説明

位置検出装置、及び位置検出機能付き表示装置

【課題】使用する磁気センサの数を増やすことなく高解像度の位置検出を行う。
【解決手段】互いに離間して配置した複数の磁気センサによって、任意の入力位置における磁気を個別に検出する。隣接する4つで一組の磁気センサによってそれぞれ区画される複数の領域の中で、該領域を区画する一組の磁気センサの検出値の総和が最大である領域を、入力位置が含まれる特定領域として判定する。特定領域を区画する一組の磁気センサのうちで検出値が最大である特定の磁気センサの位置と、特定領域を区画する一組の磁気センサの検出値A(m,n)、A(m−1,n)、A(m+1,n)、A(m,n−1)、A(m,n+1)とに基づいて入力位置を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサを用いた位置検出技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入力パネル付き表示装置等に利用される磁気検知型の位置検出装置としては、例えば基板上に複数のホール素子を設けた磁気検知型入力パネルがある(特許文献1参照)。ホール素子は、ホール効果と呼ばれる電流に対する磁気効果を利用した磁気センサであり、磁場の印加によってホール電圧を発生するものである。
【0003】
ホール素子を用いた磁気検知型入力パネルでは、磁場を発生する電磁ペン等が近接したときホール素子が出力する、電磁ペン等からの磁場の強さに応じたホール電圧を検出することによって、電磁ペン等による入力位置を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−86183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の磁気検知型入力パネルにおいては、複数のホール素子のうちで最も高いホール電圧を検出したホール素子の位置を入力位置として検出するため、以下の問題があった。
【0006】
すなわちホール素子等の磁気センサを用いて入力位置を高解像度で検出するためには、多数の磁気センサを基板上に高密度で配置する必要がある。しかし、磁気センサの小型化には限界があり、基板上に配置可能な磁気センサの数には限界がある。結果的に、高解像度での位置検出には限界があるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、使用する磁気センサの数を増やすことなく高解像度の位置検出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1記載の発明に係る位置検出装置にあっては、互いに離間して配置されるとともに、任意の入力位置における磁気を個別に検出する複数の磁気センサと、隣接する一組の磁気センサによってそれぞれ区画される複数の領域の中で、該領域を区画する一組の磁気センサの検出値の総和が最大である領域を、前記入力位置が含まれる特定領域として判定する判定手段と、前記領域判定手段により判定された特定領域を区画する一組の磁気センサのうちで検出値が最大である特定の磁気センサの位置と、前記特定領域を区画する一組の磁気センサの検出値とに基づいて前記入力位置を算出する算出手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明に係る位置検出装置にあっては、前記算出手段は、前記特定領域を区画する一組の磁気センサの検出値のうち、最大の検出値と前記最大の検出値以外の少なくとも1つの検出値とに基づいて、前記入力位置を算出することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3記載の発明に係る位置検出装置にあっては、前記算出手段は、前記特定領域を区画する一組の磁気センサの検出値を、前記入力位置の前記特定領域内でのXY座標におけるx軸方向、及びy軸方向への偏り度合を表す値として使用する計算によって、前記入力位置を算出することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4記載の発明に係る位置検出装置にあっては、前記算出手段は、前記特定領域を区画する一組の磁気センサにおける入力位置からの距離に対応する検出値の変化特性に基づいた計算式を用いて入力位置を算出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5記載の発明に係る位置検出装置にあっては、前記算出手段は、前記特定領域を区画する一組の磁気センサにおける各々の検出値が、各々の磁気センサと入力位置との間の距離に比例して変化することを前提とした計算式を用いて入力位置を算出することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6記載の発明に係る位置検出機能付き表示装置にあっては、二次元情報を表示する表示素子と、互いに離間して配置されるとともに、前記表示素子を介して任意の入力位置における磁気を個別に検出する複数の磁気センサと、隣接する一組の磁気センサによってそれぞれ区画される複数の領域の中で、該領域を区画する一組の磁気センサの検出値の総和が最大である領域を、前記入力位置が含まれる特定領域として判定する判定手段と、前記領域判定手段により判定された特定領域を区画する一組の磁気センサのうちで検出値が最大である特定の磁気センサの位置と、前記特定領域を区画する一組の磁気センサの検出値とに基づいて前記入力位置を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された入力位置に応じて前記表示素子における二次元情報の表示動作を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用する磁気センサの数を増やすことなく高解像度の位置検出を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の各実施形態に共通する入力パネル付き表示装置の断面図である。
【図2】ホール素子の説明図である。
【図3】入力パネルの回路構成、及び入力パネル付き表示装置における要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】ホール素子に対する駆動電圧の供給タイミングと、ホール素子からのホール出力電圧の検出タイミングとを示したタイミングチャートである。
【図5】第1の実施形態における制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【図6】制御部によるタッチ領域判定処理を示すフローチャートである。
【図7】各実施形態に共通する入力パネル付き表示装置の平面図、及び正面図である。
【図8】第1の実施形態において入力位置の座標算出に使用される、タッチ領域別の検出値を示す説明図である。
【図9】第1の実施形態における検出位置の具体例を示した図である。
【図10】(a)は第1の実施形態において表現可能な軌跡線の太さを便宜的に示した図、(b)は従来技術において表現可能な軌跡線の太さを便宜的に示した図である。
【図11】第2の実施形態における検出位置の計算手法を示す説明図である。
【図12】第2の実施形態における制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施形態における検出位置の具体例を示した図である。
