説明

位置情報通信端末装置

【課題】消費電力を低減することができる位置情報通信端末装置を提供する。
【解決手段】無線局21との間で無線信号を用いて通信を行うと共に、当該無線局21を介して通信可能にされた管理局23との間で通信を行う無線回路部3と、自機の移動速度を検出する移動速度検出部605と、自機の現在位置を示す位置情報を取得するためのGPS受信装置5と、移動速度検出部605により検出された移動速度が予め設定された閾値を超える場合、GPS受信装置5に位置情報を取得させる測位制御部602と、測位制御部602により取得された位置情報を無線回路部3によって無線局21を介して管理局23へ送信させる送信制御部603とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信により自機の位置情報を通報する位置情報通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが誘拐されたり迷子になったりする場合等に備えて、ユーザにGPS(Global Positioning System)受信装置を備えた位置情報通信端末装置を携帯させておき、GPS受信装置により取得された現在位置を示す位置情報を無線通信により遠隔の通報先に対して送信するようにした位置情報通信端末装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−13695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のような位置情報通信端末装置は、ユーザが携帯するため動作用電源として電池が使用され、かつ軽量化の必要性から大容量の電池を使用することが困難である。その一方、GPS受信装置は消費電力が大きいため、小容量の電池で駆動させると位置情報通信端末装置の動作時間が短くなってしまうという不都合があった。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みて為された発明であり、消費電力を低減することができる位置情報通信端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明に係る位置情報通信端末装置は、無線局との間で無線信号を用いて通信を行うと共に、当該無線局を介して通信可能にされた管理局との間で通信を行う無線通信部と、自機の移動速度を検出する移動速度検出部と、自機の現在位置を示す位置情報を取得するための測位部と、前記移動速度検出部により検出された移動速度が予め設定された閾値を超える場合、前記測位部に前記位置情報を取得させる測位制御部と、前記測位制御部により取得された位置情報を前記無線通信部によって前記無線局を介して前記管理局へ送信させる送信制御部とを備えることを特徴としている。
【0006】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記測位制御部は、前記移動速度検出部により検出された移動速度が前記閾値に満たない場合、前記測位部の動作を停止させることを特徴としている。
【0007】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記測位制御部は、前記移動速度検出部により検出された移動速度が、予め設定された移動判定時間継続して前記閾値を超える場合、前記測位部に前記位置情報を取得させることを特徴としている。
【0008】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記測位制御部は、前記移動速度検出部により検出された移動速度が前記閾値を超える場合、前記測位部に、予め設定された時間間隔で間欠的に複数回前記位置情報を取得させる間欠動作を行わせることを特徴としている。
【0009】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記測位制御部は、前記間欠動作において、前記測位部に、予め設定された設定回数前記位置情報を取得させた後、前記位置情報の取得動作を停止させることを特徴としている。
【0010】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記無線局は、前記無線信号による位置情報の要求を受信した場合、当該無線局の位置情報を返信するものであり、前記測位制御部は、前記測位部に前記位置情報を取得させる際に前記測位部に前記位置情報の取得の試みを開始させた後、予め設定された試行監視時間内に前記位置情報が取得されない場合、前記無線通信部により前記無線局へ当該無線局の位置情報を要求させることにより当該無線局から前記無線通信部に返信された位置情報を自機の位置情報として取得することを特徴としている。
【0011】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記測位制御部は、前記測位部に前記位置情報の取得を試行させるのと並行して、前記無線通信部により前記無線局への位置情報の要求を行わせることを特徴としている。
【0012】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記無線局は、前記無線信号による位置情報の要求を受信した場合、当該無線局の位置情報を返信するものであり、前記測位制御部は、前記測位部に前記位置情報を取得させるのと並行して前記無線通信部により前記無線局へ当該無線局の位置情報を要求させ、当該無線局から返信された位置情報を前記無線通信部により取得させ、前記測位部及び前記無線通信部のうちいずれかによって、先に取得された位置情報を自機の位置情報として取得することを特徴としている。
【0013】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記測位制御部は、前記測位部によって前記無線通信部よりも先に位置情報が取得された場合、前記無線通信部による位置情報を取得するための通信を停止させることを特徴としている。
【0014】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記移動速度検出部は、前記無線通信部により受信された前記無線信号のフェージングピッチから、前記移動速度を取得することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
