位置検出器および真空モータ
【課題】真空環境下でもガスが漏れ出ることがないモータを提供する。
【解決手段】ロータ部材Rtとステータ部材Stとが防ガス部材Moでモールドされる。
【解決手段】ロータ部材Rtとステータ部材Stとが防ガス部材Moでモールドされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出器および真空モータに係り、詳しくは真空下で構成部材から発生したガスの漏洩を防止し、真空装置において、真空装置内で駆動・搬送を行うための真空内設置用モータおよび位置検出器に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、マルチチャンバ型のCVD装置などの真空装置には、仕込・取出室や処理室などの間で被成膜物を搬送するための搬送装置が備えられている。こうした搬送装置は、例えば基板を支持して動かすローラや、このローラを回転させるモータなどから構成されている(例えば、特許文献1参照)。従来、搬送装置に用いられるモータは、真空環境となるチャンバの外側、即ち外気に接するところに配置され、モータシャフト(回転軸)をチャンバの中に配されたローラに接続することによって、チャンバ内のローラを回転させていた。このため、モータシャフトがチャンバの壁面を突き抜ける部分には、チャンバ内の気密を保つための気密シールが設けられた構造が知られている。
【0003】
しかし、搬送装置のモータをチャンバ外に設置して、気密シールを介してモータシャフトをチャンバ内のローラに接続する構造では、搬送装置全体が大型化してしまい、真空装置の小型化の障害となっていた。また、モータシャフトとチャンバ壁面との間に気密シールが必要になるなど構造が複雑化するといった課題もあった。更に、こうした気密シールはモータシャフトの回転数が500rpm程度までしかチャンバ内の気密を保つことができず、モータの回転数を例えば2000〜3000rpm程度まで高めて被成膜物を高速搬送する際の障害となっていた。
【0004】
このため、真空装置において搬送装置のモータをチャンバの内部に配置する真空モータも知られている(例えば、特許文献2参照)。モータをチャンバの内部に配置することによって、モータシャフトとチャンバ壁面との間の気密シールが不要になり、構成を簡単にして真空装置の小型化が可能になるとともに、チャンバ内部の気密を保ちつつモータの回転数を高めて被成膜物の高速搬送が可能になる。
【0005】
また、真空モータとしては、ステッピングモータと呼ばれる形式のものが知られている。また、ACサーボモータ(別名ブラシレスDCサーボモータ)と呼ばれる分類のモータには、位置(角度)検出器としてレゾルバタイプや光学式エンコーダタイプが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−339920号公報
【特許文献2】特開2007−277617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、チャンバ内に設置されたモータおよび付随する位置検出器は、チャンバ内の減圧に伴って必然的に真空環境下に置かれることになる。モータや位置検出器の内部には、コイルや磁石などの磁気部材設けられており、こうしたコイルや磁石などは真空環境下に置かれるとガスが発生するという課題があった。即ち、磁石は一般的に多孔質材料であり真空下では多数の空孔からガスが放出される。 また、コイルは巻回した金属線をモールドしている接着剤やその溶媒が真空下ではガス化して放出される。こうしたモータや位置検出器を構成するコイルや磁石などから放出されたガスがチャンバ内に拡散すると、被成膜物が汚染される懸念があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、真空環境下でもガスが漏れ出ることがなく、高真空に対応して真空内での駆動・搬送機構の簡素化、伝達効率と伝達剛性の向上を図り、制御性能を高め、さらに、真空装置内に設置しても真空性能に悪影響を与えないことが可能な位置(角度)検出器およびこのような位置検出器を搭載した真空モータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は次のような位置検出器および真空モータを提供する。
即ち、本発明の位置検出器は、減圧下で回転運動する部材の位置を検出する位置検出器であって、
互いに相対移動する移動子と固定子とを有し、これら移動子と固定子との表面に減圧雰囲気における発ガスを防止する防ガス部材が設けられてなることを特徴とする。
本発明の位置検出器は、前記防ガス部材が、前記移動子と固定子との表面を樹脂材料でモールドしてなることができる。
本発明の位置検出器は、前記防ガス部材が、前記移動子と固定子との表面を金属材料で被覆してなることができる。
本発明の位置検出器は、前記軸部材が回転駆動モータの回転軸とされ、
前記位置検出器がレゾルバとされ、
前記移動子と固定子とがロータ部材とステータ部材とされてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記部材が回転駆動モータの回転軸とされ、
前記位置検出器が光学式エンコーダとされ、
前記移動子と固定子とが発光部を有する発光ユニット部および受光部を有する受光ユニット部と、前記発行部と受光部との間に設けられる光学スリット部とされ、前記防ガス部材が前記発光部および前記受光部を覆わない位置に設けられてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記防ガス部材が、前記ロータ部材または前記ステータ部材の発ガス量の多い部品をモールドするよう設けられてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記防ガス部材が、前記ロータ部材または前記ステータ部材の全表面をモールドするよう設けられてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記防ガス部材が表面精度加工された樹脂材料とされてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記防ガス部材が、前記発光ユニット部、前記受光ユニット部、および、光学スリット部のうち発ガス量の多い部品をモールドするよう設けられてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記防ガス部材が、前記発光ユニット部、前記受光ユニット部における前記発行部と前記受光部以外の全表面をモールドするよう設けられてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記防ガス部材が表面精度加工された樹脂材料とされてなることができる。
本発明の回転駆動の真空モータは、上記に記載されたいずれかの位置検出器を有することができる。
【0010】
また、本発明の真空モータは、ハウジングと、該ハウジングに回転可能に支持されたシャフト(回転軸)および該シャフトの周囲に設けられた磁気部材からなるロータと、該ロータを取り巻くように配されたステータと、を有し、前記ロータと前記ステータとの間に発生させた磁界によって前記ロータを回転させるモータであって、
前記磁気部材と前記ステータとの間に配された隔壁部材と、該隔壁部材を前記シャフトまたは前記ハウジングに対して気密に封止するシール部材と、を少なくとも備えたことが可能である。
前記隔壁部材は、第一隔壁部材および第二隔壁部材からなり、前記シール部材は第一シール部材および第二シール部材からなり、
前記第一隔壁部材は、前記磁気部材と前記ステータとの間に配されるとともに前記第一シール部材によって前記ハウジングに対して気密に封止され、前記第二隔壁部材は、前記第一シール部材と前記磁気部材との間に配されるとともに前記第二シール部材によって前記シャフトに対して気密に封止され、前記ステータとともに回転することができる。
前記シール部材は弾性体からなることが可能である。
前記隔壁部材は、板状部および該板状部の端部に形成されたシール支持部とからなり、前記板状部は前記シャフトの軸方向に沿って広がり、前記シール部材は前記シール支持部に形成されることを特徴とする。
前記磁気部材および前記ステータは、磁石または電磁コイルから構成されていることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の位置検出器および真空モータによれば、真空環境下に設置したとしても、位置検出器を構成する前記移動子と固定子から生じたガスが、防ガス部材の外部に放出されることがない。即ち、発ガス源となる部品は、防ガス部材によって覆われる。しかも防ガス部材は樹脂材料のみあるいは金属材料、または、樹脂材料を金属部材で覆って気密に取り付けられるため、発ガス源となる部品が真空(減圧)状態に曝されることがない。
【0012】
従って、ステータ部材またはロータ部材などの位置検出器の部品が例えば電磁コイルなど金属細線を巻回させて樹脂材料でモールドした真空環境でガスが生じやすいものであっても、ステータ部材またはロータ部材全体あるいはその一部をシール部材を介して防ガス部材で気密に覆うことによって、ステータ部材またはロータ部材から発生したガスが真空モータの外部に漏れ出ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態における真空モータ(モータ)とレゾルバ(位置検出器)を示す部分正断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるレゾルバ(位置検出器)を示す分解正断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態におけるレゾルバ(位置検出器)を示す分解断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態におけるレゾルバ(位置検出器)を示す分解断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態におけるレゾルバ(位置検出器)を示す分解断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態における真空モータ(モータ)を示す正断面図である。
【図7】本発明の第6実施形態における真空モータ(モータ)を示す正断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態における真空モータ(モータ)と光学式エンコーダ(位置検出器)を示す部分断正面図である。
【図9】本発明の第5実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)を示す正断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)を示す正断面図である。
【図11】本発明の第7実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る位置検出器および真空モータの実施形態について、図面に基づき説明する。なお、本実施形態は発明の趣旨をより良く理解させるために、一例を挙げて説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるレゾルバ部(位置検出器)を備えた真空モータ(モータ)の一構成例を示す部分断正面図、図2は、本実施形態におけるレゾルバ部(位置検出器)を示す分解正断面図である。
