説明

位置情報管理システムおよび位置情報管理方法

【課題】移動端末の測位をより精度よく行うことが可能な位置情報管理システムおよび位置情報管理方法を提供する。
【解決手段】通信システム10は、まず、移動機100の端末位置情報およびセクタ情報を取得し、当該端末位置情報が当該セクタ情報により定められたセクタ勢力図S1外を示しているか否かを判断する。そして、端末位置情報がセクタ勢力図S1外を示していると判断されると、当該セクタ勢力図S1上に、当該端末位置情報を補正する。このように、端末位置情報がセクタ勢力図S1に存在しないと判断されると、当該端末位置情報が当該セクタ勢力図S1上に補正されるため、本来はセクタ勢力図S1上に存在するはずの移動機100の端末位置情報をより適切に補正することができる。この結果、移動機100の測位をより精度よく行うことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末の端末位置情報を管理する位置情報管理システムと、当該位置情報管理システムが行なう位置情報管理方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動端末の測位を行なう技術の改良が行なわれている。例えば、下記の特許文献1には、移動通信端末が送信又は受信する電波にマルチパスによる遅延が生じた場合であっても、移動通信端末の測位を正確に行うことができるようにする測位システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−267973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯電話機などの移動端末の測位結果を用いて人口分布を推測する技術が検討されている。移動端末の測位結果を用いて人口分布を正確に推測するには、移動端末の位置が精度よく求められる必要がある。しかしながら、上記の特許文献1に記載の測位システムには、移動端末の位置精度を向上させる余地が残されている。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、移動端末の位置をより精度よく求めることが可能な位置情報管理システムおよび位置情報管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明に係る位置情報管理システムは、移動端末の端末位置情報およびセクタ情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された端末位置情報およびセクタ情報に基づいて、端末位置情報が当該セクタ情報により定められたセクタ勢力範囲内に存在するか否かを判断する判断手段と、判断手段により端末位置情報がセクタ勢力範囲内に存在しないと判断されると、当該セクタ勢力範囲内に、端末位置情報を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る位置情報管理システムは、まず、移動端末の端末位置情報およびセクタ情報を組で取得し、端末位置情報が当該セクタ情報により定められたセクタ勢力範囲内に存在するか否かを判断する。そして、端末位置情報がセクタ勢力範囲内に存在しないと判断すると、当該セクタ勢力範囲内に、端末位置情報を補正する。このように、端末位置情報がセクタ勢力範囲内に存在しないと判断されると、端末位置情報が当該セクタ勢力範囲内に補正されるため、本来はセクタ勢力範囲内に存在するはずの移動端末の端末位置情報をより適切に補正することができる。この結果、移動端末の位置精度を高めることが可能である。
【0008】
また、補正手段は、セクタ勢力範囲の境界と、基地局の位置と端末位置情報が示す位置を結んだ線との交点に、当該端末位置情報を補正するのも好ましい。これにより、基地局の位置と端末位置情報が示す位置を結んだ線がセクタ勢力範囲の境界と交わる点に、当該端末位置情報が補正される。このため、本来はセクタ勢力範囲内に存在するはずの移動端末の端末位置情報に関して、基地局の位置と端末位置情報が示す位置との両方の位置を考慮に入れた上でセクタ勢力範囲内に補正することができる。この結果、移動端末の位置精度を高めることが可能になる。
【0009】