【図14】第2の実施形態において表現可能な軌跡線の太さを便宜的に示した、図10(a)に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の第1の実施形態を示す図であって、本発明の位置検出機能付き表示装置を構成する入力パネル付き表示装置1の断面図である。
【0017】
入力パネル付き表示装置1は、文字や画像等を表示するLCM(Liquid Crystal panel Module:液晶パネルモジュール)11と、LCM11の裏側面に順に配置された面光源31と、入力パネル41とを備えている。
【0018】
LCM11は透過型であって、シール材12を介して接合された表面側と裏面側との2枚の透明なガラス基板13,14と、双方のガラス基板13,14間に封入された液晶からなる液晶層15と、双方のガラス基板13,14の外側面にそれぞれ貼着された偏光板16,17とを有している。
【0019】
裏面側のガラス基板14の内側面には透明な画素電極18がパターン形成されており、画素電極18において画素に対応する部分にはTFT(Thin Film Transistor)19がそれぞれ形成されている。表面側のガラス基板13の内側面には、所定の色配列を有するカラーフィルタ20と透明なコモン電極21とが順に層をなしてパターン形成されている。
【0020】
2枚のガラス基板13,14には、図示しないが画素電極18又はコモン電極21とを覆う一対の配向膜がそれぞれ設けられており、液晶層15の液晶分子は一対の配向膜により規定される配向状態に配向している。
【0021】
面光源31は、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の発光素子32と、発光素子32が発する光を内部でLCM11に向けて反射する板状の透明部材からなる導光板33とによって構成されている。
【0022】
入力パネル41は、永久磁石からなるペン先101aを有する磁石ペン101により指示された、LCM11の表示画面に対する任意の入力位置を検出するためのものであり、絶縁性基板42上に複数のホール素子43が設けられた構造を有している。なお、磁石ペン101は、先端部に磁場を生じさせるものであれば、例えば直流磁場または交番磁場を発生するコイルを備えた電磁ペンであっても構わない。
【0023】
ホール素子43は、例えば図2に示したように、InSb(Indium Antimonide)等の半導体薄膜がインサートされた素子本体44に、第1及び第2の入力端子45a,45bと、第1及び第2の出力端子46a,46bとが設けられた4端子素子である。第1及び第2の入力端子45a,45bと第1及び第2の出力端子46a,46bとは、素子本体44内において互いに対角をなす位置で半導体薄膜と電気的に接続されている。
【0024】
ホール素子43は、第1及び第2の入力端子45a,45b間に電圧(V)を印加し、半導体薄膜の表面から裏面に貫通する向きに磁場をかけると、ホール効果によって第1及び第2の出力端子46a,46b間に磁束密度(B)に応じた電位差(VHM)が発生する特性を備えた磁気センサである。ホール効果によって第2の出力端子46a,46b間に生ずる電位差(VHM)はホール出力電圧と呼ばれている。
【0025】
図3は、入力パネル41の回路構成、及び入力パネル付き表示装置1における要部の電気的構成の概略を示すブロック図である。ホール素子43は、図3に示したように、絶縁性基板42上に複数行及び複数列をなすマトリックス状に配置されている。なお、図3は、便宜上、ホール素子43の数が16個であり、16個のホール素子43が4行×4列に配置されている場合の例を示した図である。
【0026】
絶縁性基板42には、ホール素子43が横方向に並ぶ各行に第1及び第2の電圧供給線47a,47bが設けられ、ホール素子43が縦方向に並ぶ各列に第1及び第2の信号出力線48a,48bが設けられている。
【0027】
同じ行に並んだ複数のホール素子43は、各々が有する第1の入力端子45aを、行毎に設けられた第1の電圧供給線47aにそれぞれ接続されており、各々が有する第2の入力端子45bを、行毎に設けられた第2の電圧供給線47bにそれぞれ接続されている。そして、各ホール素子43は、第1及び第2の入力端子45a,45bを行毎に第1及び第2の電圧供給線47a,47bを介して電圧供給回路51に接続されている。
【0028】
また、同じ列に並んだ複数のホール素子43は、各々が有する第1の出力端子46aを、列毎に設けられた第1の信号出力線48aにそれぞれ接続されており、各々が有する第2の出力端子46bを、列毎に設けられた第2の信号出力線48bにそれぞれ接続されている。そして、各ホール素子43は、第1及び第2の出力端子46a,46bを列毎に第1及び第2の信号出力線48a,48bを介して電圧検出回路52に接続されている。
【0029】
電圧供給回路51は、図示しないが、各ホール素子43に印加する駆動電圧を生成する定電圧回路と、生成した駆動電圧を、第1及び第2の電圧供給線47a,47bを介して各ホール素子43に行毎に異なるタイミングで順に供給するスイッチング回路とにより構成されている。
【0030】
電圧検出回路52は、図示しないが、各ホール素子43への駆動電圧の供給に同期した列毎に異なるタイミングで、第1及び第2の信号出力線48a,48bを介して各ホール素子43におけるホール出力電圧を検出する電圧センサと、検出した電圧値をデジタル信号に変換して制御部53へ供給するA/D変換器とにより構成されている。
【0031】
図4は、電圧供給回路51から各行のホール素子43に対する駆動電圧の供給タイミングと、電圧検出回路52が各列のホール素子43からホール出力電圧を検出する検出タイミングとを示したタイミングチャートである。
【0032】
電圧供給回路51は、予め決められた位置検出期間Tに、位置検出期間Tをホール素子43が配置されている行数で等分した各行の駆動期間t1〜t4に、各行のホール素子43に対して駆動電圧(Vx1〜Vx4)を順に供給する。電圧検出回路52は、駆動期間t1〜t4毎に、各列のホール素子43のホール出力電圧(Vy1〜Vy4)を順に検出する。例えば図3で上から1行目の各ホール素子43の駆動期間t1においては、図3で左から1列目、2列目、3列目、4列目の順で各ホール素子43のホール出力電圧(Vy1〜Vy4)を検出する。
【0033】
つまり、位置検出期間Tには、図3において上から下へ、また左から右へ向かって複数のホール素子43が走査され、各ホール素子43のホール出力電圧が電圧検出回路52により順に検出され、検出結果が制御部53に供給される。
【0034】
これにより、入力パネル41に配置した複数のホール素子43を駆動している間には、磁石ペン101により指示された任意の入力位置における磁気を、LCM11及び面光源31を介して複数のホール素子43により個別に検出することができる。
【0035】
制御部53は、図示しないが、主としてCPU(Central Processing Unit)と、入出力インターフェイス等の周辺回路と、所定のプログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)、及び作業用のRAM(Random Access Memory)とを含むマイクロコンピュータにより構成されている。また、制御部53には、LCM11を駆動する表示駆動回路54が接続されている。