【0016】
本実施形態のレゾルバ部Rsを備えた真空モータMは、図1に示すように、筒状ケースM1を有し、筒状ケースM1の一端M1aには第1軸受M2が設けられている。
前記筒状ケースM1の内面M1bには、ステータ巻線M3を有する輪状のステータM4が設けられ、前記筒状ケースM1の他端M1cには、第2軸受M5を有する後蓋体M6が設けられている。
【0017】
前記各軸受M2、M5間には、マグネットM7を有するロータM8を備えた回転軸(シャフト)M9が回転自在に設けられ、この回転軸M9の延長軸部M9aは、第2軸受M5及び後蓋体M6を貫通し、この後蓋体M6の外部に突出して位置している。
本実施形態の真空モータMは、レゾルバ部Rs以外も図示しないが真空中において防ガス性を維持しうる構成となっている。
【0018】
前記延長軸部M9aの外周には、筒状絶縁体M11を介してロータトランスM12及びレゾルバロータM13が軸方向に沿って直列に配設されており、前記後蓋体M6の端面には、凹部M6aを介してステータトランスM14が前記ロータトランスM12に対応して固定配設されている。このステータトランスM14には、前記レゾルバロータM13に対応するようにレゾルバステータM15が接続部材M16を介して固定配設されている。
【0019】
ロータトランスM12及びステータトランスM14により、回転トランスM20を構成
し、レゾルバロータM13及びレゾルバステータM15により、レゾルバM22を構成している。従って、この構成において、ステータ巻線M3に駆動信号が印加されて、モータMのロータM8が回転すると、このロータM8を備えた回転軸M9の回転は、前記レゾルバM22で検出され、その回転検出信号は、前記レゾルバステータM15側から配線M21を介して外部に送られるように構成されている。
レゾルバ部Rsは、励磁側巻線を交流電圧で励磁すると、出力側巻線に交流の出力電圧が誘起されるが、この出力電圧は回転角によって変化する。その電圧を読取ることにより角度を知ることができる。例えば、励磁側にSinの交流電圧を印加することにより、出力側にそれぞれ回転角θに応じたCos,Sinの信号が得られることになる。
【0020】
レゾルバ部Rsは、レゾルバM22を構成する部分であり、図2に示すように、ステータ部材Stとロータ部材Rtとからなる。
ステータ部材Stは、ステータトランスM14、レゾルバステータM15、接続部材M16、配線M21からなるものとされ、ロータ部材Rtは、ロータトランスM12、レゾルバロータM13、筒状絶縁体M11、からなるものとされる。
レゾルバロータM13及びレゾルバステータM15は、例えば電磁コイルから構成されている。電磁コイルは、例えば、銅などの細線を巻回させ、接着剤など樹脂材料でモールドしたものからなる。こうした接着剤など樹脂材料は、真空環境では樹脂の構成材料そのものや溶剤などが揮発してガス化し放出されやすい。
【0021】
ステータ部材Stとロータ部材Rtは、いずれも、防ガス部材としてのモールドMoによりその表面が覆われて密閉されている。モールドMoは、その表面に設けられる各部品、ステータトランスM14、レゾルバステータM15、接続部材M16、配線M21、ロータトランスM12、レゾルバロータM13、筒状絶縁体M11などから高真空状態における発ガスを防止可能な樹脂材料からなり、例えば、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ニトリル樹脂、アチレンプロピレンゴム、アクリルゴムなどが挙げられるが、真空環境中で構成材料のガスなどが発生しないものを選択することが好ましい。
【0022】
防ガス部材としてのモールドMoの各部品の被覆状態および最小被覆厚さは、この真空モータMの曝される真空状態および各部品からの発ガス性との組み合わせに対応して、種々の状態が可能であり、いずれも、充分な防ガス性能を呈することができればよい。例えば、高真空対応モータであれば、ステータ部材Stとロータ部材Rtとの全面をそれぞれ被覆することが好ましく、また、使用条件がそれほど厳しくない場合には発ガス性の高いレゾルバステータM15、レゾルバロータM13、のみを被覆することも可能であり、これに加えて条件が厳しくなるに従って、さらに、ステータトランスM14、ロータトランスM12をもモールドMoによって被覆することができる。
【0023】
防ガス部材としてのモールドMoの各部品の被覆状態および最小被覆厚さは、この真空モータMの曝される真空状態および各部品からの発ガス性との組み合わせに対応して、種種の状態が可能であり、いずれも、充分な防ガス性能を呈することができればよい。例えば、高真空対応モータであれば、ステータ部材Stとロータ部材Rtとの全面をそれぞれ被覆することが好ましく、また、使用条件がそれほど厳しくない場合には発ガス性の高いレゾルバステータM15、レゾルバロータM13、のみを被覆することも可能であり、これに加えて条件が厳しくなるに従って、さらに、ステータトランスM14、ロータトランスM12をもモールドMoによって被覆することができる。
【0024】
このようなレゾルバ部Rsは、ステータ部材Stにおいて、各部品を接続部材M16に取り付けた後に、所定の型に入れ、その隙間に樹脂材料を注入することでモールドMoを形成することができる。同様に、ロータ部材Rtにおいて、各部品を筒状絶縁体M11に取り付けた後に、所定の型に入れ、その隙間に樹脂材料を注入することでモールドMoを形成することができる。
さらに、レゾルバ部Rsは、ステータ部材Stの内周面とロータ部材Rtの外周面とされる互いの対向面を含んで形成したモールドMoの表面において、その形状を整えるために、研削加工等の表面処理をおこなうことが可能である。
【0025】
本実施形態におけるレゾルバ部Rsを備えた真空モータMによれば、防ガス部材としてのモールドMoによって、位置検出器部材Rs表面からのガス放出量を低減でき、また、ガスの中に含まれる不純ガスを低減できる。このような真空モータMを用いることにより、真空装置の真空雰囲気を清浄に保つことができ、例えば、真空装置内で搬送されるガラス基板やウエハの表面を汚染することがない。
【0026】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態におけるレゾルバ部(位置検出器)の一構成例を示す断面図である。
【0027】
本実施形態において、図1,図2で示した第1実施形態と異なるのは、防ガス部材に関する部分であり、これ以外の対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
本実施形態の真空モータMは、図3に示すように、ステータ部材Stおよびロータ部材Rtがいずれも防ガス部材としてモールドMoの代わりに金属材料からなるカバーCvによって覆われて密閉されているレゾルバ部Rsを備えている。
カバーCvは発ガスを防止可能な金属でかつ磁気的な影響が無視しうるものであればよく、例えば、AlやSUSなど発塵とガス放出の少ない金属から形成することができる。また、モールドMoと同様に、各部品の被覆状態および被覆厚さ等の設定は、この真空モータMの曝される真空状態および各部品からの発ガス性との組み合わせに対応して、種々の状態が可能であり、いずれも、充分な防ガス性能を呈することができればよい。
【0029】
本実施形態によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、金属材料からなるカバーCvでステータ部材Stとロータ部材Rtとの全面を覆って各部品を密閉したことにより、樹脂であるモールドMoに比較してより一層の防ガス性を呈することができる。
【0030】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態におけるレゾルバ部(位置検出器)の一構成例を示す断面図である。
【0031】
本実施形態において、図1,図2で示した第1実施形態および、図3で示した第2実施形態と異なるのは、防ガス部材に関する部分であり、これ以外の対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
本実施形態の真空モータMは、図4に示すように、ステータ部材Stおよびロータ部材Rtの全表面がいずれも防ガス部材としてモールドMoで覆われており、これに加えてモールドMo表面が部分的に金属材料からなるカバーCv1によって部分的に覆われて密閉されているレゾルバ部Rsを備えている。
カバーCv1は、最も発ガス性が高い配線M21付近を覆うようにモールドMo表面に設けられている。
本実施形態によれば、上述の第1、2実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、金属材料からなるカバーCvで最も発ガス性の高い配線M21付近のみを覆ったことによって、より一層の防ガス性を呈することができる。また、カバーCv2のように作業性や構造的な理由でモールドMoの表面一部を覆ってもよい。このときも、上述の第1、2実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、金属材料からなるカバーCv2でモールドMoの表面一部を覆ったことによって、より一層の防ガス性を呈することができる。
【0033】
(第4実施形態)
図5は、本発明の第4実施形態におけるレゾルバ部(位置検出器)の一構成例を示す断面図である。
【0034】
本実施形態において、図1,図2で示した第1実施形態、図3で示した第2実施形態、図4で示した第3実施形態と異なるのは、防ガス部材に関する部分であり、これ以外の対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
本実施形態の真空モータMは、図5に示すように、ステータ部材Stおよびロータ部材Rtの全表面がいずれも防ガス部材としてモールドMoで覆われ、これに加えてモールドMoの全面が金属材料からなるカバーCvによって覆われて密閉されているレゾルバ部Rsを備えている。
本実施形態によれば、上述の第1〜3実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、モールドMo表面をさらに金属材料からなるカバーCvで覆ったことにより、さらなる高真空においても防ガス性を維持できるモータとすることができる。
【0036】
(第5実施形態)
図6は、本発明の第5実施形態における真空モータの一構成例を示す断面図である。
本実施形態の真空モータは、上記の第1〜4実施形態におけるモータに代えて適応可能なものである。なお、回転軸(シャフト)に接続される位置検出器は図示を省略しており回転軸21に接続されるものである。
【0037】
真空モータ(モータ)10は、図6に一例として示すように、ハウジング(外装体)11と、このハウジング11に収容されるロータ12、およびステータ13とを備えている。ロータ12は、シャフト21と、このシャフト21の周囲に形成された磁気部材22とを有している。
【0038】