このような構成の位置情報通信端末装置は、移動速度検出部によって、自機の移動速度が検出される。そして、移動速度検出部により検出された移動速度が予め設定された閾値を超える場合、測位制御部は、測位部により位置情報を取得させる。そして、送信制御部によって、測位制御部により取得された位置情報が無線通信部によって無線局を介して管理局へ送信される。この場合、測位制御部によって、常時自機の現在位置を検出させる必要が無く、自機の移動速度が予め設定された閾値を超える場合に測位制御部により自機の位置情報が取得されるので、消費電力を低減することができる位置情報通信端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る位置情報通信端末装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す位置情報通信端末装置1は、ユーザが携帯することにより、例えば自機の移動速度が予め設定された閾値を超える高速になった場合、例えば誘拐等の緊急事態の発生を示す緊急通報信号を送信すると共に、自機の位置情報すなわち自機を携帯しているユーザの位置情報を送信する緊急通報装置として用いられる位置情報通信端末装置である。なお、位置情報通信端末装置1は、緊急事態と考えられる高速移動時に緊急通報信号を送信するものに限られず、緊急性の有無に関わらず自機の位置情報を送信するものであってもよい。
【0017】
図2は、位置情報通信端末装置1を用いた位置情報送信システム11の一例を示すブロック図である。図2に示す位置情報通信端末装置1は、例えばPDC(Personal Digital Cellular)方式の無線通信端末であり、PDC基地局である無線局21との間で無線通信を行うようにされている。また、無線局21は、例えば電話回線やインターネット等のネットワーク22を介して緊急通報先となる管理局23と接続されている。管理局23は、例えば警備会社の管理センターや警察、ユーザの自宅等である。これにより、無線局21は、無線局21とネットワーク22とを介して管理局23と通信可能にされている。
【0018】
また、無線局21は、位置情報通信端末装置1から位置情報の要求を受信した場合、当該位置情報通信端末装置1へ、無線局21の位置情報を送信するようになっている。
【0019】
図1に示す位置情報通信端末装置1は、例えばアンテナ2、無線回路部3(無線通信部)、受信レベル測定部4、GPS受信装置5、GPS受信アンテナ51、制御部6、記憶部7、及びこれら位置情報通信端末装置1内の各部に動作用電力を供給する電池8を備えて構成されている。また、電池8から受信レベル測定部4へは、スイッチSW1を介して動作用電力が供給され、電池8からGPS受信装置5へは、スイッチSW2を介して動作用電力が供給されるようになっている。スイッチSW1,SW2は、例えばトランジスタやリレースイッチ等のスイッチング素子を用いることができる。
【0020】
アンテナ2は、無線局21から送信された無線信号を受信する。無線回路部3は、アンテナ2で受信されたPDC方式の無線信号を復調して制御部6へ出力したり、制御部6から出力された信号を変調してアンテナ2から無線信号として送信させたりする。また、アンテナ2で受信された無線信号は、無線回路部3から受信レベル測定部4へ出力される。なお、無線回路部3は、PDC方式に限らず、他の無線通信方式を用いるものであってもよい。
【0021】
受信レベル測定部4は、アンテナ2で受信された無線信号の信号レベルを測定し、その信号レベルを示す信号を制御部6へ出力する。
【0022】
GPS受信装置5は、いわゆるGPSの受信装置である。GPSは、人工衛星を利用して受信装置(GPS受信装置と称する)の地球上の位置を割り出すシステムであり、米国防総省が管理するGPS衛星からの電波を利用し、緯度、経度、高度などを高精度で割り出すことを可能にしている。GPS衛星は、GPS受信装置が自身とGPS衛星との距離を測定するために用いる信号、並びにGPS衛星に関する衛星情報および時刻情報等を表現する信号を搬送波に載せて送出する。これらの信号をGPS信号と呼ぶ。また、上記の通り複数のGPS衛星が衛星軌道上を周回しており、GPS受信装置が捕捉可能なGPS衛星は、GPS受信装置の位置や時刻によって刻々変化する。
【0023】
GPS受信装置5は、4個のGPS衛星から送出されるGPS信号を、GPS受信アンテナ51によって受信し、GPS衛星に関する衛星情報及び送出時の時刻情報を取得する。GPS受信装置5はさらに、時刻情報にもとづいて自身とGPS衛星との間の距離を測定する。GPS受信装置5は、4個のGPS衛星を捕捉することにより、衛星情報にもとづく複数の衛星の位置と、自身と複数のGPS衛星との間の距離とから、幾何学的方法によりGPS受信装置自身の位置情報(緯度、経度、高度等)を測位演算し、当該位置情報を制御部6へ出力する。
【0024】
記憶部7は、例えば書換可能な不揮発性メモリであるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)を用いて構成されており、自機の高速移動が検出されて緊急事態が発生したと考えられる場合にその旨無線通信により通知するべき管理局23の情報、例えば通信アドレスや電話番号等を予め記憶する。
【0025】
制御部6は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、これらの周辺回路等とを備えて構成され、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、指示受付部601、測位制御部602、送信制御部603、フェージングピッチ検出部604、移動速度検出部605、監視時間タイマ606、及び時間間隔タイマ607として機能する。
【0026】
指示受付部601は、管理局23からネットワーク22を介して無線局21によって無線信号として送信された指示命令を受け付けるもので、例えば位置情報通信端末装置1の動作モードを設定するモード設定指示や、GPS受信装置5に間欠的に位置情報を取得させる場合の時間間隔T2及び設定回数CTの設定指示、移動速度検出部605に位置情報通信端末装置1の移動速度の検出を開始させる指示、GPS受信装置5に間欠動作を行わせるか否かの設定指示、及び動作を停止している移動速度検出部605の動作を開始させる指示等、種々の指示命令を受け付ける。
【0027】
測位制御部602は、移動速度検出部605により検出された移動速度が予め設定された閾値Vth1を超える「高速移動状態」であった場合のみ、スイッチSW2をオンさせて電池8からGPS受信装置5へ動作用電力を供給し、GPS受信装置5により得られた自機の位置情報を取得する。また、測位制御部602は、移動速度検出部605により検出された移動速度が予め設定された閾値Vth2に満たない「低速状態」であった場合、スイッチSW1,2をオフさせて電池8から受信レベル測定部4及びGPS受信装置5への動作用電力の供給を遮断し、移動速度検出部605の動作を停止させて消費電力を低減させる。
【0028】
送信制御部603は、移動速度検出部605により検出された移動速度が予め設定された閾値Vth1を超える「高速移動状態」であった場合のみ、測位制御部602により取得された位置情報と、緊急事態の発生を示す緊急通報信号とを、無線回路部3によって無線信号として無線局21へ送信させ、無線局21によりネットワーク22を介して管理局23へ送信させる。