また、補正手段は、セクタを管理する基地局を中心とするとともに端末位置情報が示す位置を通る円がセクタ勢力範囲の境界線と交わる交点の位置に、当該端末位置情報を補正するのも好ましい。これにより、セクタを管理する基地局を中心とするとともに端末位置情報が示す位置を通る円がセクタ勢力範囲の境界線と交わる交点の位置に、当該端末位置情報が補正される。このため、本来はセクタ勢力範囲内に存在するはずの移動端末の端末位置情報に関して、基地局の位置と端末位置情報が示す位置との両方の位置を考慮に入れた上でセクタ勢力範囲上の位置に補正することができる。この結果、移動端末の位置をより精度よく求めることが可能になる。
【0010】
また、補正手段は、セクタ勢力範囲の中心位置に、端末位置情報を補正するのも好ましい。これにより、セクタ勢力範囲の中心位置に、当該端末位置情報が補正される。このため、本来はセクタ勢力範囲内に存在するはずの移動端末の端末位置情報に関して、セクタ勢力範囲の中心位置に補正することができる。この結果、移動端末の位置精度を高めることが可能になる。
【0011】
本発明に係る位置情報管理方法は、移動端末の端末位置情報を管理する位置情報管理システムにおいて行われる位置情報管理方法であって、移動端末の端末位置情報およびセクタ情報を位置情報管理システムが取得する取得ステップと、取得ステップで取得された端末位置情報およびセクタ情報に基づいて、当該端末位置情報が当該セクタ情報により定められたセクタ勢力範囲内に存在するか否かを位置情報管理システムが判断する判断ステップと、判断ステップで端末位置情報がセクタ勢力範囲内に存在しないと判断されると、当該セクタ勢力範囲内に、当該端末位置情報を位置情報管理システムが補正する補正ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る位置情報管理方法では、まず、移動端末の端末位置情報およびセクタ情報を取得し、当該端末位置情報が当該セクタ情報により定められたセクタ勢力範囲内に存在するか否かを判断する。そして、端末位置情報がセクタ勢力範囲内に存在しないと判断されると、当該セクタ勢力範囲内に、当該端末位置情報を補正する。このように、端末位置情報がセクタ勢力範囲内に存在しないと判断されると、当該端末位置情報が当該セクタ勢力範囲内に補正されるため、本来はセクタ勢力範囲内に存在するはずの移動端末の端末位置情報をより適切に補正することができる。この結果、移動端末の位置をより精度よく求めることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動端末の位置をより精度よく求めることが可能な位置情報管理システムおよび位置情報管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】通信システムの概略構成図である。
【図2】通信システムのメインユニットの機能構成図である。
【図3】通信システムのメインユニットの物理構成図である。
【図4】生成されるセクタ勢力図の第一例、第二例、及び第三例を説明する説明図である。
【図5】端末位置情報の補正方法の第一例の詳細を説明する説明図である。
【図6】端末位置情報の補正方法の第二例の詳細を説明する説明図である。
【図7】セクタ勢力図の記憶形式の詳細を説明する説明図である。
【図8】端末位置情報の記憶形式の詳細を説明する説明図である。
【図9】補正済端末位置情報の記憶形式の詳細を説明する説明図である。
【図10】通信システムが行う位置情報管理処理の流れの詳細を説明するフローチャートである。
【図11】従来の処理と、通信システムが行う処理との違いを説明する説明図である。
【図12】セクタ勢力図の形状の変形例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
(1)通信システムの概略構成
まず、本実施形態の位置情報管理システムとしての通信システムの概略構成について、図1を用いて説明する。図1は、通信システム10の概略構成図である。通信システム10は、携帯電話機といった移動端末としての移動機100の位置測位情報を、後述のセクタ勢力図を用いて補正(修正)することが可能なシステムである。
【0017】
図1に示すように、この通信システム10は、移動機100、BTS200(基地局)、RNC300(無線制御装置)、交換機400、および管理センタ500を含んで構成されている。また、この管理センタ500は、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィユニット503、および可視化ソリューションユニット504から構成されている。