ハウジングは、例えば、金属や樹脂等から構成され、シャフト21の軸方向Lに沿った2箇所に軸受14a,14bが形成される。軸受14a,14bは、例えばベアリングおよびベアリングを支持する受け部材などから構成されていればよい。
【0039】
シャフト21は、ハウジング11に取り付けられた軸受14a,14bによって回転軸方向に沿った2箇所で軸支される。これによってロータ12はハウジング11の内部で回転可能に支持される。
【0040】
シャフト21の周面に形成された磁気部材22は、例えば永久磁石から構成されている。具体的には、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石などが挙げられる。こうした永久磁石は、磁性体粒子を粉砕したものを成型し焼結することによって得られるものが多く、内部に微細な空洞があり、真空環境でガスが生じやすい。
【0041】
ステータ13はハウジング11に固着され、ロータ12に対して所定の間隔を開けてロータ12の周りを取り巻くように形成されている。ステータ13は、例えば電磁コイルから構成されている。電磁コイルは、例えば、銅などの細線を巻回させ、接着剤など樹脂材料でモールドしたものからなる。こうした接着剤など樹脂材料は、真空環境では樹脂の構成材料そのものや溶剤などが揮発してガス化し放出されやすい。
【0042】
ステータ13を構成する電磁コイルに外部から電力を供給することによって、ロータ12の磁気部材22と、ステータ13との間に磁界が生じ、シャフト21が磁気部材22とともに回転する。
【0043】
ロータ12の磁気部材22と、ステータ13との間には、隔壁部材15が配されている。本実施形態においては、隔壁部材15は、第一隔壁部材16と、第二隔壁部材17とから構成される。
第一隔壁部材16は、板状部16aと、この板状部16aの端部に一体に形成されたシール支持部16bとからなる。板状部16aは、シャフト21の軸方向Lに沿って広がり、ステータ13のロータ12側露出面を覆うように配されている。
シール支持部16bは、板状部16aよりも厚みが厚くなるように形成されている。
【0044】
こうした第一隔壁部材16はハウジング11に取り付けられるとともに、シール支持部16bに配された第一シール部材18によって、ハウジング11の内壁と第一隔壁部材16によって囲まれたステータ13が気密に封止される。第一隔壁部材16は、例えば、AlやSUSなど発塵とガス放出の少ない金属から構成される。
【0045】
第一シール部材18は、シール支持部16bとハウジング11の内壁との間を気密に封止するように形成されている。こうした第一シール部材18は、例えば、シャフト21の軸心周りに延びるOリングであり、真空環境においても弾性が保持される弾性部材からなる。第一シール部材18を構成する弾性部材の具体例としては、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ニトリル樹脂、アチレンプロピレンゴム、アクリルゴムなどが挙げられるが、真空環境中で構成材料のガスなどが発生しないものを選択することが好ましい。
【0046】
一方、第二隔壁部材17は、板状部17aと、この板状部17aの端部に一体に形成されたシール支持部17bとからなる。板状部17aは、シャフト21の軸方向に沿って広がり、磁気部材22のステータ13側露出面を覆うように配されている。シール支持部17bは、板状部17aの一端側が板状部17aと一体に形成され、また、板状部17aの他端側は板状部17aとは別体のシール支持部17bが形成されている。こうしたシール支持部17bは、板状部17aの厚みよりも厚くなるように形成されている。
【0047】
こうした第二隔壁部材17はシャフト21に取り付けられるとともに、シール支持部17bに配された第二シール部材19によって、シャフト21の周面と第二隔壁部材17によって囲まれた磁気部材22が気密に封止される。そして、シャフト21の回転によって、磁気部材22とともに第二隔壁部材17も一体に回転する。
【0048】
第二シール部材19は、シール支持部17bとシャフト21の周面との間を気密に封止するように形成されている。こうした第二シール部材19も、シャフト21の軸心周りに延びるOリングであり、真空環境においても弾性が保持される弾性部材からなる。第二シール部材19も、第一シール部材18と同様に、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ニトリル樹脂、アチレンプロピレンゴム、アクリルゴムなど、真空環境中で構成材料のガスなどが発生しないものから構成されることが好ましい。
【0049】
以上のような構成の本発明の一実施形態の真空モータ(モータ)10によれば、例えばこの真空モータ10を真空装置における被成膜物(基板)を搬送するための搬送モータとして用い、真空環境となるチャンバ内に設置したとしても、ロータ12の磁気部材22から生じたガスやステータ13から生じたガスが、ハウジング11の外部に放出されることがない。
【0050】
即ち、電磁コイルなどから構成されるステータ13は、ハウジング11の内壁面と第一隔壁部材16によって覆われる。しかも第一隔壁部材16はハウジング11に対して第一シール部材18によって気密に取り付けられている。これによって、ステータ13は、第一隔壁部材16とハウジング11によって囲まれた空間内に気密に封止された状態となる。
【0051】
ステータ13を構成する電磁コイルは、例えば、銅などの細線を巻回させ、接着剤などの樹脂材料でモールドしたものからなり、真空環境ではモールドした樹脂そのものや溶剤などが揮発してガス化しやすいが、ステータ13全体を第一シール部材18を介して第一隔壁部材16とハウジング11で気密に覆うことによって、ステータ13からガスが発生したとしても、真空モータ10の外部にこうしたガスが漏れ出ることを防止する。
【0052】
また、ロータ12の磁気部材22は、シャフト21の周面と第二隔壁部材17によって覆われる。しかも第二隔壁部材17はシャフト21に対して第二シール部材19によって気密に取り付けられている。これによって、磁気材料22は、シャフト21と第二隔壁部材17によって囲まれた空間内に気密に封止された状態となる。
【0053】
磁気部材22は、例えば、永久磁石から構成されており、こうした永久磁石のうち、特に焼結体は内部に微細な空洞があり、真空環境でガスが生じやすいが、磁気材料22全体を第二シール部材19を介して第二隔壁部材17とシャフト21の周面の間で気密に覆うことによって、磁気部材22からガスが発生したとしても、真空モータ10の外部にこうしたガスが漏れ出ることを防止する。
【0054】
従って、本実施形態の真空モータ10を真空装置のチャンバ内など真空環境になるところに設置しても、真空モータ10のロータ12やステータ13で生じたガスがチャンバ内に放出されることがなく、成膜不良や被成膜物の不純物汚染といった不具合を防止することが可能になる。
【0055】
また、第一隔壁部材16や第二隔壁部材17は、第一シール部材18や第二シール部材19が配される部分のみ、厚みの厚いシール支持部16b,17bを形成し、それ以外のステータ13や磁気部材22を覆う大部分はシール支持部16b,17bよりも厚みの薄い板状部16a,17aとしている。これによって、ハウジング11の内部に第一隔壁部材16や第二隔壁部材17を設けても、真空モータ10のサイズが大幅に大きくなることを防止し、不純物ガスを放出せず、かつコンパクトな真空モータ10を実現できる。
【0056】
上述した実施形態では、ロータ12の磁気部材22を永久磁石、ステータ13を電磁コイルから構成しているが、逆にロータの磁気部材を電磁コイル、ステータを永久磁石で構成してもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、ロータ12とステータ13との間に、第一隔壁部材16と第二隔壁部材17の2つの隔壁部材15を形成している。しかし、例えば一方の永久磁石に真空環境においてもガスの発生が少ないものを用いることによって、ロータの磁気材料、あるいはステータのいずれか一方だけを気密に封止する1つの隔壁部材およびシール部材から構成してもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、第一隔壁部材16の板状部16aとシール支持部16bは一体に形成されている。しかしながら、こうした板状部16aとシール支持部16bとを個別に形成し、これら板状部16aとシール支持部16bとの間も第一シール部材18とは別のシール部材によって気密に封止する構成であってもよい。例えば、板状部16aを軽量のAlによって形成し、シール支持部16bを強度の高いSUSによって構成するなどが考えられる。
【0059】
一方、第二隔壁部材17の一端側のシール支持部17bは板状部17aと一体に形成され、他端側のシール支持部17bは板状部17aとは別体に形成されている。しかしながら、こうした板状部17aの一端側と他端側の両方のシール支持部17bを、板状部17aとは別体に形成しても良い。例えば、板状部17aを軽量のAlによって形成し、シール支持部17bを強度の高いSUSによって構成するなどが考えられる。あるいは、板状部17aの一端側と他端側の両方のシール支持部17bを全て一体に形成する構成であってもよい。
【0060】
(第6実施形態)
図7は、本発明の第6実施形態における真空モータの一構成例を示す断面図である。
本実施形態の真空モータは、上記の第1〜5実施形態におけるモータに代えて適応可能なものである。なお、回転軸(シャフト)に接続される位置検出器は図示を省略しており回転軸41に接続されるものである。
【0061】
真空モータ(モータ)30は、ハウジング(外装体)31と、このハウジング31に収容されるロータ32、およびステータ33とを備え、ロータ32は、シャフト41と、このシャフト41の周囲に形成された磁気部材42とを有している。シャフト41の周面に形成された磁気部材42は、例えば永久磁石から構成されている。
【0062】
ステータ33はハウジング31に固着され、ロータ32に対して所定の間隔を開けてロータ32の周りを取り巻くように形成されている。ステータ33は、例えば電磁コイルから構成されている。
【0063】
ロータ32の磁気部材42と、ステータ33との間には、隔壁部材35が配されている。隔壁部材35は、板状部35aと、この板状部35aの端部に一体に形成されたシール支持部35bとからなる。板状部35aは、シャフト41の軸方向に沿って広がり、ステータ33のロータ32側露出面を覆うように配されている。シール支持部35bは、板状部35aよりも厚みが厚くなるように形成されている。
【0064】
こうした隔壁部材35はハウジング31に取り付けられるとともに、シール支持部35bに配されたシール部材38によって、ハウジング31の内壁と隔壁部材35によって囲まれたステータ33が気密に封止される。隔壁部材35は、例えば、AlやSUSなど発塵の少ない金属から構成される。また、隔壁部材35は、例えば全体がSUSから構成され、板状部35aとシール支持部35bとは一体に形成されている。
【0065】
シール部材38は、シール支持部35bとハウジング31の内壁との間を気密に封止するように形成されている。シール部材38は、例えば、シャフト41の軸心周りに延びるOリングであり、真空環境においても弾性が保持される弾性部材からなる。