【0029】
この場合、閾値Vth1は、予め想定されるユーザの移動速度を超える速度に設定されており、例えば子供が誘拐目的等で車や電車などの交通機関によって連行されたおそれがある速度、例えば時速40kmが予め設定されている。また、閾値Vth2は、人が歩行する速度が時速4〜6km程度であることを考慮して、例えば時速10kmが予め設定されている。なお、閾値Vth1と閾値Vth2とを同一の速度に設定してもよい。また、人が歩行する速度は、一般的には時速10km以下であると考えられるので、閾値Vth1として時速10kmを超える値、例えば時速15kmに設定し、歩行以外の方法で移動している場合に緊急事態が発生したと判定するようにしてもよい。また、緊急通報を行わず、ユーザの現在位置を監視する用途に位置情報通信端末装置1を用いる場合、閾値Vth1は、自機が移動しているか否かを判定するための速度、例えば時速1kmといった値としてもよい。
【0030】
なお、測位制御部602及び送信制御部603は、移動速度検出部605により検出された移動速度が、予め設定された移動判定時間継続して閾値Vth1を超える場合に自機が「高速移動状態」になったと判定し、GPS受信装置5に自機の位置情報を取得させたり、測位制御部602により取得された位置情報と、緊急事態の発生を示す緊急通報信号とを、無線回路部3によって管理局23へ送信させたりしてもよい。これにより、例えばノイズの影響で誤って「高速移動状態」になったと判定することを低減することができる。
【0031】
フェージングピッチ検出部604は、受信レベル測定部4により測定された信号レベルからフェージングピッチを検出する。具体的には、例えば、フェージングピッチ検出部604は、フェージングによる信号レベルの変動周波数、例えば1Hz〜100Hz程度の周波数を通過させる帯域フィルタを用いて受信レベル測定部4により測定された信号レベルの変化からフェージングに起因する周波数成分をフェージング周波数fとして取り出して、このフェージング周波数f、すなわちフェージングピッチの逆数を測定することにより、フェージングピッチLを検出する。
【0032】
移動速度検出部605は、フェージングピッチ検出部604により検出されたフェージング周波数f(フェージングピッチLの逆数)から位置情報通信端末装置1の移動速度を取得し、制御部6へ出力する。具体的には、例えば予めROMにフェージング周波数fと移動速度との関係を対応付けたLUT(Look Up Table)を記憶しておき、移動速度検出部605は、そのLUTを参照することにより、フェージングピッチ検出部604により検出されたフェージング周波数fから、位置情報通信端末装置1の移動速度を取得する。
【0033】
監視時間タイマ606及び時間間隔タイマ607は、例えばタイマ回路やソフトウェアタイマ等を用いて構成されている。監視時間タイマ606は、管理局23からGPS測位が成功か失敗かを判定するための時間である試行監視時間T1を計時するためのタイマである。時間間隔タイマ607は、GPS受信装置5に間欠動作を行わせるための時間間隔T2を計時するためのタイマである。
【0034】
次に、上述のように構成された位置情報通信端末装置1の動作について説明する。図3は、位置情報送信システム11の動作の概要を説明するための説明図である。図4は、位置情報通信端末装置1の動作の概要を説明するための状態遷移図である。図4に示すように、位置情報通信端末装置1には、大きく分けて「待機中」状態と「監視中」状態と、「定期測位中」状態との三つの動作状態がある。
【0035】
「待機中」状態は、指示受付部601によって、スイッチSW1,SW2がオフされ、電池8からの受信レベル測定部4とGPS受信装置5とへの電力供給が遮断されて消費電力が低減された状態にされている。そして、指示受付部601が、無線局21からの「高速移動検出開始指示」、すなわち移動速度検出部605に自機の移動速度の検出を開始させる指示の待ち受け状態にされている。
【0036】
「監視中」状態は、指示受付部601によって、スイッチSW1がオンされて電池8からの受信レベル測定部4へ電力供給が行われ、フェージングピッチ検出部604及び移動速度検出部605による速度検出が実行されると共に、スイッチSW2がオフされてGPS受信装置5による消費電力が低減された状態にされている。そして、「監視中」状態では、測位制御部602によって、移動速度検出部605により検出された移動速度が閾値Vth1を超えるか否かの監視が行われる。
【0037】
「待機中」状態から「監視中」状態へは、指示受付部601によって「高速移動検出開始指示」が受け付けられることにより移行し、移動速度検出部605による移動速度の検出が開始される。また、「監視中」状態から「待機中」状態へは、指示受付部601によって「待機指示」が受け付けられた場合、及び移動速度検出部605により「低速状態」であることが検出された場合に移行し、すなわち測位制御部602は、移動速度検出部605により検出された移動速度が閾値Vth2に満たない場合、受信レベル測定部4、移動速度検出部605、及びGPS受信装置5の動作を停止させる。これにより、緊急事態ではない場合、及び移動していないために新たな位置情報を送信する必要が無い場合には、受信レベル測定部4、移動速度検出部605、及びGPS受信装置5の動作が停止されて消費電力が低減される。
【0038】
「定期測位中」状態では、測位制御部602によって、スイッチSW1,SW2がオンされ、電池8から受信レベル測定部4とGPS受信装置5とへ電力が供給され、GPS受信装置5によって、予め設定された時間間隔T2で間欠的に複数回位置情報を取得させる間欠動作が実行される。そして、「監視中」状態から「定期測位中」状態へは、移動速度検出部605により検出された移動速度が閾値Vth1を超える場合に移行し、測位制御部602が間欠動作を実行させる。
【0039】
この場合、自機が「高速移動状態」となって、緊急事態が発生するか、自機の移動によって新たな位置情報を送信する必要が生じた場合には、「定期測位中」状態へ移行し、GPS受信装置5へ動作用電力が供給されて新たな位置情報が取得され、無線回路部3から管理局23へ新たな位置情報を送信することができるので、自機が「高速移動状態」となって現在位置が変化しても、正しい位置情報を管理局23へ送信することができる。
【0040】
また、「定期測位中」状態から「監視中」状態へは、指示受付部601によって「高速移動検出開始指示」が受け付けられることにより移行する。また、指示受付部601によって「待機指示」が受け付けられた場合、及びGPS受信装置5により予め設定された設定回数CTだけ位置情報が取得され、その複数回分の位置情報が管理局23へ送信された場合に「定期測位中」状態から「待機中」状態へ移行し、位置情報の取得動作が停止される。
【0041】