【0036】
制御部53は、ROMに記憶されたプログラムに従い後述する処理を実行することによって、本実施形態における判定手段、算出手段、制御手段として機能し、電圧供給回路51と電圧検出回路52と表示駆動回路54との動作を制御する。具体的には、制御部53は、電圧供給回路51における各ホール素子43への駆動電圧の供給動作と、電圧検出回路52における各ホール素子43のホール出力電圧の検出動作とを制御する。また、表示駆動回路54に種々の表示データを供給し、表示データに応じた駆動信号を表示駆動回路54に生成させることによって、LCM11に文字や画像等の二次元情報を表示させる。
【0037】
次に、本実施形態において、制御部53が、磁石ペン101により指示され入力位置(以下、タッチ位置という。)の検出に際して実行する処理の内容について説明する。
【0038】
ここでは、以下を前提とする。図7(a)は、入力パネル付き表示装置1を模式的に示した平面図であり、図7(b)は、入力パネル付き表示装置1を模式的に示した正面図である。図7に示したように、入力パネル41には、ホール素子43(以下、センサと呼ぶ)が各列にi個配置され、各行にj個配置されているものとする。また、各行におけるセンサ間の距離(隣接するセンサの中心間の距離)は同一であり、かつ各列におけるセンサ間の距離(隣接するセンサの中心間の距離)も同一であるものとする。
【0039】
また、処理に際して制御部53は、各センサを、それぞれが位置されている行列の列番号(0〜i)と行番号(0〜j)とによって区別する。制御部53が取得する入力位置は、行方向をx軸、列方向をy軸とした、図7(a)で左上に位置するセンサP(0,0)の中心を原点とするXY座標内での位置である。つまり、制御部53は、図7(a)に示した任意の入力位置Bを示す位置情報として、XY座標の第4象限における座標(x,y)を取得する。
【0040】
なお、図7(a)にPxで示した距離は、XY座標におけるセンサ間のx軸方向(行方向)の距離(以下、x軸方向のピッチという。)であり、Pyで示した距離は、XY座標におけるセンサ間のy軸方向(列方向)の距離(以下、y軸方向のピッチという。)である。
【0041】
以下、制御部53の具体的な処理の内容を、図5及び図6に示したフローチャートに従って説明する。図5に示したように、入力位置の検出に際して制御部53は、まず、電圧供給回路51及び電圧検出回路52を動作させることによって、全てのセンサP(0,0)〜P(i,j)のホール出力電圧(以下、検出値という。)のデータA(0,0)〜A(i,j)を取得する(ステップSA1)。
【0042】
次に、制御部53は、全てのセンサの検出値の最大値と最小値との差の絶対値が閾値以上でなければ(ステップSA2:NO)、ステップSA1の処理へ戻り、全てのセンサの検出値データA(0,0)〜A(i,j)を新たに取得する。前記閾値は、複数のホール素子43における特性のバラツキや、検出値に含まれるノイズ等を考慮して予め決められている値であり、磁石ペン101による入力パネル41(LCM11の表示画面)に対する指示があると判断できる値である。
【0043】
一方、全てのセンサの検出値の最大値と最小値との差の絶対値が閾値以上であれば(ステップSA2:YES)、制御部53は、最大の検出値が得られたセンサP(m,n)を特定した後(ステップSA3)、図6に示したタッチ領域判定処理を行う(ステップSA4)。
【0044】
タッチ領域判定処理は、磁石ペン101により指示されたタッチ位置が含まれる特定領域を判定する処理であって、4つのセンサ(一組のセンサ)によりそれぞれ区画される複数の単位領域を候補として、いずれかの単位領域を特定領域として判定する処理である。なお、以下の説明では、タッチ位置が含まれる特定領域をタッチ領域という。
【0045】
タッチ領域判定処理において制御部53は、最大の検出値が得られた特定のセンサP(m,n)に対して上下左右に位置する4つのセンサの検出値に基づいて、タッチ領域を判定する。制御部53によりタッチ領域として判定される領域は、上記特定のセンサの右下に位置する右下領域、上記特定のセンサの右上に位置する右上領域、上記特定のセンサの左下に位置する左下領域、上記特定のセンサの左上に位置する左上領域のいずれかである。
【0046】
すなわち、タッチ領域判定処理に際して制御部53は、まず、特定のセンサP(m,n)の左に位置するセンサP(m−1,n)の検出値A(m−1,n)が、特定のセンサP(m,n)の右に位置するセンサP(m+1,n)の検出値A(m+1,n)よりも小さいか否かを確認する(ステップSA101)。
【0047】
そして、制御部53は、左に位置するセンサP(m−1,n)の検出値A(m−1,n)が、右に位置するセンサP(m+1,n)の検出値A(m+1,n)よりも小さければ(ステップSA101:YES)、さらに、特定のセンサP(m,n)の上に位置するセンサP(m,n−1)の検出値A(m,n−1)が、特定のセンサP(m,n)の下に位置するセンサセンサP(m,n+1)の検出値A(m,n+1)よりも小さいか否かを確認する(ステップSA102)。
【0048】
ここで、上に位置するセンサの検出値A(m,n−1)の方が小さければ(ステップSA102:YES)、制御部53は、タッチ領域が右下領域であると判定する(ステップSA103)。なお、図7(a)は、タッチ領域が右下領域となる場合の磁石ペン101によるタッチ位置Bの一例を示した図である。
【0049】
逆に、上に位置するセンサの検出値A(m,n−1)が、下に位置するセンサの検出値A(m,n+1)以上であれば(ステップSA102:NO)、制御部53は、タッチ領域が右上領域であると判定する(ステップSA103)。
【0050】
また、制御部53は、左に位置するセンサの検出値A(m−1,n)が、右に位置するセンサの検出値A(m+1,n)以上である場合にも(ステップSA101:NO)、さらに、上に位置するセンサの検出値A(m,n−1)が、下に位置するセンサの検出値A(m,n+1)よりも小さいか否かを確認する(ステップSA105)。
【0051】
ここで、上に位置するセンサの検出値A(m,n−1)の方が小さければ(ステップSA105:YES)、制御部53は、タッチ領域が左下領域であると判定する(ステップSA106)。逆に、上に位置するセンサの検出値A(m,n−1)が、下に位置するセンサの検出値A(m,n+1)以上であれば(ステップSA105:NO)、制御部53は、タッチ領域が左上領域であると判定する(ステップSA107)。
【0052】
つまり、タッチ領域判定処理において制御部53は、複数の単位領域の中で、単位領域を区画する4つの磁気センサの検出値の総和が最大である単位領域をタッチ領域として特定する。なお、以上のタッチ領域判定処理においては、タッチ位置がいずれかのセンサの直上であった場合、タッチ領域は左上領域として判定される。
【0053】
タッチ領域判定処理の終了後、制御部53は図5の処理に戻り、引き続き以下の処理を行う。すなわち制御部53は、タッチ領域が右下領域である場合(ステップSA5:右下領域)、図8(a)に示した、右下領域を区画する4つのセンサの検出値A(m,n),A(m+1,n),A(m,n+1),A(m+1,n+1)と、既説した特定のセンサP(m,n)の列番号m及び行番号nと、x軸方向、及びy軸方向のピッチPx,Pyとを用いた以下の式(1−1)
【0054】
【数1】