【0066】
以上のような構成の本発明の第6実施形態の真空モータ(モータ)30によれば、例えばこの真空モータ30を真空装置における被成膜物(基板)を搬送するための搬送モータとして用い取り付けフランジ51で、真空環境となるチャンバの壁面52に設置したとしても、ステータ33から生じたガスが、ハウジング31の外部に放出されることがない。
【0067】
即ち、電磁コイルなどから構成されるステータ33は、ハウジング31の内壁面と隔壁部材35によって覆われ、この隔壁部材35はハウジング31に対してシール部材38によって気密に取り付けられている。これによって、ステータ33は、隔壁部材35とハウジング31によって囲まれた空間内に気密に封止された状態となる。
【0068】
これによって、例えばステータ33が電磁コイルから構成されていて、真空環境でコイルをモールドした樹脂そのものや溶剤などが揮発してガス化しても、ステータ33全体をシール部材38を介して隔壁部材35とハウジング31で気密に覆うことによって、真空モータ30の内部にこうしたガスが漏れ出ることを防止する。
【0069】
この実施形態では、ロータ32の磁気部材42は、発塵やガスの発生が少ない緻密な金属からなる永久磁石から構成しているので、ロータ32の磁気部材42側には隔壁部材を形成しない。これによって、ステータ33とロータ32との間の隔壁部材は1つだけで済み、真空環境下でガスが漏れ出ることが無く、かつ低コストで小型化が可能な真空モータ30を提供することができる。
【0070】
本発明のモータは、モータの種類に限定されず、各種方式のモータに適用可能である。 表1に、本発明の構成を適用可能なモータの種類、およびそのステータ、ロータの組み合わせを例示する。
【0071】
【表1】
【0072】
(第7実施形態)
図8は、本発明の第7実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)を備えた真空モータ(モータ)の一構成例を示す部分断正面図、図9は、本実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)を示す正断面図である。
【0073】
本実施形態において、図1,図2で示した第1実施形態と異なるのは、位置検出器に関する部分であり、これ以外の対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】
本実施形態の真空モータ(モータ)において設けられた位置検出器は、光学式エンコーダOeとされ、モータMの回転軸M9に固定したスリット付き回転円盤Slと、このスリット付き回転円盤Slに形成したスリットを挟んで対向配置された発光素子M31および受光素子M32で構成される。発光素子M31および受光素子M32はそれぞれ、発光ユニット部Emと受光ユニット部Dtに設けられ、この受光ユニット部Dtは、後蓋体M6の外部に接続部材M36、接続円板M37を介して固定配設され、受光ユニット部Dtには、ブリッジM38を介して発光ユニット部Emが固定配設されている。
【0075】
本実施形態においては、光学式エンコーダ(位置検出器)Oeの発光ユニット部Emと受光ユニット部Dtにおいて、発光素子M31および受光素子M32を除く部分の表面が防ガス部材としてのモールドMoによって覆われている。これにより、発光ユニット部Emと受光ユニット部Dtを構成する基板、および、発光ユニット部Emと受光ユニット部Dtの基板に取り付けられた種々の素子や配線といった発ガス性を有する部品が覆われて真空中でもガスを発することを防止できる。
なお、発光ユニット部Emと受光ユニット部Dtの全体をモールドMoで覆ってもよいが、特に発ガス性の高い部品のみを覆うようにモールドMoを配置することもできる。
ここで、発ガス性の高い部品としては、ICパッケージの樹脂材等であり、比較的発ガス性の低い部品としては、金属配線材等であることができる。
【0076】
このような光学式エンコーダOeは、各部品を発光ユニット部Emと受光ユニット部Dtの基板に取り付けた後に、所定の型に入れ、その隙間に樹脂材料を注入することでモールドMoを形成することができる。
さらに、発光ユニット部Emと受光ユニット部Dt表面に形成したモールドMoの表面において、その形状を整えるために、研削加工等の表面処理をおこなうことが可能である。
【0077】
本実施形態における光学式エンコーダOeを備えた真空モータMによれば、防ガス部材としてのモールドMoによって、位置検出器部材Oe表面からのガス放出量を低減できる。これにより、真空装置内にこの真空モータMを載置した場合に、真空装置の中に含まれる不純ガスを低減できる。このような真空モータMを用いることにより、真空装置の真空雰囲気を清浄に保つことができ、例えば、真空装置内で搬送されるガラス基板やウエハの表面を汚染することがない。
【0078】
(第8実施形態)
図10は、本発明の第8実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)の一構成例を示す断面図である。
【0079】
本実施形態において、図8,図9で示した第7実施形態と異なるのは、防ガス部材に関する部分であり、これ以外の対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
本実施形態の光学式エンコーダOeを備えた真空モータMは、図10に示すように、発光ユニット部Emおよび受光ユニット部Dtがいずれも防ガス部材としてモールドMoの代わりに金属材料からなるカバーCvによって発光素子M31および受光素子M32を除く部分が覆われて密閉されている。
カバーCvは発ガスを防止可能な金属であればよく、例えば、AlやSUSなど発塵とガス放出の少ない金属から形成することができる。また、モールドMoと同様に、各部品の被覆状態および被覆厚さ等の設定は、この真空モータMの曝される真空状態および各部品からの発ガス性との組み合わせに対応して、種々の状態が可能であり、いずれも、充分な防ガス性能を呈することができればよい。
【0081】
本実施形態によれば、上述の第7実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、金属材料からなるカバーCvで発光ユニット部Emおよび受光ユニット部Dtの全面を覆って各部品を密閉したことにより、樹脂であるモールドMoのみの構成に比較してより一層の防ガス性を呈することができる。
【0082】
(第9実施形態)
図11は、本発明の第9実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)の一構成例を示す断面図である。
【0083】
本実施形態において、図8,図9で示した第7実施形態、図10で示した第8実施形態と異なるのは、防ガス部材に関する部分であり、これ以外の対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
本実施形態の光学式エンコーダOeを備えた真空モータMは、図11に示すように、発光ユニット部Emおよび受光ユニット部Dtがいずれも防ガス部材としてモールドMoで覆われ、これに加えてモールドMoの全面が金属材料からなるカバーCvによって覆われて密閉されている。
本実施形態によれば、上述の第7、8実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、モールドMo表面をさらに金属材料からなるカバーCvで覆ったことにより、さらなる高真空においても防ガス性を維持できるモータとすることができる。
【0085】
なお、上記の各実施形態で説明したように、本発明の位置検出器は回転駆動モータに搭載することもできるが、真空中あるいは減圧下で防ガス性を要求されるものであれば、他の構成に適応することもできる。
また、本発明の位置検出器の防ガス性を向上させるモールド方法やモールドの表面を金属材料からなるカバーで覆う方法は、真空中あるいは減圧下で防ガス性を要求されるリニアスケールや直動モータの位置検出器に搭載することもできる。
【符号の説明】
【0086】
M 真空モータ(モータ)、Rt ロータ部材、St ステータ部材、Mo モールド(位置検出器)、Cv カバー(位置検出器)、Rs レゾルバ部、Oe 光学式エンコーダ部、M9 回転軸(シャフト)
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出器および真空モータに係り、詳しくは真空下で構成部材から発生したガスの漏洩を防止し、真空装置において、真空装置内で駆動・搬送を行うための真空内設置用モータおよび位置検出器に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、マルチチャンバ型のCVD装置などの真空装置には、仕込・取出室や処理室などの間で被成膜物を搬送するための搬送装置が備えられている。こうした搬送装置は、例えば基板を支持して動かすローラや、このローラを回転させるモータなどから構成されている(例えば、特許文献1参照)。従来、搬送装置に用いられるモータは、真空環境となるチャンバの外側、即ち外気に接するところに配置され、モータシャフト(回転軸)をチャンバの中に配されたローラに接続することによって、チャンバ内のローラを回転させていた。このため、モータシャフトがチャンバの壁面を突き抜ける部分には、チャンバ内の気密を保つための気密シールが設けられた構造が知られている。
【0003】
しかし、搬送装置のモータをチャンバ外に設置して、気密シールを介してモータシャフトをチャンバ内のローラに接続する構造では、搬送装置全体が大型化してしまい、真空装置の小型化の障害となっていた。また、モータシャフトとチャンバ壁面との間に気密シールが必要になるなど構造が複雑化するといった課題もあった。更に、こうした気密シールはモータシャフトの回転数が500rpm程度までしかチャンバ内の気密を保つことができず、モータの回転数を例えば2000〜3000rpm程度まで高めて被成膜物を高速搬送する際の障害となっていた。
【0004】
このため、真空装置において搬送装置のモータをチャンバの内部に配置する真空モータも知られている(例えば、特許文献2参照)。モータをチャンバの内部に配置することによって、モータシャフトとチャンバ壁面との間の気密シールが不要になり、構成を簡単にして真空装置の小型化が可能になるとともに、チャンバ内部の気密を保ちつつモータの回転数を高めて被成膜物の高速搬送が可能になる。
【0005】
また、真空モータとしては、ステッピングモータと呼ばれる形式のものが知られている。また、ACサーボモータ(別名ブラシレスDCサーボモータ)と呼ばれる分類のモータには、位置(角度)検出器としてレゾルバタイプや光学式エンコーダタイプが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−339920号公報