これにより、管理局23において、位置情報が不要の場合、例えばユーザが車を使用して高速移動することが予め判っている場合等には、管理局23から「待機指示」、すなわち位置情報の取得動作を停止させる旨の指示を送信することにより、スイッチSW1,SW2がオフされ、電池8からの受信レベル測定部4とGPS受信装置5とへの電力供給が遮断されて消費電力を低減することができる。また、GPS受信装置5により予め設定された設定回数CT、位置情報が取得された場合に「定期測位中」状態から「待機中」状態へ移行するので、GPS受信装置5による位置情報の取得動作が設定回数CTを超えて継続されることがなく、消費電力を低減することができる。
【0042】
なお、受信レベル測定部4、移動速度検出部605、及びGPS受信装置5は、動作を停止させただけでも消費電力を低減することができるが、スイッチSW1,SW2をオフして電池8から受信レベル測定部4とGPS受信装置5とへの電力供給を遮断することにより、漏れ電流を低減し、消費電力をさらに低減することができる。
【0043】
図5は、指示受付部601の動作の一例を主に示すフローチャートである。以下のフローチャートにおいて、同一の動作には同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。まず、指示受付部601によって、メッセージ、すなわち管理局23から位置情報通信端末装置1へ送信された指示の受信が開始される。そして、指示受付部601によって、現在の動作状態が「待機中」、「監視中」、「定期測位中」のうちいずれであるかが確認され(ステップS1)、待機中であればステップS2へ移行し、「監視中」又は「定期測位中」であればステップS5へ移行する。
【0044】
次に、現在の動作状態が「待機中」であれば、ステップS2において、指示受付部601によって、アンテナ2及び無線回路部3により受信された管理局23からのメッセージが確認され、当該メッセージが「待機指示」であればメッセージ受信処理を終了し、当該メッセージが「動作モード変更指示」であれば後述する動作モードを「動作モード変更指示」で指定された内容に変更するべく当該動作モードを示す動作パラメータを記憶部7に記憶させて(ステップS3)、メッセージ受信処理を終了し、当該メッセージが「高速移動検出開始指示」であれば「監視中」状態に移行して高速移動検出の監視を開始させて(ステップS4)、メッセージ受信処理を終了する。また、「動作モード変更指示」が受信された場合には、「動作モード変更指示」と共に、管理局23からGPS測位が成功か失敗かを判定するための時間である試行監視時間T1と、GPS受信装置5に間欠動作を行わせるための時間間隔T2と、「定期測位中」状態において位置情報の取得及び通知を実行させる設定回数CTとが管理局23から無線回路部3により受信され、動作パラメータとして指示受付部601によって記憶部7に記憶される。
【0045】
一方、ステップS1において、現在の動作状態が「監視中」又は「定期測位中」であれば、ステップS5において、指示受付部601によって、アンテナ2及び無線回路部3により受信された管理局23からのメッセージが確認され、当該メッセージが「待機指示」であれば移動速度の監視動作を停止(ステップS6)して「待機中」状態へ移行(ステップS7)した後メッセージ受信処理を終了し、当該メッセージが「動作モード変更指示」であれば後述する動作モードを「動作モード変更指示」で指定された内容に変更するべく当該動作モードを示す動作パラメータを記憶部7に記憶させて(ステップS8)、メッセージ受信処理を終了し、当該メッセージが「高速移動検出開始指示」であれば管理局23への位置情報の送信を停止し(ステップS9)、GPS受信装置5による定期測位処理を停止し(ステップS10)、移動速度検出部605による高速移動検出監視処理を開始(ステップS11)、すなわち「監視中」状態へ移行してメッセージ受信処理を終了する。
【0046】
次に、位置情報通信端末装置1における各動作モードについて説明する。GPS受信装置5は、例えばユーザが屋内に居たり、谷間に居たりする等の理由によりGPS受信アンテナ51でGPS衛星から送出されるGPS信号が受信できなかったり、GPS信号の受信状態によって、位置情報の取得に時間がかかったりする場合がある。そこで、位置情報通信端末装置1では、自機の位置情報を取得する際における位置情報の取得状況に応じて、GPS受信装置5によって位置情報が取得できない場合には位置情報を送信することなく緊急通報信号のみ送信するモードA、GPS受信装置5によって位置情報が取得できなかった場合に無線局21に対して無線局21の位置情報を要求するモードB、及びGPS受信装置5による位置情報の取得処理と無線局21に対する位置情報の要求とを並行して行うモードCとを備えている。
【0047】
まず、モードAの動作について説明する。図6は、モードAにおける主に「監視中」の高速移動検出監視処理の一例を示すフローチャートである。図7は、モードAにおける「定期測位中」の動作の一例を示すフローチャートである。図8は、モードAにおける通信シーケンスの一例を示す説明図である。
【0048】
まず、指示受付部601によって、図5に示すステップS4、S11において、記憶部7にモードAを示す動作パラメータが記憶されていることが確認された場合、図6に示す高速移動検出監視処理が実行される。
【0049】
まず、ステップS101において、無線局21から送信された無線信号がアンテナ2によって受信され、受信レベル測定部4によってアンテナ2で受信された無線信号の信号レベルを示す信号が制御部6へ出力される。そして、フェージングピッチ検出部604によって、受信レベル測定部4により測定された信号レベルからフェージングピッチLが検出され、移動速度検出部605によって、このフェージングピッチLから位置情報通信端末装置1の移動速度Vが取得される。さらに、測位制御部602によって、移動速度Vが閾値Vth1と比較され、移動速度Vが閾値Vth1を超える「高速移動状態」であった場合(ステップS101でYES)、GPS受信装置5による測位動作を行わせるべくステップS102へ移行し、移動速度Vが閾値Vth1以下であればステップS101を再び繰り返し実行する(ステップS101でNO)。
【0050】
次に、ステップS102において、測位制御部602によって、スイッチSW2がオンされて電池8からGPS受信装置5へ動作用電力が供給され、GPS受信装置5により位置情報の取得動作が開始される。そして、測位制御部602によって、記憶部7に記憶されている試行監視時間T1が、監視時間タイマ606に設定され、監視時間タイマ606によって、試行監視時間T1の計時が開始される。
【0051】
次に、監視時間タイマ606がタイムアップする前、すなわち試行監視時間T1が経過する前にGPS受信装置5によって自機の位置情報が取得されると(ステップS103で「測位成功」)、送信制御部603によって、その位置情報と緊急通報信号とが、無線回路部3によって無線信号として無線局21へ送信され、無線局21によりネットワーク22を介して管理局23へ送信され(ステップS104)、ステップS106へ移行する。