【0018】
交換機400は、BTS200、RNC300を介して、移動機100の端末位置情報を収集する。RNC300は、移動機100との間で特定の通信が行われた際に、移動機100の位置を測位することができる。交換機400は、このように測位された移動機100の端末位置情報を、移動機100が特定の通信を実行する際に受け取ることができる。交換機400は受け取った端末位置情報を記憶しておき、所定のタイミング、または管理センタ500からの要求に応じて収集した端末位置情報を管理センタ500に出力する。
【0019】
管理センタ500は、上述したとおり、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィユニット503、および可視化ソリューションユニット504を含んで構成されており、各ユニットでは、移動機100の端末位置情報を用いた統計処理を行う。
【0020】
社会センサユニット501は、各交換機400から移動機100の端末位置情報等を含んだデータを収集するサーバ装置である。この社会センサユニット501は、交換機400から定期的に出力されたデータを受信したり、または社会センサユニット501において予め定められたタイミングに従って交換機400からデータを取得したりできるように構成されている。
【0021】
ペタマイニングユニット502は、社会センサユニット501から受信したデータを所定のデータ形式に変換するサーバ装置である。例えば、ペタマイニングユニット502は、ユーザ識別子をキーにソーティング処理を行ったり、エリアごとにソーティング処理を行ったりする。
【0022】
モバイルデモグラフィユニット503は、ペタマイニングユニット502において処理されたデータに対する集計処理、すなわち各項目の家運手リング処理を行うサーバ装置である。例えば、モバイルデモグラフィユニット503は、あるエリアに存在するユーザ数をカウントしたり、また在圏分布を集計したりすることができる。
【0023】
可視化ソリューションユニット504は、モバイルデモグラフィユニット503において集計処理されたデータを可視可能に処理するサーバ装置である。例えば、可視化ソリューションユニット504は、集計されたデータを地図上にマッピング処理することができる。なお、このように統計処理された情報は、当然にプライバシーを侵害しないように個人等は特定されないように加工されている。
【0024】
(2)通信システムのメイン構成
次に、通信システム10のメインユニットとしての社会センサユニット501およびペタマイニングユニット502の構成について、図2および図3を用いて説明する。図2は、通信システム10のメインユニット505の機能構成図であり、図3は、通信システム10のメインユニット505の物理構成図である。メインユニット505は、図3に示されるように、主な物理的な構成要素としてCPU101(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM102(Random Access Memory)およびROM103(Read Only Memory)、通信を行うための通信モジュール104、並びにハードディスク等の補助記憶装置105等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。これらの構成要素が動作することにより、メインユニット505の機能が発揮される。
【0025】
また、メインユニット505は、図2に示されるように、主な機能的な構成要素として、セクタ情報記憶部1(記憶手段)、セクタ勢力図生成部2(記憶手段)、セクタ勢力図記憶部3(記憶手段)、端末位置情報取得部4(記憶手段)、端末位置情報記憶部5(記憶手段)、セクタ/端末位置情報結合部6(判断手段)、補正済端末位置情報生成部7(補正手段)、および補正済端末位置情報記憶部8(補正手段)を含んで構成されている。
【0026】