【特許文献2】特開2007−277617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、チャンバ内に設置されたモータおよび付随する位置検出器は、チャンバ内の減圧に伴って必然的に真空環境下に置かれることになる。モータや位置検出器の内部には、コイルや磁石などの磁気部材設けられており、こうしたコイルや磁石などは真空環境下に置かれるとガスが発生するという課題があった。即ち、磁石は一般的に多孔質材料であり真空下では多数の空孔からガスが放出される。 また、コイルは巻回した金属線をモールドしている接着剤やその溶媒が真空下ではガス化して放出される。こうしたモータや位置検出器を構成するコイルや磁石などから放出されたガスがチャンバ内に拡散すると、被成膜物が汚染される懸念があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、真空環境下でもガスが漏れ出ることがなく、高真空に対応して真空内での駆動・搬送機構の簡素化、伝達効率と伝達剛性の向上を図り、制御性能を高め、さらに、真空装置内に設置しても真空性能に悪影響を与えないことが可能な位置(角度)検出器およびこのような位置検出器を搭載した真空モータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は次のような位置検出器および真空モータを提供する。
即ち、本発明の位置検出器は、減圧下で回転運動する部材の位置を検出する位置検出器であって、
互いに相対移動する移動子と固定子とを有し、これら移動子と固定子との表面に減圧雰囲気における発ガスを防止する防ガス部材が設けられてなることを特徴とする。
本発明の位置検出器は、前記防ガス部材が、前記移動子と固定子との表面を樹脂材料でモールドしてなることができる。
本発明の位置検出器は、前記防ガス部材が、前記移動子と固定子との表面を金属材料で被覆してなることができる。
本発明の位置検出器は、前記軸部材が回転駆動モータの回転軸とされ、
前記位置検出器がレゾルバとされ、
前記移動子と固定子とがロータ部材とステータ部材とされてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記部材が回転駆動モータの回転軸とされ、
前記位置検出器が光学式エンコーダとされ、
前記移動子と固定子とが発光部を有する発光ユニット部および受光部を有する受光ユニット部と、前記発行部と受光部との間に設けられる光学スリット部とされ、前記防ガス部材が前記発光部および前記受光部を覆わない位置に設けられてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記防ガス部材が、前記ロータ部材または前記ステータ部材の発ガス量の多い部品をモールドするよう設けられてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記防ガス部材が、前記ロータ部材または前記ステータ部材の全表面をモールドするよう設けられてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記防ガス部材が表面精度加工された樹脂材料とされてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記防ガス部材が、前記発光ユニット部、前記受光ユニット部、および、光学スリット部のうち発ガス量の多い部品をモールドするよう設けられてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記防ガス部材が、前記発光ユニット部、前記受光ユニット部における前記発行部と前記受光部以外の全表面をモールドするよう設けられてなることができる。
本発明の位置検出器は、
前記防ガス部材が表面精度加工された樹脂材料とされてなることができる。
本発明の回転駆動の真空モータは、上記に記載されたいずれかの位置検出器を有することができる。
【0010】
また、本発明の真空モータは、ハウジングと、該ハウジングに回転可能に支持されたシャフト(回転軸)および該シャフトの周囲に設けられた磁気部材からなるロータと、該ロータを取り巻くように配されたステータと、を有し、前記ロータと前記ステータとの間に発生させた磁界によって前記ロータを回転させるモータであって、
前記磁気部材と前記ステータとの間に配された隔壁部材と、該隔壁部材を前記シャフトまたは前記ハウジングに対して気密に封止するシール部材と、を少なくとも備えたことが可能である。
前記隔壁部材は、第一隔壁部材および第二隔壁部材からなり、前記シール部材は第一シール部材および第二シール部材からなり、
前記第一隔壁部材は、前記磁気部材と前記ステータとの間に配されるとともに前記第一シール部材によって前記ハウジングに対して気密に封止され、前記第二隔壁部材は、前記第一シール部材と前記磁気部材との間に配されるとともに前記第二シール部材によって前記シャフトに対して気密に封止され、前記ステータとともに回転することができる。
前記シール部材は弾性体からなることが可能である。
前記隔壁部材は、板状部および該板状部の端部に形成されたシール支持部とからなり、前記板状部は前記シャフトの軸方向に沿って広がり、前記シール部材は前記シール支持部に形成されることを特徴とする。
前記磁気部材および前記ステータは、磁石または電磁コイルから構成されていることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の位置検出器および真空モータによれば、真空環境下に設置したとしても、位置検出器を構成する前記移動子と固定子から生じたガスが、防ガス部材の外部に放出されることがない。即ち、発ガス源となる部品は、防ガス部材によって覆われる。しかも防ガス部材は樹脂材料のみあるいは金属材料、または、樹脂材料を金属部材で覆って気密に取り付けられるため、発ガス源となる部品が真空(減圧)状態に曝されることがない。
【0012】
従って、ステータ部材またはロータ部材などの位置検出器の部品が例えば電磁コイルなど金属細線を巻回させて樹脂材料でモールドした真空環境でガスが生じやすいものであっても、ステータ部材またはロータ部材全体あるいはその一部をシール部材を介して防ガス部材で気密に覆うことによって、ステータ部材またはロータ部材から発生したガスが真空モータの外部に漏れ出ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態における真空モータ(モータ)とレゾルバ(位置検出器)を示す部分正断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるレゾルバ(位置検出器)を示す分解正断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態におけるレゾルバ(位置検出器)を示す分解断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態におけるレゾルバ(位置検出器)を示す分解断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態におけるレゾルバ(位置検出器)を示す分解断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態における真空モータ(モータ)を示す正断面図である。
【図7】本発明の第6実施形態における真空モータ(モータ)を示す正断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態における真空モータ(モータ)と光学式エンコーダ(位置検出器)を示す部分断正面図である。
【図9】本発明の第5実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)を示す正断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)を示す正断面図である。
【図11】本発明の第7実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る位置検出器および真空モータの実施形態について、図面に基づき説明する。なお、本実施形態は発明の趣旨をより良く理解させるために、一例を挙げて説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるレゾルバ部(位置検出器)を備えた真空モータ(モータ)の一構成例を示す部分断正面図、図2は、本実施形態におけるレゾルバ部(位置検出器)を示す分解正断面図である。
【0016】
本実施形態のレゾルバ部Rsを備えた真空モータMは、図1に示すように、筒状ケースM1を有し、筒状ケースM1の一端M1aには第1軸受M2が設けられている。
前記筒状ケースM1の内面M1bには、ステータ巻線M3を有する輪状のステータM4が設けられ、前記筒状ケースM1の他端M1cには、第2軸受M5を有する後蓋体M6が設けられている。
【0017】
前記各軸受M2、M5間には、マグネットM7を有するロータM8を備えた回転軸(シャフト)M9が回転自在に設けられ、この回転軸M9の延長軸部M9aは、第2軸受M5及び後蓋体M6を貫通し、この後蓋体M6の外部に突出して位置している。
本実施形態の真空モータMは、レゾルバ部Rs以外も図示しないが真空中において防ガス性を維持しうる構成となっている。
【0018】
前記延長軸部M9aの外周には、筒状絶縁体M11を介してロータトランスM12及びレゾルバロータM13が軸方向に沿って直列に配設されており、前記後蓋体M6の端面には、凹部M6aを介してステータトランスM14が前記ロータトランスM12に対応して固定配設されている。このステータトランスM14には、前記レゾルバロータM13に対応するようにレゾルバステータM15が接続部材M16を介して固定配設されている。
【0019】
ロータトランスM12及びステータトランスM14により、回転トランスM20を構成
し、レゾルバロータM13及びレゾルバステータM15により、レゾルバM22を構成している。従って、この構成において、ステータ巻線M3に駆動信号が印加されて、モータMのロータM8が回転すると、このロータM8を備えた回転軸M9の回転は、前記レゾルバM22で検出され、その回転検出信号は、前記レゾルバステータM15側から配線M21を介して外部に送られるように構成されている。
レゾルバ部Rsは、励磁側巻線を交流電圧で励磁すると、出力側巻線に交流の出力電圧が誘起されるが、この出力電圧は回転角によって変化する。その電圧を読取ることにより角度を知ることができる。例えば、励磁側にSinの交流電圧を印加することにより、出力側にそれぞれ回転角θに応じたCos,Sinの信号が得られることになる。
【0020】
レゾルバ部Rsは、レゾルバM22を構成する部分であり、図2に示すように、ステータ部材Stとロータ部材Rtとからなる。
ステータ部材Stは、ステータトランスM14、レゾルバステータM15、接続部材M16、配線M21からなるものとされ、ロータ部材Rtは、ロータトランスM12、レゾルバロータM13、筒状絶縁体M11、からなるものとされる。
レゾルバロータM13及びレゾルバステータM15は、例えば電磁コイルから構成されている。電磁コイルは、例えば、銅などの細線を巻回させ、接着剤など樹脂材料でモールドしたものからなる。こうした接着剤など樹脂材料は、真空環境では樹脂の構成材料そのものや溶剤などが揮発してガス化し放出されやすい。
【0021】