【0052】
一方、GPS受信装置5によって自機の位置情報が取得される前に監視時間タイマ606がタイムアップ、すなわち試行監視時間T1が経過すると(ステップS103で「監視時間タイムアウト」)、送信制御部603によって、緊急通報信号のみが無線回路部3によって無線信号として無線局21へ送信され、無線局21によりネットワーク22を介して管理局23へ送信され(ステップS105)、ステップS106へ移行する。そして、ステップS106において、図7に示す定期測位処理が開始され、高速移動検出監視処理が終了する。
【0053】
つぎに、図7に示すモードAの定期測位処理について説明する。まず、ステップS110において、測位制御部602によって、GPS受信装置5による位置情報の取得動作が開始される。そして、測位制御部602によって、記憶部7に記憶されている試行監視時間T1、時間間隔T2が、監視時間タイマ606、時間間隔タイマ607にそれぞれ設定され、監視時間タイマ606、時間間隔タイマ607によって、試行監視時間T1、時間間隔T2の計時がそれぞれ開始され、緊急通報信号の送信回数を計数するための変数である通知回数iが初期化される(ステップS110)。
【0054】
次に、監視時間タイマ606がタイムアップする前、すなわち試行監視時間T1が経過する前にGPS受信装置5によって自機の位置情報が取得されると(ステップS111で「測位成功」)、送信制御部603によって、その位置情報と緊急通報信号とが、無線回路部3によって無線信号として無線局21へ送信され、無線局21によりネットワーク22を介して管理局23へ送信され(ステップS104)、ステップS112へ移行する。
【0055】
一方、GPS受信装置5によって自機の位置情報が取得される前に監視時間タイマ606がタイムアップ、すなわち試行監視時間T1が経過すると(ステップS111で「監視時間タイムアウト」)、送信制御部603によって、緊急通報信号のみが無線回路部3によって無線信号として無線局21へ送信され、無線局21によりネットワーク22を介して管理局23へ送信され(ステップS105)、ステップS112へ移行する。
【0056】
次に、ステップS112において通知回数iに「1」加算され、通知回数iと記憶部7に記憶されている設定回数CTとが比較される(ステップS113)。そして、通知回数iが設定回数CTを超えていれば(ステップS113でYES)、定期測位を終了する。
【0057】
また、通知回数iが設定回数CT以下の場合、時間間隔タイマ607がタイムアップする前、すなわち時間間隔T2が経過する前に管理局23から指示受付部601によって「待機指示」が受け付けられると、定期測位を終了する。
【0058】
そして、ステップS111及びステップS114のいずれかにおいて、移動速度検出部605により検出された移動速度が予め設定された閾値Vth2に満たない「低速状態」であった場合、送信制御部603によって位置情報通信端末装置1が高速移動状態から低速移動状態へ移行した旨の通知がされると共に高速移動検出監視処理へ移行し(ステップS115)、定期測位を終了する。
【0059】
次に、モードBの動作について説明する。図9は、モードBにおける主に「監視中」の高速移動検出監視処理の一例を示すフローチャートである。図10は、モードBにおける「定期測位中」の動作の一例を示すフローチャートである。図11は、モードBにおける通信シーケンスの一例を示す説明図である。
【0060】
まず、指示受付部601によって、図5に示すステップS4、S11において、記憶部7にモードBを示す動作パラメータが記憶されていることが確認された場合、図9に示す高速移動検出監視処理が実行される。
【0061】
まず、図6に示す高速移動検出監視処理と同様に、ステップS101,S102の処理が実行される。
【0062】
次に、監視時間タイマ606がタイムアップする前、すなわち試行監視時間T1が経過する前にGPS受信装置5によって自機の位置情報が取得されると(ステップS121で「測位成功」)、送信制御部603によって、その位置情報と緊急通報信号とが、無線回路部3によって無線信号として無線局21へ送信され、無線局21によりネットワーク22を介して管理局23へ送信され(ステップS104)、ステップS106へ移行する。
【0063】
一方、GPS受信装置5によって自機の位置情報が取得される前に監視時間タイマ606がタイムアップ、すなわち試行監視時間T1が経過すると(ステップS121で「監視時間タイムアウト」)、測位制御部602によって、無線回路部3からアンテナ2を介して無線局21へ、無線局21の位置情報を要求する位置情報要求信号が送信される。そうすると、無線局21から無線局21の位置情報が返信されてアンテナ2、無線回路部3で受信され、その位置情報が自機の位置情報として測位制御部602により取得され(ステップS122)、ステップS104へ移行する。
【0064】
位置情報通信端末装置1は、無線局21との間で無線通信可能な距離、例えば、無線局21から2km〜5km程度の範囲内にあるので、無線局21の位置情報を自機の位置情報として用いることで、誤差範囲が2km〜5km程度の精度で、自機の位置情報を取得することができる。この場合、例えば位置情報通信端末装置1が地下や屋内にあったり、ビルの谷間や渓谷にあったりする等の理由により、GPS受信装置5により自機の位置情報を取得することができない場合であっても、無線局21の位置情報を自機の位置情報として用いることで、おおよその自機の位置情報を取得し、管理局23へ通知することができる。
【0065】
図9に示すステップS104以降の動作は、図6に示すステップS104以降の動作と同様であるのでその説明を省略する。
【0066】
次に、図10に示すモードBの定期測位処理について説明する。まず、ステップS110において、測位制御部602によって、GPS受信装置5による位置情報の取得動作が開始される。そして、測位制御部602によって、記憶部7に記憶されている試行監視時間T1、時間間隔T2が、監視時間タイマ606、時間間隔タイマ607にそれぞれ設定され、監視時間タイマ606、時間間隔タイマ607によって、試行監視時間T1、時間間隔T2の計時がそれぞれ開始され、緊急通報信号の送信回数を計数するための変数である通知回数iが初期化される(ステップS110)。
【0067】
次に、監視時間タイマ606がタイムアップする前、すなわち試行監視時間T1が経過する前にGPS受信装置5によって自機の位置情報が取得されると(ステップS123で「測位成功」)、送信制御部603によって、その位置情報と緊急通報信号とが、無線回路部3によって無線信号として無線局21へ送信され、無線局21によりネットワーク22を介して管理局23へ送信され(ステップS104)、ステップS112へ移行する。