によって、タッチ位置を示す座標値(X,Y)を算出する(ステップSA6)。
【0055】
また、制御部53は、タッチ領域が右上領域である場合(ステップSA5:右上領域)、図8(b)に示した、右上領域を区画する4つのセンサの検出値A(m,n),A(m+1,n),A(m,n−1),A(m+1,n−1)と、特定のセンサP(m,n)の列番号m及び行番号nと、x軸方向、及びy軸方向のピッチPx,Pyとを用いた以下の式(1−2)
【0056】
【数2】

によって、タッチ位置を示す座標値(X,Y)を算出する(ステップSA7)。
【0057】
また、制御部53は、タッチ領域が左下領域である場合(ステップSA5:左下領域)、図8(c)に示した、左下領域を区画する4つのセンサの検出値A(m,n),A(m−1,n),A(m,n+1),A(m−1,n+1)と、特定のセンサP(m,n)の列番号m及び行番号nと、x軸方向、及びy軸方向のピッチPx,Pyとを用いた以下の式(1−3)
【0058】
【数3】

によって、タッチ位置を示す座標値(X,Y)を算出する(ステップSA8)。
【0059】
また、制御部53は、タッチ領域が左上領域である場合(ステップSA5:左上領域)、図8(d)に示した、左上領域を区画する4つのセンサの検出値A(m,n),A(m−1,n),A(m,n−1),A(m−1,n−1)と、特定のセンサP(m,n)の列番号m及び行番号nと、x軸方向、及びy軸方向のピッチPx,Pyとを用いた以下の式(1−4)
【0060】
【数4】