セクタ情報記憶部1は、各BTS200に関するパラメータ情報を取得して記憶する部分である。セクタ情報記憶部1によって記憶されるパラメータ情報は、例えば、BTS200の中心位置の緯度および経度や、基地局名や、セクタ識別子や、セクタ勢力図の中心位置の緯度および経度や、電波の水平送信角度および垂直送信角度(チルト角)や、電波の送信電力や、アンテナ種別や、アンテナ特性や、最小電波伝送遅延(*ms)、最大電波伝送遅延(*ms)等である。セクタ情報記憶部1によって記憶されるパラメータ情報は、キャリアネットワークの管理者によって登録および更新が行なわれる。
【0027】
セクタ勢力図生成部2は、セクタ情報記憶部1からパラメータ情報を受信して、このパラメータ情報に基づいてセクタ勢力図情報を生成する部分である。セクタ勢力図情報とは、各BTS200が管理するセクタ勢力範囲の配置図と、当該セクタに対応するパラメータ情報の組を指す。セクタ勢力図情報の生成には、BTS200の緯度経度、後述のセクタ識別子、セクタ勢力図の水平角および垂直角、送信電力、アンテナの設置高度、およびセクタ毎のアンテナ種別およびアンテナ特性のそれぞれに関する情報が用いられる。なお、セクタ勢力図生成部2は、電波測定調査結果に基づいて、より正確なセクタ勢力図を作成することもできる。セクタ勢力図生成部2によって生成されるセクタ勢力図の詳細については、後述する。
【0028】
セクタ勢力図記憶部3は、セクタ勢力図生成部2で生成されたセクタ勢力図を受信して記憶する部分である。セクタ勢力図記憶部3によるセクタ勢力図情報の記憶形式の詳細については、後述する。
【0029】
端末位置情報取得部4は、移動機100の端末位置情報と、この移動機100が所属するセクタを一意に識別して特定するセクタ識別子とをセットで、移動機100から送信された情報から取得する部分である。
【0030】
端末位置情報記憶部5は、端末位置情報取得部4で取得された端末位置情報とセクタ識別子とを記憶する部分である。端末位置情報記憶部5による端末位置情報とセクタ識別子との記憶形式の詳細については、後述する。
【0031】
セクタ/端末位置情報結合部6は、セクタ勢力図記憶部3で記憶されているセクタ勢力図情報と、端末位置情報記憶部5で記憶されている端末位置情報とを、互いに対応する情報同士で結合する結合処理を行う部分である。また、セクタ/端末位置情報結合部6は、端末位置情報記憶部5により記憶された端末位置情報および所属するセクタのセクタ識別子と、セクタ勢力図記憶部3により記憶されたセクタ勢力図情報に基づいて、この端末位置情報がこのセクタ情報により定められたセクタ勢力図内に存在するか否かを判断する。
【0032】
補正済端末位置情報生成部7は、セクタ/端末位置情報結合部6により端末位置情報がセクタ勢力範囲内に存在しないと判断されると、端末位置情報取得部4で取得された端末位置情報を、所定のアルゴリズムに従って、このセクタ勢力範囲内に補正して補正済端末位置情報を生成する部分である。この所定のアルゴリズムの詳細については、後述する。
【0033】
補正済端末位置情報記憶部8は、補正済端末位置情報生成部7で生成された補正済端末位置情報を記憶する部分である。補正済端末位置情報記憶部8による補正済端末位置情報の記憶形式の詳細については、後述する。
【0034】
(3)セクタ勢力図の第一例、第二例、及び第三例
次に、セクタ勢力図生成部2によって生成されるセクタ勢力図の第一例、第二例、及び第三例の詳細について、図4を用いて説明する。図4は、セクタ勢力図生成部2によって生成されるセクタ勢力図の第一例、第二例、及び第三例を説明する説明図である。即ち、図4(a)に示されている範囲が、セクタ勢力図が示す勢力範囲の第一例であり、図4(b)に示されている範囲が、セクタ勢力図が示す勢力範囲の第二例であり、図4(c)に示されている範囲が、セクタ勢力図が示す勢力範囲の第三例である。なお、図5に示されるように、セクタ勢力図記憶部3で記憶されているセクタ勢力図が示すセクタ勢力図S1は、BTS200を扇頂とする扇形の形状とし、この半径をr1とする。セクタ勢力図S1の中心位置Cは、BTS200の緯度経度、および上記のr1等を用いて算出される。
【0035】
ここで、セクタ/端末位置情報結合部6が、図6に示されるように、端末位置情報記憶部5で記憶されている端末位置情報が示す点Meがセクタ勢力図S1内に存在するか否かを判断する処理を行い、この結果、端末位置情報が示す点Meはセクタ勢力図S1外であると判断する。そして、補正済端末位置情報生成部7が、BTS200を中心とするとともに端末位置情報が示す点Meを通る円Cbがセクタ勢力図S1の境界線と交わる交点Mcの位置か、またはセクタ勢力図S1の中心位置Cのいずれかに、当該端末位置情報を補正して、補正済端末位置情報を生成する。なお、端末位置情報が示す点Meの補正結果である交点Mcは、セクタ勢力図S1の境界と端末位置情報が示す点Meとの間の距離が最短距離となる位置である。