【0068】
一方、GPS受信装置5によって自機の位置情報が取得される前に監視時間タイマ606がタイムアップ、すなわち試行監視時間T1が経過すると(ステップS123で「監視時間タイムアウト」)、測位制御部602によって、無線回路部3からアンテナ2を介して無線局21へ、無線局21の位置情報を要求する位置情報要求信号が送信される。そうすると、無線局21から無線局21の位置情報が返信されてアンテナ2、無線回路部3で受信され、その位置情報が自機の位置情報として測位制御部602により取得され(ステップS122)、ステップS104へ移行する。
【0069】
これにより、GPS受信装置5により自機の位置情報を取得することができない場合であっても、無線局21の位置情報を自機の位置情報として用いることで、おおよその自機の位置情報を取得し、管理局23へ通知することができる。また、後述するモードCのように、GPS受信装置5による位置情報の取得処理と無線局21に対する位置情報の要求とを並行して行うことなく、GPS受信装置5による位置情報の取得ができなかった場合のみ、無線局21から無線通信により無線局21の位置情報を取得するので、GPS受信装置5により位置情報の取得ができる場合には、無線局21から位置情報を取得するための無線通信処理を行う必要が無く、消費電力や通信コストを低減することができる。
【0070】
次に、モードCの動作について説明する。図12は、モードCにおける主に「監視中」の高速移動検出監視処理の一例を示すフローチャートである。図13は、モードCにおける「定期測位中」の動作の一例を示すフローチャートである。図14は、モードCにおける通信シーケンスの一例を示す説明図である。
【0071】
まず、指示受付部601によって、図5に示すステップS4、S11において、記憶部7にモードCを示す動作パラメータが記憶されていることが確認された場合、図12に示す高速移動検出監視処理が実行される。そして、図6に示す高速移動検出監視処理と同様に、ステップS101の処理が実行され、移動速度Vが閾値Vth1を超える「高速移動状態」であった場合(ステップS101でYES)、ステップS131へ移行する。
【0072】
次に、ステップS131において、測位制御部602によって、スイッチSW2がオンされて電池8からGPS受信装置5へ動作用電力が供給され、GPS受信装置5により位置情報の取得動作が開始される。そして、測位制御部602によって、記憶部7に記憶されている試行監視時間T1が、監視時間タイマ606に設定され、監視時間タイマ606によって、試行監視時間T1の計時が開始される。さらに、測位制御部602からの制御信号に応じて、GPS受信装置5により位置情報の取得動作を行わせるのと並行して、無線回路部3からアンテナ2を介して無線局21へ、無線局21の位置情報を要求する位置情報要求信号が送信される(ステップS131)。
【0073】
次に、GPS受信装置5によって自機の位置情報が取得されるよりも先に、無線局21から無線局21の位置情報が返信されてアンテナ2、無線回路部3で受信されると(ステップS132で「無線局位置応答」)、その無線局21の位置情報が自機の位置情報として測位制御部602により取得され(ステップS133)、送信制御部603によって、無線局21の位置情報と緊急通報信号とが、無線回路部3によって無線信号として無線局21へ送信され、無線局21によりネットワーク22を介して管理局23へ送信される(ステップS134)。
【0074】
以上、ステップS131〜S134の処理により、GPS受信装置5により位置情報の取得動作を行わせるのと並行して、無線回路部3を用いて無線局21の位置情報の要求が行われるので、GPS受信装置5により自機の位置情報が取得されるのを待つことなく、すみやかに自機のおおよその位置情報を管理局23へ送信することができる。
【0075】
さらに、監視時間タイマ606がタイムアップする前、すなわち試行監視時間T1が経過する前にGPS受信装置5によって自機の位置情報が取得されると(ステップS135で「測位成功」)、送信制御部603によって、GPS受信装置5により取得された自機の位置情報と緊急通報信号とが、無線回路部3によって無線信号として無線局21へ送信され、無線局21によりネットワーク22を介して管理局23へ送信され(ステップS136)、図13に示す定期測位処理が開始され、高速移動検出監視処理が終了する。
【0076】
これにより、無線局21の位置情報が、おおよその自機の位置情報として管理局23へ送信された後、誤差が例えば30m〜50m程度のより精度の高い自機の位置情報がGPS受信装置5によって取得されると、この高精度の位置情報が改めて管理局23へ送信される。
【0077】
一方、GPS受信装置5によって自機の位置情報が取得される前に監視時間タイマ606がタイムアップ、すなわち試行監視時間T1が経過すると(ステップS135で「監視時間タイムアウト」)、GPS受信装置5による自機の位置情報取得は失敗したと判断され、図13に示す定期測位処理が開始され、高速移動検出監視処理が終了する。
【0078】
また、ステップS132において、無線局21から無線局21の位置情報が返信されてアンテナ2、無線回路部3で受信されるよりも先に、GPS受信装置5によって自機の位置情報が取得されると(ステップS132で「測位成功」)、測位制御部602によって、無線回路部3を用いた無線局21の位置情報を取得するための通信動作が停止され(ステップS137)、送信制御部603によって、GPS受信装置5により取得された自機の位置情報と緊急通報信号とが、無線回路部3によって無線信号として無線局21へ送信され、無線局21によりネットワーク22を介して管理局23へ送信され(ステップS136)、図13に示す定期測位処理が開始され、高速移動検出監視処理が終了する。
【0079】
以上、ステップS132〜S137の処理により、GPS受信装置5及び無線回路部3のうちいずれかによって、先に取得された位置情報が自機の位置情報として管理局23へ送信されるので、すみやかに自機の位置情報を管理局23へ送信することができる。また、測位制御部602によって、GPS受信装置5により無線回路部3よりも先に位置情報が取得された場合、無線回路部3による位置情報を取得するための通信が停止されるので、通信を実行するための消費電力を低減することができる。
【0080】
次に、図13に示すモードCの定期測位処理について説明する。まず、測位制御部602によって、GPS受信装置5による位置情報の取得動作が開始される。そして、測位制御部602によって、記憶部7に記憶されている試行監視時間T1、時間間隔T2が、監視時間タイマ606、時間間隔タイマ607にそれぞれ設定され、監視時間タイマ606、時間間隔タイマ607によって、試行監視時間T1、時間間隔T2の計時がそれぞれ開始され、緊急通報信号の送信回数を計数するための変数である通知回数iが初期化される。さらに、測位制御部602からの制御信号に応じて、GPS受信装置5により位置情報の取得動作を行わせるのと並行して、無線回路部3からアンテナ2を介して無線局21へ、無線局21の位置情報を要求する位置情報要求信号が送信される(ステップS138)。