ステータ部材Stとロータ部材Rtは、いずれも、防ガス部材としてのモールドMoによりその表面が覆われて密閉されている。モールドMoは、その表面に設けられる各部品、ステータトランスM14、レゾルバステータM15、接続部材M16、配線M21、ロータトランスM12、レゾルバロータM13、筒状絶縁体M11などから高真空状態における発ガスを防止可能な樹脂材料からなり、例えば、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ニトリル樹脂、アチレンプロピレンゴム、アクリルゴムなどが挙げられるが、真空環境中で構成材料のガスなどが発生しないものを選択することが好ましい。
【0022】
防ガス部材としてのモールドMoの各部品の被覆状態および最小被覆厚さは、この真空モータMの曝される真空状態および各部品からの発ガス性との組み合わせに対応して、種々の状態が可能であり、いずれも、充分な防ガス性能を呈することができればよい。例えば、高真空対応モータであれば、ステータ部材Stとロータ部材Rtとの全面をそれぞれ被覆することが好ましく、また、使用条件がそれほど厳しくない場合には発ガス性の高いレゾルバステータM15、レゾルバロータM13、のみを被覆することも可能であり、これに加えて条件が厳しくなるに従って、さらに、ステータトランスM14、ロータトランスM12をもモールドMoによって被覆することができる。
【0023】
防ガス部材としてのモールドMoの各部品の被覆状態および最小被覆厚さは、この真空モータMの曝される真空状態および各部品からの発ガス性との組み合わせに対応して、種種の状態が可能であり、いずれも、充分な防ガス性能を呈することができればよい。例えば、高真空対応モータであれば、ステータ部材Stとロータ部材Rtとの全面をそれぞれ被覆することが好ましく、また、使用条件がそれほど厳しくない場合には発ガス性の高いレゾルバステータM15、レゾルバロータM13、のみを被覆することも可能であり、これに加えて条件が厳しくなるに従って、さらに、ステータトランスM14、ロータトランスM12をもモールドMoによって被覆することができる。
【0024】
このようなレゾルバ部Rsは、ステータ部材Stにおいて、各部品を接続部材M16に取り付けた後に、所定の型に入れ、その隙間に樹脂材料を注入することでモールドMoを形成することができる。同様に、ロータ部材Rtにおいて、各部品を筒状絶縁体M11に取り付けた後に、所定の型に入れ、その隙間に樹脂材料を注入することでモールドMoを形成することができる。
さらに、レゾルバ部Rsは、ステータ部材Stの内周面とロータ部材Rtの外周面とされる互いの対向面を含んで形成したモールドMoの表面において、その形状を整えるために、研削加工等の表面処理をおこなうことが可能である。
【0025】
本実施形態におけるレゾルバ部Rsを備えた真空モータMによれば、防ガス部材としてのモールドMoによって、位置検出器部材Rs表面からのガス放出量を低減でき、また、ガスの中に含まれる不純ガスを低減できる。このような真空モータMを用いることにより、真空装置の真空雰囲気を清浄に保つことができ、例えば、真空装置内で搬送されるガラス基板やウエハの表面を汚染することがない。
【0026】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態におけるレゾルバ部(位置検出器)の一構成例を示す断面図である。
【0027】
本実施形態において、図1,図2で示した第1実施形態と異なるのは、防ガス部材に関する部分であり、これ以外の対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
本実施形態の真空モータMは、図3に示すように、ステータ部材Stおよびロータ部材Rtがいずれも防ガス部材としてモールドMoの代わりに金属材料からなるカバーCvによって覆われて密閉されているレゾルバ部Rsを備えている。
カバーCvは発ガスを防止可能な金属でかつ磁気的な影響が無視しうるものであればよく、例えば、AlやSUSなど発塵とガス放出の少ない金属から形成することができる。また、モールドMoと同様に、各部品の被覆状態および被覆厚さ等の設定は、この真空モータMの曝される真空状態および各部品からの発ガス性との組み合わせに対応して、種々の状態が可能であり、いずれも、充分な防ガス性能を呈することができればよい。
【0029】
本実施形態によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、金属材料からなるカバーCvでステータ部材Stとロータ部材Rtとの全面を覆って各部品を密閉したことにより、樹脂であるモールドMoに比較してより一層の防ガス性を呈することができる。
【0030】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態におけるレゾルバ部(位置検出器)の一構成例を示す断面図である。
【0031】
本実施形態において、図1,図2で示した第1実施形態および、図3で示した第2実施形態と異なるのは、防ガス部材に関する部分であり、これ以外の対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
本実施形態の真空モータMは、図4に示すように、ステータ部材Stおよびロータ部材Rtの全表面がいずれも防ガス部材としてモールドMoで覆われており、これに加えてモールドMo表面が部分的に金属材料からなるカバーCv1によって部分的に覆われて密閉されているレゾルバ部Rsを備えている。
カバーCv1は、最も発ガス性が高い配線M21付近を覆うようにモールドMo表面に設けられている。
本実施形態によれば、上述の第1、2実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、金属材料からなるカバーCvで最も発ガス性の高い配線M21付近のみを覆ったことによって、より一層の防ガス性を呈することができる。また、カバーCv2のように作業性や構造的な理由でモールドMoの表面一部を覆ってもよい。このときも、上述の第1、2実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、金属材料からなるカバーCv2でモールドMoの表面一部を覆ったことによって、より一層の防ガス性を呈することができる。
【0033】
(第4実施形態)
図5は、本発明の第4実施形態におけるレゾルバ部(位置検出器)の一構成例を示す断面図である。
【0034】
本実施形態において、図1,図2で示した第1実施形態、図3で示した第2実施形態、図4で示した第3実施形態と異なるのは、防ガス部材に関する部分であり、これ以外の対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
本実施形態の真空モータMは、図5に示すように、ステータ部材Stおよびロータ部材Rtの全表面がいずれも防ガス部材としてモールドMoで覆われ、これに加えてモールドMoの全面が金属材料からなるカバーCvによって覆われて密閉されているレゾルバ部Rsを備えている。
本実施形態によれば、上述の第1〜3実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、モールドMo表面をさらに金属材料からなるカバーCvで覆ったことにより、さらなる高真空においても防ガス性を維持できるモータとすることができる。
【0036】
(第5実施形態)
図6は、本発明の第5実施形態における真空モータの一構成例を示す断面図である。
本実施形態の真空モータは、上記の第1〜4実施形態におけるモータに代えて適応可能なものである。なお、回転軸(シャフト)に接続される位置検出器は図示を省略しており回転軸21に接続されるものである。
【0037】
真空モータ(モータ)10は、図6に一例として示すように、ハウジング(外装体)11と、このハウジング11に収容されるロータ12、およびステータ13とを備えている。ロータ12は、シャフト21と、このシャフト21の周囲に形成された磁気部材22とを有している。
【0038】
ハウジングは、例えば、金属や樹脂等から構成され、シャフト21の軸方向Lに沿った2箇所に軸受14a,14bが形成される。軸受14a,14bは、例えばベアリングおよびベアリングを支持する受け部材などから構成されていればよい。
【0039】
シャフト21は、ハウジング11に取り付けられた軸受14a,14bによって回転軸方向に沿った2箇所で軸支される。これによってロータ12はハウジング11の内部で回転可能に支持される。
【0040】
シャフト21の周面に形成された磁気部材22は、例えば永久磁石から構成されている。具体的には、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石などが挙げられる。こうした永久磁石は、磁性体粒子を粉砕したものを成型し焼結することによって得られるものが多く、内部に微細な空洞があり、真空環境でガスが生じやすい。
【0041】
ステータ13はハウジング11に固着され、ロータ12に対して所定の間隔を開けてロータ12の周りを取り巻くように形成されている。ステータ13は、例えば電磁コイルから構成されている。電磁コイルは、例えば、銅などの細線を巻回させ、接着剤など樹脂材料でモールドしたものからなる。こうした接着剤など樹脂材料は、真空環境では樹脂の構成材料そのものや溶剤などが揮発してガス化し放出されやすい。
【0042】
ステータ13を構成する電磁コイルに外部から電力を供給することによって、ロータ12の磁気部材22と、ステータ13との間に磁界が生じ、シャフト21が磁気部材22とともに回転する。
【0043】
ロータ12の磁気部材22と、ステータ13との間には、隔壁部材15が配されている。本実施形態においては、隔壁部材15は、第一隔壁部材16と、第二隔壁部材17とから構成される。
第一隔壁部材16は、板状部16aと、この板状部16aの端部に一体に形成されたシール支持部16bとからなる。板状部16aは、シャフト21の軸方向Lに沿って広がり、ステータ13のロータ12側露出面を覆うように配されている。
シール支持部16bは、板状部16aよりも厚みが厚くなるように形成されている。
【0044】
こうした第一隔壁部材16はハウジング11に取り付けられるとともに、シール支持部16bに配された第一シール部材18によって、ハウジング11の内壁と第一隔壁部材16によって囲まれたステータ13が気密に封止される。第一隔壁部材16は、例えば、AlやSUSなど発塵とガス放出の少ない金属から構成される。
【0045】
第一シール部材18は、シール支持部16bとハウジング11の内壁との間を気密に封止するように形成されている。こうした第一シール部材18は、例えば、シャフト21の軸心周りに延びるOリングであり、真空環境においても弾性が保持される弾性部材からなる。第一シール部材18を構成する弾性部材の具体例としては、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ニトリル樹脂、アチレンプロピレンゴム、アクリルゴムなどが挙げられるが、真空環境中で構成材料のガスなどが発生しないものを選択することが好ましい。
【0046】