【0036】
(4)端末位置情報の補正方法の第三例
次に、補正済端末位置情報生成部7による端末位置情報の補正方法の第三例の詳細について、図6を用いて説明する。なお、セクタ勢力図記憶部3で記憶されているセクタ勢力図が示すセクタ勢力図S1は、BTS200を扇頂とする扇形の形状とし、この半径をr1とする。
【0037】
ここで、セクタ/端末位置情報結合部6が、端末位置情報記憶部5で記憶されている端末位置情報が示す点Meがセクタ勢力図S1内に含まれているか否かを判断する処理を行い、この結果、端末位置情報が示す点Meはセクタ勢力図S1外であると判断する。そして、補正済端末位置情報生成部7が、中心位置Cに当該端末位置情報を補正して、補正済端末位置情報を生成する。
【0038】
(5)セクタ勢力図の記憶形式の一例
次に、セクタ勢力図記憶部3によるセクタ勢力図の記憶形式の詳細について、図7を用いて説明する。図7は、セクタ勢力図記憶部3によるセクタ勢力図の記憶形式の詳細を説明する説明図である。セクタ勢力図記憶部3は、上記の所属セクタ識別子としてのセクタ識別子、更新日、基地局緯度、基地局経度、セクタ中心緯度、セクタ中心経度、セクタ勢力図を対応付けて、セクタ勢力図情報として記憶している。
【0039】
(6)端末位置情報の記憶形式の一例
次に、端末位置情報記憶部5による端末位置情報の記憶形式の詳細について、図8を用いて説明する。図8は、端末位置情報記憶部5による端末位置情報の記憶形式の詳細を説明する説明図である。端末位置情報記憶部5は、移動機100のユーザを一意に識別するユーザ識別子、端末位置情報取得時間、移動機100の緯度を示すユーザ緯度、移動機100の経度を示すユーザ経度、上記の所属するセクタのセクタ識別子、測位方式を対応付けて、端末位置情報として記憶している。
【0040】
(7)補正済端末位置情報の記憶形式の一例
次に、補正済端末位置情報記憶部8による補正済端末位置情報の記憶形式の詳細について、図9を用いて説明する。図9は、補正済端末位置情報記憶部8による補正済端末位置情報の記憶形式の詳細を説明する説明図である。補正済端末位置情報記憶部8は、移動機100のユーザを一意に識別するユーザ識別子、端末位置情報取得時間、補正済みのユーザ緯度、補正済みのユーザ経度、上記の所属するセクタのセクタ識別子、測位方式を対応付けて、補正済端末位置情報として記憶している。
【0041】
(8)通信システムが行う位置情報管理処理の流れの一例
次に、通信システム10が行う位置情報管理処理の流れ(位置情報管理方法)の詳細について、図10を用いて説明する。図10は、通信システム10が行う位置情報管理処理の流れの詳細を説明するフローチャートである。
【0042】
まず、セクタ勢力図生成部2がセクタ勢力図を生成して取得するとともに、端末位置情報取得部4が端末位置情報を取得する(ステップS01、取得ステップ)。
【0043】
次に、セクタ/端末位置情報結合部6が、セクタ勢力図S1内に、端末位置情報が示す点Mdが含まれるか否かを判断する(ステップS02、判断ステップ)。セクタ勢力図S1内に、端末位置情報が示す点Mdが含まれると判断された場合は、補正処理が不要であるため、一連の処理が終了する。一方、セクタ勢力図S1内に、端末位置情報が示す点Mdが含まれないと判断された場合は、後述のステップS03に移行する。
【0044】
ステップS03では、補正済端末位置情報生成部7が、端末位置情報取得部4で取得された端末位置情報を、上記のアルゴリズムに従って、このセクタ勢力図上に補正して補正済端末位置情報を生成する(補正ステップ)。これにより、測位された端末位置から最も近いセクタ勢力範囲上の位置に、端末位置情報が補正される。
【0045】
次に、補正済端末位置情報記憶部8が、補正済端末位置情報生成部7で生成された補正済端末位置情報を記憶することにより格納する(ステップS04、補正ステップ)。そして、一連の処理が終了する。
【0046】
(9)本発明による作用および効果