【0081】
次に、GPS受信装置5によって自機の位置情報が取得されるよりも先に、無線局21から無線局21の位置情報が返信されてアンテナ2、無線回路部3で受信されると(ステップS139で「無線局位置応答」)、その無線局21の位置情報が、自機の位置情報として測位制御部602により取得され(ステップS133)、図略のRAMに一時的に記憶される(ステップS140)。
【0082】
そして、GPS受信装置5によって自機の位置情報が取得される前に監視時間タイマ606がタイムアップ、すなわち試行監視時間T1が経過すると(ステップS141で「監視時間タイムアウト」)、GPS受信装置5による自機の位置情報取得は失敗したと判断され、送信制御部603によって、RAMに一時記憶されていた無線局21の位置情報と緊急通報信号とが、無線回路部3によって無線信号として無線局21へ送信され、無線局21によりネットワーク22を介して管理局23へ送信される(ステップS134)。以上、GPS受信装置5により位置情報の取得動作を行わせるのと並行して、無線回路部3を用いて無線局21の位置情報の要求が行われるので、GPS受信装置5による位置情報の取得処理が失敗した後、すみやかに無線局21の位置情報を自機の位置情報として管理局23へ送信することができる。
【0083】
一方、監視時間タイマ606がタイムアップする前、すなわち試行監視時間T1が経過する前にGPS受信装置5によって自機の位置情報が取得されると(ステップS141で「測位成功」)、送信制御部603によって、GPS受信装置5により取得された自機の位置情報と緊急通報信号とが、無線回路部3によって無線信号として無線局21へ送信され、無線局21によりネットワーク22を介して管理局23へ送信される(ステップS136)。この場合、GPS受信装置5による位置情報の取得処理が成功した場合には、より位置精度の高いGPS受信装置5により取得された位置情報を管理局23へ送信することができる。
【0084】
また、ステップS139において、移動速度検出部605により検出された移動速度が予め設定された閾値Vth2に満たない「低速状態」であった場合、送信制御部603によって位置情報通信端末装置1が高速移動状態から低速移動状態へ移行した旨の通知がされると共に高速移動検出監視処理へ移行し(ステップS115)、定期測位を終了する。
【0085】
以下、ステップS112〜S114の処理は、図7に示すステップS112〜S114と同様であるのでその説明を省略する。
【0086】
なお、図5において、指示受付部601は、管理局23からネットワーク22を介して無線局21によって無線信号として送信された指示命令を受け付ける例を示したが、指示受付部601は、管理局23から送信された無線信号から上述のような指示命令を受け付ける例に限られず、例えば1又は複数のディップスイッチや多接点スイッチの一例であるロータリスイッチ、あるいはキーボード等の操作スイッチにより、これら指示命令を受け付けるものであってもよい。また例えば、指示受付部601は、管理局23から上述のようなスイッチによる指示命令を受け付けるか否かの設定を、管理局23から無線信号により受け付けるようにしてもよい。
【0087】
指示受付部601が、スイッチによる指示命令を受け付けるようにすることにより、位置情報通信端末装置1を携帯するユーザが、位置情報通信端末装置1の動作設定を行うことが容易になる。
【0088】
図15、図16は、上述のようなスイッチにより、指示命令を受け付ける場合の指示受付部601の動作の一例を説明するための説明図である。図15に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートとは、ステップS2a及びステップS5aにおいて、図略のスイッチの設定種別に応じて指示命令を受け付ける点で異なる。また、指示受付部601は、ステップS4及びステップS10の後に、高速移動検出監視処理を開始した旨、管理局23へ通知する点で異なる。また、指示受付部601は、ステップS6の後に、待機状態に移行した旨、管理局23へ通知する点で異なっている。
【0089】
なお、上述の位置情報通信端末装置において、前記測位部は、GPS受信装置であってもよい。
【0090】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記測位部へ動作用電力を供給する電源部を備え、前記測位制御部は、前記電源部による前記測位部への動作用電力の供給を停止させることにより、前記測位部の動作を停止させるものであってもよい。
【0091】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記時間間隔の設定を指示として受け付ける指示受付部をさらに備えてもよい。
【0092】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記設定回数の設定を指示として受け付ける指示受付部をさらに備えてもよい。
【0093】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記移動速度検出部に前記移動速度の検出を開始させる指示を受け付ける指示受付部をさらに備え、前記移動速度検出部は、前記指示受付部により前記指示が受け付けられた場合に前記移動速度の検出を開始するものであってもよい。
【0094】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記測位部に前記位置情報の取得動作を停止させる指示を受け付ける指示受付部をさらに備え、前記測位制御部は、前記指示受付部により前記位置情報の取得動作を停止させる旨の指示が受け付けられた場合、前記測位部による位置情報の取得動作を停止させるものであってもよい。
【0095】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記測位制御部は、前記移動速度検出部により検出された移動速度が前記閾値に満たない場合、前記移動速度検出部及び前記測位部の動作を停止させるものであってもよい。
【0096】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記指示受付部は、前記無線通信部により受信された無線信号から、前記指示を受け付けるものであってもよい。
【0097】
