説明

位置度測定用座標検出機、及び位置度測定システム

【課題】位置度測定の信頼性を高めるため十分に多数の測定点数を確保し、全ての測定点毎に正確な測定座標信号を出力する。
【解決手段】検出機2を、ワークWの上方の所定位置に配置された基準プレート5の基準穴SHに上方から挿入して装着されるガイドブッシュ21の筒内に回動自在に挿入されるように長尺筒状に形成され、一方端が測定対象穴に挿入される外筒体22と、外筒体22を介して筒軸周りに回転自在に設け、外筒体22の筒軸とその測定点と間の距離を検出し、対応する距離信号を出力する距離検出手段23と、距離検出手段23の回転角度を検出し、対応する回転角度信号を出力する回転角度検出手段24と、から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの測定対象穴の内面における所定深さの位置で複数の測定点を選択し、選択した複数の測定点毎の測定座標信号を出力する位置度測定用座標検出機、及びその測定座標信号に基づき測定対象穴の位置度を測定する位置度測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象穴を測定する技術としては、特許文献1に記載されたものが知られている。この技術は、測定穴に挿入される測定子の先端部付近に複数のエアー噴出口を設け、これらのエアー噴出口からエアーを噴出して各エアーの背圧を検出することによって、各エアー噴出口から測定穴の内周面までの距離を算出して測定穴の穴径を演算すると共に測定穴の中心位置を演算し、また、測定穴の深さ方向の複数箇所の穴径、穴位置を測定し、測定器における測定子の移動方向に対する測定穴の傾斜を測定するものである。
【0003】
【特許文献1】特開平10−339623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来技術では、エアー噴出口から噴出したエアーの背圧を検出して穴径等を演算するため、各エアー噴出口を、検出する背圧が相互に影響しない間隔を確保した位置に設ける必要があり、穴の同一深さの位置に全周に亘って複数設けることができないものである。したがって、このように円周の一部を測定した測定座標に基づき、しかも少ない測定点数から穴径等を計測した場合には、計測結果の信頼性が低下する点で問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、測定対象穴の所定深さの位置で複数の測定点を全周に亘って選択し、その複数の測定点毎に測定座標信号を出力できる位置度測定用座標検出機、及び、出力した複数の測定座標信号に基づき、測定対象穴の所定深さの位置における演算形状を求めることによって、測定した測定対象穴の位置度の信頼性を向上できる位置度測定システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明に係る位置度測定用座標検出機は、位置決め手段によって測定対象穴に対する所定位置で位置決めされ、測定対象穴の内面において測定点を選択し、選択した測定点の測定座標を検出し、対応する測定座標信号を出力する位置度測定用座標検出機であって、位置決め手段によって回動自在に保持されるように長尺筒状に形成され、一方端が測定対象穴に挿入される外筒体と、測定対象穴の内面における所定深さの位置で選択された一つの測定点に対して点接触するように外筒体の一方端側の所定位置から突設され、外筒体の筒軸とその測定点と間の距離を検出し、対応する距離信号を出力する距離検出手段と、外筒体を介して回転させた距離検出手段の回転角度を検出し、対応する回転角度信号を出力する回転角度検出手段と、を備えてなり、距離検出手段を回転させることによって複数の測定点を選択し、選択した複数の測定点毎に、距離信号及び回転角度信号を測定座標信号として出力するように構成される。
【0007】
請求項2の発明に係る位置度測定用座標検出機は、位置決め手段が、基準プレート上の所定位置に穿設した基準穴に挿入されるように短尺筒状に形成され、その筒内で外筒体を回動自在に保持するガイドブッシュであるように構成される。
【0008】
請求項3の発明に係る位置度測定用座標検出機は、距離検出手段が、一つの測定点に対して点接触するように外筒体の筒軸に対して直交方向に沿って伸縮自在に設けられた測定子と、外筒体の筒軸位置に筒軸に沿って移動自在に設けられた筒軸体と、測定子の伸縮量を筒軸体の移動量にリンクさせるリンク部材と、を有してなり、測定子の伸縮量を筒軸体の移動量に換算することによって、外筒体の筒軸とその測定点との間の距離を検出するように構成される。
【0009】