本実施形態に係る位置情報管理システムとしての通信システム10は、まず、移動機100の端末位置情報および所属するセクタのセクタ識別子を取得し、当該端末位置情報が当該セクタ識別子により定められたセクタ勢力範囲内に存在するか否かを判断する。そして、端末位置情報がセクタ勢力図外を示していると判断されると、当該セクタ勢力図上に、当該端末位置情報を補正する。このように、端末位置情報がセクタ勢力図に存在しないと判断されると、当該端末位置情報が当該セクタ勢力図上の位置に補正されるため、本来はセクタ勢力図上の位置に存在するはずの移動機100の端末位置情報をより適切に補正することができる。
【0047】
この結果、移動機100の測位をより精度よく行うことが可能になるため、可視化ソリューションユニット504における分析結果の精度を向上させることができるとともに、移動機100を利用しているユーザに関する人口分布をより精度よく推測することができる。
【0048】
なお、従来、図11(a)に示すように、移動機C0が、端末位置情報とユーザ識別子とを各種測位方式毎の端末位置情報記憶ノードC1に送信して通知し、このノードC1が、従来の端末位置情報取得ノードC2に所属セクタ識別子を送信せず(例えば、片方向や双方向の遅延情報を利用した測位技術やGPSを利用した測位技術といった複数の測位技術による結果としての)端末位置情報のみを送信して通知する処理が行われていた。これに対し、通信システム10では、図11(b)に示すように、移動機100が、端末位置情報とユーザ識別子に加えて所属セクタ識別子を各種測位方式毎の端末位置情報記憶ノードM1(例えば社会センサユニット501)に送信して通知し、このノードM1が、所属セクタ識別子および端末位置情報を端末位置情報取得部4に送信して通知する処理が行われている。そして、この所属セクタ識別子および端末位置情報に基づいて、端末位置情報の補正が可能になっている。
【0049】
また、図5に示すように、セクタ勢力図S1を管理するBTS200の位置と端末位置情報が示す点Mdとを結んだ線Lがセクタ勢力図S1の境界線と交わる交点Mcの位置に、当該端末位置情報が補正される。このため、本来はセクタ勢力図S1上に存在するはずの移動機100の端末位置情報に関して、BTS200の位置と端末位置情報が示す点Mdとの両方の位置を考慮に入れた上でセクタ勢力図S1上の位置に補正することができる。この結果、移動機100の位置をより精度よく求めることが可能になる。
【0050】
また、図6に示すように、セクタ勢力図S1を管理するBTS200を中心とするとともに端末位置情報が示す点Meを通る円Cbがセクタ勢力図S1の境界線と交わる交点Mcの位置に、当該端末位置情報が補正される。このため、本来はセクタ勢力図S1上に存在するはずの移動機100の端末位置情報に関して、BTS200の位置と端末位置情報が示す点Meとの両方の位置を考慮に入れた上でセクタ勢力図S1上に補正することができる。この結果、移動機100の位置をより精度よく求めることが可能になる。
【0051】
また、図6に示すように、セクタ勢力図S1の中心位置Cに、当該端末位置情報が補正される。このため、本来はセクタ勢力図S1上に存在するはずの移動機100の端末位置情報に関して、セクタ勢力図S1の中心位置Cに補正することができる。この結果、移動機100の位置をより精度よく求めることが可能になる。
【0052】
(10)変形例
上記の実施例では、図5に示されるように、セクタ勢力図S1は、BTS200の位置を扇頂とする扇形の形状を有している構成であるとして説明したが、セクタ勢力図の形状は特に限定されず、例えば、図12に示されるように、ボロノイ分割法により定められる形状を有している態様としてもよい。図12に示されるセクタ勢力図においては、BTS200’に対して、既存のボロノイ図の作図法によってセクタ勢力図S1’が規定されており、このセクタ勢力図S1’に関して重心位置C’が規定されている。
【0053】
また、上記の実施例では、携帯電話機といった移動端末としての移動機100の位置測位情報の補正処理について説明したが、位置測位情報の補正処理を行う対象は携帯電話機に限定されず、例えば移動通信網に接続可能なGPS端末等であってもよい。ここで、位置測位情報の補正処理を行う対象をGPS端末とした場合、屋内基地局(IMCS)を利用して端末位置情報の補正を行うことにより、GPS衛星が適切に利用できない場合に、どの建物内に位置するのか、またはどの地下街や地下駐車場に位置するのか等を特定することができる。