一方、第二隔壁部材17は、板状部17aと、この板状部17aの端部に一体に形成されたシール支持部17bとからなる。板状部17aは、シャフト21の軸方向に沿って広がり、磁気部材22のステータ13側露出面を覆うように配されている。シール支持部17bは、板状部17aの一端側が板状部17aと一体に形成され、また、板状部17aの他端側は板状部17aとは別体のシール支持部17bが形成されている。こうしたシール支持部17bは、板状部17aの厚みよりも厚くなるように形成されている。
【0047】
こうした第二隔壁部材17はシャフト21に取り付けられるとともに、シール支持部17bに配された第二シール部材19によって、シャフト21の周面と第二隔壁部材17によって囲まれた磁気部材22が気密に封止される。そして、シャフト21の回転によって、磁気部材22とともに第二隔壁部材17も一体に回転する。
【0048】
第二シール部材19は、シール支持部17bとシャフト21の周面との間を気密に封止するように形成されている。こうした第二シール部材19も、シャフト21の軸心周りに延びるOリングであり、真空環境においても弾性が保持される弾性部材からなる。第二シール部材19も、第一シール部材18と同様に、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ニトリル樹脂、アチレンプロピレンゴム、アクリルゴムなど、真空環境中で構成材料のガスなどが発生しないものから構成されることが好ましい。
【0049】
以上のような構成の本発明の一実施形態の真空モータ(モータ)10によれば、例えばこの真空モータ10を真空装置における被成膜物(基板)を搬送するための搬送モータとして用い、真空環境となるチャンバ内に設置したとしても、ロータ12の磁気部材22から生じたガスやステータ13から生じたガスが、ハウジング11の外部に放出されることがない。
【0050】
即ち、電磁コイルなどから構成されるステータ13は、ハウジング11の内壁面と第一隔壁部材16によって覆われる。しかも第一隔壁部材16はハウジング11に対して第一シール部材18によって気密に取り付けられている。これによって、ステータ13は、第一隔壁部材16とハウジング11によって囲まれた空間内に気密に封止された状態となる。
【0051】
ステータ13を構成する電磁コイルは、例えば、銅などの細線を巻回させ、接着剤などの樹脂材料でモールドしたものからなり、真空環境ではモールドした樹脂そのものや溶剤などが揮発してガス化しやすいが、ステータ13全体を第一シール部材18を介して第一隔壁部材16とハウジング11で気密に覆うことによって、ステータ13からガスが発生したとしても、真空モータ10の外部にこうしたガスが漏れ出ることを防止する。
【0052】
また、ロータ12の磁気部材22は、シャフト21の周面と第二隔壁部材17によって覆われる。しかも第二隔壁部材17はシャフト21に対して第二シール部材19によって気密に取り付けられている。これによって、磁気材料22は、シャフト21と第二隔壁部材17によって囲まれた空間内に気密に封止された状態となる。
【0053】
磁気部材22は、例えば、永久磁石から構成されており、こうした永久磁石のうち、特に焼結体は内部に微細な空洞があり、真空環境でガスが生じやすいが、磁気材料22全体を第二シール部材19を介して第二隔壁部材17とシャフト21の周面の間で気密に覆うことによって、磁気部材22からガスが発生したとしても、真空モータ10の外部にこうしたガスが漏れ出ることを防止する。
【0054】
従って、本実施形態の真空モータ10を真空装置のチャンバ内など真空環境になるところに設置しても、真空モータ10のロータ12やステータ13で生じたガスがチャンバ内に放出されることがなく、成膜不良や被成膜物の不純物汚染といった不具合を防止することが可能になる。
【0055】
また、第一隔壁部材16や第二隔壁部材17は、第一シール部材18や第二シール部材19が配される部分のみ、厚みの厚いシール支持部16b,17bを形成し、それ以外のステータ13や磁気部材22を覆う大部分はシール支持部16b,17bよりも厚みの薄い板状部16a,17aとしている。これによって、ハウジング11の内部に第一隔壁部材16や第二隔壁部材17を設けても、真空モータ10のサイズが大幅に大きくなることを防止し、不純物ガスを放出せず、かつコンパクトな真空モータ10を実現できる。
【0056】
上述した実施形態では、ロータ12の磁気部材22を永久磁石、ステータ13を電磁コイルから構成しているが、逆にロータの磁気部材を電磁コイル、ステータを永久磁石で構成してもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、ロータ12とステータ13との間に、第一隔壁部材16と第二隔壁部材17の2つの隔壁部材15を形成している。しかし、例えば一方の永久磁石に真空環境においてもガスの発生が少ないものを用いることによって、ロータの磁気材料、あるいはステータのいずれか一方だけを気密に封止する1つの隔壁部材およびシール部材から構成してもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、第一隔壁部材16の板状部16aとシール支持部16bは一体に形成されている。しかしながら、こうした板状部16aとシール支持部16bとを個別に形成し、これら板状部16aとシール支持部16bとの間も第一シール部材18とは別のシール部材によって気密に封止する構成であってもよい。例えば、板状部16aを軽量のAlによって形成し、シール支持部16bを強度の高いSUSによって構成するなどが考えられる。
【0059】
一方、第二隔壁部材17の一端側のシール支持部17bは板状部17aと一体に形成され、他端側のシール支持部17bは板状部17aとは別体に形成されている。しかしながら、こうした板状部17aの一端側と他端側の両方のシール支持部17bを、板状部17aとは別体に形成しても良い。例えば、板状部17aを軽量のAlによって形成し、シール支持部17bを強度の高いSUSによって構成するなどが考えられる。あるいは、板状部17aの一端側と他端側の両方のシール支持部17bを全て一体に形成する構成であってもよい。
【0060】
(第6実施形態)
図7は、本発明の第6実施形態における真空モータの一構成例を示す断面図である。
本実施形態の真空モータは、上記の第1〜5実施形態におけるモータに代えて適応可能なものである。なお、回転軸(シャフト)に接続される位置検出器は図示を省略しており回転軸41に接続されるものである。
【0061】
真空モータ(モータ)30は、ハウジング(外装体)31と、このハウジング31に収容されるロータ32、およびステータ33とを備え、ロータ32は、シャフト41と、このシャフト41の周囲に形成された磁気部材42とを有している。シャフト41の周面に形成された磁気部材42は、例えば永久磁石から構成されている。
【0062】
ステータ33はハウジング31に固着され、ロータ32に対して所定の間隔を開けてロータ32の周りを取り巻くように形成されている。ステータ33は、例えば電磁コイルから構成されている。
【0063】
ロータ32の磁気部材42と、ステータ33との間には、隔壁部材35が配されている。隔壁部材35は、板状部35aと、この板状部35aの端部に一体に形成されたシール支持部35bとからなる。板状部35aは、シャフト41の軸方向に沿って広がり、ステータ33のロータ32側露出面を覆うように配されている。シール支持部35bは、板状部35aよりも厚みが厚くなるように形成されている。
【0064】
こうした隔壁部材35はハウジング31に取り付けられるとともに、シール支持部35bに配されたシール部材38によって、ハウジング31の内壁と隔壁部材35によって囲まれたステータ33が気密に封止される。隔壁部材35は、例えば、AlやSUSなど発塵の少ない金属から構成される。また、隔壁部材35は、例えば全体がSUSから構成され、板状部35aとシール支持部35bとは一体に形成されている。
【0065】
シール部材38は、シール支持部35bとハウジング31の内壁との間を気密に封止するように形成されている。シール部材38は、例えば、シャフト41の軸心周りに延びるOリングであり、真空環境においても弾性が保持される弾性部材からなる。
【0066】
以上のような構成の本発明の第6実施形態の真空モータ(モータ)30によれば、例えばこの真空モータ30を真空装置における被成膜物(基板)を搬送するための搬送モータとして用い取り付けフランジ51で、真空環境となるチャンバの壁面52に設置したとしても、ステータ33から生じたガスが、ハウジング31の外部に放出されることがない。
【0067】
即ち、電磁コイルなどから構成されるステータ33は、ハウジング31の内壁面と隔壁部材35によって覆われ、この隔壁部材35はハウジング31に対してシール部材38によって気密に取り付けられている。これによって、ステータ33は、隔壁部材35とハウジング31によって囲まれた空間内に気密に封止された状態となる。
【0068】
これによって、例えばステータ33が電磁コイルから構成されていて、真空環境でコイルをモールドした樹脂そのものや溶剤などが揮発してガス化しても、ステータ33全体をシール部材38を介して隔壁部材35とハウジング31で気密に覆うことによって、真空モータ30の内部にこうしたガスが漏れ出ることを防止する。
【0069】
この実施形態では、ロータ32の磁気部材42は、発塵やガスの発生が少ない緻密な金属からなる永久磁石から構成しているので、ロータ32の磁気部材42側には隔壁部材を形成しない。これによって、ステータ33とロータ32との間の隔壁部材は1つだけで済み、真空環境下でガスが漏れ出ることが無く、かつ低コストで小型化が可能な真空モータ30を提供することができる。
【0070】
本発明のモータは、モータの種類に限定されず、各種方式のモータに適用可能である。 表1に、本発明の構成を適用可能なモータの種類、およびそのステータ、ロータの組み合わせを例示する。
【0071】
【表1】
【0072】
(第7実施形態)
図8は、本発明の第7実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)を備えた真空モータ(モータ)の一構成例を示す部分断正面図、図9は、本実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)を示す正断面図である。
【0073】
本実施形態において、図1,図2で示した第1実施形態と異なるのは、位置検出器に関する部分であり、これ以外の対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】
本実施形態の真空モータ(モータ)において設けられた位置検出器は、光学式エンコーダOeとされ、モータMの回転軸M9に固定したスリット付き回転円盤Slと、このスリット付き回転円盤Slに形成したスリットを挟んで対向配置された発光素子M31および受光素子M32で構成される。発光素子M31および受光素子M32はそれぞれ、発光ユニット部Emと受光ユニット部Dtに設けられ、この受光ユニット部Dtは、後蓋体M6の外部に接続部材M36、接続円板M37を介して固定配設され、受光ユニット部Dtには、ブリッジM38を介して発光ユニット部Emが固定配設されている。
【0075】