請求項4の発明に係る位置度測定用座標検出機は、回転角度検出手段が、位置決め手段または外筒体のいずれか一方に同軸上で固定され、複数の突起を放射方向へ等間隔に突設してなる歯車状の円板体と、円板体に対して相対的に回転する位置決め手段または外筒体のいずれか一方に固定され、円板体の突起の近接を感知して所定の信号を出力する近接センサと、を備えてなり、近接センサが、回転基準位置を感知する基準位置センサと、回転角度を整数倍に分割する位置に少なくとも2つ設けられた角度分割センサと、からなるように構成される。
【0010】
請求項5の発明に係る位置度測定用座標検出機は、外筒体の他方端側に回転駆動用の電動モータを連結してなるように構成される。
【0011】
請求項6の発明に係る位置度測定システムは、請求項1乃至5のいずれかに記載の位置度測定用座標検出機と、その位置度測定用座標検出機から出力された複数の測定点毎の測定座標信号に基づき、測定対象穴の所定深さにおける形状を演算して求める形状演算手段と、形状演算手段によって求めた形状を表示する表示手段と、を備えてなるように構成される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜3の発明によれば、距離検出手段および回転角度検出手段によって、測定対象穴の所定深さの位置で複数の測定点を全周に亘って選択し、その複数の測定点毎の測定座標を検出し、対応する測定座標信号を出力するので、位置度測定の信頼性を高めるため十分に多数の測定点数を確保でき、全ての測定点毎に正確な測定座標信号を出力できる。
【0013】
請求項4の発明によれば、回転角度検出手段を、円板体と近接センサとによって構成したので、検出可能な回転角度をより細かく設定でき、部品点数を減らして小型化できる。
【0014】
請求項5の発明によれば、外筒体の回転を自動化できる。
【0015】
請求項6の発明によれば、十分に多数の測定座標信号に基づき、測定対象穴の所定深さの位置における形状を演算して求めるので、求めた形状についての信頼性を高め、測定対象穴の位置度を高い精度で測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施の一形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)、図2に示すように、本位置度測定システム(以下、本システムとする)1は、測定用治具である基準プレート5に設置された状態で、ワークWの測定対象穴WHの内周面に対して所定深さにおける複数の測定点の座標を測定し、測定座標信号として出力する位置度測定用座標検出機(以下、本検出機とする)2と、その検出機2から出力された複数の測定点毎の測定座標信号に基づき、測定対象穴の所定深さにおける形状を演算する形状演算手段3と、形状演算手段3により演算された形状を表示する表示手段4と、を備えて構成されている。
【0017】
基準プレート5は、測定対象穴WHを備えたワークWに対して、測定対象穴WHの穴開口側に配置されるように構成されている。基準プレート5は、上面側に直交座標系の製品図基準点(0,0)が規定された基準平面を備え、基準平面を水平にしてワークWに支持されている。基準プレート5には、所定半径の基準穴SHが、その穴軸を基準平面に直交させて、製品図基準点(0,0)からの穴位置座標(Xg,Yg)の位置に穿設されている。本検出機2は、基準穴SHに予め設けられた位置決め手段である短尺筒形状のガイドブッシュ21によって、測定対象穴WHに対する所定位置で位置決めされる。
【0018】
本検出機2は、ガイドブッシュ21の筒内に回動自在に挿入されるように長尺筒状に形成され、ガイドブッシュ21に所定の挿入位置まで挿入した状態で、一方端が測定対象穴WHに挿入される外筒体22と、測定対象穴WHの内面における所定深さの位置で選択された一つの測定点に対して点接触するように外筒体22の一方端側の所定位置から突設され、外筒体22の筒軸とその測定点と間の距離dを検出し、対応する距離信号を出力する距離検出手段23と、外筒体22を介して回転させた距離検出手段23の回転角度を検出し、対応する回転角度信号を出力する回転角度検出手段24と、を備えてなり、距離検出手段23を回転させることによって複数の測定点を選択し、選択した複数の測定点毎に、距離信号及び回転角度信号を測定座標信号として出力するように構成されている。
【0019】
距離検出手段23は、一つの測定点に対して点接触するように外筒体22の筒軸に対して直交方向に沿って伸縮自在に設けられた測定子31と、外筒体22の筒軸位置に筒軸に沿って移動自在に設けられた筒軸体32と、測定子31の伸縮量を筒軸体32の移動量にリンクさせるリンク体33と、を有して構成されている。測定子31の伸縮量を筒軸体32の移動量に換算することによって、外筒体22の筒軸とその測定点との間の距離を検出し、対応する距離信号を出力する。ここで、筒軸とその測定点との間の距離dを、測定子31の伸縮量の範囲から予め設定された補正値である半径マスターRmと、測定点毎に変動する値である半径偏差hとの両値による加算結果とした場合、距離信号は半径偏差hに対応する。
【0020】