【0054】
更に、カーナビゲーションシステムと移動機100とを連携させてもよい。このように連携させることにより、地下駐車場に位置する場合であっても、地下駐車場の中から(即ち地下駐車場に入っても)カーナビゲーションシステムを継続して適切に利用することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、移動端末の測位をより精度よく行うことが可能な位置情報管理システムおよび位置情報管理方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…セクタ情報記憶部、2…セクタ勢力図生成部、3…セクタ勢力図記憶部、4…端末位置情報取得部、5…端末位置情報記憶部、6…セクタ/端末位置情報結合部、7…補正済端末位置情報生成部、8…補正済端末位置情報記憶部、10…通信システム、100…移動機、101…CPU、102…RAM、103…ROM、104…通信モジュール、105…補助記憶装置、400…交換機、500…管理センタ、501…社会センサユニット、502…ペタマイニングユニット、503…モバイルデモグラフィユニット、504…可視化ソリューションユニット、505…メインユニット、C…位置、C0…移動機、C1,M1…端末位置情報記憶ノード、C2…端末位置情報取得ノード、Cb…円、L…線、Mc…交点、Md,Me,P1,P2…点、r1…半径、S1…セクタ勢力図。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末の端末位置情報およびセクタ情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記端末位置情報および前記セクタ情報に基づいて、当該端末位置情報が当該セクタ情報により定められたセクタ勢力図外を示しているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記端末位置情報が前記セクタ勢力図外を示していると判断されると、当該セクタ勢力図上の位置に、当該端末位置情報を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする位置情報管理システム。
【請求項2】
前記補正手段は、前記セクタ勢力図を管理する基地局の位置と前記端末位置情報が示す位置とを結んだ線が前記セクタ勢力図の境界線と交わる交点の位置に、当該端末位置情報を補正することを特徴とする請求項1に記載の位置情報管理システム。
【請求項3】
前記補正手段は、前記セクタ勢力図を管理する基地局を中心とするとともに前記端末位置情報が示す位置を通る円が前記セクタ勢力図の境界線と交わる交点の位置に、当該端末位置情報を補正することを特徴とする請求項1に記載の位置情報管理システム。
【請求項4】
前記補正手段は、前記セクタ勢力図の中心位置に、前記端末位置情報を補正することを特徴とする請求項1に記載の位置情報管理システム。
【請求項5】
移動端末の端末位置情報を管理する位置情報管理システムにおいて行われる位置情報管理方法であって、
前記移動端末の端末位置情報およびセクタ情報を前記位置情報管理システムが取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された前記端末位置情報および前記セクタ情報に基づいて、当該端末位置情報が当該セクタ情報により定められたセクタ勢力図外を示しているか否かを前記位置情報管理システムが判断する判断ステップと、
前記判断ステップで前記端末位置情報が前記セクタ勢力図外を示していると判断されると、当該セクタ勢力図上の位置に、当該端末位置情報を前記位置情報管理システムが補正する補正ステップと、
を有することを特徴とする位置情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−58844(P2011−58844A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206102(P2009−206102)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】