本実施形態においては、光学式エンコーダ(位置検出器)Oeの発光ユニット部Emと受光ユニット部Dtにおいて、発光素子M31および受光素子M32を除く部分の表面が防ガス部材としてのモールドMoによって覆われている。これにより、発光ユニット部Emと受光ユニット部Dtを構成する基板、および、発光ユニット部Emと受光ユニット部Dtの基板に取り付けられた種々の素子や配線といった発ガス性を有する部品が覆われて真空中でもガスを発することを防止できる。
なお、発光ユニット部Emと受光ユニット部Dtの全体をモールドMoで覆ってもよいが、特に発ガス性の高い部品のみを覆うようにモールドMoを配置することもできる。
ここで、発ガス性の高い部品としては、ICパッケージの樹脂材等であり、比較的発ガス性の低い部品としては、金属配線材等であることができる。
【0076】
このような光学式エンコーダOeは、各部品を発光ユニット部Emと受光ユニット部Dtの基板に取り付けた後に、所定の型に入れ、その隙間に樹脂材料を注入することでモールドMoを形成することができる。
さらに、発光ユニット部Emと受光ユニット部Dt表面に形成したモールドMoの表面において、その形状を整えるために、研削加工等の表面処理をおこなうことが可能である。
【0077】
本実施形態における光学式エンコーダOeを備えた真空モータMによれば、防ガス部材としてのモールドMoによって、位置検出器部材Oe表面からのガス放出量を低減できる。これにより、真空装置内にこの真空モータMを載置した場合に、真空装置の中に含まれる不純ガスを低減できる。このような真空モータMを用いることにより、真空装置の真空雰囲気を清浄に保つことができ、例えば、真空装置内で搬送されるガラス基板やウエハの表面を汚染することがない。
【0078】
(第8実施形態)
図10は、本発明の第8実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)の一構成例を示す断面図である。
【0079】
本実施形態において、図8,図9で示した第7実施形態と異なるのは、防ガス部材に関する部分であり、これ以外の対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
本実施形態の光学式エンコーダOeを備えた真空モータMは、図10に示すように、発光ユニット部Emおよび受光ユニット部Dtがいずれも防ガス部材としてモールドMoの代わりに金属材料からなるカバーCvによって発光素子M31および受光素子M32を除く部分が覆われて密閉されている。
カバーCvは発ガスを防止可能な金属であればよく、例えば、AlやSUSなど発塵とガス放出の少ない金属から形成することができる。また、モールドMoと同様に、各部品の被覆状態および被覆厚さ等の設定は、この真空モータMの曝される真空状態および各部品からの発ガス性との組み合わせに対応して、種々の状態が可能であり、いずれも、充分な防ガス性能を呈することができればよい。
【0081】
本実施形態によれば、上述の第7実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、金属材料からなるカバーCvで発光ユニット部Emおよび受光ユニット部Dtの全面を覆って各部品を密閉したことにより、樹脂であるモールドMoのみの構成に比較してより一層の防ガス性を呈することができる。
【0082】
(第9実施形態)
図11は、本発明の第9実施形態における光学式エンコーダ(位置検出器)の一構成例を示す断面図である。
【0083】
本実施形態において、図8,図9で示した第7実施形態、図10で示した第8実施形態と異なるのは、防ガス部材に関する部分であり、これ以外の対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
本実施形態の光学式エンコーダOeを備えた真空モータMは、図11に示すように、発光ユニット部Emおよび受光ユニット部Dtがいずれも防ガス部材としてモールドMoで覆われ、これに加えてモールドMoの全面が金属材料からなるカバーCvによって覆われて密閉されている。
本実施形態によれば、上述の第7、8実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、モールドMo表面をさらに金属材料からなるカバーCvで覆ったことにより、さらなる高真空においても防ガス性を維持できるモータとすることができる。
【0085】
なお、上記の各実施形態で説明したように、本発明の位置検出器は回転駆動モータに搭載することもできるが、真空中あるいは減圧下で防ガス性を要求されるものであれば、他の構成に適応することもできる。
また、本発明の位置検出器の防ガス性を向上させるモールド方法やモールドの表面を金属材料からなるカバーで覆う方法は、真空中あるいは減圧下で防ガス性を要求されるリニアスケールや直動モータの位置検出器に搭載することもできる。
【符号の説明】
【0086】
M 真空モータ(モータ)、Rt ロータ部材、St ステータ部材、Mo モールド(位置検出器)、Cv カバー(位置検出器)、Rs レゾルバ部、Oe 光学式エンコーダ部、M9 回転軸(シャフト)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧下で回転運動する部材の位置を検出する位置検出器であって、
互いに相対移動する移動子と固定子とを有し、これら移動子と固定子との表面に減圧雰囲気における発ガスを防止する防ガス部材が設けられてなることを特徴とする位置検出器。
【請求項2】
前記防ガス部材が、前記移動子と固定子との表面を樹脂材料でモールドしてなることを特徴とする請求項1に記載の位置検出器。
【請求項3】
前記防ガス部材が、前記移動子と固定子との表面を金属材料で被覆してなることを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出器。
【請求項4】
前記部材が回転駆動モータの回転軸とされ、
前記位置検出器がレゾルバとされ、
前記移動子と固定子とがロータ部材とステータ部材とされてなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の位置検出器。
【請求項5】
前記軸部材が回転駆動モータの回転軸とされ、
前記位置検出器が光学式エンコーダとされ、
前記移動子と固定子とが発光部を有する発光ユニット部および受光部を有する受光ユニット部と、前記発行部と受光部との間に設けられる光学スリット部とされ、前記防ガス部材が前記発光部および前記受光部を覆わない位置に設けられてなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の位置検出器。
【請求項6】
前記防ガス部材が、前記ロータ部材または前記ステータ部材の発ガス量の多い部品をモールドするよう設けられてなることを特徴とする請求項4に記載の位置検出器。
【請求項7】
前記防ガス部材が、前記ロータ部材または前記ステータ部材の全表面をモールドするよう設けられてなることを特徴とする請求項6に記載の位置検出器。
【請求項8】
前記防ガス部材が表面精度加工された樹脂材料とされてなることを特徴とする請求項6または7に記載の位置検出器。
【請求項9】
前記防ガス部材が、前記発光ユニット部、前記受光ユニット部、および、光学スリット部のうち発ガス量の多い部品をモールドするよう設けられてなることを特徴とする請求項5に記載の位置検出器。
【請求項10】
前記防ガス部材が、前記発光ユニット部、前記受光ユニット部における前記発行部と前記受光部以外の全表面をモールドするよう設けられてなることを特徴とする請求項9に記載の位置検出器。
【請求項11】
前記防ガス部材が表面精度加工された樹脂材料とされてなることを特徴とする請求項9または10に記載の位置検出器。
【請求項12】
請求項4、7〜8のいずれか1項に記載された位置検出器を有することを特長とする回転駆動の真空モータ。
【請求項13】
請求項5、9〜11のいずれか1項に記載された位置検出器を有することを特長とする回転駆動の真空モータ。
【請求項1】
減圧下で回転運動する部材の位置を検出する位置検出器であって、
互いに相対移動する移動子と固定子とを有し、これら移動子と固定子との表面に減圧雰囲気における発ガスを防止する防ガス部材が設けられてなることを特徴とする位置検出器。
【請求項2】
前記防ガス部材が、前記移動子と固定子との表面を樹脂材料でモールドしてなることを特徴とする請求項1に記載の位置検出器。
【請求項3】
前記防ガス部材が、前記移動子と固定子との表面を金属材料で被覆してなることを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出器。
【請求項4】
前記部材が回転駆動モータの回転軸とされ、
前記位置検出器がレゾルバとされ、
前記移動子と固定子とがロータ部材とステータ部材とされてなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の位置検出器。
【請求項5】
前記軸部材が回転駆動モータの回転軸とされ、
前記位置検出器が光学式エンコーダとされ、
前記移動子と固定子とが発光部を有する発光ユニット部および受光部を有する受光ユニット部と、前記発行部と受光部との間に設けられる光学スリット部とされ、前記防ガス部材が前記発光部および前記受光部を覆わない位置に設けられてなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の位置検出器。
【請求項6】
前記防ガス部材が、前記ロータ部材または前記ステータ部材の発ガス量の多い部品をモールドするよう設けられてなることを特徴とする請求項4に記載の位置検出器。
【請求項7】
前記防ガス部材が、前記ロータ部材または前記ステータ部材の全表面をモールドするよう設けられてなることを特徴とする請求項6に記載の位置検出器。
【請求項8】
前記防ガス部材が表面精度加工された樹脂材料とされてなることを特徴とする請求項6または7に記載の位置検出器。
【請求項9】
前記防ガス部材が、前記発光ユニット部、前記受光ユニット部、および、光学スリット部のうち発ガス量の多い部品をモールドするよう設けられてなることを特徴とする請求項5に記載の位置検出器。
【請求項10】
前記防ガス部材が、前記発光ユニット部、前記受光ユニット部における前記発行部と前記受光部以外の全表面をモールドするよう設けられてなることを特徴とする請求項9に記載の位置検出器。
【請求項11】
前記防ガス部材が表面精度加工された樹脂材料とされてなることを特徴とする請求項9または10に記載の位置検出器。
【請求項12】
請求項4、7〜8のいずれか1項に記載された位置検出器を有することを特長とする回転駆動の真空モータ。
【請求項13】
請求項5、9〜11のいずれか1項に記載された位置検出器を有することを特長とする回転駆動の真空モータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−38964(P2013−38964A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174196(P2011−174196)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
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