によって、タッチ位置を示す座標値(X,Y)を算出する(ステップSA9)。
【0061】
上記の式(1−1)〜式(1−4)による計算は、タッチ領域を区画する4つのセンサの検出値(ホール素子43のホール出力電圧)を、タッチ領域内におけるタッチ位置のx軸方向、及びy軸方向への偏り度合を表す値として使用する計算である。より具体的には、各センサの検出値が、各センサとタッチ位置との間の距離に比例して変化することを前提とし、4つのセンサの検出値をそのまま重み(加重値)とした加重平均を、タッチ領域内におけるタッチ位置のx軸方向、又はy軸方向への偏り量とする計算である。
【0062】
しかる後、制御部53は、ステップSA6〜ステップSA9のいずれかの処理で計算した座標(X,Y)を検出位置として、タッチ位置に応じた処理を行う(ステップSA10)。タッチ位置に応じた処理は、例えばタッチ位置に対応して予め決められているLCM11での文字や画像の表示等である。以後、制御部53は、ステップSA1〜ステップSA10の処理を繰り返す。
【0063】
図9は、図7(a)に示した、複数のホール素子43の横方向の間隔であるx軸方向のピッチPxと、複数のホール素子43の縦方向の間隔であるy軸方向のピッチPyとが共に5mmであるとき、制御部53によって検出(計算)されるタッチ位置(X,Y)の具体例を示した図である。すなわち図9(a)は、実際のx座標と、検出されるx座標値(X)との関係を示すx−X座標対応図、図9(b)は、実際のy座標と、検出されるy座標値(Y)との関係を示すy−Y座標対応図である。
【0064】
なお、図9は、実際のタッチ位置が、図7(a)にP(0,0)で示した列番号、及び行番号が共に「0」であるセンサの中心と、P(m,n)で示した列番号、及び行番号が共に「1」であるセンサの中心とを結ぶ直線を複数に等分する複数位置であるときの、複数のタッチ位置に応じた検出結果を示した図である。
【0065】
以上のように、本実施形態においては、磁石ペン101による指示があった場合、制御部53は、タッチ位置が含まれるタッチ領域を判定した後、判定したタッチ領域を区画する4つのセンサの検出値に基づいてタッチ位置を取得する。
【0066】
このため、本実施形態においては、タッチ位置が、センサ(ホール素子43)が配置されていない位置、つまり隣接する任意のセンサ間における任意の位置であっても、図9に示したようにタッチ位置を一定の精度で検出することができる。よって、本実施形態においては、使用する磁気センサの数を増やすことなく高解像度の位置検出を行うことができる。
【0067】
係ることから、例えば制御部53におけるステップSA10の処理が、検出したタッチ位置を結んだ線、つまり磁石ペン101の軌跡を表す軌跡線をLCM11に表示させる処理である場合には、従来よりも細い軌跡線を表示することができる。
【0068】
図10(a)は、ホール素子43の配置と、LCM11に表示させることができる軌跡線200の太さとの関係を便宜的に示した図であり、軌跡線200がx軸に平行な横線である場合と、y軸に平行な縦線である場合と、右斜め45度の斜線である場合とを例示した図である。また、図10(b)は、従来技術によって磁石ペン101のタッチ位置を検出する場合における軌跡線200の太さを示した、図10(a)に対応する図である。
【0069】
ここで、本実施形態においては、タッチ領域を区画する各センサのうちで最大の検出値A(m,n)が得られた特定のセンサの位置を示す値として、列番号(m)と行番号(n)とを用いてタッチ位置(X,Y)を算出する場合について説明した。しかし、タッチ位置(X,Y)の算出に際しては、特定のセンサの位置を示す値としてXY座標における特定のセンサの座標位置(x,y)を用いても構わない。
【0070】
特定のセンサの座標位置(x,y)を用いる場合、例えば式(1−1)は以下の式(1−5)
【0071】
【数5】

に変更すればよい。
【0072】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、図1〜図4に示した第1の実施形態と同様の構成を有した入力パネル付き表示装置に関するものである。
【0073】
本実施形態の入力パネル付き表示装置においては、制御部53を構成するROMに、タッチ位置の検出に際し、制御部53に、第1の実施形態とは異なる計算式を用いてタッチ位置を計算させるためのプログラムが記憶されている。
【0074】
まず、本実施形態で使用する計算式について説明する。本実施形態で使用する計算式も、タッチ領域を区画する4つのセンサの検出値(ホール素子43のホール出力電圧)を、タッチ領域内におけるタッチ位置のx軸方向、及びy軸方向への偏り度合を表す値として使用するものある。
【0075】
ただし、本実施形態で使用する計算式は、タッチ位置からの距離の変化に対応する各センサの検出値の実際の変化特性を反映したものであり、各センサの検出値の変化がタッチ位置からの距離の3乗に反比例することを前提として以下のように導出した計算式である。
【0076】
すなわちタッチ位置がいずれかのセンサの直上であるとき、そのセンサの検出値Pは、図7(b)に示したようにLCM11の表面からセンサまでの距離をdとすれば、

= αd−3 ・・・(2−1)

により表すことができる。αは定数であり、この定数αは、

α= P ・・・(2−2)