また、上述の位置情報通信端末装置において、前記送信制御部は、前記移動速度検出部により検出された移動速度が予め設定された閾値を超える場合、前記無線通信部によって、さらに緊急事態の発生を示す緊急通報信号を送信させるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の一実施形態に係る位置情報通信端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す位置情報通信端末装置を用いた位置情報送信システムの一例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す位置情報送信システムの動作の概要を説明するための説明図である。
【図4】図1に示す位置情報通信端末装置の動作の概要を説明するための状態遷移図である。
【図5】図1に示す指示受付部の動作の一例を主に示すフローチャートである。
【図6】モードAにおける主に「監視中」の高速移動検出監視処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】モードAにおける「定期測位中」の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】モードAにおける通信シーケンスの一例を示す説明図である。
【図9】モードBにおける主に「監視中」の高速移動検出監視処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】モードBにおける「定期測位中」の動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】モードBにおける通信シーケンスの一例を示す説明図である。
【図12】モードCにおける主に「監視中」の高速移動検出監視処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】モードCにおける「定期測位中」の動作の一例を示すフローチャートである。
【図14】モードCにおける通信シーケンスの一例を示す説明図である。
【図15】図1に示す指示受付部の動作の変形例を主に示すフローチャートである。
【図16】図15に示す指示受付部の動作を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0099】
1 位置情報通信端末装置
2 アンテナ
3 無線回路部
4 受信レベル測定部
5 受信装置
6 制御部
7 記憶部
8 電池
11 位置情報送信システム
21 無線局
22 ネットワーク
23 管理局
51 受信アンテナ
601 指示受付部
602 測位制御部
603 送信制御部
604 フェージングピッチ検出部
605 移動速度検出部
606 監視時間タイマ
607 時間間隔タイマ
SW1 スイッチ
SW2 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線局との間で無線信号を用いて通信を行うと共に、当該無線局を介して通信可能にされた管理局との間で通信を行う無線通信部と、
自機の移動速度を検出する移動速度検出部と、
自機の現在位置を示す位置情報を取得するための測位部と、
前記移動速度検出部により検出された移動速度が予め設定された閾値を超える場合、前記測位部に前記位置情報を取得させる測位制御部と、
前記測位制御部により取得された位置情報を前記無線通信部によって前記無線局を介して前記管理局へ送信させる送信制御部と
を備えることを特徴とする位置情報通信端末装置。
【請求項2】
前記測位制御部は、前記移動速度検出部により検出された移動速度が前記閾値に満たない場合、前記測位部の動作を停止させること
を特徴とする請求項1記載の位置情報通信端末装置。
【請求項3】
前記測位制御部は、
前記移動速度検出部により検出された移動速度が、予め設定された移動判定時間継続して前記閾値を超える場合、前記測位部に前記位置情報を取得させること
を特徴とする請求項1又は2記載の位置情報通信端末装置。
【請求項4】
前記測位制御部は、
前記移動速度検出部により検出された移動速度が前記閾値を超える場合、前記測位部に、予め設定された時間間隔で間欠的に複数回前記位置情報を取得させる間欠動作を行わせること
を特徴とする請求項1又は2記載の位置情報通信端末装置。
【請求項5】
前記測位制御部は、
前記間欠動作において、前記測位部に、予め設定された設定回数前記位置情報を取得させた後、前記位置情報の取得動作を停止させること
を特徴とする請求項4記載の位置情報通信端末装置。
【請求項6】
前記無線局は、前記無線信号による位置情報の要求を受信した場合、当該無線局の位置情報を返信するものであり、
前記測位制御部は、前記測位部に前記位置情報を取得させる際に前記測位部に前記位置情報の取得の試みを開始させた後、予め設定された試行監視時間内に前記位置情報が取得されない場合、前記無線通信部により前記無線局へ当該無線局の位置情報を要求させることにより当該無線局から前記無線通信部に返信された位置情報を自機の位置情報として取得すること
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の位置情報通信端末装置。
【請求項7】
前記測位制御部は、前記測位部に前記位置情報の取得を試行させるのと並行して、前記無線通信部により前記無線局への位置情報の要求を行わせること
を特徴とする請求項6記載の位置情報通信端末装置。
【請求項8】
前記無線局は、前記無線信号による位置情報の要求を受信した場合、当該無線局の位置情報を返信するものであり、
前記測位制御部は、前記測位部に前記位置情報を取得させるのと並行して前記無線通信部により前記無線局へ当該無線局の位置情報を要求させ、当該無線局から返信された位置情報を前記無線通信部により取得させ、前記測位部及び前記無線通信部のうちいずれかによって、先に取得された位置情報を自機の位置情報として取得すること
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の位置情報通信端末装置。
【請求項9】
前記測位制御部は、前記測位部によって前記無線通信部よりも先に位置情報が取得された場合、前記無線通信部による位置情報を取得するための通信を停止させること
を特徴とする請求項7又は8記載の位置情報通信端末装置。
【請求項10】
前記移動速度検出部は、
前記無線通信部により受信された前記無線信号のフェージングピッチから、前記移動速度を取得すること
を特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の位置情報通信端末装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2007−312165(P2007−312165A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139884(P2006−139884)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】