回転角度検出手段24は、ガイドブッシュ21に同軸上で固定され、複数の突起62を放射方向へ等間隔に突設してなる歯車状の円板体61と、円板体61に対して相対的に回転するように外筒体22に固定され、円板体61の突起62の近接を感知して回転角度信号に対応する所定の信号を出力する近接センサと、を備えて構成されている。近接センサは、円板体61に設けた回転基準スリットを感知する基準位置センサ63と、回転角度を2倍に分割(2分割)する2つの位置にそれぞれ設けられ、突起62の近接を交互に感知する2つの角度分割センサ64とから構成されている。これら2つの角度分割センサ64は、円板体61の突起62がm(=60)個突設されている場合、隣接する突起62間の隣接角度α(=360°/m=6°)を2分割して分解能を2倍(2×m=測定点数n=120)とし、この分割角度(=α/2=3°)毎に対応する回転角度信号を出力するように構成されている。ここで、回転角度θは、分割角度と、分割角度毎の回転角度信号の計数積算値との両値による乗算結果で示される。すなわち、距離検出手段23及び回転角度検出手段24は、距離信号及び回転角度信号を、測定座標に対応する測定座標信号として出力する。
【0021】
形状演算手段3は、記憶部や入出力部等、並びにこれらを連動制御させる制御部からなるいわゆるコンピュータを動作させる位置度測定プログラムよって、入出力部から入力された検出機2の測定座標信号を、測定点k(0≦k≦n(=120))毎の測定座標(dk,θk)に変換して記憶部に格納し、これらの測定座標に基づき、測定対象穴WHの所定深さにおける形状を演算して求めるように構成されている。
【0022】
また記憶部には、測定座標(dk,θk)の他、製品図の図面情報として、穴寸法、穴位置座標(X,Y)および位置度公差φD、基準穴SHの情報として、穴寸法、穴位置座標(Xg,Yg)、測定対象穴WHの情報として、製品図の図面情報に基づき予め設定された穴形状の演算式、半径マスターRm、測定点数n(=120)、測定項目名等の測定諸元が格納されている。位置度測定プログラムは、測定対象穴WHについて、最小二乗円を求める演算式を使用し、この演算式によって、最小二乗円の半径rと中心座標(a,b)を求める。
【0023】
表示手段4は、位置度測定プログラムによって、製品図の図面情報に示された形状及び穴位置座標(X,Y)、基準穴の穴位置座標(Xg,Yg)、形状演算手段による演算によって求められた最小二乗円の形状、半径r、中心座標(a,b)等を表示可能に構成されている。
【0024】
次に、図3により、本システム1による位置度測定の動作を説明する。
(1)先ず、位置度測定プログラムを起動させ、表示手段としてのモニタ4に表示された測定対象穴WHに検出機2を挿入する。そして測定開始のボタン26を押下する(S1)。ボタン26の押下によって、形状演算手段3には、距離検出手段23から出力された距離信号を半径偏差hに対応させるため、補正値として半径マスタRmが予め設定され、測定開始時の回転角度θがゼロとなるように、計数積算値に初期値が設定される(S2)。
(2)ボタン26の押下後、形状演算手段3は、距離検出手段23の距離信号及び回転角度検出手段24の回転角度信号の入力待ち状態となる。外筒体22を手で軸周りに回転させる(S3)。外筒体22の回転に伴い、円板体61に設けられた2つの突起62のうち一方を角度分割センサ64で検出し、回転角度検出手段24から出力された回転角度信号のパルス数を計数する。計数時において測定子31の接触点を選択した一つの測定点kとし(S4)、計数積算値と記憶部の分割角度とを乗算して、測定点kにおける回転角度θkを求める。
(3)回転角度信号の計数積算と同時に、距離検出手段23から出力されている距離信号に基づき、対応する半径偏差hkと記憶部の半径マスタRmとを加算して、測定点kにおける距離dkを求める。求めた距離dkと回転角度θkを、測定点kにおける測定座標(dk,θk)として記憶部に格納する(S5)。
(4)計数積算値を+1する(S6)。外筒体22を回転角度信号の計数積算値が測定点数n=120と一致するまで回転させ、全周に亘る全測定点についての測定座標信号を検出して測定座標を記憶部に格納する(S7)。
【0025】
(5)形状演算手段3は、記憶部に格納された全測定点の測定座標に基づき、所定深さにおける形状を求める。測定対象穴WHが円形状の場合、最小二乗円を求める演算式を使用して、最小二乗円の半径rと中心座標(a,b)を演算して求める(S8)。
(6)演算では、先ず極座標系の測定座標(dk,θk)を直交座標系の測定座標(xk,yk)に変換する。
極座標(dk,θk)
→直交座標(xk,yk)=(dk×cos(θk),dk×sin(θk))
(7)最小二乗法により最小二乗円の中心座標(a,b)を求める。
中心座標(a,b)=(2×Σxk/n,2×Σyk/n)
(8)さらに、中心座標(a,b)を製品図基準点(0,0)からの円位置座標(Xa,Yb)に変換する。