で表すことができる。
【0077】
一方、任意のタッチ位置を含むタッチ領域が、例えば特定のセンサ(最大検出値が得られたセンサ)の右下領域である場合、図11に示したように、実際のタッチ位置B(x,y)からタッチ領域の上辺となる線分までの距離をΔy、実際のタッチ位置B(x,y)からタッチ領域の左辺となる線分までの距離をΔxとすれば、特定のセンサP(m,n)と、特定のセンサの右及び下にそれぞれ位置するセンサP(m+1,n),P(m,n+1)との検出値A(m,n),A(m+1,n),A(m,n+1)は、

A(m,n)= α{(Δx) +(Δy) +d−(3/2)
・・・(2−3)

A(m+1,n)= α{(Px−Δx) +(Δy) +d−(3/2)
ただし、Px:x軸方向のセンサのピッチ
・・・(2−4)

A(m,n+1)= α{(Δx) +(Py−Δy) +d−(3/2)
ただし、Py:y軸方向のセンサのピッチ
・・・(2−5)
により表すことができる。
【0078】
また、式(2−3)〜式(2−5)は、以下の式(2−3’)〜式(2−5’)
【0079】
【数6】

に変形することができる。
【0080】
つまり、各センサの検出値A(m,n),A(m+1,n),A(m,n+1)は、それぞれQ(m,n),Q(m+1,n),Q(m,n+1)に変換することができる。
【0081】
ここで、

Q(m+1,n)− Q(m,n)= −2Δx×Px+Px
・・・(2−6)
であるため、距離Δxは、

Δx = (Px/2)−{(Q(m+1,n)− Q(m,n))/2Px}
・・・(2−7)
で表すことができ、距離Δyは、

Δy = (Py/2)−{(Q(m,n+1)− Q(m,n))/2Px}
・・・(2−8)
で表すことができる。
【0082】
したがって、実際のタッチ位置(X,Y)は、変換後の検出値Q(m,n),Q(m+1,n),Q(m,n+1)と、特定のセンサP(m,n)の列番号m及び行番号nと、x軸方向、及びy軸方向のピッチPx,Pyとを用いた以下の式(3−1)
【0083】
【数7】

により表すことができる。
【0084】
他方、以上と同様の手順によって、タッチ領域が特定のセンサP(m,n)の右上領域である場合における、特定のセンサP(m,n)の上に位置するセンサP(m,n−1)の検出値A(m,n−1)は、以下の式(2−9)
【0085】
【数8】

に変換することができる。
【0086】
よって、タッチ領域が特定のセンサP(m,n)の右上領域であるときの実際のタッチ位置(X,Y)は、変換後の検出値Q(m,n),Q(m+1,n),Q(m,n−1)と、特定のセンサP(m,n)の列番号m及び行番号nと、x軸方向、及びy軸方向のピッチPx,Pyとを用いた以下の式(3−2)
【0087】
【数9】

により表すことができる。
【0088】
また、タッチ領域が特定のセンサP(m,n)の左下領域である場合における、特定のセンサP(m,n)の左に位置するセンサP(m−1,n)の検出値A(m−1,n)は、以下の式(2−10)
【0089】
【数10】

に変換することができる。
【0090】
よって、タッチ領域が特定のセンサP(m,n)の左下領域であるときの実際のタッチ位置(X,Y)は、変換後の検出値Q(m,n),Q(m−1,n),Q(m,n+1)と、特定のセンサP(m,n)の列番号m及び行番号nと、x軸方向、及びy軸方向のピッチPx,Pyとを用いた以下の式(3−3)
【0091】
【数11】

により表すことができる。
【0092】
さらに、タッチ領域が特定のセンサP(m,n)の左上領域であるときの実際のタッチ位置(X,Y)は、変換後の検出値Q(m,n),Q(m−1,n),Q(m,n−1)と、特定のセンサP(m,n)の列番号m及び行番号nと、x軸方向、及びy軸方向のピッチPx,Pyとを用いた以下の式(3−4)
【0093】
【数12】

