動作可能に連絡している、請求項1記載のタービン位置可変型案内羽根作動システム(10)。
【請求項3】
それぞれのピン(38)がスリーブ(46)を回転式に取り付けられている、請求項2記載のタービン位置可変型案内羽根作動システム(10)。
【請求項4】
前記複数のアクチュエータ(18)のそれぞれが、前記複数のピン(38)の1つを受けるスロット(42)を含む、請求項2記載のタービン位置可変型案内羽根作動システム(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの構造物(22)が弓状の形状であり、前記タービン(26)のケーシング(34)と実質上同心である、請求項1記載のタービン位置可変型案内羽根作動システム(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの構造物(22)が前記タービン(26)の軸に平行な方向に移動すると、そこに動作可能に連絡している前記アクチュエータ(18)のそれぞれが回転する、請求項1記載のタービン位置可変型案内羽根作動システム(10)。
【請求項7】
前記アクチュエータ(18)のそれぞれが回転すると、そこに動作可能に連絡している前記位置可変型案内羽根(14)の1つが回転する、請求項6記載のタービン位置可変型案内羽根作動システム(10)。
【請求項8】
前記複数のアクチュエータ(18)が複数のレバー(18)である、請求項1記載のタービン位置可変型案内羽根作動システム(10)。
【請求項9】
前記複数の位置可変型案内羽根(14)が、前記タービン(26)の複数の段(312A〜C)から構成される、請求項1記載のタービン位置可変型案内羽根作動システム(10)。
【請求項10】
複数のタービン位置可変型案内羽根(14)を作動させる方法であって、
タービン(26)の軸に平行な方向に構造物(22)を移動させるステップと、
前記構造物(22)に動作可能に連絡している前記複数のタービン位置可変型案内羽根(14)を回転させるステップと
を含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−159750(P2010−159750A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−299(P2010−299)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】