(9)距離dkの平均から最小二乗円の半径rを求める。
半径r=Σdk/n
【0026】
(10)製品図に示された穴位置座標(X,Y)と最小二乗円の円位置座標(Xa,Yb)との距離Sを求める。尚、本実施形態では、(X,Y)=(Xg,Yg)とする。
距離S=√((Xa−X)+(Yb−Y)
(11)距離Sと記憶部の位置度公差φDとを比較して、測定対象穴WHの位置度を下記判断基準により評価する(S9)。
S≦φDの場合、測定対象穴WHの位置度は適正である。
S>φDの場合、測定対象穴WHの位置度は適正でない。
【0027】
図1(b)のように、モニタ4には、製品図の図面情報に示された測定対象穴WHの形状と形状演算手段3による演算によって求めた測定対象穴WHの形状が、他の情報と共に表示される(S10)。
【0028】
上記構成の検出機2によれば、距離検出手段23および回転角度検出24手段によって、測定対象穴WHの所定深さの位置で測定点を全周に亘って選択し、その複数の測定点毎の測定座標を検出し、対応する測定座標信号を出力するので、位置度測定の信頼性を高めるため十分に多数の測定点数を確保でき、全ての測定点毎に正確な測定座標信号を出力できる。よって、システム1によれば、十分に多数の測定座標信号に基づき、測定対象穴WHの所定深さの位置における形状を演算して求めるので、求めた形状についての信頼性を高め、測定対象穴の位置度を高い精度で測定できる。また、回転角度検出手段24を、円板体61と近接センサとによって構成したので、検出可能な回転角度をより細かく設定でき、部品点数を減らして小型化できる。
【0029】
図4は、本検出機の他の実施形態を示す構成図である。本検出機7は、位置決め手段が、外筒体22の一方端を、ワークWの測定対象穴WHの穴軸に沿って挿抜自在に形成され、かつ回動自在に保持するロボットアーム71であるように構成されている。図2の検出機2と共通する他の構成については説明を省略する。
【0030】
上記構成の検出機7によれば、ロボットアーム71によって測定子31の所定深さを自由に変えることができ、複数の所定深さについても、検出機2と同様に、十分に多数の測定点数を確保でき、全ての測定点毎に正確な測定座標信号を出力できる。また、本検出機7と、その検出機7から出力された複数の測定点毎の測定座標信号に基づき、測定対象穴WHの複数の所定深さにおける形状を演算して求める形状演算手段と、形状演算手段によって求めた形状を表示する表示手段と、を備えてなる位置度測定システムによれば、システム1と同様に、求めた形状についての信頼性を高めることができる。
【0031】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状並びに構成を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)検出機は、測定対象穴の内面が円筒形状である場合に限らず、平面形状を組み合わせてなる三角柱や四角柱等の多角柱形状の場合であっても、各平面についての十分に多数の測定点数を確保でき、全ての測定点毎に正確な測定座標信号を出力できる。またシステムでは、求めた形状についての信頼性を高めることができる。
(2)検出機は、外筒体22に回転駆動用の電動モータ29を連結して構成しても良い。図2の検出機2の場合、電動モータ29は、基準プレート5に固定された架台に配置され回転止めされる。その他の構成は、検出機2と同様である。この検出機の操作手順は、図2の検出機2と同様に、測定開始ボタン26を押した後、電動モータ29によって外筒体22が回転し、所定深さの位置における全周の測定点の測定座標を出力する。この検出機によれば、図2の検出機2と同様の作用効果を得ることができることに加え、回転操作を自動化できる。尚、図4の検出機7の場合、電動モータ29はロボットアーム71に配置され回転止めされ、同様の作用効果を得ることができる。
(3)検出機は、ロボットアーム71を位置決め手段とするとともに外筒体22に電動モータ29を連結して構成した場合、回転角度検出手段を電動モータ29を回転制御する制御部として、この制御部から回転角度を検出しても良い。この場合、円板体及び近接センサを省き、検出機を小型化できる。
(4)角度分割センサは、2つの位置に限らず、3つ設けて分解能を3倍にする等、任意数を設けて分解能を高めても良い。
(5)距離検出手段は、1箇所に限らず、所定深さの位置が異なるように、複数設けても良い。この場合は、円形状だけでなく、円筒面形状も計測できる。
(6)外筒体は、測定対象穴に挿入される側を交換可能に構成しても良い。この場合の検出機は、先端長さの異なる交換部を用意しておくことで、他の構成を共用化して、穴深さの異なる他の測定対象穴について測定座標を出力できる。また先端太さの異なる交換部を用意すれば、穴径の異なる他の測定対象穴に対応できる。