により表すことができる。
【0094】
本実施形態においては、以上のように導出した計算式(3−1)〜(3−4)を使用してタッチ位置(X,Y)を計算する。なお、本実施形態においては、式(2−2)で表される定数αのデータが、設計値である距離dと、任意のセンサの実際の検出値とに基づき予め算出され、制御部53を構成するROMに記憶されているものとする。
【0095】
次に、本実施形態において、制御部53がタッチ位置の検出に際して実行する処理の内容を、図12のフローチャートに従い説明する。
【0096】
タッチ位置の検出に際して制御部53は、まず、電圧供給回路51及び電圧検出回路52を動作させることによって、全てのセンサP(0,0)〜P(i,j)の検出値(ホール出力電圧)のデータA(0,0)〜A(i,j)を取得する(ステップSC1)。
【0097】
そして、制御部53は、全てのセンサの検出値の最大値と最小値との差の絶対値が閾値以上でなければ(ステップSC2:NO)、ステップSA1の処理へ戻り、全てのセンサの検出値データA(0,0)〜A(i,j)を新たに取得する。前記閾値は、複数のホール素子43における特性のバラツキや、検出値に含まれるノイズ等を考慮して予め決められている値であり、磁石ペン101による入力パネル41(LCM11の表示画面)に対する指示があると判断できる値である。
【0098】
一方、全てのセンサの検出値の最大値と最小値との差の絶対値が閾値以上であれば(ステップSC2:YES)、制御部53は、最大の検出値が得られたセンサP(m,n)を特定した後(ステップSC3)、図6に示したタッチ領域判定処理を行う(ステップSC4)。
【0099】
ここまでの処理は、第1の実施形態で既説したステップSA1〜ステップSA4の処理と同一である。これ以後、制御部53は、タッチ領域判定処理によって判定したタッチ領域に応じた異なる計算式を使用することによって、タッチ位置を示す座標値(X,Y)を計算する。
【0100】
すなわち制御部53は、タッチ領域が右下領域である場合には(ステップSC5:右下領域)、最大の検出値が得られた特定のセンサP(m,n)と、特定のセンサの右及び下にそれぞれ位置する各センサP(m+1,n),P(m,n+1)の3つのセンサの各々の検出値、つまり図8(a)に示した検出値A(m,n),A(m+1,n),A(m,n+1)を、既説した式(2−3’)〜式(2−5’)を用いて新たな検出値Q(m,n),Q(m+1,n),Q(m,n+1)に変換する(ステップSC6)。
【0101】
引き続き、制御部53は、変換後の3センサの検出値Q(m,n),Q(m+1,n),Q(m,n+1)と、特定のセンサP(m,n)の列番号m及び行番号nと、x軸方向、及びy軸方向のピッチPx,Pyとを用いた式(3−1)によって、タッチ位置を示す座標値(X,Y)を算出する(ステップSC7)。
【0102】
また、制御部53は、タッチ領域が右上領域である場合には(ステップSC5:右上領域)、最大の検出値が得られた特定のセンサP(m,n)と、特定のセンサP(m,n)の右及び上にそれぞれ位置する各センサP(m+1,n),P(m,n−1)の3つのセンサの各々の検出値、つまり図8(b)に示した検出値A(m,n),A(m+1,n),A(m,n−1)を、既説した式(2−3’)、式(2−4’)、式(2−9)を用いて新たな検出値Q(m,n),Q(m+1,n),Q(m,n−1)に変換する(ステップSC8)。
【0103】
引き続き、制御部53は、変換後の3センサの検出値Q(m,n),Q(m+1,n),Q(m,n−1)と、特定のセンサP(m,n)の列番号m及び行番号nと、x軸方向、及びy軸方向のピッチPx,Pyとを用いた式(3−2)によって、タッチ位置を示す座標値(X,Y)を算出する(ステップSC9)。
【0104】
また、制御部53は、タッチ領域が左下領域である場合には(ステップSC5:左下領域)、最大の検出値が得られた特定のセンサP(m,n)と、特定のセンサP(m,n)の左及び下にそれぞれ位置する各センサP(m−1,n),P(m,n+1)の3つのセンサの各々の検出値、つまり図8(c)に示した検出値A(m,n),A(m−1,n),A(m,n+1)を、既説した式(2−3’)、式(2−10)、式(2−5’)を用いて新たな検出値Q(m,n),Q(m−1,n),Q(m,n+1)に変換する(ステップSC10)。
【0105】
引き続き、制御部53は、変換後の3センサの検出値Q(m,n),Q(m−1,n),Q(m,n+1)と、特定のセンサP(m,n)の列番号m及び行番号nと、x軸方向、及びy軸方向のピッチPx,Pyとを用いた式(3−3)によって、タッチ位置を示す座標値(X,Y)を算出する(ステップSC11)。
【0106】
また、制御部53は、タッチ領域が左上領域である場合には(ステップSC5:左上領域)、最大の検出値が得られた特定のセンサP(m,n)と、特定のセンサP(m,n)の左及び上にそれぞれ位置する各センサP(m−1,n),P(m,n−1)の3つのセンサの各々の検出値、つまり図8(d)に示した検出値A(m,n),A(m−1,n),A(m,n−1)を、既説した式(2−3’)、式(2−10)、式(2−9)を用いて新たな検出値Q(m,n),Q(m−1,n),Q(m,n−1)に変換する(ステップSC12)。
【0107】
引き続き、制御部53は、変換後の3センサの検出値Q(m,n),Q(m−1,n),Q(m,n−1)と、特定のセンサP(m,n)の列番号m及び行番号nと、x軸方向、及びy軸方向のピッチPx,Pyとを用いた式(3−4)によって、タッチ位置を示す座標値(X,Y)を算出する(ステップSC13)。
【0108】
しかる後、制御部53は、ステップSC6〜ステップSC12のいずれかの処理で計算した座標(X,Y)を検出位置として、タッチ位置に応じた処理を行う(ステップSC14)。タッチ位置に応じた処理は、例えばタッチ位置に対応して予め決められているLCM11での文字や画像の表示等である。以後、制御部53は、ステップSC1〜ステップSC14の処理を繰り返す。
【0109】
図13は、本実施形態において制御部53によって検出(計算)されるタッチ位置(X,Y)の具体例を示した、図9に対応する図である。
【0110】
以上のように本実施形態においても、磁石ペン101による指示があった場合、制御部53は、タッチ位置が含まれるタッチ領域を判定した後、判定したタッチ領域を区画する4つのセンサの検出値に基づいてタッチ位置を示す座標値(X,Y)を取得する。
【0111】