(7)本システムは、形状演算手段によって、測定点kの測定座標(dk,θk)と最小二乗円の円位置座標(Xa,Yb)との間の距離を求めると共に、図1(b)のように、真円度の判断基準となる最大半径r_max及び最小半径r_minを求めるように構成し、測定対象穴WHの真円度を評価することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る位置度測定システムの一実施形態を示し、(a)は構成概略図、(b)は表示手段の表示内容説明図である。
【図2】本発明に係る位置度測定用座標検出機の一実施形態を示し、(a)は縦断面構成図、(b)はA−A断面図である。
【図3】図1のシステムによる位置度測定の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る位置度測定用座標検出機の他の実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0033】
1・・位置度測定システム、2・・位置度測定用座標検出機、3・・形状演算手段、4・・表示手段、5・・基準プレート、21・・ガイドブッシュ、22・・外筒体、23・・距離検出手段、24・・回転角度検出手段、31・・測定子、32・・筒軸体、33・・リンク体、61・・円板体、62・・突起、63・・基準位置センサ、64・・角度分割センサ、SH・・基準穴、WH・・測定対象穴、W・・ワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決め手段によって測定対象穴に対する所定位置で位置決めされ、測定対象穴の内面において測定点を選択し、選択した測定点の測定座標を検出し、対応する測定座標信号を出力する位置度測定用座標検出機であって、
位置決め手段によって回動自在に保持されるように長尺筒状に形成され、一方端が測定対象穴に挿入される外筒体と、
測定対象穴の内面における所定深さの位置で選択された一つの測定点に対して点接触するように外筒体の一方端側の所定位置から突設され、外筒体の筒軸とその測定点と間の距離を検出し、対応する距離信号を出力する距離検出手段と、
外筒体を介して回転させた距離検出手段の回転角度を検出し、対応する回転角度信号を出力する回転角度検出手段と、を備えてなり、
距離検出手段を回転させることによって複数の測定点を選択し、選択した複数の測定点毎に、距離信号及び回転角度信号を測定座標信号として出力する、
ことを特徴とする位置度測定用座標検出機。
【請求項2】
位置決め手段は、
基準プレート上の所定位置に穿設した基準穴に挿入されるように短尺筒状に形成され、その筒内で外筒体を回動自在に保持するガイドブッシュである、
請求項1に記載の位置度測定用座標検出機。
【請求項3】
距離検出手段は、
一つの測定点に対して点接触するように外筒体の筒軸に対して直交方向に沿って伸縮自在に設けられた測定子と、
外筒体の筒軸位置に筒軸に沿って移動自在に設けられた筒軸体と、
測定子の伸縮量を筒軸体の移動量にリンクさせるリンク部材と、を有してなり、
測定子の伸縮量を筒軸体の移動量に換算することによって、外筒体の筒軸とその測定点との間の距離を検出する、
請求項1乃至2のいずれかに記載の位置度測定用座標検出機。
【請求項4】
回転角度検出手段は、
位置決め手段または外筒体のいずれか一方に同軸上で固定され、複数の突起を放射方向へ等間隔に突設してなる歯車状の円板体と、
円板体に対して相対的に回転する位置決め手段または外筒体のいずれか一方に固定され、円板体の突起の近接を感知して所定の信号を出力する近接センサと、を備えてなり、
近接センサは、
回転基準位置を感知する基準位置センサと、
回転角度を整数倍に分割する位置に少なくとも2つ設けられた角度分割センサと、
からなる、
請求項1乃至3のいずれかに記載の位置度測定用座標検出機。
【請求項5】
外筒体の他方端側に回転駆動用の電動モータを連結してなる、
請求項1乃至4のいずれかに記載の位置度測定用座標検出機。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の位置度測定用座標検出機と、
その位置度測定用座標検出機から出力された複数の測定点毎の測定座標信号に基づき、測定対象穴の所定深さにおける形状を演算して求める形状演算手段と、
形状演算手段によって求めた形状を表示する表示手段と、を備えてなる、
ことを特徴とする位置度測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−26276(P2008−26276A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202409(P2006−202409)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(595131363)株式会社南谷製作所 (2)
【Fターム(参考)】