したがって、第1の実施形態と同様、タッチ位置が、センサ(ホール素子43)が配置されていない位置、つまり隣接する任意のセンサ間における任意の位置であっても、図13に示したようにタッチ位置を検出することができる。よって、本実施形態においては、使用する磁気センサの数を増やすことなく高解像度の位置検出を行うことができる。
【0112】
しかも、本実施形態においては、タッチ位置を示す座標値(X,Y)を、各センサにおけるタッチ位置からの距離に対応する検出値の実際の変化特性に基づいた計算式を使用して行うことから、図13に示したようにタッチ位置を高精度で検出することができる。
【0113】
すなわち第1の実施形態においては、各センサの検出値が、各センサとタッチ位置との間の距離に比例して変化することを前提とした計算式を使用してタッチ位置を示す座標値(X,Y)を算出する。そのため、図9に示したように、タッチ位置がセンサの直上(中心)に近い場合には、タッチ位置の検出精度が大きく低下する。
【0114】
これに対し、本実施形態においては、各センサにおけるタッチ位置からの距離に対応する検出値の変化特性に基づいた計算式を使用してタッチ位置を示す座標値(X,Y)を算出するため、タッチ位置がセンサの直上(中心)に近い場合であっても、タッチ位置の検出精度が低下することがない。よって、第1の実施形態と比べても、より高解像度の位置検出を行うことができる。
【0115】
係ることから、例えば制御部53におけるステップSC14の処理が、検出したタッチ位置を結んだ線、つまり磁石ペン101の軌跡を表す軌跡線をLCM11に表示させる処理である場合には、第1の実施形態よりも細い軌跡線を表示することができる。図14は、ホール素子43の配置と、本実施形態においてLCM11に表示させることができる軌跡線200の太さとの関係を便宜的に示した、図10に対応する図である。
【0116】
ここで、本実施形態において説明した計算式は一例であり、本発明の実施に際しては他の計算式を用いてタッチ位置(X,Y)を算出しても構わない。その場合であっても、各センサにおけるタッチ位置からの距離に対応する検出値の実際の変化特性に基づいた計算式を使用すれば、本実施形態と同様に、タッチ位置を高精度で検出することができる。
【0117】
なお、第1の実施形態、及び第2の実施形態においては、ホール素子43が絶縁性基板42上に複数行及び複数列をなすマトリックス状に配置されている構成(図3)について説明した。しかし、タッチ位置(X,Y)の算出に使用する計算式は複雑なるが、ホール素子43は、例えば各行における複数のホール素子43が1行おきに半ピッチずれたデルタ状に配置されていても構わない。
【符号の説明】
【0118】
1 入力パネル付き表示装置
11 LCM
31 面光源
41 入力パネル
42 絶縁性基板
43 ホール素子
44 素子本体
45a,45b 入力端子
46a,46b 出力端子
47a 第1の電圧供給線
47b 第2の電圧供給線
48a 第1の信号出力線
48b 第2の信号出力線
51 電圧供給回路
52 電圧検出回路
53 制御部
54 表示駆動回路
101 磁石ペン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して配置されるとともに、任意の入力位置における磁気を個別に検出する複数の磁気センサと、
隣接する一組の磁気センサによってそれぞれ区画される複数の領域の中で、該領域を区画する一組の磁気センサの検出値の総和が最大である領域を、前記入力位置が含まれる特定領域として判定する判定手段と、
前記領域判定手段により判定された特定領域を区画する一組の磁気センサのうちで検出値が最大である特定の磁気センサの位置と、前記特定領域を区画する一組の磁気センサの検出値とに基づいて前記入力位置を算出する算出手段と
を備えたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記特定領域を区画する一組の磁気センサの検出値のうち、最大の検出値と前記最大の検出値以外の少なくとも1つの検出値とに基づいて、前記入力位置を算出することを特徴とする請求項1記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記特定領域を区画する一組の磁気センサの検出値を、前記入力位置の前記特定領域内でのXY座標におけるx軸方向、及びy軸方向への偏り度合を表す値として使用する計算によって、前記入力位置を算出することを特徴とする請求項2記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記特定領域を区画する一組の磁気センサにおける入力位置からの距離に対応する検出値の変化特性に基づいた計算式を用いて入力位置を算出することを特徴とする請求項3記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記特定領域を区画する一組の磁気センサにおける各々の検出値が、各々の磁気センサと入力位置との間の距離に比例して変化することを前提とした計算式を用いて入力位置を算出することを特徴とする請求項3記載の位置検出装置。
【請求項6】
二次元情報を表示する表示素子と、
互いに離間して配置されるとともに、前記表示素子を介して任意の入力位置における磁気を個別に検出する複数の磁気センサと、
隣接する一組の磁気センサによってそれぞれ区画される複数の領域の中で、該領域を区画する一組の磁気センサの検出値の総和が最大である領域を、前記入力位置が含まれる特定領域として判定する判定手段と、
前記領域判定手段により判定された特定領域を区画する一組の磁気センサのうちで検出値が最大である特定の磁気センサの位置と、前記特定領域を区画する一組の磁気センサの検出値とに基づいて前記入力位置を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された入力位置に応じて前記表示素子における二次元情報の表示動作を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする位置検出機能付き表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−198024(P2011−198024A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64020(P2010−64020)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】